JP7252355B2 - 光偏向装置および光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、小型・軽量化に適した単純な構造にできる高偏向角化が可能な光偏向装置、および、この光偏向装置を利用する光学装置に関する。
今日、レーザ光の光偏向の技術は、様々な分野で応用されている。例えば、自由空間光通信用の光行差補正・レーザレーダ用の走査系などが例として挙げられる。
従来、レーザ光の光偏向器やポインティング用光学系として、ジンバルミラーおよびガルバノミラー等が多く用いられている。これらの方法は、ミラーを機械的に動かしてレーザ光の光方向制御をおこなうため、直接的でかつ簡単な方法である。
また、光偏向器としては、特許文献1に記載されるような、光源と受光器を回転ステージに設け、光学系全体を回転させる構成も知られている。
米国特許第7969558号明細書
しかしながら、上記従来の方法にあっては、比較的大きなミラーや回転ステージを大きな物理的動作を伴って制御する必要があることから、軽量化および小型化が必要なシステムや、低消費電力を必要とする用途には適していないという問題点があった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、小型化および軽量化に適した単純な構造で、かつ、高偏向角化が可能な光偏向装置、および、この光偏向装置を用いる光学装置を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明の光偏向装置は、以下の構成を有する。
[1] 入射された光を偏向して出射するMEMS光偏向素子と、
光偏向素子よりも光の進行方向の下流側に配置され、光偏向素子から出射した光の偏向角の角度範囲を拡大する角度拡大光学素子と、を備え、
MEMS光偏向素子が、入射した光を集光して出射する機能を有することを特徴とする光偏向装置。
[2] MEMS光偏向素子が、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子を有する、[1]に記載の光偏向装置。
[3] MEMS光偏向素子が有する回折素子は、周期構造ピッチが、MEMS光偏向素子による光の偏向方向の内側から外側に向かって、漸次、変化する、回折素子である、[2]に記載の光偏向装置。
[4] MEMS光偏向素子が有する回折素子が、液晶回折素子である、[2]または[3]に記載の光偏向装置。
[5] 液晶回折素子が、コレステリック液晶層を有するものであって、
コレステリック液晶層は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが、少なくとも一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、かつ、
液晶配向パターンにおいて、液晶化合物に由来する光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向における、液晶化合物に由来する光学軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、1周期の長さが内側から外側に向かって、漸次、短くなるものである、[4]に記載の光偏向装置。
[6] コレステリック液晶層は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを、内側から外側に向かう放射状に有する、[5]に記載の光偏向装置。
[7] 角度拡大光学素子が、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の光偏向装置。
[8] 角度拡大光学素子が有する回折素子は、周期構造ピッチが、MEMS光偏向素子による光の偏向方向の内側から外側に向かって、漸次、変化する、回折素子である、[7]に記載の光偏向装置。
[9] 角度拡大光学素子が有する回折素子が、液晶回折素子である、[7]または[8]に記載の光偏向装置。
[10] 液晶回折素子が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された光学異方性層を有するものであって、
光学異方性層は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが、少なくとも一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、かつ、
液晶配向パターンにおいて、液晶化合物に由来する光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向における、液晶化合物に由来する光学軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、1周期の長さが内側から外側に向かって、漸次、短くなるものである、[9]に記載の光偏向装置。
[11] 光学異方性層は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを、内側から外側に向かう放射状に有する、[10]に記載の光偏向装置。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載される光偏向装置と、光偏向装置の光偏向素子に光を入射する光源と、受光素子とを有することを特徴とする光学装置。
本発明によれば、小型化および軽量化に適した単純な構造で、かつ、高偏向角化が可能な光偏向装置、および、この光偏向装置を用いる光学装置を提供できる。
図1は、本発明の光偏向装置の一例の概念図である。 図2は、透過型の液晶回折素子の一例の概念図である。 図3は、図2に示す液晶回折素子の作用を説明するための概念図である。 図4は、図2に示す液晶回折素子の作用を説明するための概念図である。 図5は、図2に示す液晶回折素子の概略平面図である。 図6は、配向膜の露光装置の一例の概念図である。 図7は、配向膜の露光装置の別の例の概念図である。 図8は、透過型の液晶回折素子の別の例の概念図である。 図9は、本発明の光偏向装置の作用を説明するための概念図である。 図10は、本発明の光学装置の一例の概念図である。 図11は、反射型の液晶回折素子の概念図である。 図12は、図11に示す液晶回折素子の作用を説明するための概念図である。 図13は、図11に示す液晶回折素子の作用を説明するための概念図である。 図14は、反射型の液晶回折素子の別の例の概念図である。 図15は、図11に示す液晶回折素子の概略平面図である。
以下、本発明の光偏向装置について図面を参照して説明する。
なお、各図面においては、視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜、異ならせてある。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、角度について「直交」および「平行」とは、厳密な角度±10°の範囲を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のリターデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本明細書において、Re(λ)は、AxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
本発明の実施の形態にかかる光偏向装置の構成を、図1の概念図を用いて説明する。
図1に示す光偏向装置100は、MEMS光偏向素子101と、液晶回折素子121と、駆動装置141とを有する。なお、図1に示す光偏向装置100において、液晶回折素子121は、透過型の液晶回折素子で、本発明における角度拡大光学素子である。
本発明の光偏向装置100において、MEMS光偏向素子101は、入射した光を偏向すると共に、集光して出射する機能を有する。
図1に示すように、本発明の光偏向装置100において、光(光ビーム)の進行方向の上流側の光源から出射された光は、MEMS光偏向素子101の反射板によって光線の向きを偏向される。同時に、反射された光は、MEMS光偏向素子101の反射板に付与された光集光機能によって集光される。
MEMS光偏向素子101によって偏向かつ集光された光は、角度拡大光学素子としての透過型の液晶回折素子121によって偏向角を拡大され、かつ、集光から直進光に変換される。その結果、MEMS光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも大きな、目的とする最大の出射角度θmaxoutで、光偏向装置100から直進光として出射される。
本発明の光偏向装置100において、MEMS光偏向素子101は、入射した光を集光して出射する機能を有する以外は、公知のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小機器電気システム)光偏向素子と同様のものが用いられる。
すなわち、本発明の光偏向装置100において、MEMS光偏向素子101は、反射板(反射部材)が、入射した光を集光して反射する機能を有する以外は、基本的に、公知のMEMS光偏向素子である。
従って、MEMS光偏向素子の基本的な構成には制限はなく、特開2012-208352号公報に記載されるMEMS光偏向素子、特開2014-134642号公報に記載されるMEMS光偏向素子、および、特開2015-22064号公報に記載されるMEMS光偏向素子等、圧電アクチュエータなどを用いてミラー(鏡)を揺動させることにより、光を偏向(偏向走査)する、公知のMEMS光偏向素子(MEMS(光)スキャナー、MEMS光偏向器、MEMSミラー、DMD(Digital Micromirror Device))が、全て、利用可能である。
なお、図1において、符号141は、MEMS光偏向素子101を駆動し、かつ、駆動を制御する駆動装置である。駆動装置141は、MEMS光偏向素子101の構成、例えば、MEMS光偏向素子101における反射板の駆動機構(揺動機構)等に応じた、公知のものを用いればよい。
また、MEMS光偏向素子の反射板には集光機能が付与されている。すなわち、本発明の光偏向装置10において、MEMS光偏向素子101は偏向と集光という2つの機能を持つ。
MEMS光偏向素子101で反射された光は、偏向されながら集光されて角度拡大光学素子である液晶回折素子121に到達し、液晶回折素子121で偏向角を拡大されつつ直進光に変換されて、MEMS光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも大きな、目的とする最大の出射角度θmaxoutで、光偏向装置10から出射される。後述するが、本発明の光偏向装置10においては、MEMS光偏向素子101の反射板に集光機能を付与することにより、液晶回折素子121(角度拡大光学素子)に、小型化および軽量化に適した単純な構造の素子を用いても、出射角度拡大と直進光出射とを両立できる。
上述のように、MEMS光偏向素子101は、反射板が、反射する光を集光する機能を有する。このような機能を有するMEMS光偏向素子の反射板は、一例として、反射板に回折素子を用いることで、達成できる。
MEMS光偏向素子101の反射板に用いる回折素子は、反射板の中心から外側になるほど反射光の回折角が大きくなるように、反射板の中心(偏光角の中心)から外側に向かって、周期構造ピッチが、漸次、変化しているのが好ましい。すなわち、この回折素子は、偏光方向の内側(中心)から外側に向かって、回折角が大きくなるように、回折素子が有する周期構造のピッチ(周期)が、偏光方向の内側から外側に向かって、漸次、変化しているのが好ましい。具体的には、周期構造のピッチが、偏光方向の内側から外側に向かって、漸次、小さくなるのが好ましい。
MEMS光偏向素子101に用いる回折素子には、制限はなく、公知の回折素子が、各種、利用可能である、中でも、回折効率および反射板の薄型化の観点から、反射型の液晶回折素子を好適に用いることができる。
代表的な液晶回折素子として、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを持つコレステリック液晶層を有する反射型の液晶回折素子を好ましく用いることができる。この反射型の液晶回折素子に関しては、後に詳述する。
なお、上述のように、本発明の光偏向装置100においては、MEMS光偏向素子101(反射板)に、入射した光を集光して出射する機能を付与する回折素子としては、このような機能を発現する公知の回折素子が、各種、利用可能である。
反射板に用いる回折素子としては、一例として、表面に形成した微細な凹凸によって光を回折させる、表面レリーフ回折素子が例示される。表面レリーフ回折素子は、例えば、MEMS光偏向素子101による偏向方向の内側から外側に向かって、回折角が、漸次、大きくなるように、凹凸の格子周期(レリーフパターン)が、偏光方向の内側(偏向の中心)から外側に、向かって、漸次、変化するのが好ましい。
表面レリーフ回折素子も、上述の限定を満たすものであれば、制限はなく、例えば、特開2015-93439号公報に記載される構造等、公知の表面レリーフ回折素子(表面レリーフ型回折格子)が、全て、利用可能である。
また、反射板に用いる別の好適な回折素子として、ホログラフィによって感光性物質等にパターン形状を露光し、感光した部分の屈折率の違いに応じて光を回折させる、ホログラム回折素子が例示される。ホログラム回折素子は、例えば、MEMS光偏向素子101による偏向方向の内側から外側に向かって、回折角が、漸次、大きくなるように、偏光方向の内側(偏向の中心)から外側に、向かって、漸次、変化する、周期的な屈折率分布を有するのが好ましい。
ホログラム回折素子は、上述の限定を満たすものであれば、制限はなく、例えば、特開2016-184124号公報に記載されるホログラムシート等、公知のホログラム回折素子(ホログラフィック回折素子(回折格子))が、全て、利用可能である。
また、反射板に用いる別の好適な回折素子として、フォトニック結晶が例示される。
フォトニック結晶は、例えば、特開2017-111277号公報に述べられている方法のように、無機材料で形成される透明基板と、Si等で形成される複数の突条で形成される凹凸パターン形成部とを一定間隔ずつ空けて複数描くことで構造複屈折を生じさせ、面内で方位角を変化させることによって、回折の効果を得る事ができる。
その他、MEMS光偏向素子101は、反射板に上述した回折素子を用いずに、凹面鏡など、反射面が曲面の反射板を用いることもできる。これにより、MEMS光偏向素子101に、同様の集光機能を付与できる。
