JP6976663B2 - 動力伝達装置および動力伝達装置を使用した表示装置 - Google Patents

動力伝達装置および動力伝達装置を使用した表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、第1歯車と第2歯車の双方に噛み合う中間歯車を有する動力伝達装置に係るものであり、第1歯車と第2歯車の双方に対する中間歯車の噛み合いによるバックラッシュを抑制する構造を有する動力伝達装置および動力伝達装置を使用した表示装置に関する。
各種装置の動力部に、第1歯車および第2歯車と、第1歯車と第2歯車の双方に噛み合う中間歯車とを有する動力伝達装置が使用される。この動力伝達装置は、例えば、3つの歯車の歯数を変えて減速機構として使用され、あるいは中間歯車にスリップ機能を持たせたクラッチ機構として使用される。この場合に、第1歯車および第2歯車と中間歯車との間にバックラッシュがあると、歯当たり音が発生し、特に動力の向きが逆転されるときに、比較的大きな歯当たり音が発生しやすい。また中間歯車などの支持軸の固定にがたつきが有ると、動力の向きが逆転するときに支持軸の傾き方向が急激に変化し、これによってもノイズが発生する。
そこで、特許文献1の図3に、3つの歯車の間のバックラッシュを最小にするためのダンパが記載されている。
特許文献1の図3には、制動歯車14および回動歯車41と、前記2つの歯車14,41の双方に噛み合う伝達歯車21、および伝達歯車21を支持する伝達歯車支持板31Bが設けられている。伝達歯車支持板31Bに支持孔32Bが形成されており、伝達歯車21の伝達軸22が支持孔32Bに挿入されている。支持孔32Bは、制動歯車14の制動軸13と回動歯車41の回動軸42とを結ぶ線と直交する方向へ伝達軸22が動ける長穴である。ケーシング1Bに樹脂ばね6が一体に形成されており、樹脂ばね6によって、伝達軸22が長穴の支持孔32Bに沿って付勢され、伝達歯車21が制動歯車14と回動歯車41に押し付けられ、これによりバックラッシュの発生が抑制されている。
特開平6−200986号公報
しかしながら、特許文献1の図3に示すダンパでは、伝達歯車21の伝達軸22が、支持孔32Bの長穴に沿う方向にしか動くことができないため、制動軸13および回動軸42と支持孔32Bの相対的な位置の誤差が大きくなると、伝達歯車21が、制動歯車12と回動歯車41の2つの歯車に対して均等な力で圧接することができなくなり、制動歯車12と回動歯車41のいずれか一方と、伝達歯車21との間のバックラッシュが大きくなりやすい。
また、伝達歯車21は、制動軸13と回動軸42とを結ぶ線と直交する方向へのみ、樹脂ばね6で付勢されているため、制動歯車12と回動歯車41のピッチ円が互いに相違していると、制動歯車12と伝達歯車21との間のバックラッシュと、回動歯車41と伝達歯車21との間のバックラッシュとの不均衡がさらに大きくなってしまう。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、第1歯車と第2歯車の双方に対して、中間歯車を確実に加圧することができる動力伝達装置および動力伝達装置を使用した表示装置を提供することを目的としている。
本発明は、噛み合わない距離を開けて配置された第1歯車および第2歯車と、前記第1歯車と第2歯車の双方に噛み合う中間歯車と、前記中間歯車の支持軸を支持する支持ベースと、を有している動力伝達装置において、
前記支持軸の中心線と前記第1歯車の回転中心線とを結ぶ第1方向線と、前記支持軸の中心線と前記第2歯車の回転中心線とを結ぶ第2方向線とが180度未満の角度を成しており、
前記中間歯車の支持軸の軸端部と前記支持ベースとの間に付勢支持部材が設けられ、前記付勢支持部材には、前記支持ベースに固定される固定部と、前記軸端部を支持する軸端支持部と、前記固定部と前記軸端支持部との間に位置する弾性片と、が設けられ
前記弾性片は、前記角度を成す前記第1方向線と前記第2方向線との間に向く付勢作用線に向けて撓み変形可能であるとともに、前記支持軸の中心線と平行な線を中心としてねじれ変形可能であり、
前記支持軸が、前記支持軸と垂直な平面内の各方向に移動可能で、前記弾性片の弾性力により、前記中間歯車が、前記第1歯車と前記第2歯車の双方と噛み合う方向へ付勢されていることを特徴とするものである。
