[0006] 本発明の第1の態様に従って、リソグラフィ装置が提供される。このリソグラフィ装置は、放射ビームを提供するための照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与するように機能するパターニングデバイスを支持するためのサポート構造と、基板を保持するための基板テーブルと、パターン付与された放射ビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、放射ビームの断面内の位置に応じて放射ビームの波長を変動させるように構成された波長変調器と、を備える。
[0007] 放射ビームの波長を変動させることにより、投影システムの焦点面の形状を変化させることができるという利点がある。投影システムの焦点面は、概ね平面ではなく、湾曲が生じることがある。投影システムの焦点面の形状を基板のターゲットエリアの形状とより良く合致するように変化させることにより、リソグラフィ装置のフォーカスエラーを低減できる。例えば、投影システムの焦点面の形状が基板エッジの湾曲とより良く合致するように放射ビームの波長を変動させることによって、基板エッジロールオフ効果に少なくとも部分的に対処する(account for)ことができる。放射ビームの波長を変動させることは、投影システム内のレンズ要素を調整することに比べ、投影システムの焦点面の形状の制御の増大とこの形状の変化の高速化を可能とする。本発明の他の態様として、投影システムの焦点面の形状を変化させるために放射ビームの波長を変動させる様々な方法及び装置について述べる。
[0008] 波長変調器は音響光学変調器を含むことができる。
[0009] 音響光学変調器は、音響光学変調の異なるセクションにおいて異なる周波数を有する音響波を発生させるように構成された複数のトランスデューサを含むことができる。
[0010] リソグラフィシステムは更に、基板の高さマップを測定すると共に高さマップを示す信号を出力するよう構成されたトポグラフィ測定システムと、トポグラフィ測定システムから信号を受信し、投影システムの焦点面の形状の変化を決定し、投影システムの焦点面の形状の変化を示す信号を出力するように構成されたプロセッサと、プロセッサから信号を受信すると共に、投影システムの焦点面の決定された形状の変化を適用するように波長変調器を制御するよう構成されたコントローラと、を含むことができる。
[0011] 本発明の第2の態様に従って、リソグラフィ装置が提供される。このリソグラフィ装置は、放射ビームを提供するための照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与するように機能するパターニングデバイスを支持するためのサポート構造と、基板を保持するための基板テーブルと、パターン付与された放射ビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、スキャン方向に沿って放射ビームを通ってターゲット部分を移動させるように構成された位置決めデバイスと、基板のターゲット部分において非スキャン方向に放射ビームをスイープするように構成された偏向器と、基板のターゲット部分上での放射ビームの位置に応じて放射ビームの波長を変動させるように構成された波長変調器と、を備える。
[0012] 波長変調器は音響光学変調器を含むことができる。
[0013] 音響光学変調器は、音響光学変調の異なるセクションにおいて異なる周波数を有する音響波を発生させるように構成された複数のトランスデューサを含むことができる。
[0014] リソグラフィシステムは更に、基板の高さマップを測定すると共に高さマップを示す信号を出力するよう構成されたトポグラフィ測定システムと、トポグラフィ測定システムから信号を受信し、投影システムの焦点面の変化を決定し、投影システムの焦点面の変化を示す信号を出力するように構成されたプロセッサと、プロセッサから信号を受信すると共に、投影システムの焦点面の決定された変化を適用するように波長変調器及び偏向器を制御するよう構成されたコントローラと、を含むことができる。
[0015] 本発明の第3の態様に従って、放射源とリソグラフィ装置とを備えるリソグラフィシステムが提供される。このリソグラフィシステムは、放射ビームを提供するための照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与するように機能するパターニングデバイスを支持するためのサポート構造と、基板を保持するための基板テーブルと、パターン付与された放射ビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、スキャン方向に沿って放射ビームを通って基板のターゲット部分を移動させるように構成された位置決めデバイスと、を備える。放射源は、放射ビームを発生させるように構成されたレーザキャビティを含む。リソグラフィシステムは更に、基板のターゲット部分において非スキャン方向に放射ビームをスイープするように構成された偏向器と、基板のターゲット部分上での放射ビームの位置に応じて放射ビームの波長を変動させるように構成された波長変調器と、を備える。
[0016] 波長変調器は音響光学変調器を含むことができる。
[0017] 音響光学変調器は、音響光学変調の異なるセクションにおいて異なる周波数を有する音響波を発生させるように構成された複数のトランスデューサを含むことができる。
[0018] 波長変調器は、レーザキャビティ内に位置付けられた可動光学要素を含むことができる。
[0019] 可動光学要素は変形可能とすることができる。
[0020] 光学要素はミラーとすることができる。
[0021] 光学要素はプリズムとすることができる。
[0022] リソグラフィシステムは更に、基板の高さマップを測定すると共に高さマップを示す信号を出力するよう構成されたトポグラフィ測定システムと、トポグラフィ測定システムから信号を受信し、投影システムの焦点面の変化を決定し、投影システムの焦点面の変化を示す信号を出力するように構成されたプロセッサと、プロセッサから信号を受信すると共に、投影システムの焦点面の決定された変化を適用するように波長変調器及び偏向器を制御するよう構成されたコントローラと、を含むことができる。
[0023] 本発明の第4の態様に従って、パターン付与された放射ビームを基板に投影することを含む方法が提供される。この方法は、基板を提供することと、照明システムを用いて放射ビームを提供することと、パターニングデバイスを用いて放射ビームの断面にパターンを付与することと、パターン付与された放射ビームを基板のターゲット部分に投影することと、放射ビームの断面において放射ビームの波長を変動させることと、を含む。
[0024] 波長を変動させることは音響光学変調を用いることを含むことができる。
[0025] 音響光学変調器を用いることは、音響光学変調の異なるセクションにおいて異なる周波数を有する音響波を発生させることを含むことができる。
