JP6975258B2 - 光学素子およびセンサー - Google Patents

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Description

本発明は、光を反射する光学素子、および、この光学素子を用いるセンサーに関する。
自動車、ロボット、ドローン(マルチコプター・無人航空機)および警報装置等には、物体の検出および物体との距離の測定等を行うためのセンサーが設けられている。
このようなセンサーには、太陽光などの自然光によるノイズを軽減するために、赤外線が光源として利用されている。
例えば、特許文献1には、自動車から周囲の障害物等の物体に赤外線(赤外レーザ光)を照射し、物体からの水平面に平行な平行光線としての赤外線を、自動車の光透過性体に設置されたホログラムレンズによって受光素子(受光センサ)に集光させる車両用のレーザレーダ測距装置の集光構造において、ホログラムレンズの非点収差で生じた2つの収束点のうちで、ホログラムレンズより遠方の収束点に受光素子を配置すると共に、この受光素子の周囲に、遠方の収束点を通るホログラムレンズと平行な平行線上に配置された平面反射鏡と、この平面反射鏡からの反射光を受光素子に収束させる凹面反射鏡とを配置した、車両用レーザレーダ測距装置の集光構造が記載されている。
このようなセンサーにおいては、物体に赤外線を照射する方法として、光源からの光をポリゴンミラー等の光偏向器によって一方向に走査し、次いで、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等によって、この一方向と直交する方向に光を走査することで、二次元的に赤外線を走査する方法が知られている。
しかしながら、この構成では、駆動部の劣化が激しく、また、耐振動性等にも問題がある。さらに、自動車、ロボットおよびドローン等では、狭い場所にセンサーを設置することが要求されるが、この構成では、装置構成が複雑で、かつ、大型になってしまうため、センサーの設置場所が大きく制限される。
一方、このような問題を解決したセンサーとして、赤外線を照射する面光源を用い、面光源からの光を物体に照射して、物体に反射された光を赤外線を測光する受光素子(赤外線カメラ)で受光する構成が考えられる。
特開平9−127235号公報
面光源を用いる構成によれば、光を走査(スキャン)する必要がないので、装置を簡略化および小型化できる。
しかしながら、この構成では、面光源を利用しているために、受光素子に入射する光の光量が不十分で、SN比(signal-to-noise ratio)が低いという問題がある。
この問題を解決するために、特許文献1にも示されるように凹面反射鏡を用いる方法もある。しかしながら、凹面反射鏡では、十分な集光力を得るためには、凹面の曲率を高くする必要がある。その結果、鏡が厚くなってしまい、やはり、センサーが大きくなり、狭い場所への設置が困難である。
さらに、受光素子に光を入射させる凹面鏡等は、測定光である赤外線以外に、センサー内に侵入した太陽光などの外光も受光素子に反射して、入射させてしまう。
赤外線を測光する受光素子は、一般的に、赤外線以外の可視光にも感度を有するため、外光が入射すると、ノイズになってしまい、やはり、SN比が低くなってしまう。また、バンドパスフィルタおよびハイパスフィルタ等のフィルタを赤外線の光路中に設けることで、外光によるノイズを低減できるが、フィルタを設けることで、その分、センサーの構成が複雑になり、かつ、大型化してしまう。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、薄く、かつ、目的とする波長域の光のみを所定の方向に集光して反射できる光学素子、および、この光学素子を用いるセンサーを提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、
コレステリック液晶層は、液晶化合物由来の光軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
さらに、コレステリック液晶層の液晶配向パターンの、液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向における、液晶化合物由来の光軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、コレステリック液晶層は、面内に、液晶配向パターンにおける1周期の長さが異なる領域を有することを特徴とする光学素子。
[2] 液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向の上流側に向かう方向および下流側に向かう方向の少なくとも一方において、コレステリック液晶層の液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなる、[1]に記載の光学素子。
[3] コレステリック液晶層の外側に向かう方向に、コレステリック液晶層の液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなる、[2]に記載の光学素子。
[4] 液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向において、液晶化合物由来の光軸の回転方向が互いに逆である領域を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学素子。
[5] コレステリック液晶層の液晶配向パターンが、液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学素子。
[6] コレステリック液晶層が、赤外線の領域に選択反射中心波長を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学素子。
[7] 選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の旋回方向が互いに異なるコレステリック液晶層を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学素子。
[8] 選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の旋回方向が互いに異なるコレステリック液晶層は、液晶配向パターンにおける液晶化合物由来の光軸の向きの連続的な回転方向が、互いに異なる、[7]に記載の光学素子。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の光学素子と、光源と、受光素子と、を有するセンサー。
[10] 光学素子を透過した光の少なくとも一部を吸収する吸収体を有する、[9]に記載のセンサー。
[11] 光源がパルス波を照射する、[9]または[10]に記載のセンサー。
本発明の光学素子は、薄く、かつ、赤外線などの目的とする波長域の光のみを所定の方向に集光して反射できる。また、この光学素子を用いる本発明のセンサーは、小型かつ装置構成が簡易で、さらに、外光等に起因するノイズが少ない、高性能なセンサーである。
図1は、本発明の光学素子の一例を概念的に示す図である。 図2は、図1に示す光学素子のコレステリック液晶層を説明するための概念図である。 図3は、図1に示す光学素子のコレステリック液晶層の平面図である。 図4は、図1に示す光学素子のコレステリック液晶層の作用を説明するための概念図である。 図5は、本発明の光学素子のコレステリック液晶層の別の例を示す平面図である。 図6は、図5に示す光学素子のコレステリック液晶層の作用を説明するための概図である。 図7は、本発明の光学素子の別の例を概念的に示す図である。 図8は、図1に示す光学素子の配向膜を露光する露光装置の一例の概念図である。 図9は、本発明の光学素子のコレステリック液晶層の別の例の平面図である。 図10は、図9に示すコレステリック液晶層を形成するための配向膜を露光する露光装置の別の例の概念図である。 図11は、本発明のセンサーの一例の概念図である。
以下、本発明の光学素子およびセンサーについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」および「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、420〜490nmの波長域の光は青色光であり、495〜570nmの波長域の光は緑色光であり、620〜750nmの波長域の光は赤色光である。さらに、これに限定されるものではないが、非可視光のうち、紫外線(紫外光)とは、420nm未満で200nm以上の波長域の光であり、赤外線(赤外光)とは780nm超で12000nm以下の波長域の光である。
本明細書において、選択反射中心波長とは、対象となる物(部材)における透過率の極小値をTmin(%)とした場合、下記の式で表される半値透過率:T1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことを言う。
半値透過率を求める式: T1/2=100−(100−Tmin)÷2
