概略図は必ずしも等尺ではない。図面で使用される同様の番号は、同様の構成要素を指すことがある。しかしながら、所定の図において構成要素を指すための番号の使用は、同じ番号で標識される別の図における構成要素を限定することを意図しないことが理解されるであろう。さらに、構成要素を指すための異なる番号の使用は、異なる番号の構成要素が他の番号の構成要素と同一又は類似であり得ないことを示すことを意図していない。
本明細書には、再現性を決定し、システム設置を適格とし、定期的な性能適格性を実施し、臨床アッセイの結果を適格とするなどのために陽性対照又は陰性対照として使用することができるライブラリーを作製するための方法が提供される。一実施形態では、本方法は、鋳型として使用され得る断片化核酸(図1、ブロック10)を含む対照サンプルを提供する工程、及び核酸断片の各末端に汎用アダプターを付加する工程(図1、ブロック11;図2、ブロック21)を含む。付加された汎用アダプターの結果が図2のブロック22に示されている。アダプターに隣接する断片を増幅して(図1、ブロック12)、増幅産物(例えば、PCR産物)(図2、ブロック23)を生じるが、ライブラリー中の断片の配列を決定することに向けられた方法とは対照的に、アダプターは、続いて除去される(図1、ブロック13;図2、ブロック24)。結果は、対照サンプル中に元々存在する断片化核酸を含む核酸の増幅ライブラリーである(図2、ブロック25)。増幅された断片のこの集団はまた、本明細書では、再生された鋳型核酸、再生されたDNA、又はreDNAと互換的に称される。この増幅されたライブラリーは、例えば、試験サンプルが異数性を含むかどうかを決定するための標準的な方法における対照として使用され得る。例えば、異数性の存在又は非存在についてアッセイされるべき試験サンプルが得られ得(図1、ブロック14)、配列決定のために調製され得る(例えば、アダプターが付加される(図1、ブロック15))。同じ方法において、対照はまた、アダプターが付加され(図1、ブロック15)、試験サンプル及び対照サンプルの両方が固定化及び配列決定のために処理され得る(図1、ブロック16)。アダプターの除去から生じるreDNA断片、例えばreDNAライブラリー(図1、ブロック13)は、元の生物学的サンプルにおいて観察されるサイズと類似又は同一のサイズの断片の集団、及び元の生物学的サンプルと類似又は同一のゲノムカバレッジを含む多くの利点を提供する。さらに有利なことは、断片の末端にアダプター(又はその一部)を付着させたままにしておくことができる他の処理方法とは異なり、本明細書に提示する方法は、材料を増幅するために使用されるプロセスのアダプター又は副産物の断片を残さないことである。
本明細書に提供されるライブラリーは、1つ以上の目的の配列の量が異なることが知られているか又は疑われる鋳型の混合物を含むサンプル(対照サンプル又は試験サンプル)中の任意の目的の配列のコピー数多型(CNV)を決定するために使用され得る。目的の配列は、数十塩基、数百塩基、数十メガ塩基、及び状態に関連することが知られているか又は疑われる染色体全体にわたるゲノム配列を含む。
一実施形態では、本方法は、複数の二本鎖鋳型核酸の1つ以上(例えば、対照サンプル(図1、ブロック10)、reDNA(アダプター除去の結果、図1、ブロック13)、又は試験サンプル(図1、ブロック14))を提供することを含む。鋳型核酸は、本質的に、既知又は未知の配列の任意の核酸であり得る。鋳型核酸は、例えば、ゲノムDNAの断片であってもよい。一実施形態では、鋳型核酸は、無細胞DNA(cfDNA)である。一実施形態では、鋳型は、生物学的サンプルに由来し得る。一実施形態では、鋳型は、汎用配列(例えば、汎用アダプター中に存在する配列)を各鋳型断片の末端に配置することによって、増幅に適切であるように処理され得る。一実施形態では、鋳型断片を、決定される配列を有するように処理することができ、配列決定により、鋳型の全体又は一部の配列を決定することができる。鋳型はまた、cDNAへの逆転写によってRNAサンプルから得ることもできる。
鋳型は、サンプルからの二本鎖DNA(dsDNA)形態(例えば、ゲノムDNA断片、cfDNA、PCR及び増幅産物など)に由来し得るか、又はDNA若しくはRNAとしてサンプルからの一本鎖形態に由来し得、dsDNA形態に変換され得る。いくつかの実施形態(例えば、鋳型が対照として使用される実施形態(例えば、図1、ブロック10))では、核酸サンプル由来のポリヌクレオチド分子の配列は、既知であり得る。鋳型が試験サンプル由来である実施形態のような別の実施形態では、核酸サンプル由来のポリヌクレオチド分子の配列は、既知でなくてもよい(例えば、図1、ブロック14)。
一実施形態では、サンプル由来の鋳型は、RNA分子である。この実施形態の一態様では、サンプルから単離されたRNAは、最初に、当技術分野で知られている技法を使用して二本鎖DNAに変換される。
一実施形態では、サンプル由来の鋳型は、DNA分子である。一実施形態では、鋳型は、生物の遺伝子相補体全体を表し、イントロン及びエキソン配列の両方、並びにプロモーター及びエンハンサー配列などの非コード調節配列を含むゲノムDNA分子である。一実施形態では、鋳型は、例えば、特定の染色体又はcfDNAなどのポリヌクレオチド配列の特定のサブセットを表す。さらにより具体的には、鋳型は、ヒトゲノムDNA分子、ヒト染色体、又はヒトcfDNAなどのヒトである。鋳型は、任意のランダム断片化プロセスの前又は後、及び汎用アダプター配列の連結の前又は後のいずれかで、化学的又は酵素的に処理され得る。
一実施形態では、サンプルは、単一の個体由来であり得る。単一の個体の例は、妊婦である。女性によって保有される胎児は、目的の配列(例えば、遺伝的状態)を有するか又は有さない胎児であり得る。女性によって保有される胎児が遺伝的状態を有するかどうかを決定するための方法は、本明細書に開示される方法、並びに羊水穿刺及び配列決定方法を含む当業者に既知の方法を使用して決定され得る(Lo et al.、国際公開第2009/013496号パンフレット;Quake et al.、国際公開第2007/092473号パンフレット;Rava et al.、米国特許出願公開第2012/0270739号明細書)。単一の個体の別の例は、遺伝的状態、遺伝性遺伝障害、遺伝的突然変異、新生物、自己免疫疾患、又は移植などの条件を有することが知られているか、又は有することが疑われる人であるが、これらに限定されない。単一の供給源からのサンプルは、2つ以上の異なる形態の遺伝物質(例えば、母親対象から得られた母親核酸及び胎児核酸、又は例えば新生物を有する対象から得られた正常核酸及び新生物核酸)を含み得る。さらに、単一の供給源からのサンプルは、双生児、三つ子などを妊娠している対象、又は複数の異なる新生物を有する対象などの、複数の異なる形態の遺伝物質を含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝物質の複数の異なる形態は、対象及び侵襲性生物(例えば、寄生虫、細菌又はウイルス感染など)由来であり得る。
一実施形態では、サンプルは、対照サンプルとして使用することができる。対照サンプルは、reDNA断片の集団、例えば、対照として使用され得るreDNAライブラリー(例えば、アダプター除去の結果、図1、ブロック13)を生じるように処理されるサンプルである。サンプルからライブラリーを調製するための方法は既知である(例えば、Gormley et al.、米国特許第7,741,463号明細書;Rava et al.、米国特許出願公開第2012/0270739号明細書を参照されたい)。典型的には、増幅されたライブラリー中の目的の配列のコピー数多型は既知であるか、又はサンプルが対照として使用され得るように決定される。例えば、サンプルが妊婦由来である場合、胎児の目的の配列のコピー数多型を決定することができる。胎児が異数性などの特定の状態を有する場合、サンプルは、陽性対照として使用することができる。或いは、胎児が異数性を有さない場合、サンプルは、陰性対照として使用され得る。本明細書に記載され、図1に概略的に示されるように(ブロック10〜13を参照されたい)、対照サンプルは、増幅されたライブラリーを生じるように処理される。
別の実施形態では、サンプルは、試験サンプルである(例えば、図1のブロック14)。一実施形態では、試験サンプルは、試験サンプル中の目的の配列のコピー数多型を決定するのに十分な数のヌクレオチドの配列を決定するために処理されるサンプルである。これは、健康な個体又は本明細書に記載される遺伝的状態を有する個体を示し得る。一実施形態では、試験サンプルは、目的の病原体配列の存在を決定するのに十分な数のヌクレオチドの配列を決定するために処理されるサンプルであり、これは例えばウイルス又は微生物感染を示すことができる。一実施形態では、試験サンプルは、対立遺伝子の一塩基多型(SNP)、挿入、欠失、再配列、又は特異的突然変異などの、目的の1つ以上の遺伝子変異体又は配列の存在を決定するのに十分な数のヌクレオチドの配列を決定するために処理されるサンプルである。遺伝子変異体(例えば、SNP又は変異)の同定は、特定の個体に対する治療の適用性を決定するためのコンパニオン診断試験として使用され得る。
目的の配列の例には、異数性などの遺伝的状態が含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、異数性は、完全な染色体トリソミー若しくはモノソミー、又は部分的なトリソミー若しくはモノソミーである。部分異数性は、染色体の一部の喪失又は獲得によって引き起こされ、不均衡な転座、不均衡な逆位、欠失及び挿入から生じる染色体不均衡を包含する。生命に適合する最も一般的な既知の異数性は、21番染色体の一部又は全部の存在によって引き起こされる21トリソミー、すなわちダウン症候群(DS)である。まれに、DSは、遺伝性又は散発性の欠損によって引き起こされることがあり、それによって、染色体21の全部又は一部の余分なコピーが別の染色体(通常は、14番染色体)に付着して、単一の異常染色体を形成する。DSは、知的障害、重度の学習困難、及び心疾患などの長期の健康問題によって引き起こされる過剰な死亡率に関連する。臨床的意義が知られている他の異数性には、エドワード症候群(lSトリソミー)及びパタウ症候群(Patau Syndrome)(13トリソミー)が含まれ、これらは、生後数ヶ月以内にしばしば致死的である。性染色体の数に関連する異常も知られており、これには、モノソミーX、例えば、女性出生におけるターナー症候群(XO)及びトリプルX症候群(XXX)、並びに男性出生におけるクラインフェルター症候群(XXY)及びXYY症候群が含まれ、これらは、全て、不妊及び知的能力の低下を含む種々の表現型に関連する。
トリソミーは、21トリソミー(T21;ダウン症候群)、lSトリソミー(TIS;エドワード症候群)、16トリソミー(T16)、22トリソミー(T22;キャットアイ症候群)、15トリソミー(T15;プラダー・ウィリー症候群)、13トリソミー(T13;パトー症候群)、Sトリソミー(TS;ワルカニー(Warkany)症候群)、及びXXY(クラインフェルター症候群)、XYY、又はXXXトリソミーであり得る。種々の他のトリソミー及び部分トリソミーが、単一の個体由来のサンプル中に存在し得ることが理解される。これらには、部分トリソミー1 q32−44、トリソミーを伴うトリソミー9p、トリソミー4モザイク、トリソミー17p、部分トリソミー4q26−qter、トリソミー9、部分2pトリソミー、部分トリソミーlq、及び/又は部分トリソミー6p/モノソミー6qが含まれるが、これらに限定されない。
単一個体由来のサンプル中に存在し得る他の遺伝的状態には、染色体モノソミーX、並びに妊娠流産に関与することが知られている13モノソミー、15モノソミー、16モノソミー、21モノソミー、及び22モノソミーのような部分モノソミーが含まれるが、これらに限定されない。モノソミー1 Spは、染色体1 Sの短腕(p)の全部又は一部が欠失している(モノソミー)まれな染色体障害である。この障害は、典型的には、低身長、様々な程度の精神遅滞、発話遅延、頭蓋及び顔面(頭蓋顔面)領域の奇形、並びに/又はさらなる身体的異常を特徴とする。関連する頭蓋顔面欠損は、症例ごとに範囲及び重篤度が大きく異なり得る。15番染色体の構造又はコピー数の変化によって引き起こされる状態には、アンジェルマン症候群及びプラダー・ウィリー症候群が含まれ、これは、15番染色体の同じ部分、15q 11−q 13領域における遺伝子活性の喪失を伴う。いくつかの転座及び微小欠失は、キャリア親において無症候性であり得るが、子孫において主要な遺伝的疾患を引き起こし得ることが理解される。例えば、15q 11−q 13の微小欠失を有する健康な母親は、重篤な神経変性障害であるアンジェルマン症候群の子供を出産する場合がある。従って、本開示は、胎児におけるこのような欠失を同定するために使用され得る。部分モノソミー13qは、13番染色体の長腕(q)の一部が欠損している(モノソミー)場合に生じるまれな染色体障害である。部分モノソミー13qで生まれた乳児は、低出生体重、頭部及び顔面の奇形(頭蓋顔面領域)、骨格異常(特に手及び足の)、並びに他の身体的異常を示し得る。精神遅滞は、この状態の特徴である。乳児期の死亡率は、この疾患で生まれた個体の間で高い。部分モノソミー13qのほとんど全ての症例は、明らかな理由がなく(散発性)ランダムに発生する。22q 11.2欠失症候群(ディ・ジョージ(DiGeorge)症候群としても知られる)は、22番染色体の小片の欠失によって引き起こされる症候群である。欠失(22q 11.2)は、染色体対の一方の長腕上の染色体の中央付近で起こる。この症候群の特徴は、同じ家族のメンバーの間でさえも、幅広く変化し、身体の多くの部分に影響を及ぼす。特徴的な徴候及び症状には、先天性心疾患、最も一般には、閉鎖に伴う神経筋の問題(ベラ咽頭不全)に関連する口蓋の欠損、学習障害、顔面の特徴の軽度の差異、及び再発性感染症などの先天異常が含まれ得る。染色体領域22q 11.2における微小欠失は、統合失調症のリスクの20〜30倍の増加と関連する。一実施形態では、部分モノソミーは、モノソミー18p、15番染色体の部分モノソミー(15qll−q13)、部分モノソミー13q、及び22番染色体の部分モノソミーであり得る。
