JP6977206B2 - 自然免疫を活性化する粘膜ワクチン用アジュバント - Google Patents

自然免疫を活性化する粘膜ワクチン用アジュバント Download PDF

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Description

本発明は、自然免疫を活性化する粘膜ワクチン用アジュバントに関し、特に新規インフルエンザワクチンに関する。
インフルエンザをはじめとする感染症の予防には、ワクチンが最も有効な手段である。しかし、インフルエンザワクチンについて言えば、現行の皮下注射型のワクチンでは全身系の免疫に関わるIgG抗体を血液中に誘導するものの、粘膜免疫においてウイルスの感染防御に重要な役割を果たす分泌型IgA抗体を粘膜上に誘導することはできない。したがって、現行のワクチンに期待できる効果は、感染の予防ではなく、重症化の予防でしかない。
近年、ウイルス自然感染に対する宿主の防御に粘膜免疫が重要であることが再認識され、粘膜でのウイルス認識機構、インターフェロンの誘導や粘膜での分泌型IgAの産生機構が明らかにされつつある。特に、インフルエンザに代表される呼吸器感染症の感染防御において、粘膜より分泌される分泌型IgA抗体が非常に重要な役割を果たしていることが知られている。これは、IgA抗体が交叉防御能を有しており、亜型の異なるウイルスに対しても感染を防御することができるためである。インフルエンザワクチンでは、その年に流行する型を予測してワクチンを製造しているが、現行のワクチンでは、流行する株とワクチン株とが異なる場合、その効果は大きく低下し、ほとんど効果がない場合もある。これらのことから、IgGによる全身系の免疫応答の惹起に加え、粘膜免疫の活性化による分泌型IgA産生を効率よく誘導することで感染予防を可能とするワクチン開発への要望が高まり、経粘膜的にワクチンを接種する経鼻粘膜型ワクチンの有用性が注目されている。しかしながら、皮下接種型ワクチンと同じ成分を経鼻粘膜投与しても、粘膜免疫はほとんど惹起されず、分泌型IgAは誘導されにくい。そのため、本来のワクチン成分以外に、粘膜免疫を惹起する物質、すなわち、粘膜ワクチン用アジュバントが必要となり、多くの開発が進められている。
これまでに、粘膜ワクチン用のアジュバントとして、コレラ毒素や大腸菌易熱性毒素に有効性が認められてきた。しかしながら、これらワクチンのヒトでの臨床試験において、一部に顔面神経麻痺が見られ、アジュバントとの関連性が否定できないことから、安全かつ効果的な粘膜ワクチン用アジュバントの開発のために多くの研究がなされてきた。ベロ毒素1のBサブユニットの5量体(特許文献1)、二本鎖RNAのpoly(I:C)(特許文献2)、インフルエンザ以外の感染症に対するpoly(I:C)(特許文献3、4)、CpGモチーフを含む免疫刺激性オリゴヌクレオチド(特許文献5)、インターロイキン33(IL-33)(特許文献6)などが公表されている。しかしながら、これらも粘膜ワクチン用アジュバントとしての有効性は認められているものの毒性などの問題から、ヒトでの不活化インフルエンザ経鼻ワクチンへの利用には至っていない。
感染症ワクチン用の粘膜アジュバントを開発するためには、ヒトがその病原体に感染した際に起こる免疫応答を理解することが重要である。ヒトにはウイルスや細菌などの外来異物の侵入を防御する機能が備わっており、この免疫機能は、自然免疫と獲得免疫に大きく分けられる。獲得免疫は、外来異物の刺激に対して後天的に形成される免疫であり、B細胞やT細胞などのリンパ球が担っている。細胞ごとに異なる遺伝子再構成により、無数の抗原特異性をもつ受容体を作り出し、あらゆる外来抗原に対処する。
これに対し、自然免疫は、先天的に備わった免疫であり、異物であるウイルスや微生物などに固有の分子パターンを認識している。この分子パターンの認識は、主に自然免疫を担当するマクロファージ、樹状細胞などのいわゆる抗原提示細胞のToll様受容体(Toll-like receptor: TLR)と呼ばれる膜タンパク質を介して行われる。近年、ヒトを含む哺乳類では、微生物などの感染に際し、初期の自然免疫が発動しなければ獲得免疫が始動せず、TLRを介した自然免疫が獲得免疫を支配していることが明らかになっている。
中でも、自然免疫を担う抗体である自然抗体は、病原体が侵入した際に最初に作られる抗体で、感染の初期防御に極めて重要である。さらに、自然抗体はウイルス感染やウイルスワクチン接種がない状態でも恒常的に体内に存在し、ウイルスを含む各種感染寄生体抗原や自己抗原と反応する。また、自然抗体のレパートリー形成に抗体遺伝子の再構成は必要なく、限られた抗原認識レパートリーを示す。自然抗体はインフルエンザウイルスを含む各種ウイルス抗原とも反応する(多クローン性かつ交叉反応性)ことが分かっている。自然抗体を産生できない遺伝子改変マウスにおいて、1) ウイルス感染初期のウイルス排除が遅延すること、2) ウイルス特異的なIgG抗体産生の低下、3) 二次リンパ組織へのウイルス抗原送達の障害が報告され、ウイルス感染における宿主の初期防御に自然抗体が極めて重要な役割を果たすことが明らかとなった(非特許文献1)。さらに、自然抗体の産生に異常を示すマウスにおいてワクチン接種によるウイルス抗原特異的な免疫応答が遅延し(非特許文献2)、重篤なウイルス感染症候群がみられることが報告された(非特許文献3)。これらのことより、自然抗体はウイルス感染初期のみならず、ウイルス抗原特異的な獲得免疫の成立にも重要な役割を持つことが明らかとなった。
特開2003−321392号公報 特開2005−82581号公報 特許第4828189号公報 特許第5189305号公報 特表2002−516294号公報 特開2010−208985号公報
Science 286:2156-2159, 1999 J. Exp. Med. 192: 271-280, 2000 Nat. Med. 9:1287-1292, 2003
本発明は、経粘膜投与型ワクチンに使用する有効かつ安全な粘膜ワクチン用アジュバントを提供することを課題とする。具体的には、自然抗体の産生を増強又は自然免疫を活性化し、ウイルスに特異的な分泌型IgA抗体を誘導する粘膜ワクチン用アジュバントを提供することを課題とする。
