JP6980590B2 - ポリエチレン系樹脂押出発泡シート - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートに関する。
ポリエチレン系樹脂押出発泡シート(以下、単に押出発泡シートと呼ぶことがある)は、例えば、物品のトラック輸送時において物品間やコンテナと物品との間に介在させて使用される緩衝材など、様々な用途で使用される。押出発泡シートは、必要に応じて様々な厚みを有するものが使用される。厚みの大きな緩衝材等が要請される場合、押出発泡シートを複数積層した積層発泡シートが汎用されている。
積層発泡シートを構成する個々のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法としては、押出機内でポリエチレン系樹脂を溶融して溶融樹脂を形成し、その溶融樹脂に発泡剤を圧入し且つ混練して発泡性樹脂溶融物を形成し、発泡性樹脂溶融物を押出機内から大気中に押出して発泡させてポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法(押出発泡法と呼ぶことがある)が挙げられる。
押出発泡法でポリエチレン系樹脂押出発泡シートを得ようとする場合、得られる押出発泡シートの厚みにムラ(コルゲートと呼ぶことがある)が生じることがある。なお、コルゲートとは、一般に、押出発泡シートの押出方向に対して直交する方向(押出発泡シートの幅方向)に沿って、押出発泡シートの厚みが厚くなる箇所と薄くなる箇所とが交互におおよそ一定の間隔で表れる、いわゆる押出発泡シートの厚みの厚薄形成現象である。
コルゲートは、例えば、ポリエチレン系樹脂押出発泡シート内に形成される気泡の大きさを大きくする(気泡径を大きくする)ことで抑制することができる。しかしながら、気泡径を大きくすると、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの表面状態(外観)が悪化するという問題がある。
そこで、ポリエチレン系樹脂発泡シートとして、ポリエチレン系樹脂を用いた発泡体で構成される芯層に、芯層よりも発泡倍率が低く芯層の平均気泡径よりも小さな平均気泡径を有する表面層が積層された、積層構造を有するポリエチレン系樹脂発泡体が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に提案されるポリエチレン系樹脂発泡体は、芯層の見掛け密度が表面層の見掛け密度に対して小さいため、ポリエチレン系樹脂発泡体の圧縮強度が低下するおそれがあった。
そこでポリエチレン系樹脂発泡シートの圧縮物性の低下を抑制しながらコルゲートを抑制する方法として、押出発泡法に適用されるダイとして環状ダイを採用してポリエチレン系樹脂発泡シートを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。この方法では、環状ダイからポリエチレン系樹脂を押出して筒状に単層の発泡成形体が形成される。そして、この筒状の発泡成形体を切り開くことでポリエチレン系樹脂発泡シートが得られる。
特開2001−347619号公報 特開2003−165858号公報
しかしながら、昨今においては、特許文献2で得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体に対して、コルゲートを抑制しつつ、圧縮強度を向上させると共に、その表面状態を向上させることが要請されてきている。
本発明は、コルゲートの発生を抑制しつつ、圧縮物性に優れると共に、優れた表面状態を有するポリエチレン系樹脂押出発泡シートを得ることを目的とする。
本発明は、(1)ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし、見掛け密度が18kg/m以上90kg/m以下であり平均厚みが5mm以上30mm以下であるポリエチレン系樹脂押出発泡シートであって、
前記押出発泡シートが、ポリエチレン系樹脂発泡芯層と、該ポリエチレン系樹脂発泡芯層の両面に共押出により積層接着されたポリエチレン系樹脂発泡表面層とを有し、
押出発泡シート全体の見掛け密度に対する、押出発泡シートの表面から厚み方向中心に向かって平均厚みの10%までの部分として定められる表層部の見掛け密度の比率が、0.8以上1.2以下であり、
押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径が1.5mm以下であると共に、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率が0.8以上1.2以下であり、
押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径の比が1.0以上であり、
前記押出発泡シートの表面粗さRaが、80μm以下であることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂押出発泡シート、
)前記発泡芯層に対する、片面あたりの前記発泡表面層の比が、質量比で0.1以上0.5以下であることを特徴とする、上記()に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート、
)前記押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径が、1.5mm以下であることを特徴とする、上記(1)または)に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート、
)前記押出発泡シートの押出方向に沿った任意の位置において、押出方向と直交する幅方向に引いた直線に沿って、1cmおきに押出発泡シートの厚みを測定したときに、周期的な厚みの厚薄が認められないか、又は厚み厚薄が認められる場合に、厚み厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値が、いずれも1.07以下であることを特徴とする、上記(1)〜()のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート、
)前記押出発泡シートの独立気泡率が、80%以上であることを特徴とする、上記(1)〜()のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート、
を要旨とする。
本発明によれば、コルゲートの発生を抑制しつつ、圧縮物性に優れると共に、優れた表面状態を有するポリエチレン系樹脂押出発泡シートを得ることができる。
図1は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの実施例の一つを示す概略断面図である。 図2は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの実施例の一つを示す概略断面図である。 図3は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートが共押出法にて製造される場合における、共押出法を実施するための共押出装置の実施例の一つを模式的に説明するための図である。 図4は、発泡体のコルゲートを模式的に説明するための図である。
本発明は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートである。
[押出発泡シート1]
図1、図2に例示されるように、ポリエチレン系樹脂押出発泡シート1には、表層部20と芯層部30が形成されている。以下、押出発泡シート1の例を参照しつつ本発明について説明する。
(押出発泡シート1の基材樹脂)
押出発泡シート1は、ポリエチレン系樹脂発泡体から構成される。ポリエチレン系樹脂発泡体を形成する基材樹脂は、ポリエチレン系樹脂である。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレンとコモノマーとの共重合体でエチレン成分が50モル%を超えるもの、更にそれら2種以上の混合物等が挙げられる。
なお、一般に、低密度ポリエチレンとは、長鎖分岐構造を有する密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン系樹脂をいい、直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンと炭素数4から8のα−オレフィンとの共重合体であって実質的に分子鎖が線状である密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン系樹脂をいい、高密度ポリエチレンとは、密度が930kg/m以上のポリエチレン系樹脂をいう。これらの中でも、緩衝性と圧縮強度とのバランスに優れる観点から、密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
