以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付している。また、図面は理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。
(実施形態1)
最初に、本発明の実施形態1にかかる移動ロボットについて、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施形態1における移動ロボット100の上面から見た概略説明図である。この移動ロボット100には、少なくとも、移動ロボット本体1と、記述部6と、検出部7と、走行駆動部15と、駆動制御部10を含む制御部14とを備えている。
記述部6は、移動ロボット100の移動軌跡5を移動ロボット100の走行面19に記述するマーカー部6bを備えている。
検出部7は、記述部6で走行面19に記述された移動軌跡5を検出する。
走行駆動部15は、モータなどの駆動装置で構成されて、それぞれ独立して一対の駆動輪2を正逆回転駆動可能としている。走行駆動部15と、一対の駆動輪2と、一対の従輪3とで走行駆動装置を構成している。
より具体的には、移動ロボット100には、さらに、移動ロボット本体1に距離センサ4と走行面判定部21とがそれぞれ設けられている。
距離センサ4は、移動ロボット100の前方、すなわち、進行方向上の障害物までの距離を計測する。
走行面判定部21は、走行面19の素材を検出して走行面19の種類を判定する。
以下、各部材について詳細に説明する。
距離センサ4は、移動ロボット本体1の例えば前面に配置されて、移動ロボット100の進行方向上の障害物までの距離を計測する。計測した情報は制御部14に入力される。計測した情報に基づき、移動ロボット100が障害物を避けて走行できるように制御部14で走行駆動部15を駆動制御する。距離センサ4の一例としては、赤外線距離センサを使用することができる。
制御部14は、記述部6と検出部7とに接続されて、記述部6の記述動作と、検出部7での検出動作とをそれぞれ独立して制御する。制御部14は、演算部9と、駆動制御部10とで構成される。
演算部9は、検出部7で検出されて検出部7から得られた移動軌跡5の移動形跡情報に基づいて、追従すべき移動軌跡5を算出する。
駆動制御部10は、演算部9で算出された移動軌跡5に沿って移動するように走行駆動部15で一対の駆動輪2の駆動を制御して追従制御を行う。
駆動制御部10は、走行駆動部15と検出部7と記述部6とを独立してそれぞれ駆動制御する。
回収員11が、移動ロボット101に搭乗するときに移動ロボット101を所望の目的地まで操縦するためのハンドル及び操作パネルなどを少なくとも有する操作部16をさらに備えることができる。回収員11により操作部16の操作パネルからの操作指示に基づき、制御部14の駆動制御部10を介して走行駆動部15を駆動制御することもできる。
図2は、移動ロボット100の側面から見た概略断面図である。記述部6は、移動ロボット本体1に、走行面19に直接移動軌跡5を記載できる高さに設定されている。検出部7は、移動ロボット本体1に、走行面19の、記述部6で記載した移動軌跡5を検出できる高さに設定されている。このため、記述部6よりも検出部7は、移動ロボット100の進行方向の前側に配置されている。
図3A及び図3Bは記述部6の詳細図である。図3Aは移動ロボット100の上面から見た記述部6の平面図であり、図3Bは移動ロボット100の下面側から斜めに見た記述部6の斜視図である。
記述部6は、軸方向(例えば図3Bの上下方向)に伸縮可能な伸縮部6aと、伸縮部6aの先端(例えば図3Bの下端)に固定されて突出端に塗料が染み込んでいるマーカー部6bと、伸縮部6aを介してマーカー部6bを軸方向に移動可能でかつ駆動制御部10の制御下で駆動制御されるモータなどの記述部駆動部6gとを備えている。
記述部6の起動時は、モータなどの記述部駆動部6gによるマーカー部6bの下降動作により伸縮部6aが軸方向下向きに延伸し、マーカー部6bの下端が移動平面である走行面19に直接触れることによって、マーカー部6bの塗料が移動軌跡5として走行面19に直接記述される。移動軌跡5は、例えば、数センチ程度の所定幅を有する帯状の直線として形成することができる。
移動ロボット100の停止時又は記述部6の記述停止時は、モータなどの記述部駆動部6gによるマーカー部6bの上昇動作により伸縮部6aが収縮し、マーカー部6bが走行面19に直接触れないようにする。
ここで、走行面19に記述する塗料としては、一例として、検出部7でのみ検出可能な塗料とする。より具体的には、例えば、ブラックライトなどで照らす時のみ光る塗料などとする。具体的な例としては、ブラックライトを当てないと乳白色であり、記述してもさほど明確に見えず、ブラックライトを当てると、乳白色から赤又は緑又は青色のいずれかの色に明確に発光するブラックライトインクを使用することができる。このような塗料を用いることで、移動ロボット100以外の人などには、走行面19の塗料が見えないように配慮する事ができる。なお、前記では塗料を用いて移動軌跡5を記述する方法を説明したが、塗料では無く、色彩を有する粉、又はテープなどを用いて移動軌跡5を記述しても構わない。
移動軌跡5の記述手法は、走行面判定部21で走行面19の素材を検出して、走行面19の種類を決定することができる。
走行面判定部21は、図3Cに示すように、比較部21aと、素材判定部21bと、記憶部21cとで構成されている。記憶部21cには、例えば、ハードタイルの表面画像と、絨毯又はカーペットの表面画像とが保存されているとともに、ハードタイルのときに使用する塗料と、絨毯又はカーペットのときに使用しかつ石灰と同等の大きさの粒子との情報が保存されている。比較部21aは、検出部7を構成する撮像手段の一例としてのカメラで撮像された画像が入力される。比較部21aは、入力された画像と、記憶部21cに保存された画像とを比較する。比較する手法の一例として、パターンマッチングを使用して、入力された画像と記憶部21cに保存された画像とを比較部21aで比較する。比較結果は、素材判定部21bに入力される。素材判定部21bは、比較部21aでの比較結果を基に、入力された画像がハードタイルであるか、絨毯又はカーペットであるかの判定を行うとともに、判定された素材に対応する塗料又は粒子を記憶部21cでの情報を基に取得して、記述に使用すべき材料の情報として記述部6に出力する。
例えば走行面19がハードタイル等であると素材判定部21bで判定すれば、記述部6では塗料を用いる。また、走行面19が絨毯又はカーペットであると素材判定部21bで判定する場合は、絨毯又はカーペットに塗料を塗布すれば取り除くことができなくなるため、記述部6で、石灰と同等の大きさの粒子を走行面19に撒くことによって移動軌跡5を記述する。ここで、石灰と同等の大きさの粒子とは、例えば、最大粒子径が0μmより大きくかつ10μm以下の粒子である。
記憶部21cで記憶する走行面19としては、一例として、前記2種類の例を挙げたが、これに限られるものではなく、移動ロボット100が走行予定の走行面19を予め撮像し、その撮像した画像と、その画像に対応する走行面19で使用する記述素材とを対応付けて記憶部21cで記憶しておいてもよい。
また、石灰と同等の大きさの粒子を撒く装置としては、図3Dに示すように、粒子吐出機構70を例示できる。なお、図3A及び図3Bの記述部6を第1の記述部とするとき、粒子吐出機構70は第2の記述部とすることができる
粒子吐出機構70は、駆動装置71と、エンコーダ72と、粒子格納タンク73と、吐出開閉制御部74とを備えている。駆動装置71は、駆動モータ71bの正逆回転によりネジ軸の駆動軸71aを正逆回転させて、駆動軸71aに螺合した粒子格納タンク73を駆動軸71aの軸方向に前後移動させる。粒子格納タンク73には、前記粒子が格納されており、下端開口がシャッター73aで閉じられている。吐出開閉制御部74の制御の基に、シャッター73aはモータ73bの正逆回転によりモータ73bの回転軸周りに正逆回転して、粒子格納タンク73の下端開口を開閉可能としている。吐出開閉制御部74は、記述部6による記述動作を開始時に、シャッター73aを回転させて下端開口を開いて、粒子格納タンク73から粒子を落下可能して記述動作できるようにしている。
なお、走行駆動部15のモータ15mの回転数をエンコーダ15eによって検出して移動ロボット100の移動速度を検出し、移動速度によって、走行面19に記述する移動軌跡5の粒子量の密度があまり変化しないように、シャッター73aの開閉量を吐出開閉制御部74で制御している。