このような知見から、本発明者らは、自然免疫の活性化又は自然抗体の産生を増強しうる物質をスクリーニングにより獲得することで、感染予防に有効な粘膜ワクチン用アジュバントを新たに開発することができると考え、鋭意検討した結果、特定の化合物群を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 自然抗体の産生を増強する物質又は自然免疫を活性化する物質からなる粘膜ワクチン用アジュバントであって、該物質はB細胞の自然抗体の産生を増強する物質、IL-5の産生を増強する物質、樹状細胞を活性化する物質、インフラマソームを活性化する物質及びIFN-γ産生を増強する物質からなる群より選ばれる、粘膜ワクチン用アジュバント。
〔2〕 B細胞の自然抗体の産生を増強する物質がケンフェロール、シネンセチン、ケルセチン、ヘスペリジン、ルチン、モリン、カルミン酸、ロイフォリン、スピラエオシド及びケンフェライドであるフラボノイド化合物、PP1及びPP2であるSrcファミリーキナーゼ阻害剤、フォルスコリンであるcAMP誘導剤、PGB1及びPGF2αであるプロスタグランジン類、インゲノール3,20-ジベンゾエートであるインゲノール類、ホルボール12-ミリステート13-アセテート及び12-デオキシホルボール13-アセテートであるホルボール化合物、硫酸アトロピン、ロスコビチン、ピフィスリン-αならびにCyclo[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Val]からなる群より選ばれる、〔1〕に記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔3〕 IL-5の産生を増強する物質がホルボール12-ミリステート13-アセテート、ホルボール12,13-ジブチレート及び12-デオキシホルボール13-アセテートであるホルボール化合物、インゲノール3,20-ジベンゾエートであるインゲノール類、アンフォテリシンBである抗生物質、タキソール(パクリタキセル)、(S)-(-)-プロプラノロール塩酸塩、RHC-80267ならびにW7からなる群より選ばれる、〔1〕又は〔2〕に記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔4〕 樹状細胞を活性化する物質がFSL-1、Pam2CSK4及びPam3CSK4であるTLR2リガンドならびにLPSであるTLR4リガンドからなる群より選ばれる、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔5〕 インフラマソームを活性化する物質が、アンフォテリシンB、バリノマイシン及びCITCOからなる群より選ばれる、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔6〕 IFN-γ産生を増強する物質が、インゲノール3,20-ジベンゾエートであるインゲノール類、カルミン酸、ロイフォリン及びシネセチンであるフラボノイド化合物ならびに12-デオキシホルボール13-アセテート、ホルボール12,13-ジブチレート及びホルボール12-ミリステート13-アセテートであるホルボール化合物からなる群より選ばれる、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔7〕 ウイルス又は病原菌由来の不活化抗原と共に被験者に投与するための、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔8〕 粘膜ワクチン用アジュバントを2種以上併用する、〔7〕に記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔9〕 ウイルスが水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス及び風疹ウイルスからなる群より選ばれるものであり、
病原菌が百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎球菌、結核菌、コレラ菌及びジフテリア菌からなる群より選ばれるものである、〔7〕又は〔8〕に記載の粘膜ワクチン用アジュバント。
〔10〕 ウイルス又は病原菌由来の不活化抗原と、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の粘膜ワクチン用アジュバントの少なくとも1種を含有する、経粘膜的に投与されるワクチン組成物。
〔11〕 ウイルスが水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス及び風疹ウイルスからなる群より選ばれるものであり、
病原菌が百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎球菌、結核菌、コレラ菌及びジフテリア菌からなる群より選ばれるものである、〔10〕に記載のワクチン組成物。
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、ウイルス感染初期及びウイルス抗原特異的な獲得免疫の成立に重要な自然抗体の産生を増強、又は自然免疫を活性化するものである。特に、自然抗体(IgM又はIgA)の産生を増強する粘膜ワクチン用アジュバントとして、フラボノイド化合物であるケンフェロール、Srcファミリーキナーゼ阻害剤であるPP2、及びcAMP誘導剤であるフォルスコリンを見出した。また、自然免疫を活性化する粘膜ワクチン用アジュバントとして、TLR2リガンドであるPam3CSK4、インフラマソームを活性化する抗生物質のアンフォテリシンB、IFN-γの産生を増強するインゲノールエステルであるインゲノール3,20-ジベンゾエートを見出した。さらに、in vivoの系において、本発明の粘膜ワクチン用アジュバント及びインフルエンザワクチン抗原を経鼻的に投与したところ、特にPam3CSK4は、鼻腔粘膜上に効率的に抗原特異的な分泌型IgAを産生することが確認された。また、Pam3CSK4とPP2とを併用した投与では、各アジュバント物質単独による効果と比較して、抗原特異的なIgA産生を増強した。このことから、本発明が提供する粘膜ワクチン用アジュバントは、自然免疫を活性化、又は自然抗体の産生を増強することにより、粘膜上への分泌型IgA産生を誘導し、ウイルス又は病原菌などの病原体による感染を防御するものであり、また、感染予防のための分泌型IgAの誘導剤と成り得るものである。