また、複数の層の選択反射中心波長が「等しい」とは、厳密に等しいことを意味するものではなく、光学的に影響のない範囲の誤差は許容される。具体的には、複数の物の選択反射中心波長が「等しい」とは、それぞれの物同士における選択反射中心波長の差が20nm以下であることを意図し、この差は15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
本発明の光学素子は、入射した光を反射する光反射素子であって、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有する。
本発明の光学素子において、コレステリック液晶層は、液晶化合物由来の光軸の向きが、面内の一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する。さらに、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向における、光軸の向きが180°回転する長さを1周期の長さとした際に、コレステリック液晶層は、面内に、液晶配向パターンにおける1周期の長さが異なる領域を有する。
後に詳述するが、本発明の光学素子は、このような構成を有することにより、目的とする波長域の光のみを、所定の方向に集光して反射できる。
図1に、本発明の光学素子の一例を概念的に示す。
図示例の光学素子10は、支持体12と、配向膜14と、コレステリック液晶層16と、を有する。コレステリック液晶層16は、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、一例として、赤外線の波長域に選択反射中心波長を有する。すなわち、光学素子10は、赤外線を選択的に反射し、それ以外の光を透過する光反射素子である。
<支持体>
光学素子10において、支持体12は、配向膜14およびコレステリック液晶層16を支持するものである。
支持体12は、配向膜14およびコレステリック液晶層16を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
また、支持体12は、透明でも不透明でもよい。
支持体12の厚さには、制限はなく、光学素子10の用途および支持体12の形成材料等に応じて、配向膜14およびコレステリック液晶層16を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体12の厚さは、5〜5000μmが好ましく、10〜1000μmがより好ましく、15〜500μmがさらに好ましい。
支持体12は単層であっても、多層であってもよい。
単層である場合の支持体12としては、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、および、ポリオレフィン等からなる支持体12が例示される。多層である場合の支持体12の例としては、前述の単層の支持体のいずれかなどを基板として含み、この基板の表面に他の層を設けたもの等が例示される。
<配向膜>
光学素子10において、支持体12の表面には配向膜14が形成される。
配向膜14は、コレステリック液晶層16を形成する際に、コレステリック液晶層16を形成する液晶化合物30を、所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
後述するが、本発明の光学素子10において、コレステリック液晶層16は、液晶化合物30に由来する光軸30A(図3参照)の向きが、面内の一方向(図中矢印X方向)に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。
さらに、コレステリック液晶層16は、液晶配向パターンにおける、光軸30Aの向きが連続的に回転しながら変化する一方向において、光軸30Aの向きが180°回転する長さを1周期(光軸の回転周期)の長さΛとした際に、1周期の長さΛが異なる領域を有する。図示例の光学素子10においては、光軸30Aの向きが連続的に回転しながら変化する一方向(後述する矢印X方向)とは逆方向に向かって、1周期の長さΛが、漸次、短くなっていく、液晶配向パターンを有する。
従って、配向膜14は、コレステリック液晶層16が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
以下の説明では、『光軸30Aの向きが回転』を単に『光軸30Aが回転』とも言う。
配向膜14は、公知の各種のものが利用可能である。
例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等が例示される。
ラビング処理による配向膜14は、ポリマー層の表面を紙または布で一定方向に数回こすることにより形成できる。
配向膜14に使用する材料としては、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005−97377号公報、特開2005−99228号公報、および、特開2005−128503号公報記載の直交配向膜等の形成に用いられる材料が好ましい。なお、本発明で言う直交配向膜とは、棒状液晶化合物の分子の長軸を、直交配向膜のラビング方向と実質的に直交するように配向させる配向膜を意味する。
本発明の光学素子10においては、配向膜14は、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、本発明の光学素子10においては、配向膜14として、支持体12上に、光配向材料を塗布して形成した光配向膜が、好適に利用される。
偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報および特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性ポリエステル、ならびに、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013−177561号公報および特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性ポリエステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
配向膜の厚さには制限はなく、配向膜の形成材料に応じて、必要な配向機能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
配向膜の厚さは、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
配向膜14の形成方法には、制限はなく、配向膜14の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、配向膜14を支持体12の表面に塗布して乾燥させた後、配向膜14をレーザ光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
図8に、配向膜14を露光して、配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
図8に示す露光装置60は、半導体レーザ62を備えた光源64と、半導体レーザ62が出射したレーザ光Mを光線MAおよびMBの2つに分離するビームスプリッター68と、分離された2つの光線MAおよびMBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70Aおよび70Bと、λ/4板72Aおよび72Bと、を備える。
なお、図示は省略するが、光源64は偏光板を備え、直線偏光P0を出射する。λ/4板72Aおよび72Bは、互いに直交する光学軸を備えている。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
液晶配向パターンを形成される前の配向膜14を有する支持体12が露光部に配置され、2つの光線MAと光線MBとを配向膜14上において交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜14に照射して露光する。
この際の干渉により、配向膜14に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向膜14において、配向状態が周期的に変化する配向パターンが得られる。
このような配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜上に、コレステリック液晶層を形成することにより、後述するように、液晶化合物30に由来する光軸30Aが一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する、コレステリック液晶層16を形成できる。
また、光源64が出射するレーザ光Mの偏光方向を90°回転することにより、光軸30Aの回転方向を逆にすることができる。
ここで、露光装置60においては、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、液晶配向パターンの周期の長さΛを調節できる。すなわち、露光装置60においては、交差角αを調節することにより、液晶化合物30に由来する光軸30Aが一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンにおいて、光軸30Aが回転する1方向における、光軸30Aが180°回転する1周期の長さΛを調節できる。
