JP6988045B2 - 小房子嚢菌の同定法 - Google Patents

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本発明は、小房子嚢菌を同定する方法に関する。
従来、菌類はツボカビ門、接合菌門、子嚢菌門、担子菌門の4つの門に分類されてきた。この分類法は菌類の有性生殖様式を基盤とした分類法であり、比較形態の類似性に依存している。また、18S rDNAや28S rDNAの塩基配列解析等からの分子系統学的証拠も、この門レベルの分類を支持している。子嚢菌門は菌類の中で、担子菌門(キノコ類)と共に菌類全体の70%を占める大きな分類グループで構成されており、半子嚢菌類に含まれるコウボ様真菌を除いては子実体を形成する。この子実体は、形態により次の4つ、閉子嚢殻、子嚢殻、子嚢盤、偽子嚢殻、に大きく分けられる。子嚢菌の分類は子実体の形成様式が重視されてきたが、子実体の形態には中間的なもの、特殊なものも多く、それらの分類学的な帰属については不明なものもあった。更に、綱レベルより下の階層にある分類群は古くから混乱が多く、分類学上の位置が定まっていない状態である。古い分類では半子嚢菌綱、不整子嚢綱、核菌綱、ラブルベニア綱、小房子嚢菌綱に大別されてきた(非特許文献1)
しかし、分子系統学的研究によって、菌類相互の類縁関係が推定できるようになり、子嚢菌の分類体系が大きな改変を迫られるに至っている。非特許文献2によって提案された新分類体系では、子嚢菌門はタフリナ亜門、サッカロミケス亜門、ペジザ亜門に大別され、小房子嚢菌綱はペジザ亜門に収容されるようになった。この新分類体系では子嚢菌の限定された属や種を単に同定するシステムではなく、目あるいは科レベルの高次分類群を正確に検出できる手法の提供であり、医学分野、農学分野、多様性解析の環境分野あるいは品質管理分野においても利用されるようになってきた。しかし、一方では現存する生物の情報からだけで系統を追及することの危険性とこれを解決する手段として過去に保存された標本から遺伝子情報を取り出すことの重要性も指摘されるようになった。小房子嚢菌の系統分類に関しては塩基配列情報と標本に残っている形態情報の一致が重視されており、すべての属についてタイプ標本を検討し、塩基配列データのために新しく材料を収集して新鮮な材料に基づいて分子系統解析を検証することが提言されている。属が同定できれば、下層の種等を同定することは比較的容易であるため、少なくとも属を正確に同定することが望まれている。
小房子嚢菌は、菌類界最大級のグループであり(菌類全体の1/5を占める)、形態的な特徴として、子実体は接合する前の栄養菌糸で作られ、栄養菌糸は菌塊状に発達し、子座と呼ばれる子実体を形成する。接合過程で形成された子嚢はこの菌塊内の空洞部にできる。近隣のSordariomycetes(核菌類)の子実体は接合によって生じた菌糸に由来し、子嚢殻と呼ばれる。これに対して上述の菌塊部は構成要素が異なるので、偽子嚢殻と呼ばれている。また、小房子嚢菌は、植物体上に腐生的に生活するか寄生し、子実体は偽子嚢殻を形成し、2重壁子嚢を含有する。また、子嚢の中に単細胞〜多数の隔壁を有した子嚢胞子を形成する。
小房子嚢菌は、現在、11目90科1302属19010種が知られている(非特許文献3)。日本では古くから植物病原菌中心に約700種が報告されている。具体的には、小房子嚢菌は、子嚢菌類の内クロイボタケ綱(Dothideomycetes)と分類されており、現在、プレオスポラ目(Pleosporales)、ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)、モジカビ目(Hysteriales)、カプノディウム目(Capnodiales) 、クロイボタケ目(Dothideales)、ミリアンギウム目(Myriangiales)、ミティリニディオン目(Mytilinidial
es)、ヤーヌラ目(Jahnulales)、パテラリア目(Patellariales)、タテガタキン目(Microthyriales)、トリペテリウム目(Trypetheliales)の11種類の目に分類されている。
従来、小房子嚢菌は、菌糸体や子実体の形成様式や、子嚢の構造、子嚢胞子の形態観察により分類されてきた。
生物標本は、生物の存在を示す物的証拠であり、生物多様性情報が搭載された公文書的生物標本である。菌類においても、近年、分子系統学的研究目的で、菌類標本からDNAを抽出する研究が多くなってきた。特に、分類学ではタイプ標本を含む標本が絶対的な存在価値を持つため、菌類標本から塩基配列情報を得ることが出来れば、現在、世界で知られている10万種に及ぶ菌類の分類、同定法を標本の塩基配列情報と形態の一致から再整理することが可能となり、菌類分類学に与えるインパクトは大きい。
一般的な菌類の生物標本からの遺伝子抽出法には、凍結―加熱溶解法、ソニケーション法、ガラスビーズ法、液体窒素法、ホモジナイズ法、スライドガラス加圧法などがある(非特許文献4、5)。また、非特許文献6には、金づち法によるツボカビ門、接合菌門、子嚢菌門、担子菌門、不完全菌類の培養菌体からのDNAを抽出する方法が報告されている。
また、小房子嚢菌の同定については、大部分は培養菌体から行った報告であり、非特許文献7のように、僅かに子実体から同定を行った報告があるが、いずれも採集から約3年の新しい標本を使用したものであった。
生物薬科学実験講座、第13巻、2003年、P89−119、廣川書店 Hibbett et al, 2007. A higer-level phylogenetic classification of the Fungi. Mycological Research 111:509-547 Ainsworth & Bisby's Dictionary of the fungi, ed by P.M.Kirk et al., 10版,CABI. R.A.Haugland et al. 1999.Evaluation ofdifferent methods for the extraction of DNA from fungal conidia by quantitative competitive PCR analysis. J.Microbiol. Method. 37:165-176. A.Weir & M. Blackwell. 2001. Extraction and PCR amplification of DNA from minute ectoparasitic fungi. Mycologia 93:802-806 四本能尚、大原亜紀子、三川隆 Microbiol. Cult. Coll. 1995年. p19-21糸状菌DNAの簡便な抽出・精製法 A.Sultan et al., 2011. Two new pathogenic ascomycetes in Guignardia and Rosenscheldiella on New Zealand's pygmy mistletos (Korthalsella: Viscaceae) Stud. in Mycology 68:237-247
配列解析、分子系統解析等のために、子実体から菌を培養し、DNAを抽出し、PCR反応によりDNAを増幅することが常法である。しかし、乾燥標本(特に古い乾燥標本)では、形態は保存されているが菌がほぼ死滅しており、培養は困難であった。
また、PCR法は一般に少量の鋳型DNAから特定のDNA領域を大量に増幅する方法として用いられている。しかし、確実なPCR反応を行うには比較的多量の菌量(胞子数
でいうと1×1025/mL)のサンプルを必要とする。ところが小房子嚢菌の乾燥標本から多量の菌を採取するには標本を大量に使用する必要があり、且つ、標本を大きく損傷させてしまうため、標本価値を損ねてしまうなど、現実的でない。
また、多量の標本を採取できたとしても、子実体の固い炭化した子実体、該子実体中の二重壁構造を有した厚膜の子嚢から子嚢胞子を取り出すには、子実体の物理的な破砕法が必要である。従来、子実体を破砕可能な手法として、ホモジナイズ法、ソニケーション法、ガラスビーズ法、スライドガラス加圧法などが知られているが、これらの破砕法では、簡便且つ効率的に子実体を破砕することができず、抽出を繰り返す工程を経る必要があり、DNAの収率を著しく低減させることは避けられない。また、これらの破砕法は大量の乾燥菌体(60mg〜1g)を使用するもので、キノコなどの大形標本には適用できるが、小房子嚢菌のような微小な菌類(子実体の直径が100μm〜500μm)の標本からDNAを抽出するための破砕法としては、子実体の量が少ないため適用できない手法であることが分かった。
また、非特許文献6に培養菌体からDNAを抽出する方法が報告されている。この方法は培養菌体からのDNA抽出には適合しているが、微小な子実体からDNAを抽出することはできなかった。
また、小房子嚢菌の同定については、大部分は培養菌体から行った報告であり、僅かに非特許文献7のように、子実体から同定を行った報告があるが、いずれも採集から約3年の新しい標本を使用したものであった。その場合には、真菌に共通なプライマーセットでDNA増幅を行うことで、小房子嚢菌の同定が行えたことが報告されている。しかし、小房子嚢菌の古い標本では、真菌に共通なプライマーセットでは、小房子嚢菌の同定が行えなかった。
このように、従来の方法あるいは従来の方法の変法では、二重璧の子嚢からなる小房子嚢菌の子実体からDNAを抽出し、配列解析や分子系統解析等で同定することが難しかった。
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、簡便且つ正確に、小房子嚢菌、特には小房子嚢菌の古い標本からDNAを抽出し、更に、小房子嚢菌の目、科、属、種等(特には属や種)を同定する方法及び、該方法に使用するプライマーセットおよびキットを提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題に鑑みて鋭意検討を行った。本発明者らは、小房子嚢菌のDNA抽出法について種々検討してきたところ、従来の抽出法では、特に古標本の小房子嚢菌の子実体からDNA抽出することができないが、子実体を支持体に固定し、ドリルで破砕することで、簡便に小房子嚢菌のDNAを抽出できることを見出し、本発明を完成した。