一実施形態では、異数性を有する単一の個体は、胎児である。一実施形態では、異数性を有する単一の個体は、母親である。母親に存在し得る異数性の例としては、小さい過剰マーカー染色体(SMC);t(l1;14)(p15;p13)転座;不均衡転座t(8;11)(p23.2;p5.5);1 lq23微小欠失;スミス・マギニス症候群17pl 1.2欠失;22q13.3欠失:Xp22.3欠失;10p14欠失;20p微小欠失;ディ・ジョージ症候群[del(22)(qll.2qll.23)];ウィリアムズ症候群(7qll.23及び7q36欠失);lp36欠失;2p微小欠失;神経線維腫症1型(17ql 1.2微小欠失);Yq欠失;ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(WHS、4p16.3微小欠失);lp36.2微小欠失;llq14欠失;19q13.2微小欠失;ルビンスタイン・テイビ症候群(16 p13.3微小欠失);7p21微小欠失;ミラー・ディカー症候群(17p13.3)、17pl 1.2欠失;及び2q37微小欠失が挙げられるが、これらに限定されない。
先天性欠損の早期決定に加えて、本明細書に記載される方法は、ゲノム内の遺伝子配列の発現における任意の異常の決定に適用され得る。癌患者由来の血漿及び血清DNAは、測定可能な量の腫瘍DNAを含み、これは回収され、腫瘍DNAの代理供給源として使用され得ることが示されている。腫瘍は、異数性、又は不適切な数の遺伝子配列、又はさらには染色体全体によって特徴付けられる。従って、個体由来のサンプルにおける、所定の配列(すなわち、目的の配列)の量の差の決定は、医学的状態(例えば、新生物)の診断において使用され得る。新生物の例としては、癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病、胚細胞腫瘍及び芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。特定の癌には、肺癌、乳癌、及び前立腺癌が含まれるが、これらに限定されない。癌患者における循環cfDNAにおいて決定され得る癌に関連するゲノム不安定性の同定は、潜在的な診断及び予後ツールである。目的の配列は、新生物の発生及び/又は進行において役割を果たすことが知られているか又は疑われる配列を含む。目的の配列の例には、本明細書に記載されるように、癌性細胞において増幅又は欠失される核酸配列が含まれる。
乳癌などの多くの固形腫瘍は、いくつかの遺伝的異常の蓄積を介して開始から転移に進行すると考えられている。[Sato et al.、Cancer Res、50:7184−7189[1990];Jongsma et al.、J Clin Pathol:Mol Path 55:305−309[2002])]。このような遺伝的異常は、それらが蓄積するにつれて、増殖性の利点、遺伝的不安定性、及びそれに付随する薬剤耐性を迅速に進化させる能力、並びに増強された血管新生、タンパク質分解及び転移を付与し得る。遺伝的異常は、劣性の「腫瘍抑制遺伝子」又は優性に作用する癌遺伝子のいずれかに影響を及ぼし得る。ヘテロ接合性(LOH)の喪失を導く欠失及び組換えは、変異した腫瘍抑制対立遺伝子を明らかにすることによって、腫瘍進行において主要な役割を果たすと考えられる。
cfDNAは、肺癌(Pathak et al.Clin Chem 52:1833−1842[2006])、前立腺癌(Schwartzenbach et al.Clin Cancer Res 15:1032−8[2009])、及び乳癌(Schwartzenbach et al.breast−cancer−research.com/content/11/5/R71[2009]にてオンラインで入手可能)を含むがこれらに限定されない悪性腫瘍と診断された患者の循環において見出されている。癌患者における循環cfDNAにおいて決定され得る癌に関連するゲノム不安定性の同定は、潜在的な診断及び予後ツールである。一実施形態では、本開示の方法は、癌(例えば、癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病、胚細胞腫瘍及び芽腫)を有することが疑われるか、又は有することが知られている対象に由来する鋳型の混合物を含むサンプル中の目的の配列のCNVを評価する。一実施形態では、サンプルは、末梢血に由来し(処理され)、正常細胞及び癌性細胞に由来するcfDNAの混合物を含む血漿サンプルである。別の実施形態では、CNVが存在するかどうかを決定するために必要とされる生物学的サンプルは、血清、汗、涙、尿、痰、耳の流れ、リンパ、唾液、脳脊髄液、損傷、骨髄懸濁液、膣の流れ、経頸部洗浄液、脳液、腹水、乳汁、呼吸器、腸管及び尿生殖管の分泌物、並びに白血球除去サンプルを含むがこれらに限定されない他の生物学的流体由来の癌性細胞及び非癌性細胞に由来する鋳型の混合物、又は組織生検、綿棒若しくは塗抹に由来する。
ヒト固形腫瘍に関連する優性に作用する遺伝子は、典型的には、過剰発現又は変化した発現によってその効果を発揮する。遺伝子増幅は、遺伝子発現のアップレギュレーションを導く一般的なメカニズムである。細胞遺伝学的研究からの証拠は、有意な増幅がヒト乳癌の50%を超えて生じることを示す。最も顕著には、17番染色体上に位置する癌原遺伝子ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)(17(17q21−q22))の増幅は、細胞表面上のHER2受容体の過剰発現をもたらし、これは乳癌及び他の悪性腫瘍において過剰且つ調節不全のシグナル伝達をもたらす(Park et al.、Clinical Breast Cancer 8:392−401[2008])。種々の癌遺伝子が、他のヒト悪性腫瘍において増幅されることが見出されている。ヒト腫瘍における細胞癌遺伝子の増幅の例としては、前骨髄球性白血病細胞株HL60及び小細胞肺癌細胞株におけるc−myc、原発性神経芽細胞腫(III期及びIV期)、神経芽細胞腫細胞株、網膜芽細胞腫細胞株及び原発性腫瘍、並びに小細胞肺癌細胞株及び腫瘍におけるN−myc、小細胞肺癌細胞株及び腫瘍におけるL−myc、急性骨髄性白血病及び結腸癌細胞株におけるc−myb、類表皮癌細胞及び原発性神経膠腫におけるc−erbb、肺、結腸、膀胱及び直腸の原発癌におけるc−K−ras−2、乳癌細胞株におけるN−rasの増幅が挙げられる(Varmus H.、Ann Rev Genetics 18:553−612(1984))[Watson et.al.、Molecular Biology of Gene(4th ed.;Benjamin/Cummings Publishing Co.1987)にて引用]。
腫瘍抑制遺伝子を含む染色体欠失は、固形腫瘍の発生及び進行において重要な役割を果たし得る。網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子(Rb−1)は、染色体13q14に位置し、最も広範に特徴付けられた腫瘍抑制遺伝子である。Rb−1遺伝子産物、105kDaの核リンタンパク質は、明らかに細胞周期調節において重要な役割を果たす(Howe et al.、Proc Natl Acad Sci(USA)87:5883−5887[1990])。Rbタンパク質の発現の変化又は喪失は、点突然変異又は染色体欠失のいずれかによる両方の遺伝子対立遺伝子の不活性化によって引き起こされる。Rb−i遺伝子改変は、網膜芽細胞腫だけでなく、骨肉腫、小細胞肺癌(Rygaard et al.、Cancer Res 50:5312−5317[1990])及び乳癌などの他の悪性腫瘍にも存在することが見出されている。制限断片長多型(RFLP)研究は、このような腫瘍型が13qでヘテロ接合性を頻繁に失ったことを示し、これは、Rb−1遺伝子対立遺伝子の1つが、全体的な染色体欠失のために失われたことを示唆する(Bowcock et al.、Am J Hum Genet、46:12[1990])。第6染色体及び他のパートナー染色体を含む重複、欠失及び不均衡転座を含む第1染色体異常は、第1染色体の領域、特にlq21−lq32及びlpl 1− 13が骨髄増殖性新生物の慢性期及び進行期の両方に病理学的に関連する癌遺伝子又は腫瘍抑制遺伝子を保有し得ることを示す(Caramazza et al.、Eur J Hematol 84:191−200[2010])。骨髄増殖性新生物はまた、5番染色体の欠失に関連する。5番染色体の完全な欠失又は中間部欠失は、骨髄異形成症候群(MDS)における最も一般的な核型異常である。分離del(5q)/5q−MDS患者は、骨髄増殖性新生物(MPN)及び急性骨髄性白血病を発症する傾向があるさらなる核型欠損を有する患者よりも予後が良好である。不均衡な5番染色体欠失の頻度は、Sqが造血幹細胞/前駆細胞(HSC/HPC)の増殖制御において基本的な役割を有する1つ以上の腫瘍抑制遺伝子を保有するという考えに導いた。5q31及び5q32を中心とする共通欠失領域(CDR)の細胞遺伝学的マッピングにより、リボソームサブユニットRPS14、転写因子Egrl/ Krox20及び細胞骨格リモデリングタンパク質α−カテニンを含む候補腫瘍抑制遺伝子が同定された(Eisenmann et al.、Oncogene 28:3429−3441[2009])。新鮮な腫瘍及び腫瘍細胞株の細胞遺伝学的及び対立遺伝子型決定研究は、3p25、3p21−22、3p21.3、3pl2−13及び3p14を含む染色体3p上のいくつかの別個の領域からの対立遺伝子喪失が肺、乳房、腎臓、頭頸部、卵巣、子宮頸部、結腸、膵臓、食道、膀胱及び他の器官の広範な主要上皮癌に関与する最も早期且つ最も頻繁なゲノム異常であることを示した。いくつかの腫瘍抑制遺伝子が染色体3p領域にマッピングされており、中間部欠失又はプロモーター高メチル化が、癌腫の発生において3p又は3番染色体全体の喪失に先行すると考えられている(Angeloni D.、Briefings Functional Genomics 6:19−39[2007])。
ダウン症候群(DS)の新生児及び小児は、しばしば先天性一過性白血病を呈し、急性骨髄性白血病及び急性リンパ芽球性白血病のリスクが高い。約300個の遺伝子を有する21番染色体は、白血病、リンパ腫、及び固形腫瘍において、多数の構造異常(例えば、転座、欠失、及び増幅)に関与し得る。さらに、腫瘍形成において重要な役割を果たす、第21染色体上に位置する遺伝子が同定されている。体細胞数及び構造染色体21異常は、白血病に関連し、21qに位置するRUNXl、TMPRSS2及びTFFを含む特異的遺伝子は、腫瘍形成において役割を果たす(Fonatsch C Gene Chromosomes Cancer 49:497−508[2010])。
目的の配列の他の例には、病原体配列が含まれる。病原体は、原核生物病原体、真核生物病原体、又はウイルス病原体であり得る。原核生物病原体の例には、グラム陰性病原体及びグラム陽性病原体が含まれる。真核生物病原体の例には、真菌、酵母、及び原生動物病原体が含まれる。多くの病原体のゲノムは既知であり、病原体の存在の同定に使用するための目的の配列としての特定の配列の選択は、当業者にとって日常的である。
目的の配列の例にはまた、遺伝子変異体(例えば、一塩基多型(SNP)、対立遺伝子の挿入、欠失、再配置、又は特異的突然変異)が含まれる。このような目的の配列の存在又は非存在の同定は、例えば、治療が特定の個体に有益であるかどうかを予測するために、治療の有効投薬量を予測するために、治療をモニター及び/又は調整するために、並びに特定の個体に治療を適合させるために、コンパニオン診断試験において使用され得る。
サンプルは、ゲノムDNA(gDNA)などの高分子量材料を含むことができる。サンプルは、cfDNAなどの低分子量材料を含むことができる。別の実施形態では、低分子量材料は、酵素的又は機械的に断片化されたDNAを含む。
いくつかの実施形態では、ゲノムDNAを鋳型として使用し、数百塩基対の長さなどの使用可能な長さに断片化する。別の実施形態では、cfDNAが鋳型として使用され、cfDNAが短い断片として存在するので、断片化は、典型的には必要とされない。例えば、胎児cfDNAは、<300bpの断片として血流中を循環し、母体cfDNAは、約500〜1,000bpの断片として循環すると推定されている(Li et al.、2004、Clin Chem、50:1002−1011)。ランダム断片化とは、酵素的、化学的又は機械的手段による、非秩序様式でのサンプルからのポリヌクレオチド分子の断片化を指す。このような断片化方法は、当技術分野で既知であり、標準的な方法を使用する(Sambrook and Russell、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、third edition)。一実施形態では、断片化は、Gunderson et al.(国際公開第2016/130704号パンフレット)に開示されている方法を使用する。明確にするために、このようなより小さい断片の特異的PCR増幅を介して、核酸のより大きい部分のより小さい断片を生成することは、核酸配列のより大きい部分が無傷のままである(すなわち、PCR増幅によって断片化されない)ので、核酸のより大きい部分を断片化することと同等ではない。さらに、ランダム断片化は、切断を含む及び/又は取り囲むヌクレオチドの配列同一性又は位置にかかわらず、断片を産生するように設計される。より具体的には、無作為断片化は噴霧又は超音波処理などの機械的手段によるものであり、長さ約50塩基対〜長さ約1500塩基対、さらにより具体的には、長さ50〜700塩基対、さらにより具体的には、長さ50〜400塩基対の断片を生成する。最も具体的には、本方法は、長さ50〜150塩基対のより小さい断片を生成するために使用される
機械的手段(例えば、噴霧、超音波処理、及び/又はハイドロシェア)によるポリヌクレオチド分子の断片化は、5’リン酸を欠く末端を含む、平滑末端並びに3’及び5’突出末端の不均一な混合物を有する断片を生じる。さらに、cfDNAはまた、平滑末端並びに3’及び5’突出末端の不均一な混合物を含む。従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される鋳型の末端を末端修復によって修復することが望ましい。末端修復は、例えば、クローニングベクターの平滑部位への挿入に最適な末端を生成するために当技術分野で既知の方法又はキットを使用して達成され得る。一実施形態では、核酸の集団の断片末端は、平滑末端であり、場合により断片末端はまたリン酸化される。リン酸部分は、例えば、ポリヌクレオチドキナーゼを用いた酵素処理によって導入することができる。
一実施形態では、鋳型は、テーリングによって、単一の突出ヌクレオチドを用いて調製される。テーリングは、例えば、単一のデオキシヌクレオチド(例えば、デオキシアデノシン(A))をDNA分子(例えば、PCR産物)の3’末端に付加する非鋳型依存性末端トランスフェラーゼ活性を有する、Taqポリメラーゼ又はKlenowエキソマイナスポリメラーゼのような特定のタイプのDNAポリメラーゼを使用して達成され得る。このような酵素は、二本鎖標的断片の各鎖の平滑末端3’末端に単一ヌクレオチド「A」を付加するために使用され得る。従って、「A」は、Taq又はKlenowエキソマイナスポリメラーゼとの反応によって、二本鎖標的断片の各末端修復鎖の3’末端に付加され得、一方、汎用アダプターは、汎用アダプターの二本鎖核酸の各領域の3’末端に存在する適合性の「T」突出を有するT構築物であり得る。この末端修飾はまた、連結したアダプター−鋳型−アダプター分子の形成に対する偏りがあるように、自己連結を妨げる。
