本発明は、例えば車両用の動力伝達装置の潤滑装置において、潤滑必要部位へ潤滑用のオイルを供給する場合に適用されるが、車両用以外の動力伝達装置の潤滑装置に適用することもできる。動力伝達装置の潤滑必要部位は、例えば動力を伝達するギヤの噛合い部や伝動ベルト等の他、動力伝達機構の回転軸等を回転可能に支持しているベアリング、ハイブリッド型自動車や電気自動車等の電動車両の電動モータや発電機など、動力伝達時に潤滑や冷却を必要とする摩擦部位、発熱部位などである。オイルポンプから樹脂パイプに供給された潤滑用オイルを、そのまま樹脂パイプを経て潤滑必要部位へ供給することもできるが、オイルポンプからオイルクーラ等の熱交換器やバルブボデー等へ潤滑用オイルを供給する部分、或いはオイルクーラ等の熱交換器やバルブボデー等から潤滑必要部位へ潤滑用オイルを供給する部分など、オイルを供給する種々の部位に樹脂パイプを配設する場合に本発明は適用され得る。
互いに向かい合わされて接合されることにより内部に通路を形成する一対の分割部品の分割面には、少なくとも何れか一方に通路を形成するための溝(長手形状の凹所)が設けられる。すなわち、通路に沿う分割は、必ずしも通路の周方向において均等に半分ずつに分割する必要はなく、1:2や1:3等の不等分割でも良いし、何れか一方の分割面は溝無しの平坦面で、他方の分割面のみに断面が半円弧形やU字形、V字形等の溝が設けられても良い。通路の断面形状は、円形や楕円形、三角形や四角形等の角型形状など、種々の形状が可能である。複数の分割部品の接合方法は、摩擦や加熱により合成樹脂を溶融させて加圧して接合する溶着が適当である。例えば、振動による摩擦熱で溶融させて加圧して溶着する振動溶着技術が好適に用いられるが、赤外線加熱等により分割面を事前に加熱、溶融しておいて、振動させつつ加圧して溶着することも可能である。溶着以外に、接着剤等を用いて接合することもできる。接着剤を用いて接合する場合も、その接合強度は接合面積すなわち分割面の面積に依存するため、本発明の効果が適切に得られる。
樹脂パイプは、基本的に合成樹脂材料にて構成されるが、補強用の金属等がインサート成形等によって設けられても良い。樹脂パイプとしては、例えば(a) それぞれ分割面を有する一対の第1半割部および第2半割部を備えているベース分割部品と、(b) 前記第1半割部の分割面に向かい合わされた状態で接合され、その第1半割部との間に前記通路の一部である第1通路部を形成している第1分割部品と、(c) 前記第2半割部の分割面に向かい合わされた状態で接合され、その第2半割部との間に前記通路の一部である第2通路部を形成している第2分割部品とを、複数の分割部品として有し、(d) 前記ベース分割部品には、前記第1通路部と前記第2通路部とを連通させる連結通路部を前記通路の一部として有する筒形状の連結部が設けられている、ものが用いられる。但し、樹脂パイプは、ベース分割部品と少なくとも一つの他の分割部品を備えて構成されれば良い。ベース分割部品を含めて4つ以上の分割部品を用いて樹脂パイプを構成することもできる。
ベース分割部品には、例えば通路の長手方向に離間して2つの取付部が設けられ、動力伝達装置の構造部材の2箇所に固定されるが、3つ以上の取付部を設けて構造部材の3箇所以上に固定することも可能である。取付部は、例えばボルト等の締結部材を用いて構造部材に固定されるが、構造部材によるかしめや嵌合など、種々の固定手法を用いて固定することができる。取付部は、例えばベース分割部品を射出成形等によって成形する際に同時に一体成形することが望ましいが、取付部を別体に製造してねじ締結などでベース分割部品に固設しても良い。金属製等の取付部を、インサート成形などでベース分割部品に一体に設けることも可能である。ベース分割部品を含む複数の分割部品は、それぞれ射出成形やプレス成形などで一体成形することが望ましいが、切削加工等を用いて製造することもできるなど、種々の製造方法を採用できる。
オイルポンプから吐出されたオイルを、樹脂パイプを用いて潤滑必要部位へ供給する場合、例えばベース分割部品に設けられる複数の取付部の少なくとも一つをオイルポンプに固定するとともに、オイルポンプに連結される接続部をベース分割部品に設けることが望ましいが、複数の取付部を何れもオイルポンプ以外の構造部材に固定しても良い。また、オイルポンプに連結される接続部を、ベース分割部品以外の他の分割部品に設けることも可能である。接続部としては、一直線に延び出す筒形状の接続ポートが適当であるが、オイルポンプの出力ポート等が連結される接続口(開口)であっても良い。接続ポートは、ベース分割部品等の分割部品を射出成形等によって成形する際に同時に一体成形することが望ましいが、接続ポートを別体に製造してねじ締結などで分割部品に固設しても良い。金属製等の接続ポートを、インサート成形などで分割部品に一体に設けることも可能である。オイルポンプ以外の部材、例えばバルブボデーや熱交換器等に連結される接続部を、何れかの分割部品に設ける場合も、上記のオイルポンプ用の接続部と同様に構成することができる。複数の接続部を、ベース分割部品を含む複数の分割部品の何れか一つ或いは複数の分割部品に設けることも可能である。