次に、図4A及び図4Bは検出部7の詳細図である。図4Aは移動ロボット100上面から見た検出部7の平面図であり、図4Bは移動ロボット100の下面側から斜めに見た検出部7の斜視図である。図4Cは、検出部の一例のブロック図、図4Dは、検出部の別の例のブロック図である。図4Eは、カメラで撮像した画像(a)と、画像を2値化処理したデータ(b)である。
検出部7には、一例として、図4Cに示すように、複数の塗料検知センサ7aと判定部7dが備わっている。塗料検知センサ7aは、発光部7bと、受光部7cとで構成されている。塗料検知センサ7aは、発光部7bからの光を走行面19に照射して、走行面19からの反射光を受光部7cで受光し、受光部7cで受光した際の光の強度を用いて、走行面19に移動軌跡5が存在するかを判定部7dで判定する。発光部7bの例としてはLEDブラックライトで構成して、ブラックライトを発光させる。受光部7cは、フォトリフレクタで構成して、発光部7bから発光したブラックライトを検出し、受光部7cでの検出結果に基づき、走行面19に移動軌跡5が存在すると判定部7dで判定する。この判定は、例えば、走行面19の明度と、移動軌跡5の明度との差が閾値以上であり、かつ、移動軌跡5が直線状であれば、移動軌跡5が存在すると判定部7dで判定することができる。また、複数の塗料検知センサ7aは、一例として、移動ロボット100の進行方向又は移動軌跡5の延在方向とは交差する、例えば直交する方向に直列的に配置される。よって、複数の塗料検知センサ7aを用いることによって、移動軌跡5に対して移動ロボット100の相対位置を算出することができる。移動ロボット100は、前記相対位置の情報を基に駆動制御部10で追従制御を行う。
図4Fは、図4Bの検出部7において、カバーなどを取り除いた内部構造を示す下斜視図である。図4Fに示すように、塗料検知センサ7aは、発光部7bであるフォトダイオード17bからの光17eを走行面19に照射して、走行面19からの反射光17dを受光部7cであるフォトリフレクタ17cで受光し、フォトリフレクタ17cで受光した際の光17dの反射率を用いて、走行面19に移動軌跡5が存在するかを判定部7dで判定する。図4Gに、一例として、反射率とセンサ7aの位置との関係を示す。このとき、図4Fに示すように、センサ7aが7個配置されているとすると、図4Gに示すように反射率が最大になった4番目のセンサ7aの位置から、移動ロボット100に対して移動軌跡の相対位置がどの位置にくるかを判定部7dで算出する。ここで、相対位置とは、7個のセンサ7aのうち、移動ロボット1の進行方向に対する幅方向の中央に位置する4番目のセンサ7aの位置を相対位置が0であると定義する。そして、4番目のセンサ7aに対して、移動軌跡5を検出したセンサ7aの位置までのずれを判定部7dで算出する。例えば、中央に位置する4番目のセンサ7aに対して、移動軌跡5を検出したセンサ7aが、4番目のセンサ7aであるときは、相対位置が0であると判定部7dで判定して、そのまま直進移動を続ける。4番目のセンサ7aに対して、移動軌跡5を検出したセンサ7aが、3番目又は2番目のセンサ7aであるときは、相対位置が左側に1又は2にずれていると判定部7dで判定して、右旋回を行うように走行駆動部15を制御する。逆に、移動軌跡5を検出したセンサ7aが、5番目又は6番目のセンサ7aであるときは、相対位置が右側に1又は2にずれていると判定部7dで判定して、左旋回を行うように走行駆動部15を制御する。
なお、検出部7の別の例として、複数での塗料検知センサではなく、視野の広い撮像手段で構成しても構わない。撮像手段としては、一例として、カメラ7eを使用することができる。すなわち、検出部7の別の例として、図4Dに示すように、カメラ7eと、2値化処理部7fと、判定部7gとで構成することもできる。カメラ7eで撮像した画像に対して2値化処理部7fで2値化処理を施すと、図4Eに示すように、走行面19の色と走行軌跡5の色とが判別できるようになる。このとき、例えば、走行軌跡5を記述する塗料又は粒子の色は、走行面19の色よりも明るくすれば、判定部7gで、明るい色の領域を走行面19として判定することができる。具体的には、図4Eの(a)をカメラ7eで撮像した画像であるとき、図4Eの(b)は(a)の画像を2値化処理したデータである。この場合、画像の中央の太い線白色の領域が、移動軌跡5と判定部7gで判定することができる。
図5は、移動ロボット本体1に設けられている距離センサ4と、記述部6と、検出部7との位置関係を示した図である。距離センサ4は、移動ロボット100の進行方向上の障害物までの距離を計測することを目的としているため、移動ロボット本体1の前面に設けられている。次に、記述部6と検出部7との位置関係は、移動ロボット100の進行方向に対して移動ロボット本体1内に直列に設置する。ここでは、記述部6よりも前側に検出部7が設置されている。
このようにすれば、1台目の移動ロボット100の移動軌跡と2台目の移動ロボット100の移動軌跡とが同じとなるため、1台分の移動ロボット100の幅寸法などの狭い通路等でも、走行が可能となる。記述部6と検出部7との設置間距離を距離Yとする。この距離Yについては、後の説明で用いる。
次に、移動ロボット100の追従方法を説明するため、各移動ロボット100の同一軌跡の追従が必要となるエアーターミナルの例を挙げて説明する。具体的には、追従制御を用いた6台の移動ロボット100の回収システムS100について説明する。ここでは便宜上、6台の移動ロボット100は、それぞれ、第1移動ロボット101、第2移動ロボット102、第3移動ロボット103、第4移動ロボット104、第5移動ロボット105、第6移動ロボット106と名付ける。
移動ロボット100の回収システムS100としては、第1移動ロボット101、第2移動ロボット102、第3移動ロボット103、第4移動ロボット104、第5移動ロボット105、第6移動ロボット106とを備えている。
概略を説明すると、下記図6のA、B、Cの各搭乗口付近(言い換えれば、置き場所T1〜T3)に置かれた2台ずつの移動ロボット100を集めて移動ロボット列を形成した後、移動ロボット列を一箇所の回収場所(言い換えれば、置き場所T4)に回収させるため、回収場所T4から一番遠方に位置するA搭乗口の置き場所T1に置かれた1台の移動ロボット100を、移動ロボット列の先頭の移動ロボット100とする。そして、先頭の移動ロボット100が記述した1つの移動軌跡に、B、Cの各搭乗口の置き場所T2,T3に置かれた移動ロボット100が追従して、回収場所T4に移動ロボット列のすべての移動ロボット100を回収する方法である。
図6は、回収するシステムS100において、置き場所T1〜T3における6台の移動ロボット101〜106が置かれた状態を示した図である。第1移動ロボット101と第2移動ロボット102とは、A搭乗口の置き場所T1に、前後同じ向きに2台並んで置かれている。進行方向に対して前方側に第1移動ロボット101が置かれ、第1移動ロボット101の進行方向に対して後方側に第2移動ロボット102が置かれている。同様に、第3移動ロボット103と第4移動ロボット104とは、B搭乗口の置き場所T2に、前後同じ向きに2台並んで置かれている。進行方向に対して前方側に第3移動ロボット103が置かれ、第3移動ロボット103の進行方向に対して後方側に第4移動ロボット104が置かれている。同様に、第5移動ロボット105と第6移動ロボット106とは、C搭乗口の置き場所T3に、前後同じ向きに2台並んで置かれている。進行方向に対して前方側に第5移動ロボット105が置かれ、第5移動ロボット105の進行方向に対して後方側に第6移動ロボット106が置かれている。
図7は、回収するシステムS100において、回収場所T4における6台の移動ロボット101〜106の回収場所を示した図である。回収場所T4では、進行方向に対して第1移動ロボット101が先頭(例えば、図7では下端位置)になるように、各移動ロボット101〜106を一列に順番に回収する。
図8は、各搭乗口の置き場所T1〜T3に置かれている各移動ロボット101〜106の位置関係を示す図である。置き場所に置かれている前方の移動ロボット101、103、105の最後尾から後方の移動ロボット102、104、106の最先端までの距離をロボット間距離とし、その値の許される最大距離を最大許容ロボット間距離とする。各移動ロボット101〜106に備えられた記述部6から移動ロボットの最後尾までの距離D1と、最大許容ロボット間距離D2とを足した長さを距離Xとする。