本明細書に記載される鋳型は、各末端に汎用アダプターを含み得、このような分子は、本明細書では、アダプター−鋳型−アダプター分子と呼ばれる。アダプター−鋳型−アダプター分子を作製するための方法は、汎用アダプターを二本鎖鋳型分子の各末端に付着させることを含む。二本鎖鋳型分子は、対照サンプル(図1、ブロック10)、試験サンプル(図1、ブロック14)、又はreDNA断片の集団(例えば、ライブラリー)(図1、ブロック13)由来であり得る。この付着は、連結を使用する標準的なライブラリー調製技術によるものであり得る。
一実施形態では、二本鎖鋳型核酸は、最初に同一の汎用アダプター分子を連結してアダプター−鋳型−アダプター分子を形成することによって処理される。汎用アダプター分子は、二本鎖核酸の領域を含む。一実施形態では、汎用アダプターはまた、一本鎖非相補的核酸鎖の領域を含む。二本鎖及び一本鎖領域を有する汎用アダプターは、「ミスマッチアダプター」とも呼ばれ、その一般的特徴は、以下に定義され、Gormley et al.(米国特許第7,741,463号明細書)及びBignell et al.(米国特許第8,053,192号明細書)にさらに記載されている。
汎用アダプターの二本鎖領域は、短い二本鎖領域であり、典型的には、5以上の連続した塩基対を含む。この用語は、ニ本鎖がアニールされている核酸の二本鎖領域を指し、いかなる特定の構造的コンホメーションも意味しない。本明細書で使用される「二本鎖」という用語は、核酸分子に関して使用される場合、核酸分子中の実質的に全てのヌクレオチドが相補的ヌクレオチドに水素結合していることを意味する。2つの鎖が標準的な連結条件下で安定な二重鎖を形成することができるならば、1つ以上のヌクレオチドミスマッチが二本鎖領域内で許容され得ることが理解される。部分的二本鎖核酸は、相補的ヌクレオチドに水素結合したそのヌクレオチドの少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を有することができる。一実施形態では、汎用アダプターの2つの鎖は、二本鎖領域において100%相補的である。
一般に、二本鎖領域は、機能を失うことなくできるだけ短いことが有利である。この文脈において、「機能」とは、当業者に既知の酵素触媒核酸連結反応のための標準的な反応条件(例えば、酵素に適切な連結緩衝液中、4℃〜25℃の範囲の温度でのインキュベーション)下で安定な二重鎖を形成する二本鎖領域の能力を指し、その結果、汎用アダプターを形成する2つの鎖は、鋳型分子への汎用アダプターの連結の間、部分的にアニーリングされたままである。二本鎖領域は、プライマー伸長又はPCR反応のアニーリング工程において典型的に使用される条件下で安定である必要はない。
同一の汎用アダプターが各標的分子の両端に連結されているので、各アダプター−鋳型−アダプター分子中の鋳型配列は、汎用アダプターの二本鎖領域に由来する相補的配列に隣接する。アダプター−鋳型−アダプター構築物中の二本鎖領域、従ってそれに由来する相補的配列が長ければ長いほど、アダプター−鋳型−アダプター構築物がプライマー伸長及び/又はPCRにおいて使用されるアニーリング条件下で、内部自己相補性のこれらの領域において折り返し、それ自体に塩基対を形成することができる可能性が高くなる。従って、この効果を減少させるために、二本鎖領域は、長さが20塩基対以下、15塩基対以下、又は10塩基対以下であることが一般に好ましい。いくつかの実施形態では、二本鎖領域の安定性は、標準的なワトソン−クリック塩基対よりも強い塩基対を示す非天然ヌクレオチドを含めることによって増加され得、従って、その長さは潜在的に減少され得る。
本明細書で使用するための汎用アダプターは、一般に、アダプターの「連結可能な」末端、すなわち連結反応において二本鎖標的断片に連結される末端を形成する二本鎖領域を含む。汎用アダプターの連結可能な末端は、平滑であり得るか、又は別の実施形態では、連結を容易にする/促進するために1つ以上のヌクレオチドの短い5’又は3’突出が存在し得る。汎用アダプターの連結可能な末端の5’末端ヌクレオチドは、典型的にはリン酸化されて、標的ポリヌクレオチド上の3’ヒドロキシル基へのホスホジエステル結合を可能にする。
汎用アダプターの二本鎖領域は、典型的には、汎用除去配列及び汎用プライマー結合部位を含む。いくつかの実施形態では、汎用除去配列を汎用プライマー結合部位として使用することができる。場合により、汎用伸長プライマー結合部位のような1つ以上の他の汎用配列が存在し得る。
除去配列とも呼ばれる汎用除去配列は、それが結合する鋳型から汎用アダプターを除去するために使用することができるヌクレオチド配列であり、例えば、除去配列の使用は、アダプター−鋳型−アダプター分子を3つの別個の分子:鋳型及び2つの汎用アダプターに変換するのを助けることができる。汎用アダプターを除去するための他の方法は、非天然ヌクレオチド、及び非天然骨格結合の使用を含む。汎用アダプターは、場合によりホスホジエステル及び非ホスホジエステル骨格結合の混合物によって連結されてもよい天然及び非天然ヌクレオチドの混合物を含んでもよい。アダプター−鋳型−アダプター分子からの汎用アダプターの切断を容易にするために、他の非ヌクレオチド修飾を含めてもよい。このような非天然ヌクレオチド及び結合は、本明細書に詳細に記載されるように、アダプター−鋳型−アダプター分子の増幅の間に汎用アダプターに導入され得る。
一実施形態では、除去配列は、制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含む。制限エンドヌクレアーゼ認識配列は、制限エンドヌクレアーゼが結合することができるヌクレオチド配列である。任意の制限エンドヌクレアーゼを使用することができ、任意の有用な制限エンドヌクレアーゼの認識配列は、当業者に知られている。一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、II型、III型、又はIV型酵素である。一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、認識部位で二本鎖DNAを切断するものである。別の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、認識部位から特定の距離で二本鎖DNAを切断するものである。例えば、いくつかの実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、残りの断片から認識部位を切除するものである。認識部位の近くで二本鎖DNAを切断する有用な制限エンドヌクレアーゼの例としては、MlyI、SapI及びBpuEIが挙げられるが、これらに限定されない。
当業者は、認識部位から特定の距離で切断する制限エンドヌクレアーゼを使用することにより、除去後の最終生成物(すなわち、鋳型及び汎用アダプター)の組成の制御が可能になることを認識する。除去配列が認識部位から特定の距離で切断するエンドヌクレアーゼの認識部位である一実施形態では、認識部位を二本鎖領域に配置して、全ての汎用アダプター配列の除去をもたらすことができる(例えば、汎用アダプターの除去後に生じる鋳型分子は、アダプター−鋳型−アダプター分子を生成するために使用された鋳型と同一である)。除去配列が認識部位から特定の距離で切断するエンドヌクレアーゼの認識部位である別の実施形態では、認識部位は、二本鎖領域に配置されて、いくつかの汎用アダプター配列の除去をもたらすことができる(例えば、汎用アダプターの除去後に生じる鋳型分子は、鋳型と、アダプター−鋳型−アダプター分子を生成するために使用された汎用アダプターの一部である)。除去配列が認識部位から特定の距離で切断するエンドヌクレアーゼの認識部位であるさらに別の実施形態では、認識部位を二本鎖領域に配置して、全ての汎用アダプター配列と、汎用アダプターの各末端に位置し、且つ汎用アダプターに隣接する鋳型配列のいくつかを除去することができる(例えば、汎用アダプターの除去後に生じる鋳型分子は、アダプター−鋳型−アダプター分子を生成するために使用された鋳型の、天然に存在しないより短いバージョンである)。
一実施形態では、汎用アダプターはまた、一本鎖非相補的核酸鎖の領域を含む。「非対応領域」とも呼ばれるこの領域は、汎用アダプターを形成する2つのポリヌクレオチド鎖の配列がプライマー伸長又はPCR反応のための標準的なアニーリング条件下で2つの鎖が互いに完全にアニーリングすることができないような非相補性の程度を示す領域を指す。非対応領域は、増幅反応におけるアニーリング条件下で2つの鎖が一本鎖形態に戻るという条件で、酵素触媒連結反応のための標準的な反応条件下である程度のアニーリングを示し得る。一実施形態では、試験サンプルからのreDNA及び断片化核酸へのアダプターの付加(図1、ブロック15)は、二本鎖領域及び一本鎖領域の両方を有する汎用アダプターの付加を生じる。この付加は、1つの工程(例えば、二本鎖領域及び一本鎖領域の両方を有する汎用アダプターの連結)又は2つ以上の工程(例えば、二本鎖領域を有する汎用アダプターの連結、続いて一本鎖領域を付加するための増幅)であり得る。
非対応領域におけるミスマッチは、一方の鎖に一本鎖領域が存在するように、一方の鎖が他方の鎖よりも長い形態をとることができ、又は2本の鎖がハイブリダイズせず、従って両方の鎖に一本鎖領域を形成するように選択された配列をとることができる。ミスマッチはまた、汎用アダプター構築物の両端が互いにハイブリダイズし、二重鎖を形成することができるが、中央領域は、そうではない「バブル」の形態をとり得る。非対応領域を形成する鎖の部分は、同じ2つの鎖の他の部分がアニールされて1つ以上の二本鎖領域を形成する条件下では、アニールされない。疑いを避けるために、後に連結を受けるポリヌクレオチド二重鎖の3’末端の一本鎖又は一塩基突出は、本開示の文脈において「非対応領域」を構成しないことが理解されるべきである。
一本鎖非相補的核酸鎖の領域は、典型的には、少なくとも1つの汎用伸長プライマー結合部位を含む。汎用プライマー伸長結合部位は、汎用プライマー伸長結合部位に相補的である汎用捕捉核酸の集団を使用して、複数の異なる核酸、例えば複数の異なるアダプター−鋳型−アダプター分子を捕捉するために使用され得る。
場合により、1つ以上の他の汎用配列が存在することができる。一実施形態では、一本鎖非相補的核酸鎖の領域はまた、少なくとも1つのサンプル特異的インデックスを含む。サンプル特異的インデックスは、アレイ上の特定の鋳型の供給源のマーカー特性として使用され得る。一般に、サンプル特異的インデックスは、ライブラリー調製工程の一部として鋳型に付加される汎用アダプターの一部であるヌクレオチドの合成配列である。従って、サンプル特異的インデックスは、特定のサンプルの鋳型分子の各々に付着される核酸配列であり、その存在は、鋳型分子が単離されたサンプルを示すか、又は同定するために使用される。
好ましくは、サンプル特異的インデックスは、長さが20ヌクレオチドまで、より好ましくは1〜10ヌクレオチド、最も好ましくは4〜6ヌクレオチドであり得る。4ヌクレオチドインデックスは、同じアレイ上で256個のサンプルを多重化する可能性を与え、6塩基タグは、4096個のサンプルが同じアレイ上で処理されることを可能にする。
非対応領域の長さの下限は、典型的には、機能、例えば、i)プライマー伸長、PCR及び/又は配列決定のためのプライマーの結合(例えば、汎用プライマー結合部位へのプライマーの結合)、又はii)表面へのアダプター−鋳型−アダプターの固定化のための汎用捕捉核酸の結合(例えば、汎用プライマー伸長結合部位への汎用捕捉核酸の結合)のための適切な配列を提供する必要性によって決定されるであろう。理論的には、一般に、例えば、連結工程後のアダプター−鋳型−アダプター構築物からの非結合汎用アダプターの分離を容易にするために、汎用アダプターの全長を最小限にすることが有利であることを除いて、非対応領域の長さに上限はない。従って、非対応領域は、50未満、又は40未満、又は30未満、又は25未満の連続ヌクレオチド長であるべきであることが一般に好ましい。
汎用アダプターの正確なヌクレオチド配列は、一般に本開示に限定されないが、非対応領域における個々の鎖の配列は、いずれの個々の鎖も、標準的なアニーリング条件下で自己アニーリング、ヘアピン構造の形成などをもたらし得るいかなる内部自己相補性も示さないようなものであるべきである。非対応領域における鎖の自己アニーリングは、この鎖へのプライマーの特異的結合を防止又は減少させ得るので、回避されるべきである。
一実施形態では、汎用アダプターは、アダプター−鋳型−アダプター分子からのアダプターのその後の除去に必要な全ての配列を含む(図1、ブロック13)。一実施形態では、汎用アダプターは、その後の増幅及び/又は配列決定のために、アレイ上にアダプター−鋳型−アダプター分子を固定化するために必要な全ての配列を含む(図1、ブロック16)。別の実施形態では、増幅工程は、固定化及び配列決定の前に、各アダプター−鋳型−アダプター分子中に存在する汎用アダプターをさらに改変するために使用される(図1、ブロック16)。例えば、鋳型の一部のヌクレオチド配列を決定する実施形態では、初期プライマー伸長反応は、個々の各アダプター−鋳型−アダプター分子の両方の鎖に相補的な伸長産物が形成され、汎用伸長プライマー部位を付加する汎用プライマー結合部位を使用して実施することができる。得られたプライマー伸長産物、及び場合によりその増幅されたコピーは、集合的に、固定化され、次いで配列決定され得る鋳型ポリヌクレオチドのライブラリーを提供する。
連結方法を使用して、汎用アダプターを鋳型に結合することができる。本明細書で有用な連結方法は、当技術分野で既知であり、標準的な方法を使用する。このような方法は、共有結合が形成されるように、この場合、汎用アダプター及び二本鎖鋳型の2つのポリヌクレオチド鎖の末端の結合をもたらすか又は触媒するために、DNAリガーゼのようなリガーゼ酵素を使用する。汎用アダプターは、鋳型上に存在する3’−OHへの連結を容易にするために、5’−リン酸部分を含み得る。二本鎖鋳型は、残留するか又は酵素処理工程を用いて付加された5’−リン酸部分を含み、末端修復され、場合により、突出する塩基(単数又は複数)によって伸長されて、連結に適切な3’−OHを与える。この文脈において、結合は、以前に共有結合されていなかったポリヌクレオチド鎖の共有結合を意味する。本開示の特定の態様では、このような結合は、2つのポリヌクレオチド鎖間のホスホジエステル結合の形成によって起こるが、他の共有結合の手段(例えば、非ホスホジエステル骨格結合)も使用され得る。
