図1は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送が適用された無線通信システムの基本的な構成例を示す模式図である。図1に示す無線通信システムは、複数の送信アンテナを有する無線基地局eNB#1(eNB:eNodeB)を備えている。無線基地局eNB#1のカバレッジエリア内には、複数のユーザ端末UE#1(UE:User Equipment)(ここでは、ユーザ端末UE#1A,UE#1B,UE#1C)が在圏している。
この無線通信システムでは、無線基地局eNB#1の複数のアンテナから複数のユーザ端末UE#1に対して異なるデータ系列が並列送信される。すなわち、同じ無線リソースを異なる経路で用いて複数の情報データ系列が送信される。MIMO伝送の態様としては、複数の情報データ系列を単一のユーザ端末UE#1宛てに並列送信するシングルユーザMIMO(SU−MIMO:Single User MIMO)伝送と、複数の情報データ系列を異なるユーザ端末UE#1宛てに並列送信するマルチユーザMIMO(MU−MIMO:Multiple User MIMO)伝送とがある。図1では、マルチユーザMIMO伝送が適用される場合を示している。
MIMO伝送が適用される無線通信システムのスループット及びシステム容量は、並列送信される情報データ系列の数に依存する。つまり、無線基地局eNB#1及びユーザ端末UE#1のアンテナ数を増やすなどして、並列送信される情報データ系列の数を増加させれば、無線通信システムのスループット及びシステム容量を高めることができる。しかしながら、並列送信される情報データ系列の数を増やすと、送受信に必要なシステム構成は複雑化するので、将来的には、上記MIMO伝送の空間分割多重(空間次元多重)とは異なるアプローチでスループット及びシステム容量を高める必要がある。
例えば、下りリンクの送信パワー(送信電力)をユーザ端末UE#1毎に異ならせる非直交アクセス(非直交多重、電力分割多重、電力次元多重などとも呼ばれる)を適用することで、無線通信システムのスループット及びシステム容量をさらに高めることができる。そこで、受信側の干渉除去を前提とした非直交アクセスであるNOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)を検討した。
図2は、NOMAが適用された無線通信システムの基本的な構成例を示す模式図である。図2では、無線基地局eNB#2が形成するセルを例示している。無線基地局eNB#2のカバレッジエリア内には、複数のユーザ端末UE#2(ここでは、ユーザ端末UE#2A,UE#2B,UE#2C)が配置されている。この無線通信システムでは、無線基地局eNB#2の送信アンテナから複数のユーザ端末UE#2に対して異なる送信パワーで下りリンクのデータ信号が送信される。
図2に示す無線通信システムでは、例えば、ユーザ端末UE#2の受信SINRや、無線基地局eNB#2とユーザ端末UE#2との間のパスロス(伝搬損失、経路損失)などに応じて送信パワーが制御される。具体的には、受信SINRが大きい(パスロスが小さい)ユーザ端末UE#2Aの送信パワーを小さく割り当て、受信SINRが小さい(パスロスが大きい)ユーザ端末UE#2Cの送信パワーを大きく割り当てるような制御が行われる。
このような送信パワーの割り当てを行った場合、ユーザ端末UE#2Cの在圏位置では、ユーザ端末UE#2A,UE#2B宛ての信号は十分に弱くなる。よって、ユーザ端末UE#2Cは、ユーザ端末UE#2A,UE#2B宛ての信号による干渉を小さくみなすことで自端末宛ての信号を復号できる。一方、ユーザ端末UE#2Aの在圏位置において、ユーザ端末UE#2B,UE#2C宛ての信号は強い。そのため、ユーザ端末UE#2Aは、自端末宛ての信号に加え、ユーザ端末UE#2B,UE#2C宛ての信号を受信する。
NOMAにおいて、各ユーザ端末UE#2宛ての信号は、識別できる態様で多重されている。ユーザ端末UE#2Aは、SIC(Successive Interference Cancellation)でユーザ端末UE#2B,UE#2C宛ての信号を復号してから、自端末宛ての信号を分離する。このNOMAを応用し、複数のユーザ端末UE#2宛ての信号を同じ無線リソース(周波数帯域、時間スロット)に異なる送信パワーで多重(非直交多重)すれば、スループット及びシステム容量をさらに高めることができると考えられる。
ここで、NOMAに用いられるSICとMIMO伝送との親和性を考える。例えば、図1に示すシステム構成において、無線基地局eNB#1とユーザ端末UE#1Aとの間のチャネル状態を表すチャネル行列をh1=[100 99]、無線基地局eNB#1とユーザ端末UE#1Bとの間のチャネル状態を表すチャネル行列をh2=[1 −1]とする。プリコーダm2=[1 −1]Tを用いてプリコーディングする場合、h1・m2=1<h2・m2=2となるので、ユーザ端末UE#1Aの受信信号強度は、ユーザ端末UE#1Bの受信信号強度より小さくなる。一方、プリコーダm2=[1 1]Tを用いてプリコーディングする場合、h1・m2=199>h2・m2=0となるので、ユーザ端末UE#1Aの受信信号強度は、ユーザ端末UE#1Bの受信信号強度より大きくなる。