次に、移動ロボット100が複数台で一列に追従走行するときの回収システムS100の回収フローについて説明するが、まず、基本的な動作について説明したのち。具体的な例について説明する。図9Aは回収の基本的な動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS40では、移動ロボット100が複数台で一列に追従走行する際に、当該移動ロボット100が先頭の移動ロボット100か否かが駆動制御部10で判定される。この判定は、例えば、回収員11が操作部16から駆動制御部10に、先頭の移動ロボット100であることを指示してもよいし、又は、距離センサ4で、所定時間、前方に位置する移動ロボット100が存在しないことを検出したとき、先頭の移動ロボット100であると駆動制御部10で判定してもよい。又は、この判定は、例えば、所定時間又は所定距離だけ移動ロボット100が移動しても、移動軌跡5を検出部7で検出できないとき、先頭の移動ロボット100であると駆動制御部10で判定してもよい。
当該移動ロボット100が先頭の移動ロボット100であると駆動制御部10で判定したとき、ステップS41に進む。当該移動ロボット100が先頭の移動ロボット100でないと駆動制御部10で判定したとき、ステップS42に進む。
次いで、ステップS41では、移動ロボット100が先頭の移動ロボット100であるので、駆動制御部10の下に、先頭の移動ロボット100の記述部6を起動し、移動軌跡5を走行面19に記述部6による記述動作を開始する。このように記述動作を行いつつ駆動制御部10で走行駆動部15を制御して、所定の位置まで走行し、先頭の移動ロボット100による図9Aの回収の基本的な動作は終了する。
ステップS42では、2番目以降に追従する移動ロボット100が、検出部7で、走行面19に記述された移動軌跡5を検出する。
次いで、ステップS43では、検出した移動軌跡5を、2番目以降に追従する移動ロボット100が駆動制御部10で走行駆動部15を追従制御することで、追従走行を行う。これにより、2番目以降に追従する移動ロボット100による図9Aの回収の基本的な動作は終了する。
次に、移動ロボット100が複数台で一列に追従走行するときの回収システムS100の回収フローの具体的な例について説明する。図9Bは回収の具体的な例の動作を示すフローチャートである。ここでは、最終的に、移動ロボット100が6台で一列に追従走行するときを例示する。
まず、ステップS1の「A搭乗口で移動ロボットを起動」では、移動ロボット100を回収する回収員11がA搭乗口の置き場所T1まで移動し、回収員11が、A搭乗口の置き場所T1に置かれてある第1移動ロボット101の記述部6と第2移動ロボット102の検出部7とを起動して、記述動作及び検出動作を開始可能とする。
次いで、ステップS2において、回収員11が第1移動ロボット101に搭乗して、回収員11が、A搭乗口の置き場所T1からB搭乗口の置き場所T2に向けて第1移動ロボット101の操縦を開始する。第1移動ロボット101が走行を開始すると、駆動制御部10の制御の下に、第1移動ロボット101の記述部6は、走行面19へマーカー部6bによる移動軌跡5の記述を開始して、移動軌跡5を走行面19に残すとともに、検出部7で移動軌跡5の記述が無いことを確認したのち、記述動作を実施する。これらの動作は、ステップS41の記述動作に対応する。この後、第1移動ロボット101は、ステップS41の記述動作のみを行い、ステップS42の検出動作及びステップS43の追従動作の実施は不要である。
このとき、第1移動ロボット101に追従すべき第2移動ロボット102は、距離センサ4で、前方に位置する第1移動ロボット101までの距離を計測して制御部14の演算部9に入力している。すなわち、距離センサ4は、移動ロボット100が起動されたときに同時に起動している。距離センサ4は、起動後は、常に、例えば所定時間間隔毎に距離を計測し、計測結果を演算部9に送信する。これにより、当該移動ロボット100は先頭の移動ロボット100ではないことが駆動制御部10で判定できる。また、この計測した距離が前記距離Xを超えたと演算部9で判定したとき、演算部9からの判定情報が駆動制御部10に入力されて、第2移動ロボット102が、そのとき置かれている位置から、検出部7が移動軌跡5を検出するまで、距離Xだけ直進し続けるように、駆動制御部10で走行駆動部15を制御する。
その後、第2移動ロボット102は第1移動ロボット101の移動軌跡5を検出部7で検出しながら、その検出結果から第1移動ロボット101を追従するための移動軌跡5を演算部9で算出する。そして、その算出した移動軌跡5に基づき駆動制御部10が走行駆動部15を駆動制御することによって、第2移動ロボット102は移動軌跡5を追従する。
これらの検出動作及び追従動作は、ステップS42の検出動作及びステップS43の追従動作に対応する。第2移動ロボット102が、第1移動ロボット101を追従する際は、第2移動ロボット102で、距離センサ4を用いて、先行する第1移動ロボット101までの距離を計測し、その距離が距離αになるように制御部14で追従走行を行う。ここで、距離αとは、0cmを越えて、距離センサ4で、第2移動ロボット102の前方に位置する第1移動ロボット101を検出できる距離である。距離αは、1つの数値であってもよいし、又は、一定の数値範囲であってもよい。
以後の説明において、搭乗口Bでの第3移動ロボット103に対して追従する第4移動ロボット104と、搭乗口Cでの第5移動ロボット105に対して追従する第6移動ロボット106とも、第2移動ロボット102と同様に、追従する移動ロボット104,106は、前方の移動ロボット103,105との距離が距離αになるようにそれぞれ追従走行を行う。
ステップS1に次いで、ステップS2の「B搭乗口まで移動ロボットを操縦」では、図10に示すように、回収員11が、第1移動ロボット101をB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10まで操縦し続ける。そして、各移動ロボット101、102がB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10で一直線上に並ぶように第1移動ロボット101を停止させる。走行時、第1移動ロボット101が記述した走行軌跡5を、第2移動ロボット102が、第1移動ロボット101から距離αだけ離れて後ろを追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS42の検出動作及びS43の追従動作に対応する。
このように、第1移動ロボット101では、図9Aの基本動作のステップS41のみ実施されるが、第2移動ロボット102では、図9Aの基本動作のうち、ステップS41を除く、ステップS42及びステップS43が実施される。
次いで、ステップS3の「B搭乗口で移動ロボットを起動」では、図11に示すように、回収員11が第1移動ロボット101から一旦降りて第3移動ロボット103に搭乗する。そして、回収員11が、第3移動ロボット103の操縦を開始して、B搭乗口の置き場所T2に置かれてある第3及び前記第4移動ロボット103、104を、回収員11の操作部16を介しての操作にてステップS1及びS2と同様に移動させて、第2移動ロボット102に対して、後方かつ同じ向きでかつ第1移動ロボット101から第4移動ロボット104まで一列となるように、B搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10に配置し直す。
具体的には、第1移動ロボット101の記述部6が走行面19に記述した移動軌跡5を各移動ロボット103、104の検出部7が検出できるようなB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10の位置に、回収員11が第3移動ロボット103を操縦して各移動ロボット103、104を配置する。その後、各移動ロボット103、104の検出部7を駆動制御部10で起動する。検出部7の起動後、再度、回収員11が第1移動ロボット101に搭乗して、C搭乗口の置き場所T3に向けて共通通路T10での第1移動ロボット101の操縦を再開する。この後は、第1移動ロボット101では、図9Aの基本動作のステップS41のみを実施し、第2〜第4移動ロボット102,103,104では、それぞれ、図9Aの基本動作のうち、ステップS41を除く、ステップS42及びステップS43を実施する。
なお、各移動ロボット103、104を配置する際は、回収員11の操作部16を介しての操作では無く、各移動ロボット103、104を遠隔操縦できる遠隔装置を用いても良い。
