JP6980988B2 - エンボス加工用フィルム及びその製造方法、エンボス加工品の製造方法、並びに、セキュリティ物品の製造方法 - Google Patents

エンボス加工用フィルム及びその製造方法、エンボス加工品の製造方法、並びに、セキュリティ物品の製造方法 Download PDF

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本発明は、硬化樹脂転写フィルム及びその製造方法;前記の硬化樹脂転写フィルムを用いて得られるエンボス加工用フィルム;前記の硬化樹脂転写フィルムを用いた、エンボス加工品の製造方法、及び、セキュリティ物品の製造方法;に関する。
従来、光学フィルムの材料の一つとして、液晶化合物が知られている。液晶化合物を用いて光学フィルムを製造する場合、通常は、液晶化合物を含む液晶組成物を支持フィルムに塗工して前記液晶組成物の層を形成し、その後、前記の層を硬化させて、光学フィルムを得る(特許文献1〜3参照)。このような光学フィルムは、通常、支持フィルムと、液晶組成物の硬化物からなる硬化樹脂層とを備える。
特開2014−174321号公報 特開2009−69839号公報 特開2015−116509号公報
光学フィルムの表面には、凹凸形状の形成が求められる場合がある。このような凹凸形状の形成方法の一つに、エンボス加工法がある。エンボス加工法では、前記の凹凸形状に対応した凹凸形状を有する型を用意し、この型を光学フィルムに押し当てて、光学フィルムの表面に凹凸形状を形成する。
本発明者は、液晶化合物を用いて製造された光学フィルムの硬化樹脂層に、エンボス加工法によって、凹凸形状を形成することを試みた。
ところが、従来の技術では、所望の凹凸形状を形成することが難しかった。具体的には、硬化樹脂層から凹凸形状形成用の型を外す際に、型に引っ張られて硬化樹脂層が変形したり、型と一緒に硬化樹脂層の一部が剥離したりすることがあった。
さらに、従来の技術では、硬化樹脂層にエンボス加工法で凹凸形状を形成した後で前記硬化樹脂層を加熱すると、凹凸形状が変形して、所望の凹凸形状が損なわれ、平坦面に戻ることがあった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたものであって、高温環境でも変形し難い凹凸形状を、エンボス加工法によって容易に形成することができる硬化樹脂層を備えた、硬化樹脂転写フィルム及びその製造方法;高温環境でも変形し難い凹凸形状を、エンボス加工法によって容易に形成することができる硬化樹脂層を備えた、エンボス加工用フィルム;高温環境でも変形し難い凹凸形状を形成された硬化樹脂層を備える、エンボス加工品の製造方法;並びに、前記のエンボス加工品を備えたセキュリティ物品の製造方法;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、仮支持体と、この仮支持体上に設けられた、光重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物からなる硬化樹脂層とを備える硬化樹脂転写フィルムにおいて、硬化樹脂層の仮支持体とは反対側の面のマルテンス硬さを所定の範囲に収めることにより、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記のものを含む。
〔1〕 仮支持体と、
前記仮支持体上に設けられた、光重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物からなる硬化樹脂層とを備え、
前記硬化樹脂層の前記仮支持体とは反対側の面のマルテンス硬さが、50N/mm以上120N/mm以下である、硬化樹脂転写フィルム。
〔2〕 前記液晶組成物が、コレステリック液晶組成物である、〔1〕に記載の硬化樹脂転写フィルム。
〔3〕 前記硬化樹脂層の厚みが、7μm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の硬化樹脂転写フィルム。
〔4〕 前記硬化樹脂層が、活性エネルギー線の照射により硬化しうる、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の硬化樹脂転写フィルム。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の硬化樹脂転写フィルムの製造方法であって、
前記仮支持体の表面に、前記液晶組成物の層を形成する工程と、
前記液晶組成物の層に、活性エネルギー線を照射して、前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含み、
前記液晶組成物の層に照射される活性エネルギー線の、前記液晶組成物の単位体積当たりのエネルギーが、180×10mJ/cm〜550×10mJ/cmである、硬化樹脂転写フィルムの製造方法。
〔6〕 基材フィルムと、
前記基材フィルムに貼り合わせられた、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の硬化樹脂転写フィルムの硬化樹脂層と、を備える、エンボス加工用フィルム。
〔7〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の硬化樹脂転写フィルムの前記硬化樹脂層と、基材フィルムとを、貼り合わせる工程、
前記仮支持体を剥離する工程、
前記硬化樹脂層に型を押し当てて凹凸形状を形成する工程、及び、
凹凸形状を形成された硬化樹脂層に、活性エネルギー線を照射する工程、を含む、エンボス加工品の製造方法。
〔8〕 前記凹凸形状の深さが、0.03μm〜0.5μmである、〔7〕記載のエンボス加工品の製造方法。
〔9〕 〔7〕又は〔8〕に記載のエンボス加工品の製造方法によってエンボス加工品を製造する工程と、
製造されたエンボス加工品を対象物に貼合する工程と、を含む、セキュリティ物品の製造方法。
本発明によれば、高温環境でも変形し難い凹凸形状を、エンボス加工法によって容易に形成することができる硬化樹脂層を備えた、硬化樹脂転写フィルム及びその製造方法;高温環境でも変形し難い凹凸形状を、エンボス加工法によって容易に形成することができる硬化樹脂層を備えた、エンボス加工用フィルム;高温環境でも変形し難い凹凸形状を形成された硬化樹脂層を備える、エンボス加工品の製造方法;並びに、前記のエンボス加工品を備えたセキュリティ物品の製造方法;を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る硬化樹脂転写フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る硬化樹脂転写フィルムの製造方法の一例を模式的に示す概略図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法において得られるエンボス加工用フィルムを模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法において得られる、仮支持体を剥離した後のエンボス加工用フィルムを模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法において、硬化樹脂層に型を押し当てて凹凸形状を形成する様子を模式的に示す断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法によって得られたエンボス加工品を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法によって得られた識別媒体を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係るセキュリティ物品を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明の一実施形態に係るセキュリティ物品の一例を模式的に示す断面図である。 図10は、本発明の一実施形態に係るセキュリティ物品の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して、詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、通常5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフォルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、別に断らない限り、「λ/4波長板」は、剛直な部材に限られるものではなく、フィルム状の、可撓性を有するものでありうる。
以下の説明において、別に断らない限り、用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含し、用語「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する。
以下の説明において、別に断らない限り、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
[1.硬化樹脂転写フィルムの概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る硬化樹脂転写フィルム100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、硬化樹脂転写フィルム100は、仮支持体110と、この仮支持体110上に設けられた硬化樹脂層120とを備える。前記の硬化樹脂層120は、光重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物からなる。そして、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uのマルテンス硬さは、所定の範囲にある。
このような硬化樹脂転写フィルム100は、通常、硬化樹脂層120を、図示しない基材フィルム上に転写して、エンボス加工用フィルムを得るために用いられる。前記のマルテンス硬さで表されるように、硬化樹脂層120は、エンボス加工に適した適切な範囲の硬さを有する。そのため、エンボス加工用フィルムの硬化樹脂層120の面120Dには、高温環境でも変形し難い凹凸形状を、エンボス加工法によって容易に形成することができる。
[2.仮支持体]
仮支持体は、硬化樹脂層を支持するためのフィルムである。このような仮支持体としては、通常、樹脂フィルムを用いる。
