JP6979557B1 - 紫外線硬化型インクジェットインキ - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体に対する付与量によらず、硬化性と塗膜柔軟性とに優れた印刷物が得られ、吐出安定性にも優れた紫外線硬化型インクジェット記録用インキを提供する。【解決手段】着色剤と、特定構造を有する重合性単量体と、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと、前記エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと異なる光重合開始剤とを含有し、上記特定構造を有する重合性単量体の含有量と、上記エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの含有量との比が、質量比で2:1〜8.5:1であり、更に単官能モノマーの含有量を規定した、紫外線硬化型インクジェット記録用インキ。好ましくは、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インキが、更に、ポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェットインキに関する。
印刷の小ロット化及びニーズの多様化に伴い、デジタル印刷方式の普及が急速に進んでいる。デジタル印刷方式では、版を必要としないことから、コストの削減、及び、印刷装置の小型化が実現可能である。
デジタル印刷方式の一種であるインクジェット印刷方式とは、記録媒体(基材)に対し、インクジェットヘッドからインキの微小液滴を飛翔及び着弾させて、記録媒体上に画像または文字を形成し、記録物(以下「印刷物」ともいう)を得る方式である。他のデジタル印刷方式と比べて、印刷装置のサイズ及びコスト、印刷時のランニングコスト、フルカラー化の容易性などの面で優れており、近年では産業印刷用途において利用が進んでいる。また、近年、インクジェットヘッドの性能向上に伴い、オフセット印刷方式等を採用している既存印刷市場への、インクジェット印刷方式への応用が期待され、実際に当該既存印刷市場に向けたインクジェットプリンターも市販され始めている。
この先、既存印刷市場におけるインクジェット印刷方式のシェアを伸ばすためには、様々な文字及び画像の印刷に対応しなければならない。例えば、1つの印刷物の中には、印字率の異なる部分が多々存在する。そのため、記録媒体上のインキ付与量によらず、品質が同等である印刷物が作成される必要がある。
一方、インクジェット印刷方式に使用されるインキは、水型、油型、溶剤型、紫外線硬化型など多岐に渡るが、乾燥時間の速さ、印刷層を形成する硬化膜の強さなどの特性から、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキの需要はますます高まっている。
しかしながら、紫外線硬化型のインクジェット印刷方式の既存印刷市場への展開にあたっては、上述した、記録媒体上のインキ付与量によらない、印刷物品質の均一性の確保が極めて難しい。例えば、紫外線硬化型のインキを用いた印刷物では、当該インキの層(インキ層)の厚さによって、硬化性及び柔軟性に差が生じやすい。その理由として、インキ層表面における、空気中の酸素の影響(酸素阻害)、及び、複数の重合性基を有する(多官能)重合性単量体による3次元架橋の形成などがある。
更に、既存印刷市場での使用にあたっては、従来使用されているオフセット印刷方式等と同程度以上の印刷速度に対応する必要もある。一般に、紫外線硬化型のインクジェット印刷方式において高速印刷に対応するためには、重合反応を誘起する紫外線に対する反応性の向上が必要となる。上記反応性を向上させるには、例えば、重合性基数の多い重合性単量体を利用することが有効である。
しかしながら、重合性基数の多い重合性単量体を一定量使用した場合、硬化させた後のインキ層の架橋密度が高くなることで、耐擦性に優れる反面、柔軟性が悪化してしまい非常に割れやすくなるという問題があった。
またそもそも、インクジェット印刷方式で使用するためのインキの粘度は、インクジェットヘッドから円滑かつ安定に吐出させるために、低粘度に設計することが好ましい。そのため、低粘度の重合性単量体を使用してインキを設計する必要があり、一般に粘度が高い、重合性基数の多い重合性単量体を使用するには限界があった。
上記課題を解決するためになされた検討として、例えば、特許文献1では、インキ層の伸張性(柔軟性)の確保及び厚膜時のシワの抑制のため、特定構造を有するビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、単官能(メタ)アクリレート、及び、多官能(メタ)アクリレートなどを含む光硬化型インクジェット記録用インキが開示されている。しかしながら、特許文献1では、厚膜での硬化性にのみ着目しており、薄膜での硬化性については考慮されていない。上述したとおり、様々な文字及び画像の印刷に対応するためには、特許文献1に開示された構成では不十分と言える。
一方、特許文献2では、紫外線発光ダイオードを使用した際の薄膜硬化性、ポリ塩化ビニルシート基材に対する密着性、吐出安定性等に優れる光硬化型インクジェット記録用インキとして、環状構造含有単官能モノマーを、重合性単量体中65〜85質量%含み、更に、エーテル基含有単官能モノマー、アミノ基含有多官能モノマー、トリメチロールプロパン骨格含有モノマー等を含む構成を開示している。しかしながら、特許文献2では、特許文献1とは逆に、厚膜での硬化性について検討されていない。更に上記光硬化型インクジェット記録用インキは、単官能モノマーの含有量が多いため、高速印刷条件で使用した際に硬化性が不足する恐れがある。
以上のように、記録媒体上のインキ付与量によらず、硬化性と塗膜の柔軟性に優れた印刷物が得られ、更には吐出安定性にも優れた、紫外線硬化型のインクジェット印刷方式で使用されるインキ(紫外線硬化型インクジェット記録用インキ)は、これまで存在しない状況であった。
特開2013−060548号公報 特開2016−160274号公報
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、記録媒体に対する付与量によらず、硬化性と塗膜柔軟性に優れた印刷物が得られ、吐出安定性にも優れた紫外線硬化型インクジェットインキ(以下では単に「インキ」とも呼ぶ)を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、下記に示す構成を有するインキを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一実施形態は、着色剤と、重合性単量体と、光重合開始剤と、を含有する紫外線硬化型インクジェットインキであって、
重合性単量体が、下記一般式(A)で表される化合物と、EO鎖またはPO鎖を主骨格とした二官能モノマー(ただし一般式(A)で表される化合物は除く)とを含有し、
光重合開始剤が、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと異なるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)、ベンゾフェノン系光重合開始剤、及びインダン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記一般式(A)で表される化合物の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェットインキ中8〜42.5質量%であり、
一般式(A)で表される化合物の含有量と、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの含有量との比が、質量比で2:1〜8.5:1であり、
単官能モノマーの含有量が、紫外線硬化型インクジェットインキ中25質量%以下である、紫外線硬化型インクジェットインキに関する。

一般式(A): CH2=CH−CO−(O−CH2CH2n−O−R

(一般式(A)中、Rは、アクリロイル基またはビニル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
また、本発明の他の一実施形態は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)、ベンゾフェノン系光重合開始剤、及びインダン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種の光重合開始剤が、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)である、上記紫外線硬化型インクジェットインキに関する。
また、本発明の他の一実施形態は、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの含有量と、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)の含有量との比が、質量比で0.5:1〜3:1である、上記紫外線硬化型インクジェットインキに関する。