次いで、ステップS4の「C搭乗口まで移動ロボットを操縦」では、図12に示すように、回収員11が、第1移動ロボット101をC搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10まで操縦し続ける。そして、各移動ロボット101、102、103、104がC搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10で一直線上に並ぶように、第1移動ロボット101を停止させる。走行時、第1移動ロボット101が記述した走行軌跡5を、第3及び第4移動ロボット103,104が、第2移動ロボット102又は第3移動ロボット103から距離αだけそれぞれ離れて後ろを追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS42の検出動作及びS43の追従動作に対応する。
このように、第3及び第4移動ロボット103,104では、図9Aの基本動作のうち、ステップS41を除く、ステップS42及びステップS43が実施される。
次いで、ステップS5の「C搭乗口で移動ロボットを起動」では、図13に示すように、回収員11が第1移動ロボット101から一旦降りて第5移動ロボット105に搭乗する。そして、回収員11が、第5移動ロボット105の操縦を開始して、C搭乗口の置き場所T3に置かれてある各移動ロボット105、106を、回収員11の操作部16を介しての操作にてステップS1及びS2と同様に移動させて、第4移動ロボット104に対して、後方かつ同じ向きでかつ第1移動ロボット101から第6移動ロボット106まで一列となるように、C搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10に配置し直す。
具体的には、第1移動ロボット101の記述部6が走行面19に記述した移動軌跡5を各移動ロボット105、106の検出部7が検出できるようなC搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10の位置に、回収員11が第5移動ロボット105を操縦して各移動ロボット105、106を配置する。その後、各移動ロボット105、106の検出部7を駆動制御部10で起動する。検出部7の起動後、再度、回収員11が第1移動ロボット101に搭乗して、回収場所T4に向けて第1移動ロボット101の操縦を再開する。この後は、第1移動ロボット101では、図9Aの基本動作のステップS41のみを実施し、第2〜第6移動ロボット102,103,104,105,106では、それぞれ、図9Aの基本動作のうち、ステップS41を除く、ステップS42及びステップS43を実施する。
次いで、ステップS6の「回収場所まで移動ロボットを操縦し回収」では、図14に示すように、回収員11が、第1移動ロボット101を回収場所T4まで操縦し続ける。そして、図15に示すように、第1〜第6移動ロボット101、102、103、104、105、106が回収場所T4で一直線上に並ぶように第1移動ロボット101を停止させて、第1〜第6移動ロボット101、102、103、104、105、106を回収する。走行時、第1移動ロボット101が記述した走行軌跡5を、第3〜第6移動ロボット103,104,105,106が、第2移動ロボット102又は第3移動ロボット103又は第4移動ロボット104又は第5移動ロボット105から距離αだけそれぞれ離れて後ろを追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS42の検出動作及びS43の追従動作に対応する。
次いで、ステップS7の「各移動ロボットを収納」では、回収場所T4から回収員11が第1〜第6移動ロボット101〜106を、回収員11の操作部16を介しての操作にて、収納場所T11に移動させる。
例えば、図16に示すように、まず、操作部16を介して第1移動ロボット101の記述部6での記述動作を駆動制御部10により停止させて、第1移動ロボット101を回収員11の操作部16を介しての操作にて収納場所T11に移動させる。その際に、第2〜第6移動ロボット102〜106は、第2移動ロボット102の検出部7が、第1移動ロボット101の記述部6が記述した移動軌跡5を検出できなくなる位置まで前進する。
次に、図17に示すように、第2移動ロボット102の検出部7の検出動作を駆動制御部10により停止させて、第2移動ロボット102を回収員11の操作部16を介しての操作にて収納場所T11に移動させる。その際に、第3〜第6移動ロボット103〜106は第3移動ロボット103の検出部7が、第1移動ロボット101の記述部6が記述した移動軌跡5を検出できなくなる位置まで前進する。このような移動作業を第5移動ロボット105までそれぞれ繰り返す。
最後に、図18に示すように、第6移動ロボット106の検出部7の検出動作を駆動制御部10により停止させて、第6移動ロボット106を収納場所T11に回収員11の操作部16を介しての操作にて移動させる。
以上の説明では、第1移動ロボット101から順に移動させたが、移動させる移動ロボットの順番は、第1移動ロボット101に限らず、第2〜第6移動ロボット102〜106の任意の移動ロボットからでも良い。
以上の様に、複数台の移動ロボット100の追従走行において、先頭の移動ロボット100の記述部6で移動軌跡5を走行面19に記述し、記述した移動軌跡5を、追従する移動ロボット100の検出部7で検出し、検出した移動軌跡5に基づいて駆動制御部10により追従する移動ロボット100を走行制御させる。このため、壁などが無いエアーターミナル等の大空間において移動ロボット100が自己位置を認識できない場合でも、複数台の移動ロボット100の同一移動軌跡5の追従制御が可能となる。
(実施形態2)
次に、図19を基に、追従制御を用いた6台の本発明の実施形態2の移動ロボット200の回収システムS200について説明する。ここでも便宜上、6台の移動ロボット200は、それぞれ、第1移動ロボット201、第2移動ロボット202、第3移動ロボット203、第4移動ロボット204、第5移動ロボット205、第6移動ロボット206と名付ける。
概略を説明すると、回収システムS200は、前記の実施形態1の内容に加えて、走行面19に記述された移動軌跡5を消去する構成として消去部8を各移動ロボット200に加えたものである。
図19は、本発明の実施形態2における移動ロボット200の上面から見た概略説明図である。この移動ロボット200には、移動ロボット本体1と、記述部6と、検出部7と、走行駆動部15と、駆動制御部10を含む制御部14と、さらに消去部8とを備えている。移動ロボット100と同じ構成には同じ参照符号を付けて、詳細な説明を省略する。
消去部8は、移動ロボット本体1に設けられ、走行面19に記述部6で記述された移動軌跡5を消去する。
制御部14は、記述部6と検出部7と消去部8とに接続されて、記述部6の記述動作と、検出部7での検出動作と、消去部8での消去動作とをそれぞれ独立して制御する。
図20は移動ロボット200の側面から見た概略断面図である。記述部6と検出部7とは、移動ロボット100と同様の構成及び機能を有する装置が備わっている。
記述部6において、例えば、走行面19がハードタイル等であれば、塗料を用いる。このときの塗料は、例えば、摩擦熱によって完全に揮発して消去される塗料を用いることができる。具体的な例としては、株式会社パイロットコーポレーションから販売されているフリクションインキの商品名「メタモカラー」を使用することができる。
図21A及び図21Bは消去部8の詳細図である。図21Aは移動ロボット200の上面から見た消去部8の平面図であり、図21Bは移動ロボット200の下面から見た消去部8の斜視図である。
消去部8は、軸方向(例えば図21Bの上下方向)に伸縮可能な伸縮部8aと、伸縮部8aの先端(例えば図21Bの下端)に固定されて突出端に樹脂部8bと、伸縮部8aを介して樹脂部8bを軸方向に移動可能でかつ駆動制御部10の制御下で駆動制御されるモータなどの消去部駆動部8gとを備えている。
消去部8の起動時は、消去部駆動部8gの制御により、モータなどの消去部駆動部8gによる樹脂部8bの下降動作により伸縮部8aが軸方向下向きに延伸し、樹脂部8bの下端が走行面19に直接触れる。このような樹脂部8bの材質の例としてはエラストマーが挙げられ、具体的には、株式会社パイロットコーポレーションから販売されているフリクションイレーザーが例示できる。