このように、MIMO伝送では、適用されるプリコーダに応じてユーザ端末UE#1の受信する信号強度は変動するので、チャネル状態の優劣を一意に決定することができない。よって、送信パワーの制御だけでは、干渉となる他のユーザ端末UE#1宛ての信号を復号、除去できない恐れがある。すなわち、MIMO伝送では、下りリンク通信チャネルをDegraded BC(Degraded Broadcast Channel)として扱うことができないので、チャネル状態の優劣を一意に決定できず、上述したSICの適用は困難である。
上述の問題は、DPC(Dirty Paper Coding)によるプリコーディング(例えば、THP(Tomlinson Harashima Precoding))を適用すれば解消できる。しかしながら、その場合、システム構成は複雑化してしまう。また、DPCによるプリコーディングは、フィードバックされるチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)の品質に敏感なので、チャネル推定精度の低下やフィードバック誤りなどの影響を受けて通信品質が低下し易くなるという問題もある。
これらの課題に対し、本発明者らは、複数の送受信アンテナを用いるMIMO伝送において下りリンクの通信チャネルをDegraded BCとして扱うことのできるシステム構成に非直交多重(NOMA)を適用すれば、構成を複雑化することなくスループット及びシステム容量を高めることができるのではないかと考えた。下りリンクの通信チャネルをDegraded BCとして扱うことのできるシステム構成としては、例えば、オポチュニスティックビームフォーミング(opportunistic beamforming)の適用されたシステム構成などが考えられる。なお、オポチュニスティックビームフォーミングは、ランダムビームフォーミング(random beamforming)と呼ばれても良い。
図3は、オポチュニスティックビームフォーミングが適用された無線通信システムの構成例を示す模式図である。図3Aに示す無線通信システムは、あらかじめ決められたパターン、又はランダムなパターンの送信ビームB1,B2,B3を生成する無線基地局eNB#3を備えている。無線基地局eNB#3で生成される複数の送信ビームB1,B2,B3は、例えば、互いに直交されている。ただし、受信側において、線形フィルタのIRC(Interference Rejection Combining)受信機などにより送信ビーム間の干渉を除去できるので、完全に直交させなくとも良い。このオポチュニスティックビームフォーミングでは、図3Bに示すように、あらかじめ決められたパターン、又はランダムなパターンの無線リソース(周波数帯域、時間スロット)を用いて各送信ビームB1,B2,B3が生成される。なお、オポチュニスティックビームフォーミングでは、所定パターンの無線リソースを用いて複数の送信ビームが生成されれば良いので、任意のタイミング(時間スロット)において生成される送信ビーム数は1つでも良い。
送信ビームB1,B2,B3のカバレッジエリアには、それぞれ複数のユーザ端末UE#3が配置されている。各ユーザ端末UE#3は、各送信ビームB1,B2,B3で送信されるビーム固有の下り参照信号に基づいてチャネル推定を行い、無線基地局eNB#3にチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)をフィードバックする。無線基地局eNB#3は、各送信ビームB1,B2,B3で最もCQIの高いユーザ端末UE#3を選択して下りリンクのデータ送信を行う。
図4は、ユーザ端末の数と、平均スループットとの関係を示すグラフである。オポチュニスティックビームフォーミング(Opp.BF:Opportunistic BeamForming)では、上述のように、任意のパターンで生成される各送信ビームB1,B2,B3のカバレッジエリア内において、CQIの最も高いユーザ端末UE#3を選択して下りリンクのデータ送信を行う。各カバレッジエリア内のユーザ端末UE#3の数が増えるとチャネル品質の良いユーザ端末UE#3の存在確率も高くなるので、図4に示すように、上述したMIMO伝送(Coherent BF:Coherent BeamForming)と遜色のない高スループットを実現できる。
このオポチュニスティックビームフォーミングでは、例えば、線形フィルタで各送信ビームB1,B2,B3間の干渉を除去することにより、通信チャネルをDegraded BCとして扱うことができるようになる。そのため、SICに対する親和性は高く、非直交多重を適用しても干渉を適切に除去可能である。そこで、本発明では、このオポチュニスティックビームフォーミングに非直交多重を適用する。以下、本発明について説明する。
図5は、本実施の形態に係る無線通信方式について説明するための模式図である。図5Aに示す無線通信システムは、あらかじめ決められたパターン、又はランダムなパターンのN個の送信ビームBeam#1〜Beam#Nを生成する無線基地局eNB#5を備えている。無線基地局eNB#5で生成されるN個の送信ビームBeam#1〜Beam#Nは、互いに直交されている。この無線通信システムでは、あらかじめ決められたパターン、又はランダムなパターンの無線リソース(周波数帯域、時間スロット)を用いて各送信ビームBeam#1〜Beam#Nが生成される。
