JP6988462B2 - 歯科補綴物用微生物付着抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、微生物付着抑制性能に優れる歯科補綴物用の微生物付着抑制剤に関する。
歯科補綴物とは、歯の欠損や喪失があった時に歯の状態を元に戻すために補われる人工物である。歯の欠損及び喪失原因には、破折、う蝕、及び歯周病等が挙げられる。欠損歯や喪失歯の増加は、咀嚼、嚥下、及び発語等の機能低下を引き起こし、ひいては体調悪化や病臥する原因にもなり得るため歯科補綴物は、歯の欠損や喪失の治療に不可欠である。
一方、補綴物を使用する際は、そのメンテナンスが重要となる。例えば、義歯は隙間ができやすいことから義歯床下にプラークが生成されやすいことが知られている(非特許文献1)。一般にプラークは、Streptococcus mutans等の早期定着細菌が付着、増殖した後、ここに後期定着細菌が蓄積、凝集してプラークを形成する。歯、歯肉及び歯科補綴物等で形成されたプラークは、う蝕、歯周疾患、及び粘膜異常の原因となる。したがって、Streptococcus mutans等の早期定着細菌の付着抑制は、歯科補綴物のメンテナンスにおいても重要である。
また、インプラント使用者は、インプラント歯根部にプラークが形成されると天然歯と比較し、歯周炎を引き起こすリスクが高まることも知られている(非特許文献2)。補綴物に形成されたプラークは、容易に周囲の健康歯にも伝播するため、補綴物のメンテナンスを怠ると健康歯の喪失を促す原因になり得る。
特に義歯は、セラミック等の人工歯とレジン樹脂等の義歯床から構成されるものあり、使用者自身で取り外し可能である。そのため、使用者が日々のメンテナンスを実施することになるが、義歯用洗浄剤を用いたメンテナンスのみではプラーク除去効果が不十分になりやすく、専用ブラシでのブラッシングによるメンテナンスが推奨されている。
しかしながら、義歯使用者の中には誤ったブラッシングにより義歯床に傷をつけてしまい、その傷がプラーク形成の温床となり口腔疾患を惹起する場合がある。よって、義歯使用者がより簡便な方法で微生物付着を抑制する方法が求められている。
このようなことから、補綴物及び義歯へのプラーク付着を抑制するコーティング剤について、盛んに開発が行われている。例えば、フッ素含有ポリマーからなるコーティング組成物(特許文献1、2)や、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体からなるコーティング組成物が公開されている(特許文献3)。
特開平10−139614号公報 国際公開公報2006/016649号 特開2004−194874号公報
二川浩樹ら,「口腔カンジダの付着及びバイオフィルム形成」,日本医真菌学会雑誌,第46巻,pp.233−242,2005年. 川渕泰政ら,「インプラント周囲のポケット内細菌叢の観察−植立部分の歯の喪失原因による比較−」,日本口腔インプラント学会誌,第16巻,第4号,pp.507−512,2003年
特許文献1〜3に記載されたコーティング剤によれば、歯科補綴物に対する微生物の付着を抑制できるものの更なる改善が求められていた。
本発明の課題は、前記従来の問題を鑑みてなされたものであって、微生物の付着抑制性能に優れる歯科補綴物用の微生物付着抑制剤を提供することである。
本発明者らは、前記従来の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の2種の構成単位を有する共重合体を特定量含有する歯科補綴物用微生物付着抑制剤であれば、歯科補綴物に対する微生物の付着を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
下記一般式(1)で表される構成単位、及び下記一般式(2)で表される構成単位を有する共重合体を含み、前記共重合体の含有量が0.003質量%以上1質量%以下である歯科補綴物用微生物付着抑制剤。
Figure 0006988462

(一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
Figure 0006988462

(一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは、−C−、−C10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、又は−O−(C=O)−から選ばれる2価の基を表し、Lは炭素数10〜22のアルキル基を表す。)
本発明によれば、微生物の付着抑制性能に優れる歯科補綴物用の微生物付着抑制剤を提供することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似用語についても同様である。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量や重量平均分子量の範囲)を段階的に記載した場合、各下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは90以下」という記載において、「好ましい下限値:10」と「より好ましい上限値:90」とを組み合わせて、「10以上90以下」とすることができる。また、例えば、「好ましくは10〜100、より好ましくは20〜90」という記載においても、同様に「10〜90」とすることができる。
[歯科補綴物用微生物付着抑制剤]
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤は、下記一般式(1)で表される構成単位、及び下記一般式(2)で表される構成単位を有する共重合体を含み、前記共重合体の含有量が0.003質量%以上1質量%以下であるものであり、歯科用補綴物への微生物付着を効果的に抑制することができることから、歯科用補綴物使用者の口臭予防、及び歯周病予防が可能となる。
以下、前記共重合体の構成について詳細に説明する。
<一般式(1)で表される構成単位〔構成単位(1)〕>
Figure 0006988462