また、本発明の他の一実施形態は、更に、ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤を含有する、上記紫外線硬化型インクジェットインキに関する。
また、本発明の他の一実施形態は、一般式(A)におけるRが、アクリロイル基である、上記紫外線硬化型インクジェットインキに関する。
本発明の実施形態により、記録媒体に対する付与量によらず、硬化性と塗膜柔軟性に優れた印刷物が得られ、吐出安定性にも優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することができた。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態において、特にことわりのない限り、「部」及び「%」は、それぞれ、「質量部」及び「質量%」を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル」といった記載は、それぞれ、「アクリレート及び/またはメタクリレート」及び「アクリル及び/またはメタクリル」を意味する。
[紫外線硬化型インクジェットインキ]
一実施形態に係る紫外線硬化型インクジェットインキ(紫外線硬化型インクジェット記録用インキ)は、着色剤と、重合性単量体と、光重合開始剤と、を含有し、重合性単量体が、下記一般式(A)で表される化合物を含有し、光重合開始剤が、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと異なるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)、ベンゾフェノン系光重合開始剤、及びインダン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種と、を含有する。

一般式(A): CH2=CH−CO−(O−CH2CH2n−O−R
上記一般式(A)中、Rは、アクリロイル基またはビニル基を表し、nは2〜10の整数を表す。
一般に、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、幅広い波長の紫外線を吸収することができ、インキ表面だけでなく、インキ内部の硬化性向上にも有効な材料である。また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含むインキは、他の種類の光重合開始剤を含むインキと比較して、硬化性に優れることが知られている。一方で、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤に属するエトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(以下、本明細書では「EO−TPO」ともいう)は、他のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(以下、本明細書では「BTPO」ともいう)、及び、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(以下、本明細書では「TPO」ともいう))と比べ、硬化性の向上効果に劣る。光重合開始剤分子中の芳香環構造が紫外線の吸収に関与することから、BTPO及びTPOよりも芳香環構造の数が少ないEO−TPOは、紫外線の吸収能が劣るため、と考えられる。
インクジェットインキにおいてEO−TPOを使用する場合、従来は、何らかの手法で硬化性を補う必要があった。例えば、当該インキ中の光重合開始剤の量を増やすことが考えられるが、光重合開始剤の増量は吐出安定性の悪化につながる恐れがあった。
そこで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、EO−TPOと、一般式(A)で表される化合物とを、所定の配合比で組み合わせることで、EO−TPOを過剰に使用せずとも、硬化性が著しく向上することを見出した。その詳細なメカニズムは不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。
EO−TPOと一般式(A)で表される化合物とは、ともにエトキシ基を有するために親和性が高く、当該EO−TPOは、当該一般式(A)で表される化合物とともに、インキ中に均一に存在すると考えられる。そのため、EO−TPOから発生したラジカルは、近接して存在する一般式(A)で表される化合物と速やかに反応することができる。また、一般式(A)で表される化合物以外の重合性単量体が存在する場合は、当該一般式(A)で表される化合物からラジカルを受け取り、成長反応に関与する。加えて上述したとおり、EO−TPOはアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤であり、そもそもインキ内部の硬化性向上に有効な材料である。また、EO−TPOは一般式(A)で表される化合物とともにインキ内部にも均一に存在すると考えられる。以上の結果として、インキ内部及びインキ表面で硬化速度に差が生じることなく速やかに硬化が進行し、硬化性及び塗膜柔軟性の両立が実現できると考えられる。
ただし、この際、EO−TPOまたは一般式(A)で表される化合物のどちらかが過剰に存在してしまうと、EO−TPOから発生したラジカルを一般式(A)で表される化合物が受け取ることができない、あるいは、一般式(A)で表される化合物の重合反応に必要なラジカルが不足するために、硬化性及び/または塗膜柔軟性が悪化する恐れがある。そこで、本発明の実施形態では、EO−TPOと一般式(A)で表される化合物との含有量比を2:1〜8.5:1に規定し、硬化性及び塗膜柔軟性の両立を図っている。
なお、過剰量のEO−TPOが存在せずとも、一般式(A)で表される化合物が所定量存在することで十分な硬化性及び塗膜柔軟性が得られることから、上述したような吐出安定性の悪化の恐れもない。また、一般式(A)で表される化合物中に存在する、エトキシ基同士による相互作用により、インキの微視的な粘弾性の好適化、及び、硬化後のインキ内部で分子鎖間ネットワークの形成が起き、吐出安定性及び塗膜柔軟性がいっそう向上することも考えられる。
以上のように、記録媒体に対する付与量によらず、硬化性と塗膜柔軟性に優れた印刷物が得られ、吐出安定性にも優れたインキを得るためには、本発明の実施形態の構成は必須不可欠である。
続いて以下、本発明の実施形態のインキを構成する各成分ついて、詳細に説明する。
<重合性単量体>
重合性単量体とは、後述する光重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合または架橋反応を生起し、当該重合性単量体を含有する組成物を硬化させる機能を有するものである。
上述した通り、本発明の実施形態のインキは、重合性単量体として、下記一般式(A)で表される化合物を含む。

一般式(A): CH2=CH−CO−(O−CH2CH2n−O−R
上記一般式(A)中、Rは、アクリロイル基またはビニル基を表し、nは2〜10の整数を表す。
上述した通り、一般式(A)で表される化合物をEO−TPOとともに使用することで、硬化性及び塗膜柔軟性の両立が可能となる。また、エトキシ基同士による相互作用により、吐出安定性及び塗膜柔軟性のいっそうの向上も期待できる。
一般式(A)で表される化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−[2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ]エチルなどが挙げられる。
本発明の実施形態では、上記一般式(A)で表される化合物として、当該一般式(A)におけるRがアクリロイル基である化合物が好適に使用できる。詳細は不明ながら、一般式(A)におけるRがアクリロイル基である化合物を使用することで、硬化性、塗膜柔軟性、吐出安定性の全てが特段に向上し、ラベル用途、段ボール用途、建材用途などの幅広い分野で利用可能な印刷物を得ることができる。
上記で例示した、上記一般式(A)で表される化合物のうち、一般式(A)におけるRがアクリロイル基である化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレートなどが挙げられる。
上述した通り、一般式(A)で表される化合物の含有量は、EO−TPOの含有量に応じて決まるが、それに加えて、インキ中の全重合性単量体のうち15〜100質量%であることが好ましく、20〜50質量%含まれることがより好ましい。この範囲内に収めることで、塗膜の柔軟性を維持させたまま、インキの反応性を大きく向上させることができる。
本発明の実施形態のインキは、上記一般式(A)で表される化合物以外の重合性単量体(以下「その他重合性単量体」と呼ぶ)を含んでもよい。