ベース分割部品を含む複数の分割部品の何れか一つ或いは複数の分割部品には、例えば中空の突出ノズル部が設けられ、その突出ノズル部に設けられた吐出口からオイルが吐出されるように構成されるが、突出ノズル部を設けることなく、複数の分割部品の間に設けられた通路から外部に連通する吐出口等を設けて、オイルが吐出されるようにしても良い。また、接続口や接続ポート等の接続部を介して、樹脂パイプからバルブボデーや熱交換器等の他の部材内にオイルが流出させられるようにしたり、それ等の部材から樹脂パイプ内にオイルが流入させられるようにしたりしても良い。吐出口や接続口は、例えばカム等により可動成形型に連動して機械的に移動させられるスライド型等を用いて、分割部品の成形と同時に設けることができるが、成形後の後加工で切削加工などにより形成することも可能である。
樹脂パイプは、オイルの流通方向と直角な断面において、例えばベース分割部品の前記通路を形成する内壁面の長さが他の分割部品の前記通路を形成する内壁面の長さよりも長くされるが、ベース分割部品の内壁面の長さと他の分割部品の内壁面の長さとを略等しくしても良いし、ベース分割部品の内壁面の長さを他の分割部品の内壁面の長さよりも短くすることも可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド型自動車10のトランスアクスル12を説明する骨子図で、そのトランスアクスル12の動力伝達機構16を構成している複数の軸が共通の平面内に位置するように展開して示した展開図である。トランスアクスル12は、駆動力源であるエンジン20の出力を左右の駆動輪38に伝達するもので、歯車式の動力伝達機構16の複数の軸が車両幅方向に沿って配置されるFF車両等の横置き型であり、動力伝達機構16はケース14内に収容されている。エンジン20は、燃料の燃焼によって動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。トランスアクスル12は動力伝達装置に相当し、ケース14は、必要に応じて複数の部材にて構成される。
動力伝達機構16は、車両幅方向と略平行な第1軸線S1〜第4軸線S4を備えており、第1軸線S1上には、駆動力源であるエンジン20に連結された入力軸22が設けられているとともに、その第1軸線S1と同心にシングルピニオン型の遊星歯車装置24および第1モータジェネレータMG1が配設されている。遊星歯車装置24および第1モータジェネレータMG1は電気式差動部26として機能するもので、差動機構である遊星歯車装置24のキャリア24cに入力軸22が連結され、サンギヤ24sに第1モータジェネレータMG1が連結され、リングギヤ24rにエンジン出力歯車Geが設けられている。キャリア24cは第1回転要素で、サンギヤ24sは第2回転要素で、リングギヤ24rは第3回転要素であり、第1モータジェネレータMG1は差動制御用回転機に相当する。第1モータジェネレータMG1は電動モータおよび発電機として択一的に用いられるもので、発電機として機能する回生制御などでサンギヤ24sの回転速度が連続的に制御されることにより、エンジン20の回転速度が連続的に変化させられてエンジン出力歯車Geから出力される。また、第1モータジェネレータMG1のトルクが0とされてサンギヤ24sが空転させられることにより、エンジン20と動力伝達機構16との間の動力伝達が遮断され、エンジン20の連れ廻りが防止される。
第2軸線S2上には、シャフト28の両端に減速大歯車Gr1および減速小歯車Gr2が設けられた減速歯車装置30が配設されており、減速大歯車Gr1は前記エンジン出力歯車Geと噛み合わされている。減速大歯車Gr1はまた、第3軸線S3上に配設された第2モータジェネレータMG2のモータ出力歯車Gmと噛み合わされている。第2モータジェネレータMG2は電動モータおよび発電機として択一的に用いられるもので、電動モータとして機能するように力行制御されることにより、ハイブリッド型自動車10の走行用駆動力源として用いられる。この第2モータジェネレータMG2は走行用回転機に相当する。
上記減速小歯車Gr2は、第4軸線S4上に配設されたディファレンシャル装置32のデフリングギヤGdと噛み合わされており、エンジン20および第2モータジェネレータMG2からの駆動力がディファレンシャル装置32を介して左右のドライブシャフト36に分配され、左右の駆動輪38に伝達される。エンジン出力歯車Ge、減速大歯車Gr1、減速小歯車Gr2、デフリングギヤGd等によってギヤ機構が構成されている。第4軸線S4は、第1軸線S1〜S4の中で最も車両下方側位置(低位置)に定められており、ディファレンシャル装置32の一部が、ケース14の底部に設けられたオイル貯留部46(図2参照)内のオイル48に浸漬されるようになっている。
このようなハイブリッド型自動車10においては、EV(Electric Vehicle)走行モードおよびHV(Hybrid Vehicle)走行モードを実行可能であり、例えば要求駆動力(アクセル操作量など)および車速Vをパラメータとして定められたモード切換マップに従ってEV走行モードおよびHV走行モードに切り換えられる。EV走行モードは、エンジン20を回転停止させた状態で第2モータジェネレータMG2を力行制御することにより駆動力源として用いて走行するもので、例えば低要求駆動力すなわち低負荷の領域で選択される。エンジン20は、燃料供給等が停止させられるとともに、第1モータジェネレータMG1のトルクが0とされて遊星歯車装置24のサンギヤ24sがフリー回転可能とされることにより、走行中であっても略回転停止させられる。HV走行モードは、第1モータジェネレータMG1を回生制御することにより、エンジン20を駆動力源として用いて走行するもので、例えばEV走行モードよりも高要求駆動力(高負荷)の領域で選択される。このHV走行モードでは、第2モータジェネレータMG2は、加速時などにアシスト的に力行制御されて駆動力源として用いられ、或いは常時力行制御されて駆動力源として用いられる。
