JP6988375B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子に関し、特に、光通信、光情報処理、レーザ記録装置、表示装置、画像形成装置等に用いられる集光、分波/合波、回折、偏光分離、光強度分布変換、ホログラム等の機能、あるいはこれらの複合機能を有する光学素子に関する。
従来の薄型光学素子として、図17(a)に示すような位相フレネルレンズが知られている。フレネルレンズは、設計通りに形状を製作できれば光の位相を0から2πまで平面空間上で制御でき、低い開口数(NA)のレンズにおいて100%に近い効率が得られる一方で、連続的で複雑な曲面を忠実に再現し製作することは困難である。この問題は、素子の小型化・微細化および様々な機能素子との集積化を考えると、実用上の障害となる。
この問題に対して、図17(a)に示すフレネルレンズの理想形状を図17(b)に示すような階段型形状で近似した階段状回折光学素子が使用されるようになった。通常、階段状回折光学素子は、リソグラフィと微細加工によって製作され、レジストパターン形成とエッチングプロセスをN回繰り返すことで、2N段の近似形状を実現する。階段数を増やすことにより理想形状に近づいていくが(理論上の効率は16段階で99%)、製作工程が増えるとともにリソグラフィの精度や重ね合わせの精度が要求され、製作コストの上昇が避けられない。また、高いNAのレンズの実現や複雑な位相パターンの再現において、シャドー効果等により効率が低下するという問題も存在する。
上述の図17(b)に示す階段状回折光学素子は、構造の厚みの変化により光の位相を制御し、光学機能を実現する構成であるが、一方で、光の位相は材料の厚みと屈折率で決定されるため、厚み一定で材料の屈折率の変化のみで位相を制御するアプローチも考えられる。屈折率nは材料の比誘電率εrと比透磁率μrを用いてn=εr 1/2μr 1/2と表すことができるが、光領域における一般的な光学材料の比透磁率μrが1であることから、材料の比誘電率εrを制御することで所望の値を得ることができる。
この比誘電率εrを制御するアプローチとしては、図17(c)に示すような、入射光の波長以下の繰り返し周期で2値の微細周期構造を基板上に配置する構成が知られている。2値の微細周期構造の面積比によって材料の実効的な比誘電率εr、すなわち屈折率n(=εr 1/2)を平面上で離散的に変調させ、位相を制御することができる。この方法は、微細構造体が材料の誘電率と周囲の媒質の誘電率の中間値をもつ均質な媒質として振る舞うと近似する、有効媒質近似理論に基づく。
このような素子は、構造の厚みが一定であるため、1回のレジストパターン形成とエッチングプロセスによる比較的容易な製作方法で実現できると考えられる。しかし、このような素子を通常用いられる石英ガラス等の光透過材料で実現しようとすると、原理的に構造アスペクト比が非常に大きくなり、一般的なエッチングプロセスでの製作が非常に困難である。
例えば、図18(a)〜(c)に示すように、入射する光の波長λを1550nm、構造体の周期pを650nm、構造および基板の材料の屈折率をnsio2=1.45(石英)、構造周囲の媒質の屈折率をnair=1.0(空気)とし、構造幅wの変化0〜650nmのみで0から2πまでの位相変調を与えるとした場合、必要な構造体の高さhは約3.5μmとなる。このときのアスペクト比は、w=100nmにおいて〜35となり、現実的に製作可能な構造ではない。
アスペクト比を低下させて製作可能な構造体にするには、シリコン等の高い屈折率材料を微細周期構造に用いて光路長を短縮する方法が考えられる。しかし、その高い屈折率がゆえに、構造体と基板および空気との界面において大きな光反射が生じるため、素子としての効率が大きく低下する。また、シリコン等の高い屈折率材料を微細周期構造に用いた場合、微細周期構造を任意の実効的な比誘電率εrをもつ均質な媒質として近似するには、入射光の波長の10〜20分の1程度以下の構造幅および構造周期が必要となり、結果的に構造アスペクト比が増大するとともに、高精度なパターニング技術が必要となる。近年では、半波長程度の周期をもつ高い屈折率材料で構成された微細周期構造における光共鳴を利用した位相変調方法も提案されているが、上記の光反射の問題に加え、光共鳴自体による光反射や不要な光共鳴による位相エラーを由来とする効率の低下が問題となっている(非特許文献1参照)。
Dianmin Lin, Pengyu Fan, Erez Hasman, Mark L. Brongersma, "Dielectric gradient metasurface optical elements," Science, 345(6194), 298-302 (2014).
上記のように、従来の薄型光学素子において、フレネルレンズといった連続的に位相が変化する素子は、精密な製作が困難である。また、階段状回折光学素子といった離散的に位相が変化する素子は、レジストパターン形成とエッチングプロセスを精密に多数回繰り返す製作技術が必要であり、コスト上昇が避けられないという課題があった。また有効媒質近似理論に基づく2値の微細周期構造素子については、石英ガラス等の屈折率の低い材料を使用すると高い構造アスペクト比により実現がほぼ不可能であり、一方で高屈折率材料を使用すると構造界面での大きな光反射や不要な光共鳴により、素子の効率が低下するという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、製作工程が少なく、製作が容易で、小型化・集積化が可能な、屈折率制御を行う効率の高い光学素子を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、基板と、前記基板上に繰り返し周期を有して形成された複数の構造体とを有する光学素子であって、前記複数の構造体により一次元回折格子が形成された光学素子において、前記複数の構造体は、入射光の波長以下の間隔で配置されており、前記複数の構造体の媒質の屈折率、ならびに前記複数の構造体の各々の光の伝搬方向の長さ、および前記複数の構造体の各々の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さは、前記複数の構造体と前記複数の構造体間の周囲媒質とからなる複合構造において光共鳴を引き起こす屈折率および長さであり、前記複数の構造体の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さあって、前記一次元回折格子の短手方向の長さが、前記一次元回折格子の周期内における前記一次元回折格子の長手方向の位置の関数として連続的に変調されているまたは前記一次元回折格子の周期内における前記一次元回折格子の長手方向の位置に応じて段階的に増加又は減少することを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記複数の構造体が配置される方向は、前記光の伝搬方向に対して垂直な単一の方向、または前記光の伝搬方向に対して垂直な互いに直交する2つの方向であることを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記複数の構造体が配置される方向は、前記光の伝搬方向に対して垂直な極座標系における動径方向であることを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記構造体の前記光の伝搬方向の長さが、前記構造体の媒質内での光の波長の半分より大きいことを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記構造体の媒質の屈折率をn1、前記周囲媒質の屈折率をn2、前記基板の媒質の屈折率をn3とするとき、n1>n2およびn1>n3を満たすことを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記構造体の媒質の屈折率をn1、前記周囲媒質の屈折率をn2、前記構造体の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さをw、前記入射光の波長をλとするとき、w>=0.6×(λ/π)/(n1 