JP6983126B2 - 列車位置特定方法及び列車位置特定システム - Google Patents

列車位置特定方法及び列車位置特定システム Download PDF

Info

Publication number
JP6983126B2
JP6983126B2 JP2018143391A JP2018143391A JP6983126B2 JP 6983126 B2 JP6983126 B2 JP 6983126B2 JP 2018143391 A JP2018143391 A JP 2018143391A JP 2018143391 A JP2018143391 A JP 2018143391A JP 6983126 B2 JP6983126 B2 JP 6983126B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
train
curvature
data
calculated
distance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018143391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020019333A (ja
Inventor
康隆 真木
康平 原田
航太郎 石栗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP2018143391A priority Critical patent/JP6983126B2/ja
Publication of JP2020019333A publication Critical patent/JP2020019333A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6983126B2 publication Critical patent/JP6983126B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定方法及び列車位置特定システムに関するものである。
列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置検出方法として、自動列車停止装置(Automatic Train Stop:ATS)の地上子(以下、「ATS地上子」とも称する。)を用いる方法がある。このATS地上子を用いる方法では、ATS地上子の位置情報を事前に列車側にデータベースとして記憶しておき、運用走行中に列車がATS地上子上を通過した際に、記憶されている位置情報と照合することにより自車位置を更新する。しかしながら、信号保安の都合上、ATS地上子が移設された場合、ATS地上子の位置の変更が列車側のデータベースに反映されないことにより、自車位置としての列車の位置を誤って特定することがある。
上記の問題点を解決するためには、ATS地上子に依存することなく、自車位置としての列車の位置を特定する方法が望ましい。このような方法として、例えばGPS(Global Positioning System)測位情報と、車体のヨー角速度と走行速度とから算出される線路曲率相当データ(以下、「生曲率データ」又は「曲率の測定データ」とも称する。)を、予め列車側に記憶された線路曲率相当データで構成されるマップ情報(以下、「曲率マップ」又は「曲率の記憶データ」とも称する。)と照合することにより、自車位置としての列車の位置を特定する方法がある。
特開2003−294825号公報(特許文献1)には、列車自車位置検出方法において、列車搭載装置に、GPS情報に基づいてGPS位置座標を算出するGPS受信手段と、列車走行時の車体又は台車のヨー角速度を検出するヨー角速度検出手段と、列車の車軸回転数を検出する車軸回転数検出手段と、緯度及び経度と、線路の曲率である既知線路曲率と、距離程とを関係づける線路情報データベースを保存する情報記憶手段と、情報処理手段を設ける技術が開示されている。
上記特許文献1に記載された技術では、情報処理手段は、GPS情報の受信時点での信頼性の程度である受信信頼度を表す受信信頼度係数を演算し、受信信頼度が低程度と判別される場合には、情報処理手段は、車軸回転数に基づく距離程を初期値とし、運用走行時の各時点でのヨー角速度と、車軸回転数より得られる列車走行速度から運用走行時の線路曲率である運用時線路曲率を演算し、線路情報データベース内の既知線路曲率との比較を行うことにより、走行区間における列車の現在位置を特定する。
特開2003−294825号公報
上記特許文献1に記載された技術では、線路情報データベース即ち曲率の記憶データに登録された経路と異なる経路に進入した場合、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難であり、列車の位置を精度良く特定することができない。また、上記特許文献1に記載された技術では、曲率の変化率の絶対値が小さい直線区間及び長い円曲線区間では、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難であり、列車の位置を精度良く特定することができない。つまり、上記特許文献1に記載された技術では、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が容易な区間では、列車の位置を精度良く特定することができるものの、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難な区間では、列車の位置を精度良く特定することができない。
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法において、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が容易な区間、及び、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難な区間のいずれにおいても、列車の位置を精度良く特定することができる列車位置特定方法を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一態様としての列車位置特定方法は、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法である。列車位置特定システムは、線路上の第1基準位置からの線路に沿った第1距離位置と、第1距離位置における線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、第1測定部により測定されたヨー角速度と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、から曲率を算出する第1算出部と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車の走行距離を算出する第2算出部と、を有する。当該列車位置特定方法は、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により曲率の第1算出値を算出する算出処理を実行することにより、列車の第2距離位置と、第2距離位置における曲率の第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する(a)ステップと、取得された第2データと、記憶部に記憶されている第1データと、を比較することにより、第1データのうち第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された第1部分と第2データとの第2乖離度を第1乖離度の最小値として取得する(b)ステップと、取得された第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、第2乖離度が第1閾値以下の場合、列車の位置を、第1部分における第1距離位置に基づいて特定し、第2乖離度が第1閾値を超えた場合、列車の位置を、第2算出部により算出された走行距離の第2算出値に基づいて特定する(c)ステップと、を有する。
また、本発明の一態様としての列車位置特定方法は、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法である。列車位置特定システムは、線路上の第1基準位置からの線路に沿った第1距離位置と、第1距離位置における線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、第1測定部により測定されたヨー角速度と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、から曲率を算出する第1算出部と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車の走行距離を算出する第2算出部と、を有する。当該列車位置特定方法は、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により曲率の第1算出値を算出する算出処理を実行することにより、列車の第2距離位置と、第2距離位置における曲率の第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する(a)ステップと、取得された第2データにおける曲率の第1算出値の第2距離位置に対する変化率を取得する(b)ステップと、取得された変化率の絶対値を予め設定された第1閾値と比較し、変化率の絶対値が第1閾値以上の場合、記憶部に記憶されている第1データと、第2データと、を比較することにより、第1データのうち第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、列車の位置を、第1部分における第1距離位置に基づいて特定し、変化率の絶対値が第1閾値未満の場合、列車の位置を、第2算出部により算出された走行距離の第2算出値に基づいて特定する(c)ステップと、を有する。
また、他の一態様として、(b)ステップでは、(a)ステップの算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値を、2回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値から減ずることにより、変化率を算出してもよい。
また、本発明の一態様としての列車位置特定方法は、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法である。列車位置特定システムは、線路上の第1基準位置からの線路に沿った第1距離位置と、第1距離位置における線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、第1測定部により測定されたヨー角速度と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、から曲率を算出する第1算出部と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車の走行距離を算出する第2算出部と、を有する。当該列車位置特定方法は、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により曲率の第1算出値を算出する算出処理を実行することにより、列車の第2距離位置と、第2距離位置における曲率の第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する(a)ステップと、取得された第2データと、記憶部に記憶されている第1データと、を比較することにより、第1データのうち第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された第1部分と第2データとの第2乖離度を第1乖離度の最小値として取得する(b)ステップと、取得された第2データにおける曲率の第1算出値の第2距離位置に対する変化率を取得する(c)ステップと、取得された第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、取得された変化率の絶対値を予め設定された第2閾値と比較し、第2乖離度が第1閾値以下であり且つ変化率の絶対値が第2閾値以上の場合、列車の位置を、第1部分における第1距離位置に基づいて特定し、第2乖離度が第1閾値を超えたか又は変化率の絶対値が第2閾値未満の場合、列車の位置を、第2算出部により算出された走行距離の第2算出値に基づいて特定する(d)ステップと、を有する。
また、他の一態様として、(c)ステップでは、(a)ステップの算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値を、2回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値から減ずることにより、変化率を算出してもよい。
また、他の一態様として、第1データは、線路に沿って互いに第1距離間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々における第1距離位置と曲率との関係を示す第3データが有する第1信号波形のうち、第3閾値以上の空間周波数を有する成分が、第1空間周波数フィルタで除去されていてもよい。(a)ステップでは、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により算出処理を繰り返し実行することにより、線路に沿って互いに第2距離間隔を空けて配置された複数の第2位置の各々における第2距離位置と曲率の第1算出値との関係を示す第4データを取得し、取得された第4データが有する第2信号波形のうち、第4閾値以上の空間周波数を有する成分を、第2空間周波数フィルタで除去することにより第2データを形成し、形成された第2データを取得してもよい。
また、他の一態様として、記憶部は、線路に沿って互いに第3距離間隔を空けて配置されたN1個の第3位置の各々における第1距離位置と曲率との第1組データをそれぞれ含む第1データを記憶してもよい。(a)ステップでは、列車が線路上を第3距離間隔だけ走行するたびに、第1算出部により算出処理を繰り返し実行することにより、線路に沿って互いに第3距離間隔を空けて配置されたN2個の第4位置の各々における第2距離位置と曲率の第1算出値との第2組データをそれぞれ含む第2データを取得してもよい。(b)ステップは、第1データに含まれるN1個の第1組データのうち、N3番目の第3位置を1番目として互いに隣り合うN2個の第3位置の各々における第1距離位置と曲率との第1組データをそれぞれ含むN2個の第1組データを抽出する(b1)ステップと、第1組データと第2組データとの組において第1組データに含まれる曲率と、第2組データに含まれる曲率の第1算出値と、の差を二乗した二乗値を、N2個の組について加算した総和である第1乖離度を算出する(b2)ステップと、を含んでもよい。N1は、3以上の整数であり、N2は、2以上の整数であり、N3は、1以上の整数であり、N2は、N1よりも小さく、N1、N2及びN3は、N3+N2−1≦N1を満たしてもよい。(b)ステップでは、N3番目の第3位置を変更しながら(b1)ステップ及び(b2)ステップを交互に繰り返し実行する際に、第1乖離度が最小になったときのN2個の第1組データを、第1部分として抽出してもよい。