送信ビームBeam#1〜Beam#Nのカバレッジエリアには、それぞれ複数のユーザ端末UE#5が配置されている。無線基地局eNB#5は、複数のユーザ端末UE#5に対し、各送信ビームBeam#1〜Beam#Nに固有の下り参照信号(CSI−RS(Channel State Information Reference Signal)、DM−RS(DeModulation Reference Signal)など)を送信する。図6は、無線基地局から送信される下り参照信号の無線リソース構成の例を示す模式図であり、4個の送信ビームBeam#1〜Beam#4が同時に生成される場合を示している。図6に示すように、各送信ビームに固有の下り参照信号は、例えば、各リソースブロック(RB)のPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)領域に多重される。各送信ビーム内の複数のユーザ端末UE#5宛ての参照信号の多重方法としては、従来の非直交アクセス多重に適した参照信号の多重方法を適用すれば良い。
各ユーザ端末UE#5は、各送信ビームBeam#1〜Beam#Nで送信されるビーム固有の下り参照信号に基づいてチャネル推定を行い、無線基地局eNB#5にチャネル品質情報(CQI)をフィードバックする。無線基地局eNB#5は、フィードバックされたCQIに基づいて、各送信ビームBeam#1〜Beam#Nに非直交多重される複数のユーザ端末UE#5のセットを決定する。なお、各ユーザ端末UE#5からフィードバックされる情報は、チャネル品質情報(CQI)に限定されない。少なくとも、チャネル状態を示すチャネル状態情報(CSI)がフィードバックされれば良い。
非直交多重される複数のユーザ端末UE#5のセットは、総和レートなどのユーザ端末選択用の指標値が最大化されるように、任意のスケジューリングメトリックに基づいて決定される。例えば、任意の周波数ブロックbでは、ユーザkのSICによってh
i,b/N
i,b<h
k,b/N
k,bを満たす全てのユーザiの干渉を除去できるので、ユーザkのスループットR
(sic)(k)は下記式(1)で表される。
ワーストユーザスループット(最小スループット)を最大化するスケジューリングを行う場合、下記式(2),(3)で表される最適電力の割り当て問題を解決することで、非直交多重される複数のユーザ端末UE#5のセットを決定できる。Kは、ユーザ端末数の総数を示し、Bは、送信ビームの総数を示し、Pは、送信電力の合計値を示す。
各送信ビームBeam#1〜Beam#Nに非直交多重される複数のユーザ端末UE#5のセットが決定されると、無線基地局eNB#5は、送信ビームBeam#1〜Beam#Nのそれぞれに、対応するユーザ端末UE#5宛ての下りリンク信号を重畳符号化により非直交多重する。すなわち、複数のユーザ端末UE#5宛ての信号を、送信パワーを変えて同じ無線リソース(周波数帯域、時間スロット)に多重する。また、各ユーザ端末#5に対し、SICによる干渉除去の際に必要となる他のユーザ端末#5の情報を通知する。
図5Bに示すように、一部の周波数帯域f1には、各送信ビームBeam#1〜Beam#Nの複数のユーザ端末UE#5のセットに対応する下りリンク信号が非直交多重される。例えば、図5Bでは、送信ビームBeam#1の周波数帯域f1にユーザ端末UE#5A,UE#5B,UE#5C宛ての下りリンク信号が非直交多重されている。また、送信ビームBeam#Nの周波数帯域f1にユーザ端末UE#5H,UE#5I,UE#5J宛ての下りリンク信号が非直交多重されている。
なお、各送信ビームBeam#1〜Beam#Nの周波数帯域f2には、他の信号(下りリンク信号又は上りリンク信号)が多重されている。このように、図5Bでは、周波数帯域f1,f2による直交多重と、非直交多重とを組み合わせた無線リソース構成(直交/非直交ハイブリッドマルチアクセス)を示しているが、全周波数帯域において非直交多重のみが適用されても良い。
各送信ビームBeam#1〜Beam#Nにおいて、非直交多重される信号の送信パワーは、フィードバックされたCQI(又はCSI)に基づいて決定される。例えば、無線基地局eNB#5は、図5Bに示すように、送信ビームBeam#1において受信SINRが最も大きい(パスロスが最も小さい)ユーザ端末UE#5Aの送信パワーを最小とし、受信SINRが最も小さい(パスロスが最も大きい)ユーザ端末UE#5Cの送信パワーを最大とする。また、無線基地局eNB#5は、送信ビームBeam#Nにおいて受信SINRが最も大きい(パスロスが最も小さい)ユーザ端末UE#5H,の送信パワーを最小とし、受信SINRが最も小さい(パスロスが最も大きい)ユーザ端末UE#5Jの送信パワーを最大とする。