従って、目的とする1周期の長さΛに応じて交差角αを調節して、この1周期の長さΛとする領域以外をマスク等で覆って配向膜14の露光を行うことを、繰り返すことで、1周期の長さΛの異なる領域を有する配向パターンを有する配向膜14、すなわち、液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層16を形成できる。
なお、本発明の光学素子において、配向膜は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体12をラビング処理する方法、支持体12をレーザ光等で加工する方法等によって、支持体12に配向パターンを形成することにより、コレステリック液晶層16等が、液晶化合物30に由来する光軸30Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。
<コレステリック液晶層>
光学素子10において、配向膜14の表面には、コレステリック液晶層16が形成される。
なお、図1においては、図面を簡略化して光学素子10の構成を明確に示すために、コレステリック液晶層16は、配向膜14の表面の液晶化合物30(液晶化合物分子)のみを示している。しかしながら、コレステリック液晶層16は、図2に概念的に示すように、通常のコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層と同様、液晶化合物30が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有し、液晶化合物30が螺旋状に1回転(360°回転)して積み重ねられた構成を螺旋1ピッチとして、螺旋状に旋回する液晶化合物30が、複数ピッチ、積層された構造を有する。
コレステリック液晶層16は、波長選択反射性を有する。
図示例の光学素子10において、コレステリック液晶層16は、一例として、赤外線の右円偏光IRRを反射して、それ以外の光を透過するもので、赤外線の波長域に選択反射中心波長を有するコレステリック液晶層である。
例えば、本発明の光学素子10を、赤外線を用いるセンサーに利用する場合であれば、太陽光に含まれる成分が少ない、850nm±50nmの右円偏光IRRを反射して、それ以外の光を透過するコレステリック液晶層16、940nm±50nmの右円偏光IRRを反射して、それ以外の光を透過するコレステリック液晶層16、1150nm±50nmの右円偏光IRRを反射して、それ以外の光を透過するコレステリック液晶層16、および、1400nm±50nmの右円偏光IRRを反射して、それ以外の光を透過するコレステリック液晶層16が、例示される。
なお、本発明の光学素子において、コレステリック液晶層は、赤外線の右円偏光IRRを反射して、それ以外の光を透過するものに制限はされず、赤色光の右円偏光を反射して、それ以外の光を透過するものでもよく、緑色光の右円偏光を反射して、それ以外の光を透過するものでもよく、青色光の右円偏光を反射して、それ以外の光を透過するものでもよく、紫外線の右円偏光を反射して、それ以外の光を透過するものでもよい。さらに、本発明の光学素子において、コレステリック液晶層は、右円偏光を反射するのではなく、左円偏光を反射するものでもよい。
前述のように、コレステリック液晶層16は、コレステリック液晶相を固定してなるものである。
すなわち、コレステリック液晶層16は、コレステリック構造を有する液晶化合物30(液晶材料)からなる層である。
<<コレステリック液晶相>>
コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長λ(選択反射中心波長λ)は、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。コレステリック液晶相のピッチは、コレステリック液晶層の形成の際、液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
なお、コレステリック液晶相の反射光は円偏光である。すなわち、本発明の光学素子10において、コレステリック液晶層16は、円偏光を反射する。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
従って、図示例の光学素子10においては、コレステリック液晶層16は、右捩れのコレステリック液晶相を固定してなる層である。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、コレステリック液晶層16を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相のΔnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、コレステリック液晶層16を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
<<コレステリック液晶層の形成方法>>
コレステリック液晶層16は、コレステリック液晶相を層状に固定して形成できる。
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造が好ましい。
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、コレステリック液晶層において、液晶化合物30は液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層16の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらに界面活性剤およびキラル剤を含んでいてもよい。
−−重合性液晶化合物−−
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。
重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/22586号、国際公開第95/24455号、国際公開第97/00600号、国際公開第98/23580号、国際公開第98/52905号、特開平1−272551号公報、特開平6−16616号公報、特開平7−110469号公報、特開平11−80081号公報、および、特開2001−328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、上記以外の重合性液晶化合物としては、特開昭57−165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。さらに、前述の高分子液晶化合物としては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、および、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であるのが好ましく、80〜99質量%であるのがより好ましく、85〜90質量%であるのがさらに好ましい。
−−界面活性剤−−
コレステリック液晶層16を形成する際に用いる液晶組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶相とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましく例示される。
界面活性剤の具体例としては、特開2014−119605号公報の段落[0082]〜[0090]に記載の化合物、特開2012−203237号公報の段落[0031]〜[0034]に記載の化合物、特開2005−99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の段落[0076]〜[0078]および段落[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007−272185号公報の段落[0018]〜[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014−119605号公報の段落[0082]〜[0090]に記載の化合物が好ましい。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.02〜1質量%がさらに好ましい。
−−キラル剤(光学活性化合物)−−
キラル剤(カイラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、および、特開2003−313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、液晶化合物の含有モル量に対して0.01〜200モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。
−−重合開始剤−−
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%であるのがより好ましい。
−−架橋剤−−