なお、上記HV走行モードの代わりに、或いはHV走行モードに加えて、常にエンジン20のみを駆動力源として用いて走行するエンジン走行モード等が設けられても良い。また、このハイブリッド型自動車10のトランスアクスル12はあくまでも一例であり、遊星歯車装置24としてダブルピニオン型の遊星歯車装置を採用したり、複数の遊星歯車装置を用いて構成したり、或いは第2モータジェネレータMG2を第1軸線S1と同心に配置したりすることもできるし、電気式差動部26の代わりに機械式の変速装置を採用することもできるなど、種々の態様が可能である。
一方、本実施例のハイブリッド型自動車10のトランスアクスル12は、図2に示す潤滑装置40を備えている。潤滑装置40は、吸入装置として第1オイルポンプP1および第2オイルポンプP2を備えており、それぞれ異なる独立の第1供給油路42、第2供給油路44に接続されて、動力伝達機構16の各部を分担して潤滑するようになっている。図1に示されるように、第1オイルポンプP1は、前記デフリングギヤGdと噛み合わされたポンプ駆動歯車Gpを介して機械的に回転駆動される機械式オイルポンプであり、第2オイルポンプP2は、前記入力軸22に連結されてエンジン20により機械的に回転駆動される機械式オイルポンプである。第1オイルポンプP1は、デフリングギヤGdに連動して回転する減速大歯車Gr1や減速小歯車Gr2等にポンプ駆動歯車Gpを噛み合わせて回転駆動されるようにすることも可能である。第2オイルポンプP2は、出力部(ディファレンシャル装置32)とは異なる回転駆動源によって回転駆動されるオイルポンプで、本実施例ではエンジン20によって回転駆動されるオイルポンプであるが、ポンプ駆動用の電動モータによって回転駆動される電動式オイルポンプを採用することもできる。
上記第1オイルポンプP1および第2オイルポンプP2は、ケース14の底部に設けられたオイル貯留部46から潤滑用のオイル48を吸入して、供給油路42、44へ出力する。オイル貯留部46は、ケース14そのものによって構成されているとともに、第1隔壁50によって車両前後方向における後方側部分が他の部分と区分けされた第1オイル貯留部52を備えている。この第1オイル貯留部52は、ディファレンシャル装置32の下方に位置する部分である。また、第1オイル貯留部52以外の部分は、第2隔壁53によって更に車両前後方向において2分割されており、上記第1オイル貯留部52に隣接する中央部分の第2オイル貯留部54、およびその第2オイル貯留部54に隣接する車両前側部分の第3オイル貯留部56が設けられている。そして、第1オイルポンプP1の吸入口58は第2オイル貯留部54内に配置されており、第2オイルポンプP2の吸入口60は第3オイル貯留部56内に配置されている。これ等の吸入口58、60は、それぞれ独立に設けられた別々の吸入油路を介してオイルポンプP1、P2に接続されている。
第1隔壁50および第2隔壁53は、第1オイル貯留部52、第2オイル貯留部54、および第3オイル貯留部56の相互間で潤滑油が流通することを許容しつつ油面高さの均衡を制限する流通制限部として機能する。すなわち、停車時にオイルポンプP1、P2の作動が何れも停止し、油面高さの変動が停止する静的状態における静止時油面高さLstは、トランスアクスル12の各部に供給されたオイル48がオイル貯留部46へ流下して戻ることにより、図2に一点鎖線で示すように隔壁50、53を越え、オイル貯留部52、54、56における油面高さが同じになるが、車両走行時やオイルポンプP1、P2の作動時には、トランスアクスル12の各部へオイル48が供給されてオイル貯留部46内のオイル量が減少することにより油面高さが隔壁50、53の上端よりも低くなり、それ等の隔壁50、53による流通制限によってオイル貯留部52、54、56の油面高さが実線で示すように個別に変化する。
上記第1隔壁50および第2隔壁53の高さ位置すなわち上端位置は、ディファレンシャル装置32の下端位置よりも高く、油面高さが隔壁50、53を上回る静的状態では、ディファレンシャル装置32の一部がオイル48に浸漬される。このようにディファレンシャル装置32の一部がオイル48に浸漬されると、車両発進時にデフリングギヤGd等によってオイル48が掻き上げられることによりトランスアクスル12の各部にオイル48が散布され、第1オイルポンプP1によって十分な量のオイル48を供給することが難しい車両発進時においても良好な潤滑状態を確保できる。
一方、車両走行時を含むオイルポンプP1またはP2の作動時には、車速Vに応じて回転するデフリングギヤGd等による掻き上げやオイルポンプP1、P2による吸入によって油面高さが低下し、隔壁50、53よりも低くなる。そして、第1オイル貯留部52では、デフリングギヤGd等による掻き上げと戻り油量とのバランス(釣り合い)によって油面高さが定まり、第2オイル貯留部54では、オイルポンプP1による吸入と戻り油量とのバランスによって油面高さが定まり、第3オイル貯留部56では、オイルポンプP2による吸入と戻り油量とのバランスによって油面高さが定まる。本実施例では、第1オイル貯留部52の油面高さが優先的に低下するように、第1オイル貯留部52の容積すなわち第1隔壁50の位置や形状等が定められており、ディファレンシャル装置32の回転によるオイル48の攪拌が抑制されて動力損失が低減される。また、吸入口58、60が配置された第2オイル貯留部54、第3オイル貯留部56における油面高さが第1オイル貯留部52よりも高くされることにより、吸入口58、60が油面上に露出することによるオイルポンプP1、P2のエア吸いが抑制され、オイル48を適切に吸入して安定供給することができる。