図7は、非直交多重で送信された下りリンク信号が各ユーザ端末で受信される様子を説明するための模式図である。図7において、ユーザ端末UE#7Bの受信SINRは、ユーザ端末UE#7Aの受信SINRより小さくなっている。または、無線基地局eNB#7とユーザ端末UE#7Bとの間のパスロスは、無線基地局eNB#7とユーザ端末UE#7Aとの間のパスロスより大きくなっている。このため、無線基地局eNB#7は、受信SINRが大きい(パスロスが小さい)ユーザ端末UE#7Aの送信パワーを、受信SINRが小さい(パスロスが大きい)ユーザ端末UE#7Bの送信パワーより小さく設定している。
ユーザ端末UE#7Bの在圏位置では、ユーザ端末UE#7A宛ての信号は十分に弱くなる。よって、ユーザ端末UE#7Bは、ユーザ端末UE#7A宛ての信号による干渉が小さいものとして自端末宛ての信号を復号できる。一方、ユーザ端末UE#7Aの在圏位置において、ユーザ端末UE#7B宛ての信号は強い。そのため、ユーザ端末UE#7Aは、自端末宛ての信号に加え、ユーザ端末UE#7B宛ての信号を受信する。
ユーザ端末UE#7A,UE#7B宛ての信号は、それぞれ識別できる態様で多重されている。このため、ユーザ端末UE#7Aは、ユーザ端末UE#7B宛ての信号をSICにより除去して自端末宛ての信号を分離する。その結果、ユーザ端末UE#7Aは、自端末宛ての信号を復号できる。ユーザ端末UE#7C,UE#7Dについても同様である。すなわち、ユーザ端末UE#7Dは、ユーザ端末UE#7C宛ての信号による干渉が小さいとみなして自端末宛ての信号を復号する。一方、ユーザ端末UE#7Cは、ユーザ端末UE#7D宛ての信号をSICにより除去して自端末宛ての信号を分離し、復号する。
上述のSICは、自端末より伝送路の状態が悪い(受信SINRが小さい、又はパスロスが大きい)ユーザ端末UE宛ての信号除去に適用される。自端末より伝送路の状態が悪いユーザ端末UE宛ての信号は、自端末宛ての信号より高パワーで送信されるので、自端末において正しく復号できる。よって、このようなユーザ端末UE宛ての信号による干渉は、SICにより適切に除去される。一方、自端末より伝送路の状態が良いユーザ端末UE宛ての信号は、自端末宛ての信号より低パワーで送信されるので、干渉は無視できる。
このように構成された本実施の形態の無線通信方式において、送信信号ベクトルxは下記式(4)で表される。Bは送信ビームの総数を示し、m
bはb番目の送信ビームのビームベクトル(プリコーダ)を示し、P
b,uはb番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末への送信電力(送信パワー)を示し、s
b,uはb番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末への信号を示す。
また、下記式(5)が成り立つ。P
b´はb番目の送信ビームの送信電力を示し、Pは全ての送信ビームの送信電力の合計値を示す。
また、b番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末の受信信号ベクトルy
b,uは、下記式(6)で表される。H
b,uはb番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末のチャネル行列を示し、w
b,uはb番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末への雑音干渉ベクトルを示す。
送信ビーム間の干渉は、SICではなく受信線形フィルタリングで抑圧できる。これを考慮すると、b番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末のフィルタリング後の受信信号ベクトルy~
b,uは、下記式(7)で表される。v
H b,uはb番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末の受信フィルタベクトルを示す。
下記式(8)は上記式(7)の等価チャネル表現である。w~
b,uはb番目の送信ビームに重畳符号化されたu番目のユーザ端末への電力雑音を示す。g
b,uは、下記式(9)で表される。
上記式(8)により、下りリンクの通信チャネルをDegraded BCとみなせることが分かる。よって、本実施の形態の無線通信方式では、各送信ビーム内での干渉を、受信SICで適切に抑制できる。
本実施の形態の無線通信方式では、上述のように、MU−MIMO伝送に対してNOMAが適用されるが、他の伝送方式もサポートされている。図8は、本実施の形態の無線通信方式でサポートされる伝送方式の例を示す模式図である。図8Aは、SU−MIMO伝送の例を示し、図8Bは、送信ダイバーシティの例を示している。無線通信システムに図8AのSU−MIMO伝送をサポートさせることで、ピークレートを高めることができる。また、プリコーディングゲインの小さい適用環境などにおいては、図8Bの送信ダイバーシティが有効である。