2−n2 21/2を満たすことを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記複合構造の比誘電率をεr、比透磁率をμr、前記周囲媒質の屈折率をn2、前記基板の媒質の屈折率をn3とするとき、(1/n2)(1−0.11/2)/(1+0.11/2)<=(μr/εr1/2<=(1/n2)(1+0.11/2)/(1−0.11/2)、(1/n3)(1−0.11/2)/(1+0.11/2)<=(μr/εr1/2<=(1/n3)(1+0.11/2)/(1−0.11/2)を満たすことを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記複数の構造体の各々の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さが前記基板上の位置によって周期的に変化していることを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記複数の構造体間の間隔が一定でないことを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記複合構造が前記基板の両面に形成されていることを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに前記基板の前記構造体が形成されている表面が曲面であることを特徴とする。
本発明の別の態様では、さらに発光素子をさらに備え、前記基板が前記発光素子の出射面を構成していることを特徴とする。
本発明によれば、反射光を抑制した状態で局所的な屈折率を制御することが可能になり、高効率かつ多彩な光学素子を作製することができる。さらに、構造の高さは一定でかつ製作が容易な低アスペクト比の構造体であるため、1回のリソグラフィ・エッチングプロセスで容易に製作することができるとともに、複数の機能を平面に集積化できるという効果がある。
(a)は異なる媒質の界面に、光が入射した場合の波動インピーダンスZおよび屈折率nの関係を示す図であり、(b)は比誘電率εrおよび比透磁率μrと波動インピーダンスZおよび屈折率nの関係を示す図である。 (a)は、本発明の実施形態1に係る光学素子の微細周期構造である梁型構造体アレイ110の一部を上部から見た図であり、(b)はその側面から見た断面図であり、(c)は計算によって取得した梁型構造体111および周囲媒質からなる複合構造120の比誘電率εrと比透磁率μr、および光の透過率を示す図である。 (a)は梁型構造体アレイに光を入射する様子を説明する図であり、(b)は本発明の実施形態1に係る光学素子において、梁型構造体111の厚みh=700nmとした際の光学特性の例を示す図であり、(c)は実施形態1に係る光学素子において、梁型構造体111の厚みh=900nmとした際の光学特性の例を示す図であり、(d)は従来の技術概念である有効媒質近似理論を用いた微細構造体における光学特性の例を示す図である。 (a)は本発明の実施形態1に係る位相分布の位相変化量の勾配が線形かつ総位相変化量が0〜2π必要な一次元回折格子(グレーティング)を梁型構造体アレイで形成した例を示す断面図であり、(b)は既存の位相回折格子の断面図であり、(c)〜(e)は本発明の実施形態1に係る一次元回折格子を形成する梁型構造体アレイの一例を示す断面図である。 (a)は本発明の実施形態1に係る二次元平面において光の位相を制御し、光学機能を実現する光学素子の上面図を示し、(b)はその光学素子が形成する位相分布を示す図である。 本発明の実施形態2に係る光学素子の複数の梁型構造体ユニット410を、二次元平面上に配置する例の上面図である。 (a)は本発明の実施形態2に係る光学素子の基板上の位置に対する位相変化量φを示す図であり、(b)は本発明の実施形態2に係る光学素子の微細構造体の一例として、実施形態1と同様に、一次元回折格子を上記梁型構造体で形成した例を示す図であり、(c)、(d)は梁型構造体511の幅wについて説明する図である。 実施形態2に係る光学素子の2次元平面において光の位相を制御し、光学機能を実現する素子の上面図である。 (a)は本発明の実施形態3に係る柱型構造体アレイ710を用いた光学素子の一例の上面図であり、(b)はその断面図であり、(c)は柱型構造体711および周囲媒質からなる複合構造720の比誘電率εrと比透磁率μr、および光の透過率を示す図である。 (a)は本発明の実施形態3に係る柱型構造体アレイ710を用いた光学素子の一例の断面図であり、(b)は基板701側から光を入射した際の光の梁型構造体711の幅wに対する透過率Tと位相変化量φを示す図である。 (a)〜(d)は本発明の実施形態3に係る光学素子の一次元回折格子を柱型構造体アレイで形成した一例の上面図である。 (a)は本発明の実施形態3に係る光学素子の基板上の位置に対する位相変化量φを示す図であり、(b)は偏光ビームスプリッタを構成する上面が長方形である柱型構造体911からなる光学素子の一例の上面図であり、(c)はその断面図である。 本発明の実施形態4に係る光学素子の一例の断面図である。 本発明の実施形態5に係る光学素子の一例の断面図である。 本発明の実施形態6に係る光学素子の一例の断面図である。 本発明の実施形態7に係る光学素子の一例の断面図である。 (a)は理想形状の位相フレネルレンズを示す図であり、(b)は階段状回折光学素子を示す図であり、(c)は有効媒質近似理論に基づく2値の微細周期構造素子を示す図である。 (a)は構造幅wが100nmの微細周期構造素子を示す図であり、(b)は構造幅wが600nmの微細周期構造素子を示す図であり、(c)は入射する光の波長λを1550nmとしたときの、構造体の高さhが約3.5μm、構造体の周期pが650nmの微細周期構造素子の構造幅wに対する位相変化量φを示す図である。
上記課題を解決するために、本発明では、材料の誘電率の制御に加えて透磁率の制御の自由度を持つ複合構造により、透過する光の位相を制御して光学素子を実現する。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について詳細に説明する。また、ここで使用される用語“光”および“光学”は、紫外光、可視光および赤外光における波長の電磁波を含むがこれらに制限されない。すなわち、テラヘルツ波、マイクロ波およびミリ波等を含む電波領域への拡張も可能である。