本明細書で議論されるように、一実施形態では、連結に使用される汎用アダプターは、完全である。例えば、汎用アダプターがreDNAライブラリーを産生するために付加される場合(図1、ブロック11)、汎用アダプターは、二本鎖領域及び汎用プライマー結合部位、汎用除去配列、又はそれらの組み合わせ(図3)のような汎用配列を含み得る。汎用アダプターが試験サンプルからのreDNA断片又は断片化核酸の集団に付加される場合(図1、ブロック15)、汎用アダプターは、例えば、汎用除去配列、汎用プライマー結合部位、汎用伸長プライマー結合部位、サンプル特異的インデックス、又はそれらの組み合わせを含む二本鎖及び一本鎖領域を含み得る(図4)。当業者は、断片の各集団について異なるインデックスを使用することにより、配列決定後の後の鋳型分子の供給源の同定が可能になるので、reDNA及び試験サンプルDNAへの付加のために異なる汎用アダプターを使用する利点を容易に理解するであろう。複数のアダプター−鋳型−アダプター分子を使用して、配列決定のための固定化サンプルを調製することができる(図1、ブロック16)。
また、本明細書で議論されるように、一実施形態では、連結において使用される汎用アダプターは、汎用プライマー結合部位(図5)のような、汎用配列を有し得る二本鎖領域を含む。得られた複数のアダプター−鋳型−アダプター分子(図1、ブロック15)をさらに改変して、汎用伸長プライマー結合部位及びサンプル特異的インデックス(図6)などのさらなる汎用配列を含むことができる。二本鎖標的断片に連結される汎用プライマーへの、汎用伸長プライマー結合部位などの特異的配列の付加方法は、PCRに基づく方法を含み、当技術分野で既知であり、例えば、Bignell et al.(米国特許第8,053,192号明細書)及びGunderson et al.(国際公開第2016/130704号パンフレット)に記載されている。
汎用アダプターが、さらなる汎用配列を含むように改変される実施形態において、増幅反応が調製される。増幅反応の内容物は、当業者に既知であり、適切な基質(例えば、dNTP)、酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)、及び増幅反応に必要な緩衝成分を含む。一般に、増幅反応は、増幅反応の各サイクルのプライマーアニーリング工程で遭遇する条件下で、増幅されるべきポリヌクレオチド配列の一部に特異的にアニーリングすることができる、しばしば「フォワード」プライマー及び「リバース」プライマー(プライマーオリゴヌクレオチド)と呼ばれる、少なくとも2つの増幅プライマーを必要とする。特定の実施形態では、フォワードプライマー及びリバースプライマーは、同一であり得る。従って、汎用プライマーは、アニーリング工程の間に増幅されるべきポリヌクレオチド分子(又は鋳型が一本鎖と見なされる場合には、その相補体)における汎用プライマー結合部位のような汎用配列にアニーリングすることができるヌクレオチドの配列である「汎用プライマー結合部位特異的部分」を含む。
本開示の実施形態に応じて、汎用プライマーは、全てのサンプルについて汎用であり得るか、又はフォワードプライマー若しくはリバースプライマーの1つは、サンプル供給源をコードするインデックス配列を保有し得る。汎用プライマーは、連結されたアダプターのインデックス領域を横切ってハイブリダイズし得、この場合、各サンプル核酸について独特のプライマーを使用することが有利である。増幅反応は、3つ以上の汎用プライマーを使用して行うことができる。連結されたアダプター−アダプターダイマーの増幅を防止するために、汎用プライマーは、連結されたアダプターの全体にわたって、連結された鋳型(又はその3’末端に付着したdNTP)にハイブリダイズするヌクレオチドを含むように改変され得る。この第1の汎用プライマーは、鎖のエキソヌクレアーゼ消化を防止するのを助けるために改変及び処理することができ、従って、インデックスされたプライマーの各々を別々に改変及び処理するよりもむしろ、全てのサンプルを増幅することができる第1の汎用プライマーを有することが有利であり得る。インデックスされたプライマーは、増幅反応においてサンプル特異的な第3のプライマーとして導入され得るが、エキソヌクレアーゼ消化を減少させるために特別に改変及び処理される必要はない。この実施形態の場合、インデックスを有する第3の汎用プライマーは、第1の汎用プライマーの伸長から生じる二重鎖を増幅するために使用することができるように、第1の汎用プライマーの少なくとも一部と同じ配列を含むことができる。
本開示の文脈において、「増幅されるべきポリヌクレオチド分子」という用語は、増幅反応に添加される元の又は出発のアダプター−鋳型−アダプター配列を指す。フォワード及びリバース汎用プライマーにおける「汎用プライマー結合部位特異的部分」は、増幅反応の開始時に存在する元の又は初期のアダプター−鋳型−アダプターにアニールすることができる配列を指し、「汎用プライマー結合部位特異的部分」の長さへの言及は、開始アダプター−鋳型−アダプター分子にアニールするプライマーにおける配列の長さに関連する。プライマーが第1の増幅サイクルにおいて開始アダプター−鋳型−アダプター分子にアニールしない任意のヌクレオチド配列を含む場合、この配列は、増幅産物にコピーされ得ることが理解される。従って、増幅の最初のサイクル及びその後のサイクルで産生される増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子は、開始アダプター−鋳型−アダプター分子よりも長くてもよい。
ミスマッチアダプターは異なる長さであり得るので、各鎖の3’末端及び5’末端に付加されるアダプター配列の長さは、異なり得る。汎用プライマーはまた、互いに異なる長さであり得、異なる長さのアダプターにハイブリダイズし得、従って、各鎖の末端に付加される長さは、制御され得る。ネステッドPCRの場合、3つ以上の汎用プライマーは、以前のアンプリコンを増幅するために使用されるプライマーよりも長くなるように設計され得、その結果、付加されるヌクレオチドの長さは完全に制御可能であり、所望される場合、数百の塩基対であり得る。一実施形態では、第1の汎用プライマーは、連結されたアダプターに13塩基を付加し、第3の汎用プライマーは、アンプリコンの一端がアダプター標的構築物の短いアームよりも40塩基長くなるように、さらなる27塩基を付加する。アダプターの短いアームは、20塩基長であり、これは、調製された鋳型が鋳型+末端に60の付加塩基を含むことを意味する。第2の汎用プライマーは、アダプターの長いアームよりも25塩基長く、これは、32塩基長+サンプルに付加されたdATPヌクレオシドを横切ってハイブリダイズする追加のTである。従って、調製された鋳型は、ゲノム断片+付加されたdATP+57の既知の塩基を含む。従って、完全には、各鋳型二重鎖の1つの鎖は、5’末端から:60の既知の塩基、T、ゲノム断片、A、57の既知の塩基−3’末端を含む。この鎖は、配列:5’−57の既知塩基、T、ゲノム断片、A、60の既知塩基−3’末端に完全に相補的である。長さ57及び60は任意であり、明確にするために示されており、限定するものと見なされるべきではない。付加される配列の長さは、所望の実験設計に応じて20〜100塩基以上であってもよい。
フォワードプライマー及びリバースプライマーは、アダプター配列の全体及び標的配列の少なくとも1つの塩基(又は標的鎖に3’−突出として付加されたヌクレオチドdNTP)にハイブリダイズするのに十分な長さであり得る。フォワードプライマー及びリバースプライマーはまた、アダプター構築物を越えて延びる領域を含み得、従って、汎用プライマーは、少なくとも20〜100塩基長であり得る。フォワード及びリバースプライマーは、有意に異なる長さであり得;例えば、一方は、20〜40塩基であり得、他方は、40〜100塩基長であり得る。フォワードプライマー及びリバースプライマーの汎用アダプター特異的部分のヌクレオチド配列は、存在する任意の他の標的配列への非特異的ハイブリダイゼーションを最小限にしながら、増幅反応のアニーリング工程の条件下で増幅されるべきアダプター−鋳型−アダプター分子への特異的ハイブリダイゼーションを達成するように選択される。
完全に満たない相補性の配列で十分なレベルの特異的アニーリングを達成することができるので、汎用アダプター特異的部分が100%相補的であることは、厳密には必要とされないことを当業者は理解するであろう。特に、汎用アダプター特異的部分における1つ又は2つのミスマッチは、通常、特異性に悪影響を及ぼすことなく許容され得る。従って、「汎用プライマー結合部位特異的部分」という用語は、アダプター−鋳型−アダプター分子の汎用アダプターと100%の相補性を必要とすると解釈されるべきではない。しかしながら、プライマーが、各々のプライマー結合配列以外のアダプター−鋳型−アダプターの領域に非特異的にアニーリングしないという要件が満たされなければならない。
汎用プライマーは、一般に、一本鎖ポリヌクレオチド構造である。これらはまた、天然及び非天然の塩基の混合物、並びに天然及び非天然の骨格結合を含み得るが、ただし、任意の非天然の修飾は、増幅反応の条件の間にポリヌクレオチド鎖にアニールし、新規相補的ポリヌクレオチドの合成のための開始点として作用する能力であるプライマーとしての機能を排除しない。
本明細書で議論されるように、本開示の方法は、アダプター−鋳型−アダプター分子からの汎用アダプターの除去を含み得る(図1、ブロック13)。一実施形態では、汎用アダプターは、汎用除去配列を使用することによって除去することができる。別の実施形態では、脱塩基部位の切断、リボヌクレオチドの切断、光化学的切断、ヘミメチル化DNAの切断、リンカー(例えば、ペプチドリンカー、pH感受性リンカー、熱感受性リンカー)の切断、メチル化、又は物理的な力を含むがこれらに限定されない化学的切断方法を使用して、アダプター−鋳型−アダプター分子から汎用アダプターを除去することができる。これらの他の方法は、典型的には、非天然ヌクレオチド、非天然骨格結合、又はそれらの組み合わせの使用を含む。従って、一実施形態では、汎用プライマーは、アダプター−鋳型−アダプター分子からの汎用アダプターの切断を容易にするために、天然及び非天然ヌクレオチドの混合物、ホスホジエステル及び非ホスホジエステル骨格結合の混合物、他の非ヌクレオチド修飾、又はそれらの組み合わせを含み得る。このような代替ヌクレオチド、連結、及び/又は修飾を含む汎用プライマーの使用は、代替ヌクレオチド、連結、及び/又は修飾を含むアダプター−鋳型−アダプター分子を生じる。
用語「化学的切断」は、二本鎖アダプター−鋳型−アダプター分子の一方又は両方の鎖の切断を促進/達成するために、非核酸及び/又は非酵素化学試薬を使用する任意の方法を包含する。必要に応じて、アダプター−鋳型−アダプター分子の一方又は両方の鎖は、所定の切断部位での化学的切断反応を可能にするために、1つ以上の非ヌクレオチド化学部分及び/又は非天然ヌクレオチド及び/又は非天然骨格結合を含み得る。典型的には、化学的切断に適した部位がその部位を含む汎用プライマーを用いてアダプター−鋳型−アダプター分子に導入される。
一実施形態では、アダプター−鋳型−アダプター分子の1つの鎖は、過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)での処理による切断を可能にするジオール結合(例えば、米国特許出願公開第2012/0270739号明細書を参照されたい)を含み得る。ジオール結合は、所定の切断部位に配置され得、その正確な位置は、使用者によって選択され得る。2つ以上のジオールが切断部位に含まれ得ることが理解されるであろう。
ポリヌクレオチド鎖への組み込みに適したホスホラミダイト化学に基づくジオールリンカー単位は、商業的に入手可能である(例えば、Fidelity systems Inc.、Gaithersburg、Md、USAから)。1つ以上のジオール単位は、自動化学DNA合成のための標準的な方法を使用して、プライマーとして使用するためのポリヌクレオチドに組み込まれ得る。
ジオールリンカーは、ジオールの切断を促進する任意の物質であり得る「切断剤」での処理によって切断される。好ましい切断剤は、過ヨウ素酸塩、好ましくは過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(NaIO4)である。切断剤(例えば、過ヨウ素酸塩)で処理してジオールを切断した後、切断反応で生成した反応種を中和するために、切断生成物を「キャッピング剤」で処理することができる。この目的に適したキャッピング剤には、アミン、例えばエタノールアミンが含まれる。有利には、キャッピング剤(例えば、エタノールアミン)は、切断剤(例えば、過ヨウ素酸塩)との混合物中に含まれ得、その結果、反応種は、それらが形成されるとすぐにキャッピングされる。
「脱塩基部位」は、塩基成分が除去されたポリヌクレオチド鎖におけるヌクレオシド位置として定義される。脱塩基部位は、ヌクレオシド残基の加水分解による生理学的条件下でDNA中に天然に存在し得るが、人工条件下で化学的に、又は酵素の作用によっても形成され得る。一旦形成されると、脱塩基部位は切断され得(例えば、エンドヌクレアーゼ又は他の一本鎖切断酵素での処理、熱又はアルカリへの曝露によって)、ポリヌクレオチド鎖の部位特異的切断のための手段を提供する。
好ましいが非限定的な実施形態では、アダプター−鋳型−アダプター分子の汎用アダプターの所定の位置に脱塩基部位を作製することができる。所定の切断部位にデオキシウリジン(U)を含む汎用プライマーを使用する。次いで、酵素ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)を使用して、増幅されたreDNAライブラリーのメンバーからウラシル塩基を除去し、1本鎖上に脱塩基部位を生成することができる。次いで、脱塩基部位を含むポリヌクレオチド鎖は、エンドヌクレアーゼ(例えば、EndoIVエンドヌクレアーゼ、APリアーゼ、FPGグリコシラーゼ/APリアーゼ、EndoVIIIグリコシラーゼ/APリアーゼ)、熱、又はアルカリでの処理によって、脱塩基部位で切断され得る。
脱塩基部位はまた、デオキシウリジン以外の非天然/修飾デオキシリボヌクレオチドで生成され得、エンドヌクレアーゼ、熱、又はアルカリでの処理によって類似の様式で切断され得る。例えば、汎用プライマーは、8−オキソ−グアニン又はデオキシイノシンを含むことができる。8−オキソ−グアニンは、FPGグリコシラーゼに暴露することによって、脱塩基部位に変換することができる。デオキシイノシンは、AlkAグリコシラーゼに暴露することによって、脱塩基部位に変換することができる。次いで、このようにして生成された脱塩基部位は、典型的には、適切なエンドヌクレアーゼ(例えば、EndoIV、APリアーゼ)での処理によって切断され得る。
