以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態においては、ユーザが操作入力を行うためのユーザインタフェースとして、タッチパネルやキーボードを備えた画像処理を行う情報処理装置であるMFP(Multi Function Peripheral:複合機)と、画像処理装置で利用可能な画像や文書などのデータやソフトウェアが記憶されているサーバとをネットワークで接続して構成される情報処理システムを例として挙げて説明を行う。
まず、本実施形態に係る情報処理システム1000の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1000の全体構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システム1000は、画像処理装置1、操作端末2、認証サーバ4がネットワークを介して接続されている。また、操作端末2は、外部接続I/F51を介して認証情報読取装置3と接続されている。
画像処理装置1は、撮像機能、画像形成機能および通信機能などを備えることによって、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFPである。
本実施形態に係る画像処理装置1は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様のハードウェア構成を有する。すなわち、本実施形態に係る画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体40、I/F50A、内部I/F50Bがバス90を介して接続されている。また、画像処理装置1は、スキャナ、プリンタ等を実現するためのエンジン80を備える。
なお、認証サーバ4のハードウェア構成は、エンジン80を除く画像処理装置1のハードウェア構成と同様である。また、認証情報読取装置3は、IC(Integrated Circuit)に記憶された情報、指紋などの生体情報、バーコードなどを読み取る読取部を備え、その他のハードウェア構成は、画像処理装置1のハードウェア構成と同様である。
CPU10は演算手段であり、画像処理装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。記憶媒体40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム(以後、アプリケーション)等が格納されている。
I/F50Aは、バス90と各種のハードウェアやネットワーク5等を接続し制御する。また、画像処理装置1は、内部I/F50Bを有し、内部I/F50Bを介して操作端末2と接続される。操作端末2は、タッチパネルやハードキー等によって構成され、操作表示部として機能する。
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されたプログラムや記憶媒体40はからRAM20に読み出されたプログラムにしたがってCPU10が演算を行うことにより、図2において説明するコントローラ100内部の機能が構成される。このようにして構成されたコントローラ100内部の機能と、ハードウェアとの組み合わせによって、画像処理装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
操作端末2はユーザが操作する端末であり、ユーザの操作に基づいて、画像処理装置1に印刷ジョブの実行やジョブの設定、画像処理装置1に必要なプログラムのインストールを実行する操作情報を送信する端末である。操作端末2には、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機を利用するためのアプリケーションがインストールされており、そのアプリケーションを利用して、画像処理装置1に印刷ジョブの実行やジョブ設定、画像処理装置1に必要なプログラムのインストールを実行する情報を送信する。なお、操作端末2は、タッチパネルやキーボードなど、画像処理装置1に着脱可能な構成であってもよい。
本実施形態に係る操作端末2は、CPU12、RAM22、ROM32、フラッシュメモリ等の記憶媒体42、内部I/F52Bがバス92を介して接続されている。また、内部I/F52Bを介して、画像処理装置1と接続され、情報の送受信を行う。さらに、入出力装置71は、操作受付部の一例であって、タッチスクリーンおよび操作画面上に表示されるアイコン等の図形化情報であるソフトキーを含む。そして、外部接続I/F51は、ICカードリーダ、指紋認証装置などの認証情報読取装置3や、外部の記憶装置などその他の周辺装置と接続するための無線通信を行うことができるインタフェースである。
CPU12は演算手段であり、操作端末2全体の動作を制御する。RAM22は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU12が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM32は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
