JP6975014B2 - 車体姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車体姿勢制御装置に関する。
自動車が走行中に前後左右の車輪のいずれかの車輪におけるタイヤがパンクした場合、自動車が走行を継続するとパンクしたタイヤの空気圧が低下していき、車輪にかかる荷重によってパンク車輪におけるタイヤやホイールが損傷する可能性がある。
この問題を解消するため、タイヤのパンクを検知すると、自動車における車体と各車輪との間に介装される減衰力可変のショックアブソーバにおける減衰力特性を変更して、パンク車輪におけるタイヤおよびホイールの損傷を防止する車両懸架装置が提案されている。
この車両懸架装置は、タイヤのパンクを検知すると、パンクした車輪に対応するショックアブソーバの減衰力特性をソフトとし、パンクしていない車輪に対応するショックアブソーバの減衰力特性をハードとする。或いは、この車両懸架装置は、タイヤのパンクを検知すると、パンクした車輪に対応するショックアブソーバの減衰力特性を圧側ソフト且つ伸側ハードとし、パンクしていない車輪に対応するショックアブソーバの減衰力特性を圧側ハード且つ伸側ソフトとする(たとえば、特許文献1参照)。
車両懸架装置は、前述のようにショックアブソーバの減衰力特性を変更するので、パンクしていない車輪における車体から受ける荷重負担を多くしてパンク車輪が受ける荷重負担を軽減し、パンク車輪におけるタイヤおよびホイールの損傷を防止する。
特開平9−99723号公報
このように、従来の車両懸架装置は、自動車の走行中にタイヤが鋭利なものを踏んだり、縁石でサイドウォールを傷めたりして、タイヤから徐々に空気が抜けていく場合にはパンクに対処できる。
しかしながら、従来の車両懸架装置では、タイヤが破裂(バースト)してタイヤから一気に空気が抜けてしまう状況を想定していない。つまり、タイヤが破裂する状況となると、車体がパンク車輪側に大きく傾いてしまって車体挙動が不安定になって自動車が急旋回やスピンしてしまう可能性があるが、従来の車両懸架装置では、このような状況に対処できない。
そこで、本発明は、自動車走行時においてタイヤが破裂しても車体姿勢を安定させて、自動車の急旋回やスピンを回避させ得る車体姿勢制御装置の提供を目的としている。
上記した目的を達成するため、本発明の車体姿勢制御装置は、自動車の車体と前後左右の車輪との間に介装されて車体の姿勢を調節可能なサスペンション装置と、サスペンション装置を制御する制御部と、各車輪におけるタイヤの破裂を検知する破裂検知部とを備え、破裂検知部が破裂を検知すると制御部が姿勢安定制御を実行し、破裂が検知された車輪に対応するサスペンション装置については直上の車高の低下を抑制するように制御し、破裂が検知されていない全ての車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を妨げないように制御するようになっている。このように構成された車体姿勢制御装置は、タイヤの破裂を検知すると姿勢安定制御を実行するので、タイヤの破裂による車輪の直上の車体の沈み込みが抑制され、車体の姿勢が安定する。
また、車体姿勢制御装置は、サスペンション装置が車体を高低可能な車高調整装置を有し、制御部が姿勢安定制御においてタイヤの破裂が検知された車輪の直上の車高を上昇させるとともに、タイヤの破裂が検知されていない車輪の直上の車体における車高を下降させてもよい。このように構成された車体姿勢制御装置は、車体の車高を直接的に調整するから、車体の姿勢を自動車の急旋回やスピンを回避可能な姿勢へ速やかに調整できるので、自動車の急旋回およびスピンを効果的に回避できる。
さらに、車体姿勢制御装置は、サスペンション装置が減衰力可変緩衝器を有し、制御部が姿勢安定制御においてタイヤの破裂が検知された車輪に対応する減衰力可変緩衝器の減衰力をタイヤの破裂が検知された車輪の直上の車高の低下を抑制するように変更し、タイヤの破裂が検知されていない車輪に対応する減衰力可変緩衝器の減衰力をタイヤの破裂が検知されていない車輪の直上の車高の低下を妨げないように変更してもよい。このように構成された車体姿勢制御装置は、減衰力可変緩衝器が伸縮を繰り返すと徐々に車体の車高が調整されるので、自動車の急旋回およびスピンを回避できる。このような車体の姿勢の調節を行うには、制御部は、姿勢安定制御において、タイヤの破裂が検知された車輪に対応する減衰力可変緩衝器の減衰力をタイヤの破裂が検知されていない車輪に対応する減衰力可変緩衝器の減衰力より相対的に高くすればよい。また、制御部は、姿勢安定制御において、タイヤの破裂が検知された車輪に対応する減衰力可変緩衝器の伸側減衰力よりも圧側減衰力を高くし、タイヤの破裂が検知されていない車輪に対応する減衰力可変緩衝器の伸側減衰力よりも圧側減衰力を低くしてもよい。
また、車体姿勢制御装置は、自動車の速度を検知する速度検知部を備え、制御部は、速度検知部が検知した速度が速度閾値未満である場合には、姿勢安定制御を実行しないようにしてもよい。このように構成された車体姿勢制御装置では、速度が低く、自動車の急旋回やスピンの恐れの無い場合には、姿勢安定制御を実行しないので、運転者は、タイヤの破裂に気付くので、運転者がそのまま走行してしまうのを回避できる。
さらに、車体姿勢制御装置は、車体のヨーレートを検知するヨーレートセンサと、車体の横方向の加速度である横加速度を検知する加速度センサと、自動車の操向輪を操舵可能な操舵装置とを備え、制御部は、破裂検知部が破裂を検知すると姿勢安定制御を実行した後に、ヨーレートと横加速度とに基づいて操舵装置を制御してスピン回避制御を実行してもよい。このように構成された車体姿勢制御装置では、姿勢安定制御のみでは自動車の急旋回やスピンの回避ができないような状況となると、操向輪を操舵して自動車の急旋回やスピンをより効果的に回避できる。
また、車体姿勢制御装置では、操向輪を操舵するステアリングホイールに入力される操舵トルクを検知するトルクセンサを備え、制御部がスピン回避制御の実行中にスピン回避制御による操向輪の操舵方向とは逆方向の操舵トルクがステアリングホイールに作用するとスピン回避制御を終了してもよい。このように構成された車体姿勢制御装置では、スピン回避制御が運転者の意図と異なる操舵を指示する場合、運転者の意図する操舵を優先できるので、スピン回避制御によって運転者の意図する操舵の邪魔をせずに済む。