(押出発泡シート1の厚み)
押出発泡シート1は、厚みが5mm以上30mm以下である。押出発泡シート1の厚みが5mm以上30mm以下であることで、安定して押出発泡を行うことができ、良好な押出発泡シートを得ることができる。このような効果を向上させる観点からは、押出発泡シート1の厚みは10mm以上25mm以下が好ましい。なお、ここにいう押出発泡シート1の厚みは、押出発泡シート1の全厚みであり、且つ、平均厚みである。
(厚みの特定方法)
押出発泡シート1の厚み(mm)は次に例示するようにして特定することができる。ここに、押出発泡シート1の厚み(mm)は、押出発泡シート1の平均厚みを示す。押出発泡シート1の平均厚みは、押出発泡シート1の幅方向にわたって、その厚みを等間隔に30点測定し、これらの算術平均値を算出する。この測定を押出発泡シート1の5箇所に対して行い、これらの算術平均値を平均厚みとする。
(押出発泡シート1全体の見掛け密度)
押出発泡シート1は、その全体の見掛け密度が18kg/m以上90kg/m以下である。押出発泡シート1全体の見掛け密度を前記範囲とすることで、軽量性と圧縮物性等の機械的物性のバランスに優れる押出発泡シートを得ることができる。この効果をより向上させる観点からは、押出発泡シート1は、全体の見掛け密度が18kg/m以上60kg/m以下であることが好ましく、20kg/m以上45kg/m以下であることがより好ましい。
(見掛け密度の比率)
押出発泡シート1は、その押出発泡シート1全体の見掛け密度に対する、押出発泡シート1の表面から厚み方向中心に向かって押出発泡シート1全体の平均厚みの10%までの部分として定められる表層部20の見掛け密度の比率が、0.8以上1.2以下となるように構成されている。押出発泡シート1全体の見掛け密度に対する表層部20の見掛け密度の比率が、大きすぎるまたは小さすぎると、発泡体の中央部(芯層部)と表層部との物性差が大きくなり、押出発泡シートの圧縮強度が低下するおそれがある。なお、芯層部30は、発泡体の厚み方向中央部分であり、表層部に挟まれる部分である。
なお、押出発泡シート1が、後述する共押出により、発泡芯層と発泡表面層とを有する積層発泡シートで構成されている場合、発泡表面層と発泡芯層との境界付近での座屈が生じやすくなり、圧縮物性が低下しやすくなる傾向がある。しかしながら、押出発泡シート1は、前記見掛け密度の比率を前記範囲とすることで良好な圧縮物性を有する押出発泡シートとすることができる。また、こうした効果を向上させる観点からは、押出発泡シート全体の見掛け密度に対する表層部の見掛け密度の比率は、0.9以上1.1以下であることが好ましい。
(押出発泡シート1全体の見掛け密度の特定)
押出発泡シート1全体の見掛け密度(kg/m)は、押出発泡シート1から所定寸法の試験片を切出し、試験片の質量を試験片の体積で割り算し、[kg/m]に単位換算することにより求めることができる。
(表層部20の見掛け密度の特定)
押出発泡シート1の表層部20の見掛け密度は、押出発泡シート1の表面から押出発泡シートの平均厚みの10%の深さの位置までの厚みを有する所定寸法の試験片を、押出発泡シート1から切出し、試験片の質量を試験片の体積で割り算し、[kg/m]に単位換算することにより求めることができる。
(最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径、水平方向の平均気泡径の比率)
また、押出発泡シート1においては、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径が1.5mm以下であると共に、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率(水平方向の平均気泡径の比率)が、0.8以上1.2以下である。
押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径が大きすぎると、表層部20の気泡径が大きくなり、押出発泡シート1の表面平滑性が低下するおそれがある。また、押出発泡シート1全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率が、大きすぎるまたは小さすぎると、発泡体の中央部(芯層部30)と表層部20との物性差が大きくなり、押出発泡シート1の圧縮強度が低下するおそれがある。かかる観点から、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径は、1.4mm以下であることが好ましく、1.3mm以下であることがより好ましく、1.2mm以下であることがさらに好ましい。コルゲートの発生をより安定して抑制する観点から、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の下限は、概ね0.6mmであることが好ましく、0.8mmであることがより好ましい。
押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率は、0.9以上1.1以下であることが好ましい。
特に、押出発泡シート1が、後述する共押出により発泡芯層と発泡表面層との積層構造を有する積層シートで形成される場合おいて、最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径、水平方向の平均気泡径の比率を上記範囲とすることで、表面平滑性、圧縮物性が良好な押出発泡シートとすることができる。
なお、本明細書において、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡とは、押出発泡シート1の表面との間に他の気泡を介在させていない状態で形成されている気泡を示すものとする。
(押出発泡シート全体についての気泡の水平方向の平均気泡径)
また、表面平滑性と圧縮物性とを両立させる観点から、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径は、1.5mm以下であることが好ましく、1.4mm以下であることがより好ましく、1.3mm以下であることがさらに好ましく、1.2mm以下であることが特に好ましい。なお、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径の下限は、概ね0.6mmであることが好ましく、0.8mmであることがより好ましい。
また、押出発泡シート1に関して、水平方向とは、押出発泡シート1の厚み方向に沿った方向に法線を有する平面に対して平行な方向であるものとする。なお、押出発泡シート1の水平方向には、押出発泡シート1の押出方向及び幅方向のいずれについても含まれる。そして、水平方向の平均気泡径の好ましい範囲は、押出方向の平均気泡径の好ましい範囲であるとともに、幅方向の平均気泡径の好ましい範囲にも対応する。
なお、圧縮物性と表面平滑性とのバランスをより良好にする観点から、押出発泡シート全体についての幅方向の平均気泡径に対する、押出発泡シート全体についての押出方向の平均気泡径の比は、概ね0.7以上1.1以下であることが好ましい。
また、押出発泡シート1において、押出方向とは、押出発泡シート1の原料となる基材樹脂を含む発泡性樹脂溶融物を押出機から押出する際における発泡性樹脂溶融物の押出方向に一致しており、幅方向は、押出発泡シート1の厚み方向及び押出方向に対して垂直に交差する方向である。
(気泡の水平方向の平均気泡径と気泡の厚み方向の平均気泡径との比率)
押出発泡シート1においては、押出発泡シート1全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート1全体についての厚み方向の平均気泡径の比が1.0以上である。水平方向の平均気泡径に対する厚み方向の平均気泡径の比が小さすぎると、気泡が扁平形状(水平方向に長い気泡形状)となり、押出発泡シート1の圧縮強度や表面平滑性が低下するおそれがあると共に、コルゲートが発生するおそれがある。上記観点からは、押出発泡シート1は、押出発泡シート1全体についての水平方向の平均気泡径に対する厚み方向の平均気泡径の比が1.1以上であることがより好ましい。
