以下、本発明に係るバッテリ式産業車両をリーチ型フォークリフトについて具体化した第1実施形態〜第3実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10について図1〜図7に基づいて説明する。
●[第1実施形態(図1〜図7)]
図1に示す第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10(バッテリ式産業車両の例)の外観については、すでに説明しているので説明を省略する。
●[バッテリ装置30と駆動モータ21を含む走行制御システム(図2)]
次に、リーチ型フォークリフト10の走行制御システムについて図2に基づいて説明する。図2に示すように、リーチ型フォークリフト10の走行制御システムは、バッテリ装置30、インバータ装置40、駆動モータ21、ギア22、駆動操舵輪18D、機台制御装置50、アクセルレバー12、表示装置55等を有している。
バッテリ装置30は、バッテリ制御装置31とバッテリ32にて構成され、バッテリ32は、遮断スイッチ38、複数の電池モジュールユニット33等を有している。なお、遮断スイッチ38は、各電池モジュールユニットが有していても良い。電池モジュールユニット33は、複数の電池セル36(例えば、リチウムイオン電池)にて構成された電池モジュール34、電池モジュール34を制御するモジュールコントローラ35、電池モジュール34の温度を検出する温度検出手段37(温度センサ等)等を有している。モジュールコントローラ35は、電池モジュール34の温度監視や各電池セル36の状態監視や充放電制御等を行う。
バッテリ制御装置31は、通信線T31を介して各モジュールコントローラ35と種々の情報を送受信し、制御信号線C31を介して遮断スイッチ38を制御する。また、バッテリ制御装置31は、通信線T53を介して機台制御装置50と種々の情報を送受信する。そしてバッテリ装置30は、駆動モータ21を駆動動作させる場合は、端子33A及び端子33Bから供給電力Wout1(直流電力)を出力する。また、駆動モータ21を回生動作させた場合は、充電電力Win2(直流電力)が端子33A及び端子33Bに入力される。
インバータ装置40は、インバータ制御装置41とインバータ42にて構成され、インバータ42は、インバータ回路43等を有している。インバータ回路43は、駆動モータ21を駆動動作させる場合、通信線T41を介してインバータ制御装置41からの制御信号に基づいて制御され、バッテリ装置30から入力された供給電力Wout1を駆動電力Wout2(交流電力)に変換して駆動モータ21に出力する。また、インバータ回路43は、駆動モータ21を回生動作させる場合、インバータ制御装置41からの制御信号に基づいて制御され、駆動モータ21から入力された回生電力Win1(交流電力)を充電電力Win2(直流電力)に変換してバッテリ装置30に出力する。
インバータ制御装置41は、通信線T54を介して機台制御装置50と種々の情報を送受信する。インバータ制御装置41は、機台制御装置50から駆動モータ21の駆動動作の指示(例えば、駆動モータの回転方向など)と目標回転数等を含む駆動情報を受信すると、受信した駆動情報に基づいて、通信線T41を介してインバータ回路43を制御する。
また、インバータ制御装置41は、機台制御装置50から駆動モータ21の回生動作の指示(例えば、駆動モータの回転方向など)と回生力等を含む回生情報を受信すると、受信した回生情報に基づいて、通信線T41を介してインバータ回路43を制御する。また、インバータ制御装置41には、駆動モータ21の回転方向及び回転数を検出可能なモータ回転検出手段23(回転センサ等)からの検出信号が信号線C41を介して入力されており、駆動モータ21のモータシャフトの回転方向及び回転数を検出することができる。
駆動モータ21は、駆動動作される場合では、インバータ装置40からの駆動電力Wout2によって前進方向または後進方向に回転駆動される。当該回転駆動力は、例えば、ギア22を介して駆動操舵輪18Dに伝達される。また、駆動モータ21は、回生動作される場合、ギア22を介して駆動操舵輪18Dから回転駆動され、回生電力Win1を発生する。
機台制御装置50(制御装置に相当)は、通信線T53を介してバッテリ制御装置31と種々の情報を送受信可能である。例えば、機台制御装置50は、バッテリ制御装置31にバッテリ情報の送信を要求する送信要求情報を送信し、バッテリ制御装置31から、バッテリ温度やバッテリ電圧およびバッテリ状態(例えばバッテリ異常や正常など)を含むバッテリ情報を受信する。
また、機台制御装置50は、通信線T54を介してインバータ制御装置41と種々の情報を送受信可能である。例えば、機台制御装置50は、インバータ制御装置41にインバータ情報の送信を要求する送信要求情報を送信し、インバータ制御装置41から、駆動モータ21の回転数及び回転方向を含むインバータ情報を受信する。また、機台制御装置50は、駆動モータ21を駆動動作させる場合、駆動動作と回転数と回転方向を含む駆動情報をインバータ制御装置41に送信する。また、機台制御装置50は、駆動モータ21を回生動作させる場合、回生動作と回生力を含む回生情報をインバータ制御装置41に送信する。
アクセルレバー12は、リーチ型フォークリフト10の走行と停止をオペレータが指示するためのものであり、オペレータが手を触れていない場合では、ほぼ直立状態となった中立の状態に維持されている。アクセルレバー12は、中立の状態から前方に傾斜可能、または中立の状態から後方に傾斜可能に構成されている。また、アクセルレバー12には、アクセルレバー12の前後への傾斜方向、及び、中立状態からの傾斜角度(アクセル開度(操作量))や傾斜方向を検出可能な操作状態検出手段12A(エンコーダや回転角度センサ等)が設けられている。この操作状態検出手段12Aからの検出信号は、機台制御装置50に入力されており、機台制御装置50は、アクセルレバー12の傾斜方向、及び、中立状態からの傾斜角度(アクセル開度(操作量))を検出することができる。
停止しているリーチ型フォークリフト10にてオペレータがアクセルレバー12を操作して中立の状態から前方に傾斜させた場合、リーチ型フォークリフト10は前進を開始し、アクセルレバー12の前方への傾斜角度に応じた速度に達するように加速する。また、停止しているリーチ型フォークリフト10にてオペレータがアクセルレバー12を操作して中立の状態から後方に傾斜させた場合、リーチ型フォークリフト10は後進を開始し、アクセルレバー12の後方への傾斜角度に応じた速度に達するように加速する。
表示装置55は、オペレータからの視認が容易な位置(例えば、アクセルレバー12の近傍)に設けられた液晶モニタ等である。表示装置55は、機台制御装置50からの表示情報に基づいて種々の情報を表示する。なお、表示装置55は省略されていてもよい。
●[機台制御装置50(制御装置)の処理手順(図3〜図5)]
機台制御装置50(制御装置)は、例えば、所定時間間隔(例えば、数ms〜数10ms間隔)にて、図3に示す第1低温警告処理を起動し、起動するとステップS11へと処理を進める。
ステップS11にて機台制御装置50は、インバータ制御装置41に送信要求情報を送信し、インバータ制御装置41から駆動モータ21の回転数及び回転方向を含むインバータ情報を受信してステップS12に進む。
ステップS12にて機台制御装置50は、操作状態検出手段12Aから入力された検出信号に基づいて、アクセルレバー12の操作方向(前進方向または後進方向または中立位置)と、アクセルレバー12の中立状態からの傾斜角度、つまり、アクセルレバー12の操作量(アクセル開度)(前傾角度または後傾角度)を検出し、ステップS13に進む。
ステップS13にて機台制御装置50は、記憶している動作モードテーブル61(図4参照)に基づいて、駆動モータ21の回転状態(回転数及び回転方向)と、アクセルレバー12の操作状態(操作方向及び操作量)とから、動作モードを判定し、判定した動作モードを仮動作モードに記憶する。また、機台制御装置50は、駆動モータ21の回転状態とアクセルレバー12の操作状態と判定した動作モードに基づいて、駆動モータ21の回転方向を求めて仮回転方向に記憶し、駆動モータ21の目標回転数を求めて仮目標回転数に記憶し、駆動モータ21の目標トルクを求めて仮目標トルクに記憶する。また、機台制御装置50は、目標回生力を求めて仮目標回生力に記憶し、ステップS14に進む。なお、動作モードの判定、及び仮動作モード等への記憶の詳細については以下に説明する。
[動作モードの判定(図4)]
図4に示すように、機台制御装置50が記憶している動作モードテーブル61には、アクセルレバー12の操作状態と、駆動モータ21の回転状態と、に応じた各動作モードが格納されている。例えば、動作モードには、停止モード、走行開始モード、走行継続モード、停止要求モード、の4種類がある。
停止モードは、現在の駆動モータ21の回転が停止している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が中立位置を指示している場合(操作状態検出手段12Aから入力された傾斜角度が0度である場合)に判定される動作モードである。停止モードでは、駆動モータ21は駆動動作も回生動作もされず駆動モータ21の回転が停止されており、リーチ型フォークリフト10が停止している。機台制御装置50は停止モードと判定した場合、仮動作モードに停止モードを記憶し、仮目標回転数および仮目標トルクに0を記憶する。
