以下、添付図面を参照して、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100を示す図である。被検体P(図1において点線の枠内)は、磁気共鳴イメージング装置100に含まれない。
静磁場磁石1は、中空の円筒状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、たとえば、永久磁石、超伝導磁石等である。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。
具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から傾斜磁場パルスの供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源3は、シーケンス制御回路10から送信される制御信号に従って、傾斜磁場パルスを傾斜磁場コイル2に供給する。
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で、撮像口である傾斜磁場コイル2の空洞内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
寝台制御回路5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。送信コイル6は、磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信回路7からRF(Radio Frequency)パルスの供給を受けて、磁場を発生する。送信回路7は、シーケンス制御回路10から送信される制御信号に従って、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル6に供給する。
受信コイル8は、磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号)を受信する。具体的には、受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、磁場の影響によって被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。また、受信コイル8は、受信した磁気共鳴信号を受信回路9に出力する。
受信回路9は、シーケンス制御回路10から送られる制御信号に従って、受信コイル8から出力された磁気共鳴信号に基づき磁気共鳴信号データを生成する。具体的には、受信回路9は、受信コイル8から出力された磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴信号データを生成し、生成した磁気共鳴信号データを、シーケンス制御回路10を介して画像処理装置200に送信する。なお、受信回路9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2等を備える架台装置側に備えられていてもよい。
シーケンス制御回路10は、傾斜磁場電源3、送信回路7、及び受信回路9を制御する。具体的には、シーケンス制御回路10は、画像処理装置200から送信されたパルスシーケンス実行データに基づく制御信号を、傾斜磁場電源3、送信回路7、及び受信回路9に送信する。たとえば、シーケンス制御回路10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
画像処理装置200は、処理回路150と、メモリ132と、入力インタフェース134と、ディスプレイ135とを備える。また、処理回路150は、制御機能150a、生成機能150b、設定機能150c、提示機能150d、受付機能150e等を有する。
制御機能150a、生成機能150b、設定機能150c、提示機能150d、受付機能150eにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ132へ記憶されている。処理回路150はプログラムをメモリ132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路150にて、制御機能150a、生成機能150b、設定機能150c、提示機能150d、受付機能150eにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。なお、処理回路150の有する制御機能150a、生成機能150b、設定機能150c、提示機能150d、受付機能150eは、それぞれ制御部、生成部、設定部、提示部、受付部の一例である。また、シーケンス制御回路10は、シーケンス制御部の一例である。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。例えば、メモリ132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
メモリ132は、生成機能150bによって格納された画像データや、磁気共鳴イメージング装置100において用いられるその他のデータを記憶する。たとえば、メモリ132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等で構成される。
入力インタフェース134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インタフェース134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。
ディスプレイ135は、処理回路150による制御のもと、画像データ等の各種の情報を表示する。ディスプレイ135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
処理回路150は、図示しないインタフェース機能により、シーケンス制御回路10に接続され、シーケンス制御回路10と画像処理装置200との間で送受信されるデータの入出力を制御する。
処理回路150は、制御機能150aにより、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示などを制御する。たとえば、制御機能150aは、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。
処理回路150は、生成機能150bにより、シーケンス制御回路10から送信された磁気共鳴信号データから画像データを再構成し、再構成した画像データをメモリ132に格納する。処理回路150は、設定機能150cにより、パルスシーケンスの撮像条件を、例えば被検体の心拍若しくは脈拍に関する情報や、撮像対象のT1に関する情報に基づいて、設定する。生成機能150b、設定機能150c及び、提示機能150d、受付機能150eの処理については後述する。
続いて、実施形態に係る背景について簡単に説明する。
組織のT1を表示したT1マップは、例えばびまん性心筋繊維症等の診断に有効であると考えられている。T1マップを作成するための磁気共鳴イメージング方法として、例えば、MOLLI(modified Look−Locker Imaging)法がある。この方法においては、後述する3、3、5等の所定のパターンで反転パルスを複数回印加し、TI(Inversion Time)を変化させて複数回のデータ収集を行う。ここで、複数回のデータ収集が行われるパターンとは、例えば、心拍又は脈拍に同期しながら縦磁化の緩和曲線に沿った複数のタイミングでデータを収集するパルスシーケンスの撮像条件であって、心拍又は脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンのことを意味する。なお、実施形態で印加される、反転パルスのフリップ角は180度に限られない。一例として、反転パルスのフリップ角は、90度以上180度以下の角度、または180度以上の角度であってもよい。反転パルスは、典型的には、組織の縦磁化を正値と負値との間で反転させる。
図2は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の背景について説明した図である。具体的には、図2は、後述する、心拍数やT1に基づいた設定を行わない場合の、シーケンス制御回路10の印加するパルスシーケンスの一例が示されている。
図2の上段において、横軸は時刻を示している。反転パルス10a、10b、10cは、シーケンス制御回路10が印加する反転パルスを示す。図2の上段には、これらの反転パルスによって変化する縦磁化の時間変化の曲線が示されている。データ収集11a、11b、11c、12a、12b、12c、13a、13b、13c、13d、13eは、データ収集が行われるタイミングを示している。この例では、反転パルス10aに対して3回のデータ収集が行われ、反転パルス10bに対して3回の収集が行われ、反転パルス10cに対して5回の収集が行われる。MOLLI法においては、典型的には、このように、「3、(3)、3、(3)、5」のパターンで、反転パルスの印加タイミングを少しずつ変えながら収集が行われる。ここで、「3、(3)、3、(3)、5」とは、3心拍分収集が行われた後、3心拍分収集が行われない期間が続き、次に3心拍分収集が行われた後、3心拍分収集が行われない期間が続き、最後に5心拍分収集が行われるパターンを意味する。これらの収集は、心電同期で、例えば同じ心位相でデータ収集が行われるように行われる。