本発明の動力伝達装置は、前記付勢支持部材の前記軸端支持部に合成樹脂製の軸端キャップが固定されており、前記軸端部が前記軸端キャップに支持されていることが好ましい。
また、前記支持軸の両端の前記軸端部のそれぞれが、前記軸端キャップおよび前記付勢支持部材で支持されていることが好ましい。
本発明の動力伝達装置は、前記付勢支持部材は、前記軸端支持部の両側に前記固定部が設けられ、
前記軸端支持部とそれぞれの前記固定部との間に、前記弾性片と、前記弾性片から折り返された固定掛止片とが形成されて、前記固定掛止片に止め爪が設けられており、前記支持ベースが、前記固定部と前記止め爪の先端とで挟持されているものが好ましい。
次に、本発明の表示装置は、前記のいずれかに記載された動力伝達装置を有しており、
前記第1歯車に回転動力を与えるモータと、前記第2歯車からの回転出力で動作させられるリンク部材と、表示部材を支持するブラケットと、を有しており、
前記リンク部材の動作により、前記ブラケットおよび前記表示部材の位置と姿勢の少なくとも一方が変化させられることを特徴とするものである。
本発明の動力伝達装置は、中間歯車が、撓み変形とねじれ変形とが可能な弾性片の弾性力によって、第1歯車と第2歯車に向けて付勢されている。そのため、中間歯車の第1歯車への圧接力と第2歯車への圧接力との差を減少させることができ、中間歯車の第1歯車と第2歯車の双方に対するバックラッシュの不均衡が発生しにくくなる。
中間歯車の第1歯車と第2歯車に対するバックラッシュの偏りを解消できるため、本発明の表示装置では、動力伝達装置によって、質量の大きい表示部材の姿勢を変化させる際に、歯当たり音や歯車の軸のがたつき音などのノイズを低減させることができる。
本発明の実施形態の表示装置の全体構造を前方から見た斜視図、 図1に示す表示装置の全体構造を後方から見た斜視図、 図2に示す表示装置の動力伝達装置と、前記動力伝達装置で動作させられるラック部材を示す一部分解斜視図、 図3に示す動力伝達装置の構造の一部を示す分解斜視図、 動力伝達装置を示す図3のV−V線での断面図、 図5に示す断面図の両側の軸端部を拡大して示す拡大断面図、 動力伝達装置の軸端部と軸端キャップと付勢支持部材を示す拡大分解斜視図、 図3に示す動力伝達部材を後方から示す背面図、 図1に示す表示装置の初期姿勢を示す右側面図、 図1に示す表示装置において、表示部材が回転することなく前進する動作を示す右側面図、 図1に示す表示装置において、表示部材がさらに回転しながら前進する動作を示す右側面図、 図1に示す表示装置において、表示部材の前進動作と回転動作が終了して、表示部材の向きが変化した状態を示す右側面図、
<表示装置1の構成>
図1と図2に、本発明の実施形態の表示装置1の全体の構造が示されている。表示装置1は、Y1方向が前方で、表示方向の前方でもある。Y2方向は後方である。また、Z1方向が上方でZ2方向が下方、X1方向が左方向で、X2方向が右方向である。
図1と図2に示すように、表示装置1は表示部材2を有している。表示部材2は、対向する2つの長辺2aと対向する2つの短辺2bを有する長方形状である。表示部材2は、保持ケース3の内部にカラー液晶表示セルやエレクトロルミネッセンス表示セルなどの各種方式の表示セルが収納されており、表示セルの表示画面4が前方(Y1方向)に向けられている。表示画面4は透光性のカバー板で覆われている。カバー板に静電容量の変化を検知しまたは抵抗値の変化を検知するタッチセンサが設けられており、表示画面4においてカバー板に指を触れることで、入力操作が可能となっている。
図2に示すように、表示部材2の保持ケース3の後方(Y2方向)に向く背面に回転ブラケット6が固定されている。回転ブラケット6の側部に固定片6cが折り曲げられており、固定片6cと保持ケース3とが固定ねじ7で固定されている。
図1と図2に示すように、表示装置1は固定部材12を有している。固定部材12は、固定シャーシ12aと、固定シャーシ12aを後方から塞ぐ固定蓋部12bとで構成されている。固定シャーシ12aと固定蓋部12bは、複数の固定ねじ13によって固定されている。図2および図9ないし図12示すように、回転ブラケット6と固定シャーシ12aとの間に板金製の支持ブラケット11が設けられている。図10ないし図12に現れているように、支持ブラケット11には、後方(Y2方向)に延びる複数本のスラスト軸15が固定されている。固定シャーシ12aの内部には、スラスト軸受け部材が固定されており、スラスト軸15がスラスト軸受け部材に、軸方向へ摺動自在に挿入されている。