また、小房子嚢菌の属の同定法について種々検討してきたところ、小房子嚢菌の目毎に特異的なプライマーセットを用いてDNAを増幅し、更に、前記増幅されたDNAを用いて、配列解析又は分子系統解析を行うことによって、正確且つ簡便に小房子嚢菌の属の同定ができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
小房子嚢菌を同定する方法であって、
(A)小房子嚢菌のDNAを調製する工程;
(B)前記工程(A)で調製されたDNAを鋳型として、小房子嚢菌の28S rDNA内の
小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いたPCRによって、小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程;及び、
(C)前記工程(B)で増幅された遺伝子を検出する工程;
を含む、小房子嚢菌を同定する方法。
[2]
小房子嚢菌を同定する方法であって、
(A)小房子嚢菌のDNAを調製する工程;
(B)前記工程(A)で調製されたDNAを鋳型として、小房子嚢菌の28S rDNA内の配列番号6で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーからなる小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いたPCRによって、小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程;及び、
(C)前記工程(B)で増幅された遺伝子を検出する工程;
を含む、小房子嚢菌を同定する方法。
[3]
前記工程(A)における、小房子嚢菌のDNAの調製を、
(a)小房子嚢菌の子実体を支持体に固定する工程;
(b)切削ビットを備えた回転工具により、前記工程(a)で固定された子実体を粉砕する工程;及び、
(c)前記工程(b)で粉砕された子実体からDNAを抽出する工程、
を含む、小房子嚢菌のDNAを調製する方法により行う、[1]又は[2]に記載の小房子嚢菌を同定する方法。
[4]
小房子嚢菌を同定する方法であって、さらに、
(C)前記工程(B)で増幅された小房子嚢菌の遺伝子を遺伝子配列相同性解析又は分子系統解析する工程、
を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の小房子嚢菌を同定する方法。
[5]
小房子嚢菌を同定する方法であって、
(A)小房子嚢菌のDNAを調製する工程;
(B)前記工程(A)で調製されたDNAを鋳型として、真菌の28S rDNA内の塩基配列もしくはその相補的塩基配列を含む、真菌に共通なプライマーセットを用いた第1のPCRによって小房子嚢菌の遺伝子を増幅する工程;
(C)前記工程(B)で調製されたDNAを鋳型として、小房子嚢菌の28S rDNA内の小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いた第2のPCRによって、小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程;及び、
(D)前記工程(C)で増幅された遺伝子を検出する工程;を含み、
前記真菌に共通なプライマーセットは、少なくとも、小房子嚢菌の28S rDNA内の、前記第2のPCRにより増幅される領域を増幅可能である、
小房子嚢菌を同定する方法。
[6]
小房子嚢菌を同定する方法であって、
(A)小房子嚢菌の鋳型DNAを調製する工程;
(B)前記工程(A)で調製されたDNAを鋳型として、真菌の28SrDNA内の塩基配列もしくはその相補的塩基配列を含む、真菌に共通なプライマーセットを用いた第1のPC
Rによって小房子嚢菌の遺伝子を増幅する工程;
(C)前記工程(B)で調製されたDNAを鋳型として、小房子嚢菌の28S rDNA内の配列番号6で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーからなる小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いた第2のPCRによって、小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程;及び、
(D)前記工程(C)で増幅された遺伝子を検出する工程;を含み、
前記真菌に共通なプライマーセットは、少なくとも、小房子嚢菌の28S rDNA内の、前記第2のPCRにより増幅される領域を増幅可能である、
小房子嚢菌を同定する方法。
[7]
前記工程(A)における、小房子嚢菌のDNAの調製を、
(a)小房子嚢菌の子実体を支持体に固定する工程;
(b)切削ビットを備えた回転工具により、前記工程(a)で固定された子実体を粉砕する工程;及び、
(c)前記工程(b)で粉砕された子実体からDNAを抽出する工程、
を含む、小房子嚢菌のDNAを調製する方法により行う、
[5]又は[6]に記載の小房子嚢菌を同定する方法。
[8]
小房子嚢菌を同定する方法であって、さらに、
(D)前記工程(C)で増幅された小房子嚢菌の遺伝子を遺伝子配列相同性解析又は分子系統解析する工程、
を含む、[5]〜[7]のいずれかに記載の小房子嚢菌を同定する方法。
[9]
真菌に共通なプライマーセットが、配列番号2で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号3で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、又は、配列番号4で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号5で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせである、[5]〜[8]のいずれかに記載の小房子嚢菌を同定する方法。
[10]
小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットが、
(1)プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(2)ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号9で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(3)モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号11で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(4)カプノディウム目(Capnodiales) であれば、配列番号12で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号13で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(5)クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号15で表される塩基配列の相補的塩基
配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(6)ミリアンギウム目(Myriangiales)であれば、配列番号16で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号17で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(7)ミティリニディオン目(Mytilinidiales)であれば、配列番号18で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号19で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(8)ヤーヌラ目(Jahnulales)であれば、配列番号20で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号21で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(9)パテラリア目(Patellariales)であれば、配列番号22で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号23で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(10)タテガタキン目(Microthyriales)であれば、配列番号24で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号25で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(11)トリペテリウム目(Trypetheliales)であれば、配列番号26で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号27で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、から選ばれる少なくとも一種である、
[1]〜[8]のいずれかに記載の小房子嚢菌を同定する方法。
[11]
小房子嚢菌を同定するためのキットであって、