記憶媒体42は、eMMC(embedded Multi Media Card)等の情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OSや各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。なお、操作端末2の画面を介してユーザが行うアプリケーションの操作に基づいて、例えば、印刷ジョブの実行やスキャン実行等の、画像処理装置1に搭載されている機能の実行や、印刷時における印刷条件の設定をそれぞれの項目ごとに指示することができる。
内部I/F52Bは、バス92と画像処理装置1とを接続して制御する。入出力装置71は、上述したように、内部I/F52Bを介して受信した画像処理装置1の状態をユーザが確認する、または、ユーザが画像処理装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。なお、本実施形態において、入出力装置71は、タッチパネルによって構成され、その動作原理方式としては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、静電容量方式等を用いることができる。
このようなハードウェア構成において、ROM32に格納されたプログラムや記憶媒体42はからRAM22に読み出されたプログラムにしたがってCPU12が演算を行うことにより、操作端末2全体の動作を制御する制御部が構成される。このようにして構成された制御部の機能と、操作端末2を構成するハードウェアとの組み合わせによって、図3に示す操作端末2の動作を制御する機能ブロックが構成される。
また、画像処理装置1および操作端末2は、それぞれ、通常状態または低消費電力状態で動作する。ここで、通常状態とは、各装置を構成する全てのハードウェアに電力が供給されている状態をいう。また、低消費電力状態とは、各装置を構成する一部のハードウェアへの電力の供給を遮断している状態をいう。したがって、低消費電力状態で動作する場合、画像処理装置1および操作端末2が消費する電力は通常状態よりも小さくなる。
認証情報読取装置3は、ICカードなどの記憶媒体に記憶され、画像処理装置1にログインするために実行される認証処理で用いられる認証情報であるカードIDを読み取って操作端末2に送信する。なお、認証情報読取装置3は、ICカードに記憶されているカードIDの読み取りを行うことはできるものの、そのカードIDが何を示す情報であるのはまでは、判別することはできない。また、操作端末2の筐体内部に認証情報読取装置3を組み込み、操作端末2と認証情報読取装置3が一体化した構成であってもよい。
なお、本実施形態では、認証情報読取装置3において、カードIDを認証情報読取装置3に読み取らせるためのユーザ操作が検知されたことをトリガーとして画像処理装置1に搭載されている各種の機能を利用可能とするための複数の処理(ログイン)が実行される。
認証サーバ4は、画像処理装置1を制御するプログラムや、操作端末2から画像処理装置1に搭載された機能を利用するためのアプリケーションなどが記憶された記憶部を含む情報処理装置である。
また、認証サーバ4は、ユーザの属性、アクセス権などのユーザ属性情報を記憶し、検索などの処理を行うことによって、ユーザを認証する認証機能を提供するものである。認証サーバ4は、例えば、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)によって実装されるソフトウェアを搭載したサーバである。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像処理装置1の機能構成について説明する。図2に示すように、画像処理装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、操作端末2、給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107およびネットワークI/F108を有する。
また、コントローラ100は、主制御部110、エンジン制御部120、画像処理部130、外部通信制御部140、内部通信制御部150を含む。図2に示すように、画像処理装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン106を有する複合機として構成されている。なお、図2においては、電気的な接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ネットワークI/F108は、画像処理装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。ネットワークI/F108は、TCP/IPプロトコルによる通信が可能である。また、ネットワークI/F108は、画像処理装置1がファクシミリとして機能する際には、ファクシミリ送信を実行するためのインタフェースとしても機能する。そのため、ネットワークI/F108は、電話回線にも接続されている。ネットワークI/F108は、図1に示すI/F50Aによって実現される。