(最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径と最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の比率)
押出発泡シート1においては、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の比率に関する好ましい範囲は、次のとおりである。すなわち、押出発泡シート1の表面平滑性をより高めることができる観点から、最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径に対する最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の比が1.0以上であることが好ましい。
(押出発泡シート1全体についての気泡の水平方向の平均気泡径の特定)
押出発泡シート1全体についての気泡の水平方向の平均気泡径(mm)は、例えば次に示すように特定することができる。まず、押出発泡シート1の押出方向に沿った切断面(押出方向垂直断面)及び押出発泡シート1の押出方向に沿った方向に法線ベクトルを有するような切断面(幅方向垂直断面)を、顕微鏡等にて拡大し拡大画像を得る。そして、拡大画像上に認められる全ての気泡に対して、各気泡の押出方向あるいは幅方向の気泡径を計測する。なお、気泡の押出方向の気泡径をMD(Machine Direction)断面水平フェレ径、気泡の幅方向の気泡径をTD(Transverse Direction)断面水平フェレ径と呼ぶことがある。
押出発泡シート1を切断する位置を無作為に各5か所選択して各位置で切断面を特定し、上記した気泡径の計測方法を適用して、各垂直断面における水平フェレ径を計測する。5か所の垂直断面における、MD断面水平フェレ径の算術平均値及びTD断面水平フェレ径の算術平均値を算出し、これらの算術平均値の相乗平均を、気泡の水平方向の平均気泡径とする。
(最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の特定)
押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径(mm)については、次に示すように特定することができる。まず、押出発泡シート1の押出方向に沿った切断面(押出方向垂直断面)及び押出発泡シート1の押出方向に沿った方向に法線ベクトルを有するような切断面(幅方向垂直断面)を、顕微鏡等にて拡大し拡大画像を得る。そして、拡大画像上に認められる、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡全てに対して、各気泡の押出方向あるいは幅方向の気泡径(MD断面水平フェレ径、TD断面水平フェレ径)を計測する。
押出発泡シート1を切断する位置を無作為に各10か所選択して各位置で切断面を特定し、上記した気泡径の計測方法を適用して、各垂直断面における水平フェレ径を計測する。10か所の垂直断面における、MD断面水平フェレ径の算術平均値及びTD断面水平フェレ径の算術平均値を算出し、これらの算術平均値の相乗平均を、最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径とする。
(押出発泡シート1全体についての気泡の厚み方向の平均気泡径の特定)
押出発泡シート1全体についての気泡の厚み方向の平均気泡径(mm)は、例えば次に示すように特定することができる。まず、押出発泡シート1の押出方向に沿った切断面(押出方向垂直断面)及び押出発泡シート1の押出方向に沿った方向に法線ベクトルを有するような切断面(幅方向垂直断面)を、顕微鏡等にて拡大し拡大画像を得る。拡大画像上に認められる全ての気泡に対して、押出方向垂直断面あるいは幅方向垂直断面における各気泡の厚み方向の気泡径(MD断面垂直フェレ径、TD断面垂直フェレ径)を計測する。
押出発泡シート1を切断する位置を無作為に各5か所選択して各位置で切断面を特定し、上記した気泡径の計測方法を適用して、各垂直断面における垂直フェレ径(MD断面垂直フェレ径及びTD断面垂直フェレ径)を計測する。さらに、5か所の垂直断面におけるMD断面垂直フェレ径の算術平均値及びTD断面垂直フェレ径の算術平均値が算出される。そして、MD断面垂直フェレ径の算術平均値とTD断面垂直フェレ径の算術平均値との相乗平均を、押出発泡シート1全体についての気泡の厚み方向の平均気泡径とする。
(最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の特定)
拡大画像上に認められる最表面側に位置する気泡に対して、気泡の厚み方向の気泡径(MD断面垂直フェレ径、TD断面垂直フェレ径)を計測するほかは、押出発泡シート1全体についての気泡の厚み方向の平均気泡径の特定方法と同様の方法を実施する。これにより、最表面側に位置する気泡について、MD断面垂直フェレ径の算術平均値とTD断面垂直フェレ径の算術平均値を特定することができ、また、最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の特定を実施することができる。
図1に示すように、押出発泡シート1(1a)は、単一種の樹脂組成物に基づき形成された非積層(単層)状態の単層シートから構成されてよい。また、押出発泡シート1は、それぞれ別途調製された複数の樹脂組成物それぞれに基づき形成された層を積層した積層構造(例えば、2層構造や3層構造)を有する積層シートから構成されていてもよい。本発明においては、図2に示すように、押出発泡シートが、第1のポリエチレン系樹脂発泡層からなる発泡芯層と、その発泡芯層の両面に積層接着された第2のポリエチレン系樹脂発泡層からなる発泡表面層とを有する3層構造の押出発泡シート1bで構成されていることが好ましい。なお、押出発泡シート1が積層シートから構成されている場合、図2に示す押出発泡シート1bの例では、発泡芯層と芯層部、発泡表面層と表層部がそれぞれ一致しているが、押出発泡シート1はこれに限定されない。すなわち、押出発泡シート1には、発泡芯層と芯層部が一致していない場合が含まれてよく、また、発泡表面層と表層部が一致していない場合も含まれてよい。
特に、後述する共押出法により、上記3層構造の押出発泡シート1bを形成することで、押出発泡シート1全体の見掛け密度と表層部の見掛け密度との比、押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径、押出発泡シート1全体の水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート1の最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比、押出発泡シート1全体の水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート1全体の厚み方向の平均気泡径の比率を満たす押出発泡シート1を安定して得ることができる。
なお、押出発泡シート1b等の積層構造を有する押出発泡シートにおいても、前記した方法と同様な方法で、表層部の見掛け密度や、平均気泡径を測定することができる。
また、押出発泡シート1bにおいては、押出発泡シート1bの両面ともに、押出発泡シート1aを用いて説明した「押出発泡シート全体の見掛け密度に対する表層部の見掛け密度の比率」が好ましい。また、押出発泡シート1bの両面ともに、押出発泡シート1aを用いて説明した「押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径」を満たすことが好ましい。さらに、押出発泡シート1bの両面ともに、押出発泡シート1aを用いて説明した「押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率」を満たすことが好ましい。
共押出により3層構造の押出発泡シートを製造する場合、圧縮物性に優れると共に表面平滑性の良好な押出発泡シートを安定して得る観点から、発泡芯層に対する、片面あたりの発泡表面層の比が、質量比で0.1以上0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以上0.4以下であり、さらに好ましくは0.1以上0.3以下である。
なお、発泡芯層と、片面あたりの発泡表面層との質量比は、押出時における各層の吐出量の比から求めることができる。また、それぞれの発泡表面層が、上記質量比の関係を満たすことが好ましい。
また、3層構造の押出発泡シート1bにおいては、発泡表面層と発泡芯層とを形成する基材樹脂は、互いに異なる種類であってもよいし、同じ種類であってもよい。