図1(a)、(b)に、本発明の基本的な考え方となる実効的な比誘電率εrおよび比透磁率μrの変化による波動インピーダンスZおよび屈折率nの制御の概念を示す。一般に、図1(a)に示すような異なる媒質の界面に、光が入射すると、一部の光が透過し、一部の光が反射する。このとき、界面での光の反射率Rは、それぞれの媒質がもつ波動インピーダンスZ1およびZ2を用いて、
R=|(Z1−Z2)/(Z1+Z2)|2 (1)
で表される。ここで、波動インピーダンスZは、真空の波動インピーダンスZ0と媒質の比誘電率εr、比透磁率μrを用いて
Z=Z0(μr/εr1/2 (2)
で表される。以上から、媒質界面での反射光を抑制するには、それぞれの媒質の波動インピーダンスを整合する必要がある。しかしながら、光領域における光学材料は一般的にμr=1であるため、媒質の屈折率nと比誘電率εrおよび比透磁率μrの関係式である
n=εr 1/2μr 1/2 (3)
を用いると、光の反射率Rは
R=|(n2−n1)/(n2+n1)|2 (4)
で表される。したがって、異なる屈折率をもつ媒質の界面では反射光が必ず生じるということが一般的な考え方である。
以上に基づくと、所望の屈折率の空間分布を、従来技術で説明した図17(c)のような有効媒質近似理論に基づく微細周期構造で実現した場合、微細周期構造と基板および空気との界面において必ず光反射が生じる。また、式(4)から明らかなように、屈折率差が大きいほど反射光がより顕著になるため、高屈折率材料で微細周期構造を単純に構成した場合、光の透過率すなわち素子としての効率が必然的に低下する。このように、屈折率nのみの制御では、波動インピーダンスZの整合を常にとることができず、素子の効率が低下する。
一方、従来の概念では定数とされている比透磁率μrを変数とすると、式(2)および式(3)から明らかなように、波動インピーダンスZと屈折率nを個別に制御できる。図1(b)は比誘電率εrおよび比透磁率μrと波動インピーダンスZおよび屈折率nの関係を示す図である。波動インピーダンスZは、εr 1/2を横軸、μr 1/2を縦軸にとったときに原点と媒質が示す点(εr 1/2、μr 1/2)を結ぶ線の傾きに対応し、屈折率nは原点と媒質が示す点(εr 1/2、μr 1/2)が作る長方形の面積に相当する。また、例として空気を周囲の媒質として用いている。図1(b)から明らかなように、媒質の比誘電率εrと比透磁率μrの両者を変化させることにより、波動インピーダンス整合(Z0=Z)を保ちながら、屈折率の増減(n0≠n2)を行うことが可能となる。
以上のような比誘電率εrと比透磁率μrの両者を実効的に変化させる手段として、後述する、少なくとも平面一方向の寸法が入射光の波長以下の微細周期構造における光共鳴現象を用いることが可能である。この現象を利用することで、周囲の媒質との波動インピーダンス整合と位相変調に必要な任意の屈折率制御を両立し、製作可能な低アスペクト比の微細周期構造を用いた高効率な光学素子を形成できる。
すなわち、本発明の光学素子は、微細周期構造の寸法およびパターン分布を光共鳴が生じるよう設定し、光共鳴状態を変化させることで微細周期構造とその周囲媒質から構成される複合構造の比誘電率εrと比透磁率μrの値を波動インピーダンス整合による反射光の抑制を保持するように制御することで、高い透過率を維持しながら実効的な屈折率nを基板上の位置によって任意に変化させることが可能な、透過光の波面を高効率に制御する光学素子である。
光学素子の機能としては、通常の回折格子に相当するものや、偏光子に相当するもの、レンズに相当するもの、ビームスプリッタに相当するもの、回折ホログラムに相当する等、光の伝搬方向を変化させる機能、光の偏光方向に依存して異なる特性を生じる機能、集光する機能、光を合分波する機能、光ビームの強度・位相分布を整形する機能、さらにそれらの複合機能等、既存の光学素子およびそれらの複合素子はほぼ全て本発明により実現可能である。また、例えばマイクロレンズアレイ等、同一基板上に、同一機能、または異なる機能の素子を多数配置し集積することもできる。
微細周期構造の形成には、一般的なリソグラフィやナノインプリントとエッチングの技術によって実現できる。その他の方法として、感光現象やモールド(型押し)、集束イオンビーム加工、化学的な自己組織化現象等、既存の微細加工技術のすべてを用いることができる。また、微細周期構造は、基板表面に製膜、貼り付け、または塗布等により設けた薄膜層を加工して形成する。なお、周囲媒質としては、微細構造体の下部層を基板、上部層を空気に限られることはない。例えば、シリコン等で形成された微細構造体が石英等に埋め込まれた構成でもよい。
以下に示す実施形態や図面において、微細周期構造を配置する下部層(基板)および微細周期構造を覆う上部層を形成する材料は、例えば、一般的なガラス材料、石英(SiO2)が適用でき、入射させる波長の光を一部でも透過するものであれば何でもよい。なお、上部層と下部層は、同一の材料であっても異なる材料であってもよい。また、微細周期構造を形成する材料は、周囲媒質に比べ屈折率が高くかつ入射させる波長の光を一部でも透過するものであれば何でもよい。
例えば、本発明の光学素子を、光の波長が380〜800nmの範囲の可視光領域で用いる場合は、下部層および上部層には空気、ガラス、石英等の材料が、微細構造体にはSiC、SiN、TiO2、GaN等の材料が、吸収損失が少ないため適している。また、波長が800〜1000nmの範囲の近赤外光に対しては、これらの光に対して低損失な材料として、下部層および上部層には空気、ガラス、石英等の材料が、微細構造体にはSi、SiC、SiN、TiO2、GaAs、GaN等の材料が適している。さらに長波長体の近赤外領域(通信波長である1.3μmや1.55μm等)では、上述の材料に加えて、微細周期構造にInP等を用いることができる。さらに、貼り付け、塗布して微細周期構造を形成する場合、フッ素化ポリイミド等のポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、光硬化性樹脂、UVエポキシ樹脂、PMMA等のアクリル樹脂、レジスト全般などのポリマー等が材料として挙げられる。
以下、具体的な例を挙げて、本発明の光学素子について説明する。
[実施形態1](離散型微細梁型構造体アレイ)
(基本構造)
図2(a)、(b)に、本発明の実施形態1に係る光学素子の微細周期構造として、下部層(基板)101上に配置した微細周期構造である梁型構造体アレイ110を用いた例を示す。図2(a)、(b)はそれぞれ、梁型構造体アレイ110の一部を上部から見た図および側面から見た断面図である。なお、梁型構造体アレイ110の周期pは、1次以上の回折光が生じないよう、入射光の波長以下である。上記構造では、梁型構造体111を構成する材料の屈折率nが周囲媒質に比べて高い場合、入射光が梁型構造体111内部に強く閉じ込められた状態で梁型構造体111内部を伝搬する。このとき、入射光の波長をλ、梁型構造体111の厚みをh、梁型構造体111内部での光の等価屈折率をneff、任意の整数をmとした場合、
h=(λ/neff)×(m/2),(m=1,2,3・・・) (5)