また、本発明の一態様としての列車位置特定システムは、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムである。当該列車位置特定システムは、線路上の第1基準位置からの線路に沿った第1距離位置と、第1距離位置における線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、第1測定部により測定されたヨー角速度と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、から曲率を算出する第1算出部と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車の走行距離を算出する第2算出部と、列車の位置を特定する特定処理を実行する処理部と、を有する。処理部は、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により曲率の第1算出値を算出する算出処理を実行することにより、列車の第2距離位置と、第2距離位置における曲率の第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する第1取得処理を実行し、取得された第2データと、記憶部に記憶されている第1データと、を比較することにより、第1データのうち第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された第1部分と第2データとの第2乖離度を第1乖離度の最小値として取得する第2取得処理を実行し、取得された第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、第2乖離度が第1閾値以下の場合、列車の位置を、第1部分における第1距離位置に基づいて特定し、第2乖離度が第1閾値を超えた場合、列車の位置を、第2算出部により算出された走行距離の第2算出値に基づいて特定する特定処理を実行する。
また、本発明の一態様としての列車位置特定システムは、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムである。当該列車位置特定システムは、線路上の第1基準位置からの線路に沿った第1距離位置と、第1距離位置における線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、第1測定部により測定されたヨー角速度と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、から曲率を算出する第1算出部と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車の走行距離を算出する第2算出部と、列車の位置を特定する特定処理を実行する処理部と、を有する。処理部は、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により曲率の第1算出値を算出する算出処理を実行することにより、列車の第2距離位置と、第2距離位置における曲率の第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する第1取得処理を実行し、取得された第2データにおける曲率の第1算出値の第2距離位置に対する変化率を取得する第2取得処理を実行し、取得された変化率の絶対値を予め設定された第1閾値と比較し、変化率の絶対値が第1閾値以上の場合、記憶部に記憶されている第1データと、第2データと、を比較することにより、第1データのうち第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、列車の位置を、第1部分における第1距離位置に基づいて特定し、変化率の絶対値が第1閾値未満の場合、列車の位置を、第2算出部により算出された走行距離の第2算出値に基づいて特定する特定処理を実行する。
また、他の一態様として、処理部は、第2取得処理では、第1取得処理の算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値を、2回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値から減ずることにより、変化率を算出してもよい。
また、本発明の一態様としての列車位置特定システムは、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムである。当該列車位置特定システムは、線路上の第1基準位置からの線路に沿った第1距離位置と、第1距離位置における線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、第1測定部により測定されたヨー角速度と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、から曲率を算出する第1算出部と、第2測定部により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車の走行距離を算出する第2算出部と、列車の位置を特定する特定処理を実行する処理部と、を有する。処理部は、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により曲率の第1算出値を算出する算出処理を実行することにより、列車の第2距離位置と、第2距離位置における曲率の第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する第1取得処理を実行し、取得された第2データと、記憶部に記憶されている第1データと、を比較することにより、第1データのうち第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された第1部分と第2データとの第2乖離度を第1乖離度の最小値として取得する第2取得処理を実行し、取得された第2データにおける曲率の第1算出値の第2距離位置に対する変化率を取得する第3取得処理を実行し、取得された第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、取得された変化率の絶対値を予め設定された第2閾値と比較し、第2乖離度が第1閾値以下であり且つ変化率の絶対値が第2閾値以上の場合、列車の位置を、第1部分における第1距離位置に基づいて特定し、第2乖離度が第1閾値を超えたか又は変化率の絶対値が第2閾値未満の場合、列車の位置を、第2算出部により算出された走行距離の第2算出値に基づいて特定する特定処理を実行する。
また、他の一態様として、処理部は、第3取得処理では、第1取得処理の算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値を、2回目の算出処理により算出された曲率の第1算出値から減ずることにより、変化率を算出してもよい。
また、他の一態様として、第1データは、線路に沿って互いに第1距離間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々における第1距離位置と曲率との関係を示す第3データが有する第1信号波形のうち、第3閾値以上の空間周波数を有する成分が、第1空間周波数フィルタで除去されていてもよい。処理部は、第1取得処理では、列車が線路上を走行する際に、第1算出部により算出処理を実行することにより、線路に沿って互いに第2距離間隔を空けて配置された複数の第2位置の各々における第2距離位置と曲率の第1算出値との関係を示す第4データを取得し、取得された第4データが有する第2信号波形のうち、第4閾値以上の空間周波数を有する成分を、第2空間周波数フィルタで除去することにより第2データを形成し、形成された第2データを取得してもよい。
また、他の一態様として、記憶部は、線路に沿って互いに第3距離間隔を空けて配置されたN1個の第3位置の各々における第1距離位置と曲率との第1組データをそれぞれ含む第1データを記憶してもよい。処理部は、第1取得処理では、列車が線路上を第3距離間隔だけ走行するたびに、第1算出部により算出処理を繰り返し実行することにより、線路に沿って互いに第3距離間隔を空けて配置されたN2個の第4位置の各々における第2距離位置と曲率の第1算出値との第2組データをそれぞれ含む第2データを取得してもよい。処理部は、第1データに含まれるN1個の第1組データのうち、N3番目の第3位置を1番目として互いに隣り合うN2個の第3位置の各々における第1距離位置と曲率との第1組データをそれぞれ含むN2個の第1組データを抽出する抽出処理と、第1組データと第2組データとの組において第1組データに含まれる曲率と、第2組データに含まれる曲率の第1算出値と、の差を二乗した二乗値を、N2個の組について加算した総和である第1乖離度を算出する乖離度算出処理と、を含む第2取得処理を実行してもよい。N1は、3以上の整数であり、N2は、2以上の整数であり、N3は、1以上の整数であり、N2は、N1よりも小さく、N1、N2及びN3は、N3+N2−1≦N1を満たしてもよい。処理部は、第2取得処理では、N3番目の第3位置を変更しながら抽出処理及び乖離度算出処理を交互に繰り返し実行する際に、第1乖離度が最小になったときのN2個の第1組データを、第1部分として抽出してもよい。
本発明の一態様を適用することで、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が容易な区間、及び、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難な区間のいずれにおいても、列車の位置を精度良く特定することができる。
実施の形態1の列車位置特定システムの構成を示すブロック図である。 実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データ及び曲率の測定データの構成の一例を模式的に示す図である。 実施の形態1の列車位置特定方法の一例を示すフロー図である。 実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データの一例を示す図である。 空間周波数フィルタを説明するための図である。 実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合を説明するための図である。 実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データの更新頻度に及ぼす影響を説明するための図である。 実施の形態2の列車位置特定方法の一例を示すフロー図である。 実施の形態2の列車位置特定方法における曲率の測定データと曲率の変化率との関係を説明するための模式図である。 実施の形態3の列車位置特定方法の一例を示すフロー図である。
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
なお、以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態1)
初めに、実施の形態1の列車位置特定システム及び列車位置特定方法について説明する。本実施の形態1の列車位置特定システムは、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定システムであり、本実施の形態1の列車位置特定方法は、その列車位置特定システムを用いた列車位置特定システムである。また、本実施の形態1の列車位置特定システム及び列車位置特定方法は、曲率の記憶データと曲率の測定データとの間の曲率不一致度に応じて、曲率不一致度が最小になる位置に基づく位置の特定か走行距離に基づく位置の特定かを切り替えるものである。
<列車位置特定システム>
図1は、実施の形態1の列車位置特定システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態1の列車位置特定システム1は、列車搭載装置2を備えている。列車搭載装置2は、線路3上を走行する列車4に搭載されている。
列車搭載装置2は、記憶部11と、ヨー角速度測定部12と、車軸回転数測定部13と、情報処理部14と、を有する。情報処理部14は、曲率算出部15と、走行距離算出部16と、処理部17と、を有する。即ち、本実施の形態1の列車位置特定システム1は、記憶部11と、ヨー角速度測定部12と、車軸回転数測定部13と、曲率算出部15と、走行距離算出部16と、処理部17と、を有する。
なお、列車4に搭載された列車搭載装置2が、記憶部11と、情報処理部14と、を有することが望ましいが、他の列車に搭載されるか又は地上側に設置された装置が、記憶部11と、情報処理部14とに相当する装置と、を有し、無線通信を介して、ヨー角速度測定部12及び車軸回転数測定部13との間で信号の入出力を行ってもよい。
記憶部11は、線路3上の基準位置からの線路に沿った距離位置と、その距離位置における線路3の曲率と、の関係を示す曲率の記憶データRD1(後述する図2参照)を記憶している。曲率の記憶データRD1は、曲率マップとも称される線路情報データベースである。
ヨー角速度測定部12は、図示は省略するが、ヨーレート・ジャイロセンサを有し、列車4の車体又は台車のヨー角速度を測定する。ヨーレート・ジャイロセンサは、所謂ジャイロセンサの一つであり、振動型、ガス型、回転型及び光型等の種類があり、ヨー角速度を検出する。ヨー角速度とは、物体がヨーイングする場合のヨー方向の回転の角速度である。ヨーイングとは、元来、水上の船の回転(揺れ)を表現するローリング及びピッチング等のうちの一つであり、船にたとえた場合に、船の甲板に直立するマスト(帆柱)の中心軸線の回りに回転する運動をいう。列車4の場合は、線路3の曲線区間を列車4が走行すると、ヨー角速度が生じる。ヨー角速度測定部12により測定されたヨー角速度の測定値は、ヨー角速度測定部12から出力され、情報処理部14の曲率算出部15に送られる。
車軸回転数測定部13は、図示は省略するが、速度発電機を有し、列車4の車軸回転数を測定する。速度発電機は、列車4の車軸5に取り付けられており、車軸5の回転数、即ち車軸回転数に応じたパルス(例えば1回転ごとにν個のパルス。νは正の整数。)を発生させ、発生したパルスの単位時間当たりの数、即ちパルス数により、車軸5の回転数、即ち車軸回転数が測定される。車軸回転数測定部13により測定されたパルス数、即ち車軸回転数の測定値は、車軸回転数測定部13から出力され、情報処理部14の曲率算出部15及び走行距離算出部16に送られる。
曲率算出部15と、走行距離算出部16と、処理部17と、を有する情報処理部14は、図示は省略するが、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、RAM(Random Access Memory)、データ・指令入力部、画像表示部及び出力部等により構成されている。
CPUは、図示は省略するが、各種データに対して、四則演算(加算、減算、乗算及び除算)、論理演算(論理積、論理和、否定及び排他的論理和等)、又は、データ比較、若しくはデータシフト等の処理を実行する部分である。なお、記憶部11は、図示は省略するが、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)、ROM(Read Only Memory)等を有しており、CPUを制御するための制御プログラム、及び、CPUが用いる各種データ等を格納している部分である。また、ROMは、一般に、半導体チップ等により構成される。
また、情報処理部14は、図示は省略するが、キーボード、各種キー及びスイッチ等を含むデータ・入力部と、液晶表示パネル等の画像表示部と、を有する。また、情報処理部14は、図示は省略するが、出力部を有している。出力部は、プリンタ、外部出力端子及びLAN(Local Area Network)ポート等を有しており、CPUが演算又は処理したデータを、紙等に印字するか、又は、電気信号として外部へ出力若しくは送信する。
曲率算出部15及び走行距離算出部16には、車軸回転数測定部13から送られてきた車軸回転数の測定値が入力され、曲率算出部15及び走行距離算出部16は、単位時間当たりの車軸回転数より車軸5の回転速度を算出する。また、曲率算出部15及び走行距離算出部16は、算出された車軸5の回転速度と、既知の値である車輪6の直径と、から列車4の走行速度を算出する。即ち、曲率算出部15及び走行距離算出部16は、車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より走行速度を得る。