図2および図10ないし図12にその一部が現れているように、支持ブラケット11には回転支持部29が設けられている。表示部材2を保持している回転ブラケット6に後方(Y2方向)に延びる軸体が固定されており、軸体が回転支持部29に回転自在に支持されている。これにより、回転ブラケット6およびこれに保持されている表示部材2が、図1に示す回転軸線Otを中心として回転できるように支持されている。回転軸線Otは、表示部材2の表示画面4と交差して(例えば直交して)前方(Y1方向)に延びる仮想線であり、回転ブラケット6および表示部材2は、回転軸線Otを中心として図1に示すα方向へ90度の範囲で回転可能である。
前記スラスト軸15がスラスト軸受け部材に摺動自在に支持されているため、支持ブラケット11は、固定シャーシ12aに対して前後方向(Y1−Y2方向)へ進退自在である。表示装置1が車載用の場合には、固定シャーシ12aが、車室内のインストルメントパネルの内部に固定され、支持ブラケット11は、インストルメントパネルの表面から車室内に向けて前進することが可能である。また、表示部材2および回転ブラケット6が、支持ブラケット11に回転自在に支持されているため、図1において実線で示すように、表示部材2は、長辺2aが上下方向(Z1−Z2方向)に向けられた縦向きの初期姿勢と、鎖線で示すように、長辺2aが左右方向(X1−X2方向)に向けられた横向きの姿勢との間で90度の範囲で回転自在である。
図2に示すように、固定シャーシ12aの内部に、モータを備えた動力伝達装置30と、動力伝達装置30の動力でZ1−Z2方向に駆動されるラック部材20が設けられている。図9から図11に示すように、固定部材12の内部に第1リンク部材21と第2リンク部材22とが設けられている。第1リンク部材21と第2リンク部材22は、それぞれの中央部が連結軸23によって回動自在に連結されている。第1リンク部材21のY2側の端部が支点軸24を介して固定シャーシ12aに回転自在に支持され、第1リンク部材21のY1側の端部は移動軸25に回動自在に支持されており、移動軸25は、支持ブラケット11に設けられた案内長穴16に沿ってZ1−Z2方向へ摺動自在に支持されている。第2リンク部材22のY1側の端部は支点軸26を介して支持ブラケット11に回動自在に支持されており、第2リンク部材22のY2側の端部は移動軸27に回動自在に支持されており、移動軸27は、固定シャーシ12aに設けられた案内長穴17に沿ってZ1−Z2方向へ移動自在に支持されている。
動力伝達装置30の駆動力でラック部材20がZ1−Z2方向へ駆動されると、第1リンク部材21と第2リンク部材22の互いの角度が変化させられ、表示部材2を保持している回転ブラケット6と共に支持ブラケット11がZ1−Z2方向に移動させられる。支持ブラケット11に、連動機構が取付けられており、図10ないし図12に現れているように、連動機構には、Z1−Z2方向に移動する移動駆動部材28が設けられている。第1リンク部材21のY1側の端部を支持している移動軸25がZ1−Z2方向へ移動すると、その移動力で連動機構が動作し、連動機構を構成する移動駆動部材28がZ1−Z2方向へ移動させられる。移動駆動部材28の移動力により回転ブラケット6に固定された軸体に回転力が与えられ、回転ブラケット6と共に、表示部材2が、第1リンク部材21と第2リンク部材22の動作に連動して、回転軸線Otを中心として回転する。
<動力伝達装置30の構成>
図3に、固定シャーシ12aの内部に設けられている動力伝達装置30と、この動力伝達装置30で駆動させられるラック部材20、およびラック部材20と共に移動させられる移動軸27が示されている。図4ないし図7には動力伝達装置30の詳細が示され、図8に動力伝達装置30のバックラッシュの抑制機能が説明されている。
図3と図4に示すように、動力伝達装置30は、第1支持ベース31と第2支持ベース32を有している。第1支持ベース31と第2支持ベース32は、金属板を折り曲げて形成されており、図3に示す複数の連結ねじ33によって互いに連結されている。また、第1支持ベース31は、図3に示す固定ねじ34によって、固定シャーシ12aの内部に固定されている。