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ、ならびに、HDDや光学ディスクなどの不揮発性の記憶媒体40に格納されたプログラムが、RAM20などの揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像処理装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部110は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部120は、プリントエンジン106やスキャナユニット102などを制御する、もしくは、駆動する駆動手段としての役割を担う。画像処理部130は、主制御部110の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン106が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
また、画像処理部130は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像処理装置1の記憶領域に格納され、もしくは、ネットワークI/F108を介して他の情報処理端末や記憶装置、操作端末2に送信される情報である。
外部通信制御部140は、ネットワークI/F108を介して入力される情報を主制御部110に入力する。また、主制御部110は、外部通信制御部140を制御し、ネットワークI/F108およびネットワークを介してネットワークに接続された装置にアクセスする。
内部通信制御部150は、内部I/F50Bを介して入力される情報を主制御部110に入力する。また、主制御部110は、内部通信制御部150を制御し、内部I/F50Bを介して操作端末2にアクセスする。
なお、操作端末2は、画像処理装置1の状態を視覚的に表示する表示部であるとともに、タッチパネルとしてユーザが画像処理装置1を直接操作し、もしくは、画像処理装置1に対して情報を入力する際の入力部でもある。すなわち、操作端末2は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する操作表示部として機能する。
画像処理装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、外部通信制御部140がネットワークI/F108を介して印刷ジョブを受信する。外部通信制御部140は、受信した印刷ジョブを主制御部110に転送する。主制御部110は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部130を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報もしくは画像情報に基づいて描画情報(描画データ)を生成させる。
画像処理部130によって描画情報が生成されると、エンジン制御部120は、プリントエンジン106を制御し、上記生成された描画情報に基づき、給紙テーブル105から搬送される用紙に対して画像形成を実行させる。すなわち、画像処理部130、エンジン制御部120およびプリントエンジン106が画像形成出力部として機能する。プリントエンジン106によって画像形成が施された文書は排紙トレイ107に排紙される。
画像処理装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによる操作端末2の操作もしくはネットワークI/F108を介して他の端末から入力されるスキャン実行指示に応じて、外部通信制御部140が主制御部110にスキャン実行信号を転送する。主制御部110は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部120を制御する。
エンジン制御部120は、ADF101を駆動し、ADF101にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット102に搬送する。また、エンジン制御部120は、スキャナユニット102を駆動し、ADF101から搬送される原稿を撮像する。また、ADF101に原稿がセットされておらず、スキャナユニット102に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット102は、エンジン制御部120の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。すなわち、スキャナユニット102が撮像部として動作するとともに、エンジン制御部120が、読取制御部として機能する。
撮像動作においては、スキャナユニット102に含まれるCIS(Contact Image Sensor)やCCD(charge−coupled device)などの撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部120は、スキャナユニット102が生成した撮像情報を画像処理部130に転送する。画像処理部130は、主制御部110の制御に従い、エンジン制御部120から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。
