JP6981239B2 - 機器、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、機器、方法及びプログラムに関する。
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データファイルは、電子楽器で使用することができる統一的な演奏情報である。MIDIデータファイルを演奏対象とする音源規格として、GM(General MIDI)規格がある。GM規格は、基本的な音源の仕様を決めるものである。MIDIデータファイルによってGM規格が指定される場合、電子楽器は指定されたGM規格に応じたGMモードでMIDIデータファイルを再生する。
特開平8−54876号公報
特定の音源規格(例えば、GM規格)を想定して作成された演奏データ(MIDIデータファイル)を再生する際に、当該演奏データが当該規格に準拠して作成されたかを示す識別子が演奏データ内に含まれていない場合、良好に再生できない。
実施形態に係る機器によれば、演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理と、を実行する制御部を備える。
演奏データ内に当該演奏データがどの規格に準拠して作成されたかを示す識別子が含まれていなくても、良好に再生できる。
図1は、電子鍵盤楽器の外観を示す図である。 図2は、電子鍵盤楽器の制御システムのハードウェアを示す図である。 図3は、MIDIデータファイルの構成を示す図である。 図4は、トラックデータセクションの構成を示す図である。 図5は、パーカッションの割り当て表を示す図である。 図6は、トラックデータセクション群の具体例を示す図である。 図7は、トラックデータセクション群の具体例を示す図である。 図8は、MIDIデータファイルを再生する際における電子鍵盤楽器の動作を示すフローチャートである。 図9は、MIDIデータファイルのうち第1チャンネルに係る第1トラックデータセクション群の一部を示す図である。 図10は、第1メッセージの表示例を示す図である。 図11は、MIDIデータファイルを再生する際における電子鍵盤楽器の動作を示すフローチャートである。 図12は、MIDIデータファイルを再生する際における電子鍵盤楽器の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメータ、マシン語等で指定される。
<1>第1実施形態
<1−1>電子鍵盤楽器100
以下、実施形態に係る電子鍵盤楽器について図1及び図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る電子鍵盤楽器(機器)100の外観を示す図である。
図1に示すように、電子鍵盤楽器100は、鍵盤101と、第1のスイッチパネル102と、第2のスイッチパネル103と、LCD(Liquid Crystal Display)104と、を備える。鍵盤101は、音高を指定する演奏操作子としての複数の鍵からなり、それぞれの鍵が光る機能を有する。第1のスイッチパネル102は、音量の指定、自動演奏のテンポ設定、自動演奏開始等の各種設定を指示する。第2のスイッチパネル103は、本実施形態に係るレッスンのレッスンモードの選択、自動演奏曲の選曲や音色の選択などを行なう。LCD104は、自動演奏時の歌詞や各種設定情報を表示する表示部として機能する。また、電子鍵盤楽器100は、特に図示しないが、演奏により生成された楽音を発音するスピーカ(発音部)を裏面部、側面部、又は背面部などに備える。
図2は、実施形態に係る電子鍵盤楽器100の制御システム200のハードウェアを示す図である。図2に示すように、制御システム200は、鍵盤101、第1のスイッチパネル102、第2のスイッチパネル103、CPU(Central processing unit)201、ROM(Read only memory)202、RAM(Random access memory)203、音源LSI(Large scale integration)204、音声合成LSI205、キースキャナ206、LED(Light Emitthing Diode)コントローラ207、LCDコントローラ208、システムバス209、タイマ210、デジタルアナログ(D/A)コンバータ211、デジタルアナログコンバータ212、ミキサ213、アンプ214、及びMIDI インタフェース(I/F)215を備えている。
CPU201、ROM202、RAM203、音源LSI204、音声合成LSI205、キースキャナ206、LEDコントローラ207、LCDコントローラ208、MIDI インタフェース215は、それぞれシステムバス209に接続されている。
CPU201は、電子鍵盤楽器100の制御部として機能する。具体的には、CPU201は、RAM203をワーキングメモリとして使用しながらROM202に記憶された制御プログラムを実行することにより、電子鍵盤楽器100の制御動作を実行する。以下では簡単のため、制御プログラムが動作の主体となる場合においても、CPU201を主体として記載する。
また、CPU201には、自動演奏のシーケンスを制御するために使用されるタイマ210が接続される。
ROM202は、実施形態に係る処理を行なう制御プログラム、各種固定データや、自動演奏曲データ等を記憶する。自動演奏曲データは、演奏者によって演奏されるメロディデータと、メロディデータに対応する伴奏曲データが含まれる。メロディデータには、各音の音高情報、前記各音の発音タイミング情報を含む。伴奏曲データは、メロディデータに対応する伴奏曲のみならず、歌声、人間の音声などのデータであっても良い。
各音の発音タイミングは、各発音間の間隔時間でもよく、自動演奏曲の開始時からの経過時間であっても良い。なお、時間の単位は、一般的なシーケンサで用いられるTICKと呼ばれるテンポを基準とした時間を単位とする。例えば、シーケンサの分解能が480である場合は、4分音符の時間の1/480が1TICKとなる。なお、自動演奏曲データは、ROM202に格納される場合に限らず、図示しない情報記憶装置や情報記憶媒体に記憶されていても良い。