その他重合性単量体としては、上述した重合性単量体としての特性を有するものであれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができる。本発明の実施形態では特に、ラジカル重合性の重合性単量体(ラジカル重合性単量体)が好ましく使用できる。なお「オリゴマー」及び「ポリマー」とは、モノマーが複数個結合した重合体であり、両者は重合度によって分類される。すなわち、本明細書では、重合度が2〜5であるものを「オリゴマー」と呼び、6以上であるものを「ポリマー」と呼ぶ。
ラジカル重合性単量体が有する重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、アリル基、ビニル基(ただし、ビニルエーテル基及びアリル基を除く)、不飽和カルボン酸基などが挙げられる。本発明の実施形態では、ラジカル重合性単量体が、単官能化合物であっても、二官能以上の多官能化合物であってもよい。また、反応速度、硬化膜の物性、インキの物性などを調整する目的で、重合性単量体を1種のみ使用してもよいし、複数の重合性単量体を混合して用いることもできる。単官能化合物の割合が大きいと硬化膜は柔軟なものになりやすく、多官能化合物の割合が大きいと硬化性に優れる傾向がある。従って、複数の重合性単量体を用いる場合、単官能化合物と多官能化合物との割合は用途に応じて任意に決定される。
ここで、本明細書において「単官能」とは、1分子中に重合性基を1つのみ有する化合物を指す。また、「二官能」及び「三官能」は、それぞれ、1分子中に重合性基を2つまたは3つ有する化合物を指し、二官能以上を総称して「多官能」と呼ぶこととする。
その他重合性単量体として利用できる単官能モノマーとして、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、o−フェニルフェノールEO変性アクリレート、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート、β−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどの(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物が挙げられる。また、ビニル基を1つ有する化合物として、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。中でも、硬化性が向上できる観点から、2−フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタムなどが好ましく使用できる。
また、その他重合性単量体として利用できる二官能モノマーとして、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ(またはプロポキシ)化1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を2つ有する化合物が挙げられる。
また、その他重合性単量体として利用できる三官能モノマーとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート(例えば、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレートなど)、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を3つ有する化合物が挙げられる。硬化性の点から、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレートが好ましい。
また、その他重合性単量体として利用できる四官能モノマーとして、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を4つ有する化合物が挙げられる。中でもペンタエリスリトールテトラアクリレートが好ましい。
また、その他重合性単量体として利用できる五官能モノマーとして、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を5つ有する化合物が挙げられる。
また、その他重合性単量体として利用できる六官能モノマーとして、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を6つ有する化合物が挙げられる。中でもジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本明細書において「EO」とは「エチレンオキサイド」を指し、「PO」とは「プロピレンオキサイド」を指す。
また、その他重合性単量体として、ラジカル重合性のオリゴマーを使用する場合、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく使用できる。オリゴマーに含まれる重合性基の数は、柔軟性と硬化性のバランスの観点から、1分子あたり1〜15であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。また、オリゴマーの重量平均分子量は400〜10,000であることが好ましく、500〜5,000であることがより好ましい。
その他重合性単量体として利用できる、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーとしては、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリルエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
上記列挙した中でも、本発明の実施形態のインキは、一般式(A)で表される化合物の他に、二官能モノマーを含むことが好ましい。また、硬化性、塗膜柔軟性、及び、吐出安定性の観点から、その他重合性単量体として、EO鎖またはPO鎖を主骨格としたモノマー(ただし一般式(A)で表される化合物は除く)を含むことが好ましい。なお「EO鎖またはPO鎖を主骨格としたモノマー」とは、重合性基を除いた構造中にEO鎖またはPO鎖を含有し、かつ、当該重合性基と、当該EO鎖またはPO鎖とが、直接結合しているモノマーを表す。
EO鎖またはPO鎖を主骨格としたモノマーとして、具体的には、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも、低臭気であり、インキの吐出安定性も良化する観点から、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく選択される。
また、EO鎖またはPO鎖を主骨格としたモノマー以外の二官能モノマーを使用する場合、低粘度、高反応性、及び高吐出安定性の観点から、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートを使用することが好ましく、中でも、低臭気であり、インキの吐出安定性も良化する観点から、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートがより好ましく選択される。
インキ中に含まれる、重合性単量体の総量(上記一般式(A)で表される化合物の含有量も含む)は、硬化性及び吐出安定性の両立の観点から、インキ全量中50〜95質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましく、70〜95質量%であることが更に好ましい。
一般式(A)で表される化合物を含む、二官能モノマーの含有量の総量は、インキの低粘度化による吐出安定性向上、並びに、高反応性及び硬化後の未反応分の残留量低減の観点から、インキ中に含まれる全重合性単量体中10〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。
また、三官能以上のモノマーを含む場合は、インキ全量中10質量%以下とすることが好ましく、7質量%以下とすることがより好ましく、5質量%以下とすることが更に好ましく、2質量%以下とすることが特に好ましい。上記範囲内であれば、硬化性と吐出安定性との両立が可能となる。
本発明の実施形態では、硬化性の向上の観点から、単官能モノマーの量は、インキ中に25質量%以下とする(含まれなくてもよい)ことが好ましく、15質量%以下とする(含まれなくてもよい)ことがより好ましく、10質量%以下(含まれなくてもよい)とすることであることが更に好ましく、5質量%以下(含まれなくてもよい)とすることであることが特に好ましい。また、特に、単官能モノマーはインキ中に実質的に含まれない(具体的には、インキ中に1質量%以下とする)ことが好ましい。
また、重合性単量体としてオリゴマー及び/またはポリマーを使用する場合、インキ粘度、吐出安定性、及び硬化後の未反応分の残留量低減などの観点から、インキ全量中10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
<光重合開始剤>
本発明の実施形態のインキは、光重合開始剤として、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(EO−TPO)を含む。上述したとおり、EO−TPOを一般式(A)で表される化合物とともに使用することで、硬化性及び塗膜柔軟性の両立が可能となる。また、EO−TPOはアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤であり、インキ内部の硬化性向上にも有効な材料であるため、塗膜柔軟性のいっそうの向上も期待できる。
