JP6989257B2 - 樹脂被覆金属条及び電気電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂被覆金属条及び電気電子部品に関する。
金属製基板等の金属製基材に絶縁樹脂被膜を被覆した材料が、電気電子部品用材料として使用され、絶縁樹脂被膜によって短絡が防止される(例えば特許文献1を参照)。スイッチ等のような可動部を有する電気電子部品に使用される電気電子部品用材料は、可動部が円滑に動くように、表面が優れた摩擦特性(低摩擦性、滑り性)を有することが要求されるが、特許文献1に開示の電気電子部品用材料は、絶縁樹脂被膜の表面の摩擦特性に改良の余地があった。
国際公開第2009/107752号
本発明は、樹脂被膜の表面の摩擦特性が優れている樹脂被覆金属条を提供することを課題とする。また、本発明は、可動部が円滑に動き得る電気電子部品を提供することを併せて課題とする。
本発明の一態様に係る樹脂被覆金属条は、金属製基材の表面の一部又は全部に厚さ1μm以上の樹脂被膜が被覆された金属条であって、樹脂被膜の表面から深さ0.3μmの位置における硬さが0.2mN/μm以上0.8mN/μm以下であり、前記硬さはISO14577に準拠する超微小押し込み硬さ試験で測定した押し込み硬さであることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る電気電子部品は、上記一態様に係る樹脂被覆金属条を備えることを要旨とする。
本発明の樹脂被覆金属条は、樹脂被膜の表面の摩擦特性が優れている。
本発明の電気電子部品は、可動部が円滑に動き得る。
本発明の一実施形態に係る樹脂被覆金属条の構造を説明する断面図である。 第一変形例の樹脂被覆金属条の構造を説明する断面図である。 第二変形例の樹脂被覆金属条の構造を説明する断面図である。 第三変形例の樹脂被覆金属条の構造を説明する断面図である。 第四変形例の樹脂被覆金属条の構造を説明する断面図である。 第五変形例の樹脂被覆金属条の構造を説明する断面図である。 樹脂被覆金属条の曲げ加工性の評価方法を説明する模式的斜視図である。
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
図1に示す本実施形態の樹脂被覆金属条は、金属製基材1の表面に厚さ1μm以上の樹脂被膜2が被覆された金属条である。そして、樹脂被膜2は、樹脂被膜2の表面(金属製基材1の方を向く側の主面とは反対側の主面)から深さ0.3μmの位置における硬さが0.2mN/μm以上0.8mN/μm以下となっている。この硬さは、ISO14577に準拠する超微小押し込み硬さ試験で測定した押し込み硬さである。
樹脂被膜2は、金属製基材1の表面の一部に被覆されていてもよいし、全部に被覆されていてもよい。図1の例の場合は、金属製基材1の2つの主面のうち一方の主面の全面に樹脂被膜2が被覆されており、他方の主面には樹脂被膜2は被覆されていない。
なお、本発明においては、金属条とは、線状、棒状、短冊状等の細長い形状の金属製部材を意味する。
このような本実施形態の樹脂被覆金属条は、例えば電気電子部品用材料として使用することができる。そして、本実施形態の樹脂被覆金属条は絶縁性を有する樹脂被膜2を備えているので、電気電子部品用材料として使用された場合には、電気電子部品の短絡を防止することができ、電気電子部品の小型化、狭ピッチ化に寄与する。
また、樹脂被膜2の前記硬さが0.2mN/μm以上0.8mN/μm以下であることにより、樹脂被膜2の表面(金属製基材1の方を向く側の主面とは反対側の主面)が優れた摩擦特性(低摩擦性、滑り性)を有しているので、樹脂被膜2の表面に他部材が接触した場合には樹脂被膜2の表面と他部材との接触が滑らかとなる。よって、本実施形態の樹脂被覆金属条を、スイッチ等のような可動部を有する電気電子部品に使用した場合には、可動部が本実施形態の樹脂被覆金属条に接触したとしても円滑に動くことができる。すなわち、本実施形態の樹脂被覆金属条を備える電気電子部品は、可動部を有する場合には、可動部が円滑に動き得る。
