JP6984366B2 - 玉軸受用波形保持器 - Google Patents

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Description

本発明は、玉軸受に適用される玉軸受用波形保持器に関する。
従来、玉軸受の転動体である玉を保持するための保持器として、平坦部と、この平坦部の厚さ方向の一方向に向かって膨出する玉保持部と、が交互に形成された一対の波形環をリベット結合した、玉軸受用波形保持器が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平9−174192号公報
前記特許文献1に記載の技術は、リベット孔の打ち抜き加工に伴う対策であって、リベット挿入時のバリ対策ではなかった。すなわち、リベットの嵌合部はリベット挿入孔よりも大きく設定されているので、一対の波形環の片側の挿入孔へのリベットを挿入が圧入となり、リベットとリベット挿入孔とのうち何れか一方又は双方が削れる場合がある。リベット又はリベット挿入孔が削れて発生したバリは、回転中に波形環より脱落して異物となって玉や軌道面に付着して、玉軸受の玉及び軌道面の傷の発生原因となる可能性があった。また、リベット挿入孔は打ち抜き加工により形成されるが、打ち抜き加工後のリベット挿入孔はその入り口面がせん断面となり、エッジとなっているので、リベットの挿入性が高くないため、リベットの挿入時にかじり等が発生する場合があった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、一対の波形環の片方へのリベット圧入に伴うバリの発生を抑制し、仮にバリが発生した場合でも悪影響を低減でき、またリベット挿入時の挿入性を向上させることができる、玉軸受用波形保持器を提供することである。
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
本発明に係る玉軸受用波形保持器は、打ち抜き加工によりリベット挿入孔が形成された平坦部と、裏面側から表面側に向かって膨出する玉保持部と、が交互に形成された一対の波形環と、前記一対の波形環の裏面同士が対向した状態で、前記一対の波形環における一方の側から他方の側に向かって、前記リベット挿入孔に圧入されるリベットと、を備え、前記リベットが加締められることにより、前記一対の波形環が互いに結合される、玉軸受用波形保持器であって、前記リベットは、頭部、嵌合部、及び、先端部で構成され、前記頭部は前記一方の波形環における抜け止めとされ、前記嵌合部は前記リベット挿入孔より若干大きな径且つ前記波形環の板厚程度の長さに設定されるとともに前記一方の波形環の前記リベット挿入孔に圧入され、前記先端部は前記リベット挿入孔よりも若干小さな径で設定されるとともに加締めにより頭部が形成されて前記他方の波形環における抜け止めとされ、前記波形環の少なくとも前記一方の側には、前記リベット挿入孔の内周面における前記表面側に、前記表面側が拡径するテーパ面が形成され、前記テーパ面は、前記リベット挿入孔の内周面における前記表面側への面押し形状として、前記平坦部の法線方向に対する傾斜角度が5度〜15度の範囲となるように形成され、前記一方の波形環の前記リベット挿入孔において拡径されていない部分の前記平坦部の厚さ方向の長さが、前記リベット挿入孔の全体の長さに対して35%以上で形成されるものである。
また、玉軸受用波形保持器は、前記リベット挿入孔において前記テーパ面が形成される部分の前記平坦部の厚さ方向の長さが、前記リベット挿入孔の全体の長さに対して5%以上40%以下で形成されるものである。
本発明に係る玉軸受用波形保持器によれば、一対の波形環の片方へのリベット圧入に伴うバリの発生を抑制し、仮にバリが発生した場合でも悪影響を低減でき、またリベット挿入時の挿入性を向上させることができる、という効果を奏する。