また、自動演奏曲データのフォーマットは、MIDI用のファイルフォーマットに準拠していてもよい。
音源LSI204は、図示しない波形ROMから楽音波形データを読み出し、デジタル楽音波形データとしてデジタルアナログコンバータ211に出力する。音源LSI204は、同時に最大256ボイスを発振させる能力を有する。
音声合成LSI205は、CPU201から、歌詞のテキストデータと音高と音長を与えられると、それに対応する歌声の音声データを合成し、デジタル歌声音声データとしてデジタルアナログコンバータ212に出力する。
音源LSI204から出力されるデジタル楽音波形データは、デジタルアナログコンバータ211により、アナログ楽音波形信号に変換される。また、音声合成LSI205から出力されるデジタル歌声音声データは、デジタルアナログコンバータ212により、アナログ歌声音声信号に変換される。アナログ楽音波形信号及びアナログ歌声音声信号は、ミキサ213で混合され、その混合信号がアンプ214で増幅された後に、図示しないスピーカ又は出力端子から出力される。
キースキャナ206は、鍵盤101の押鍵/離鍵状態、第1のスイッチパネル102、及び第2のスイッチパネル103のスイッチ操作状態を定常的に監視する。そして、キースキャナ206は、鍵盤101、第1のスイッチパネル102、及び第2のスイッチパネル103の状態をCPU201に伝える。
LEDコントローラ207は、CPU201からの指示により鍵盤101の鍵を光らせて演奏者の演奏をナビゲートするIC(Integated circuit)である。
LCDコントローラ208は、LCD104の表示状態を制御するICである。
MIDI インタフェース215は、MIDI装置4等の外部装置からのMIDIメッセージ(演奏データ等)を入力したり、MIDIメッセージを外部装置に出力したりする。受信されたMIDIメッセージに応じて音源を発音させたりする。
また、外部の記憶装置3が、システムバス209に接続されても良い。記憶装置3としては、例えば、フレキシブルディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)、CD−ROMドライブ及び光磁気ディスク(MO)ドライブ等を挙げることができる。ROM202に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置3に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM203に読み込むことにより、ROM202に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU201にさせることができる。また、電子鍵盤楽器100は、外部の記憶装置3からMIDIデータファイルを受信したり、MIDIデータファイルを外部の記憶装置3に送信したりする。
なお、電子鍵盤楽器100は、図示していないUSBインタフェースを用いて、外部の装置からMIDIデータファイルを受信したり、外部の装置へ送信したりしても良い。
<1−2>MIDIデータファイル
本実施形態では、電子鍵盤楽器100に再生させる演奏データの例として、MIDIデータファイルを想定している。そこで、図3を用いて、MIDIデータファイルの構成について説明する。ここでは、SMF(Standard MIDI file)について説明する。ところで、SMFの主な目的は、演奏データの互換性を得ることである。SMFにより、異なった機種、ソフト間で時間情報を含むMIDIデータファイルを相互に利用出来るようになる。
SMFは、幾つかのブロックに分かれて構成されている。このブロックをチャンクと呼ぶ。SMFは基本的にヘッダチャンクとトラックチャンクの2種類のチャンクで構成されている。ヘッダチャンクはSMF全体に関する情報を含み、トラックチャンクは最大16チャンネル分のMIDIデータファイルを含んでいる。
SMFでは常に1つのヘッダチャンクで始まり、1つ以上のトラックチャンクがそれに続く形で構成される。
<1−2−1>フォーマット
SMFは、後述するチャンク構造の違いで3つのフォーマット(フォーマット0、フォーマット1、フォーマット2)に分類される。
フォーマット0は、1つのヘッダチャンク、及び1つのトラックチャンクから構成される。フォーマット0は、1つのトラックチャンクに全チャンネルの情報を押し込めるフォーマットである。
フォーマット1は、1つのヘッダチャンク、及び複数のトラックチャンクから構成される。フォーマット1は、同期演奏される複数のトラックチャンクで構成される。つまり、トラックチャンクが順番にバイナリ化されて結合されたフォーマットである。
フォーマット2は、1つのヘッダチャンク、及び複数のトラックチャンクから構成される。フォーマット2は、パターン情報を保存し、パターンを切り替えつつ演奏させる場合等に用いる。
<1−2−2>ヘッダチャンク
SMFの最初にあるヘッダチャンクには、MIDIデータファイル全体に関しての基本的な情報が記述されている。ヘッダチャンクは、ヘッダチャンクのタイプ、ヘッダチャンクのデータ長、ヘッダデータセクションが順番に並んで構成されている。
<1−2−2−1>ヘッダチャンクのタイプ
ヘッダチャンクのタイプは、これから始まるチャンクのタイプを表したものである。
<1−2−2−2>ヘッダチャンクのデータ長
ヘッダチャンクのデータ長は、チャンクタイプとデータ長自身の長さを除いた、MIDIデータファイルの長さを示す。
<1−2−2−3>ヘッダデータセクション
ヘッダデータセクションは、SMFフォーマットと、トラック数と、時間単位と、を含む。
SMFフォーマットは、SMFのフォーマットが、フォーマット0か、フォーマット1か、フォーマット2か、を示す。
トラック数は、MIDIデータファイルに含まれるトラックチャンクの数を示す。
SMFにおいて、時間単位には2つのフォーマットがある。一方は、記譜上の時間である相対時間、他方はタイムコードに対応する絶対時間である。時間単位では、上記2種類のどちらかを指定することができる。
<1−2−3>トラックチャンク