仮支持体に含まれる樹脂は、重合体と、必要に応じて任意の成分を含む。樹脂が含む重合体の例を挙げると、鎖状オレフィン重合体、シクロオレフィン重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレートなどが挙げられる。また、前記の重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。前記の中でも、仮支持体の剥離を容易に行う観点から、硬化樹脂層との密着性が低いものが好ましく、例えばシクロオレフィン重合体及びポリエステルが好ましい。
仮支持体は、通常、硬化樹脂層に直接に接している。ここで、仮支持体と硬化樹脂層とが直接に接する、とは、仮支持体と硬化樹脂層との間に、他の層が無いことを意味する。この場合、仮支持体の硬化樹脂層側の面は、配向規制力を有することが好ましい。
ここで、ある面の配向規制力とは、その面に塗工された液晶組成物中の液晶化合物を配向させうる、その面の性質をいう。仮支持体の面が配向規制力を有することにより、その面上に塗工される液晶組成物中の光重合性液晶化合物の配向を促進できるので、所望の光学的機能を有する硬化樹脂層を容易に得ることができる。配向規制力は、任意の処理によって生じたものでありうる。仮支持体の面に配向規制力を生じさせる処理としては、例えば、ラビング処理、延伸処理、配向膜形成処理、光配向処理、イオンビーム照射処理、蒸着膜形成処理などが挙げられる。
仮支持体は、1層のみを有する単層構造のフィルムであってもよく、2層以上を有する複層構造のフィルムであってもよい。例えば、仮支持体が複層構造を有する場合、仮支持体は、支持フィルム層と、その硬化樹脂層側の面に形成された配向膜とを含んでいてもよい。
仮支持体は、その片面又は両面に表面処理が施されたものであってもよい。表面処理を施すことにより、その表面処理を施された面の性質を適切に調整できる。表面処理としては、滑り性を高めるための易滑処理、接着性を高めるための易接着処理等が挙げられる。また、液晶組成物を塗工される面の表面張力は、通常、60mN/m以下である。このような表面張力を得るには、例えば、ラビング処理、イオンビーム照射処理、コロナ処理などの表面処理を仮支持体に施すことが好ましい。
仮支持体の厚みは、製造時のハンドリング性、材料のコスト、薄型化及び軽量化の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは60μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
[3.硬化樹脂層]
〔3.1.マルテンス硬さ〕
図1に示すように、硬化樹脂層120は、当該硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uのマルテンス硬さが、所定範囲にある。具体的なマルテンス硬さの範囲は、通常50N/mm以上、好ましくは60N/mm以上、より好ましくは80N/mm以上であり、通常120N/mm以下、好ましくは117N/mm以下、より好ましくは110N/mm以下である。
マルテンス硬さは、ビッカース圧子及び三角錐圧子(稜線同士の角度が115°)を用いた微小硬度計(島津製作所社製「DUH−211」)により、測定しうる。この測定において、測定深度は、硬化樹脂層の厚みの略1/10の厚みとしうる。
一般に、液晶組成物に含まれる光重合性液晶化合物を重合させて硬化樹脂層120を得る際、前記の重合は、雰囲気中の酸素による重合阻害を受ける。そのため、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uの近傍では、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dの近傍よりも、重合反応が進行し難い。よって、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uでは、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dよりも、液晶組成物の硬化が進行し難い。ここで、硬化の進行程度は、硬化樹脂層の表面近傍の炭素−炭素二重結合(以下「C=C」ということがある。)の残存二重結合率から確認しうる。残存二重結合率とは、“[C=C結合に基づく吸収(波数810cm−1)のスペクトル強度]÷[硬化樹脂層中の芳香環に基づく吸収(波数1500cm−1付近)のスペクトル強度]”で定義される。各波長の吸収スペクトルは、赤外分光装置で測定しうる。
したがって、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uは、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dよりも、柔らかくなり易い。ただし、通常は、硬化樹脂層120の厚みが薄いので、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uの硬さと、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dの硬さとの差は、小さい。よって、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dのマルテンス硬さは、通常、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uのマルテンス硬さと、同等か、少し硬い程度になる。また、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dの残存二重結合率は、通常、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uの残存二重結合率と、同等か、少し小さい値になる。具体的には、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dの残存二重結合率と、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uの残存二重結合率との比は、通常1.0〜0.8、好ましくは、1.0〜0.9である。
このように、硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uのマルテンス硬さが前記の所定範囲に制御されていると、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dのマルテンス硬さは、前記所定範囲に対応した特定の範囲に調整される。ここで、硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dは、エンボス処理によって凹凸形状を形成される面である。面120Uのマルテンス硬さが前記の所定範囲にある場合、その所定範囲に対応した硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dのマルテンス硬さは、エンボス処理による凹凸形状の形成に適した特定範囲に収まる。そのため、この硬化樹脂層120の面120Dには、高温環境でも変形し難い凹凸形状を、エンボス加工法によって容易に形成することができる。
具体的には、硬化樹脂層120の面120Uのマルテンス硬さが、前記範囲の下限値以上であることにより、硬化樹脂層120から型(図1では図示せず。)を外す際の凹凸形状の変形を、抑制できる。さらに、このようにマルテンス硬さが硬いと、通常は、摩擦による凹凸形状の消失、及び、硬化樹脂層120の傷付きを抑制することができる。また、硬化樹脂層120の面120Uのマルテンス硬さが、前記範囲の上限値以下であることにより、エンボス加工時に硬化樹脂層120に与えられる応力を、緩和させることができる。そのため、硬化樹脂層120にはエンボス加工による残留応力が残り難いので、残留応力に起因する高温環境での凹凸形状の変形を、抑制できる。
前記のようなマルテンス硬さは、例えば、液晶組成物の硬化のために照射される活性エネルギー線の、液晶組成物の単位体積当たりのエネルギーを調整する方法;液晶組成物中の重合開始剤及び光重合性液晶化合物の種類に応じて、液晶組成物の硬化のために照射される活性エネルギー線の波長を調整する方法;などによって達成できる。
〔3.2.組成〕
硬化樹脂層は、液晶組成物の硬化物からなる。また、液晶組成物は、光重合性液晶化合物を含む組成物である。ここで、便宜上「液晶組成物」と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。液晶組成物は、光重合性液晶化合物を重合させることにより硬化して、硬化物となりうる。光重合性液晶化合物が活性エネルギー線の照射によって重合しうるので、通常、液晶組成物は、活性エネルギー線の照射によって硬化しうる。
前記の液晶組成物は、コレステリック液晶組成物であることが好ましい。コレステリック液晶組成物とは、当該液晶組成物に含まれる光重合性液晶化合物を配向させた場合に、光重合性液晶化合物がコレステリック規則性を有した液晶相(コレステリック液晶相)を呈しうる組成物をいう。また、コレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
前記のようなコレステリック液晶組成物を用いることにより、仮支持体の面に液晶組成物の層を形成した場合に、当該層において光重合性液晶化合物がコレステリック液晶相を呈する。よって、この液晶組成物を硬化させる際、光重合性液晶化合物がコレステリック液晶相を呈した状態で重合するので、コレステリック規則性を呈したまま硬化した非液晶性の硬化樹脂層を得ることができる。
コレステリック規則性を呈したまま重合した光重合性液晶化合物の重合体を含む硬化樹脂層は、通常、円偏光分離機能を有する。すなわち、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の一部又は全部を反射させる性質を有する。このような硬化樹脂層における反射は、円偏光を、そのキラリティを維持したまま反射する。
