JP6977587B2 - エンジンの排気浄化制御装置 - Google Patents

エンジンの排気浄化制御装置 Download PDF

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Description

ここに開示する技術は、エンジンの排気浄化制御装置に関する。
NOx吸蔵触媒など、いわゆるNOx触媒を備えたエンジンにおいては、そのNOx触媒に吸蔵されたNOxを除去するべく、燃料噴射量を制御すること(いわゆるDeNOx制御)が知られている。
例えば特許文献1には、DeNOx制御の一例として、車両の加速時に、空燃比を一時的にリッチ側へ制御するリッチスパイク制御を行うことが記載されている。こうしたDeNOx制御を実現するためには、ディーゼルエンジンにおけるポスト噴射のように、燃料の追加噴射を行って、それを筒内で燃焼させることが考えられる。
特開2005−291098号公報
ところで、前記特許文献1に記載されたようなNOx触媒とは別に、例えば酸化触媒にHC吸着剤を加えることによって構成された、炭化水素(HC)の吸着機能を有する触媒を設ける場合がある。この場合、例えば触媒温度が低いときには、HC吸着剤によってHCがトラップされる一方で、触媒温度が高いときには、HC吸着剤からHCが放出されることになる。
ここで、前記の如きNOx触媒と酸化触媒を備えたエンジンにおいて、さらにターボ過給機を備えた構成とした場合、車両の加速時のように過給圧の上昇に遅れ(いわゆるターボラグ)が生じると、燃焼室へと導入される吸気の量が不足することになる。そうすると、未燃の燃料が相対的に多く生じてしまい、酸化触媒のHC吸着剤には、多量のHCが吸着されることになる。
そうして多量のHCが吸着されてしまった後に、前記特許文献1に記載されたようなDeNOx制御を開始してしまうと、ポスト噴射による筒内燃焼の影響を受けて、排気通路へと排出される排気ガスが高温になる。これにより、短期間のうちに、HC吸着剤から多量のHCが一気に放出される可能性がある。この場合、放出されたHCが、酸化触媒において酸化反応を過度に生じてしまい、その反応熱によって、酸化触媒やNOx触媒が過度に昇温する虞がある。触媒の過昇温は、その劣化抑制という観点からは望ましく無い。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ターボ過給機を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、触媒の劣化を抑制することにある。
ここに開示する技術は、燃焼室と、前記燃焼室へと通じる排気通路に設けられたターボ過給機と、前記排気通路に設けられたNOx触媒と、を備えたエンジンの排気浄化制御装置に係る。この排気浄化制御装置は、前記燃焼室の内部へ燃料を噴射するインジェクタと、前記排気通路に設けられ、炭化水素の吸着機能を有する触媒と、前記インジェクタに接続されたコントローラと、を備え、前記NOx触媒は、NOx吸蔵還元型触媒である。
前記コントローラは、所定の第1条件が成立したとき、前記エンジンの運転状態に対応した燃料噴射の後に燃料の追加噴射を行うことによって、前記第1条件が成立する前よりも前記燃焼室内における混合気の空燃比をリッチ化させるNOx触媒再生制御を行うよう、前記インジェクタへ制御信号を出力する。
前記コントローラはさらに、前記第1条件が成立しているときであっても、前記ターボ過給機が安定していることを示す所定の第2条件が成立するまでは、前記追加噴射の実行を制限する。
この構成によれば、前記コントローラは、所定の第1条件が成立したときには、いわゆるポスト噴射のような追加噴射によるNOx触媒再生制御を実行することによってNOx触媒からNOxを除去し、ひいてはNOx触媒を浄化することができる。
しかし、前記コントローラは、単に第1条件に基づいた判断のみを行うのではなく、そうした第1条件が成立しているときであっても、それとは異なる第2条件が成立するまでは、追加噴射の実行を制限するように構成されている。この第2条件は、実過給圧が目標過給圧付近まで至った状況など、ターボ過給機が安定していることを示している。
すなわち、第2条件が成立しているときには、燃焼室へと吸気が十分に供給されることになる。このような状況下で追加噴射を行うと、第2条件が成立する前と比較して、ターボラグに起因した未燃燃料の発生を抑制することができる。これにより、HC吸着剤へと吸着されるHCの量を低減することができるから、そうして吸着されたHCの放出に起因した、触媒の過昇温、ひいては触媒の性能劣化を抑制することが可能となる。
また、前記コントローラは、アクセル開度の変化量が所定の第1閾値以下であるときに、前記第2条件が成立していると判定する、としてもよい。
一般に、ターボラグが発生するのは、アクセルペダルが踏み込まれたとき、つまり、アクセル開度、ひいては目標過給圧が大きく変化するときである。これを換言すれば、アクセル開度の変化が小さいときには、それに応じて目標過給圧も小さく変化することになるため、そうして変化する目標過給圧に対して実過給圧を十分に追従させることができる。このことは、ターボ過給機が安定して作動していることを判断するための指標として、アクセル開度の変化量を活用可能であることを示唆している。
よって、前記の構成のように、アクセル開度の変化量が所定以下の場合に第2条件が成立しているものと判定することで、ターボ過給機が安定して作動していることを、より的確に判定することが可能となる。
また、前記コントローラは、前記アクセル開度に基づいて、前記エンジンの目標トルクを決定する、としてもよい。
一般に、アクセル開度が大きく変化するときにポスト噴射のような追加噴射を実行してしまうと、前述のように空気の供給が追いつかずに空燃比が過剰リッチとなり、エンジンにトルク変動が生じる可能性がある。そうしたトルク変動は、乗員に違和感を与え得るため好ましくない。
対して、前記の構成によると、前記第2条件が成立するまでは追加噴射の実行を制限することで、エンジンのトルク変動、ひいては乗員に違和感を与える可能性を、可能な限り抑制することが可能となる。
特に、前記の構成によると、エンジンの目標トルクはアクセル開度に基づく一方で、そのアクセル開度の変化量が前記第2条件を成している。アクセル開度の変化量は、エンジンの目標トルクと強く関連しているため、そうした変化量を第2条件とすることで、追加噴射を開始するべきタイミングを、より的確にかつ、効果的に判断することができる。
また、前記コントローラは、前記アクセル開度が大きいときには、該アクセル開度が小さいときと比較して前記第1閾値を低く設定する、としてもよい。
一般に、アクセル開度が大きいときには、それが小さいときと比較して、エンジン負荷、ひいては燃焼室へと供給される燃料の量が増大することになる。そうすると、燃焼室の室内がより高温となるため、未燃の燃料が排出され難くなる。よって、より早いタイミングで追加噴射を開始したとしても、前述のような、触媒の過昇温に関連した問題が生じ難くなる。
したがって、前記の構成によると、アクセル開度が大きいときには、第1閾値を低めに設定する。第1閾値を低めに設定した分だけ、第2条件が早めに成立するようになるから、追加噴射を早めに開始することができるようになる。
また、前記コントローラは、エンジン回転数の変化量が所定の第2閾値以下であるときに、前記第2条件が成立していると判定する、としてもよい。
仮に、アクセル開度の変化量だけをモニターした場合、エンジン回転数が相対的に大きく変動するときのように、未燃の燃料が排出され得る状況を見落としてしまう可能性がある。
よって、前記の構成によると、アクセル開度の変化量ばかりでなく、エンジン回転数の変化量もモニターすることで、追加噴射を開始するべきタイミングを、より的確に判断することができるようになる。
特に、エンジン回転数の変化量に基づく判定は、アクセル開度の変化量に基づく判定と同時に行うと、より一層有利となる。つまり、前記のように、アクセル開度の変化量だけをモニターしたのでは、追加噴射を開始すべきタイミングを判断するには不十分となる可能性がある。
その一方で、エンジン回転数の変化量だけをモニターしたのでは、アクセルペダルが大きく踏み込まれた直後のように、アクセルペダルの踏み込みの影響が、エンジン回転数の大きさに未だ反映されていないような状況を見落としてしまう可能性がある。
よって、アクセル開度及びエンジン回転数各々の変化量をモニターすることで、より的確なタイミングで追加噴射を行うことが可能となる。
また、前記コントローラは、前記エンジン回転数が大きいときには、該エンジン回転数が小さいときと比較して前記第2閾値を低く設定する、としてもよい。
一般に、エンジン回転数が大きいときには、それが小さいときと比較して、混合気の燃焼によって単位時間当たりに生じる熱量が増大することになる。そうすると、燃焼室の室内がより高温となるため、未燃の燃料が排出され難くなる。よって、より早いタイミングで追加噴射を開始したとしても、前述のような、触媒の過昇温に関連した問題が生じ難くなる。
したがって、前記の構成によると、エンジン回転数が大きいときには、第2閾値を低めに設定する。第2閾値を低めに設定した分だけ、第2条件が早めに成立するようになるから、追加噴射を早めに行うことができるようになる。
また、前記コントローラは、所定の第3条件が成立したとき、前記エンジンの運転状態に対応した燃料噴射の後に燃料の追加噴射を行うことによって前記第3条件が成立する前よりも前記燃焼室内における混合気の空燃比をリッチ化させるリッチステップと、該リッチステップよりも前記空燃比をリーン化させるリーンステップとを交互に実施する第2の再生制御を実行する、としてもよい。
NOx触媒には、NOxばかりでなく、いわゆるSOxも吸着し得る。そこで、前記第2の再生制御のように、リッチステップとリーンステップとを交互に実行させることで、NOx触媒に吸着したSOxを脱離させることができる。
ところで、仮にNOx触媒が過度に昇温してしまうと、NOx触媒に吸着したSOxが凝集してしまい、NOx触媒から脱離させるのが困難になる虞がある。
しかし、前記の構成によると、より的確なタイミングで燃料の追加噴射を実行させることで、NOx触媒の過昇温を抑制することができる。すなわち、このような構成は、単にNOx触媒の性能劣化を抑制するばかりでなく、そうしたNOx触媒からSOxをスムースに脱離させる上でも有効となる。