(独立気泡率)
押出発泡シート1は、独立気泡率が80%以上であることが好ましい。独立気泡率が80%以上であることで、圧縮強度(緩衝性)及び表面平滑性により優れる押出発泡シート1を得ることができるという効果が得られる。こうした効果を向上させる観点からは、押出発泡シート1の独立気泡率は、82%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。なお、押出発泡シート1の独立気泡率は、押出発泡シート1全体についての独立気泡率を示すものとする。また、独立気泡率の上限は、概ね95%である。
(独立気泡率(%)の特定)
押出発泡シート1の独立気泡率は、例えば次のようにして特定することができる。押出発泡シート1から試験片を切り出し、ASTM−D2856−70の手順Cに準拠して試験片の真の体積Vxを測定し、下記式(1)により独立気泡率S(%)を算出する。測定装置としては、例えば、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型等を使用することができる。
Figure 0006980590
ただし、上記式(1)中、Vxは、上記測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm)(試験片を構成する樹脂組成物の体積と、試験片の独立気泡部分の気泡全体積との和に相当する。)、Vaは、試験片の外形寸法から算出された試験片の見掛け上の体積(cm)、Wは、試験片の全重量(g)、ρは、押出発泡シートを構成する樹脂組成物の密度(g/cm)を示す。なお、独立気泡率は、見掛け体積が概ね20cm以上30cm以下となるように発泡シートから切り出した、発泡シート厚みの試験片を用いて測定する。また、押出発泡シートから上記見掛け体積の試験片を切り出せない場合には、発泡シート厚みの試験片を複数枚重ねることで見掛け体積が概ね20cm以上30cm以下となるように調整して測定を行ってもよい。
(表面粗さ)
押出発泡シート1は、その表面粗さ(算術平均粗さRa)が80μm以下であることが好ましい。表面粗さが80μm以下であることで、より表面平滑性に優れる押出発泡シートを得ることができるようになる。こうした効果をより向上させる観点からは、押出発泡シート1の表面粗さは、70μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましい。なお、表面粗さの下限は、概ね15μmである。
(表面粗さの特定)
押出発泡シート1の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、例えば、JIS B0601−2001に基づき測定される。測定装置としては、例えば、株式会社小坂研究所製、表面粗さ測定機Surfcoder(型式:SE1700α)を用いることができる。
(周期的な厚みの厚薄)
押出発泡シート1の押出方向に沿った任意の位置において、押出方向と直交する幅方向に引いた直線に沿って、1cmおきに押出発泡シート1の厚みを測定したときに、周期的な厚みの厚薄が認められないか、または厚み厚薄が認められる場合に、厚み厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値が、いずれの周期部分においても1.07以下であることが好ましい。なお、周期的に厚みが異なる部分が存在したとき、周期的な厚みの厚薄が認められると判断できる。周期的な厚みの厚薄が認められた場合には、厚みの厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値を求める。
なお、押出発泡シート1の押出方向と直交する幅方向に引いた直線に沿って押出発泡シート1の厚み厚薄が認められた場合において、押出発泡シート1のうち、押出発泡シート1の押出方向と直交する幅方向に引いた直線に沿った厚み厚薄の1周期にあたる部分を周期部分と呼ぶ。周期部分としては、例えば、図4を用いて後述する第1の周期R1で特定される部分、第2の周期R2で特定される部分を挙げることができる。
ここで、「周期的な厚みの厚薄」とは、押出方向と直交する幅方向において、厚みが厚い箇所と厚みが薄い箇所とが交互に且つほぼ一定の間隔(通常は2cmから7cm程度の間隔)で現れる厚みの厚薄のことを意味する。この「周期的な厚みの厚薄」は一般に「コルゲート」と呼ばれているものである。
一般に、押出発泡シート1のように見掛け密度が小さく且つ厚みの厚いポリエチレン系樹脂発泡体は、柔軟性に特に優れるものであるが、それを押出発泡により製造しようとするとコルゲートが現れ易い。コルゲートは発泡体全体の波打ち現象や、気泡の大小による帯状の縞模様として現れる。コルゲートは見掛け密度が小さくなるほど、また厚みが厚くなるほど、また気泡径が小さくなるほど顕著に表れる傾向がある。
厚みの厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した除算値が1.07以下ということは、コルゲートを実質的に無視できることを意味する。さらに確実にコルゲートの影響を小さくする為に、前記除算値は、1.05以下であることが望ましい。
(周期的な厚みの厚薄の測定方法)
厚みの厚薄の1周期内の厚みの最大値を最小値で除した値の特定方法について、図4を参照して説明する。図4はコルゲートが発生した発泡体100における、発泡体100の押出方向と直交する幅方向の垂直断面を模式的に示すものである。発泡体100の幅方向に周期的に現われる厚み厚薄は、厚みの山と谷が交互にほぼ一定の間隔で現れる。
図4に示すように、発泡体100の一方の端縁部101に最も近い位置にある山の頂点P1における厚みをT1、この山の隣の山の頂点P2における厚みをT2とし、P1からP2までの距離を厚みの厚薄の「第1の周期」(図4中、矢印R1で示す)とする。厚みT1及び厚みT2を比較して、大きい方を第1の周期の厚みの最大値とする。
次に、「第1の周期」内で最も厚みの薄い谷部V1の厚みt1を測定する。さらに山の頂点P2と、この山の更に隣の山の頂点P3までを「第2の周期」(図4中、矢印R2で示す)とし、P3における厚みT3と第2の周期内で最も厚みの薄い谷部V2の厚みt2(厚みの最小値)を測定する。以後同様に「第3の周期」、「第4の周期」・・・・等、周期的な厚みの厚薄の周期の全てについて同様の測定を行う。
こうして、各周期で厚みの最大値を最小値で除した値を求める。即ち、第1の周期ではT1 、T2のいずれか大きい方をt1で除した値を求め、第2の周期ではT2とT3のいずれか大きい方をt2で除した値を求める。このように全ての周期において、2つの山の頂点における厚みの大きい方の値を、厚みの最も薄い谷部の厚みで除した値を求めるのである。
なお、発泡体について上述したような厚みの厚薄の1周期内の厚みの最大値を最小値で除した値の特定方法を実施した際に、その発泡体に周期的な厚みの厚薄が認められない場合、すなわち厚みの厚薄の1周期内における厚みの最大値と最小値が認められない場合とは、厚み厚薄の測定対象物である発泡体には「コルゲート」の存在が認められないことを意味する。また、厚みの厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値が、全ての周期においていずれも1.07以下である場合とは、発泡体のコルゲートは実質的に無視できる程度であり、発泡体はコルゲートの存在が実質的に認められない状態にあるということを示す。
本発明の押出発泡シートは、例えば2枚以上10枚以下程度の枚数の押出発泡シートを積層接着してなる積層体の状態として利用されてよい。このような積層体は、厚みが厚く、表面性、厚みの均一性、緩衝性が良好であるため、厚物の緩衝材等として好適に用いることができる。
[押出発泡シート1の製造]
押出発泡シートは、例えば次に示すように押出発泡法を用いて製造することができる。まず、押出機に基材樹脂となるポリエチレン系樹脂を供給するとともに気泡調整剤を供給し、押出機内で基材樹脂を溶融混練して溶融混練物となし、さらに押出機内に発泡剤を圧入して溶融混練物をさらに混練することで発泡性溶融物を調製する。そして、押出機の下流側の先端位置に取り付けられたダイから発泡性溶融物を押出すことで押出発泡体を形成する。ダイとして環状ダイ(サーキュラーダイ)を用いる場合、筒状発泡体が形成され、この筒状発泡体を筒状冷却管(以下、マンドレルともいう。)に沿わせて引取り機で引取りながら切り開くことでシート状の発泡体が得られる。このシート状の発泡体が、押出発泡シートとなる。