図9は、無線基地局から送信される復調用参照信号(DM−RS)の無線リソース構成の例を示す模式図である。図9A〜図9Dにおいて、横軸は無線リソース(時間、周波数)を表し、縦軸は送信電力を表す。図9Aに示すように、1本の送信アンテナによる送信ビームにNOMAが適用される場合には、各ユーザ端末UE#9宛ての信号は、同じ無線リソースにおいて異なる電力で送信される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、各ユーザ端末UE#9に共通のDM−RSを用いることができる。また、図9Bに示すように、複数の送信アンテナ(ここでは、2本の送信アンテナTX1,TX2)による送信ビームを用いるSU−MIMO伝送においては、ユーザ端末UE#9A宛ての複数(2つ)の情報データ系列(レイヤ)が同じ無線リソースに多重される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、レイヤ間で直交するDM−RSを用いることができる。
一方、図9Cに示すように、複数の送信アンテナ(ここでは、2本の送信アンテナTX1,TX2)による送信ビームを用いるSU−MIMO伝送にNOMAが適用される場合には、各ユーザ端末UE#9宛ての複数(2つ)の情報データ系列(レイヤ)が同じ無線リソースに多重される。ここで、ユーザ端末UE#9宛ての信号は、異なる電力で送信される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、同一レイヤ内のユーザ端末に共通し、レイヤ間では直交するDM−RSを用いることができる。
さらに、図9Dに示すように、複数の送信アンテナ(ここでは、2本の送信アンテナTX1,TX2)による送信ビームを用いるMU−MIMO伝送にNOMAが適用される場合には、各ユーザ端末UE#9宛ての信号が同じ無線リソースに多重される。同一の送信ビーム内においては、各ユーザ端末#9宛ての信号が異なる電力で送信される。この場合、復調用の参照信号として、例えば、同一送信ビーム内のユーザ端末UE#9に共通し、送信ビーム間では直交するDM−RSを用いることができる。このようにユーザ端末間で共通のDM−RS構成が適用される場合には、各ユーザ端末宛ての送信電力の比が通知される。なお、ここでは、ユーザ端末間で共通のDM−RS構成が適用される場合を示したが、ユーザ端末毎に個別のDM−RSを送信する構成としても良い。
本実施の形態の無線通信方式の制御フローを説明する。図10は、無線基地局側の制御フローを示すフロー図である。無線基地局eNBは、まず、データ送信に用いる送信ビームのビームベクトル(プリコーダ)を決定する(ステップST11)。例えば、2本の送信アンテナを用いる場合には、直交する2個のビームベクトルをランダムに生成する。そして、各ビームベクトルでプリコーディングされた送信ビームを用いて、各送信ビームに固有の下り参照信号をユーザ端末UEに送信する(ステップST12)。
次に、無線基地局eNBは、各送信ビームで送信された下り参照信号に基づいてCQIをフィードバックするように全てのユーザ端末UEに要求する(ステップST13)。例えば、無線基地局eNBは、CQI(SINRに相当)のみをフィードバックするようユーザ端末UEに指示する。この場合、フィードバックに係るオーバヘッドを低減できる。ただし、フィードバックされる情報は、CQIに限定されない。少なくとも、チャネル状態を示すCSIがフィードバックされれば良い。なお、このフィードバックでは、他セル(他の無線基地局eNB)からの干渉が考慮される。
ユーザ端末UEからCQIをフィードバックされると、無線基地局eNBは、フィードバックされたCQIに基づいて各送信ビームのスケジューリングを行い、非直交多重するユーザ端末UEを決定する(ステップST14)。すなわち、無線基地局eNBは、周波数スケジューリングの対象となるユーザ端末UEを選択し、非直交多重の対象となるユーザ端末UEを決定する。非直交多重の対象となるユーザ端末UEの決定は、例えば、上述したスケジューリングメトリックに基づいて行われる。
その後、無線基地局eNBは、スケジューリング情報及び非直交多重するユーザ端末の情報に基づき送信信号を生成し、各送信ビームに非直交多重して送信する(ステップST15)。また、無線基地局eNBは、各ユーザ端末UEに対して、同じ送信ビームに非直交多重される他のユーザ端末UEの情報を通知する(ステップST16)。この通知は、例えば、ハイヤレイヤシグナリング(RRCシグナリングなど)、PDCCHの制御情報によるシグナリングなどを用いて行われる。
図11は、ユーザ端末側の制御フローを示すフロー図である。ユーザ端末UEは、各送信ビームで送信された下り参照信号を受信し(ステップST21)、CQIを算出して無線基地局eNBにフィードバックする(ステップST22)。なお、フィードバックされる情報は、チャネル状態を示すCSIであれば良い。
その後、ユーザ端末UEは、無線基地局eNBから送信される送信信号を制御情報と共に受信し(ステップST23)、自端末宛ての情報と、自端末と同じ送信ビームに非直交多重される他のユーザ端末UE宛ての情報とを取得する(ステップST24)。また、ユーザ端末UEは、チャネル推定により自端末のCSI情報を推定する(ステップST25)。ユーザ端末UEは、通知された他のユーザ端末UEの参照信号に基づいて他のユーザ端末UEのCSI情報を推定する(ステップST25)。