画像処理部130が生成した画像情報は主制御部110が取得し、主制御部110がHDD54などの画像処理装置1に装着された記憶媒体に保存する。すなわち、スキャナユニット102、エンジン制御部120および画像処理部130が連動して、画像入力部として機能する。画像処理部130によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD54等に格納され、もしくは、外部通信制御部140およびネットワークI/F108を介して外部の装置に送信される。
また、画像処理装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部120がスキャナユニット102から受信した撮像情報もしくは画像処理部130が生成した画像情報に基づき、画像処理部130が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部120がプリントエンジン106を駆動する。なお、描画情報と撮像情報との情報形式が同一である場合は、撮像情報をそのまま描画情報として用いることも可能である。
次に、操作端末2の機能構成について図3を参照して説明する。操作端末2は、内部通信制御部210、ログイン制御部220、カード情報検知部230、起動制御部240、認証状態記憶部250、表示制御部260、認証処理部270、ユーザ情報記憶部280を含む。
内部通信制御部210は、内部I/F52Bを介して画像処理装置1との通信を制御する。
ログイン制御部220は、ユーザ認証処理の進行状態やユーザ認証処理を担うハードウェアの起動状態に基づいて、画像処理装置1を利用するためのログインなど、複数の処理の実行を制御する認証処理実行制御部である。また、ログイン制御部220は、ユーザ認証処理の進行状態やユーザ認証処理を担うハードウェアによって、複数の処理の実行が完了しているか否か判定する処理完了判定部としても機能する。ログイン済みのユーザの操作に基づいて生成される情報に、画像処理装置1に搭載されているコピー、スキャンなどの機能を利用可能とするライセンスを付与する。
カード情報検知部230は、認証情報読取装置3から入力されたカードIDを検知し、ログイン制御部220にカードIDを検知したことを通知する。
起動制御部240は、操作端末2を構成するハードウェアが起動しているか否かを検知する起動判定部として機能し、認証情報読取装置3においてユーザ認証操作が検知されると操作端末2を構成するハードウェアに対して電力供給を再開して画像処理装置1に搭載されているコピーやスキャンなどの各種の機能を利用可能な状態とするための復帰開始指示を行う。なお、ユーザ認証操作について詳細は後述する。
なお、ハードウェアの起動を検知する態様としては、操作端末2を構成するハードウェアに供給されている電力が所定の量を超えた場合にそのハードウェアが起動状態の起動完了ハードウェアであることを検知する態様、また、ハードウェアに設置されるポートを読み込んだ結果に基づいてハードウェアが起動状態にあるか否かを検知する態様などがある。
認証状態記憶部250は、操作端末2を構成するハードウェアに対して、ハードウェアの起動状態に応じてそれぞれどのような動作を実行させるかを予め定めたデータテーブルである認証状態管理テーブル251を記憶する。本実施形態においては、認証状態記憶部250に記憶されている認証状態管理テーブル251において定められている順番に従って、それぞれの認証処理が実行される。認証状態管理テーブル251についての詳細は、後述する。
表示制御部260は、入出力装置71に表示する画面の内容(例えば、文字や画像など)を決定し、決定した内容の画面を入出力装置71に表示させる。
認証処理部270は、認証情報読取装置3から入力されたカードIDを取得し、取得したカードIDとユーザ情報記憶部280に記憶されているユーザIDとに基づいて、ユーザが画像処理装置1にログインするための認証処理を実行する。
ゆえに、認証処理部270は、認証情報取得部として機能する。
ユーザ情報記憶部280は、画像処理装置1の使用者として登録されたユーザの情報であるユーザIDを記憶する。また、ユーザ情報記憶部280は、カードIDとユーザIDとを関連付けて記憶している。なお、ユーザ情報記憶部280は、ユーザ属性情報として、例えば、コピー、プリント、スキャン、FAXなどの機能のうち、ユーザが利用可能な機能の情報、あるいは、これらの機能を利用する際に設定可能な項目を示す情報をユーザIDと関連付けて記憶する。また、ユーザ情報記憶部280は、ユーザ属性情報として、印刷可能な枚数を示す情報、または、機能の利用料金を示す情報などを記憶する。
認証状態管理テーブル251は、処理割り当てデータテーブル251a、起動状態データテーブル251b、進行状態データテーブル251cを含む。認証状態管理テーブル251は、図4から図6に示すように、画像処理装置1を構成するハードウェアを特定する情報と、画像処理装置1へのログインの進行状態(ログイン状態)ごとに割り当てられた情報処理システム1000において実行される処理とを関連付けて記憶するデータテーブルである。