樹脂は金属に比べて応力に敏感であり、高い点荷重が負荷されつつ樹脂同士が接触した場合には、樹脂同士が固着して滑り性が低下する(すなわち摩擦係数が大きくなる)。そのため、樹脂被膜2は柔らかい方がよいが、その一方で、柔らかすぎると接点での接触面積が増大することになり、摩擦係数が大きくなる。すなわち、樹脂被膜2の硬さには適正範囲があり、前述の押し込み硬さが0.2mN/μm以上0.8mN/μm以下であれば、樹脂被膜2の表面の摩擦特性が優れたものとなる。
樹脂被膜2の表面の動摩擦係数をより小さくするためには、硬さに加えて弾性率を考慮するとよい。すなわち、樹脂被膜2は、樹脂被膜2の表面(金属製基材1の方を向く側の主面とは反対側の主面)から深さ0.3μmの位置における弾性率が5mN/μm以上20mN/μm以下となっていることが好ましい。この弾性率は、前述の超微小押し込み硬さ試験で測定した押し込み弾性率である。樹脂被膜2の押し込み硬さと押し込み弾性率とが上記数値範囲内となっていれば、樹脂被膜2の表面の摩擦特性がより優れたものとなる。
樹脂被膜2を構成する樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、エポキシなどの樹脂を用いることができる。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態の樹脂被覆金属条が、塗装処理、リフロー実装処理等において熱処理を受ける可能性がある場合には、耐熱性に優れた樹脂を用いることが好ましく、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方がより好ましく、ポリアミドイミドがさらに好ましい。
以下に、ポリアミドイミドの一例を示す。酸成分として4,4’−ビフェニルジカルボン酸とトリメリット酸無水物との混合物を用い、ジイソシアネート成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いて、N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶媒中で酸成分とジイソシアネート成分とを反応させることにより、ポリアミドイミド溶液を得ることができる。
また、上記の例において使用する4,4’−ビフェニルジカルボン酸を3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に変更しても、同様にポリアミドイミド溶液を得ることができる。前者のポリアミドイミドの場合はアミド成分がイミド成分より多くなり、後者のポリアミドイミドの場合は前者の逆となる。このようにして得たポリアミドイミド溶液を金属製基材1に塗布し、熱処理し焼き付けて樹脂被膜2を形成することにより、樹脂被覆金属条を製造することができる。
金属製基材1を構成する金属材料の種類は特に限定されるものではないが、銅、鉄、アルミニウム、コバルト、及びニッケルのうち少なくとも1種を含有する金属材料とすることができる。すなわち、金属製基材1を構成する金属材料は、上記の純金属でもよいし、上記の金属を混合した合金でもよい。
樹脂被膜2の耐摩耗性は、樹脂被膜2の表面の動摩擦係数、及び、金属製基材1と樹脂被膜2との密着性に依存し、動摩擦係数が小さく且つ密着性が高ければ、樹脂被膜2の耐摩耗性が優れることとなる。よって、金属製基材1を構成する金属材料の種類と、樹脂被膜2を構成する樹脂の種類については、両者の密着性が高くなるような組み合わせを選択すれば、樹脂被膜2の耐摩耗性を高めることができる。
スイッチ等のような可動部を有する電気電子部品に樹脂被覆金属条を使用した場合には、可動部が樹脂被膜に接触して樹脂被膜が摩耗し、金属製基材が露出して短絡が生じるおそれがある。よって、樹脂被膜には優れた耐摩耗性(すなわち長期的な絶縁性)が要求される。本実施形態の樹脂被覆金属条の樹脂被膜2が優れた耐摩耗性を有していれば、可動部が樹脂被膜2に接触しても樹脂被膜2が摩耗しにくいので、長期間にわたって短絡が防止される。このように、本実施形態の樹脂被覆金属条は、可動部を有する電気電子部品にも好適に使用することができる。
樹脂被膜2の厚さは特に限定されるものではないが、1μm以上30μm以下とすることができる。樹脂被膜2の厚さが上記の数値範囲内であれば、長期間にわたって絶縁性を維持できるとともに、本実施形態の樹脂被覆金属条に曲げ加工を施した際に樹脂被膜2に皺、割れ、剥離等の損傷が生じにくい(すなわち、曲げ加工性が優れている)。樹脂被膜2の厚さが1μm未満であると、摩耗による絶縁性の低下が生じやすい上、樹脂被膜2に皺、割れ、剥離等の損傷が生じやすい(すなわち、曲げ加工性が不十分となる)。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
