JP6985637B2 - α−フルオロアクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
α−フルオロアクリル酸エステルの製造方法として、例えば、特許文献1には、100mL ナスフラスコに、フッ化カリウム2.91g(50mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)55.1mg(0.250mmol)、ジメチル 2−フルオロ−2−ヒドロキシメチルマロネート45.0g(250mmol)、及びスルホラン11.5mL(14.5g)を投入、及び混合し、常圧下、90℃で15分間、続いて減圧下、105℃で1時間加熱して、反応と同時に蒸留し、メチル 2−フルオロアクリレートをメタノールとの混合物として得たこと、及び収率は70%であったことが記載されている。
項1.
式(1):
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
で表される化合物を、フッ素イオンと接触させて、前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含み、
前記フッ素イオンの使用量が、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、0.2モル未満である、製造方法。
項2.
式(1):
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
で表される化合物を、式(3):
MmXn (3)
(式中、Mは、カチオンであり、Xは、フッ素イオンであり、m及びnは、正の整数であり、mが2以上の場合、各々のMは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物と接触させて、前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含み、前記式(3)で表される化合物の使用量が、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、0.2モル未満である、製造方法。
項3.
前記式(3)で表される化合物の使用量が、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、0.1モル以下である、項2に記載の製造方法。
項4.
Mが、水素イオン、金属イオン、又はNR4 +(式中、各々のRは、互いに同一又は異なって、水素原子又は有機基であり、任意の2つのRは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよい)である、項2又は3に記載の製造方法。
項5.
Mが、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は第4級アンモニウムである、項2〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
項6.
Mが、水素イオン、又はアルカリ金属イオンである、項2〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
工程Aが、有機溶媒中で行われる、項2〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
前記有機溶媒の含水率が、2000ppm以下である、項7に記載の製造方法。
項9.
前記有機溶媒の沸点が、110℃以上である、項7又は8に記載の製造方法。
項10.
前記有機溶媒が、含硫黄溶媒、含窒素溶媒、エーテル溶媒、及びエステル溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
項11.
前記有機溶媒が、含硫黄溶媒である、項7〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
項12.
前記有機溶媒が、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジグライム、メチルピロリドン、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも一種である、項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。
それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味することができる。
本明細書中、表記「Cn−m」(ここで、n、及びmは、それぞれ、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
当該「有機基」としては、例えば、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
QO−、
QS−、
QCO−、
QSO2−、
QOCO−、及び
QOSO2−
(これらの式中、Qは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
が挙げられる。
本明細書中、「アリール基」は、例えば、C6−18アリール基であることができる。 本明細書中、「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アセナフチレニル基等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、5〜18員の非芳香族複素環基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」としては、例えば、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1−アジリジニル、2−アジリジニル)、ピロリジニル(例:1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル)、アゼパニル(例:1−アゼパニル、2−アゼパニル、3−アゼパニル、4−アゼパニル)、アゾカニル(例:1−アゾカニル、2−アゾカニル、3−アゾカニル、4−アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4−ピペラジン−1−イル、1,4−ピペラジン−2−イル)、ジアゼピニル(例:1,4−ジアゼピン−1−イル、1,4−ジアゼピン−2−イル、1,4−ジアゼピン−5−イル、1,4−ジアゼピン−6−イル)、ジアゾカニル(例:1,4−ジアゾカン−1−イル、1,4−ジアゾカン−2−イル、1,4−ジアゾカン−5−イル、1,4−ジアゾカン−6−イル、1,5−ジアゾカン−1−イル、1,5−ジアゾカン−2−イル、1,5−ジアゾカン−3−イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロフラン−4−イル)、モルホリニル(例:4−モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4−チオモルホリニル)、2−オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等が挙げられる。
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、例えば、5〜18員のヘテロアリール基であることができる。
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基であることができる。
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、「単環性ヘテロアリール基」、及び「芳香族縮合複素環基」を包含する。
一実施態様において、式(1):
で表される化合物の製造方法は、
式(2):
で表される化合物を、フッ素イオン、又は式(3):
MmXn (3)
(式中、Mは、カチオンであり、Xは、フッ素イオンであり、m及びnは、正の整数であり、mが2以上の場合、各々のMは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物と接触させて、前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む。
R1は、好ましくはC1−3アルキル基であり、より好ましくはメチル基、又はエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
R2は、好ましくはC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基、又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
Mで表されるカチオンとしては、例えば、水素イオン、金属イオン、NR4 +(式中、各々のRは、互いに同一又は異なって、水素原子又は有機基であり、任意の2つのRは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよい)等が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
で表すことができる。
R11は、好ましくは炭化水素基、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基、さらに好ましくはアルキル基、特に好ましくはC1−10アルキル基であることができる。
第1級アンモニウムとしては、例えば、プロトン化第1級アミンが挙げられ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン(n−プロピルアミン、イソプロピルアミン)、ブチルアミン等のC1−6アルキルアミン、アニリン等のプロトン化物が挙げられる。