図4は、ログイン状態ごとに、情報処理システム1000に含まれるハードウェアで実行される処理の割り当ての組み合わせである処理組み合わせ情報を示す処理割り当てデータテーブル251aである。図4に示すように、入出力装置71には、AおよびF、記憶媒体40にはBおよびG、記憶媒体42には、C、DおよびH、I/F50AにはEの処理が割り当てられている。
また、画像処理装置1へのログインを実行するための処理のうち、ログイン状態01には、A、BおよびC、ログイン状態02には、A、B、DおよびE、ログイン状態03には、F、GおよびHがそれぞれ割り当てられており、AおよびBは、ログイン状態01およびログイン状態02のいずれにも割り当てられている。
これは、例えば、入出力装置71は起動していないが、記憶媒体42が起動している場合には、Aの処理(ログイン中画面表示)を実行するよりも前にCの処理(認証情報変換)を実行可能であることを示している。換言すると、AおよびBの処理が実行されていなくとも、記憶媒体42が起動している場合には、Cの処理を実行してもよいということを示している。
このとき、ログイン制御部220は、AおよびBの処理が実行せずに、Cの処理を実行した場合であっても、画像処理装置1のログイン状態をログイン状態01からログイン状態02へ更新する。一方で、ログイン制御部220は、A、BおよびCの処理を実行した場合にも、ログイン状態01からログイン状態02へ更新する。なお、ログイン状態02からログイン状態03への更新は、A、B、D、Eの処理が全て完了しなければ実行されない。
すなわち、処理A、B、DおよびEはひとつの組み合わせであり、組み合わせに含まれる全ての処理が完了した場合に、ログイン状態02からログイン状態03へ更新される。例えば、記憶媒体42では、ログイン状態01の処理であるCの処理、ログイン状態02の処理であるDの処理、ログイン状態03の処理であるHの処理の順番およびログイン状態にしたがって処理が実行される。したがって、処理割り当てデータテーブル251aは、それぞれのハードウェアにおいて実行される処理の順番である処理順番情報を記憶している。
なお、ログイン状態とは、画像処理装置1を構成するハードウェアが消費する電力が省電力状態である、すなわち、画像処理装置1が低消費電力状態で動作しているときに、再度ハードウェアを起動させて画像処理装置1に搭載されている機能を実行可能にする一連の処理を所定の処理の実行ごとに区分けしたものである。したがって、ログイン状態01からログイン状態04になるにつれて、画像処理装置1で消費される電力は大きくなる。
図5は、情報処理システム1000に含まれるハードウェアの起動状態を示す起動状態データテーブル251bである。図5に示す起動状態データテーブル251bでは、入出力装置71が「TRUE」、記憶媒体40が「FALSE」、記憶媒体42が「TRUE」、I/F50Aが「FALSE」に設定されている。
ここで、「TRUE」は、ハードウェアが起動完了した状態であること、「FALSE」はハードウェアが起動完了以外の状態であることを示している。また、本実施形態において、ハードウェアが起動完了している状態とは、ハードウェアに電力が供給され、図3に示す各機能ブロックが実行可能な状態を意味する。
すなわち、図5に示す起動状態データテーブル251bで示される起動状態の画像処理装置1では、ログイン状態01に割り当てられている処理のうち、AおよびCのみを実行することができる。ログイン制御部220は、起動制御部240から送信されるハードウェアの起動完了通知を受信し、起動が完了したハードウェアについて起動状態データテーブル251bに含まれるハードウェアの起動状態を「FALSE」から「TRUE」に更新する。
図6は、ハードウェアで実行される処理の進行状態を示す進行状態データテーブル251cである。図6のA(ログイン中画面表示)、B(ユーザ画面読み込み)、C(認証情報変換)、D(キャッシュ認証)、E(サーバ認証)、F(画面切り替え)、G(キャッシュ更新)、H(キャッシュ更新)までの処理は、それぞれ図4のAからHに割り当てられている処理を示している。
図6に示す進行状態データテーブル251cは、AおよびBの処理を実行せずに、Cの処理を実行した場合のログインの進行状態を示している。図6では、Cの処理が完了し、Dの処理が実行される、すなわち、Cの処理が完了して、ログイン状態01からログイン状態02に更新されたことを示している。
ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aおよび起動状態データテーブル251bに記憶されているデータを確認し、その時点のログイン状態において実行すべき処理を特定し、特定した処理のうち、進行状態データテーブル251cに記憶されているデータが「未指示」に設定されている処理を、当該処理を実行するハードウェアに実行させる。
次に、本実施形態に係る画像処理装置1へのログインを実行するための処理の流れを図7から図14を参照して説明する。図7から図14は、画像処理装置1においてログインを行う処理の流れを示す図である。
図7に示すように、画像処理装置1を使用するユーザは、ICカードに記憶された情報を認証情報読取装置3に読み取らせるためのユーザ操作を実行する(S101)。このとき、ユーザ操作としてICカードを認証情報読取装置3に接近させてICカードに記憶されたカードIDを読み取ることができる。