円偏光分離機能を発揮する波長は、硬化樹脂層における光重合性液晶化合物の重合体のらせん構造のピッチに依存する。らせん構造のピッチとは、らせん構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離である。このらせん構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。特に、層内において、らせん構造のピッチの大きさが連続的に変化した硬化樹脂層を形成することにより、単一の硬化樹脂層により広帯域に亘る円偏光分離機能を得ることができる。以下の説明において、このように円偏光分離機能が発揮される波長範囲を、「選択反射帯域」ということがある。
具体的には、螺旋構造において分子軸が捩れる時の回転軸を表す螺旋軸と、硬化樹脂層の法線とが平行である場合、螺旋構造のピッチpと反射される円偏光の波長λとは、一般に、式(X)および式(Y)の関係を有する。
式(X):λ=n×p×cosθ
式(Y):n×p×cosθ≦λ≦n×p×cosθ
式(X)及び式(Y)中、λは選択反射帯域の中心波長(以下、「選択反射中心波長」ということがある。)を表し、nは光重合性液晶化合物の短軸方向の屈折率を表し、nは前記光重合性液晶化合物の長軸方向の屈折率を表し、nは(n+n)/2を表し、pは螺旋構造のピッチを表し、θは光の入射角(面の法線との間になす角度)を表す。
したがって、選択反射中心波長λcは、硬化樹脂層における重合体の螺旋構造のピッチpに依存する。この螺旋構造のピッチpを変えることによって、選択反射帯域を変えることができる。よって、重合体の螺旋構造のピッチpは、硬化樹脂層に反射させたい円偏光の波長に応じて設定することが好ましい。ピッチpを調整する方法としては、例えば、特開2009−300662号公報に記載の公知の方法を用いうる。具体例を挙げると、カイラル剤の種類を調整したり、カイラル剤の量を調整したりする方法が挙げられる。
光重合性液晶化合物としては、活性エネルギー線を照射することによって重合しうる光重合性の液晶化合物を、任意に用いうる。活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、及び赤外線等の広範なエネルギー線の中から、光重合性液晶化合物の重合反応を進行させうる任意のエネルギー線を採用しうるが、特に、紫外線等の電離放射線が好ましい。中でも、コレステリック液晶組成物に好適に用いられる光重合性液晶化合物としては、1分子中に2つ以上の反応性基を有する棒状液晶化合物が好ましく、式(1)で表される化合物が特に好ましい。
3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 式(1)
式(1)において、R3及びR4は、反応性基であり、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。これらの反応性基を有することにより、液晶組成物を硬化させた際に、機械的強度の高い硬化樹脂層を得ることができる。例えば、鉛筆硬度(JIS K5400)で、通常HB以上、好ましくはH以上である硬化樹脂層を得ることができる。機械的強度をこのように高くすることにより、硬化樹脂層の表面に傷をつきにくくできるので、ハンドリング性を高めることができる。
式(1)において、D3及びD4は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。
式(1)において、C3〜C6は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される基を表す。
式(1)において、Mは、メソゲン基を表す。具体的には、Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類からなる群から選択された互いに同一又は異なる2個〜4個の骨格が、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−等の結合基によって結合された基を表す。
前記メソゲン基Mが有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5、−O−C(=O)−R5、−C(=O)−O−R5、−O−C(=O)−O−R5、−NR5−C(=O)−R5、−C(=O)−NR5、または−O−C(=O)−NR5が挙げられる。ここで、R5及びRは、水素原子又は炭素数1個〜10個のアルキル基を表す。R及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6−C(=O)−、−C(=O)−NR6−、−NR6−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6は、水素原子または炭素数1個〜6個のアルキル基を表す。
前記「置換基を有してもよい炭素数1個〜10個のアルキル基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2個〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3個〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2個〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2個〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
また、前記の棒状液晶化合物は、非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、式(1)において、メソゲン基Mを中心として、R3−C3−D3−C5−と−C6−D4−C4−R4が異なる構造のことをいう。棒状液晶化合物として非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
棒状液晶化合物の屈折率異方性Δnは、好ましくは0.18以上、より好ましくは0.22以上である。屈折率異方性Δnが0.30以上の棒状液晶化合物を用いると、棒状液晶化合物の紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。このような高い屈折率異方性Δnを有する棒状液晶化合物を用いることにより、高い光学的性能(例えば、円偏光の選択反射性能)を有する硬化樹脂層を得ることができる。
ここで、屈折率異方性Δnは、セナルモン法により測定しうる。例えば、硬化した樹脂の層を光学顕微鏡(ECLIPSE E600POL(透過・反射タイプ)に鋭敏色板、λ/4波長板、セナルモンコンペンセータ、GIFフィルター546nmを装着、ニコン社製)を用いて消光位(θ)を観察することからレタデーション(Re)をRe=λ(546nm)×θ/180の計算式により算出し、別に求めた層の厚み(d)から計算式Δn=Re/dによりΔnを算出できる。
棒状液晶化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物(B1)〜(B9)が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006980988
液晶組成物が上述した棒状液晶化合物を含む場合、当該液晶組成物は、棒状液晶化合物に組み合わせて、式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。
1−A1−B−A2−R2 (2)
式(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、任意の結合基が介在していてもよい(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。さらに、前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は、炭素原子数1個〜2個のアルキル基、及びアルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
1及びR2として好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
また、R1及びR2の少なくとも一方は、反応性基であることが好ましい。R1及びR2の少なくとも一方として反応性基を有することにより、前記式(2)で表される化合物が硬化時に硬化樹脂層中に固定され、より強固な層を形成することができる。ここで反応性基とは、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
式(2)において、A1及びA2はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基で1つ以上置換されていてもよい。A1及びA2のそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
1及びA2として特に好ましいものとしては、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、棒状液晶化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一性がより高くなる。
式(2)において、Bは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−O−(C=O)−O−、−CH2−(C=O)−O−、及び−CH2O−(C=O)−からなる群より選択される。
Bとして特に好ましいものとしては、単結合、−O−(C=O)−及び−CH=N−N=CH−が挙げられる。
式(2)で表される化合物は、一種類以上が液晶性を有することが好ましく、また、キラリティを有することが好ましい。また、式(2)で表される化合物は、複数の光学異性体を組み合わせて用いることが好ましい。例えば、複数種類のエナンチオマーの混合物、複数種類のジアステレオマーの混合物、又は、エナンチオマーとジアステレオマーとの混合物を用いてもよい。式(2)で表される化合物の一種類以上は、その融点が、50℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
式(2)で表される化合物が液晶性を有する場合には、屈折率異方性Δnが高いことが好ましい。屈折率異方性Δnが高く液晶性を有する式(2)で表される化合物を用いることによって、それを含む液晶組成物の屈折率異方性Δnを向上させることができ、選択反射帯域が広い硬化樹脂層を作製することができる。式(2)で表される化合物の少なくとも一種の屈折率異方性Δnは、好ましくは0.18以上、より好ましくは0.22以上である。