[0026] 方法は更に、基板の高さマップを測定することと、投影システムの焦点面の変化を決定することと、音響光学変調を用いて投影システムの焦点面の決定された変化を適用することと、を含むことができる。
[0027] 本発明の第5の態様に従って、パターン付与された放射ビームを基板に投影する方法が提供される。この方法は、基板を提供することと、照明システムを用いて放射ビームを提供することと、パターニングデバイスを用いて放射ビームの断面にパターンを付与することと、パターン付与された放射ビームを基板のターゲット部分に投影することと、スキャン方向に沿って放射ビームを通ってターゲット部分を移動させることと、基板のターゲット部分において非スキャン方向に放射ビームをスイープすることと、基板のターゲット部分上での放射ビームの位置に応じて放射ビームの波長を変動させることと、を含む。
[0028] 波長を変動させることは音響光学変調を用いることを含むことができる。
[0029] 音響光学変調器を用いることは、音響光学変調の異なるセクションにおいて異なる周波数を有する音響波を発生させることを含むことができる。
[0030] 方法は、放射源を用いて放射ビームを発生させることを更に含む。放射源は、レーザキャビティとレーザキャビティ内に位置付けられた光学要素とを含む。波長を変動させることは、レーザキャビティ内で光学要素を移動させることを含む。
[0031] 波長を変動させることは、光学要素を変形させることを更に含むことができる。
[0032] 方法は更に、基板の高さマップを測定することと、投影システムの焦点面の変化を決定することと、音響光学変調を用いて投影システムの焦点面の決定された変化を適用することと、を含むことができる。
[0033] 本発明の第6の態様に従って、本発明の第5及び第6の態様のいずれか又はそれらに関連する任意選択肢のいずれかに従った方法をコンピュータに実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
[0034] 本発明の第7の態様に従って、本発明の第6の態様に従ったコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体が提供される。
本発明の第8の態様に従って、基板のターゲット部分において放射の波長を変動させるためのコンピュータ装置が提供される。このコンピュータ装置は、プロセッサ可読命令を記憶しているメモリと、このメモリに記憶された命令を読み取って実行するように構成されたプロセッサと、を備える。プロセッサ可読命令は、本発明の第5及び第6の態様のいずれか1つ又はそれらに関連する任意選択肢のいずれかに従った方法を実行するようコンピュータを制御するように構成された命令を含む。
[0036] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0037] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nmの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0038] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する等のため、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得るデバイスを指すものとして広義に解釈されるものとする。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しない場合があることに留意するべきである。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路等のターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0039] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリクス構成を使用し、ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾けることができる。このようにして、反射ビームがパターニングされる。
[0040] 支持構造はパターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。サポートは、機械式クランプ、真空、又は他のクランプ技術、例えば真空条件下での静電クランプを使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0041] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は浸漬液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0042] また、照明システムは、放射ビームを誘導し、整形し、又は制御する屈折、反射、及び反射屈折光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントを含んでよく、そのようなコンポーネントも以下においては集合的に又は単独で「レンズ」とも呼ばれることがある。
[0043] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上の支持構造)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0044] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するように、基板が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水などに液浸されるタイプであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
[0045] 図1は、本発明の実施形態による波長変調器1a−dを含むリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、
放射のビームPBを調整する照明システム(イルミネータ)IL(例えばUV放射又はDUV放射)と、
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するための、アイテムPLに関してパターニングデバイスを正確に位置決めするために第1の位置決めデバイスPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に結像するように構成された、投影システム(例えば屈折投影レンズ)PLと、
放射ビームPBの波長を変えるように構成された波長変調器1a−dと、
を含む。
[0046] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したタイプの反射マスク又はプログラマブルミラーアレイを使用する)。