Pam3CSK4を粘膜ワクチン用アジュバントとしたときの鼻腔洗浄液中のIgA産生量及びPP2とPam3CSK4を粘膜ワクチン用アジュバントとして併用したときの鼻腔洗浄液中のIgA産生量を示す図である。 Pam3CSK4を粘膜ワクチン用アジュバントとしたときの血漿中のIgG産生量及びPP2とPam3CSK4を粘膜ワクチン用アジュバントとして併用したときの血漿中のIgG産生量を示す図である。 インゲノール3,20-ジベンゾエートを粘膜ワクチン用アジュバントとしたときの鼻腔洗浄液中のIgA産生量及びpoly(I:C)とインゲノール3,20-ジベンゾエートを粘膜ワクチン用アジュバントとして併用したときの鼻腔洗浄液中のIgA産生量を示す図である。 インゲノール3,20-ジベンゾエートを粘膜ワクチン用アジュバントとしたときの血漿中のIgG産生量及びpoly(I:C)とインゲノール3,20-ジベンゾエートを粘膜ワクチン用アジュバントとして併用したときの血漿中のIgG産生量を示す図である。
定義
本明細書において「ワクチン」とは、身体中に投与されて、活性な免疫を生成する、抗原性部分を含む懸濁液又は溶液をいう。ワクチンを構成する抗原性部分は、微生物(例えば、ウイルス又は細菌など)又は微生物から精製された天然の産生物、合成生成物又は遺伝子操作したタンパク質、ペプチド、多糖又は同様な産生物であり得る。抗原性部分には、感染能を有する抗原と感染能を喪失した抗原とが含まれる。抗原性部分は、免疫原とも称される。
本明細書において「不活化抗原」とは、ワクチン用抗原として使用される、感染能を失わせた抗原をいい、完全ウイルス粒子であるビリオン、不完全ウイルス粒子、ビリオン構成粒子、ウイルス非構造タンパク質、病原菌由来のタンパク質もしくは糖タンパク質、感染防御抗原、中和反応のエピトープなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において「不活化抗原」とは、感染力を失わせるが免疫原性を保持させた抗原をいい、そのような抗原がワクチンとして使用されるときは、「不活化ワクチン」という。そのような不活化抗原としては、例えば、物理的(例えば、X線照射、熱、超音波)、化学的(ホルマリン、水銀、アルコール、塩素)などの操作により不活化されたものが挙げられるがそれらに限定されない。サブユニット抗原自体も、通常感染力を喪失していることから、不活化抗原の定義内に入る。
本明細書において「サブユニット抗原」とは、「成分」ともいい、そのようなサブユニット抗原は、天然のウイルス又は病原菌などの病原体から精製してもよく、合成又は組換え技術により作製してもよい。そのような方法は当該分野において周知であり、慣用されるものであり、市販される機器、試薬、ベクターなどを用いて実施できる。例えば、インフルエンザウイルスでは、ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、マトリクス(M1、M2)、非構造(NS)、ポリメラーゼ(PB1、PB2:塩基性ポリメラーゼ1及び2、酸性ポリメラーゼ(PA))、核タンパク質(NP)などの、粒子の表面に出ている分子であることが好ましい。現在HAは16種類、NAは9種類が知られている。
本明細書において「粘膜投与」とは、粘膜を経由する投与形態をいう。本明細書において「粘膜」とは、脊椎動物において、消化器、呼吸器、泌尿生殖器など特に外通性の中腔器官の内壁をいう。従って、そのような粘膜投与としては、例えば、鼻腔投与(経鼻投与)、口腔投与、膣内投与、上気道投与、肺胞投与などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、鼻腔投与が有利である。鼻腔は特に、インフルエンザウイルスなどの呼吸器系感染疾患の感染経路でもあることから、感染初期での防御を可能にするからである。
本明細書において「アジュバント」とは、投与された免疫原に対する、免疫応答を増加、あるいは変化させる物質である。また、本明細書において「ワクチン組成物」とは「抗原性部分」と「アジュバント」とを含む組成物である。
粘膜ワクチン用アジュバント
本発明におけるアジュバントの概念を説明する。
自然抗体を産生するのは、B細胞亜集団のひとつであるB-1細胞である。腹腔や胸腔、腸管粘膜固有層に多く存在し、恒常的に交叉反応性のIgM及びIgAクラスの自然抗体を産生している。B-1細胞に直接作用し、IgM産生を増強する物質は、本発明の粘膜ワクチン用アジュバントとして有効であると考えられる。さらに、感染予防に重要なIgAの産生も自然免疫により制御されており、TLRリガンドによる活性化とTransforming growth factor (TGF)-β、レチノイン酸、IL-5やIL-6などのサイトカインによる刺激が必須である。そこで、B-1細胞に直接作用し、TLR、TGF-β、IL-5を介してIgA産生を増強する物質は、粘膜ワクチン用アジュバントとなる可能性が高い。一方、リンパ組織に数多く存在するB-2細胞も腸管でのIgA産生に関与していることから、B-2細胞のIgAクラススイッチ誘導やIgA産生を増強する物質も粘膜ワクチン用アジュバントとなると考えられる。
また、本発明者らは、B-1細胞の生存、増殖、IgM産生の増強にIL-5が重要であることをこれまでに明らかにしており、さらにIL-5を恒常的に産生する細胞が抗原暴露や感染経験のない野生型マウスの腸管と肺に存在することを近年見出している。この細胞はc-Kit+CD3ε-細胞であり、リコンビナント(r)IL-33刺激により多量のIL-5を産生することから、本発明者らはこの細胞をIL-5産生自然リンパ球として(J. Immunol. 188:703-713, 2012)、粘膜での分泌型IgA産生における役割を検討している。そこで、IL-5産生自然リンパ球によるIL-5産生を増強する物質は、B-1細胞の生存やワクチンによる自然抗体産生を増強する粘膜ワクチン用アジュバントとなりうる。
一方で、B細胞のIgA産生に必要なTGF-βやレチノイン酸は樹状細胞から放出されることが知られている。これらの他にも、樹状細胞が産生するB細胞活性化因子(B cell activating factor of TNF-family、BAFF)やそのホモログである増殖誘導リガンド(A proliferation-inducing ligand, APRIL)もB細胞のIgA産生を制御する。したがって、樹状細胞を活性化し、B細胞のIgA産生に関与する因子の産生を増強する物質は、間接的にB細胞のIgA産生を増強することから、粘膜ワクチン用アジュバントとなると考えられる。