で表すことができる。
R21及びR22は、好ましくは炭化水素基、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基、さらに好ましくはアルキル基、特に好ましくはC1−10アルキル基であることができる。
第2級アンモニウムとしては、例えば、プロトン化第2級アミンが挙げられ、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン等のジC1−6アルキルアミン、ピロリジン、イミダゾール、ピペリジン、モルホリン等のプロトン化物が挙げられる。
で表すことができる。
R31〜R33は、好ましくは炭化水素基、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基、さらに好ましくはアルキル基、特に好ましくはC1−10アルキル基であることができる。
第3級アンモニウムとしては、例えば、プロトン化第3級アミンが挙げられ、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリC1−6アルキルアミン、ピリジン、キノリン等のプロトン化物が挙げられる。
で表すことができる。
R41〜R44は、好ましくは炭化水素基、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基、さらに好ましくはアルキル基、特に好ましくはC1−10アルキル基であることができる。
から選択される基が挙げられる。
フッ素イオンの使用量、又は式(3)で表される化合物の使用量(式(3)で表される化合物に含まれるフッ素イオンのモル量)の下限は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.01モル以上、好ましくは0.02モル以上、0.03モル以上、0.04モル以上、又は0.05モル以上であることができる。
フッ素イオンの使用量、又は式(3)で表される化合物の使用量(式(3)で表される化合物に含まれるフッ素イオンのモル量)は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.01モル以上0.2モル未満の範囲内、好ましくは0.01〜0.1モルの範囲内であることができる。
非芳香族炭化水素溶媒(例:ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン等のアルカン、シクロヘキサン、メチルシクロへキサン、デカヒドロナフタレン);
芳香族炭化水素溶媒(例:ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、インデン、ナフタレン、メチルナフタレン);
ハロゲン化炭化水素溶媒(例:ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン);
アルコール溶媒(例:エチレングリコール、セロソルブ、プロピレングリコール、カルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール);
エーテル溶媒(例:ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、エチレングリコール誘導体(例:モノグラム、ジエチルセロソルブ、ジグライム、ジエチルカルビトール、トリグライム、テトラグライム)、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、フェネトール、ベラトロール、ジオキサン、テトラヒドロフラン);
エステル溶媒(例:酢酸エチル、酢酸イソプロピル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、炭酸ジメチル、マロン酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン);
ケトン溶媒(例:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、イソホロン);
含硫黄溶媒(例:ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジフェニルスルフィド);及び含窒素溶媒(例:N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、メチルピロリドン等のアミド溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等のニトロ溶媒;キノリン、テトラヒドロキノリン、ジメチルイミダゾリジノン)等が挙げられる。
スルホラン、ジメチルスルホキシド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、キノリン、テトラヒドロキノリン、メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド、
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノグライム、ジエチルセロソルブ、ジグライム、ジエチルカルビトール、トリグライム、テトラグライム)、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
キシレン、メシチレン、及び
アルカン(例:デカン、ドデカン)
からなる群より選択される少なくとも一種であることができる。
ここで「実質的に水不存在」とは、工程Aの反応混合物の水含有量が反応開始時に1.0%(w/w)以下であることを意味する。
工程Aの反応系中の水含有量が少ないほど、式(1)で表される化合物を高い収率で得ることができる。
当該反応温度の下限は、好ましくは30℃、より好ましくは50℃、さらに好ましくは60℃であることができる。
当該反応温度の上限は、好ましくは250℃、より好ましくは200℃、さらに好ましくは160℃であることができる。
当該反応温度は、例えば30〜250℃の範囲内であり、好ましくは50〜200℃の範囲内であり、より好ましくは60〜160℃の範囲内である。
500mL ナスフラスコに、フッ化カリウム6.97g(120mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)264mg(1.2mmol)、ジメチル 2−フルオロ−2−ヒドロキシメチルマロネート216.2g(1200mmol)、及びスルホラン(含水率:10〜50ppm)55mL(69.3g)を投入、及び混合した。常圧下100〜120℃で100分間加熱した。その後、減圧下で蒸留した。この時、スチルにはジメチル 2−フルオロ−2−ヒドロキシメチルマロネートは10.8g残存しており、メチル 2−フルオロアクリレートは収量として96.1gで得られ、収率は81%であった。
100mL ナスフラスコに、フッ化カリウム0.73g(12.5mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)55mg(0.25mmol)、ジメチル 2−フルオロ−2−ヒドロキシメチルマロネート45.5g(250mmol)、及びスルホラン(含水率:10〜50ppm)11.5mL(14.5g)を投入、及び混合した。常圧下100〜120℃で25分間、続いて減圧下で反応と同時に蒸留した。この時、スチルにはジメチル 2−フルオロ−2−ヒドロキシメチルマロネートは3.2g残存しており、メチル 2−フルオロアクリレートは収量として19.7gで得られ、収率は82%であった。
Claims (12)
- 前記式(3)で表される化合物の使用量が、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、0.1モル以下である、請求項2に記載の製造方法。
- Mが、水素イオン、金属イオン、又はNR4 +(式中、各々のRは、互いに同一又は異なって、水素原子又は有機基であり、任意の2つのRは、互いに結合して隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよい)である、請求項2又は3に記載の製造方法。
- Mが、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は第4級アンモニウムである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- Mが、水素イオン、又はアルカリ金属イオンである、請求項2〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程Aが、有機溶媒中で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒の含水率が、2000ppm以下である、請求項7に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒の沸点が、110℃以上である、請求項7又は8に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒が、含硫黄溶媒、含窒素溶媒、エーテル溶媒、及びエステル溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒が、含硫黄溶媒である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒が、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジグライム、メチルピロリドン、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
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