を満足する近傍で、構造内部における多重光反射により強い光共鳴が生じる。なお、等価屈折率neffは梁型構造体111の幅w(光の伝搬方向に対して垂直方向の長さ)に依存するため、この梁型構造体111の幅wの変化のみで共鳴状態を制御できる。この光共鳴は入射光の電界・磁界の両者に応答するため、上記共鳴条件およびその付近において、梁型構造体111と周囲媒質から構成される複合構造120の比誘電率εrと比透磁率μrの変化が生じる。この複合構造120の波動インピーダンスZと屈折率nは、式(2)および式(3)より比誘電率εrと比透磁率μrの両者から決定されるため、上記共鳴の共鳴状態を梁型構造体111の幅wとその分布状態との組み合わせにより、波動インピーダンスZと屈折率nを基板上の位置に応じて個別に変化させることが可能となる。
また、上記の光共鳴を引き起こす条件の1つとして、梁型構造体111が構造内部で多重光反射が生じる程度の等価屈折率neffを有する光伝搬(光導波路)モードを有する必要がある。一般的に光伝搬モードの特性は梁型構造体111の幅wによって決定されることから、上記のような光伝搬モードを有する梁型構造体111の幅wの下限をwminとおく。ここでは、梁型構造体111を構成する材料の屈折率をn1、周囲媒質の屈折率をn2とするとき、光導波路の規格化周波数の式より、wmin=v(λ/π)/(n1 2−n2 21/2とおく。なお、vは規格化周波数であり、構造内部で多重光反射が生じる程度の等価屈折率に対応する値を0.6とする。この場合、上記条件式は
min=0.6(λ/π)/(n1 2−n2 21/2 (6)
となり、この値以上の梁型構造体111の幅wを用いることが望ましい。
なお、梁型構造体111内部での光の等価屈折率neffは、λ/n1<λ/neff<λ/n2を満たすため、上記の光共鳴を少なくとも1つ利用するには、梁型構造体111の厚みh(光の伝搬方向の長さ)の下限hmin
min=λ/(2n1) (7)
であり、この値以上の梁型構造体111の厚みhを用いる必要がある。
さらに、梁型構造体111の厚みhが一定の場合において、梁型構造体111の幅wの変化のみで複合構造120を透過する光の位相変化量の範囲を0〜2πとするには、梁型構造体111の厚みhを最大の位相変化量である2πに対応する条件:h=λ/(neff_max−n2)の近傍に設定する必要がある。なお、neff_maxは、周期p内に形成可能な梁型構造体111の最大幅における等価屈折率であり、その値は有限要素法等による数値計算により厳密に求めることができる(n2<neff<n1)。ここでは簡単のため、光導波路の規格化伝搬定数の式より、neff_max={b(n1 2−n2 2)+n2 21/2とおく。なお、bは規格化伝搬定数であり、梁型構造体111の最大幅に対応する値を0.8とする。この場合、上記条件式は
=λ/({0.8(n1 2−n2 2)+n2 21/2−n2) (8)
となる。
例として、周囲の媒質を空気(n2=1)、梁型構造体111の媒質をSi(n1=3.48)、入射光の波長λを1550nmとするとき、h=723nmとなり、梁の厚みはこの値の近傍とすることが望ましい。もう1つの例として、周囲の媒質を空気(n2=1)、梁型構造体111の媒質をSiN(n1=2.03)、入射光の波長λを532nmとするとき、h=612nmとなり、梁型構造体111の厚みhはこの値の近傍とすることが望ましい。
なお、梁型構造体111の厚みhは、上記条件より大きな値をとった場合においても、位相変化量の範囲0〜2πを保持できるが、構造アスペクト比が増大する。また、シリコン等の高屈折率材料を梁型構造体111に用いた際、上記条件より大きな値をとった場合に不要な光共鳴が発現し、梁型構造体111の幅wの一部の値において大きな反射光が生じる。このようなことから、梁型構造体111の厚みhは、上記条件の近傍またはそれより小さい値に設定することが望ましい。
また、上記光共鳴の効果によって変化する複合構造120の比誘電率εrと比透磁率μrは、複合構造120による反射光を抑制するために、周囲媒質の波動インピーダンスZと整合状態となる値またはその近傍をとることが望ましい。まず、複合構造120と下部層(基板)101の媒質との界面による光反射については、下部層101の媒質の屈折率n3、許容できる反射率の上限をRmax=0.1とするとき、式(1)および式(2)より、
(1/n3)(1−Rmax 1/2)/(1+Rmax 1/2
<=(μr/εr1/2
<=(1/n3)(1+Rmax 1/2)/(1−Rmax 1/2
(9)
を満たすような比誘電率εrと比透磁率μrが望ましい。同様に、複合構造120と上部層の媒質(構造周囲の媒質)との界面による光反射については、上部層の媒質の屈折率n2、許容できる反射率の上限をRmax=0.1とするとき、
(1/n2)(1−Rmax 1/2)/(1+Rmax 1/2
<=(μr/εr1/2
<=(1/n2)(1+Rmax 1/2)/(1−Rmax 1/2
(10)
を満たすような比誘電率εrと比透磁率μrが望ましい。
上記において説明した基本構造の具体的な一例として、図2(c)に、計算によって取得した梁型構造体111および周囲媒質からなる複合構造120の比誘電率εrと比透磁率μrを示す。また、図2(c)中の濃淡は複合構造120の波動インピーダンスZにより決定される光の透過率を示す。ここでは、周囲の媒質を空気(n2=1)、梁型構造体111の媒質をSi(n1=3.48)、入射光の波長λを1550nm、梁型構造体111の周期pを650nm、高さhを700nmとし、梁型構造体111の幅wを120nm〜400nmの範囲で変化させる。このとき、複数の光共鳴の効果により、比誘電率εrと比透磁率μrの両者が変化し、かつ空気の波動インピーダンスZaとほぼ整合した状態で屈折率nを任意に増減させることができる。なお、図2(c)の複数の直角双曲線上の高透過率のラインは、光共鳴条件を満たしており、比誘電率εrと比透磁率μrの値がこのライン上に存在する場合においても、光共鳴を実現できる。
より具体的に、図3(a)に示す石英からなる下部層101上に配置した上記の梁型構造体111に、下部層101側から光を入射した際の梁型構造体111の幅wに対する光の透過率Tと位相変化量φを図3(b)に示す。この図から明らかなように、梁型構造体111の幅wの変化のみで、90%以上の透過率Tを保持しながら、位相変化量φを0から2πまで制御可能である。この特性により、反射光を抑制しながら、梁型構造体111の高さを一定にしたまま、梁型構造体111の幅wの変化のみで位相変化量φ(すなわち屈折率n)を変化させることが可能となる。
したがって、光学素子を形成するには、所望の光学機能を実現可能な位相分布に整合するように、順次要求される位相変化量φを有する幅wをもつ梁型構造体111を、位相分布の変化方向と梁型構造体111の長軸方向が垂直の関係になるように、下部層101上に複数配置すればよい。
なお、この例では、構造のアスペクト比はw=120nmにおいて約5.8となり、一般的なエッチングプロセスで十分に製作できる構造体である。また、ここでは、下部層101側から光を入射した例を挙げたが、梁型構造体111側(上部層側)から光を入射してもよい。なお、構造断面については図2(b)に示すような長方形に限らず、同様の光学特性が生じる台形や三角形等の断面形状も微細構造体として採用できる。
上記は、梁型構造体111の厚みhを式(8)に従って、h=700nmに設定した例であるが、図3(c)に式(8)の条件より大きな値をとった場合の光学特性の一例を示す。ここでは、梁型構造体111の厚みh=900nmとし、その他の構造材料、寸法および入射光の波長は図3(b)の場合と同一である。図3(c)から明らかなように、梁型構造体111の幅wの一部の値の近傍において、不要な光共鳴によって大きな透過率の低下と位相変化量の急激な変化が存在する。位相変化量の範囲を0〜2πとし光学素子を形成するには、この不要な光共鳴が存在する領域を避けて素子を設計する必要がある。