消去部8を起動して樹脂部8bの下端が走行面19に直接触れた状態で移動ロボット200が走行すると、走行面19と樹脂部8bとの接触部が摩擦を起こして熱が発生し、この熱によって、走行面19に記述された移動軌跡5の塗料が揮発し、移動軌跡5が完全に消去される。
移動ロボット200の停止時又は消去部8の消去停止時は、消去部駆動部8gの制御により、モータなどの消去部駆動部8gによる樹脂部8bの上昇動作により伸縮部8aが収縮し、樹脂部8bが走行面19に直接触れないようにする。
このような消去部8の構成は、移動軌跡5を塗料で記述した場合に対応する構造である。
これに対して、移動軌跡5を粒子で記述した場合は、以下の構造が使用できる。例えば、消去部8の別の例として、消去部駆動部8gなどの構成例に対して進行方向に直列に配置されかつ走行面19に記述した粒子を吸引する吸引装置8hを設ける。吸引装置で粒子を吸引することによって移動軌跡5を完全に消去する。消去部8は、走行面判定部21の判定結果を基に、移動軌跡5の消去方法、すなわち、吸引装置と消去部駆動部8gとのいずれを駆動するかを選択する。
吸引装置8hは、図21Cに示すように、ノズル81と、集塵箱82と、第1フィルタ83と、集塵羽84と、モータ85と、第2フィルタ86とを備えている。モータ85により集塵羽84を回転させて、移動軌跡5を形成した粒子を、ノズル81から集塵箱82内に吸引する。第1フィルタ83で、ほとんどの粒子は集塵箱82内に捕捉されて収容される。第1フィルタ83を通過した細かい粒子は、第2フィルタ86で捕捉する。
図22は、移動ロボット200に備えられている記述部6と、検出部7と、消去部8との位置関係を示した図である。記述部6と、検出部7と、消去部8との位置関係は進行方向に対して直列に設置する。一例としては、進行方向の前から後ろに向けて、検出部7と記述部6と消去部8との順に配置する。記述部6と検出部7との設置間距離は距離Yとし、検出部7と消去部8との設置間距離は距離Lとする。
図23は、回収システムS200において、置き場所T1〜T3における6台の第1〜第6移動ロボット201〜206が置かれた状態を示した図である。第1移動ロボット201と第2移動ロボット202とは、A搭乗口の置き場所T1に、前後同じ向きに2台並んで置かれている。進行方向に対して前方側に第1移動ロボット201が置かれ、第1移動ロボット201の進行方向に対して後方側に第2移動ロボット202が置かれている。同様に、第3移動ロボット203と第4移動ロボット204とは、B搭乗口の置き場所T2に、前後同じ向きに2台並んで置かれている。進行方向に対して前方側に第3移動ロボット203が置かれ、第3移動ロボット203の進行方向に対して後方側に第4移動ロボット204が置かれている。同様に、第5移動ロボット205と第6移動ロボット206とは、C搭乗口の置き場所T3に、前後同じ向きに2台並んで置かれている。進行方向に対して前方側に第5移動ロボット205が置かれ、第5移動ロボット205の進行方向に対して後方側に第6移動ロボット206が置かれている。
図24は、回収するシステムS200において、回収場所T4における6台の第1〜第6移動ロボット201〜206の回収場所を示した図である。回収場所T4では、進行方向に対して第1移動ロボット201が先頭になるように、第1〜第6移動ロボット201〜206を一列に順番に回収する。
図25は各搭乗口の置き場所T1〜T3に置かれている第1〜第6移動ロボット201〜206の位置関係を示す図である。置き場所に置かれている前方移動ロボット201、203、205の最後尾から後方の移動ロボット202、204、206の最先端までの距離をロボット間距離とし、その値の許される最大距離を最大許容ロボット間距離D4とする。各移動ロボット201〜206に備えられた記述部6から移動ロボットの最後尾までの距離D3と、最大許容ロボット間距離D4とを足した長さを距離Xとする。
次に、移動ロボット200が複数台で一列に追従走行するときの回収システムS200の回収フローについて説明するが、まず、基本的な動作について説明したのち。具体的な例について説明する。図26Aは回収の基本的な動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS50では、移動ロボット200が複数台で一列に追従走行する際に、当該移動ロボット200が先頭の移動ロボット200か否かが駆動制御部10で判定される。この判定は、例えば、回収員11が操作部16から駆動制御部10に、先頭の移動ロボット200であることを指示してもよいし、又は、距離センサ4で、所定時間、前方に位置する移動ロボット200が存在しないことを検出したとき、先頭の移動ロボット200であると駆動制御部10で判定してもよい。又は、この判定は、例えば、所定時間又は所定距離だけ移動ロボット200が移動しても、移動軌跡5を検出部7で検出できないとき、先頭の移動ロボット200であると駆動制御部10で判定してもよい。
当該移動ロボット200が先頭の移動ロボット200であると駆動制御部10で判定したとき、ステップS51に進む。当該移動ロボット200が先頭の移動ロボット200でないと駆動制御部10で判定したとき、ステップS52に進む。
次いで、ステップS51では、移動ロボット200が先頭の移動ロボット200であるので、駆動制御部10の下に、先頭の移動ロボット200の記述部6と検出部7とを起動し、移動軌跡5を走行面19に記述部6による記述動作を開始しつつ検出部7による検出動作も開始して、記述動作が実施されていないことを検出部7で確認したのち、記述動作を実施する。このように検出動作及び記述動作を行いつつ駆動制御部10で走行駆動部15を制御して、所定の位置まで走行し、先頭の移動ロボット200による図26Aの回収の基本的な動作は終了する。
ステップS52では、2番目以降に追従する移動ロボット200が、検出部7で、走行面19に記述された移動軌跡5を検出する。
次いで、ステップS53では、検出した移動軌跡5を、2番目以降に追従する移動ロボット200が駆動制御部10で走行駆動部15を追従制御することで、追従走行を行う。
次いで、ステップS54では、移動ロボット200が最後尾の移動ロボット200であるか否かを判定する。一例として、移動ロボット200を回収する回収員11が、移動ロボット200が最後尾の移動ロボット200であるとの情報を操作部16を介して駆動制御部10に指示したときは、ステップS55で、最後尾の移動ロボット200の消去部8で移動軌跡5を消去しながら、最後尾の移動ロボット200が駆動制御部10で走行駆動部15を追従制御して追従走行を行う。そのような情報が無い場合には、消去部8での消去動作は行わない。これにより、2番目以降に追従する移動ロボット200による図26Aの回収の基本的な動作は終了する。
次に、移動ロボット200が複数台で一列に追従走行するときの回収システムS200の回収フローの具体的な例について説明する。図26Bは回収の具体的な動作を示すフローチャートである。ここでは、最終的に、移動ロボット200が6台で一列に追従走行するときを例示する。
まず、ステップS21の「A搭乗口で移動ロボットを起動」では、移動ロボット200を回収する回収員11が、A搭乗口の置き場所T1まで移動し、回収員11が、A搭乗口の置き場所T1に置かれてある第1移動ロボット201の記述部6と第2移動ロボット202の検出部7と消去部8とを起動して、記述動作及び検出動作を開始可能とする。
次いで、ステップS22において、回収員11が第1移動ロボット201に搭乗して、回収員11が、A搭乗口の置き場所T1からB搭乗口の置き場所T2に向けて第1移動ロボット201の操縦を開始する。第1移動ロボット201が走行を開始すると、駆動制御部10の制御の下に、第1移動ロボット201の記述部6は、走行面19へマーカー部6bによる移動軌跡5の記述を開始して、移動軌跡5を走行面19に残すとともに、検出部7で移動軌跡5の記述無しを検出したのち、記述動作を実施する。これらの動作は、ステップS51の記述動作に対応する。この後、第1移動ロボット201は、ステップS51の記述動作のみを行い、ステップS52の検出動作以降の動作の実施は不要である。
このとき、第1移動ロボット201に追従すべき第2移動ロボット202は、距離センサ4で、前方に位置する第1移動ロボット201までの距離を計測して制御部14の演算部9に入力している。これにより、当該移動ロボット200は先頭の移動ロボット200ではないことが駆動制御部10で判定できる。また、この計測した距離が前記距離Xを超えたと演算部9で判定したとき、演算部9からの判定情報が駆動制御部10に入力されて、第2移動ロボット202が、そのとき置かれている位置から、検出部7が移動軌跡5を検出するまで、距離Xだけ直進し続けるように、駆動制御部10で走行駆動部15を制御する。