一実施形態に係る玉軸受用波形保持器を示す斜視図。 玉軸受用波形保持器を一部切り欠いた斜視図。 (a)は玉軸受用波形保持器の製造時における圧入工程を示した断面図、( b)は玉軸受への組み込み時における挿入工程を示した断面図、(c)は同じく加締 め工程を示した断面図。 (a)及び(b)は同じく面押し工程を示した断面図。 波形環の結合部分を示す拡大断面図。 玉軸受用波形保持器の解析条件及び解析結果を示した図。 緊迫力とストレート長さの関係を示したグラフ。 比較例における緊迫力の分布状態を示した図。 実施例1における緊迫力の分布状態を示した図。 実施例2における緊迫力の分布状態を示した図。 実施例3における緊迫力の分布状態を示した図。
以下では図1及び図2を用いて、一実施形態に係る玉軸受用波形保持器(以下、単に「保持器」と記載する)1について説明する。本実施形態に係る保持器1は、背向して配置される一対の波形環10・10と、この一対の波形環10・10を加締め止める複数の(本実施形態においては9個の)リベット20とで構成される。図3に示す如く、リベット20は頭部、嵌合部20b、先端部20aで構成される。頭部は一方の波形環10における抜け止めとして機能する。嵌合部20bは、リベット挿入孔11aより若干大きな径で設定されてリベット挿入孔11aに圧入される部位であり、その長さは波形環10の略板厚程度に設定されている。先端部20aはリベット挿入孔11aよりも若干小さな径で設定され、加締めにより頭部が形成されて、もう片側の波形環10の抜け止めとして機能する(図3(c)を参照)。
保持器1は玉軸受の転動体である玉(図3中の二点鎖線を参照)を保持するための部材である。保持器1を使用する際には波形環10・10の間(詳細には、後述する玉保持部12・12・・・の間)に複数の玉が介挿されるが、図1及び図2においては玉の図示を省略している。
図3及び図4に示す如く、波形環10は表面10a及び裏面10bを有し、平坦部11・11・・・と玉保持部12・12・・・とが交互に形成された板状の部材である。波形環10は、例えば円環状の鋼板をプレス加工することによって、平坦部11及び玉保持部12が形成される。
図3及び図4に示す如く、平坦部11にはリベット挿入孔11aが平坦部11を厚さ方向に貫通して形成されている。リベット挿入孔11aは、波形環10の表面10aの側から裏面10bの側に(図3中の第一波形環10Aであれば上側から下側に向かって)打ち抜き加工することによって形成される。リベット挿入孔11aにおける裏面10bの側には、打ち抜き加工時の破断面11bが、裏面10bの側が拡径するテーパ形状に形成されている。
玉保持部12は裏面10bの側から表面10aの側に向かって膨出するように形成される。保持器1を使用する場合は、図3中の二点鎖線に示す如く、一対の波形環10・10における玉保持部12の裏面10b側に形成される空間に玉が介挿される。
一対の波形環10・10におけるそれぞれのリベット挿入孔11aにはリベット20の先端部20aが挿入される。また、一方の波形環(図1及び図2における上側に示す波形環)10におけるリベット挿入孔11aにはリベット20の嵌合部20bが圧入される。以下では、説明の便宜上、リベット20の嵌合部20bが圧入される側の波形環10を第一波形環10A、第一波形環10Aの後でリベット20の先端部20aが挿入される側の波形環(図1及び図2における下側に示す波形環)10を第二波形環10Bと記載する。
具体的には図3(a)中の破線矢印に示す如く、第一波形環10Aの表面10aの側から裏面10bの側に向かって、リベット20の先端部20aがリベット挿入孔11aに挿入され、嵌合部20bが圧入される。次に図3(b)の破線矢印に示す如く、第一波形環10A及び第二波形環10Bの裏面10b同士が対向し、互いの玉保持部12の内側に玉を保持した状態で、第二波形環10Bの裏面10bの側から表面10aの側に向かって、リベット20の先端部20aがリベット挿入孔11aに挿入される。即ち、一方の第一波形環10Aの側から他方の第二波形環10Bの側に向かってリベット20の先端部20aがそれぞれのリベット挿入孔11aに挿入されるのである。