走行開始モードは、現在の駆動モータ21の回転が停止している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が前進または後進を指示している場合(操作状態検出手段12Aから0度よりも大きい前傾角度又は後傾角度が入力されている場合)に判定される動作モードである。走行開始モードでは、駆動モータ21はアクセルレバー12の指示に応じて前進または後進する側に駆動動作され、停止状態であったリーチ型フォークリフト10が動き出す状態を示す動作モードである。
機台制御装置50は走行開始モードと判定した場合、仮動作モードに走行開始モードを記憶し、仮回転方向にアクセルレバー12から指示された前進方向又は後進方向(操作状態検出手段12Aから入力された前進方向又は後進方向)を記憶する。また、機台制御装置50は、仮目標回転数に、アクセルレバー12の操作量(操作状態検出手段12Aから入力された前傾角度又は後傾角度)に基づいて求めた目標回転数を記憶し、目標回転数に対応するトルクを求めて仮目標トルクに記憶する。
走行継続モードは、現在の駆動モータ21が前進側に回転している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が前進を指示している場合(操作状態検出手段12Aから0度よりも大きい前傾角度が入力されている場合)、または、現在の駆動モータ21が後進側に回転している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が後進を指示している場合(操作状態検出手段12Aから0度よりも大きい後傾角度が入力されている場合)、に判定される動作モードである。つまり、走行継続モードは、走行中のリーチ型フォークリフト10の走行方向と同一方向にアクセルレバー12が操作されている動作モードである。
走行継続モードでは、駆動モータ21は現在の回転方向と同じ方向に駆動動作され、アクセルレバー12の操作量(操作状態検出手段12Aから入力された前傾角度又は後傾角度)に応じた回転数(またはトルク)で制御される。機台制御装置50は走行継続モードと判定した場合、仮動作モードに走行継続モードを記憶し、仮回転方向に現在の駆動モータ21の回転方向、またはアクセルレバー12から指示された方向(操作状態検出手段12Aから入力された傾斜方向)、を記憶する。また機台制御装置50は、仮目標回転数に、アクセルレバー12の操作量(操作状態検出手段12Aから入力された前傾角度又は後傾角度)に基づいて求めた目標回転数を記憶し、目標回転数に対応するトルクを求めて仮目標トルクに記憶する。
停止要求モードは、現在の駆動モータ21が前進側(または、後進側)に回転している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が中立を指示している場合(操作状態検出手段12Aから入力された傾斜角度が0度である場合)、または、現在の駆動モータ21が前進側に回転している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が後進を指示している場合(操作状態検出手段12Aから0度よりも大きい後傾角度が入力されている場合)、若しくは、現在の駆動モータ21が後進側に回転している場合、且つ、アクセルレバー12の操作状態が前進を指示している場合(操作状態検出手段12Aから0度よりも大きい前傾角度が入力されている場合)、である。
つまり、停止要求モードは、走行中のリーチ型フォークリフト10に対して、アクセルレバー12を中立位置または走行方向とは逆方向に操作した動作モードである。なお、回生力には、大きく分けて急制動と、普通制動の2通りの回生力が設定されている。急制動では、駆動モータ21の回転数に対応する大きな制動がかけられて比較的短い距離でリーチ型フォークリフト10が停止する。普通制動では、駆動モータ21の回転数に対応する中程度の制動がかけられて比較的長い距離でリーチ型フォークリフト10が停止する。
普通制動の停止要求モードは、リーチ型フォークリフト10が前進側(または後進側)に走行中にアクセルレバー12が中立位置に戻された場合の動作モードであり、駆動モータ21の回転数に対応する中程度の回生力にて回生動作され、走行していたリーチ型フォークリフト10は比較的長い距離で停止される。また、急制動の停止要求モードは、リーチ型フォークリフト10が前進側(または後進側)に走行中にアクセルレバー12が進行方向とは逆の方向に操作された場合の動作モードであり、比較的大きな回生力にて回生動作され、走行していたリーチ型フォークリフト10は比較的短い距離で停止される。
機台制御装置50は停止要求モードと判定した場合、仮動作モードに停止要求モードを記憶し、仮回転方向に現在の駆動モータ21の回転方向(前進側または後進側)を記憶する。また、機台制御装置50は、アクセルレバー12から中立が指示されている場合(操作状態検出手段12Aから入力された傾斜角度が0度である場合)は、仮目標回生力に駆動モータ21の回転数に対応する普通制動の回生力を記憶する。また、機台制御装置50は、駆動モータ21の回転方向に対してアクセルレバー12から指示された進行方向が逆方向である場合は、仮目標回生力に駆動モータ21の回転数に対応する急制動の回生力を記憶する。
図3に示すフローチャートの説明に戻り、ステップS14にて機台制御装置50は、バッテリ制御装置31に送信要求情報を送信し、バッテリ制御装置31からバッテリ電圧やバッテリ温度およびバッテリ状態等を含むバッテリ情報を受信してステップS15に進む。
ステップS15において、機台制御装置50は、バッテリ情報に含まれているバッテリ温度を読み出し、バッテリ温度が、駆動モータ21の上限回転数に対して制限を開始する制限開始温度T11(℃)以下(第1低温状態)に低下しているか否かを判定する。尚、制限開始温度T11(℃)は、例えば、0℃〜−5℃であって、バッテリ32(例えば、リチウムイオン電池等)に対して予め設定されたバッテリ温度であり、機台制御装置50に予め記憶されている。そして、機台制御装置50は、バッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)以下に低下していると判定した場合には(S15:YES)、ステップS16に進み、一方、バッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)よりも高い温度であると判定した場合には(S15:NO)、後述のステップS15Aに進む。
ステップS15Aに進んだ場合、機台制御装置50は、表示装置55に「低温警告」(ステップS20参照)を表示していた場合は当該表示を解除して(表示を消して)、表示装置55に「停止警告」(ステップS21参照)を表示していた場合は当該表示を解除して(表示を消して)、ステップS22に進む。
ステップS16において、機台制御装置50は、予め記憶する「バッテリ温度・上限回転数情報(バッテリ温度と駆動モータ21の上限回転数との関係情報)」(図5参照)に基づいて、バッテリ温度に対応する駆動モータ21の上限回転数を求め、記憶した後、ステップS17に進む。
ここで、「バッテリ温度・上限回転数情報(バッテリ温度と駆動モータ21の上限回転数との関係情報)」について図5に基づいて説明する。図5に示すように、バッテリ温度には、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)が設定されている。尚、バッテリ温度の使用可能下限温度T2(℃)は、バッテリ32(例えば、リチウムイオン電池等)の警告・入出力遮断が行われる規定温度T3(℃)よりも少し高い温度に設定されている。例えば、バッテリ32(リチウムイオン電池等)の規定温度T3(LIB規定温度T3)(℃)が、−10℃〜−30℃である場合には、使用可能下限温度T2(℃)は、−6℃〜−28℃に設定される。
そして、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも高い温度の場合には、駆動モータ21の上限回転数は、通常の上限回転数N1(rpm)(例えば、3600rpm)(上限値)に設定されていてもよいし、制限無しとされていてもよい。一方、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)以下の低温(第1低温状態)の場合には、駆動モータ21の上限回転数は、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に低下する毎に、通常の上限回転数N1(rpm)から約10%〜15%ずつ段階的に順次低下した各上限回転数N2、N3、N4、N5、N6、N7(rpm)(上限値)に設定され、制限される。