式(2)で表される化合物として特に好ましい具体例としては、下記の化合物(A1)〜(A9)が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006980988
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
(式(2)で表される化合物の合計重量)/(棒状液晶化合物の合計重量)で示される重量比は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは0.65以下、特に好ましくは0.45以下である。前記の重量比を前記下限値以上にすることにより、液晶組成物の層において配向均一性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、配向均一性を高くできる。また、液晶組成物の液晶相の安定性を高くできる。さらに、液晶組成物の屈折率異方性Δnを高くできるので、例えば、円偏光の選択反射性能等の所望の光学的性能を有する硬化樹脂層を安定して得ることができる。ここで、式(2)で表される化合物の合計重量とは、式(2)で表される化合物を1種類のみ用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。同様に、棒状液晶化合物の合計重量とは、棒状液晶化合物を1種類のみ用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。
また、式(2)で表される化合物と棒状液晶化合物とを組み合わせて用いる場合、式(2)で表される化合物の分子量が600未満であることが好ましく、棒状液晶化合物の分子量が600以上であることが好ましい。これにより、式(2)で表される化合物が、それよりも分子量の大きい棒状液晶化合物の隙間に入り込むことができるので、配向均一性を向上させることができる。
液晶組成物は、更に、カイラル剤を含みうる。通常、コレステリック液晶相におけるねじれ方向は、使用するカイラル剤の種類及び構造により選択できる。カイラル剤の具体例としては、特開2005−289881号公報、特開2004−115414号公報、特開2003−66214号公報、特開2003-313187号公報、特開2003−342219号公報、特開2000−290315号公報、特開平6−072962号公報、米国特許第6468444号公報、国際公開第98/00428号、特開2007−176870号公報、等に掲載されるものを適宜使用することができ、例えばBASF社パリオカラーのLC756として入手できる。また、カイラル剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
カイラル剤の量は、所望する光学的性能を低下させない範囲で任意に設定しうる。カイラル剤の具体的な量は、液晶組成物中で、通常1重量%〜60重量%である。
硬化樹脂層は、その機械的強度の向上及び耐久性の向上のために、架橋構造を有する化合物の層であることが好ましい。そのような硬化樹脂層を得るために、液晶組成物は、架橋剤を含みうる。架橋剤は、例えば、液晶組成物の層の硬化時に反応したり、硬化後の熱処理によって反応を促進したり、湿気により自然に反応が進行したりすることによって、硬化樹脂層の架橋密度を高めることができる。架橋剤としては、例えば、紫外線、熱、湿気等で反応しうるものを用いうる。中でも、架橋剤としては、液晶化合物の配向均一性を悪化させないものが好ましい。
架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のアルコキシシラン化合物;が挙げられる。また、架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いてもよい。触媒を用いることにより、硬化樹脂層の強度及び耐久性向上に加えて、生産性を向上させることができる。
架橋剤の量は、硬化樹脂層における架橋剤の量が0.1重量%〜15重量%となるようにすることが好ましい。架橋剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、架橋密度を効果的に高めることができる。また、上限値以下にすることにより、液晶組成物の層の安定性を高めることができる。
液晶組成物は、更に、光重合開始剤を含みうる。光重合開始剤としては、例えば、紫外線、可視光線等の活性エネルギー線によってラジカル又は酸を発生させうる化合物が使用できる。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナミックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp’−ジクロロベンゾフェノン、pp’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタレン、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]や1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて、光増感剤又は重合促進剤としての三級アミン化合物を用いて、硬化性をコントロールしてもよい。
光重合開始剤の量は、液晶組成物中0.03重量%〜7重量%であることが好ましい。光重合開始剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合度を高くできるので、硬化樹脂層の機械的強度を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、液晶化合物の配向を良好にできるので、液晶組成物の液晶相を安定にできる。
液晶組成物は、更に、界面活性剤を含みうる。界面活性剤としては、配向を阻害し難いものが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、疎水基部分にシロキサン又はフッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に挙げられる。中でも、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤の具体例としては、OMNOVA社のPolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652;ネオス社のフタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D;セイミケミカル社のサーフロンのKH−40、S−420、S−651;等を用いることができる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、硬化樹脂層における界面活性剤の量が0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。界面活性剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、液晶組成物の空気界面における配向規制力を高くできるので、配向欠陥の発生を抑制できる。また、上限値以下にすることにより、過剰の界面活性剤が液晶分子間に入り込むことによる配向均一性の低下を抑制できる。
液晶組成物は、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、溶媒;ポットライフ向上のための重合禁止剤;耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定化剤;等を挙げることができる。また、これらの任意成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの任意の成分の量は、所望する光学的性能を低下させない範囲で任意に設定しうる。
硬化樹脂層は、上述した液晶組成物の硬化物からなるので、光重合性液晶化合物の重合体を含む。ただし、上述したマルテンス硬さを実現する観点では、液晶組成物に含まれていた光重合性液晶化合物の一部は重合されていないことが好ましく、よって、硬化樹脂転写フィルムの硬化樹脂層は残留モノマーとしての光重合性液晶化合物を含むことが好ましい。このような硬化樹脂層は、通常、活性エネルギー線の照射によって更に硬化しうる。通常は、硬化樹脂転写フィルムを用いてエンボス加工用フィルムを得て、そのエンボス加工用フィルムの硬化樹脂層に凹凸形状を形成した後で、当該硬化樹脂層に活性エネルギー線を照射して、硬化樹脂層を更に硬化させる。
〔3.3.光学特性〕
硬化樹脂層は、円偏光分離機能を有することが好ましい。硬化樹脂層の具体的な選択反射帯域は、硬化樹脂転写フィルムを用いて得られるエンボス加工品の用途に応じて、任意に設定しうる。
硬化樹脂層の選択反射中心波長λcは、可視領域(波長400nm以上800nm以下)にあってもよく、赤外領域(波長800nm超)にあってもよく、紫外領域(波長1nm以上400nm未満)にあってもよい。特に、硬化樹脂層の選択反射中心波長λcが可視領域にあると、エンボス加工品をセキュリティ物品に好適に用いることができる。
硬化樹脂層の選択反射帯域の波長幅(以下「反射帯域幅」ということがある。)Δλは、広いことが好ましい。具体的な反射帯域幅Δλは、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、特に好ましくは200nm以上である。反射帯域幅Δλの上限は、特段の制限は無いが、硬化樹脂層の製造が容易であることから、通常350nm以下である。
硬化樹脂層の選択反射中心波長λc及び反射帯域幅Δλは、分光光度計を用いて測定した分光反射率から、求めうる。分光反射率は、通常、横軸に波長、縦軸に当該波長における反射率をプロットしたグラフとして得られる。硬化樹脂層の選択反射帯域は、通常、かかるグラフにおいて、幅のあるピークとして示される。選択反射中心波長λcは、かかるグラフにおいて、最大の反射率Rmaxの30%の反射率を示す2つの波長のうちの短波長側の波長λ1及び長波長側の波長λ2から、式λc=(λ1+λ2)/2により求めうる。また、反射帯域幅Δλは、式Δλ=λ2−λ1により求めうる。
さらに、硬化樹脂層を150℃において8時間加熱した後の選択反射中心波長λcと、加熱前の選択反射中心波長λcと差の絶対値|λc1−λc0|は、好ましくは30nm以下、より好ましくは10nm以下であり、下限は特に限定されず、理想的には0nmである。
〔3.4.厚み〕