図2の下段は、図2の上段のデータを、反転パルスの印加時間を起点として整理統合したものである。反転パルス17は、反転パルスを表す。データ収集14a、14b、14c、15a、15b、15c、16a、16b、16c、16d、16eは、それぞれ上段のデータ収集11a、11b、11c、12a、12b、12c、13a、13b、13c、13d、13eに対応する。このように、複数のTI(反転パルスが印加されてからデータ収集が行われるまでの時間)でデータ収集が行われることで、T1マップの作成が可能となる。
しかしながら、MOLLI法は、例えば心拍数又は脈拍数の影響を受けやすい。そのため、心拍数又は脈拍数が変化すると、測定T1値の精度が低下したり、息止め時間が必要以上に長くなってしたりしてしまう場合があった。
例えば、心拍数又は脈拍数が小さすぎる場合、反転パルスの印加間隔が長くなりすぎるので、縦磁化が十分緩和しているにもかかわらず次の反転パルスが印加されないことになり、時間の無駄が生じる。この結果、息止め時間が増加してしまう。また、例えばデータ収集16aとデータ収集14bの間の時間が大きくなる。この結果、例えば緩和曲線が最も急激に変化する時刻においてサンプリングをすることができなくなり、測定T1値の精度が低下する。
一方、心拍数若しくは脈拍数が大きすぎる場合、反転パルスの印加間隔が短くなりすぎてしまい、縦磁化が十分緩和していないにも関わらず次の反転パルスが印加されることになり、測定T1値の精度が低下する。また、データ収集が行われる最長のTIの値(例えばデータ収集16e)が小さくなる。この結果、大きいTIにおいてデータ収集が十分に収集できず、測定T1値の精度が低下する。
かかる背景のもとで、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、処理回路150が有する設定機能150cにより、被検体Pの心拍に関する情報に基づいて、印加するパルスシーケンスのパターンを設定する。これにより、効率よくデータ収集を行うことが可能になる。
図3〜5を用いて、かかる構成について説明する。図3は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。図4及び図5は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理について説明した図である。より具体的には、図4は、「心拍数小」に対応するケース、図5は、「心拍数大」に対応するケースである。なお、第1の実施形態や第2の実施形態等、以下においては、説明のため、心拍及び心拍数の例について説明するが、実施形態は、脈拍及び脈拍数の場合についても同様に適用可能である。
図3を用いて、磁気共鳴イメージング装置100が行う処理の流れについて、説明する。
はじめに、処理回路150は、被検体Pの心拍数を取得する(ステップS100)。例えば、処理回路150は、被検体Pに装着された電極(図示しない)を通じて取得した電気信号を基に、被検体Pの心拍数を取得する。続いて、処理回路150は、ステップS100において取得した心拍数を、所定の値と比較することにより、心拍数の値が、「心拍数大」「通常の心拍数数」「心拍数小」のいずれかであるかを判定する(ステップS110)。例えば、処理回路150は、心拍数の値が、第1の値より大きい場合は「心拍数大」と判定し、第1の値を超えないが、第1の値より小さい値である第2の値より大きい場合は「通常の心拍数」と判定し、第2の値を超えない場合は、「心拍数小」と判定する。例えば、処理回路150は、心拍数が80bmpより大きい場合には「心拍数大」と判定し、心拍数が60〜80bpmの場合には、「通常の心拍数」と判定し、心拍数が60bmp未満である場合には、「心拍数小」と判定する。
ステップS110で、処理回路150が、被検体Pの心拍数が、「心拍数小」と判定した場合、処理はステップS120aへと進み、処理回路150は、心拍数小に対応するパターンを設定する。また、ステップS110で、処理回路150が、被検体Pの心拍数が、「通常の心拍数」と判定した場合、処理はステップS120bへと進み、処理回路150は、通常の心拍数に対応するパターンを設定する。また、ステップS110で、処理回路150が、被検体Pの心拍数が「心拍数大」と判定した場合、処理はステップS120cへと進み、処理回路150は、心拍数大に対応するパターンを設定する。
ここで、「通常の心拍数に対応するパターン」とは、例えば図2に示されたMOLLI法のパルスシーケンスである。また、「心拍数小に対応するパターン」、「心拍数大に対応するパターン」とは、例えばそれぞれ図4、図5に示されたパルスシーケンスである。
まず、心拍数が小さい場合のパターンについて説明する。
図4において、横軸は時刻を表している。図4の上段において、反転パルス10a、10b、10c、10dは、シーケンス制御回路10が印加する反転パルスを表している。また、データ収集11a、11b、11c、12a、12b、12c、13a、13b、13c、13d、20aは、シーケンス制御回路10がデータ収集を行うタイミングを表している。図4の下段は、図4の上段のパルスシーケンスを、反転パルスの印加時間を起点として整理したものである。反転パルス17は反転パルスを表す。データ収集14a、14b、14c、15a、15b、15c、16a、16b、16c、16d、18aは、それぞれ上段のデータ収集11a、11b、11c、12a、12b、12c、13a、13b、13c、13d、20aに対応する。
ここで、図4のパターンは、「3、(1)、3、(1)、4、(1)、1」のパターンであり、図2に示されている、通常の心拍数に対応するパターンである、「3、(3)、3、(3)、5」と比較して、例えば低い心拍の場合、印加する反転パルスの時間間隔が短くなるように設定されたパターンとなっている。ステップS120aにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を下回らない場合と比較して、データ収集が行われない期間であるダミーRRの数が少なくなる(データ収集が行われない期間が短くなる)ような設定を行う。例えば、図4の場合には、ダミーRRの数は、3であり、図2の場合のダミーRRの数の6と比較して、ダミーRRの数が少なくなっている。また、例えば、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を下回らない場合と比較して、印加する反転パルスの時間間隔が短くなる場合もある。例えば、処理回路150は、反転パルス10aと反転パルス10bの間の時間間隔が、図4に示されているように、図2に比較して短くなるような設定を行う。また、別の言い方をすると、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数(若しくは脈拍数)が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数(若しくは脈拍数)が所定の閾値を下回らない場合と比較して、反転パルス同士の間の心拍の数若しくは脈拍の数が少なくなるように設定する。
また、図4のパターンは、通常の心拍数に対応するパターンと比較して、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多いパターンとなっている。換言すると、ステップS120aにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を下回らない場合と比較して、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多くなるような設定を行う。例えば、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数は、図2においては3回であるのに対して図4においては4回になっている。
また、図4のパターンは、通常の心拍数に対応するパターンと比較して、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が少ないパターンとなっている。換言すると、ステップS120aにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を下回らない場合と比較して、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が少なくなるような設定を行う。例えば、反転パルス10cに対応する収集は、図2においては5回であるのに対して図4においては4回になっている。
また、図4のパターンは、通常の心拍数に対応するパターンと比較して、息止め時間を短くすることが可能なパターンとなっている。換言すると、ステップS120aにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を下回らない場合と比較して、息止め時間が短くなるような設定を行ってもよい。例えば、処理回路150は、図2のように17心拍を要するパターン「3、(3)、3、(3)、5」の代わりに、図4のように14心拍のパターン「3、(1)、3、(1)、4、(1)、1」を用いることで、息止め期間を短縮することができる。