例えば、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)まで低下した場合には、駆動モータ21の上限回転数は、通常の上限回転数N1(rpm)の約30%〜40%に低下した最低上限回転数N7(rpm)(最低上限値)に設定され、制限される。そして、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下(第2低温状態)に低下した場合には、駆動モータ21の上限回転数は、最低上限回転数N7(rpm)(最低上限値)に設定され、制限される。なお、制限開始温度T11(℃)は、規定温度T3(℃)よりも高い温度として設定されている。そして、規定温度T3(℃)と制限開始温度T11(℃)の間に、使用可能下限温度T2(℃)が設定されており、制限開始温度T11(℃)と使用可能下限温度T2(℃)の間に、T12〜T15(℃)が設定されている。そして、規定温度T3(℃)、使用可能下限温度T2(℃)、制限開始温度T11(℃)、バッテリ温度・上限回転数情報(図5)は、機台制御装置50に記憶されている。また、バッテリ制御装置31(図2参照)は、後述するように、バッテリ温度が規定温度T3以下になると、遮断スイッチ38(図2参照)を用いて、バッテリ32(図2参照)への入出力を遮断する。
つまり、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下して、バッテリ装置30の入出力遮断が行われるまで、駆動モータ21の上限回転数は、最低上限回転数N7(rpm)(最低上限値)に設定される。従って、機台制御装置50は、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下するまで、駆動モータ21を最低上限回転数N7(rpm)(最低上限値)で駆動させることができる。
図3に戻り、ステップS17において、機台制御装置50は、上記ステップS13にて求めた仮目標回転数が、上記ステップS16において、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の上限回転数よりも大きいか否かを判定する判定処理を実行する。そして、仮目標回転数が上記ステップS16において、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の上限回転数以下であると判定した場合には(S17:NO)、機台制御装置50は、後述のステップS19に進む。一方、仮目標回転数が上記ステップS16において、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の上限回転数よりも大きいと判定した場合には(S17:YES)、機台制御装置50は、ステップS18に進む。
ステップS18において、機台制御装置50は、仮目標回転数に、上記ステップS16において、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の上限回転数を記憶する。つまり、機台制御装置50は、仮目標回転数に、バッテリ温度に基づいて段階的に低下した上限回転数を記憶する。また、機台制御装置50は、仮目標トルクに、このバッテリ温度に基づいて段階的に低下した上限回転数に対応する駆動モータ21のトルクを求めて記憶する。
また、上記ステップS13にて、普通制動の停止要求モードであると判定した場合には、仮目標回生力に、このバッテリ温度に基づいて段階的に低下した上限回転数に対応する普通制動の回生力を記憶する。また、上記ステップS13にて、急制動の停止要求モードであると判定した場合には、仮目標回生力に、このバッテリ温度に基づいて段階的に低下した上限回転数に対応する急制動の回生力を記憶する。
例えば、図5に示すように、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−2℃〜−10℃程度低いバッテリ温度T13(℃)の場合には、駆動モータ21の上限回転数N4(rpm)は、通常の上限回転数N1(rpm)から約30%程度低下する。このため、リーチ型フォークリフト10の走行速度は、通常の約8(km/h)以下から約5(km/h)程度に低下する。その結果、上限回転数N4(rpm)に対する駆動モータ21のトルクも同程度に低下するため、オペレータは、パワー不足を体感する。また、上限回転数N4(rpm)に対する普通制動の回生力および急制動の回生力も同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは失速したように体感する。これにより、オペレータは、このまま作業を継続すると、やがてバッテリ32が過放電状態になることを容易に認識することができる。
また、図5に示すように、例えば、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−5℃〜−25℃程度低い使用可能下限温度T2(℃)の場合には、駆動モータ21の上限回転数N7(rpm)は、通常の上限回転数N1(rpm)から約60%程度低下する。このため、リーチ型フォークリフト10の走行速度は、通常の約8(km/h)以下から約3(km/h)程度に低下する。
その結果、上限回転数N7(rpm)に対する駆動モータ21のトルクも同程度に低下するため、オペレータは、極端なパワー不足を体感する。また、上限回転数N7(rpm)に対する普通制動の回生力および急制動の回生力も同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは大きく失速したように体感する。これにより、オペレータは、このまま作業を継続すると、まもなくバッテリ32が過放電状態になり、リーチ型フォークリフト10が停止することを確実に認識することができる。
続いて、ステップS19において、機台制御装置50は、上記ステップS14にて取得したバッテリ温度を読み出し、このバッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)よりも低く、且つ、使用可能下限温度T2(℃)よりも高い温度である(第1低温状態である)と判定した場合には(S19:NO)、機台制御装置50は、ステップS20に進む。
ステップS20において、機台制御装置50は、バッテリ32のバッテリ温度が制限開始温度T11(℃)以下(例えば、0℃〜−5℃以下)の低温になった旨を警告する「低温警告」を表示装置55に表示してオペレータに報知した後、後述のステップS22に進む。例えば、機台制御装置50は、「バッテリ温度が低下しています。外の充電場所に移動してください。」と表示装置55に表示し、冷凍倉庫内等から外部の充電場所へ移動するように促した後、後述のステップS22に進む。
一方、上記ステップS19にて、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下の低温である(第2低温状態である)と判定した場合には(S19:YES)、機台制御装置50は、ステップS21に進む。ステップS21において、機台制御装置50は、バッテリ32のバッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下(例えば、−6℃〜−28℃以下)の低温になっており、このままだと、バッテリ装置30の入出力が遮断されて停止する旨を警告する「停止警告」を表示装置55に表示してオペレータに報知した後、後述のステップS22に進む。尚、ステップS20及びステップS21における「報知」は、表示装置55への表示に限定されず、ブザーやランプ等にて報知するようにしてもよい。
続いて、ステップS22において、機台制御装置50は、仮動作モードに記憶されている動作モードを最終動作モードに記憶し、仮回転方向に記憶されている回転方向を最終回転方向に記憶し、仮目標回転数に記憶されている回転数を最終目標回転数に記憶し、仮目標トルクに記憶されているトルクを最終目標トルクに記憶し、仮目標回生力に記憶されている回生力を最終目標回生力に記憶し、ステップS23に進む。
ステップS23において、機台制御装置50は、最終動作モード、最終回転方向、最終目標回転数、最終目標トルク、最終目標回生力を含むモータ制御情報をインバータ制御装置41に送信し、ステップS24に進む。尚、当該モータ制御情報を受信したインバータ制御装置41の処理については後述する(図7参照)。
ステップS24において、機台制御装置50は、バッテリ制御装置31から、X秒後に入出力遮断を行う旨、つまり、バッテリ装置30の電力供給をX秒後に遮断する旨を表す遮断メッセージ情報が入力されたか否かを判定する。そして機台制御装置50は、バッテリ制御装置31から遮断メッセージ情報が入力されていないと判定した場合には(S24:NO)ステップS26に進み、バッテリ制御装置31から遮断メッセージ情報が入力されている判定した場合には(S24:YES)ステップS25に進む。
ステップS25に進んだ場合、機台制御装置50は、バッテリ装置30の入出力がX秒後に遮断されて停止する旨を表す遮断警告、例えば、「X秒後に停止します。」というメッセージを表示装置55に表示した後、当該第1低温警告処理を終了する。尚、ステップS25における「警告」は、表示装置55への表示に限定されず、ブザーやランプ等にて報知するようにしてもよい。
ステップS26に進んだ場合、機台制御装置50は、「遮断警告」が表示装置に表示されている場合、当該「遮断警告」の表示を解除して(表示を消して)、当該第1低温警告処理を終了する。
●[バッテリ制御装置31の処理手順(図6)]
次に、図6に示すフローチャートを用いて、バッテリ制御装置31の処理手順の一例について説明する。バッテリ制御装置31は、例えば、所定時間間隔(例えば、数ms〜数10ms間隔)にて、図6に示す処理を起動し、起動するとステップS112へと処理を進める。