小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを含み、
前記小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットが、
(1)プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(2)ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号9で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(3)モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号11で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(4)カプノディウム目(Capnodiales) であれば、配列番号12で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号13で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(5)クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号15で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(6)ミリアンギウム目(Myriangiales)であれば、配列番号16で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号17で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(7)ミティリニディオン目(Mytilinidiales)であれば、配列番号18で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号19で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(8)ヤーヌラ目(Jahnulales)であれば、配列番号20で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号21で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(9)パテラリア目(Patellariales)であれば、配列番号22で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号23で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(10)タテガタキン目(Microthyriales)であれば、配列番号24で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号25で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ;
(11)トリペテリウム目(Trypetheliales)であれば、配列番号26で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号27で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、から選ばれる少なくとも一種である、
キット。
[12]
小房子嚢菌を同定するためのキットであって、
さらに真菌に共通なプライマーセットを含み、
前記真菌に共通なプライマーセットが、配列番号2で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号3で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、又は、配列番号4で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号5で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、である、
[11]に記載のキット。
[13]
小房子嚢菌のDNAを調製する方法であって、
(a)小房子嚢菌の子実体を支持体に固定する工程;
(b)切削ビットを備えた回転工具により、前記工程(a)で固定された子実体を粉砕する工程;及び、
(c)前記工程(b)で粉砕された子実体からDNAを抽出する工程、
を含む、小房子嚢菌のDNAを調製する方法。
本発明の実施形態により、従来は達成し得なかった小房子嚢菌、特には小房子嚢菌の古い標本から簡便にDNAを抽出することが可能となり、更に、正確且つ簡便に、小房子嚢菌の属を同定することも可能である。
図1は、試験例1の実験結果を示す図(写真)である。 図2は、試験例2の実験結果を示す図(写真)である。
本発明の実施形態に使用する標本としては、小房子嚢菌、特には、少なくとも形態による小房子嚢菌の目に分類されたものを使用することができる。本発明のDNAの抽出法(調製法)によれば、小房子嚢菌類から簡便且つ効率的にDNAを抽出することができる。また、小房子嚢菌の目に特異的なプライマーを使用することによって、正確且つ簡便に小房子嚢菌の目、科、属、種等(特には属や種)を同定することができる。
小房子嚢菌は、現在11種が知られている。具体的には、プレオスポラ目(Pleosporales)、ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)、モジカビ目(Hysteriales)、カプノディウム目(Capnodiales) 、クロイボタケ目(Dothideales)、ミリアンギウム目(Myriangiales)、ミティリニディオン目(Mytilinidiales)、ヤーヌラ目(Jahnulales)
、パテラリア目(Patellariales)、タテガタキン目(Microthyriales)、トリペテリウム目(Trypetheliales)が挙げられる。当業者であれば、形態学的な解析により、小房子嚢菌の目を分類することができる。
形態解析としては、例えば、以下の手順で行うことが挙げられる。まず、子実体の着生している植物標本を標本ポケットから取り出し、実体顕微鏡(×10あるいは×20)で観察する。子実体の着生の位置、子実体の集合状況(単生、群生)、子実体のタイプ(子嚢殻、盾形、子嚢盤状など)を評価する。次に、柄付き針で子実体を分離して、顕微鏡下(×100〜×200)で子嚢が二重壁構造か確認する。また、子嚢胞子が未熟か、成熟か観察し、成熟胞子については、胞子の形態、隔壁数、色調等を観察して、暫定的に目、科、属、種のいずれかを同定する。
標本、検体等からのDNAの調製には、検出したい小房子嚢菌に合わせて、適宜、標本、検体等から子実体を採取して使用することができる。
本発明の一実施形態である、小房子嚢菌のDNAの調製法としては、前記子実体を支持体に固定し、切削ビットを備えた回転工具により、前記固定された子実体を粉砕し、続いて粉砕された子実体からDNAを抽出、さらに必要により精製する工程を含む。
本発明で使用可能な支持体としては、子実体を固定可能であり、切削ビットを備えた回転工具の使用に耐性があるものであり、且つ、DNAの抽出・精製やその後のPCRの工程を阻害しないものであればよい。当業者であれば、適宜選択して使用可能であるが、例えば、支持体としては、試験管が挙げられる。
本発明で使用可能な支持体への固定法としては、子実体を固定可能であり、切削ビットを備えた回転工具の使用で粉砕可能であるものであり、且つ、DNAの抽出・精製やその後のPCRの工程を阻害しないものであればよい。当業者であれば、適宜選択して使用可能であるが、例えば、接着剤で固定することが挙げられ、好ましくは瞬間接着剤、特に好ましくは木やガラス用の瞬間接着剤の使用が挙げられる。このような瞬間接着剤として、例えば、シアノアクリレート(cyanoacrylate)を主成分にした接着剤が挙げられる。
本発明で使用可能な切削ビットを備えた回転工具としては、固定した子実体を粉砕可能であればよいが、1000〜15000rpmで回転するものが挙げられる。好ましくは3000〜10000rpm、更に好ましくは5000〜8000rpmが挙げられる。また、切削ビットの大きさ等は、当業者であれば、小房子嚢菌に合わせて過度な試行錯誤無く選択することができる。
DNAの抽出・精製は、上記の手順で粉砕された子実体からDNAが抽出・精製できるものであれば特に限定されず、使用可能である。例えば、酵母からDNA抽出・精製可能な試薬が好ましい。このような試薬として、例えば、DNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社)やMasterPure Yeast DNA Purification kit(Epicentre Biotechnologies社)などが挙げられる。
本発明の一実施形態である小房子嚢菌のDNAの同定法では、小房子嚢菌のDNA、好ましくは上記のように調製したDNAをサンプルとして、本発明の実施形態における小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いて、目的の小房子嚢菌の目のDNAを感度良く特異的に増幅することができる。
本発明の実施形態において用いられる小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセット(プライマー対)としては、小房子嚢菌の28S rDNAの目に特異的なプライマーセット