硬化樹脂層の1層当たりの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.7μm以上、特に好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下、特に好ましくは3.0μm以下である。硬化樹脂層の厚みが前記範囲の下限値以上であることにより、硬化樹脂層に凹凸形状を容易に形成でき、また、選択反射帯域の円偏光を効果的に反射できる。さらに、硬化樹脂層の厚みが前記範囲の上限値以下であることにより、選択反射帯域以外の波長帯域の光の透過性を高められる。
[4.硬化樹脂転写フィルムの製造方法]
硬化樹脂転写フィルムは、仮支持体の表面に、液晶組成物の層を形成する工程と;液晶組成物の層に、活性エネルギー線を照射して、液晶組成物の層を硬化させる工程と;を含む製造方法によって製造できる。また、仮支持体がロール状に巻き取られた長尺のフィルムである場合、硬化樹脂転写フィルムの製造方法は、ロールから仮支持体を繰り出す工程を含んでいてもよい。さらに、硬化樹脂転写フィルムの製造方法は、仮支持体の表面に液晶組成物の層を形成する工程の前に、仮支持体の表面に配向規制力を付与する工程;仮支持体の表面に液晶組成物の層を形成した工程の後、液晶組成物の層を硬化させる工程の前に、液晶組成物に含まれる光重合性液晶化合物を配向させる工程;を含んでいてもよい。
以下、硬化樹脂転写フィルムの製造方法の好ましい例について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る硬化樹脂転写フィルム100の製造方法の一例を模式的に示す概略図である。
図2に示すように、本例に係る製造方法では、長尺のフィルムとしての仮支持体110のロール130から、仮支持体110を繰り出す工程を行う。
その後、繰り出された仮支持体110の表面110Uに配向規制力を付与する工程が行われる。本例に係る製造方法では、ラビング部材としてのラビングロール140によって仮支持体110の表面110Uを擦ることにより、表面110Uに配向規制力を付与している。
その後、仮支持体110の配向規制力を付与された表面110Uに、液晶組成物の層を形成する工程を行う。液晶組成物の層の形成は、通常、塗工法によって行う。塗工法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法が挙げられる。本例では、ダイ150を用いたダイコーティング法により、液晶組成物の層160を形成した例を示す。
液晶組成物の塗工は、フィルターを用いた濾過によって樹脂組成物から異物を除去した後で、行うことが好ましい。フィルターの孔径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。濾過は、室温で行ってもよく、液晶組成物を加温しながら行ってもよい。塗工される樹脂組成物の粘度は、好ましくは0.5mPa・s〜50mPa・s、より好ましくは1.0mPa・s〜20mPa・s、さらに好ましくは1.0mPa・s〜10mPa・sである。また、塗工される液晶組成物の表面張力は、好ましくは10mN/m〜80mN/m、より好ましくは20mN/m〜70mN/m、さらに好ましくは30mN/m〜60mN/mである。
その後、必要に応じて、液晶組成物に含まれる光重合性液晶化合物の配向を促進する配向処理を行う。配向処理は、例えば、液晶組成物の層を50℃〜150℃で0.5分〜10分間加温することにより行いうる。配向処理を施すことにより、液晶組成物中の液晶化合物を良好に配向させることができる。前記の配向処理は、例えば、オーブン170等の加熱装置を用いて行いうる。
その後、液晶組成物の層160に、光源180から活性エネルギー線L180を照射して、液晶組成物の層160を硬化させる工程を行う。活性エネルギー線L180の照射によって光重合性液晶化合物が重合し、層160に含まれる液晶組成物が硬化して、硬化樹脂層120が得られる。活性エネルギー線L180としては、液晶組成物を硬化させうる任意のエネルギー線を用いうるが、電離放射線が好ましく、中でも紫外線が特に好ましい。
この際、液晶組成物の層160に照射される活性エネルギー線L180の量は、通常、所定の範囲に調整される。具体的には、照射される活性エネルギー線L180の、液晶組成物の単位体積当たりのエネルギーは、通常180×10mJ/cm以上、好ましくは200×10mJ/cm以上、より好ましくは250×10mJ/cm以上であり、通常550×10mJ/cm以下、好ましくは530×10mJ/cm以下、より好ましくは500×10mJ/cm以下である。液晶組成物の層160を硬化させるために照射される活性エネルギー線L180のエネルギーを前記の範囲に調整することにより、硬化樹脂層120の面120Uのマルテンス硬さを上述した所定の範囲に調整でき、更には硬化樹脂層120の仮支持体側の面120Dのマルテンス硬さも調整できる。
液晶組成物の硬化時には、一般に、光重合性液晶化合物の重合反応は、雰囲気中の酸素による重合阻害の影響をうける。そのため、空気界面に近いほど、光重合性液晶化合物の重合反応は、進行し難い傾向がある。よって、コレステリック液晶組成物を用いた場合、液晶組成物の層を硬化させて得られる硬化樹脂層における光重合性液晶化合物の螺旋構造のピッチは、通常、厚み方向において異なる。具体的には、重合反応の進行に伴い、硬化樹脂層の厚み方向にカイラル剤の濃度勾配が生じ、空気界面に近いほどカイラル剤の濃度が高くなる。螺旋構造のピッチ(p)は、カイラル剤の螺旋ねじれ力(HTP)とカイラル剤の濃度(C)とすると、p=(1/HTP)×(1/C)で規定される。仮支持体に近いほど螺旋構造のピッチは広く、仮支持体に遠いほど螺旋構造のピッチは狭くなることで、螺旋構造のピッチの大きさが連続的に変化したものになる傾向がある。そのため、得られる硬化樹脂層120の反射帯域幅Δλは、通常、ある程度の広さを有することができる。
ただし、エンボス加工品の用途によっては、硬化樹脂層120の反射帯域幅Δλを更に広くしたい場合がある。このように広い反射帯域幅Δλを有する硬化樹脂層120を得ようとする場合、液晶組成物の層160への活性エネルギー線L180の照射は、加熱処理と組み合わせて、複数回に分けて行ってもよい。例えば、単位面積当たり0.01mJ/cm2〜50mJ/cm2の微弱な活性エネルギー線の照射と加温処理とを複数回交互に繰り返してもよい。単位面積当たりの活性エネルギー線量は、硬化樹脂層の所望の厚みにより調整しうる。加温条件は、例えば、温度40℃〜200℃、好ましくは50℃〜200℃、さらに好ましくは50℃〜140℃としうる。また、加熱時間は、好ましくは1秒〜3分、より好ましくは5〜120秒としうる。これにより、らせん構造のピッチの大きさを厚み方向で連続的に大きく変化させられるので、反射帯域幅Δλの広い硬化樹脂層を得ることができる。
さらに、上記の微弱な活性エネルギー線の照射と加熱処理との組み合わせによって反射帯域幅を広くした後で、更に活性エネルギー線を照射して、所定のマルテンス硬さの面120Uが得られる程度に、液晶組成物の硬化を十分に進行させてもよい。
前記の活性エネルギー線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行ってもよい。
前記のように液晶組成物の層160を硬化させることで、仮支持体110及び硬化樹脂層120を備える硬化樹脂転写フィルム100が得られる。本例に係る製造方法のように仮支持体110として長尺のフィルムを用いた場合、硬化樹脂転写フィルム100も長尺のフィルムとして得られる。この硬化樹脂転写フィルム100は、通常、巻き取られてロール190として回収される。本例のような製造方法では、長尺のフィルムをその長手方向に搬送しながらロール・トゥ・ロール法によって硬化樹脂転写フィルム100を製造できるので、高い生産性が見込まれる。
硬化樹脂転写フィルム100の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に別の工程を含んでいてもよい。例えば、硬化樹脂転写フィルム100の製造方法は、樹脂組成物の層160を乾燥させて溶媒を除去する工程;得られた硬化樹脂転写フィルム100を保護フィルム等の任意のフィルムと貼り合わせる工程;硬化樹脂層120上に、更に別の硬化樹脂層(図示せず。)を形成する工程;などが挙げられる。
[5.エンボス加工品の製造方法]
上述した硬化樹脂転写フィルムは、エンボス加工品の製造に好適に用いうる。このようなエンボス加工品は、硬化樹脂層と基材フィルムとを貼り合わせる工程;仮支持体を剥離する工程;硬化樹脂層に型を押し当てて凹凸形状を形成する工程;及び、凹凸形状を形成された硬化樹脂層に、活性エネルギー線を照射する工程;を含む製造方法によって、製造しうる。前記の工程の順番は、所望のエンボス加工品が得られる限り、任意である。よって、例えば硬化樹脂層と基材フィルムとを貼り合わせる工程と、仮支持体を剥離する工程とは、いずれの工程を先に行ってもよく、両工程を同時に行ってもよい。通常は、硬化樹脂層と基材フィルムとを貼り合わせる工程の後で、仮支持体を剥離する工程を行う。
以下、このエンボス加工品の製造方法について、例を示して説明する。
〔5.1.貼り合わせ工程〕
図3は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法において得られるエンボス加工用フィルム200を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、本例に係るエンボス加工品の製造方法では、硬化樹脂転写フィルム100の硬化樹脂層120と基材フィルム210とを貼り合わせて、エンボス加工用フィルム200を得る工程を行う。
基材フィルム210の材料は、特に限定されず、種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、各種の重合体を含む樹脂が挙げられる。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、UV透過アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましい。
基材フィルム210は、1層のみを有する単層構造のフィルムであってもよく、2層以上を有する複層構造のフィルムであってもよい。また、基材フィルム210は、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。さらに、基材フィルム210は、コロナ処理等の表面処理を施されたフィルムであってもよい。