なお、破裂検知部は、各車輪におけるタイヤの空気圧を検知する圧力センサを有し、圧力センサで検知する圧力の値の変化量が圧力閾値以上になると、変化量が前記圧力閾値以上となった圧力を検知した圧力センサに対応する車輪におけるタイヤが破裂したと判定してもよいし、車体と各車輪との間にそれぞれ介装されて車体と各車輪との上下方向の相対距離を検知するストロークセンサを有し、各ストロークセンサが検知する相対距離のうち、各相対距離のうち一つのみの相対距離の変化量が距離閾値を超えると、変化量が距離閾値を超えた相対距離を検知したストロークセンサに対応する車輪におけるタイヤTが破裂したと判定してもよい。
本発明の車体姿勢制御装置によれば、自動車の走行時においてタイヤが破裂しても車体姿勢を安定させて、自動車の急旋回やスピンを回避させ得る。
一実施の形態における車体姿勢制御装置が適用された車両のモデル図である。 一実施の形態の車体姿勢制御装置における制御ブロック図である。 一実施の形態における車体姿勢制御装置の破裂検知部の第一例の制御ブロック図である。 一実施の形態における車体姿勢制御装置の破裂検知部の第二例の制御ブロック図である。 一実施の形態の車体姿勢制御装置における制御の処理手順を示したフローチャートである。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1に示すように、一実施の形態における車体姿勢制御装置1は、自動車Vの車体Bと前後左右に設けた四つの車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間にそれぞれ介装されて車体Bの姿勢を調節可能なサスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLと、サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLを制御する制御部2と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLにおけるタイヤTの破裂を検知する破裂検知部3とを備えて構成されている。
以下、各部について詳細に説明する。図1に示すように、自動車Vは、車体Bと、タイヤTを有して車体Bの前後左右に設けた四つの車輪WFR,WFL,WRR,WRLと、車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間にそれぞれ介装されるサスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLを備えている。また、自動車Vには、車両の前側の左右輪WFR,WFLを操向輪としてこれら左右輪WFR,WFLを操舵するステアリングホイール4と、左右輪WFR,WFLを操舵が可能な操舵装置5とを備えている。
サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLは、本実施の形態では、車体Bと車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間に介装されて車体Bを弾性支持する車高調整装置としてのエアばねAと、エアばねAに並列されて減衰力を高低調節可能な減衰力可変緩衝器Dとを備えている。サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLは、車体Bの姿勢を調節できるものであればよい。
エアばねAは、詳しくは図示しないが、図外のコンプレッサからの気体の供給或いは図外のエアバルブの開放による内部からの気体の排出によって、内部圧力の調節が可能となっている。よって、車高調整装置としてのエアばねAは、内部圧力を高くすれば自動車Vにおける車高を上昇させ得るとともに、内部圧力を低くすれば自動車Vにおける車高と低下させ得る。このように、車高調整装置としてのエアばねAは、車体Bの車高調整により車体Bの姿勢を調節できる。そして、制御部2は、コンプレッサおよびエアバルブを駆動制御して、エアばねAの内部圧力を調節して車高を調節できるようになっている。車高調整装置は、エアばねAに限られず、車高調整可能な機器で構成されてもよい。
減衰力可変緩衝器Dは、詳しくは図示しないが、たとえば、シリンダと、シリンダ内に挿入されてシリンダ内に作動流体が充填される伸側室と圧側室とを区画するピストンと、シリンダ内に移動自在に挿入されるとともにピストンに連結されるロッドと、シリンダに対するピストンの移動時に発揮される減衰力を調節する減衰バルブとを備える。そして、制御部2は、減衰力バルブを制御して、減衰力可変緩衝器Dの減衰力を高低調節できるようになっている。なお、減衰力可変緩衝器Dは、制御部2の制御によって減衰力を高低調節可能なものであればよく、減衰力特性の調節により減衰力を高低調節可能なものであってもよい。したがって、減衰力可変緩衝器Dは、減衰力を高低調節可能なものであれば構造的に制限を受けず、また、作動流体についても制限を受けない。たとえば、作動流体を電気粘性流体或いは磁気粘性流体として、流体に作用させる電界或いは磁界の大きさを変化させて減衰力の調節が可能な緩衝器であってもよい。減衰力可変緩衝器Dは減衰力を高くすると伸縮しづらくなり、低くすると伸縮しやすくなる。そのため、減衰力可変緩衝器Dは、減衰力を高低調節することによって、直上の車体Bの振動量を調節できるので、これにより、車体Bの姿勢を調節できる。
また、減衰力可変緩衝器Dがアクチュエータとしても機能できる場合、減衰力可変緩衝器Dを減衰力可変緩衝器としてだけでなく車高調整装置として機能させてもよい。減衰力可変緩衝器Dがアクチュエータとしても機能する場合の例としては、流体の前記シリンダへの給排によって伸縮可能なアクティブサスペンションや電磁緩衝器がある。電磁緩衝器は、モータとモータの動力によって、推力や減衰力を発揮するものであり、たとえば、特開2012−167757号公報に開示されている電磁緩衝器をサスペンション装置として利用できる。