例えば、単位時間当たりの車軸回転数がN(回/秒)の場合、車軸5の角速度ωは、ω=2πN(ラジアン/秒)となる。ここに、πは円周率を示している。この場合、列車4の車輪6の直径をD(メートル)とすると、車輪6の外周での速度VOは、VO=(D/2)×ω=πND(メートル/秒)と表される。車輪6とレール7の間に滑り等がないとしているので、列車4の走行速度は、速度VOと等しくなる。
曲率算出部15は、各時点でヨー角速度測定部12により測定されたヨー角速度と、その時点で車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、からその時点での走行区間の各位置における線路3の曲率を算出する。
この場合、線路3の曲率を、曲率半径(単位:メートル)Rの逆数である1/Rと定義し、列車4の走行速度(単位:メートル/秒)をvとし、ヨー角速度(単位:ラジアン/秒)をψとしたとき、曲率1/Rは、下記式(数1)により得られる。
1/R=ψ/v・・・(数1)
走行距離算出部16は、車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車4の走行距離を算出する。具体的には、走行距離算出部16は、車軸回転数測定部13から送られてきたパルス数を積算する。前述したように、列車4の車輪6の直径をD(メートル)とすると、車輪6の外周(円周)の長さは、πD(メートル)となる。また、車軸5の1回転でν個のパルスを車軸回転数測定部13が発生する場合には、走行距離算出部16は、積算されたパルスの個数がM個の場合には、πMD/ν(メートル)を算出し、車輪6とレール7の間に滑り等はないものとし、πMD/ν(メートル)の値を列車4の走行距離として出力する。
また、処理部17は、走行距離算出部16により算出された走行距離を用いて、起点即ち基準位置から当該地点までの距離程即ち距離位置を算出する。ここに、距離程即ち距離位置とは、直線距離ではなく、線路3に沿って移動した長さであり、所謂「道のり」に相当する値である。また、算出された結果は、記憶部11又は情報処理部14内のRAM等に記憶される。なお、以下では、上記のように車軸5の回転から求められた距離程即ち距離位置を、「車軸距離程」と称する場合がある。
処理部17は、曲率算出部15により算出された曲率の算出値、又は、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値、に基づいて、列車4の位置を特定する特定処理を実行する。処理部17が実行する特定処理については、後述する列車位置特定方法を説明する際に、説明する。
<列車位置特定方法>
次に、本実施の形態1の列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法について説明する。
図2は、実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データ及び曲率の測定データの構成の一例を模式的に示す図である。図3は、実施の形態1の列車位置特定方法の一例を示すフロー図である。図4は、実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データの一例を示す図である。
図5は、空間周波数フィルタを説明するための図である。図5(a)は、フィルタ処理する前の信号波形の一例を示し、図5(b)は、図5(a)に一例を示す信号波形をフィルタ処理した後の信号波形を示している。
図6は、実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合を説明するための図である。図6(a)は、取得された曲率の測定データを示す。図6(b)は、曲率の記憶データと曲率の測定データとの乖離度が閾値以下の場合の曲率の測定データを曲率の記憶データと重ねて示す。図6(c)は、曲率の記憶データと曲率の測定データとの乖離度が閾値を超えた場合の曲率の測定データを曲率の記憶データと重ねて示す。図6(d)は、曲率の記憶データと曲率の測定データとの乖離度が閾値を超えた場合及び閾値以下の場合の曲率の測定データを曲率の記憶データと重ねて示し、図6(e)は、曲率の記憶データと曲率の測定データとの乖離度を曲率不一致度として示している。
本実施の形態1の列車位置特定方法では、まず、曲率の記憶データ(曲率マップ)即ち線路情報データベースを作成するため、図1に示すように、列車4によって、線路3上の情報測定用走行が行われる。図1において、線路3は、図の左右方向に設置されており、列車4は、図の左から右へ向かって走行するように図示されている。
この情報測定用走行では、曲率算出部15は、各時点でヨー角速度測定部12により測定されたヨー角速度と、その時点で車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られた走行速度と、からその時点での列車の位置における線路の曲率を算出する。また、走行距離算出部16は、その時点での列車の走行距離即ち車軸距離程(距離位置)を算出する。前述したように、線路3の曲率を、曲率半径(単位:メートル)Rの逆数である1/Rと定義し、列車4の走行速度(単位:メートル/秒)をvとし、ヨー角速度(単位:ラジアン/秒)をψとしたとき、曲率1/Rは、上記式(数1)により得られる。
このようにして、図2に一例を示すように、線路3上で、距離間隔DS1が例えば1メートルごとの各位置(以下、「ポインタ」とも称する。)P1において、車軸距離程(距離位置)と、その車軸距離程の位置における曲率(1/R:以下、「既知線路曲率」とも称する。)と、の関係を示す曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1即ち線路情報データベースを作成し、作成された曲率の記憶データRD1を、記憶部11(図1参照)に記憶する。このようにして記憶部11に記憶された曲率の記憶データを、図4に示す。また、図2に示すように、曲率の記憶データRD1は、線路3に沿って互いに距離間隔DS1を空けて配置されたN1個(N1は3以上の整数)の位置P1の各々における距離位置と曲率との組データPD1をそれぞれ含む。
曲率の記憶データは、ポインタと距離程と既知線路曲率とを関係づけたデータテーブル(以下、「曲率マップテーブル」とも称する。)であり、この曲率マップテーブルには、線区コードも一緒に記憶される。線区コードは、鉄道の各線区を特定するためのコードであり、同一の線区であっても、上り線と下り線では異なるコードが割り当てられる。
好適には、曲率の記憶データRD1(図2参照)は、線路3に沿って互いに距離間隔DS1(図2参照)を空けて配置された複数の位置P1(図2参照)の各々における距離位置(距離程)と曲率との関係を示す曲率の記憶データ作成用の測定データが有する信号波形のうち、閾値TF1(図示は省略)以上の空間周波数を有する成分が、空間周波数フィルタで除去されている。なお、前述したように、フィルタ処理する前の信号波形を図5(a)に示し、フィルタ処理した後の信号波形を図5(b)に示している。
ここで、空間周波数とは、1m当たりの振動の周期数[1/m]を表し、例えば1m走行する毎にサンプリングされた離散曲率データには1[1/m]以下の空間周波数を含むデータが含まれる。鉄道線路の保守管理で扱う線路の左右方向のゆがみに相当する通り不整量は、上記空間周波数として1/25[1/m]以下の帯域にその多くが含まれているものの、短期的には1/25〜1[1/m]のデータも出現する。そのため、曲率の記憶データ作成用の測定データには、通り不整量が含まれる。そこで、記憶部11に記憶される曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)としては、曲率マップの更新頻度を極力減らすために、短期的な影響を受けない空間周波数帯域のデータで構成される曲率マップを生成し使用することが望ましい。
具体的には、長波長に相当する空間周波数以下の帯域のデータは長期間にわたり経年変化量が少ないことから、例えば使用可否の境界となる空間周波数をS[1/m](前述した閾値TF1に相当する。)とすると、S[1/m]以上の空間周波数帯域の信号を遮断するようなローパスフィルタを、空間周波数フィルタとして、離散曲率データに対して乗じる。その結果、曲率の記憶データRD1(図2参照)は、線路3に沿って互いに距離間隔DS1(図2参照)を空けて配置された複数の位置P1(図2参照)の各々における距離位置と曲率との関係を示す曲率の記憶データ作成用の測定データが有する信号波形のうち、閾値TF1以上の空間周波数を有する成分が、空間周波数フィルタで除去されたものとなる。このような空間周波数フィルタとしては、デジタルフィルタ及びアナログフィルタのいずれを用いることも可能である。
なお、閾値TF1以上の空間周波数成分を有する成分が、空間周波数フィルタで除去されているとは、信号波形のうち閾値TF1以上のいかなる空間周波数を有する成分の強度の、信号波形のうち閾値TF1の空間周波数を有する成分の強度に対する比も、1/√2即ち2−0.5以下になっている場合を意味する。
好適には、閾値TF1は、曲率の記憶データ作成用の測定データをカットオフする波長の逆数1/77[1/m]以下である。このような場合、曲率の記憶データ作成用の測定データの信号波形のうち、カットオフする波長の逆数1/77[1/m]以上のいかなる空間周波数を有する成分も減衰させることができる。
上記のようにして作成した線路情報データベースを列車搭載装置2の記憶部11に記憶した状態で、運用走行を行う。
この運用走行では、処理部17は、列車4が線路3上を走行する際に、曲率算出部15により曲率の算出値を算出する算出処理を1回又は複数回繰り返し実行することにより、列車4の距離位置と、列車4の距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)を取得する測定データ取得処理を実行する(図3のステップS11)。
このステップS11では、処理部17は、列車4が線路3上を走行する際に、ヨー角速度測定部12により測定されたヨー角速度と、車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られる走行速度と、から曲率算出部15により線路3の曲率を算出する算出処理を実行する。また、処理部17は、例えば算出処理を実行した時に走行距離を0に戻した後、走行距離算出部16が測定する走行距離が一定の距離間隔DS2(図2参照)に達するたびに、即ち列車4が線路3上を一定の距離間隔DS2だけ走行するたびに、曲率算出部15により算出処理を繰り返し実行することができる。これにより、列車4の距離位置と、その距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す曲率の測定データRD2(図2参照)を更新して取得することができる。
図2に示すように、曲率の測定データRD2が距離間隔DS2(好適には距離間隔DS1に等しい。)でN2個(N2は2以上の整数)の距離位置と曲率との関係を示す組データを含む測定データである場合を考える。このような場合、図2では図示を省略するが、算出処理を1回実行するたびに、新たな曲率の測定データRD2の1番目から(N2−1)番目の組データPD2を、直前の曲率の測定データRD2の2番目からN2番目の(N2−1)個の組データPD2で置き換え、更に、新たに取得した組データPD2を新たな曲率の測定データRD2のN2番目の組データPD2として付加することにより、直前の曲率の測定データRD2を更新して新たな曲率の測定データRD2を取得することもできる。
図6(a)では、処理部17により取得された曲率の測定データRD2(図2参照)を、実線の太枠で囲まれた領域RG1に示している。図6(a)では、領域RG1は、例えば600mの距離範囲の領域を示しているが、曲率の測定データRD2が例えば1mの距離間隔DS2(図2参照)で例えば600個の組データPD2(図2参照)を有する場合を示している(図6(b)の領域RG1、図6(c)の領域RG2並びに図6(d)の領域RG3及びRG4においても同様)。
なお、曲率の測定データRD2(図2参照)について空間周波数フィルタを用いる場合には、ステップS11では、処理部17は、列車4が線路3上を走行する際に、曲率算出部15により線路3の曲率を算出する算出処理を1回又は複数回繰り返し実行することにより、線路3に沿って互いに距離間隔DS2(図2参照)を空けて配置された複数の位置P2(図2参照)の各々における距離位置と曲率の算出値との関係を示す曲率の測定データ作成用の測定データ(フィルタ処理前の信号波形については図5(a)参照)を取得する。そして、ステップS11では、処理部17は、取得された曲率の測定データ作成用の測定データが有する信号波形のうち、閾値TF2(図示は省略)以上の空間周波数を有する成分を、空間周波数フィルタで除去することにより曲率の測定データRD2を形成し、形成された曲率の測定データRD2(フィルタ処理後の信号波形については図5(b)参照)を更新して取得する。
これにより、後述する図7を用いて説明するように、曲率マップの更新頻度を大幅に減らすことが可能となる。
なお、閾値TF2以上の空間周波数成分を有する成分を、空間周波数フィルタで除去するとは、信号波形のうち閾値TF2以上のいかなる空間周波数を有する成分の強度の、信号波形のうち閾値TF2の空間周波数を有する成分の強度に対する比も、1/√2即ち2−0.5以下になる場合を意味する。
好適には、閾値TF2は、曲率の測定データ作成用の測定データをカットオフする波長の逆数1/77[1/m]以下である。このような場合、曲率の測定データ作成用の測定データの信号波形のうち、カットオフする波長の逆数1/77[1/m]以上のいかなる空間周波数を有する成分も減衰させることができる。
なお、曲率の記憶データRD1(図2参照)については空間周波数によるフィルタ処理を行わず、曲率の測定データRD2(図2参照)のみについて空間周波数によるフィルタ処理を行ってもよい。或いは、曲率の測定データRD2については空間周波数によるフィルタ処理を行わず、曲率の記憶データRD1のみについて空間周波数によるフィルタ処理を行ってもよい。
また、この運用走行では、次に、処理部17は、取得された曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)と、記憶部11に記憶されている曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)と、を比較することにより、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1のうち曲率の測定データ(生曲率データ)RD2との乖離度DD1(図2参照)が最小になる部分PR1(図2参照)を抽出し、抽出された部分PR1と曲率の測定データ(生曲率データ)RD2との乖離度DD2(図2参照)を乖離度DD1の最小値として取得する乖離度取得処理を実行する(図3のステップS12)。
このステップS12では、処理部17は、まず、曲率の記憶データRD1(図2参照)の一部と、今回更新した曲率の測定データRD2(図2参照)と、について、乖離度としての偏差係数を算出する。
この偏差係数は、以下の方法により算出することができる。まず、曲率の記憶データRD1(図2参照)に登録されたデータである既知曲率データの中から、距離程初期値が含まれるある区間、例えば、曲率マップテーブルの距離程(距離位置)が距離位置K1(図2参照)から距離位置K2(図2参照)までの区間を選択する。この区間の中には、N2個(前述したようにN2は2以上の整数)の連続するポインタが含まれており、距離位置K1のポインタが、N1個の位置P1のうちN3番目の位置P1であるとする。なお、N3は1以上の整数であり、N1、N2及びN3は、N3+N2−1≦N1を満たすものとする。これらのポインタの組データPD1(図2参照)の各々に含まれる曲率を、距離程が最小のポインタの組データPD1に含まれる曲率から、距離程が最大のポインタの組データPD1に含まれる曲率まで、順に並べ、δN3,δN3+1,・・・,δN3+N2−1であるとする。