また、前記排気通路には、該排気通路を流れる排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサが設けられ、前記コントローラは、前記酸素センサによる検出結果と、前記エンジンの運転状態に基づき決定される目標空燃比とに基づいて、前記追加噴射における燃料噴射量をフィードバック制御する、としてもよい。
例えば、車両の加速直後には、目標空燃比と実空燃比とにズレが生じてしまう可能性がある。ここで、追加噴射における燃料噴射量をフィードバック制御しようとしたとしても、実現されるべき空燃比とは逆側に制御されてしまい、トルク変動が長期化する可能性がある。
前記の構成は、そうしたトルク変動自体の発生を抑制可能という点で有効である。
以上説明したように、前記のエンジンの排気浄化制御装置によると、ターボラグに起因した触媒の劣化を抑制することができる。
図1は、エンジンの構成を例示する概略図である。 図2は、エンジンの排気浄化制御装置の構成を例示するブロック図である。 図3は、ポスト噴射量の算出処理を例示するフローチャートである。 図4は、エンジンの運転領域について例示する図である。 図5は、アクティブDeNOx制御の実行フラグを設定するための処理を例示するフローチャートである。 図6は、第1閾値および第2閾値の設定に関連した説明図である。 図7は、アクティブDeNOx制御の具体的な内容を例示するフローチャートである。 図8は、HC脱離促進制御の具体的な内容を例示するフローチャートである。 図9は、アクティブDeNOx制御の具体例を示すタイムチャートである。
以下、エンジンの排気浄化制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明は、エンジンの排気浄化制御装置の一例である。図1は、エンジン1の構成を例示する概略図であり、図2は、エンジン1の排気浄化制御装置の構成を例示するブロック図である。
エンジン1は、軽油を主成分とした燃料が供給されるディーゼルエンジンであって、所謂4ストロークエンジンとして構成されているとともに、四輪の自動車(車両)に搭載されている。エンジン1の出力軸であるクランクシャフト7は、不図示の変速機を介して自動車の駆動輪に連結されており、エンジン1が運転することにより、その出力が駆動輪に伝達されて自動車が走行するようになっている。
エンジン1は、2ステージ式のターボ過給機付エンジンである。すなわち、図1に示すように、エンジン1の燃焼室6へと通じる排気通路40には、燃焼室6内へ導入されるガスを過給するように構成された第1ターボ過給機51及び第2ターボ過給機52が設けられている。この排気通路40には、後述のNOx触媒41も設けられている。なお、第1ターボ過給機51と第2ターボ過給機52は、双方とも「ターボ過給機」を例示している。
以下、エンジン1の全体構成について詳細に説明する。
(1)全体構成
エンジン1は、複数のシリンダ2(図1においては1つのみを図示)が設けられたシリンダブロック3と、このシリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各シリンダ2内に挿入されたピストン5と、を有している。このピストン5は、コンロッドを介してクランクシャフト7と連結されている。
また、各ピストン5の頂面にはキャビティが形成されている。このキャビティと、シリンダ2の内壁面と、シリンダヘッド4とによって、シリンダ2毎に燃焼室6が区画されている。
シリンダヘッド4には、シリンダ2毎に、燃焼室6へと吸気を導入するための吸気ポート16と、燃焼室6から排気を導出するための排気ポート17が形成されている。吸気ポート16は燃焼室6に開口しており、その開口を開閉する吸気弁12が配設されている。同様に、排気ポート17もまた燃焼室6に開口しており、その開口を開閉する排気弁13が配設されている。
シリンダヘッド4にはまた、燃焼室6の内部へ燃料を噴射するインジェクタ10と、各シリンダ2内のガスを昇温するためのグロープラグ11とが、各シリンダ2につき1組ずつ設けられている。
図1に示す例では、インジェクタ10の先端は、燃焼室6の天井面(具体的には、シリンダヘッド4によって区画される面)から燃焼室6に臨むように配置されている。インジェクタ10の先端には複数の噴射口が設けられており、各噴射口の開度を制御することができるように構成されている。
後述のECU100は、インジェクタ10を通じた燃料の噴射態様を制御するべく、インジェクタ10へとパルス信号(制御信号)を入力する。このパルス信号のパルス幅、入力タイミング、入力回数等を通じて、燃料の噴射態様を制御することができる。
具体的に、インジェクタ10は、主としてエンジントルクを得るために実施されるメイン噴射と、その燃焼エネルギーがエンジントルクに殆ど寄与しないポスト噴射とを実施することができる。ここで、メイン噴射とは、噴射された燃料が圧縮上死点付近から燃焼し始めるように、圧縮上死点の手前ないし近傍で燃料を噴射することである。対して、ポスト噴射とは、メイン噴射よりも遅角側のタイミング(具体的には、膨張行程中のタイミング)で燃料を噴射することである。
またグロープラグ11は、通電されることで、その通電電圧に応じて発熱する発熱部を先端に有している。図示は省略するが、この発熱部は、燃焼室6の内部に臨んでいるとともに、インジェクタ10の先端部分の近傍に位置するように配置されている。例えば、グロープラグ11の発熱部は、インジェクタ10の各噴射口から噴射される噴霧の間に位置しており、それらの噴霧とは直接接触しないようになっている。
エンジン1の一側面には吸気通路20が接続されている一方、その他側面には排気通路40が接続されている。ここで、吸気通路20は、各シリンダ2の吸気ポート16に連通しており、各燃焼室6へと新気を導入する。対して、排気通路40は、各シリンダ2の排気ポート17に連通しており、各燃焼室6から既燃ガス(排気ガス)を排出する。これら吸気通路20と排気通路40には、前述の第1ターボ過給機51と第2ターボ過給機52が配設されている。
吸気通路20には、上流側から順に、エアクリーナ21、第1ターボ過給機51のコンプレッサ51a(以下、適宜、第1コンプレッサ51aという)、第2ターボ過給機52のコンプレッサ52a(以下、適宜、第2コンプレッサ52aという)、インタークーラ22、吸気シャッター弁23及びサージタンク24が設けられている。吸気シャッター弁23は、基本的には全開状態であるが、例えばエンジン1の停止時には、ショックが生じないように全閉状態になる。
吸気通路20にはまた、第2コンプレッサ52aをバイパスする吸気バイパス通路25と、これを開閉する吸気バイパス弁26とが設けられている。吸気バイパス弁26は、全閉状態と全開状態とに切り替えられる。
排気通路40には、上流側から順に、第2ターボ過給機52のタービン52b(以下、適宜、第2タービン52bという)と、第1ターボ過給機51のタービン51b(以下、適宜、第1タービン51bという)と、前述のNOx触媒41を含んで成る第1触媒43と、DPF(Diesel Particulate Filter)44と、このDPF44に対して下流側の排気通路40に尿素を噴射する尿素インジェクタ45と、この尿素インジェクタ45から噴射された尿素を用いてNOxを浄化するSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒46と、SCR触媒46から排出された未反応のアンモニアを酸化させて浄化するスリップ触媒47とが設けられている。
第1触媒43は、NOxを浄化するNOx触媒41と、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)42とを含む。ここで、酸化触媒42は、NOx触媒41と一体に、又は、このNOx触媒41よりも上流側の排気通路40に設ければよい。この構成例では、第1触媒43は、NOx触媒41を成す触媒材層の表面に、酸化触媒42を成す触媒材がコーティングされることで構成されている。
NOx触媒41は、排気の空燃比が理論空燃比よりも大きいリーンな状態(空気過剰率λがλ>1の状態)において排気中のNOxを吸蔵し、この吸蔵したNOxを、排気の空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)、つまり、NOx触媒41を通過する排気が未燃のHCを多量に含む還元雰囲気下において還元する、NOx吸蔵還元型触媒(NSC:NOx Storage Catalyst)である。ここで、「排気の空燃比」という語は、排気中の酸素濃度等に基づいて推定可能な、燃焼室6内の混合気の空燃比を指す。
酸化触媒42は、炭化水素(HC)の吸着機能を有しており、当該機能によって吸着させたHCを浄化するように構成されている。具体的に、この酸化触媒42は、排気中の酸素を用いてHC、すなわち未燃燃料や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる。ここで、酸化触媒42で生じるこの酸化反応は発熱反応であり、酸化触媒42で酸化反応が生じると排気の温度は高められる。
具体的に、酸化触媒42を成す触媒材の表面には、HCの吸着機能を有するHC吸着部42aが設けられている。HC吸着部42aは、小径かつ多数の細孔が形成されたゼオライトからなる結晶であり、冷間始動時等の低温時には、排気ガス中のHC分子がゼオライトの細孔にトラップされることにより吸着され、高温時には、吸着されたHC分子が振動してゼオライトの細孔から飛び出すことにより、放出される。一方、酸化触媒42を成す触媒材は、白金(Pt)やパラジウム(Pd)等の触媒金属からなり、所定温度に加熱されて活性化することにより、エンジン1から排出される排気ガス中のHC、COを酸化浄化するとともに、HC吸着部42aから放出されたHCをも酸化浄化する機能を備えている。
このように、酸化触媒42は、冷間始動時など、酸化触媒42が活性化しておらずHCを十分に浄化することができない時にHCを一時的に吸着し、酸化触媒42が活性化した後に吸着されているHCを放出して浄化する機能を備えている。