しかし、構造製作時における梁型構造体111の幅wの誤差により、この不要な光共鳴が生じる可能性が十分に考えられ、素子の効率劣化を引き起こしかねない。したがって、精密な製作技術が必要であり、コスト上昇が避けられないという課題がある。さらに、不要な光共鳴には波長依存性が存在するため、設計波長近傍での広帯域な動作を考えた場合、素子の効率劣化に繋がるという課題もある。また、梁型構造体111の厚みhの増大により、構造アスペクト比が大きくなり、製作難易度が上昇することは言うまでもない。以上のような課題を回避するには、上述したように、梁型構造体111の厚みhを式(8)の条件の近傍またはそれより小さい値に設定することが望ましい。
さらに説明を補足するため、従来技術との比較を行う。図3(d)に、従来の技術概念である有効媒質近似理論を用いた梁型構造体111からなる微細周期構造における光学特性の一例を示す。従来技術で説明したように、シリコン等の高い屈折率材料を微細周期構造に用いて、かつ有効媒質近似理論を適用する場合、入射光の波長の10〜20分の1程度以下の構造幅および構造周期が必要となる。梁型構造体111の媒質をSi(n1=3.48)、入射光の波長λを1550nmとした場合、梁型構造体111の周期pは100nm以下が望ましい。したがって、ここでは、梁型構造体111の周期pを80nm、梁型構造体111の幅wを1nm〜80nmとし、その他の構造材料、寸法および入射光の波長は図3(b)の場合と同一条件である。なお、梁型構造体111の幅wの値は式(6)の下限の値よりも小さい。
図3(d)から明らかなように、梁型構造体111の幅wが周期pの値に近づくにつれ、位相変化量(近似的な媒質としての実効的な屈折率)が増大するものの、透過率が大きく低下する。これは、実効的な比誘電率εrのみで屈折率nを変化させているため、梁型構造体111による近似的な媒質の波動インピーダンスZ1と周囲媒質の波動インピーダンスZ2との差が大きく異なり、大きな光反射が生じたためである。
また、図内の灰色の領域は透過率が90%未満の領域を示しており、位相変化量1.25π〜2πの領域と重なっていることがわかる。したがって、この位相変化量の領域が要求される機能において、素子の効率が大きく劣化するという課題がある。また、要求される微小幅の梁型構造体111により、構造アスペクト比が極端に大きくなり、現在の微細加工技術で製作が困難なことは言うまでもない。以上のように、本実施形態と同様の構成で同等の特性を従来の技術概念で実現しようとすると、透過率低下に起因する素子効率の劣化や構造アスペクト比の極端な増大が生じる。
(回折格子)
本実施形態1の構造を用いた光学素子の一例として、図4(a)に位相分布の位相変化量の勾配が線形かつ総位相変化量が0〜2π必要な一次元回折格子(グレーティング)を梁型構造体アレイ210で形成した例の断面図を示す。この例では、回折格子の周期P内を波長以下の梁型構造体周期pで分割し、所望の光学機能を実現する理想の空間的な位相分布に整合するように、それぞれの周期内の梁型構造体211の幅wを決定することで、図4(b)に示すような既存の位相回折格子と同等の機能の光学素子を実現できる。また、本構造は一定の構造厚みであるため、効率低下の一因となるシャドー効果が生じず、既存の位相回折格子と比較して高い回折効率を実現できる。
なお、梁型構造体211の周期p内における梁型構造体211の位置に制約はなく、例えば図4(c)に示すように、常に梁型構造体211の周期p内の中央に配置する場合や、図4(d)に示すように、光学素子としての回折効率が最大となるような梁型構造体211の配置位置の最適化を行う場合が考えられる。さらに、上記の梁型構造体211は光共鳴を原理とするため、一定の周期性を必要とせず、例えば図4(e)に示すように、光学素子としての回折効率が最大となるような梁型構造体211の数、幅wおよびその分布の最適化をすることができる。
(シリンドリカルレンズ)
また、この他にも、上記のような梁型構造体211を用いることで、一方向にのみ集光機能を持ったシリンドリカルレンズと同等の機能をもつ光学素子を形成する例も考えられる。一般に集光機能を実現するために理想的な位相変化量φは、レンズ中心からの距離r、入射光の波長λ、焦点距離fを用いて次式で表される。
φ(r)=(2π/λ)×(f−(r2+f21/2)+2πm (11)
ここでmは正の整数である。図には示さないが、この場合も上記と同様に、式(11)に示すような所望の光学機能を実現する理想の位相分布に整合するように、梁型構造体211の数、幅w、分布を決定または最適化し、基板上に配置すればよい。
(二次元平面レンズ)
以上は、一次元方向のみ光の位相を制御し、光学機能を実現する素子について述べたが、その他の例として、図5(a)に二次元平面において光の位相を制御し、光学機能を実現する素子の上面図を示す。図5(a)に示す素子は、二次元方向において集光機能を有するレンズを上記の梁型構造体311で形成した例である。この実施形態では、位相変化量の勾配方向が極座標系の動径方向であるため、梁型構造体311を波長以下の周期pの間隔で円環状に配置し、所望の光学機能を実現する理想の位相分布に整合するように、梁型構造体311の幅wを決定する。これにより、式(11)または図5(b)に示すような位相分布を形成することに可能となり、通常のレンズやフレネルレンズに相当する機能を有する光学素子が実現できる。
なお、以上の例では、図4(c)に示したような、常に梁型構造体周期p内の中央に構造を配置する場合について示したが、上記で既に述べたような梁型構造体周期p内の配置位置の自由度を与える方法や、一定の周期性を必要としない梁型構造体の数、幅、分布の最適化を行う方法も適用できることは言うまでもない。
また、その他の二次元平面において光の位相を制御する例として、図6に示すような、複数の同一の幅Wを有する梁型構造体ユニット410を1単位とし、所望の光学機能を実現する理想の位相分布に整合するように梁型構造体411の幅wを決定した複数の梁型構造体ユニット410を、二次元平面上に配置する例が考えられる。
[実施形態2](連続傾斜型微細梁型構造体アレイ)
(回折格子)
次に、図7(a)〜(d)に、本発明の実施形態2に係る光学素子の基板上の位置に対する位相変化量φと、微細構造体の例を示す。本実施形態2の構成では、梁型構造体511の幅wを位置の関数として連続的に変化させ、所望の光学機能を実現する理想の位相分布を形成することができる。この例は、実施形態1と異なり、位相分布の変化方向と梁型構造体511の長軸方向とが平行であり、所望の位相分布に整合するように連続的に梁型構造体511の幅wを変化させるように梁型構造体アレイ510を形成する。この方法により、従来の光学素子において生じていた、図7(a)の点線で示すような離散的(階段状)な位相分布の理想の位相分布からのズレに起因した素子の効率低下を、図7(a)の実線で示すように位相変化量φを位置xの関数として連続的に変化させ、理想の位相分布に近づけることで解決することができる。