一実施形態では、切断されるべき二本鎖核酸分子は、適切なグリコシラーゼ(脱塩基部位を生成するため)及び1つ以上の適切なエンドヌクレアーゼ(続いて切断するため)を含む混合物に曝露され得る。このような混合物において、グリコシラーゼ及びエンドヌクレアーゼは、典型的には、少なくとも約2:1の活性比で存在するであろう。特定の実施形態では、New Englad Biolabsから入手可能なUSER試薬(NEB #M5505S)は、ウラシル塩基における単一ヌクレオチドギャップの作製のために使用される。
一実施形態では、1つ以上のリボヌクレオチドを含む汎用プライマーを使用することができる。そうでない場合にデオキシリボヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド鎖(追加の非ヌクレオチド化学部分、非天然塩基、又は非天然骨格結合を有するか又は有さない)への1つ以上のリボヌクレオチドの組み込みは、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合を選択的に切断することができる化学剤を使用するか、又はリボヌクレアーゼ(RNAse)を使用する、切断のための所定の部位を提供することができる。一実施形態では、切断されるべき鎖は、化学的切断のための所定の部位を提供するために、単一のリボヌクレオチドを含む。
デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合を選択的に切断することができる適切な化学的切断剤には、金属イオン、例えば希土類金属イオン(とりわけLa+、特にTm+、Yb+又はLu+(Chen et al.Biotechniques.2002、32:518−520;Komiyama et al.Chem.Commun.1999、1443−1451))、Fe(3)若しくはCu(3)、又は高pHへの曝露、例えば水酸化ナトリウムなどの塩基での処理が含まれる。「デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合の選択的切断」とは、化学的切断剤が同じ条件下で2つのデオキシリボヌクレオチド間のホスホジエステル結合を切断することができないことを意味する。
リボヌクレオチドの塩基組成は、一般に重要ではないが、化学的(又は酵素的)切断を最適化するように選択することができる。例として、rUMP又はrCMPは、金属イオン、特に希土類金属イオンに暴露することによって切断を行う場合に一般に好ましい。
リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドの間、又は2つのリボヌクレオチド間のホスホジエステル結合は、RNaseによっても切断することができる。適切な基質特異性の任意のエンドサイトーシスリボヌクレアーゼをこの目的のために使用することができる。リボヌクレアーゼによる切断のためには、2つ以上の連続したリボヌクレオチド、好ましくは、2〜10又は5〜10の連続したリボヌクレオチドを含むことが好ましい。リボヌクレオチドの正確な配列は、一般に、特定のRNaseが特定の残基後の切断に対して特異性を有することを除いて、重要ではない。適切なRNaseには、例えば、C及びU残基後に切断するRNaseAが含まれる。従って、RNaseAで切断する場合、切断部位は、C又はUである少なくとも1つのリボヌクレオチドを含まなければならない。
1つ以上のリボヌクレオチドを組み込む汎用プライマーは、適切なリボヌクレオチド前駆体を用いたオリゴヌクレオチド化学合成のための標準的な技術を使用して容易に合成され得る。
用語「光化学的切断」は、二本鎖核酸分子の一方又は両方の鎖の切断を達成するために光エネルギーを利用する任意の方法を包含する。
光化学的切断のための所定の部位は、二本鎖分子の鎖の1つにおける非ヌクレオチド化学的スペーサー単位によって提供され得る。適切な光化学的切断可能スペーサーには、以下の構造を有する、Glen Research、Sterling、Va、USA(カタログ番号10−4913−XX)により供給されるPCスペーサーホスホアミダイト(4−(4,4’−ジメトキシトリチロキシ)ブチルアミドメチル)−1−(2−ニトロフェニル)−エチル]−2−シアノエチル−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホラミダイト)が含まれる:
スペーサー単位は、UV光源に暴露することによって切断され得る。
このスペーサー単位は、オリゴヌクレオチドの化学合成のための標準的な技術を使用して、固体表面への付着を可能にするチオリン酸基と共に、ポリヌクレオチドの5’末端に付着され得る。好都合には、このスペーサー単位は、固相増幅による光切断可能な二本鎖核酸分子の合成のために使用されるフォワード又はリバース増幅プライマーに組み込まれ得る。
二本鎖核酸分子の1つの鎖の部位特異的切断はまた、1つ以上のメチル化ヌクレオチドを組み込む汎用プライマーを使用し、次いで、増幅されたreDNAライブラリーのメンバーを、メチル化ヌクレオチドを含む認識配列に特異的なエンドヌクレアーゼ酵素で切断することによって達成され得る。
メチル化ヌクレオチドは、典型的には、相補鎖上に非メチル化デオキシリボヌクレオチドの相補的ストレッチを有する二本鎖アダプター−鋳型−アダプター分子の1つの鎖の領域に組み込まれ、その結果、2つの鎖のアニーリングは、ヘミメチル化二重鎖構造を生成するであろう。次いで、ヘミメチル化二重鎖は、適切なエンドヌクレアーゼの作用によって切断され得る。
1つ又はメチル化ヌクレオチドを組み込む汎用プライマーは、適切にメチル化されたヌクレオチド前駆体を使用して、自動DNA合成のための標準的な技術を使用して調製され得る。
プライマーは、非ヌクレオチド化学修飾、例えば、エキソヌクレアーゼ耐性を増加させるための骨格修飾を有するホスホロチオエートをさらに含んでもよく、この場合も、修飾がプライマー機能を妨げないことを条件とする。修飾は、例えば、固体支持体、例えばビオチン部分へのプライマーの付着を容易にすることができる。特定の修飾は、それ自体、プライマーとしての分子の機能を改善し得るか、又はプライマー(又はそれに由来する伸長ポリヌクレオチド鎖)が固体支持体から切断されることを可能にするための切断部位を提供するなど、いくつかの他の有用な機能性を提供し得る(例えば、米国特許第9,085,802号明細書を参照されたい)。
インデックスが汎用アダプターに付着される実施形態において、増幅は、プールされたサンプル又はプールされていないサンプルのいずれかで実施され得る。一実施形態では、インデックスは汎用プライマーの一部であり、従って、各サンプルは、プール前に独立して増幅される。次いで、プールされた核酸サンプルは、配列決定のために処理され得る。
アダプター−鋳型−アダプター分子からアダプターを除去して(図1、ブロック13)、reDNAを得た後、サンプルを、除去されたアダプターを鋳型分子から分離する条件に暴露することができる。除去されたアダプターからの所望のreDNAの分離は、捕捉剤の使用によって補助され得る。一実施形態では、捕捉剤は、アダプター−鋳型−アダプター分子の増幅の間にアダプター−鋳型−アダプター分子に添加される(図1、ブロック12)。例えば、アダプター−鋳型−アダプター分子を増幅するために使用される汎用プライマーは、受容体−リガンド結合対のメンバーなどの捕捉剤を含むことができる。有用な受容体−リガンド結合対の例としては、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、レクチン、炭水化物、核酸結合タンパク質、及び抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子は、リガンドである捕捉剤を含む。増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子は、アダプターを除去する条件(例えば、汎用除去配列が制限エンドヌクレアーゼ部位である場合、制限エンドヌクレアーゼへの暴露)に暴露される。一実施形態では、次いで、reDNAと除去された(付着していない)アダプターとの混合物を、リガンドと受容体との結合に適した条件下でリガンドの受容体に暴露し、受容体に結合した除去されたアダプターをreDNAから分離する。一実施形態では、受容体は、表面に結合されるか、又は付着したアダプターを分離するために使用され得る第2のリガンドをさらに含む。別の実施形態では、増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子は、リガンドの受容体を含む表面と接触し、増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子は、分子の一端又は両端で表面に結合するようになる。結合した増幅アダプター−鋳型−アダプター分子を、アダプターを除去する条件(例えば、汎用除去配列が制限エンドヌクレアーゼ部位である場合、制限エンドヌクレアーゼへの曝露)に引き続いて曝露すると、除去されたアダプターが表面及び遊離鋳型、すなわちreDNAに結合する。表面は、任意の適切な形状(スライドのような平坦な、又はビーズのような湾曲した)の不活性基質又はマトリックス(例えば、プラスチック、ガラス)であり得る。
別の実施形態では、除去されたアダプターを鋳型分子から分離するために有用な条件は、所定のサイズ範囲(例えば、長さ150〜400ヌクレオチド、又は150〜300ヌクレオチド)について選択する条件を含む。所定のサイズ範囲を選択する方法としては、ゲル電気泳動が挙げられるが、これに限定されない。電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィーなどの任意の適切なプロセスを使用することができる。いくつかの実施形態では、固相可逆的固定化常磁性ビーズを使用して、所望のDNA分子を付着していないアダプターから分離し、サイズに基づいてreDNAを選択することができる。固相可逆的固定化常磁性ビーズは、Beckman Coulter(Agencort AMPure XP)、Thermofisher(MagJet)、Omega Biotek(Mag−Bind)、Promega Beads(Promega)、及びKapa Biosystems(Kapa Pure Beads)から市販されている。
アダプターの除去の前又は後に、多くの化合物及び組成物が生じ得る。例えば、複数のアダプター−鋳型−アダプター分子を含む化合物又は組成物であって、アダプターが制限エンドヌクレアーゼ部位を含む化合物又は組成物が提供される。本明細書で提供される別の組成物は、reDNA断片の集団、例えばreDNAライブラリーである。一実施形態では、組成物は、1ng/ml〜1000ng/ml、例えば、10ng/ml〜500ng/ml、又は50ng/ml〜150ng/mlの濃度のreDNA断片の集団を含むことができる。一実施形態では、組成物は、150〜400ヌクレオチド長、又は150〜300ヌクレオチド長のサイズ範囲を有するreDNA断片の集団を含むことができる。いくつかの実施形態では、集団は、長さが40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140又は150ヌクレオチドから200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390又は400ヌクレオチドまでの範囲である。
本明細書で提供されるさらに別の組成物は、人工生物学的流体中に存在するreDNA断片の集団、例えばreDNAライブラリーである。いかなる理論によっても限定されることを意図するものではないが、人工生物学的流体中のreDNA断片の集団の使用は、天然の試験サンプルを模倣する合成陽性及び陰性対照を提供する。合成対照中のreDNAは、天然の試験サンプル中に見出されるサイズ分布を有し、合成対照中のreDNAのゲノムカバレッジもまた、天然の試験サンプル中に見出されるものと同様である。人工生物学的流体は、天然試験サンプルと合成陽性及び陰性対照との間にさらなるレベルの類似性を付加する。
人工生物学的流体は、天然生物学的流体を模倣する流体である。一般に、天然生物学的流体は、断片化された核酸を対象から得ることができる流体であり得る。例としては、全血、血漿、血清、尿、唾液、痰、洗浄液、脳脊髄液、精液、汗、涙、唾液、便などが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、人工生物学的流体は、水性流体及び天然流体の他の成分を含み、従って、人工流体は、天然流体を模倣する。例えば、人工血漿は、電解質、アルブミン、フィブリノーゲン、凝固因子、緩衝液、及び/又は他の成分を含む天然血漿の成分のいくつかを含み得る。血漿は、しばしば、CaCl2、クエン酸塩、又はそれらの組み合わせなどの成分で全血を処理することによって生成され、従って、いくつかの実施形態では、人工血漿は、CaCl2、クエン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。全血、血漿、血清、尿、唾液、痰、洗浄液、脳脊髄液、精液、汗、涙、唾液、便などの生物学的流体の成分は既知であり、当業者によって容易に再現され得る。或いは、人工血漿は市販されている(ImmunoChemistry Technologies、Bloomington、MN)。人工生物学的流体はまた、抗菌剤、安定剤などの成分を含むことができるが、これらに限定されない。
reDNA断片の集団、例えばreDNAライブラリーは、天然生物学的サンプル中の断片化核酸の濃度を模倣する濃度で人工生物学的流体に添加され得る。例えば、試験サンプルが妊婦由来の血漿サンプルである実施形態において、合成対照は、適切なreDNAライブラリーを、試験サンプル中のcfDNAの濃度に類似する濃度で、血漿サンプルに基づく人工生物学的流体に添加することによって生成され得る。一実施形態では、人工生物学的流体は、1ナノグラム/ミリリットル(ng/ml)〜1000ng/ml、例えば、10ng/ml〜500ng/ml、又は50ng/ml〜150ng/mlの濃度のreDNAライブラリーを含むことができる。
本明細書のいくつかの実施形態では、1つ以上の供給源由来の複数のアダプター−鋳型−アダプター分子は、次いで、配列決定の前に固定化され、増幅される(図1、ブロック16)。1つ以上の供給源由来のアダプター−鋳型−アダプター分子を基質に付着させるための方法は、当技術分野で既知である。同様に、固定化されたアダプター−鋳型−アダプター分子を増幅するための方法は、架橋増幅及び動力学排除増幅を含むが、これらに限定されない。配列決定の前に固定化及び増幅するための方法は、例えば、Bignell et al.(米国特許第8,053,192号明細書)、Gunderson et al.(国際公開第2016/130704号パンフレット)、Shen et al.(米国特許第8,895,249号明細書)、及びPipenburg et al.(米国特許第9,309,502号明細書)に記載される。