[0047] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0048] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整する調整手段AMを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームPBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0049] 放射ビームPBは、支持構造MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。パターニングデバイスMAを横断したビームPBは投影システムPLを通過し、投影システムPLはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス)の助けにより、基板テーブルWTを、異なるターゲット部分CをビームPBの経路に位置決めするように正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決めデバイスPM及び別の位置センサ(図1には明示されていない)を使用して、マスクライブラリから機械的な取り出し後又はスキャン中などにビームPBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT及びWTの移動は、位置決めデバイスPM及びPWの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。しかしながら、(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、支持構造MTはショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定されてもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
[0050] 図示された装置は、以下の好ましいモードで使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、ビームPBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、ビームPBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、ビームPBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0051] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0052] 図1の例では、破線で辺が描かれたボックスを用いて、リソグラフィ装置内の波長変調器1a−dの例示的な位置を示している。例えば波長変調器1a−dは、放射源SO内、イルミネータIL内、投影システムPSとパターニングデバイスMAとの間、又は投影システムPSと基板Wとの間に位置付けることができる。
[0053] 図2は、基板Wのエッジ部分及び既知のリソグラフィ装置の投影システム(図示せず)の焦点面3の一部を概略的に示す。基板Wの露光表面における高さ変動を最小限に抑えるように、基板Wは実質的に平坦であるよう構成されている。しかしながら、基板Wは通常、エッジ部分(すなわち基板Wの外周の近傍)で湾曲する。基板のエッジ部分における基板Wの湾曲を「エッジロールオフ」と呼ぶことがある。見てわかるように、投影システムの焦点面3は平面であるが、基板Wのエッジ部分は湾曲している。レチクル(図示せず)の像は基板Wのエッジ領域では合焦せず、これはリソグラフィ露光を実行する場合にリソグラフィエラーを招く恐れがある。
[0054] 図3は音響光学変調器10を概略的に示す。音響光学変調器10は、本発明の一実施形態における波長変調器として用いることができる。音響光学変調器10は、トランスデューサ11、透明本体12、及び吸音装置(acoustic absorber)13を含む。トランスデューサ11は、例えば圧電トランスデューサ(piezoelectric transducer)を含み得る。トランスデューサ11は、透明本体12内に音響波14を発生させるよう構成されている。透明本体12は、例えばクォーツ又は酸化チタンを含み得る。音響波14は透明本体12内を進み、吸音装置13によって吸収される。吸音装置13は、例えば発泡体及び/又はゴムを含み得る。音響波14は透明本体12の周期的な圧縮及び膨張を引き起こし、これは透明本体12の屈折率を変調する。放射ビーム15は、音響光学変調器10の透明本体12を通過する。透明本体12の変調された屈折率は放射ビーム15と相互作用し、放射ビーム15の回折を引き起こす。
[0055] 放射が透明本体を通ってどのように回折するかは、少なくとも部分的に、トランスデューサ11の動作(例えばトランスデューサが動作している周波数及び振幅)と、音響波14に対する放射ビーム15の入射角16と、によって決定され得る。音響光学変調器10の動作モードは、放射ビーム15が複数の回折次数に回折するラマン−ナスレジーム(Raman-Nath regime)と、放射ビーム15が1つの回折次数に回折するブラッグレジームと、を含む。図3の例では、音響光学変調器10はブラッグレジームで動作し、放射ビーム15は1次回折17に回折している。音響光学変調器10をブラッグレジームで動作させることは、放射の損失が低減するので好ましい場合がある。ブラッグレジームは例えば、放射ビーム15の入射角16を変化させること、放射ビーム15に対して音響光学変調器10を傾斜させること、及び/又はトランスデューサ11の動作を調整することによって達成できる。
[0056] 音響光学変調器10の透明本体12における放射ビーム15と音響波14との間の相互作用によって、放射ビーム15の波長を変化させることができる。放射ビーム15のシフトした周波数は以下のように計算できる。
fs=fr+(m×fa)
ここで、frは放射ビーム15の初期周波数であり、mは回折放射ビームの回折次数であり、faは音響光学変調器10の透明本体12内の音響波14の周波数である。音響波14が透明本体12中を進んでいく間にトランスデューサ11の動作周波数を変えると、透明本体12内に変動密度パターンを誘起することができる。図3は、透明本体12において変動密度パターンを誘起する変動音響波14周波数の一例を示す。透明本体12の密度を変動させると、透明本体の屈折率が変わる。従って、透明本体12の屈折率は透明本体内の位置に応じて変わる。透明本体12を通過する放射ビーム15は、透明本体内の位置に応じた波長シフトを受ける。従って音響光学変調器は、放射ビームの断面内の位置に応じて放射ビーム15の波長を変動させる。例えば、クォーツは約5800ms−1の速度で音響波を伝達する。音響波は、約22μsで音響光学変調器の130mmクォーツ透明本体中を進む。音響波がクォーツ本体中を進むのに要する22μsの間にトランスデューサの動作周波数を変えると、クォーツ本体内で位置に応じた音響波長のシフトが誘起される。音響光学変調器のクォーツ本体内の位置に応じた音響波長のシフトを用いて、クォーツ本体中を進む放射ビームの波長に、位置に応じたシフトを与えることができる。すなわち、クォーツ本体内の異なる位置が音響波の異なる周波数に対応するようにトランスデューサの動作周波数を変動させることができる。放射ビームの断面エリアの異なる部分はクォーツ本体の異なる位置を通って進み、音響波の異なる周波数と相互作用するので、異なる波長シフトを受ける。音響光学変調器は約3GHzの周波数で動作することができる。