次に、今回の運用走行時における曲率データ値(曲率の測定データ)として、一定の距離間隔DS2(図2参照)でサンプリングされた直前のN2個の組データPD2(図2参照)の各々に含まれる曲率の算出値を、距離程が最小のポインタの組データPD2に含まれる曲率の算出値から、距離程が最大のポインタの組データに含まれる曲率の算出値まで、順に並べ、ξ,ξ,・・・,ξN2であるとする。
次に、これらの既知曲率データ(曲率の記憶データ)と今回の曲率データ(曲率の測定データ)を用いて、互いに対応するデータ値同士の差の二乗値、例えば、(δN3−ξ,(δN3+1−ξ,・・・,(δN3+N2−1−ξN2を求める。ポインタ個数はN2であるから、これらの二乗値は、N2個求められる。次に、これらのN2個の二乗値の総和を算出する。これが偏差係数であり、これをwとすると、偏差係数wは、下記式(数2)により算出することができる。
w=Σ(δN3−1+k−ξ・・・(数2)
なお、前述したように、偏差係数wは、上記した乖離度DD1に相当する。また、図2に示すように、K1、DS1及びN3は、例えばK1=DS1×(N3−1)を満たし、K2、DS1、N3及びN2は、例えばK2=DS1×(N3+N2−2)を満たす。
処理部17は、既知曲率データの中から選択される区間の距離程を変更しながら、即ち、選択される区間の距離程が、例えば1ポインタずつ大きくなるか、又は、1ポインタずつ小さくなるように変更しながら、それぞれの場合について偏差係数wを算出する。即ち、処理部17は、N3の値を変更しながら、偏差係数w即ち乖離度DD1を算出する。その結果、偏差係数w(乖離度DD1)が最小となる区間が検索された場合は、その場合の偏差係数w(乖離度DD2)即ち乖離度DD1の最小値が曲率不一致度になる。また、偏差係数wが最小となる区間が検索された場合は、その場合の距離程(距離位置)の移動量(距離程初期値から何ポインタ分ずらしたかを示す量)を求め、距離程初期値をその分だけ増減させて比較時点における距離程とする。
上記したステップS12について言い換えると、ステップS12は、好適には、ステップS121(図3では図示は省略)と、ステップS122(図3では図示は省略)と、を含む。
図2に示すように、処理部17は、ステップS121では、曲率の記憶データRD1に含まれるN1個の組データPD1のうちN3番目の位置を1番目として互いに隣り合うN2個の位置P1の各々における距離位置と曲率との組データPD1をそれぞれ含むN2個の組データPD1を抽出する抽出処理を実行する。
また、図2に示すように、処理部17は、ステップS122では、組データPD1と組データPD2との組において、組データPD1に含まれる曲率と、組データPD2に含まれる曲率の算出値と、の差(偏差)を二乗した二乗値を、N2個の組について加算した総和(偏差二乗和)である乖離度DD1を算出する乖離度算出処理を実行する。N1は、3以上の整数であり、N2は、2以上の整数であり、N3は、1以上の整数であり、N2は、N1よりも小さく、N1、N2及びN3は、N3+N2−1≦N1を満たす。そして、処理部17は、ステップS12では、N3番目の位置を変更しながらステップS121(抽出処理)及びステップS122(乖離度算出処理)を交互に繰り返し実行する際に、乖離度DD1が最小になったときのN2個の組データPD1を、部分PR1として抽出する。
なお、乖離度DD1が最小になるように、曲率の記憶データRD1(図2参照)に含まれるN1個の組データPD1(図2参照)のうちN2個の組データPD1を抽出する方法は、特に限定されず、各種の方法を用いることができる。従って、上記の乖離度DD1の最小値を取得する方法に代えて、曲率の測定データ(生曲率データ)RD2の距離位置(距離程)を移動させて偏差係数w(乖離度DD2)即ち乖離度DD1の最小値を算出し、算出された偏差係数wが最小となるときの曲率の測定データRD2の移動量を求め、曲率の測定データRD2の距離位置をその分だけ増減させて比較時点における距離位置としてもよい。
また、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)の中から選択される区間として、最大ずらし距離に対応した裕度即ちマージンを見込んで、曲率の測定データRD2(図2参照)に含まれる組データPD2(図2参照)の数(距離範囲)よりも多い数(長い距離範囲)を有する組データPD1(図2参照)を含む区間を選択し、選択された区間の曲率の記憶データRD1を用いて、偏差係数wを算出してもよい。
図6(b)は、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度が閾値TD1(図6(e)参照)以下の場合について、偏差係数wが最小となる区間が検索された場合、処理部17により取得された曲率の測定データRD2(図2参照)を、記憶部11により記憶された曲率の記憶データRD1(図2参照)と重ねて示す。図6(b)でも、図6(a)と同様に、曲率の測定データRD2を、実線の太枠で囲まれた領域RG1で示している。
また、この運用走行では、次に、処理部17は、取得された乖離度DD2(図2参照)を予め設定された閾値TD1(図6(e)参照)と比較する(図3のステップS13)。そして、乖離度DD2が閾値TD1以下の場合、処理部17は、列車4の位置を、部分PR1(図2参照)における距離位置に基づいて特定する特定処理を実行する(図3のステップS13)。一方、乖離度DD2が閾値TD1を超えた場合、処理部17は、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する特定処理を実行する(図3のステップS13)。
このステップS13では、まず、処理部17は、取得された乖離度DD1(図2参照)の最小値としての乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度を、予め設定された閾値TD1(図6(e)参照)と比較する(図3のステップS131)。
ステップS131において、乖離度DD2(図2参照)が閾値TD1(図6(e)参照)以下の場合、処理部17は、列車4の位置を、乖離度DD1(図2参照)が最小になる部分PR1における距離位置に基づいて特定する(図3のステップS132)。
図6(e)は、偏差係数w即ち乖離度DD1(図2参照)が最小となる区間が検索された場合に処理部17により取得された乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度を示す。
曲率の測定データRD2(図2参照)が図6(b)の領域RG1で表される場合、図6(e)に示すように、乖離度DD2即ち曲率不一致度は閾値TD1以下である。このような場合、列車4の位置を、部分PR1(図2参照)における距離位置に基づいて特定することになる。なお、図6(e)では、理解を簡単にするために、運用走行を終了した後、全区間に亘り取得した曲率不一致度を示している。
前述したように、ステップS12において、偏差係数wが最小となる区間が検索された場合に、その場合の距離程(距離位置)の移動量(距離程初期値から何ポインタ分ずらしたかを示す量)を求め、距離程初期値をその分だけ増減させて比較時点における距離程としている。従って、その距離程に基づいて、列車4の位置を特定することになる。
このような場合、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)と曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)との照合が容易な区間において、列車4の位置を精度良く特定することができる。
一方、ステップS131において、乖離度DD2(図2参照)が閾値TD1(図6(e)参照)を超えた場合、処理部17は、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する(図3のステップS133)。
前述したように、走行距離算出部16は、車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られた走行速度から列車4の走行距離を算出する。そして、ステップS11において、処理部17は、例えば算出処理を実行した時に走行距離を0に戻した後、走行距離算出部16が測定する走行距離が一定の距離間隔DS2(図2参照)に達するたびに、算出処理を繰り返す場合には、処理部17は、算出処理を繰り返す際に、1回の算出処理ごとの走行距離に算出処理の回数を乗じること等により、列車4の位置を特定することができる。このようにして、処理部17は、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて、列車の位置を特定することができる。
図6(c)は、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度が閾値TD1(図6(e)参照)を超えた場合について、偏差係数wが最小となる区間が検索された場合、処理部17により取得された曲率の測定データRD2(図2参照)を、記憶部11により記憶された曲率の記憶データRD1(図2参照)と重ねて示す。図6(c)では、曲率の測定データRD2を、実線の太枠で囲まれた領域RG2で示している。
曲率の測定データRD2(図2参照)が図6(c)の領域RG2で表される場合、図6(e)に示すように、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度は閾値TD1を超えている。このような場合、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定することになる。
このような場合、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)と曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)との照合が困難な区間においても、列車4の位置を精度良く特定することができる。
本実施の形態1では、ステップS11、ステップS12及びステップS13を、ステップS11、ステップS12及びステップS13の順序で繰り返し実行することにより、運用走行時に列車4の自車位置を特定することになる。このとき、新たな距離位置を設定し、ステップS11、ステップS12及びステップS13を1回行った後、距離位置を変更し、変更された距離位置を新たな距離位置として設定しながら、繰り返すことになる。
鉄道車両を有する列車が、運用上、事前に計画された経路以外を走行する場合がある。このような事前に計画された経路以外を走行する場合というのは、特定の箇所、例えば駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間を走行する場合である。また、駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間では、入線番線によってATS地上子の位置又は敷設個数が異なる。そのため、現状では、駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間では、該当するATS地上子を列車側の線路情報データベースから人手により選定し除外する作業、即ち制御マスク区間の設定作業が行われている。
上記特許文献1に記載された技術では、線路情報データベース即ち曲率の記憶データ(曲率マップ)に記憶された経路と異なる経路に進入した場合、曲率の記憶データに記憶された曲率から導出される車体のヨー角速度と異なるヨー角速度が測定されるため、曲率の記憶データと曲率の測定データ(生曲率データ)との照合が困難であり、列車の位置を精度良く特定することができない。また、異なる経路を辿ったにもかかわらず、曲率パターンが類似する場合があり、本来確定すべき地点とは異なる箇所で曲率パターンのミスマッチングが発生するおそれがある。つまり、上記特許文献1に記載された技術では、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が容易な区間では、列車の位置を精度良く特定することができるものの、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難な区間では、列車の位置を精度良く特定することができない。
一方、本実施の形態1の列車位置特定方法では、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度が閾値TD1(図6(e)参照)以下の場合、列車4の位置を、部分PR1(図2参照)における距離位置に基づいて特定するが、乖離度DD2即ち曲率不一致度が閾値TD1を超えた場合、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する。
これにより、ミスマッチングが発生するおそれがある箇所での曲率照合は実行しないので、急遽曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)に記憶された経路と異なる経路に列車が進入した場合でも、その後、継続且つ安定して自車位置を認識することができる。また、評価関数としての偏差係数w(乖離度DD1)により、曲率マップ上と異なる区間に列車が在線していることを認識することができる。
即ち、本実施の形態1の列車位置特定方法によれば、曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率の測定データRD2(図2参照)との照合が容易な区間、及び、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との照合が困難な区間のいずれにおいても、列車4の位置を精度良く特定することができる。そのため、現行の営業車両で実施されている、駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間での制御マスク区間の設定が不要となる。
また、本実施の形態1の列車位置特定方法では、従来のシステムのようなATS地上子は不要となる。そのため、ATS地上子が当初の位置から他の位置へ移設された場合であっても、何らの支障もなく自車位置としての列車の位置を特定することができる。また、本実施の形態1の列車位置特定方法では、GPS受信手段も不要となるので、システムを簡易なものとすることができる。
図6(d)は、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度が閾値TD1(図6(e)参照)を超えた後、曲率不一致度が閾値TD1を更に大幅に超え、その後、曲率不一致度が再び閾値TD1以下になった場合について、偏差係数wが最小となる区間が検索された場合、処理部17により取得された曲率の測定データRD2(図2参照)を、記憶部11により記憶された曲率の記憶データRD1(図2参照)と重ねて示す。図6(d)では、曲率不一致度が閾値TD1を更に大幅に超えた場合の曲率の測定データRD2を、破線の太枠で囲まれた領域RG3で示し、その後、曲率不一致度が再び閾値TD1以下になった場合の曲率の測定データRD2を、実線の太枠で囲まれた領域RG4で示している。
曲率の測定データRD2(図2参照)が図6(d)の領域RG3で表される場合、図6(e)に示すように、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度は閾値TD1を更に大幅に超えている。このような場合、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定することになる。