例えば、図1の例の場合は、金属製基材1の2つの主面のうち一方の主面の全面に樹脂被膜2が被覆されており、他方の主面には樹脂被膜2が被覆されていなかったが、両主面の全面に樹脂被膜2が被覆されていてもよい。また、図1のように、主面の全面に樹脂被膜2が被覆されていてもよいし、主面のうち一部分の領域のみに樹脂被膜2が被覆されていてもよい。
さらに、樹脂被膜2は金属製基材1の表面に直接的に被覆されていてもよいし、図2、3に示すように金属被膜3を介して間接的に被覆されていてもよい。図2に示す第一変形例の樹脂被覆金属条は、金属製基材1の両主面の全面に金属被膜3、3が形成され、そのうち一方の金属被膜3(図2では上側の金属被膜3)の全面に樹脂被膜2が積層されている。他方の金属被膜3(図2では下側の金属被膜3)には何も積層されていない。
図3に示す第二変形例の樹脂被覆金属条は、金属製基材1の一方の主面(図3では下側の主面)の全面に金属被膜3が形成され、他方の主面(図3では上側の主面)の一部分の領域に金属被膜3が形成されている。そして、上下両側の金属被膜3の全面に樹脂被膜2が積層されている。
金属製基材1の表面を金属被膜3で被覆することにより、金属製基材1を腐食等から保護することができる。金属被膜3を構成する金属の種類は、金属製基材1を腐食等から保護することができるならば特に限定されるものではないが、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ハフニウム等の遷移金属と錫との中から選ばれる1種以上の金属とすることができる。金属被膜3の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばメッキ法を用いることができる。すなわち、金属被膜3はメッキ被膜とすることができる。
さらに、樹脂被覆金属条は、図4、5、6に示すように、金属製基材1の表面の一部に樹脂被膜2が直接的に被覆されており、金属製基材1の表面の他部に金属被膜3が直接的に被覆されている構成としてもよい。
図4に示す第三変形例の樹脂被覆金属条は、金属製基材1の一方の主面(図4では上側の主面)の一部分の領域に樹脂被膜2が直接的に被覆されており、他の一部分の領域に金属被膜3が直接的に被覆されている。そして、金属製基材1の一方の主面(図4では上側の主面)には、何も被覆されていない領域がある。金属製基材1の他方の主面(図4では下側の主面)には何も被覆されていない。
図5に示す第四変形例の樹脂被覆金属条は、金属製基材1の両主面ともに、一部分の領域に樹脂被膜2が直接的に被覆されており、残りの部分の領域に金属被膜3が直接的に被覆されている。何も被覆されていない領域は、両主面ともに存在しない。
図6に示す第五変形例の樹脂被覆金属条は、金属製基材1の一方の主面(図5では上側の主面)の一部分の領域に樹脂被膜2が直接的に被覆されており、残りの部分の領域に金属被膜3が直接的に被覆されている。そして、金属製基材1の他方の主面(図5では下側の主面)の全面には、金属被膜3が直接的に被覆されている。何も被覆されていない領域は、両主面ともに存在しない。
図4、5、6に示す変形例のように、金属製基材1の表面の一部を樹脂被膜2で被覆し、他部を金属被膜3で被覆するとともに、金属被膜3を樹脂被膜2で覆わずに露出させることにより、樹脂被膜2で金属製基材1を絶縁しつつ、電気接続を担う接点材として金属被膜3を利用することができる
金属被膜3を構成する金属の種類は、電気接続を担う接点材として利用することができるならば特に限定されるものではないが、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ハフニウム等の遷移金属と錫との中から選ばれる1種以上の金属とすることができる。遷移金属は酸化しにくいため、電気接続を担う接点材として好適である。金属被膜3の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばメッキ法を用いることができる。すなわち、金属被膜3はメッキ被膜とすることができる。