さらに、TLRを代表とする自然免疫レセプターは自然免疫系の発動に重要である。粘膜ワクチン用アジュバントとしての有効性が確認されている2本鎖RNAのpoly(I:C)がTLR3リガンドであるように、ウイルス由来のRNAやDNAはTLR3、TLR7又はTLR9を介して細胞を活性化するのみならずアジュバント活性を示すことが知られている。また、すでにワクチンアジュバントとして使用されているモノホスホリルリピドAはTLR4リガンドである。これらのことから、新たな各種TLRリガンドは、粘膜ワクチン用アジュバントとなりうる。
一方で、アルミニウム塩(アラム;alum)は日本で汎用されているアジュバントの一種である。アラムは、自然免疫のレセプターのNod like-receptor(NLR)ファミリーに属するNLRP3を含むインフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体を活性化する。自然免疫を担当するマクロファージや樹状細胞がアラムのような粒子状物質を貪食するとインフラマソームが活性化され、Caspase-1の活性化を介して炎症性サイトカインであるIL-1β及びIL-18の産生が誘導される。NLRP3ノックアウトマウス若しくはCaspase-1ノックアウトマウスでは、アラムと共にOVAで免疫した場合に野生型マウスで認められる血中のIgG1の上昇が認められず、Th2型の炎症が起こらなかったことから、インフラマソームの活性化とアジュバント作用とは深い関連があると考えられる(Nature 453:1122-1126, 2008)。また、インフルエンザウイルスはNLRP3インフラマソームを活性化しサイトカインのIL-1βやIL-18を細胞外に分泌するが、その活性化はインフルエンザウイルスのM2タンパク質によるH+チャネル活性によるものであると報告されている(Nat. Immunol.11:404-10,2010)。不活化されたインフルエンザワクチンではM2タンパク質も不活化されているため、NLRP3インフラマソーム活性化剤を添加することでこれを補うことはワクチン効果の増強につながる。これらのことから、インフラマソームを活性化する物質はアジュバント物質となりうる。
さらに、インターフェロン(IFN)-γは抗ウイルス活性を示すのみならず、ウイルス感染細胞を殺傷するT細胞(CTL)を効率よく生成することが知られている。そこで、樹状細胞に作用し、IFN-γの産生を促進する物質も粘膜ワクチン用アジュバントとして利用可能である。
したがって、本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、自然抗体の産生を増強する物質又は自然免疫を活性化する物質からなるものである。該物質は、B細胞の自然抗体の産生を増強する物質、IL-5の産生を増強する物質、樹状細胞を活性化する物質、インフラマソームを活性化する物質及びIFN-γ産生を増強する物質からなる群より選ばれる。
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、実施例で示されるように、B細胞の活性化もしくはIL-5の産生増強により自然抗体(IgM又はIgA)の産生を増強する物質、又は、樹状細胞の活性化、TLRの活性化、インフラマソームの活性化、IFN-γの産生増強により自然免疫を活性化する物質の評価系を構築し、化合物ライブラリーのスクリーニングにより見出されたものであるがこれに限定されない。
B細胞の自然抗体(IgM又はIgA)の産生を増強する物質としては、ケンフェロール、シネンセチン、ケルセチン、ヘスペリジン、ルチン、モリン、カルミン酸、ロイフォリン、スピラエオシド、ケンフェライドなどのフラボノイド化合物、PP1(CAS Number:172889-26-8;IUPAC名:1-(1,1-Dimethylethyl)-3-(4-methylphenyl)-1H-pyrazolo[3,4-d]pyrimidin-4-amine)、PP2(CAS Number: 172889-27-9; IUPAC名:4-amino-5-(4-chlorophenyl)-7-(dimethylethyl)pyrazolo[3,4-d]pyrimidine)などのSrcファミリーキナーゼ阻害剤、フォルスコリンなどのcAMP誘導剤、PGB1、PGF2αなどのプロスタグランジン類、インゲノール3, 20-ジベンゾエートなどのインゲノール類、12-デオキシホルボール13-アセテート、ホルボール12-ミリステート13-アセテートなどのホルボール化合物、硫酸アトロピン、ロスコビチン、ピフィスリン-α、Cyclo[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Val]などが挙げられる。好ましくは、ケンフェロール、フォルスコリン、PP2、インゲノール3,20-ベンゾエート、12-デオキシホルボール13-アセテートである。
IL-5の産生を増強する物質としては、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、ホルボール12,13-ジブチレート、12-デオキシホルボール13-アセテートなどのホルボール化合物、インゲノール3,20-ジベンゾエートなどのインゲノール類、アンフォテリシンBなどの抗生物質、タキソール(パクリタキセル)、(S)-(-)-プロプラノロール塩酸塩、RHC-80267、W7などが挙げられる。好ましくは、12-デオキシホルボール13-アセテート、インゲノール3,20-ジベンゾエート、アンフォテリシンBである。
樹状細胞を活性化する物質としては、Pam2CSK4、Pam3CSK4及びFSL-1などのTLR2リガンド、LPSなどのTLR4リガンドが挙げられる。好ましくは、Pam3CSK4である。
インフラマソームを活性化する物質としては、アンフォテリシンB、バリノマイシンなどの抗生物質、CITCOなどのCARアゴニストが挙げられる。好ましくは、アンフォテリシンBである。
IFN-γ産生を増強する物質としては、インゲノール3,20-ジベンゾエートなどのインゲノール類、カルミン酸、ロイフォリン、シネセチンなどのフラボノイド化合物、12-デオキシホルボール13-アセテート、ホルボール12,13-ジブチレート、ホルボール12-ミリステート13-アセテートなどのホルボール化合物が挙げられる。好ましくは、インゲノール3,20-ジベンゾエート、12-デオキシホルボール13-アセテート、ホルボール12,13-ジブチレート、ホルボール12-ミリステート13-アセテートである。