第一波形環10Aの表面10aから第一波形環10A及び第二波形環10Bのリベット挿入孔11aに挿入された先端部20aは、図3(c)に示す如く第二波形環10Bの表面10aで加締められる。これにより、第一波形環10Aと第二波形環10Bとが互いに結合され、保持器1が形成される。
本実施形態に係る保持器1において、第一波形環10A及び第二波形環10Bには、リベット挿入孔11aにリベット20が挿入される前段階において、図4(a)及び(b)に示す如くリベット挿入孔11aの内周面における表面10aの側への面押し形状として、表面10aの側が拡径するテーパ面11c(図5を参照)が形成されている。
上記の面押し加工は図4(a)及び(b)に示す如く、平坦部11のリベット挿入孔11aに表面10aの側から挿入されるパンチ31と、平坦部11を裏面10bの側から支えるためのダイ32とを用いて行う。
パンチ31は図4(a)及び(b)に示す如く、リベット挿入孔11aに挿入される円錐台形状の挿入部31aが形成されている。この挿入部31aが図4(a)中の矢印Pに示す如くリベット挿入孔11aの表面10aの側を押圧して塑性変形させることにより、テーパ面11cが形成されるのである。
このように、本実施形態に係る保持器1を製造及び玉軸受への組み込みをする場合は、まず、表面10aの側から裏面10bの側への打ち抜き加工によりリベット挿入孔11aが形成された平坦部11と、裏面10bの側から表面10aの側に向かって膨出する玉保持部12と、が交互に形成された波形環10における、リベット挿入孔11aの内周面の表面10aの側に、図4(a)及び(b)に示す如く面押し加工を施すことによりテーパ面11cを形成する(テーパ面形成工程)。次に第一波形環10Aに、図3(a)に示すように、表面から裏面に向ってリベット挿入孔11aにリベットを挿入して、嵌合部20bを圧入する(圧入工程)。
次に、玉軸受の製造ラインで一対の波形環10・10の裏面10b同士が対向した状態で、図3(b)に示す如く一対の波形環10における一方の側(第一波形環10Aの側)から他方の側(第二波形環10Bの側)に向かって、リベット挿入孔11aにリベット20の先端部20aを挿入する(挿入工程)。
さらに、図3(c)に示す如くリベット20の先端部20aを第二波形環10Bの表面10aで加締めることにより、一対の波形環10・10を互いに結合させるのである(加締め工程)。なお、挿入工程及び加締め工程は、玉軸受の製造ラインで玉軸受の内外輪(図示省略)間に複数の玉を介挿して、この玉を円周等配としておいて、波形環10・10の玉保持部12・12・・・で挟むようにして行う。
従来、打ち抜き加工後のリベット挿入孔は、その入り口面がせん断面となり、エッジ部となっていたため、リベットが圧入時に削られてバリが発生していた。しかし、本実施形態に係る保持器1によれば、上記の如くエッジ部に面押し加工を施したテーパ面11cを形成したことでエッジ部が無くなったため、バリの発生を低減させることができる。
また、本実施形態に係る保持器1によれば、第一波形環10Aのリベット挿入孔11aにリベット20の嵌合部20bを圧入する際に両者間で削られてバリが発生した場合でも、このバリは保持器の表面10aの方向に形成されるので、リベット20の外周面とテーパ面11cの内周面との隙間にバリを収容することができる。つまり、リベット挿入孔11aへのリベット20の嵌合部20bを圧入時にバリが発生した場合でも、バリが玉及び軌道面に接触することを防止できるため、傷の発生原因となる悪影響を低減することが可能となるのである。
また、本実施形態に係る保持器1によれば上記の如く、リベット挿入孔11aへのリベット20の先端部20aの挿入に先立って、リベット挿入孔11aの内周面の表面10aの側に面押し加工を施すことによりテーパ面11cを形成している。これにより、第一波形環10Aのリベット挿入孔11aにリベット20の先端部20aを挿入する際にテーパ面11cが先端部20aを案内するため、挿入時にリベット20の姿勢を安定させることが可能となる。これにより、リベット20が傾いて挿入されることが防止されるため、リベット20とリベット挿入孔11aとのうち何れか一方又は双方が削れることを抑制できる。