図6(d)の領域RG3のうち、ハッチングを付した4つの領域RG31に示すように、曲率の測定データRD2(図2参照)を取得する距離範囲内において、処理部17により取得された曲率の測定データRD2のうち、記憶部11により記憶されている曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率が異なる部分の割合が増加すると、曲率不一致度が更に大きくなるので、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2の照合が更に困難になり、列車4の位置を精度良く特定することができない。このような事例は、例えば駅又は信号所の規模が大きいために、駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間での入線番線が曲率マップに登録されている入線番線と遠く離れている場合、又は、駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間での入線番線の長さが長い場合に、発生し得る。
一方、本実施の形態1の列車位置特定方法によれば、曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率の測定データRD2(図2参照)との照合が困難な区間では、車軸回転数より得られた走行速度から列車4の走行距離を算出する。そのため、本実施の形態1の列車位置特定方法によれば、駅又は信号所の規模が大きい場合でも、列車4の位置を精度良く特定することができる効果が高まる。
また、曲率の測定データRD2(図2参照)が図6(d)の領域RG4で表される場合、図6(e)に示すように、乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度が再び閾値TD1以下になる。このような場合、再び、列車4の位置を、曲率の記憶データRD1(図2参照)のうち曲率の測定データRD2との乖離度DD1が最小になる部分PR1における距離位置に基づいて特定することになる。
即ち、本実施の形態1の列車位置特定方法によれば、曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率の測定データRD2(図2参照)との照合が困難な区間を抜けて曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との照合が容易な区間に戻った場合でも、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との照合により列車の位置を特定する方法にすぐ戻すことができる。
また、前述したように、好適には、処理部17は、ステップS11では、列車4が線路3上を走行する際に、曲率算出部15により算出処理を1回又は複数回繰り返し実行することにより、線路3に沿って互いに距離間隔DS2(図2参照)を空けて配置された複数の位置P2(図2参照)の各々における距離位置と曲率の算出値との関係を示す曲率の測定データ作成用の測定データを取得する。そして、処理部17は、ステップS11では、取得された曲率の測定データ作成用の測定データが有する信号波形のうち、閾値TF2以上の空間周波数を有する成分を、空間周波数フィルタで除去することにより、曲率の測定データRD2を形成し、形成された曲率の測定データRD2を更新して取得する。
また、曲率の記憶データRD1(図2参照)及び曲率の測定データRD2(図2参照)のいずれにも空間周波数フィルタを用いる場合については、上記したステップS12について言い換えると、ステップS12は、好適には、ステップS123(図3では図示は省略)と、ステップS124(図3では図示は省略)と、を含む。このとき、曲率の記憶データRD1は、線路3に沿って互いに距離間隔DS1(図2参照)を空けて配置されたN1個の位置P1(図2参照)の各々における距離位置と曲率との組データPD1(図2参照)をそれぞれ含む曲率の記憶データ作成用の測定データが有する信号波形のうち、閾値TF1以上の周波数を有する成分が、空間周波数フィルタにより除去されている。
図2に示すように、処理部17は、ステップS11では、列車4が線路3上を距離間隔DS2(図2参照)だけ走行するたびに、算出処理を繰り返すことにより、線路3に沿って互いに距離間隔DS2を空けて配置されたN2個の位置P2(図2参照)の各々における距離位置と曲率との組データPD2(図2参照)をそれぞれ含む曲率の測定データ作成用の測定データを取得し、フィルタ処理する測定データ取得処理を実行する。
また、処理部17は、ステップS123(抽出処理)では、曲率の記憶データRD1(図2参照)に含まれるN1個の組データPD1(図2参照)のうちN3番目の位置P1(図2参照)を1番目として互いに隣り合うN2個の位置P1の各々における距離位置と曲率との組データPD1をそれぞれ含むN2個の組データPD1を抽出する抽出処理を実行する。また、処理部17は、ステップS124(乖離度取得処理)では、組データPD1と組データPD2(図2参照)との組において組データPD1に含まれる曲率と、組データPD2に含まれる曲率との差を二乗した二乗値を、N2個の組について加算した総和である乖離度DD1(図2参照)を算出する算出処理を実行する。N1は、3以上の整数であり、N2は、2以上の整数であり、N3は、1以上の整数であり、N2は、N1よりも小さく、N1、N2及びN3は、N3+N2−1≦N1を満たす。そして、処理部17は、ステップS12では、N3番目の位置を変更しながらステップS123及びステップS124を交互に繰り返し実行する際に、乖離度DD1が最小になったときのN2個の組データPD1を、部分PR1(図2参照)として抽出する。
なお、曲率の測定データRD2(図2参照)を取得する距離間隔DS2(図2参照)が曲率の記憶データRD1(図2参照)を取得する距離間隔DS1(図2参照)と異なる場合でも、曲率の記憶データRD1及び曲率の測定データRD2のいずれか一方のデータを補間(線形補間又はスプライン補間等)することで、比較照合することは可能である。
また、曲率の記憶データRD1(図2参照)及び曲率の測定データRD2(図2参照)のいずれも、速度発電機のパルスを基準として車輪6が単位距離間隔(現在は1m)に相当する分だけ回転するたびに、曲率の算出値を順次算出したものである。そのため、車輪6の空転、滑走等により、曲率の測定データRD2を取得する距離間隔DS2(図2参照)が曲率の記憶データRD1を取得する距離間隔DS1(図2参照)と異なる場合がある。しかしそのような場合でも、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との間で、曲率の情報が完全には一致しなくなるものの、偏差二乗和を算出する過程で影響が平均化されるため、車輪6の空転、滑走等の影響については、ある程度無視することが可能である。
<曲率の記憶データの更新頻度に及ぼす影響>
ここで、空間周波数フィルタを用いることが、曲率の記憶データ即ち曲率マップの更新頻度に及ぼす影響について説明する。
図7は、実施の形態1の列車位置特定方法における曲率の記憶データの更新頻度に及ぼす影響を説明するための図である。図7(a)は、当初作成された曲率の記憶データを示し、図7(b)は、図7(a)と同一の区間において図7(a)の曲率の記憶データを作成してから11年経過後に同一の区間における運用走行で取得された曲率の測定データを示し、図7(c)は、図7(a)に示した曲率と図7(b)に示した曲率との乖離度が最小になるようにして得られた距離位置の差分を、相対距離として示している。
図7(a)乃至図7(c)に示すように、空間周波数フィルタを用いた場合に、曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率の測定データRD2(図2参照)とを互いに長期間空けてそれぞれ取得し、取得された曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2とを比較した。その結果、距離位置と曲率との関係をそれぞれ示す、曲率の記憶データRD1及び曲率の測定データRD2のいずれにおいても、顕著な経年変化が確認されなかった。これは、信号波形のうち、ある閾値以上の空間周波数を有する成分が空間周波数フィルタで除去されているためである。
具体的には、図7(a)及び図7(b)に示すように、空間周波数フィルタを用いた場合には、最初に曲率の記憶データRD1(図2参照)を作成してから例えば11年経過後に同一の区間における運用走行で曲率の測定データRD2(図2参照)を取得した場合でも、距離位置の差分が、±1m以内であった。そのため、空間周波数フィルタを用いる場合、軌道の経年変化による位置の特定の精度への影響が小さくなることが明らかになった。
システムに登録された曲率の記憶データRD1(図2参照)即ち曲率マップの該当線区の軌道状態は、通過する列車の車両数又は積載通トン等により経年変化する。これに伴い、列車側で取得される曲率の測定データRD2(図2参照)と曲率の記憶データRD1との間の乖離度が高くなり、取得された曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2とを照合する際に、ミスマッチングが発生することがあった。従って、曲率の記憶データRD1即ち曲率マップの更新頻度を数か月程度に1回の頻度まで高める必要があった。
一方、本実施の形態1では、曲率の記憶データRD1(図2参照)を記憶する場合及び曲率の測定データRD2(図2参照)を取得する場合のいずれの場合でも、各信号波形のうち、ある閾値以上の空間周波数を有する成分を除去する空間周波数フィルタを適用する。これにより、各信号波形のうち、軌道状態の経年変化による影響が大きい短波長帯域の成分を除去することができるので、曲率の記憶データの更新頻度を大幅に低減することが可能となる。
線路上を走行する列車側で一定時間間隔を空けて測定されたデータに対して、一律のカットオフ周波数を有するローパスフィルタを用いてフィルタ処理する場合、列車の走行速度によってカットオフする波長が変化してしまい、フィルタ処理の効果が変動する。即ち、フィルタ処理の効果に走行速度が及ぼす影響が大きい。
一方、本実施の形態1の列車位置特定方法は、軌道の線路曲率の経年変化が空間周波数で管理できることに着目し、その曲率の記憶データの更新頻度を大幅に低減することができることを見出したものである。具体的には、前述したように、曲率の記憶データRD1(図2参照)及び曲率の測定データRD2(図2参照)の双方又はいずれか一方の作成に際し、一定の距離間隔ごとに、例えば列車が1m走行するごとに、曲率を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、列車の距離位置と、その距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す信号波形を取得し、取得された信号波形に対して空間周波数フィルタを用いてフィルタ処理する。このような場合、フィルタ処理の効果に走行速度が及ぼす影響を低減することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の列車位置特定システム及び列車位置特定方法について説明する。本実施の形態2の列車位置特定システム及び列車位置特定方法は、曲率の変化率に応じて、曲率不一致度が最小になる位置に基づく位置の特定か走行距離に基づく位置の特定かを切り替える点で、曲率不一致度に応じて、曲率不一致度が最小になる位置に基づく位置の特定か走行距離に基づく位置の特定かを切り替える実施の形態1の列車位置特定システム及び列車位置特定方法と異なる。
本実施の形態2の列車位置特定システムのうち、処理部17以外の部分については、実施の形態1の列車位置特定システムの各部分と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
図8は、実施の形態2の列車位置特定方法の一例を示すフロー図である。図9は、実施の形態2の列車位置特定方法における曲率の測定データと曲率の変化率との関係を説明するための模式図である。図9(a)は、曲率の測定データを示し、図9(b)は、曲率の変化率の絶対値を示している。
本実施の形態2の列車位置特定方法でも、実施の形態1の列車位置特定方法と同様に、まず、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)即ち線路情報データベースを作成するため、図1に示すように、列車4による線路3上の情報測定用走行が行われる。そして、本実施の形態2の列車位置特定方法でも、実施の形態1の列車位置特定方法と同様に、線路情報データベースを列車搭載装置2の記憶部11に記憶した状態で、運用走行を行う。
この運用走行では、処理部17は、実施の形態1のステップS11(図3参照)と同様に、列車4が線路3上を走行する際に、曲率算出部15により曲率の算出値を算出する算出処理を1回又は複数回繰り返し実行することにより、列車4の距離位置と、その距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)を取得する測定データ取得処理を実行する(図8のステップS21)。
このステップS21では、実施の形態1のステップS11(図3参照)と同様に、処理部17は、列車4が線路3上を走行する際に、ヨー角速度測定部12により測定されたヨー角速度と、車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られる列車走行速度と、から曲率算出部15により線路3の曲率を算出する算出処理を実行する。また、処理部17は、例えば算出処理を実行した時に走行距離を0に戻した後、走行距離算出部16が測定する走行距離が一定の距離間隔DS2(図2参照)に達するたびに、即ち列車4が線路3上を一定の距離間隔DS2だけ走行するたびに、曲率算出部15により算出処理を繰り返し実行することができる。これにより、列車4の距離位置と、その距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す曲率の測定データRD2(図2参照)を更新して取得することができる。
処理部17により取得された曲率の測定データRD2(図2参照)は、例えば、図6(a)の領域RG1で表された測定データRD2と同様なものとすることができる。
一方、この運用走行では、次に、処理部17は、実施の形態1のステップS12(図3参照)と異なり、取得された曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)における曲率の算出値の距離位置に対する変化率RC1(図9(b)参照)を取得する変化率取得処理を実行する(図8のステップS22)。
このステップS22では、処理部17は、ステップS21の算出処理同士を連続して2回繰り返し実行する際に、1回目の算出処理により算出された曲率の算出値を、2回目の算出処理により算出された曲率の算出値から減ずることにより、変化率RC1(図9(b)参照)を算出することができる。或いは、取得された曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)における曲率の算出値の距離位置に対する変化率を取得できればよいので、他の各種の方法を用いることもできる。
また、この運用走行では、次に、処理部17は、実施の形態1のステップS13(図3参照)と異なり、取得された変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値を予め設定された閾値TC1(図9(b)参照)と比較する(図8のステップS23)。そして、変化率RC1の絶対値が閾値TC1以上の場合、処理部17は、記憶部11に記憶されている曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)と、曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)と、を比較することにより、曲率の記憶データRD1のうち曲率の測定データRD2との乖離度DD1(図2参照)が最小になる部分PR1(図2参照)を抽出し、列車4の位置を、部分PR1における距離位置に基づいて特定する特定処理を実行する(図8のステップS23)。一方、処理部17は、変化率RC1の絶対値が閾値TC1未満の場合、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する特定処理を実行する(図8のステップS23)。