処理回路150が、かかる設定を行う理由は以下の通りである。
第1に、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、R−R間隔は延長される。この場合、例えば図2の「3、(3)、3、(3)、5」のパターンのうち、最初の収集が行われた後の3心拍分のダミーサイクル中に、縦磁化が完全に回復してしまう場合がある。かかるケースでは、ダミーサイクルを3心拍もパターンに挿入するのは時間の無駄となる。従って、処理回路150は、設定機能150cにより、息止め時間を短縮するために、ダミーサイクルの数を削減する。一例として、処理回路150は、印加する反転パルスの時間間隔が短くなるような設定を行う。また、ダミーサイクルだけでなく、処理回路150は、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が短くなるような設定を行っても良い。このような設定を行うことで、息止め時間を短縮することができる。
また、息止め時間を同一に保つ場合は、反転パルスの時間間隔を短くしたことで、処理回路150は、反転パルスの印加回数が多くなるような設定を行うことができる。すなわち、反転パルスの印加回数が増加する結果、T1値の計測精度が向上する。
第2に、被検体の心拍数が所定の閾値を下回る場合、R−R間隔は延長されるが、その結果、収集されるデータ点のTI時間の時間間隔も広がってしまう。例えば、図2において、データ収集16aと、データ収集14bとの間の時間間隔も広がってしまう。この結果、T1緩和時間のカーブフィッティングの精度が減少する。
かかる背景に基づいて、処理回路150は、図4におけるデータ収集16aとデータ収集14bとの時間間隔が広がってしまうことの影響を緩和するために、新たにデータ収集18aを行うような設定を行う。すなわち、処理回路150は、新たにデータ収集18aに対応する収集であるデータ収集20aを行う設定を行う。ここで、処理回路150は、例えば反転パルスの印加間隔を短縮することで、例えば息止め時間を増大させずに、データ収集20aを行うことができる。
次に、図5を用いて、心拍数が大きい場合のパターンについて説明する。
図5において、横軸は時刻を表している。図5の上段において、反転パルス10a、10bは、シーケンス制御回路10が印加する反転パルスを表している。また、データ収集11a、11b、11c、11d、11e、12a、12b、12c、12d、12e、12fは、シーケンス制御回路10がデータ収集を行うタイミングを表している。図5の下段は、図5の上段のパルスシーケンスを、反転パルスの印加時間を起点として整理したものである。反転パルス17は反転パルスを表す。データ収集14a、14b、14c、14d、14e、15a、15b、15c、15d、15e、15fは、それぞれ上段のデータ収集11a、11b、11c、11d、11e、12a、12b、12c、12d、12e、12fに対応する。
ここで、図5のパターンは、「5、(3)、6」のパターンであり、図2に示されている、通常の心拍数に対応するパターンである、「3、(3)、3、(3)、5」と比較して、印加する反転パルスの時間間隔が長くなるように設定されたパターンとなっている。換言すると、ステップS120cにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を上回らない場合と比較して、印加する反転パルスの時間間隔が長くなるような設定を行う。例えば、処理回路150は、反転パルス10aと反転パルス10bの間の時間間隔が、図5に示されているように、図2に比較して長くなるような設定を行う。
また、図5のパターンは、通常の心拍数に対応するパターンと比較して、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少ないパターンとなっている。換言すると、ステップS120cにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を上回らない場合と比較して、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なくなるような設定を行う。例えば、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数は、図2においては3回であるのに対して図5においては2回になっている。
また、図5のパターンは、通常の心拍数に対応するパターンと比較して、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が多いパターンとなっている。換言すると、ステップS120cにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を上回らない場合と比較して、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が多くなるような設定を行う。例えば、反転パルス10aに対応する収集は、図2においては3回であるのに対して図5においては5回になっている。また、別の言い方をすると、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数(若しくは脈拍数)が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数(又は脈拍数)が所定の閾値を上回らない場合と比較して、反転パルス同士の間の心拍の数又は脈拍の数が多くなるように設定する。
また、図5のパターンは、通常の心拍数に対応するパターンと比較して、息止め時間が短いパターンとなっている。換言すると、ステップS120cにおいて、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数が所定の閾値を上回らない場合と比較して、息止め時間が短くなるような設定を行ってもよい。例えば、処理回路150は、図2のように17心拍を要するパターン「3、(3)、3、(3)、5」の代わりに、図5のように14心拍のパターン「5、(3)、6」を用いることで、息止め期間を短縮することができる。
処理回路150が、かかる設定を行う理由は以下の通りである。
第1に、被検体の心拍数が所定の閾値を上回る場合、R−R間隔は短縮される。この場合、例えば図2の「3、(3)、3、(3)、5」のパターンのうち、最初の収集が行われた後の3心拍分のダミーサイクル中に、縦磁化が完全に回復しない場合がある。かかるケースでは、反転パルスの印加タイミングを遅らせるのが望ましい。従って、処理回路150は、設定機能150cにより、印加する反転パルスの時間間隔が長くなるような設定を行う。印加する反転パルスの時間間隔が長くなると、処理回路150は、延長された時間を利用して、さらなるデータ収集を行うことができる。すなわち、処理回路150は、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が多くなるような設定を行うことができる。また、反転パルスの時間間隔が長くなる結果、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数は減少する。
第2に、被検体の心拍数が所定の閾値を上回る場合、R−R間隔は短縮されるが、その結果、収集されるデータ点が、TIが小さい部分に集中し、逆にTIの値が大きいデータ点の数が減少する。このように、TIの値が大きい部分で、データ点の数が減少することは、T1算出のカーブフィッティングの精度を減少させる。
かかる背景に基づいて、処理回路150は、1回の反転パルス当たりの収集回数を増やすことで、TIが小さい値のデータ点も、TIが大きい値のデータ点も、バランスよく収集することができ、カーブフィッティングの精度を保つことができる。このように、ステップS120a〜ステップS120cのいずれかの処理を行うことで、処理回路150は、設定機能150cにより、反転パルスを複数の第1の時刻に印加し、心電同期のもと複数の第2の時刻にデータを収集するパルスシーケンスの撮像条件を、被検体Pの心拍や脈拍に関する情報に基づいて、設定する。換言すると、処理回路150は、設定機能150cにより、心拍又は脈拍に同期しながら縦磁化の緩和曲線に沿った複数のタイミングでデータを収集するパルスシーケンスの撮像条件であって、心拍又は脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを、被検体の心拍又は脈拍に関する情報に基づいて設定する。また、シーケンス制御回路10は、当該パターンに従ってパルスシーケンスの実行を制御する。
ここで、かかるパルスシーケンスの一例としては、例えば、MOLLI法のパルスシーケンスが挙げられる。また、ここで、「撮像条件を設定する」とは、例えば、複数の第1の時刻及び複数の第2の時刻を設定することを意味する。ここで、複数の第1の時刻とは、例えば図4における反転パルス10a、10b、10c、10dに対応する時刻であり、複数の第2の時刻とは、例えば図4のデータ収集11a、11b、11c、12a等に対応する時刻である。なお、処理回路150は、反転パルスが印加される回数及び1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を指定することにより、被検体Pの心拍に関する情報(又は脈拍に関する情報)に基づいて、撮像条件を設定してもよい。なお、かかる撮影条件の設定に係る記載については、第1の実施形態に限られず、第2の実施形態以降の実施形態についてもあてはまる。