さらに、樹脂被膜2は樹脂のみで構成されていてもよいが、樹脂と添加剤を含有する樹脂組成物で構成されていてもよい。添加剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば粒子を用いることができる。そして、粒子の表面のうち少なくとも一部の面が樹脂被膜2の表面に露出している形態としてもよい。
粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、0.01μm以上1μm以下とすることができる。
粒子を構成する材料の種類は特に限定されるものではないが、摩擦係数の低い材料が好ましい。粒子を構成する材料としては、例えば、超高分子ポリエチレン(UHMW)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等があげられる。これらの中では、特にフッ素系材料が好適である。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例A〕
以下に、金属製基材の一方の主面の全面に樹脂被膜が直接的に被覆された樹脂被覆金属条(図1と同様の構成の樹脂被覆金属条)の実施例A1〜A9及び比較例A1〜A6について説明する。
厚さ0.1mm、幅20mmのリン青銅(JIS C5210)製の条(古河電気工業株式会社製)を金属製基材とした。まず、この条に電解脱脂処理、酸洗処理、水洗処理、乾燥処理をこの順に行って、前処理を施した。電解脱脂処理に用いた脱脂液は、濃度60g/Lの水酸化ナトリウム水溶液である。電解脱脂処理の条件は、電流密度2.5A/dm、温度60℃、脱脂時間60秒である。酸洗処理に用いた酸洗液は、濃度10質量%の硫酸水溶液である。酸洗処理の条件は、室温の酸洗液に30秒間浸漬するというものである。
次に、前処理を施した条の一方の主面の全面に、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒とするポリアミドイミド溶液を塗工した。ポリアミドイミド溶液中のポリアミドイミドの濃度は20質量%である。ポリアミドイミド溶液の塗工はKコントロールコーター(RK Print Coat Instruments Ltd. UK製)を用いて行い、ポリアミドイミド溶液の塗膜の厚さは、焼き付け後の樹脂被膜の厚さが表1に示す厚さとなるように制御した。
なお、表1に示すように、実施例A1〜A9及び比較例A1〜A6のうち一部の実施例及び比較例については、ポリアミドイミド溶液に添加剤として平均粒径0.1μmのフッ素樹脂粒子が添加されている。ポリアミドイミド溶液全体における添加剤の濃度は、10質量%である。
次に、ポリアミドイミド溶液を塗工した条を、表1に示す温度で1〜60秒間加熱処理し、溶媒を乾燥させて樹脂被膜を形成した。そして、得られた樹脂被覆金属条の樹脂被膜の硬さ及び弾性率を測定した。測定結果は、表1に示す通りである。樹脂被膜の硬さは、加熱処理の時間が長いほど高くなる傾向が見られた。
Figure 0006989257
なお、樹脂被膜の硬さ及び弾性率は、ISO14577に準拠する超微小押し込み硬さ試験で測定した押し込み硬さ及び押し込み弾性率であり、樹脂被膜の表面から深さ0.3μmの位置における硬さ及び弾性率である。硬さ及び弾性率の測定に用いた測定装置は、株式会社エリオニクス製の超微小押し込み硬さ試験機ENT−2100である。各実施例及び各比較例それぞれ30点のサンプルの硬さ及び弾性率を測定し、その平均値を各実施例及び各比較例の硬さ及び弾性率とした。
また、得られた樹脂被覆金属条の樹脂被膜について、バウデン試験機(新東科学株式会社製の表面性測定機TYPE:14)を用いて摺動試験を行った。詳述すると、樹脂被覆金属条の樹脂被膜上に半径2mmの鋼球を載置し、荷重20gを負荷しつつ摺動速度10mm/minで鋼球を往復運動させた。そして、往復運動100回目の動摩擦係数の平均値を、樹脂被膜の表面の摩擦係数とした。また、往復運動5万回後の擦動痕において、接触式テスターを用いて通電の有無を確認した。摩擦係数と5万回摺動後の通電の有無の結果を表1に示す。