[0057] 投影システムの焦点面の形状を変化させるための放射ビーム波長の変動は、2つの方法によって達成できる。第1の方法は、放射ビームの断面において放射ビームの波長を変動させることを含む。第1の方法は、図3に関して上記で検討し、図4に関して以下で更に検討するように、音響光学変調器を用いて達成できる。第2の方法は、基板のターゲット部分において非スキャン方向に放射ビームをスイープしながら放射ビーム全体の波長を変動させることを含む。第2の方法は、音響光学変調器もしくは放射源内の可動光学要素を用い、更に偏向器を用いて、基板においてリソグラフィ装置の非スキャン方向で放射ビームをスイープすることにより達成できる。第2の方法については、図5から図7に関して以下で詳しく検討する。比較すると、第1の方法は静的焦点面整形と考えることができ(すなわち、放射ビームに適用される波長シフトは時間の関数として変化しない)、第2の方法は動的焦点面整形と考えることができる(すなわち、放射ビームに適用される波長シフトは時間の関数として変化する)。
[0058] 第1の方法(すなわち「静的」焦点面整形)を実行する際、放射ビームが放射パルスで構成されている場合、透明本体において誘起される音響波の空間パターンが各放射ビームパルスに対して実質的に同一であるように音響光学変調器を動作させることができる。従って、放射ビームの各放射パルスは、透明本体中を進行する時に実質的に同一の波長シフトが与えられる。各パルスに対応する投影システムの焦点面が基板のターゲットエリアの形状と実質的に合致するように、各パルスに波長シフトを与えることができる。音響光学変調器のトランスデューサによって発生する音響波の振幅及び/又は周波数の選択は、少なくとも部分的に、放射ビームの繰り返し速度(repetition rate)によって決定され得る。あるいは、第2の方法(すなわち「動的」焦点面整形)を実行する際、放射ビームが放射パルスで構成されている場合、第1のパルスが断面にわたって同一の波長シフトを受け、次いで異なるパルスが断面にわたって異なる波長シフトを受けるように、音響光学変調器を動作させることができる。偏向器を用いて、基板のターゲットエリアにおいて非スキャン方向に放射ビームをスイープすることができる。スイープにおける異なる位置は異なる放射波長に対応する。従って、基板のターゲットエリアの形状を追跡するため、スイープ中に焦点面の位置が調整される。
[0059] 放射ビーム全体の波長を変動させると、リソグラフィ装置の投影システムの焦点面の位置を変えることができる。この焦点面の位置の変化は、例えば投影システムの色収差によって引き起こされ得る。例えば放射ビームの波長を約60fm変化させると、基板における焦点の位置を約20nm変化させることができる。既知の投影システムの焦点面は実質的に平面であり得る。放射ビームの波長が放射ビーム断面内の位置に依存するように放射ビームの波長を変動させると、投影システムの焦点面の形状を変えることができる。すなわち、放射ビーム断面内の異なる位置が異なる波長を有するように放射ビームを変調すると、投影システムの焦点面の湾曲を誘起することができる。音響波の周波数が経時的に変化するように音響光学変調器のトランスデューサを動作させることによって、透明本体内に存在する音響波パターンを制御することができる。透明本体内の異なる位置が、音響光学変調器の透明本体を通過する放射ビームの異なるシフト周波数fsに対応するように、音響波パターンを制御することができる。従って、音響光学変調器のトランスデューサの周波数を制御することで、投影システムの焦点面の位置及び/又は形状の制御が可能となる。焦点面の形状が基板の形状とより良く合致し、これによってフォーカスエラーを低減させるように、放射ビームの波長を放射ビーム断面内の位置に応じて変動させればよい。
[0060] 図4は、本発明の一実施形態に従った波長変調器21を含むリソグラフィ装置の部分20を概略的に示す。図4の例において、波長変調器21は音響光学変調器を含む。図4の例において、音響光学変調器はリソグラフィ装置のパターニングデバイスMAと投影システムPSとの間に位置付けられている。放射ビームPBはパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスは放射ビームPBの断面にパターンを与えるよう構成されている。パターニングデバイスMAによってパターン付与された後、放射ビームPBは音響光学変調器21に入射する。音響光学変調器21は、放射ビーム断面内の位置に応じて放射ビームの波長を変動させるよう構成されている。すなわち音響光学変調器21は、放射ビーム断面内の異なる位置が異なる波長変化を受けるように放射ビームの波長を変動させるよう構成されている。放射ビームPBは音響光学変調器21を通過し、リソグラフィ装置の投影システムPSに入射する。投影システムPSは、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上に位置付けられた基板Wに放射ビームPBを投影する。図4の例では、投影システムPSの焦点面24の形状と基板Wの形状を明確に示すため、焦点面24は基板Wの露光表面から分離しているものとして図示されている。実際には投影システムPSの焦点面24は、例えば基板テーブルWTの高さを調整することにより、基板Wの露光表面上に又はできる限り露光表面の近くに位置付けられている。
[0061] 図4の例において、音響光学変調器21は6個のトランスデューサ23a−fを含む。各トランスデューサ23a−fは、音響光学変調器21の透明本体の異なるセクションで音響波を発生させるよう構成されている。複数のトランスデューサ23a−fを有する音響光学変調器21を提供することで、単一のトランスデューサを有する音響光学変調器に比べ、音響光学変調器の透明本体内で発生する音響波パターンの制御の増大が可能となり得る。これは次いで、放射ビーム断面における放射ビームPBの波長の制御の増大を可能とし、これによって投影システムPSの焦点面24の形状及び/又は位置の制御の増大が可能となる。図4の例において、トランスデューサの1つ23fは、他のトランスデューサ23a−eとは異なる時変周波数で動作している。トランスデューサ23fの影響下にある音響光学変調器21のセグメントを通過する放射には、トランスデューサ23a−eの影響下にある透明本体のセクションを通過する放射とは異なる波長シフトが与えられる。従って、トランスデューサ23fの影響下にある音響光学変調器21のセグメントを通過する放射は、トランスデューサ23a−eの影響下にある透明本体のセクションを通過する放射とは異なる光路長の後に合焦する。投影システムPSの焦点面24の形状は基板Wの湾曲とより良く合致するように制御され、これによってリソグラフィ露光の精度を向上させる。