ここで、距離Xだけ直進し続けるように、駆動制御部10で走行駆動部15を制御するためには、進行方向において、距離センサ4で同一障害物に対する距離が距離Xだけ短くなるように駆動制御部10で走行駆動部15を制御すればよい。他の方法としては、走行駆動部15のモータ15mの回転数をエンコーダ15eで検出し、検出した回転数から距離を換算して距離Xだけ短くなるように駆動制御部10で走行駆動部15を制御してもよい。これらの制御動作は、先の実施形態の回収システムS100でも同様に実施することができる。
その後、第2移動ロボット202は第1移動ロボット201の移動軌跡5を検出部7で検出しながら、その検出結果から第1移動ロボット201を追従するための移動軌跡5を演算部9で算出する。そして、その算出した移動軌跡5に基づき駆動制御部10が走行駆動部15を駆動制御することによって、第2移動ロボット202は移動軌跡5を追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS52の検出動作及びステップS53の追従動作に対応する。また、追従時に、回収員11が、第2移動ロボット202が最後尾の移動ロボット200であるとの情報を操作部16を介して駆動制御部10に指示するので、第2移動ロボット202の消去部8は、検出した移動軌跡5を消去する。これらの動作は、ステップS54の最後尾確認動作及びステップS55の消去動作に対応する。第2移動ロボット202が、第1移動ロボット201を追従する際は、第2移動ロボット202で、距離センサ4を用いて、先行する第1移動ロボット201までの距離を計測し、その距離が距離αになるように制御部14で追従走行を行う。距離αは先の例と同様である。
以後の説明において、搭乗口Bでの第3移動ロボット203に対して追従する第4移動ロボット204と、搭乗口Cでの第5移動ロボット205に対して追従する第6移動ロボット206とも、第2移動ロボット202と同様に、追従する移動ロボット204,206は、前方の移動ロボット203,205との距離が距離αになるようにそれぞれ追従走行を行う。
よって、ステップS21に次いでステップS22の「B搭乗口まで移動ロボットを操縦」では、図27に示すように、回収員11が、第1移動ロボット201をB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10まで操縦し続ける。そして、各移動ロボット201、202がB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10で一直線上に並ぶように第1移動ロボット201を停止させる。走行時は、第1移動ロボット201が記述した移動軌跡5を、第2移動ロボット202が、第1移動ロボット201から距離αだけ離れて後ろを追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS52の検出動作及びS53の追従動作に対応する。なお、移動軌跡5は、第2移動ロボット202の、起動されている消去部8により、すべて消去されている。これらの最後尾確認動作及び消去動作は、ステップS54及びS55の最後尾確認動作及び消去動作に対応する。
このように、第1移動ロボット201では、図26Aの基本動作のステップS51のみ実施されるが、第2移動ロボット202では、図26Aの基本動作のうち、ステップS51を除く、ステップS52以降が実施される。
次いで、ステップS23の「B搭乗口で移動ロボットを起動」では、図28に示すように、回収員11が第1移動ロボット201から一旦降りて第3移動ロボット203に搭乗する。そして、回収員11の操作部16を介しての操作で駆動制御部10により、第2移動ロボット202の消去部8の消去動作を停止させる。その後、回収員11が、第3移動ロボット203の操縦を開始して、B搭乗口の置き場所T2に置かれてある第3及び第4移動ロボット203、204を、回収員11の操作部16を介しての操作にてステップS21及びS22と同様に移動させて、第2移動ロボット202に対して、後方かつ同じ向きでかつ第1移動ロボット201から第4移動ロボット204まで一列となるように、B搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10に配置する。
具体的には、第1移動ロボット201の記述部6が走行面19に記述した移動軌跡5を各移動ロボット203、204の検出部7が検出できるようなB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10の位置に、回収員11が第3移動ロボット203を操縦して各移動ロボット203、204を配置する。その後、各移動ロボット203、204の検出部7を駆動制御部10で起動する。配置後は、回収員11の操作部16を介しての操作でそれぞれの駆動制御部10により、第3移動ロボット203の記述部6と検出部7とを起動し、第4移動ロボット204の検出部7と消去部8とを起動する。これらの装置の起動後、再度、回収員11が第1移動ロボット201に搭乗して、C搭乗口の置き場所T3に向けて共通通路T10での第1移動ロボット201の操縦を再開する。この後は、第1移動ロボット201では、図26Aの基本動作のステップS51のみを実施し、第2〜第4移動ロボット202,203,204では、それぞれ、図26Aの基本動作のうち、ステップS51を除く、ステップS52及びステップS53を実施する。第4移動ロボット204では、図26Aの基本動作のうち、ステップS54及びステップS55をさらに実施する。
これらの装置(すなわち、記述部6と検出部7と消去部8と)の起動後、再度、回収員11が第1移動ロボット201に搭乗して、C搭乗口の置き場所T3に向けて共通通路T10での第1移動ロボット201の操縦を再開する。このとき、第3及び第4移動ロボット203、204は、それぞれの検出部7が移動軌跡5を検出するまで距離Xだけ直進し続け、第3移動ロボット203は、検出部7が移動軌跡5を検出してから、距離Yだけ走行した時点で記述部6の記述動作を駆動制御部10により自動で停止させる。距離Yだけ走行した時点で記述部6を駆動制御部10により自動で停止させるためには、進行方向において、距離センサ4で同一障害物に対する距離が距離Yだけ短くなるように駆動制御部10で走行駆動部15を制御したのち、記述部6を駆動制御部10により停止させればよい。他の方法としては、走行駆動部15のモータ15mの回転数をエンコーダ15eで検出し、検出した回転数から移動ロボット200が移動した距離を換算して、距離Yだけ短くなるように駆動制御部10で走行駆動部15を制御したのち、記述部6を駆動制御部10により停止させてもよい。
次いで、ステップS24の「C搭乗口まで移動ロボットを操縦」では、図29に示すように、回収員11が第1移動ロボット201をC搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10まで操縦し続ける。そして、各移動ロボット201、202、203、204がC搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10で一直線上に並ぶように、第1移動ロボット201を停止させる。走行時、第1移動ロボット201が記述した走行軌跡5を、第3及び第4移動ロボット203,204が、第2移動ロボット202又は第3移動ロボット203から距離αだけそれぞれ離れて後ろを追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS52の検出動作及びS53の追従動作に対応する。
このように、第3及び第4移動ロボット203,204では、図26Aの基本動作のうち、ステップS51を除く、ステップS52及びステップS53が実施される。
なお、移動軌跡5は、第4移動ロボット204の、起動されている消去部8により、すべて消去されている。これらの動作は、図26Aの基本動作のうち、ステップS54及びステップS55に対応する。
次いで、ステップS25の「C搭乗口で移動ロボットを起動」では、図30に示すように、回収員11が第1移動ロボット201から一旦降りて第5移動ロボット205に搭乗する。そして、回収員11の操作部16を介しての操作にて第4移動ロボット204の消去部8を駆動制御部10により停止させる。そして、回収員11が、第5移動ロボット205の操縦を開始して、C搭乗口の置き場所T3に置かれてある各移動ロボット205、206を、回収員11の操作部16を介しての操作にてステップS21及びS22と同様に移動させて、第4移動ロボット204に対して、後方かつ同じ向きでかつ第1移動ロボット201から第6移動ロボット206まで一列となるように、C搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10に配置する。