破裂検知部3は、図3に示すように、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLにおけるタイヤTの空気圧をそれぞれ検知する四つの圧力センサ31と、各圧力センサ31で検知した各車輪WFR,WFL,WRR,WRLにおけるタイヤT内の圧力に基づいてタイヤTの破裂を判定する破裂判定部32とを備えている。破裂判定部32は、各圧力センサ31が所定のサンプリング周期で順次検知する圧力を監視し、各圧力センサ31が検知した最新の圧力の値をその一つ前に得られた圧力の値から差し引いて圧力の変化量を求める。この変化量が正の値を持つとタイヤTの内部圧力が減少しており、急激にタイヤTの内部圧力が減少する場合には変化量の値が非常に大きくなる。よって、破裂判定部32は、前記変化量が圧力閾値以上となると、その変化量が圧力閾値以上となった圧力を検知した圧力センサ31の検知対象となっているタイヤTが破裂したと判定する。たとえば、自動車Vの前左側の車輪WFLのタイヤTの圧力変化量が圧力閾値以上となる場合、破裂検知部3は、前左側の車輪WFLのタイヤTが破裂したと判定し、破裂した車輪WFLを識別可能な情報を含んだ破裂信号を制御部2へ入力する。圧力閾値は、たとえば、タイヤTが破裂した際に検知されるであろう圧力変化量に設定すればよいが、任意の値に設定できる。
また、タイヤTの空気圧の検知にあたっては、圧力センサ31の代わりに車輪WFR,WFL,WRR,WRLの回転速度を検知して、検知した回転速度からタイヤTの空気圧を推定してもよい。タイヤTの空気圧が低下するとタイヤTを含めた車輪WFR,WFL,WRR,WRLの全体の直径が変化する。よって、車輪WFR,WFL,WRR,WRLの回転速度を検知してタイヤTの空気圧を推定してタイヤTの破裂を検知してもよい。また、タイヤTの空気圧が変化すると、タイヤTのばね定数が変化するために、車輪WFR,WFL,WRR,WRLの前後方向の共振周波数が変化する。よって、車輪WFR,WFL,WRR,WRLの回転速度を検知して回転速度方向の共振周波数の変化からタイヤTの空気圧を推定してもよい。
なお、破裂検知部3は、タイヤTの内部圧力の検知によってタイヤTの破裂を検知する以外にも、車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間の相対距離を監視してタイヤTの破裂を検知してもよい。具体的には、破裂検知部3は、図4に示すように、車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとのそれぞれの上下方向の相対距離を検知するストロークセンサ33と、各ストロークセンサ33で検知した各相対距離に基づいてタイヤTの破裂を判定する破裂判定部34とを備えていればよい。ストロークセンサ33は、車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間にそれぞれ介装されており、車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの上下方向の相対距離を検知する。破裂判定部34は、各ストロークセンサ33が所定のサンプリング周期で順次検知する相対距離を監視し、各ストロークセンサ33が検知した最新の相対距離の値をその一つ前に得られた相対距離の値から差し引いて相対距離の変化量を求める。前後左右の車輪のうち一つのタイヤTが破裂すると、タイヤTが破裂した車輪におけるタイヤTを含めた外径は、タイヤTが破裂していない車輪の外径よりも小さくなる。よって、タイヤTが破裂した車輪の直上の車体Bの車高は、タイヤTが破裂していない車輪の直上の車体Bの車高よりも低くなる。このことから、破裂判定部34は、四つの相対距離の変化量のうち、いずれか一つの前記変化量のみが距離閾値以上となると、その変化量が距離閾値以上となった相対距離を検知したストロークセンサ33の検知対象となっているタイヤTが破裂したと判定する。よって、たとえば、車体Bと前右側の車輪WFRとの相対距離の変化量が距離閾値以上となる場合、破裂検知部3は、前右側の車輪WFRのタイヤTが破裂したと判定し、破裂した車輪WFRを識別可能な情報を含んだ破裂信号を制御部2へ入力する。距離閾値は、たとえば、タイヤTが破裂した際に検知されるであろう相対距離の変化量に設定すればよいが、任意の値に設定できる。
このように、破裂検知部3は、圧力センサ31でタイヤTの内部圧力を検知する以外にも、ストロークセンサ33で車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間の相対距離を検知して、相対距離に基づいてタイヤTの破裂を検知できる。なお、破裂検知部3は、前記した四つの圧力センサ31と四つのストロークセンサ33と、圧力センサ31で検知した圧力とストロークセンサ33で検知した相対距離とを監視して、前述と同様の判定手法でタイヤTの破裂を検知してもよい。このように、圧力センサ31とストロークセンサ33とを併用すると、破裂検知部3は、正確にタイヤTの破裂を検知でき、圧力センサ31とストロークセンサ33のいずれかに故障があってもタイヤTの破裂を検知できる。
つづいて、本実施の形態の車体姿勢制御装置1は、自動車Vの速度を検知する速度検知部としての速度センサ6を備えている。速度センサ6は、検知した速度を制御部2へ入力する。また、本実施の形態の車体姿勢制御装置1は、車体Bに取付けたヨーレートセンサ7と車体Bの横方向の加速度(横加速度)を検知する加速度センサ8とを備えている。ヨーレートセンサ7は、車体Bの重心を通る上下方向軸回りの角速度であるヨーレートを検知して制御部2へ入力する。加速度センサ8は、車体Bの左右方向である横方向の加速度、つまり、横加速度を検知して制御部2へ入力する。
制御部2は、姿勢安定制御部21と、ステアリング制御部22とを備えている。姿勢安定制御部21は、破裂検知部3から前記破裂信号を受け取ると、速度センサ6が検知した速度が速度閾値以上である場合、姿勢安定制御を実行する。制御部2は、姿勢安定制御では、タイヤTの破裂が検知された車輪に対応するサスペンション装置については直上の車体Bの車高の低下を抑制するように制御し、タイヤTの破裂が検知されていない車輪に対応するサスペンション装置については直上の車体Bの車高の低下を妨げないように制御する。