カード情報検知部230は、カードIDを検知すると(S102)、画像処理装置1および操作端末2に対して、カードIDを検知したことを通知する(S103)。カードIDの検知通知を受信すると、起動制御部240は、画像処理装置1が低消費電力状態であるために、電力供給が一時的に停止されているハードウェアに対して再度電力の供給を開始する(S104)。
また、画像処理装置1に対しては、内部通信制御部210を介してカードIDの検知通知が送信される。主制御部110は、カードIDの検知通知を受信すると、電力供給が一時的に停止されているハードウェアに対して再度電力の供給を開始する(S105)。
また、図8に示すように、画像処理装置1を使用するユーザによって、認証情報読取装置3に対してカードIDの読み取り操作が実行されたとき(S201)、カード情報検知部230は、カードIDを検知し(S202)、検知したカードIDをログイン制御部220に送信する(S203)。
ログイン制御部220は、受信したカードIDをRAM22などの作業領域に一時的に記憶させ(S204)、処理割り当てデータテーブル251aのログイン状態を「ログイン状態01」に更新する(S205)。
次に、ログイン制御部220は、「ログイン状態01」に割り当てられている処理のうち、実行できる処理の有無を、起動状態データテーブル251bを参照して確認する(S206)。このとき、起動状態データテーブル251bに定義されているハードウェアの起動は確認されないため、ログイン制御部220は、図9で説明する処理に進む。
なお、処理割り当てデータテーブル251aのログイン状態のデフォルト値を「ログイン状態01」としてもよい。このようにすると、S206の処理を省略できるため、より素早い画像処理装置1へのログインができる。S104において、操作端末2を構成するハードウェアに対する電力供給が再開される。
操作端末2を構成するハードウェアに対する電力供給が再開され、記憶媒体42の起動が完了したことを検知すると(S301)、起動制御部240は、記憶媒体42の起動完了通知をログイン制御部220に送信する(S302)。ログイン制御部220は、記憶媒体42の起動完了通知を受信すると、起動完了通知後処理を実行する(S303)。
図10は、起動完了通知後処理の流れを示すフローチャートである。ログイン制御部220は、起動完了通知を受信すると(S11)、起動完了通知を受信したハードウェアの起動状態データテーブル251bにおける起動状態が「FALSE」である場合には、「TRUE」に更新する(S12)。S303の場合には、記憶媒体42の起動状態データテーブル251bにおける起動状態が「TRUE」に更新される。
次に、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aを確認して(S13)、起動完了通知を受信したハードウェアおよび現在のログイン状態の両方に対応する処理があるか否かを判定する(S14)。S303の場合には、「ログイン状態01」の記憶媒体42に対応する処理として、Cの処理があることが判定される。
起動完了通知を受信したハードウェアおよび現在のログイン状態の両方に対応する処理がある場合(S14/NO)、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cにおける「C:認証情報変換」の進行状況を「指示済み」に更新する(S15)。なお、S14でNOの場合、ログイン制御部220は、本処理を終了し、図11の処理に進む。
ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cにおける進行状況が「指示済み」に更新された処理を実行させる(S16)。S304において、ログイン制御部220は、認証処理部270に「C:認証情報変換」の処理の実行を指示する(S304)。
認証処理部270は、ログイン制御部220からの指示を受信すると、一時的に記憶されているカードIDによって特定されるユーザIDをユーザ情報記憶部280に記憶されているデータから取得する(S305)。認証処理部270は、ユーザIDを取得すると、「C:認証情報変換」が完了したことをログイン制御部220に通知する(処理完了通知、S306)。
図11に示すように、ログイン制御部220は、処理完了通知を受信すると、処理完了通知後処理を実行する(S401)。図12は、ログイン制御部220が実行する処理完了通知後処理の流れを示すフローチャートである。
処理完了通知を受信すると(S21)、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aを参照して現在のログイン状態を確認する(S22)。S401では、画像処理装置1のログイン状態は、「ログイン状態01」である。
次に、ログイン制御部220は、ログイン状態に対応付けられている処理の進行状況を、進行状態データテーブル251cを参照して確認する(S23)。また、ログイン状態に割り当てられている処理があるか否かを、処理割り当てデータテーブル251aを参照して判定する(S24)。S401では、「ログイン状態01」であるため、ログイン制御部220は、S24の処理においてYESと判定する。