角度拡大光学素子は、MEMS光偏向素子101が偏向した光の偏向角(偏光角の角度範囲)を拡大するものである。
このような角度拡大光学素子には、図示例の透過型の液晶回折素子121以外にも、光の出射角度を拡大する機能を有する、公知の各種の素子を使用できる。中でも、小型化および軽量化に適した単純な構造の素子である回折素子は、角度拡大光学素子として、好適に用いられる。
角度拡大光学素子となる回折素子としては、MEMS光偏向素子の反射板と同様に、液晶回折素子を好ましく用いることができる。上述のように、図示例の光偏向装置100では、好ましい態様として、角度拡大光学素子として、透過型の液晶回折素子121を用いている。
なお、角度拡大光学素子には、MEMS光偏向素子の反射板と同様に、フォトニクス結晶、ホログラム回折素子、および、表面レリーフ回折素子等も、利用可能である。
また、角度拡大光学素子は、上述した回折素子以外にも、光の屈折を用いた角度拡大光学素子として、単純な光学レンズ、例えばガラス製の凹レンズおよび樹脂製の凹レンズのような光学レンズも用いることもできる。これにより、同様の偏光角の角度拡大機能を付与できる。
以下に構成要素について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、MEMS光偏向素子101のことを、単に、『光偏向素子101』ともいう。
[角度拡大光学素子としての透過型の液晶回折素子]
図2に、回折素子からなる角度拡大光学素子の一例として液晶回折素子121を概念的に示す。図2は、液晶回折素子121を、図1と同方向に見た図であり、液晶回折素子121の側面図である。
液晶回折素子121は、シート状のものであって、支持体12と、配向膜13と、光学異方性層14と、を有する。
なお、本発明において、液晶回折素子121の層構成は、これに制限はされない。すなわち、液晶回折素子は、図2に示す液晶回折素子121から支持体12を剥離した、配向膜13と光学異方性層14とで構成されるものあってもよく、図2に示す液晶回折素子121から支持体12および配向膜13を剥離した、光学異方性層14のみで構成されるものあってもよく、光学異方性層14に、別の基材などのシート状物を貼着したものであってもよい。
すなわち、本発明に用いられる、光学異方性層を有する透過型の液晶回折素子は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが、面内の少なくとも一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する光学異方性層を有するものであれば、各種の層構成が利用可能である。
この点に関しては、後述する反射型の液晶回折素子も同様である。
上述したように、角度拡大光学素子である液晶回折素子121は、光偏向素子101が偏向した光を、光偏向素子による偏向方向に回折することにより、光偏向素子101が偏向した光を、さらに偏向するものである。光偏向装置100は、光偏向素子101に、このような液晶回折素子121(角度拡大光学素子)を組み合わせるにより、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも遥かに大きい、最大の出射角度θmaxoutの偏向角による光の偏向を可能にしている。
なお、図示例においては、液晶回折素子121のシート面方向をx-y方向、厚さ方向をz方向として定義している。図2においては、図中横方向が液晶化合物由来の光学軸が一方向に向かって回転する方向(後述する軸A方向)であり、この方向をx方向とする。従って、y方向は、図2の紙面と直交する方向になる。
また、図1においては、図中上下方向がx方向に、紙面と直交する方向がy方向に、図中横方向がz方向に、それぞれ、対応する。光偏向素子101による光の偏向方向が一次元的である場合には、x方向(後述する軸A)は、光偏向素子101による偏向方向と一致する。
図1において、液晶回折素子121は、平面状であるが、液晶回折素子121は、平面状に制限はされず、曲面状でもよい。
<支持体>
支持体12は、配向膜13および光学異方性層14を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
支持体12としては、透明支持体が好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、および、シクロオレフィンポリマー系フィルム等を挙げることができる。シクロオレフィンポリマー系フィルムとしては、例えば、JSR社製の商品名「アートン」、および、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」等が例示される。
支持体12は、可撓性のフィルムであってもよく、または、例えばガラス基板等の非可撓性の基板であってもよい。
<配向膜>
液晶回折素子121において、支持体12の表面には配向膜13が形成される。
配向膜13は、光学異方性層14を形成する際に、液晶化合物20を、所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
後述するが、液晶回折素子121において、光学異方性層14は、液晶化合物20に由来する光学軸22の向きが、面内の一方向(図2のx方向)に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、液晶回折素子121の配向膜13は、光学異方性層14が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
液晶回折素子121の光学異方性層14においては、液晶配向パターンにおける、光学軸22の向きが連続的に回転しながら変化する一方向(後述する軸Aに沿う方向)において、光学軸22の向きが180°回転する長さを1周期(光学軸22の回転周期p)とする。光偏向装置100において、光学異方性層14は、光偏向素子101による偏向方向(偏向方位)の内側(中心)から外側に向かって、1周期が、漸次、短くなる。
また、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、軸Aに沿う方向(矢印x方向)に向かって、光偏向素子101による偏向方向の中心で逆転する。
従って、液晶回折素子121の配向膜13は、光学異方性層14が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
配向膜13は、公知の各種のものが利用可能である。
光学異方性層14の配向膜13としては、例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等があげられる。
配向膜13としては、ポリマー層の表面をラビング処理して形成されたものが例示される。ラビング処理は、ポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施される。配向膜に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9-152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005-97377号公報、特開2005-99228号公報、および、特開2005-128503号公報に記載の配向膜等を好ましく使用することができる。
なお、本発明で言う直交配向膜とは、本発明の重合性棒状液晶化合物の分子の長軸を、直交配向膜のラビング方向と実質的に直交するように配向させる配向膜を意味する。配向膜の厚さは、配向機能を提供できれば厚い必要はなく、0.01~5μmが好ましく、0.05~2μmがさらに好ましい。
配向膜13としては、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜も利用可能である。すなわち、支持体12上に、光配光材料を塗布して光配向膜を作製してもよい。
偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-076839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-094071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、またはエステル、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013-177561号公報、ならびに、特開2014-012823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、および、シンナメート化合物、カルコン化合物である。
本発明においては、光配向膜を用いるのが好ましい。
光配向材料を支持体12上に塗布して乾燥させた後、配向膜13を露光して配向パターンを形成する、配向膜の露光装置の模式図を図6に示す。
なお、この露光装置50は、後述する図3に示すような、液晶化合物20の光学軸22が一方向(軸A方向(x方向))のみに回転しながら変化する配向パターン(液晶配向パターン)を形成するための、配向膜13の露光装置である。この露光装置50は、主に、光偏向装置10の光偏向素子101による光の偏向方向が、一次元的である場合に用いられる液晶回折素子121の配向膜13の露光に用いられる。
露光装置50は、レーザ52を備えた光源54と、レーザ52からのレーザ光70を2つに分離する偏光ビームスプリッター56と、分離された2つの光線72Aおよび72Bの光路上にそれぞれ配置されたミラー58Aおよび58B、ならびに、λ/4板60Aおよび60Bと、を備える。
なお、光源64は直線偏光P0を出射する。λ/4板60Aは、直線偏光P0を右円偏光PRに、λ/4板60Bは直線偏光P0を左円偏光PLに変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜13を備えた支持体12が露光部に配置され、2つの光線72A、72Bを配向膜13上で交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜13に照射して露光する。この際の干渉により、配向膜13に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これによって、配向状態が周期的に変化する配向パターンが得られる。
露光装置50において、2つの光線72Aおよび72Bの交差角βを変化させることにより、配向パターンの周期を変化させることができる。すなわち、露光装置50においては、交差角βを調節することにより、液晶化合物20に由来する光学軸22が一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸22が回転する1方向における、光学軸22が180°回転する1周期の長さ(回転周期p=周期p)を調節できる。
このように配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜13上に、後述する光学異方性層14を形成することにより、この周期に応じた液晶配向パターンを備えた光学異方性層14を形成することができる。
また、λ/4板60Aおよびλ/4板60Bの光学軸を各々90°回転することにより、光学軸22の回転方向を逆にすることができる。
また、本発明において角度拡大光学素子となる液晶回折素子121を形成する配向膜13の露光には、図7に概念的に示す露光装置80も、好適に利用される。
図7に示す露光装置80は、後述する図5に概念的に示す、液晶化合物20の光学軸22が同心円状(放射状)に回転しながら変化する配向パターン(液晶配向パターン)を形成するための、配向膜13の露光装置である。この露光装置80は、主に、光偏向装置10の光偏向素子101による光の偏向方向が、放射状(二次元的)である場合に用いられる液晶回折素子121の配向膜13の露光に用いられる。
図7に示す露光装置80は、レーザ82を備えた光源84と、レーザ82からのレーザ光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター86と、P偏光MPの光路に配置されたミラー90AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー90Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ92(凸レンズ)と、偏光ビームスプリッター94と、λ/4板96と、を有する。
偏光ビームスプリッター86で分割されたP偏光MPは、ミラー90Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター94に入射する。他方、偏光ビームスプリッター86で分割されたS偏光MSは、ミラー90Bによって反射され、レンズ92によって集光されて偏光ビームスプリッター94に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター94で合波されて、λ/4板96によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体12の上の配向膜13に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光との干渉により、配向膜13に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かってピッチが変化する露光パターンが得られる。これにより、配向膜13において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
この露光装置80において、液晶化合物20の光学軸22が一方向に沿って連続的に180°回転する1周期の長さ(回転周期p)は、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)レンズ92の焦点距離、および、レンズ92と配向膜13との距離等を変化させることで、制御できる。
また、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)を調節することによって、光学軸22が連続的に回転する一方向において、光学軸22が180°回転する1周期の長さを変更できる。具体的には、平行光と干渉させる、レンズ92を透過した光の集光の程度によって、光学軸22が180°回転する1周期の長さ変えることができる。より具体的には、レンズ92の屈折力を弱くすると、平行光に近づくため、光学軸22が180°回転する1周期の長さは、内側から外側に向かって緩やかに短くなり、Fナンバーは大きくなる。逆に、レンズ92の屈折力を強めると、光学軸22が180°回転する1周期の長さは、内側から外側に向かって急に短くなり、Fナンバーは小さくなる。