一方、DPF44は、排気通路40において第1触媒43の下流に位置しており、排気中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集する。DPF44に捕集されたPMは、高温に曝されて且つ酸素の供給を受けることで燃焼し、DPF44から除去される。PMが燃焼除去される温度は600℃程度と比較的高温である。したがって、PMを燃焼させてDPF44から除去するためには、DPF44の温度を比較的高温にする必要がある。
また、SCR触媒46は、尿素インジェクタ45から噴射された尿素を加水分解してアンモニアを生成し、このアンモニアを排気中のNOxと反応(還元)させて浄化する。
排気通路40にはまた、第2タービン52bをバイパスする排気バイパス通路48と、これを開閉する排気バイパス弁49と、第1タービン51bをバイパスするウェイストゲート通路53と、これを開閉するウェイストゲート弁54とが設けられている。これら排気バイパス弁49とウェイストゲート弁54とは、それぞれ全閉状態と全開状態とに切り替えられるとともに、それらの状態間の任意の開度に変更される。
エンジン1はさらに、排気の一部を吸気に還流させるEGR装置55を有する。このEGR装置55は、排気通路40のうち排気バイパス通路48の上流端よりも上流側の部分と、吸気通路20のうち吸気シャッター弁23及びサージタンク24の間の部分とを接続するEGR通路56と、これを開閉する第1EGR弁57と、EGR通路56を通過する排気を冷却するEGRクーラ58とを有する。また、EGR装置55は、EGRクーラ58をバイパスするEGRクーラバイパス通路59と、これを開閉する第2EGR弁60とを有する。
次に、エンジン1の制御系について詳細に説明する。
(2)制御系
エンジンの排気浄化制御装置は、エンジン1を運転するためのECU(Engine Control Unit)100を備えている。ECU100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラである。ECU100は、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)と、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力バスと、を備えている。ECU100は、コントローラの一例である。
ECU100には、図2に示すように、各種のセンサSW1〜SW9が接続されている。センサSW1〜SW9は、検知信号をECU100へと出力する。そうしたセンサには、以下のものが含まれる。
すなわち、エンジン1に取り付けられかつ、その冷却水の温度を検知する水温センサSW1、吸気通路20におけるエアクリーナ21の下流に配置された、吸気通路20を流れる新気の流量を検知するエアフローセンサSW2、及び、新気の温度を検知する吸気温センサSW3、エンジン1に取り付けられかつ、クランクシャフト7の回転角を検知するクランク角センサSW4、アクセルペダル機構(不図示)に取り付けられかつ、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を検知するアクセル開度センサSW5、排気通路40に設けられかつ、排気ガス中の酸素濃度を検知するO2センサSW6、車両の速度(車速)を検知する車速センサSW7、サージタンク24に取り付けられかつ、燃焼室6へと導入される空気の圧力を検知する過給圧センサSW8、並びに、排気通路40におけるDPF44とSCR触媒46との間、及び、同通路におけるSCR触媒46とスリップ触媒47との間にそれぞれ設けられ、排気ガス中のNOx濃度を検知するNOxセンサSW9である。ここで、O2センサSW6は、排気通路40を流れる排気ガス中の酸素濃度を検出するという点で、「酸素センサ」を例示している。
ECU100は、これらの検知信号に基づいてエンジン1や車両の運転状態を判断するとともに、各デバイスの制御量を計算する。ECU100は、計算をした制御量に係る制御信号を、インジェクタ10、グロープラグ11、吸気シャッター弁23、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49、ウェイストゲート弁54、第1EGR弁57、及び、第2EGR弁60へ出力する。
例えばECU100は、過給圧センサSW8による検知信号に基づいて、検知した時点での実際の過給圧(以下、「実過給圧」ともいう)を取得する。それと並行して、ECU100は、他のセンサからの検知信号に基づいて、過給圧の目標値(以下、「目標過給圧」ともいう)を算出する。そして、ECU100は、実過給圧が目標過給圧となるように、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49、ウェイストゲート弁54等の開度を調整する。
そうして、ECU100は、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49及びウェイストゲート弁54等の開度調整を通じて、第1ターボ過給機51と第2ターボ過給機52の作動を制御する。
このECU100は、第1触媒43やDPF44など、排気通路40に設けられた各種装置を浄化・再生するために、DeNOx制御(NOx触媒再生制御)、DeSOx制御(第2の再生制御)及びDPF再生制御を実行するようになっている。
一例として、NOx触媒41に吸蔵されたNOx(以下、「吸蔵NOx」ともいう)を還元させてNOx触媒41から放出(離脱)させるための制御であるDeNOx制御について簡単に説明する。
前記のように、NOx触媒41では、混合気の空燃比が理論空燃比近傍の状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)において、吸蔵NOxが還元される。したがって、吸蔵NOxを還元するためには、混合気の空燃比を通常運転時(後述の通常制御の実施時)よりも低減させる必要がある。
そこで、ECU100は、所定の第1条件が成立したとき(この構成例では、NOx触媒41におけるNOxの吸蔵量が、後述のDeNOx判定値以上となったとき)には、エンジン1の運転状態に対応した燃料噴射(メイン噴射)の後に燃料の追加噴射を行うことによって、その第1条件が成立する前よりも空燃比をリッチ化させるDeNOx制御を実行するよう、インジェクタ10へ制御信号を出力する。
具体的に、この構成例では、ECU100は、追加噴射としてのポスト噴射を実施して混合気の空燃比を低減させることにより、吸蔵NOxを還元させる。つまり、ECU100は、インジェクタ10に対し、メイン噴射に加えてポスト噴射を実行させる。そうしたDeNOx制御においては、例えば、混合気の空気過剰率λをλ=0.94〜1.06程度にする。そうすることで、NOx触媒41に吸蔵されたNOxが還元されることになる。
以下、燃料噴射制御の基本的な内容について説明した後、DeNOx制御、DeSOx制御、DPF再生制御等の詳細について順番に説明をする。
−燃料噴射制御−
最初に、この構成例における燃料噴射制御について説明する。この燃料噴射制御は、車両のイグニッションがオンにされてECU100に電源が投入された場合に開始され、所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ECU100は、車両の運転状態を判断する。具体的に、ECU100は、少なくとも、アクセル開度センサSW5が検知したアクセル開度、車速センサSW7が検知した車速、クランク角センサSW4が検知したクランク角、及び、車両の変速機において現在設定されているギヤ段を取得する。
次いで、ECU100は、判断された車両の運転状態に基づいて、車両の目標加速度を決定する。具体的に、ECU100のメモリなどには、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップが予め記憶されている。ECU100は、そうした加速度特性マップの中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択されたマップを参照することにより、現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次いで、ECU100は、決定された目標加速度を実現するための、エンジン1の目標トルクを決定する。この場合、ECU100は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン1が出力可能なトルクの範囲内で、目標トルクを決定する。
次いで、ECU100は、決定された目標トルクをエンジン1から出力させるべく、当該目標トルク及びエンジン回転数に基づいて、インジェクタ10から噴射させるべき燃料噴射量を算出する。この燃料噴射量は、メイン噴射において噴射させるべき燃料噴射量(メイン噴射量)である。
他方で、前述した処理と並行して、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じた燃料の噴射パターンを設定する。具体的に、ECU100は、前述のDeNOx制御を行う場合には、メイン噴射に加えて少なくともポスト噴射を行うような燃料の噴射パターンを設定する。この場合、ECU100は、ポスト噴射において噴射させるべき燃料噴射量(ポスト噴射量)や、その噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)なども決定する。これらの詳細については後述する。
その後、ECU100は、算出されたメイン噴射量および設定された噴射パターンを実現するよう、インジェクタ10へと制御信号を出力する。ここで、ポスト噴射を行う場合には、前述のポスト噴射量及びポスト噴射タイミングを実現するような制御信号が出力される。つまり、ECU100は、所望の噴射パターンにおいて、所望の量の燃料が噴射されるようにインジェクタ10を制御する。
次に、DeNOx制御時に噴射されるべきポスト噴射量(以下、「DeNOx用ポスト噴射量」と呼称する)の算出方法について図3を用いて説明する。この算出方法は、ECU100によって所定の周期で繰り返し実行されるとともに、前述の燃料噴射制御と並行して実行される。つまり、燃料噴射制御が行われている最中に、DeNOx用ポスト噴射量が随時算出される。