本発明においては、これらのアジュバントを1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせることにより、単独使用に比べて、相加的又は相乗的なアジュバント効果が発揮されることが期待できる。好ましい組合せとしては、Srcファミリーキナーゼ阻害剤とTLR2リガンド、あるいはIFN-γの産生を増強するインゲノール類とTLR3リガンドが挙げられる。
上記アジュバントは化合物として公知のものであり、市販品を入手可能であり、また、自体公知の製造方法又は精製方法によって製造又は精製してもよい。
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、粘膜ワクチンとともに補助剤として使用することができる。粘膜ワクチン用補助剤として使用する場合は、通常、粘膜ワクチンと共に、又は前記粘膜ワクチンの投与に前後して、経鼻投与又は経口投与など、慣用的な態様で投与することができる。特に経鼻的に投与するのが好ましい。本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは粘膜ワクチンと共に、通常、液状又は粉末状の形態で、例えば、鼻腔内又は口腔内に滴下、噴霧又はスプレーすることにより投与される。このようにして投与される本発明の粘膜ワクチン用補助剤の剤型としては、例えば、液剤、懸濁剤、粉末剤などが挙げられる。
液剤としては、精製水、緩衝液などに溶解したものなどが挙げられる。懸濁剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、カゼインなどと共に精製水、緩衝液などに懸濁させたものなどが挙げられる。粉末剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどとともによく混合したものなどが挙げられる。これらの製剤には、通常使用されている吸収促進剤、界面活性剤、保存剤、安定化剤、防湿剤、保湿剤、溶解剤などを必要に応じて添加することができる。
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントの投与量は、アジュバントの種類、投与対象、投与方法、投与形態等によって適宜決定することができる。投与対象である被験者は、粘膜ワクチンに含まれる抗原物質の種類に応じて適宜決定することができ、例えばヒト及びヒトを除く哺乳動物が挙げられる。ヒトを除く哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、オランウータン、チンパンジー等が挙げられる。本発明の粘膜ワクチン用アジュバントの投与量は、いわゆる当業者により慣用的に決定することができる。
ここで、粘膜ワクチンとは、経粘膜感染病原体由来の抗原を含み、粘膜免疫システムを利用したワクチンをいい、いわゆる当業者が用いる一般的な意味で定義される。本発明の粘膜ワクチンに含まれる抗原は、経粘膜感染病原体由来であればよく特に限定されないが、天然物由来であっても良いし、遺伝子組換等の手法により人為的に作製されたものであっても良い。経粘膜感染病原体は特に限定されないが、ウイルス又は病原菌が挙げられる。
ウイルスとしては、水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスなどが挙げられ、好ましくはインフルエンザウイルス又はヒト免疫不全ウイルスであり、最も好適にはインフルエンザウイルスである。
病原菌としては、百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎球菌、結核菌、コレラ菌、ジフテリア菌などが挙げられる。
経粘膜感染病原体由来の抗原は、安全性の観点から、上記ウイルス又は病原菌由来の不活化抗原であることが望ましい。
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、経粘膜感染病原体由来の抗原を含む粘膜ワクチンと共に投与した場合、自然抗体及び抗原特異的IgA抗体を分泌させ得る。
粘膜ワクチンに含まれる抗原の量は、抗原特異的分泌型IgAを産生するのに十分な量であれば特に限定されるものではなく、併用するアジュバントとの比率も勘案して適宜設定することができる。例えば、抗原としてインフルエンザウイルスのHAサブユニット抗原を用いた場合、その濃度が10〜500 μg HA/mL(HA換算)であることが好ましく、30〜400 μg HA/mL (HA換算)がより好ましい。前記濃度は、HAタンパク質の濃度を一元放射免疫拡散試験法やHA含量法などの、WHOや国の基準で定められた試験法で測定することにより得られる値である。
粘膜ワクチン用アジュバントは、分泌型IgAを産生するに十分な濃度で存在する。 そのような濃度は、アジュバントの種類などによって変動するが、当業者により慣用的に決定することができる。
ワクチン組成物
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、粘膜ワクチンと組み合わせて用いるために、ウイルス又は病原菌由来の不活化抗原と、本発明の粘膜ワクチン用アジュバントの少なくとも1種とを含有し、粘膜投与されるワクチン組成物の剤形とすることができ、かかる組成物を提供する。本発明のワクチン組成物に含まれる不活化抗原と粘膜ワクチン用アジュバントとの重量比は、1:1〜1:50が推奨される。
本発明のワクチン組成物は、基本的には、本発明の粘膜ワクチン用アジュバントとウイルス又は病原菌由来の不活化抗原とを液状又は粉末状の形態で、粘膜上に滴下、噴霧又はスプレーすることにより投与される。本発明のワクチン組成物の剤型としては、例えば、液剤、懸濁剤、粉末剤などが挙げられる。液剤、懸濁剤、粉末剤の製剤については、粘膜ワクチン用アジュバントについて上述した通りである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1:B-1細胞による自然抗体産生を増強する物質
BCL1細胞は、BALB/cマウスに放射線照射して自然発症した慢性 B 白血病細胞株であり、B-1a細胞と同様の細胞表面抗原を発現し、IL-5やLPS に応答してIgM産生細胞に分化する。このBCL1細胞を用いて、B-1細胞の自然抗体産生を増強する物質を粘膜ワクチン用アジュバントとしてスクリーニングした。市販の天然物ライブラリー(Natural Products Library、BioMol社)及び生理活性物質ライブラリー(ICCB Known Bioactives Library、BioMol社)から選択した化合物について、下記の方法でIgM産生増強効果を調べた。
