JP6464946B2 - 金属製円筒状部材の余肉部除去方法、軌道輪の製造方法、及び、ラジアル転がり軸受の製造方法 - Google Patents
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特に、本発明の金属製円筒状部材の余肉部除去方法に於いては、前記パンチとして、前記中間素材への挿入方向に関する前端部外周縁に断面円弧形のR面取り部を設けたものを使用する。このR面取り部のうち、前記中間素材への挿入方向に関する前端縁の外径(前記パンチの先端面の外径)は、この中間素材のうちで前記余肉部から軸方向に外れた部分の内径よりも小さく、前記R面取り部のうちで外径が最も大きい部分の外径は、前記中間素材のうちで前記余肉部から軸方向に外れた部分の内径以上である。
そして、前記中間素材の内径側に前記パンチを挿入する事に伴い、このパンチの先端面(この中間素材への挿入方向に関する前端面)により前記余肉部を打ち抜くと共に、前記R面取り部のうちで外径が最も大きい部分により前記中間素材の内周面を扱く{前記余肉部を打ち抜く打ち抜き加工と、この中間素材の内周面を扱く扱き加工とを一工程で行う(同時に施す)}。
即ち、本発明の場合、内周面に内向鍔状の余肉部を有する中間素材の内径側に、所定の形状を有するパンチを挿入する事で、この余肉部を打ち抜く打ち抜き加工と、この中間素材の内周面を扱く扱き加工とを一工程で行う事ができる。この為、前述の特許文献1に記載された金属製円筒状部材の製造方法の様に、扱き加工と打ち抜き加工とを別工程で行う場合と比較して、工程数を削減でき、製造コストの低減を図る事ができる。又、扱き加工と打ち抜き加工とを別工程で行う場合の様に、この扱き加工に使用するパンチと、この打ち抜き加工に使用する打ち抜きパンチとの中心軸同士が不一致となる事に起因して、前記余肉部の少なくとも一部が前記中間素材の内周面に残り、当該部分に凸部が形成される様な事はない。従って、仕上加工に用いる砥石の加工面の形状崩れを防止でき、この面からも製造コストの低減を図れる。
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、ラジアル転がり軸受を構成する為の軌道輪等の金属製円筒状部材32の製造コストを低減する為に、軸方向片端部(図1の上端部)の内周面に内向鍔状の余肉部である連結部12を有する中間素材23に、この連結部12を除去する打ち抜き加工と、この中間素材23の内周面を扱く扱き加工とを同時に施す(一工程で行う)点にある。円柱状のビレット1(図7参照)から、小径側、大径側両円筒部5、7同士を連結部12により連結した第五予備中間素材19を造り、この第五予備中間素材19から前記小径側円筒部5を打ち抜いて残った、余肉部である連結部12を有する中間素材23を造る方法に就いては、例えば、前述の図7〜8に示した従来方法の1例に於ける、図7の(A)→(D)、及び、図8の(A)→(C)までと同様である。
即ち、本例の場合、内周面に前記連結部12を有する中間素材23の内径側に、先端部に前記ランド部38を設けた前記パンチ37を挿入する事で、前記連結部12を打ち抜くと同時に、前記中間素材23の内周面を扱く事ができる(打ち抜き加工と扱き加工とを一工程で行う事ができる)。この為、前述の図8に示した従来方法の1例の様に、扱き加工と打ち抜き加工とを別工程で行う場合と比較して、工程数を削減でき、製造コストの低減を図る事ができる。又、前記従来方法の1例の様に、扱き加工に使用するパンチ26と、打ち抜き加工に使用する打ち抜きパンチ30との中心軸同士が不一致となる事に起因して、前記連結部12の少なくとも一部が前記中間素材23の内周面に残り、当該部分に凸部を形成する様な事はない。従って、仕上加工に用いる砥石の加工面の形状崩れを防止でき、この面からも製造コストの低減を図れる。更に、本例の場合、前記ランド部38の先端部外周縁に、断面円弧形のR面取り部39を設けている為、前記パンチ37により前記連結部12を打ち抜く際に、このパンチ37の先端部外周縁に加わる応力を緩和する事ができる。この結果、このパンチ37の耐久性を向上させる事ができ、前記金属製円筒状部材32の製造コストの更なる低減を図れる。