このように、光学軸22が連続的に回転する1方向において、光学軸22が180°回転する1周期(回転周期p)を変更する構成は、図3に示すような、矢印x方向(軸A方向)の一方向のみに液晶化合物20の光学軸22が連続的に回転して変化する構成でも、利用可能である。
さらに、例えば透過光に光量分布を設けたい場合など、光学素子の用途によって、矢印x方向に向かって、光学軸22が180°回転する1周期を、漸次、変更するのではなく、矢印x方向において、部分的に光学軸22が180°回転する1周期が異なる領域を有する構成も利用可能である。例えば、部分的に光学軸22が180°回転する1周期を変更する方法として、集光したレーザー光の偏光方向を任意に変えながら、光配向膜をスキャン露光してパターニングする方法等を利用することができる。
なお、液晶回折素子121において、配向膜13は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体12をラビング処理する方法、支持体12をレーザ光等で加工する方法等によって、支持体12に配向パターンを形成することにより、光学異方性層14が、液晶化合物20に由来する光学軸22の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。
<光学異方性層>
液晶回折素子121において、配向膜13の表面には、液晶化合物20を含む液晶組成物の硬化層である光学異方性層14を備えている。
光学異方性層14は、液晶化合物20が、面内の少なくとも一方向に沿って配列された液晶パターンであって、液晶化合物20の光学軸22(遅相軸)の向きが、少なくとも一方向に向かって回転変化した液晶配向パターンを有する。
本実施形態の液晶回折素子121は、波長λの光に対する光学異方性層14の厚さ方向(図中z方向)のリターデーションR(=Δn・d1)が、0.36λ~0.64λである。リターデーションRは0.4λ~0.6λが好ましく、0.45λ~0.55λがより好ましく、0.5λであることが特に好ましい。Δnは光学異方性層14の複屈折率、d1は厚さである。例えば、940nmの光を入射光として想定する場合には、940nmの光に対するリターデーションRが338~602nmの範囲であればよく、470nmが特に好ましい。
このようなリターデーションRを有するので、光学異方性層14は、一般的なλ/2板としての機能、すなわち、入射光の直交する直線偏光成分の間に180°(=π=λ/2)の位相差を与える機能を発現する。
液晶回折素子121は、透過型の回折格子として機能する。回折格子として機能する原理について、図2および図3を参照して説明する。
なお、図3は、光学異方性層14の概略平面図であり、すなわち、図2を、図中上方からみた図である。図3は、液晶化合物20に由来する光学軸22が、面内の一方向のみに向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する例である。
なお、本例は、液晶化合物20として、棒状液晶化合物を用いた例を示している。従って、光学軸22は、液晶化合物20の長手方向と一致する。この点に関しては、後述する反射型の液晶回折素子も同様である。
図2および図3に示すように、光学異方性層14においては、液晶化合物20が、一方向に連続的に光学軸22が回転変化した液晶配向パターンで固定化されている。図示例では、矢印x方向に一致する、図3中の軸Aに沿った方向に、光学軸22が連続的に回転変化している。すなわち、光学軸22として定義される液晶化合物20の長軸(異常光の軸:ダイレクタ)の面内成分と、軸Aとが成す角度が、回転変化するように液晶化合物20が配向されている。
なお、図3に示すように、光学異方性層14において、液晶化合物20の光学軸22の方向は、軸Aと直交する方向すなわち矢印y方向に配列される液晶化合物20では、一致している。光学異方性層14は、このy方向の液晶化合物20の光学軸22の方向が一致する領域毎に、上述のような一般的なλ/2板としての機能を発現する。
光学軸22の向きが回転変化した液晶配向パターンとは、軸Aに沿って配列されている液晶化合物20の光学軸22と軸Aとのなす角度が、軸A方向の位置によって異なっており、軸Aに沿って光学軸22と軸Aとのなす角度がφからφ+180°あるいはφ-180°まで徐々に変化するように配向され固定化されたパターンである。
なお、連続的に回転変化するとは、図2および図3に示す通り、30°刻みなどの一定の角度の領域が隣接して0°から180°(=0°)まで回転するものであってもよい。または、軸A方向に向かう光学軸22の角度変化は、一定の角度間隔ではなく、不均一な角度間隔で回転する物であってもよい。本発明においては、単位領域の光学軸22の向きの平均値が一定の割合で線形に変化していれば徐々に変化していることになる。ただし、軸A方向に隣接する、光学軸22が異なる傾きを有する単位領域同士における光学軸の傾きの変化は、45°以下とするのが好ましい。隣接する単位領域の傾きの変化は、より小さい方が好ましい。
光学異方性層14において、軸A方向に向かって光学軸22と軸Aとがなす角度がφからφ+180°(元に戻る)まで変化する距離、すなわち、光学軸22が180°回転する周期を、回転周期pとする。液晶回折素子121においては、この回転周期pが、回折素子における周期構造のピッチとなる。
この回転周期pは、0.5~5μmであるのが好ましい。回転周期pが短いほど、光学異方性層14すなわち液晶回折素子121による回折角、すなわち、光の屈折角が大きくなる。従って、回転周期pは、液晶回折素子121への入射光の波長および所望の出射角に応じて定めればよい。
液晶回折素子121は、上述した光学異方性層14の構成すなわち液晶配向パターンにより、入射光に対してλ/2の位相差を与える共に、入射角0°で入射した、すなわち垂直入射した入射光を、回折(屈折)して出射角θ2で出射させる。
すなわち、図4に概念的に示すように、光学異方性層14の主面(最大面)に垂直に右円偏光PRの光L1を入射させると、法線方向と角度θ2をなす方向に左円偏光PLの光L2が出射される。なお、光学異方性層14の主面に垂直に光を入射するとは、言い換えれば、面の法線に沿って光を入射する、ということである。
以下の説明では、光学異方性層14に入射する右円偏光PRの光L1を『入射光L1』ともいう。さらに、以下の説明では、光学異方性層から出射する左円偏光PLの光L2を『出射光L2』ともいう。
液晶回折素子121は、所定の波長の光を入射させる場合、光学異方性層14における回転周期pが小さいほど、回折角すなわち出射光L2の出射角が大きくなる。出射光L2の出射角とは、光学異方性層14の法線方向と出射光L2とが成す角度である。
なお、液晶回折素子121は右円偏光と左円偏光とで回折する方位が異なるので、液晶回折素子121からの出射光L2の回折方向は、液晶回折素子121に入射する光の円偏光の状態を制御して入射する。すなわち、入射光が直線偏光の場合は、λ/4板を挿入して、左右どちらかの円偏光に変換してから入射することで、光の回折の方位をどちらかのみにすることができる。
具体的には、図4に示す例では、液晶回折素子121の主面の法線に沿って右円偏光PRの入射光L1を入射させると、法線方向と角度θ2をなす方向、すなわち、x方向(軸A方向、図中右方向)に回折して、左円偏光PLの出射光L2が出射される。
この場合に、液晶回折素子121に入射光として左円偏光を入射させた場合には、光は光学異方性層14において右円偏光に変換されると共に、出射光は、図4とは逆方向、すなわち、x方向(軸A方向)と逆方向(図中左方向)に回折して出射される。
液晶回折素子121(光学異方性層14)により回折させる光の波長λは、紫外から可視光、赤外、さらには、電磁波レベルであってもよい。
同一の回転周期pに対しては、入射光の波長が大きいほど回折角が大きく、入射光の波長が小さいほど回折角が小さくなる。すなわち、回転周期pが同じである場合には、赤外線~紫外線の波長域の光であれば、赤外線>赤色光>緑色光>青色光>紫外線の順で、回折角が小さくなる。
なお、液晶化合物20としては、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物が利用可能である。
上記説明では入射光を光学異方性層に対して垂直に入射する例を示したが、入射光が斜めになった場合も同様に透過回折の効果が得られる。
上述したように、本発明の光偏向装置100は、光偏向素子101が偏向した光を、液晶回折素子121(光学異方性層14)によって回折することで、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも遥かに大きい、最大の出射角度θmaxoutの偏向角による光の偏向を可能にしている。
また、光学異方性層14による光の回折角は、液晶化合物20の光学軸22が180°回転する1周期すなわち回転周期pが短いほど、大きくなる。
さらに、入射する円偏光の偏向方向(旋回方向)が同じ場合には、光学異方性層14による光の回折方向は、液晶化合物20の光学軸22の回転方向によって、逆になる。
すなわち、入射光L1が右円偏光PRである場合に、出射面側から見て、光学軸22の回転方向が、図2~図4に示すように軸A方向(矢印x方向)に向かって時計回りである場合には、出射光L2は、例えば、軸A方向に回折される。
これに対して、入射光L1が右円偏光PRである場合に、出射面側から見て、光学軸22の回転方向が、軸A方向に向かって反時計回りである場合には、出射光L2は、逆の軸A方向とは逆方向に回折される。
これに応じて、本発明の光偏向装置100においては、光学異方性層14は、軸A方向に向かう液晶化合物20の光学軸22の回転周期pを、光偏向素子101による偏向(偏向方位)の内側(中心)から外側に向かって、漸次、短くする。すなわち、光学異方性層14による光の回折角は、偏向方向の外側に向かうにしたがって、大きくなる。
加えて、本発明の光偏向装置100においては、光学異方性層14は、軸A方向に向かう液晶化合物20の光学軸22の回転方向を、光偏向素子101による偏向の中心において、逆転する。例えば、図示例であれば、軸A方向に向かって、軸A方向の上流側から、偏向方向の中心までは、軸A方向に向かう光学軸22の回転方向を反時計回りとし、偏向の中心で光学軸22の回転方向を逆転して、偏向の中心から軸A方向の下流に向かっては、軸A方向に向かう光学軸22の回転方向を時計回りとする。
本発明の光偏向装置100は、このような構成を有することにより、光を軸A方向の中央から両側(上流側および下流側)に向かって屈折(回折)させ、かつ、光の回折角を光を軸A方向の中央から両側に向かって、漸次、大きくして、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも遥かに大きい、最大の出射角度θmaxoutの偏向角による光の偏向を可能にしている。
なお、光学軸22の回転方向を逆転するのは、通常、光学異方性層14における、軸A方向(矢印x方向)すなわち光学軸22が回転する一方向の中心である。すなわち、光偏向装置100においては、通常、光偏向素子101における偏向の中心と、光学異方性層14における軸A方向の中心とを、一致させる。
なお、本発明において、液晶回折素子121を構成する光学異方性層14の回転周期pは、偏向の中心から外側に向かって、漸次、短くなっていれば、連続的に短くなってもよく、または、段階的に短くなってもよい。
<光学異方性層の形成>
光学異方性層14は、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物によって形成する。
光学異方性層14を形成するための、液晶化合物を含む液晶組成物は、液晶化合物の他に、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。支持体上に配向膜を形成し、その配向膜上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる、所定の液晶配向パターンが固定化された光学異方性層を得ることができる。
次に、本発明の液晶組成物の各構成成分について詳述する。
光学異方性層14は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物の硬化層からなり、棒状液晶化合物の光学軸または円盤状液晶化合物の光学軸が、上記のように配向された液晶配向パターンを有している。
支持体12上に配向膜を形成し、配向膜上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる光学異方性層を得ることができる。なお、いわゆるλ/2板として機能するのは光学異方性層であるが、本発明は、支持体12および配向膜を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
また、光学異方性層を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
また、光学異方性層は、入射光の波長に対して広帯域であるのが望ましく、複屈折率が逆分散となる液晶材料を用いて構成されているのが好ましい。
さらに、液晶組成物に捩れ成分を付与することにより、また、異なる位相差層を積層することにより、入射光の波長に対して光学異方性層を実質的に広帯域にすることも好ましい。例えば、光学異方性層において、捩れ方向が異なる2層の液晶を積層することによって広帯域のパターン化されたλ/2板を実現する方法が特開2014-089476号公報等に示されており、本発明において好ましく使用することができる。
―棒状液晶化合物―
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/022586号、同95/024455号、同97/000600号、同98/023580号、同98/052905号、特開平1-272551号公報、同6-016616号公報、同7-110469号公報、同11-080081号公報、および、特願2001-064627号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報および特開2007-279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
―円盤状液晶化合物―