また、第2隔壁53が設けられ、車両前後方向において第2オイル貯留部54および第3オイル貯留部56に区分けされており、それ等のオイル貯留部54、56の各々の車両前後方向の幅寸法が短いため、路面勾配等による車両の姿勢変化や加減速等に起因するオイル48の偏りが抑制されて油面高さの変動が低減され、それ等のオイル貯留部54、56に吸入口58、60が配置されたオイルポンプP1、P2のエア吸いが一層適切に抑制される。なお、第1隔壁50および第2隔壁53の高さ寸法は同じであっても良いし、それ等の第1隔壁50および第2隔壁53を省略することもできる。
上記第1オイルポンプP1は、出力部であるディファレンシャル装置32に連結されて回転駆動されるオイルポンプで、その第1オイルポンプP1の吐出側に接続された第1供給油路42は、動力伝達機構16の各部の潤滑必要部位にオイル48を供給する。潤滑必要部位は、例えば動力伝達機構16の各部のベアリング62やギヤ64(Ge、Gr1、Gr2、Gd、Gm、或いはGp)などである。第1オイルポンプP1はディファレンシャル装置32に連結されて回転駆動されるため、エンジン20が回転停止させられるEV走行モード時にも回転駆動され、車速Vに応じた吸入量でオイル48を吸入して各部にオイル48を供給することができる。すなわち、車速Vは、第1オイルポンプP1のポンプ回転速度に対応し、第1オイルポンプP1からのオイル吐出量に対応する。ディファレンシャル装置32は、デフリングギヤGd等によるオイル48の掻き上げによって潤滑されるが、第1供給油路42からオイル48を供給して潤滑することも可能である。また、第1オイルポンプP1がエア吸いを生じる可能性がある場合など、オイル48の安定供給のために必要に応じてオイルストレージを設けることもできる。
第2オイルポンプP2の吐出側に接続された第2供給油路44は、第2オイル貯留部54および第3オイル貯留部56の上方に位置する入力軸22や遊星歯車装置24、第1モータジェネレータMG1等の潤滑必要部位にオイル48を供給して潤滑、冷却する。また、この第2供給油路44には熱交換器66が設けられており、オイル48を冷却して第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2に供給することにより、それ等を冷却して過熱を防止する。熱交換器66は、例えば空冷や水冷による熱交換でオイル48を冷却するオイルクーラである。第2オイルポンプP2を回転駆動するエンジン20は、停車時においても駆動することができるため、停車時を含めて車速Vに依存しない吸入量でオイル48を吸入して潤滑必要部位へ供給することができる。なお、オイルポンプP2を廃止して、モータジェネレータMG1、MG2や遊星歯車装置24に対しても、第1オイルポンプP1からオイル48を供給するようにしても良い。
図3は、前記第1供給油路42が設けられたオイルパイプ70を具体的に例示した概略斜視図である。オイルパイプ70は、ケース14とは別体に構成されており、複数の取付部72a、72b、72c(以下、特に区別しない場合は単に取付部72という)がそれぞれボルト等の締結部材74によりケース14の内側面、または第1オイルポンプP1のケース外面等に固定されることにより、ケース14内の所定位置に配置されている。複数の取付部72a、72b、72cは、オイルパイプ70の長手方向、すなわちオイルパイプ70の内部に設けられた第1供給油路42の長手方向に離間して設けられている。図8の概略図から明らかなように、下方位置の取付部72aは第1オイルポンプP1のケース外面に固定され、中間位置の取付部72bおよび上方位置の取付部72cはそれぞれはケース14の内側面に固定されている。オイルパイプ70が固定されたケース14や第1オイルポンプP1は、トランスアクスル12の一定位置に配置されている構造部材で、第1オイルポンプP1はケース14にボルト等の固定手段を用いて一体的に固設されている。オイルパイプ70は、潤滑必要部位である前記ベアリング62およびギヤ64にオイル48を供給するために複数の中空の突出ノズル部76を備えており、全体として三次元的に曲げられた中空構造を成している。このオイルパイプ70は、合成樹脂材料にて構成されている樹脂パイプであり、内部の第1供給油路42は、潤滑用のオイル48が流通させられる通路に相当する。
図4は、上記オイルパイプ70を車両幅方向から見た正面図で、図5は、図4の右方向から見た側面図であり、オイルパイプ70は三次元的に変化しており、破線で示す第1供給油路42の経路もオイルパイプ70に倣って三次元的に変化している。具体的には、第1通路部80が設けられた第1パイプ部82と、第2通路部84が設けられた第2パイプ部86と、第1通路部80および第2通路部84の各々の一端部を連通させる連結通路部88が設けられた連結部90と、を備えている。第1通路部80、連結通路部88、および第2通路部84を含んで第1供給油路42が構成されている。第2通路部84が設けられた第2パイプ部86は、車両上下方向および車両前後方向を2軸とする略垂直な二次元平面内に設けられた二次元形状を成しており、第1通路部80が設けられた第1パイプ部82は、第2パイプ部86の二次元平面と平行な二次元平面に対して中間部分が車両幅方向へ膨出させられた膨出部を有する三次元形状を成している。連結通路部88が設けられた連結部90は、車両幅方向へ略水平に一直線に設けられて第1パイプ部82および第2パイプ部86に対してそれぞれ略直角に交差するように連結されており、第1パイプ部82および第2パイプ部86は、図4から明らかなように連結部90から互いに異なる方向(実施例では上下反対方向)へ延びている。第2パイプ部86に設けられた複数の突出ノズル部76は、何れも連結部90と平行に水平方向(車両幅方向)へ一直線に延び出すように設けられているとともに、その突出ノズル部76の先端部分には、下方へ向かって開口する吐出口78が設けられている。第1パイプ部82の下端部、すなわち前記連結部90に連結された一端部と反対側の他端部には、連結部90と平行に水平方向(車両幅方向)へ一直線に延び出すように円筒形状の接続ポート92が設けられている。接続ポート92は接続部に相当し、前記第1オイルポンプP1に連結されてオイルパイプ70内の第1供給油路42にオイル48が供給される。
