JP6984540B2 - 金属皮膜の成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質膜を用いた金属皮膜の成膜方法に関する。
この種の金属皮膜の成膜方法として、たとえば、特許文献1には、固体電解質膜に浸透した金属溶液の金属イオンを基板表面に析出して金属皮膜を成膜する方法が開示されている。特許文献1に記載された方法では、固体電解質膜の一方側の表面に基板が接触するように、固体電解質膜と基板とを配置し、金属溶液を固体電解質膜の他方側から固体電解質膜に供給して、金属溶液を固体電解質膜に浸透させる。次いで、固体電解質膜の他方側に配置した陽極と、陰極となる基板との間に電流を流して、金属皮膜を成膜する。
特開2015−40311号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法で、アルミニウム系の金属を含む被処理面を有した基板に金属皮膜を成膜した場合、金属皮膜が基板から剥離することがある。これは、アルミニウムの活性が、他の金属に比べて高く、大気中や水中での酸化速度が極めて速いので、被処理面に化学的に安定な酸化アルミニウム皮膜(不動態皮膜)が形成されてしまうからであると考えられる。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、本発明では、アルミニウム系材料からなる被処理面に金属皮膜を成膜した場合に、金属皮膜が被処理面から剥離することを防止することができる金属皮膜の成膜方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の金属皮膜の成膜方法は、アルミニウム系材料からなる被処理面を有した基板に金属皮膜を成膜する金属皮膜の成膜方法であって、前記基板の前記被処理面に形成された不動態皮膜を除去するように前記基板をエッチング処理する工程と、pHが2.0未満であり、ニッケルイオンまたは亜鉛イオンを含有した置換処理液が浸透可能な第1固体電解質膜の一方側の表面に、エッチング処理した前記被処理面が接触するように、前記第1固体電解質膜を前記基板に配置し、前記置換処理液を前記第1固体電解質膜の他方側から前記第1固体電解質膜に供給することで、前記置換処理液を前記第1固体電解質膜に浸透させ、前記第1固体電解質膜に浸透した前記置換処理液の前記ニッケルイオンまたは前記亜鉛イオンを、エッチング処理した前記被処理面のアルミニウムと置換して、前記被処理面にニッケルまたは亜鉛を析出させる工程と、前記金属皮膜の金属イオンを含有した金属溶液が浸透可能な第2固体電解質膜の一方側の表面に、ニッケルまたは亜鉛が析出した前記被処理面が接触するように、前記第2固体電解質膜を前記基板に配置し、前記金属溶液を前記第2固体電解質膜の他方側から前記第2固体電解質膜に供給することで、前記金属溶液を前記第2固体電解質膜に浸透させ、前記第2固体電解質膜の他方側に配置した陽極と、陰極となるニッケルまたは亜鉛が析出した前記被処理面との間に電流を流して、前記第2固体電解質膜に浸透した前記金属溶液の前記金属イオンを、前記被処理面にさらに析出させ、前記被処理面に前記金属皮膜を成膜する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、基板に形成されたアルミニウム系金属を含む被処理面を、不動態皮膜を除去するようにエッチング処理を行い、エッチング処理した被処理面に、置換処理液を用いて、ニッケルまたは亜鉛を置換析出させる。ここで、置換処理液のpHを2.0未満にすることにより、エッチング処理した被処理面の不動態皮膜の再生を抑えつつこれを溶解し、被処理面にニッケルまたは亜鉛を析出することができる。
この被処理面に析出したニッケルまたは亜鉛を介して、アルミニウム系金属の被処理面に金属皮膜を成膜するため、成膜された金属皮膜の密着性を高め、金属皮膜に対する被処理面からの剥離を防止することができる。