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報および特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
なお、光学異方性層に円盤状液晶化合物を用いた場合には、光学異方性層において、液晶化合物20は厚さ方向に立ち上がっており、液晶化合物に由来する光学軸22は、円盤面に垂直な軸、いわゆる進相軸として定義される。
光学異方性層14は、必要に応じて、配向膜13上に液晶組成物を多層塗布することにより形成してもよい。
多層塗布とは、配向膜の上に液晶組成物を塗布し、加熱し、さらに冷却した後に紫外線硬化を行って1層目の液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱し、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことをいう。光学異方性層14を上記のように多層塗布して形成することにより、光学異方性層14の総厚が厚くなった場合でも、配向膜13の配向方向を、光学異方性層14の下面から上面にわたって反映させることができる。
図5は、液晶回折素子の設計変更例における光学異方性層の平面模式図である。
図5に示す光学異方性層14A、すなわち、この光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121は、光偏向素子101による偏向方向が放射状(二次元的)である場合に対応する。上述のように、この光学異方性層の液晶配向パターンは、図7に示す露光装置で形成できる。
この光学異方性層14Aは、光学軸22の向きが中心側から外側の多方向、例えば、軸A1、A2、A3…に沿って徐々に回転して変化している液晶配向パターンを有している。
すなわち、この光学異方性層14Aは、液晶化合物20に由来する光学軸の向きが、一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを、内側(中心)から外側に向かう放射状に有する。言い換えれば、図5に示す光学異方性層14Aの液晶配向パターンは、液晶化合物20に由来する光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである。
光学異方性層14Aでは、液晶化合物20の光学軸の向きは、光学異方性層14Aの中心から外側に向かう多数の方向、例えば、上述の軸A1、軸A2、軸A3、軸A4…に沿って、連続的に回転しながら変化している。
この光学異方性層14Aにおいて、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、全ての方向(一方向)で同じ方向である。図示例では、軸A1、軸A2、軸A3および軸A4…に沿う方向の全ての方向で、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、時計回りである。
すなわち、軸A1と軸A4とを1本の直線と見なすと、この直線上では、光学異方性層14Aの中心で、液晶化合物20の光学軸の回転方向が逆転する。一例として、軸A1と軸A4とが成す直線が、図中右方向(軸A1の方向)に向かうとする。この場合には、液晶化合物20の光学軸20Aは、最初は、光学異方性層14Aの外方向から中心に向かって反時計回りに回転し、光学異方性層14Aの中心で回転方向が逆転し、その後は、光学異方性層14Aの中心から外方向に向かって時計回りに回転する。
また、好ましい態様として、各軸の方向において、液晶配向パターンの回転周期pは、内側(中心)から外側に向かって、漸次、短くなる。すなわち、液晶配向パターンの回転周期pは、各軸(矢印)の方向に向かって、漸次、短くなる。
上述のように、液晶化合物20の光学軸が一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する光学異方性層は、入射した円偏光を、円偏光の旋回方向に応じて、逆方向に回折(屈折)する。
また、液晶化合物20の光学軸の向きが、一方向に向かって連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層(液晶回折素子)では、透過する光の回折方向は、液晶化合物20の光学軸の回転方向に依存する。すなわち、この液晶配向パターンでは、液晶化合物20の光学軸の回転方向が逆の場合には、透過する光の屈折方向は、光学軸が回転する一方向に対して逆方向になる。
さらに、光学異方性層による回折角度は、回転周期pが短いほど、大きくなる。すなわち、光学異方性層による光の屈折は、回転周期pが短いほど、大きくなる。
従って、このような同心円状の液晶配向パターン、すなわち、放射状に光学軸20Aが連続的に回転して変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層14Aは、入射した光を、発散光または集光光として透過させることができる。すなわち、光学異方性層14A中は、入射光する円偏光の旋回方向によって、凹レンズまたは凸レンズとしての機能を実現できる。
本発明の光偏向装置10において、図5に示す光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121を用いる場合には、図5に示す光学異方性層14Aを凹レンズとして機能するように用いる。これにより、図5に示す光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121は、光偏向素子101が放射状に偏向した光を、さらに、偏向方向の中心がら外側方向に向けて、さらに拡散するように偏向できる。
この際において、レンズの中心を光偏向素子101の出射光(偏向方向)の中心に合わせると、光偏向素子から出射した最大偏向角θmaxの角度を最も効率的に光を広げることができる。
前述したように、本発明の光偏向装置は、図5に示す光学異方性層14Aの凹レンズの機能を液晶回折素子121Aに用いることにより、中心から放射状に拡散するように、光を偏向させることができる。
例えば、本発明の光偏向装置において、図9に概念的に示すように、凹レンズとして機能する光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121Aと、光偏向素子として、放射状(二次元的)に光を偏向するMEMS光偏向素子101Aとを用いる。MEMS光偏向素子101Aは、例えば、方位360°、極角0~35°で、光を偏向する。
これにより、図9に示すように、MEMS光偏向素子101Aで放射状に偏向した光Lを、液晶回折素子121Aによって回折させることで、偏向角すなわちMEMS光偏向素子101Aによる方位角を拡大して、広い範囲に放射状に光を偏向できる。
また、本発明の光偏向装置においては、後述するように、MEMS光偏向素子101Aの反射板が集光機能を有する。集光光として液晶回折素子121Aに入射することにより、液晶回折素子121Aによって屈折した光を、平行光として偏向、出射できる。
以上の例では、液晶回折素子121(光学異方性層)の液晶化合物20は、厚さ方向には一方向を向いているが、本発明は、これに制限はされない。
本発明の光偏向装置において、液晶回折素子を構成する光学異方性層は、図8に概念的に示す液晶回折素子220の第1光学異方性層215および第2光学異方性層216のように、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物20を有するものであってもよい。以下の説明では、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿った捩れ配向を、単に『捩れ配向』ともいう。
液晶化合物20が捩じれ配向している第1光学異方性層215および第2光学異方性層216は、液晶回折素子220の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した断面SEM像において、液晶化合物20の捩れ配向に由来する明暗線が、図8に示すように、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216との界面の法線に対して傾いた、傾斜光学異方性層である。
なお、上述のように、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期(回転周期p)、光学軸22が回転する方向に向かって、漸次、短くなる場合には、第1光学異方性層215および第2光学異方性層216の法線に対する明暗線の傾斜角度は、光学軸22が回転する方向に向かって、漸次、小さくなる。すなわち、この場合には、光学異方性層の主面に対して、明暗線の傾斜角度は、立ち上がっていく。さらに、この場合には、第1光学異方性層215および第2光学異方性層216の明暗線のパターンは、光学軸22が回転する方向に向かって、周期が短くなる。
このように、捩れ配向した液晶化合物20を有する光学異方性層によれば、高角度回折であっても、光の回折効率を向上できる。その結果、図2に示す、液晶化合物が捩じれ配向されない光学異方性層に比して、光学異方性層における光量低下を抑制して、出射光の光量を向上できる。
液晶回折素子220において、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216とでは、液晶化合物20の捩れ配向における捩れ方向が異なる。すなわち、第1光学異方性層215においては、光の進行方向に向かって、時計回りに、液晶化合物20が捩れ配向されている。他方、第2光学異方性層216では、光の進行方向に向かって、反時計回りに、液晶化合物20が捩れ配向されている。
そのため、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216とでは、断面SEM像における、捩れ配向に由来する明暗線の傾きの方向が、異なっている。
このような第1光学異方性層215では、例えば入射光が右円偏光である場合には、実線で示す図中左側(外側)に向かって進行する光に対しては、回折効率の向上効果が大きく得られる。しかしながら、第1光学異方性層215は、例えば入射光が右円偏光である場合には、破線で示す図中右側(中心側)に向かって進行する光に対しては、回折効率の向上効果は小さい。
これに対して、第2光学異方性層216では、入射光が右円偏光である場合には、逆に、実線で示す図中左側(外側)に向かって進行する光に対する回折効率の向上効果は小さい。しかしながら、第2光学異方性層216は、入射光が右円偏光である場合には、破線で示す図中右側(中心側)に向かって進行する光に対する回折効率の向上効果は大きい。
この作用効果は、入射光が左円偏光である場合には、逆になる。
液晶回折素子220は、偏光の中心の領域では、光学異方性層に対する入射光の入射角度が小さいので、第1光学異方性層215および第2光学異方性層216が、共に、回折効率の向上に寄与する。
その結果、液晶化合物20の捩れ配向における捩れ方向が互いに異なる第1光学異方性層215および第2光学異方性層216を有する液晶回折素子220によれば、光の偏向方向の全域で、回折効率の向上効果を得られ、偏向角の全域において、高い光量の光を出射できる。
液晶化合物20が捩れ配向する光学異方性層において、液晶化合物の捩れ角には、制限はない。液晶化合物の捩れ角は、光偏向素子による偏向角、および、目的とする回折効率等に応じて、適宜、設定すればよい。
液晶化合物20が捩れ配向する光学異方性層において、液晶化合物20の捩れ角は、10~200°が好ましく、20~190°がより好ましく、40~170°がさらに好ましい。
なお、捩れ配向した液晶化合物20の捩れ角(厚さ方向の捩れ角)とは、光学異方性層における、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向された液晶化合物20の、下面から上面に到るまでの捩れ角度である。
[MEMS光偏向素子の反射板の集光作用]
上述したように、図示例の光偏向装置100は、反射板に集光機能を有するMEMS光偏向素子を有する。
ホログラム回折素子、および、上述したような透過型の液晶回折素子等の角度拡大光学素子での拡大角は、偏向方向の中心から外側に向かって、漸次、大きくなる。
一方で、光偏向装置100が偏向する光すなわち光ビームは、実際には太さを有する。そのため、光学異方性層14による光の屈折量は、厳密には、偏向方向の内側(偏向の中心側)と外側とで異なり、屈折量は外側の方が、大きい。そのため、液晶回折素子121によって屈折された光は、若干、拡散するように拡径する光になってしまう。
このような不都合を回避するためには、光偏向素子が偏向して出射する光を、集光光にすればよい。これを実現する方法として、光偏向素子の上流に集光レンズ等の光を集光する光学素子を配置する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、光偏向装置に集光レンズ等の光学部材を追加する必要があり、光偏向装置のサイズが大きくなり、かつ、装置の構成も複雑になる。
これに対して、本発明の光偏向装置100では、MEMS光偏向素子101の反射板に集光機能を設け、液晶回折素子121に入射する光を、若干、縮径した光とすることで、光偏向装置100(液晶回折素子121)から出射する光を、平行光にして、直進性を向上できる。その結果、光による走査対象が、光偏向装置100から遠方であっても、光偏向装置100による光の走査を、正確に行うことができる。
しかも、本発明の光偏向装置100では、MEMS光偏向素子101の上流に集光レンズ等の光学素子を配置する必要もない。
従って、本発明によれば、小型かつ単純な構成で、簡便な駆動方法により、高機能な光偏向装置を実現できる。
MEMS光偏向素子101の反射板の集光力には、制限はない。すなわち、MEMS光偏向素子の反射板の屈折力は、液晶回折素子121による光の屈折量とその面内の分布(すなわち回折ピッチの面内分布関数)、光偏向装置100による光の偏向角、光偏向装置100と光走査対象との距離、入射光の光径(ビーム径)等に応じて、好適な光を出射できる屈折力を、適宜、設定すればよい。
[MEMS光偏向素子の反射板]
光偏向素子101において、このような集光機能を有するな反射板は、上述のように、反射板に回折素子を用いることで、実現できる。
光の集光騎乗を有する回折素子としては、上述のように、フォトニクス結晶、ホログラム回折素子、および、表面レリーフ回折素子等の、公知の各種の回折素子が利用可能であるが、液晶回折素子が好ましく、中でも、反射型の液晶回折素子が好適に例示される。