BALB/cマウスに BCL1 細胞(1×105個)を腹腔内投与し、約1ヶ月後に脾臓を採取して細胞を凍結保存した。凍結保存細胞を融解し、ビオチン化抗マウスThy1.2抗体、抗マウスCD4及びCD8 抗体を作用させた後にストレプトアビジン結合磁気ビーズを作用させ、磁気細胞分離装置(IMagシステム)で磁気ビーズに結合したT細胞を除き実験に使用した(80-90%がCD5+ CD19+ BCL1細胞)。このBCL1細胞(1.5×105個/200 μl)を化合物単独(1 μM、0.1 μM又は500 ng/ml)、化合物とIL-5(1 ng/ml)、又は化合物とLPS(1 μg/ml)の組み合わせで培養した。3日後の培養上清中のIgM抗体をELISA法で測定した。
Natural Products Libraryからは、単独でIgM抗体産生を増強する物質として、インゲノール3, 20-ジベンゾエート及び12-デオキシホルボール13-アセテートを見出した。さらに、LPSとの共培養でIgM抗体産生を増強する物質として、フォルスコリン、ケンフェロール、及びカルミン酸を見出した。IL-5との共培養でIgM抗体産生を増強する物質として、硫酸アトロピン、フォルスコリン、及びロイフォリンを見出した。
ICCB Known Bioactives Libraryからは、単独でIgM 抗体産生を増強する物質として、ホルボール12-ミリステート13-アセテートを見出した。さらに、LPS との共培養でIgM 抗体産生を増強する物質として、ピフィスリン-α、Cyclo[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Val]及びSrcファミリーキナーゼ阻害剤のPP1、PP2を見出した。また、IL-5 との共培養でIgM 抗体産生を増強する物質として、ロスコビチン、Srcファミリーキナーゼ阻害剤のPP1及びPP2を見出した。
実施例2:B-2細胞のIgA産生を増強する物質
Natural Products Library及びICCB Known Bioactives Libraryから選択した化合物についてIgA産生増強作用を調べた。B-2細胞はBALB/cマウス(7〜9週令、雌性)から採取した脾臓細胞をビオチン標識抗マウスCD43抗体で標識し、ストレプトアビジンがラベルされた磁気ビーズに吸着させ、IMagシステムによりCD43陰性細胞を採取した。この細胞をB-2細胞(純度約95%)として、以下の実験に使用した。
B-2細胞を用いたIgA産生評価系は、LPSとTGF-β又はレチノイン酸(retinoic acid; RA)との共刺激によりB-2細胞にIgAクラススイッチ組換えが誘導され、さらにIL-5刺激により抗体産生量が増大するという知見(J Exp Med 170: 1415-1420, 1989; Cell Immunol 166:247-253, 1995)に基づいて構築した。さらに、poly(I:C)及びIL-5存在下、RAの濃度依存的にIgA産生が誘導されることを見出し、LPS刺激系と同様の条件検討を行うことでpoly(I:C)刺激によるIgA産生評価系を構築した。
LPS刺激系では、10% FBS、100 U/mlのペニシリン、0.1 mg/mlのストレプトマイシン及び55 μMの2-メルカプトエタノールを含むPRMI 1640培地中、TGF-β0.1 ng/ml又はRA 1 nMの存在下及び非存在下、LPS 2 μg/ml、IL-5 1 ng/ml及びライブラリーから選択した化合物(2、10 μM)を添加し、96ウェル丸底培養プレートに2.0×105cells/wellとなるように細胞を播種した。7日間培養の後、培養上清中のIgA濃度をELISA法により測定した。陽性対照としてライブラリーから選択した化合物の代わりにコレラトキシン(1 ng/ml: cholera toxin; CT)による処置群を設けた。
Poly(I:C)刺激系では、B-2細胞にpoly(I:C) 5 μg/ml、IL-5 5 ng/ml、RA 1 nM及びライブラリーから選択した化合物(2、10 μM)を添加し、96ウェル平底培養プレートを用いて同様に7日間培養し、培養上清中のIgA濃度をELISA法で測定した。
Natural Products Libraryからは、LPS刺激評価系では、LPS/IL-5系、LPS/TGF-β/IL-5系及びLPS/RA/IL-5系のすべての系においてIgA産生を増強する物質として、フォルスコリン、プロスタグランジン(PG) B1及びPGF2α、フラボノイド化合物であるケンフェロールを見出した。また、2つの系においてIgA産生を増強する物質として、フラボノイド化合物であるシネンセチン、ケルセチン、及びへスペリジンを、LPS/RA/IL-5系においてIgA産生を増強する物質として、ルチンを見出した。
Poly(I:C)刺激評価系にてIgA産生を増強する化合物として、ケンフェロール、モリン、スピラエオシド、ケンフェライドを見出した。
ICCB Known Bioactives Libraryからは、poly(I:C)刺激評価系にてIgA産生を増強する化合物として、Srcファミリーキナーゼ阻害剤であるPP1及びPP2を見出した。
実施例3:IL-5産生を増強する物質
IL-5産生自然リンパ球は肺組織に最も多く存在する。そこで、IL-5遺伝子が蛍光タンパク質Venusの遺伝子に置換されたIL-5/Venusノックインマウス(J. Immunol. 188:703-713, 2012)から採取した肺組織細胞に化合物を添加し、IL-5産生細胞の増加の程度をフローサイトメトリー法により検出する評価系を構築した。この評価系を用い、Natural Products Library及びICCB Known Bioactives Libraryから選択した化合物について、下記の方法でIL-5産生の増強効果を調べた。
IL-5/Venusノックインマウスの肺全葉を採取後、ミンスし、1 mlのRPMI1640に10%FCS、1 mg/mlコラゲナーゼA、100 μg/ml DNase Iを加えた培養液で、37℃、30分間CO2インキュベーターで培養した。その後70 μmのメッシュに通したものを肺組織細胞懸濁液とした。得られた肺組織細胞2×105個を平底96ウェルプレートに撒き、ライブラリーから選択した化合物(10 μM)を添加し、4日間培養した。培養液はRPMI1640に10%FCS、50 μM 2-ME、100 U/mlペニシリン、0.1 mg/mlストレプトマイシンを加えたものを用いた。陰性コントロールとして0.1% DMSOを、陽性コントロールとして培養液にrIL-33(10 ng/ml)を加えたウェルを用意した。4日後、フローサイトメーターでVenusの発現量を測定した。細胞毒性による細胞死は、7AAD(7-Amino-Actinomycin D)によって評価した。