より詳しくは、姿勢安定制御部21は、前記破裂信号を受け取ると、速度検知部としての速度センサ6から入力される速度と速度閾値とを比較して、検知速度が速度閾値以上である場合に、姿勢安定制御を実行する。速度閾値は、タイヤTが破裂した際に自動車Vの挙動が乱れて運転者による自動車Vの制御が不能とならない程度の走行速度に設定されればよい。具体的には、速度閾値は、30km/hから40km/h程度に設定されればよいが、任意の値に設定されてもよい。自動車Vの走行速度が低速である場合、タイヤTが破裂して自動車Vが挙動を乱しても、自動車Vがスピンや蛇行に到る前に運転者の制動操作で自動車Vを停止できる。また、速度が低く、自動車Vの急旋回やスピンの恐れの無い場合に姿勢安定制御を実行すると、運転者は、タイヤTの破裂に気付かずに走行を継続してしまう可能性があるが、姿勢安定制御を実行しないことで運転者がそのまま走行してしまうのを回避できる。よって、前記検知速度が速度閾値未満である場合、本実施の形態の姿勢安定制御部21は、破裂信号を受け取っても姿勢安定制御を実行しないが、速度を監視せずに速度とは無関係に破裂信号を受け取ると姿勢安定制御を実行してもよい。また、姿勢安定制御部21では、自動車Vの速度を監視せず、破裂検知部3で自動車Vの速度を監視し、破裂判定部32,34でタイヤTの破裂を検知しても速度が速度閾値以上にならないと破裂信号を制御部2へ出力しないようにしてもよい。
以下、姿勢安定制御では、姿勢安定制御部21は、各サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLを以下のように制御する。例として、左前の車輪WFLにおけるタイヤTが破裂した場合において、姿勢安定制御を説明する。姿勢安定制御部21は、タイヤTの破裂が検知された左前の車輪WFLに対応するサスペンション装置SFLについては直上の車体Bの車高の低下を抑制するように制御し、破裂が検知されていないその他の車輪WFR,WRR,WRLに対応するサスペンション装置SFR,SRR,SRLについては直上の車体Bの車高の低下を妨げないように制御する。
具体的には、本実施の形態の場合、サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLが車高調整装置としてのエアばねAと、減衰力を高低調節可能な減衰力可変緩衝器Dとを備えているので、姿勢安定制御部21は、エアばねAと減衰力可変緩衝器Dとを制御する。
姿勢安定制御部21は、タイヤTが破裂している左前の車輪WFLに対応するサスペンション装置SFLにおけるエアばねAについては、エアばねA内に気体を供給して車高を所定の高さまで上昇させる。また、姿勢安定制御部21は、タイヤTが破裂していない他の車輪WFR,WRR,WRLに対応するサスペンション装置SFR,SRR,SRLにおけるエアばねAについては、エアばねA内から気体を排気させて所定の高さにまで車高を低下させる。タイヤTが破裂すると左前の車輪WFLの外径が減少するために、何ら手立てをしない場合、左前の車輪WFLの直上の車体Bがその分沈み込むので、車体Bが左前側へ傾き、ステアリングホイール4を操作しなくとも自動車Vが左側へ旋回するような挙動を示す。しかしながら、タイヤTの破裂を検知すると、姿勢安定制御部21は、車高調整装置としてのエアばねAを制御して車高を調整するので、タイヤTの破裂による車体Bの左前側の沈み込みが抑制され、車体Bの姿勢が安定し、自動車Vが左側へ旋回するのを抑制できる。なお、姿勢安定制御部21による姿勢安定制御における車高調整量は、適用される自動車Vに最適となるように設定されればよい。
さらに、姿勢安定制御部21は、タイヤTが破裂している左前の車輪WFLに対応するサスペンション装置SFLにおける減衰力可変緩衝器Dについては、減衰力可変緩衝器Dの減衰力を高くするよう制御する。また、姿勢安定制御部21は、タイヤTが破裂していない他の車輪WFR,WRR,WRLに対応するサスペンション装置SFR,SRR,SRLにおける減衰力可変緩衝器Dについては、減衰力可変緩衝器Dの減衰力を低くするよう制御する。タイヤTが破裂している左前の車輪WFLの減衰力可変緩衝器Dの減衰力を高くしつつ、タイヤTが破裂していない他の車輪の減衰力可変緩衝器Dの減衰力を低くすると、左前の車輪WFLの直上の車体Bの低下が抑制され、その他の車輪WFR,WRR,WRLの直上の車体Bの低下が妨げられなくなる。よって、姿勢安定制御部21が減衰力可変緩衝器Dを前述のように制御すると、車体Bが左前側への傾きを低減でき、車体Bの姿勢が安定し、自動車Vが左側へ旋回するのを抑制できる。タイヤTが破裂した車輪WFLに対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力をタイヤTが破裂していない車輪WFR,WRR,WRLに対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力よりも相対的に高くすれば、車体Bの姿勢を安定させる効果が得られる。ただし、タイヤTが破裂した車輪WFLに対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力については可能な範囲で高くし、タイヤTが破裂していない車輪WFR,WRR,WRLに対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力については可能な低くしておくと、より効果的に車体Bの姿勢を安定させ得る。