図3と図8に示すように、動力伝達装置30には、第1歯車41と第2歯車42が設けられている。第1歯車41は入力歯車で、第2歯車42が出力歯車である。第1歯車41は第1支持軸43に回転自在に支持されている。第1支持軸43は、Y1側に向く基端部が第1支持ベース31にかしめ固定されており、Y2側に向く先端部が、第2支持ベース32の軸端支持部32aに嵌合されて固定されている。第2歯車42は第2支持軸44に回転自在に支持されている。第2支持軸44は、Y1側に向く基端部が第1支持ベース31にかしめ固定されている。図8に示すように、第1支持軸43と第2支持軸44は、第1歯車41と第2歯車42が互いに噛み合わない距離を空けて固定されている。
図8に示すように、第1歯車41は、基部側の大径歯車部41aと先部側の小径歯車部41bとが一体に形成されている。第1支持ベース31のY1側の面にモータ35が固定されており、モータ35の出力軸にウオーム歯車36が固定されている。第1歯車41の大径歯車部41aはウオームホィールであり、ウオーム歯車36と大径歯車部41aとが噛み合っている。第2歯車42は、基部側(Y1側)の大径歯車部41aと先部側(Y2側)の小径歯車部42bとが一体に形成されている。図2と図3に示すように、移動軸27と共にZ1−Z2方向へ移動する前記ラック部材20のラック歯20aが、第2歯車42の小径歯車部42bと噛み合っている。
図3と図8に示すように、第1歯車41と第2歯車42の間に中間歯車50が設けられている。中間歯車50は中間支持軸51に回転自在に支持されている。図3と図4および図5に示すように、中間歯車50は、入力歯車部52と出力歯車部53を有している。図5に示すように、入力歯車部52に中間支持軸51が挿通され、中間支持軸51に嵌合するワッシャ54により、中間支持軸51からの入力歯車部52の抜け止めがなされている。入力歯車部52は合成樹脂製であり、中間支持軸51に回転自在に支持されている。入力歯車部52は、Y2側が小径部52cとなっており、合成樹脂製の出力歯車部53がこの小径部52cに回転自在に挿通されている。
中間歯車50は、入力歯車部52がY1側に歯部52aを有し、出力歯車部53の歯部53aがY2側に位置している。入力歯車部52の歯部52aと出力歯車53の歯部53aは、ピッチ円形が同径の平歯車を構成している。第1歯車41の小径歯車部41bは平歯車であり、小径歯車部41bは、入力歯車部52の歯部52aに噛み合っている。第2歯車42の大径歯車部42aも平歯車であり、大径歯車部42aが出力歯車部53の歯部53aに噛み合っている。
中間歯車50はクラッチ機構を構成している。図5に示すように、入力歯車部52と出力歯車部53との間に摩擦クラッチ板55が介在している。出力歯車部53にはY2方向に解放された凹部53bが形成されており、凹部53bの底部に摩擦クラッチ板56が設置されている。入力歯車部52のY2側の先端面52bにクラッチ調整板57が固定ねじ58で固定されている。図4と図8に示すように、クラッチ調整板57の3か所に無頭ねじである押圧調節ねじ59が螺着されており、押圧調節ねじ59の先端で摩擦クラッチ板56がY1方向に押圧されている。押圧調節ねじ59のねじ込み量を調節することによって、摩擦クラッチ板55,56で発揮される摩擦力が調節され、入力歯車部52と出力歯車部53との相対回転の抵抗力が設定される。
図4と図5および図6に示すように、中間支持軸51の基部側(Y1側)の軸端部51aは、軸端キャップ60aと付勢支持部材70aを介して、第1支持ベース31に支持されている。中間支持軸51の先部側(Y2側)の軸端部51bは、軸端キャップ60bおよび付勢支持部材70bを介して、第2支持ベース32の軸端支持部32bに支持されている。
Y1側の軸端キャップ60aとY2側の軸端キャップ60bは、同じ構造で同じ寸法のものが使用されている。図6と図7に示すように、軸端キャップ60a,60bは、保持筒部61とフランジ部62とが合成樹脂材料で一体に形成されている。中間支持軸51のY1側の軸端部51aは、軸端キャップ60aの保持筒部61の筒内部61aに軽い力で圧入されて固定されている。中間支持軸51のY2側の軸端部51bは、軸端キャップ60bの保持筒部61の筒内部61aに軽い力で圧入されて固定されている。すなわち、中間支持軸51の両端部が軸端キャップ60a,60bに固定され、中間歯車50の入力歯車部52が中間支持軸51に回転自在に支持されている。ただし、これとは逆に、入力歯車部52が中間支持軸51に固定され、中間支持軸51の両端部が、軸端キャップ60a,60bに回転自在に支持されていてもよい。