なお、本明細書における「エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド」には、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの多量体(以下、本明細書では「EO−TPO多量体」ともいう)も含まれるものとする。
EO−TPOを一般式(A)で表される化合物と併用する際は、その配合比を考慮する必要がある。具体的には、硬化性と塗膜柔軟性を好適に両立させる観点から、一般式(A)で表される化合物とEO−TPOとの含有量比を、質量比で2:1〜8:1とすることが好適である。また、上記効果がより高まる観点から、上記含有量比を、質量比で2:1〜7:1とすることが好ましく、3:1〜6:1とすることがより好ましく、3:1〜5:1とすることが更に好ましい。
なお、EO−TPOは市販されているものを使用することができる。具体的には、IGM社製「Omnirad TPO−L」、「OMNIPOL TP」、Lambson社製「Speedcure TPO−L」、Hubei Gurun Technology社製「GR−TPO−L」などが挙げられる。なお、OMNIPOL TPはEO−TPO多量体である。
EO−TPOは単独でインキに使用してもよい。また、硬化性及び塗膜柔軟性を更に向上させるため、EO−TPOと、EO−TPO以外の光重合開始剤、すなわち、EO−TPOと異なる光重合開始剤(以下、「その他光重合開始剤」とも呼ぶ)と、を併用してもよい。
その他光重合開始剤の具体例として、例えば、EO−TPOを除くアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)、すなわち、EO−TPOと異なるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)(以下、「その他アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)」とも呼ぶ)、ベンゾフェノン系光重合開始剤、インダン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤、アルキルアミノアセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤などが挙げられる。
本明細書では、一般に増感剤と称される、他の光重合開始剤のラジカル発生を促進させる材料についても、「重合性開始剤」に含めるものとする。このような材料として、例えば、アミノベンゾエート系化合物、及びアントラセン系化合物が挙げられる。
その他アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)は、市販されているものを使用することができ、例えば、IGM RESINS社製の「Omnirad TPO」(上記TPOの市販品)、「Omnirad 819」(上記BTPOの市販品)などが挙げられる。また、例えば、国際公開第2017/086224号及び国際公開第2020/049378号に記載されているアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を使用することもできる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤は、市販されているものを使用することができ、例えば、IGM RESINS社製の「Omnirad BP」、「Omnirad BMS」、「Ominirad 4PBZ」、「OMNIRAD EMK」、「Esacure 1001M」、Rahn AG社製の「GENOPOL BP−1」「GENOPOL BP−2」などが挙げられる。
インダン系光重合開始剤は、市販されているものを使用することができ、例えば、LAMBSON社製の「SpeedCure XFs01」が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤は、市販されているものを使用することができ、例えば、IGM RESINS社製の「Omnirad ITX」、「Omnirad DETX」などが挙げられる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤は、市販されているものを使用することができ、例えば、IGM RESINS社製の「Omnirad 127」、「Omnirad 184」、「Ominirad 1173」、「Omnirad 2959」、「Esacure KIP150」などが挙げられる。
アルキルアミノアセトフェノン系開始剤は、市販されているものを使用することができ、例えば、IGM RESINS社製の「Omnirad 907」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」などが挙げられる。
オキシムエステル系開始剤は、市販されているものを使用することができ、例えば、BASF社製の「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE04」などが挙げられる。
アミノベンゾエート系化合物は、市販されているものを使用することができ、例えば、IGM RESINS社製の「Esacure A198」、「Omnipol ASA」「Omnirad EDB」、「Omnirad EHA」、Rahn AG社製の「GENOPOL AB−1」「GENOPOL AB−2」などが挙げられる。
アントラセン系化合物は、市販されているものを使用することができ、例えば、川崎化成工業社製の「アントラキュアーUVS−581」などが挙げられる。
上記列挙したもの以外にも、その他光重合開始剤として、例えば、IGM RESINS社製の「Omnirad 651」、「Omnirad MBF」などが使用できる。
上記列挙した中でも、本発明の実施形態のインキは、EO−TPOに加えてその他アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)を含むことが好ましい。EO−TPOとの構造類似性により、その他アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)は、当該EO−TPOとともにインキ中に均一に存在できると考えられ、その結果、表面及び内部の硬化性に特段に優れたインキになると考えられる。本発明の実施形態の場合、硬化性が特段に向上する観点から、その他アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)としてBTPOを使用することが特に好適である。
EO−TPOとその他アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)とを併用する場合、硬化性と吐出安定性との両立の観点から、その配合比を0.5:1〜3:1とすることが好ましく、0.5:1〜2.5:1とすることがより好ましく、0.8:1〜1.6:1とすることが特に好ましい。
一方で、EO−TPOと、ベンゾフェノン系光重合開始剤及び/またはインダン系光重合開始剤とを併用することも好適である。詳細な要因は不明ながら、EO−TPOから発生したラジカルが、ベンゾフェノン系光重合開始剤及び/またはインダン系光重合開始剤の開裂及びラジカルの発生にも利用されることで、インキ内部及びインキ表面で硬化速度に差が生じることなく速やかに硬化が進行し、記録媒体に対する付与量によらず、硬化性及び塗膜柔軟性に優れたインキとなると考えられる。
<重合禁止剤>
経時での保存安定性を高め、印刷物の硬化しわ及び経時でのカールを抑制するため、本発明の実施形態のインキには、重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤として、ヒンダードフェノール系化合物、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、フェノチアジン系化合物、リン系化合物、及び、ニトロソフェニルヒドロキシルアミン系化合物が、好適に使用される。具体的には、4−メトキシフェノール、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジクミルフェノチアジン、トリフェニルホスフィン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩などが挙げられる。硬化性を維持しながら、保存安定性を高め、かつ、印刷物の硬化しわ及び経時でのカールを抑制できる観点から、重合禁止剤の含有量は、インキ全量に対して0.01〜2質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
<着色剤>
本発明の実施形態のインキは、着色剤を含む。着色剤として、従来既知の染料及び顔料が使用できるが、印刷物の濃度、並びに、インキの保存安定性及び吐出安定性が向上する観点から、顔料を使用することが好適である。