続いて、処理回路150は、ステップS120a〜ステップS120cのいずれかにおいて設定された撮像条件を、シーケンス制御回路10に送信する。処理回路150が設定した撮像条件を受信したシーケンス制御回路10は、受信した撮像条件を用いてパルスシーケンスを実行する(ステップS130)。処理回路150は、ステップS130でシーケンス制御回路10により実行されたパルスシーケンスに基づいて、複数のTIに関するデータを取得する。処理回路150は、生成機能150bにより、取得された複数のTIに関するデータに対して、カーブフィッティングその他の処理を行って、T1マップを生成する(ステップS140)。処理回路150は、制御機能150aにより、生成されたT1マップをディスプレイ135に表示させる。ディスプレイ135は、生成されたT1マップを表示する(ステップS150)。
第1の実施形態では、処理回路150が、設定機能150cにより、被検体Pの心拍や脈拍に関する情報に基づいて、パルスシーケンスのパターンを設定した。これにより、磁気共鳴イメージング装置100は、効率よくT1マップ生成のためのデータ収集を行うことができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、処理回路150が、被検体Pの心拍や脈拍に関する情報に基づいて、パルスシーケンスの撮像条件の設定を行う(パルスシーケンスのパターン設定を行う)場合について説明した。第2の実施形態では、処理回路150は、撮像対象のT1値に関する情報に基づいて、パルスシーケンスの撮像条件の設定を行う。
具体的には、撮像対象のT1値が小さい場合、撮像対象は、短い時間で磁気緩和することになる。従って、処理回路150は、第1の実施形態で説明した、相対的に心拍数が小さい場合と同様のパターンのパルスシーケンス(例えば図4に示されるパルスシーケンス)を設定し、シーケンス制御回路10は、設定されたパターンに基づいてパルスシーケンスを実行する。
逆に、撮像対象のT1が大きい場合、撮像対象は、長い時間をかけて磁気緩和することになる。従って、処理回路150は、第1の実施形態で説明した、相対的に心拍数が大きい場合と同様のパルスシーケンス(例えば図5に示されるパルスシーケンス)を設定し、シーケンス制御回路10は、設定されたパターンに基づいてパルスシーケンスを実行する。
このように、処理回路150が撮像対象のT1に応じてパルスシーケンスのパターンを設定することで、T1マップ作成のための効率の良いデータ収集が可能になる。
図6〜図8を用いて、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の行う処理について説明する。図6は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。図7及び図8は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るユーザインターフェースの一例について説明した図である。
はじめに、処理回路150は、受付機能150eにより、例えばディスプレイ135を通じて、撮像対象のT1値に関する情報、例示的には、造影剤の有無に関する情報、撮像対象となる部位に関する情報、T1値等の入力をユーザから受け付ける(ステップS200)。ここで、例えば造影剤の有無により、撮像対象のT1値が大きく変化するので、造影剤の有無に関する情報は、撮像対象のT1値に関する情報である。また、撮像対象となる部位や、着目する部位(例えば、心筋のみに着目するか、心筋及び血液の両方に着目するか)により、撮像対象のT1値が大きく変化するので、これらの情報は、撮像対象のT1値に関する情報である。
図7に、ステップS200の入力インタフェースの一例が示されている。表示領域30は、ディスプレイ135がユーザから撮像対象のT1値に関する情報の入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。
表示領域31は、ディスプレイ135がユーザから造影剤の有無に関する情報の入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。表示領域31において、ボタン32a、ボタン32bは、ディスプレイ135が、ユーザから、撮像対象が、それぞれ、「造影剤投入前」、「造影剤投入後」である旨の入力を受け付けるためのボタンである。
表示領域33は、ディスプレイ135がユーザから撮像対象となる部位に関する情報を受け付けるためのユーザインターフェースである。ボタン34a及び34bは、ディスプレイ135が、ユーザから、撮像対象となる部位が、それぞれ、「心筋のみ」、「心筋及び血液」である旨の入力を受け付けるためのボタンである。
入力フィールド35は、ディスプレイ135がユーザからT1値の入力を受け付けるための入力フィールドである。また、確定ボタン36は、ユーザからの入力結果を確定するためのボタンである。
ステップS200において、ユーザがボタン32aを選択した後確定ボタン36を選択すると、ディスプレイ135は、撮像対象が、「造影剤投入前」である旨の入力を受け付ける。また、ユーザがボタン32bを選択した後確定ボタン36を選択すると、ディスプレイ135は、撮像対象が、「造影剤投入後」である旨の入力を受け付ける。また、ユーザがボタン34aを選択した後確定ボタン36を選択すると、ディスプレイ135は、撮像対象となる部位が、「心筋のみ」である旨の入力を受け付ける。また、ユーザがボタン34bを選択した後確定ボタン36を選択すると、ディスプレイ135は、撮像対象となる部位が、「心筋及び血液」である旨の入力を受け付ける。また、ユーザが入力フィールド35にT1値を入力した後確定ボタン36を選択すると、ディスプレイ135は、入力されたT1値を受け付ける。
続いて、処理回路150は、ステップS200においてディスプレイ135がどのような入力を受け付けたかを判定する(ステップS201)。
ステップS200においてディスプレイ135が、ボタン32aを通じて、撮像対象が「造影剤投入前」である旨の入力を受け付けた場合、処理はステップS202aに進み、処理回路150は、設定機能150cにより、「造影剤投入前」に対応するパルスシーケンスのパターンを設定する。また、ステップS200においてディスプレイ135が、ボタン32bを通じて、撮像対象が「造影剤投入後」である旨の入力を受け付けた場合、処理はステップS202bに進み、処理回路150は、設定機能150cにより、「造影剤投入後」に対応するパルスシーケンスのパターンを設定する。また、ステップS200においてディスプレイ135が、入力フィールド35を通じて、撮像対象のT1値の入力を受け付けた場合、処理はステップS202cに進み、処理回路150は、設定機能150cにより、ステップS200において手動入力されたT1値に対応するパルスシーケンスのパターンを設定する。また、ステップS200においてこれらの入力が特になかった場合には、処理はステップS202dに進み、処理回路150は、設定機能150cにより、標準のパルスシーケンスのパターンを設定する。
ステップS202a〜ステップS202dにおいて処理回路150が設定するパルスシーケンスのパターンについて説明する。
ステップS202a〜ステップS202dのいずれにおいても、処理回路150は、最初に、ステップS200でユーザから受け付けた入力を基に、撮像対象のT1の値を算出する。
例えば、ステップS202aの場合、処理回路150は、撮像対象となる部位についての入力項目を参照しながら、造影剤投入前の撮像対象のT1の値を算出する。例えば、処理回路150は、ステップS200で入力された撮像対象となる部位が「心筋のみ」であった場合、部位が「心筋のみ」かつ「造影剤投入前」の撮像対象のT1の値を、所定のテーブルから取得し、T1の値として算出する。また、例えば、処理回路150は、ステップS200で入力された撮像対象となる部位が「心筋及び血液」であった場合、部位が「心筋及び血液」かつ「造影剤投入前」の撮像対象のT1の値(例えば造影剤投入前のT1の平均値)を、所定のテーブルから取得し、T1の値として算出する。ステップS202bについても同様である。
また、ステップS202cの場合、処理回路150は、例えばステップS200で手動入力されたT1値が異常値でない場合には入力されたT1の値を、T1の値として算出し、入力されたT1値が異常値である場合にはユーザに値の再入力を促し、入力された値を、T1の値として算出する。また、ステップS202dの場合、処理回路150は、デフォルト値を、T1の値として算出する。
続いて、撮像対象のT1の値が算出されると、処理回路150は、設定機能150cにより、各々のステップS202a〜ステップS202dにおいて、算出された撮像対象のT1の値に基づいて、後段で実行されるパルスシーケンスのパターンを設定する。