トラックチャンクには、実際の演奏音に関するデータが含まれる。トラックチャンクは、トラックチャンクのタイプ、トラックチャンクのデータ長、複数のトラックデータセクションが順番に並んで構成されている。
<1−2−3−1>トラックチャンクのタイプ
トラックチャンクのタイプは、これから始まるチャンクのタイプを表したものである。
<1−2−3−2>トラックチャンクのデータ長
ヘッダチャンクのデータ長と同様に、トラックチャンクのデータ長は、この後に続くデータの長さを示す。
<1−2−3−3>トラックデータセクション
トラックデータセクションは、デルタタイムとイベントとを含む。トラックチャンクは、このトラックデータセクションを複数備えている。
図4を用いて、トラックデータセクションの詳細について説明する。
図4に示すように、トラックデータセクションは3種類(第1〜第3トラックデータセクション)に分類される。
第1トラックデータセクションは、デルタタイム及びMIDIイベントから構成される。
第2トラックデータセクションは、デルタタイム及びSysExイベントから構成される。
第3トラックデータセクションは、デルタタイム及びメタイベントから構成される。
<1−2−3−3−1>デルタタイム
1つのイベントを表現する場合、デルタタイムが設定される。デルタタイムは可変長数値表現で表わされ、次に続くイベントまでの時間を表す時間情報である。デルタタイムはヘッダチャンクで設定した「時間単位」の設定に左右される。例えばトラックチャンクの最初のイベントがトラックチャンクの開始と同時に始まった場合や、2つのイベントが同時に表れた場合にはゼロのデルタタイムが使われる。
<1−2−3−3−2>MIDIイベント
MIDIイベントは、MIDIチャンネルメッセージである。
MIDIチャンネルメッセージの具体例としては、ノートオフ、ノートオン、コントロールチェンジ、プログラムチェンジ等がある。
ノートオフを示すMIDIイベントは、「8n kk vv」または「9n kk 00」という形式で記述される。この記述は、チャンネル番号nで鳴っているノート番号kkの音をベロシティ(離鍵の速さの情報)vvで消音するという意味になる。
ノートオンを示すMIDIイベントは、「9n kk vv」という形式で記述される。この記述は、チャンネル番号nでノート番号kkの音をベロシティ(押鍵の速さの情報)vvで発音するという意味になる。
コントロールチェンジを示すMIDIイベントは、「Bn cc vv」という形式で記述される。この記述は、チャンネル番号nで、コントローラナンバーccに、バリュー(数値)vvを送るという意味になる。
プログラムチェンジを示すMIDIイベントは、「Cn pp」という形式で記述される。この記述は、チャンネル番号nのプログラム(音色)をppにするという意味になる。
<1−2−3−3−3>SysExイベント
SysExイベントは、MIDIシステムエクスクルーシブメッセージを指定するために用いられる。SysExイベントがMIDIイベントと異なるのは、ステータスバイトの後に可変長のデータが格納される点である。
SysExイベントでは、音源規格(GM、GM2、GS、XG等)を指定することができる。音源規格を指定するためのSysExイベントは、規格準拠を示す識別子となる。規格を指定することにより、指定された音源規格に応じた動作モードで、MIDIデータファイルが再生される。具体的には、GM規格が指定される場合、電子鍵盤楽器100は、GM規格に基づくGMモードにてMIDIデータファイルを再生する。GM規格を指定するためのSysExイベント(GMシステムオン)は、「f0 7e 7f 09 01 f7(ステータスバイト/可変長形式で格納されたデータ長/データ)」という形式で記述される。なお、音源規格準拠を示すSysExイベントは、ノートオンに関するMIDIイベントよりも前に記述されていることが望ましい。
なお、本実施形態に係る電子鍵盤楽器100は、第1音源規格準拠を示すSysExイベントを含まないMIDIデータファイルであっても、MIDIデータファイルが第1音源規格準拠であるか否かを判断する。そして、電子鍵盤楽器100は、MIDIデータファイルが第1音源規格準拠であると判断する場合は、第1音源規格に応じた第1モードで、MIDIデータファイルを再生する。詳細については後述する。
<1−2−3−3−4>メタイベント
メタイベントは、シーケンサやSMFに便利な、演奏音のデータに含まれない情報(テンポ、曲タイトル等)を納めるために用いる。メタイベントは、ステータスバイトffで始まり、次にイベントタイプを表すバイトが続き、さらに可変長形式で格納されたデータ長が続き、最後にデータ自体が続く構成となっている。以下では、メタイベントの具体例に関して、「ステータスバイト/イベントタイプを表すバイト/データ長/データ」という形式で記述される。
メタイベントの具体例としては、テキスト、著作権表示、シーケンス名、楽器名、歌詞、マーカー、キューポイント、プログラム名(音色名)、デバイス名(音源名)、トラック終端、テンポ設定、拍子等がある。
テキストを示すメタイベントは、「ff 01 len text」という形式で記述される。このテキストを示すメタイベントは、任意の長さ、内容を記述するために用いられる。
著作権表示を示すメタイベントは、「ff 02 len text」という形式で記述される。著作権表示を示すメタイベントは、曲に関する著作権表示を記述するために用いられる。この表示には(C)の文字、著作物発行年と、著作権所有者名とが含まれなければならない。
シーケンス名を示すメタイベントは、「ff 03 len text」という形式で記述される。シーケンス名を示すメタイベントは、最初のトラックチャンク内においてシーケンス(楽曲)の名前を記述するために用いられる。
楽器名を示すメタイベントは、「ff 04 len text」という形式で記述される。楽器名を示すメタイベントは、トラックチャンク内で使用される楽器の種類を記述するために用いられる。
歌詞を示すメタイベントは、「ff 05 len text」という形式で記述される。歌詞を示すメタイベントは、歌の歌詞を記述するために用いられる。
マーカーを示すメタイベントは、「ff 06 len text」という形式で記述される。マーカーを示すメタイベントは、リハーサルマークやセクション名のような、シーケンスのその時点の名称を記述するために用いられる。