Y1側の付勢支持部材70aとY2側の付勢支持部材70bは、同じ構造で同じ寸法のものが使用されている。付勢支持部材70a,70bは、ばね性ステンレス鋼板やリン青銅板などの板ばね材料によってプレス成形されている。
図6と図7に示すように、付勢支持部材70a,70bは、中央部が軸端支持部71であり、軸端支持部71を挟んでZ1−Z2方向の両端部に固定部(固定片)72,72が形成されている。軸端支持部71と固定部72,72は、中間支持軸51の中心線(軸芯線)Osと垂直な向きの平面板部である。軸端支持部71には軸端保持穴71aが開口している。一方の固定部72には円形の位置決め穴72aが開口しており、他方の固定部72には、Z1−Z2方向に延びる長穴72bが形成されている。
軸端支持部71とそれぞれの固定部72との間には、軸端支持部71と連続して垂直に折り曲げられた弾性片73が設けられている。弾性片73は、板ばね部として機能する弾性変形可能な板片であり、その板面が中心線Osに沿って平行に延在している。弾性片73の板厚方向、すなわち板面と直交する方向は、中心線Osと直交している。それぞれの弾性片73と固定部72との間には、弾性片73から折り返された固定掛止片74が設けられている。固定掛止片74は、弾性片73から断面半円形の折曲げ部75を介して180度の向きで折り返されており、固定掛止片74と弾性片73とがほぼ平行に対面している。それぞれの固定部72は、固定掛止片74からほぼ垂直に折り曲げられている。それぞれの固定掛止片74には、固定部72の方向に先端が向けられる止め爪74aが切り起こされて曲げ形成されている。
図4に示すように、第1支持ベース31に、中間取付け部80aが設けられ、第2支持ベース32の軸端支持部32bに中間取付け部80bが設けられている。中間取付け部80aと中間取付け部80bは、Y1−Y2方向で対面する方向において互いに対称である。中間取付け部80aと中間取付け部80bのそれぞれには、円形の貫通穴である軸端挿入穴81と、軸端挿入穴81のZ1−Z2方向の両側に位置する矩形の貫通穴である弾性片挿入穴82,82とが形成されている。弾性片挿入穴82,82のそれぞれのZ1−Z2方向の両側に、位置決め突部83、83が隆起成形されている。第1支持ベース31の中間取付け部80aでは、位置決め突部83が、Y2方向に向けて突出しており、第2支持ベース32の中間取付け部80bでは、位置決め突部83がY1方向に向けて突出している。
次に、動力伝達装置30の組立て方法を説明する。
第1支持軸43のY1側の基端部と第2支持軸44のY1側の基端部を、第1支持ベース31にかしめ固定する。第1支持軸43に第1歯車41を回転自在に挿通させ、第2支持軸44に第2歯車42を回転自在に挿通させる。図3と図8に示すように、第2支持軸44の先端に抜け止めリング46を嵌着させ、第2歯車42の抜け止めを行う。
第1支持ベース31に設けられた中間取付け部80aに、基部側(Y1側)の付勢支持部材70aを取付ける。図6に示すように、中間取付け部80aの弾性片挿入穴82,82のそれぞれに、付勢支持部材70aの弾性片73および固定掛止片74を、Y1方向へ挿入すると、それぞれの固定掛止片74,74が、弾性片挿入穴82のZ方向に向く内壁面に圧接される。さらに、付勢支持部材70aの一方の固定部72に形成された位置決め穴72aを、中間取付け部80aの位置決め突部83に嵌合させ、他方の固定部72に形成された長穴72bを位置決め突部83に嵌合させる。このとき、固定掛止片74,74に設けられた止め爪74a,74aの先部が、第1支持ベース31のY1方向に向く表面に掛止される。付勢支持部材70aは、位置決め突部83,83によって位置決めされ、固定部72,72と止め爪74a,74aとで第1支持ベース31を挟んだ状態で固定される。
第1支持ベース31に取付けられた付勢支持部材70aの軸端保持穴71aに、Y1側の軸端キャップ60aの保持筒部61を、軽い力で圧入して固定する。このとき、図6に示すように、軸端キャップ60aの保持筒部61が、第1支持ベース31に形成された軸端挿入穴81の内部に挿入される。次に、中間支持軸51のY1側の軸端部51aを、軸端キャップ60aの筒内部61aに軽い力で圧入して固定し、中間支持軸51に入力歯車部52と出力歯車部53、および摩擦クラッチ板55,56などを挿入し、中間支持軸51に、図5に示すワッシャ54を取付けて、中間歯車50の組立を完了する。