具体的には、上述した透過型の液晶回折素子121(光学異方性層)と同様の液晶配向パターンを有するコレステリック液晶を用いることで、反射型の回折光を発生させ、反射光の光の方向を制御する。
[反射型の液晶回折素子]
図11に、反射型の液晶回折素子118の一例を概念的に示す。
なお、図11に示す液晶回折素子118は、上述した図2等に示す液晶回折素子121と同じ部材を多用するので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行う。
図11に示す液晶回折素子118は、支持体12と、配向膜13と、コレステリック液晶層120とを有する。
支持体12および配向膜13は、いずれも、上述した液晶回折素子121と同様のものである。従って、配向膜13の露光は、図3に示す一方向のみに液晶化合物20の光学軸20Aが回転する液晶配向パターンを形成する場合には図6に示す露光装置を用いて行えばよい。他方、図5に示す、液晶化合物20の光学軸20Aが回転する一方向を、放射状に有する液晶配向パターン、すなわち同心円状の液晶配向パターンを形成する場合には、配向膜13の露光を、図7に示す露光装置を用いて行えばよい。
<コレステリック液晶層>
コレステリック液晶層120は、配向膜13の表面に形成される。
コレステリック液晶層120は、コレステリック液晶相を固定してなる層である。言い換えれば、コレステリック液晶層は、液晶化合物をコレステリック配向状態で固定した層である。
本発明の光偏向装置10において、光偏向素子の反射板にコレステリック液晶層を有する反射型の液晶回折素子を用いる場合には、コレステリック液晶層は、液晶化合物20に由来する光学軸20Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層である。
コレステリック液晶層120は、図11に概念的に示すように、通常のコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層と同様に、液晶化合物20が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有し、液晶化合物20が螺旋状に1回転(360°回転)して積み重ねられた構成を螺旋1ピッチとして、螺旋状に旋回する液晶化合物20が、複数ピッチ、積層された構造を有する。
周知のように、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、波長選択反射性を有する。後に詳述するが、コレステリック液晶層の選択的な反射波長域は、上述した螺旋1ピッチの厚さ方向の長さ(図11に示すピッチP)に依存する。
また、コレステリック液晶層は、液晶化合物20の螺旋状の旋回方向に応じて、右円偏光または左円偏光を、選択的に反射する。
コレステリック液晶層は、選択的な反射波長域の、選択的に反射する旋回方向の円偏光以外の光は、透過する。
従って、液晶回折素子に波長選択性を持たせ、所定の波長の光のみを回折する構成とする場合には、コレステリック液晶層の螺旋ピッチPを調節して、コレステリック液晶層の選択的な反射波長域を適宜設定すればよい。
<<コレステリック液晶相>>
コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。
一般的なコレステリック液晶相において、選択反射の中心波長(選択反射中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋のピッチPに依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋ピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。
コレステリック液晶相の選択反射中心波長は、ピッチPが長いほど、長波長になる。
なお、螺旋のピッチPとは、上述したように、コレステリック液晶相の螺旋構造1ピッチ分(螺旋の周期)であり、言い換えれば、螺旋の巻き数1回分であり、すなわち、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物のダイレクター(棒状液晶であれば長軸方向)が360°回転する螺旋軸方向の長さである。
コレステリック液晶相の螺旋ピッチは、コレステリック液晶層を形成する際に、液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、および、キラル剤の添加濃度に依存する。従って、これらを調節することによって、所望の螺旋ピッチを得ることができる。
なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60-63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載される方法を用いることができる。
コレステリック液晶相は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶層の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
また、選択反射を示す選択反射波長域(円偏光反射波長域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相のΔnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射波長域(選択的な反射波長域)の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
反射波長域の半値幅は、回折素子の用途に応じて調節され、例えば10~500nmであればよく、好ましくは20~300nmであり、より好ましくは30~100nmである。
<<コレステリック液晶層の形成方法>>
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を層状に固定して形成できる。
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造が好ましい。
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、コレステリック液晶層において、液晶化合物20は液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、前述した棒状あるいは円盤状の液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらに界面活性剤およびキラル剤を含んでいてもよい。
--界面活性剤--
コレステリック液晶層を形成する際に用いる液晶組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、安定的に、または迅速に、コレステリック液晶相の配向に寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましく例示される。
界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]に記載の化合物、特開2005-99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の段落[0076]~[0078]および段落[0082]~[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物が好ましい。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。
--キラル剤(光学活性化合物)--
キラル剤(カイラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用キラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-080478号公報、特開2002-080851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、液晶化合物の含有モル量に対して0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
--重合開始剤--
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%が好ましく、0.5~12質量%がより好ましい。
--架橋剤--
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、および、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレートおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]および4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートおよびビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ならびに、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。
--その他の添加剤--
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は、コレステリック液晶層を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。
コレステリック液晶層を形成する際には、コレステリック液晶層の形成面に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶層とするのが好ましい。
すなわち、配向膜13上にコレステリック液晶層を形成する場合には、配向膜13に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を形成するのが好ましい。
液晶組成物の塗布は、インクジェットおよびスクロール印刷等の印刷法、ならびに、スピンコート、バーコートおよびスプレー塗布等のシート状物に液体を一様に塗布できる公知の方法が全て利用可能である。
塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化され、コレステリック液晶層を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶化合物は、必要に応じて、さらに重合される。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、50~1500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は250~430nmが好ましい。
コレステリック液晶層の厚さには、制限はなく、コレステリック液晶層の用途、コレステリック液晶層に要求される光の反射率、および、コレステリック液晶層の形成材料等に応じて、必要な光の反射率が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
<<コレステリック液晶層の液晶配向パターン>>
前述のように、コレステリック液晶層において、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を形成する液晶化合物20に由来する光学軸20Aの向きが、コレステリック液晶層の面内において、一方向に連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
なお、液晶化合物20に由来する光学軸20Aとは、液晶化合物20において屈折率が最も高くなる軸、いわゆる遅相軸である。例えば、液晶化合物20が棒状液晶化合物である場合には、光学軸20Aは、棒形状の長軸方向に沿っている。以下の説明では、液晶化合物20に由来する光学軸20Aを、『液晶化合物20の光学軸20A』または『光学軸20A』ともいう。
図12に、コレステリック液晶層120の平面図を概念的に示す。
なお、平面図とは、図11においてコレステリック液晶層を上方から見た図であり、すなわち、コレステリック液晶層120を厚さ方向(=各層(膜)の積層方向)から見た図である。
また、図12では、コレステリック液晶層120の構成を明確に示すために、液晶化合物20は配向膜13の表面の液晶化合物20のみを示している。しかしながら、実際には、図11に示すように、液晶化合物20が、螺旋状に旋回して配向されて、数ピッチ、積層された構成を有する。
図12に示すように、配向膜13の表面において、コレステリック液晶層120を構成する液晶化合物20は、下層の配向膜13に形成された配向パターンに応じて、コレステリック液晶層の面内において、矢印Xaで示す所定の一方向に沿って、光学軸20Aの向きが連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。図12においては、液晶化合物20の光学軸20Aが、矢印Xa方向に沿って、反時計方向に連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有する。
図示例のコレステリック液晶層120を構成する液晶化合物20は、光学軸20Aの向きが連続的に回転する一方向(矢印Xa方向)、および、この一方向と直交する方向に、二次元的に配列された状態になっている。
以下の説明では、コレステリック液晶層の面内において、液晶化合物20の光学軸20Aの向きが、連続的に回転しながら変化する一方向と直交する方向をY方向とする。従って、図11および後述する図2では、Y方向は、紙面に直交する方向となる。
また、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、Y方向と直交する方向のコレステリック液晶層120(反射板)の中心で、逆転する。
すなわち、Y方向と直交する方向の双方向をX方向とすると、液晶化合物20の光学軸20Aは、X方向の中心から図中左方向であるXa方向、および、X方向の中心から図中右方向である矢印Xb方向に向かって、反時計回りに回転する。
言い換えれば、配列される液晶化合物20の光学軸20Aが回転する方向である矢印X方向の全域を、図中左(Xa方向)に向かう一直線と見なすと、図中右側の端部から中心までは、光学軸20Aは時計回りに回転し、中心で回転方向が逆転し、中心から図中右側の端部までは、光学軸20Aは反時計回りに回転する。