(一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
前記一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、前記共重合体の保存安定性を向上させる観点から、メチル基が好ましい。
また、前記一般式(1)において、nは1〜4の整数を表し、原料の入手容易性の観点から、nは1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。
前記一般式(1)で表される構成単位の原料となる化合物は公知の方法で製造することができる。例えば、グリセリンのアセタール化体とイソシアーネート基を有する(メタ)アクリレートとをウレタン化反応用触媒の存在下、ウレタン化反応させることにより得られる化合物を、加水分解用の触媒の存在下、水含有溶媒中で加水分解する方法等により製造することができる。
前記一般式(1)で表される構成単位の原料となる化合物は、下記一般式(1a)で表すことができ、中でも、R1がメチル基でありnが2であるメタクリル酸グリセリルアミドエチル(本明細書では「グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン」又は「GMU」ともいう)が好ましい。
Figure 0006988462

(一般式(1a)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
<一般式(2)で表される構成単位〔構成単位(2)〕>
Figure 0006988462
(一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは、−C−、−C10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、又は−O−(C=O)−から選ばれる2価の基を表し、Lは炭素数10〜22のアルキル基を表す。)
前記一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、前記共重合体の保存安定性を向上させる観点から、メチル基が好ましい。
前記一般式(2)において、Lは、−C−〔フェニレン基〕、−C10−〔シクロヘキシレン基〕、−(C=O)−O−〔エステル結合〕、−(C=O)−NH−〔アミド結合〕、又は−O−(C=O)−〔オキシカルボニル結合〕を表し、原料の入手容易性に観点から、−C−〔フェニレン基〕、−(C=O)−O−〔エステル結合〕、又は−(C=O)−NH−〔アミド結合〕が好ましい。
前記一般式(2)において、Lは、炭素数10〜22のアルキル基を表し、具体的には、n−デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基、リノレイル基、及びイソステアリル基等が挙げられる。これらの中でも、歯科補綴物用微生物付着抑制剤と歯科補綴物との親和性を向上させる観点から、炭素数10〜20のアルキル基が好ましく、炭素数12〜18のアルキル基がより好ましく、炭素数18のステアリル基が更に好ましい。
一般式(2)で表される構成単位の原料となる化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸ラウリル、及び(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができ、中でも(メタ)アクリル酸ラウリル、及び(メタ)アクリル酸ステアリルが好ましく、より具体的には、前記共重合体が(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーであることが好ましい。
本発明において、前記共重合体は2種以上の構成単位(1)を含んでもよく、2種以上の構成単位(2)を含んでもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等のいずれの構造であってもよく、またこれらの混合物であってもよい。
<構成単位(1)及び(2)の割合>
前記共重合体中の構成単位(1)及び構成単位(2)の合計に対する構成単位(1)の含有量は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がより更に好ましく、50モル%以上がより更に好ましく、そして、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、75モル%以下がより好ましく、70モル%以下が更に好ましい。
<その他の構成単位>
本発明に用いる共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲において、構成単位(1)及び構成単位(2)以外のその他の構成単位を含んでいてもよいが、前記構成単位(1)及び構成単位(2)のみからなることが好ましい。
前記その他の構成単位は、例えば、前記一般式(1)及び(2)で表される構成単位の原料となる化合物以外の直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレート、酸基含有単量体、窒素含有基含有単量体、アミノ基含有単量体、及びカチオン性基含有単量体から選ばれる重合性単量体に由来する構成単位が挙げられる。
共重合体がその他の構成単位を含有する場合、全構成単位中のその他の構成単位の割合は、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましい。すなわち、全構成単位中の前記構成単位(1)及び構成単位(2)の割合は、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。
<共重合体の重量平均分子量>
共重合体の重量平均分子量(Mw)は20,000〜90,000が好ましい。共重合体の重量平均分子量が前記下限値以上であると、微生物付着抑制性能が向上し、前記上限値以下であると、共重合体の取り扱い性が向上する。重量平均分子量は40,000〜60,000以下がより好ましい。