が挙げられる。小房子嚢菌の28S rDNAの目に特異的なプライマーセットとしては、小房子嚢菌の28S rDNAの相同性解析(アラインメント解析)を行い、所定の目に相同性が高く、それ以外の目に相同性が低いことを指標に、該所定の目を特異的に増幅可能なプライマーセットを選ぶことができる。このようなプライマーセットとして、例えば、配列番号1に示す28S rDNA遺伝子の塩基配列の塩基番号80〜101及び塩基番号487〜507に相当する領域における、塩基配列に基づいて設計され、かつ、28S rDNA遺伝子の塩基配列を含む領域を増幅できるように設計したプライマーの組み合わせが挙げられる。
また、小房子嚢菌の28S rDNAの相同性解析を行った際に、配列番号6で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せを使用することができる。
同様に、小房子嚢菌の28S rDNAの相同性解析を行った際に、配列番号8で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号9で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;小房子嚢菌の28S rDNAの相同性解析を行った際に、配列番号10で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号11で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号12で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号13で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号14で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号15で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号16で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号17で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号18で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号19で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号20で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号21で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号22で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号23で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号24で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号25で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;配列番号26で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマー及び配列番号27で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列の全部、又は一部を含むプライマーを含む小房子嚢菌の目に特異的なプライマーの組合せ;を使用することができる。
ここで、相同であるとは、相同解析(アラインメント解析)を行った際に、プライマーの塩基配列又はその相補的塩基配列と28S rDNA内の塩基配列が、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、最も好ま
しくは100%の相同性を有することを意味する。
プライマーセットは、小房子嚢菌の28S rDNAの塩基配列を増幅できるように、同塩基配列の両側に位置し、かつ、一方がセンスプライマーとなり他方がアンチセンスプライマーとなるように設定される。
プライマーは、例えば、10塩基以上、15塩基以上、または20塩基以上の長さであってよい。また、プライマーは、例えば、50塩基以下、または30塩基以下の長さであってよい。
本発明の実施形態におけるプライマーとしては、目的の小房子嚢菌の目を特異的に増幅することができれば、上記プライマーの塩基配列において、1、2、3、4または5個程度の数塩基の置換・欠失・挿入・付加を行うことができる。特に、プライマーの5’末端には、鋳型配列にマッチした数塩基の付加があってもよい。そのようなプライマーも本発明のプライマーである。
本発明の実施形態における小房子嚢菌の目を特異的に増幅可能とは、目的の小房子嚢菌の目は増幅するが当該小房子嚢菌の目以外の小房子嚢菌は増幅しないか、増幅が有意に少ないことを意味する。
具体的には、プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号9で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番11で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、カプノディウム目(Capnodiales) であれば、配列番号12で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号13で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号15で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ミリアンギウム目(Myriangiales)であれば、配列番号16で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号17で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ミティリニディオン目(Mytilinidiales)であれば、配列番号18で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号19で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ヤーヌラ目(Jahnulales)であれば、配列番号20で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号21で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、パテラリア目(Patellariales)であれば、配列番号22で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号23で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、タテガタキン目(Microthyriales)であれば、配列番号24で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号25で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列の相補的塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、トリペテリウム目(Trypetheliales)であれば、配列番号26で表される塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号27で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同な領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせにより、28S rDNAを特異的に増幅可能である。
更に具体的には、プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩
基配列からなるプライマーと配列番号7で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号9で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号11で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、カプノディウム目(Capnodiales) であれば、配列番号12で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号13で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号15で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、ミリアンギウム目(Myriangiales)であれば、配列番号16で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号17で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、ミティリニディオン目(Mytilinidiales)であれば、配列番号18で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号19で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、ヤーヌラ目(Jahnulales)であれば、配列番号20で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号21で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、パテラリア目(Patellariales)であれば、配列番号22で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号23で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、タテガタキン目(Microthyriales)であれば、配列番号24で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号25で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、トリペテリウム目(Trypetheliales)であれば、配列番号26で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号27で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせが挙げられる。