液晶化合物20の光学軸20Aの向きが矢印Xa方向(矢印Xb方向、所定の一方向)に連続的に回転しながら変化しているとは、具体的には、矢印Xa方向に沿って配列されている液晶化合物20の光学軸20Aと、矢印X方向とが成す角度が、矢印X方向の位置によって異なっており、矢印Xa方向に沿って、光学軸20Aと矢印Xa方向とが成す角度がθからθ+180°、あるいは、θ-180°まで、順次、変化していることを意味する。
なお、矢印Xa方向に互いに隣接する液晶化合物20の光学軸20Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、15°以下であるのがより好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
一方、コレステリック液晶層120を形成する液晶化合物20は、矢印Xa方向と直交するY方向、すなわち、光学軸20Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸20Aの向きが等しい。
言い換えれば、コレステリック液晶層120を形成する液晶化合物20は、Y方向では、液晶化合物20の光学軸20Aと矢印Xa(矢印Xb)方向とが成す角度が等しい。
コレステリック液晶層120においては、このような液晶化合物20の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸20Aが連続的に回転して変化する矢印Xa方向において、液晶化合物20の光学軸20Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。
すなわち、矢印Xa方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物20の、矢印Xa方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。具体的には、図12に示すように、矢印X方向と光学軸20Aの方向とが一致する2つの液晶化合物20の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。液晶回折素子118においては、この1周期の長さΛが、回折素子における周期構造のピッチとなる。
以下の説明では、この1周期の長さΛを『1周期Λ』とも言う。
コレステリック液晶層120の液晶配向パターンは、この1周期Λを、矢印X方向(および矢印X方向と逆方向)、すなわち光学軸20Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
また、コレステリック液晶層120は、光学軸20Aが回転する一方向において、1周期Λが、内側(中心)から外側に向かって、漸次、短くなる。
前述のように、コレステリック液晶層120は、矢印X方向の中心から、図中左方向に向かう矢印Xa方向、および、図中右方向に向かう矢印Xb方向に、光学軸20Aが反時計回りに回転する。
従って、コレステリック液晶層120は、矢印Xa方向および矢印Xb方向に向かって、1周期Λが、漸次、短くなる。なお。1周期Λは、中心から外側に向かって、連続的に短くなっても、段階的に短くなってもよい。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、通常、入射した光(円偏光)を鏡面反射する。
これに対して、コレステリック液晶層120は、入射した光を、鏡面反射に対して矢印Xa方向とは逆方向に傾けて反射する。コレステリック液晶層120は、面内において、矢印Xa方向(所定の一方向)に沿って光学軸20Aが反時計方向に連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有するものである。
以下、図13を参照して説明する。
一例として、コレステリック液晶層120は、赤色光の右円偏光RRを選択的に反射するコレステリック液晶層であるとする。従って、コレステリック液晶層120に光が入射すると、コレステリック液晶層120は、赤色光の右円偏光RRのみを反射し、それ以外の光を透過する。
コレステリック液晶層120に入射した赤色光の右円偏光RRは、コレステリック液晶層によって反射される際に、各液晶化合物20の光学軸20Aの向きに応じて絶対位相が変化する。
ここで、コレステリック液晶層120では、液晶化合物20の光学軸20Aが矢印Xa方向(一方向)に沿って回転しながら変化している。そのため、光学軸20Aの向きによって、入射した赤色光の右円偏光RRの絶対位相の変化量が異なる。
さらに、コレステリック液晶層120に形成された液晶配向パターンは、矢印Xa方向に周期的なパターンである。そのため、コレステリック液晶層120に入射した赤色光の右円偏光RRには、図13に概念的に示すように、それぞれの光学軸20Aの向きに対応した矢印Xa方向に周期的な絶対位相Qが与えられる。
また、液晶化合物20の光学軸20Aの矢印X方向に対する向きは、矢印Xa方向と直交するY方向の液晶化合物20の配列では、均一である。
これによりコレステリック液晶層120では、赤色光の右円偏光RRに対して、XY面に対して矢印Xa方向に傾いた等位相面Eが形成される。
そのため、赤色光の右円偏光RRは、等位相面Eの法線方向に反射され、反射された赤色光の右円偏光RRは、XY面(コレステリック液晶層の主面)に対して矢印Xa方向とは逆に傾いた方向に反射される。
従って、光学軸20Aが反時計回りに回転する一方向である矢印Xa方向を、適宜、設定することで、赤色光の右円偏光RRの反射方向を調節できる。
すなわち、矢印Xa方向を逆方向(矢印Xb方向)にすれば、赤色光の右円偏光RRの反射方向も図13とは逆方向になる。
また、矢印X方向に向かう液晶化合物20の光学軸20Aの回転方向を逆にすることで、赤色光の右円偏光RRの反射方向を逆にできる。
すなわち、図12および図13においては、矢印Xa方向に向かう光学軸20Aの回転方向は反時計回りで、赤色光の右円偏光RRは矢印Xa方向とは逆に傾けて反射される。ここで、矢印Xa方向に向かう光学軸20Aの回転方向を時計回りとすることで、赤色光の右円偏光RRは矢印Xa方向に傾けて反射される。
上述のように、コレステリック液晶層120は、矢印X方向の中心から、図中左側に向かう矢印Xa方向、および、図中右側に向かう矢印Xb方向に向かって、光学軸20Aが反時計回りに回転する。言い換えると、矢印X方向の全域では、図中右側端部から中心に向かって、光学軸20Aは時計回りに回転し、中心で回転方向が逆転して、中心から図中左側端部に向かって、光学軸20Aは、反時計回りに回転する。
従って、コレステリック液晶層120に入射した右円偏光は、矢印X方向の図中左側では、右方向に回折して反射され、同図中右側では、左方向に回折して反射される。
さらに、同じ液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層では、液晶化合物20の螺旋の旋回方向すなわち反射する円偏光の旋回方向によって、反射方向が逆になる。
図13に示すコレステリック液晶層120は、螺旋の旋回方向が右捩れで、右円偏光を選択的に反射するものであり、矢印X方向に沿って光学軸20Aが時計回りに回転する液晶配向パターンを有することにより、右円偏光を矢印X方向に傾けて反射する。
従って、螺旋の旋回方向が左捩れで、左円偏光を選択的に反射するものであり、矢印Xa方向に沿って光学軸20Aが反時計回りに回転する液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層は、左円偏光を矢印Xa方向に傾けて反射する。
液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層では、1周期Λが短いほど、上述した入射光の正反射に対する反射光の回折角度が大きくなる。すなわち、1周期Λが短いほど、入射光の正反射に対して、反射光を大きく傾けて反射できる。
上述のように、コレステリック液晶層120は、中心から図中左側に向かう矢印Xa方向、および、中心から図中右側に向かう矢印Xb方向に向かって、1周期Λが、漸次短くなる。従って、コレステリック液晶層120は、矢印Xa方向および矢印Xbに向かって、反射による光の回折角度が大きくなる。
上述のとおり、液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層は、波長選択反射性を有し、選択波長の光を回折しつつ反射する。
ここで、コレステリック液晶層120は、矢印X方向の中心から、図中左側に向かう矢印Xa方向、および、図中右側に向かう矢印Xb方向に向かって、光学軸20Aが反時計回りに回転する。これにより、コレステリック液晶層120に入射した右円偏光は、矢印X方向の図中左側では、右方向に回折して反射され、同図中右側では、左方向に回折して反射される。
また、コレステリック液晶層120は、矢印Xa方向および矢印Xb方向に向かって、1周期Λが、漸次、短くなる。従って、コレステリック液晶層120は、矢印Xa方向および矢印Xbに向かって、反射による光の回折角度が、漸次、大きくなる。
そのため、コレステリック液晶層120(液晶回折素子)に入射した赤色光の右円偏光は、矢印X方向すなわち光学軸20Aが回転する一方向の中心に向かって集光するように、反射される。
従って、このコレステリック液晶層120を有する反射型の液晶回折素子118を、光偏向素子101の反射板に用いることにより、入射した光(光ビーム)を偏向しつつ、矢印X方向の中心に向かって集光するように反射して、出射できる。
ここで、図11に示すコレステリック液晶層120は、液晶化合物の光学軸がコレステリック液晶層の主面に平行な構成を示したがこれに限定はされない。
例えば、図14に示すコレステリック液晶層123のように、前述のコレステリック液晶層において、液晶化合物の光学軸が液晶層(コレステリック液晶層)の主面に傾斜していてもよい。なお、このコレステリック液晶層123は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが、面内の一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する点は前述のコレステリック液晶層120と同様である。すなわち、コレステリック液晶層123の平面図は、図12と同様である。
以下の説明において、液晶化合物の光学軸がコレステリック液晶層の主面に傾斜している構成を、プレチルト角を有するともいう。
コレステリック液晶層においては、上下界面の一方の界面において、液晶化合物の光学軸がプレチルト角を有している構成であってもよく、両方の界面でプレチルト角を有する構成であってもよい。また、両界面でプレチルト角が異なっていてもよい。
コレステリック液晶層が表面でプレチルト角を有すると、さらに表面から離れたバルクの部分でも表面の影響を受けてチルト角を有する。このように液晶化合物がプレチルト(傾斜)することにより、光が回折する際に実効的な液晶化合物の複屈折率が高くなり、回折効率を高めることができる。
プレチルト角は、液晶層をミクロトームで割断し、断面の偏光顕微鏡観察によって測定することができる。
本発明において、コレステリック液晶層に垂直に入射した光は、コレステリック液晶層内において斜め方向に、屈曲力が加わり斜めに進む。コレステリック液晶層内において光が進むと、本来垂直入射に対して所望の回折角が得られるように設定されている回折周期等の条件とのずれが生じるために、回折ロスが生じる。
液晶化合物をチルトさせた場合、チルトさせない場合と比較して、光が回折する方位に対してより高い複屈折率が生じる方位が存在する。この方向では実効的な異常光屈折率が大きくなるため、異常光屈折率と常光屈折率の差である複屈折率が高くなる。
狙った回折する方位に合わせて、プレチルト角の方位を設定することによって、その方位での本来の回折条件とのずれを抑制することができ、結果としてプレチルト角を持たせた液晶化合物を用いた場合の方が、より高い回折効率を得ることができると考えられる。
プレチルト角は0°から90°までの角度であるが、大きくしすぎると正面での複屈折率が低下してしまうため、実際には1°から30°程度が好ましい。プレチルト角は、より好ましくは3°から20°であり、さらに好ましくは5°から15°である。
また、プレチルト角は、液晶層の界面の処理によって制御されることが望ましい。
支持体側の界面においては、配向膜にプレチルト処理をおこなうことにより液晶化合物のプレチルト角を制御することができる。例えば、配向膜13の形成の際に、配向膜13に紫外線を正面から露光した後に斜めから露光することにより、配向膜上に形成するコレステリック液晶層中の液晶化合物にプレチルト角を生じさせることができる。この場合には、2回目の照射方向に対して液晶化合物の単軸側が見える方向にプレチルトする。ただし、2回目の照射方向に対して垂直方向の方位の液晶化合物はプレチルトしないため、面内でプレチルトする領域とプレチルトしない領域が存在する。このことは、狙った方位に光を回折させるときにその方向に最も複屈折を高めることに寄与するので回折効率を高めるのに適している。
さらに、コレステリック液晶層中または配向膜中にプレチルト角を助長する添加剤を加えることもできる。この場合、回折効率を更に高める因子として添加剤を利用できる。
この添加剤は空気側の界面のプレチルト角の制御にも利用できる。
図12に示すコレステリック液晶層の液晶配向パターンにおける液晶化合物20の光学軸20Aは、矢印X方向のみに沿って、連続して回転している。
しかしながら、本発明は、これに制限はされず、コレステリック液晶層において、液晶化合物20の光学軸20Aが少なくとも一方向に沿って連続して回転するものであれば、各種の構成が利用可能である。
好ましい一例として、図15の平面図に概念的に示すような、液晶化合物20に由来する光学軸20Aの向きが、一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを、内側(中心)から外側に向かう放射状に有する液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層122が例示される。
すなわち、図15に示すコレステリック液晶層122の液晶配向パターンは、液晶化合物20に由来する光学軸20Aの向きが連続的に回転しながら変化する一方向を内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである。