共重合体の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)分析によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量を指し、GFC分析は、例えば、高速液体クロマトグラフィーシステムCCP&8020シリーズ(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
<歯科補綴物用微生物付着抑制剤中の共重合体の量>
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤中の共重合体の量は、0.003質量%以上、1質量%以下である。前記共重合体の量が前記下限値未満であると微生物の付着抑制効果を得ることができず、前記共重合体の量が前記上限値を超えて使用しても添加量に見合った効果が得られにくくなる。前記観点から、歯科補綴物用微生物付着抑制剤中の共重合体の量は、好ましくは0.004質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、そして、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下である。
<共重合体の製造方法>
本発明に用いる前記共重合体は、一般的な共重合体の製造方法により製造することができる。例えば、溶媒に前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構成単位の原料となる化合物を溶解し、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合で重合させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール等の低級アルコールが挙げられる。
また、重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、及びn−プロピルパーオキシカーボネート等のアゾ系開始剤や、過酸化物系開始剤等の公知の開始剤を使用することができる。
重合温度については特に制限はないが、0℃〜80℃が好ましい。
<任意成分>
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤は、必要に応じて口腔用組成物に使用できる薬剤、緩衝剤、湿潤剤、界面活性剤、甘味剤、粘稠化剤、溶剤、色材、有機酸、無機塩類、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、香料、矯味剤、清涼化剤、及び色素等を含有してもよい。
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤は、特に、湿潤剤を含むことが好ましい。前記共重合体と湿潤剤とを組み合わせて使用することで、微生物付着抑制性能が向上する。
湿潤剤としては、多価アルコールが好ましく、多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール、マンニトール、及びエリスリトール等が挙げられる。
歯科補綴物用微生物付着抑制剤が湿潤剤を含有する場合、その含有量は0.01〜50質量%が好ましく、0.01〜30質量%がより好ましく、0.01〜20質量%が更に好ましく、1〜12質量%がより更に好ましい。湿潤剤の含有量が前記範囲内であると、微生物付着抑制性能がより向上する。
前記薬剤としては、イソプロピルメチルフェノール、塩化デカリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、及び1,8−シネオール等の殺菌剤;
アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、及びβ−グリチルレチン酸等の抗炎症剤;
アスコルビン酸及びその塩、塩酸ピリドキシン、酢酸dl−α−トコフェロール、及びニコチン酸dl−α−トコフェロール等のビタミン剤;
イプシロン−アミノカプロン酸、及びトラネキサム酸等の止血剤;
硝酸カリウム、及び乳酸アルミニウム等の知覚過敏緩和剤;
1,8−シネオール等の去痰剤;ゼオライト等の吸着剤;
ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、及び塩化亜鉛等の歯石沈着防止剤;
フッ化ナトリウム、及びモノフルオロリン酸ナトリウム等の虫歯予防剤;
銅クロロフィリンナトリウム等の口臭除去剤;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(8〜10E.O.)、及びラウロイルサルコシンナトリウム等の洗浄剤;
塩化ナトリウム、及びl−メントール等の収斂剤;
リン酸一水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ポリエチレングリコール、及びポリビニルピロリドン等の歯垢除去剤;等が挙げられる。
緩衝剤としては、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びこれらの塩が挙げられ、歯科補綴物用微生物付着抑制剤が緩衝剤を含有する場合、その含有量は0.01質量%〜3質量%が好ましい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アシルアミノ酸塩、脂肪酸アミドプロピルベタイン、及び脂肪酸アミドベタイン等が挙げられる。
防腐剤としては、塩酸ポリヘキサニド、安息香酸、安息香酸塩、及びパラベン類等が挙げられ、歯科補綴物用微生物付着抑制剤が防腐剤を含む場合、その含有量は0.01〜5質量%が好ましい。
甘味剤としては、サッカリン、ステビオシド、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、及び甘草抽出物が挙げられる。