一方で、第2支持ベース32の中間取付け部80bに、Y2側の付勢支持部材70bをY2方向に組み込む。第2支持ベース32への付勢支持部材70bの取付け方法は、第1支持ベース31への付勢支持部材70aの取付け方法と同じである。付勢支持部材70bの軸端保持穴71aに軸端キャップ60bの保持筒部61を、軽い圧入状態となるように嵌合する。このとき、軸端キャップ60bの保持筒部61が、第2支持ベース32の軸端挿入穴81の内部に挿入される。そして、軸端キャップ60bの筒内部61aに、中間支持軸51のY2側の軸端部51bを軽く圧入し、さらに、第1歯車41を回転自在に支持している第1支持軸43のY2側の先端を、第2支持ベース32に形成された支持穴に嵌合させ、連結ねじ33によって、第2支持ベース32を第1支持ベース31に固定する。
図6に示すように、第1支持ベース31と第2支持ベース32に形成されている軸端挿入穴81の内径寸法は、軸端キャップ60a,60bの保持筒部61の外径寸法よりも大きく形成されている。付勢支持部材70a,70bと軸端キャップ60a,60bが中間取付け部80a,80bに取付けられた状態で、軸端キャップ60a,60bの保持筒部61は、X−Y平面内の各方向に対して、図6に示す移動余裕δ1だけ動くことが可能である。また、付勢支持部材70a,70bのそれぞれの弾性片73と弾性片挿入穴82との間では、弾性片73が、変形余裕δ2の範囲で中心線Osに向けて変形可能となっている。
動力伝達装置30が組み立てられると、図8に示すように、中間歯車50の入力歯車部52が第1歯車41の小径歯車部41bに噛み合い、中間歯車50の出力歯車部53が第2歯車42の大径歯車部42aと噛み合う。図8には、中間支持軸51の中心線Osを通る付勢作用線L0が示されている。付勢作用線L0は、付勢支持部材70a,70bにおける長手方向に延びる中心線である。また付勢作用線L0は、それぞれの弾性片73の板面に垂直に延びる線である。また、図8には、中間支持軸51の中心線Osと第1支持軸43の回転中心線とを結ぶ線が第1方向線Laとして示され、中間支持軸51の中心線Osと第2支持軸44の回転中心線とを結ぶ線が第2方向線Lbとして示されている。付勢作用線L0は、第1方向線Laと第2方向線Lbとが180度未満の角度を成している対向領域において、第1方向線Laと第2方向線Lbとの間に向けて延びている。
第1歯車41と第2歯車42を取り外したときの、付勢支持部材70a,70bで支持されている中間支持軸51の中心線Osの位置は、中間歯車50が第1歯車41と第2歯車42に噛み合っている図8に示す組立完了状態の位置よりも、付勢作用線L0の付勢方向Lfに向けてやや移動した位置に設定されている。したがって、図8に示す組立完了状態では、中間支持軸51の中心線Osが、組立前の中心線Osの中立位置よりも付勢方向Lfの逆側へ少し変位させられている。
そのため、動力伝達装置30の組立が完了した状態では、図6に示す付勢支持部材70a,70bのそれぞれの弾性片73,73が、付勢作用線L0に沿う方向であって、付勢方向Lfと反対側へ撓み変形(曲げ変形)した状態となっている。図8に示すように、この撓み変形により、弾性片73から中間支持軸51に対して、付勢作用線L0に沿う方向の付勢ベクトルF0が作用する。付勢支持部材70a,70bに形成された弾性片73は、その板面が中心線Osと平行であり、弾性片73は、中心線Osと平行な線を中心としてねじり変形可能である。そのため、中間歯車50が第1歯車41と第2歯車42とに圧接されたときの反力が付勢支持部材70a,70bに作用すると、その反力の大きさに依存して弾性片73が捩じり変形することがある。この捩じり変形が生じると、中間支持軸51に対して、第1方向線La方向に向けた付勢ベクトルF1または第2方向線Lb方向に向けて付勢ベクトルF2が作用する。