上記オイルパイプ70は、第1供給油路42の経路に沿って周方向に2分割された合成樹脂製の複数の分割部品から構成されている。本実施例では図6に示すように、ベース分割部品100、第1分割部品102、および第2分割部品104の3つの分割部品から構成されている。図8のオイルパイプ70において、実線はベース分割部品100を表しており、破線は第1分割部品102を表しており、一点鎖線は第2分割部品104を表している。ベース分割部品100は、互いに異なる方向に向かって開口する第1A溝110および第2A溝112が設けられた一対の第1半割部114および第2半割部116を備えている。第1A溝110の開口方向は第1半割部114の分割面114fの向きと同じで、図5における左方向であり、第2A溝112の開口方向は第2半割部116の分割面116fの向きと同じで、図5における右方向である。すなわち、第1A溝110および第2A溝112は、車両幅方向である一直線方向において互いに反対向きに開口するように設けられており、第1半割部114および第2半割部116はその一直線方向へオフセットするように互いに離間させられている。具体的には、図6において、車両幅方向の左向きに開口している第2A溝112が設けられた第2半割部116に対して、その開口方向と反対の車両幅方向の右方向へオフセットするように第1半割部114が第2半割部116から離間させられている。第1半割部114の上端部および第2半割部116の下端部は、車両幅方向である上記一直線方向と平行な連結部90を介して一体に連結されており、第1半割部114および第2半割部116は連結部90から互いに異なる方向へ延びている。連結部90の連結通路部88は、第1A溝110および第2A溝112の底部にそれぞれ開口している。図6において、第1A溝110の開口周縁部の斜線は分割面114fを表しており、容易に識別できるように斜線を付けたものである。
上記第1半割部114の下端部であって第1A溝110の開口側と反対側には、前記接続ポート92が連結部90と平行に一直線に延び出すように一体に設けられており、第2半割部116の第2A溝112の開口側と反対側には、複数の突出ノズル部76が連結部90と平行に一直線に延び出すように一体に設けられている。また、第1半割部114の下端部には分割面114fと略平行に突き出すように取付部72aが一体に設けられ、第2半割部116の下端近傍部分には分割面116fと略平行に突き出すように取付部72bが一体に設けられ、第2半割部116の上端部には分割面116fと略平行に突き出すように取付部72cが一体に設けられている。
このようなベース分割部品100は、例えば連結部90や突出ノズル部76、接続ポート92と平行な一直線方向へ接近離間させられる一対の固定成形型および可動成形型を備えている成形装置を用いることにより、連結通路部88を有する連結部90、中空の突出ノズル部76、円筒形状の接続ポート92、第1A溝110、第2A溝112、取付部72を含めて、射出成形等により一体成形することができる。必要に応じて成形後の後加工で切削加工等を行い、細かい形状調整を行うこともできる。例えば、連結部90の外周面の余肉を切削加工等で除去しても良い。突出ノズル部76の吐出口78については、例えば可動成形型に内蔵されたスライド型が、カム等を介して可動成形型に連動して上記一直線方向と直角方向へ移動させられることにより、ベース分割部品100の成形と同時に設けることができるが、成形後の後加工で切削加工等によって形成することも可能である。また、取付部72が同時に一体成形されるが、その取付部72には、必要に応じて補強用の円環形状の金属プレート等がインサート成形によって埋設される。
前記第1分割部品102は、ベース分割部品100の第1半割部114との間に第1通路部80を形成する第1B溝118を備えており、その第1B溝118の開口周縁部の分割面102fが、第1半割部114の第1A溝110の開口周縁部の分割面114fに向かい合わされた状態で、第1半割部114に接合されており、第1A溝110および第1B溝118によって第1通路部80が形成される。第1B溝118の開口方向は第1分割部品102の分割面102fの向きと同じで、図5における右方向であり、第1半割部114の分割面114fに対して分割面102fを密着するように向かい合わせることができる。分割面102fおよび114fは、向かい合わせて密着させることができるように凹凸が反対の対称形状を成している。
このような第1分割部品102は、例えば第1B溝118の開口方向である分割面102fの向きと平行な一直線方向へ接近離間させられる一対の固定成形型および可動成形型を備えている成形装置を用いることにより、第1B溝118を含めて射出成形等により一体成形することができる。必要に応じて成形後の後加工で切削加工等を行い、細かい形状調整を行うこともできる。