粘稠化剤としては、特に限定されないが、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース系粘稠化剤、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、ジェランガム、及びキサンタンガム等の多糖類等が挙げられる。
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤は、歯科補綴物の原料又は歯科補綴物の表面コーティング剤として使用することで、歯科補綴物又は歯科補綴物表面への微生物の付着を抑制することができるが、歯科補綴物への適用又はコーティングにあたって前記共重合体を溶剤に溶解又は懸濁させて使用することが好ましい。
溶剤としては、水、エタノール等の歯科用途に使用されるものであれば特に制限されないが、水が好ましい。
また溶剤は、pHの調整、及び防腐等の目的で塩、界面活性剤、及び防腐剤等を含有してもよい。
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤が溶剤を含む場合、その含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより更に好ましい。
<歯科補綴物用微生物付着抑制剤の製造方法>
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤の製造方法に特に制限はなく、前記共重合体を水等の溶媒に混合して撹拌することにより製造することができる。具体的には、60〜90℃程度に加熱した精製水に対して、前記共重合体を撹拌する方法により製造することができ、また、グリセリンや1,3−ブチレングリコール等の任意成分の溶液に対して前記共重合体を投入し、60〜90℃程度で撹拌し、室温まで冷却した後、この溶液に対して精製水を添加して撹拌することにより製造することもできる。
<歯科補綴物用微生物付着抑制剤の使用時の態様>
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤の使用時の態様に特に制限はないが、義歯洗浄剤、義歯除菌剤、口腔保湿剤、洗口液、含嗽剤、歯磨き剤、口中清涼剤、及びチュアブル剤等として用いることができ、液状、粘性液体、ジェル状、及び錠剤等の形態として用いることができる。
<歯科補綴物の材料>
本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤を適用する歯科補綴物の材料に特に制限はないが、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタラート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリイソブチレン、アクリル系樹脂、及びシリコーン樹脂等の樹脂、ステンレス、純チタン、及びチタン合金等の金属材料、ジルコニア等のセラミック材料、ガラス等の無機材料等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の歯科補綴物用微生物付着抑制剤との付着性の観点から、歯科補綴物の材料はアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<合成例:(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーの合成>
4口フラスコに、(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール330g及びピリジン50mlを加え、滴下ロート及びカルシウム管を装着した。この溶液に対して、室温、遮光下で2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート368g(昭和電工株式会社製)をゆっくりと滴下した。その後、50℃に設定したオイルバス中で7時間反応させた。
反応終了後、ピリジン及び過剰の(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロールを減圧留去することにより、収量621g、収率91%で白色固体の(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタンを得た。
得られた(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタン500gに、メタノール1.95L及び4Nの塩酸50mlを加え、室温下30分間攪拌することにより反応させたところ、懸濁液が透明溶液となった。更に60分間攪拌することにより反応させた後、減圧乾燥により溶媒を留去し、無色粘性液体のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン(以下、「GMU」ともいう)を得た。収量は412g、収率は96%であった。
前記GMU8.9g(約0.036mol)と、共重合させるモノマーとしてのステアリルメタクリレート(以下、「SMA」ともいう)8.0g(約0.024mol)とをエタノール140gに溶解して、4つ口フラスコに入れた。次いで、得られた溶液に30分間窒素を吹き込んだ後に、60℃で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.12gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3Lのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行うことにより(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーを得た。
なお、前記共重合体中の構成単位(1)及び構成単位(2)の合計に対する構成単位(1)の含有量、すなわち、GMUに由来する構成単位とSMAに由来する構成単位の合計に対するGMUに由来する構成単位の量は60モル%であり、ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)分析によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量は50,000であった。