また、従来技術では、光学素子としての周期(例えば、回折素子であれば回折格子の周期P)が、微細構造体自体の周期p(図17を参照)の倍数である必要があるため、光学機能の設計(例えば、回折格子であれば回折角の設計)に制約が存在する。しかし本実施形態2においては、位相分布形成に微細構造体自体の周期性を必要としないため、自由な光学素子の周期の設定および光学機能の設計が可能である。さらに、図3(b)に示すように、すべての位相変化量に対して反射光を同等に抑制することができ、透過直後の光強度の空間的な揺らぎも抑制することができる。
図7(b)に、本発明の実施形態2に係る光学素子の微細構造体の一例として、実施形態1と同様に、一次元回折格子を上記梁型構造体511で形成した例を示す。この例では、回折格子の周期P内において、図7(a)に示すような理想の空間的な位相分布に整合するように、梁型構造体511の幅wを梁型構造体511の長軸方向(x軸方向)に対して連続的に変調することで、図4(b)に示すような既存の位相回折格子と同等の機能の光学素子を実現できる。
なお、この例では、平面上で同一の機能を実現するため、梁型構造体511の長軸方向と垂直な方向(y軸方向)に波長以下の周期pで複数の梁型構造体511を配置しているが、単一構造でも一定の平面領域内においては動作可能である。また、この例では、図7(c)に示すように梁型構造体511の長軸を中心に梁型構造体511の両端間の距離を梁型構造体511の幅wと設定しているが、図7(d)に示すように梁型構造体511の一端から梁型構造体511の長軸まで距離を梁型構造体511の幅wと設定してもよい。また、上記の2種類の構造にこだわらず、位相変化量を梁型構造体511の幅wに置き換えた構造であればよい。
(シリンドリカルレンズ)
また、この他にも、上記のような梁型構造体511を用いることで、一方向にのみ集光機能を持ったシリンドリカルレンズと同等の機能をもつ光学素子を形成する例も考えられる。図には示さないが、この場合も上記と同様に、式(11)に示すような所望の光学機能を実現する理想の位相分布に整合するように、梁型構造体511の幅wを位置xの関数として連続的に変化させ、基板上に単数または複数配置すればよい。
(2次元平面レンズ)
以上は、1次元方向のみ光の位相を制御し、光学機能を実現する素子について述べた。実施形態1と同様に、その他の例として、図8に、実施形態2に係る光学素子の2次元平面において光の位相を制御し、光学機能を実現する素子の上面図を示す。図8に示す素子は、2次元方向において集光機能を有するレンズを幅wを極座標系における位置の関数として連続的に変化させた梁型構造体611で形成した例である。この実施形態では、位相変化量の勾配方向が極座標系の動径方向であるため、梁型構造体611をレンズの中心から放射状に配置し、所望の光学機能を実現する理想の位相分布に整合するように、梁型構造体611の幅wをレンズの中心からの距離rの関数として連続的に変化させる。これにより、式(11)に示すような位相分布を形成することが可能となり、通常のレンズやフレネルレンズに相当する機能を有する光学素子が実現できる。
なお、以上の例では、図7(c)に示したような梁型構造体611の長軸を中心に梁型構造体611の両端間の距離を梁型構造体611の幅wを設定しているが、図7(d)に示すように梁型構造体611の一端から長軸までを梁型構造体611の幅wとして設定してもよい。また、上記の2種類の構造にこだわらず、位相変化量を梁型構造体の幅wに置き換えた構造であればよいということは言うまでもない。
また、その他の2次元平面において光の位相を制御する例として、実施形態1と同様に、複数の同様に幅が連続的に変調された梁型構造体を1つのユニットとし、所望の光学機能を実現する理想の位相分布に整合するように複数のユニットを、2次元平面上に配置する例が考えられる。
[実施の形態3](離散型微細柱型構造体アレイ)
(基本構造)
上記では、1方向の寸法が波長以下の微細構造体で光共鳴を生じさせ、複合構造の比誘電率εrおよび比透磁率μrの変化による、実効的な波動インピーダンスZと屈折率nの制御により光学素子を形成する例であった。次に、上記の構造を2次元的に拡張し、直交する2方向の寸法が波長以下の構造による光学素子形成の例を示す。
図9(a)、(b)に、微細構造体として、基板上に配置した微細柱型構造体アレイ710を用いた例を示す。図9(a)、(b)はそれぞれ、柱型構造体アレイ710の一部を上部から見た図および側面から見た断面図である。なお、柱型構造体アレイ710の周期pは、1次以上の回折光が生じないよう、入射光の波長以下であり、正方格子状に配置する。なお、波長以下の間隔であれば、六方格子状等のその他の配置形態でもよい。また、柱型構造体711の上下面は正方形である。
上記の構造では、柱型構造体711を構成する材料の屈折率が周囲媒質に比べて高い場合、実施形態1と同様に、入射光の電界・磁界それぞれに応答する光共鳴が生じ、柱型構造体711とその周囲媒質からなる複合構造720の比誘電率εrと比透磁率μrの変化が生じる。また、実施形態1と同様に、入射光の波長をλ、柱型構造体711の厚みをh、柱型構造体711内部での光の等価屈折率をneff、任意の整数をmとした場合、光共鳴が生じる条件は式(5)で表され、屈折率neffは梁型構造体711の幅wに依存するため、柱型構造体711の幅wの変化のみで共鳴状態を制御できる。したがって、上記共鳴の共鳴状態を柱型構造体711の幅wとその分布状態を変化させることで、波動インピーダンスZと屈折率nを基板上の位置によって変化させることが可能となる。
なお、実施形態1と同様に、柱型構造体711の幅wは式(6)で示される下限の値より大きい方が望ましい。また、上記の光共鳴を少なくとも1つ利用するには、柱型構造体711の厚みhが式(7)で示される柱型構造体711の厚みhの下限hminより大きい必要がある。さらに、柱型構造体711の厚みhが一定の場合において、柱型構造体711の幅wの変化のみで複合構造720を透過する光の位相変化量の範囲を0〜2πとするには、柱型構造体711の厚みhを式(8)の近傍に設定する必要がある。
なお、実施形態1と同様に、柱型構造体711の厚みhは、上記条件より大きな値をとった場合においても、位相変化量の範囲0〜2πを保持できるが、構造アスペクト比が増大するという課題がある。さらに、シリコン等の高屈折率材料を柱型構造体711に用いた際、上記条件より大きな値をとった場合に不要な光共鳴が発現し、柱型構造体711の幅wの一部の値において大きな反射光が生じるという課題がある。以上から、柱型構造体711の厚みhは、上記条件の近傍またはそれより小さい値に設定することが望ましい。
また、実施形態1と同様に、上記光共鳴の効果によって変化する複合構造720の比誘電率εrと比透磁率μrは、複合構造720による反射光を抑制するために、複合構造720の波動インピーダンスZ1を周囲媒質の波動インピーダンスZ2と整合状態となる値またはその近傍をとることが望ましい。まず、複合構造720と下部層(基板)701の媒質との界面による光反射については、下部層701の媒質の屈折率をn3、許容できる反射率の上限をRmax=0.1とするとき、式(9)を満たすような比誘電率εrと比透磁率μrが望ましい。
同様に、複合構造720と上部層(複合構造の下部層701と接する面と対向する面と接する層)の媒質との界面による光反射については、上部層の媒質の屈折率をn2、許容できる反射率の上限をRmax=0.1とするとき、式(10)を満たすような比誘電率εrと比透磁率μrが望ましい。