第2分割部品104は、ベース分割部品100の第2半割部116との間に第2通路部84を形成する第2B溝120を備えており、その第2B溝120の開口周縁部の分割面104fが、第2半割部116の第2A溝112の開口周縁部の分割面116fに向かい合わされた状態で、第2半割部116に接合されており、第2A溝112および第2B溝120によって第2通路部84が形成される。第2B溝120の開口方向は第2分割部品104の分割面104fの向きと同じで、図5における左方向であり、第2半割部116の分割面116fに対して分割面104fを密着するように向かい合わせることができる。分割面104fおよび116fは、向かい合わせて密着させることができるように対称形状を成している。第2分割部品104の第2B溝120の開口側と反対側には、図5から明らかなように、複数の突出ノズル部76が第2B溝120の開口方向と反対方向である車両幅方向へ一直線に延び出すように一体に設けられている。図6において、第2分割部品104の第2B溝120の開口周縁部の斜線は、分割面104fを表しており、容易に識別できるように斜線を付けたものである。
このような第2分割部品104は、例えば突出ノズル部76と平行な一直線方向へ接近離間させられる一対の固定成形型および可動成形型を備えている成形装置を用いることにより、中空の突出ノズル部76や第2B溝120を含めて、射出成形等により一体成形することができる。必要に応じて成形後の後加工で切削加工等を行い、細かい形状調整を行うこともできる。突出ノズル部76の吐出口78については、例えば可動成形型に内蔵されたスライド型が、カム等を介して可動成形型に連動して上記一直線方向と直角方向へ移動させられることにより、第2分割部品104の成形と同時に設けることができるが、成形後の後加工で切削加工等によって形成することも可能である。
そして、上記第1分割部品102および第2分割部品104は、振動溶着技術を用いてそれぞれベース分割部品100の第1半割部114、第2半割部116に一体的に接合されている。すなわち、第1分割部品102の分割面102fを第1半割部114の分割面114fに向かい合わせた状態で、第1分割部品102および第1半割部114を、分割面102f、114fが互いに密着するように押圧される方向、具体的には分割面102f、114fに対して平均的に略直角になる図5における左右方向から加圧しつつ、摺り合わせるように図5の紙面の表裏方向へ振動させることにより、接合面(分割面と同じ)を摩擦熱により溶融させて接合する。これにより、第1通路部80を有する第1パイプ部82が得られる。図7は、図4におけるVII −VII 矢視部分すなわち第1パイプ部82のオイル48の流通方向と略直角な概略断面図で、第1分割部品102および第1半割部114は全体として略円環形状を成しており、第1通路部80の周方向において略均等に2分割されてそれぞれ半円弧形状を成しているとともに、第1分割部品102の分割面102fと第1半割部114の分割面114fとが向かい合わされて接合されている。この接合部には、外周側へ突き出すフランジが、必要に応じて第1パイプ部82の全長または一部に設けられる。
第2分割部品104を第2半割部116に接合する場合も、第2分割部品104の分割面104fを第2半割部116の分割面116fに向かい合わせた状態で、第2分割部品104および第2半割部116を、分割面104f、116fが互いに密着するように押圧される方向、具体的には分割面104f、116fに対して直角な方向で図5における左右方向から加圧しつつ、摺り合わせるように図5の紙面の表裏方向或いは上下方向へ振動させることにより、接合面(分割面と同じ)を摩擦熱により溶融させて接合する。これにより、第2通路部84を有する第2パイプ部86が得られ、第1パイプ部82と合わせて目的とするオイルパイプ70が製造される。なお、詳しい図示は省略するが、第2分割部品104と第2半割部116との接合部にも、外周側へ突き出すフランジが、必要に応じて第2パイプ部86の全長または一部に設けられる。また、これ等の振動溶着では、必要に応じて赤外線加熱等により分割面102f、104f、114f、116fを加熱した後に、加圧しつつ振動を加えて溶着しても良い。
このように、本実施例のトランスアクスル12の潤滑装置40においては、オイルパイプ70を構成している複数の分割部品の一つであるベース分割部品100に複数の取付部72a、72b、72cが設けられており、その複数の取付部72a、72b、72cのみを介してオイルパイプ70が、トランスアクスル12の構造部材であるケース14、またはケース14に配設された第1オイルポンプP1のケース、の複数箇所に固定されている。このため、オイルパイプ70と構造部材(ケース14、第1オイルポンプP1)との熱膨張差やトランスアクスル12の振動などで、複数の取付部72a、72b、72cを相対変位させる負荷が加えられた場合、その負荷はベース分割部品100のみに作用し、他の分割部品102、104はベース分割部品100に追従して動くことができることから、それ等の分割部品100、102、104の相互の接合部分の負荷が軽減される。これにより、各部の熱膨張差や振動に拘らずベース分割部品100と他の分割部品102、104との接合状態が良好に維持されるようになり、接合強度を高くするために分割面102fおよび114f、104fおよび116fの面積を大きくする必要がなく、オイルパイプ70を小型で軽量且つ安価に構成することが可能で、例えばトランスアクスル12のケース14内の限られたスペースにコンパクトに配置することができる。