なお、姿勢安定制御部21は、姿勢安定制御において、減衰力可変緩衝器Dを制御する場合、以下のように制御してもよい。姿勢安定制御部21は、タイヤTが破裂している左前の車輪WFLに対応するサスペンション装置SFLにおける減衰力可変緩衝器Dについては、減衰力可変緩衝器Dが収縮作動する際の減衰力を高くするように、減衰力可変緩衝器Dが伸長作動する際の減衰力を低くするように制御する。また、姿勢安定制御部21は、タイヤTが破裂していない他の車輪WFR,WRR,WRLに対応するサスペンション装置SFR,SRR,SRLにおける減衰力可変緩衝器Dについては、減衰力可変緩衝器Dが収縮作動する際の減衰力を低くするように、減衰力可変緩衝器Dが伸長作動する際の減衰力を高くするように制御する。このように姿勢安定制御部21が制御する場合、左前の車輪WFLの減衰力可変緩衝器D減衰力が伸長作動時よりも収縮作動時の方が高くなるため、減衰力可変緩衝器Dが伸縮を繰り返すと、左前の車輪WFLの直上の車体Bの車高の低下が抑制される、また、その他の車輪WFR,WRR,WRLの減衰力可変緩衝器D減衰力が収縮作動時よりも伸長作動時の方が高くなるため、減衰力可変緩衝器Dが伸縮を繰り返すと、その他の車輪WFR,WRR,WRLの直上の車体Bの車高が低くなるように誘導される。よって、姿勢安定制御部21が減衰力可変緩衝器Dを前述のように制御すると、車体Bが左前側への傾きを低減でき、車体Bの姿勢が安定し、自動車Vが左側へ旋回するのを抑制できる。
なお、本実施の形態のサスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLが車高調整装置と減衰力調整ができない緩衝器で構成される場合、姿勢安定制御部21は姿勢安定制御にて車高調整装置のみを前述と同様の制御を実施すればよい。また、本実施の形態のサスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLが車高調整装置を備えずにコイルばねや車高調整機能を備えないエアばねでなる懸架ばねと、減衰力可変緩衝器Dとで構成される場合、姿勢安定制御部21は姿勢安定制御にて減衰力可変緩衝器Dのみを前述と同様の制御を実施すればよい。
つづいて、ステアリング制御部22は、破裂検知部3がタイヤTの破裂を検知し、姿勢安定制御が実行された後、自動車Vがスピン状態に陥る可能性があるとスピン回避制御を実行する。スピン回避制御では、ステアリング制御部22は、ヨーレートセンサ7が検知した車体Bのヨーレートと、加速度センサ8が検知した車体Bの横加速度とに基づいて操舵装置5を制御する。詳しくは、ステアリング制御部22は、破裂信号の入力を受けて姿勢安定制御が実行された後、ヨーレートをωとすると、ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref以上で、且つ、横加速度をαとすると、横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref以上となると、自動車Vがスピン状態に陥ると判定し、スピン回避制御を実行する。
なお、本実施の形態の車体姿勢制御装置1におけるステアリング制御部22は、自動車Vの速度が前記速度閾値未満である場合には、ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref以上で且つ横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref以上となっても、スピン回避制御を行わない。本実施の形態の車体姿勢制御装置1におけるステアリング制御部22は、自動車Vの速度が低い場合、自動車Vがスピン状態となっても無事に停止できるので、スピン回避制御を行わない。これに変えて、ステアリング制御部22は、速度の如何に関わらず、ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref以上で且つ横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref以上となるとスピン回避制御を実行してもよい。また、姿勢安定制御を実行するか否かの判断に際して使用する速度閾値は、スピン回避制御を実行するか否かの判断に際して使用する速度閾値は、全く異なる値に設定されてもよい。
戻って、自動車Vがたとえば左旋回する方向へスピンする状態では、車体Bに進行方向に対して右方向への大きな横加速度が作用し、左旋回側への大きなヨーレートが検知される。自動車Vがたとえば右旋回する方向へスピンする状態では、車体Bに進行方向に対して左方向への大きな横加速度が作用し、右旋回側への大きなヨーレートが検知される。よって、ヨーレートの絶対値|ω|と横加速度の絶対値|α|が大きな値となる場合、自動車Vがスピン状態に陥る。そこで、自動車Vがスピン状態に陥りそうになると制御部2がスピン回避制御を実行できるように、ヨーレート閾値ωrefは、スピン状態に検知されるヨーレートの絶対値|ω|よりも小さな値とし、横加速度閾値αrefは、スピン状態に検知される横加速度の絶対値|α|よりも小さな値としてある。
スピン回避制御では、ステアリング制御部22は、ヨーレートと横加速度の双方を0に近づくように、操舵装置5を制御する。タイヤTの破裂後であって姿勢安定制御を実行したにもかかわらず、自動車Vの車体Bの左旋回側へ大きなヨーレートが生じて、右方向への大きな横加速度が生じたとする。この場合は、車体Bは左旋回側へスピンする可能性があるので、ステアリング制御部22は、操舵装置5を制御して、操向輪である前側の左右輪WFR,WFLを車体Bを右旋回させる方向へ操舵し、カウンターステアをあててスピンを抑制する。反対に、タイヤTの破裂後であって姿勢安定制御を実行したにもかかわらず、自動車Vの車体Bの右旋回側へ大きなヨーレートが生じて、左方向への大きな横加速度が生じたとする。この場合は、車体Bは右旋回側へスピンする可能性があるので、ステアリング制御部22は、操舵装置5を制御して、操向輪である前側の左右輪WFR,WFLを車体Bを左旋回させる方向へ操舵し、カウンターステアをあててスピンを抑制する。
具体的には、ステアリング制御部22は、以下のようにして、操向輪である前側の左右輪WFR,WFLの舵角θを求めて、操舵装置5を制御する。自動車Vが安定して直進する場合、ヨーレートも横加速度も0となる。よって、ステアリング制御部22は、前述のように、ヨーレートと横加速度の双方を目標値である0に近づくように、操舵装置5を制御する。