上記顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えば、下記のカラーインデックス名で表される、有機または無機顔料が使用できる。
例えば、レッド顔料として、C.I.ピグメントレッド5、7、12、17、48(Ca)、48(Mn)、49:2、57(Ca)、57:1、112、122、123、147、149、150、166、168、176、177、178、184、188、202、209、242、255、264、266、269、282など;
バイオレット顔料として、C.I.ピグメントバイオレット19など;
オレンジ顔料として、C.I.ピグメントオレンジ5、13、34、38、43、61、62、64など;
ブルー顔料として、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60、C.I.バットブルー4、60など;
グリーン顔料として、C.I.ピグメントグリーン7、26,36、50、58など;
イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、128、129、138、139、147、150、151、154、155、180、185、213など;
ブラック顔料として、C.I.ピグメントブラック1、7など;並びに、
ホワイト顔料として、C.I.ピグメントホワイト6、18、21などが、希望する色再現性及び発色性に応じて、任意に使用できる。なお、上記列挙した顔料を2種類以上併用してもよい。
上記顔料の、動的光散乱法で測定した際の平均粒子径(D50)は、50〜500nmであることが好ましく、100〜400nmであることがより好ましい。D50がこの範囲内であると、発色性(白色インキの場合は隠蔽性)、インキの保存安定性、吐出安定性が優れる。更に、硬化性の悪化を抑制することも可能となる。なお、D50とは、体積基準でのメジアン径を表わし、インキを酢酸エチル等で200〜1000倍に希釈したのち、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル社製「ナノトラックUPA−EX150」)にて測定することができる値である。
また、インキ中の顔料の含有量は、当該インキの色及び使用目的により適宜選択されるが、例えば、インキ全量に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。また、発色性、インキの保存安定性、及び、吐出安定性の観点から、白色インキの場合を除き、上記顔料の含有量は、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。一方で白色インキの場合は、上記顔料の含有量が5〜30質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。
なお、求められる用途及び画質に応じて、本発明の実施形態のインキを、顔料の含有量が少ない淡色インキ(例えば、ライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトブラック)とすることもできる。その際、上記列挙した顔料を、淡色インキの着色剤として使用することができる。
<顔料分散樹脂>
本発明の実施形態のインキが顔料を含む場合、当該顔料の初期分散性及び保存安定性のために、顔料分散樹脂を使用することができる。上記顔料分散樹脂は、市販されているものを使用することもできるし、従来既知の方法で合成したものを使用することもできる。市販品の具体的な例として、味の素ファインテクノ社製「アジスパー−PB−821」、「アジスパー−PB−822」、ビックケミー社製「BYKJET−9150」、「BYKJET−9151」、「BYKJET−9152」、ルーブリゾール社製「ソルスパース32000」、「ソルスパース39000」、「ソルスパースJ180」、「ソルスパースJ200」などが挙げられる。また、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの酸基含有重合性単量体、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有重合性単量体、及び、必要に応じてその他重合性単量体の共重合体を、顔料分散樹脂として用いてもよい。
上記顔料分散樹脂の重量平均分子量(以下Mw)は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがより好ましく、15,000〜30,000であることが更に好ましい。上記範囲内であれば、重合性単量体に対する顔料分散樹脂の相溶性が良好となり、インキの保存安定性が向上する。また、顔料分散樹脂による印刷物の光沢性低下が抑制され、発色性が良化する。
なお、Mwは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(以下GPC)により求めることができる。具体的には、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を備えたGPC(例えば、東ソー社製「HLC−8320GPC」)にて、展開溶媒にDMFを使用して測定されたポリスチレン換算分子量として得られる値である。
また、顔料分散樹脂のアミン価は5〜50mgKOH/gであることが好ましく、10〜50mgKOH/gであることがより好ましく、20〜45mgKOH/gであることが更に好ましい。また、顔料分散樹脂の酸価は2〜25mgKOH/gであることが好ましく、5〜20mgKOH/gであることがより好ましい。顔料分散樹脂の酸価及びアミン価が上記の範囲内である場合、一般式(A)で表される化合物に対する相溶性が向上し、インキの保存安定性や吐出安定性が良好になるとともに、印刷時に異なる色のインキ同士が混色することなく、色再現性に優れた印刷物が得られる。
「アミン価」とは、分散剤固形1g中に含まれる塩基性窒素を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 7237に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。具体的な測定方法の例として、対象となる樹脂をテトラヒドロフランに溶解させた後、0.1mol/Lの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって滴定を行う。そして得られた滴定曲線から読み取った滴定量を用いて、水酸化カリウムのmg数に換算し、アミン価を算出することができる。
「酸価」とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。具体的な測定方法の例として、対象となる樹脂を、ジエチルエーテルとエタノールとを1:1の質量比で混合した溶媒に溶解させた後、0.1mol/Lの水酸化カリウム−エタノール溶液を用い、電位差滴定法によって滴定を行う。そして得られた滴定曲線から読み取った滴定量を用いて、酸価を算出することができる。
ある好ましい実施形態では、保存安定性及び吐出安定性の両立の点から、顔料分散樹脂として、Mwが10,000〜50,000、かつ、アミン価が5〜50mgKOH/gである顔料分散樹脂が特に好ましく使用できる。
白色インキである場合を除き、顔料分散樹脂の添加量は、顔料の総量に対して、20〜120質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。また白インキの場合は、顔料分散樹脂の添加量は、顔料の総量に対して1〜100質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることがより好ましい。上記配合量の範囲で使用することで、顔料の初期分散性及び保存安定性に優れた顔料分散体を得ることができる。
<その他の成分>
本発明の実施形態のインキは、上記成分以外に、表面調整剤、溶剤、及び、その他添加剤を併用することができる。更に、必要に応じて、紫外線吸収剤、褪色防止剤、高分子化合物等を使用してもよい。これらの成分は、それぞれ従来既知のものを任意に用いることができる。
(表面調整剤)
本発明の実施形態のインキには、記録媒体に対する濡れ広がり性の改善、密着性の向上、及び、ハジキの防止を目的として、表面調整剤を添加することが好ましい。表面調整剤として、例えば、シリコーン系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、アセチレングリコール系表面調整剤などが使用できる。これらの中でも、表面張力低下能、密着性の向上、及び、重合性単量体に対する相溶性の観点から、シリコーン系表面調整剤を使用することが好ましい。