前述のように、処理回路150は、撮像対象のT1値が小さい場合、例えば図4に示されるような、相対的に心拍数が小さい場合と同様のパターンのパルスシーケンスを設定する。逆に、処理回路150は、撮像対象のT1が大きい場合、例えば図5に示されるような、相対的に心拍数が大きい場合と同様のパターンのパルスシーケンスを設定する。
換言すると、処理回路150は、設定機能150cにより、撮像対象のT1値が所定の閾値を下回る場合、撮像対象のT1値が所定の閾値を下回らない場合と比較して、印加する反転パルスの時間間隔が短くなる(反転パルス間の心拍若しくは脈拍の数が少なくなる)ように設定する。かかる場合、例えば、処理回路150は、図4に示されているようなパターンのパルスシーケンスを設定する。ここで、所定の閾値は、例えば600msである。
一例として、処理回路150は、設定機能150cにより、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多くなるような設定を行う。例えば、処理回路150は、新たな反転パルスを追加し、収集されるデータ点を増やす設定を行う。また、別の例として、処理回路150は、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数が少なくなるような設定を行う。また、別の例として、処理回路150は、例えば、ダミーパルスの印加回数を減少させる設定を行う。また、別の例として、処理回路150は、息止め時間が短くなるような設定を行ってもよい。
また、処理回路150は、設定機能150cにより、撮像対象のT1値が所定の閾値を上回る場合、撮像対象のT1値が所定の閾値を上回らない場合と比較して、1個の反転パルスあたりのデータ収集が多くなる(反転パルス間の心拍若しくは脈拍の数が多くなる)ように設定する。かかる場合、例えば、処理回路150は、図5に示されているようなパターンのパルスシーケンスを設定する。
一例として、処理回路150は、設定機能150cにより、印加する反転パルスの時間間隔が長くなるような設定を行う。また、別の例として、処理回路150は、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なくなるような設定を行う。また、別の例として、処理回路150は、息止め時間が短くなるような設定を行ってもよい。
また、T1値と心拍数の相対的関係に応じて設定を処理回路150が行う場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。TIが最も低い点のデータ点が、T1値が低くなるにつれ、精度が十分でなくなる場合がある。従って、処理回路150は、設定機能150cにより、T1の値が基準となる閾値よりも低い場合には、初期TI値(例えば図2のデータ収集11aに対応するTI値)を低い値に設定しても良い。この場合、設定される初期TI値は、各反転パルスごとに、例えば50msec、150msec、200msecとなる。
このように、処理回路150は、設定機能150cにより、受付機能150eにより受け付けた撮像対象のT1値に対する情報に基づいて、撮像条件を設定する。換言すると、処理回路150は、設定機能150cにより、心拍若しくは脈拍に同期しながら縦磁化の緩和曲線に沿った複数のタイミングでデータを収集するパルスシーケンスの撮像条件であって、心拍若しくは脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを、撮像対象のT1値に関する情報に基づいて設定する。
ステップS202a〜ステップS202dのいずれかの処理により、処理回路150が設定機能150cによりパルスシーケンスのパターンの設定を行うと、処理回路150は、制御機能150aにより、ステップS202a〜ステップS202dのいずれかで設定されたパターンを、ディスプレイ135に表示させる。図8に、かかるGUIの一例が示されている。図8は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るユーザインターフェースの一例について説明した図である。
図8において、パネル50は、現在設定中のパルスシーケンスのパターンを、時間軸に沿って表示したものである。表示領域51a、51b、51c、51d及び表示領域52a、52b、52cは、現在設定中のパルスシーケンスのパターンを表示する表示領域である。例えば、図8においては、現在設定中のパルスシーケンスのパターンは、「3、(1)、3、(1)、4、(1)、1」であるので、ディスプレイ135は、表示領域51a、51b、51c、51dに、それぞれ「3」、「3」、「4」、「1」を表示させる。また、ディスプレイ135は、表示領域52a、52b、52cに、それぞれ「1」、「1」、「1」を表示させる。また、ボタン53a、53b、53c、53dは、ディスプレイ135がユーザからパルスシーケンスのパターンの変更の入力を受け付けるためのボタンである。スライドバー68およびつまみ70は、ディスプレイ135がユーザから反転パルスの印加間隔の変更の入力を受け付けるためのGUIである。ユーザがつまみ70を左右にスクロールすると、ディスプレイ135は、反転パルスの印加間隔の変更の入力を受け付ける。
一方、パネル60は、現在設定中のパルスシーケンスのパターンを、それぞれの反転パルスの印加時間を起点として整理して表示し、種々の制御ボタンと共に表示したものである。パネル61は、現在設定中のパルスシーケンスのパターンを、それぞれの反転パルスの印加時間を起点として一つの図にまとめて表示したものである。表示領域62a、62b、62c、62d、62eなどは、各データ収集に対応するTIを表す。例えば、図8の例では、シーケンス制御回路10は、TI=100msec、200msec、350msec、600msec、1300msec、1400msec、1550msec、2500msec、2600msec、2750msec、3950msecにおいてデータ収集を行う。ボタン63a、63bは、ディスプレイ135がユーザからTIの値(例えば初期TI)の変更を受け付けるためのボタンである。また、表示領域62fには、現在のRR間隔が表示されている。例えば1300msec等、初期TI以外のTIの値は、初期TIの値と、現在のRR間隔とに基づいて定められる。
表示領域64a、64b、64c、64dは、パネル61に表されているパルスシーケンスのパターンを表しているものである。図8の例では、TI=100msec、200msec、350msec、600msec、1300msec、1400msec、1550msec、2500msec、2600msec、2750msec、3950msecにおいてデータ収集を行われているので、サンプリングパターンは、「4−3−3−1」となる。従ってディスプレイ135は、表示領域64a、64b、64c、64dに、それぞれ、「4」、「3」、「3」、「1」を表示する。
ボタン65a、65b、64e、67は、サンプリングパターンを変更するためのボタンである。例えば、ユーザがボタン65a、65bをクリックすると、サンプリングパターンは、それぞれ、「5−3−3−1」、「3−3−3−1」となる。また、サンプリングが行われるTIのグループの数も、変更することができる。例えば、ユーザがボタン64e、67をクリックすると、サンプリングパターンは、それぞれ、「4−3−3−1−1」、「4−3−3」となる。
ボタン72a、72b、72cは、ユーザが設定をそれぞれセーブ、ロード、リセットするためのボタンである。
図6に戻り、ステップS210において、処理回路150は、提示機能150dにより、ディスプレイ135に、ステップS202a〜ステップS202dのいずれかにおいて処理回路150により設定されたパルスシーケンスのパターン、すなわちパルスシーケンスにおけるデータ収集パターンの候補を表示する。例えば、処理回路150は、提示機能150dにより、ディスプレイ135のパネル50に、設定されたパルスシーケンスのパターンを表示する。また、処理回路150は、提示機能150dにより、ディスプレイ135のパネル61に、設定されたパルスシーケンスのパターンを、反転パルスの印加時間を起点として表示する表示方法で表示する。
続いて、処理回路150は、受付機能150eにより、ディスプレイ135を通じて、ディスプレイ135のパネル60又は61を参照したユーザから、データ収集パターンの変更の入力を受け付ける(ステップS220)。パネル60上でユーザから変更の入力を受け付ける例として、例えば、処理回路150は、受付機能150eにより、ボタン53a、53b、53c、53d等を通じて、データ収集パターンの変更の入力を受け付ける。例えば、図8の例では、ユーザがボタン53aを選択すると、処理回路150は、受付機能150eにより、パルスシーケンスのパターンが、「3、(1)、3、(1)、4、(1)、1」から「4、(1)、3、(1)、4、(1)、1」に変更される旨の入力をユーザから受け付ける。また、ユーザがボタン53cを選択すると、処理回路150は、受付機能150eにより、パルスシーケンスのパターンが、「3、(1)、3、(1)、4、(1)、1」から「3、(2)、3、(1)、4、(1)、1」に変更される旨の入力をユーザから受け付ける。また、ユーザがスライドバー68のつまみ70を左右に動かすと、処理回路150は、受付機能150eにより、反転パルスの印加間隔が変更される旨の入力をユーザから受け付ける。処理回路150は、受付機能150eにより、これらパネル50上で行われた変更を、パネル60にも適宜反映、連動させて表示する。