ここで、ヨーレートセンサ7が車体Bの左側への旋回に対して正のヨーレートを出力し、加速度センサ8が自動車Vの進行方向に対して右方向に向く横加速度を正の値として出力する場合を考える。また、操向輪である前側の左右輪WFR,WFLの舵角θは、右旋回側への角度を正の値としてある。
すると、自動車Vが左旋回側へスピンする可能性がある場合、ヨーレートも横加速度も正の値を採り、自動車Vが右旋回側へスピンする可能性がある場合、ヨーレートも横加速度も負の値を採る。
そこで、ステアリング制御部22は、ヨーレートをωとすると、ヨーレートωにヨーレートゲインKωを乗じた値ω×Kωと、横加速度をαとすると、横加速度αに横加速度ゲインKαを乗じた値α×Kαとを加算して、目標舵角θ*を求める。目標舵角θ*が正の値を採る場合、目標舵角θ*は操向輪である前側の左右輪WFR,WFLを右旋回側への操舵を指示する。目標舵角θ*が負の値を採る場合、目標舵角θ*は操向輪である前側の左右輪WFR,WFLを左旋回側への操舵を指示する。そして、ステアリング制御部22は、目標舵角θ*と現在の前側の左右輪WFR,WFLの舵角θとの偏差を求めて、この偏差を比例積分補償や比例微分積分補償して前側の左右輪WFR,WFLの操舵量を求める。ステアリング制御部22は、操舵装置5に対して前側の左右輪WFR,WFLを求めた操舵量だけ操舵させる指令して操舵装置5を制御する。ステアリング制御部22は、ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref未満となるか横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref未満となるか、或いは、速度が速度閾値未満となると、前述のスピン回避制御を中止する。
また、ステアリング制御部22は、スピン回避制御を実行中であって、ステアリング制御部22が指示する操舵の方向と運転者の意図する操舵の方向とが逆となるとがスピン回避制御を中止するようになっている。
具体的には、ステアリング制御部22は、スピン回避制御の実行中に、スピン回避制御による左右輪WFR,WFLの操舵方向とは逆方向の操舵トルクがステアリングホイール4に作用するとスピン回避制御を終了する。そのため、ステアリング制御部22は、操向輪である前側の左右輪WFR,WFLを操舵するステアリングホイール4に入力される操舵トルクを検知するトルクセンサ9を備えている。
よって、たとえば、ステアリング制御部22は、操向輪である前側の左右輪WFR,WFLの前記操作量が右旋回側へ操舵を指示している場合に、トルクセンサ9が検知したトルクが左右輪WFR,WFLを左旋回側へステアリングホイール4を操作するトルクを検知すると、スピン回避制御を終了し、所定時間の間はスピン回避制御を実行しない。このように、ステアリング制御部22によるスピン回避制御が運転者の意図に反する場合には、ステアリング制御部22がスピン回避制御を終了するので、運転者の運転操作を阻害しない。
以上までの制御部2の処理を図5に示したフローチャートに即して説明する。制御部2は、まず、破裂検知部3から破裂信号が入力されたか否かを判断する(ステップF1)。制御部2は、破裂信号の入力がない場合、戻って破裂信号の入力の有無を監視し続ける。他方、破裂信号が入力されたと判断すると、速度センサ6から入力される速度と速度閾値とを比較して、検知速度が速度閾値以上であるか否かを判断する(ステップF2)。制御部2は、検知速度が速度閾値未満である場合、次の制御周期にて検知速度が速度閾値以上であるか否かを判断する処理を実行する。他方、検知速度が速度閾値以上であると判断すると、制御部2は、前述の姿勢安定制御を実行する(ステップF3)。
つづいて、制御部2は、ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref以上で且つ横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref以上であるか否かを判断する(ステップF4)。ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref未満或いは横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref未満である場合、制御部2は、次の制御周期でステップF4の処理を実行する。他方、ヨーレートの絶対値|ω|がヨーレート閾値ωref以上で且つ横加速度の絶対値|α|が横加速度閾値αref以上である場合、制御部2は、検知速度が速度閾値以上であるか否かを判断する(ステップF5)。制御部2は、検知速度が速度閾値未満である場合、ステップF4に戻って、次の制御周期でステップF4の処理を実行する。他方、検知速度が速度閾値以上であると判断すると、制御部2は、前述のスピン回避制御を実行する(ステップF6)。
つづいて、制御部2は、スピン回避制御による操舵の方向と運転者の意図による操舵の方向が逆方向になっているか否かを判断する(ステップF7)。スピン回避制御による操舵の方向と運転者の意図による操舵の方向が逆方向になっている場合は、処理を終了する。また、スピン回避制御による操舵の方向と運転者の意図による操舵の方向が逆方向になっていない場合には、ステップF4の処理に戻る。このように制御部2が一連の処理を実行すると、条件が整うと制御部2によって姿勢安定制御とスピン回避制御が実行される。
制御部2の各部については、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置が前述処理の実行プログラムを実行することで実現すればよく、破裂検知部3の破裂判定部32,34は制御部2に統合されてもよい。