次いで、プールされたサンプルを含むサンプルは、配列決定のための調製において固定化され得る。配列決定は、単一分子のアレイとして行うことができ、又は配列決定の前に増幅することができる。増幅は、1つ以上の固定化プライマーを使用して行うことができる。固定化されたプライマーは、平坦な表面上のローン、又はビーズのプール上のローンであり得る。ビーズのプールは、エマルジョンの各「区画」において単一のビーズを有するエマルジョンに分離することができる。「区画」当たり1つの鋳型のみの濃度で、単一の鋳型のみが各ビーズ上で増幅される。
本明細書で使用される「固相増幅」という用語は、増幅産物の全部又は一部がそれらが形成されるにつれて固体支持体上に固定化されるように、固体支持体上で、又は固体支持体と関連して実施される任意の核酸増幅反応を指す。特に、この用語は、固相ポリメラーゼ連鎖反応(固相PCR)及び固相等温増幅を包含し、これらは、フォワード及びリバース増幅プライマーの一方又は両方が固体支持体上に固定化されることを除いて、標準溶液相増幅に類似する反応である。固相PCRは、一方のプライマーがビーズに固定され、他方が遊離溶液中にあるエマルジョン、及び一方のプライマーが表面に固定され、一方が遊離溶液中にある固相ゲルマトリックス中のコロニー形成などのシステムを包含する。
いくつかの実施形態では、固体支持体は、パターン化された表面を含む。「パターン化された表面」は、固体支持体の露出した層の中又は上の異なる領域の配置を指す。例えば、1つ以上の領域は、1つ以上の汎用プライマーが存在するフィーチャであり得る。フィーチャは、汎用プライマーが存在しない間隙領域によって分離することができる。いくつかの実施形態では、パターンは、行及び列にあるフィーチャのx−yフォーマットとすることができる。いくつかの実施形態では、パターンは、フィーチャ及び/又は間隙領域の繰り返し配列とすることができる。いくつかの実施形態では、パターンは、フィーチャ及び/又は間隙領域のランダムな配置とすることができる。本明細書に記載される方法及び組成物において使用することができる例示的なパターン化表面は、米国特許第8,778,848号明細書、同第8,778,849号明細書、及び同第9,079,148号明細書、並びに米国特許出願公開第2014/0243224号明細書に記載されている。
いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面にウェル又は窪みのアレイを含む。これは、フォトリソグラフィ、スタンピング技法、成形技法、及びマイクロエッチング技法を含むがこれらに限定されない、様々な技法を使用して、当技術分野で一般に知られているように製造することができる。当業者によって理解されるように、使用される技法は、アレイ基質の組成及び形状に依存するであろう。
パターン化された表面のフィーチャは、パターン化された共有結合ゲル(例えば、ポリ(N−(5−アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド−co−アクリルアミド)(PAZAM、例えば、米国特許出願公開第2013/184796号明細書、国際公開第2016/066586号パンフレット、及び国際公開第2015/002813号パンフレットを参照されたい)を有する、ガラス、シリコン、プラスチック、又は他の適切な固体支持体上のウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)のアレイ中のウェルであり得る。このプロセスは、配列決定のために使用されるゲルパッドを作製し、このゲルパッドは、多数のサイクルを有する配列決定ランにわたって安定であり得る。ウェルへのポリマーの共有結合は、様々な使用の間、構造化基質の寿命を通して構造化フィーチャ内にゲルを維持するのに役立つ。しかしながら、多くの実施形態では、ゲルは、ウェルに共有結合される必要はない。例えば、いくつかの条件において、構造化基質のいずれの部分にも共有結合していないシランを含まないアクリルアミド(SFA、例えば米国特許第8,563,477号明細書を参照されたい)が、ゲル材料として使用され得る。
特定の実施形態では、構造化基質は、固体支持体材料をウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)でパターン化し、パターン化支持体をゲル材料(例えば、PAZAM、SFA、又はSFAのアジド化(azidolyzed)バージョン(アジド−SFA)などのその化学修飾異形)でコーティングし、ゲルコーティングされた支持体を、例えば、化学研磨又は機械研磨によって研磨し、それによって、ウェル内にゲルを保持するが、ウェル間の構造化基質の表面上の間隙領域から実質的に全てのゲルを除去又は不活性化することによって作製することができる。プライマー核酸は、ゲル材料に付着させることができる。次いで、標的核酸(例えば、cfDNA)の溶液を、個々の標的核酸がゲル材料に付着したプライマーとの相互作用を介して個々のウェルに播種されるように、研磨された基質と接触させることができるが、標的核酸は、ゲル材料の非存在又は不活性のために、間隙領域を占有しないであろう。標的核酸の増幅は、間質領域におけるゲルの非存在又は不活性が増殖する核酸コロニーの外側への移動を妨げるので、ウェルに限定される。このプロセスは、好都合に製造可能であり、スケーラブルであり、従来のマイクロ又はナノ製造方法を利用する。
本開示は、1つの増幅プライマーのみが固定化される(他のプライマーは通常、遊離溶液中に存在する)「固相」増幅方法を包含するが、固体支持体には、固定化されたフォワードプライマー及びリバースプライマーの両方が提供されることが好ましい。実際には、増幅プロセスは増幅を維持するために過剰のプライマーを必要とするので、固体支持体上に固定化された「複数の」同一のフォワードプライマー及び/又は「複数の」同一のリバースプライマーが存在するであろう。本明細書におけるフォワードプライマー及びリバースプライマーへの言及は、文脈が特に示さない限り、そのようなプライマーの「複数」を包含するものとして解釈されるべきである。
当業者に理解されるように、任意の所定の増幅反応は、増幅される鋳型に特異的な少なくとも1つのタイプのフォワードプライマー及び少なくとも1つのタイプのリバースプライマーを必要とする。しかしながら、特定の実施形態では、フォワードプライマー及びリバースプライマーは、同一配列の鋳型特異的部分を含み得、完全に同一のヌクレオチド配列及び構造(任意の非ヌクレオチド修飾を含む)を有し得る。言い換えれば、1つのタイプのプライマーのみを使用して固相増幅を行うことが可能であり、このような単一プライマー法は、本開示の範囲内に包含される。別の実施形態は、同一の鋳型特異的配列を含むが、いくつかの他の構造的特徴において異なるフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用し得る。例えば、1つのタイプのプライマーは、他に存在しない非ヌクレオチド修飾を含み得る。
本開示の全ての実施形態において、固相増幅のためのプライマーは、好ましくは、プライマーの5’末端又はその近くで固体支持体への一点共有結合によって固定化され、プライマーの鋳型特異的部分は、その同族鋳型にアニールするように遊離のままであり、3’ヒドロキシル基は、プライマー伸長のために遊離である。当技術分野で既知の任意の適切な共有結合手段を、このために使用することができる。選択される付着化学は、固体支持体の性質、及びそれに適用される任意の誘導体化又は官能化に依存するであろう。プライマー自体は、付着を容易にするために、非ヌクレオチド化学修飾であり得る部分を含み得る。特定の実施形態では、プライマーは、5’末端に、ホスホロチオエート又はチオホスフェートなどの硫黄含有求核試薬を含み得る。固体支持ポリアクリルアミドヒドロゲルの場合、この求核試薬は、ヒドロゲル中に存在するブロモアセトアミド基に結合することができる。プライマー及び鋳型を固体支持体に付着させるより具体的な手段は、国際公開第05/065814号パンフレットに完全に記載されているように、重合アクリルアミド及びN−(5−ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)からなるヒドロゲルへの5’ホスホロチオエート付着を介するものである。
本開示の特定の実施形態は、例えば、ポリヌクレオチドなどの生体分子への共有結合を可能にする反応性基を含む中間材料の層又はコーティングの適用によって「官能化」された不活性基質又はマトリックス(例えば、スライドガラス、ポリマービーズなど)からなる固体支持体を利用してもよい。このような支持体の例としては、ガラスなどの不活性基質上に支持されたポリアクリルアミドヒドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。そのような実施形態では、生体分子(例えば、ポリヌクレオチド)は、中間材料(例えば、ヒドロゲル)に直接共有結合されてもよいが、中間材料自体は、基質又はマトリックス(例えば、ガラス基質)に非共有結合されてもよい。用語「固体支持体への共有結合」は、従って、このタイプの配置を包含するものとして解釈されるべきである。
プールされたサンプルは、各ビーズがフォワード及びリバース汎用プライマーを含むビーズ上で増幅され得る。特定の実施形態では、本開示の第1、第2、又は第3の態様に従って調製された鋳型のライブラリーは、固相増幅、より具体的には固相等温増幅により、米国特許出願公開第2005/0100900号明細書、米国特許第7,115,400号明細書、国際公開第00/18957号パンフレット及び国際公開第98/44151号パンフレットに記載されているものに類似する核酸コロニーのクラスター化アレイを調製するために使用される。用語「クラスター」及び「コロニー」は、本明細書では、複数の同一の固定化核酸鎖及び複数の同一の固定化相補的核酸鎖からなる固体支持体上の別個の部位を指すために、互換的に使用される。用語「クラスター化アレイ」は、このようなクラスター又はコロニーから形成されるアレイを指す。この文脈において、用語「アレイ」は、クラスターの順序付けられた配置を必要とするものとして理解されるべきではない。
用語「固相」又は「表面」は、プライマーが平坦な表面(例えば、ガラス、シリカ又はプラスチック顕微鏡スライド又は類似のフローセルデバイス)に付着される平面アレイ;1つ又は2つのプライマーがビーズに付着され、ビーズが増幅されるビーズ;又はビーズが増幅された後の表面上のビーズのアレイのいずれかを意味するために使用される。
クラスター化アレイは、国際公開第98/44151号パンフレットに記載されているようなサーモサイクリングのプロセス、又は温度が一定に維持され、伸長及び変性のサイクルが試薬の変更を用いて行われるプロセスのいずれかを用いて調製することができる。このような等温増幅法は、特許出願番号、国際公開第02/46456号パンフレット及び米国特許出願公開第2008/0009420号パンフレットに記載されている。等温プロセスにおいて必要とされるより低い温度のために、これは特に好ましい。
本明細書に記載されるか、又は当技術分野で一般に知られている増幅方法論のいずれも、固定化されたDNA断片を増幅するために、汎用プライマー又は標的特異的プライマーと共に使用することができることを理解するであろう。増幅のための適切な方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)及び米国特許第8,003,354号明細書に記載されるような核酸配列ベースの増幅(NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない。上記の増幅方法は、目的の1つ以上の核酸を増幅するために使用され得る。例えば、マルチプレックスPCR、SDA、TMA、NASBAなどを含むPCRを用いて、固定化DNA断片を増幅することができる。いくつかの実施形態では、目的のポリヌクレオチドに特異的に指向されるプライマーは、増幅反応に含まれる。
ポリヌクレオチドの増幅のための他の適切な方法は、オリゴヌクレオチド伸長及び連結、ローリングサークル増幅(RCA)(Lizardi et al.、Nat.Genet.19:225−232(1998))及びオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)(一般に、米国特許第7,582,420号明細書、同第5,185,243号明細書、同第5,679,524号明細書及び同第5,573,907号明細書;欧州特許第0 320 308 B1号明細書;欧州特許第0 336 731 B1号明細書;欧州特許第0 439 182 B1号明細書;国際公開第90/01069号パンフレット;国際公開第89/12696号パンフレット;並びに国際公開第89/09835号パンフレットを参照されたい)技術を含み得る。これらの増幅方法論は、固定化DNA断片を増幅するように設計され得ることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、増幅方法は、目的の核酸に特異的に指向されるプライマーを含む連結プローブ増幅又はオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)反応を含み得る。いくつかの実施形態では、増幅方法は、目的の核酸に特異的に指向されるプライマーを含むプライマー伸長−連結反応を含み得る。目的の核酸を増幅するために特異的に設計され得るプライマー伸長及び連結プライマーの非限定的な例として、増幅は、米国特許第7,582,420号明細書及び同第7,611,869号明細書によって例示されるように、GoldenGateアッセイ(Illumina、Inc.、San Diego、CA)のために使用されるプライマーを含み得る。
本開示の方法において使用され得る例示的な等温増幅方法は、例えば、Dean et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5261−66(2002)によって例示されるような多重置換増幅(MDA)、又は、例えば米国特許第6,214,587号明細書によって例示される等温鎖置換核酸増幅を含むが、これらに限定されない。本開示において使用され得る他の非PCRベースの方法は、例えば、Walker et al.、Molecular Methods for Virus Detection、Academic Press、Inc.、1995;米国特許第5,455,166号明細書、及び同第5,130,238号明細書、並びにWalker et al.、Nucl.Acids Res.20:1691−96(1992)に記載される鎖置換増幅(SDA)、又は、例えば、Lage et al.、Genome Res. 13:294−307(2003)に記載される超分岐鎖置換増幅を含む。等温増幅法は、鎖置換Phi 29ポリメラーゼ又はBst DNAポリメラーゼ大断片、ゲノムDNAのランダムプライマー増幅のための5’−>3’エキソと共に使用され得る。これらのポリメラーゼの使用は、それらの高い反応促進性及び鎖置換活性を利用する。高い反応促進性は、ポリメラーゼが長さ10〜20kbの断片を産生するようにする。上記のように、より小さい断片は、Klenowポリメラーゼのような低い反応促進性及び鎖置換活性を有するポリメラーゼを使用して、等温条件下で産生され得る。増幅反応、条件及び成分のさらなる説明は、米国特許第7,670,810号明細書の開示に詳細に記載されている。