本実施形態の金属皮膜の成膜方法の工程を説明するフロー図である。 図1に示すエッチング処理工程を説明するための模式的概念図である。 (a)は、図1に示す置換処理工程前の基板および成膜装置の模式的断面図であり、(b)は、図1に示す置換処理工程時の基板および成膜装置の模式的断面図であり、(c)は、図1に示す成膜工程時の基板および成膜装置の模式的断面図である。 実施例1に係るエッチング処理工程後かつ置換処理工程前の試験片の表面写真の画像である。 実施例1に係る置換処理工程後かつ成膜工程前の試験片の表面写真である。 実施例1に係る成膜工程後の試験片の断面写真である。 実施例1、2および比較例1、2の破断強度の結果を示したグラフである。
以下に、図1〜3を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。図1は、本実施形態の金属皮膜の成膜方法の工程を説明するフロー図であり、図2は、図1に示すエッチング処理工程S1を説明するための模式的概念図である。図3(a)は、図1に示す置換処理工程S2前の基板Wおよび成膜装置1の模式的断面図であり、図3(b)は、図1に示す置換処理工程S2時の基板Wおよび成膜装置1の模式的断面図であり、図3(c)は、図1に示す成膜工程S3時の基板Wおよび成膜装置1の模式的断面図である。
本実施形態の金属皮膜Fの成膜方法では、アルミニウム系材料からなる被処理面waを有した基板Wに金属皮膜Fを成膜する。基板Wの被処理面waがアルミニウム系材料であれば、基板Wがアルミニウム系材料であってもよく、基板の被処理面waが、アルミニウム系材料が被覆された表面であってもよい。
1.成膜装置1について
本実施形態では、金属皮膜Fの成膜方法の各工程のうち、置換処理工程S2および成膜工程S3を、図3に示す成膜装置1を用いて行う。以下に、成膜装置1について説明する。なお、本実施形態では、置換処理工程S2および成膜工程S3を同じ成膜装置1で行うが、図3(a),(b)では、電源部16により通電を行わないため、電源部16を省略している。
また、本実施形態では、置換処理工程S2および成膜工程S3では、同じ材質の固体電解質膜13を用いている。しかしながら、成膜工程S3において成膜前に固体電解質膜を交換するので、これらを区別すべく、図3(a),(b)で示すように、置換処理工程S2で用いる固体電解質膜には符号「13A」を付し、成膜工程で用いる(交換された)固体電解質膜には、符号「13B」を付している。なお、本実施形態では、成膜工程S3で固体電解質膜を交換しているが、図3(a)に示す置換処理用の装置と、図3(c)に示す成膜装置1とを個別に準備してもよい。この場合には、置換処理用の装置には、図3(a)に示す陽極11は不要である。
図3(a)〜(c)に示すように、成膜装置1は、金属製の陽極11と、陽極11と基板Wとの間に配置された固体電解質膜13と、固体電解質膜13に溶液を供給する液供給部14と、を少なくとも備えている。また、本実施形態では、成膜を電解めっきで行うため、成膜装置1は、陽極11と、ニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wc(陰極)との間に電流を流す電源部16をさらに備えている。
陽極11は、ニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcを覆う大きさを有していれば、ブロック状または平板状であってもよい。陽極11の材料としては、金属皮膜Fと同じ材質であり、後述する金属溶液Lbに対して可溶性の陽極であることが好ましい。これにより、金属皮膜Fの成膜速度を高めることができる。なお、成膜前の金属溶液Lbには金属イオンが含まれているので、陽極11は、金属溶液Lbに対して不溶性の陽極であってもよい。本実施系形態では、陽極11は、後述する置換処理液Laに接触するため、置換処理液Laに対して、耐腐食性および不溶性を有した陽極であることが好ましい。
なお、陽極11に、多孔質体からなる陽極を用いて、陽極11と固体電解質膜13とを接触させてもよい。多孔質体としては、陽極11に、置換処理液Laまたは金属溶液Lbが透過し、かつ、固体電解質膜13に、置換処理液Laに含有されたニッケルもしくは亜鉛イオン、または、金属溶液Lbに含有された金属イオンが接触するものが好ましい。