[0062] 複数のトランスデューサを有する音響光学変調器によって発生する焦点面24の形状は、ステップ状パターンを含み得る。ステップ状パターンの各ステップは、音響光学変調器の透明本体の1つのセクションに対応する。セクションの数及び関連するトランスデューサの数を増やすと、ステップ状パターンにおけるステップのサイズが小さくなり、発生する焦点面24の形状は基板Wの形状とよりいっそう合致する可能性がある。異なるトランスデューサ23a−eによって発生した音響波間に多少の干渉が生じることがある。しかしながら、これらの効果は無視できる程度であり得る。トランスデューサ23a−eと音響光学変調器21の透明本体との間に剛性接続を提供することで、透明本体の異なるセクションにおいて発生した音響波間に生じる干渉効果を低減できる。また、音響光学変調器21の透明本体の異なるセクションを相互に音響的に隔離することで、異なるトランスデューサにより発生した音響波間に生じる干渉効果を低減することも可能である。
[0063] 放射ビームは約193nmの波長を有し得る。エッジロールオフ効果によって、例えば基板の表面に約10nm〜約20nmの高さ変化が生じる可能性がある。放射ビームの波長を約60fm変化させると、投影システムPSの焦点位置が約20nm変化することにより、基板エッジロールオフ効果で生じる20nmの高さ変化を補正することができる。音響光学変調器を約500MHzの周波数で動作させることで、放射ビームの波長の60fmシフトを達成できる。音響光学変調器の透明本体がクォーツである(これは約5800ms−1の速度で音響波を伝達する)と仮定した場合、音響光学変調器を約500MHzの周波数で動作させると、約1.16×10−5mの波長を有する音響波を発生させることができる。音響光学変調器がブラッグレジームで動作すると仮定した場合、クォーツから出射する回折ビームはリソグラフィ装置の光軸から約17mradであり得る。レンズ(図示せず)を用いて、クォーツから最大回折角で出射する放射を収集し方向転換させることができる。
[0064] 図5A及び図5Bは、本発明の一実施形態に従った、波長変調器31及び偏向器33を含むリソグラフィ装置の部分30を概略的に示す。図5A及び図5Bの例において、波長変調器31は単一のトランスデューサ(図示せず)を有する音響光学変調器を含む。しかしながら、音響光学変調器31は複数のトランスデューサを含んでもよい。音響光学変調器31は、放射ビーム断面の異なるポイントが実質的に同一の波長変化を受けるように放射ビーム32の波長を変動させるよう構成されている。放射ビーム32は、放射源(図示せず)によって発生され、照明システム(図示せず)によって調節された後、音響光学変調器31に到達できる。図4の場合と同様、図5A及び図5Bの例では、投影システムPSの焦点面34の形状と基板Wの形状を明確に示すため、焦点面34は基板Wの露光表面から分離しているものとして図示されている。実際には投影システムPSの焦点面34は、例えば基板テーブルWTの高さを調整することにより、基板Wの露光表面上に又はできる限り露光表面の近くに位置付けられている。焦点面34が2次元の要素(entity)であること、また、図示を容易にするため図5A及び図5Bでは焦点面34が1次元の線として表されていることは認められよう。
[0065] 図5Aは、放射ビーム32の投影中の第1の時点t1における投影システムの部分30を示す。放射ビーム32は音響光学変調器31に入射する。時点t1において、音響光学変調器31は第1の周波数で動作しているので、放射ビーム32に第1の波長シフトを与える。放射ビーム32は音響光学変調器31を通過し、偏向器33に入射する。偏向器33は、基板Wのターゲット部分において放射ビーム32をスイープするよう構成されている。図5の例では、偏向器33は回転可能ミラーを含む。ミラー33の角度位置35を変化させると、放射ビーム32の反射角が変化する。図5Aでは、ミラー33は第1の角度位置35にあり、放射ビームを第1の方向32aに反射させる。次いで放射ビーム32はパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビーム32の断面にパターンを付与するよう構成されている。パターニングデバイスMAによってパターン付与された後、放射ビーム32はリソグラフィ装置の投影システムPSに入射する。投影システムPSは、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上に位置付けられた基板Wに放射ビーム32を投影する。時点t1において、放射ビーム32は基板Wのエッジ近傍で基板Wに入射する。図5からわかるように、上述したエッジロールオフ効果のため、基板Wのトポグラフィは基板のエッジ近傍で変化する。音響光学変調器31によって与えられる第1の波長シフト及びミラー33によって与えられる第1の方向32aは、パターニングデバイスMAにより放射ビーム32に与えられるパターンの像が第1の位置34aで合焦するようになっている。第1の位置34aは基板Wの露光表面の位置に対応する。すなわち、投影システムPSの焦点面34の形状が基板Wの露光表面の形状と実質的に合致するように、放射ビーム32の波長シフト及び方向32aが選択される。焦点面の形状を基板の露光表面の形状に合致させると、リソグラフィ露光を実行する場合のフォーカスエラー等のリソグラフィエラーを低減することができる。
[0066] 位置決めデバイス(図示せず)が、スキャン方向36に沿って放射ビーム32を通って基板Wのターゲット部分を移動させるよう構成されている。図5の例において、スキャン方向はy軸に沿っている。基板Wの移動中にリソグラフィ装置の非スキャン方向で基板Wのターゲット部分に放射ビーム32をスイープするように、ミラー33の角度位置35は経時的に変化する。図5の例において、非スキャン方向はx軸に沿っている(すなわちスキャン方向に垂直である)。リソグラフィ装置の部分30の光軸37はz軸に沿って位置付けられている。偏向器33は、位置決めデバイスが基板Wをスキャン方向36に移動させる速度よりも速い速度で放射ビーム32を非スキャン方向36にスイープするよう構成されている。位置決めデバイスは、例えば約0.1ms−1〜約1ms−1の速度で基板Wをスキャン方向36に移動させるように構成できる。偏向器33は、例えば約1ms−1〜約100ms−1の速度で放射ビーム32を非スキャン方向にスイープするように構成できる。放射ビームを非スキャン方向にスイープすると、基板Wに適用されている放射のドーズの均一性が影響を受ける可能性がある。すなわち、放射ビームの繰り返し速度とスイープの速度に応じて、基板の一部のエリアは他のエリアよりも受光する放射が低減し、結果としてリソグラフィエラーが生じることがある。非スキャン方向の放射ビームのスイープを実行する場合に基板におけるドーズ均一性を維持するため、放射ビームの繰り返し速度を上げることができる。例えば放射ビームの繰り返し速度は、約6kHz〜約8kHzから約20kHzに上げることができる。あるいは、非スキャン方向の放射ビームのスイープを実行する場合に基板におけるドーズ均一性を維持するため、放射ビームのパルス長を延長することができる。基板において非スキャン方向の放射ビームのスイープを1回実行するのに要する時間は、放射ビームのパルス長と実質的に同一であるように選択することができる。