キューポイントを示すメタイベントは、「ff 07 len text」という形式で記述される。キューポイントを示すメタイベントは、曲データ中、このメタイベントの挿入されている位置で、その曲以外の進行を記述するために用いられる。
プログラム名を示すメタイベントは、「ff 08 len text」という形式で記述される。プログラム名(音色名)を示すメタイベントは、直後に続く「プログラムチェンジ」と 「バンクチェンジ」で表している音色名を記述するために用いられる。
デバイス名を示すメタイベントは、「ff 09 len text」という形式で記述される。デバイス名(音源名)を示すメタイベントは、このメタイベントがあるトラックが、どのデバイスに配置されるのかということを記述するために用いられる。
トラック終端を示すメタイベントは、「ff 2F 00」という形式で記述される。トラック終端を示すメタイベントは、そのトラックの終端を記述するために用いられる。トラック終端を示すメタイベントがあることによって、トラックの正しい終結点が明確になり、トラックが正確な長さを持つようになる。
テンポ設定を示すメタイベントは、「ff 51 03 tttttt」という形式で記述される。テンポ設定を示すメタイベントは、テンポ変更を指示するために用いられる。ttttttには、4分音符の長さをマイクロ秒で表わした数値を記述する。
拍子を示すメタイベントは、「ff 58 04 nn dd cc bb」という形式で記述される。nnとddは、それぞれ拍子記号の分子と分母を表す。ccは、メトロノーム1拍あたりのMIDIクロック数を表す。bbは、4分音符の中に入る32分音符の数を表す。
<1−3>具体例
<1−3−1>パーカッションの割り当て表
図5を用いて、パーカッションの割り当て表について説明する。図5は、音高に対するパーカッションの割り当て表(マップ)である。図5では、ノート番号、音高、及び楽器の対応関係を示している。なお、パーカッションとは、打つ、こする、振る等して音を出す楽器の総称である。
GM規格では、10チャンネル(第1パート)はパーカッションの為に予約されている。つまり、GM規格において、10チャンネルのプログラム(音色)を変更しても、常にパーカッションが選択される。
図5に示すように、GM規格の10チャンネルにおいては、各音高には異なる楽器が割り当てられている。図5において、ノート番号35が発音される場合、楽器Kick2が発音される。なお、楽器Kick2の音高は、B1の音高とは限らない。同様に、図5において、ノート番号36が発音される場合、C2の音高ではなく楽器Kick1が発音される。なお、楽器Kick1の音高は、C2の音高とは限らない。つまり、GM規格の10チャンネルにおいて、楽器から発音される音高は、当該楽器が割り当てられた音高とは限らない。
<1−3−2>トラックデータセクション群の具体例1
図6を用いて、トラックデータセクション群の具体例1について説明する。図6では、トラックチャンクに含まれるトラックデータセクション群の一部を示している。図6では、各トラックデータセクションを、「小節:拍:TICK:MIDIメッセージ:[メッセージ内容]」という形式で表記している。なお、[メッセージ内容]とは、電子鍵盤楽器100が認識するMIDIメッセージの内容を便宜的に示したものである。つまり、トラックデータセクションに記述されるのは「小節:拍:TICK:MIDIメッセージ」である。
図6に示すように、トラックデータセクションの具体例1として、拍子に関するメタイベントを含む第3トラックデータセクション、テンポ設定に関するイベントを含む第3トラックデータセクション、GM規格に関するSysExイベントを含む第2トラックデータセクション、プログラムチェンジに関するMIDIイベントを含む2つの第1トラックデータセクションが順に並んでいる。
図6に示すように、トラックデータセクションの具体例1には、GM規格に関するSysExイベントを含む第2トラックデータセクションがある。そのため、電子鍵盤楽器100は、トラックデータセクションの具体例1を含むMIDIデータファイルを再生する場合、GM規格にてMIDIデータファイルを再生する。
<1−3−3>トラックデータセクションの具体例2
図7を用いて、トラックデータセクションの具体例2について説明する。図7では、トラックチャンクに含まれるトラックデータセクション群の一部を示している。図7における各トラックデータセクションの表記方法は図6と同様である。
ところで、本来はGM規格に応じたGMモードで再生すべきMIDIデータファイルであるにも関わらず、トラックデータセクションの具体例2で説明したように、MIDIデータファイルにMIDIデータファイルを再生する音源規格を指定するトラックデータセクションがない場合がある(図7参照)。
このようなMIDIデータファイルを電子楽器で再生する場合、電子楽器はGMモードではなく、電子楽器自身の音源仕様(音源規格)に応じた動作モードでMIDIデータファイルを再生する可能性がある。例えば、電子楽器自身の音源規格において、10チャンネルにグランドピアノの音色が割り当てられている場合がある。この場合、電子楽器は、MIDIイベントとして「c9(10チャンネル)」を受信すると、本来はパーカッションを目的としたデータにもかかわらず、グランドピアノの音色であると認識されてしまう(図7参照)。そのような場合、例えばパーカッションがピアノの音色で発音されてしまうなど、音楽的に再現度が低くなる事がある。具体的には図5に示すように、楽器Kick1を発音すべきノート番号を、ピアノにおけるC2の音高で発音してしまう事がある。パーカッションがピアノ等の音程感のある音色に置き換わった場合、音楽的な意図から大きく逸脱した演奏になってしまう。また、このような意図しない演奏状態になったとしてもユーザが内部データを調査して修正することは実際には困難である。
<1−4>動作