また、第1オイルポンプP1から吐出されたオイル48が、オイルパイプ70を介して潤滑必要部位であるベアリング62およびギヤ64へ供給されるが、複数の取付部72の一つである取付部72aは第1オイルポンプP1のケースに固定されているとともに、第1オイルポンプP1に連結される接続ポート92がベース分割部品100に設けられているため、ベース分割部品100が第1オイルポンプP1によって位置決めされ、その第1オイルポンプP1に対する接続ポート92の位置ずれが抑制される。これにより、位置ずれに起因する組付ひずみによってオイルパイプ70に作用する荷重が軽減され、ベース分割部品100を含むオイルパイプ70の必要強度が緩和されて小型化、軽量化を図ることができる。
また、第1オイルポンプP1に連結される接続ポート92を、ベース分割部品100以外の例えば第1分割部品102に設けた場合、各部の熱膨張差や振動などで、接続ポート92と取付部72aとを相対変位させる負荷が加えられると、その接続ポート92が設けられた第1分割部品102とベース分割部品100との接合部分に負荷が作用し、接合が剥がれる可能性があるが、接続ポート92が取付部72aと共にベース分割部品100に設けられることにより、ベース分割部品100と第1分割部品102との接合部分に作用する負荷が軽減されて接合状態が良好に維持される。
また、ベース分割部品100の第2半割部116および第2分割部品104にはそれぞれ複数の突出ノズル部76が設けられており、その突出ノズル部76には外部に開口する吐出口78が設けられているため、突出ノズル部76の突出寸法や吐出口78の向きなどを適当に定めることにより、トランスアクスル12の潤滑必要部位であるベアリング62およびギヤ64に対して適切にオイル48を供給することができる。
また、ベース分割部品100と第1分割部品102、第2分割部品104とを接合する接合面である分割面114fおよび102f、116fおよび104fが、何れも振動溶着によって接合されているため、熱膨張差や振動等による接合剥がれを防止するために接合強度を高くするためには、接合部分の面積すなわち分割面114fおよび102f、116fおよび104fの面積を大きくする必要があり、オイルパイプ70の重量が増加したり大型化したりする。これに対し、本実施例では、複数の取付部72が総てベース分割部品100に設けられることにより、熱膨張差や振動等に起因するベース分割部品100と第1分割部品102、第2分割部品104との接合部への荷重入力が抑制され、それ等の接合状態が良好に維持されるようになるため、その接合強度を高める必要がなく、オイルパイプ70を小型で軽量且つ安価に構成することができる、という効果が顕著に得られる。
また、分割面114fおよび102f、116fおよび104fが溶着によって接合されているため、接着剤で接合する場合に比較して、接着剤そのものが不要であるとともに塗布作業が必要なく、オイルパイプ70の製造作業が容易である。
また、第1半割部114および第2半割部116が連結部90を介して連結されたベース分割部品100と、第1半割部114との間に第1通路部80を形成する第1分割部品102と、第2半割部116との間に第2通路部84を形成する第2分割部品104と、を有して樹脂製のオイルパイプ70が構成されており、第1通路部80および第2通路部84が連結部90内の連結通路部88を介して連結されているため、それ等の第1通路部80、第2通路部84、連結通路部88を含むオイルパイプ70全体の通路、すなわち第1供給油路42を、比較的複雑な三次元形状とすることができる。これにより、例えばトランスアクスル12のケース14内の複雑で狭いスペースにオイルパイプ70をコンパクトに配置できるとともに、潤滑必要部位であるベアリング62およびギヤ64に対してピンポイントでオイル48を供給することにより必要オイル量を低減することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図9は、前記図8に対応する概略図で、樹脂製のオイルパイプ130は、実線で示すベース分割部品132と、破線で示す他の一つの分割部品134とを備えて構成されている。ベース分割部品132および分割部品134は、分割面が互いに向かい合わされて溶着や接着剤等により接合されることにより、オイル48が流通させられる通路136が内部に形成される。このオイルパイプ130は、例えば前記第1オイルポンプP1から吐出されたオイル48を前記ベアリング62やギヤ64等の潤滑必要部位、或いは前記熱交換器66やバルブボデー等へ供給するためのもので、ベース分割部品132の下端部には第1オイルポンプP1に連結される接続ポート138が一体に設けられている。通路136の上端部分には、他の配管や油圧回路部品等に接続される接続部として接続口(開口)140が形成されている。接続口140の代わりに、接続ポート138と同様の接続ポートをベース分割部品132または分割部品134に設けることもできる。
ベース分割部品132にはまた、第1オイルポンプP1のケースに固定される取付部142a、および前記ケース14に固定される取付部142bが、通路136の長手方向に離間して設けられており、オイルパイプ130は、それ等の取付部142a、142bがボルト等の締結部材144によって第1オイルポンプP1またはケース14に固設されることにより、ケース14内の所定位置に配設されている。すなわち、オイルパイプ130は、ベース分割部品132に設けられた一対の取付部142aおよび142bのみを介してケース14内に配置されているのであり、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