又、本例の場合、前記ランド部38の先端部外周縁に前記R面取り部39を設ける事により、前記クラック40の形成速度を調整して、前記パンチ37により前記連結部12が打ち抜かれる(このパンチ37の先端面が前記大径部34の軸方向他端面より軸方向他方に存在する状態となる)以前に、前記クラック40が前記連結部12の基端部を軸方向に貫通する状態で形成されるのを防止している。即ち、パンチのランド部の先端部外周縁が尖っていると、このパンチが連結部を打ち抜く以前に、クラックがこの連結部を軸方向に貫通する状態で形成される可能性がある。この結果、得られる金属製円筒状部材の内周面に、前記クラックに基づく凹凸が残る可能性がある。これに対し、本例の金属製円筒状部材の余肉部除去方法によれば、前記ランド部38の先端部外周縁に前記R面取り部39を設けている為、得られる金属製円筒状部材32の内周面を滑らかにする事ができる。
図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、中間素材23を、連結部12が形成された軸方向片端部が下側となる様に保持した状態で、この中間素材23の内径側にパンチ37を上方から挿入する様にしている。即ち、この挿入作業の初期段階では、このパンチ37のうちで、外径が最も大きい部分により、前記中間素材23のうち、得るべき金属製円筒状部材32の容積を上回る余肉部分を、軸方向片端寄り部分に寄せ集め、内周面の軸方向片端寄り部分に内向鍔状の鍔部41を形成する。この状態から前記パンチ37を更に下方に変位させる事で、前記連結部12とこの鍔部41とを打ち抜き、更にこれら連結部12と鍔部41とを打ち抜いた後の破断面を扱いて滑らかにする。これにより、前記金属製円筒状部材32を得る。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様である。
図4は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例は、ラジアル転がり軸受を構成する内輪を造る為の金属製円筒状部材32aの製造方法である。先ず、円柱状のビレット1(図7参照)に鍛造加工を施す事により、図4の(A)に示す様な予備中間素材42を得る。この予備中間素材42は、小径側円筒部5aと大径側円筒部7aとを連結部12aにより連結した、段付円筒状で、この小径側円筒部5aの軸方向片端寄り部分{図4の(A)〜(B)の下端寄り部分、同図の(C)の上端寄り部分}に内向鍔状の余肉部である鍔部31aを有する。この様な予備中間素材42に打ち抜き加工を施す事で、図4の(B)に示す様に、1対の中間素材23、23aに分離する。このうち、外径の大きい中間素材23は、前述した実施の形態の第1例又は第2例の製造方法を実施する事により、ラジアル転がり軸受を構成する外輪を造る為の金属製円筒状部材32(図1、3参照)を得られる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1〜2例と同様である。
図5は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、予備中間素材42を分離して得られる1対の中間素材23、23aのうち、外径の小さい中間素材23aを、図5の(C)に示す様に、鍔部31aが形成された側である軸方向片側が下側になる様に保持した状態で、前記中間素材23aの内径側にパンチ37aを上方から挿入する。従って、この挿入作業の初期段階では、このパンチ37aのうちで、外径が前記中間素材23aの軸方向中間部乃至他端部よりも内径が大きい部分により、この中間素材23aの内周面を扱いて、この内周面の軸方向片端寄り部分に内向鍔状の別の鍔部41aを形成する。この状態から前記パンチ37aを更に下方に変位させる事で、これら両鍔部31a、41aを一度に打ち抜き、更にこれら両鍔部31a、41aとを打ち抜いた後の破断面を扱いて滑らかにする。これにより、金属製円筒状部材32aを得る。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1〜3例と同様である。
