JP6978285B2 - 継手及び棒状または線状の部材の接合方法 - Google Patents
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Description
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る鉄筋継手の側面図を、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿った鉄筋継手の断面図を示す。鉄筋継手1は、熱可塑性樹脂からなる継手本体2と、継手本体2の外周面を取り囲む加圧部材3と、を有している。継手本体2は概ね円筒形の外形を有しており、円筒形の外形と同軸の、鉄筋4が挿入可能な貫通孔5を備えている。貫通孔5の内径d5は鉄筋4の最外径d4よりも大きく、鉄筋4をスムーズに挿入することができる。継手本体2は熱可塑性樹脂から形成されている。熱可塑性樹脂は加熱によって溶融または軟化する性質を有している。継手本体2の材料としてはアクリル樹脂、ポリプロピレンなどが挙げられるが、熱可塑性樹脂である限り限定されない。詳細は後述するが、継手本体2を加熱軟化させることで、継手本体2を鉄筋4に密着させ、2つの鉄筋4を接合することができる。
図2(a)は本発明の第2の実施形態に係る鉄筋継手101の側面図を、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿った鉄筋継手101の断面図を示す。説明を省略した構成については第1の実施形態と同様である。継手本体2には、上述の第1の線状体6に加え、貫通孔5の中心軸5aの周りを周方向に延び鉄筋4より小径の複数本の第2の線状体9が埋め込まれている。第2の線状体9は第1の線状体6と直交する方向に延びている。第2の線状体9もポリプロピレン、ガラス、アラミド、炭素、金属の繊維、あるいは針金、ピアノ線、ワイヤーなどの金属製の線材などで形成されている。第2の線状体9は、好ましくは貫通孔5の中心軸5aの周りを全周にわたって延びているが、周方向の一部を延びていてもよい。また、第2の線状体9は貫通孔5の中心軸5aの周りを、1周を超える巻数で巻回していてもよい。第2の線状体9は、径方向外側を向く引張力を、熱可塑性樹脂とともに負担する。図3は、継手本体2に掛かる引張力とその分力を模式的に示している。鉄筋4に長手方向Lの引張力Fが加わると、その力は鉄筋4の節41を介して継手本体2に伝わる。このとき、継手本体2はコーン状の面に沿った力Sを受ける。この力Sは長手方向Lの力S1と径方向外向きの力S2に分解することができる。前者の力S1は第1の線状体6が分担し、後者の力S2は第2の線状体9が分担する。従って、継手本体2には第1の線状体6と第2の線状体9の両者が埋め込まれていること望ましいが、第2の線状体9は径方向外向きの力S2が小さい場合には省略することもできる。
図4(a)は本発明の第3の実施形態に係る鉄筋継手201の側面図を、図4(b)は図4(a)のA−A線に沿った鉄筋継手201の断面図を示す。説明を省略した構成については第1の実施形態と同様である。本実施形態の鉄筋継手201では、第2の線状体9は貫通孔5の内面に沿って周方向に配置されている。すなわち、第2の線状体9は継手本体2に埋め込まれておらず、貫通孔5の内面に露出している。鉄筋4を貫通孔5に挿入したときは、第2の線状体9は貫通孔5の内面と鉄筋4との間に位置する。継手本体2を加熱して軟化させる際、継手本体2は貫通孔5に向かって、すなわち径方向内側に向けて移動する。このため、第2の線状体9が継手本体2に埋め込まれていると、継手本体2の変形で緩んだり、真円度が大きく損なわれたりすることがある。そのような状態では、径方向外向きの力S2(図3参照)に対する第2の線状体9の抵抗力が十分に確保できないことがある。本実施形態では第2の線状体9が継手本体2と鉄筋4との間に位置するため、継手本体2を加熱軟化させたときに継手本体2が第2の線状体9に及ぼす影響を軽減することができる。第2の線状体9は第1及び第2の鉄筋4の端部領域が貫通孔5の内部に配置される前に、貫通孔5の内面に沿って周方向に配置される。第2の線状体9は接着剤などで貫通孔5の内面に貼り付けてもよいし、第2の線状体9に樹脂を含浸させたシートまたはテープを貫通孔5の内面に貼り付けてもよい。