当業者であれば、上記に従って、好適な特異プライマー配列を過度な試行錯誤無く、適宜設計して使用することができる。
また、更に感度良く小房子嚢菌遺伝子を増幅するために、小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセット、例えば、上記の配列番号6で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号7で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列を含むプライマーの組合せで小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程(第2のPCR)の前に、これらのプライマーセットで増幅される特定の領域を含む遺伝子領域、特に28S rDNA領域を増幅可能なプライマーセットで検体中のDNAを増幅する(第1のPCR)ことが好ましい。すなわち、第1回目のPCRによって、少なくとも小房子嚢菌遺伝子を増幅可能なプライマーセットで検体中のDNAを増幅し、次いで、第2回目のPCRによって、その遺伝子増幅産物の内側の塩基配列を増幅しうるプライマー(すなわち、前記小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセット)で小房子嚢菌遺伝子を特異的に増幅する。このような方法は、一般的にネステッドPCR(nested PCR)法と呼ばれる。
第1回目のPCRで使用可能な、少なくとも小房子嚢菌遺伝子を増幅可能なプライマーセットとしては、小房子嚢菌遺伝子の第2のPCRで増幅される28S rDNA領域を増幅可能なプライマーセットであれば特に限定されず、例えば、公知の真菌の28S rDNAを対象とした真菌に共通なプライマーセットが挙げられ、例えば、配列番号2で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号3で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせや、配列番号4で表される塩基配列と相同である領域の塩基配列を含むプライマー及び配列番号5で表される塩基配列の相補的塩基配列と相同である領域の塩基配列を含むプライマーの組み合わせが挙げられる。更に、具体的には、配列番号2で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせや、配列番号4で表される塩基配列からなるプライマーと配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせを使用することもできる。これらの真菌に共通なプライマーセットを用いれば、ほとんど全真菌が検出できる。
第1回目のPCRで増幅された遺伝子産物には、標本中のほとんどの真菌の遺伝子産物が含まれ得ると考えられる。次いで、前記の小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いて、第2回目のPCRを行えば、当該真菌の遺伝子産物中の小房子嚢菌の遺伝子のみが増幅される。
当業者であれば、上記に従って、好適な共通プライマー配列を過度な試行錯誤無く、適宜設計して使用することができる。
第1回目のPCRは、鋳型DNAを含む検体に、プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ及びヌクレオチド及び反応バッファーを加え、変性、アニール、DNA伸長のそれぞれの温度条件でインキュベーションすればよい。使用する装置、目的の遺伝子配列又は長さなどに合わせて、具体的な反応条件は適宜設定できる。第1回目のPCRにより増幅されたDNAは、例えば電気泳動後、染色することにより確認できる。
第2回目のPCRは、第1回目のPCRと同様に変性、アニール、DNA伸長反応を行えばよい。使用する装置、目的の遺伝子配列又は長さなどに併せて、具体的な反応条件は適宜設定できる。第2回目のPCRにより増幅されたDNAは、例えば電気泳動後、染色することにより、小房子嚢菌の目に特異的な遺伝子を検出することができる。
小房子嚢菌の目に特異的な遺伝子を検出することによって、検体がその小房子嚢菌の目に属すると同定することができる。
更に、本発明の実施形態では、上記で小房子嚢菌に特異的な遺伝子配列を増幅したあと、遺伝子配列解析を行い、その後、遺伝子配列相同性解析や分子系統解析を行うことによって、小房子嚢菌の属や種を同定することができる。
本発明で使用可能な遺伝子配列相同性解析としては、公知の遺伝子配列相同性解析法が挙げられる。例えば、BLAST検索のような、データベース内の既知の遺伝子配列との相同性解析を行い、それぞれの属や種の標準配列と一定値以上のホモロジーを示すことで、小房子嚢菌の属や種を決定することができる。当業者であれば、適宜判定することができるが、例えば、小房子嚢菌では、それぞれの種の標準配列と98%以上の相同性であれば同一種とみなされる。
本発明で使用可能な分子系統解析としては、公知の分子系統解析法が挙げられる。このような方法としては、Higgins法、ならびに、2−パラメーター法を用いたUPGMA法およびN−J法などが挙げられ、また、これらの方法により分子系統解析を行うためのソフトウェアが市販されており(DNASIS(日立ソフトウェアエンジニアリング)、SINCA(富士通)など)、これらを使用することができる。
小房子嚢菌の属や種は、分子系統解析においてそれぞれの属や種の標準配列と一定値以上の相同性を示すか、または、一定値以上の確率で他の属や種のクラスターと区別されるか否かによって決定できる。一定値とは、分子系統解析により得られた系統樹において各属や種に属する配列がそれぞれ単一のクラスターを形成するような値であればよい。標準配列は、GenBank等から容易に取得することができる。例えば、GENETYX Ver10を用いて編集後、GLUSTAL Wによりアラインメント(相同解析)を行い、NJ法で系統樹を作成することができる。
より具体的には、相同性で97%以上、ブーツストラップ法で他のクラスターから区別される確率が90%以上という値があげられる。例えば、小房子嚢菌(36標本)は、分子系統解析により、98%〜100%の相同性で識別され、ブーツストラップ検定では7
0%以上の確率で他の系統グループ(科、属、種)から独立した系統グループを構成した。
本発明の実施形態において、DNA、塩基、遺伝子、鋳型、プライマー、PCR、配列、シークエンス解析等の用語の定義に関しては、分子生物学、遺伝学、遺伝子工学等で広く一般的に使用されている用語と同じ意味である。また、ある塩基配列に相当する領域とは、相同性解析(アライメント解析)した場合、前記ある塩基配列と同じ位置に存在する領域である。
本発明の実施形態におけるキットは、本発明の実施形態における方法に用いられる小房子嚢菌に特異的なプライマーセットを含有する。小房子嚢菌に特異的なプライマーセットの具体例としては、前記の小房子嚢菌に特異的なプライマーセットが挙げられる。
また、前記のプライマーセット以外に、遺伝子増幅(PCR)に必要な試薬、例えば耐熱性DNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)、ヌクレオチド(dNTP混合物)及び反応バッファー等を含有させてもよい。
更に、第1回目のPCRに使用する真菌に共通なプライマーセットを含有させてもよい。真菌に共通なプライマーセットの具体例としては、前記の真菌に共通なプライマーセットが挙げられる。
また、小房子嚢菌の菌種を同定するために、配列解析に使用する試薬等の、同定に必要な種々の試薬を含むことができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何らこれら実施例に限定されるものではない。
≪試験例1:小房子嚢菌からのDNA抽出法の比較検討≫
小房子嚢菌以外の子嚢菌類あるいは小房子嚢菌の培養菌体からのDNA抽出法と知られている4つの公知の方法と、本発明の方法を比較検討した。
<1>材料
以下の4種類の小房子嚢菌の乾燥標本(三菱化学科学技術研究センター)を検討に使用した。公知の形態観察による分類により、目あるいは可能であれば属や種の同定を行った。
(A)及び(D)は試験に供する約3年前に採集された新しい標本、(B)及び(C)は試験に供する約26年前に採集された古い標本である。
(A)Dothidea sp. 標本番号59 採集日2010年11月24日
(B)Botryosphaeria sp. 標本番号5873 採集日1987年11月6日
(C)Rhytidhysteron rufulvum 標本番号5839 採集日1987年11月16日
(D)Ophiobolus fulgidus 標本番号108 採集日2010年6月24日
<2>DNA抽出方法