以上、説明したように、本発明の車体姿勢制御装置1は、自動車Vの車体Bと前後左右の車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間に介装されて車体Bの姿勢を調節可能なサスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLと、サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLを制御する制御部2と、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLにおけるタイヤTの破裂を検知する破裂検知部3とを備え、破裂検知部3が破裂を検知すると制御部2が姿勢安定制御を実行し、破裂が検知された車輪に対応するサスペンション装置については直上の車高の低下を抑制するように制御し、破裂が検知されていない車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を妨げないように制御するようになっている。
このように構成された車体姿勢制御装置1は、タイヤTの破裂を検知すると姿勢安定制御を実行するので、タイヤTの破裂による車輪の直上の車体Bの沈み込みが抑制され、車体Bの姿勢が安定し、タイヤTの破裂に起因する自動車の急旋回やスピンを抑制できる。
また、本実施の形態の車体姿勢制御装置1では、サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLが車体Bを高低可能な車高調整装置(エアばねA)を有し、制御部2が姿勢安定制御においてタイヤTの破裂が検知された車輪の直上の車体Bにおける車高を上昇させるとともに、タイヤTの破裂が検知されていない車輪の直上の車体Bにおける車高を下降させる。このように構成された車体姿勢制御装置1は、車体Bの車高を直接的に調整するから、車体Bの姿勢を自動車Vの急旋回やスピンを回避可能な姿勢へ速やかに調整できるので、自動車Vの急旋回およびスピンを効果的に回避できる。
さらに、本実施の形態の車体姿勢制御装置1では、サスペンション装置SFR,SFL,SRR,SRLが減衰力可変緩衝器Dを有し、制御部2が姿勢安定制御においてタイヤTの破裂が検知された車輪に対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力をタイヤTの破裂が検知された車輪の直上の車体Bにおける車高の低下を抑制するように変更し、タイヤTの破裂が検知されていない車輪に対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力をタイヤTの破裂が検知されていない車輪の直上の車体Bにおける車高の低下を妨げないように変更する。このように構成された車体姿勢制御装置1は、減衰力可変緩衝器Dが伸縮を繰り返すと徐々に車体Bの車高が調整されるので、自動車Vの急旋回およびスピンを回避できる。このような車体Bの姿勢の調節を行うには、具体的には、制御部2は、姿勢安定制御では、タイヤTの破裂が検知された車輪に対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力をタイヤTの破裂が検知されていない車輪に対応する減衰力可変緩衝器Dの減衰力より相対的に高くすればよい。また、制御部2は、姿勢安定制御では、タイヤTの破裂が検知された車輪に対応する減衰力可変緩衝器Dの伸側減衰力よりも圧側減衰力を高くし、タイヤTの破裂が検知されていない車輪に対応する減衰力可変緩衝器Dの伸側減衰力よりも圧側減衰力を低くしてもよい。
また、本実施の形態の車体姿勢制御装置1では、自動車Vの速度を検知する速度検知部(速度センサ6)を備え、制御部2は、速度検知部(速度センサ6)が検知した速度が速度閾値未満である場合には、姿勢安定制御を実行しない。このように構成された車体姿勢制御装置1では、速度が低く、自動車Vの急旋回やスピンの恐れの無い場合には、姿勢安定制御を実行しないので、運転者は、タイヤTの破裂に気付くので、運転者がそのまま走行してしまうのを回避できる。
さらに、本実施の形態の車体姿勢制御装置1では、車体Bのヨーレートを検知するヨーレートセンサ7と、車体Bの横方向の加速度である横加速度を検知する加速度センサ8と、自動車Vの操向輪を操舵可能な操舵装置5とを備え、制御部2は、破裂検知部3が破裂を検知すると姿勢安定制御を実行した後に、ヨーレートと横加速度とに基づいて操舵装置5を制御してスピン回避制御を実行する。このように構成された車体姿勢制御装置1では、姿勢安定制御のみでは自動車Vの急旋回やスピンの回避ができないような状況となると、操向輪を操舵して自動車Vの急旋回やスピンをより効果的に回避できる。
また、本実施の形態の車体姿勢制御装置1では、操向輪を操舵するステアリングホイール4に入力される操舵トルクを検知するトルクセンサ9を備え、制御部2がスピン回避制御の実行中にスピン回避制御による操向輪の操舵方向とは逆方向の操舵トルクがステアリングホイール4に作用するとスピン回避制御を終了する。このように構成された車体姿勢制御装置1では、スピン回避制御が運転者の意図と異なる操舵を指示する場合、運転者の意図する操舵を優先できるので、スピン回避制御によって運転者の意図する操舵の邪魔をせずに済む。
さらに、破裂検知部3は、各車輪WFR,WFL,WRR,WRLにおけるタイヤTの空気圧を検知する圧力センサ31を有し、圧力センサ31で検知する圧力の値の変化量が圧力閾値以上になると、変化量が前記圧力閾値以上となった圧力を検知した圧力センサ31に対応する車輪におけるタイヤTが破裂したと判定してもよいし、車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの間にそれぞれ介装されて車体Bと各車輪WFR,WFL,WRR,WRLとの上下方向の相対距離を検知するストロークセンサ33を有し、各ストロークセンサ33が検知する相対距離のうち、各相対距離のうち一つのみの相対距離の変化量が距離閾値を超えると、変化量が距離閾値を超えた相対距離を検知したストロークセンサ33に対応する車輪におけるタイヤTが破裂したと判定してもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
1・・・車体姿勢制御装置、2・・・制御部、3・・・破裂検知部、4・・・ステアリングホイール、5・・・操舵装置、6・・・速度センサ(速度検知部)、7・・・ヨーレートセンサ、8・・・加速度センサ、9・・・トルクセンサ、A・・・エアばね(車高調整装置)、D・・・減衰力可変緩衝器、SFR,SFL,SRR,SRL・・・サスペンション装置、T・・・タイヤ、V・・自動車、WFR,WFL,WRR,WRL・・・車輪