本開示において有用な別のポリヌクレオチド増幅方法は、例えば、Grothues et al.Nucleic Acids Res.21(5):1321−2(1993)に記載されるように、定常5’領域、続いてランダム3’領域を有する2ドメインプライマーの集団を使用するTagged PCRである。第一ラウンドの増幅を行って、ランダムに合成された3’領域からの個々のハイブリダイゼーションに基づいて、熱変性DNAについての開始の多重度を可能とする。3’領域の性質により、開始部位は、ゲノム全体にわたってランダムであると考えられる。その後、結合していないプライマーを除去することができ、定常5’領域に相補的なプライマーを使用してさらなる複製を行うことができる。
いくつかの実施形態では、等温増幅は、排除増幅(ExAmp)とも呼ばれる動力学排除増幅(KEA)を用いて行うことができる。本開示の核酸ライブラリーは、増幅試薬を反応させて、各々が、部位を播種した個々の標的核酸からのアンプリコンの実質的にクローン性の集団を含む複数の増幅部位を産生する工程を含む方法を用いて作製され得る。いくつかの実施形態では、増幅反応は、各々の増幅部位の容量を満たすのに十分な数のアンプリコンが生成されるまで進行する。このようにして、既に播種された部位を容量まで満たすことは、標的核酸がその部位に着地し増幅し、それによってその部位にアンプリコンのクローン集団を生成することを阻害する。いくつかの実施形態では、第2の標的核酸が部位に到達する前に、増幅部位が容量まで満たされていなくても、見かけのクローン性を達成することができる。いくつかの条件下では、第1の標的核酸の増幅は、部位に輸送される第2の標的核酸からのコピーの産生を効果的に上回るか、又は圧倒するのに十分な数のコピーが作製される点まで進行し得る。例えば、直径500nm未満の円形フィーチャ上で架橋増幅プロセスを用いる実施形態において、第1の標的核酸についての14サイクルの指数関数的増幅の後、同じ部位での第2の標的核酸からの汚染は、Illumina配列決定プラットフォーム上での合成分析による配列決定に悪影響を及ぼすには、不十分な数の汚染アンプリコンを生成することが決定された。
アレイ中の増幅部位は、特定の実施形態では、完全にクローン性であり得るが、その必要はない。むしろ、いくつかの適用について、個々の増幅部位は、第1の標的核酸由来のアンプリコンで主に集団化され得、また、第2の標的核酸由来の低レベルの混入アンプリコンを有し得る。アレイは、汚染レベルがアレイのその後の使用に許容できない影響を及ぼさない限り、低レベルの汚染アンプリコンを有する1つ以上の増幅部位を有することができる。例えば、アレイが検出用途で使用される場合、許容され得る汚染のレベルは、許容できない方法で検出技術の信号対雑音又は分解能に影響を与えないレベルである。従って、見かけのクローン性は、一般に、本明細書に記載される方法によって作製されるアレイの特定の使用又は適用に関連する。特定の適用のために個々の増幅部位で許容され得る汚染の例示的なレベルには、多くとも0.1%、0.5%、1%、5%、10%又は25%の汚染アンプリコンが含まれるが、これらに限定されない。アレイは、これらの例示的なレベルの汚染アンプリコンを有する1つ以上の増幅部位を含むことができる。例えば、アレイ中の増幅部位の5%、10%、25%、50%、75%、又はさらには100%までが、いくつかの汚染アンプリコンを有し得る。部位のアレイ又は他のコレクションにおいて、少なくとも50%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%以上の部位がクローン性であり得るか、又は明らかにクローン性であり得ることが理解される。
いくつかの実施形態では、動力学排除は、プロセスが別の事象又はプロセスが起こるのを効果的に排除するのに十分に迅速な速度で起こる場合に起こり得る。例えば、アレイの部位が溶液からの標的核酸でランダムに播種され、標的核酸のコピーが増幅プロセスにおいて生成されて、播種された部位の各々を容量まで満たす核酸アレイの作製を考える。本開示の動力学排除方法によれば、播種及び増幅プロセスは、増幅速度が播種速度を超える条件下で同時に進行し得る。このようにして、コピーが第1の標的核酸によって播種された部位で作製される比較的迅速な速度は、増幅のために部位を播種することから第2の核酸を効果的に排除する。動力学排除増幅法は、米国特許出願公開第2013/0338042号明細書の開示に詳細に記載されているように実施することができる。
動力学排除は、増幅を開始するための比較的遅い速度(例えば、標的核酸の第1のコピーを作製する遅い速度)、対、標的核酸(又は標的核酸の第1のコピー)のその後のコピーを作製するための比較的速い速度を利用し得る。例示的な一実施形態において、動力学排除は、標的核酸播種の比較的遅い速度(例えば、比較的遅い拡散又は輸送)、対、核酸シードのコピーで部位を満たすために増幅が生じる比較的速い速度に起因して生じる。別の例示的な実施形態では、動力学排除は、部位に播種されている標的核酸の第1のコピーの形成の遅延(例えば、遅延又は遅い活性化)、対、後続のコピーが作製されて部位を満たす比較的迅速な速度に起因して生じ得る。この例では、いくつかの異なる標的核酸が個々の部位に播種されている可能性がある(例えば、増幅前にいくつかの標的核酸が各部位に存在する可能性がある)。しかしながら、任意の所定の標的核酸についての第1のコピー形成は、第1のコピー形成の平均速度が後続のコピーが生成される速度と比較して比較的遅いように、ランダムに活性化され得る。この場合、個々の部位にいくつかの異なる標的核酸が播種されている可能性があるが、動力学排除により、これらの標的核酸のうちの1つのみが増幅できるであろう。より具体的には、一旦第1の標的核酸が増幅のために活性化されると、その部位はそのコピーで容量を急速に満たし、それによって第2の標的核酸のコピーがその部位で作製されることを防止するであろう。
増幅試薬は、アンプリコン形成を促進し、場合によっては、アンプリコン形成の速度を増加させるさらなる成分を含むことができる。例は、リコンビナーゼである。リコンビナーゼは、繰り返しの侵入/伸長を可能にすることによって、アンプリコン形成を容易にし得る。より具体的には、リコンビナーゼは、ポリメラーゼによる標的核酸の侵入、及びアンプリコン形成のための鋳型として標的核酸を使用するポリメラーゼによるプライマーの伸長を容易にすることができる。このプロセスは、各ラウンドの侵入/伸長から産生されたアンプリコンが次のラウンドにおいて鋳型として役立つ連鎖反応として反復され得る。変性サイクル(例えば、加熱又は化学的変性を介する)は必要とされないので、このプロセスは標準的なPCRよりも迅速に行われ得る。そのようなものとして、リコンビナーゼ促進増幅は、等温的に行うことができる。増幅を容易にするために、リコンビナーゼ促進増幅試薬中にATP、又は他のヌクレオチド(又は場合によっては、その非加水分解性類似体)を含めることが一般に望ましい。リコンビナーゼ及び一本鎖結合(SSB)タンパク質の混合物は、SSBが増幅をさらに促進し得るので、特に有用である。リコンビナーゼ促進増幅のための例示的な製剤は、TwistDx(Cambridge、UK)によってTwistAmpキットとして商業的に販売されているものを含む。リコンビナーゼ促進増幅試薬の有用な成分及び反応条件は、米国特許第5,223,414号明細書及び米国特許第7,399,590号明細書に記載されている。
アンプリコン形成を促進し、場合によっては、アンプリコン形成速度を増加させるために増幅試薬に含まれ得る成分の別の例は、ヘリカーゼである。ヘリカーゼは、アンプリコン形成の連鎖反応を可能にすることによって、アンプリコン形成を促進することができる。変性サイクル(例えば、加熱又は化学的変性を介する)は必要とされないので、このプロセスは標準的なPCRよりも迅速に行われ得る。そのようなものとして、ヘリカーゼ促進増幅は、等温的に行うことができる。ヘリカーゼ及び一本鎖結合(SSB)タンパク質の混合物は、SSBが増幅をさらに促進し得るので、特に有用である。ヘリカーゼ促進増幅のための例示的な製剤は、Biohelix(Beverly、MA)からIsoAmpキットとして商業的に販売されているものを含む。さらに、ヘリカーゼタンパク質を含む有用な製剤の例は、米国特許第7,399,590号明細書及び米国特許第7,829,284号明細書に記載されている。
アンプリコン形成を促進し、場合によっては、アンプリコン形成速度を増加させるために増幅試薬中に含まれ得る成分のさらに別の例は、起源結合タンパク質である。
アダプター−鋳型−アダプター分子の表面への付着に続いて、固定化され増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子の少なくとも一部の配列が決定される。配列決定は、任意の適切な配列決定技術を使用して実施することができ、鎖再合成を含む、固定化及び増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子の配列を決定するための方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Bignell et al.(米国特許第8,053,192号明細書)、Gunderson et al.(国際公開第2016/130704号パンフレット)、Shen et al.(米国特許第8,895,249号明細書)、及びPipenburg et al.(米国特許第9,309,502号明細書)に記載される。
本明細書に記載される方法は、核酸検出試験とも呼ばれる様々な核酸配列決定技術と併せて使用することができる。特に適用可能な技術は、核酸がそれらの相対的な位置が変化しないように、アレイ中の固定された位置に付着され、アレイが繰り返し画像化される技術である。画像が例えば、1つのヌクレオチド塩基型を別のヌクレオチド塩基型と区別するために使用される異なる標識と一致する、異なる色チャネルで得られる実施形態が、特に適用可能である。いくつかの実施形態では、標的核酸のヌクレオチド配列を決定するためのプロセスは、自動化プロセスであり得る。好ましい実施形態は、合成による配列決定(「SBS」)技術を含む。核酸配列決定技術はまた、マイクロアレイ分析のために使用され得る。
SBS技術は、一般に、鋳型鎖に対するヌクレオチドの反復的付加を介する新生核酸鎖の酵素的伸長を含む。SBSの伝統的な方法において、単一ヌクレオチドモノマーは、各供給においてポリメラーゼの存在下で標的ヌクレオチドに提供され得る。しかしながら、本明細書に記載される方法では、一送達においてポリメラーゼの存在下で、2種類以上のヌクレオチドモノマーが標的核酸に提供され得る。
SBSは、ターミネーター部分を有するヌクレオチドモノマー、又はターミネーター部分を欠くヌクレオチドモノマーを使用することができる。ターミネーターを欠くヌクレオチドモノマーを利用する方法としては、例えば、本明細書にさらに詳細に記載されるように、γ−リン酸標識ヌクレオチドを使用するパイロシークエンシング及び配列決定が挙げられる。ターミネーターを欠くヌクレオチドモノマーを使用する方法において、各サイクルにおいて付加されるヌクレオチドの数は、一般に可変であり、鋳型配列及びヌクレオチド送達の様式に依存する。ターミネーター部分を有するヌクレオチドモノマーを使用するSBS技術について、ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチドを使用する従来のSanger配列決定の場合のように、使用される配列決定条件下で効果的に不可逆であり得るか、又はターミネーターは、Solexa(現在、Illumina、Inc.)によって開発された配列決定方法の場合のように、可逆であり得る。
SBS技術は、標識部分を有するヌクレオチドモノマー、又は標識部分を欠くヌクレオチドモノマーを使用することができる。従って、取り込み事象は、標識の特徴(例えば、標識の蛍光);ヌクレオチドモノマーの特徴(例えば、分子量又は電荷);ヌクレオチドの取り込みの副産物(例えば、ピロリン酸の放出)などに基づいて検出され得る。2つ以上の異なるヌクレオチドが配列決定試薬中に存在する実施形態において、異なるヌクレオチドは、互いに区別可能であり得るか、又は代わりに、2つ以上の異なる標識は、使用される検出技術の下で区別不可能であり得る。例えば、配列決定試薬中に存在する異なるヌクレオチドは、異なる標識を有し得、それらは、Solexa(現在、Illumina、Inc.)によって開発された配列決定方法によって例示されるように、適切な光学を使用して区別され得る。
好ましい実施形態は、パイロシークエンシング技術を含む。パイロシークエンシングは、特定のヌクレオチドが新生鎖に組み込まれる際の無機ピロリン酸(PPi)の放出を検出する(Ronaghi、M.、Karamohamed、S.、Pettersson、B.、Uhlen、M.and Nyren.、P(1996)「Real−time DNA sequencing using pyrophosphate release.」Analytical Biochemistry 242(1)、84−9;Ronaghi、M.(2001)「Pyrosequencing sheds light on DNA sequencing.」Genome Res.11(1)、3−11;Ronaghi、M.、Uhlen、M.and Nyren、P.(1998)「A sequencing method based on real−time pyrophosphate.」Science 281(5375)、363;米国特許第6,210,891号明細書;同第6,258,568号明細書及び同第6,274,320号明細書)。パイロシークエンシングにおいて、放出されたPPiは、ATPスルファターゼによってアデノシン三リン酸(ATP)に直ちに変換されることによって検出され得、生成されたATPのレベルは、ルシフェラーゼ産生光子を介して検出される。配列決定されるべき核酸は、アレイ中のフィーチャに付着され得、アレイは、アレイのフィーチャにおけるヌクレオチドの取り込みに起因して生成される化学発光シグナルを捕捉するために画像化され得る。アレイを特定のヌクレオチド型(例えば、A、T、C又はG)で処理した後、画像を得ることができる。各ヌクレオチド型の添加後に得られる画像は、アレイ中のどのフィーチャが検出されるかに関して異なるであろう。画像におけるこれらの差は、アレイ上のフィーチャの異なる配列内容を反映する。しかしながら、各フィーチャの相対的な位置は、画像において変化しないままである。画像は、本明細書に記載される方法を用いて保存され、処理され、分析され得る。例えば、異なる各ヌクレオチド型でアレイを処理した後に得られた画像は、可逆的ターミネーターに基づく配列決定法のための異なる検出チャネルから得られた画像について本明細書に例示されるのと同じ方法で取り扱うことができる。