図6は、本発明の実施の形態の第5例を示している。前述した実施の形態の第2例及び第4例の場合には、パンチ37(37a)、及び、中間素材23(23a)を保持するダイスの寸法精度が不十分であると、余肉部(連結部12又は鍔部31a)を打ち抜いた後の破断面の内径が、このパンチ37(37a)のランド部38(38a)のうちで外径が最も大きい部分{R面取り部39(39a)の基端縁}の外径よりも大きくなり、このパンチ37(37a)により前記破断面を扱く事ができず、この破断面を滑らかにできない可能性がある。この様な問題を解決すべく、本例の製造方法で使用するパンチ37bは、先端寄り部分に、土手状の扱き部43を全周に亙って設けている。この扱き部43の外径D43は、前記パンチ37bの先端部に設けたランド部38bのうちで外径が最も大きい部分(このランド部38bの先端部外周縁に形成したR面取り部39aの基端縁)の外径D38bよりも僅かに大きくなっている。この為、前記パンチ37bのうち、前記ランド部38bにより打ち抜かれた余肉部(連結部12又は鍔部31a)の破断面の内径が、このランド部38aのうちで外径が最も大きい部分の外径よりも大きい場合でも、前記余肉部の破断面を前記扱き部43により扱く事ができる。要するに、前記パンチ37b及びダイスの寸法精度を過度に高くする事なく、前記余肉部の破断面を滑らかにする事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前記実施の形態の第2例及び第4例と同様である。
2 小径部
3 大径部
4 第一予備中間素材
5、5a 小径側円筒部
6 第二予備中間素材
7、7a 大径側円筒部
8 第三予備中間素材
9、9a ダイス
10 マンドレル
11 カウンタリング
12、12a 連結部
13 底板部
14 突条
15 パンチ
16 第四予備中間素材
17 成形パンチ
18 打ち抜きパンチ
19 第五予備中間素材
20 ダイス
21 カウンタリング
22 パンチ
23、23a 中間素材
24 ダイス
25 カウンタパンチ
26 パンチ
27 第二の中間素材
28 ノックアウトリング
29 打ち抜きリング
30 打ち抜きパンチ
31、31a 鍔部
32、32a 金属製円筒状部材
33 ダイス
34 大径部
35 小径部
36 段差面
37、37a、37b パンチ
38、38a、38b ランド部
39、39a、39b R面取り部
40、40a クラック
41、41a 鍔部
42 予備中間素材
43 扱き部
Claims (4)
- 金属製の素材を加工する事により、円筒状の内周面の軸方向1箇所位置に内向鍔状の余肉部を有する中間素材を形成した後、
この中間素材の内径側に、円筒状の外周面を有するパンチを挿入して前記余肉部を除去する金属製円筒状部材の余肉部除去方法であって、
前記パンチが、前記中間素材への挿入方向に関する前端部外周縁に断面円弧形のR面取り部を設けたものであり、このR面取り部のうち、前記中間素材への挿入方向に関する前端縁の外径が、この中間素材のうちで前記余肉部から軸方向に外れた部分の内径よりも小さく、前記R面取り部のうちで外径が最も大きい部分の外径が、前記中間素材のうちで前記余肉部から軸方向に外れた部分の内径以上であり、
前記中間素材の内径側に前記パンチを挿入する事に伴い、このパンチの先端面により前記余肉部を打ち抜くと共に、前記R面取り部のうちで外径が最も大きい部分により前記中間素材の内周面を扱く、金属製円筒状部材の余肉部除去方法。 - 前記パンチが、前記中間素材への挿入方向に関して前記R面取り部よりも後側部分に、このR面取り部の外径よりも大きな外径を有する、表面に尖った部分が存在しない土手状の扱き部を設けたものである、
請求項1に記載した金属製円筒状部材の余肉部除去方法。 - 金属製の素材を加工する事により、円筒状の内周面の軸方向1箇所位置に内向鍔状の余肉部を有する中間素材を形成した後、
この中間素材の内径側に、円筒状の外周面を有するパンチを挿入して前記余肉部を除去する事により、ラジアル転がり軸受の内輪又は外輪である軌道輪を造る、軌道輪の製造方法であって、
前記余肉部を、請求項1又は2に記載した金属製円筒状部材の余肉部除去方法により除去する、軌道輪の製造方法。 - 内輪と外輪とを備えるラジアル転がり軸受の製造方法であって、
これら内輪と外輪とのうちの少なくとも一方の軌道輪を、請求項3に記載した軌道輪の製造方法により製造する、ラジアル転がり軸受の製造方法。
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