なお、図15においても、図12と同様、配向膜の表面の液晶化合物20のみを示すが、図11に示される例と同様に、この配向膜の表面の液晶化合物20から、コレステリック液晶層122液晶化合物20が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有するのは、前述のとおりである。
コレステリック液晶層122では、液晶化合物20の光学軸の向きは、コレステリック液晶層122の中心から外側に向かう多数の方向、例えば、上述の矢印X1で示す方向、矢印X2で示す方向、矢印X3で示す方向、矢印X4で示す方向…に沿って、連続的に回転しながら変化している。
従って、コレステリック液晶層122において、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、全ての方向(一方向)で同じ方向である。図示例では、矢印X1で示す方向、矢印X2で示す方向、矢印X3で示す方向、および、矢印X4で示す方向の全ての方向で、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、反時計回りである。
すなわち、矢印X1と矢印X4とを1本の直線と見なすと、この直線上では、コレステリック液晶層122の中心で、液晶化合物20の光学軸の回転方向が逆転する。一例として、矢印X1と矢印X4とが成す直線が、図中右方向(矢印X1方向)に向かうとする。この場合には、液晶化合物20の光学軸は、最初は、コレステリック液晶層122の外方向から中心に向かって時計回りに回転し、コレステリック液晶層122の中心で回転方向が逆転し、その後は、コレステリック液晶層122の中心から外方向に向かって反時計回りに回転する。
また、各矢印の方向において、液晶配向パターンの1周期Λは、内側(中心)から外側に向かって、漸次、短くなる。すなわち、液晶配向パターンの1周期Λは、矢印の方向に向かって、漸次、短くなる。
図示例のコレステリック液晶層122は、各矢印の方向に向かって、液晶化合物20の光学軸20Aが反時計回りに回転するものであり、一例として、(赤色の)右円偏光を、矢印の方向とは逆の方向に傾けて反射する。
円偏光の反射方向は、矢印の方向に向かう光学軸20Aの回転方向を逆転することにより、逆転する。例えば、図示例であれば、各矢印の方向に向う液晶化合物20の光学軸20Aの回転方向を時計回りにすることで、右円偏光を、矢印の方向に傾けて反射する。
さらに、円偏光の反射方向は、円偏光の旋回方向を逆転することにより、逆転する。例えば、図示例であれば、コレステリック配向される液晶化合物の螺旋状の回転方向を逆転して、左円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層とすると、コレステリック液晶層は、左円偏光を、矢印の方向に傾けて反射する。
従って、図15に示すような同心円状の液晶配向パターン、すなわち、放射状に光学軸が連続的に回転して変化する液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層122は、液晶化合物20の光学軸の回転方向および反射する円偏光の方向に応じて、入射光を、発散光または集束光として反射できる。
すなわち、コレステリック液晶層の液晶配向パターンを同心円状とすることにより、反射型の液晶回折素子は、選択的に反射する円偏光、および、一方向に向かう液晶化合物20の光学軸20Aの回転方向に応じて、凹面鏡また凸面鏡としての機能を発現する。
さらに、図示例においては、好ましい態様として、液晶配向パターンにおいて光学軸が180°回転する1周期Λを、各矢印の方向、すなわち、コレステリック液晶層の中心から光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、短くする。
前述のように、光学軸が1方向に向かって回転する液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層では、反射する光の回折角度、すなわち鏡面反射に対する反射光の反射角度は、液晶配向パターンにおける1周期Λが短いほど、大きくなる。従って、液晶配向パターンにおける1周期Λを、コレステリック液晶層の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、短くすることにより、光を、より集束でき、凹面鏡としての性能を、向上できる。
すなわち、(MEMS)光偏向素子101の反射板に、同心円状の液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層122を有する反射型の液晶回折素子を用いることにより、周方向全域で入射光(光ビーム)を集光して、光を反射して出射できる。
従って、同心円状の液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層122を有する反射型の液晶回折素子を用いることにより、上述した反射板に集光機能を有する光偏向素子101における反射板の集光作用を、より好適に発現して、光偏向装置100(液晶回折素子121)から出射する光を、より適正な平行光にして、直進性を向上できる。その結果、光による走査対象が、光偏向装置100から遠方であっても、光偏向装置100による光の走査を、より正確に行うことができる。
[λ/4板]
上述のように、光偏向素子101の反射板に用いる反射型の液晶回折素子、および、角度拡大光学素子として用いる透過型の液晶回折素子121は、いずれも、主に円偏光(円偏光成分)に対して光学的な作用を発現して、光を回折する。
従って、本発明の光偏向装置100は、光の進行方向の光偏向素子101の上流に、λ/4板を配置するのが好ましい。特に、光偏向装置100が偏向する光が直線偏光である場合、すなわち、図示しない光源から光偏向素子101に照射される光が直線偏光である場合には、λ/4板は、好適に用いられる。
λ/4板は、直線偏光を円偏光にする、公知のλ/4板(1/4位相差板)である。
λ/4板としては、公知のものを制限なく用いることができる。従って、λ/4板は、ポリマー由来のものであってもよいし、液晶由来のものであってもよい。
図1に示す光偏向装置100において、図示しない光源から出射された直線偏光の光は、λ/4板(図示省略)によって、例えば、右円偏光に変換される。
なお、反射型の液晶回折素子を有する光偏向素子101を用いる光偏向装置100において、λ/4板は、光偏向素子101と液晶回折素子121との間に配置してもよい。しかしながら、λ/4板を小型化できる、光偏向素子101によって効率良く入射光を偏向できる等の点で、光偏向素子101を用いる光偏向装置100においては、λ/4板は、光偏向素子101よりも上流に設けるのが好ましい。
また、反射型の液晶回折素子を有する光偏向素子101を用いる光偏向装置100においては、円偏光の光が入射される場合には、λ/4板を設けなくてもよい。
λ/4板によって変換された右円偏光は、右円偏光を選択的に回析して反射する上述した反射型の液晶回折素子を有する光偏向素子101によって、集光されると共に偏向される。
光偏向素子101によって集光および偏向された右円偏光は、右円偏光を偏向方向の外側に向けて回析(屈折)するように液晶化合物20の光学軸20Aの回転方向等が設定された、上述した透過型の液晶回折素子121に入射する。液晶回折素子121に入射した右円偏光は、液晶回折素子121によって左円偏光に変換され、かつ、さらに光偏向素子101による偏向方向の外側に回折される。
これにより、左円偏光は、上述したように偏向角を拡大され、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも大きな、目的とする最大の出射角度θmaxoutで、光偏向装置100から出射される。
また、液晶回折素子121に入射する右円偏光は、光偏向素子101によって集光アされている。そのため、液晶回折素子121によって、さらに回折/偏向された左円偏光は、好適な平行光であり、良好な直進性を有する、光偏向装置100から遠方でも正確な走査が可能な光である。
なお、本発明の光偏向装置10においては、光偏向素子101による光の偏向が一次元的な偏向で、かつ、角度拡大光学素子である透過型の液晶回折素子121として、図3に示す、液晶化合物20に由来する光学軸20Aが回転して変化する方向が一方向である液晶回折素子を用いる場合には、光偏向素子101による光の偏向方向と、液晶回折素子121における軸A方向(矢印x方向)と一致させる。
また、本発明の光偏向装置10においては、光偏向素子101による光の偏向が放射状(二次元的)である場合には、角度拡大光学素子である透過型の液晶回折素子121として、図5に示す、同心円状の液晶配向パターンを有する光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121を用いる。ただし、図5に示す、同心円状の液晶配向パターンを有する光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121は、光偏向素子101による光の偏向が一次元的な偏向である場合も、利用可能である。
本発明において、液晶回折素子を凹レンズとして作用させる場合には、コレステリック液晶層が反射する円偏光の方向(螺旋構造のセンス)を凸レンズの場合と逆にする、つまりコレステリック液晶層が螺旋状に旋回する方向を逆にしてもよい。
この場合も、コレステリック液晶層122の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、光学軸が180°回転する1周期Λを、漸次、短くすることにより、コレステリック液晶層が反射する光を、より発散でき、凹レンズとしての性能を、向上できる。
なお、コレステリック液晶層の螺旋状に旋回する方向を逆にした上で、液晶配向パターンにおいて光学軸の連続的な回転方向を、コレステリック液晶層の中心から、逆方向に回転させることで、液晶回折素子を凸レンズとして作用させることができる。
本発明において、液晶回折素子を凸レンズまたは凹レンズとして作用させる場合には、下記の式を満たすのが好ましい。
Φ(r)=(π/λ)[(r2+f21/2-f]
ここで、rは同心円の中心からの距離で式『r=(x2+y21/2』で表わされる。xおよびyは面内の位置を表し、(x、y)=(0、0)は同心円の中心を表す。Φ(r)は中心からの距離rにおける光軸の角度、λはコレステリック液晶層の選択反射中心波長、fは目的とする焦点距離を表わす。
なお、本発明においては、液晶回折素子の用途によっては、逆に、同心円状の液晶配向パターンにおける1周期Λを、コレステリック液晶層の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、長くしてもよい。
さらに、例えば透過光に光量分布を設けたい場合など、液晶回折素子の用途によって、光学軸が連続的に回転する1方向に向かって、1周期Λを、漸次、変更するのではなく、光学軸が連続的に回転する1方向において、部分的に1周期Λが異なる領域を有する構成も利用可能である。
このように本実施の形態にかかる本発明の光偏向装置では、小型で、単純な構成で、簡便な駆動方法により高機能な光偏向装置を実現できる。
このような本発明の光偏向装置は、各種の光学装置に利用可能である。
図10に本発明の光偏向装置を用いる、本発明の光学装置の一例を概念的に示す。
図10に示す光学装置110は、光源112と、本発明の光偏向装置100と、受光素子114とを有する。
光学装置110においては、光源112が出射した光を、本発明の光偏向装置100によって偏向する。偏向された光は、光学装置110から出射され、測定対象Oによって反射される。測定対象Oによる反射光は、再度、光学装置110に入射して、受光素子114によって受光され、測光される。
このような本発明の光学装置110は、各種のセンサとして利用される。光学装置110を利用するセンサとしては、一例として、いわゆるLiDARを用いた測距センサ、形状計測センサ、認識センサとして利用される。
光学装置110において、光源112には制限はなく、測定対象、および、光学装置110の用途等に応じて、適宜、選択すればよい。光源112としては、一例として、半導体レーザ、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)等が例示される。一例として、光学装置110を測距センサとして利用する場合には、光源112として、赤外線を出射する光源が好ましく例示される。また、測定する対象や環境によっては、赤外線以外の波長の光または電磁波を用いることも好ましく例示される。例えば、可視光のレーザー光源を用いても良い。
受光素子114にも、制限はなく、光源112が出射した光を測光可能なものであれば、公知の受光素子が、各種、利用可能である。受光素子114としては、一例として、CCD(Charge Coupled Device)センサ、フォトマルチプライヤ等が例示される。
また、本発明の光偏向装置は、単純構造、単純駆動で、大きな角度偏向可能なため、軽量小型化が望まれる光をスキャンするあらゆる用途に応用が可能である。例えば、ビームスキャンを用いた描画装置、ビームスキャン型プロジェクションディスプレイ、ビームスキャン型ヘッドアップディスプレイ、ビームスキャン型ARグラス等である。この場合、可視光をはじめ広い波長域で光を光偏向させる装置として応用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<MEMS光偏向素子の作製>
特開2014-134642号公報に記載される方法でマイクロミラーデバイスを作製した。反射板部の直径は1mm、反射板の可動によって偏向できる角度は±35°であった。
次に、マイクロミラーデバイスのミラーに貼合するための反射型液晶回折素子を以下のように作成した。
<MEMS光偏向素子用の反射型液晶回折素子の作製>
(配向膜の形成)
支持体としてガラス基板を用意した。支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液をスピンコータを用いて2500rpmにて30秒間塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-光配向用素材-
Figure 0007252355000001
(配向膜の露光)
図7に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P-1を形成した。
露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm2とした。