さらに、得られた樹脂被覆金属条の曲げ加工性を評価した。評価方法は以下の通りである。樹脂被覆金属条に対して曲げ角度90°でV曲げを行う(図7を参照)。このとき、樹脂被覆金属条は樹脂被膜12を外側にして曲げ、曲げ半径Rと金属製基材11の厚さtとの比R/tは0.5とした。上記のようにして曲げた樹脂被覆金属条の曲げ頂点部を光学顕微鏡にて観察し、曲げられた金属製基材11及び樹脂被膜12の状態を評価した。
そして、樹脂被膜12に皺、割れが生じることなく且つ樹脂被膜12が金属製基材11から剥離することなく樹脂被覆金属条が完全に曲っている場合には、曲げ加工性が特に優れていると評価し、表1には「◎」印を付した。また、樹脂被膜12に皺が生じているものの樹脂被膜12に割れが生じることなく且つ樹脂被膜12が金属製基材11から剥離することなく樹脂被覆金属条が曲っている場合には、曲げ加工性が優れていると評価し、表1には「○」印を付した。さらに、樹脂被膜12に割れが生じるか又は樹脂被膜12が金属製基材11から剥離した場合には、曲げ加工性が不十分であると評価し、表1には「×」印を付した。
表1に示す結果から分かるように、実施例A1〜A9は、樹脂被膜の硬さ及び弾性率が好適であるため、樹脂被膜の硬さ及び弾性率が好適な範囲から外れている比較例A1〜A6に比べて、樹脂被膜の表面の動摩擦係数が小さかった。また、実施例A1〜A9は、樹脂被膜の硬さ及び弾性率が好適であり、且つ、金属製基材と樹脂被膜との密着性が優れているため、樹脂被膜の耐摩耗性が高く、5万回摺動後でも樹脂被膜により絶縁されていて通電がなかった。
〔実施例B〕
以下に、金属製基材を構成する金属材料の種類を種々変更した実施例B1〜B3について説明する。金属製基材を構成する金属材料は、実施例B1の場合はJISに規定の銅合金C2600であり、実施例B2の場合はJISに規定のアルミニウム合金A1050であり、実施例B3の場合はJISに規定の鉄合金SUS301である。金属製基材を構成する金属材料の種類が異なる点以外は、実施例Aと同様である。結果を表2に示す。
Figure 0006989257
〔実施例C〕
以下に、金属製基材の一方の主面の全面に樹脂被膜が金属被膜を介して間接的に被覆された樹脂被覆金属条(図2に示す第一変形例と同様の構成の樹脂被覆金属条)の実施例C1〜C3について説明する。
実施例Aと同様に、厚さ0.1mm、幅20mmのリン青銅(JIS C5210)製の条(古河電気工業株式会社製)を金属製基材とした。この条に実施例Aと同様にして前処理を施した後に、パラジウムメッキ、ニッケルメッキ、又は銀メッキを施して、金属製基材の両主面の全面に、パラジウム、ニッケル、又は銀からなる厚さ1μmの金属被膜を被覆した。
パラジウムメッキに用いたメッキ液は、Pd(NHClとアンモニア水(NHOH)と硫酸アンモニウム((NHSO)を含有するものである。メッキ液におけるPd(NHClの濃度は45g/Lであり、アンモニア水の濃度は90mL/Lであり、硫酸アンモニウムの濃度は50g/Lである。パラジウムメッキのメッキ条件は、電流密度1A/dm、温度30℃である。
ニッケルメッキに用いたメッキ液は、Ni(SONH・4HOと塩化ニッケル(NiCl)とホウ酸(HBO)を含有するものである。メッキ液におけるNi(SONH・4HOの濃度は500g/Lであり、塩化ニッケルの濃度は30g/Lであり、ホウ酸の濃度は30g/Lである。ニッケルメッキのメッキ条件は、電流密度5A/dm、温度50℃である。
銀メッキを施す場合には、まず銀ストライクメッキを施し、その後に銀メッキを施した。銀ストライクメッキに用いたメッキ液は、KAg(CN)とシアン化カリウム(KCN)を含有するものである。メッキ液におけるKAg(CN)の濃度は4.45g/Lであり、シアン化カリウムの濃度は60g/Lである。銀ストライクメッキのメッキ条件は、電流密度5A/dm、温度25℃である。
銀メッキに用いたメッキ液は、シアン化銀(AgCN)とシアン化カリウムと炭酸カリウム(KCO)を含有するものである。メッキ液におけるシアン化銀の濃度は50g/Lであり、シアン化カリウムの濃度は100g/Lであり、炭酸カリウムの濃度は30g/Lである。銀メッキのメッキ条件は、電流密度1A/dm、温度30℃である。
次に、上記のようにしてメッキを施した条の一方の主面の全面に(すなわち、金属被膜の上に)、実施例Aと同様にして樹脂被膜を被覆した。そして、得られた樹脂被覆金属条について、実施例Aと同様の各種評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006989257