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、および、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレートおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]および4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートおよびビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ならびに、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。
−−その他の添加剤−−
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は、コレステリック液晶層16を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。
コレステリック液晶層16を形成する際には、コレステリック液晶層16の形成面に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶層16とするのが好ましい。
すなわち、配向膜14上にコレステリック液晶層16を形成する場合には、配向膜14に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層16を形成するのが好ましい。
液晶組成物の塗布は、インクジェットおよびスクロール印刷等の印刷法、ならびに、スピンコート、バーコートおよびスプレー塗布等のシート状物に液体を一様に塗布できる公知の方法が全て利用可能である。
塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化され、コレステリック液晶層16を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶化合物は、必要に応じて、さらに重合される。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100〜1500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は250〜430nmが好ましい。
コレステリック液晶層16の厚さには、制限はなく、光学素子10の用途、コレステリック液晶層に要求される光の反射率、および、コレステリック液晶層の形成材料等に応じて、必要な光の反射率が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
<<コレステリック液晶層の液晶配向パターン>>
前述のように、本発明の光学素子10において、コレステリック液晶層16は、コレステリック液晶相を形成する液晶化合物30に由来する光軸30Aの向きが、コレステリック液晶層16の面内において、一方向に連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
なお、液晶化合物30に由来する光軸30Aとは、液晶化合物30において屈折率が最も高くなる軸、いわゆる遅相軸である。例えば、液晶化合物30が棒状液晶化合物である場合には、光軸30Aは、棒形状の長軸方向に沿っている。以下の説明では、液晶化合物30に由来する光軸30Aを、『液晶化合物30の光軸30A』または『光軸30A』ともいう。
図3に、コレステリック液晶層16の平面図を概念的に示す。
なお、平面図とは、図1において、光学素子10を上方から見た図であり、すなわち、光学素子10を厚さ方向(=各層(膜)の積層方向)から見た図である。言い換えれば、コレステリック液晶層16を主面と直交する方向から見た図である。主面とは、シート状物(フィルム、板状物)の最大面である。
また、図3では、本発明の光学素子10の構成を明確に示すために、図1と同様、液晶化合物30は配向膜14の表面の液晶化合物30のみを示している。しかしながら、コレステリック液晶層16は、厚さ方向には、図2に示されるように、この配向膜14の表面の液晶化合物30から、液晶化合物30が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有するのは、前述のとおりである。
図3に示すように、配向膜14の表面において、コレステリック液晶層16を構成する液晶化合物30は、下層の配向膜14に形成された配向パターンに応じて、矢印Xで示す所定の一方向、および、この一方向(矢印X方向)と直交する方向に、二次元的に配列された状態になっている。
以下の説明では、矢印X方向と直交する方向を、便宜的にY方向とする。すなわち、図1、図2および後述する図4、図6〜図7では、Y方向は、紙面に直交する方向となる。
また、コレステリック液晶層16を形成する液晶化合物30は、コレステリック液晶層16の面内において、矢印X方向に沿って、光軸30Aの向きが、連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有する。図示例においては、液晶化合物30の光軸30Aが、矢印X方向に沿って、時計回りで連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有する。
液晶化合物30の光軸30Aの向きが矢印X方向(所定の一方向)に連続的に回転しながら変化しているとは、具体的には、矢印X方向に沿って配列されている液晶化合物30の光軸30Aと、矢印X方向とが成す角度が、矢印X方向の位置によって異なっており、矢印X方向に沿って、光軸30Aと矢印X方向とが成す角度がθからθ+180°あるいはθ−180°まで、順次、変化していることを意味する。
なお、矢印X方向に互いに隣接する液晶化合物30の光軸30Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
一方、コレステリック液晶層16を形成する液晶化合物30は、矢印X方向と直交するY方向、すなわち、光軸Aが連像的に回転する一方向と直交するY方向では、光軸30Aの向きが等しい。
言い換えれば、コレステリック液晶層16を形成する液晶化合物30は、Y方向では、液晶化合物30の光軸30Aと矢印X方向とが成す角度が等しい。
本発明の光学素子10においては、このような液晶化合物30の液晶配向パターンにおいて、面内で光軸30Aが連続的に回転して変化する矢印X方向において、液晶化合物30の光軸30Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。
すなわち、矢印X方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。具体的には、図3に示すように、矢印X方向と光軸30Aの方向とが一致する2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、通常、入射した光(円偏光)を鏡面反射する。
これに対して、面内において、矢印X方向(所定の一方向)に沿って光軸30Aが連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層16は、入射した光を、入射光に対して矢印X方向に角度を有した方向に反射する。以下、図4を参照して説明する。
なお、以下に示す例は、コレステリック液晶層16が右円偏光を反射する場合を例にするが、コレステリック液晶層が左円偏光を反射する場合も、絶対位相の方向、等位相面の傾斜方向、および、光の反射方向等が逆になる以外は、同様の作用を生じる。
前述のように、コレステリック液晶層16は、赤外線の右円偏光IRRを選択的に反射するコレステリック液晶層である。従って、光学素子10に光が入射すると、コレステリック液晶層16は、赤外線の右円偏光IRRのみを反射し、それ以外の光を透過する。
コレステリック液晶層16に入射した赤外線の右円偏光IRRは、コレステリック液晶層16によって反射される際に、各液晶化合物30の光軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。
ここで、コレステリック液晶層16では、液晶化合物30の光軸30Aが矢印X方向(一方向)に沿って時計回りに回転しながら変化している。そのため、光軸30Aの向きによって、入射した赤外線の右円偏光IRRの絶対位相の変化量が異なる。
さらに、コレステリック液晶層16に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンである。そのため、コレステリック液晶層16に入射した赤外線の右円偏光IRRには、図4に概念的に示すように、それぞれの光軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q1が与えられる。
また、液晶化合物30の光軸30Aの矢印X方向に対する向きは、矢印X方向と直交するY方向の液晶化合物30の配列では、均一である。
これによりコレステリック液晶層16では、赤外線の右円偏光IRRに対して、XY面に対して矢印X方向とは逆に傾いた等位相面E1が形成される。
そのため、赤外線の右円偏光IRRは、等位相面E1の法線方向に反射するように反射され、反射された赤外線の右円偏光IRR1は、XY面に対して矢印X方向に傾いた方向に反射される。XY面とは、すなわち、コレステリック液晶層16の主面である。