<実施例1>
80℃に加熱した精製水99.995g中に、前記合成例で製造した(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー0.005gを添加し、撹拌することにより実施例1の歯科補綴物用微生物付着抑制剤を調製した。
<比較例1>
配合成分の組成を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例1に記載の方法に準じて、比較例1の歯科補綴物用微生物付着抑制剤を調製した。
<実施例2>
グリセリン4.75gと1,3−ブチレングリコール4.75gとの混和溶液に対して、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー0.025gを投入し、80℃で撹拌することにより溶解した。溶解後、室温まで冷却した後、前記混和液に対して全量が100gになるように精製水を添加し、撹拌することにより実施例2の歯科補綴物用微生物付着抑制剤を調製した。
<実施例3及び比較例2>
配合成分の組成を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例2に記載の方法に準じて、実施例3、比較例2の歯科補綴物用微生物付着抑制剤を調製した。
<比較例3>
グリセリン4.75gと1,3−ブチレングリコール4.75gとの混和溶液を80℃で攪拌し、室温まで冷却した後、前記混和液に対して全量が100gになるように精製水を添加し、撹拌することにより比較例3の歯科補綴物用微生物付着抑制剤を調製した。
前述の方法により得られた実施例1〜3、及び比較例1〜3の歯科補綴物用微生物付着抑制剤について、下記菌付着抑制評価を行った。結果を表1に示す。
<菌付着抑制評価>
(手順1)Streptococcus mutans NBRC13955(以下、「S.mutans」ともいう)をブレインハートインフュージョン培地(ベクトン・ディッキンソン社製)に植菌し、一晩培養した。
(手順2)培養したS.mutans液を遠心分離し、リン酸緩衝液で洗浄した。
(手順3)S.mutans液の光学濃度(660nm)が1.0になるようにリン酸緩衝液で調製した。
(手順4)24ウェルマイクロプレートに実施例1〜3及び比較例1〜3の組成物を1mLずつ添加し、それぞれに義歯床用レジン(アクロンNo.5、株式会社ジーシー製を直径10mm×長さ2mmに重合、成形したもの)を入れ、1分間静置した。また、別に精製水1mLに前記義歯床用レジンを入れ、1分間静置した。これをコントロールとした。
(手順5)各組成物を取り除き、義歯床用レジンを1mLのリン酸緩衝液で3回洗浄した。
(手順6)義歯床用レジンの入った24ウェルマイクロプレートに手順3で調製したS.mutans液を0.5mLずつ加え、5時間培養し、義歯床用レジンにS.mutansを付着させた。
(手順7)S.mutans液を取り除き、義歯床用レジンを1mLのリン酸緩衝液で3回洗浄した。
(手順8)義歯床用レジンの入った24ウェルマイクロプレートにビクトリアブルー液を0.5mLずつ加え、10分間静置し、S.mutansを染色した。
(手順9)ビクトリアブルー液を取り除き、義歯床用レジンを0.5mLの脱色液で2回洗浄した。
(手順10)義歯床用レジンを1mLのリン酸緩衝液で3回洗浄した。
(手順11)義歯床用レジンの入った24ウェルマイクロプレートにエタノール0.5mLを加え、S.mutansに取り込まれたビクトリアブルー液を抽出した。
(手順12)抽出したビクトリアブルー液を0.1mL量り取り、マイクロプレートリーダー(型式:SpectraMax M3、モレキュラーデバイスジャパン社製)を用いて、595nmにおける吸光度を測定した。
菌付着抑制率は、下記式より算出した。
なお、本評価においては、付着した菌の量が多い程、吸光度が高くなる。よって、吸光度が低いほど、歯科補綴物用微生物付着抑制剤が菌付着抑制性能に優れていることを示す。
菌付着抑制率(%)=(A−A)/A×100
:コントロール(精製水)で処理した義歯床用レジンから得られた吸光度
:実施例及び比較例の歯科補綴物用微生物付着抑制剤で処理した義歯床用レジンから得られた吸光度
Figure 0006988462
本発明によれば、微生物の付着抑制性能に優れる歯科補綴物用の微生物付着抑制剤を提供することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される構成単位、及び下記一般式(2)で表される構成単位を有する共重合体を含み、前記共重合体の含有量が0.003質量%以上1質量%以下である歯科補綴物用S.mutans付着抑制剤。
    Figure 0006988462

    (一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
    Figure 0006988462

    (一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、L、−(C=O)−O−を表し、Lは炭素数12〜18のアルキル基を表す。)
  2. 前記共重合体が、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーである、請求項1に記載の歯科補綴物用S.mutans付着抑制剤。
  3. 更に多価アルコールからなる湿潤剤を含有する、請求項1又は2に記載の歯科補綴物用S.mutans付着抑制剤。
  4. 前記湿潤剤の含有量が0.01〜50質量%である、請求項3に記載の歯科補綴物用S.mutans付着抑制剤。
  5. 歯科補綴物の材料がアクリル系樹脂を含むものである、請求項1〜4のいずれかに記載の歯科補綴物用S.mutans付着抑制剤。
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