特許文献1に記載された発明のように、中間支持軸51が付勢作用線L0に沿う方向のみにしか移動できない構造では、中間歯車50が第1歯車41と第2歯車42のいずれか一方に片寄った力で弾圧されるおそれがある。これに対し、実施形態の付勢支持部材70a,70bは、弾性片73が撓み方向と捩じり方向とに弾性変形できるため、また軸端キャップ60a,60bの保持筒部61が、中間取付け部80a,80bの軸端挿入穴81内でX−Y平面に沿う全ての方向へ移動できるように移動余裕δ1を有している。そのため、中間歯車50が、第1歯車41と第2歯車42の双方に確実に弾圧されるようになる。
動力伝達装置30では、モータ35の回転力が、ウオーム歯車36から第1歯車41に伝達され、さらに中間歯車50を介して第2歯車42に伝達される。そして、第2歯車42の小径歯車部42bの回転力によってリンク部材20がZ1−Z2方向へ駆動される。
図8に示すように、中間支持軸51に付勢ベクトルF0,F1,F2が作用するため、中間歯車50と第1歯車41とのバックラッシュ、および中間歯車50と第2歯車42とのバックラッシュが、双方ともに効果的に低減させられる。また、合成樹脂製の第1歯車41と第2歯車42および中間歯車50のピッチ円が温度変化に応じて変化したとしても、常に最適な噛み合い状態を維持できる。よって、動力伝達時の歯当たり音を低減させることができ、動力の伝達方向が反転するときの歯当たり音も低下させることができる。
さらに、中間支持軸51の両端部が、合成樹脂製の軸端キャップ60a,60bで保持され、軸端キャップ60a,60bが板ばね機能を発揮する付勢支持部材70a,70bで支持されているため、動力の伝達方向が反転するときに、中間支持軸51を逆方向に傾かせる方向の衝撃的な力が作用したとしても、中間支持軸51の支持部からノイズが発生しにくい。また動力伝達時の、中間歯車50の回転振動や動力伝達のための歯当たり振動が中間支持軸51に伝達されたとしても、合成樹脂製の軸端キャップ60a,60bにより制振され、これら振動音が付勢支持部材70a,70bに伝達されるのを抑制できる。
図8に示すように、第1方向線Laと付勢作用線L0との成す角度をαとし、第2方向線Lbと付勢作用線L0との成す角度をβとしたときに、α<βである。第1歯車41の小径歯車部41bと、中間歯車50の入力歯車部52および出力歯車部53と、第2歯車42の大径歯車部42aは全て平歯車でありモジュールが全て同一である。この場合、中間歯車50のピッチ円を基準にして、ピッチ円径の小さい小径歯車部41bとの間のバックラッシュは、ピッチ円径の大きい大径歯車部42aとの間のバックラッシュよりも大きくなる。よって、付勢作用線L0の向きを小径歯車41bに向けることで、中間歯車50の小径歯車部41bとのバックラッシュと、大径歯車部42aとのバックラッシュを均一化しやすくなる。ただし、付勢支持部材70a,70bでは、弾性片73の捩じり変形により、第1歯車41に対するバックラッシュと、第2歯車42に対するバックラッシュの差を小さくするように調節できるため、角度はα=βであってもよい。
<表示装置1の動作>
次に、表示装置1の動作を説明する。
図1と図2および図9は、初期姿勢の表示装置1を示している。初期姿勢では、第1リンク部材21と第2リンク部材22の動きにより、支持ブラケット11が後方(Y2方向)に引き付けられて、支持ブラケット11が固定シャーシ12aに密着している。表示部材2は長辺2aが上下に向けられた縦向き姿勢である。
初期姿勢において、表示部材2の表示画面4を覆うカバー板に設けられたタッチセンサが操作され、あるいはインストルメントパネルなどに設けられた他の操作部が操作されて、表示部材2の姿勢を変化させる動作の開始が指示されると、図示しない制御部の制御動作により動力伝達装置30のモータ35が始動する。動力伝達装置30では、モータ35の回転動力が第1歯車41から中間歯車50を介して第2歯車42に伝達され、第2歯車42の小径歯車部42bと噛み合うラック部材20が駆動される。ラック部材20がZ1方向へ移動すると、第1リンク部材21と第2リンク部材22動作し、図10と図11および図12に示すように支持ブラケット11がY1方向へ前進する。
この間、第1リンク部材21を支持している移動軸25の移動力が連動機構に作用し、連動機構に設けられた移動駆動部材28が、タイミングをずらしてZ1方向へ移動する。図2などに示す回転支持部29では、回転ブラケット6と共に回転する軸体に部分歯車が固定されている。第1リンク部材21と第2リンク部材22が動作し、支持ブラケット11が前進するときに、その前進行程の後半に、移動駆動部材28のラック歯が前記軸体の部分歯車と噛み合い、移動駆動部材28の移動力によって、回転ブラケット6が回転させられ、表示部材2が90度回転して横向きの姿勢となる。