また、パネル61上でユーザから変更の入力を受け付ける例として、処理回路150は、受付機能150eにより、例えば、ボタン65a、65b、64e、67を通じて、データ収集パターンの変更の入力を受け付ける。例えば、図8の例では、ユーザがボタン65a、65b、64e、67をそれぞれ選択すると、処理回路150は、受付機能150eにより、パルスシーケンスのパターンが、「4−3−3−1」から、それぞれ、「5−3−3−1」、「3−3−3−1」、「4−3−3−1−1」、「4−3−3」になる旨の入力をユーザから受け付ける。また、処理回路150は、受付機能150eにより、各データ収集のTI(例えば初期TI)を、例えばボタン63aや63b等を通じて受け付ける。処理回路150は、受付機能150eにより、これらパネル60上で行われた変更を、パネル50にも適宜変更を反映、連動させて表示する。
続いて、処理回路150は、ディスプレイ135を通じてパルスシーケンスのパターンを変更する旨の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS230)。処理回路150が、パルスシーケンスのパターンを変更する旨の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS230 Yes)、設定機能150cを有する処理回路150は、ステップS220において受付機能150eにより受け付けた入力に基づいて、パルスシーケンスのパターンを修正し、撮像条件を設定する(ステップ270)。その後、処理はステップS210に戻る。
一方、処理回路150は、パルスシーケンスのパターンを変更する旨の入力を受け付けていない場合(ステップS230 No)、パルスシーケンスのパターンに変更は特にないことから、処理回路150が設定した撮像条件を受信したシーケンス制御回路10は、受信した撮像条件を用いてパルスシーケンスを実行する(ステップS240)。処理回路150は、ステップS240でシーケンス制御回路10により実行されたパルスシーケンスに基づいて、複数のTIに関するデータを取得する。処理回路150は、生成機能150bにより、取得された複数のTIに関するデータに対して、カーブフィッティングその他の処理を行って、T1マップを生成する(ステップS250)。処理回路150は、制御機能150aにより、生成されたT1マップをディスプレイ135に表示させる。ディスプレイ135は、生成されたT1マップを表示する(ステップS260)。
第2の実施形態では、処理回路150が、設定機能150cにより、撮像対象のT1値に関する情報に基づいて、パルスシーケンスのパターンを設定した。これにより、磁気共鳴イメージング装置100は、効率よくT1マップ生成のためのデータ収集を行うことができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、被検体Pの心拍や脈拍に関する情報に基づいて、第2の実施形態では、撮像対象のT1値に関する情報に基づいて、パルスシーケンスのパターンが設定される場合について説明した。実施形態はこれに限られない。処理回路150は、設定機能150cにより、被検体Pの心拍や脈拍に関する情報と、撮像対象のT1値に関する情報とに基づいて、撮像条件を設定してもよい。
図9は、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。はじめに、処理回路150は、被検体Pの心拍数及び、撮像対象のT1の値を取得する(ステップS300)。被検体Pの心拍数の取得手順としては、処理回路150は、例えば第1の実施形態で説明した図3のステップS100と同様の処理を行う。撮像対象のT1の値の取得手順としては、処理回路150は、例えば第2の実施形態で説明した図6のステップS200と同様の処理を行う。
続いて、処理回路150は、ステップS300において取得された心拍数及び撮像対象のT1の値が、心拍数「大」であるか「小」であるか、また、T1の値が「大」であるか「小」であるかを判定する(ステップS310)。処理回路150は、例えば、心拍数の値がある値を超えている場合には心拍数「大」であると判定し、超えていない場合には心拍数「小」であると判定する。また、処理回路150は、例えば、T1の値がある値を超えている場合にはT1の値が「大」であると判定し、超えていない場合にはT1の値が「小」であると判定する。
ステップS310で、処理回路150が、心拍数「大」かつT1「大」と判定した場合、処理はステップS320aへと進み、処理回路150は、心拍数「大」かつT1「大」に対応するパターンを設定する。ステップS310で、処理回路150が、心拍数「大」かつT1「小」と判定した場合、処理はステップS320bへと進み、処理回路150は、心拍数「大」かつT1「小」に対応するパターンを設定する。ステップS310で、処理回路150が、心拍数「小」かつT1「大」と判定した場合、処理はステップS320cへと進み、処理回路150は、心拍数「小」かつT1「大」に対応するパターンを設定する。ステップS310で、処理回路150が、心拍数「小」かつT1「小」と判定した場合、処理はステップS320dへと進み、処理回路150は、心拍数「小」かつT1「小」に対応するパターンを設定する。
第1の実施形態で述べたように、心拍数「小」の場合、反転パルスの印加間隔を短くしたほうが望ましく、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を少なくした方が望ましく、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多く(LL(Looker−Locker)実験の回数が多く)なった方が望ましい。逆に、心拍数「大」の場合、反転パルスの印加間隔を長くしたほうが望ましく、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を多くした方が望ましく、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なく(LL(Looker−Locker)実験の回数が少なく)なった方が望ましい。
また、第2の実施形態で述べたように、T1「小」の場合、反転パルスの印加間隔を短くしたほうが望ましく、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を少なくした方が望ましく、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多く(LL(Looker−Locker)実験の回数が多く)なった方が望ましい。逆に、T1「大」の場合、反転パルスの印加間隔を長くしたほうが望ましく、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を多くした方が望ましく、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なく(LL(Looker−Locker)実験の回数が少なく)なった方が望ましい。
従って、心拍数「小」及びT1「小」の場合、反転パルスの印加間隔を短くしたほうが望ましく、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を少なくした方が望ましく、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多く(LL(Looker−Locker)実験の回数が多く)なった方が望ましい。逆に、心拍数「大」及びT1「大」の場合、反転パルスの印加間隔を長くしたほうが望ましく、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を多くした方が望ましく、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なく(LL(Looker−Locker)実験の回数が少なく)なった方が望ましい。
従って、ステップS320d(心拍数「小」かつT1「小」)の場合、処理回路150は、設定機能150cにより、反転パルスの印加間隔を短くし、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を少なくし、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多くなるように設定を行う。
ステップS320a(心拍数「大」かつT1「大」)の場合、処理回路150は、設定機能150cにより、反転パルスの印加間隔を長くし、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を多くし、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なくなるように設定を行う。
処理回路150は、ステップS320bとステップS320cのケースについては、例えば、ステップS320dとステップS320aの中間となるような設定を行う。