これに対して、液晶化合物30の光軸30Aの回転が、図1、図3および図4に示すコレステリック液晶層16のように時計回りではなく、図5および図6に概念的に示すコレステリック液晶層16aのように矢印X方向に向かって反時計回りである場合には、光軸30Aの向きに対応したX方向に周期的な絶対位相Q2は、図6に示すように、光軸30Aが時計回りである場合とは逆になる。
その結果、液晶化合物30の光軸30Aの回転が反時計回りである場合には、光軸30Aの回転が時計回りである場合とは逆に傾斜した、XY面に対して矢印X方向に傾いた等位相面E2が形成される
そのため、液晶化合物30の光軸30Aの回転が反時計回りであるコレステリック液晶層16aに入射した赤外線の右円偏光IRRは、等位相面E2の法線方向に反射するように反射され、反射された赤外線の右円偏光IRR2は、XY面に対して矢印X方向とは逆方向に傾いた方向に反射される。
ここで、矢印X方向に向かって、液晶化合物30の光軸30Aが連続的に回転するコレステリック液晶層16による光の反射角度は、矢印X方向において、光軸30Aが180°回転する液晶配向パターンの1周期の長さΛによって異なる。具体的には、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛが短いほど、入射光に対する反射光の角度が大きくなる。
すなわち、本発明の光学素子では、コレステリック液晶層の液晶配向パターンにおける1周期の長さΛを、面内において調節することで、例えば法線方向から入射した光の反射角度を、コレステリック液晶層の面内における領域毎に変えることができる。
図1は、光学素子10の矢印X方向とは逆側の端部を示している。
光学素子10においては、一例として、矢印X方向の上流側に向かって、すなわち矢印X方向とは逆方向に向かって、2周期毎に、1周期の長さΛが、漸次、短くなる。すなわち、図中右側から、左側に向かって、2周期毎に、1周期の長さΛが、漸次、短くなる。
具体的には、1周期の長さΛは、図中、最も左の2周期における1周期の長さΛaが、最も短く、その右側の2周期における1周期の長さΛbが、2番目に短く、その右側の2周期における1周期の長さΛcが、3番目に短く、……のように、矢印X方向と逆方向に向かって(図中左側に向かって)、液晶配向パターンの1周期の長さΛが、漸次、短くなる。言い換えれば、矢印X方向に向かって(図中右側に向かって)、液晶配向パターンの1周期の長さΛが、漸次、長くなる。
前述のように、コレステリック液晶層16によって反射される光の、入射光に対する反射光の角度は、1周期の長さΛが短いほど、大きい。
従って、図1に概念的に示すように、法線方向から光が入射した場合には、1周期の長さΛaが最も短い、最も左の2周期に入射した光(IRR)は、最も矢印X方向(図中右方向)に傾斜して、入射光に対して最も大きな角度で反射される(IRR1)。なお、本例において、法線方向とは、コレステリック液晶層の主面と直交する方向である。
また、1周期の長さΛbが2番目に短い、その右側の2周期(左から3〜4周期目)に入射した光(IRR)は、2番目の大きさで矢印X方向に傾斜して、入射光に対して2番目に大きな角度で反射される(IRR1)。
さらに、1周期の長さΛcが3番目に短い、その右側の2周期(左から5〜6周期目)に入射した光(IRR)は、3番目の大きさで矢印X方向に傾斜して、入射光に対して3番目に大きな角度で反射される(IRR1)。
以下、光の入射位置が右側(矢印X方向の下流側)に行くにしたがって、漸次、矢印X方向への傾斜量すなわち入射光に対する反射光の角度が小さくなる。従って、図1に示す光学素子10によれば、矢印X方向に向かって集光するように、入射した光(IRR)を反射できる。
また、前述のように、本発明の光学素子においては、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物30の光軸30Aの回転方向を反対にすることで、光の反射方向を逆方向にできる。これを利用して、線状に光を集光するような光学素子も作製可能である。
例えば、図7に示す光学素子20のように、矢印X方向の中央(一点鎖線)に対して、矢印X方向の上流側(図中左側)の領域は、液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が矢印X方向に向かって時計回りである、図3および図4に示すコレステリック液晶層16とする。他方、矢印X方向の中央に対して、矢印X方向の下流側(図中右側)の領域は、矢印X方向に向かって、液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が反時計回りである、図5および図6に示すコレステリック液晶層16aとする。
さらに、図7では、図面を簡略化するために1周期ずつを示しているが、光学素子20では、コレステリック液晶層16およびコレステリック液晶層16aは、共に、光学素子20の中央から外側に向かって、漸次、液晶配向パターンの1周期の長さΛが短くなっている。言い換えれば、コレステリック液晶層16は、矢印X方向の下流側に向かって、コレステリック液晶層16aは矢印X方向の上流側に向かって、共に、漸次、液晶配向パターンの1周期の長さΛが短くなっている。
上述のように、液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が時計回りである図3および図4に示すコレステリック液晶層16は、入射光をX方向に傾斜するように反射する。他方、液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が反時計回りである図5および図6に示すコレステリック液晶層16aは、入射光をX方向とは逆方向に傾斜するように反射する。
さらに、液晶配向パターンの1周期の長さΛが短いほど、入射光に対する反射光の角度は大きくなる。
そのため、光学素子20は、法線方向から入射した光(例えば、赤外線(IR))を、矢印X方向の中央に向かうような線状に集光するように反射できる。
すなわち、コレステリック液晶層が、面内に、1周期の長さΛが異なる領域を有する本発明の光学素子によれば、コレステリック液晶層の面内において、コレステリック液晶層の各領域における液晶配向パターンの1周期の長さΛを、適宜、設定することにより、目的とする方向に集光するように、入射した光を反射できる。しかも、本発明の光学素子は、特許文献1で用いられる凹面鏡のように、光反射面を曲面とする必要もないので、薄くても、十分な集光性能が得られる。
加えて、コレステリック液晶層は、反射に波長選択性を有するので、余分な光を透過させて、目的とする波長域の光のみを反射できるので、バンドパスフィルタおよびハイパスフィルタ等も不要にして、目的とする波長域の光のみを集光できる。
そのため、本発明の光学素子を用いることにより、目的とする波長域の光を所定の方向に反射して集光する必要が有る光学装置を小型化できる。例えば、本発明の光学素子を、赤外線を用いて物体の検出および物体との距離を測定するセンサー等に利用することにより、センサーを小型化して、自動車、ロボットおよびドローン等の中の狭い設置場所にも、好適にセンサーを装着することが可能になる。
図1に示す例では、コレステリック液晶層16は、コレステリック液晶層16の外方向に向かって、液晶配向パターンの2周期毎に、漸次、1周期の長さΛが短くなっているが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、本発明の光学素子においては、例えば、1周期毎、10周期毎、20周期毎および100周期毎など、所定の周期数毎に、漸次、1周期の長さΛを短く、あるいは、長くしてもよい。1周期の長さΛを変化させる周期の数は、光学素子の大きさ、光学素子に要求される特性、および、光学素子の用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明の光学素子10において、コレステリック液晶層16の液晶配向パターンにおける1周期の長さΛにも、制限はなく、光学素子の大きさ、光学素子に要求される特性、および、光学素子の用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
図1に示す光学素子10は、コレステリック液晶層16を1層のみを有するが、本発明は、これに制限はされず、選択反射中心波長が同じ(略同一)で、反射する円偏光の方向すなわち螺旋構造のセンスが異なる、2層または2層以上のコレステリック液晶層を有してもよい。
例えば、図示例の光学素子10であれば、さらに、赤外線の波長域に選択反射中心波長を有し、赤外線の左円偏光を反射する第2のコレステリック液晶層を有してもよい。
このように、選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の方向が異なるコレステリック液晶層を有することにより、目的とする波長域の光の反射率、例えば、赤外線の反射率を向上できる。
ここで、選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の方向が異なるコレステリック液晶層は、液晶配向パターンの光軸30Aが沿って回転する一方向における液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が、互いに異なるのが好ましい。