まず、ECU100は、エンジン1の運転状態を判断する(ステップS101)。具体的に、ECU100は、少なくとも、エアフローセンサSW2によって検知された吸入空気量(新気の流量)、O2センサSW6によって検知された排気ガス中の酸素濃度、前記の燃料噴射制御において算出されたメイン噴射量を取得する。加えて、ECU100は、所定のモデル等を用いて求められた、EGR装置55によって吸気系(具体的には、吸気通路20)へと還流される排気ガス量(EGRガス量)も取得する。
次いで、ECU100は、取得された新気量及びEGRガス量に基づき、エンジン1に導入される空気量(つまり充填量)を算出する(ステップS102)。そして、ECU100は、算出された充填量から、エンジン1に導入される空気の酸素濃度を算出する(ステップS103)。
次いで、ECU100は、インジェクタ10がメイン噴射に加えてポスト噴射を行うよう、インジェクタ10に対して制御信号を出力する。こうした制御を行うのに先立って、ECU100は、NOx触媒41に吸蔵されたNOxを還元させるために、混合気の空燃比を理論空燃比近傍あるいは理論空燃比以下の目標空燃比にするのに必要なポスト噴射量(DeNOx用ポスト噴射量)を算出(推定)する(ステップS104)。
つまり、ECU100は、目標空燃比を実現するために、メイン噴射量に加えてどれだけのポスト噴射量を噴射させるべきかを決定する。この場合、ECU100は、酸素濃度の検出値(O2センサSW6によって検知された酸素濃度)と、充填量に基づいた酸素濃度の算出値(推定値)との差を考慮して、目標空燃比を実現するためのDeNO用ポスト噴射量を算出する。具体的に、ECU100は、酸素濃度の検出値と算出値との差に応じてフィードバック処理を適宜行うことにより、目標空燃比を実現するために必要なDeNOx用ポスト噴射量を算出する。
このようにDeNOx用ポスト噴射量を算出することで、DeNOx制御におけるポスト噴射によって目標空燃比を精度良く実現し、ひいてはNOx触媒41に吸蔵されたNOxをより確実に還元させることができる。
(2−1)通常制御
まず、DeNOx制御、DeSOx制御及びDPF再生制御を実施しない通常の定常運転時に実施される制御(通常制御)について説明する。
この通施制御では、燃費性能を高めるべく、燃焼室6内の混合気の空燃比が、理論空燃比よりもリーンな状態(λ>1)にされる。例えば、通常制御では、混合気の空気過剰率λは、λ=1.7程度とされる。また、この通常制御では、ポスト噴射は制限されてメイン噴射のみが実施される。また、通常制御では、グロープラグ11の作動は停止される。また、通常制御では、第1EGR弁57、第2EGR弁60、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49、ウェイストゲート弁54は、それぞれ、エンジン1の運転状態、例えば、エンジン回転数とエンジン負荷等に応じて、EGR率が適切な値になるように制御される。前述の如く、過給圧についても、エンジン1の運転状態に応じた目標過給圧を実現するような制御が実行される。
(2−2)DeNOx制御
次に、この構成例におけるDeNOx制御について説明する。
ECU100は、DeNOx制御として、エンジン負荷が中負荷域(図4の第2領域R12を参照)のときに実施されるアクティブDeNOx制御と、エンジン負荷が上限付近のとき(図4の第1領域R11を参照)に実施されるパッシブDeNOx制御とを使い分けることができる。
例えば、ECU100は、アクティブDeNOx制御として、NOx触媒41におけるNOxの吸蔵量(以下、単に「NOx吸蔵量」ともいう)が所定量以上の場合(典型的にはNOx吸蔵量が限界付近にある場合)に、ポスト噴射により噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼するような噴射タイミングで、インジェクタ10からのポスト噴射を継続的に実行させる。こうすることで、多量の吸蔵NOxを強制的に還元し、ひいては、NOx触媒41におけるNOxの浄化性能を確保することができる。
アクティブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)は、予め設定されており、例えば、膨張行程の前半であって圧縮上死点後30〜70°CAの間の時期に設定されている。こうすることで、ポスト噴射により噴射された燃料が、そのまま未燃燃料(つまり、HC)として排出されることや、ポスト噴射された燃料によるオイル希釈を抑制するようにしている。
さらに、この構成例においては、ポスト噴射により噴射された燃料の燃焼を促進するべく、アクティブDeNOx制御の最中、グロープラグ11を通電して混合気を加熱する。
一方、ECU100は、パッシブDeNOx制御として、NOx吸蔵量が所定量未満の場合であっても、車両の加速により空燃比がリッチ側に変化するときに、ポスト噴射により噴射された燃料が燃焼室6内では燃焼しないような噴射タイミングで、インジェクタ10からのポスト噴射を実行させる。パッシブDeNOx制御においては、車両の加速時のように、メイン噴射量が増加して混合気の空燃比が低下するような状況に乗じてポスト噴射が実行されるため、非加速時のような状況に乗じてポスト噴射が実行される場合と比較して、目標空燃比を実現するためのポスト噴射量が相対的に少なくなる。これにより、吸蔵NOxを強制的に還元しつつも、ポスト噴射による燃費悪化を抑制することが可能になる。
パッシブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)は、少なくともアクティブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミングよりも遅角側に設定されている。例えば、パッシブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミングは、膨張行程の後半であって圧縮上死点後110°CA付近の時期に設定可能である。こうすることで、ポスト噴射により噴射された燃料の燃焼に起因した、スモーク(煤)の発生を抑制することができる。
ここで、図4を参照して、パッシブDeNOx制御及びアクティブDeNOx制御のそれぞれを実行するエンジン1の運転領域について説明する。図4の横軸はエンジン回転数を示しており、同図の縦軸はエンジン負荷を示している。また、図4において、曲線L1は、エンジン1の最大トルク線を示している。
この構成例では、ECU100は、エンジン負荷とエンジン回転数が図4に示す第2領域R12に含まれるときに、アクティブDeNOx制御を実行する。ここで、第2領域R12は、エンジン負荷が第1基準負荷Lo1以上で第2基準負荷Lo2(>第1基準負荷Lo1)未満であり、かつ、エンジン回転数が第1基準回転数N1以上で第2基準回転数(>第1基準回転数N1)未満の運転領域である。
一方、ECU100は、エンジン負荷とエンジン回転数が図4に示す第1領域R11に含まれるときに、パッシブDeNOx制御を実行する。ここで、第1領域R11は、第2領域R12よりもエンジン負荷が高い領域であって、エンジン負荷が所定の第3基準負荷(>第2基準負荷Lo2)以上となる領域である。
前記のように、第1領域R11と第2領域R12とでDeNOx制御の内容を使い分けているのは、次の理由による。
エンジン負荷が低い、あるいは、エンジン負荷が比較的高いがエンジン回転数が低い運転領域では、排気の温度が低い。それに伴って、NOx触媒41の温度が吸蔵NOxを還元できる温度よりも低くなり易い。そこで、この構成例では、そうした運転領域ではDeNOx制御を制限する。
また、前記のようにDeNOx制御ではポスト噴射を実施するが、ポスト噴射された燃料が燃焼せずにそのまま排気通路40へ排出されると、この未燃燃料に起因するデポジットによってEGRクーラ58等が閉塞する虞がある。そのため、ポスト噴射により噴射された燃料は、燃焼室6内で燃焼させるのが好ましい。しかしながら、エンジン負荷が高い、あるいは、エンジン負荷は比較的低いがエンジン回転数が高い領域では、燃焼室6内の温度が高いこと、あるいは、1クランク角度あたりの時間が短いことに伴って、燃焼室6内のガスが排出されるまでの間に、ポスト噴射により噴射された燃料と空気とを十分に混合させることが難しい場合がある。その場合、ポスト噴射により噴射された燃料を燃焼室6内で十分に燃焼させることができない虞がある。またさらに、燃料と空気との混合が不十分であることに起因して、煤が増大する虞がある。したがって、このような運転領域では、基本的にDeNOx制御を停止する。
ただし、エンジン負荷が非常に高い第1領域R11では、メイン噴射量が多いことに伴って、通常運転時であっても混合気の空燃比が小さく抑えられる。そのため、第1領域R11では、吸蔵NOxを還元するために必要なポスト噴射量を小さくして、未燃の燃料が排気通路40へ排出されることに起因した影響を小さく抑えることができる。
そこで、ECU100は、エンジン負荷およびエンジン回転数のいずれもが低すぎず、かつ、高すぎない第2領域R12では、ポスト噴射された燃料を燃焼室6内で燃焼させるアクティブDeNOx制御を実施する。一方、ECU100は、第1領域R11では、ポスト噴射された燃料を燃焼室6内で燃焼させないパッシブDeNOx制御を実施する。なお、第1領域R11は、排気の温度が十分に高く、酸化触媒42が十分に活性化する領域である。そのため、排気通路40に排出された未燃燃料は、この酸化触媒42によって浄化される。
また、DeNOx制御を停止することとした運転領域のうち、特に第2領域R12よりも高負荷側、又は、高回転側の領域(第1領域R11よりも低負荷側の領域R13)では、SCR触媒46によるNOx浄化性能が十分に確保されているので、DeNOx制御を実行せずとも、車両からのNOxの排出を確実に防止することができる。
SCR触媒46によってNOxを浄化する領域R13よりも更に高負荷側の第1領域R11では、排気ガス量が大きくなり、SCR触媒46ではNOxを浄化しきれなくなるものの、前述の如くパッシブDeNOx制御を実行することで、NOx触媒41によってNOxを浄化することができる。