具体的な一例として、図9(c)に、計算によって取得した柱型構造体711からなる複合構造720の比誘電率εrと比透磁率μrを示す。また、図9(c)の濃淡は微細構造体の波動インピーダンスZにより決定される光の透過率を示す。ここでは、周囲の媒質を空気(n=1)、柱型構造体711の媒質をSi(n=3.48)、入射光の波長λを1550nm、柱型構造体711の周期pを600nm、高さhを700nmとし、柱型構造体711の幅wを100nm〜460nmの範囲で変化させる。
このとき、実施形態1と同様に、光共鳴の効果により、比誘電率εrと比透磁率μrの両者が変化し、かつ空気の波動インピーダンスZaとほぼ整合した状態で屈折率nが増減する。なお、図上の複数の直角双曲線上の高透過率のラインは、光共鳴条件を満たしており、比誘電率εrと比透磁率μrの値がこのライン上に存在する場合においても、光共鳴状態を実現できる。
より具体的に、図10(a)に示す石英基板701上に配置した上記の柱型構造体711に、基板701側から光を入射した際の光の梁型構造体711の幅wに対する透過率Tと位相変化量φを図10(b)に示す。図10(b)から明らかなように、柱型構造体711の幅wの変化のみで、90%以上の透過率T(実線)を保持しながら、位相変化量φ(点線)を0から2πまで制御可能である。この特性により、反射光を抑制しながら、柱型構造体711の高さ一定のまま、柱型構造体711の幅wの変化のみで位相変化量φ(すなわち屈折率n)を変化させることが可能となる。
したがって、光学素子を形成するには、所望の光学機能を実現可能な位相分布に整合するように、順次要求される位相変化量を有する幅wをもつ柱型構造体711を、その位相変化量が要求される位置にそれぞれ配置すればよい。なお、この例では、柱型構造体711のアスペクト比はw=100nmにおいて7となり、一般的なエッチングプロセスで十分に製作できる構造体である。また、ここでは、基板701側から光を入射した例を挙げたが、微細構造体側(上部層側)から光を入射してもよい。
さらに説明を補足すると、柱型構造体711は上下面が正方形としたが、円形でもよい。また、柱型構造体の上下面を長方形や楕円形にすることで、直交する入射偏光に対して異なる位相変化量を与えることができ、偏光素子を形成することができる。また、柱型構造体の断面についても、図9(b)に示すような長方形に限らず、同様の光学特性が生じる台形や三角形等の断面形状も採用できる。
(回折格子)
上記の柱型構造体を用いた光学素子の一例として、図11(a)に、実施形態1および2と同様に、一次元回折格子を柱型構造体アレイで形成した例を示す。この例では、回折格子の周期P内を波長以下の柱型構造体811の周期pで分割し、所望の光学機能を実現する理想の空間的な位相分布に整合するように、それぞれの周期内の柱型構造体811の幅wを決定することで、図4(b)に示すような既存の位相回折格子と同等の機能の光学素子を実現できる。
なお、実施形態1と同様に、柱型構造体811の周期p内における柱型構造体811の位置に制約はなく、例えば図11(b)に示すように、常に柱型構造体811の周期p内の中央に配置する場合や、図11(c)に示すように、光学素子としての回折効率が最大となるような配置位置の最適化を行う場合が考えられる。さらに、上記の柱型構造体811は光共鳴を原理とするため、一定の周期性を必要とせず、例えば図11(d)に示すように、光学素子としての回折効率が最大となるような柱型構造体811の数、幅wおよびその分布の最適化をすることができる。なお、これまでに挙げたシリンドリカルレンズや円形レンズといった光学素子に対しても同様の構造および規則で実現できる。
(偏光ビームスプリッタ)
また、この他にも、上記のような柱型構造体811を用いることで、偏光素子を形成することができる。一例として、図12(a)〜(c)に、本発明の実施形態3に係る光学素子の基板上の位置に対する位相変化量φと、偏光ビームスプリッタを構成する上面が長方形である柱型構造体911の例を示す。上記で説明したように、上面を長方形とすることで、直交する入射偏光に対して異なる位相変化量を与えることができる。
ここで、図12(b)に示すように縦方向の偏光成分に平行な方向の柱型構造体911の幅をw1とすると、縦方向の偏光成分の位相変化量は、柱型構造体911の幅w1によって独立に制御でき、その両者の関係は、図10(b)と同様である。同様に、横方向の偏光成分に平行な方向の柱型構造体911の幅をw2とすると、横方向の偏光成分の位相変化量は、柱型構造体911の幅w2によって独立に制御できる。したがって、例えば、図12(a)の実線で示すように縦方向の偏光成分のみ線形に変化する位相分布を与え、横方向の偏光成分に対しては、図12(a)の点線で示すように一定の位相変化量を与えることができる。これにより、図12(c)に示すような、縦偏光のみ光が偏向し、横偏光は直進するような偏光ビームスプリッタの機能を有する光学素子を形成できる。また、偏光ビームスプリッタの機能に限らず、形成する位相分布によっては、偏光成分毎に異なる焦点距離をもつレンズや、縦偏光はレンズ機能で横偏光は回折格子機能をもつ光学素子等、偏光成分毎に様々な光学機能を与えることが可能である。
なお、上記回折格子の例と同様に、柱型構造体周期p内における柱型構造体911の位置に制約はなく、常に柱型構造体911の周期p内の中央に配置する場合や、光学素子としての回折効率が最大となるような配置位置の最適化を行う場合が考えられる。さらに、光学素子としての回折効率が最大となるような柱型構造体911の数、幅wおよびその分布の最適化をすることができる。
(光学素子の実装形態)
実施形態1〜3において説明した各微細構造体および光学素子の実装形態について例を示す。
[実施形態4](微細構造体埋め込み型)
図13に、本発明の実施形態4に係る光学素子の一例の断面図を示す。本実施形態4では、実施形態1〜3のいずれかの光学素子の微細構造体1011が下部層(基板)1001および上部層1002の材料によって埋め込まれている構成としたものである。図13に示すように、微細構造体1011の周囲を上部層1002を構成する他の材料で満たすことで、形成する光学素子に対して、外力からの保護効果や防塵効果を付加できる。また、下部層1001および上部層1002を構成する材料は、同一であっても異なっていてもよい。
[実施形態5](基板両面への配置)
図14に、本発明の実施形態5に係る光学素子の一例の断面図を示す。本実施形態5では、実施形態1〜3のいずれかの光学素子の微細構造体1111−1、1111−2が下部層(基板)1101の両面に形成されている構成としたものである。図14に示すように、微細構造体1111−1、1111−2を基板1101の両面に配置することで、一層のみの位相変調では困難な複雑な光波面の制御を実現することができる。このとき両面の微細構造体1111−1、1111−2の形状・分布は同一であっても異なっていてもよく、同一または異なる位相変調の重ね合わせとすることが可能である。
[実施形態6](曲面基板への配置)
図15に、本発明の実施形態6に係る光学素子の一例の断面図を示す。本実施形態6では、実施形態1〜3のいずれかの光学素子の微細構造体1211が曲面を有する下部層(基板)1201上に形成されている構成としたものである。図15に示すように、例えば、微細構造体1211を曲面状の基板1201であるレンズ上に形成させることで、レンズによる位相変調に加えて、微細構造体1211による位相変調の効果を付加し、複雑な光波面の制御を実現することができる。または、微細構造体1211を曲面状の基板1201上に配置することで、曲面構造による位相変調の効果を打消し、光を直進させるような効果を実現することもできる。