陰性コントロールでは約0.7%のVenus陽性細胞が、陽性コントロールでは約8%(陰性コントロールの11.4倍)のVenus陽性細胞が検出された。陰性コントロールを1とし、陰性コントロールに比べて1.5倍以上のVenus陽性細胞が検出された物質を、以下の表1、2にまとめる。
Figure 0006977206
Figure 0006977206
実施例4:樹状細胞の活性化を介したIgA産生を増強する物質
スクリーニング物質としてNatural Product LibraryとICCB Known Bioactives Libraryから選択した化合物あるいはTLRリガンドを用いた。BALB/cマウス大腿骨及び脛骨より骨髄細胞を採取し、ACK処理にて赤血球を除去した細胞浮遊液を得た。24 ウェルプレートに 1×106cells/mLで100 ng/mL FLT3リガンドを添加したRPMI1640培地にて7日間培養し、骨髄由来樹状細胞(BMDC)を誘導した。また、BALB/cマウスの脾臓からIMagシステムを利用した細胞分離によりT細胞と樹状細胞を除去したThy1.2陰性CD11c陰性B細胞を単離した。2×105 cells/wellのB細胞に対し、5×104 cells/wellの樹状細胞を加え1 ng/mLのIL-5存在下、ライブラリーから選択した化合物あるいはTLRリガンドで刺激して7日間培養し、培養上清中のIgAをELISA法で測定した。
その結果、TLR2リガンドのPam2CSK4、Pam3CSK4及びFSL-1又はTLR4リガンドのLPSが、B細胞のみと比較し樹状細胞とB細胞との共培養でより多くのIgA産生を誘導した。
実施例5:TLR4、TLR7、及びTLR9を活性化する物質
TLR4/MD-2又はTLR7、TLR9を強発現させたBa/F3細胞株に、さらに緑色蛍光タンパク(GFP)のプロモーター部位にNF-κB結合部位を持つプラスミドをトランスフェクトしたBa/F3細胞株を使用した。これらの細胞を96ウェルプレートに1×105 cells/well で播種し、スクリーニング物質としてNatural Product Library及びICCB Known Bioactives Library から選択した化合物を添加し、37℃、5% CO2下で培養した。培養18時間後、細胞を回収し、フローサイトメトリーを用いてNF-κBの活性化をGFPの発現でモニターすることで候補物質のTLR活性化作用を検討した。陰性コントロールと比較して、GFPの発現強度が増加したものを陽性とした。
また、上記試験により、TLR4活性化効果を認めた化合物については、TLR4の反応を阻害する抗マウスTLR4/MD-2モノクローナル抗体(クローンMTS510)を20 μg/mlで30分間前処置した後に候補化合物を添加し、TLR4に対する特異性を検証した。
TLR4の活性化については、タキソールに有効性を認めた。
実施例6:インフラマソームを活性化する物質
スクリーニング物質としてNatural Product LibraryとICCB Known Bioactives Libraryから選択した化合物を用いた。マウス骨髄由来マクロファージを96ウェルプレートに1×105 cells/well で播種し、37℃、5% CO2下で2時間培養することで細胞をウェルに接着させた。その後、IL-1β産生のpriming stepとしてLPSを1 μg/ml添加した。3時間培養後、細胞をPBSで2回洗浄した後、ライブラリーから選択した化合物を添加した。16時間培養後、上清を回収し、上清中のIL-1β量をELISA法で測定した。また、陽性コントロールとしてライブラリーから選択した化合物の代わりにATP 2 mMを添加し、ATPによって誘導されるIL-1β産生量の1/4以上認められたものを陽性と判定した。
スクリーニングの結果、抗生物質であるアンフォテリシンB、バリノマイシン及びCITCOがIL-1βの産生を誘導した。濃度依存性を検討したところ、アンフォテリシンBは10 μMで産生が強く認められ、30 μMに濃度を上げてもそれ以上の増加は認められなかった。バリノマイシンは1、5 μg/mlで濃度依存的にIL-1βの産生を増強し、25 μg/mlではそれ以上の増加は認められなかった。CITCOは1、5、25 μg/mlで濃度依存的にIL-1βの産生を増強した。
実施例7:IFN-γ産生を増強する物質
IFN-γは活性化T細胞やNK 細胞から分泌されるサイトカインで様々な免疫応答や炎症反応を調節する。IFN-γは Th1 応答を誘導するだけでなく抗腫瘍活性や抗ウイルス活性を持つことも知られている。結核菌が分泌する蛋白のひとつであるAg85Bは、マウスとヒトでTh1応答を誘導できる。マウスのAg85B 特異的Th1が認識する主なエピトープはPeptide-25(P25)である。そこで、P25特異的T細胞受容体(TCR)を発現させたトランスジェニックマウス(P25 TCR-Tg)の脾臓細胞をP25で刺激し、P25単独よりもIFN-γ産生を増強する天然物をスクリーニングした。スクリーニング物質としてNatural Product LibraryとICCB Known Bioactives Libraryから選択した化合物を用いた。
P25 TCR-Tg脾臓細胞(5×105個/ml)をP25(10 μg/ml)とライブラリーから選択した化合物(10 μM又は10 μg/ml)で刺激し、200 μlずつ96ウェルプレートで培養した。一部の化合物は0.1 - 10 μM 又は0.1 - 10 μg/mlでも刺激した。刺激後3日目に培養上清を採取し、ELISA法を用いて培養上清中のIFN-γを測定した。P25 + 化合物の値 = A、P25のみの値 = B、未刺激の値 = Cとして、(A - C)/(B - C)= 1.3以上を増強と判定した。
その結果、P25によるIFN-γ産生を増強させる化合物として、インゲノール3,20-ジベンゾエート、12-デオキシホルボール13-アセテート、カルミン酸、ロイフォリン、シネンセチン、ホルボール12,13-ジブチレート、ホルボール12-ミリステート13-アセテートを見出した。
また、IFN-γを増強した物質について、卵白アルブミン(ovalbumin, OVA)を腫瘍代理抗原として用い、OVA 特異的細胞傷害(CTL)活性を増強できるかどうか検討した。