ここで、エンジン1の運転状態が、図4中の矢印に示すように変化したときの制御内容について具体的に説明する。まず、エンジン1の運転状態が第2領域R12に入ると(符号A12を参照)、ECU100は、アクティブDeNOx制御を実行する。そして、エンジン1の運転状態が第2領域R12から外れると(符号A13を参照)、ECU100は、アクティブDeNOx制御を一旦中止する。このときには、SCR触媒46がNOxを浄化することになる。そして、エンジン1の運転状態が第2領域R12に再度入ると(符号A14を参照)、ECU100は、アクティブDeNOx制御を再開する。こうすることで、NOx触媒41に吸蔵されたNOxが略ゼロに低下するまで、アクティブDeNOx制御を終了させないようにする。
次に、この構成例においてパッシブDeNOx制御、又は、アクティブDeNOx制御を行う温度範囲について説明する。一般に、NOx触媒41は、比較的低温域においてNOxの浄化性能を発揮する一方、SCR触媒46は、比較的高温域、具体的にはNOx触媒41がNOxの浄化性能を発揮する温度域よりも高い温度域において、NOxの浄化性能を発揮する。
この構成例においては、エンジン1の運転状態が、仮に第1運転領域R1にあるときであっても、SCR触媒46の温度がNOxを浄化可能な温度にまで高められているときには、SCR触媒46によってNOxを浄化することができるため、アクティブDeNOx制御を実行しない。こうすることで、DeNOx制御の実行に起因する燃費の悪化を抑制することができる。
具体的に、ECU100は、SCR触媒46の温度(以下、「SCR温度」と呼称する)が、所定のSCR判定温度未満である場合にのみ、アクティブDeNOx制御の実行を許容し、SCR温度がSCR判定温度以上である場合には、アクティブDeNOx制御の実行を禁止する。ここで、「SCR判定温度」とは、NOxを浄化可能な温度範囲(SCR触媒46の温度範囲)の下限値付近に設定される判定値を指す。
ところで、前述のように、ECU100は、所定の第1条件が成立したときに、エンジン1の運転状態に対応したメイン噴射の後に、ポスト噴射を追加で実行させるよう構成されている。具体的に、ECU100は、ここまでに説明したアクティブDeNOx制御を実行する。
しかし、前記の如きNOx触媒41と、HCの吸着機能を有する酸化触媒42を備えたエンジン1において、ターボ過給機51、52を備えた構成とした場合、車両の加速時のように過給圧の上昇に遅れ(いわゆるターボラグ)が生じると、燃焼室6へと導入される吸気の量が不足することになる。そうすると、未燃の燃料が相対的に多く生じてしまい、酸化触媒42に設けられたHC吸着部42aに対して、多量のHCが吸着される可能性がある。
そうしてHC吸着部42aに対して多量のHCが吸着された後に、ポスト噴射によって筒内燃焼を生じさせてしまうと、排気通路へと排出される排気が高温になる。この場合、HC吸着部42aから多量のHCが短期間のうちに一気に放出される可能性がある。この場合、放出されたHCが酸化触媒42において酸化反応を過度に生じてしまい、その反応熱によって、酸化触媒42やNOx触媒41が過度に昇温する虞がある。触媒の過昇温は、その劣化抑制という観点からは望ましく無い。
そこで、この構成例では、ECU100は、仮に、NOx吸蔵量のような第1条件が成立しているときであっても、ターボ過給機51、52が安定していることを示す所定の第2条件が成立するまでは、アクティブDeNOx制御の実行(特に、ポスト噴射の実行)を制限するようになっている。
以下、第2条件に関連した処理について、図5を参照して説明をする。
−アクティブDeNOxフラグの決定に関連した処理−
次に、この構成例においてアクティブDeNOx制御の実行フラグ(アクティブDeNOxフラグ)を決定するための処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5に示すフローは、ECU100によって所定の周期で繰り返し実行されるとともに、前述の燃料噴射制御や、DeNOx用ポスト噴射量を算出する処理などと並行して実行される。
まずステップS501では、ECU100は、各種センサSW1〜SW9から出力された検知信号に基づいて各種情報を取得して、エンジン1及び車両の運転状態を判断する。このステップS501において、ECU100は、少なくとも、エンジン負荷と、エンジン回転数と、NOx触媒温度と、SCR温度と、NOx吸蔵量を取得する。
具体的に、NOx触媒温度は、例えば、NOx触媒41の直上流側に設けられた第1の排気温度センサ(不図示)の検知信号に基づいて推定される。そうした検知信号に加えて、NOx触媒41とDPF44の間に設けられた第2の排気温度センサ(不図示)の検知信号を用いてもよい。同様に、SCR温度は、SCR触媒46の直上流側に設けられた、第3の排気温度センサ(不図示)の検知信号に基づいて推定することができる。
また、NOx吸蔵量は、例えば、エンジン1の運転状態に基づいて推定された、排気ガス中に含まれるNOxの量と、NOxセンサSW9の検出値との差分の累積値に基づいて推定することができる。
次いでステップS502では、ECU100は、ステップS501において取得されたSCR温度が、所定のSCR判定値T1未満であるか否かを判定する。ここで、SCR温度がSCR判定値T1未満である場合(ステップS502:YES)、制御プロセスはステップS503へと進む。対して、SCR温度がSCR判定値T1以上である場合(ステップS502:NO)、制御プロセスはステップS508へ進む。後者の場合には、排気ガス中のNOxを、SCR触媒46によって適切に浄化させることができるので、ECU100は、アクティブDeNOx制御の実行を制限する。具体的に、ECU100は、ステップS508においてアクティブDeNOxフラグを「0」に設定し、制御プロセスを終了する。
次いでステップS503では、ECU100は、ステップS501において取得されたNOx吸蔵量が所定のDeNOx判定値以上であるか否かを判定する。前記のように、ステップS503に係る判定は、前記第1条件が成立しているか否かを判定しているに等しい。
ここで、DeNOx判定値は、NO吸蔵量の限界値よりも或る程度低い値に設定されている。ステップS503において、NOx吸蔵量がDeNOx判定値以上であると判定された場合(ステップS503:YES)、NOx触媒41を浄化する必要有りとみなすことができるため、制御プロセスは、ステップS504へと進む。これに対して、NOx吸蔵量がDeNOx判定値未満の場合(ステップS503:NO)、NOx触媒41を浄化する必要無しとみなすことができるため、制御プロセスは、前述のステップS508へ進む。
次いでステップS504では、ECU100は、ステップS501において取得されたNOx触媒41が冷間状態にあるか否かを判断するべく、NOx触媒温度が所定温度以下であるか否かを判定する。NOx触媒温度が低い場合には、その付近に設けられたHC吸着部42aの温度も低いため、未燃燃料に含まれるHCはHC吸着部42aによってトラップされることになる。つまり、このステップS504では、HC吸着部42aがHCをトラップ可能な状態であるか否かを判定している。そのために、ステップS504の判定で用いる所定温度は、HC吸着部42aがHCをトラップ可能な温度に基づいて設定される。
ステップS504において、NOx触媒温度が所定温度以下であると判定された場合(ステップS504:YES)、HC吸着部42aがHCをトラップ可能であると考えられる。この場合、前述のように、HC吸着部42aによってトラップされていたHCの放出に起因して、酸化触媒42の過昇温が懸念される。そのため、ポスト噴射を実施するタイミングを適切に遅らせるべく、ステップS505へ進んで第2条件の成立状況を判定する。これに対して、NOx触媒温度が所定未満であった場合(ステップS504:NO)、酸化触媒42の過昇温の虞はないため、ステップS505〜ステップS506をスキップしてステップS507へ進む。この場合、ECU100は、アクティブDeNOx制御の実行を許容する。具体的に、ECU100は、ステップS507においてアクティブDeNOxフラグを「1」に設定し、制御プロセスを終了する。
ステップS505では、ECU100は、アクセル開度の変化量が所定の第1閾値以下であるか否かを判定する。ここで、アクセル開度の変化量は、例えば、アクセル開度センサSW5の検知信号に基づいて取得されるようになっている。このステップS505において、アクセル開度の変化量が第1閾値以下であると判定された場合(ステップS505:YES)、ターボ過給機51、52がそれぞれ安定して作動していると判断し、制御プロセスはステップS506へ進む。これに対して、アクセル開度の変化量が第1閾値を超えた場合(ステップS505:NO)、ターボ過給機51、52の少なくとも一方が安定しておらず、ポスト噴射を実施してしまうと酸化触媒42の過昇温が懸念されると考えられる。そのため、後者の場合、ECU100は、アクティブDeNOx制御の実行を制限するべく、ステップS508においてアクティブDeNOxフラグを「0」に設定し、制御プロセスを終了する。
ステップS506では、ECU100は、エンジン回転数の変化量が所定の第2閾値以下であるか否かを判定する。ここで、エンジン回転数の変化量は、例えば、クランク角センサSW4の検知信号に基づいて取得されるようになっている。このステップS506において、エンジン回転数の変化量が第2閾値以下であると判定された場合(ステップS506:YES)、ターボ過給機51、52がそれぞれ安定して作動していると判断し、制御プロセスはステップS507へ進む。これに対して、エンジン回転数の変化量が第2閾値を超えた場合(ステップS506:NO)、ターボ過給機51、52の少なくとも一方が安定しておらず、ポスト噴射を実施してしまうと酸化触媒42の過昇温が懸念されると考えられる。そのため、後者の場合、ECU100は、アクティブDeNOx制御の実行を制限するべく、ステップS508においてアクティブDeNOxフラグを「0」に設定し、制御プロセスを終了する。
すなわち、この構成例では、ECU100は、NOx触媒41が冷間状態にあるときには、ステップS505に示す条件と、ステップS506に示す条件とが双方とも成立するまでは、アクティブDeNOxフラグを「1」に設定しないようになっている。これらの条件は、双方とも、前記第2条件を例示している。