例えば、赤外線の右円偏光を反射するコレステリック液晶層16における液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が、図3に示すように矢印X方向に対して時計回りである場合には、赤外線の左円偏光を反射する第2のコレステリック液晶層における液晶化合物30の光軸30Aの回転方向は、図5に示すように矢印X方向に対して反時計回りであるのが好ましい。
液晶化合物30の光軸30Aが矢印X方向(一方向)に沿って連続的に回転するコレステリック液晶層では、前述のように、円偏光の旋回方向が異なる場合に、光軸30Aの回転方向が同じ場合には、右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層とで、円偏光の反射方向が逆になる。
また、前述のように、液晶配向パターンにおける液晶化合物30の光軸30Aの回転方向が逆である場合にも、円偏光の反射方向が逆になる。
従って、選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の旋回方向が異なるコレステリック液晶層において、液晶配向パターンにおける液晶化合物30の光軸30Aの回転方向を互いに逆にすることにより、右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層とで、円偏光の反射方向を、同一にできる。
また、このように、本発明の光学素子が、選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の方向が異なるコレステリック液晶層を有する場合には、液晶配向パターンの光軸30Aが沿って回転する一方向における液晶化合物30の光軸30Aの回転方向を逆にする以外には、2層のコレステリック液晶層は、1周期の長さΛなど、液晶配向パターンが等しいのが好ましい。
図1〜図6に示す光学素子は、コレステリック液晶層の液晶配向パターンにおける液晶化合物30の光軸30Aは、矢印X方向のみに沿って、連続して回転している。
しかしながら、本発明は、これに制限はされず、コレステリック液晶層において、液晶化合物30の光軸30Aが一方向に沿って連続して回転し、かつ、液晶配向パターンにおいて光軸が180°回転する1周期の長さΛが異なる領域を有するものであれば、各種の構成が利用可能である。
一例として、図9の平面図に概念的に示すような、液晶配向パターンが、液晶化合物30の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、コレステリック液晶層34が例示される。
あるいは、図9に示す液晶配向パターンのような同心円状ではなく、液晶化合物30の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向が、コレステリック液晶層34の中心から放射状に設けられた液晶配向パターンも利用可能である。
なお、図9においても、図3と同様、配向膜の表面の液晶化合物30のみを示すが、コレステリック液晶層34においては、図2に示されるように、この配向膜の表面の液晶化合物30から、液晶化合物30が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有するのは、前述のとおりである。
さらに、図9では、コレステリック液晶層34を1層のみ示すが、この構成においても、選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の旋回方向が異なり、かつ、好ましくは液晶化合物30の光軸の回転方向が異なる、第2のコレステリック液晶層を有してもよい。
図9に示すコレステリック液晶層34において、液晶化合物30の光軸(図示省略)は、液晶化合物30の長手方向である。
コレステリック液晶層34では、液晶化合物30の光軸の向きは、コレステリック液晶層34の中心から外側に向かう多数の方向、例えば、矢印A1で示す方向、矢印A2で示す方向、矢印A3で示す方向…に沿って、連続的に回転しながら変化している。
また、矢印A1、A2およびA3に沿う光軸の回転方向は、コレステリック液晶層34の中心を境に、逆転している。例えば、矢印A2方向を参考にすると、矢印A2方向の上流側は、液晶化合物30の光軸の回転方向は時計回りで、コレステリック液晶層34の中心を境に光軸の回転方向が逆転して、中心よりも下流側は光軸の回転方向は反時計回りとなる。
この液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層34に入射した円偏光は、同様に、液晶化合物30の光軸の向きが異なる個々の局所的な領域において、それぞれ、絶対位相が変化する。この際に、それぞれの絶対位相の変化量は、円偏光が入射した液晶化合物30の光軸の向きに応じて異なる。
このような、同心円状の液晶配向パターン、すなわち、放射状に光軸が連続的に回転して変化する液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層34は、液晶化合物30の光軸の回転方向および反射する円偏光の方向に応じて、入射光を、発散光または集束光として反射できる。
すなわち、コレステリック液晶層の液晶配向パターンを同心円状とすることにより、本発明の光学素子は、例えば、凹面鏡または凸面鏡として機能を発現する。
ここで、コレステリック液晶層の液晶配向パターンを同心円状として、光学素子を凹面鏡として作用させる場合には、液晶配向パターンにおいて光軸が180°回転する1周期の長さΛを、コレステリック液晶層34の中心から、外方向に向かって、漸次、短くするのが好ましい。例えば、矢印A方向を参考にすると、中心より矢印A2方向の上流側は、矢印A2方向と逆方向(上流側)に向かって、1周期の長さΛを、漸次、短くし、中心より矢印A2方向の下流側は、矢印A2方向(下流側)に向かって、1周期の長さΛを、漸次、短くするのが好ましい。
前述のように、入射方向に対する光の反射角度は、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛが短いほど、大きくなる。従って、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛを、コレステリック液晶層34の中心から、外方向に向かって、漸次、短くすることにより、コレステリック液晶層による光の集束力を、より向上でき、凹面鏡としての性能を、向上できる。
なお、本発明においては、例えば凸面鏡とする場合など、光学素子の用途によっては、逆に、同心円状の液晶配向パターンにおける1周期の長さΛを、コレステリック液晶層34の中心から、外方向に向かって、漸次、長くしてもよい。
さらに、例えば反射光に光量分布を設けたい場合など、光学素子の用途によって、光軸が連続的に回転する1方向に対して、1周期の長さΛを、漸次、変更するのではなく、光軸が連続的に回転する1方向において、部分的に1周期の長さΛが異なる領域を有する構成も利用可能である。
図10に、配向膜14に、このような同心円状の配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
露光装置80は、半導体レーザ82を備えた光源84と、半導体レーザ82からのレーザ光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター86と、P偏光MPの光路に配置されたミラー90AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー90Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ92と、偏光ビームスプリッター94と、λ/4板96とを有する。
偏光ビームスプリッター86で分割されたP偏光MPは、ミラー90Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター94に入射する。他方、偏光ビームスプリッター86で分割されたS偏光MSは、ミラー90Bによって反射され、レンズ92によって集光されて偏光ビームスプリッター94に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター94で合波されて、λ/4板96によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体12の上の配向膜14に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光の干渉により、配向膜14に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かって配向状態が周期的に変化する露光パターンが得られる。これにより、配向膜14において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
この露光装置80において、液晶化合物30の光軸が連像的に180°回転する液晶配向パターンの1周期の長さΛは、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)、レンズ92の焦点距離、および、レンズ92と配向膜14との距離等を変化させることで、制御できる。