[0067] 以下は、本発明の例示的な実施の検討である。放射ビームのパルス長は例えば約200nsとすることができる。放射ビームの繰り返し速度は例えば約6kHzとすることができる。リソグラフィ装置の露光スリットの幅は例えば約26mmとすることができる。1レーザパルス長内で露光スリット幅に放射ビームをスイープするため、放射ビームのスイープ速度は約1.3×105ms−1とすることができる。ミラー33は、ミラー33の回転速度が放射ビームの繰り返し速度に対応するように回転させることができる。例えば放射ビームの繰り返し速度が約6kHzである場合、ミラー33を約6kHzの回転速度で回転させることができる。露光スロット幅にわたる放射ビームのスイープは、ミラーの1回転の約1/800に相当し得る。これは約0.43度のミラーの回転に等しい。4.3度の角度のミラーの回転が露光スリットの全幅をカバーするようなリソグラフィの光学設計であれば、ミラーは毎秒約60000回転の速度で回転しなければならない可能性がある。放射ビームのパルス長を延長させると、ミラーに必要な回転速度を低下させることができる。
[0068] 図5Bは、放射ビーム32の投影中の第2の時点t2における投影システムの部分30を示す。時点t2において音響光学変調器31は、時点t1で使用した周波数とは異なる周波数で動作している。t2における音響光学変調器の異なる動作周波数は、時点t1における第1の波長シフトとは異なる放射ビーム32の第2の波長シフトを誘起する。放射ビーム32は音響光学変調器31を通過し、ミラー33に入射する。ミラー33は第2の角度位置35にあり、放射ビーム32を第2の方向32bに反射させる。音響光学変調器31によって与えられる第2の波長シフト及びミラー33によって与えられる放射ビーム32の方向32bの変化は、パターニングデバイスMAにより放射ビーム32に与えられるパターンの像が第2の位置34bで合焦するようになっている。第2の位置34bは基板Wの露光表面の位置に対応する。放射ビーム32の波長シフト及び方向32bは、投影システムPSの焦点面34の形状が基板Wの露光表面の形状と実質的に合致するようになっている。図5Aと図5Bの比較からわかるように、焦点面34の形状を基板Wの露光表面の形状と合致させるために音響光学系31の動作周波数を変化させながら、ミラー33は放射ビーム32を非スキャン方向38に沿ってスイープする。
[0069] 図6は、本発明の一実施形態に従った、放射源SO、投影システムPS、波長変調器41、及び偏向器43を含むリソグラフィシステムの部分40を概略的に示す。放射源SOは、放射ビーム42を発生させるように構成されたレーザキャビティ44を有するレーザを含む。放射ビーム42は偏向器43に入射する。放射源SOと偏向器43との間に、ビームデリバリシステム(図示せず)及び照明システム(図示せず)等のコンポーネントが存在し得る。偏向器43は、基板Wのターゲット部分においてリソグラフィシステムの非スキャン方向50に放射ビーム42をスイープするよう構成されている。放射ビーム42は偏向器43から偏向し、パターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビーム32の断面にパターンを付与するよう構成されている。パターニングデバイスMAによってパターン付与された後、放射ビーム32はリソグラフィ装置の投影システムPSに入射する。投影システムPSは、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上に位置付けられた基板Wに放射ビーム32を投影する。位置決めデバイス(図示せず)が、スキャン方向49に沿って放射ビーム42を通って基板Wのターゲット部分を移動させるよう構成されている。図6の例において、スキャン方向49はy軸に沿っている。基板Wの移動中にリソグラフィ装置の非スキャン方向50で基板Wのターゲット部分に放射ビーム42をスイープするように、偏向器43の角度位置47は経時的に変化する。図6の例において、非スキャン方向はx軸に沿っている(すなわちスキャン方向49に垂直である)。偏向器43は、位置決めデバイスが基板Wをスキャン方向49に移動させる速度よりも速い速度で放射ビーム42を非スキャン方向50にスイープするよう構成されている。
[0070] リソグラフィシステムは、放射ビーム42の波長を変動させるように構成された波長変調器41を含む。図6の例において波長変調器は、レーザキャビティ44内に位置付けられた可動光学要素41を含む。図6の例において、可動光学要素41はミラーである。アクチュエータ(図示せず)は、レーザキャビティ44の長さ45に沿ってミラー41を移動させるよう構成することができる。アクチュエータは例えばピエゾアクチュエータを含み得る。レーザキャビティ44内の可動ミラー41とは反対側に、部分反射エンドミラー46(すなわち出力カプラ)が位置付けられている。出力カプラ46は、偏向器43に与えられる放射ビーム42を形成するようにレーザキャビティ44内で発生した放射の一部を伝送するよう構成されている。可動ミラー41の位置を変えてレーザキャビティ44を長くすること及び短くすることで、レーザキャビティ44によって発生される放射ビーム42の波長が変化する。
[0071] 放射ビーム42は放射源SOから出射し、偏向器43に入射する。図6の例では、偏向器43は回転可能ミラーを含む。ミラー43の角度位置47を変えると、放射ビーム42の反射角が変化する。図6は、放射ビーム42が偏向器43によって3つの異なる方向42a−cに反射されることを示す。これらの方向は、リソグラフィシステムの動作中の3つの異なる時点t1−3に対応する。第1の時点t1では、放射ビーム42が第1の波長を有するように可動ミラー41はレーザキャビティ44内の第1の位置41aにあり、放射ビーム42が第1の方向42aに偏向されるように偏向器43は第1の角度位置にある。放射ビーム42は投影システムPSを通過し、第1の位置48aで合焦する。第2の時点t2では、放射ビーム42が第1の波長とは異なる第2の波長を有するように可動ミラー41はレーザキャビティ44内の第2の位置41bにあり、放射ビーム42が第1の方向42aとは異なる第2の方向42bに偏向されるように偏向器43は第2の角度位置にある。放射ビーム42は投影システムPSを通過し、第2の位置48bで合焦する。第3の時点t3では、放射ビーム42が第2の波長を有するように可動ミラー41はレーザキャビティ44内の第2の位置41bにあり、放射ビーム42が第1及び第2の方向42a−bとは異なる第3の方向42cに偏向されるように偏向器43は第3の角度位置にある。放射ビーム42は投影システムPSを通過し、第3の位置48cで合焦する。図6からわかるように、時点t1−3の間、投影システムPSの焦点面51の形状を基板Wの露光表面の形状と合致させるため、偏向器43が非スキャン方向50に沿って放射ビーム42をスイープすると共に、レーザキャビティ44内の可動ミラー41の位置41a−bを変化させる。