なお、リベット20の挿入性を向上させるとともにバリを収容するテーパ面として、上記実施形態におけるテーパ面11cに替えて、打ち抜き加工時に形成される破断面11bを用いることも可能である。この場合、リベット挿入孔11aに破断面11bが形成された側を、玉保持部12を膨出させる表面10aとして波形環10を形成し、破断面11bが形成されていない側を裏面10bとして波形環10・10を対向させることになる。
上記の如く、テーパ面として破断面11bを用いた場合は、リベット挿入孔11aにリベット20を挿入する際に破断面11bが先端部20aを案内するため、リベット20とリベット挿入孔11aとのうち何れか一方又は双方が削れることを抑制することができる。また、リベット20の外周面と破断面11bの内周面との隙間にバリを収容することができるため、バリが玉及び軌道面に接触することを防止でき、傷の発生原因となる悪影響を低減することが可能となる。
上記の如く、テーパ面として破断面11bを用いた場合は、リベット挿入孔11aに面押し加工を施す必要はない。即ち、この場合はリベット挿入孔11aの打ち抜き加工工程がテーパ面形成工程となる。
表面10aの側でテーパ面が形成される部分は、平坦部11の厚さ方向の長さが、リベット挿入孔11aの全体の長さに対して5%以上40%以下の深さで形成される。テーパ面の長さの比率における5%とは、リベット20のリベット挿入孔11aへの挿入性と、発生したバリの収容性能を十分に発揮するための下限値である。また、テーパ面の長さの比率における40%とは、テーパ面として破断面11bを用いた場合の破断面11bの最大長さの比率である。
また、テーパ面11cの傾斜角度(挿入部31bの傾斜角度)は、平坦部11の法線方向に対して5度〜15度程度に形成することが望ましい。挿入部31bの傾斜角度における5度は、リベット20のリベット挿入孔11aへの挿入性と、発生したバリの収容性能を十分に発揮するための下限値である。また、挿入部31bの傾斜角度における15度は、テーパ面11cの成形不良を招く可能性を抑制するための上限値である。
次に、本願出願人が行った、保持器のリベット挿入孔におけるリベットの緊迫力(kgf)の解析結果について説明する。上記の実施形態の如く、リベット挿入孔11aの内周面の表面10aの側にテーパ面11cを形成すると、リベットを保持する嵌合長さが短くなり、リベット挿入孔11aにおけるリベット保持力の低下が懸念される。本解析は、この低下の度合いを確認する為に出願人は下記に示す解析を行いリベット保持力(解析上はリベット孔11aがリベット嵌合部20bを締め付ける緊迫力で代用)を確認するために行ったものである。
本解析は、図6中の比較例、実施例1、実施例2、及び、実施例3に記載する如く、リベット挿入孔に異なる形状で面取形状(テーパ面)を形成し、各リベット挿入孔にリベットを挿入してリベット挿入孔に強制変位を与えた際の緊迫力を比較したものである。図7は本解析結果における、緊迫力とストレート長さ(面取形状が形成されていない部分の長さ)の関係を示したグラフである。また、図8から図11はリベット挿入孔におけるリベットの緊迫力の分布を示したものであり、色が濃い部分は緊迫力が大きいことを示している。これにより、リベット挿入孔のストレート部(面取りが形成されていない部分)のB側の端部付近の比較的狭い領域に緊迫力が大きい範囲が存在していることがわかる。
本解析は、エムエスシーソフトウェア社の有限要素法ソフトウェアであるMarc(登録商標)を用いて行った。比較例及び各実施例に共通する解析条件として、保持器の内径:70mm、保持器の外径:86mm、保持器の板厚:1.4mm、リベット挿入孔の孔径:2.55mm、リベットの嵌合部径:2.6mm、嵌合部長さ:1.4mmの各条件を用いた。保持器の材質はSPCC(冷間圧延鋼板)を用いるものとし、塑性域まで考慮した解析を行った。また、リベットは剛体であるものとして解析を行った。面取形状の傾斜角度は、平坦部の法線方向に対して10度とした。