固体電解質膜13は、置換処理液Laまたは金属溶液Lbの接触により、置換処理液Laに含有されたニッケルもしくは亜鉛イオン、または、金属溶液Lbに含有された金属イオンを内部に含浸することができ、基板Wの表面にこれらのイオン由来の金属を析出可能であれば、特に限定されるものではない。固体電解質膜13の膜厚は、100〜200μmである。固体電解質膜13の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD、CMFシリーズ)などの陽イオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。
液供給部14は、第1固体電解質膜13Aおよび第2固体電解質膜13Bに、それぞれ、置換処理液Laおよび金属溶液Lbを供給する部材である。液供給部14には、陽極11と、置換処理液Laまたは金属溶液Lbと、が収容されている。より具体的には、陽極11と固体電解質膜13との間に、これらの溶液を収容する液収容空間12が形成されている。また、たとえば図3(a)〜(c)に示すように、液供給部14には、置換処理液Laまたは金属溶液Lbを液収容空間12に供給する液供給口14aと、置換処理液Laまたは金属溶液Lbを液収容空間12から排出する液排出口14bと、が形成されている。
本実施形態では、置換処理液Laは、エッチング処理した被処理面wbに析出させるニッケルまたは亜鉛を、イオンの状態で含有している。ニッケルイオンを含有する場合では、例えば、硫酸ニッケル、または硝酸ニッケルなどを含む溶液を挙げることができる。亜鉛イオンを含有する場合では、硫酸亜鉛、または硝酸亜鉛などを含む溶液を挙げることができる。
また、本実施形態では、置換処理液LaのpHが2.0未満である。pHを2.0未満にすることにより、ニッケルまたは亜鉛の析出の間に、エッチング処理した被処理面wbの不動態皮膜の再生を抑えこれを溶解することができる。なお、金属溶液Lbが酸性である場合には、本実施形態では置換処理液Laが酸性であるため、置換処理液Laから切り替えて金属溶液Lbを使用する際に、金属溶液LbのpHがアルカリ側にシフトすることを防止することができる。
さらに、置換処理液Laには、リン酸が含有されることが好ましい。実施例で説明するように、リン酸を含有することにより、ニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcと金属皮膜Fとの密着性が向上する。また、置換処理液Laには、銅イオンがさらに含有されることが好ましい。実施例で説明するように、銅イオンを含有することにより、この銅イオンが析出して核となるため、ニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcと金属皮膜Fとの密着性が向上する。
成膜される金属皮膜Fの金属は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。金属溶液Lbは、成膜すべき金属皮膜の金属をイオンの状態で含有している液であり、その金属に、例えば、ニッケル、亜鉛、銅、クロム、錫、銀、または鉛からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上を用いることができる。
図3(c)に示すように、電源部16の正極は、液供給部14に内蔵された陽極11に電気的に接続されている(導通している)。一方、電源部16の負極は、基板Wのニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wc(陰極)に電気的に接続されている。電源部16は、成膜できるのであれば、直流電源または交流電源のいずれであってもよい。なお、置換処理工程S2では、被処理面wcへのニッケルまたは亜鉛の析出は無電解めっきで行うため、電源部16による通電を行わない。
さらに、本実施形態の成膜装置1は、液供給部14の上部に、加圧装置15を備えていてもよい。加圧装置15は、油圧式または空気式のシリンダなどを挙げることができる。加圧装置15は、基板Wに向かって移動することにより、固体電解質膜13と、エッチング処理した被処理面wbまたはニッケルもしくは亜鉛が析出した被処理面wcと、を接触状態にして、各被処理面wb,wcに、固体電解質膜13を均一に押圧する装置である。