具体的には、第1移動ロボット201の記述部6が走行面19に記述した移動軌跡5を各移動ロボット205、206の検出部7が検出できるような、すなわち、各移動ロボット205、206を各移動ロボット204、205、206が同一直線状に位置するようにC搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10の位置に、回収員11が第5移動ロボット205を操縦して各移動ロボット205、06を配置する。
配置後は、回収員11が第5移動ロボット205の記述部6と検出部7とを起動するとともに、第6移動ロボット206の検出部7と消去部8とを起動する。
これらの装置(すなわち、記述部6と検出部7と消去部8と)の起動後、再度、回収員11が第1移動ロボット201に搭乗して、回収場所T4に向けて第1移動ロボット201の操縦を再開する。このとき、各移動ロボット205、206は、それぞれの検出部7が移動軌跡5を検出するまで距離Xだけ直進し続け、第5移動ロボット205は検出部7が移動軌跡5を検出してから、距離Yだけ走行した時点で記述部6を駆動制御部10により自動で停止させる。
この後は、第5及び第6移動ロボット205,206では、それぞれ、図26Aの基本動作のうち、ステップS51を除く、ステップS52及びステップS53を実施する。第6移動ロボット206では、さらに、図26Aの基本動作のうち、ステップS54及びステップS55も実施する。
次いで、ステップS26の「回収場所まで移動ロボットを操縦し回収」では、図31に示すように、回収員11が、第1移動ロボット201を回収場所T4付近の共通通路T10まで操縦し続ける。そして、図32に示すように、第1〜第6移動ロボット201、202、203、204、205、206が回収場所T4で一直線上に並ぶように第1移動ロボット201を停止させて、第1〜第6移動ロボット201、202、203、204、205、206を回収する。走行時、第1移動ロボット201が記述した走行軌跡5を、第3〜第6移動ロボット203,204,205,206が、第2移動ロボット202又は第3移動ロボット203又は第4移動ロボット204又は第5移動ロボット205から距離αだけそれぞれ離れて後ろを追従する。これらの検出動作及び追従動作は、ステップS52の検出動作及びS53の追従動作に対応する。
次いで、ステップS27の「各移動ロボットを収納」では、回収場所T4から回収員11が第1〜第6移動ロボット201〜206を、回収員11の操作部16を介しての操作にて、収納場所T11に移動させる。
例えば、まず、図33に示すように、まず、操作部16を介して第1移動ロボット201の記述部6での記述動作を駆動制御部10により停止させて、第1移動ロボット201を回収員11の操作部16を介しての操作にて収納場所T11に移動させる。その際に、第2〜第6移動ロボット202〜206は、第2移動ロボット202の検出部7が、第1移動ロボット201の記述部6が記述した移動軌跡5を検出できなくなる位置まで前進する。
次に、図34に示すように、第2移動ロボット202の検出部7の検出動作を駆動制御部10により停止させて、第2移動ロボット202を回収員11の操作部16を介しての操作にて収納場所T11に移動させる。その際に、第3〜第6移動ロボット203〜206は第3移動ロボット203の検出部7が、第1移動ロボット201の記述部6が記述した移動軌跡5を検出できなくなる位置まで前進する。このような移動作業を第5移動ロボット205までそれぞれ繰り返す。
最後に、図35に示すように、第6移動ロボット206が移動軌跡5を検出できなくなる位置まで前進し停止したら、回収員11が検出部7の検出動作を駆動制御部10により停止させて、回収員11の操作部16を介しての操作にて距離Lだけ第6移動ロボット206を前進させる。
その後、消去部8を駆動制御部10により停止し、回収場所T4に回収員11の操作にて第6移動ロボット206を移動させる。なお、移動軌跡5は、第6移動ロボット206の、起動されている消去部8により、すべて消去されている。
以上の説明では、第1移動ロボット201から順に移動させたが、移動させる順番は、消去部8が起動されている第6移動ロボット206さえ最後にすれば、第1移動ロボット201から第5移動ロボット205までの順序は何番からでも良い。
以上の様に、走行面19に記述した移動軌跡5を消去部8で消去しながら移動させることができるので、移動軌跡5を走行面19に残すことなく複数台の移動ロボット200の同一移動軌跡5の追従制御が可能となる。
(実施形態3)
次に、図36を基に、追従制御を用いた6台の本発明の実施形態3の移動ロボット300の回収システムS300について説明する。ここでも便宜上、6台の移動ロボット300は、それぞれ、第1移動ロボット301、第2移動ロボット302、第3移動ロボット303、第4移動ロボット304、第5移動ロボット305、第6移動ロボット306と名付ける。
概略を説明すると、回収システムS300は、前記の実施形態2の内容に加えて、回収員11ではなく、移動ロボット300が自動的に最後尾を認識する構成を各移動ロボット300に加えたものである。
図36は、本発明の実施形態3における移動ロボット300の上面から見た概略説明図である。この移動ロボット300には、実施形態2の移動ロボット200と同様に、移動ロボット本体1と、記述部6と、検出部7と、走行駆動部15と、駆動制御部10を含む制御部14と、消去部8とを備える上に、後方に追従する移動ロボット300が存在するか否かを判定する後方追従判定部12を新たに備えて構成されている。移動ロボット100又は200と同じ構成には同じ参照符号を付けて、詳細な説明を省略する。
後方追従判定部12、すなわち、判定部12の例としては、例えば画像センサなどの、判定部12で判定動作を行う移動ロボット300の後方に置かれた移動ロボット300を認識できるものであれば何でもよい。例えば、判定部12を画像センサで構成する場合には、画像センサで取得した画像情報と、移動ロボット300の輪郭又は色などの情報とを比較して、移動ロボット300の有無を判定し、判定結果を制御部14の駆動制御部10に出力する。判定部12で、後方に移動ロボット300が存在しないと判定する場合には、制御部14の駆動制御部10を介して消去部8を起動させる。一方、判定部12で、後方に移動ロボット300が存在すると判定する場合には、制御部14を介して消去部8を起動させない。
このような構成により、実施形態2の回収フローでは、最後尾の移動ロボット200の消去部8を、毎回、回収員11の操作部16を介しての操作によって切り替えている。しかしながら、本実施形態3では、制御部14の判定結果に基づき自動的に切り替えることができる。具体的な回収フローは、実施形態2の回収フローと類似するため、図26Bの回収フローと類似する図37の回収フローを使って、異なる点を中心に説明する。
まず、図37のステップS21Aの「A搭乗口で移動ロボットを起動」では、図26Bと同様に、移動ロボット300を回収する回収員11が、A搭乗口の置き場所T1まで移動し、回収員11が、A搭乗口の置き場所T1に置かれてある移動ロボット301の記述部6と第2移動ロボット302の検出部7とを起動して、記述動作及び検出動作を開始可能とする。この記述部6の軌跡時から、第2移動ロボット302は、常に、判定部12で、第2移動ロボット302の後方に移動ロボット300が新たに存在するか否かを判定する。第2移動ロボット302は、判定部12を用いて、後方に移動ロボットが存在しないと判定するとき、制御部14で消去部8を起動させる。
次いで、図37のステップS22は図26AのステップS22と同様であり、B搭乗口まで移動ロボットを操縦する。