すなわち、支持ブラケット11が、図9から図10に示すように前方へ距離L1だけ移動する間は、表示部材2が縦向きであり、図10から図11を経て図12に示すよう、支持ブラケット11が前方へさらに距離L2だけ前進するときに、その前進に同期して、表示部材2が横向きの姿勢に回転させられる。すなわち、表示装置1は、第1リンク部材21と第2リンク部材22の動作により、前記支持ブラケット11と回転ブラケット6および前記表示部材2の位置と姿勢の少なくとも一方が変化させられる。
また、動力伝達装置30が動作し、表示部材2の姿勢が変化しているときに、表示部材2の移動が手の力などで規制されると、摩擦クラッチ板55,56を有する中間歯車50において、入力歯車部52と出力歯車部53とが互いにスリップし、モータ35に過大な負荷が作用するのを防止することができる。
1 表示装置
2 表示部材
4 表示画面
6 回転ブラケット
6b 対向面
11 支持ブラケット
12a 固定シャーシ
21 第1リンク部材
22 第2リンク部材
30 動力伝達装置
31 第1支持ベース
32 第2支持ベース
35 モータ
41 第1歯車
42 第2歯車
50 中間歯車
51 中間支持軸
52 入力歯車部
53 出力歯車部
60a,60b 軸端キャップ
70a,70b 付勢支持部材
71 軸端支持部
72 固定部
73 弾性片
74 固定掛止片
81 軸端挿入穴
82 弾性片挿入穴
F0,F1,F2 付勢ベクトル
L0 付勢作用線
La 第1方向線
Lb 第2方向線
Os 中心線

Claims (5)

  1. 噛み合わない距離を開けて配置された第1歯車および第2歯車と、前記第1歯車と第2歯車の双方に噛み合う中間歯車と、前記中間歯車の支持軸を支持する支持ベースと、を有している動力伝達装置において、
    前記支持軸の中心線と前記第1歯車の回転中心線とを結ぶ第1方向線と、前記支持軸の中心線と前記第2歯車の回転中心線とを結ぶ第2方向線とが180度未満の角度を成しており、
    前記中間歯車の支持軸の軸端部と前記支持ベースとの間に付勢支持部材が設けられ、前記付勢支持部材には、前記支持ベースに固定される固定部と、前記軸端部を支持する軸端支持部と、前記固定部と前記軸端支持部との間に位置する弾性片と、が設けられ
    前記弾性片は、前記角度を成す前記第1方向線と前記第2方向線との間に向く付勢作用線に向けて撓み変形可能であるとともに、前記支持軸の中心線と平行な線を中心としてねじれ変形可能であり、
    前記支持軸が、前記支持軸と垂直な平面内の各方向に移動可能で、前記弾性片の弾性力により、前記中間歯車が、前記第1歯車と前記第2歯車の双方と噛み合う方向へ付勢されていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記付勢支持部材の前記軸端支持部に合成樹脂製の軸端キャップが固定されており、前記軸端部が前記軸端キャップに支持されている請求項1記載の動力伝達装置。
  3. 前記支持軸の両端の前記軸端部のそれぞれが、前記軸端キャップおよび前記付勢支持部材で支持されている請求項2記載の動力伝達装置。
  4. 前記付勢支持部材は、前記軸端支持部の両側に前記固定部が設けられ、
    前記軸端支持部とそれぞれの前記固定部との間に、前記弾性片と、前記弾性片から折り返された固定掛止片とが形成されて、前記固定掛止片に止め爪が設けられており、前記支持ベースが、前記固定部と前記止め爪の先端とで挟持されている請求項1ないし3のいずれかに記載の動力伝達装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載された動力伝達装置を有しており、
    前記第1歯車に回転動力を与えるモータと、前記第2歯車からの回転出力で動作させられるリンク部材と、表示部材を支持するブラケットと、を有しており、
    前記リンク部材の動作により、前記ブラケットおよび前記表示部材の位置と姿勢の少なくとも一方が変化させられることを特徴とする表示装置。
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