本実施形態に係る電子鍵盤楽器100は、MIDIデータファイルを再生する音源規格を指定していないMIDIデータファイルであっても、特定の規格に応じた動作モードでMIDIデータファイルを再生できる。ここで、図8を用いて、MIDIデータファイルを再生する際における電子鍵盤楽器100の動作について説明する。
[ステップS1001]
CPU201は、MIDIデータファイルを再生する場合、再生しようとするMIDIデータファイルに第1音源規格(第1規格)準拠を示すSysExイベントが含まれるか否かを判断するために、MIDIファイルデータを調査する第1調査処理を実行する。この第1音源規格とは、一例としてGM音源規格である。
上述したように、通常、音源規格を指定するSysExイベントを含む第2トラックデータセクションは、最初のノートオンに関するMIDIイベントを含む第1トラックデータセクションよりも前に記述されている。そのため、CPU201は、再生しようとするMIDIデータファイルの冒頭から、最初のノートオンを含む第1トラックデータセクションまでを調査すれば、MIDIデータファイルに音源規格を指定するSysExイベントがあるか否かを判断できる。
[ステップS1002]
CPU201は、ステップS1001の調査結果に基づき、再生しようとするMIDIデータファイルに、第1音源規格準拠を示すSysExイベントが含まれているか否かを判断する。
[ステップS1003]
CPU201は、MIDIデータファイルに第1音源規格準拠を示すSysExイベントが含まれていないと判断する場合(ステップS1002、NO)、MIDIデータファイルを調査する第2調査処理を実行する。
具体的には、CPU201は、MIDIデータファイルに第1チャンネルに関するMIDIイベントを含む第1トラックデータセクションが含まれるかを調査する。この第1チャンネルは、一例として上述した10チャンネルである。
[ステップS1004]
CPU201は、ステップS1003の調査結果に基づき、再生しようとするMIDIデータファイルに、第1チャンネルに関するMIDIイベントが含まれているか否かを判断する判断処理を実行する。
[ステップS1005]
CPU201は、MIDIデータファイルに、第1チャンネルに関するMIDIイベントが含まれていると判断する場合(ステップS1004、YES)、第1チャンネルのノート番号毎の出現回数をカウントするカウント処理を実行する。なお、CPU201は、第1チャンネルに関する全てのMIDIイベントを調査することでノート番号毎の出現回数をカウントしても良いし、ある一定数のMIDIイベントを調査することでノート番号毎の出現回数をカウントしても良い。
[ステップS1006]
ステップS1006において、CPU201は、ステップS1005のカウント処理の結果に基づき、第1チャンネル(第1パート)に係る複数のノート番号(ノート)における各ノート番号のそれぞれが示す楽器のうちの第1楽器群(パーカッション)に含まれる少なくとも1つの楽器の割合が第1値に達するか達しないかを判断する判断処理を実行する。なお、第1値は、ユーザにより調整可能であるが、一例としては70%である。
ここで、ステップS1006の動作の説明を補うために、図9を用いて、MIDIデータファイルのうち第1チャンネルに係る第1トラックデータセクション群の一部を説明する。
ところで、パーカッションが用いられる音楽では、一般的に特定の楽器が繰り返し用いられる。図9に示すように、トラックデータセクション群において、特定のノート番号が繰り返し登場する。図9の例では、図5に示すような楽器群(ノート番号35〜59等)が繰り返し用いられる。そのため、トラックデータセクション群において、特定のノート番号の出現回数が多い場合、当該トラックデータセクション群は、パーカッションに対応する第1トラックデータセクション群であると推測できる。
CPU201は、ステップS1005により、第1チャンネルに係るノート番号毎の出現回数を把握できる。そして、例えばROM202、またはRAM203に、判断用のノート番号群が記憶されている。このノート番号群は、ユーザによって任意に設定可能であるが、一例としては図5に示すようノート番号35〜59や、ドラム3点セット(ハイハット、スネア、バスドラム)に係るノート番号群などが考えられる。CPU201は、判断用のノート番号群と、ノート番号毎の出現回数と、を比較する。そして、CPU201は、前述した比較により、判断用のノート番号群に係るノート番号の出現の割合を算出する。そして、CPU201は、出現の割合が、第1値に達するか達しないかを判断する。
なお、CPU201は、出現の割合を判断する際、ノート番号毎に重み付けをしても良い。たとえば、B1の音高は、通常の音楽では頻繁に用いられない。そのため、B1の音高が頻繁に登場するデータは、パーカッションに対応するデータであると推測できる。そこで、たとえば、B1に対応するノート番号に関するカウント値には大きな重みを与える事等も考えられる。この重み付けは、ユーザが任意に変更して良い。重み付けの情報については、たとえばRAM203に記憶される。
[ステップS1007]
図8に戻って、ステップS1006の続きを説明する。
CPU201は、第1楽器群に含まれる少なくとも1つの楽器の割合が第1値に達すると判断する場合(ステップS1006、YES)、第1メッセージをLCD104に表示させる。換言すると、ステップS1006の判断処理によりMIDIデータファイルが第1音源規格準拠であると判断された場合に、第1モードでの発音可否を問い合わせるメッセージを表示部に表示させる表示処理を実行する。
ここで、図10を用いて、第1メッセージの表示例を説明する。
CPU201は、第1楽器群の出現率が第1値に達すると判断すると、LCDコントローラ208にその旨を通達する。図10に示すように、LCDコントローラ208は、CPU201からの命令に基づいて、第1メッセージをLCD104に表示させる。
なお、第1メッセージとしては、再生しようとしているMIDIデータファイルが第1音源規格に準拠するデータである可能性を示し、且つ当該MIDIデータファイルを、第1音源規格に基づく第1モードで発音するか否かを、ユーザに選択させるメッセージである。
[ステップS1008]
図8に戻って、ステップS1007の続きを説明する。