ステップS112において、バッテリ制御装置31は、温度検出手段37を用いて検出したバッテリ32のバッテリ温度が予め設定された低温の規定温度以下であるか否かを判定し、規定温度以下であると判定した場合には(S112:YES)、上記ステップS117に進む。一方、規定温度よりも高い温度であると判定した場合には(S112:NO)、バッテリ制御装置31は、ステップS113に進む。
ステップS113に進んだ場合には、バッテリ制御装置31は、バッテリ電圧が過電圧以上(過電圧状態)であるか否かを判定し、過電圧以上であると判定した場合には(S113:YES)、上記ステップS117に進む。一方、バッテリ電圧が過電圧よりも低い電圧である(過電圧状態でない)と判定した場合には(S113:NO)、バッテリ制御装置31は、ステップS114に進む。
ステップS114に進んだ場合には、バッテリ制御装置31は、バッテリ電圧が過放電電圧以下(過放電状態)であるか否かを判定し、過放電電圧以下であると判定した場合には(S114:YES)、上記ステップS117に進む。一方、バッテリ電圧が過放電電圧よりも高い電圧である(過放電状態でない)と判定した場合には(S114:NO)、バッテリ制御装置31は、ステップS115に進む。
ステップS115に進んだ場合、バッテリ制御装置31は、機台制御装置50からの送信要求情報を受信したか否かを判定し、送信要求情報を受信している場合には(S115:YES)、ステップS116に進む。一方、送信要求情報を受信していない場合には(S115:NO)、バッテリ制御装置31は、当該処理を終了する。
ステップS116に進んだ場合、バッテリ制御装置31は、バッテリ電圧やバッテリ温度を含むバッテリ情報を機台制御装置50に向けて送信し、当該処理を終了する。
ステップS117に進んだ場合、バッテリ制御装置31は、遮断メッセージ情報を機台制御装置50に送信し、ステップS118に進む。例えば、バッテリ制御装置31は、機台制御装置50に向けて「バッテリの温度が低下しています。X秒後にバッテリの入出力を遮断します。」という要旨の情報を送信する。当該遮断メッセージ情報を受信した機台制御装置50は、図3に示すステップS25にて、遮断メッセージ情報に含まれている情報に基づいて「遮断警告」を報知する。
続いて、ステップS118において、バッテリ制御装置31は、ステップS117の遮断メッセージ情報の送信を、所定時間(例えば約10秒)以上継続して送信しているか否かを判定し、所定時間以上継続している場合には(S118:YES)、ステップS119に進む。一方、所定時間以上継続していない場合には(S118:NO)、当該処理を終了する。
ステップS119に進んだ場合、バッテリ制御装置31は、バッテリ32からの電力の出力と、バッテリ32への電力の入力を遮断し、当該処理を終了する。この場合、バッテリ制御装置31は、図2に示す遮断スイッチ38を導通状態から開放状態へと制御する。バッテリ32が遮断状態にされると、バッテリ制御装置31、インバータ制御装置41、機台制御装置50への電源の供給が停止され、リーチ型フォークリフト10の動作が停止される。
●[インバータ制御装置41の処理手順(図7)]
次に、図7に示すフローチャートを用いて、インバータ制御装置41の処理手順の一例について説明する。インバータ制御装置41は、例えば、所定時間間隔(例えば数ms〜数10ms間隔)にて、図7に示す処理を起動し、起動するとステップS211へと処理を進める。
ステップS211において、インバータ制御装置41は、機台制御装置50からの送信要求情報を受信したか否かを判定する。そして、インバータ制御装置41は、送信要求情報を受信していると判定した場合には(S211:YES)、ステップS212に進む。一方、送信要求情報を受信していないと判定した場合には(S211:NO)、ステップS213に進む。
ステップS212に進んだ場合、インバータ制御装置41は、駆動モータ21の回転数及び回転方向を含むインバータ情報を機台制御装置50に向けて送信し、ステップS213に進む。
ステップS213において、インバータ制御装置41は、機台制御装置50からモータ制御情報を受信したか否かを判定する。そして、インバータ制御装置41は、モータ制御情報を受信していると判定した場合には(S213:YES)、ステップS214に進む。一方、モータ制御情報を受信していないと判定した場合には(S213:NO)、当該処理を終了する。
ステップS214において、インバータ制御装置41は、受信したモータ制御情報に含まれている最終動作モードが走行開始モードであるか否かを判定する。そして、インバータ制御装置41は、最終動作モードが走行開始モードであると判定した場合には(S214:YES)、後述のステップS216に進む。一方、最終動作モードが走行開始モードでないと判定した場合には(S214:NO)、ステップS215に進む。
ステップS215において、インバータ制御装置41は、受信したモータ制御情報に含まれている最終動作モードが走行継続モードであるか否かを判定する。そして、インバータ制御装置41は、最終動作モードが走行継続モードであると判定した場合には(S215:YES)、ステップS216に進む。一方、受信したモータ制御情報に含まれている最終動作モードが走行継続モードでないと判定した場合には(S215:NO)、インバータ制御装置41は、ステップS217に進む。
ステップS216において、インバータ制御装置41は、受信したモータ制御情報に含まれている最終回転方向、最終目標回転数、最終目標トルク、に基づいて駆動モータ21を駆動制御して、当該処理を終了する。
ステップS217において、インバータ制御装置41は、受信したモータ制御情報に含まれている最終動作モードが停止要求モードであるか否かを判定する。そして、インバータ制御装置41は、最終動作モードが停止要求モードであると判定した場合には(S217:YES)、ステップS218に進む。一方、受信したモータ制御情報に含まれている最終動作モードが停止要求モードでないと判定した場合、つまり、最終動作モードが停止モードであると判定した場合には(S217:NO)、インバータ制御装置41は、ステップS219に進む。
ステップS218において、インバータ制御装置41は、受信したモータ制御情報に含まれている最終回転方向、最終目標回生力、に基づいて駆動モータ21を回生制御して、当該処理を終了する。
ステップS219において、インバータ制御装置41は、駆動モータ21への通電を停止して、当該処理を終了する。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10では、機台制御装置50は、バッテリ装置30のバッテリ温度が、駆動モータ21の上限回転数に対して制限を開始する制限開始温度T11(℃)以下に低下していると判定した場合には、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)を設定する。バッテリ温度の使用可能下限温度T2(℃)は、バッテリ32(例えば、リチウムイオン電池等)の警告・入出力遮断が行われる規定温度T3(例えば、−10℃〜−30℃)よりも少し高い温度(例えば、−6℃〜−28℃)に設定されている。
そして、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)以下の低温の場合には、駆動モータ21の上限回転数は、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に低下する毎に、通常の上限回転数N1(rpm)から約10%〜15%ずつ段階的に順次低下した各上限回転数N2、N3、N4、N5、N6、N7(rpm)(上限値)に設定され、制限される。そして、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下して、バッテリ装置30の入出力遮断が行われるまで、駆動モータ21の上限回転数は、最低上限回転数N7(rpm)(最低上限値)に設定される。
従って、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)から各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に低下する毎に、駆動モータ21の上限回転数は、上限回転数N1(rpm)から約10%〜15%ずつ段階的に順次低下する。その結果、駆動モータ21のトルクも同程度に段階的に低下するため、オペレータは、段階的に低下するパワー不足を体感する。また、普通制動の回生力および急制動の回生力も同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは失速したように体感する。これにより、オペレータに、このまま作業を継続すると、やがてバッテリ32が過放電・過電圧状態になることを容易に認識させることができる。
また、バッテリ32のバッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下まで低下した場合には、通常の上限回転数N1(rpm)から約60%程度低下した上限回転数N7(rpm)に対する駆動モータ21のトルクも同程度に低下するため、オペレータは、極端なパワー不足を体感する。また、上限回転数N7(rpm)に対する普通制動の回生力および急制動の回生力も同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは大きく失速したように体感する。