なお、アクセル開度の変化量に関連した第1閾値は、エンジン回転数と、エンジン負荷との大きさに応じて増減するようになっている。具体的に、図6に示すように、エンジン回転数が大きいときには、それが小さいときと比較して、第1閾値(図6中では、単に「しきい値」と呼称)は小さく設定されるようになっている。同様に、エンジン負荷が大きいときには、それが小さいときと比較して、第1閾値は小さく設定されるようになっている。
こうした傾向は、エンジン回転数の変化量に関連した第2閾値についても同様である。すなわち、第2閾値に関しても、図6に示すように、エンジン回転数が大きいときには、それが小さいときと比較して、第2閾値(図6中では、単に「しきい値」と呼称)は小さく設定されるようになっている。同様に、エンジン負荷が大きいときには、それが小さいときと比較して、第2閾値は小さく設定されるようになっている。
−アクティブDeNOx制御の具体的な内容−
次に、アクティブDeNOx制御の具体的な内容について、図7のフローチャートを用いて説明する。図7に示すフローは、ECU100によって所定の周期で繰り返し実行されるとともに、前述の燃料噴射制御、DeNOx用ポスト噴射量を算出する処理、及び、図5に示したフローなどと並行して実行される。
まずステップS701では、ECU100は、各種センサSW1〜SW9から出力された検知信号に基づいて各種情報を取得して、エンジン1及び車両の運転状態を判断する。このステップS701において、ECU100は、少なくとも、エンジン負荷と、エンジン回転数と、NOx触媒温度と、SCR温度と、NOx吸蔵量と、図3に示す制御プロセスに従って設定されたDeNOx用ポスト噴射量と、図5に示す制御プロセスに従って設定されたアクティブDeNOxフラグの値を取得する。
次いでステップS702では、ECU100は、ステップS701で取得されたアクティブDeNOxフラグが「1」であるか否かを判定する。つまり、ECU100は、アクティブDeNOx制御の実行が許容されているのか、或いは、同制御が制限されているのかを判定する。このステップS702において、アクティブDeNOxフラグが「1」であると判定された場合(ステップS702:YES)、アクティブDeNOx制御を実行するべく、制御プロセスはステップS703へ進む。対して、同フラグが「0」である場合(ステップS701:NO)、アクティブDeNOx制御を実行することなくリターンする。
次いでステップS703では、ECU100は、エンジン1の運転状態(具体的には、エンジン負荷とエンジン回転数)が第2領域R12(図4を参照)に含まれているか否かを判定する。このステップS703において、エンジン1の運転状態が第2領域R12に含まれていると判定された場合(ステップS703:YES)、制御プロセスはステップS705へ進む。これに対して、エンジン1の運転状態が第2領域R12に含まれていない場合(ステップS703:NO)、制御プロセスはステップS704へ進む。
ステップS704では、ECU100は、アクティブDeNOxを実行することなく、ポスト噴射を含まない通常の燃料噴射制御を行ってリターンする(ステップS704)。この場合、実際には、ECU100は、このステップS704の処理を、前述の燃料噴射制御において実行する。そして、制御プロセスはステップS703へ戻り、ステップS703に係る判定を再度実行する。
つまり、ECU100は、アクティブDeNOxフラグが「1」である場合には、エンジン1の運転状態が第2領域R12に含まれていない間は、通常の燃料噴射制御を行うようにする一方、エンジン1の運転状態が第2領域R12に含まれるようになると、通常の燃料噴射制御からアクティブDeNOx制御における燃料噴射制御へと切り替えるようになっている。例えばECU100は、アクティブDeNOx制御における燃料噴射制御中にエンジン1の運転状態が第2領域R12から外れると、当該燃料噴射制御を中断して通常の燃料噴射制御を行い、この後に、エンジン1の運転状態が第2領域R12に入ると、アクティブDeNOx制御における燃料噴射制御を再開する。
次いでステップS705では、ECU100は、グロープラグ11へ通電するとともに、その通電を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する、つまりグロープラグ11の通電時間が所定時間に達したか否かを判定する。またステップS705で用いる所定時間は、例えば、グロープラグ11が所望の温度に達するのに要する通電時間に基づき設定される。このステップS705において、グロープラグ11の通電時間が所定時間に達していると判定された場合(ステップS705:Yes)、制御プロセスはステップS706へ進む。これに対して、グロープラグ11の通電時間が所定時間に達していない場合(ステップS705:No)、制御プロセスはステップS703に戻る。この場合には、グロープラグ11の通電時間が所定時間に達するまで待機することになる。
次いでステップS706では、ECU100は、アクティブDeNOx制御において適用されるポスト噴射の噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)を設定する。前述のように、ポスト噴射タイミングは、ポスト噴射により噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼するように設定される。
次いでステップS707では、ECU100は、図7に示す制御プロセスに基づいて、目標空燃比を実現するように、DeNOx用ポスト噴射量をフィードバック制御する。ECU100は、そのフィードバック制御と並行して、設定されたポスト噴射タイミングと、DeNOx用ポスト噴射量とに基づいたポスト噴射を実施する。
ステップS707の後、制御プロセスはステップS708へ進む。このステップS708では、ECU100は、NOx触媒41におけるNOx吸蔵量が実質的にゼロになったか否かを判定する。このステップS708において、NOx吸蔵量が実質的にゼロになったと判定された場合(ステップS708:YES)、制御プロセスはリターンされる。これに対して、NOx吸蔵量が実質的にゼロになったと判定されなかった場合(ステップS708:NO)、制御プロセスはステップS703へ戻る。つまり、ECU100は、NOx吸蔵量が実質的にゼロに至るまで、アクティブDeNOx制御を継続する。
特に、ECU100は、アクティブDeNOx制御中にステップS703に示す条件が成立しなくなって、アクティブDeNOx制御を中断したとしても、そうした条件が再び成立したときには、アクティブDeNOxフラグの値が「1」である限りアクティブDeNOx制御を可及的速やかに再開する。そうして、NOx吸蔵量をゼロまで減少させる。
(2−3)DPF再生制御
DPF再生制御とは、DPF44に捕集されたPMを除去することで、DPF44の浄化能力を再生するための制御である。DPF再生制御は、例えばアクティブDeNOx制御によってNOx吸蔵量が実質的にゼロに至った後に開始されるようになっている。
DPF再生制御は、酸化触媒42が所定の温度となって酸化反応が可能となり、かつ、DPF44に捕集されているPMの量(以下、単に「PM堆積量」と呼称する)が予め設定されている再生開始量以上になると開始されて、PM堆積量が再生開始量よりも小さく設定された再生終了量以下になると終了される。PM堆積量は、例えば、DPF44の上流側および下流側に設けられた圧力センサから算出されるDPF44の前後差圧(DPF44よりも上流側の圧力と、下流側の圧力との差)等から算出される。また、再生開始量は、DPF44が捕集可能なPM堆積量よりも所定量小さい値に設定されている。
前述のように、DPF44に捕集されているPMは、高温下で燃焼除去することができる。これに対して、DPF44の上流側に設けられた酸化触媒42に未燃燃料を供給させて酸化反応させれば、DPF44に流入する排気の温度ひいてはDPF44の温度を高めることができる。
そこで、この構成例では、DPF再生制御として、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンとしつつポスト噴射を行って、酸化触媒42に空気と未燃燃料とを流入させてこれらを酸化触媒42で酸化させる制御を実施する。具体的には、DPF再生制御では、ポスト噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼しないタイミング(膨張行程の後半であって、例えば、圧縮上死点後110°CA)でポスト噴射を実施する。
また、DPF再生制御では、ポスト噴射を燃焼させる必要が無いため、グロープラグ11への通電は停止する。
(2−4)DeSOx制御
DeSOx制御とは、NOx触媒41に吸蔵されたSOx(以下、適宜、吸蔵SOxという)を還元して除去するための制御である。DeSOx制御は、所定の第3条件が成立したとき(例えばDPF再生制御が完了したことを示すフラグが成立したとき)に開始されるようになっている。
吸蔵SOxは、前記のように、空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)において還元される。これに伴い、DeSOx制御でも、混合気の空燃比を理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)にするべく、メイン噴射に加えてポスト噴射を実施する。
ただし、SOxはNOxに比べて結合力が強いため、吸蔵SOxを還元するためには、DeNOx制御時よりもNOx触媒41の温度ひいてはこれを通過する排気の温度をより高温(600℃程度)にする必要がある。これに対して、前記のように、酸化触媒42において未燃の燃料を酸化反応させれば第1触媒43ひいてはNOx触媒41を通過する排気の温度を高めることができる。
そこで、この構成例では、DeSOx制御として、DeNOx制御と同様にポスト噴射を行って、空燃比を通常運転時よりもリッチにして理論空燃比近傍あるいはこれよりも小さくする(以下、適宜、単にリッチにするという)リッチステップと、空燃比を理論空燃比よりもリーンとしつつ(以下、適宜、単にリーンにするという)ポスト噴射を行って酸化触媒42に空気と未燃の燃料とを供給してこれらを酸化触媒42で酸化させるリーンステップとを、交互に実施する。