また、レンズ92の屈折力を調節することによって、光軸が連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変更できる。具体的には、平行光と干渉させる、レンズ92で広げる光の広がり角によって、光軸が連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変えることができる。より具体的には、レンズ92の屈折力を弱くすると、平行光に近づくため、液晶配向パターンの1周期の長さΛは、内側から外側に向かって緩やかに短くなり、Fナンバーは大きくなる。逆に、レンズ92の屈折力を強めると、液晶配向パターンの1周期の長さΛは、内側から外側に向かって急に短くなり、Fナンバーは小さくなる。
本発明の光学素子において、光軸が180°回転する1周期の長さΛは、漸次、変更する構成に限定はされず、各種の構成が利用可能である。
例えば反射光に光量分布を設けたい場合など、光学素子の用途によって、矢印X方向に向かって、1周期の長さΛを漸次、変更するのではなく、矢印X方向において、部分的に1周期の長さΛが異なる領域を有する構成も利用可能である。
本発明の光学素子は、センサー、光学装置における光路変更部材、光集光素子、所定方向への光拡散素子、および、回折素子等、光を集光するように反射する、各種の用途に利用可能である。
図11に、本発明の光学素子を用いる本発明のセンサーの一例を概念的に示す。
図11に示すセンサー40は、赤外線を照射する面光源42と、本発明の光学素子46と、赤外線を測光する受光素子48(赤外線カメラ)と、を有して構成される。
図11に示すセンサー40は、面光源42から照射した赤外線を、物体O(測定対象)に入射して、物体Oによって反射された赤外線を、光学素子46によって反射して、受光素子48に入射するものである。
光学素子46は、図9に示すような同心円状の液晶配向パターンのコレステリック液晶層を有するものであり、入射した赤外線の右円偏光のみを集光して受光素子48に入射し、それ以外の光を透過する。
前述のように、本発明の光学素子46は、バンドパスフィルタおよびハイパスフィルタ等を用いなくても、目的とする波長域の光のみを反射でき、さらに、凹面鏡および凸レンズのように曲面を有さない、薄い光学素子でも、目的とする方向に光を集光できる。
そのため、本発明の光学素子46を用いるセンサーは、小型化が容易であり、例えば、自動車、ロボットおよびドローン等の中の狭い設置場所にも、好適に装着できる。
本発明のセンサー40は、本発明の光学素子46を透過した光の少なくとも一部を吸収する、好ましくは光学素子46の反射波長域以外の全ての光を吸収する、吸収体を有するのが好ましい。このような吸収体を有することにより、光学素子46を透過した光が、センサー40の内部等で乱反射して、受光素子48に入射して、ノイズとなってしまうことを防止できる。
吸収体には、制限はなく、黒色板および各種の光吸収フィルター等、光学素子46を透過した光を吸収できるものであれば、公知の各種の光吸収体が利用可能である。
また、吸収体は、受光素子48の光入射面とは逆側の面に対面して設けてもよく、あるいは、粘着剤または接着剤によって、受光素子48の光入射面とは逆側の面に貼着してもよい。
さらに、本発明のセンサー40において、面光源42は、連続波を照射するものでもよいが、パルス波を照射するものであるのが好ましい。
面光源42がパルス波を照射することにより、受光素子35が受光した赤外線が、面光源42が照射した赤外線か、センサー40内に不要に入射した外光による赤外線かを判別することが可能になり、より、物体Oの検出精度および距離測定精度等を向上できる。
以上、本発明の光学素子およびセンサーについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<光学素子の作製>
(支持体、および、支持体の鹸化処理)
支持体として、市販されているトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、Z−TAC)を用意した。
支持体を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させて、支持体の表面温度を40℃に昇温した。
その後、支持体の片面に、バーコーターを用いて下記に示すアルカリ溶液を塗布量14mL(リットル)/m2で塗布し、支持体を110℃に加熱し、さらに、スチーム式遠赤外ヒーター(ノリタケカンパニーリミテド社製)の下を、10秒間搬送した。
続いて、同じくバーコーターを用いて、支持体のアルカリ溶液塗布面に、純水を3mL/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗およびエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンを10秒間搬送して乾燥させ、支持体の表面をアルカリ鹸化処理した。
アルカリ溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.70質量部
水 15.80質量部
イソプロパノール 63.70質量部
界面活性剤
SF−1:C1429O(CH2CH2O)2OH 1.00質量部
プロピレングリコール 14.80質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(下塗り層の形成)
支持体のアルカリけん化処理面に、下記の下塗り層形成用塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗膜が形成された支持体を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、下塗り層を形成した。
下塗り層形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――
下記変性ポリビニルアルコール 2.40質量部
イソプロピルアルコール 1.60質量部
メタノール 36.00質量部
水 60.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 0006975258
(配向膜の形成)
下塗り層を形成した支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液を#2のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜形成用塗布液
――――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
−光配向用素材−
Figure 0006975258
(配向膜の露光)
図10に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜を形成した。
露光装置において、半導体レーザとして波長(405nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm2とした。また、配向パターンにおける1周期の長さは、レンズの焦点距離を調節することで制御した。
なお、露光の際には、平行光と、レンズによって拡げた光とを干渉させることによって、配向パターンの1周期が、外方向に向かって、漸次、短くなるようにした。
(コレステリック液晶層の形成)
コレステリック液晶層を形成する液晶組成物として、下記の液晶組成物を調製した。この液晶組成物は、選択反射中心波長が940nmで、右円偏光を反射するコレステリック液晶層(コレステリック液晶相)を形成する、液晶組成物である。
液晶組成物
――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L−1 100.00質量部
重合開始剤
(BASF製、Irgacure(登録商標)907)3.00質量部
光増感剤
(日本化薬製、KAYACURE DETX−S) 1.00質量部
キラル剤Ch−1 3.11質量部
レベリング剤T−1 0.08質量部
メチルエチルケトン 268.20質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L−1
Figure 0006975258
キラル剤Ch−1
Figure 0006975258
レベリング剤T−1
Figure 0006975258
コレステリック液晶層は、液晶組成物を配向膜上に多層塗布することにより形成した。多層塗布とは、先ず配向膜の上に1層目の液晶組成物を塗布、加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を形成した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことを指す。多層塗布により形成することにより、液晶層の総厚が厚くなった時でも配向膜の配向方向が液晶層の下面から上面にわたって反映される。
先ず1層目は、配向膜上に下記の液晶組成物を塗布して、塗膜をホットプレート上で70℃に加熱し、その後、25℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を100mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。この時の1層目の液晶層の膜厚は0.2μmであった。