[0072] スイープ方向(すなわち非スキャン方向)の放射ビームのサイズによって、リソグラフィ露光のドーズ均一性及び/又は投影システムの焦点面を整形できる精度が少なくとも部分的に決定され得る。放射ビームがスイープ方向に長くなると、スイープ方向に短い放射ビームに比べ、高いドーズ均一性を提供できる。しかしながら、スイープ方向に短い放射ビームは、スイープ方向に長い放射ビームよりも正確に投影システムの焦点面を整形することができる。スイープ方向の放射ビームの長さは、部分的に、所望のドーズ均一性及び焦点面の整形精度に応じて選択され得る。
[0073] 可動ミラー41は変形可能とすることができる。すなわち、可動ミラー41と出力カプラ46との間の距離がレーザキャビティ44内の横方向位置に依存するように、可動ミラー41を曲げることができる。アクチュエータ(図示せず)は、可動ミラー41を制御可能に変形させるよう構成することができる。アクチュエータは例えばピエゾアクチュエータとすればよい。可動ミラー41を変形させると、放射源SOによって発生される放射ビーム42の波長は、放射ビーム42の断面内の位置に依存するように変化する。レーザキャビティ44内の可動ミラー41の位置を変化させると共に可動ミラー41を変形させることで、レーザキャビティ44内の可動ミラー41の位置の変化だけを行うことに比べ、投影システムPSの焦点面51の形状をいっそう細かく制御することが可能となる。
[0074] 図7は、本発明の一実施形態に従った、放射源SO、投影システムPS、波長変調器61、及び偏向器63を含むリソグラフィシステムの部分60を概略的に示す。放射源SOは、放射ビーム62を発生させるように構成されたレーザキャビティ64を含む。放射ビーム62は偏向器63に入射する。放射源SOと偏向器63との間に、ビームデリバリシステム(図示せず)及び照明システム(図示せず)等のコンポーネントが存在し得る。偏向器63は、基板Wのターゲット部分においてリソグラフィシステムの非スキャン方向70に放射ビーム62をスイープするよう構成されている。放射ビーム62は偏向器63から偏向し、パターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビーム62の断面にパターンを付与するよう構成されている。パターニングデバイスMAによってパターン付与された後、放射ビーム62はリソグラフィ装置の投影システムPSに入射する。投影システムPSは、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上に位置付けられた基板Wに放射ビーム62を投影する。位置決めデバイス(図示せず)が、スキャン方向69に沿って放射ビーム62を通って基板Wのターゲット部分を移動させるよう構成されている。図7の例において、スキャン方向69はy軸に沿っている。基板Wの移動中にリソグラフィ装置の非スキャン方向70で基板Wのターゲット部分に放射ビーム62をスイープするように、偏向器63の角度位置67は経時的に変化する。図7の例において、非スキャン方向70はx軸に沿っている(すなわちスキャン方向69に垂直である)。偏向器63は、位置決めデバイスが基板Wをスキャン方向69に移動させる速度よりも速い速度で放射ビーム62を非スキャン方向70にスイープするよう構成されている。
[0075] リソグラフィシステムは、放射ビーム62の波長を変動させるように構成された波長変調器61を含む。図7の例において波長変調器は、レーザキャビティ64内に位置付けられた可動光学要素61を含む。図7の例において、可動光学要素61は回転可能プリズムである。アクチュエータ(図示せず)は、軸65を中心としてプリズム61を回転させるように構成することができる。アクチュエータは例えばピエゾアクチュエータを含み得る。図7の例において、軸65はプリズム61を通って紙面内へ向かっている。図7に示されている軸65は、プリズム61が回転する軸を明示するよう意図されたものであり、ピンのようなプリズム61を貫通する固体の物体は示していない。レーザキャビティは、部分反射エンドミラー66(すなわち出力カプラ)、利得媒体72、及びエンドミラー73を含む。出力カプラ66は、偏向器63に与えられる放射ビーム62を形成するようにレーザキャビティ64内で発生した放射の一部を伝送するよう構成されている。回転可能プリズム61の角度位置と回転可能プリズム61に入射する放射の波長が、回転可能プリズム61を通って進む放射の屈折角を決定する。回転可能プリズムを通って進む放射の屈折角は、放射がエンドミラー73から反射して利得媒体72及び出力カプラ66に到達するか、又は放射がエンドミラー73から反射して回転可能プリズム61とは離れる方へ進むのかを決定する。回転可能プリズム61の角度位置61a−bを変えると、レーザキャビティ64によって発生される放射ビーム62の波長が変化する。
[0076] 放射ビーム62は放射源SOから出射し、偏向器63に入射する。図7の例では、偏向器63は回転可能ミラーを含む。ミラー63の角度位置67を変えると、放射ビーム62の反射角が変化する。図7は、放射ビーム62が偏向器63によって3つの異なる方向62a−cに反射されることを示す。これらの方向は、リソグラフィシステムの動作中の3つの異なる時点t1−3に対応する。第1の時点t1では、放射ビーム62が第1の波長を有するように回転可能プリズム61はレーザキャビティ64内の第1の角度位置61aにあり、放射ビーム62が第1の方向62aに偏向されるように偏向器63は第1の角度位置67にある。放射ビーム62は投影システムPSを通過し、第1の位置68aで合焦する。第2の時点t2では、放射ビーム62が第1の波長とは異なる第2の波長を有するように回転可能プリズム61はレーザキャビティ64内の第2の角度位置61bにあり、放射ビーム62が第1の方向62aとは異なる第2の方向62bに偏向されるように偏向器63は第2の角度位置67にある。放射ビーム62は投影システムPSを通過し、第2の位置68bで合焦する。第3の時点t3では、放射ビーム62が第2の波長を有するように回転可能プリズム61はレーザキャビティ64内の第2の位置61bにあり、放射ビーム62が第1及び第2の方向62a−bとは異なる第3の方向62cに偏向されるように偏向器63は第3の角度位置67にある。放射ビーム62は投影システムPSを通過し、第3の位置68cで合焦する。図7からわかるように、時点t1−3の間、投影システムPSの焦点面71の形状を基板Wの露光表面の形状と合致させるため、偏向器63が非スキャン方向70に沿って放射ビーム62をスイープすると共に、レーザキャビティ64内の回転可能プリズム61の位置61a−bを変化させる。