図6及び図8に示す如く、比較例における波形環10の平坦部111は、リベット挿入孔の表面側(以下、「A側」と記載する(他の実施例も同様))にも裏面側(以下、「B側」と記載する(他の実施例も同様))にも面取形状を形成していない。即ち、A側面取長さ(面取形状の平坦部の厚さ方向の長さ、以下同じ)もB側面取長さも0mmである。平坦部111の板厚は1.4mmであるため、リベット挿入孔において拡径されていない部分(以下、「ストレート部」と記載する)の長さ(以下、「ストレート長さ」と記載する)は1.4mmとなる(図8中のストレート部111Sを参照)。
図6及び図9に示す如く、実施例1における波形環10の平坦部112は、リベット挿入孔のA側に面取形状を形成しておらず(A側面取長さは0mm)、B側にB側面取長さ0.4mmの面取形状を形成している(図9中のB側面取部112Bを参照)。平坦部112の板厚は1.4mmであるため、リベット挿入孔におけるストレート長さは1.0mmとなる(図9中のストレート部112Sを参照)。図6に示す如く、本比較例において比較例に対するストレート長さの比は0.71となる。
図6及び図10に示す如く、実施例2における波形環10の平坦部113は、リベット挿入孔のA側にA側面取長さ0.5mmの面取形状を形成している(図10中のA側面取部113Aを参照)。また、B側にB側面取長さ0.4mmの面取形状を形成している(図10中のB側面取部113Bを参照)。平坦部113の板厚は1.4mmであるため、リベット挿入孔におけるストレート長さは0.5mmとなる(図10中のストレート部113Sを参照)。図6に示す如く、本実施例において比較例に対するストレート長さの比は0.35となる。
図6及び図11に示す如く、実施例3における波形環10の平坦部114は、リベット挿入孔のA側にA側面取長さ0.4mmの面取形状を形成している(図11中のA側面取部114Aを参照)。また、リベット挿入孔のB側には面取形状を形成していない(B側面取長さは0mm)。平坦部114の板厚は1.4mmであるため、リベット挿入孔におけるストレート長さは1.0mmとなる(図11中のストレート部114Sを参照)。図6に示す如く、本実施例において比較例に対するストレート長さの比は0.71となる。
図6及び図7に示す如く、本解析の比較例及び各実施例において、各リベット挿入孔にリベットを挿入してリベット挿入孔に強制変位を与えた際の、リベットの緊迫力(kgf)の比は、比較例を1としたとき、実施例1が0.90、実施例3が0.91となった。このように、本解析においては、各実施例の如くA側又はB側に面取形状(テーパ面)を形成した場合でも、緊迫力の大きな低下は見られなかった。即ち、本解析によって、緊迫力がストレート部の位置に依存しないことがわかったのである。
また、実施例2に示す如く、ストレート長さが比較例に対して(平坦部の板厚に対して)35%となった場合でも、88%の緊迫力を確保することができた。詳細には図8から図11に示す如く、緊迫力の分布は何れの比較例及び実施例に関してもB側に集中する。このため、ストレート長さを35%とした場合でも、緊迫力の大きな低下がない(リベットの保持力が大きく低下しない)ことを確認できたのである。
上記の如く、リベット挿入孔におけるリベットの緊迫力を保持するためには、リベット挿入孔において拡径されていない部分(面取形状が形成されていない部分)の長さであるストレート長さを35%以上確保することが好ましい。
次に、本願出願人が行った、本実施形態に係る保持器(リベット挿入孔11aの内周面の表面10aの側にテーパ面11cが形成された保持器)1と、従来の保持器(リベット挿入孔が打ち抜き加工されたままの形状の保持器、以下「従来保持器」と記載する)との比較結果(何れも数千回の挿入テストにおける結果)を以下に示す。