LCD104に第1メッセージが表示されると、ユーザは、第1のスイッチパネル102または第2のスイッチパネル103を用いて、MIDIデータファイルを、第1音源規格に応じた第1モードで発音させるか発音させないかを選択することができる。
CPU201は、ユーザによって、MIDIデータファイルを第1音源規格に応じた第1モードで発音させることが選択されたか否かを判断する判断処理を実行する。
具体的には、ユーザによって、第1のスイッチパネル102または第2のスイッチパネル103が押されると、キースキャナ206がどのスイッチが押されたかを判断する。そして、キースキャナ206は、押されたスイッチに基づく情報をCPU201に供給する。CPU201は、キースキャナ206から受信する情報に基づいて、MIDIデータファイルを第1音源規格に応じた第1モードで発音させることが選択されたか否かを判断する。
[ステップS1009]
CPU201は、ユーザによってMIDIデータファイルを第1音源規格に応じた第1モードで発音させることが選択されたと判断する場合(ステップS1008、YES)、または、MIDIデータファイルに第1音源規格準拠を示すSysExイベントが含まれていると判断する場合(ステップS1002、YES)、第1音源規格に応じた第1モードで、MIDIデータファイルに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理を実行する。
[ステップS1010]
CPU201は、MIDIデータファイルに、第1チャンネルに関するMIDIイベントが含まれていないと判断する場合(ステップS1004、NO)、または第1楽器群に含まれる少なくとも1つの楽器の割合が第1値に達しないと判断する場合(ステップS1006、NO)、またはユーザによってMIDIデータファイルを第1音源規格に応じた第1モードで発音させることが選択されないと判断する場合(ステップS1008、NO)、第2音源規格(第2規格)に応じた第2モードで、MIDIデータファイルに基づく演奏音を発音部に発音させる第2発音処理を実行する。なお、第2音源規格は、一例としては電子鍵盤楽器100の特有の規格である。
<1−5>効果
上述した実施形態によれば、第1音源規格準拠を示す識別子が含まれていないMIDIデータファイルの再生において、MIDIデータファイル内の第1チャネルに関するデータから、MIDIデータファイルが第1音源規格準拠であると判断する場合、第1音源規格準拠を示す識別子が含まれていないMIDIデータファイルであっても、第1音源規格に応じた第1モードで、MIDIデータファイルに基づく演奏音を発音部に発音させる。
本来は第1音源規格に応じた第1モードで再生すべきMIDIデータファイルであるにも関わらず、MIDIデータファイルに音源規格を指定する識別子がない場合がある。
上述したように、このようなMIDIデータファイルを電子楽器で再生する場合、電子楽器は第1音源規格に応じた第1モードではなく、電子楽器自身の音源規格に応じた動作モードでMIDIデータファイルを再生する可能性がある。この場合、本来はパーカッションを目的としたデータにもかかわらず、グランドピアノの音色で発音されてしまう事がある。その結果、音楽的な意図から大きく逸脱した演奏になってしまうこととなる。しかしながら、MIDIデータファイルはバイナリファイルであり、MIDIデータファイル内部を調査し、修整するのは簡単ではない。
しかしながら、上述した実施形態によれば、ユーザがMIDIデータファイル内部を調査し、修整することなく、CPU201にて、MIDIデータファイルが第1音源規格準拠であると判断する。そのため、上述した実施形態によれば、MIDIデータファイル内に当該MIDIデータファイルがどの規格に準拠して作成されたかを示す識別子が含まれていなくても、良好に再生できる。
<2>第2実施形態
第2実施形態について説明する。第1実施形態では、第1パートに含まれる複数のノートにおける各ノートのそれぞれが示す楽器のうち、パーカッションに含まれる少なくとも1つの楽器の割合を判断することで、MIDIデータファイルが、第1音源規格準拠か否かを判断した。第2実施形態では、第1パートに含まれる複数のノートにおける各ノートそれぞれが示す楽器のうち、パーカッションに含まれる少なくとも1つの楽器の出現に周期性を判断することで、MIDIデータファイルが、第1音源規格準拠か否かを判断する場合について説明する。尚、第2実施形態に係る情報処理装置の基本的な構成及び基本的な動作は、上述した第1実施形態に係る情報処理装置と同様である。従って、上述した第1実施形態で説明した事項についての説明は省略する。
<2−1>動作
図11を用いて、MIDIデータファイルを発音する際における電子鍵盤楽器100の動作について説明する。
[ステップS2001]〜[ステップS2004]
ステップS2001〜ステップS2004は、図8で説明したステップS1001〜ステップS1004と同様である。
[ステップS2005]
CPU201は、MIDIデータファイルに、第1チャンネルに関するMIDIイベントが含まれていると判断する場合(ステップS1004、YES)、第1チャンネルのノート番号毎の出現タイミングを調査する第3調査処理を実行する。なお、CPU201は、第1チャンネルに関する全てのMIDIイベントを調査しても良いし、ある一定数のMIDIイベントを調査しても良い。
[ステップS2006]
ステップS2006において、CPU201は、ステップS2005の第3調査処理の結果に基づき、第1チャンネル(第1パート)に含まれる複数のノート番号(ノート)における各ノート番号それぞれが示す楽器のうち、第1楽器群(パーカッション)に含まれる少なくとも1つの楽器の出現に周期性があるか否かを判断する判断処理を実行する。
ここで、ステップS2006の動作の説明を補うために、図9を用いて、MIDIデータファイルのうち第1チャンネルに係る第1トラックデータセクション群の一部を説明する。