これにより、オペレータに、このまま作業を継続すると、まもなくバッテリ32が過放電・過電圧状態(または遮断状態)になり、リーチ型フォークリフト10が停止することを確実に認識させることができる。従って、オペレータに対して、作業を中止してリーチ型フォークリフト10を充電場へ移動させることを、確実に促すことができ、リーチ型フォークリフト10の作業中における停止や、いわゆる回生抜けを抑止することができる。
尚、図5において、バッテリ32のバッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)から使用可能下限温度T2(℃)まで低下するにしたがって、駆動モータ21の上限回転数を、通常の上限回転数N1(rpm)から最低上限回転数N7(rpm)まで6段階以上の多段階で、段階的に低下させるようにしてもよいし、通常の上限回転数N1(rpm)から最低上限回転数N7(rpm)まで直線的に徐々に低下するようにしてもよい。
これにより、オペレータに、このまま作業を継続すると、バッテリ32が過放電・過電圧状態になることを確実に認識させることができる。従って、オペレータに対して、作業を中止してリーチ型フォークリフト10を充電場へ移動させることを、確実に促すことができ、リーチ型フォークリフト10の作業中における停止や、いわゆる回生抜けを抑止することができる。また、低温時において駆動モータの出力(回転数)を制限することで、バッテリ装置から駆動モータへの出力を制限するとともに、回生時において駆動モータからバッテリ装置への入力を制限する。従って、低温時におけるバッテリ装置の過放電・過電圧を、バッテリ装置に手を加えることなく容易な方法で抑制してバッテリ装置が遮断状態となることを抑制することができる。
●[第2実施形態(図8〜図10)]
次に、第2実施形態に係るリーチ型フォークリフト71について図8〜図10に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10と同一符号は、上記第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第2実施形態に係るリーチ型フォークリフト71の全体構成は、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10とほぼ同じ構成である。また、第2実施形態に係るリーチ型フォークリフト71の制御構成及び制御処理は、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10の制御構成及び制御処理とほぼ同じである。但し、第2実施形態に係るリーチ型フォークリフト71の機台制御装置50は、上記「第1低温警告処理」(図3参照)に替えて、後述の「第2低温警告処理」(図8参照)を実行する点で、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10と異なっている。尚、図8に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートと同一の符号を付与しているステップは、図3に示すフローチャートと同一の処理であるので、説明を省略し、図3に示すフローチャートとの相違点について主に説明する。なお、図8に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートとの相違点は、図3に示すステップS16、S17、S18が、ステップS16B、S17B、S18Bに変更されている点であり、他のステップは同一である。
ここで、図8に示すフローチャートに基づいて、リーチ型フォークリフト71の機台制御装置50が実行する「第2低温警告処理」について説明する。尚、図8にフローチャートで示されるプログラムは、オペレータがリーチ型フォークリフト71を起動すると、機台制御装置50(制御装置)は、例えば、所定時間間隔(例えば、数ms〜数10ms間隔)にて、図8に示す「第2低温警告処理」のステップS11へと処理を進める。
図8に示すように、機台制御装置50におけるステップS11〜ステップS15Aの処理は、図3に示すステップS11〜ステップS15Aの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップS16Bにおいて、機台制御装置50は、予め記憶する「普通制動のバッテリ温度・上限回生力情報(バッテリ温度と駆動モータ21の上限回生力との関係情報)」(図9参照)と「急制動のバッテリ温度・上限回生力情報(バッテリ温度と駆動モータ21の上限回生力との関係情報)」(図10参照)に基づいて、バッテリ温度に対応する駆動モータ21の普通制動の上限回生力と急制動の上限回生力を求め、記憶した後、ステップS17Bに進む。
ここで、「普通制動のバッテリ温度・上限回生力情報(バッテリ温度と駆動モータ21の上限回生力との関係情報)」について図9に基づいて説明する。図9に示すように、バッテリ温度には、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)が設定されている。なお、制限開始温度T11(℃)、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、使用可能下限温度T2(℃)、規定温度T3(℃)は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。なお、規定温度T3(℃)、使用可能下限温度T2(℃)、制限開始温度T11(℃)、普通制動のバッテリ温度・上限回生力情報(図9)は、機台制御装置50に記憶されている。
そして、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも高い温度の場合には、駆動モータ21の普通制動の上限回生力は、通常の上限回生力W11(上限値)に設定されていてもよいし、制限無しとされていてもよい。一方、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)以下の低温(第1低温状態)の場合には、駆動モータ21の普通制動の上限回生力は、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に低下する毎に、通常の上限回生力W11から約10%〜15%ずつ段階的に順次低下した普通制動の各上限回生力W12、W13、W14、W15、W16、W17(上限値)に設定され、制限される。
例えば、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)まで低下した場合には、駆動モータ21の普通制動の上限回生力は、通常の上限回生力W11の約30%〜40%に低下した普通制動の最低上限回生力W17(最低上限値)に設定され、制限される。そして、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下(第2低温状態)に低下した場合には、駆動モータ21の普通制動の上限回生力は、最低上限回生力W17(最低上限値)に設定され、制限される。
つまり、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下して、バッテリ装置30の入出力遮断が行われるまで、駆動モータ21の普通制動の上限回生力は、最低上限回生力W17(最低上限値)に設定される。従って、機台制御装置50は、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下するまで、リーチ型フォークリフト71を普通制動の最低上限回生力W17(最低上限値)で制動することができる。
次に、「急制動のバッテリ温度・上限回生力情報(バッテリ温度と駆動モータ21の上限回生力との関係情報)」について図10に基づいて説明する。図10に示すように、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも高い温度の場合には、駆動モータ21の急制動の上限回生力は、通常の上限回生力W21(上限値)に設定されていてもよいし、制限無しとされていてもよい。一方、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)以下の低温(第1低温状態)の場合には、駆動モータ21の急制動の上限回生力は、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に低下する毎に、通常の上限回生力W21から約10%〜15%ずつ段階的に順次低下した急制動の各上限回生力W22、W23、W24、W25、W26、W27(上限値)に設定され、制限される。なお、制限開始温度T11(℃)、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、使用可能下限温度T2(℃)、規定温度T3(℃)は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。なお、規定温度T3(℃)、使用可能下限温度T2(℃)、制限開始温度T11(℃)、急制動のバッテリ温度・上限回生力情報(図10)は、機台制御装置50に記憶されている。