図5(a)は本発明の第4の実施形態に係る鉄筋継手301の側面図を、図5(b)は図5(a)のA−A線に沿った鉄筋継手301の断面図を、図5(c)は図5(b)の矩形の枠で囲んだ部分の拡大図を示す。説明を省略した構成については第1の実施形態と同様である。本実施形態の鉄筋継手301では、第1の線状体6と第2の線状体9は貫通孔5の内面に沿って配置されている。具体的には、第1の線状体6と第2の線状体9は径方向に交互に配置され、第1の線状体6は貫通孔5と平行に延び、第2の線状体9は貫通孔5の中心軸5aの周りを周方向に延びている。第1の線状体6と第2の線状体9は接着剤などで貫通孔5の内面に貼り付けてもよいし、第1の線状体6と第2の線状体9を交互に配置し、これらに樹脂を含浸させたシートまたはテープを貫通孔5の内面に貼り付けてもよい。本実施形態では、第1の線状体6と第2の線状体9はいずれも継手本体2に埋め込まれていないため、第3の実施形態の効果に加え、継手本体2を加熱軟化させたときに継手本体2が第1の線状体6に及ぼす影響を軽減することができる。すなわち、第1の線状体6が継手本体2の変形で緩みにくくなり、長手方向Lに印加される引張力をより確実に負担することができる。
図示は省略するが、複数の第1の線状体6のうちの一部が継手本体2に埋め込まれ、残りが貫通孔5の内面に設けられてもよい。同様に、複数の第2の線状体9のうちの一部が継手本体2に埋め込まれ、残りが貫通孔5の内面に設けられてもよい。さらに、第1の線状体6は長手方向Lに印加される引張力を負担することができれば、貫通孔5と平行に延びていなくてもよい。例えば、複数の第1の線状体6の一部または全部が貫通孔5と非平行に延びていてもよく、ジグザグ状に延びていてもよい。同様に、第2の線状体9は径方向外側を向く引張力を負担することができれば、貫通孔5の中心軸5aの周りを周方向に延びていなくてもよい。例えば、複数の第2の線状体9の一部または全部が貫通孔5の周方向と非平行に延びていてもよく、ジグザグ状に延びていてもよい。
2 継手本体
3 加圧部材(熱収縮チューブ)
4 鉄筋(棒状または線状の部材)
4a 第1の鉄筋
4b 第2の鉄筋
5 貫通孔
6 第1の線状体
7a,7b シール部材
9 第2の線状体
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂からなり、棒状または線状の部材が挿入可能な貫通孔を備えた継手本体と、
前記継手本体の外周面を取り囲み、前記継手本体を前記貫通孔に向けて加圧する加圧部材と、を有し、前記継手本体は前記部材より小径の第1の線状体を有している、継手。 - 前記第1の線状体は前記貫通孔と平行に延び、前記継手本体に埋め込まれている、請求項1に記載の継手。
- 前記加圧部材は熱収縮チューブである、請求項1または2に記載の継手。
- 前記継手本体は、前記貫通孔の中心軸の周りを周方向に延び前記部材より小径の第2の線状体を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の継手。
- 前記第2の線状体は前記貫通孔の内面に沿って周方向に配置されている、請求項4に記載の継手。
- 棒状または線状の第1の部材と棒状または線状の第2の部材を、端部同士が相対するように、共通の軸線上に配置することと、
前記第1及び第2の部材の端部領域を、貫通孔と前記部材より小径の第1の線状体を備え、熱可塑性樹脂からなる継手本体の前記貫通孔に配置することと、
前記継手本体を加熱し軟化させながら前記貫通孔に向けて加圧することで、前記継手本体を前記第1及び第2の部材に密着させることと、
前記継手本体を冷却し、前記継手本体が前記第1及び第2の部材に密着した状態で前記継手本体を硬化させることと、を有する棒状または線状の部材の接合方法。 - 前記第1の線状体は前記貫通孔と平行に延び、前記継手本体に埋め込まれている、請求項6に記載の部材の接合方法。
- 前記継手本体の外周面を取り囲む加圧部材を収縮させることで、前記継手本体が前記貫通孔に向けて加圧される、請求項6または7に記載の部材の接合方法。
- 前記加圧部材は熱収縮チューブである、請求項8に記載の部材の接合方法。
- 前記貫通孔の中心軸の周りを周方向に延び前記部材より小径の第2の線状体が、前記第1及び第2の部材の前記端部領域が前記貫通孔に配置される前に、前記貫通孔の内面に沿って周方向に配置される、請求項6から9のいずれか1項に記載の部材の接合方法。
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