リッチステップでは、アクティブDeNOx制御と同様に、ポスト噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼するタイミング(膨張行程の前半であって、例えば、圧縮上死点後30〜70°CA)でポスト噴射を実施する。そして、リッチステップでは、混合気および排気の空気過剰率λを1.0程度として混合気および排気の空燃比を理論空燃比近傍にする。例えば、リッチステップでは、混合気および排気の空気過剰率λをλ=0.94〜1.06程度とする。
また、リッチステップでは、ECU100は、混合気の空燃比が低くなるように、吸気シャッター弁23、排気バイパス弁49およびウェイストゲート弁54を、それぞれ、吸入空気量が通常運転時よりも減少するように制御する。
一方、リーンステップでは、ポスト噴射により噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼しないタイミング(膨張行程の後半であって、例えば、圧縮上死点後110°CA)でポスト噴射を実施する。そして、混合気の空気過剰率λを1以上として混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンにする。例えば、リーンステップでは、混合気の空気過剰率λをλ=1.2〜1.4程度とする。
また、リーンステップでは、未燃燃料に起因するデポジットによってEGRクーラ等が閉塞するのを防止するべく、第1EGR弁57および第2EGR弁60を全閉にする。
ここで、前記のように、燃焼室6内の混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンとし且つポスト噴射をその燃料を燃焼させることなく実施すれば、PMを燃焼除去することができるため、リーンステップの実施時にPMの燃焼除去が可能となる。
(2−5)HC脱離促進制御
HC脱離促進制御とは、HC吸着部42aにトラップされたHC(以下、適宜、吸着HCという)の脱離を促進するための制御である。HC脱離促進制御は、基本的にはエンジン1の冷間時に、例えば酸化触媒42の温度が700℃程度の高温になるのを抑制するために実行される。
そこで、この構成例におけるHC脱離促進制御の具体的な内容について、図8のフローチャートを用いて説明する。図8に示すフローは、ECU100によって所定の周期で繰り返し実行されるとともに、前述の燃料噴射制御などと並行して実行される。
まずステップS801において、ECU100は、各種情報を読み込む。このステップS801において、ECU100は、少なくとも、エンジン回転数及びエンジン負荷と、NOx触媒温度と、HC吸着量を取得する。
ここで、ECU100には、エンジン回転数及びエンジン負荷と、排気ガス中に含まれるHCの量とを関連付けたマップが記憶されている。そうしたマップと、エンジン回転数及びエンジン負荷とに基づいて、ECU100はHCの量を推定する。ECU100は、その推定値を積算することにより、HC吸着量の大きさを推定する。
ステップS801から続くステップS802において、ECU100は、HC吸着量の判断基準となる第3閾値を設定する。この第3閾値は、少なくとも、HC吸着部42aにおけるHC吸着量の上限よりも低い。また、第3閾値は、NOx触媒温度が高いときには、それが低いときと比較して小さく設定されるようになっている。
次いでステップS803では、ECU100は、HC吸着量が第3閾値を上回ったか否かを判定する。ここで、HC吸着量が第3閾値を上回った場合(ステップS803:YES)には、ステップS804へ進んでポスト噴射を実施する一方、HC吸着量が第3閾値以下の場合(ステップS803:NO)には、ステップS804等をスキップしてリターンする。
ステップS804において、ECU100は、エンジン1の運転状態に基づいてポスト噴射タイミングを設定し、ポスト噴射を実施する。ポスト噴射タイミングは、アクティブDeNOx制御と同様に、ポスト噴射により噴射された燃料が、燃焼室6内で燃焼するように設定される。このようなポスト噴射を実施すると、より高温となった排気ガスが排気通路40へと排出される。これにより、第1触媒43、ひいてはHC吸着部42aが暖められて、その結果、HC吸着部42aからのHCの放出が促進されることになる。
次いでステップS805では、ECU100は、HC吸着量が実質的にゼロになったか否かを判定する。そして、HC吸着量が実質的にゼロになった場合(ステップS805:YES)にはステップS806へ進む一方、HC吸着量が実質的にゼロになっていない場合(ステップS805:NO)にはステップS805の判定を繰り返す。つまり、ECU100は、HC吸着量が実質的にゼロになるまで、ステップS805の判定を繰り返すようになっている。
次いでステップS806では、ECU100は、ポスト噴射を停止してリターンする。
(2−6)制御例
次に、図9を参照して、ECU100による制御(特に、アクティブDeNOx制御)の具体例について説明する。図9は、この構成例においてアクティブDeNOx制御を実行したときの、種々のパラメータの変化を例示するタイムチャートである。
なお、図9の(d)、(e)、(f)において、実線は実施例を示している一方、太破線は従来例を示している。一方、図9において(b)及び(c)の実線は各々アクセル開度の大きさ、及び、その変化量を示している一方、細破線は各々エンジン回転数、及び、その変化量を示している。また、図9の(g)において、実線は目標過給圧を示しているとともに、細破線は実過給圧を示している。
時刻t1においてアクセルペダルが踏み込まれると、アクセル開度が上昇を開始する。すると、アクセル開度の上昇に連動して、目標過給圧も上昇を開始する。この場合、アクセル開度の変動に遅れて、エンジン回転数が上昇することになる。その後、時刻t2から時刻t3へ至る途中でアクセル開度が一定となりかつ、時刻t3以降においてエンジン回転数が一定となったのとする。
ここで、NOx吸蔵量は、当初からDeNOx判定値以上となっており(つまり、第1条件が成立しているものとする)、アクティブDeNOxフラグの値が「1」になっているものとする。この場合、従来例においては、エンジン1の運転状態が第2領域R12へと至り次第、ポスト噴射フラグの値を「1」に設定し、ポスト噴射が直ちに実施されるようになっていた。なお、この構成例においては、ポスト噴射フラグの値が「1」のときにはポスト噴射が許容される一方、同フラグの値が「0」のときにはポスト噴射が制限されるようになっている。
しかし、そのような構成を採った場合、図9の(g)に示すように、目標過給圧に遅れて実過給圧が上昇する。つまり、ポスト噴射によって噴射された燃料を燃焼室6内で燃焼させるべきところ、燃焼室6へと導入される空気が不足してしまい、HCなど、未燃の燃料が排気通路40へと導入されることになる。その結果、ポスト噴射によって噴射された燃料を燃焼室6内で十分に燃焼させた場合と比較して、相対的に低温の排気ガスが排気通路40へと排出されることになる。そうすると、排気ガス中に含まれるHCは、HC吸着部42aによってトラップされてしまい、図9(e)に示すように、HC吸着量は急峻に増大することになる(図9(e)の太破線を参照)。そうすると、排気ガス温度が増大したときに、そうやって吸着されたHCが一気に放出されてしまい、図9(f)の太破線に示すように、酸化触媒42が過昇温する虞がある。
しかし、この構成例においては、NOx吸蔵量がDeNOx判定値以上となっていたとしても、アクセル開度の変化量と、エンジン回転数の変化量とが、それぞれ第1及び第2閾値を下回らない限り、仮に、エンジン1の運転状態が第2領域R12へと至ったとしても、アクティブDeNOxフラグの値を「1」にしない。つまり、アクセル開度及びエンジン回転数それぞれの変化量が十分に小さくなったとき、すなわち、実過給圧が目標過給圧付近まで上昇した結果、ターボ過給機51、52が安定して作動するようになるまでは、アクティブDeNOx制御を制限する。
例えば図9に示す例では、前記t1〜t3より後のタイミング(具体的には時刻t4)で、アクティDeNOxフラグの値が「1」に設定されるようになっている。そうすると、ポスト噴射によって噴射された燃料は、従来例と比較して、燃焼室6内でより十分に燃焼するようになる。その結果、排気通路40へと導入される未燃の燃料は減少し、ひいては、HC吸着部42aによるHCの吸着が抑制されることになる。そのことで、図9(f)の実線に示すように、酸化触媒42の過昇温を抑制することができる。
(3)まとめ
以上説明したように、ECU100は、図5のステップS503に示すような第1条件が成立したときには、いわゆるポスト噴射を用いたアクティブDeNOx制御を実行することによってNOx触媒41からNOxを除去し、ひいては、そのNOx触媒41を浄化することができる。
しかし、ECU100は、単に第1条件に基づいた判断のみを行うのではなく、そうした第1条件が成立しているときであっても、図5のステップS505〜S506に示すような第2条件が成立するまでは、ポスト噴射の実行を制限するように構成されている。この第2条件は、実過給圧が目標過給圧付近まで至ったか否かなど、ターボ過給機51、52が安定していることを示している。
すなわち、第2条件が成立しているときには、燃焼室6へと吸気が十分に供給されることになる。このような状況下でポスト噴射を行うと、第2条件が成立する前と比較して、ターボラグに起因した未燃燃料の発生を抑制することができる。これにより、HC吸着部42aへと吸着されるHCの量を低減することができるから、そうして吸着されたHCの放出に起因した触媒の過昇温、ひいては触媒の性能劣化を抑制することが可能となる。
また一般に、ターボラグが発生するのは、アクセルペダルが踏み込まれたとき、つまり、アクセル開度、ひいては目標過給圧が大きく変化するときである。これを換言すれば、アクセル開度の変化が小さいときには、それに応じて目標過給圧も小さく変化することになるため、そうして変化する目標過給圧に対して実過給圧を十分に追従させることができる。このことは、ターボ過給機51、52が安定して作動していることを判断するための指標として、アクセル開度の変化量を活用可能であることを示唆している。