コルゲートの発生を実質的に認められない状態の押出発泡シートであって、且つ、表面平滑性及び圧縮物性が良好な押出発泡シートを安定して得ることができる観点から、環状ダイを用いた共押出発泡法により、第1のポリエチレン系樹脂発泡層からなる発泡芯層と、該発泡芯層の両面に積層接着された第2のポリエチレン系樹脂発泡層からなる発泡表面層とを有する3層の積層シートを押出発泡シート1として製造することが好適である。
押出発泡シート1を共押出発泡法を用いて製造する方法の一例について、図3を用いて説明する。図3に示すように、少なくとも第1の押出機12と第2の押出機11を用いた共押出装置が準備される。第1の押出機12には、第1のポリエチレン系樹脂発泡層を形成するための第1のポリエチレン系樹脂6が基材樹脂として供給されるとともに気泡調整剤7が供給され、第1の押出機12内で基材樹脂を溶融混練して第1の溶融混練物となし、さらに第1の押出機12内に発泡剤8を圧入してさらに混練することで発泡性樹脂溶融物としての発泡芯層形成用溶融物9を調製する。他方、第2の押出機11には、第2のポリエチレン系樹脂発泡層を形成するための第2のポリエチレン系樹脂2が基材樹脂として供給されるとともに気泡調整剤3が供給される。そして、第2の押出機内で基材樹脂を溶融混練して第2の溶融混練物が形成され、さらに第2の押出機11内に発泡剤4を圧入してさらに混練することで発泡性樹脂溶融物としての発泡表面層形成用溶融物5を調製する。これらの発泡芯層形成用溶融物9と発泡表面層形成用溶融物5は、押出機の先端やダイ(共押出用ダイ13)の内部で合流され押出される。ダイ13として環状ダイ(サーキュラーダイ)を用いる場合、押出により筒状発泡体が形成され、この筒状発泡体を筒状冷却管に沿わせて引取り機で引取りながら切り開くことでシート状の発泡体が得られる。このシート状の発泡体が、押出発泡シート1となる。
気泡調整剤としては、有機系のもの無機系のもの特に問われることなく利用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等を挙げることができる。また、クエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として使用することができる。さらに、これら例示した各気泡調整剤は、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、気泡調整剤としては、上述した中でも、押出発泡シート1の気泡径を調整しやすい観点から、タルクを用いることが好ましい。なお、気泡調整剤は、各層を形成する樹脂溶融物100質量部に対して、概ね0.1質量部以上5質量部以下の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上3質量部以下である。
物理発泡剤は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造に適用することができるものであれば特に限定されず利用することができる。物理発泡剤としては、無機系物理発泡剤や有機系物理発泡剤を利用することができる。無機系物理発泡剤としては、例えば、酸素、窒素、二酸化炭素、空気等を挙げることができる。有機系物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等が挙げられる。さらに、これら例示した各発泡剤は、2種類以上を混合して使用されてもよい。
これらの中でも、安定して押出発泡を行うことができ、良好な発泡シートを安定して得ることができるという観点から、ブタンを用いることが好ましい。また、押出発泡シートの表面性を高めつつ、押出発泡シートの養生期間を短縮できる観点から、発泡芯層形成用溶融物の物理発泡剤としてノルマルブタンとイソブタンとを用いることが好ましく、表面発泡層形成用溶融物の物理発泡剤としてイソブタンを用いることが好ましい。なお、物理発泡剤は、各層を形成する樹脂溶融物100質量部に対して、概ね2質量部以上20質量部以下の範囲で添加することができる。
なお、押出発泡シート1が押出発泡法を用いて製造される場合においては、発泡芯層形成用溶融物9と発泡表面層形成用溶融物5をそれぞれ調製する際に、それぞれ個別に収縮防止剤が配合されてもよい。
収縮防止剤としては、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミド等が例示される。脂肪酸エステルとしては、炭素数8から30の脂肪酸と水酸基を3個から7個有する多価アルコールとのエステルを好適に用いることができ、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘン酸モノグリセライドを用いることがより好ましい。脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−エチルオクタデシルアミン、ヘキサデシルプロピレンジアミン、オクタデシルプロピレンジアミンなどが挙げられる。脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルステアリン酸アミド、N,N−ジエチルステアリン酸アミド、ジラウリン酸アミド、ジステアリン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリステアリン酸アミドなどが挙げられる。
収縮防止剤は、各層を形成する樹脂溶融物100質量部に対して、概ね0.05質量部以上5質量部以下の範囲で添加されることが好ましい。また、表面平滑性に優れる押出発泡シートを得やすくする観点から、発泡表面層形成用溶融物5に添加される収縮防止剤の添加量が、発泡芯層形成用溶融物9に添加される収縮防止剤の添加量よりも多いことが好ましい。
押出発泡シートついて、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、その他の合成樹脂やエラストマー、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗菌剤、無機充填剤等の添加剤を添加することができる。押出発泡シートが発泡芯層、発泡表面層を備える場合においては、発泡芯層、発泡表面層それぞれにおいて、上記したような添加剤を添加することができる。
本発明の押出発泡シートは、コルゲートを抑制しつつ優れた表面状態を有し、さらに圧縮物性に優れるものである。押出発泡シートは、押出発泡シート全体の見掛け密度に対する、押出発泡シートの表面から厚み方向中心に向かって平均厚みの10%までの部分として定められる表層部の見掛け密度の比率が、0.8以上1.2以下であるという構成、押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径が1.5mm以下であるという構成、さらに、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率が、0.8以上1.2以下であるという構成を備える。押出発泡シートは、これらの構成を備えることから、表層部の気泡径を小さくして押出発泡シートの表面平滑性を向上させることができると共に、発泡体の中央部(芯層部)と表層部との密度及び気泡径が近づくことで物性差を小さくすることができ、圧縮物性が良好なものとなる。
そして、この押出発泡シートは、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径の比が1.0以上であるから、発泡体の気泡が球状あるいは縦長形状となり、圧縮物性に優れるものとなるとともにコルゲートの発生が効果的に抑制されたものとなっている。
なお、押出発泡シートについては、その押出発泡法による製造方法における条件の調整が、より一層コルゲートを抑制した押出発泡シートを得ることを可能とし、より優れた表面状態を有する押出発泡シートを得ることを可能とし、さらにより一層圧縮物性に優れる押出発泡シートを得ることを可能とする。
例えば、押出発泡シートの見掛け密度は、押出発泡法の実施時における樹脂組成物の吐出量や発泡剤の添加量等を調整することで、押出発泡シート1の全体の見掛け密度を上述した18kg/m以上90kg/m以下の範囲とすることができる。押出発泡シートが発泡芯層、発泡表面層を備える場合においては、発泡芯層、発泡表面層それぞれにおいて、上記したように樹脂組成物の吐出量や発泡剤の添加量等を調整することで、見掛け密度を調整することができる。
押出発泡シートの気泡径は、押出発泡法の実施時における樹脂組成物の吐出量や気泡調整剤の添加量等を調整することで、前記範囲に調整することができる。押出発泡シートが発泡芯層、発泡表面層を備える場合においては、発泡芯層、発泡表面層それぞれにおいて、上記したように樹脂組成物の吐出量や気泡調整剤の添加量等を調整することで、気泡径を調整することができる。