陽極11と固体電解質膜13との間に、置換処理液Laまたは金属溶液Lbが配置されている場合には、加圧装置15は、各液の液圧を利用して、固体電解質膜13で各被処理面wb,wcを均一に加圧してもよい。あるいは、陽極11と固体電解質膜13とが接触している場合には、加圧装置15は、陽極11を介して固体電解質膜13で、各被処理面wb,wcを均一に加圧してもよい。
2.金属皮膜Fの成膜方法について
さらに、図1〜3を参照しながら、本実施形態の金属皮膜Fの成膜方法について説明する。
<エッチング処理工程S1>
本実施形態の金属皮膜Fの成膜方法では、まず、エッチング処理工程S1を行う。この工程では、アルミニウム系の金属を含む被処理面waを有した基板Wに対して、その被処理面waに形成された不動態皮膜(酸化アルミニウム(Al)皮膜)を除去するようにエッチング(アルカリ)処理を行う。
具体的には、図2に示すように、アルミニウム系材料からなる被処理面waを有した基板Wを、エッチング処理液Lcに浸漬する。エッチング処理液Lcは、不動態皮膜を除去することができれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ性の溶液を挙げることができる。浸漬時間および浸漬温度は、不動態皮膜を除去することができれば特に限定されない。なお、本実施形態では、アルカリ性の溶液で被処理面waのアルミニウムの不動態皮膜を除去したが、酸性の溶液で除去してもよい。
このようにしてエッチング処理した被処理面wbが形成された基板Wを、図3(a)に示すように、前記被処理面wbが第1固体電解質膜13Aの一方側の表面13aに対向するように配置する。
<置換処理工程S2>
次いで、置換処理工程S2を行う。この工程では、図3(a)に示すように、置換処理液Laが浸透可能な第1固体電解質膜13Aの一方側の表面13aに、エッチング処理した基板Wの被処理面wbが接触するように、第1固体電解質膜13Aを基板Wに配置する。
ここで、置換処理液Laを第1固体電解質膜13Aの他方側から第1固体電解質膜13Aに供給することで、置換処理液Laを第1固体電解質膜13Aに浸透させる。第1固体電解質膜13Aに浸透した置換処理液Laのニッケルイオンまたは亜鉛イオンを、エッチング処理した被処理面wbのアルミニウムと置換して、被処理面wbにニッケルまたは亜鉛を析出させる。ここで、置換処理液Laは、pHが2.0未満であり、ニッケルイオンまたは亜鉛イオンを含有している。
具体的には、加圧装置15を稼働させ、第1固体電解質膜13Aの一方側の表面13aが、エッチング処理した被処理面wbに接触しこれを加圧するように、第1固体電解質膜13Aを基板Wに配置する。
本実施形態では、無電解めっきにより、被処理面wbにニッケルまたは亜鉛の析出を行う。この際、液供給部14に置換処理液Laを流しながらニッケルまたは亜鉛の置換析出を行う。詳細には、不図示の置換処理液供給・回収装置を稼働させて、液供給部14の液供給口14aから液収容空間12に置換処理液Laを供給し、液排出口14bから置換処理液Laを回収する。このようにして、置換処理液Laを随時安定して液収容空間12に供給する。これにより、第1固体電解質膜13Aの他方側から第1固体電解質膜13Aに置換処理液Laが供給され、置換処理液Laを第1固体電解質膜13Aに接触させて、置換処理液Laに含有されたニッケルイオンまたは亜鉛イオンを第1固体電解質膜13Aに含浸させる。
ここで、本実施形態では、置換処理液La由来のニッケルイオンまたは亜鉛イオンを含浸した第1固体電解質膜13Aの一方側の表面13aは、基板Wのエッチング処理した被処理面wbに接触している。そのため、第1固体電解質膜13Aに含浸したニッケルイオンまたは亜鉛イオンが、被処理面wbのアルミニウムと置換して、ニッケルまたは亜鉛が被処理面wbに析出する。ここで、ニッケルまたは亜鉛が、被処理面wbを被覆するように、析出してもよいが、たとえば、被処理面wbが部分的に露出するように、ニッケルまたは亜鉛が、島状に析出してもよい。ここで、置換処理液LaのpHが2.0未満であるため、析出中の不動態皮膜の再生を抑制しつつ、これを溶解しながら、被処理面wbにニッケルまたは亜鉛を析出することができる。