例えば、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)まで低下した場合には、駆動モータ21の急制動の上限回生力は、通常の上限回生力W21の約30%〜40%に低下した急制動の最低上限回生力W27(最低上限値)に設定され、制限される。そして、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下(第2低温状態)に低下した場合には、駆動モータ21の急制動の上限回生力は、最低上限回生力W27(最低上限値)に設定され、制限される。
つまり、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下して、バッテリ装置30の入出力遮断が行われるまで、駆動モータ21の急制動の上限回生力は、最低上限回生力W27(最低上限値)に設定される。従って、機台制御装置50は、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下するまで、駆動モータ21を急制動の最低上限回生力W27(最低上限値)で制動することができる。
図8に戻り、ステップS17Bにおいて、機台制御装置50は、上記ステップS13にて求めた仮目標回生力が普通制動の回生力の場合には、この仮目標回生力が、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の普通制動の上限回生力よりも大きいか否かを判定する判定処理を実行する。そして、仮目標回生力が、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の普通制動の上限回生力以下であると判定した場合には(S17B:NO)、機台制御装置50は、後述のステップS19に進む。一方、仮目標回生力が、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の普通制動の上限回生力よりも大きいと判定した場合には(S17B:YES)、機台制御装置50は、ステップS18Bに進む。
また、機台制御装置50は、上記ステップS13にて求めた仮目標回生力が急制動の回生力の場合には、この仮目標回生力が、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の急制動の上限回生力よりも大きいか否かを判定する判定処理を実行する。そして、仮目標回生力が、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の急制動の上限回生力以下であると判定した場合には(S17B:NO)、機台制御装置50は、後述のステップS19に進む。一方、仮目標回生力が、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の急制動の上限回生力よりも大きいと判定した場合には(S17B:YES)、機台制御装置50は、ステップS18Bに進む。
ステップS18Bにおいて、機台制御装置50は、上記ステップS13にて求めた仮目標回生力が普通制動の回生力の場合には、この仮目標回生力に、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の普通制動の上限回生力を記憶する。つまり、機台制御装置50は、仮目標回生力に、バッテリ温度に基づいて段階的に低下した普通制動の上限回生力を記憶する。一方、機台制御装置50は、上記ステップS13にて求めた仮目標回生力が急制動の回生力の場合には、この仮目標回生力に、上記ステップS16Bにおいて、バッテリ温度に基づいて設定した駆動モータ21の急制動の上限回生力を記憶する。つまり、機台制御装置50は、仮目標回生力に、バッテリ温度に基づいて段階的に低下した急制動の上限回生力を記憶する。
また、機台制御装置50は、仮目標トルクに、このバッテリ温度に基づいて設定された仮目標回生力に対応する駆動モータ21のトルクを求めて記憶する。また、機台制御装置50は、仮目標回転数に、この仮目標トルクに対応する駆動モータ21の回転数を求めて記憶する。その後、機台制御装置50は、ステップS19に進む。
例えば、図9に示すように、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−2℃〜−10℃程度低いバッテリ温度T13(℃)の場合には、駆動モータ21の普通制動の上限回生力W14は、通常の上限回生力W11から約30%程度低下する。また、図10に示すように、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−2℃〜−10℃程度低いバッテリ温度T13(℃)の場合には、駆動モータ21の急制動の上限回生力W24は、通常の上限回生力W21から約30%程度低下する。
その結果、リーチ型フォークリフト71の普通制動の上限回生力W14、又は、急制動の上限回生力W24に対する駆動モータ21の制動トルクも同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは、制動力不足を体感する。これにより、オペレータは、このまま作業を継続すると、やがてバッテリ32が過放電・過電圧状態になることを容易に認識することができる。
また、図9に示すように、例えば、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−5℃〜−25℃程度低い使用可能下限温度T2(℃)の場合には、駆動モータ21の普通制動の上限回生力W17は、通常の上限回生力W11から約60%程度低下する。また、図10に示すように、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−5℃〜−25℃程度低い使用可能下限温度T2(℃)の場合には、駆動モータ21の急制動の上限回生力W27は、通常の上限回生力W21から約60%程度低下する。
その結果、リーチ型フォークリフト71の普通制動の上限回生力W17、又は、急制動の上限回生力W27に対する駆動モータ21の制動トルクも同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは、制動力不足が急増したように体感する。これにより、オペレータは、このまま作業を継続すると、まもなくバッテリ32が過放電・過電圧状態になり、リーチ型フォークリフト71が停止することを確実に認識することができる。
続いて、図8に示すステップS19〜ステップS26の処理は、図3に示すステップS19〜S26の処理と同じであるので説明を省略する。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るリーチ型フォークリフト71では、機台制御装置50は、バッテリ装置30のバッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)以下に低下していると判定した場合には、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に達する毎に、駆動モータ21の普通制動及び急制動の上限回生力が、約10%〜15%ずつ段階的に順次低下して、制限される。
これにより、リーチ型フォークリフト71の普通制動および急制動の制動トルクを、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に達する毎に、約10%〜15%ずつ同程度に低下させて、制動動作を制限し、使いにくくすることができる。これにより、低温作業時において、このまま作業を継続すると、まもなくバッテリ32が過放電・過電圧状態(又は、遮断状態)になり、リーチ型フォークリフト71が停止することを、アクセルレバー12を操作しているオペレータに確実に認識させることができる。従って、オペレータに対して、作業を中止してリーチ型フォークリフト71を充電場へ移動させることを、確実に促すことができ、リーチ型フォークリフト71の作業中における停止や、いわゆる回生抜けを抑止することができる。
尚、図9において、バッテリ32のバッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)から使用可能下限温度T2(℃)まで低下するにしたがって、普通制動の上限回生力を、通常の上限回生力W11から最低上限回生力W17まで6段階以上の多段階で、段階的に低下させるようにしてもよいし、通常の上限回生力W11から最低上限回生力W17まで直線的に徐々に低下するようにしてもよい。
また、図10において、バッテリ32のバッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)から使用可能下限温度T2(℃)まで低下するにしたがって、急制動の上限回生力を、通常の上限回生力W21から最低上限回生力W27まで6段階以上の多段階で、段階的に低下させるようにしてもよいし、通常の上限回生力W21から最低上限回生力W27まで直線的に徐々に低下するようにしてもよい。