次に、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aおよび進行状態データテーブル251cを参照して、ログイン状態01に割り当てられている処理が全て完了したか否かを判定する(S25)。S401では、「ログイン状態01」であるが、AおよびBの処理を行わなくともCの処理を実行することができる。
ゆえに、ここでは、ログイン制御部220によって「ログイン状態01」に割り当てられている処理が全て完了したと判定され(S25/YES)、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aのログイン状態を「ログイン状態02」に設定して、S23から処理を実行する。
再度S23からの処理を実行した場合、A、B、D、Eの処理が実行されていないため、ログイン制御部220によって、「ログイン状態02」に割り当てられている処理は、完了していない(S25/NO)と判定される。
ログイン状態に割り当てられている処理が完了していないと判定すると、ログイン制御部220は、起動状態データテーブル251bを参照してハードウェアの起動状態を確認する(S27)。
このとき、ステータスが「TRUE」であるのは、記憶媒体42のみである。ログイン制御部220は、記憶媒体42に割り当てられていて、進行状態データテーブル251cのステータスが「未指示」のものがあるか否かを判定する(S28)。このとき、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cのステータスが「未指示」である「D:キャッシュ認証」の処理状態を、「指示済み」に更新し(S29)、認証処理部270に「D:キャッシュ認証」の実行を指示する(S30、S402)。
認証処理部270は、キャッシュ認証実行の指示を受信すると、ユーザIDに対応するユーザ属性情報を取得する(S403)。ユーザ属性情報を取得すると、認証処理部270は、「D:キャッシュ認証」の処理完了通知をログイン制御部220に送信する(S410)。ログイン制御部220は、「D:キャッシュ認証」の処理完了通知を受信すると、進行状態データテーブル251cの「D:キャッシュ認証」のステータスを「処理完了」に更新する(S411)。
認証処理部270によって「D:キャッシュ認証」の処理が実行されている間に、起動制御部240が入出力装置71の起動が完了したことを検知する(S404)と、起動制御部240は、ログイン制御部220に入出力装置71の起動完了通知を送信する(S405)。
起動完了通知を受信すると、ログイン制御部220は、図10で説明した起動完了通知後処理を実行する(S406)。S406の処理において、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aにおいて、「ログイン状態02」および「入出力装置71」に対応する処理「A:ログイン中画面表示」があることを判定する。
そして、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cの「A:ログイン中画面表示」のステータスを「指示済み」に更新し、表示制御部260に対してログイン画面を表示する指示を送信する(S407)。
表示制御部260は、画像処理装置1へのログインが行われていることを示す画面を入出力装置71に表示し、表示した旨をログイン制御部220に通知する(S408)。表示制御部260からログインが行われていることを示す画面を表示した旨の通知を受信すると、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cの「A:ログイン中画面表示」のステータスを「処理完了」に更新する(S409)。
I/F50Aに対して電力が供給され、認証サーバ4と画像処理装置1との接続が確立すると(S501)、主制御部110は、認証サーバ4と画像処理装置1との接続が完了したことを検知する(S502)。そして、主制御部110は、認証サーバ4との接続が完了したことを示すサーバ接続完了通知を操作端末2に送信する(S503)。
内部通信制御部210を介してサーバ接続完了通知を受信すると、ログイン制御部220は、図10で説明した起動完了通知後処理を実行する(S504)。S504の処理において、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aにおいて、「ログイン状態02」および「I/F50A」に対応する処理「E:サーバ認証」があることを判定する。
そして、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cの「E:サーバ認証」のステータスを「指示済み」に更新し、主制御部110に対してサーバ認証を実行する指示をユーザIDと共に送信する(S407)。
主制御部110は、認証サーバ4に記憶されているユーザIDと操作端末2から受信したユーザIDとが一致する場合には、登録済みのユーザであることを判定するサーバ認証を実行し(S506)、サーバ認証が完了したこと示すサーバ認証完了通知を操作端末2に送信する(S514)。