ところで、パーカッションが用いられる音楽では、小節毎に発音される楽器に周期性があることがある。例えば、図9に示すように、1小節目の頭には、ノート番号35、43、49が順に登場する。また、2小節目の頭にもノート番号(kk)35、43、49が順に登場する。このように、小節毎に登場するノート番号に周期性が認められると、対応する複数の第1トラックデータセクション群はパーカッションに対応する第1トラックデータセクション群であることが推測できる。
CPU201は、ステップS2005により、第1チャンネルに係るノート番号毎の出現タイミングを把握できる。そして、CPU201は、ノートオンに関するMIDIイベントの開始以降の少なくとも2小節におけるノート番号毎の出現タイミングを判断する。そして、CPU201は、異なる小節間で、ノート番号の出現タイミングに周期性があるか否かを判断する。
CPU201は、第1チャンネルに含まれる複数のノート番号における各ノート番号それぞれが示す楽器のうち、第1楽器群に含まれる少なくとも1つの楽器の出現に周期性がないと判断する場合(ステップS2006、NO)、ステップS2010を行なう。
[ステップS2007]
図11に戻って、ステップS2006の続きを説明する。
CPU201は、第1チャンネルに含まれる複数のノート番号における各ノート番号それぞれが示す楽器のうち、第1楽器群に含まれる少なくとも1つの楽器の出現に周期性があると判断する場合(ステップS2006、YES)、第1メッセージをLCD104に表示させる。
[ステップS2008]〜[ステップS2010]
ステップS2008〜ステップS2010は、図8で説明したステップS1008〜ステップS1010と同様である。
<2−2>効果
上述した実施形態によれば、第1音源規格準拠を示す識別子が含まれていないMIDIデータファイルの再生において、MIDIデータファイル内の第1チャネルに関するデータに周期性があると判断する場合、第1音源規格準拠を示す識別子が含まれていないMIDIデータファイルであっても、第1音源規格に応じた第1モードで、MIDIデータファイルに基づく演奏音を発音部に発音させる。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<3>第3実施形態
第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1パートに含まれる複数のノートが示すリズムパターンが、予め決められたリズムパターンにどの程度一致しているかを示す適合率が第1値に達するか否かを判断することで、MIDIデータファイルが、第1音源規格準拠か否かを判断する場合について説明する。尚、第3実施形態に係る情報処理装置の基本的な構成及び基本的な動作は、上述した第1実施形態に係る情報処理装置と同様である。従って、上述した第1実施形態で説明した事項についての説明は省略する。
<3−1>動作
図12を用いて、MIDIデータファイルを発音する際における電子鍵盤楽器100の動作について説明する。
[ステップS3001]〜[ステップS3004]
ステップS3001〜ステップS3004は、図8で説明したステップS1001〜ステップS1004と同様である。
[ステップS3005]
CPU201は、MIDIデータファイルに、第1チャンネルに関するMIDIイベントが含まれていると判断する場合(ステップS1004、YES)、MIDIデータファイルに対してクオンタイズ処理を実行する。このクオンタイズによって、データを整える。なお、クオンタイズ時における分解能は、ユーザが任意に変更可能である。
[ステップS3006]
CPU201は、MIDIデータファイルの第1チャネルのノート番号の出現パターンを調査する。そして、CPU201は、ノート番号の出現パターンと、あらかじめ用意しておいた既定のリズムパターンと照合する。既定のリズムパターンは、一例としてはノート番号パターンである。また、既定のリズムパターンは、どのようなものでも良く、たとえば、ROM202、またはRAM203に記憶されているリズムパターンなどが考えられる。
[ステップS3007]
CPU201は、第1チャネル(第1パート)に含まれる複数のノート番号(ノート)が示す出現パターン(リズムパターン)が、予め決められたリズムパターンにどの程度一致しているかを示す適合率が第1値に達するか否かを判断する判断処理を実行する。なお、第1値は、ユーザにより調整可能であるが、一例としては70%である。
CPU201は、第1チャネルに含まれる複数のノート番号が示す出現パターンが、予め決められたリズムパターンにどの程度一致しているかを示す適合率が第1値に達しないと判断する場合(ステップS3007、NO)、ステップS3011を行なう。
[ステップS3008]
CPU201は、第1チャネルに含まれる複数のノート番号が示す出現パターンが、予め決められたリズムパターンにどの程度一致しているかを示す適合率が第1値に達すると判断する場合(ステップS3007、YES)、第1メッセージをLCD104に表示させる。
[ステップS3009]〜[ステップS3011]
ステップS3009〜ステップS3011は、図8で説明したステップS1008〜ステップS1010と同様である。
<3−2>効果
上述した実施形態によれば、第1音源規格準拠を示す識別子が含まれていないMIDIデータファイルの再生において、MIDIデータファイル内の第1チャネルに関するデータリズムパターンと、予め用意されたリズムパターンとの適合率が第1値に達すると判断する場合、第1音源規格準拠を示す識別子が含まれていないMIDIデータファイルであっても、第1音源規格に応じた第1モードで、MIDIデータファイルに基づく演奏音を発音部に発音させる。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した各実施形態では、第1音源規格としてGM規格を例に挙げたが、これに限らず、その他の音源規格でも適用可能である。
また、上述した各実施形態では、第1チャンネルとして、パーカッションが割り当てられた10チャンネルを例に挙げたが、これに限らない。例えば、音楽のリズムを司る楽器(ベースギター等)が割り当てられたチャンネル(またはプログラム)にも適用可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、上記実施形態は、以下の付記を含むものである。