なお、レンズ(凸レンズ)の屈折力を調節して、その後の光学異方性層の形成時に、中心から外側に向かって、光学異方性層における液晶化合物の光学軸の回転の回転周期が、漸次、短くなるように設定した。得られた回転周期の値は後述する。
(コレステリック液晶層の形成)
第1のコレステリック液晶層を形成する液晶組成物として、下記の組成物LC-1を調製した。
組成物LC-1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L-1 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
キラル剤Ch-1 1.91質量部
メチルエチルケトン 330.60質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1
Figure 0007252355000002
キラル剤Ch-1
Figure 0007252355000003
パターン配向膜P-1上に、上記の液晶組成物LC-1を、スピンコータを用いて、800rpmで10秒間塗布した。液晶組成物LC-1の塗膜をホットプレート上で80℃にて3分間(180sec)加熱した。その後、80℃にて、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を300mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶組成物LC-1を硬化して液晶化合物の配向を固定化し、コレステリック液晶層を形成した。
コレステリック液晶層は、表面が図15に示すような周期的な配向になっていることを偏光顕微鏡で確認した。
コレステリック液晶層を光学軸の回転方向に沿う方向に切削し、断面をSEMで観察した。その結果、SEM断面で観察される明部および暗部が主面に対して傾いていることを確認した。この明部および暗部はコレステリック液晶相に由来して観察されるものであり、明部と暗部の繰り返し2回分が、螺旋1ピッチに相当する。この明部および暗部は、光学軸の向きが旋回方向で一致している液晶化合物を接続するように形成される。すなわち、明部および暗部は、上述した等位相面と一致する。
反射型液晶回折素子の直径は1mmであった。この光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期(1周期Λ)は、中心部の1周期が非常に大きく(回転周期の逆数が0)、中心から0.25mmの距離での1周期が150μm、中心から0.5mmの距離での1周期が75μmであり、中心から外方向に向かって、1周期が、漸次、短くなる液晶配向パターンであった。
以上のように作成した反射型液晶回折素子をマイクロミラーデバイスのミラーに光硬化性接着剤で貼合し、MEMS光偏向素子を作製した。
<角度拡大光学素子用の液晶回折素子の作製>
図8に概念的に示すような、第1光学異方性層および第2光学異方性層の2層の光学異方性層を有する液晶回折素子を作製した。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、液晶化合物が捩れ配向している層であり、液晶回折素子の断面をSEMで観察した断面SEM像において、液晶化合物の捩れ配向に由来する明暗線が、図8に示すように、第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線に対して傾いた、傾斜光学異方性層である。
さらに、第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れ配向における捩れ方向が異なる。その結果、断面SEM像における、捩れ配向に由来する明暗線の傾きの方向が異なる。
以下の説明では、『捩じれ配向に由来する明暗線』を、単に『明暗線』とも言う。また、『第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線』を、単に『法線』とも言う。
(第1光学異方性層の形成)
第1光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-5を調製した。
組成物A-5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
カイラル剤A 0.13質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 2840.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
カイラル剤A
Figure 0007252355000004
この組成物A-5を用いた以外は、反射型液晶回折素子と同様の方法で配向膜P-1を作成し、第1光学異方性層を形成した。
(第2光学異方性層の形成)
第2光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-6を調製した。
組成物A-6
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
カイラル剤B 0.22質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 2840.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
カイラル剤B
Figure 0007252355000005
組成物A-6を用いた以外は第1光学異方性層と同様にして、第1光学異方性層の上に第2光学異方性層を形成した。これにより、図8に示すような2層の光学異方性層を有する液晶回折素子を作製した。
作製した液晶回折素子において、第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、最終的に液晶のΔn940×厚さ=Re(940)が470nmになり、かつ、図5に示すような同心円状の周期的な液晶配向パターンになっており、さらに、光学軸が回転する一方向において、中心から外側に向かって、液晶化合物の光学軸の回転周期が、漸次、短くなっていること、および、中心で光学軸の回転方向が逆転していることを、偏光顕微鏡で確認した。
なお、第1光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する回転周期(1周期)は、中心部で非常に大きく(回転周期の逆数が0と見なせる)、中心から1.0mmの距離での回転周期が9.0μm、中心から2.5mmの距離での回転周期が4.5μm、中心から4.0mmの距離での回転周期が3.0μmであり、中心から外方向に向かって、回転周期が、漸次、短くなっていた。
第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れの方向は逆であった。第1光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、右捩れ80°であった。他方、第2光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、左捩れ80°であった。
液晶回折素子の断面SEM像において、第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、法線に対して斜めに傾斜した明暗線が観察された。また、第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、法線に対する明暗線の傾き方向は逆であった。なお、法線とは、第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線であるのは、上述のとおりである。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、法線に対する明暗線の傾斜角度は、中心から外側に向かって、漸次、小さくなっていた。さらに、第1光学異方性層および第2光学異方性層の明暗線のパターンは、共に、中心から外側に向かって周期が短くなる様子が観察された。
液晶回折素子の直径は10mmであった。液晶回折素子は、中心部の回転周期が非常に大きく(回転周期の逆数が0)で、半径2.5mmの位置での回転周期が4.6μm、半径5mmの位置での回転周期が2.5μmであり、中心から外方向に向かって、回転周期が、漸次、短くなる液晶配向パターンであった。
<光偏向装置の組み立て>
手前から、λ/4板(シグマ光機製)、MEMS型光偏向素子、角度拡大光学素子、の順番で配置して、図1に示すような光偏向装置を作製した。
この際に、液晶光位相変調素子の出射光の偏光方位とλ/4板の面内遅相軸とを45°で交差させ、円偏光に変換されるようにした。また、液晶光位相変調素子の偏向方位の中心を、液晶回折素子の中心と合わせて、光の偏向角の増幅効果が最も大きくなるように貼合した。
また、光源として、赤外線レーザ(波長940nm、直線偏光、偏光軸の方位は液晶の異常光方位、光径1mm)を用意した。赤外線レーザは、出射する直線偏光が、液晶回折素子の出射面に対してP偏向となるように配置した。また、マイクロミラーデバイスと液晶回折素子の距離は7mmであった。
[評価]
実施例1の光偏向装置について、赤外線レーザ光をの出射光の角度を確認した。
その結果、光偏向素子による偏向角が入射角-35~+35°の範囲から大きく拡大され、±55°程度まで大きくなり、かつ出射光の角度の広がりが押さえられ直進光になっていることが確認できた。
以上、説明したように、本発明によれば、小型・軽量化に適した単純な構造にできる高偏向角化が可能な光偏向装置が得られるという効果を奏することを確認できた。
12 支持体
13 配向膜
14,14A 光学異方性層
20 液晶化合物
20A 光学軸
50,80 露光装置
52,82 レーザ
54,84 光源
56 偏光ビームスプリッター
58A,58B,90A,90B ミラー
60A,60B,96,111 λ/4板
70 レーザ光
72A,72B 光線
86,94 偏光ビームスプリッター
92 レンズ
100 光偏向装置
101,101A (MEMS)光偏向素子
110 光学装置
112 光源
114 受光素子
118,121、121A,220 液晶回折素子
120,122,123 コレステリック液晶層
141 駆動装置
215 第1光学異方性層
216 第2光学異方性層
O 測定対象
1,L41 入射光
2,L42,L43 出射光
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
M レーザ光
MP P偏光
MS S偏光

Claims (12)

  1. 入射された光を偏向して出射するMEMS光偏向素子と、
    前記MEMS光偏向素子よりも光の進行方向の下流側に配置され、前記MEMS光偏向素子から出射した光の偏向角の角度範囲を拡大する角度拡大光学素子と、を備え、
    前記MEMS光偏向素子が、入射した光を集光して出射する機能を有することを特徴とする光偏向装置。
  2. 前記MEMS光偏向素子が、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子を有する、請求項1に記載の光偏向装置。
  3. 前記MEMS光偏向素子が有する前記回折素子は、前記周期構造ピッチが、前記MEMS光偏向素子による光の偏向方向の内側から外側に向かって、漸次、変化する、回折素子である、請求項2に記載の光偏向装置。
  4. 前記MEMS光偏向素子が有する前記回折素子が、液晶回折素子である、請求項2または3に記載の光偏向装置。
  5. 前記液晶回折素子が、コレステリック液晶層を有するものであって、
    前記コレステリック液晶層は、液晶化合物に由来する光学軸の向きが、少なくとも一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、かつ、
    前記液晶配向パターンにおいて、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向における、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、1周期の長さが内側から外側に向かって、漸次、短くなるものである、請求項4に記載の光偏向装置。
  6. 前記コレステリック液晶層は、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを、内側から外側に向かう放射状に有する、請求項5に記載の光偏向装置。
  7. 前記角度拡大光学素子が、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子を有する、請求項1に記載の光偏向装置。
  8. 前記角度拡大光学素子が有する前記回折素子は、前記周期構造ピッチが、前記MEMS光偏向素子による光の偏向方向の内側から外側に向かって、漸次、変化する、回折素子である、請求項7に記載の光偏向装置。
  9. 前記角度拡大光学素子が有する前記回折素子が、液晶回折素子である、請求項7または8に記載の光偏向装置。
  10. 前記液晶回折素子が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された光学異方性層を有するものであって、
    前記光学異方性層は、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが、少なくとも一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、かつ、
    前記液晶配向パターンにおいて、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向における、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、1周期の長さが内側から外側に向かって、漸次、短くなるものである、請求項9に記載の光偏向装置。
  11. 前記光学異方性層は、前記液晶化合物に由来する光学軸の向きが一方向に向かって連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを、内側から外側に向かう放射状に有する、請求項10に記載の光偏向装置。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載される光偏向装置と、前記光偏向装置の前記MEMS光偏向素子に光を入射する光源と、受光素子とを有することを特徴とする光学装置。
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