このステップS23では、まず、処理部17は、取得された変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値を、予め設定された閾値TC1(図9(b)参照)と比較する(図8のステップS231)。
ステップS231において、変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が閾値TC1(図9(b)参照)以上の場合、処理部17は、記憶部11に記憶されている曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)と、曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)と、を比較することにより、曲率の記憶データRD1のうち曲率の測定データRD2との乖離度DD1(図2参照)が最小になる部分PR1(図2参照)を抽出し、乖離度DD1の最小値を取得する(図8のステップS232)。そして、処理部17は、列車4の位置を、部分PR1における距離位置に基づいて特定する特定処理を実行する(図8のステップS233)。
ステップS232は、実施の形態1のステップS12(図3参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。また、ステップS233は、実施の形態1のステップS132(図3参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。なお、実施の形態1のステップS12と同様に、部分PR1(図2参照)を抽出する抽出処理を、ステップS21の後、ステップS23の前に、実行し、ステップS232では、ステップS23の前に抽出しておいた部分PR1における距離位置に基づいて列車4の位置を特定してもよい。
一方、ステップS231において、変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が閾値TC1(図9(b)参照)未満の場合、処理部17は、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する特定処理を実行する(図8のステップS234)。
ステップS234は、実施の形態1のステップS133(図3参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。
本実施の形態2では、ステップS21、ステップS22及びステップS23を、ステップS21、ステップS22、ステップS23の順序で繰り返し実行することにより、運用走行時に列車の自車位置を特定することになる。
上記特許文献1に記載された技術では、曲率の変化率の絶対値が小さい直線区間及び長い円曲線区間では、特徴点が少ないため偏差二乗和の差異が生じにくいので、曲率の記憶データ(曲率マップ)と曲率の測定データ(生曲率データ)との照合が困難であり、列車の位置を精度良く特定することができない。つまり、上記特許文献1に記載された技術では、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が容易な区間では、列車の位置を精度良く特定することができるものの、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難な区間では、列車の位置を精度良く特定することができない。
一方、本実施の形態2の列車位置特定方法では、曲率の変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が閾値TC1(図9(b)参照)以上の場合、列車4の位置を、部分PR1(図2参照)における距離位置に基づいて特定するが、曲率の変化率RC1の絶対値が閾値TC1未満の場合、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する。
即ち、本実施の形態2の列車位置特定方法では、直線区間及び長い円曲線区間では、曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率の測定データRD2(図2参照)との照合は実行せず、走行距離算出部16により車軸回転数測定部13から送られてきたパルス数を積算する速度発電機によるパルス数カウントによる手法に切り替える。直線区間及び長い円曲線区間の検出は、前述したように、例えば曲率の測定データRD2(図2参照)としてバッファに格納される最新データから、前回の曲率の測定データRD2を減ずることにより曲率の変化率RC1(図9(b)参照)を算出し、算出された変化率RC1の絶対値を閾値TC1(図9(b)参照)と比較することにより、直線および円曲線区間として認識する。
これにより、ミスマッチングが発生するおそれがある箇所での曲率照合は実行しないので、曲率の変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が小さい直線区間及び長い円曲線区間に列車が進入した場合にも、その後、継続且つ安定して自車位置を認識することができる。また、評価関数としての曲率の変化率RC1により、直線区間及び長い円曲線区間に列車が在線していることを認識することができる。
即ち、本実施の形態2の列車位置特定方法によれば、実施の形態1の列車位置特定方法と同様に、曲率の記憶データRD1(図2参照)と曲率の測定データRD2(図2参照)との照合が容易な区間、及び、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との照合が困難な区間のいずれにおいても、列車4の位置を精度良く特定することができる。
なお、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、曲率の記憶データRD1(図2参照)を記憶する場合及び曲率の測定データRD2(図2参照)を取得する場合のいずれの場合でも、各信号波形のうち、ある閾値以上の空間周波数を有する成分を除去する空間周波数フィルタを適用することができ、これにより、曲率の記憶データRD1の更新頻度を大幅に低減することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の列車位置特定システム及び列車位置特定方法について説明する。本実施の形態3は、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせたものである。
本実施の形態3の列車位置特定システムのうち、処理部17以外の部分については、実施の形態1の列車位置特定システムの各部分と同様にすることができ、それらの説明を省略する。
図10は、実施の形態3の列車位置特定方法の一例を示すフロー図である。
本実施の形態3の列車位置特定方法でも、実施の形態1の列車位置特定方法と同様に、まず、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)即ち線路情報データベースを作成するため、図1に示すように、列車4による線路3上の情報測定用走行が行われる。そして、本実施の形態3の列車位置特定方法でも、実施の形態1の列車位置特定方法と同様に、線路情報データベースを列車搭載装置2の記憶部11に記憶した状態で、運用走行を行う。
この運用走行では、処理部17は、実施の形態1のステップS11(図3参照)と同様に、列車4が線路3上を走行する際に、曲率算出部15により曲率の算出値を算出する算出処理を1回又は複数回繰り返し実行することにより、列車4の距離位置と、その距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)を取得する測定データ取得処理を実行する(図10のステップS31)。
このステップS31では、実施の形態1のステップS11(図3参照)と同様に、処理部17は、列車4が線路3上を走行する際に、ヨー角速度測定部12により測定されたヨー角速度と、車軸回転数測定部13により測定された車軸回転数より得られる列車走行速度と、から曲率算出部15により線路3の曲率を算出する算出処理を実行する。また、処理部17は、例えば算出処理を実行した時に走行距離を0に戻した後、走行距離算出部16が測定する走行距離が一定の距離間隔DS2(図2参照)に達するたびに、即ち列車4が線路3上を一定の距離間隔DS2だけ走行するたびに、曲率算出部15により算出処理を繰り返し実行することができる。これにより、列車4の距離位置と、その距離位置における曲率の算出値と、の関係を示す曲率の測定データRD2(図2参照)を更新して取得することができる。
処理部17により取得された曲率の測定データRD2(図2参照)は、例えば、図6(a)の領域RG1で表された測定データRD2と同様なものとすることができる。
また、この運用走行では、次に、処理部17は、実施の形態1のステップS12(図3参照)と同様に、取得された曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)と、記憶部11に記憶されている曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1(図2参照)と、を比較することにより、曲率の記憶データ(曲率マップ)RD1のうち曲率の測定データ(生曲率データ)RD2との乖離度DD1が最小になる部分PR1(図2参照)を抽出し、抽出された部分PR1と曲率の測定データ(生曲率データ)RD2との乖離度DD2(図2参照)を乖離度DD1の最小値として取得する乖離度取得処理を実行する(図10のステップS32)。
ステップS32は、実施の形態1のステップS12(図3参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。
一方、この運用走行では、次に、処理部17は、実施の形態2のステップS22(図8参照)と同様に、取得された曲率の測定データ(生曲率データ)RD2(図2参照)における曲率の算出値の距離位置に対する変化率RC1(図9(b)参照)を取得する変化率取得処理を実行する(図10のステップS33)。
ステップS33は、実施の形態2のステップS22(図8参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。なお、このステップS33では、実施の形態2のステップS22(図8参照)と同様に、処理部17は、ステップS31の算出処理同士を連続して2回繰り返し実行する際に、1回目の算出処理により算出された曲率の算出値を、2回目の算出処理により算出された曲率の算出値から減ずることにより、変化率RC1(図9(b)参照)を算出することができる。
また、この運用走行では、次に、処理部17は、実施の形態1のステップS13(図3参照)と異なり、取得された乖離度DD2(図2参照)を予め設定された閾値TD1(図6(e)参照)と比較し、取得された変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値を予め設定された閾値TC1(図9(b)参照)と比較する(図10のステップS34)。そして、乖離度DD2が閾値TD1以下であり且つ変化率RC1の絶対値が閾値TC1以上の場合、処理部17は、列車4の位置を、部分PR1における距離位置に基づいて特定する特定処理を実行する(図10のステップS34)。一方、乖離度DD2が閾値TD1を超えたか又は変化率RC1の絶対値が閾値TC1未満の場合、処理部17は、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する特定処理を実行する(図10のステップS34)。
このステップS34では、まず、処理部17は、取得された乖離度DD2(図2参照)即ち曲率不一致度を予め設定された閾値TD1(図6(e)参照)と比較し、取得された変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値を予め設定された閾値TC1(図9(b)参照)と比較する(図8のステップS341)。具体的には、乖離度DD2が閾値TD1以下で、且つ、曲率の変化率RC1の絶対値が閾値TC1以上かを判定する。
ステップS341において、乖離度DD2(図2参照)が閾値TD1(図6(e)参照)以下であり、且つ、変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が閾値TC1(図9(b)参照)以上の場合、処理部17は、列車4の位置を、部分PR1(図2参照)における距離位置に基づいて特定する特定処理を実行する(図8のステップS342)。
ステップS342は、実施の形態1のステップS132(図3参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。
一方、ステップS341において、乖離度DD2(図2参照)が閾値TD1(図6(e)参照)を超えた場合、又は、変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が閾値TC1(図9(b)参照)未満の場合、処理部17は、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する特定処理を実行する(図8のステップS343)。
ステップS343は、実施の形態1のステップS133(図3参照)と同様にすることができるので、その説明を省略する。
本実施の形態3では、ステップS31、ステップS32及びステップS33を、ステップS31、ステップS32、ステップS33の順序で繰り返し実行することにより、運用走行時に列車の自車位置を特定することになる。
上記特許文献1に記載された技術では、線路情報データベース即ち曲率の記憶データ(曲率マップ)に記憶された経路と異なる経路に進入した場合、並びに、曲率の変化率の絶対値が小さい直線区間及び長い円曲線区間で、曲率の記憶データと曲率の測定データ(生曲率データ)との照合が困難である。また、上記特許文献1に記載された技術では、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が容易な区間では、列車の位置を精度良く特定することができるものの、曲率の記憶データと曲率の測定データとの照合が困難な区間では、列車の位置を精度良く特定することができない。
一方、本実施の形態3の列車位置特定方法では、乖離度DD2(図2参照)が閾値TD1(図6(e)参照)以下で、且つ、曲率の変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値が閾値TC1(図9(b)参照)以上の場合、列車4の位置を、部分PR1における距離位置に基づいて特定するが、乖離度DD2が閾値TD1を超えた場合、又は、曲率の変化率RC1の絶対値が閾値TC1未満の場合、列車4の位置を、走行距離算出部16により算出された走行距離の算出値に基づいて特定する。
このような本実施の形態3の列車位置特定方法は、実施の形態1の列車位置特定方法と、実施の形態2の列車位置特定方法と、を組み合わせたものであるので、実施の形態1の列車位置特定方法が有する効果と、実施の形態2の列車位置特定方法が有する効果と、を兼備している。
即ち、本実施の形態3の列車位置特定方法は、曲率の記憶データRD1(図2参照)に記憶された経路と異なる経路、並びに、直線区間及び長い円曲線区間等、各種の曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2(図2参照)との照合が困難な区間においても、列車4の位置を精度良く特定することができる。そのため、本実施の形態3の列車位置特定方法によれば、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との照合が容易な区間、及び、曲率の記憶データRD1と曲率の測定データRD2との照合が困難な区間のいずれにおいても、列車4の位置を更に精度良く特定することができる効果を、実施の形態1の列車位置特定方法、及び、実施の形態2の列車位置特定方法のいずれに対しても高めることができる。