従来保持器において、リベット20の圧入時におけるバリの発生率は0.25%であったのに対し、保持器1においてバリは発生しなかった(発生率0%)。このように、本実施形態に係る保持器1においては、従来保持器と比較して、リベット挿入孔11aの内周面の表面10aの側にテーパ面11cが形成されて、エッジ部が無くなったので、リベット20の圧入時におけるバリの発生量の抑制が確認されたのである。
なお、第二波形環10Bにリベット20を挿入する際には、リベット挿入孔11aがリベット先端部20aより若干大きく設定されているのでバリが生じることはない。
このように、破断面側である裏面10bの側からリベット20が挿入される第二波形環10Bについてはバリが生じることがないため、必ずしもリベット挿入孔11aの内周面に面押し加工を施す必要はない。換言すれば、第一波形環10Aのリベット挿入孔11aの内周面における表面10aの側(せん断面側)に面押し加工が施されていれば差支えなく、本実施形態の如く第一波形環10Aと第二波形環10Bとの双方に面押し加工が施されていなくても差し支えない。この場合、プレス加工後の波形環10を、予めリベット20の先端部20aが挿入され嵌合部20bが圧入される第一波形環10Aと、後に挿入される第二波形環10Bとに約半数ずつ区別しておき、第一波形環10Aのみにリベット挿入孔11aの内周面に面押し加工を施すことになる。
本実施形態においては、第一波形環10Aと第二波形環10Bとの両方に面押し加工を施し、双方ともにテーパ面11cを形成した同形状として互いに区別しない構成としている。これにより、第一波形環10Aと第二波形環10Bとを区別する手間とコストを低減させることができる。
1 玉軸受用波形保持器(保持器)
10 波形環 10A 第一波形環
10B 第二波形環 10a 表面
10b 裏面 11 平坦部
11a リベット挿入孔 11b 破断面
11c テーパ面 12 玉保持部
20 リベット 20a 先端部
20b 嵌合部 111 平坦部
111S ストレート部 112 平坦部
112B B側面取部 112S ストレート部
113 平坦部 113A A側面取部
113B B側面取部 113S ストレート部
114 平坦部 114A A側面取部
114S ストレート部

Claims (2)

  1. 打ち抜き加工によりリベット挿入孔が形成された平坦部と、裏面側から表面側に向かって膨出する玉保持部と、が交互に形成された一対の波形環と、
    前記一対の波形環の裏面同士が対向した状態で、前記一対の波形環における一方の側から他方の側に向かって、前記リベット挿入孔に圧入されるリベットと、を備え、
    前記リベットが加締められることにより、前記一対の波形環が互いに結合される、玉軸受用波形保持器であって、
    前記リベットは、頭部、嵌合部、及び、先端部で構成され、前記頭部は前記一方の波形環における抜け止めとされ、前記嵌合部は前記リベット挿入孔より若干大きな径且つ前記波形環の板厚程度の長さに設定されるとともに前記一方の波形環の前記リベット挿入孔に圧入され、前記先端部は前記リベット挿入孔よりも若干小さな径で設定されるとともに加締めにより頭部が形成されて前記他方の波形環における抜け止めとされ、
    前記波形環の少なくとも前記一方の側には、前記リベット挿入孔の内周面における前記表面側に、前記表面側が拡径するテーパ面が形成され、
    前記テーパ面は、前記リベット挿入孔の内周面における前記表面側への面押し形状として、前記平坦部の法線方向に対する傾斜角度が5度〜15度の範囲となるように形成され、
    前記一方の波形環の前記リベット挿入孔において拡径されていない部分の前記平坦部の厚さ方向の長さが、前記リベット挿入孔の全体の長さに対して35%以上で形成される、玉軸受用波形保持器。
  2. 前記リベット挿入孔において前記テーパ面が形成される部分の前記平坦部の厚さ方向の長さが、前記リベット挿入孔の全体の長さに対して5%以上40%以下で形成される、請求項1に記載の玉軸受用波形保持器。
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