主制御部110によって「E:サーバ認証」の処理が実行されている間に、主制御部110が記憶媒体40の起動が完了したことを検知する(S507)と、主制御部110は、ログイン制御部220に記憶媒体40の起動完了通知を送信する(S508)。
起動完了通知を受信すると、ログイン制御部220は、図10で説明した起動完了通知後処理を実行する(S509)。S509の処理において、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aにおいて、「ログイン状態02」および「記憶媒体40」に対応する処理「B:ユーザ画像読み込み」があることを判定する。
そして、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cの「B:ユーザ画像読み込み」のステータスを「指示済み」に更新し、表示制御部260に対してユーザ画像を読み込む指示を送信する(S510)。
表示制御部260は、画像処理装置1に対してユーザIDとともにユーザ画像の読み込み要求を送信し(S511)、主制御部110は、表示制御部260から受信したユーザIDによって特定されるユーザ画像を操作端末2に送信する(S512)。ログイン制御部220は、ユーザ画像を受信すると、進行状態データテーブル251cの「B:ユーザ画像読み込み」のステータスを「処理完了」に更新する(S513)。
主制御部110からサーバ認証完了通知を受信すると、ログイン制御部220は、図12で説明したように、処理完了通知後処理を実行する(S601)。S601の処理において、「ログイン状態02」に割り当てられた処理が全て完了しているため、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aのログイン状態を「ログイン状態03」に設定する。
そして、ログイン制御部220は、「ログイン状態03」に割り当てられているF、G、Hの処理が実行されていないと判定する。起動状態データテーブル251bにおいて、F、G、Hを実行するハードウェアのステータスは全て「TRUE」であるため、ログイン制御部220は、進行状態データテーブル251cにおける処理F、G、Hのステータスを「指示済み」に更新し、F、G、Hの処理の実行を指示する。
ログイン制御部220は、画像処理装置1に対して、「G:キャッシュ更新」の処理の実行を指示する(S602)。主制御部110は、ログイン制御部220から受信した「G:キャッシュ更新」の処理の実行指示に従って画像処理装置1のキャッシュを更新し(S603)、キャッシュの更新が完了した旨をログイン制御部220に通知する(S611)。
ログイン制御部220は、キャッシュの更新が完了した旨の通知を画像処理装置1から受信すると、進行状態データテーブル251cの「G:キャッシュ更新」のステータスを「処理完了」に更新する(S612)。
また、ログイン制御部220は、表示制御部260に対して「F:画面切り替え」の処理の実行を指示する(S604)。主制御部110は、ログイン制御部220から受信した「F:画面切り替え」の処理の実行指示に従って入出力装置71に表示させる画面を切り替え、画面を切り替えた旨をログイン制御部220に通知する(S605)。
ログイン制御部220は、画面を切り替えた旨の通知を表示制御部260から受信すると、進行状態データテーブル251cの「F:画面切り替え」のステータスを「処理完了」に更新する(S606)。
次に、ログイン制御部220は、認証処理部270に対して「H:操作端末キャッシュ更新」の処理の実行を指示する(S607)。認証処理部270は、ログイン制御部220から受信した「H:操作端末キャッシュ更新」の処理の実行指示に従って、記憶媒体42に記憶されていたキャッシュを更新し(S608)、キャッシュの更新が完了した旨をログイン制御部220に通知する(S609)。
ログイン制御部220は、キャッシュの更新が完了した旨の通知を認証処理部270から受信すると、進行状態データテーブル251cの「H:操作端末キャッシュ更新」のステータスを「処理完了」に更新する(S610)。
S612の処理が終了すると、ログイン制御部220は、図12で説明した処理完了通知後処理を実行する(S613)。S613において、「ログイン状態03」に割り当てられた処理が全て完了しているため、ログイン制御部220は、処理割り当てデータテーブル251aのログイン状態を「ログイン状態04」に設定する。
「ログイン状態04」には、割り当てられている処理がないため、ログイン制御部220は、画像処理装置1へのログインを実行するための処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置のログインにおいては、画像処理装置に搭載されている機能を実現するためのハードウェアが起動するよりも前に、画像処理装置を使用するユーザの認証を行うことができる。したがって、画像処理装置の使用者として登録されていないユーザが使用しようとした場合には、画像処理装置が起動するまでにログインが中断することとなるため、よりセキュリティ性を高めた情報処理システムの運用が可能となる。
また、本発明は、プロジェクタ、電子黒板、家電製品を含む情報処理システムに対して適用することにより、画像処理装置を含む情報処理システムと同様の効果を得ることができる。