次いで、図37のステップS23Aの「B搭乗口で移動ロボットを起動」では、回収員11が第1移動ロボット301から一旦降りて第3移動ロボット303に搭乗する。そして、回収員11の操作部16を介しての操作で駆動制御部10により、B搭乗口の置き場所T2に置かれてある第3及び第4移動ロボット303、304を、回収員11の操作部16を介しての操作にてステップS21A及びS22と同様に移動させて、第2移動ロボット302に対して、後方かつ同じ向きにB搭乗口の置き場所T2付近の共通通路T10に配置する。このとき、第2移動ロボット302は、判定部12を用いて、第2移動ロボット302の後方に移動ロボット300が新たに存在したと判定したとき、第2移動ロボット302では、駆動制御部10により消去部8を停止させる。第2移動ロボット302は、常に、判定部12で、第2移動ロボット302の後方に移動ロボット300が新たに存在するか否かを判定する。従って、第2移動ロボット302の後方に例えば第3移動ロボット303が移動してきたとき、第2移動ロボット302の後方に移動ロボット300が新たに存在したと判定部12で判定する。そして、その判定情報を判定部12から駆動制御部10に入力して、第2移動ロボット302では駆動制御部10により消去部8の動作を停止させる。
次いで、図37のステップS24は図26AのステップS24と同様であり、C搭乗口まで移動ロボットを操縦する。
次いで、図37のステップS25Aの「C搭乗口で移動ロボットを起動」では、回収員11が第1移動ロボット301から一旦降りて第5移動ロボット305に搭乗する。そして、回収員11の操作部16を介しての操作にて、回収員11が、第5移動ロボット305の操縦を開始して、C搭乗口の置き場所T3に置かれてある各移動ロボット305、306を、回収員11の操作部16を介しての操作にてステップS21A及びS22と同様に移動させて、第4移動ロボット304に対して、後方かつ同じ向きでかつ第1移動ロボット301から第6移動ロボット306まで一列となるように、C搭乗口の置き場所T3付近の共通通路T10に配置する。このとき、第4移動ロボット304は、判定部12を用いて、第4移動ロボット304の後方に移動ロボットが新たに存在したと判定し、駆動制御部10により消去部8の動作を駆動制御部10により停止させる。
次いで、図37のステップS26は図26AのステップS26と同様であり、回収場所まで移動ロボットを操縦し回収する。
次いで、図37のステップS27Aの「各移動ロボットを収納」では、最後尾である第6移動ロボット306の検出部7を駆動制御部10により停止させた際に、回収員11の操作部16を介しての操作にて第6移動ロボット306を距離Lだけ前進させたのち、回収員11の操作部16を介しての操作で消去部8を駆動制御部10により停止させる。
なお、ここでは、判定部12として、画像センサなどで、後方の移動ロボット300を検出してその有無を判定し、最後尾か否かを認識することを想定している。しかしながら、画像センサ等の検出結果の代わりに、最後尾の移動ロボット306を回収員11が特定し、最後尾の移動ロボット306に最後尾であることを認識させるために、回収員11が最後尾であるとの情報を予め入力する入力部を備えても良い。
以上の様に、判定部12を備えて、後方に移動ロボット300が存在しないと判定部12で判定する場合には、制御部14を介して消去部8を起動させることができ、逆に、後方に移動ロボットが存在すると判定部12で判定する場合には、制御部14を介して消去部8を駆動制御部10により停止させることができる。このため、回収員11の作業負荷を軽減しつつ、移動軌跡5を走行面19に残すことなく、複数台の移動ロボット300の同一移動軌跡5の追従制御が可能となる。
なお、本発明を実施形態1〜3及び変形例に基づいて説明してきたが、本発明は、前記の実施形態1〜3及び変形例に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
前記駆動制御部10などの各制御部14の一部又は全部は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各制御部14は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
例えば、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
なお、前記実施形態又は変形例における制御部14を構成する要素の一部又は全部を実現するソフトウェアは、以下の移動ロボットの追従方法の態様に記載したようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、以下の制御動作又は以下の判定動作を機能させるための移動ロボットの追従方法の制御プログラムである。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスク、磁気ディスク、又は、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
以上、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明したが、最後に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1の態様によれば、
移動ロボット本体と、
前記移動ロボット本体に配置されて、移動ロボットの移動軌跡を移動平面に記述するマーカー部を備えた記述部と、
前記移動ロボット本体に配置されて、前記記述部で記述された前記移動軌跡を検出する検出部と、
前記移動ロボット本体の走行を駆動する走行駆動部と、
前記検出部で検出された前記移動軌跡に沿って前記移動ロボット本体が走行するように前記走行駆動部を駆動制御する駆動制御部とを備える、移動ロボットを提供する。
本発明の第2の態様によれば、
前記記述部と前記検出部とが、前記移動ロボットの進行方向に対して前記移動ロボット本体内に直列にかつ前記記述部が前記検出部より前側に位置する、第1の態様に記載の移動ロボットを提供する。
本発明の第3の態様によれば、
前記移動ロボット本体に配置され、前記記述部で前記移動平面に記述された前記移動軌跡を消去する消去部を備える、第1又は2の態様に記載の移動ロボットを提供する。
本発明の第4の態様によれば、
前記移動ロボット本体に配置され、前記移動ロボット本体の後方の移動ロボットの有無の情報に基づき、当該移動ロボットは最後尾の移動ロボットであるか否かを判定する判定部を備え、
前記判定部で当該移動ロボットは最後尾の移動ロボットであると判定したとき、前記消去部により、前記記述部で前記移動平面に記述された前記移動軌跡を消去する、第3の態様に記載の移動ロボットを提供する。
本発明の第5の態様によれば、
前記マーカー部を備えた前記記述部を第1記述部とし、
前記移動ロボットは、さらに、
前記移動ロボット本体に配置されて、粒子を撒くことにより、前記移動ロボットの前記移動軌跡を前記移動平面に記述する粒子吐出機構を備えた第2記述部と、
前記移動ロボット本体に配置され、前記移動平面の種類を検出して判定する移動平面判定部とを備えて、
前記移動平面判定部での判定結果に基づいて前記第1記述部と前記第2記述部とを選択的に駆動する、第1〜4の何れか1つの態様に記載の移動ロボットを提供する。
本発明の第6の態様によれば、
第1〜5の何れか1つの態様に記載の移動ロボットが複数台で一列に追従走行する際に、前記複数台のうちの各移動ロボットでは、当該移動ロボットが、先頭の移動ロボットであるか否かを判定し、
当該移動ロボットが、先頭の移動ロボットであるとき、前記先頭の移動ロボットが、前記記述部で前記移動軌跡を前記移動平面に記述しつつ移動する一方、
当該移動ロボットが、先頭の移動ロボットではなく、追従する移動ロボットであるとき、前記追従する移動ロボットが、前記検出部で前記移動平面に記述された前記移動軌跡を検出し、
検出した前記移動軌跡を、前記追従する移動ロボットが追従することで、追従走行を行う、移動ロボットの追従方法を提供する。
本発明の第7の態様によれば、
第4の態様に記載の前記移動ロボットが複数台で一列に追従走行を行う際に、前記複数台のうちの各移動ロボットでは、当該移動ロボットが、先頭の移動ロボットであるか否かを判定し、
当該移動ロボットが、先頭の移動ロボットであるとき、前記先頭の移動ロボットが、前記記述部で前記移動軌跡を前記移動平面に記述しつつ移動する一方、
当該移動ロボットが、先頭の移動ロボットではなく、追従する移動ロボットであるとき、前記追従する移動ロボットが、前記検出部で前記移動軌跡を検出しながら追従し、
前記移動ロボット本体に配置された前記判定部で、当該移動ロボットが最後尾の移動ロボットであるか否かを判定し、当該移動ロボットが最後尾であると前記判定部で判定したとき、最後尾の前記移動ロボットの前記消去部で前記移動軌跡を消去しながら、前記最後尾の移動ロボットが追従走行を行う、第6の態様に記載の移動ロボットの追従方法を提供する。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。