次に、ステップS320bのケース(心拍数「大」かつT1「小」)の場合について説明する。かかる場合、T1が小さいために、カーブフィッティングにおけるTIが小さいデータ点が欠如することにより、T1に推定誤差が生じる。従って、上述の設定に加えて、処理回路150は、設定機能150cにより、初期TIの設定を行い、TIが小さいデータ点が十分多く収集されるような設定を行う。ここで初期TIは、例えば図2に示されている。心拍数「大」かつT1「小」の場合、処理回路150は、設定機能150cにより、例えば初期TIを、反転パルスごとに、例えば50msec、150msec、200msecに設定する。
ここで、ステップS320dのケース(心拍数「小」かつT1「小」)の場合の説明に戻る。かかる場合、ステップS320bのケースと同様に、TIが小さいデータ点が欠如することにより、T1に推定誤差が生じる。従って、処理回路150は、例えば、初期TIの設定を行う。加えて、上述したように、処理回路150は、例えばダミーサイクルの数を減らすなどして反転パルスの印加間隔を短くし、逆に1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が多くなるように設定を行う。典型的には、処理回路150は、パルスシーケンスのパターンを「3、(1)、3、(1)、3、(1)、2」に設置し、初期TIのセットを、例えば、50msec、100msec、300msec、500msecに設定する。
また、T1が大きい場合には、第2の実施形態で述べたように、次の反転パルスが印加するまでに縦磁化が十分緩和せず、また、TIが最長となるデータ点が、十分大きい値にならないという可能性がある。従って、処理回路150は、ステップS320aの場合(心拍数「大」かつT1「大」)とステップS320c(心拍数「小」かつT1「大」)のケースでは、設定機能150cにより、反転パルスの印加間隔を長くし、1個の反転パルスあたりのデータの収集回数を多くし、1回の繰り返し周期の中で、反転パルスの印加回数が少なくなるように設定を行う。
なお、ステップS320cのケースのほうが、ステップS320aのケースに比較して、縦磁化が十分緩和しないという現象がより表れにくいため、ステップS320cのケースにおいては、ステップS320aのケースと比較して、処理回路150は、反転パルスの印加間隔を長くする程度は、より少なくしてもよい。
続いて、処理回路150は、ステップS320a〜ステップS320dのいずれかにおいて設定された撮像条件を、シーケンス制御回路10に送信する。処理回路150が設定した撮像条件を受信したシーケンス制御回路10は、受信した撮像条件を用いてパルスシーケンスを実行する(ステップS330)。処理回路150は、ステップS330でシーケンス制御回路10により実行されたパルスシーケンスに基づいて、複数のTIに関するデータを取得する。処理回路150は、生成機能150bにより、取得された複数のTIに関するデータに対して、カーブフィッティングその他の処理を行って、T1マップを生成する(ステップS340)。処理回路150は、制御機能150aにより、生成されたT1マップをディスプレイ135に表示させる。ディスプレイ135は、生成されたT1マップを表示する(ステップS350)。
このように第3の実施形態では、処理回路150が、心拍数及び撮像対象のT1値の両方の値に基づいてパルスシーケンスのパターンを設定することで、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、被検体Pや撮像目的に応じてより適切なパルスシーケンスを設定することが可能となる。
(第4の実施形態)
実施形態は、上述の例に限られない。第1〜第3の実施形態では、処理回路150が、設定機能150cにより、心拍又は脈拍に関する情報に基づいて、反転パルス同士の心拍の数又は脈拍の数を設定することにより、心拍又は脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを設定する場合について説明した。実施形態はこれに限られない。
例えば、処理回路150は、設定機能150cにより、心拍又は脈拍に関する情報に基づいて、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を設定することにより、心拍又は脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを設定してもよい。
ここで、これまでの実施形態では、シーケンス制御回路10は、例えば「3、(3)、3、(3)、5」のパターンのように、被検体の心拍を基準にして所定のタイミングで所定の回数だけデータ収集を行った。第4の実施形態では、シーケンス制御回路10は、反転パルスが印加されてから所定の時間だけ、データ収集を行い続ける。例えば、データ収集を行い続ける時間が、反転パルスの印加の後3秒であったとすると、シーケンス制御回路10は、各心拍ごとに、反転パルスの印加の後3秒が経過するまでデータ収集を行い続ける。一例として、シーケンス制御回路10は、反転パルスの印加から0.5秒、1.5秒、2.5秒の時点において、3回のデータ収集を行う。ここで、例えば被検体の心拍数が増加した場合、シーケンス制御回路10が行うデータ収集は、4回となる。また、被検体の心拍数が減少した場合、シーケンス制御回路10が行うデータ収集は2回となる。
このように、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間が一定の場合、被検体の心拍数が大きくなると、データ収集間隔は短くなることから、データ収集回数は増加する。この結果、被検体の心拍数が大きくなると、シーケンス制御回路10は、必要なデータ収集回数より多い回数のデータ収集を行い、トータルでの撮像時間が増大してしまう場合がある。逆に、被検体の心拍数が小さくなると、データ収集間隔は長くなることから、データ収集回数は減少する。この結果、被検体の心拍数が小さくなると、データ収集の回数が足りなくなる場合がある。
かかる背景に基づいて、第4の実施形態では、処理回路150は、設定機能150cにより、心拍又は脈拍に関する情報に基づいて、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を設定する。例えば、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数又は脈拍数が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数又は脈拍数が所定の閾値を上回らない場合と比較して、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間が短くなるように、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を設定する。例えば、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値以上の場合、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を4秒とし、被検体の心拍数が当該所定の閾値未満の場合、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を5秒と設定する。また、例えば、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数又は脈拍数が所定の閾値を下回る場合、被検体の心拍数又は脈拍数が所定の閾値を下回らない場合と比較して、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間が長くなるように、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を設定する。
このことにより、第4の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100においては、トータルでの撮像時間を増大させることなく、データ収集の回数が足りなくなることもなく、シーケンス制御回路120は、被検体の心拍数(又は脈拍数)に応じて、必要十分な撮像時間と撮像回数で撮像を行うことができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、処理回路150が制御機能150aにより心拍若しくは脈拍に関する情報をパルスシーケンスの実行中にリアルタイムで収集し、パルスシーケンスの実行中に収集される当該情報に基づいて、心拍若しくは脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを動的に変更し、シーケンス制御回路10が変更されたパターンに基づいて、パルスシーケンスを実行する場合について説明する。