シリコーン系表面調整剤として、例えば、ジメチルシロキサン構造を有する化合物、及び/または、その変性品が使用できる。中でも、ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤が特に好ましく使用できる。ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤を使用することで、記録媒体(基材)に着弾したインキが十分に濡れ広がることができるうえ、ポリエーテル基と一般式(A)で表される化合物中のエトキシ基との間に相互作用が起き、塗膜の硬度及び柔軟性、並びに、吐出安定性の両立が可能となる。なお、ポリエーテルの具体例として、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドがある。また、分子中にどちらか片方のみが含まれていてもよいし、両方が含まれていてもよいが、一般式(A)で表される化合物との相互作用の観点から、少なくともポリエチレンオキサイド構造を有することが好ましい。ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤の市販品として、例えば、ビックケミー社製のBYK(登録商標)−378、348、349、BYK−UV3500、UV3510;エボニック社製のTEGO(登録商標)Glide 450、440、435、432、410、406、130、110、100;などが好ましく使用できる。これらの中でも、密着性の向上及び印刷物の画質向上の観点から、BYK−378、348、UV3510;TEGO Glide 450、440、432、410などが特に好ましく使用できる。
シリコーン系表面調整剤を使用する場合、その含有量は、インキ中0.1〜5.0質量%であることが好ましい。含有量を0.1質量%以上にすることにより、記録媒体に対する濡れ広がり性を容易に向上でき、密着性も向上する。一方、含有量を5.0質量%以下にすることより、インキの保存安定性、吐出安定性を確保することが容易となる。
<有機溶剤、水>
本発明の実施形態のインキでは、インキの低粘度化、記録媒体に対する濡れ広がり性及び密着性を向上させるために、有機溶剤及び/または水を使用してもよい。有機溶剤及び/または水を含む場合、インキ全重中0.01〜30質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることが更に好ましい。また、乾燥性、並びに、記録媒体に対する濡れ広がり性及び密着性の点から、有機溶剤を使用する場合は、沸点が140〜300℃であるものを用いることが好ましい。
有機溶剤として、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルキレングリコールジアセテート類、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルカンジオール類、ラクタム類、ラクトン類、その他含窒素系溶剤、その他含酸素系溶剤が使用できる。
中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテルが好ましく、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、及び、ジエチレングリコールジエチルエーテルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
[インキの物性]
本発明の実施形態のインキは、25℃での粘度が5〜25mPa・sであることが好ましく、10〜20mPa・sであることがより好ましい。5mPa・s以上では、吐出が良好である。25mPa・s以下だと、吐出精度が低下することがなく、画質の低下が少ない。更に高速印刷に対応するための高周波数適性を持たせるためには8〜14mPa・sが好ましい。粘度の測定は、東機産業社製TVE25L型粘度計を用いて、25℃環境下で、50rpm時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
吐出安定性、着弾後のドット形成の信頼性とのバランスの観点から、25℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。表面張力の測定は、協和界面科学社製の自動表面張力計CBVP−Zを用いて、25℃の環境下で白金プレートをインキで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
[インキの製造方法]
本発明の実施形態のインキは、従来既知の方法によって製造することができる。例えば、以下のように製造できるが、インキの製造方法は以下に限定されるものではない。まず始めに、着色剤として顔料、重合性単量体、並びに、必要に応じて顔料分散樹脂、表面調整剤、重合禁止剤、有機溶剤及び/または水などを混合した後、ペイントシェーカー、サンドミル、ロールミル、メディアレス分散機などによって分散処理を行い、顔料分散体を調製する。
次いで、得られた顔料分散体に対して、所望のインキ特性を有するように、重合性単量体の残部、EO−TPOを含む光重合開始剤、及び、必要に応じて表面調整剤、重合禁止剤、有機溶剤及び/または水などを添加し、よく混合したのち、フィルターなどで濾過し粗大粒子を濾別し、インキを調製する。
顔料分散体を製造する場合、当該顔料分散体は顔料を3〜50質量%含むことが好ましく、5〜40質量%含むことがより好ましく、10〜30質量%含むことが特に好ましい。
また、顔料分散体の製造時に使用する重合性単量体として、二官能モノマーを使用することが好ましい。なお、当該二官能モノマーは、一般式(A)で表される化合物であってもよい。また、顔料分散体及び当該顔料分散体を使用して製造したインキの保存安定性、粘度、並びに、吐出安定性の観点から、当該二官能モノマーが、一般式(A)で表される化合物であるか、EO鎖またはPO鎖を主骨格としたモノマーであることが好ましい。中でも、保存安定性の観点から、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ジプロピレングリコールジアクリレートを含むことがより好ましい。
<印刷物の製造方法>
本発明の実施形態のインキを使用した印刷物の製造方法として、例えば、基材上にインキを吐出する工程(工程1)、及び、当該基材に対し、紫外線照射手段から紫外線を照射する工程(工程2)、を含む方法が挙げられる。
なお、本発明の実施形態では、基材上の同一箇所に、同一のインクジェットヘッドから同一のインキを複数回吐出及び付与する方法、すなわち、当該基材上の同一箇所に、上記工程1を複数回施す方法(マルチパス印刷方式)を採用してもよい。しかし、本発明の実施形態の場合は、上述した本発明の実施形態の効果が十分に発揮される観点から、基材上の同一箇所に、同一のインクジェットヘッドから同一のインキを1回だけ吐出及び付与する方法、すなわち、当該基材上の同一箇所に、上記工程1を1回だけ施す方法(ワンパス印刷方式)を採用することが好ましい。
ワンパス印刷方式は、例えば、ラインプリンターなどを用いることで実施することができる。その際の印刷速度は、生産性及び良好な品質を有する印刷層を得るという観点から、20〜150m/分とすることが好ましく、30〜100m/分とすることが更に好ましい。
(記録媒体)
本発明の実施形態のインキを用いた印刷物の製造方法において使用される記録媒体として、樹脂フィルム基材または紙基材が好ましく使用できる。また、樹脂フィルム基材としては、厚さが10〜90μmであり、かつ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及び、ナイロンからなる群から選択される材質を含むものが好ましく選択される。紙基材としては、コート紙、アート紙、ラミネート紙等が好ましく選択される。本発明の実施形態のインキは、上記列挙した記録媒体によって形成されるパッケージの印刷用に好適に使用され、特に、食品包装用である当該パッケージの印刷用として好適である。
なお、「ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及び、ナイロンからなる群から選択される材質を含むもの」には、多層構造を有し、かつ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択された材質からなる層を少なくとも1つ以上有する樹脂フィルム基材(積層フィルム基材)も含むものとする。また、パッケージの強度向上、酸素遮断等を目的として、積層フィルムを構成する層の中に、AL(アルミニウム箔)、VMフィルム(アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム)等からなる層があってもよい。
(インキ吐出手段)
本発明のインキはインクジェット記録用である。従って、工程1におけるインキの吐出手段では、インクジェットヘッドを用いる。
本発明の実施形態において用いられるインクジェットヘッドから吐出される、インキのドロップボリュームは2pl以上50pl以下であることが好ましく、3pl以上20pl以下であることが更に好ましい。また、インクジェットヘッドの設計解像度は600dpi以上であることが好ましい。上記条件を満たすインクジェットヘッドとして、具体的には、京セラ社製KJ4A−AA、KJ4A−TA、KJ4A−RH、富士フイルム社製Samba G3L、セイコーエプソン社製S3200、S1600、S800、I3200、I1600、コニカミノルタ社製KM1024i、KM1024、リコー社製MH5320、MH5340、MH5240、MH5440などが挙げられ、いずれも好適に用いられる。