これにより、オペレータに、このまま作業を継続すると、バッテリ32が過放電・過電圧状態になることを容易に認識させることができる。従って、オペレータに対して、作業を中止してリーチ型フォークリフト71を充電場へ移動させることを、確実に促すことができ、リーチ型フォークリフト71の作業中における停止や、いわゆる回生抜けを抑止することができる。また、低温時において駆動モータの回生力を制限することで、低温時におけるバッテリ装置の過電圧を、バッテリ装置に手を加えることなく容易な方法で抑制してバッテリ装置が遮断状態となることを抑制することができる。
●[第3実施形態(図11、図12)]
次に、第3実施形態に係るリーチ型フォークリフト81について図11及び図12に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10と同一符号は、上記第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第3実施形態に係るリーチ型フォークリフト81の全体構成は、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10とほぼ同じ構成である。また、第3実施形態に係るリーチ型フォークリフト81の制御構成及び制御処理は、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10の制御構成及び制御処理とほぼ同じである。但し、第3実施形態に係るリーチ型フォークリフト81の機台制御装置50は、上記「第1低温警告処理」(図3参照)に替えて、後述の「第3低温警告処理」(図11参照)を実行する点で、第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10と異なっている。尚、図11に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートと同一の符号を付与しているステップは、図3に示すフローチャートと同一の処理であるので、説明を省略し、図3に示すフローチャートとの相違点について主に説明する。なお、図11に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートとの相違点は、図3に示すステップS16、S17、S18が、ステップS16C、S18Cに変更されている点であり、他のステップは同一である。
ここで、図11に示すフローチャートに基づいて、リーチ型フォークリフト81の機台制御装置50が実行する「第3低温警告処理」について説明する。尚、図11にフローチャートで示されるプログラムは、オペレータがリーチ型フォークリフト81を起動すると、機台制御装置50(制御装置)は、例えば、所定時間間隔(例えば、数ms〜数10ms間隔)にて、図11に示す「第3低温警告処理」のステップS11へと処理を進める。
図11に示すように、機台制御装置50におけるステップS11〜ステップS15Aの処理は、図3に示すステップS11〜ステップS15Aの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップS16Cにおいて、機台制御装置50は、予め記憶する「バッテリ温度・アクセル開度比率情報(バッテリ温度とアクセルレバー12の開度比率との関係情報)」(図12参照)に基づいて、バッテリ温度に対応するアクセル開度比率を求める。そして、機台制御装置50は、操作状態検出手段12Aから入力されるアクセルレバー12の傾斜角度(操作量)に、このアクセル開度比率を積算した値を、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶した後、ステップS18Cに進む。
ここで、「バッテリ温度・アクセル開度比率情報(バッテリ温度とアクセルレバー12の開度比率との関係情報)」について図12に基づいて説明する。図12に示すように、バッテリ温度には、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)が設定されている。なお、制限開始温度T11(℃)、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、使用可能下限温度T2(℃)、規定温度T3(℃)は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。なお、規定温度T3(℃)、使用可能下限温度T2(℃)、制限開始温度T11(℃)、バッテリ温度・アクセル開度比率情報(図12)は、機台制御装置50に記憶されている。
そして、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも高い温度の場合には、アクセル開度比率は、通常の100(%)(上限値)に設定され、制限されない。その結果、機台制御装置50は、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも高い温度の場合には、操作状態検出手段12Aから入力されるアクセルレバー12の傾斜角度を、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶する。
一方、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)以下の低温(第1低温状態)の場合には、アクセル開度比率は、各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に低下する毎に、通常の100(%)から約10(%)〜15(%)ずつ段階的に順次低下した各アクセル開度比率P1、P2、P3、P4、P5、P6(%)(上限値)に設定され、制限される。
例えば、制限開始温度T11(℃)よりも−2℃〜−10℃程度低いバッテリ温度T13(℃)まで低下した場合には、アクセル開度比率は、通常の100(%)から約70(%)程度に低下したアクセル開度比率P3(%)に設定され、制限される。その結果、バッテリ温度がバッテリ温度T13(℃)まで低下した場合には、機台制御装置50は、操作状態検出手段12Aから入力されるアクセルレバー12の傾斜角度にアクセル開度比率P3(%)を積算して、アクセルレバー12の傾斜角度の約70(%)の値を、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶する。
例えば、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)まで低下した場合には、アクセル開度比率は、通常の100(%)から約30(%)〜40(%)に低下したアクセル開度比率P6(%)(最低上限値)に設定され、制限される。その結果、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)まで低下した場合には、機台制御装置50は、操作状態検出手段12Aから入力されるアクセルレバー12の傾斜角度にアクセル開度比率P6(%)を積算して、アクセルレバー12の傾斜角度の約30(%)〜40(%)の値を、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶する。
また、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下の低温(第2低温状態)に低下した場合には、アクセル開度比率は、アクセル開度比率P6(%)(最低上限値)に設定され、制限される。つまり、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下して、バッテリ装置30の入出力遮断が行われるまで、アクセル開度比率は、アクセル開度比率P6(%)(最低上限値)に設定され、制限される。その結果、機台制御装置50は、バッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)から規定温度T3(℃)に低下するまで、操作状態検出手段12Aから入力されるアクセルレバー12の傾斜角度の約30(%)〜40(%)の値を、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶する。
図11に戻り、ステップS18Cにおいて、機台制御装置50は、上記ステップS16Cにおいて記憶したアクセル開度(アクセル操作認識量)を読み出した後、このアクセル開度(アクセル操作認識量)を、通常時におけるアクセルレバー12の傾斜角度として、この傾斜角度に対応する通常時におけるリーチ型フォークリフト81の速度から駆動モータ21の回転数を算出する。そして、機台制御装置50は、この算出した駆動モータ21の回転数を、仮目標回転数に記憶する。つまり、機台制御装置50は、バッテリ温度に基づいて段階的に低下させたアクセル開度比率に対応するアクセル開度(アクセル操作認識量)を求め、このアクセル開度(アクセル操作認識量)から駆動モータ21の回転数を求めて、仮目標回転数に記憶する。
また、機台制御装置50は、仮目標トルクに、このバッテリ温度に基づいて設定された仮目標回転数に対応する駆動モータ21のトルクを求めて記憶する。また、機台制御装置50は、上記ステップS13にて、普通制動の停止要求モードであると判定した場合には、仮目標回生力に、この仮目標回転数に対応する普通制動の回生力を求めて記憶する。また、上記ステップS13にて、急制動の停止要求モードであると判定した場合には、仮目標回生力に、この仮目標回転数に対応する急制動の回生力を求めて記憶する。その後、機台制御装置50は、ステップS18Cに進む。