[付記1]
演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理と、
を実行する制御部を備えることを特徴とする機器。
[付記2]
前記制御部は、
前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠でないと判断された場合に、第2規格に応じた第2モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第2発音処理、
を実行することを特徴とする付記1に記載の機器。
[付記3]
前記制御部は、
前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、前記第1モードでの発音可否を問い合わせるメッセージを表示部に表示させる表示処理、
を実行することを特徴とする付記1または2に記載の機器。
[付記4]
前記判断処理は、
前記第1パートに含まれる複数のノートにおける各ノートそれぞれが示す楽器のうちのパーカッションに含まれる少なくとも1つの楽器の割合が第1値に達すると判断した場合に、前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の機器。
[付記5]
前記判断処理は、
前記第1パートに含まれる複数のノートにおける各ノートそれぞれが示す楽器のうち、パーカッションに含まれる少なくとも1つの楽器の出現に周期性があると判断した場合に、前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の機器。
[付記6]
前記判断処理は、
前記第1パートに含まれる複数のノートが示すリズムパターンが、予め決められたリズムパターンにどの程度一致しているかを示す適合率が第1値に達すると判断した場合に、前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の機器。
[付記7]
機器のコンピュータに、
演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理、
を実行させる方法。
[付記8]
機器のコンピュータに、
演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理、
を実行させるプログラム。
100…電子鍵盤楽器、
101…鍵盤、
102…第1のスイッチパネル
103…第2のスイッチパネル、
104…LCD、
200…制御システム、
201…CPU、
202…ROM、
203…RAM、
204…音源LSI、
205…音声合成LSI、
206…キースキャナ、
207…LEDコントローラ、
208…LCDコントローラ、
209…システムバス、
210…タイマ、
211、212…デジタルアナログコンバータ、
213…ミキサ、
214…アンプ
215…MIDIインタフェース

Claims (8)

  1. 演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、
    前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理と、
    を実行する制御部を備えることを特徴とする機器。
  2. 前記制御部は、
    前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠でないと判断された場合に、第2規格に応じた第2モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第2発音処理、
    を実行することを特徴とする請求項1に記載の機器。
  3. 前記制御部は、
    前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、前記第1モードでの発音可否を問い合わせるメッセージを表示部に表示させる表示処理、
    を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の機器。
  4. 前記判断処理は、
    前記第1パートに含まれる複数のノートにおける各ノートそれぞれが示す楽器のうちのパーカッションに含まれる少なくとも1つの楽器の割合が第1値に達すると判断した場合に、前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機器。
  5. 前記判断処理は、
    前記第1パートに含まれる複数のノートにおける各ノートそれぞれが示す楽器のうち、パーカッションに含まれる少なくとも1つの楽器の出現に周期性があると判断した場合に、前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機器。
  6. 前記判断処理は、
    前記第1パートに含まれる複数のノートが示すリズムパターンが、予め決められたリズムパターンにどの程度一致しているかを示す適合率が第1値に達すると判断した場合に、前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機器。
  7. 機器のコンピュータに、
    演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、
    前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理、
    を実行させる方法。
  8. 機器のコンピュータに、
    演奏データ内に第1規格準拠を示す識別子が含まれていない場合に、前記演奏データ内の第1パートに係るデータから、前記演奏データが前記第1規格準拠であるか否かを判断する判断処理と、
    前記判断処理により前記演奏データが前記第1規格準拠であると判断された場合に、第1規格に応じた第1モードで、前記演奏データに基づく演奏音を発音部に発音させる第1発音処理、
    を実行させるプログラム。
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