Claims (10)

  1. 自動車の車体と前記自動車の前後左右の車輪との間に介装されて前記車体の姿勢を調節可能なサスペンション装置と、
    前記サスペンション装置を制御する制御部と、
    前記各車輪におけるタイヤの破裂を検知する破裂検知部とを備え、
    前記制御部は、前記破裂検知部が破裂を検知すると姿勢安定制御を実行し、破裂が検知された車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を抑制するように制御し、破裂が検知されていない全ての車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を妨げないように制御する
    ことを特徴とする車体姿勢制御装置。
  2. 自動車の車体と前記自動車の前後左右の車輪との間に介装されて前記車体の姿勢を調節可能なサスペンション装置と、
    前記サスペンション装置を制御する制御部と、
    前記各車輪におけるタイヤの破裂を検知する破裂検知部とを備え、
    前記サスペンション装置は、減衰力可変緩衝器を有し、
    前記制御部は、前記破裂検知部が破裂を検知すると姿勢安定制御を実行し、前記姿勢安定制御では、タイヤの破裂が検知された車輪に対応する前記減衰力可変緩衝器の伸側減衰力よりも圧側減衰力を高くし、タイヤの破裂が検知されていない車輪に対応する前記減衰力可変緩衝器の伸側減衰力よりも圧側減衰力を低くして、破裂が検知された車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を抑制するように制御し、破裂が検知されていない車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を妨げないように制御する
    ことを特徴とする車体姿勢制御装置。
  3. 自動車の車体と前記自動車の前後左右の車輪との間に介装されて前記車体の姿勢を調節可能なサスペンション装置と、
    前記サスペンション装置を制御する制御部と、
    前記各車輪におけるタイヤの破裂を検知する破裂検知部と、
    前記車体のヨーレートを検知するヨーレートセンサと、
    前記車体の横方向の加速度である横加速度を検知する加速度センサと、
    前記自動車の操向輪を操舵可能な操舵装置とを備え、
    前記制御部は、前記破裂検知部が破裂を検知すると姿勢安定制御を実行して、破裂が検知された車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を抑制するように制御し、破裂が検知されていない車輪に対応する前記サスペンション装置については直上の車高の低下を妨げないように制御し、前記姿勢安定制御を実行した後に、前記ヨーレートと前記横加速度とに基づいて前記操舵装置を制御してスピン回避制御を実行する
    ことを特徴とする車体姿勢制御装置。
  4. 前記サスペンション装置は、前記車体を高低可能な車高調整装置を有し、
    前記制御部は、前記姿勢安定制御では、タイヤの破裂が検知された車輪の直上の車高を上昇させるとともに、タイヤの破裂が検知されていない車輪の直上の車高を下降させる
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車体姿勢制御装置。
  5. 前記制御部は、前記姿勢安定制御では、タイヤの破裂が検知された車輪に対応する前記減衰力可変緩衝器の減衰力をタイヤの破裂が検知されていない車輪に対応する前記減衰力可変緩衝器の減衰力より相対的に高くする
    ことを特徴とする請求項に記載の車体姿勢制御装置。
  6. 前記自動車の速度を検知する速度検知部を備え、
    前記制御部は、前記速度検知部が検知した速度が速度閾値未満である場合には、前記姿勢安定制御を実行しない
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車体姿勢制御装置。
  7. 前記車体のヨーレートを検知するヨーレートセンサと、
    前記車体の横方向の加速度である横加速度を検知する加速度センサと、
    前記自動車の操向輪を操舵可能な操舵装置とを備え、
    前記制御部は、前記破裂検知部が破裂を検知すると、姿勢安定制御を実行した後に、前記ヨーレートと前記横加速度とに基づいて前記操舵装置を制御してスピン回避制御を実行する
    ことを特徴とする請求項1、2、4、5または6に記載の車体姿勢制御装置。
  8. 前記操向輪を操舵するステアリングホイールに入力される操舵トルクを検知するトルクセンサを備え、
    前記制御部は、前記スピン回避制御の実行中に、前記スピン回避制御による前記操向輪の操舵方向とは逆方向の操舵トルクが前記ステアリングホイールに作用すると前記スピン回避制御を終了する
    ことを特徴とする請求項3または7に記載の車体姿勢制御装置。
  9. 前記破裂検知部は、前記各車輪におけるタイヤの空気圧を検知する圧力センサを有し、圧力センサで検知する圧力の値の変化量が圧力閾値以上になると、前記変化量が前記圧力閾値以上となった圧力を検知した圧力センサに対応する車輪におけるタイヤが破裂したと判定する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の車体姿勢制御装置。
  10. 前記破裂検知部は、前記車体と前記各車輪との間にそれぞれ介装されて前記車体と前記車輪との上下方向の相対距離を検知するストロークセンサを有し、前記各ストロークセンサが検知する相対距離のうち、各相対距離のうち一つのみの相対距離の変化量が距離閾値を超えると、前記変化量が前記距離閾値を超えた相対距離を検知したストロークセンサに対応する車輪におけるタイヤが破裂したと判定する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の車体姿勢制御装置。
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