ここで、上述したように、例えば、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−2℃〜−10℃程度低いバッテリ温度T13(℃)の場合には、アクセルレバー12の傾斜角度の約70(%)の値が、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶されるため、駆動モータ21の仮目標回転数が、通常時から約30%程度低下する。このため、リーチ型フォークリフト81の走行速度は、通常の約8(km/h)以下から約5(km/h)程度に低下する。
その結果、駆動モータ21の仮目標トルクも通常時と比較して同程度に低下するため、オペレータは、パワー不足を体感する。また、仮目標回転数に対する仮目標回生力も通常時と比較して同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは失速したように体感する。これにより、オペレータは、このまま作業を継続すると、やがてバッテリ32が過放電状態になることを容易に認識することができる。
また、上述したように、例えば、バッテリ温度が制限開始温度T11(℃)よりも−5℃〜−25℃程度低い使用可能下限温度T2(℃)まで低下した場合には、アクセルレバー12の傾斜角度の約30(%)〜40(%)の値が、アクセル開度(アクセル操作認識量)として記憶されるため、駆動モータ21の仮目標回転数が、通常時から約60%程度低下する。このため、リーチ型フォークリフト81の走行速度は、通常の約8(km/h)以下から約3(km/h)程度に低下する。
その結果、駆動モータ21の仮目標トルクも通常時と比較して同程度に低下するため、オペレータは、極端なパワー不足を体感する。また、仮目標回転数に対する仮目標回生力も通常時と比較して同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは大きく失速したように体感する。これにより、オペレータは、このまま作業を継続すると、まもなくバッテリ32が過放電・過電圧状態になり、リーチ型フォークリフト81が停止することを確実に認識することができる。
続いて、図11に示すステップS19〜ステップS26の処理は、図3に示すステップS19〜S26の処理と同じであるので説明を省略する。
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係るリーチ型フォークリフト81では、機台制御装置50は、バッテリ装置30のバッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)以下に低下していると判定した場合には、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に達する毎に、アクセルレバー12の傾斜角度に対応する駆動モータ21の仮目標回転数、仮目標トルク、仮目標回生力が、100(%)から約10(%)〜15(%)ずつ段階的に順次低下して、制限される。
その結果、リーチ型フォークリフト81のアクセルレバー12の傾斜角度に対応する走行速度が、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に達する毎に、100(%)から約10(%)〜15(%)ずつ段階的に順次低下して、制限される。このため、オペレータは、パワー不足を体感する。
また、リーチ型フォークリフト81の制動力も通常時と比較して、制限開始温度T11(℃)から所定温度ずつ(例えば、−1℃〜−4℃ずつ)低下した各バッテリ温度T12、T13、T14、T15、T2(℃)に達する毎に、100(%)から約10(%)〜15(%)ずつ段階的に順次低下する。このため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは失速したように体感する。これにより、低温作業時において、オペレータに、このまま作業を継続すると、やがてバッテリ32が過放電・過電圧状態になることを容易に認識させることができる。
また、バッテリ32のバッテリ温度が使用可能下限温度T2(℃)以下まで低下した場合には、リーチ型フォークリフト81のアクセルレバー12の傾斜角度に対応する走行速度が、通常時と比較して、約30(%)〜40(%)に低下する。このため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは、極端なパワー不足を体感する。また、リーチ型フォークリフト81の制動力も通常時と比較して同程度に低下するため、アクセルレバー12を操作しているオペレータは大きく失速したように体感する。
これにより、低温作業時において、このまま作業を継続すると、まもなくバッテリ32が過放電・過電圧状態(又は、遮断状態)になり、リーチ型フォークリフト81が停止することを、アクセルレバー12を操作しているオペレータに確実に認識させることができる。従って、オペレータに対して、作業を中止してリーチ型フォークリフト81を充電場へ移動させることを、確実に促すことができ、リーチ型フォークリフト81の作業中における停止や、いわゆる回生抜けを抑止することができる。
尚、図12において、バッテリ32のバッテリ温度が、制限開始温度T11(℃)から使用可能下限温度T2(℃)まで低下するにしたがって、アクセル開度比率を、通常の100(%)から最低上限アクセル開度比率P6(%)まで6段階以上の多段階で、段階的に低下させるようにしてもよいし、通常の100(%)から最低上限アクセル開度比率P6(%)まで直線的に徐々に低下するようにしてもよい。
これにより、オペレータに、このまま作業を継続すると、バッテリ32が過放電状態になることを容易に認識させることができる。従って、オペレータに対して、作業を中止してリーチ型フォークリフト81を充電場へ移動させることを、確実に促すことができ、リーチ型フォークリフト81の作業中における停止や、いわゆる回生抜けを抑止することができる。また、低温時において、実際のアクセルレバーの操作量を減少する側に認識したアクセル認識操作量にて駆動モータを制御することで、バッテリ装置から駆動モータへの出力を制限するとともに、回生時において駆動モータからバッテリ装置への入力を制限する。従って、低温時におけるバッテリ装置の過放電・過電圧を、バッテリ装置に手を加えることなく容易な方法で抑制してバッテリ装置が遮断状態となることを抑制することができる。
本発明のバッテリ式産業車両は、前記第1実施形態〜第3実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記図1〜図7の前記第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10の構成等と同一符号は、前記第1実施形態に係るリーチ型フォークリフト10の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
また、本発明のバッテリ式産業車両は、前記第1実施形態〜第3実施形態において説明した各リーチ型フォークリフト10、71、81に限定されず、走行の動力源としてバッテリ装置と駆動モータとを備えた工場内や空港、港湾内等で牽引物を牽引可能な電動牽引車、荷物を持ち上げるために使用する一対のフォークを有する電動フォークリフト等の種々のバッテリ式産業車両に適用することが可能である。また、前記第1実施形態〜第3実施形態では、走行用の駆動モータの制御を例として説明したが、荷役用の駆動モータの制御に適用することができる。従って、走行用としての駆動モータ、あるいは、走行用及び荷役用としてのそれぞれの駆動モータ、あるいは荷役用の駆動モータ、を有する種々のバッテリ式産業車両における駆動モータに、前記第1実施形態〜第3実施形態にて説明した駆動モータの制御を適用することができる。また、前記第1実施形態〜第3実施形態の説明では、アクセルレバー12は、走行用の駆動モータの動作を指示するいわゆるアクセルの例で説明したが、荷役用の駆動モータの動作を指示する荷役用レバーとして適用することができる。つまり、アクセルレバーは、操作量にて、バッテリ式産業車両の速度(車速)、あるいはバッテリ式産業車両の可動部(荷役作業部)の速度(動作速度)、を指示可能なレバーである。
前記第1実施形態〜第3実施形態の説明では、リチウムイオン電池でバッテリ装置30を構成した例を説明したが、リチウムイオン電池に限定されず、種々の種類の電池(例えば、ニッケル水素電池等)でバッテリ装置30を構成してもよい。
前記第1実施形態〜第3実施形態の説明では、機台制御装置50、バッテリ制御装置31、インバータ制御装置41、の3台の制御装置を有する構成の例を説明したが、3台の制御装置をまとめて1台の制御装置としてもよいし、2台以上の複数の制御装置で構成してもよい。
また、モータ制御情報等の種々の情報は、前記第1実施形態〜第3実施形態にて説明した各情報に限定されるものではない。例えばモータ制御情報に、最終目標車速等を追加してもよい。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、前記第1実施形態〜第3実施形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。