<2−1>スライドガラス加圧法(比較例1)
Alex Weir & Meredith Blackwell 2001. Mycologia 93(4) 802-806を参考に以下の方法で行った。2枚のスライドガラスに小房子嚢菌の子実体20個体を挟んで、Yeast Cell
Lysis Solution(MasterPure(登録商標) Yeast DNA Purification Kit:Epicentre Biotechnologies社製)を一滴添加して指で強く押しつぶした。子実体が完全につぶれたら、300μLのYeast Cell Lysis Solutionでスライドガラスに付着した菌体を洗い落として、上記Epicentre Biotechnologiesによるキットの説明書に従ってDNAを抽出した。DNAは30μL溶液とした。DNAの収量は、子実体1個体あたり(A)24.6ng、(B)97.05ng、(C)130.95ng、(D)95.85ngであった。
<2−2>金づち法(比較例2)
四本能尚、大原亜紀子、三川隆 1995. Microbiol. Cult. Coll. 19-21を参考に以下の方法で行った。小房子嚢菌の子実体20個をアルミホイル上に乗せて、2cm×2cm位の大きさに折りたたみ、更に、アルミホイルを2重にかけた。これを、1時間以上、−80℃に入れて凍結した。その後、フリーザーからアルミホイルを取り出し、すばやくプラスチックのハンマーで叩いて粉砕した。子実体及び子嚢が破砕したら、アルミホイルが破れないように開いて、Yeast Cell Lysis Solutionを300μL添加して、上記Epicentre Biotechnologiesによるキットの説明書に従ってDNAを抽出した。DNAは30μL溶液とした。DNAの収量は、子実体1個体あたり(A)185.85ng、(B)204.3ng、(C)451.635ng、(D)59.55ngであった。
<2−3>超音波破砕法(比較例3)
R.A.Haugland, et al. 1999, Journal of Microbiological Methods 37, 165-176を参考に以下の方法で行った。小房子嚢菌の子実体50個体をホモジエナイザー(Mini Cordless Grinder:フナコシ社)に入れて、Yeast Cell Lysis Solutionを1ml添加して、ホモジェナイズした。子実体及び子嚢を破砕して、子嚢胞子の懸濁液を作製した。この胞子懸濁液400μLをマイクロチューブに入れて、ガラスビーズ(200mg)を添加して、超音波洗浄機で15分処理した。DNAの抽出、精製は上記Epicentre Biotechnologiesによるキットの説明書に従って行った。DNAは30μL溶液とした。DNAの収量は、子実体1個体あたり(A)14.4ng、(B)59.16ng、(C)91.02ng、(D)13.8ngであった。
<2−4>ホモジナイズ破砕法(比較例4)
R.A.Haugland, et al. 1999, Journal of Microbiological Methods 37, 165-176を参考に以下の方法で行った。小房子嚢菌の子実体50個体をホモジナイザーに入れて、Yeast Cell Lysis Solutionを1ml添加して、ホモジナイズした。子実体および子嚢を破砕して、子嚢胞子の懸濁液を作製した。この胞子懸濁液400μLをマイクロチューブに入れて、ガラスビーズ(200mg)を添加して、ホモジナイザー(Mini Cordless Grinder:フナコシ社)で3分間、300rpmで破砕した。DNAの抽出、精製は上記Epicentre Biotechnologiesによるキットの説明書に従って行った。DNAは30μL溶液とした。DNAの収量は、子実体1個体あたり(A)32.22ng、(B)26.4ng、(C)179.04ng、(D)43.72ngであった。
<2−5>支持体接着破砕法(実施例1)
ガラス製マイクロ試験管に接着剤(アロンアルフア extra(登録商標):東亜合成社)を数滴滴下し、その上に小房子嚢菌の子実体を5個体を置いて固化した。完全に固化した後、Yeast Cell Lysis Solutionを300μL試験管に添加して、切削ビット(DREMEL社)を付けたミニルーター(PROXXON社)で、2分、8000rpmで、子実体及び子嚢を粉砕した。DNAの抽出、精製は上記Epicentre Biotechnologiesによるキットの説明書に従って行った。DNAは30μL溶液とした。DNAの収量は、子実体1個体あたり(A)398.4ng、(B)303ng、(C)595.2ng、(D)336.06ngであった。
<3>小房子嚢菌の同定方法
<3−1>DNAの増幅
<3−1−1>第1回目のPCR
DNA増幅キット(puRe Taq(登録商標)Ready-To-Go(登録商標)PCR beads、GE Healthcare社)を用い、総量を25μLとし、フォワードプライマーを10pmol、リバースプライマーを10pmol、前記方法による抽出DNA(鋳型DNA)2μLを含む
反応液で、DNAサーマルサイクラー(Applied Biosystems 2720:Applied Biosystems社製)により、95℃1分予備加熱後、95℃40秒、52℃40秒、72℃ 2分を25回のPCR反応を行い、次いで、95℃40秒、52℃40秒、72℃ 2分の15回の反応を行うが、伸張反応の時間を1サイクルごとに5秒ずつ加算して行き、72℃10分の伸張反応を行った。
プライマーは、表1に示す真菌に共通のプライマー(TM01F、TM11R)を用いた。
<3−1−2>第2回目のPCR(nested−PCR)
鋳型DNAとして第1回目のPCR産物を用いる以外は第1回目のPCRと同じ反応液組成とした。鋳型DNAとしては、第1回目のPCR産物の1μLを使用した。nested−PCRは、DNAサーマルサイクラー(Applied Biosystems 2720:Applied Biosystems社製)により、94℃3分予備加熱後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒を30回のPCR反応を行い、72℃10分の伸張反応を行った。
使用したプライマーを表1に示す。(A)Dothidea sp.の増幅には、Dothideales目特異プライマー:d04F、d08Rを使用した(実施例2)。(B)Botryosphaeria sp.の増幅には、Botryosphaeriales目特異プライマー:b04F、b08Rを使用した(実施例3)。(C)Rhytidhysteron rufulvumの増幅には、Hysteriales目特異プライマー:h04F、h08Rを使用した(実施例4)。(D)Opiobolus fulgidusの増幅には、Pleosporales目特異プライマー:p04F、p08Rを使用した(実施例5)。
Figure 0006988045
<3−1−3>電気泳動解析
前記<3−1−2>で得られた各々の増幅産物を、2%アガロースゲルにて電気泳動を行いエチジウムブロマイド染色により検出した。(A)Dothidea sp.及び(D)Opiobolus fulgidusの新しい標本については、比較例1〜4及び実施例1の方法で得られたDNAのいずれでも、増幅予想サイズの380bp〜400bpの大きさに増幅産物を確認することができた。しかし、(B)Botryosphaeria sp.及び(C)Rhytidhysteron rufulvumの古い標本については、実施例1においてのみ、増幅予想サイズの380bp〜400bpの大きさに増幅産物を確認することができた(図1)。
<3−2>配列解析及び相同性解析
前記<3−1−2>で得られたPCR産物を、以下のように配列解析した。すなわち、Nested-PCRによって増幅した各DNA断片をAlkaline phosphataseおよびShrimp Exnuclease
Iで処理し、残存プライマーおよび非特異的反応物を除去した。処理したDNA断片を鋳型として、Big DyeTerminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を用いてシークエンス反応を行った。
反応物をBig Dye X-Terminator Purification Kit(Applied Biosystems社)を用いて精製し、シークエンスを実施した。
得られたシークエンスデータはGENETYX Ver.10を用いて一本鎖化と編集を行いCLUSTAL W によりアラインメント(相同性解析)を行った。
<4>結果
従来のDNAの調製法では、小房子嚢菌の新しい標本((A)及び(D))は明瞭なDNAの増幅産物を得ることができたが、小房子嚢菌の古い標本((B)及び(C))はDNAの増幅産物を得ることができなかった。一方、本発明のDNAの調製法(支持体接着破砕法)では、いずれの標本でもDNA増幅産物を得ることができ、特に古い標本でも確実にDNA増幅産物を得ることができた。また、得られたDNA増幅産物の遺伝子配列相同性解析の結果、それぞれの属名と一致することがわかった。以上より、本発明のDNAの調製法は、小房子嚢菌から簡便且つ高収量でDNAを調製できることがわかった。特に、小房子嚢菌の古い標本では、いずれの公知のDNAの調製法でもDNAを調製することができず、本発明のDNAの調製法によってのみ達成できることがわかり、本発明のDNAの調製法の有用性が高いことが示された。
≪試験例2:小房子嚢菌の同定のための増幅プライマーの検討≫
小房子嚢菌以外の子嚢菌類あるいは小房子嚢菌の培養菌体からの小房子嚢菌の同定法と知られている公知の方法と、本発明の方法を比較検討した。
<1>材料
試験例1と同じ材料を使用した。
<2>DNAの抽出方法
実施例1及び比較例1〜4と同じDNA抽出方法を行った。
<3>小房子嚢菌の同定方法
<3−1>DNAの増幅