また、図6(d)の破線の太枠で囲まれた領域RG5で示すように、駅又は信号所の前後で駅又は信号所と隣接する区間では、直線区間及び長い円曲線区間が設けられていることが多い。そのような場合には、本実施の形態3のように、乖離度DD2(図2参照)を閾値TD1(図6(e)参照)と比較する際に、曲率の変化率RC1(図9(b)参照)の絶対値を閾値TC1(図9(b)参照)と比較することにより、駅若しくは信号所に入る前から、又は、駅若しくは信号所から抜け出た後も、速度発電機によるパルス数カウントによる手法を用いることになるので、駅構内、信号所構内及びそれらの前後区間において、列車の位置を確実に特定する効果が高まる。
なお、本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、曲率の記憶データRD1(図2参照)を記憶する場合及び曲率の測定データRD2(図2参照)を取得する場合のいずれの場合でも、各信号波形のうち、ある閾値以上の空間周波数を有する成分を除去する空間周波数フィルタを適用することができ、これにより、曲率の記憶データRD1の更新頻度を大幅に低減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、列車が線路上を走行する際の列車の位置を特定する列車位置特定方法及び列車位置特定システムに適用して有効である。
1 列車位置特定システム
2 列車搭載装置
3 線路
4 列車
5 車軸
6 車輪
7 レール
11 記憶部
12 ヨー角速度測定部
13 車軸回転数測定部
14 情報処理部
15 曲率算出部
16 走行距離算出部
17 処理部
DD1、DD2 乖離度
DS1、DS2 距離間隔
K1、K2 距離位置
P1、P2 位置
PD1、PD2 組データ
PR1 部分
RC1 変化率
RD1 曲率の記憶データ
RD2 曲率の測定データ
RG1、RG2、RG3、RG31、RG4、RG5 領域
TC1、TD1 閾値

Claims (14)

  1. 列車が線路上を走行する際の前記列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法において、
    前記列車位置特定システムは、
    前記線路上の第1基準位置からの前記線路に沿った第1距離位置と、前記第1距離位置における前記線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、
    前記列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、
    前記列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、
    前記第1測定部により測定された前記ヨー角速度と、前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた走行速度と、から前記曲率を算出する第1算出部と、
    前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた前記走行速度から前記列車の走行距離を算出する第2算出部と、
    を有し、
    前記列車位置特定方法は、
    (a)前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記曲率の第1算出値を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値と、の関係を示す第2データを取得するステップ、
    (b)取得された前記第2データと、前記記憶部に記憶されている前記第1データと、を比較することにより、前記第1データのうち前記第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された前記第1部分と前記第2データとの第2乖離度を前記第1乖離度の最小値として取得するステップ、
    (c)取得された前記第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、前記第2乖離度が前記第1閾値以下の場合、前記列車の位置を、前記第1部分における前記第1距離位置に基づいて特定し、前記第2乖離度が前記第1閾値を超えた場合、前記列車の位置を、前記第2算出部により算出された前記走行距離の第2算出値に基づいて特定するステップ、
    を有する、列車位置特定方法。
  2. 列車が線路上を走行する際の前記列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法において、
    前記列車位置特定システムは、
    前記線路上の第1基準位置からの前記線路に沿った第1距離位置と、前記第1距離位置における前記線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、
    前記列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、
    前記列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、
    前記第1測定部により測定された前記ヨー角速度と、前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた走行速度と、から前記曲率を算出する第1算出部と、
    前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた前記走行速度から前記列車の走行距離を算出する第2算出部と、
    を有し、
    前記列車位置特定方法は、
    (a)前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記曲率の第1算出値を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値と、の関係を示す第2データを取得するステップ、
    (b)取得された前記第2データにおける前記曲率の前記第1算出値の前記第1位置に対する変化率を取得するステップ、
    (c)取得された前記変化率の絶対値を予め設定された第1閾値と比較し、前記変化率の絶対値が前記第1閾値以上の場合、前記記憶部に記憶されている前記第1データと、前記第2データと、を比較することにより、前記第1データのうち前記第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、前記列車の位置を、前記第1部分における前記第1距離位置に基づいて特定し、前記変化率の絶対値が前記第1閾値未満の場合、前記列車の位置を、前記第2算出部により算出された前記走行距離の第2算出値に基づいて特定するステップ、
    を有する、列車位置特定方法。
  3. 請求項2に記載の列車位置特定方法において、
    前記(b)ステップでは、前記(a)ステップの前記算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値を、2回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値から減ずることにより、前記変化率を算出する、列車位置特定方法。
  4. 列車が線路上を走行する際の前記列車の位置を特定する列車位置特定システムを用いた列車位置特定方法において、
    前記列車位置特定システムは、
    前記線路上の第1基準位置からの前記線路に沿った第1距離位置と、前記第1距離位置における前記線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、
    前記列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、
    前記列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、
    前記第1測定部により測定された前記ヨー角速度と、前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた走行速度と、から前記曲率を算出する第1算出部と、
    前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた前記走行速度から前記列車の走行距離を算出する第2算出部と、
    を有し、
    前記列車位置特定方法は、
    (a)前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記曲率の第1算出値を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値と、の関係を示す第2データを取得するステップ、
    (b)取得された前記第2データと、前記記憶部に記憶されている前記第1データと、を比較することにより、前記第1データのうち前記第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された前記第1部分と前記第2データとの第2乖離度を前記第1乖離度の最小値として取得するステップ、
    (c)取得された前記第2データにおける前記曲率の前記第1算出値の前記第1位置に対する変化率を取得するステップ、
    (d)取得された前記第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、取得された前記変化率の絶対値を予め設定された第2閾値と比較し、前記第2乖離度が前記第1閾値以下であり且つ前記変化率の絶対値が前記第2閾値以上の場合、前記列車の位置を、前記第1部分における前記第1距離位置に基づいて特定し、前記第2乖離度が前記第1閾値を超えたか又は前記変化率の絶対値が前記第2閾値未満の場合、前記列車の位置を、前記第2算出部により算出された前記走行距離の第2算出値に基づいて特定するステップ、
    を有する、列車位置特定方法。
  5. 請求項4に記載の列車位置特定方法において、
    前記(c)ステップでは、前記(a)ステップの前記算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値を、2回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値から減ずることにより、前記変化率を算出する、列車位置特定方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の列車位置特定方法において、
    前記第1データは、前記線路に沿って互いに第2所定間隔を空けて配置された複数の第2位置の各々における前記第1距離位置と前記曲率との関係を示す第3データが有する第1信号波形のうち、第3閾値以上の空間周波数を有する成分が、第1空間周波数フィルタで除去されており、
    前記(a)ステップでは、前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を前記第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された前記複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値との関係を示す第4データを取得し、取得された前記第4データが有する第2信号波形のうち、第4閾値以上の空間周波数を有する成分を、第2空間周波数フィルタで除去することにより前記第2データを形成し、形成された前記第2データを取得する、列車位置特定方法。
  7. 請求項1、4又は5に記載の列車位置特定方法において、
    前記記憶部は、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置されたN1個の第3位置の各々における前記第1距離位置と前記曲率との第1組データをそれぞれ含む前記第1データを記憶し、
    前記(a)ステップでは、前記列車が前記線路上を前記第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置されたN2個の前記第1位置の各々と、前記N2個の前記第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値との第2組データをそれぞれ含む前記第2データを取得し、
    前記(b)ステップは、
    (b1)前記第1データに含まれる前記N1個の前記第1組データのうち、N3番目の前記第3位置を1番目として互いに隣り合う前記N2個の前記第3位置の各々における前記第1距離位置と前記曲率との前記第1組データをそれぞれ含む前記N2個の前記第1組データを抽出するステップ、
    (b2)前記第1組データと前記第2組データとの組において前記第1組データに含まれる前記曲率と、前記第2組データに含まれる前記曲率の前記第1算出値と、の差を二乗した二乗値を、前記N2個の前記組について加算した総和である前記第1乖離度を算出するステップ、
    を含み、
    前記N1は、3以上の整数であり、
    前記N2は、2以上の整数であり、
    前記N3は、1以上の整数であり、
    前記N2は、前記N1よりも小さく、
    前記N1、前記N2及び前記N3は、N3+N2−1≦N1を満たし、
    前記(b)ステップでは、前記N3番目の前記第3位置を変更しながら前記(b1)ステップ及び前記(b2)ステップを交互に繰り返し実行する際に、前記第1乖離度が最小になったときの前記N2個の前記第1組データを、前記第1部分として抽出する、列車位置特定方法。
  8. 列車が線路上を走行する際の前記列車の位置を特定する列車位置特定システムにおいて、
    前記線路上の第1基準位置からの前記線路に沿った第1距離位置と、前記第1距離位置における前記線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、
    前記列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、
    前記列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、
    前記第1測定部により測定された前記ヨー角速度と、前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた走行速度と、から前記曲率を算出する第1算出部と、
    前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた前記走行速度から前記列車の走行距離を算出する第2算出部と、
    前記列車の位置を特定する特定処理を実行する処理部と、
    を有し、
    前記処理部は、
    前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記曲率の第1算出値を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する第1取得処理を実行し、
    取得された前記第2データと、前記記憶部に記憶されている前記第1データと、を比較することにより、前記第1データのうち前記第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された前記第1部分と前記第2データとの第2乖離度を前記第1乖離度の最小値として取得する第2取得処理を実行し、
    取得された前記第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、前記第2乖離度が前記第1閾値以下の場合、前記列車の位置を、前記第1部分における前記第1距離位置に基づいて特定し、前記第2乖離度が前記第1閾値を超えた場合、前記列車の位置を、前記第2算出部により算出された前記走行距離の第2算出値に基づいて特定する前記特定処理を実行する、列車位置特定システム。
  9. 列車が線路上を走行する際の前記列車の位置を特定する列車位置特定システムにおいて、