2層目以降は、この液晶層に重ね塗りして、上と同じ条件で加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した。このようにして、総厚が所望の膜厚になるまで重ね塗りを繰り返し、コレステリック液晶層を形成して、本発明の光学素子を作製した。
コレステリック液晶層は、図9に示すような同心円状の周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。また、液晶化合物由来の光軸が連続的に変化する一方向において、光軸の回転方向は、光学素子の中心を境に逆転していた。
なお、このR反射コレステリック液晶層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光軸が180°回転する1周期は、中心から0.5mm離れた位置では122μm、中心から1mm離れた位置では61μm、中心から5mm離れた位置では12μm、中心から10mm離れた位置では6μm、最も端部となる12.25mm離れた位置は5μmであった。
中心波長が940nmの光を照射するLED(light emitting diode)面光源、および、中心波長が650nmの光を照射するLED面光源を用意した。
各面光源から白色板に光を照射して、白色板が反射した光を、作製した光学素子に入射して、光学素子が反射した光を、受光素子(ARTRAY社製、ARTCAM−130MI−BW−WOM)によって測定した。
なお、光学素子と受光素子との距離は、100mmとした。また、光学素子の白色板からの反射光の入射面とは逆側の面には、粘着剤を用いて吸収体(富士フイルム社製、IR−76)を貼着した。
受光素子からの出力(8ビットの画像データ)は、中心波長が940nmのLED面光源から光を照射した場合が150、中心波長が650nmのLED面光源から光を照射した場合が10、両者の比(960nm/650nm)は15、であった。
[実施例2]
実施例1記載の光配向膜を、ガラス(コーニング社製、イーグルガラス)上に、実施例1と同一の条件で形成した。
次に、コレステリック液晶層を形成する液晶組成物として、実施例1のキラル剤種と添加量を変えた以外は、実施例1と同様に、液晶組成物を調製した。この液晶組成物は、選択反射中心波長が940nmで、左円偏光を反射するコレステリック液晶層(コレステリック液晶相)を形成する、液晶組成物である。
液晶組成物
――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L−1 100.00質量部
重合開始剤
(BASF製、Irgacure(登録商標)907)3.00質量部
光増感剤
(日本化薬社製、KAYACURE DETX−S) 1.00質量部
キラル剤Ch−2 4.61質量部
レベリング剤T−1 0.08質量部
メチルエチルケトン 268.20質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
キラル剤Ch−2
Figure 0006975258
実施例1と同様に、コレステリック液晶層を、ガラスに形成した光配向膜上に、上記液晶組成物を多層塗布することにより形成した。
次に、実施例1で形成したコレステリック液晶層上に、粘着剤(総研化学社製、SK粘着剤)を介して、実施例2のコレステリック液晶層を、それぞれのコレステリック液晶層の空気界面側同士が向き合うように貼合し、さらに実施例2のコレステリック液晶層をガラスから剥がした。
実施例1と同様に、受光素子からの出力を評価した。その結果、受光素子からの出力は、中心波長が940nmのLED面光源から光を照射した場合が250、中心波長が650nmのLED面光源から光を照射した場合が13、両者の比(960nm/650nm)は19、であった。
[比較例1]
本発明の光学素子に変えて、通常の光学レンズ(キヤノン社製、CANON LENS TV-16mm 25mm 1:1.4)を用い、光学レンズで集光した光を、受光素子によって測定した。光学レンズと受光素子との距離は、実施例と同距離にした。
受光素子からの出力は、中心波長が940nmのLED面光源から光を照射した場合が150、中心波長が650nmのLED面光源から光を照射した場合が150、両者の比(960nm/650nm)は1、であった。
下記の表1に、結果をまとめて示す。
Figure 0006975258
上記表に示されるように、本発明の光学素子は、一般的な光学レンズと同等に光を集光できると共に、特定の波長域の光(本例では赤外線)のみを、所定の方向に反射できる。特に、反射する円偏光の方向(螺旋構造のセンス)が異なる、2層のコレステリック液晶層を積層することで、より好適に、特定の波長域の光を、所定の方向に反射できる。
すなわち、本発明の光学素子を赤外線を用いるセンサー等に利用することで、物体で反射された測定光を好適に受光素子に入射できると共に、測定光以外の余分な光成分が受光素子に入射することを防止して、S/N比が高い高精度な測定を行うことができる。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
自動車、ロボットおよびドローンなどにおいて、前方の物体を発見して距離を測定するためのセンサ等における集光部材など、光学装置において、特定の波長域の光を所定の方向に反射して集光する各種の用途に好適に利用可能である。
10,20,46 光学素子
12 支持体
14 配向膜
16 コレステリック液晶層
30 液晶化合物
30A 光軸
34 コレステリック液晶層
40 センサー
42 面光源
48 受光素子
60,80 露光装置
62.82 半導体レーザ
64,84 光源
68 ビームスプリッター
70A,70B,90A,90B ミラー
72A,72B,96 λ/4板
86.94 偏光ビームスプリッター
92 レンズ
IRR,IRR1,IRR2 赤外線の右円偏光
M レーザ光
MA,MB 光線
MP P偏光
MS S偏光
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
Q1.Q2 絶対位相
E1,E2 等位相面
O 物体

Claims (9)

  1. コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、
    前記コレステリック液晶層は、液晶化合物由来の光軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
    さらに、前記コレステリック液晶層の前記液晶配向パターンの、前記液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向における、前記液晶化合物由来の光軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、前記コレステリック液晶層は、面内に、前記液晶配向パターンにおける前記1周期の長さが異なる領域を有するものであり、さらに、
    選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の旋回方向が互いに異なる前記コレステリック液晶層を有し、
    前記選択反射中心波長が同じで、反射する円偏光の旋回方向が互いに異なるコレステリック液晶層は、前記液晶配向パターンにおける前記液晶化合物由来の光軸の向きの連続的な回転方向が、互いに異なることを特徴とする光学素子。
  2. 前記液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向の上流側に向かう方向および下流側に向かう方向の少なくとも一方において、前記コレステリック液晶層の前記液晶配向パターンの前記1周期の長さが、漸次、短くなる、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記コレステリック液晶層の外側に向かう方向に、前記コレステリック液晶層の前記液晶配向パターンの前記1周期の長さが、漸次、短くなる、請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向において、前記液晶化合物由来の光軸の回転方向が互いに逆である領域を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記コレステリック液晶層の前記液晶配向パターンが、前記液晶化合物由来の光軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 前記コレステリック液晶層が、赤外線の領域に選択反射中心波長を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学素子と、光源と、受光素子と、を有するセンサー。
  8. 前記光学素子を透過した光の少なくとも一部を吸収する吸収体を有する、請求項に記載のセンサー。
  9. 前記光源がパルス波を照射する、請求項またはに記載のセンサー。
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