第1回目のPCRは、試験例1の<3−1−1>第1回目のPCRと同じ方法を行った。続いて、第2回目のPCRは、比較例5として、表1に示す第2の真菌に共通プライマー(TM01'F、TM11'R)を使用したこと以外は、試験例1と同様に行った。
得られた各々の増幅産物を、2%アガロースゲルにて電気泳動を行いエチジウムブロマイド染色により検出した。比較例5では、(A)Dothidea sp.、(B)Botryosphaeria sp.、(C)Rhytidhysteron rufulvum及び(D)Opiobolus fulgidusのいずれでも増幅予想サイズの600bpにバンドが検出できたが、上流にもスメアなバンドが検出されており、目的菌の遺伝子配列が解読不能であることが予想された(図2)。
<3−2>配列解析及び相同性解析
上記試験例1と同様に、前記<3−1>で得られた比較例5のPCR増幅産物を配列解析したが、波形が得られなかったり複数の波形が混在していたりして、いずれも配列解析することができなかった。一方、実施例2〜5のPCR増幅産物では、配列解析及び相同性解析することができた。
<4>結果
以上より、公知の小房子嚢菌の同定法、すなわち、標本から調製されたDNAを、真菌共通プライマーセットで増幅し、その増幅産物を更に真菌共通プライマーセットで増幅する方法では、小房子嚢菌を同定することができないことがわかった。一方、小房子嚢菌の培養菌体では、上記の公知の小房子嚢菌の同定法で同定できたことが報告されている。培養菌体では、遺伝子上でも、より単一化されるため公知の小房子嚢菌の同定法で同定できたと考えられる。本発明では、培養菌体では無く、採集標本自体からの小房子嚢菌の同定
を課題としている。遺伝子解析は高感度であるため、微量の他遺伝子の混在を検出してしまう。採集標本では、形態観察では単一とみなされるが、実際には複数遺伝子の混在があり、遺伝子レベルでは検出してしまうことがわかった。
従って、本発明の小房子嚢菌の同定法、すなわち、標本から調製されたDNAを、真菌共通プライマーセットで増幅し、その増幅産物を小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットで増幅する方法によって、小房子嚢菌の属や種を正確且つ簡便に同定できることが示された。
≪試験例3:小房子嚢菌の同定≫
<1>材料
70サンプルの小房子嚢菌の乾燥標本(三菱化学科学技術研究センター)を検討に使用した(1985年〜2001年に収集)。標本に着生している子実体の形態観察により、モノグラフや分類学的文献を頼りに、目あるいは可能であれば属や種の同定を行った。
<2>DNAの抽出方法
実施例1の<2−5>に従って、各々の標本サンプルからDNAを抽出した。得られたDNA含有液を以下の鋳型DNAサンプルとした。
<3>小房子嚢菌の同定方法
<3−1>DNAの増幅
<3−1−1>第1回目のPCR
DNA増幅キット(puRe Taq(登録商標)Ready-To-Go(登録商標)PCR beads、GE Healthcare社)を用い、総量を25μLとし、フォワードプライマーを10pmol、リバースプライマーを10pmol、前記方法による抽出DNA(鋳型DNA)2μLを含む反応液で、DNAサーマルサイクラー(Applied Biosystems 2720:Applied Biosystems社製)により、95℃1分予備加熱後、95℃40秒、52℃40秒、72℃ 2分を25回のPCR反応を行い、次いで、95℃40秒、52℃40秒、72℃ 2分の15回の反応を行うが、伸張反応の時間を1サイクルごとに5秒ずつ加算して行き、72℃10分の伸張反応を行った。
プライマーは、表1に示す真菌に共通のプライマー(TM01F、TM11R)を用いた。
<3−1−2>第2回目のPCR(nested−PCR)
鋳型DNAとして第1回目のPCR産物を用いる以外は第1回目のPCRと同じ反応液組成とした。鋳型DNAとしては、第1回目のPCR産物の1μLを使用した。nested−PCRは、DNAサーマルサイクラー(Applied Biosystems 2720:Applied Biosystems社製)により、94℃3分予備加熱後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒を30回のPCR反応を行い、72℃10分の伸張反応を行った。
使用したプライマーを表1に示す。(A)Dothideales目の増幅には、Dothideales目特異プライマー:d04F、d08Rを使用した(実施例6)。(B)Botryosphaeriales目の増幅には、Botryosphaeriales目特異プライマー:b04F、b08Rを使用した(実施例7)。(C)Hysteriales目の増幅には、Hysteriales目特異プライマー:h04F、h08Rを使用した(実施例8)。(D)Pleosporales目の増幅には、Pleosporales目特異プライマー:p04F、p08Rを使用した(実施例9)。(E)Capnodiales目の増幅には、Capnodiales目特異プライマー:CC04F、C08Rを使用した(実施例10)。
<3−2>配列解析
実施例1の<3−2>と同様に、前記<3−1−2>で得られたPCR産物を配列解析
した。
<3−3>分子系統解析
前記<3−2>で得られた配列情報から、下記のように、分子系統解析を行った。得られたシークエンスデータはGENETYX Ver.10を用いて一本鎖化と編集を行いCLUSTAL
W によりアラインメント(相同性解析)を行った。系統樹はNJ法により作成して、ブートストラップ検定は1000回行った。
<4>結果
供試した70サンプルについて380bp〜400bpの配列をシークエンスすることが出来た。70サンプル中36サンプルは、明確に系統上の位置を決定することができ、少なくとも属まで同定することが可能であった。一方、残る34株についてはデータベースに該当しなかったり、形態と遺伝子の相関性が見られなかったりなどの分類学的な問題があり所属する系統学的位置を決定することができなかった。しかし、データベースの拡充や形態や遺伝子の関係性の知見を考慮して解析していくことで、小房子嚢菌の正確な分類が可能になることが示された。
系統学的位置を明確に決定できた36サンプルについて説明する。36サンプル中2サンプルはDothideales目に、1サンプルはPatellariales目に、1サンプルはHysteriales目、7サンプルはBotryosphaeriales目に、25サンプルはPleosporales目に分類されることが分かった。下記に更に詳細に説明する。
Dothideales目 :標本188、標本173は、形態観察では、科以上の判別が困難であった。しかし、遺伝子解析から標本188はStylodothis puccinioides(種)と同定することができ、又、標本173はDothidea sp.(属)と同定することができた。
Patellariales目:標本5839は形態観察でRhytidhysteron rufulvum(種)と推定されていたが、遺伝子解析でも同じく、Rhytidhysteron rufulvum(種)と同定できた。
Hysteriales目:標本5362は形態観察でHysterium angustatum(種)と推定されていたが、遺伝子解析でも同じく、Hysterium angustatum(種)と同定できた。
Botryosphaeriales目:標本5873、4690、5917、5875、5923、6511は、形態観察でBotryosphaeria 属とまで推定されていたが、遺伝子解析によって、Botryosphaeria dothidea(種)と同定できた。また、標本4691は、形態観察でLasiodiplodia 属と推定されていたが、遺伝子解析によって、Botryosphaeria dothidea(種)と同定できた。
Pleosporales目:まず、解析した25サンプルはPleosporales内のPleosporaceae、LeptosphaeriaceaeおよびPhaeosphaeriaceaeの3つの科に分類された。 Pleosporaceae科:標本2667は形態観察でPleospora属とまで推定されていたが、遺伝子解析によって、Pleospora ambigus(種)と同定できた。
Leptosphaeriaceae科: 形態観察で標本5367は科以上の推定ができず、標本2312および2215はL. dolioloides(種)、標本2686はL. artemisiae(種)と推定されていた。遺伝子解析によって、これらはLeptosphaeria biglobosa(種)と同一系統群を構成し相互に近縁関係にあることが分かったが、種レベルの統合はできなかった。該種の標準配列がデータベースにないため、最も近縁配列に分類されたと考える。なお、いずれもLeptosphaeria属に同定できたことから、正しく属に分類できることが確かめられた。
標本2144および5718は、形態観察でLeptosphaeria doliolum(種)と、標本5273は、形態観察でLeptosphaeria(属)と推定されていたが、遺伝子解析によって、L.pedicularis(種)と同定できた。Leptosphaeria doliolumとL.pedicularisは、形態観察による分類が非常に難しく、遺伝子解析によって、正確に分類できることが確かめられた。
Phaeospaeriaceae科:標本2145は、形態観察でPhaeosphaeria(属)と推定されていたが、遺伝子解析によって、P.nigrans(種)と同定できた。また、標本5347は、形態観察でPhaeosphaeria(属)と推定されていたが、遺伝子解析によって、P.eustoma(種)・P.ave
naria(種)・P.nodorum(種)の近縁であると同定できた。