その後、ユーザ端末UEは、MMSE、IRCなどの線形フィルタを用いて送信ビーム間の干渉を除去する(ステップST26)。例えば、2本の受信アンテナを用いる構成では、線形フィルタのIRC受信機又はMMSE受信機を用いて送信ビーム間の干渉を除去する。次に、同じ送信ビームに非直交多重された他のユーザ端末宛ての信号による干渉をSICにより除去する(ステップST27)。ここで、SICは、自端末より伝送路の状態が悪い(受信SINRが小さい、又はパスロスが大きい)ユーザ端末UE宛ての信号除去に適用される。自端末より伝送路の状態が悪いユーザ端末UE宛ての信号は、自端末宛ての信号より高パワーで送信されるので、自端末において正しく復号できる。よって、このようなユーザ端末UE宛ての信号による干渉は、SICにより適切に除去される。一方、自端末より伝送路の状態が良い(受信SINRが大きい、又はパスロスが小さい)ユーザ端末UE宛ての信号は、自端末宛ての信号より低パワーで送信されるので、干渉は無視できる。他のユーザ端末UE宛ての信号による干渉を除去した後には、自端末宛てのユーザデータを復調する(ステップST28)。
このように、本実施の形態に係る無線通信方式では、MIMO伝送と同等のシステム特性を実現できるオポチュニスティックビームフォーミングに対して非直交多重を適用するので、スループット及びシステム容量をさらに高めることができる。
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの詳細を説明する。図12は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す模式図である。なお、図12に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム、又はLTE−A(LTEアドバンスト(LTE-Advanced))システムが包含されるシステムである。この無線通信システムは、Beyond IMT−Advancedと呼ばれても良いし、Beyond 4Gと呼ばれても良い。
図12に示すように、無線通信システム1は、無線基地局10(10A,10B)と、この無線基地局10と通信する複数のユーザ端末20(20A,20B)とを含んでいる。無線基地局10は、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。各ユーザ端末20は、セルC1、C2において無線基地局10と通信を行うことができる。この、ユーザ端末20は、移動端末でも良いし固定端末でもよい。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されない。
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクにOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクにSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、図12に示す無線通信システム1で用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、拡張PDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報などが伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクのチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACKなどが伝送される。
図13は、本実施の形態に係る無線基地局の構成例を示すブロック図である。無線基地局10は、オポチュニスティックビームフォーミングのための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
下りリンクにおいて無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、入力されたユーザデータに対して、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理を行い、各送受信部103に転送する。また、下りリンクの制御情報に対してチャネル符号化やIFFT処理などの送信処理を行い、各送受信部103に転送する。
また、ベースバンド信号処理部104は、報知チャネルにより、ユーザ端末20に対して、在圏セルにおける通信のための制御情報を通知する。在圏セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅などが含まれる。
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101より送信する。
一方、上りリンクによりユーザ端末20から無線基地局10に送信されるデータは、各送受信アンテナ101で受信されてアンプ部102に入力される。アンプ部102は、各送受信アンテナ101から入力される無線周波数信号を増幅して各送受信部103に送る。増幅された無線周波数信号は、各送受信部103でベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、入力されたベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:inverse discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理を行い、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送する。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理、無線基地局10の状態管理、無線リソースの管理などを行う。