[0077] 回転可能プリズム61は変形可能とすることができる。すなわち、異なる放射光線が回転可能プリズム61を通って進む場合に異なる屈折角となるように、回転可能プリズム61を曲げることができる。アクチュエータ(図示せず)は、回転可能プリズム61を制御可能に変形させるよう構成することができる。アクチュエータは例えばピエゾアクチュエータとすればよい。回転可能プリズム61を変形させると、放射源SOによって発生される放射ビーム62の波長は、放射ビーム62の断面内の位置に依存するように変化する。レーザキャビティ64内の回転可能プリズム61の角度位置を変化させると共に回転可能プリズム61を変形させることで、レーザキャビティ64内の回転可能プリズム61の角度位置の変化だけを行うことに比べ、投影システムPSの焦点面71の形状をいっそう細かく制御することが可能となる。
[0078] 本明細書において記載される実施形態の任意のものを、基板トポグラフィ測定システムとともに使用することができる。図8は、本発明の一実施形態に従った、トポグラフィ測定システム81、プロセッサ82、コントローラ83、及び波長変調器84を含むリソグラフィシステムの部分80を概略的に示す。図8は、2つの異なるステージすなわち測定ステージ87及び露光ステージ88において基板テーブルWT上に保持された基板Wを示す。測定テーブルにおいて、トポグラフィ測定システム81は、基板Wの高さマップを測定すると共にこの高さマップを示す信号を出力するよう構成されている。例えばトポグラフィ測定システム81は、国際特許出願公報WO2017/060014A1号に記載されているタイプとすることができる。プロセッサ82は、トポグラフィ測定システム81から信号を受信すると共にリソグラフィシステムの投影システムPSの焦点面の形状の変化を決定するよう構成されている。プロセッサ82は、投影システムPSの焦点面85が基板Wのトポグラフィ(すなわち測定された高さマップ)とより良く合致するように、投影システムPSの焦点面85の形状の変化を決定する。プロセッサ82は更に、投影システムPSの焦点面85の形状の変化を示す信号を出力するよう構成されている。コントローラ83は、プロセッサ82から信号を受信すると共に、投影システムPSの焦点面85の決定された形状の変化を適用するように波長変調器84を制御するよう構成されている。投影システムPSは放射ビーム86を基板Wに投影する。図8の例では、投影システムPSの焦点面85の形状と基板Wの形状を明確に示すため、焦点面85は基板Wの露光表面から分離しているものとして図示されている。実際には投影システムPSの焦点面85は、例えば基板テーブルWTの高さを調整することにより、基板Wの露光表面上に又はできる限り露光表面の近くに位置付けられている。焦点面85が2次元の要素であること、また、図示を容易にするため図8では焦点面85が1次元の線として表されていることは認められよう。
[0079] 上記で検討したように、また図1を参照すると、波長変調器はリソグラフィシステムの様々な領域1a−dに位置付けることができる。波長変調器が音響光学変調器である場合、リソグラフィシステム内の音響光学変調器の位置は、音響光学変調器の寸法及び/又は音響光学変調器の動作の仕方に影響を及ぼし得る。これは、リソグラフィシステム内の異なる位置では放射ビームの断面積が変わるからである。音響光学変調器の透明本体の寸法は、少なくとも部分的に、音響光学変調器が用いられているリソグラフィシステムの動作パラメータに依存する。例えば音響光学変調器の透明本体の寸法は、放射ビームの断面積全体が透明本体を通過できるようにすればよい。音響光学変調器の透明本体の長さは、リソグラフィ装置内の音響光学変調器の位置とリソグラフィ装置の投影システムの縮小率に依存し得る。例えば、リソグラフィ装置の投影システムは4分の1の縮小率を与えることができる。音響光学変調器がレチクルの近傍に位置付けられる場合、音響光学変調器の透明本体は約100mm〜約400mmの長さを有し得る。音響光学変調器が基板の近傍に位置付けられる場合、音響光学変調器の透明本体は約25mm〜約100mmの長さを有し得る。音響光学変調器がリソグラフィ装置の照明システムのフィールド面の近傍に位置付けられる場合、透明本体の長さは少なくとも部分的に照明システムの光学設計に依存し得る。例えば音響光学変調器がリソグラフィ装置の照明システムのフィールド面の近傍に位置付けられる場合、音響光学変調器の透明本体は約20mm〜約110mmの長さを有し得る。リソグラフィ装置内で音響光学変調器を配置できる位置は、リソグラフィ装置の光学設計によって制限されることがある。例えば、リソグラフィ装置の瞳面よりもリソグラフィ装置のフィールド面の近傍に音響光学変調器を位置付けることが好ましい場合がある。フィールド面の位置は、異なるリソグラフィ装置内では異なる可能性がある。
[0080] 音響光学変調器は任意の数のトランスデューサを含み得る。トランスデューサは異なるサイズ及び/又は異なる形状を有し得る。例えば、投影システムの焦点面の端部領域の形状及び/又は位置の制御を増大するため(例えばエッジロールオフフォーカスエラーを更に低減するため)、音響光学変調器の透明本体の端部領域の近傍に小さいトランスデューサを高密度で配置することができる。本発明の使用について、主に基板エッジロールオフに関連したリソグラフィフォーカスエラーの低減に関して検討したが、本発明を用いて基板のいかなる位置のフォーカスエラーも低減できることは認められよう。例えば、基板の中心部の近傍における基板のターゲット部分のトポグラフィを測定し、このターゲット部分のトポグラフィにより良く合致するように投影システムの焦点面を調整するため波長変調器を用いることができる。
[0081] 偏向器は回転可能ミラーであるとして記載し図示したが、偏向器が意の形態をとり得ることは認められよう。例えば偏向器は、外周部に複数の平坦なミラーを有するホイール(wheel)とすることができる。あるいは偏向器は、屈折によって放射ビームを偏向させるよう構成された可動プリズムを含み得る。別の代替案として、偏向器はマイクロ電子機械(MEMS)ミラーアレイを含み得る。
[0082] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
[0083] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。説明は、本発明を限定することを意図していない。