〔実施例D〕
以下に、金属製基材の一方の主面の一部分の領域に樹脂被膜が直接的に被覆されており、残りの部分の領域に金属被膜が直接的に被覆されている樹脂被覆金属条(図6に示す第五変形例と同様の構成の樹脂被覆金属条)の実施例D1〜D4について説明する。
実施例Aと同様に、厚さ0.1mm、幅20mmのリン青銅(JIS C5210)製の条(古河電気工業株式会社製)を金属製基材とした。この条に実施例Aと同様にして前処理を施した後に、一方の主面の一部分の領域に、実施例Aと同様にして樹脂被膜を被覆した。
次に、上記のようにして樹脂被膜を被覆した条の一方の主面の残りの部分の領域、及び、他方の主面の全面に、錫メッキ、ニッケルメッキ、金メッキ、又は銀メッキを施して、条の表面のうち樹脂被膜が被覆されていない部分の全面に、錫、ニッケル、金、又は銀からなる厚さ1μmの金属被膜を被覆した。
錫メッキに用いたメッキ液は、硫酸錫(II)(SnSO)と硫酸(NSO)を含有するものである。メッキ液における硫酸錫(II)の濃度は80g/Lであり、硫酸の濃度は80g/Lである。錫メッキのメッキ条件は、電流密度2A/dm、温度30℃である。
ニッケルメッキに用いたメッキ液及びメッキ条件は、実施例Cの場合と同様であるので、説明は省略する。
金メッキに用いたメッキ液は、K[Au(CN)]とシアン化カリウムと炭酸カリウムとKHPOを含有するものである。メッキ液におけるK[Au(CN)]の濃度は10g/Lであり、シアン化カリウムの濃度は30g/Lであり、炭酸カリウムの濃度は30g/Lであり、KHPOの濃度は30g/Lである。金メッキのメッキ条件は、電流密度0.5A/dm、温度50℃である。
銀メッキを施す場合には、まず銀ストライクメッキを施し、その後に銀メッキを施した。銀メッキと銀ストライクメッキについては、実施例Cの場合と同様であるので、説明は省略する。
そして、得られた樹脂被覆金属条について、実施例Aと同様の各種評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006989257
1 金属製基材
2 樹脂被膜
3 金属被膜

Claims (6)

  1. 金属製基材の表面の一部又は全部に厚さ1μm以上の樹脂被膜が被覆された金属条であって、
    前記金属製基材がリン青銅、銅合金C2600、アルミニウム合金A1050、及び鉄合金SUS301のうちいずれかの金属材料で構成されており、
    前記樹脂被膜がポリアミドイミドを含有し、
    前記樹脂被膜の表面から深さ0.3μmの位置における硬さが0.2mN/μm以上0.8mN/μm以下であり、前記硬さはISO14577に準拠する超微小押し込み硬さ試験で測定した押し込み硬さであり、
    前記樹脂被膜上に半径2mmの鋼球を載置し、荷重20gを負荷しつつ摺動速度10mm/minで前記鋼球を往復運動させ、前記往復運動100回目において測定した動摩擦係数の平均値が0.15以下である樹脂被覆金属条。
  2. 前記樹脂被膜の表面から深さ0.3μmの位置における弾性率が5mN/μm以上20mN/μm以下であり、前記弾性率は前記超微小押し込み硬さ試験で測定した押し込み弾性率である請求項1に記載の樹脂被覆金属条。
  3. 前記樹脂被膜の厚さが1μm以上30μm以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂被覆金属条。
  4. 前記金属製基材の表面の一部又は全部に前記樹脂被膜が金属被膜を介して間接的に被覆されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属条。
  5. 前記金属製基材の表面の一部に前記樹脂被膜が直接的に被覆されており、前記金属製基材の表面の他部に金属被膜が直接的に被覆されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属条。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属条を備える電気電子部品。
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