    前記線路上の第1基準位置からの前記線路に沿った第1距離位置と、前記第1距離位置における前記線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、
    前記列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、
    前記列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、
    前記第1測定部により測定された前記ヨー角速度と、前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた走行速度と、から前記曲率を算出する第1算出部と、
    前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた前記走行速度から前記列車の走行距離を算出する第2算出部と、
    前記列車の位置を特定する特定処理を実行する処理部と、
    を有し、
    前記処理部は、
    前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記曲率の第1算出値を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する第1取得処理を実行し、
    取得された前記第2データにおける前記曲率の前記第1算出値の前記第1位置に対する変化率を取得する第2取得処理を実行し、
    取得された前記変化率の絶対値を予め設定された第1閾値と比較し、前記変化率の絶対値が前記第1閾値以上の場合、前記記憶部に記憶されている前記第1データと、前記第2データと、を比較することにより、前記第1データのうち前記第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、前記列車の位置を、前記第1部分における前記第1距離位置に基づいて特定し、前記変化率の絶対値が前記第1閾値未満の場合、前記列車の位置を、前記第2算出部により算出された前記走行距離の第2算出値に基づいて特定する前記特定処理を実行する、列車位置特定システム。
  10. 請求項9に記載の列車位置特定システムにおいて、
    前記処理部は、前記第2取得処理では、前記第1取得処理の前記算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値を、2回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値から減ずることにより、前記変化率を算出する、列車位置特定システム。
  11. 列車が線路上を走行する際の前記列車の位置を特定する列車位置特定システムにおいて、
    前記線路上の第1基準位置からの前記線路に沿った第1距離位置と、前記第1距離位置における前記線路の曲率と、の関係を示す第1データを記憶した記憶部と、
    前記列車の車体又は台車のヨー角速度を測定する第1測定部と、
    前記列車の車軸回転数を測定する第2測定部と、
    前記第1測定部により測定された前記ヨー角速度と、前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた走行速度と、から前記曲率を算出する第1算出部と、
    前記第2測定部により測定された前記車軸回転数より得られた前記走行速度から前記列車の走行距離を算出する第2算出部と、
    前記列車の位置を特定する特定処理を実行する処理部と、
    を有し、
    前記処理部は、
    前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記曲率の第1算出値を算出する算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値と、の関係を示す第2データを取得する第1取得処理を実行し、
    取得された前記第2データと、前記記憶部に記憶されている前記第1データと、を比較することにより、前記第1データのうち前記第2データとの第1乖離度が最小になる第1部分を抽出し、抽出された前記第1部分と前記第2データとの第2乖離度を前記第1乖離度の最小値として取得する第2取得処理を実行し、
    取得された前記第2データにおける前記曲率の前記第1算出値の前記第1位置に対する変化率を取得する第3取得処理を実行し、
    取得された前記第2乖離度を予め設定された第1閾値と比較し、取得された前記変化率の絶対値を予め設定された第2閾値と比較し、前記第2乖離度が前記第1閾値以下であり且つ前記変化率の絶対値が前記第2閾値以上の場合、前記列車の位置を、前記第1部分における前記第1距離位置に基づいて特定し、前記第2乖離度が前記第1閾値を超えたか又は前記変化率の絶対値が前記第2閾値未満の場合、前記列車の位置を、前記第2算出部により算出された前記走行距離の第2算出値に基づいて特定する前記特定処理を実行する、列車位置特定システム。
  12. 請求項11に記載の列車位置特定システムにおいて、
    前記処理部は、前記第3取得処理では、前記第1取得処理の前記算出処理を2回繰り返し実行する際に、1回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値を、2回目の前記算出処理により算出された前記曲率の前記第1算出値から減ずることにより、前記変化率を算出する、列車位置特定システム。
  13. 請求項8乃至12のいずれか一項に記載の列車位置特定システムにおいて、
    前記第1データは、前記線路に沿って互いに第2所定間隔を空けて配置された複数の第2位置の各々における前記第1距離位置と前記曲率との関係を示す第3データが有する第1信号波形のうち、第3閾値以上の空間周波数を有する成分が、第1空間周波数フィルタで除去されており、
    前記処理部は、前記第1取得処理では、前記列車が前記線路上を走行する際に、前記列車が前記線路上を前記第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置された前記複数の第1位置の各々と、前記複数の第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値との関係を示す第4データを取得し、取得された前記第4データが有する第2信号波形のうち、第4閾値以上の空間周波数を有する成分を、第2空間周波数フィルタで除去することにより前記第2データを形成し、形成された前記第2データを取得する、列車位置特定システム。
  14. 請求項8、11又は12に記載の列車位置特定システムにおいて、
    前記記憶部は、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置されたN1個の第3位置の各々における前記第1距離位置と前記曲率との第1組データをそれぞれ含む前記第1データを記憶し、
    前記処理部は、前記第1取得処理では、前記列車が前記線路上を前記第1所定間隔だけ走行するたびに、前記第1算出部により前記算出処理を繰り返し実行することにより、前記線路に沿って互いに前記第1所定間隔を空けて配置されたN2個の前記第1位置の各々と、前記N2個の前記第1位置の各々における前記曲率の前記第1算出値との第2組データをそれぞれ含む前記第2データを取得し、
    前記処理部は、
    前記第1データに含まれる前記N1個の前記第1組データのうち、N3番目の前記第3位置を1番目として互いに隣り合う前記N2個の前記第3位置の各々における前記第1距離位置と前記曲率との前記第1組データをそれぞれ含む前記N2個の前記第1組データを抽出する抽出処理と、
    前記第1組データと前記第2組データとの組において前記第1組データに含まれる前記曲率と、前記第2組データに含まれる前記曲率の前記第1算出値と、の差を二乗した二乗値を、前記N2個の前記組について加算した総和である前記第1乖離度を算出する乖離度算出処理と、
    を含む前記第2取得処理を実行し、
    前記N1は、3以上の整数であり、
    前記N2は、2以上の整数であり、
    前記N3は、1以上の整数であり、
    前記N2は、前記N1よりも小さく、
    前記N1、前記N2及び前記N3は、N3+N2−1≦N1を満たし、
    前記処理部は、前記第2取得処理では、前記N3番目の前記第3位置を変更しながら前記抽出処理及び前記乖離度算出処理を交互に繰り返し実行する際に、前記第1乖離度が最小になったときの前記N2個の前記第1組データを、前記第1部分として抽出する、列車位置特定システム。
JP2018143391A 2018-07-31 2018-07-31 列車位置特定方法及び列車位置特定システム Active JP6983126B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018143391A JP6983126B2 (ja) 2018-07-31 2018-07-31 列車位置特定方法及び列車位置特定システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018143391A JP6983126B2 (ja) 2018-07-31 2018-07-31 列車位置特定方法及び列車位置特定システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020019333A JP2020019333A (ja) 2020-02-06
JP6983126B2 true JP6983126B2 (ja) 2021-12-17

Family

ID=69589460

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018143391A Active JP6983126B2 (ja) 2018-07-31 2018-07-31 列車位置特定方法及び列車位置特定システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6983126B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH690428A5 (fr) * 1995-11-07 2000-09-15 Const Y Aux Ferrocarriles Sa Dispositif détecteur de position pour véhicule guidés.
US5740547A (en) * 1996-02-20 1998-04-14 Westinghouse Air Brake Company Rail navigation system
JP3816018B2 (ja) * 2002-03-28 2006-08-30 財団法人鉄道総合技術研究所 列車自車位置検出方法、及び列車自車位置検出システム
JP2004271255A (ja) * 2003-03-06 2004-09-30 Railway Technical Res Inst 列車自車位置検出方法、及び列車自車位置検出システム
JP2007015483A (ja) * 2005-07-06 2007-01-25 Odakyu Dentetsu Kk 鉄道車両の走行位置検出方法
JP6203607B2 (ja) * 2013-11-13 2017-09-27 日本車輌製造株式会社 鉄道車両の走行位置検出システム
JP2015093605A (ja) * 2013-11-13 2015-05-18 日本車輌製造株式会社 鉄道車両の走行位置検出システム
JP5973024B1 (ja) * 2015-04-02 2016-08-17 株式会社京三製作所 位置検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020019333A (ja) 2020-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3358303B1 (en) An apparatus and associated methods for use in updating map data
US7610152B2 (en) Train navigator with integral constrained GPS solution and track database compensation
JP6023918B2 (ja) 車両に基づく測位システムおよびそれを用いる方法
US11740101B2 (en) Method for characterising bends for warning drivers
JP5965251B2 (ja) 軌道位置データ付与システム及び軌道位置データ付与方法
WO2018031145A1 (en) Systems and methods for route mapping
EP3456606B1 (en) Position determination method and system
US9366538B2 (en) Method and system for estimating aircraft course
CN116761981A (zh) 车辆定位系统
CN112135764B (zh) 用于在铁路网参考系中定位列车的高完整性自主系统
CN104515528B (zh) 基于路段累积概率的单点地图匹配方法
JP6983126B2 (ja) 列車位置特定方法及び列車位置特定システム
RU2242392C2 (ru) Способ коррекции погрешностей определения местоположения рельсового транспортного средства и устройство для его реализации
JP7198651B2 (ja) 列車定位置停止制御装置及び列車定位置停止制御方法
Heirich et al. Onboard train localization with track signatures: Towards GNSS redundancy
AU6937798A (en) Method and system for proximity detection and location determination
US11048275B1 (en) Enhanced guidance laws for precision operations
JP2004342138A (ja) ビーコンを用いたfcdシステムと装置
JP2003185466A (ja) 距離係数算出装置
JP5944794B2 (ja) 軌道位置データ付与システム及び軌道位置データ付与方法
JP4589564B2 (ja) 車上データを自動修正する列車制御装置
Belabbas et al. Novel integrity monitoring for train navigation using a GNSS-IMU Bayesian position estimator and a curvature change detector
Heusel et al. On the Use of Axle-Box Acceleration Data for Rail Vehicle Positioning
JP2008105485A (ja) 地上−車上間情報伝送装置
KR101476755B1 (ko) 객체의 위치 추정 장치 및 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201102

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211005

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6983126

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150