次いで、所定の置換処理時間の経過後、加圧装置15を稼働させ、基板Wとは反対方向に液供給部14を移動して、第1固体電解質膜13Aの一方側の表面13aと、ニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcとの接触状態を非接触状態にする。これにより、ニッケルまたは亜鉛の析出を終了することができる。このようにして、置換処理液La由来のニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcが基板Wに形成される。
<成膜工程S3>
次いで、成膜工程S3を行う。この工程では、まず、第1固体電解質膜13Aを第2固体電解質膜13Bに交換する。具体的には、置換処理液供給・回収装置を用いて、置換処理液Laの供給を停止し、液収容空間12の置換処理液Laを液排出口14bからすべて回収した後、第1固体電解質膜13Aを第2固体電解質膜13Bに交換する。なお、第2固体電解質膜13Bは、上述した如く、金属皮膜Fの金属イオンを含有した金属溶液Lbが浸透可能な膜である。
次に、図3(c)に示すように、加圧装置15を稼働させ、第2固体電解質膜13Bの一方側の表面13bが、基板Wの被処理面wcに接触しこれを加圧するように、第2固体電解質膜13Bを基板Wに配置する。
次に、金属溶液供給・回収装置(不図示)を稼働させて、液供給口14aから液収容空間12に金属溶液Lbを供給しつつ、液排出口14bから金属溶液Lbを回収する。このようにして、随時安定して金属溶液Lbを液収容空間12に供給する。これにより、金属溶液Lbを第2固体電解質膜13Bの他方側から第2固体電解質膜13Bに供給するので、金属溶液Lbに含有された金属イオンを第2固体電解質膜13Bに含浸させる。
第2固体電解質膜13Bの他方側に配置した陽極11と、陰極となるニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcとの間に、電源部16により、所定の電流密度となる電流を流す。これにより、第2固体電解質膜13Bに浸透した金属溶液Lbの金属イオンが還元されて金属となって、ニッケルまたは亜鉛が析出した被処理面wcに析出し、被処理面wcに、析出した金属からなる金属皮膜Fを成膜する。
本実施形態によれば、エッチング処理工程S1で、基板Wに形成されたアルミニウム系金属を含む被処理面waを、不動態皮膜の除去を行っている。次に、置換処理工程S2で、エッチング処理した被処理面wbに、pHが2.0未満となる置換処理液Laを用いて、ニッケルまたは亜鉛を置換析出させている。これにより、エッチング処理した被処理面wbの不動態皮膜の再生を抑えつつこれを溶解し、この被処理面wbにニッケルまたは亜鉛を析出することができる。
このように被処理面wcに析出したニッケルまたは亜鉛を介して、アルミニウム系金属の被処理面wcに金属皮膜Fを成膜するため、成膜された金属皮膜Fの密着性を高め、金属皮膜Fに対する被処理面wcからの剥離を防止することができる。
また、本実施形態によれば、第1固体電解質膜13Aを用いて、ニッケルまたは亜鉛を置換析出させるため、溶液に浸漬した置換析出に比べて、部分的な置換析出が可能であり、置換処理液の廃液量を大幅に低減することができる。
本発明を以下の実施例により説明する。上述した実施形態の成膜方法に従って、以下の実施例1、2および比較例1、2の試験体を作製した。表1に実施例1、2の置換処理液の組成およびそのpHを示す。
[実施例1]
(エッチング処理工程)
基板として、シリコン(Si)基板に、1質量%シリコンと残部がアルミニウムからなる皮膜をスパッタリングにより、厚さ5μmで成膜し、この成膜された皮膜の表面を被処理面とした。この基板を、水酸化ナトリウムを5質量%含有したアルカリ水溶液に、25℃、1分間浸漬することにより、エッチング処理を行った。
(置換処理工程)