P25 TCR-Tg脾臓細胞より、CD4 T細胞(P25 CD4+ T細胞)を精製し、C57BL/6マウス脾臓細胞より抗原提示細胞(APC)を精製した。精製したP25 CD4+ T細胞, APC, P25, OVA, ライブラリーから選択した化合物の混和物(200 μl)を96ウェルプレートで一晩培養し、洗浄後10-5 % グルタールアルデヒド溶液で処理してさらに洗浄した。一方、OT-I Tg (OVA特異的TCR Tg)の脾臓細胞より精製したCD8+ T細胞をCFSEでラベルし、洗浄後CFSE-OT-I CD8+ T細胞として使用した。グルタールアルデヒド処理した細胞にCFSE-OT-I CD8+ T細胞を加えて3日間培養した。3日後にCFSE-OT-I CD8+ T細胞のCFSEの輝度をFACS解析して、細胞の増殖を測定し、CTL 活性の有無を判定した。
その結果、OVA特異的CTL活性を強く増強する物質として、インゲノール類のインゲノール3,20-ジベンゾエート及び、ホルボールエステル類の12-デオキシホルボール13-アセテート、ホルボール12,13-ジブチレート、ホルボール12-ミリステート13-アセテートを見出した。
実施例8:Pam3CSK4のin vivoにおけるIgA産生誘導能の評価
BALB/cマウス(7〜8週令、雌性)に、インフルエンザHAタンパク質抗原ワクチン(A/California/7/2009 (H1N1))(一般財団法人 阪大微生物病研究会製)1 μgを、アジュバントとして10 μgのPam3CSK4とともにマウスの鼻に13 μL(片鼻に6.5 μLずつ)接種し、その2週間後、同量のワクチンとアジュバントを経鼻接種した。さらに、2週間後、鼻腔洗浄液、血漿を回収し、鼻腔洗浄液中のワクチン抗原に特異的なIgA及び血漿中のワクチン抗原に特異的なIgGをELISA法により測定した。その結果、図1で示すようにPam3CSK4 10 μgにより鼻腔洗浄液中に顕著にIgAが誘導された。また、図2で示すように血漿中のIgGも顕著に誘導された。
実施例9:Pam3CSK4とPP2の併用でのin vivoにおけるIgA産生誘導能の評価
BALB/cマウス(7〜8週令、雌性)に、インフルエンザHAタンパク質抗原ワクチン(A/California/7/2009 (H1N1))1μgを、アジュバントとしてPam3CSK4 10 μg及びPP2 1.3 nmolとともにマウスの鼻に13 μL (片鼻に6.5 μLずつ)接種し、その2週間後、同量のワクチンとアジュバントを経鼻接種した。さらに、2週間後、鼻腔洗浄液、血漿を回収し、鼻腔洗浄液中のワクチン抗原に特異的なIgA及び血漿中のワクチン抗原に特異的なIgGをELISA法により測定した。IgA産生の結果を図1にIgG産生の結果を図2に示す。
粘膜ワクチン用アジュバントとして、PP2とPam3CSK4とを併用した群では、鼻腔粘膜上に誘導されたワクチン抗原特異的なIgA量は、ワクチン単独あるいはPam3CSK4処置群と比較すると、有意に増加した。PP2の併用により、血漿中のIgGもPam3CSK4処置群と比較して増加する傾向にあった。このことから、候補となるアジュバント物質の組合せを検討することにより、より効果的にIgA産生を誘導する粘膜ワクチン用アジュバントを得られる可能性が示唆された。
実施例10:インゲノール3,20-ジベンゾエートのin vivoにおけるIgA産生誘導能の評価
BALB/cマウス(7〜8週令、雌性)に、インフルエンザHAタンパク質抗原ワクチン(A/California/7/2009 (H1N1))1 μgを、アジュバントとしてインゲノール3,20-ジベンゾエート 0.13 nmol、又はインゲノール3,20-ジベンゾエート 0.13 nmolとpoly(I:C) 1 μgとを混合したものとともにマウスの鼻に13 μL(片鼻に6.5 μLずつ)接種し、その2週間後、同量のワクチンとアジュバントを経鼻接種した。さらに、2週間後、鼻腔洗浄液、血漿を回収し、鼻腔洗浄液中のワクチン抗原に特異的なIgA及び血漿中のワクチン抗原に特異的なIgGをELISA法により測定した。
その結果を図3に示す。ワクチン単独の処置群と比較して、インゲノール3,20-ジベンゾエートは鼻腔洗浄液中のIgA産生を誘導した。また、アジュバントとしてインゲノール3,20-ジベンゾエートとpoly(I:C)とを併用した群では、鼻腔粘膜上に誘導されたワクチン抗原特異的なIgA量は、poly(I:C)処置群と比較し、約2倍に増加した。
IgG産生の結果を図4に示す。血漿中のIgGは、ワクチン単独の処置群と比較して、インゲノール3,20-ジベンゾエートにより約3.7倍に増加した。インゲノール3,20-ジベンゾエートとpoly(I:C)との併用では、poly(I:C)処置群と比較し、増加する傾向にあった。
本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、ウイルス感染初期及びウイルス抗原特異的な獲得免疫の成立に重要な自然抗体の産生を増強、あるいは自然免疫を活性化するものである。したがって、本発明の粘膜ワクチン用アジュバントは、粘膜上への分泌型IgA産生を誘導し、ウイルス又は病原菌などの病原体による感染を防御するものであり、また、感染予防のための分泌型IgAの誘導剤となりうるものであり、ウイルス又は病原菌の抗原と組み合わせることにより、様々な粘膜ワクチンを提供することができる。

Claims (2)

  1. 自然抗体の産生を増強する物質又は自然免疫を活性化する物質を含む経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチン用アジュバントであって、該物質は樹状細胞を活性化する物質、及びインフラマソームを活性化する物質からなる群より選ばれ、
    樹状細胞を活性化する物質がPam3CSK4であるTLR2リガンドであり、
    インフラマソームを活性化する物質が、バリノマイシン又はCITCOである、
    粘膜上への分泌型IgA産生を誘導する経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチン用アジュバント。
  2. 前記物質を2種以上併用する、請求項に記載の経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチン用アジュバント。
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