[実施形態7](発光素子上への配置)
図16に、本発明の実施形態7に係る光学素子の一例の断面図を示す。本実施形態7では、実施形態1〜3のいずれかの光学素子の微細構造体1311が発光ダイオードや面発光レーザといった発光素子1301の表面または上部層に形成されている構成としたものである。図16に示すように、発光素子1301上に微細構造体1311を配置することで、発光素子1301に指向性制御機能、偏光制御機能、ビーム整形機能、集光機能等を新たな付加することができる。また、発光素子1301としては、半導体レーザ、面発光レーザ、発光ダイオード、熱輻射光源等が挙げられる。
以上、本発明を具体的な実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態1〜7に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、図2〜12はすべて光学素子の一部を例示したものであり、これらの繰り返しがその周囲に縦方向、横方向に続いていることは言うまでもない。また、これらのパターンを複数組み合わせて同一平面上に形成してもよい。また、実施形態4で説明した実装形態についても、例えば、図13〜16に例示した形態を、用途に応じてそれぞれを組み合わせて実装することが可能である。
101、201、301、401、501、601、701、801、901 下部層(基板)
111、211、311、411、511、611 梁型構造体
110、210、510 梁型構造体アレイ
410 梁型構造体ユニット
710、810、910 柱型構造体アレイ
711、811、911 柱型構造体
1001、1101、1201、1301 下部層(基板)
1011、1111、1211、1311 微細構造体
1002 上部層

Claims (13)

  1. 基板と、前記基板上に繰り返し周期を有して形成された複数の構造体とを有する光学素子であって、前記複数の構造体により一次元回折格子が形成された光学素子において、
    前記複数の構造体は、入射光の波長以下の間隔で配置されており、
    前記複数の構造体の媒質の屈折率、ならびに前記複数の構造体の各々の光の伝搬方向の長さ、および前記複数の構造体の各々の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さは、前記複数の構造体と前記複数の構造体間の周囲媒質とからなる複合構造において光共鳴を引き起こす屈折率および長さであり、
    前記複数の構造体の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さであって、前記一次元回折格子の短手方向の長さが、前記一次元回折格子の周期内における前記一次元回折格子の長手方向の位置の関数として連続的に変調されている、ことを特徴とする光学素子。
  2. 基板と、前記基板上に繰り返し周期を有して形成された複数の構造体とを有する光学素子であって、前記複数の構造体により一次元回折格子が形成された光学素子において、
    前記複数の構造体は、入射光の波長以下の間隔で配置されており、
    前記複数の構造体の媒質の屈折率、ならびに前記複数の構造体の各々の光の伝搬方向の長さ、および前記複数の構造体の各々の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さは、前記複数の構造体と前記複数の構造体間の周囲媒質とからなる複合構造において光共鳴を引き起こす屈折率および長さであり、
    前記複数の構造体の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さであって、前記一次元回折格子の短手方向の長さが、前記一次元回折格子の周期内における前記一次元回折格子の長手方向の位置に応じて段階的に増加又は減少する、ことを特徴とする光学素子。
  3. 前記複数の構造体が配置される方向は、前記光の伝搬方向に対して垂直な単一の方向、または前記光の伝搬方向に対して垂直な互いに直交する2つの方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記複数の構造体が配置される方向は、前記光の伝搬方向に対して垂直な極座標系における動径方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  5. 前記構造体の前記光の伝搬方向の長さが、前記構造体の媒質内での光の波長の半分より大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 前記構造体の媒質の屈折率をn1、前記周囲媒質の屈折率をn2、前記基板の媒質の屈折率をn3とするとき、n1>n2およびn1>n3を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  7. 前記構造体の媒質の屈折率をn1、前記周囲媒質の屈折率をn2、前記構造体の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さをw、前記入射光の波長をλとするとき、w>=0.6×(λ/π)/(n1 2−n2 21/2を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  8. 前記複合構造の比誘電率をεr、比透磁率をμr、前記周囲媒質の屈折率をn2、前記基板の媒質の屈折率をn3とするとき、
    (1/n2)(1−0.11/2)/(1+0.11/2)<=(μr/εr1/2<=(1/n2)(1+0.11/2)/(1−0.11/2)、
    (1/n3)(1−0.11/2)/(1+0.11/2)<=(μr/εr1/2<=(1/n3)(1+0.11/2)/(1−0.11/2
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  9. 前記複数の構造体の各々の前記光の伝搬方向に対して垂直方向の長さが前記基板上の位置によって周期的に変化していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  10. 前記複数の構造体間の間隔が一定でないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
  11. 前記複合構造が前記基板の両面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学素子。
  12. 前記基板の前記構造体が形成されている表面が曲面であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学素子。
  13. 発光素子をさらに備え、前記基板が前記発光素子の出射面を構成していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学素子。
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