また、本発明の実施形態のインキが適切な粘度となるよう、インクジェットヘッドに備えられたヒーターなどの加温装置で、当該インキを加温しながら吐出することができる。連続的にインキを安定して吐出するという観点から、吐出時のインキの粘度が20mPa・s以下となるように加温することが好ましく、15mPa・s以下となるように加温することが更に好ましい。
(紫外線照射手段)
工程2で使用する紫外線照射手段として、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーランプ、キセノンランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)などを使用することができる。
〔紫外線発光ダイオード〕
紫外線照射手段のうち、UV−LEDは、照射される紫外線波長幅が狭い、小型化が容易である、などの特徴を有する。そのためインキ中に含まれる光重合開始剤及び着色剤の特性に合わせて、UV−LEDの照射波長及び使用方法をある程度任意に調整することができる。工程2において使用するUV−LEDのピーク波長は、280〜420nmであることが好ましく、320〜400nmであることが特に好ましい。
また、UV−LEDは、その小ささゆえに複数個並べて配置することができる。そのため、複数個のLEDを並べ、記録媒体に対する照射強度を高めて使用することができる。なお、その際、ピーク波長の異なる複数のUV−LEDを並べて使用してもよい。また、工程2において、後述する紫外線ランプなどのUV−LED以外の紫外線照射手段と、UV−LEDとを併用してもよい。
〔紫外線ランプ〕
また、紫外線照射手段として、UV−LED以外の紫外線照射手段(紫外線ランプ)を使用する場合、UV−A領域の紫外線を効率的に発光させインキ被膜の内部まで十分に照射光を到達させることができるという観点から、メタルハライドランプが好ましく使用される。なお、上述したUV−LEDと組み合わせて使用することもできる。
工程2において、記録媒体上での紫外線の最高照度は80mW/cm2以上であることが好ましく、120mW/cm2以上であることがより好ましい。また、記録媒体上に照射する際の積算光量は、重合性モノマー及び光重合開始剤の種類並びに含有量などによって異なるが、100mJ/cm2以上とすることが好ましく、150mJ/cm2以上とすることがより好ましく、200mJ/cm2以上とすることが更に好ましい。
更に、工程1の終了後、工程2が開始されるまでの時間(インキが記録媒体に付着した後、紫外線の照射を開始するまでの時間)は、0.03〜3秒とすることが好ましく、0.04〜2.5秒とすることがより好ましく、0.06〜2秒とすることが更に好ましい。これにより、インキのドット形成性が良好になり、インキ同士が混色することもなく、良好な品質を有する印刷物を得ることができる。
[インキセット]
本発明の実施形態では、色が異なるインキを複数用意し、インキセットとして使用してもよい。なお、インキセットを構成するすべてのインキが、上述した本発明の実施形態の要件を満たすことが好ましい。
インキセットを使用して印刷物を製造する場合、インキセットを構成するインキの数だけ工程1を行ったのち、工程2を行ってもよい。しかし、本発明の実施形態の場合、印刷物の品質が向上できる観点から、工程1を行うごとに、工程2を行うことが好ましい。
<仮硬化>
「工程1を行うごとに、工程2を行う」とは、インキが記録媒体に着弾したのち、次のインキが着弾する前に、紫外線照射手段から紫外線を照射して記録媒体上のインキを部分的に硬化させることを指し、一般には「仮硬化」と呼ばれる。本発明の実施形態において仮硬化を行う場合、仮硬化に使用する紫外線照射手段は、UV−LEDであることが好ましい。また、仮硬化における、記録媒体上での紫外線の最高照度は2〜20mW/cm2であることが好ましく、5〜15mW/cm2であることがより好ましい。
本発明は2020年12月25日出願の特願2020−216783号の主題に関連し、その全開示内容を参照により本明細書に取り込む。
以下に、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。また特に断らない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を表す。
1.インキの作製
インキ作製に先立ち、ブラック顔料分散体を作製した。顔料(Orion Engineered Carbons社「Special Black350」)20部、顔料分散樹脂(ルーブリゾール社製「ソルスパース32000」)10部、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA、アルケマ社製「SR508」)70部をハイスピードミキサーで均一になるまで撹拌した後、横型サンドミルで約1時間分散することによって、ブラック顔料分散体Aを作製した。
また、ジプロピレングリコールジアクリレートの代わりに、エチレングリコールジアクリレート(富士フィルム和光純薬社製)またはPO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(サートマー社製、PO基の付加モル数:2)を使用した以外は、上記ブラック顔料分散体Aと同様の原料及び方法を用いることによって、それぞれ、ブラック顔料分散体B、及び、ブラック顔料分散体Cを作製した。
次いで、表1に記載した配合となるよう、作製したブラック顔料分散体に、重合性単量体、光重合開始剤、重合禁止剤、表面調整剤を順次撹拌しながら加え、光重合開始剤が溶解するまで穏やかに混合した。そして、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、粗大粒子を除去することでブラック色のインキを得た。なお、上記各原料の添加は順不同であってよい。
Figure 0006979557
Figure 0006979557
Figure 0006979557
表1において使用した材料の詳細は、以下のとおりである。
<重合性単量体>
・Photomer 4050:ポリエチレングリコール200ジアクリレート(IGM RESINS社製)(一般式(A)におけるn≒4)
・Photomer 4054:ポリエチレングリコール400ジアクリレート(IGM RESINS社製)(一般式(A)におけるn≒9)
・VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
・Miramer M286:ポリエチレングリコール600ジアクリレート(Miwon社製)(一般式(A)におけるn≒14)
・EDGA:エチレングリコールジアクリレート(富士フィルム和光純薬社製)
・SR508:ジプロピレングリコールジアクリレート(アルケマ社製)
・NPG(PO)DA:PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(サートマー社製、PO基の付加モル数:2)
・Photomer 4017:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(IGMRESINS社製)
・PEA:2−フェノキシエチルアクリレート
・TMP(EO)TA:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
<光重合開始剤>
・Omnirad TPO−L:エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(IGM RESINS社製)
・OMNIPOL TP:エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの多量体(IGM RESINS社製)
・Omnirad 819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IGM RESINS社製)
・Omnirad TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(IGM RESINS社製)
・Omnirad 403:ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(IGM RESINS社製)
・Omnirad BMS:[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタン(IGM RESINS社製)
・SpeedCure XFs01:2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル]−1,3,3−トリメチルインダン−5−イル}−2−メチルプロパン−1−オン(LAMBSON社製)
・Omnirad 379:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(IGM RESINS社製)