よって、図5のステップS505に示すように、アクセル開度の変化量が所定以下の場合に第2条件が成立しているものと判定することで、ターボ過給機51、52が安定して作動していることを、より的確に判定することが可能となる。
また一般に、アクセル開度が大きく変化するときにポスト噴射のような追加噴射を実行してしまうと、前述のように空気の供給が追いつかずに空燃比が過剰リッチとなり、エンジン1にトルク変動が生じる可能性がある。そうしたトルク変動は、乗員に違和感を与え得るため好ましくない。
対して、図5のステップS505〜S506に示すように、前記の第2条件が成立するまではポスト噴射の実行を制限することで、エンジン1のトルク変動、ひいては乗員に違和感を与える可能性を、可能な限り抑制することが可能となる。
特に、前記の構成によると、エンジン1の目標トルクはアクセル開度に基づく一方で、そのアクセル開度の変化量が第2条件を成している。アクセル開度の変化量は、エンジン1の目標トルクと強く関連しているため、そうした変化量を第2条件とすることで、ポスト噴射を開始するべきタイミングを、より的確にかつ、効果的に判断することができる。
また一般に、アクセル開度が大きいときには、それが小さいときと比較して、エンジン負荷、ひいては燃焼室6へと供給される燃料の量が増大することになる。そうすると、燃焼室6の室内がより高温となるため、未燃の燃料が排出され難くなる。よって、より早いタイミングでポスト噴射を開始したとしても、前述のような、触媒の過昇温に関連した問題が生じ難くなる。
したがって、図6に示したように、アクセル開度が大きいときには、第1閾値(しきい値)を小さめに設定する。第1閾値を小さめに設定した分だけ、第2条件が早めに成立するようになるから、ポスト噴射を早めに開始することができるようになる。
また、仮にアクセル開度の変化量だけをモニターした場合、エンジン回転数が相対的に大きく変動するときのように、未燃の燃料が排出され得る状況を見落としてしまう可能性がある。
よって、図5のステップS506のように、アクセル開度の変化量ばかりでなく、エンジン回転数の変化量もモニターすることで、ポスト噴射を開始するべきタイミングを、より的確に判断することができるようになる。
特に、前記の如く、エンジン回転数の変化量に基づく判定は、アクセル開度の変化量に基づく判定と同時に行うと、より一層有利となる。つまり、前記のように、アクセル開度の変化量だけをモニターしたのでは、ポスト噴射を開始すべきタイミングを判断するには不十分となる可能性がある。
その一方で、エンジン回転数の変化量だけをモニターしたのでは、アクセルペダルが大きく踏み込まれた直後のように、アクセルペダルの踏み込みの影響が、エンジン回転数の大きさに未だ反映されていないような状況を見落としてしまう可能性がある。
よって、アクセル開度及びエンジン回転数各々の変化量をモニターすることで、より的確なタイミングでポスト噴射を開始することが可能となる。
また一般に、エンジン回転数が大きいときには、それが小さいときと比較して、混合気の燃焼によって単位時間当たりに生じる熱量が増大することになる。そうすると、燃焼室6の室内がより高温となるため、未燃の燃料が排出され難くなる。よって、より早いタイミングでポスト噴射を開始したとしても、前述のような、触媒の過昇温に関連した問題が生じ難くなる。
したがって、図6に示したように、エンジン回転数が大きいときには、第2閾値(しきい値)を低めに設定する。第2閾値を低めに設定した分だけ、第2条件が早めに成立するようになるから、ポスト噴射を早めに行うことができるようになる。
また、NOx触媒41には、NOxばかりでなく、いわゆるSOxも吸着し得る。そこで、前記DeSOx制御のように、リッチステップとリーンステップとを交互に実行させることで、NOx触媒41に吸着したSOxを脱離させることができる。
ところで、仮に、NOx触媒41が過度に昇温してしまうと、NOx触媒41に吸着したSOxが凝集してしまい、NOx触媒41から脱離させるのが困難になる虞がある。
しかし、図5のフローに示すように、より的確なタイミングでポスト噴射を実行させることで、NOx触媒41の過昇温を抑制することができる。すなわち、このような構成は、単にNOx触媒41の性能劣化を抑制するばかりでなく、そうしたNOx触媒41からSOxをスムースに脱離させる上でも有効となる。
また、例えば車両の加速直後には、目標空燃比と実空燃比とにズレが生じてしまう可能性がある。ここで、ポスト噴射における燃料噴射量をフィードバック制御しようとしたとしても、実現されるべき空燃比とは逆側に制御されてしまい、トルク変動が長期化する可能性がある。
前記の構成は、そうしたトルク変動自体の発生を抑制可能という点で有効である。
また、前述の如く、ECU100は、DeNOx制御や、DeSOx制御ばかりでなく、HC脱離促進制御を実行することができる。そうすると、アクティブDeNOx制御において第2条件を参照せずとも、HCの吸着を抑制できるように思われる。
しかし、仮に、前記のようなHC脱離促進制御によってアクティブDeNOx制御を開始した時点(及び、同制御を開始する直前)におけるHCの吸着量を低減したとしても、そのアクティブDeNOx制御を開始した直後に、HC吸着部42aに対して多量のHCが吸着されてしまう可能性は、依然として存在する。そうすると、やはり触媒の過昇温が生じてしてしまい、DeSOx制御をスムースに行う上で支障を来す可能性は存在することになる。
したがって、この構成例のように、HC脱離促進制御と、アクティブDeNOx制御において第2条件を参照する処理とを組合せて行うことで、HCの放出に起因した触媒の過昇温を十分に抑制し、ひいては触媒の浄化性能を確保する上で有効になる。
《他の実施形態》
前記実施形態では、第1条件として、NOx吸蔵量の大小を判定するように構成されていたが、そうした構成には限られない。例えば、エンジン1の運転状態が第2領域R12にあるときに、第1条件が成立しているものと判定してもよい。
また、前記実施形態では、第2条件として、アクセル開度およびエンジン回転数それぞれの変化量の大小を判定するように構成されていたが、そうした構成には限られない。例えば、過給圧センサSW8によって実過給圧を直接判定してもよい。この場合、実過給圧と目標過給圧との差が所定の範囲内に収まったときに、第2条件が成立したと判定すればよい。
1 エンジン
6 燃焼室
10 インジェクタ
11 グロープラグ
40 排気通路
41 NOx触媒
42 酸化触媒(触媒)
51 第1ターボ過給機(ターボ過給機)
52 第2ターボ過給機(ターボ過給機)
100 ECU(コントローラ)
SW6 O2センサ(酸素濃度)

Claims (8)

  1. 燃焼室と、前記燃焼室へと通じる排気通路に設けられたターボ過給機と、前記排気通路に設けられたNOx触媒と、を備えたエンジンの排気浄化制御装置であって、
    前記燃焼室の内部へ燃料を噴射するインジェクタと、
    前記排気通路に設けられ、炭化水素の吸着機能を有する触媒と、
    前記インジェクタに接続されたコントローラと、を備え、
    前記NOx触媒は、NOx吸蔵還元型触媒であり、
    前記コントローラは、所定の第1条件が成立したとき、前記エンジンの運転状態に対応した燃料噴射の後に燃料の追加噴射を行うことによって、前記第1条件が成立する前よりも前記燃焼室内における混合気の空燃比をリッチ化させるNOx触媒再生制御を行うよう、前記インジェクタへ制御信号を出力し、
    前記コントローラはさらに、前記第1条件が成立しているときであっても、前記ターボ過給機が安定していることを示す所定の第2条件が成立するまでは、前記追加噴射の実行を制限する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記コントローラは、アクセル開度の変化量が所定の第1閾値以下であるときに、前記第2条件が成立していると判定する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記コントローラは、前記アクセル開度に基づいて、前記エンジンの目標トルクを決定する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記コントローラは、前記アクセル開度が大きいときには、該アクセル開度が小さいときと比較して前記第1閾値を低く設定する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記コントローラは、エンジン回転数の変化量が所定の第2閾値以下であるときに、前記第2条件が成立していると判定する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  6. 請求項5に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記コントローラは、前記エンジン回転数が大きいときには、該エンジン回転数が小さいときと比較して前記第2閾値を低く設定する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記コントローラは、所定の第3条件が成立したとき、前記エンジンの運転状態に対応した燃料噴射の後に燃料の追加噴射を行うことによって前記第3条件が成立する前よりも前記燃焼室内における混合気の空燃比をリッチ化させるリッチステップと、該リッチステップよりも前記空燃比をリーン化させるリーンステップとを交互に実施する第2の再生制御を実行する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記排気通路には、該排気通路を流れる排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサが設けられ、
    前記コントローラは、前記酸素センサによる検出結果と、前記エンジンの運転状態に基づき決定される目標空燃比とに基づいて、前記追加噴射における燃料噴射量をフィードバック制御する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
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