基材フィルム210の厚みは、特段の制限は無いが、好ましは1μm以上、より好ましくは5μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
硬化樹脂層120と基材フィルム210とは、硬化樹脂層120と基材フィルム210との間に他の層が介さないように、直接に貼り合わせてもよいが、接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。接着剤としては、狭義の接着剤(23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaであり、常温で粘着性を示さない、いわゆるホットメルト型の接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。
接着剤としては、各種の重合体をベースポリマーとしたものが挙げられる。かかるベースポリマーの例としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−アクリル酸エステル系、エチレン−塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン−スチレン等の合成ゴム系、エポキシ系、シリコーン系のポリマーが挙げられる。硬化樹脂層中には、重合していない単量体成分が存在する場合がある。この場合、硬化樹脂層が加熱されると、単量体成分が層内を移動し、さらには他の層へ移行して、その濃度が変動し、硬化樹脂層の使用中に経時変化を起こすことがある。この経時変化を抑制する観点から、前記のベースポリマーの中でも、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール又はこれらの混合物が好ましい。また、接着剤は、前記のベースポリマーに組み合わせて、硬化剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の任意の成分を含みうる。
接着剤を介して硬化樹脂層120と基材フィルム210とを貼り合わせる場合、通常は、硬化樹脂層120の面120Uに接着剤を塗工し、その後、この塗工された接着剤を介して硬化樹脂層120と基材フィルム210とを貼り合わせる。
接着剤を介して硬化樹脂層と基材フィルムとを貼り合わせた場合、硬化樹脂層と基材フィルムとの間には、接着剤又は当該接着剤の硬化物を含む接着層が形成される。この接着層の厚みは、特段の制限は無いが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
硬化樹脂層120と基材フィルム210とを貼り合わせることにより、基材フィルム210と、基材フィルム210に貼り合わせられた硬化樹脂層120とを備えるエンボス加工用フィルム200が得られる。本例に示す製造方法では、仮支持体110を剥離する前に硬化樹脂層120と基材フィルム210との貼り合わせを行っているので、基材フィルム210、硬化樹脂層120及び仮支持体110をこの順に備えるエンボス加工用フィルム200が得られる。
前記のエンボス加工用フィルム200においては、硬化樹脂層120の所定範囲のマルテンス硬さを有する面120Uが、基材フィルム210に面している。そして、この面120Uとは反対側の硬化樹脂層120の面120Dに、後の工程において、エンボス加工によって凹凸形状が形成される。
〔5.2.剥離工程〕
本例に係るエンボス加工品の製造方法では、硬化樹脂層120から仮支持体110を剥離する工程を行う。本例に係る製造方法では、エンボス加工用フィルム200を得た後で、仮支持体110を剥離する例を示す。
図4は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法において得られる、仮支持体110を剥離した後のエンボス加工用フィルム200を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、仮支持体110を剥離することによって、硬化樹脂層120の基材フィルム210とは反対側の面120Dが露出する。
〔5.3.エンボス加工工程〕
図5は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法において、硬化樹脂層120に型220を押し当てて凹凸形状を形成する様子を模式的に示す断面図である。
前記のようにエンボス加工フィルム200を得た後で、図5に示すように、エンボス加工フィルム200の硬化樹脂層120に型220を押し当てて、硬化樹脂層120の面120Dに凹凸形状を形成する工程を行う。凹凸形状の具体的な形状は限定されないが、光に照らされた際に凹凸形状が回折格子として機能する微細な凹凸構造を設けることにより、ホログラム像を表示できる表示媒体をエンボス加工品として得ることができる。
型220としては、硬化樹脂層120の面120Dに形成したい凹凸形状に応じた形状の面220Dを有する部材を用いうる。このような型220としては、平板状の型、ロール状の型、ドラム状の型、リング状の型など、様々な型を用いうる。中でも、エンボス加工品の製造は、長尺の硬化樹脂転写フィルム100を用いたロール・トゥ・ロール法によって行われることが多いので、通常は、硬化樹脂層120の面120Dに形成したい凹凸形状に応じた矩形状の外周面を有するロール状、ドラム状又はリング状の型を用いる。また、型220の材質に制限は無く、例えば金属製又は樹脂製の型220を用いうるが、耐熱性の観点から金属製が好ましく、例えば、ニッケル等の金属を用いうる。
型220を硬化樹脂層120に押し当てる際の条件は、所望の凹凸形状を形成できる範囲で、任意に設定しうる。好ましい範囲を示すと、型220で硬化樹脂層120を押圧する圧力は、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、特に好ましくは0.2MPa以上であり、好ましくは80MPa以下、より好ましくは50MPa以下、特に好ましくは20MPa以下である。圧力が、前記下限値以上であることにより、凹凸形状の転写を効果的に行うことができ、また、前記上限値以下であることにより、硬化樹脂層及び他の基材の破壊を抑制できる。また、型220で硬化樹脂層120を押圧する際の温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、特に好ましくは180℃以下である。温度が、前記範囲の下限値以上であることにより、室温で十分安定な配向状態を有する硬化樹脂層への凹凸形状の転写を効果的に行うことができ、また、前記上限値以下であることにより、硬化樹脂層の分解及び劣化を抑制できる。さらに、型220で硬化樹脂層120を押圧する時間は、硬化樹脂層の種類、フィルム形態、型の材質などにより異なるため一概には言えないが、好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.05秒以上、特に好ましくは0.1秒以上であり、好ましくは120秒以下、より好ましくは60秒以下、特に好ましくは30秒以下である。押圧時間が、前記下限値以上であることにより、凹凸形状の転写を効果的に行うことができ、また、前記上限値以下であることにより、生産性を高めることができる。前記の条件で型220を硬化樹脂層120に押し当てることにより、硬化樹脂層120の面120Dに、型220の面220Dの形状を正確に転写することができる。
〔5.4.型の取り外し工程〕
通常は、前記のように硬化樹脂層120の面120Dに凹凸形状を形成した後で、型220を取り外す。型220の取り外しは、硬化樹脂層120の冷却後に行ってもよく、型220で凹凸形状を形成する際の温度程度に高温で行ってもよい。硬化樹脂層120が所定範囲のマルテンス硬さを有しているので、型220を取り外す際に、型220に引っ張られて硬化樹脂層120が変形したり、型220と一緒に硬化樹脂層120の一部が剥離したりすることを、抑制できる。また、特に硬化樹脂層120と基材フィルム210とは接着剤を介して貼り合わせられている場合には、硬化樹脂層120の剥離を、より効果的に抑制することができる。したがって、型220の面220Dの形状を転写した凹凸形状を有する面120Dを有する硬化樹脂層120を、容易に得ることができる。
〔5.5.活性エネルギー線の照射工程〕
硬化樹脂層120の面120Dに凹凸形状を形成した後で、硬化樹脂層120に活性エネルギー線を照射して、硬化樹脂層120を更に硬化させる工程を行う。この工程は、硬化樹脂層120から型210を取り外す前に行ってもよく、硬化樹脂層120から型210を取り外すのと同時に行ってもよく、硬化樹脂層120から型210を取り外した後に行ってもよい。活性エネルギー線を照射して硬化樹脂層120を更に硬化させることにより、硬化樹脂層120の機械的強度を高めることができる。この工程において照射する活性エネルギー線の量は、例えば、50mJ/cm2〜10,000mJ/cm2としうる。
図6は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法によって得られたエンボス加工品300を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、活性エネルギー線の照射によって硬化樹脂層120を更に硬化させることによって、基材フィルム210と、この基材フィルム210とは反対側の面120Dに凹凸形状を形成された硬化樹脂層120とを備えるエンボス加工品300が得られる。また、基材フィルム210と硬化樹脂層120とが接着剤を介して貼り合わせられている場合、エンボス加工品300は、基材フィルム210と硬化樹脂層120との間に、接着層(図示せず。)を備える。
前記のエンボス加工品300において、硬化樹脂層120の凹凸形状は、型220の凹凸形状を正確に転写したものとなる。また、硬化樹脂層120が所定範囲のマルテンス硬さを有していたので、型220を押し当てて硬化樹脂層120に凹凸形状を形成した際、硬化樹脂層120中には、残留応力が残り難い。そのため、高温環境において硬化樹脂層120が柔軟になっても、硬化樹脂層120は残留応力によって変形を生じ難い。よって、硬化樹脂層120の凹凸形状は、高温環境においても変形しにくい。