また、形態観察で、以下の16サンプルは、Ophiobolus属と推定されていた。遺伝子解析により、標本2708、2401、6559は、Ophiosphaerella属と同定できた。Ophiobolus属とOphiosphaerella属は、形態観察による分類が難しく、遺伝子解析によって、正確に分類できることが確かめられた。
また、それ以外はOphiobolus属と同定できたが、更に新しい3つの系統グループに分かれることがわかった。
Ophiobolus sp.属グループI(標本43、7195、5381)
Ophiobolus sp.属グループII(標本2333、5353、5722、4739、5104、209)
Ophiobolus sp.属グループIII(標本2723、7072、6433、4753)
Ophiobolus属菌は、糸状で多隔壁を持ち、子嚢中に8本の胞子が束状に並ぶ形態的な特徴を有し、単系統の種で構成されていると考えられてきた。今回の標本からの分子系統解析によって、Ophiobolus属は単系統な属ではなく、多系統な系統群で構成されていることが示された。これは、標本からの遺伝子解析の成果と云える。
以上により、本発明の方法により、小房子嚢菌のような微小菌類の標本から簡単にDNAを取り出し、nested PCRによって特異的に目的の菌を増幅し塩基配列を決定することによって、属、種あるいは種内変異を解析できるようになった。
Figure 0006988045
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Figure 0006988045
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小房子嚢菌の分類研究において、正確且つ簡便に、小房子嚢菌の同定が可能となるので有用性が高い。

Claims (7)

  1. 小房子嚢菌を同定する方法であって、
    (A)小房子嚢菌のDNAを調製する工程;
    (B)前記工程(A)で調製されたDNAを鋳型として、小房子嚢菌の28S rDNA内の
    小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いたPCRによって、小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程;及び、
    (C)前記工程(B)で増幅された小房子嚢菌の遺伝子を遺伝子配列相同性解析又は分子系統解析する工程;
    を含み、
    前記小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットが、
    (1)プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号7で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (2)ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩
    基配列からなるプライマー及び配列番号9で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (3)モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列からなる
    プライマー及び配列番号11で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (5)クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列から
    なるプライマー及び配列番号15で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ
    から選ばれる少なくとも一種である、
    小房子嚢菌を同定する方法。
  2. 前記工程(A)における、小房子嚢菌のDNAの調製を、
    (a)小房子嚢菌の子実体を支持体に固定する工程;
    (b)切削ビットを備えた回転工具により、前記工程(a)で固定された子実体を粉砕する工程;及び、
    (c)前記工程(b)で粉砕された子実体からDNAを抽出する工程、
    を含む、小房子嚢菌のDNAを調製する方法により行う、請求項1に記載の小房子嚢菌を同定する方法。
  3. 小房子嚢菌を同定する方法であって、
    (A)小房子嚢菌のDNAを調製する工程;
    (B)前記工程(A)で調製されたDNAを鋳型として、真菌の28S rDNA内の塩基配
    列もしくはその相補的塩基配列を含む、真菌に共通なプライマーセットを用いた第1のP
    CRによって小房子嚢菌の遺伝子を増幅する工程;
    (C)前記工程(B)で調製されたDNAを鋳型として、小房子嚢菌の28S rDNA内の
    小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを用いた第2のPCRによって、小房子嚢菌遺伝子を増幅する工程;及び、
    (D)前記工程(C)で増幅された小房子嚢菌の遺伝子を遺伝子配列相同性解析又は分子系統解析するする工程;を含み、
    前記真菌に共通なプライマーセットは、少なくとも、小房子嚢菌の28S rDNA内
    の、前記第2のPCRにより増幅される領域を増幅可能であり、
    前記小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットが、
    (1)プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号7で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (2)ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩
    基配列からなるプライマー及び配列番号9で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (3)モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列からなる
    プライマー及び配列番号11で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (5)クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列から
    なるプライマー及び配列番号15で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ
    から選ばれる少なくとも一種である、
    小房子嚢菌を同定する方法。
  4. 前記工程(A)における、小房子嚢菌のDNAの調製を、
    (a)小房子嚢菌の子実体を支持体に固定する工程;
    (b)切削ビットを備えた回転工具により、前記工程(a)で固定された子実体を粉砕する工程;及び、
    (c)前記工程(b)で粉砕された子実体からDNAを抽出する工程、
    を含む、小房子嚢菌のDNAを調製する方法により行う、
    請求項に記載の小房子嚢菌を同定する方法。
  5. 真菌に共通なプライマーセットが、配列番号2で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、又は、配列番号4で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせである、請求項3又は4に記載の小房子嚢菌を同定する方法。
  6. 小房子嚢菌を同定するためのキットであって、
    小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットを含み、
    前記小房子嚢菌の目に特異的なプライマーセットが、
    (1)プレオスポラ目(Pleosporales)であれば、配列番号6で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号7で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (2)ボトリオスフェリア目(Botryosphaeriales)であれば、配列番号8で表される塩
    基配列からなるプライマー及び配列番号9で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (3)モジカビ目(Hysteriales)であれば、配列番号10で表される塩基配列からなる
    プライマー及び配列番号11で表される塩基配列の相補的塩基配列からなるプライマーの組み合わせ;
    (5)クロイボタケ目(Dothideales)であれば、配列番号14で表される塩基配列から
    なるプライマー及び配列番号15で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ
    から選ばれる少なくとも一種である、
    キット。
  7. 小房子嚢菌を同定するためのキットであって、
    さらに真菌に共通なプライマーセットを含み、
    前記真菌に共通なプライマーセットが、配列番号2で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号3で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、又は、配列番号4で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号5で表される塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、である、
    請求項に記載のキット。
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