図14は、本実施の形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。ユーザ端末20は、複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
下りリンクのデータは、複数の送受信アンテナ201で受信されてアンプ部202に入力される。アンプ部202は、各送受信アンテナ201から入力される無線周波数信号を増幅して各送受信部203に送る。増幅された無線周波数信号は、各送受信部203でベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、入力されたベースバンド信号に対してFFT処理、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などが行われる。下りリンクのデータに含まれるユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータに含まれる報知情報もアプリケーション部205に転送される。
一方、上りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、入力されたユーザデータに対して、再送制御(H−ARQ (Hybrid ARQ))の送信処理、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)処理、IFFT処理などを行い、各送受信部203に転送する。各送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201より送信する。
図15は、本実施の形態に係る無線基地局及びユーザ端末が有するベースバンド信号処理部の構成例を示すブロック図である。なお、図15では、構成の一部のみを示しているが、無線基地局10及びユーザ端末20は、必要な構成を不足なく備えている。
図15に示すように、無線基地局10は、ビーム生成部301、下り制御情報生成部302、下り制御情報符号化・変調部303、下り送信データ生成部304、下り送信データ符号化・変調部305、下り参照信号生成部306、下りチャネル多重部307、スケジューリング部308を備えている。
ビーム生成部301は、あらかじめ決められたパターン、又はランダムなパターンの無線リソース(周波数帯域、時間スロット)を用いて、互いに直交する複数の送信ビームを生成する。
下り制御情報生成部302は、PDCCHで伝送されるユーザ端末固有(UE-specific)の下り制御情報(DCI)を生成する。ユーザ端末固有の下り制御情報には、PDSCHの割り当て情報であるDLアサイメント(DL assignment)や、PUSCHの割り当て情報であるULグラント(UL grant)などが含まれる。また、この下り制御情報には、各ユーザ端末20に対してCQI(又はCSI)のフィードバックを要求する制御情報が含まれている。
下り制御情報生成部302で生成された下り制御情報は、ユーザ端末に共通の共通制御情報と共に、PDCCHで伝送される下り制御情報として下り制御情報符号化・変調部303に入力される。下り制御情報符号化・変調部303は、入力された下り制御情報をチャネル符号化して変調する。変調された下り制御情報は、下りチャネル多重部307へと出力される。
下り送信データ生成部304は、ユーザ端末20毎に下りユーザデータを生成する。下り送信データ生成部304で生成された下りユーザデータは、上位制御情報と共に、PDSCHで伝送される下り送信データとして下り送信データ符号化・変調部305に入力される。下り送信データ符号化・変調部305は、各ユーザ端末20に対する下り送信データをチャネル符号化して変調する。変調された下り送信データは、下りチャネル多重部307へと出力される。
下り参照信号生成部306は、下り参照信号(CRS(Cell-specific Reference Signal)、CSI−RS、DM−RSなど)を生成する。生成された下り参照信号は、下りチャネル多重部307へと出力される。なお、CQI(又はCSI)の測定には、例えば、各送信ビームに固有のCSI−RSなどが用いられる。
下りチャネル多重部307は、下り制御情報、下り参照信号、下り送信データ(上位制御情報を含む)を合成して下りリンク信号(送信信号)を生成する。具体的には、下りチャネル多重部307は、スケジューリング部308から通知されるスケジューリング情報に従い、スケジューリング部308において決定された複数のユーザ端末20に対して、下りリンク信号を送信ビーム毎に非直交多重する。下りチャネル多重部307で生成された下りリンク信号は、逆高速フーリエ変換処理、プリコーディング処理などを経て、送受信部103へと転送される。