また、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径の比は、押出発泡法で筒状発泡体を形成する時のブローアップ比の調整や、リップ部から押出された筒状発泡体を押出直後に冷却部材で押圧して、その形状を整えつつ冷却を行うこと等により調整することができる。このような効果が冷却部材にて押圧することによって得られる理由としては、三次元に発泡しようとする発泡力のうち、筒状発泡体の円周方向に働く力を抑制しつつ厚み方向に働く力に変換すると共に、筒状発泡体を厚み方向に押圧することにより、コルゲートの発生を防止することができるものと考えられる。
なお、前記ブローアップ比(拡径比)とは、環状ダイリップ部の直径に対する、マンドレルの直径の比(マンドレルの直径/環状ダイリップ部の直径)である。そして、例えば、ブローアップ比が小さい値になるように調整されていると、押出発泡シートにおいて幅方向の気泡径に対する厚み方向の気泡径が大きくなるように調整される。
押出発泡シートがコルゲートの発生を抑制され且つ圧縮物性に優れたものとなるようにする観点から、前記ブローアップ比は2.0以上3.0以下であることが好ましく、2.3以上2.9以下であることがより好ましい。
本発明の押出発泡シートを得るための押出発泡法は、環状ダイを用いた共押出法であることが好ましい。また、環状ダイを用いた共押出法により形成される押出発泡シートは、ポリエチレン系樹脂で形成される発泡芯層と、該発泡芯層の両面に積層接着されたポリエチレン系樹脂発泡層で形成される発泡表面層とを有する積層発泡シートであることが好ましい。
ところで、押出発泡シートの気泡を細かくする方法の一つとして、押出発泡法の実施時の吐出量を増大させ、押出機内の圧力を高く維持した状態で押出しを行うことが考えられる。この際、製造される押出発泡シートが単層であると、吐出量を増大させることにより、押出機内で樹脂組成物に加わるせん断応力が大きくなる。このため、特に押出発泡シートの表面において破泡等が生じやすくなり、押出発泡シートの表面性や独立気泡率が低下するおそれがある。
この点、押出発泡シートが共押出により多層構造を有する形態で製造される場合、発泡芯層を形成するための押出機と、発泡表面層を形成するための押出機とで、樹脂組成物の吐出量を適度に配分することができる。これにより、各押出機における吐出量が過度に増大することが抑制され、押出機内で樹脂組成物が大きなせん断応力を受けにくくなる。こうしたことから、押出発泡シートの表面性を良好にすることができる。
また、押出発泡シートが共押出により多層構造を有する形態で製造される場合、ブローアップ比を低く設定することで過度な幅方向への気泡の成長を抑制すると共に、筒状発泡体を押出直後に冷却部材で押圧して、円周方向に働く力を抑制しつつ厚み方向に働く力に変換することで、押出発泡シートが単層の形態で製造される場合に比べ、押出発泡シートの気泡を球状あるいは縦長形状とすることができ、圧縮物性に優れる発泡シートを安定して得ることができる。
なお、押出発泡シートの気泡を細かくする方法としては、上述の吐出量の調整のほか、気泡調整剤の量を増加させる方法も考えられる。ただし、気泡調整剤の添加による気泡の微細化効果には限度があることや、気泡が細かく、表面状態が良好であると共に、気泡が球状あるいは縦長形状で、圧縮物性が良好な押出発泡シートを得やすいという観点から、吐出量の調整により押出発泡シートの気泡を細かくすることが好ましい。
良好な押出発泡シートを安定して得る観点から、押出発泡シートは次のように形成されたものであることが好ましい。ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡芯層形成用溶融樹脂と、ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる表面発泡層形成用溶融樹脂とを環状ダイから共押出することにより、発泡芯層の両面に発泡表面層が積層された筒状積層発泡体を形成し、さらに、該筒状積層発泡体を押出方向に切開くことにより、押出発泡シートが形成されることが好ましい。このように形成された押出発泡シートは、ポリエチレン系樹脂発泡芯層と、該ポリエチレン系樹脂発泡芯層の両面に積層接着されたポリエチレン系樹脂発泡表面層とを有するものである。
押出発泡シートが共押出により発泡表面層、発泡芯層、発泡表面層の3層積層構造を有する形態で製造される場合、発泡芯層に対する、片面あたりの発泡表面層の比が、質量比で0.1以上0.5以下となるように製造されることが好ましい。また、発泡芯層を形成するための樹脂組成物の溶融物(発泡芯層形成用溶融物)と、発泡表面層を形成するための樹脂溶融物(発泡表面層形成用溶融物)との吐出量の比(発泡表面層形成用溶融物:発泡芯層形成用溶融物:発泡表面層形成用溶融物)を1:n:1とする場合、nの値が2以上8以下であることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例では、押出発泡シートが共押出により発泡表面層、発泡芯層、発泡表面層の3層積層構造を有する形態で製造される場合を例として採用した。
実施例1から4、比較例1、2
押出発泡シートは、次のような発泡芯層形成用押出機と発泡表面層形成用押出機とを接続してなる装置を用いて調製された。発泡芯層形成用押出機として、内径115mmの単軸の第一押出機と内径180mmの単軸の第二押出機を直列に連結した押出機を準備した。発泡表面層形成用押出機として、内径115mmの単軸の第三押出機を準備した。これらを用いた共押出機を次のように準備した。すなわち、共押出機は、第二押出機の下流側に共押出用ダイを取付け、共押出用ダイに第三押出機を連結させることで準備された。共押出用ダイとしては、環状ダイが用いられた。また、共押出用ダイの下流側に、リップ部から押出された筒状発泡体の外面を冷却する冷却部材を取り付けた。
第一押出機で次のような工程を実施した。すなわち、発泡芯層を形成するための基材樹脂となるポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレン(NUC社製:NUC−8321、MFR:2.4g/10min、密度:922kg/m、表1中、LDPEと記す)を準備し、基材樹脂、収縮防止剤としてのステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製:S−100、表1中、GMSと記す)、及び気泡調整剤としてのタルク(松村産業社製:ハイフィラー#12)を、表1に示す配合にて第一押出機に投入し、加熱溶融混練することで溶融混練物を得た。溶融混練物を調製した後、第一押出機内に発泡剤のブタンとして表1に示す量のイソブタン:ノルマルブタン=30:70(モル比)の混合ブタン(表1中、SBと記す。)を注入し、溶融混練物を再び混練して発泡性溶融物を得た。その後、この発泡性溶融物は、第二押出機に送られ、第二押出機内で予め設定された温度(110℃)まで冷却された。これにより、第二押出機内に発泡芯層形成用溶融物が調製された。なお、表1において、収縮防止剤、気泡調整剤、ブタンの配合量(質量部)は、発泡芯層形成用溶融物のポリエチレン系樹脂100質量部に対する値である。
ただし、基材樹脂として発泡表面層を形成するための基材樹脂が準備された。なお、発泡表面層を形成するための基材樹脂として、発泡芯層を形成するために使用された基材樹脂と同様に低密度ポリエチレン(表1中、LDPEと記す。)が用いられた。発泡表面層を形成するための基材樹脂を用いつつ、第三押出機では、第一押出機及び第二押出機内で実施した工程と同様の工程が次に示すように実施された。
基材樹脂、収縮防止剤としてのGMS、及び気泡調整剤としてのタルクを表1に示す配合にて第三押出機に供給し、溶融混練物を調整した後、発泡剤として表1に示す量のイソブタン(表1中、IBと記す。)を注入し、溶融混練物を再び混練して発泡性樹脂溶融物を得た。その後、この発泡性樹脂溶融物は、第三押出機内で温度(110℃)まで冷却された。これにより、第三押出機内に発泡表面層形成用溶融物が調製された。なお、表1において、収縮防止剤、気泡調整剤、ブタンの配合量(質量部)は、発泡表面層形成用溶融物のポリエチレン系樹脂100質量部に対する値である。