このようにエッチング処理をした被処理面に、図3に示す成膜装置を用いて、ニッケルイオンを被処理面のアルミニウムと置換して、被処理面にニッケルを析出させた。置換処理液として、表1に示すように、1.8mol/Lの硫酸ニッケルおよび0.1mol/Lのリン酸を含有した水溶液を用いた。この水溶液のpHは1.0であった。第1固体電解質膜として、CSH50(旭硝子株式会社製)を使用した。ここで、置換処理温度を60℃とし、被処理面を押圧する圧力を約1.0MPaとし、処理時間を10分間とした条件で、置換処理(無電解めっき)を行った。なお、加圧は、液収容空間内の置換処理液の圧力を加圧する液圧法により行った。
(成膜工程)
第1固体電解質膜を第2固体電解質膜(CSH50(旭硝子株式会社製))に交換し、置換処理液から金属溶液に切り替えて、上述の置換処理工程で取得した基板のニッケルが析出した被処理面に、ニッケル皮膜を成膜した。金属溶液として、0.01mol/Lの塩化ニッケル、0.94mol/Lの硫酸ニッケル、および0.05mol/Lの酢酸ニッケルを含有し、酢酸でpHを4.0に調整したものを用いた。
第2固体電解質膜をニッケルが析出した被処理面に接触させて、成膜電流として、電流密度100mA/cmとなる電流を、陽極(純ニッケル箔)と被処理面(陰極)との間に通電した。なお、被処理面を押圧する圧力を約1.0MPaとし、成膜時間を2分とした。また、液収容空間内の金属溶液の圧力を加圧する液圧法により行った。このようにして、ニッケルが析出した被処理面に、金属皮膜として、ニッケル皮膜を成膜した実施例1の試験体を作製した。
[実施例2]
実施例1と同じように、実施例2の試験体を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、実施例1の置換処理液に0.001mol/Lの硫酸銅をさらに含有させ、置換処理液のpHを1.5とした点である。
[比較例1]
実施例1と同じように、比較例1の試験体を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、置換処理液の硫酸ニッケルの含有量を1.0mol/Lとし、リン酸を含有せず、pHを2.0とした点である。また、置換処理温度を25℃とした。
[比較例2]
実施例1と同じように、比較例2の試験体を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、置換処理液の硫酸ニッケルおよびリン酸の含有量を、それぞれ、1.0mol/Lおよび0.3mol/Lとし、pHを2.0とした点である。また、置換処理温度を25℃とした。
[顕微鏡観察]
実施例1の試験体について、上述したエッチング処理工程後かつ置換処理工程前、置換処理工程後かつ成膜工程前、および成膜工程後に、試験片をそれぞれ採取して、各試験片を顕微鏡により観察した。結果を図4〜図6に示す。図4は、実施例1に係るエッチング処理工程後かつ置換処理工程前の試験片の表面写真の画像である。図5は、実施例1に係る置換処理工程後かつ成膜工程前の試験片の表面写真である。図6は、実施例1に係る成膜工程後の試験片の断面写真である。
[結果]
図4および図5に示すように、置換処理工程後かつ成膜工程前の試験片(図5参照)では、エッチング処理工程後かつ置換処理工程前の試験片(図4参照)では認められなかったニッケルの析出が、被処理面(アルミニウムの表面)に認められた。
図6に示すように、成膜工程後の試験片では、ニッケルが析出した被処理面(図6に示す、アルミニウムスパッタ層およびニッケル置換析出層)の上に、ニッケル皮膜が形成されていた。
[密着強度試験]
次に、実施例1、2および比較例2の試験体について、以下に説明する密着強度試験を行って、密着強度を評価した。実施例1、2および比較例2の試験体の各ニッケル皮膜に金属棒の端面をはんだによりはんだ付けし、引張試験機で、ニッケル皮膜が剥離した時の破断荷重を測定した。測定した破断荷重を金属棒面積で除して密着強度(破断強度)を算出した。なお、比較例1は、ニッケル皮膜の成膜直後にニッケル皮膜が基板から剥離したため、密着強度試験を実施できなかった。結果を表1および図7に示す。
Figure 0006984540
[密着強度試験の結果]