・Esacure A198:アミノベンゾエート系化合物(IGM RESINS社製)
・GENOPOL AB−2:アミノベンゾエート系化合物(Rahn AG社製)
<重合禁止剤>
・BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(精工化学社製「BHTスワノックス」)
<その他添加剤>
・BYK UV3510:ビックケミー社製シリコーン系表面調整剤
・BYK 361N:ビックケミー社製アクリル系表面調整剤
2.印刷物の作製
作製したインキを使用し、以下のように印刷物を製造した。
京セラ社製インクジェットヘッド(解像度600dpi×600dpi)と本硬化用紫外線ランプとを搭載したインクジェット吐出装置(トライテック社製「OnePassJET」)に、インキを充填した。次いで、吐出液滴量14pl、印刷速度50m/minの印字条件で、リンテック社製PET基材「PET50(K2411)」上へ、印字率100%のベタ画像、及び、印字率30%のハーフトーンベタ画像を印刷した。なお、本硬化用紫外線ランプとして、GEW社製240W/cmメタルハライドランプを用いた。そして、下記硬化性評価の際は、積算光量が200mJ/cm2になるように、また、柔軟性評価の際は、積算光量が1000mJ/cm2になるように、あらかじめ出力を調整した。
[実施例1〜40、比較例1〜5]
作製したインキ及び印刷物を使用して、以下に示す評価を行った。評価結果は、表1に示した通りであった。
[厚膜硬化性評価]
印字率100%のベタ画像の印字において、紫外線ランプの直下を複数回数通過させた。その際、1回通過させたごとに印刷物表面を綿棒で擦り、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなるまでに要した通過回数を確認した。評価基準は下記の通りとし、3以上を実用可能とした。
5:1回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
4:2回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
3:3回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
2:4回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
1:綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなるまで、紫外線ランプの直下を5回以上通過させる必要があった
[薄膜硬化性評価]
印字率30%のハーフトーンベタ画像の印字において、紫外線ランプの直下を複数回数通過させた。その際、1回通過させたごとに印刷物表面を綿棒で擦り、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなるまでに要した通過回数を確認した。評価基準は下記の通りとし、3以上を実用可能とした。
5:1回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
4:2回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
3:3回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
2:4回通過させた時点で、綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなった
1:綿棒に未硬化状態のインキが付着しなくなるまで、紫外線ランプの直下を5回以上通過させる必要があった
[柔軟性評価]
作製したベタ印刷物を180°折り曲げたのち、元に戻し、塗膜表面にヒビが入るかどうかを目視確認した。そして、上記評価を5回実施し、ヒビが確認された回数をカウントした。評価基準は下記の通りとし、3以上を実用可能とした。
5:5回ともヒビは確認されなかった
4:5回中1回、ヒビが確認された
3:5回中2回、ヒビが確認された
2:5回中3〜4回、ヒビが確認された
1:5回ともヒビが確認された
[連続吐出安定性評価]
温度調整が可能なインクジェットヘッド(東芝テック社製「CA4」、ノズル数318本)を設置した治具に、作製したインキをそれぞれ充填した。次いで、吐出時のインキ粘度が8〜9mPa・sになるようにヘッドの温度をコントロールしたのち、6kHzで連続吐出を行った。そして、30分間の連続吐出前後で吐出不能になったノズルの数(ノズルロス数)を確認した。評価基準は下記の通りとし、3以上を実用可能とした。
5:ノズルロス数が、0本または1本であった
4:ノズルロス数が、2本または3本であった
3:ノズルロス数が、4本または5本であった
2:ノズルロス数が、6〜10本であった
1:ノズルロス数が、11本以上であった
表1中、実施例1〜40は、一般式(A)で表される化合物とEO−TPOとを含有し、その配合比が質量比で2:1〜8.5:1であり、全ての評価項目が3以上であった。一方、比較例1は、一般式(A)で表されるもののnが10よりも大きい化合物を含む系であり、厚膜硬化性と吐出安定性が悪い結果となった。逆に比較例2は、構造は一般式(A)で表されるもののnが1である化合物を含む系であり、柔軟性が大きく悪化した。また、比較例3は、一般式(A)で表される化合物とEO−TPOとの比率が、質量比で10:1であり、厚膜硬化性が悪化した。比較例4も同様に、一般式(A)で表される化合物とEO−TPOとの比率が12:1と本発明の実施形態において規定した範囲を大きく超過しており、吐出安定性は維持されたものの、硬化性及び柔軟性が悪い結果となった。更に比較例5は、EO−TPOを含まない系であり、硬化性が大きく悪化した。

Claims (5)

  1. 着色剤と、重合性単量体と、光重合開始剤と、を含有する紫外線硬化型インクジェットインキであって、
    前記重合性単量体が、下記一般式(A)で表される化合物と、EO鎖またはPO鎖を主骨格とした二官能モノマー(ただし一般式(A)で表される化合物は除く)とを含有し、
    前記光重合開始剤が、
    エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと、
    前記エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドと異なるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)、ベンゾフェノン系光重合開始剤、及びインダン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種と、を含有し、
    前記一般式(A)で表される化合物の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェットインキ中8〜42.5質量%であり、
    前記一般式(A)で表される化合物の含有量と、前記エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの含有量との比が、質量比で2:1〜8.5:1であり、
    単官能モノマーの含有量が、前記紫外線硬化型インクジェットインキ中25質量%以下である、紫外線硬化型インクジェットインキ。

    一般式(A): CH2=CH−CO−(O−CH2CH2n−O−R

    (一般式(A)中、Rは、アクリロイル基またはビニル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
  2. 前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)、前記ベンゾフェノン系光重合開始剤、及び前記インダン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種の光重合開始剤が、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)である、請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェットインキ。
  3. 前記エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドの含有量と、前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(a)の含有量との比が、質量比で0.5:1〜3:1である、請求項2に記載の紫外線硬化型インクジェットインキ。
  4. 更に、ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化型インクジェットインキ。
  5. 前記一般式(A)におけるRが、アクリロイル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化型インクジェットインキ。
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