スケジューリング部308は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのCSI(CQI(Channel Quality Indicator)、RI(Rank Indicator)など)に基づいて、下り送信データや下り制御情報に対する無線リソースの割り当てを指示するスケジューリング情報を生成する。また、スケジューリング部308は、フィードバックされたCQI(又はCSI)に基づいて送信ビーム毎に非直交多重される複数のユーザ端末UEを決定する。
この無線基地局10では、データ送信に用いられる送信ビームのビームベクトル(プリコーダ)がビーム生成部301で決定される。下り参照信号生成部306で生成された送信ビーム固有の下り参照信号(例えば、CSI−RS)は、各ビームベクトルに対応する送信ビームでユーザ端末20に送信される。また、CQI(又はCSI)のフィードバックを要求する制御情報が下り制御情報生成部302で生成され、全てのユーザ端末20に送信される。
各ユーザ端末20からCQI(又はCSI)をフィードバックされると、スケジューリング部308は、フィードバックされたCQIに基づいて各送信ビームのスケジューリングを行い、非直交多重するユーザ端末20を決定する。また、下りチャネル多重部307は、スケジューリング部308から通知されるスケジューリング情報に従い、スケジューリング部308で決定された複数のユーザ端末20に対して、下りリンク信号を送信ビーム毎に非直交多重する。また、無線基地局10は、各ユーザ端末20に対して、同じ送信ビームに非直交多重される他のユーザ端末20に関する情報を通知する。
図15に示すように、ユーザ端末20は、下り制御情報受信部401、チャネル推定部402、フィードバック部403、干渉除去部404、下り送信データ受信部405を備えている。
無線基地局10から送出された下りリンク信号は、送受信アンテナ201により受信され、サイクリックプリフィクスの除去、高速フーリエ変換処理などを経て、ベースバンド信号処理部204へと転送される。下りリンク信号は、ベースバンド信号処理部204で下り制御情報、下り送信データ(上位制御情報を含む)、下り参照信号に分離される。下り制御情報は下り制御情報受信部401に入力され、下り送信データは下り送信データ受信部405に入力され、下り参照信号はチャネル推定部402に入力される。
下り制御情報受信部401は、下り制御情報を復調し、チャネル推定部402、フィードバック部403、干渉除去部404などに出力する。チャネル推定部402は、下り制御情報によりCQI(又はCSI)のフィードバック要求を受けると、送信ビーム固有の下り参照信号(CSI−RSなど)に基づいてチャネル推定を行い、CQI(又はCSI)を測定する。チャネル推定で得られたCQI(又はCSI)はフィードバック部403を通じて無線基地局10にフィードバックされる。
干渉除去部404は、線形フィルタを用いて送信ビーム間の干渉を除去する。また、干渉除去部404は、送信ビーム毎に非直交多重された複数のユーザ端末20宛ての下りリンク信号から、他のユーザ端末20宛ての信号による干渉を除去する。具体的には、上位制御情報などで通知された自端末及び他のユーザ端末20の情報に基づき、非直交多重された他のユーザ端末20宛ての下りリンク信号を除去することで自端末宛ての下りリンク信号を分離する。下り送信データ受信部405は、分離された自端末宛ての下りリンク信号に基づいて、下り送信データを復調する。
このユーザ端末20では、下り制御情報受信部401がCQI(又はCSI)のフィードバック要求を受けると、チャネル推定部402は、各送信ビームで送信された下り参照信号に基づいてCQI(又はCSI)を算出する。算出されたCQI(又はCSI)は、フィードバック部403を通じて無線基地局10にフィードバックされる。
ユーザ端末20は、例えば、上位制御情報により、自端末宛ての情報と、他のユーザ端末20宛ての情報とを取得する。具体的には、ユーザ端末20は、送信ビーム間の干渉を示す情報、及び非直交多重される他のユーザ端末20に関する情報を取得する。この情報に基づき、干渉除去部404は、MMSE、IRCなどの線形フィルタを用いて送信ビーム間の干渉を除去すると共に、同じ送信ビームに非直交多重された他のユーザ端末宛ての信号による干渉をSICで除去する。SICは、自端末より伝送路の状態が悪い(受信SINRが小さい、又はパスロスが大きい)ユーザ端末UE宛ての信号除去に適用される。他のユーザ端末UE宛ての信号による干渉を除去した後には、下り送信データ受信部405は、自端末宛ての下り送信データを復調する。
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、MIMO伝送と同等のシステム特性を実現できるオポチュニスティックビームフォーミングに対して非直交多重を適用するので、スループット及びシステム容量をさらに高めることができる。
本発明は、その趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。つまり、本明細書の記載は、例示を目的とするものに過ぎず、本発明に対して制限を加えるものではない。