硬化樹脂層120の凹凸形状は、エンボス加工品300の用途に応じて任意のものを採用しうる。例えば、凹凸形状は、当該凹凸形状によってホログラム像を表示できるものとしうる。凹凸形状の具体例を挙げると、一方向に延在する直線状の凹部又は凸部を複数含む形状、所定の間隔をあけて配列されたドット状の凹部又は凸部を複数含む形状;などが挙げられる。
上述したエンボス加工品300の製造方法は、従来は微小な凹凸形状の形成が困難であった液晶組成物の硬化物からなる硬化樹脂層120に、所望の凹凸形状を正確に形成できることを利点の一つとしている。
この利点を有効に活用する観点では、硬化樹脂層120の面120Dの凹凸形状の深さHは、好ましくは0.03μm以上、より好ましくは0.04μm以上、特に好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.4μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。また、凹凸形状の深さHは、硬化樹脂層の厚さ100%に対して、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。深さHが、前記範囲の上限値以下であることより、硬化樹脂層120に起因する選択反射特性、円偏光特性等の光学特性を十分に発揮させることができる。
また、前記の利点を有効に活用する観点では、硬化樹脂層120の面120Dの凹凸形状のピッチPは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
凹凸形状の形成後に硬化樹脂層120が活性エネルギー線の照射を受けて更に硬化しているので、エンボス加工品300の硬化樹脂層120の面120Dのマルテンス硬さHM1は、硬化樹脂転写フィルム100の硬化樹脂層120の仮支持体110とは反対側の面120Uのマルテンス硬さHM0よりも、高くなる。具体的には、マルテンス硬さの比HM1/HM0は、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.03以上、特に好ましくは1.05以上であり、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.00以下、特に好ましくは1.50以下である。
〔5.6.下地層の形成工程〕
エンボス加工品300の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、硬化樹脂層120が円偏光分離機能を有する場合、硬化樹脂層120の基材フィルム210とは反対側に、下地層を設ける工程を行ってもよい。下地層を備えるエンボス加工品を、以下「識別媒体」ということがある。
図7は、本発明の一実施形態に係るエンボス加工品の製造方法によって得られた識別媒体310を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、識別媒体310は、基材フィルム210、硬化樹脂層120及び下地層320を、この順に備える。下地層320は、硬化樹脂層120の選択反射帯域の光の少なくとも一部を吸収しうる層であり、例えば、顔料、染料等の着色剤を含む樹脂によって形成しうる。下地層320では、記号、文字、模様、画像等の像を描画してもよく、何ら像を描画しない無地の層としてもよい。このような下地層320を備える識別媒体310は、例えば、加飾用途、真正性識別用途などの用途に用いうる。
[6.セキュリティ物品]
上述したエンボス加工品は、セキュリティ物品の製造に用いうる。セキュリティ物品は、前記のエンボス加工品を対象物に貼合する工程を含む製造方法によって、製造しうる。前記の貼合には、必要に応じて、接着剤を用いてもよい。このようにして製造されたセキュリティ物品は、エンボス加工品を用いて、真正性の識別が可能である。
図8は、本発明の一実施形態に係るセキュリティ物品400を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、本発明の一実施形態に係るセキュリティ物品400は、対象物410に、エンボス加工品としての識別媒体310が貼合されている。識別媒体310は、対象物410側から、下地層320、硬化樹脂層120及び基材フィルム210を、この順に備える。
前記のセキュリティ物品400は、円偏光フィルタを用いて観察することによって、対象物410の真正性を識別できる。以下、硬化樹脂層120が、右円偏光を反射し、左円偏光を透過させうる円偏光分離機能を有している例を示して、前記の真正性の識別方法を説明する。
図9及び図10は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るセキュリティ物品400の一例を模式的に示す断面図である。
図9及び図10に示すように、セキュリティ物品400に自然光等の非偏光Lが照射されると、非偏光Lに含まれていた光成分のうちで、右円偏光Lは硬化樹脂層120で反射し、左円偏光Lは硬化樹脂層120を透過する。
よって、図9に示すように、右円偏光Lを透過させ左円偏光Lを遮りうる右円偏光フィルタ420を通して観察すると、硬化樹脂層120で反射された右円偏光Lが視認される。この右円偏光Lは、面120Dの凹凸形状による干渉光を含むので、観察者は、ホログラム像を視認できる。
他方、図10に示すように、左円偏光Lを透過させ右円偏光Lを遮りうる左円偏光フィルタ430を通して観察すると、下地層320で反射された左円偏光Lが視認される。この左円偏光Lは、面120Dの凹凸形状による干渉光をほとんど含まないので、観察者は、下地層320に描画された画像等の像を視認できる。
よって、右円偏光フィルタ420及び左円偏光フィルタ430を通して見た時の見え方の違いが前記のようになるか否かによって、識別媒体310が貼合された対象物410の真正性を識別することができる。
また、右円偏光フィルタ420及び左円偏光フィルタ430を用いる代わりに、照明として右円偏光及び左円偏光を用いた場合それぞれでの見え方の違いによっても、識別媒体310が貼合された対象物410の真正性を識別することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲から逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
(硬化樹脂層の反射帯域の測定方法)
硬化樹脂層の分光反射率を、分光光度計(日本分光社製「V−550」)を用いて測定した。この際、分光反射率は、横軸に波長、縦軸に当該波長における反射率をプロットしたグラフとして、得た。得られた分光反射率のグラフにおいて、最大の反射率Rmaxの30%以上の反射率が得られる波長帯域を、選択反射帯域として求めた。よって、選択反射中心波長λcは、前記の分光反射率のグラフにおいて、最大の反射率Rmaxの30%の反射率を示す2つの波長のうち、短波長側の波長λ1及び長波長側の波長λ2から、式λc=(λ1+λ2)/2により求めた。さらに、反射帯域幅Δλは、式Δλ=λ2−λ1により求めた。
(硬化樹脂層のマルテンス硬さの測定方法)
硬化樹脂転写フィルムのサンプルから、5cm×5cmの評価用サンプルを切り出した。この評価用サンプルを用いて、ビッカース圧子及び三角錐圧子(稜線同士の角度が115°)を用いた微小硬度計(島津製作所社製「DUH−211」)により、仮支持体フィルムとは反対側の硬化樹脂層の面のマルテンス硬さを測定した。この測定において、測定深度は、硬化樹脂層の厚みの略1/10の厚みとした。
(金型離型時の凹凸形状の変化の評価方法)
エンボス加工品の硬化樹脂層の表面を、原子間力顕微鏡を用いて観察した。観察された硬化樹脂層の表面の凹凸形状と、エンボス型としての金型に形成された凹凸形状とを対比して、下記の基準で評価した。
○:硬化樹脂層の表面の凹凸形状が、金型に形成された凹凸形状を反転させた形状(金型の表面に平行な平面に対して面対称の形状)となっていることから、金型の離形時に、硬化樹脂層の表面の凹凸形状の変化が全くないことが分かった。
△:硬化樹脂層の表面の凹凸形状が、金型に形成された凹凸形状を反転させた形状から僅かに異なっていることから、金型の離形時に、硬化樹脂層の表面の凹凸形状の変化がややあったことが分かった。
×:硬化樹脂層の表面の凹凸形状が、金型に形成された凹凸形状を反転させた形状から大きく異なっていることから、金型の離形時に、硬化樹脂層の表面の凹凸形状の変化がかなりあったことが分かった。
(高温環境における凹凸形状の変化の評価方法)
エンボス加工品の硬化樹脂層の表面を、原子間力顕微鏡を用いて観察して、凹凸形状の深さH(nm)を測定した。
その後、エンボス加工品を、150℃で8時間加熱した。
その後、エンボス加工品の硬化樹脂層の表面を、原子間力顕微鏡を用いて観察して、凹凸形状の深さH(nm)を測定した。
加熱による凹凸形状の深さの変化率を、下記の式によって計算した。この変化率が小さいほど、硬化樹脂層の凹凸形状が高温環境において変形し難いことを示す。
凹凸形状の深さの変化率(%)={(H−H)/H}×100
(高温環境によるホログラムの影響の評価方法)
エンボス加工品を、150℃で8時間加熱した。その後、エンボス加工品の硬化樹脂層の表面を目視観察し、下記の基準で評価した。
○:良好なホログラムの輝きが認められた。
×:ホログラムの輝きが弱かった。
[実施例1]
(1−1.硬化樹脂転写フィルムの製造)
長尺の仮支持体フィルム(東洋紡社製のポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4100」;厚み100μm)のロールを用意した。この仮支持体フィルムは、片面が、易接着処理を施された易接着処理面となっていた。
仮支持体フィルムのロールを、フィルム搬送装置の繰出し部に取り付けた。ロールから仮支持体フィルムを繰り出した。そして、仮支持体フィルムをその長手方向に搬送しながら、下記の操作を行った。
搬送される仮支持体フィルムの、易接着処理面とは反対側の面を、前記仮支持体フィルムの長手方向に擦るラビング処理を施した。
次に、ラビング処理を施した面に、表1に示す組成を有するコレステリック液晶組成物としての組成物1を、孔径0.45μmのフィルターで濾過した後、ダイコーターを用いて塗布した。組成物の粘度は、2.5mPa・sであった。これにより、仮支持体フィルムの片面に、未硬化状態のコレステリック液晶組成物の層が形成された。形成された層の湿潤膜厚は、約7μmであった。
得られた液晶組成物の層に、100℃で5分間、配向処理を施した。これにより、液晶組成物の層において、光重合性液晶化合物が配向し、コレステリック液晶相を呈した。また、前記の配向処理時の乾燥により、液晶組成物の層から溶媒が除去された。