発泡芯層形成用溶融物と発泡表面層形成用溶融物は、それぞれ表1に示す吐出量比(単位時間あたりに吐出される溶融物の質量の比)で第二押出機及び第三押出機から共押出用ダイ内に押し出される。このとき共押出用ダイ内にて発泡表面層形成用溶融物が発泡芯層形成用溶融物の両面(外面および内面)に積層される。なお、発泡表面層形成用溶融物については、第三押出機の先端に取り付けられた分配器にて吐出量比1:1に分配した後にそれぞれ共押出用ダイ内へと供給されて、発泡芯層形成用溶融物の両面に積層される。そして、共押出用ダイの先端に取り付けられた環状ダイのリップ(実施例1〜4および比較例1、2では口径140mm)から、発泡芯層形成用溶融物と発泡表面層形成用溶融物との積層状態が維持されながら押し出される。これにより、発泡芯層形成用溶融物と発泡表面層形成用溶融物が発泡して円筒状の発泡体(円筒状積層発泡体)が得られた。なお、環状ダイのリップからの押出時のブローアップ比は2.63であった。
得られた円筒状積層発泡体は、冷却部材により押圧されて冷却された後、円筒状の冷却管(マンドレル:直径368mm)に沿わせながら引き取られた。このとき、円筒状積層発泡体が切り開かれてシート状とされる。これにより、押出発泡シートが得られた。得られた押出発泡シートについて特定の構造及び物性が測定された。結果を表2、表3、表4に示す。
比較例3
発泡芯層形成用押出機として内径115mmの単軸の第一押出機と内径180mmの単軸の第二押出機を直列に連結した押出機を準備した。第二押出機には押出口に押出用ダイが設けられた。このとき、押出用ダイとしては、環状ダイが用いられた。また、共押出用ダイの下流側に、リップ部から押出された筒状発泡体の外面を冷却する冷却部材を取り付けた。
ポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレンと、表1に示す収縮防止剤および気泡調整剤を、表1に示す配合にて第一押出機に投入し、溶融混練して溶融混練物を得た。その後、第一押出機内に発泡剤のブタンとして表1に示す量のイソブタン:ノルマルブタン=30:70(モル比)の混合ブタン(表1中、SBと記す。)を注入し再び溶融混練物を混練して発泡性樹脂溶融物を得た。その後、第二押出機に発泡性樹脂溶融物を移送して、温度(110℃)まで冷却することでポリエチレン系樹脂溶融物を調製した。なお、収縮防止剤、気泡調整剤、ブタンの配合量(質量部)は、ポリエチレン系樹脂溶融物に含まれるポリエチレン系樹脂100質量部に対する値である。
ポリエチレン系樹脂溶融物は、第二押出機から押出用ダイ内に押し出される。そして、共押出用ダイの先端に取り付けられた環状のダイリップから、ポリエチレン系樹脂溶融物が押し出される。これにより、円筒状の発泡体(円筒状発泡体)が得られた。得られた円筒状発泡体は、冷却部材により押圧されて冷却された後、円筒状の冷却管(マンドレル:直径368mm)に沿わせながら引き取られた。このとき、円筒状発泡体が切り開かれてシート状とされた。なお、押出時のブローアップ比は2.63であった。これにより、単層の押出発泡シートが得られた。得られた押出発泡シートについて特定の構造及び物性が測定された。結果を表2、表3、表4に示す。
押出発泡シートについて測定された特定の構造と物性の内容は、表2、表3、表4に示すように、平均厚み、見掛け密度、見掛け密度比、独立気泡率、圧縮強度、表面粗さ、平均気泡径、平均気泡径比である。各特定の構造と各物性は、次のように特定された。なお、表2、表3、表4のそれぞれの表中、M面(マンドレル面)は押出発泡シート面のうち、「マンドレルに沿って引取られた際にマンドレルに対面した方の面」を意味し、S面(スキン面)はM面とは反対側の押出発泡シート面を意味する。
(平均厚み)
押出発泡シートの平均厚みは、押出発泡シートの幅方向に沿って、その厚みを等間隔に30点測定し、これらの算術平均値を算出した。この測定を押出発泡シートの5箇所に対して行い、これらの算術平均値を平均厚みとした。
(見掛け密度、見掛け密度比)
押出発泡シート全体から縦0.1m×横1m×押出発泡シートの厚みのシート片を切り出し試験片とした。試験片の質量(W1(kg))と、試験片の縦、横及び厚みの寸法に基づき体積(V1(m))を測定した。そして、試験片の質量を試験片の体積にて除する(W1/V1)ことにより試験片の見掛け密度を算出し、押出発泡シート全体の見掛け密度とした。なお、縦と横の方向について、縦は、押出発泡シートの押出し方向に沿った方向であり、横は、押出発泡シートの幅方向に沿った方向である。
押出発泡シートの表層部の見掛け密度は、まず、押出発泡シートから縦0.1m×横1mのシート片を切り出して試験片とした。その際、試験片の厚みは、押出発泡シートの表面からその厚みの10%の深さの位置までの厚みとした。次に、試験片の質量(W2(kg))と、試験片の縦、横及び厚みの寸法に基づき体積(V2(m))を測定した。そして、試験片の質量を試験片の体積にて除する(W2/V2)ことにより表層部の見掛け密度を算出した。
また、前記方法により求めた押出発泡シートの表層部の見掛け密度を押出発泡シート全体の見掛け密度で除することで、見掛け密度比を算出した。
(独立気泡率)
押出発泡シートから縦25mm×横40mm×押出発泡シートの厚みの寸法にて試験片を切り出し、ASTM−D2856−70の手順Cに準拠して試験片の真の体積Vxを測定し、前記式(1)により独立気泡率S(%)を算出した。測定装置としては、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用した。
(圧縮強度)
JIS K6767(1999年)に基づき、押出発泡シートから切り出した「押出発泡シートの厚み(mm)×縦100(mm)×横100(mm)」の試験片に対して、圧縮速度10mm/minで、厚み方向に25%あるいは50%圧縮した時点の圧縮応力を測定した。この方法で測定した値を押出発泡シートの25%圧縮強度(MPa)及び50%圧縮強度(MPa)とした。
(表面粗さ)
表面粗さは、JIS−B0601(2001)に準じて、小坂研究所社製のサーフコーダSE1700αを使用して測定した。具体的には、押出発泡シートを縦20mm×横20mmの大きさに切り出して試験片を調製し、この試験片を水平な台に静置し、先端曲率半径が2μmの触針の先端を試験片の表面(M面)に当接させて、試験片を0.5mm/sにて押出発泡シートの押出方向に移動させ、8mmの測定距離を5回測定し、その算術平均値を求めた。なお、測定倍率については、縦倍率を500、且つ、横倍率を2とし、カットオフ値は0.8mmとした。上記測定を、押出発泡シートから、押出発泡シートの幅方向にわたって等間隔に10箇所切り出すことにより得られた各試験片に対して行い、それらの算術平均値を押出発泡シートの表面粗さRa(μm)とした。なお、表面粗さが80μm以下である場合に押出発泡シートは特に表面平滑性に優れているという評価することができる。
(押出発泡シート全体についての気泡の水平方向の平均気泡径)
まず、押出発泡シートの押出方向に沿った切断面(押出方向垂直断面)及び押出発泡シートの押出方向に沿った方向に法線ベクトルを有するような切断面(幅方向垂直断面)を、顕微鏡等にて50倍程度に拡大し拡大画像を得た。拡大画像上に認められる全ての気泡に対して、各気泡の押出方向あるいは幅方向の気泡径(MD断面水平フェレ径、TD断面水平フェレ径)を計測した。押出発泡シートを切断する位置を無作為に各5か所選択して各位置で切断面を特定し、上記した気泡径の計測方法を適用して、各垂直断面における水平フェレ径を計測した。また、5か所の垂直断面における、MD断面水平フェレ径の算術平均値及びTD断面水平フェレ径の算術平均値を算出した。MD断面水平フェレ径の算術平均値及びTD断面水平フェレ径の算術平均値は、それぞれ表2中、全体欄の水平方向欄のなかのMD、TD欄に示す。MD断面水平フェレ径の算術平均値とTD断面水平フェレ径の算術平均値の相乗平均を、気泡の水平方向の平均気泡径とした。平均気泡径は、表2中、全体欄の水平方向欄のなかの平均欄に示す。
(最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の特定)
まず、押出発泡シートの押出方向に沿った切断面(押出方向垂直断面)及び押出発泡シートの押出方向に沿った方向に法線ベクトルを有するような切断面(幅方向垂直断面)を、顕微鏡等にて50倍程度に拡大し拡大画像を得た。拡大画像上に認められる、押出発泡シートの最表面側に位置する気泡全てに対して、各気泡の押出方向あるいは幅方向の気泡径(MD断面水平フェレ径、TD断面水平フェレ径)を計測した。押出発泡シートを切断する位置を無作為に各10か所選択して各位置で切断面を特定し、上記した気泡径の計測方法を適用して、各断面における水平フェレ径を計測した。10か所の垂直断面における、MD断面水平フェレ径の算術平均値及びTD断面水平フェレ径の算術平均値を算出した。MD断面水平フェレ径の算術平均値及びTD断面水平フェレ径の算術平均値は、それぞれ表2中、「最表面側に位置する気泡」欄の水平方向欄のなかのMD、TD欄に示す。これらの算術平均値の相乗平均を、最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径とした。平均気泡径は、表2中、「最表面側に位置する気泡」欄の水平方向欄のなかの平均欄に示す。