比較例1、2の如く、置換処理液のpHが2.0以上の場合では、上述したようにニッケル皮膜の成膜直後にニッケル皮膜が剥離した(比較例1)か、成膜しても、破断強度が非常に低く、容易にニッケル皮膜が剥離した(比較例2)。これは、置換処理工程の間に、エッチング処理した被処理面には、不動態皮膜(アルミニウム酸化皮膜)が再生されたからであると考えられる。これにより、比較例1および2では、不動態皮膜の上にニッケル皮膜が成膜された結果、ニッケルが析出した被処理面とニッケル皮膜の密着性が低下したと考えられる。
それに対して、実施例1、2の如く、置換処理液のpHが2.0未満の場合では、1MPa以上の破断強度を大きく超える密着強度が得られた。これは、置換処理液のpHが2.0未満であるため、置換処理工程において、エッチング処理した被処理面に再生が抑制され、不動態皮膜が溶解したからであると考えられる。このようにして、ニッケルが析出した被処理面には、アルミニウムの不動態皮膜の形成が抑制されるため、被処理面とニッケル皮膜との密着強度(密着性)が向上し、ニッケル皮膜の剥離を防止することができると考えられる。
実施例2の如く、置換処理液に硫酸銅が添加された場合には、実施例1と比べて高い密着強度が得られた。これは、微量のCuイオンの存在により、置換析出の核生成を促進することができるためと考えられる。この結果、ニッケルの析出が促進されることにより、ニッケルが析出した被処理面では、不動態皮膜が再形成されやすいアルミニウムの露出した部分が減少する一方、不動態皮膜が形成され難いニッケル部分が増加したためと考えられる。よって、置換処理液には銅イオンが含まれることが好ましいといえる。
比較例2の如く、置換処理液にリン酸が添加された場合には、比較例1と比べて若干密着強度の向上が認められた。これは、リン酸を添加することで、被処理表面の不動態皮膜の溶解が促進されたからであると考えられる。
なお、発明者は、ニッケルイオンの代わりに亜鉛イオンが置換処理液に含有されている場合にも、上述したニッケルイオンの場合と同様に、亜鉛が析出した被処理面と金属皮膜との間に良好な密着性が得られ、亜鉛が析出した被処理面の金属皮膜の密着強度が、向上されていることを確認している。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
11:陽極、13A:第1固体電解質膜、13B:第2固体電解質膜、F:金属皮膜、La:置換処理液、Lb:金属溶液、W:基板、S1:エッチング処理工程、S2:置換処理工程、S3:成膜工程

Claims (1)

  1. アルミニウム系材料からなる被処理面を有した基板に金属皮膜を成膜する金属皮膜の成膜方法であって、
    前記基板の前記被処理面に形成された不動態皮膜を除去するように前記基板をエッチング処理する工程と、
    pHが2.0未満であり、ニッケルイオンまたは亜鉛イオンを含有した置換処理液が浸透可能な第1固体電解質膜の一方側の表面に、エッチング処理した前記被処理面が接触するように、前記第1固体電解質膜を前記基板に配置し、前記置換処理液を前記第1固体電解質膜の他方側から前記第1固体電解質膜に供給することで、前記置換処理液を前記第1固体電解質膜に浸透させ、前記第1固体電解質膜に浸透した前記置換処理液の前記ニッケルイオンまたは前記亜鉛イオンを、エッチング処理した前記被処理面のアルミニウムと置換して、前記被処理面にニッケルまたは亜鉛を析出させる工程と、
    前記金属皮膜の金属イオンを含有した金属溶液が浸透可能な第2固体電解質膜の一方側の表面に、ニッケルまたは亜鉛が析出した前記被処理面が接触するように、前記第2固体電解質膜を前記基板に配置し、前記金属溶液を前記第2固体電解質膜の他方側から前記第2固体電解質膜に供給することで、前記金属溶液を前記第2固体電解質膜に浸透させ、前記第2固体電解質膜の他方側に配置した陽極と、陰極となるニッケルまたは亜鉛が析出した前記被処理面との間に電流を流して、前記第2固体電解質膜に浸透した前記金属溶液の前記金属イオンを、前記被処理面にさらに析出させ、前記被処理面に前記金属皮膜を成膜する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする金属皮膜の成膜方法。
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