その後、液晶組成物の層に対して、窒素雰囲気下で紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させた。この際の紫外線照射強度は、200mJ/cmであった。これにより、仮支持体フィルムと、液晶組成物層を硬化させて得た硬化樹脂層とを備える、長尺の硬化樹脂転写フィルムを得た。硬化樹脂層の厚みは1.0μm、選択反射中心波長λcは615nm、反射帯域幅Δλは130nmであった。また、硬化樹脂層を150℃において8時間加熱した後の選択反射中心波長λcは、616nmであった。
この硬化樹脂転写フィルムから、A4サイズのサンプルを切り出した。そして、このサンプルを用いて、硬化樹脂層のマルテンス硬さを、前記の測定方法によって測定した。
(1−2.エンボス加工品の製造)
ポリビニルアルコール5重量%及び水95重量%からなる接着剤を用意した。また、基材フィルムとして、鹸化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
長尺の硬化樹脂転写フィルムから別のサンプルを切り出した。このサンプルの硬化樹脂層の表面に、前記の接着剤を塗布した。そして、接着剤を塗工した面に、基材フィルムを貼り合わせ、ラミネーターに通して加圧した後、60℃×2分間の条件で乾燥して、エンボス加工用フィルムを得た。接着層の厚みは0.9μmであった。
エンボス型として、一方向に平行に並んで延在する複数の凸部と、それらの凸部の間に形成された凹部とを含む凹凸形状が形成された面を有する金型を用意した。この金型の凸部及び凹部は、断面が矩形状であり、凸部の高さは50nm、ピッチは2.0μmであった。
エンボス加工用フィルムから仮支持体フィルムを剥離して、硬化樹脂層を露出させた。露出した硬化樹脂層の面に、エンボス型を、圧力5MPa、温度80℃で1分間押し当て、硬化樹脂層の表面に凹凸形状を形成した。その後、金型を硬化樹脂層から取り外した。窒素雰囲気下で、3500mJ/cmの紫外線を照射して、硬化樹脂層を更に硬化させて、エンボス加工品を得た。
得られたエンボス加工品について、上述した方法によって評価を行った。
[実施例2]
前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を300mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[実施例3]
前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を400mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[実施例4]
前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を500mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[実施例5]
前記工程(1−1)において、組成物1の代わりに、表1に示す組成を有するコレステリック液晶組成物としての組成物2を用いた。また、前記工程(1−1)において、厚み1.9μmの硬化樹脂層が得られるように、組成物2の塗工厚みを変更した。さらに、前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を350mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[実施例6]
前記工程(1−1)において、組成物1の代わりに、表1に示す組成を有する液晶組成物としての組成物3を用いた。また、前記工程(1−1)において、厚み3.2μmの硬化樹脂層が得られるように、組成物3の塗工厚みを変更した。さらに、前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を600mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[比較例1]
前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を150mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[比較例2]
前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を600mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[比較例3]
前記工程(1−1)において、液晶組成物の層に対する紫外線照射強度を1000mJ/cmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、硬化樹脂転写フィルム及びエンボス加工品の製造及び評価を行った。
[実施例1〜6及び比較例1〜3の結果]
以下、実施例1〜6及び比較例1〜3の結果を、表に示す。下記の表において、略称の意味は、下記のとおりである。
Figure 0006980988
Figure 0006980988
Figure 0006980988
PET:ポリエチレンテレフタレート。
TAC:トリアセチルセルロース。
選択反射中心波長:硬化樹脂転写フィルムの硬化樹脂層の選択反射中心波長。
加熱後の選択反射中心波長:硬化樹脂層を150℃において8時間加熱した後の選択反射中心波長。
マルテンス硬さ:硬化樹脂転写フィルムの硬化樹脂層の、仮支持体フィルムとは反対側の面のマルテンス硬さ。
エンボス深さ:エンボス加工品の硬化樹脂層の表面に形成された凹凸形状の深さ。
離型時の変形評価:金型離型時の硬化樹脂層の表面の凹凸形状の変化の評価結果。
ホログラム評価:高温環境によるホログラムの影響の評価結果。
高温環境での変形評価:高温環境における硬化樹脂層の表面の凹凸形状の変化の評価結果。
Figure 0006980988
Figure 0006980988
Figure 0006980988
[実施例7]
金型離型時の凹凸形状の変形が無い硬化樹脂層を有するエンボス加工品として、実施例1で製造したエンボス加工品を用意した。このエンボス加工品の硬化樹脂層の凹凸形状面に、画像を印刷した。その後、エンボス加工品の基材フィルム側から、円偏光フィルターを通して、画像の見え具合を観察した。
観察の結果、右円偏光フィルター(右円偏光を透過し左円偏光を遮る円偏光フィルター)を用いた場合には、硬化樹脂層の表面の凹凸形状に基づくホログラムが鮮明に見られた。また、左円偏光フィルター(左円偏光を透過し右円偏光を遮る円偏光フィルター)を用いた場合には、硬化樹脂層の凹凸形状面に印刷された画像が鮮明に見られた。
[実施例8]
金型離型時の凹凸形状の変形がややあった硬化樹脂層を有するエンボス加工品として、実施例5で製造したエンボス加工品を用意した。このエンボス加工品の硬化樹脂層の凹凸形状面に、画像を印刷した。その後、エンボス加工品の基材フィルム側から、円偏光フィルターを通して、画像の見え具合を観察した。
観察の結果、右円偏光フィルターを用いた場合には、硬化樹脂層の表面の凹凸形状に基づくホログラムの凹凸境界部分がややぼんやり見られた。また、左円偏光フィルターを用いた場合でも、硬化樹脂層の凹凸形状面に印刷された画像がややぼんやり見られた。
[比較例4]
金型離型時の凹凸形状の変形がかなりあった硬化樹脂層を有するエンボス加工品として、比較例1で製造したエンボス加工品を用意した。このエンボス加工品の硬化樹脂層の凹凸形状面に、画像を印刷した。その後、エンボス加工品の基材フィルム側から、円偏光フィルターを通して、画像の見え具合を観察した。
観察の結果、右円偏光フィルターを用いた場合には、硬化樹脂層の表面の凹凸形状に基づくホログラムの凹凸境界部分が不明瞭であった。また、左円偏光フィルターを用いた場合でも、硬化樹脂層の凹凸形状面に印刷された画像が不明瞭であった。
100 硬化樹脂転写フィルム
110 仮支持体
120 硬化樹脂層
130 仮支持体のロール
140 ラビングロール
150 ダイ
160 液晶組成物の層
170 オーブン
180 光源
190 硬化樹脂転写フィルムのロール
200 エンボス加工用フィルム
210 基材フィルム
220 型
300 エンボス加工品
310 識別媒体
320 下地層
400 セキュリティ物品
410 対象物
420 右円偏光フィルタ
430 左円偏光フィルタ

Claims (7)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムに貼り合わせられた、光重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物からなる硬化樹脂層とを備えるエンボス加工用フィルムの前記硬化樹脂層に型を押し当てて、凹凸形状を形成する工程、及び、
    凹凸形状を形成された前記硬化樹脂層に、活性エネルギー線を照射する工程、を含む、エンボス加工品の製造方法であって
    前記硬化樹脂層の前記基材フィルムに面した面のマルテンス硬さが、50N/mm以上120N/mm以下である、エンボス加工品の製造方法
  2. 前記液晶組成物が、コレステリック液晶組成物である、請求項1に記載のエンボス加工品の製造方法
  3. 前記硬化樹脂層の厚みが、7μm以下である、請求項1又は2に記載のエンボス加工品の製造方法
  4. 前記硬化樹脂層が、活性エネルギー線の照射により硬化しうる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンボス加工品の製造方法
  5. 前記硬化樹脂層の前記基材フィルムに面した面のマルテンス硬さが、110N/mm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンボス加工品の製造方法
  6. 前記凹凸形状の深さが、0.03μm〜0.5μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンボス加工品の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンボス加工品の製造方法によってエンボス加工品を製造する工程と、
    製造されたエンボス加工品を対象物に貼合する工程と、を含む、セキュリティ物品の製造方法。
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