(押出発泡シート全体についての気泡の厚み方向の平均気泡径の特定)
まず、押出発泡シートの押出方向に沿った切断面(押出方向垂直断面)及び押出発泡シートの押出方向に沿った方向に法線ベクトルを有するような切断面(幅方向垂直断面)を、顕微鏡等にて50倍程度に拡大し拡大画像を得た。拡大画像上に認められる全ての気泡に対して、各気泡の厚み方向の気泡径(MD断面垂直フェレ径の算術平均値及びTD断面垂直フェレ径)を計測した。押出発泡シートを切断する位置を無作為に各5か所選択して各位置で切断面を特定し、上記した気泡径の計測方法を適用して、各垂直断面における垂直フェレ径を計測した。5か所の垂直断面における、MD断面垂直フェレ径の算術平均値及びTD断面垂直フェレ径の算術平均値を算出した。MD断面垂直フェレ径の算術平均値及びTD断面垂直フェレ径の算術平均値は、それぞれ表2中、「全体」欄の厚み方向欄のなかのMD断面、TD断面欄に示す。これらの算術平均値の相乗平均を、気泡の厚み方向の平均気泡径とした。平均気泡径の値は、表2中、「全体」欄の厚み方向欄のなかの平均欄に示す。
(最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の特定)
拡大画像上に認められる最表面側に位置する気泡に対して、気泡の厚み方向の気泡径(MD断面垂直フェレ径、TD断面垂直フェレ径)を計測するほかは、押出発泡シート全体についての気泡の厚み方向の平均気泡径の特定方法と同様の方法でMD断面垂直フェレ径の算術平均値及びTD断面垂直フェレ径の算術平均値の特定、気泡の厚み方向の気泡径の特定を行った。MD断面垂直フェレ径の算術平均値及びTD断面垂直フェレ径の算術平均値は、それぞれ表2中、「最表面側に位置する気泡」欄の厚み方向欄のなかのMD断面、TD断面欄に示す。これらの算術平均値の相乗平均を、気泡の厚み方向の平均気泡径とした。平均気泡径の値は、表2中、「最表面側に位置する気泡」欄の厚み方向欄のなかの平均欄に示す。平均気泡径は、S面、M面それぞれについて特定された。
(平均気泡径比)
前記測定により求めた、押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径を、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径で除することで、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比を求めた。この平均気泡径比は、S面、M面それぞれについて特定された。
また、前記測定により求めた、押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径を、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径で除することで、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径の比を求めた。
前記測定により求めた、押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径を、押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径で除することで、押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径の比を求めた。この平均気泡径比は、S面、M面それぞれについて特定された。
(厚みの周期的なムラ(コルゲート)の有無)
上述した方法により、押出発泡シートの押出方向に沿って無作為に選択された位置(測定位置)における押出発泡シートの厚みに基づき、押出発泡シートの厚みの周期的なむら(コルゲート)の有無を測定した。コルゲートの有無は、次のように判定された。すなわち、押出発泡シートに周期的な厚みの厚薄が認められないか、厚み厚薄が認められたとしても、厚み厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値が、いずれの周期部分においても1.07以下である場合を「無」(厚みの周期的なむらが認められない)、厚み厚薄が認められ、いずれかの周期部分において厚み厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値が、1.07を超える場合を「有」(厚みの周期的なむらが認められる)として、厚みの周期的なむらの有無を評価した。
Figure 0006980590
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Figure 0006980590
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1、1a、1b ポリエチレン系樹脂押出発泡シート
2 ポリエチレン系樹脂
3 気泡調整剤
4 発泡剤
5 発泡表面層形成用溶融樹脂
6 ポリエチレン系樹脂
7 気泡調整剤
8 発泡剤
9 発泡芯層形成用溶融樹脂
11 第2の押出機
12 第1の押出機
13 共押出用ダイ
20、20a、20b 表層部
30、30a、30b 芯層部
100 発泡体
101 発泡体の端縁部

Claims (5)

  1. ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし、見掛け密度が18kg/m以上90kg/m以下であり平均厚みが5mm以上30mm以下であるポリエチレン系樹脂押出発泡シートであって、
    前記押出発泡シートが、ポリエチレン系樹脂発泡芯層と、該ポリエチレン系樹脂発泡芯層の両面に共押出により積層接着されたポリエチレン系樹脂発泡表面層とを有し、
    押出発泡シート全体の見掛け密度に対する、押出発泡シートの表面から厚み方向中心に向かって平均厚みの10%までの部分として定められる表層部の見掛け密度の比率が、0.8以上1.2以下であり、
    押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径が1.5mm以下であると共に、押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シートの最表面側に位置する気泡の水平方向の平均気泡径の比率が0.8以上1.2以下であり、
    押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径に対する押出発泡シート全体についての厚み方向の平均気泡径の比が1.0以上であり、
    前記押出発泡シートの表面粗さRaが、80μm以下であることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂押出発泡シート。
  2. 前記発泡芯層に対する、片面あたりの前記発泡表面層の比が、質量比で0.1以上0.5以下であることを特徴とする、請求項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート。
  3. 前記押出発泡シート全体についての水平方向の平均気泡径が、1.5mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート。
  4. 前記押出発泡シートの押出方向に沿った任意の位置において、押出方向と直交する幅方向に引いた直線に沿って、1cmおきに押出発泡シートの厚みを測定したときに、周期的な厚みの厚薄が認められないか、又は厚み厚薄が認められる場合に、厚み厚薄の1周期内における厚みの最大値を最小値で除した値が、いずれも1.07以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート。
  5. 前記押出発泡シートの独立気泡率が、80%以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シート。
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