一例として、処理回路150は、設定機能150cにより、心拍又は脈拍に関する情報に基づいて、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を動的に設定する。例えば、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数若しくは脈拍数が所定の閾値を上回る場合、被検体の心拍数又は脈拍数が所定の閾値を上回らない場合と比較して、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間が短くなるように、反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を設定する。例えば、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数が所定の閾値以上の場合、次に反転パルスが印加された場合、その反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を4秒とし、被検体の心拍数が所定の閾値未満の場合、次に反転パルスが印加された場合、その反転パルスの印加の後にデータ収集を行い続ける時間を5秒と設定する。
このように、処理回路150は、設定機能150cにより、被検体の心拍数等に応じてデータ収集のパターンを動的に変更する。シーケンス制御回路10は、変更されたパターンに基づいて、パルスシーケンスを実行する。このことにより、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100においては、シーケンス制御回路10は、被検体の心拍数等の変化により柔軟に最適化されたパルスシーケンスを実行することができる。
また、別の例として、処理回路150は、設定機能150cにより、心拍若しくは脈拍に関する情報に基づいて、例えば待機時間の心拍数等を動的に変更することにより、心拍若しくは脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを動的に変更する。例えば、被検体の心拍数が所定の閾値以上の状態が維持されていた場合、処理回路150は、設定機能150cにより、実行されるパルスシーケンスのパターンを、「3、(3)、3、(3)、5」に設定する。また、被検体の心拍数が所定の閾値未満に変化した場合、収集の待機時間は少なくても良いと判断されることから、処理回路150は、設定機能150cにより、実行されるパルスシーケンスのパターンを、「3、(2)、3、(3)、5」に動的に変更する。シーケンス制御回路120は、変更されたパルスシーケンスのパターンに従ったタイミングで、反転パルスの印加やデータ収集を行う。これにより、例えば不要な待機時間を減らすことにより撮像時間の短縮を実現したり、反転パルスの印加からデータ収集までの時間が短すぎることによる撮像失敗を防止することができる。
なお、処理回路150は、設定機能150cにより、例えば不整脈の情報に基づいて、心拍若しくは脈拍と反転パルスとデータ収集のタイミングとの関係を規定するパターンを動的に変更してもよい。一例として、処理回路150は、設定機能150cにより、不整脈を検出すると、その部分のデータについては再度収集する必要があると判断し、その旨の信号をシーケンス制御回路120に通知する。処理回路150から、不整脈を検出した旨の通知を受信したシーケンス制御回路120は、例えばデータ収集を行う期間をもう1心拍分延長して、データ収集を行う。
以上、第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100によれば、被検体の心拍数や脈拍の変化に対して柔軟に最適化されたパルスシーケンスを実行することができる。
(その他の実施形態)
第1〜第5の実施形態では、処理回路150が、生成機能150bにより、T1マップを生成する場合について説明した。実施形態はこれに限られない。処理回路150は、ECV(Extracellular Volume fraction)マップを生成してもよい。ここで、ECVマップとは、例えば心筋の細胞外容積を表すマップであり、例えばびまん性心筋繊維症の場合に値が大きくなる。心筋のECVマップは、造影剤投入前の心筋のT1、造影剤投入後の心筋のT1、造影剤投入前の血液のT1、造影剤投入後の血液のT1の値を基に生成することができる。
図10に、かかる処理の流れが示されている。図10は、その他の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。
処理回路150は、設定機能150cにより、例えば図6で説明したステップS202aの処理を行うことにより、「造影剤投入前」に対応するパルスシーケンスのパターンを設定する(ステップS400)。続いて、ステップS400において処理回路150が設定した設定を受信したシーケンス制御回路10は、設定されたパターンに従って、パルスシーケンスを実行する(ステップS410)。ステップS410において実行されたパルスシーケンスに基づいて、処理回路150は、生成機能150bにより、第1のデータを生成する(ステップS420)。ここで、第1のデータとは、例えば、造影剤投入前の心筋のT1及び造影剤投入前の血液のT1、またはそれらのうち片方である。換言すると、処理回路150は、ステップS400〜ステップS420の処理において、一度の撮像で心筋のT1及び血液のT1の両方を同時に得ても良いし、撮像条件を変えてステップS400〜ステップS420の撮像を2回繰り返し、合計2回の撮像で心筋のT1及び血液のT1の両方を得ても良い。
続いて、処理回路150は、設定機能150cにより、例えば図6で説明したステップS202bの処理を行うことにより、「造影剤投入後」に対応するパルスシーケンスのパターンを設定する(ステップS430)。続いて、ステップS430において処理回路150が設定した設定を受信したシーケンス制御回路10は、設定されたパターンに従って、パルスシーケンスを実行する(ステップS440)。ステップS440において実行されたパルスシーケンスに基づいて、処理回路150は、生成機能150bにより、第2のデータを生成する(ステップS450)。ここで、第2のデータとは、例えば、造影剤投入後の心筋のT1及び造影剤投入後の血液のT1、またはそれらのうち片方である。換言すると、処理回路150は、ステップS430〜ステップS450の処理において、一度の撮像で心筋のT1及び血液のT1の両方を同時に得ても良いし、撮像条件を変えてステップS430〜ステップS450の撮像を2回繰り返し、合計2回の撮像で心筋のT1及び血液のT1の両方を得ても良い。
ステップS460において、処理回路150は、生成機能150bにより、第1のデータと第2のデータとに基づいて、ECVマップを生成する(ステップS460)。処理回路150は、ディスプレイ135に、ステップS460で生成されたECVマップを表示させる(ステップS470)。
なお、実施形態では、第2の実施形態においてECVマップを生成する場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば第1の実施形態や第3の実施形態においてECVマップを生成してもよい。また、第2の実施形態において、T1値に関する情報の入力を手動で受け付ける場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。磁気共鳴イメージング装置100は、T1値の値を自動で取得し、例えばadaptiveに、適切なパルスシーケンスのパターンを設定してもよい。
実施形態はこれに限られない。例えば、第2の実施形態で説明したGUI、例えば図8に示されているGUIは、第1の実施形態に適用されてもよい。
(プログラム)
上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100や画像処理装置200による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置や画像処理装置と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
さらに、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
(ハードウェア構成)
図11は、実施形態に係る画像処理装置200のハードウェア構成を示す図である。上述した実施形態に係る画像処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)310等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)320やRAM(Random Access Memory)330等の記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信インタフェース340と、各部を接続するバス301とを備えている。上述した実施形態に係る画像処理装置200で実行されるプログラムは、例えばROM320等に予め組み込まれて提供される。また、上述した実施形態に係る画像処理装置200で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した画像処理装置200の各部として機能させ得る。このコンピュータは、CPU310がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、効率良くデータ収集を行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。