図10は、前記図8に対応する概略図で、樹脂製のオイルパイプ150は、実線で示すベース分割部品152と、破線で示す他の一つの分割部品154とを備えて構成されている。ベース分割部品152および分割部品154は、分割面が互いに向かい合わされて溶着や接着剤等により接合されることにより、オイル48が流通させられる通路156が内部に形成される。このオイルパイプ150は、例えば前記図2の第1供給油路42または第2供給油路44の中間位置等に用いられるもので、通路156の下端部および上端部にはそれぞれ接続部として接続口(開口)158、160が設けられており、他の配管や油圧回路部品等に接続される。接続口158、160の代わりに、前記接続ポート92と同様の接続ポートをベース分割部品152または分割部品154に設けることもできる。
ベース分割部品152にはまた、前記ケース14に固定される一対の取付部162a、162bが通路156の長手方向に離間して設けられており、オイルパイプ150は、それ等の取付部162a、162bがボルト等の締結部材164によってケース14に固設されることにより、ケース14内の所定位置に配設されている。すなわち、ベース分割部品152に設けられた一対の取付部162aおよび162bのみを介してケース14内に配置されているのであり、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
上記オイルパイプ150のベース分割部品152および分割部品154は、例えば前記図7と同様に、通路156を形成する部分が周方向において略均等に2分割されるように構成されるが、図11に示すオイルパイプ170のように不等分割構造とすることもできる。オイルパイプ170は、断面形状を除いて前記オイルパイプ150と同様に構成されているため、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。図11は、オイル48の流通方向である通路156の長手方向と直角な断面図で、その断面においてベース分割部品152の内壁面172の長さL1は、分割部品154の内壁面174の長さL2よりも長い。本実施例では、ベース分割部品152の内壁面172は半円弧の開口側を延長したU字形状を成しており、ベース分割部品152自体も通路156を形成する部分の断面がU字形状を成している。分割部品154の内壁面174は平坦に近い緩やかな円弧形状を成しており、分割部品154自体も通路156を形成する部分の断面が浅い皿のような平坦形状を成している。また、ベース分割部品152および分割部品154には、それぞれ接合部分すなわち互いに向かい合わされる開口部分から両側へ突き出すように一対ずつのフランジ176、178が設けられ、溶着等により接合される分割面152f、154fが外側へ拡張されている。
このようなオイルパイプ170によれば、オイル流通方向と直角な図11に示す断面において、ベース分割部品152の内壁面172の長さL1が、分割部品154の内壁面174の長さL2よりも長くされているため、ベース分割部品152の捩りや曲げに対する剛性が高くなる。これにより、例えば図12に示すようにケース14に取り付けて使用される場合に、オイルパイプ170とケース14との熱膨張差やトランスアクスル12の振動などで、一対の取付部162a、162bを介してベース分割部品152に負荷が加えられた場合に、そのベース分割部品152と分割部品154との接合部分における捩り等の変形がベース分割部品152の剛性によって抑制され、接合部分に加えられる負荷が軽減されて接合状態が一層良好に維持されるようになる。図12は、一方の取付部162aに図12の上側から見て左まわりの捩り負荷Flが加えられ、他方の取付部162bに図12の上側から見て右まわりの捩り負荷Frが加えられた場合で、分割部品154が接合された通路156付近にもその捩り負荷Fl、Frが作用するが、断面U字形状のベース分割部品152の剛性が高いため、捩り負荷Fl、Frによるベース分割部品152の変形が抑制され、分割部品154との接合部分に加えられる負荷が軽減される。そして、このように接合状態が良好に維持されることから、接合部分の耐久性が向上するとともに、オイルパイプ170の小型化や軽量化を図ることができる。
また、図11から明らかなように、接合強度を確保するためのフランジ176、178が、通路156の中心からオフセットした位置に設けられるため、ケース14の内部空間の隙間形状に合わせてオフセット寸法や配設姿勢を設定することにより、例えば図13に示すような扁平な空間180などにも取り付けることが可能で、配設空間の自由度が高くなる。必要に応じて、オイルパイプ170の全長或いは一部において、フランジ176、178の大きさを増減したり非対称形状にしたりすることもできる。図13では、動力伝達装置の構造部材である複数のケース部材182a、182b、182cによって扁平な空間180が形成されているが、歯車等の動力伝達機構よって配設空間が制限される部分にオイルパイプ170を配設する場合にも有効である。
前記オイルパイプ70、130についても、オイルパイプ170と同様に図11に示すような断面形状にするなど、オイル流通部分を不等分割構造とすることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。