SBSの別の例示的な型において、サイクル配列決定は、例えば、国際公開第04/018497号パンフレット及び米国特許第7,057,026号明細書に記載されるように、例えば、切断可能又は光漂白可能な色素標識を含む可逆的ターミネーターヌクレオチドの段階的添加によって達成される。このアプローチは、Solexa(現在、Illumina Inc.)によって商業化されており、国際公開第91/06678号パンフレット及び国際公開第07/123,744号パンフレットにも記載されている。終結を逆転させることができ、蛍光標識を切断することができる蛍光標識ターミネーターの利用可能性は、効率的な循環可逆的終結(cyclic reversible termination)(CRT)配列決定を容易にする。ポリメラーゼも、これらの改変ヌクレオチドを効率的に組み込み、これらから伸長するように同時操作され得る。
好ましくは、可逆的ターミネーターに基づく配列決定の実施形態において、標識は、SBS反応条件下での伸長を実質的に阻害しない。しかし、検出標識は、例えば、切断又は分解によって除去可能であり得る。画像は、配列された核酸フィーチャへの標識の組み込み後に捕捉され得る。特定の実施形態では、各サイクルは、アレイへの4つの異なるヌクレオチド型の同時送達を含み、各ヌクレオチド型は、スペクトル的に異なる標識を有する。次に、4つの異なる標識のうちの1つに対して選択的な検出チャネルを各々使用して、4つの画像を取得することができる。或いは、異なるヌクレオチド型を連続的に添加することができ、アレイの画像を各添加工程の間に得ることができる。このような実施形態において、各画像は、特定の型のヌクレオチドが組み込まれた核酸フィーチャを示すであろう。異なるフィーチャは、各フィーチャの異なる配列内容のために、異なる画像に存在するか又は存在しない。しかしながら、フィーチャの相対的な位置は、画像において変化しないままであろう。このような可逆的ターミネーター−SBS法から得られた画像は、本明細書に記載されるように、保存され、処理され、分析され得る。画像捕捉段階に続いて、標識を除去することができ、可逆的ターミネーター部分を、ヌクレオチド付加及び検出のその後のサイクルのために除去することができる。標識が特定のサイクルで検出された後、後続のサイクルの前に標識を除去することは、バックグラウンド信号及びサイクル間のクロストークを低減するという利点を提供することができる。有用な標識及び除去方法の例は、本明細書に記載されている。
特定の実施形態では、ヌクレオチドモノマーのいくつか又は全ては、可逆的ターミネーターを含むことができる。このような実施形態において、可逆的ターミネーター/切断可能フルオロフォアは、3’エステル結合を介してリボース部分に結合されたフルオロフォアを含み得る(Metzker、Genome Res.15:1767−1776(2005))。別のアプローチは、蛍光標識の切断からターミネーター化学を分離している(Ruparel et al.、Proc Natl Acad Sci USA 102:5932−7(2005))。Ruparel et al.は、伸長をブロックするために小さな3’アリル基を使用した可逆的ターミネーターの開発を記載したが、パラジウム触媒による短時間の処理によって容易に脱ブロックすることができた。フルオロフォアを、長波長UV光への30秒の暴露によって容易に切断され得る光切断可能なリンカーを介して塩基に付着させた。従って、ジスルフィド還元又は光切断のいずれかを切断可能なリンカーとして使用することができる。可逆的終結に対する別のアプローチは、dNTP上に嵩高い色素を配置した後に起こる自然終結の使用である。dNTP上の帯電した嵩高い色素の存在は、立体障害及び/又は静電障害を通して有効なターミネーターとして作用することができる。1つの取り込み事象の存在は、色素が除去されない限り、さらなる取り込みを妨げる。色素の切断は、フルオロフォアを除去し、終結を効果的に逆転させる。修飾ヌクレオチドの例はまた、米国特許第7,427,673号明細書及び同第7,057,026号明細書に記載されている。
本明細書に記載される方法及びシステムと共に使用することができる追加の例示的なSBSシステム及び方法は、米国特許出願公開第2007/0166705号明細書、同第2006/0188901号明細書、同第2006/0240439号明細書、同第2006/0281109号明細書、同第2012/0270305号明細書、及び同第2013/0260372号明細書、米国特許第7,057,026号明細書、PCT国際公開第05/065814号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0100900号明細書、及びPCT国際公開第06/064199号パンフレット及び国際公開第07/010,251号パンフレットに記載されている。
いくつかの実施形態は、4未満の異なる標識を使用して、4つの異なるヌクレオチドの検出を使用し得る。例えば、SBSは、米国特許出願公開第2013/0079232号明細書の組み込まれた材料に記載されている方法及びシステムを利用して実施することができる。第1の例として、ヌクレオチド型の対は、同じ波長で検出されるが、対の一方のメンバーについての強度の他方と比較した差異に基づいて、又は対の他方のメンバーについて検出されたシグナルと比較して見かけのシグナルを出現若しくは消失させる対の一方のメンバーへの変化(例えば、化学修飾、光化学修飾又は物理修飾を介する)に基づいて区別され得る。第2の例として、4つの異なるヌクレオチド型のうちの3つは、特定の条件下で検出され得、一方、第4のヌクレオチド型は、それらの条件下で検出可能であるか、又はそれらの条件下で最小限に検出される標識を欠く(例えば、バックグラウンド蛍光による最小限の検出など)。核酸への最初の3つのヌクレオチド型の組み込みは、それらの各々のシグナルの存在に基づいて決定され得、核酸への第4のヌクレオチド型の組み込みは、任意のシグナルの非存在又は最小限の検出に基づいて決定され得る。第3の例として、1つのヌクレオチド型は、2つの異なるチャネルにおいて検出される標識を含み得るが、他のヌクレオチド型は、チャネルのうちの1つ以下において検出される。上記3つの例示的な構成は、互いに排他的なものではなく、種々の組み合わせで用いることができる。全ての3つの例を組み合わせる例示的な実施形態は、第1のチャネルにおいて検出される第1のヌクレオチド型(例えば、第1の励起波長によって励起されたときに第1のチャネルにおいて検出される標識を有するdATP)、第2のチャネルにおいて検出される第2のヌクレオチド型(例えば、第2の励起波長によって励起されたときに第2のチャネルにおいて検出される標識を有するdCTP)、第1及び第2のチャネルの両方において検出される第3のヌクレオチド型(例えば、第1及び/又は第2の励起波長によって励起されたときに両方のチャネルにおいて検出される少なくとも1つの標識を有するdTTP)、並びにいずれかのチャネルにおいて検出されないか又は最小限に検出される標識を欠く第4のヌクレオチド型(例えば、標識を有さないdGTP)を使用する蛍光ベースのSBS方法である。
さらに、米国特許出願公開第2013/0079232号明細書の組み込まれた材料に記載されているように、配列決定データは、単一チャネルを使用して得ることができる。このようないわゆる1色素配列決定アプローチでは、第1のヌクレオチド型は標識されるが、標識は、第1の画像が生成された後に除去され、第2のヌクレオチド型は、第1の画像が生成された後にのみ標識される。第3のヌクレオチド型は、第1及び第2の画像の両方においてその標識を保持し、第4のヌクレオチド型は、両方の画像において標識されないままである。
いくつかの実施形態は、連結技術による配列決定を使用することができる。このような技術は、DNAリガーゼを使用して、オリゴヌクレオチドを組み込み、このようなオリゴヌクレオチドの組み込みを同定する。オリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列中の特定のヌクレオチドの同一性と相関する異なる標識を有する。他のSBS方法と同様に、画像は、標識された配列決定試薬で核酸フィーチャのアレイを処理した後に得ることができる。各画像は、特定の型の標識が組み込まれた核酸フィーチャを示すであろう。異なるフィーチャは、各フィーチャの異なる配列内容のために、異なる画像に存在するか、又は存在しないが、フィーチャの相対的な位置は、画像において変化しないままであろう。連結に基づく配列決定方法から得られた画像は、本明細書に記載されるように、保存、処理及び分析され得る。本明細書に記載される方法及びシステムと共に使用することができる例示的なSBSシステム及び方法は、米国特許第6,969,488号明細書、同第6,172,218号明細書、及び同第6,306,597号明細書に記載されている。
いくつかの実施形態は、ナノポア配列決定(Deamer、D.W.& Akeson、M.「Nanopores and nucleic acids:prospects foruLtrapid sequencing.」Trends Biotechnol.18、147−151(2000);Deamer、D.and D.Branton、「Characterization of nucleic acids by nanopore analysis.」Acc.Chem.Res.35:817−825(2002);Li、J.、M.Gershow、D.Stein、E.Brandin、and J.A.Golovchenko、「DNA molecules and configurations in a solid−state nanopore microscope」Nat.Mater.2:611−615(2003))。このような実施形態では、標的核酸は、ナノポアを通過する。ナノポアは、合成細孔又はα−溶血素のような生物学的膜タンパク質であり得る。標的核酸がナノポアを通過するとき、各塩基対は、細孔の電気コンダクタンスの変動を測定することによって同定され得る(米国特許第7,001,792号明細書;Soni、G.V.& Meller、「A.Progress towarduLtrafast DNA sequencing using solid−state nanopores.」Clin.Chem.53、1996−2001(2007);Healy、K.「Nanopore−based single−molecule DNA analysis.」Nanomed.2、459−481(2007);Cockroft、S.L.、Chu、J.、Amorin、M.& Ghadiri、M.R.「A single−molecule nanopore device detects DNA polymerase activity with single−nucleotide resolution.」J.Am.Chem.Soc.130、818−820(2008))。ナノポア配列決定から得られたデータは、本明細書に記載されるように、保存、処理及び分析することができる。特に、データは、本明細書に記載される光学画像及び他の画像の例示的な処理に従って、画像として扱うことができる。
いくつかの実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを含む方法を使用し得る。ヌクレオチドの取り込みは、例えば、米国特許第7,329,492号明細書及び同第7,211,414号明細書に記載されているように、フルオロフォアを有するポリメラーゼとγ−リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用によって検出することができ、又はヌクレオチド取り込みは、例えば、米国特許第7,315,019号明細書に記載されるようにゼロモード導波路を用いて、例えば、米国特許第7,405,281号明細書及び米国特許出願公開第2008/0108082号明細書に記載されているような蛍光ヌクレオチド類似体及び操作されたポリメラーゼを使用して検出され得る。照射は、蛍光標識されたヌクレオチドの取り込みが低いバックグラウンドで観察され得るように、表面繋留ポリメラーゼの周りのゼプトリットルスケールの体積に制限され得る(Levene、M.J.et al.、「Zero−mode waveguides for single−molecule analysis at high concentrations.」、Science 299、682−686(2003);Lundquist、P.M.et al.、「Parallel confocal detection of single molecules in real time.」Opt.Lett.33、1026−1028(2008);Korlach、J.et al.「Selective aluminum passivation for targeted immobilization of single DNA polymerase molecules in zero−mode waveguide nano structures.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105、1176−1181(2008))。このような方法から得られた画像は、本明細書に記載されるように、保存、処理及び分析され得る。
いくつかのSBSの実施形態は、伸長産物へのヌクレオチドの組み込みに際して放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrent(Guilford、CT、Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器及び関連技術、又は米国特許出願公開第2009/0026082号明細書;同第2009/0127589号明細書、同第2010/0137143号明細書、及び同第2010/0282617号明細書に記載されている配列決定方法及びシステムを使用することができる。動力学排除を使用して標的核酸を増幅するための本明細書に記載される方法は、プロトンを検出するために使用される基質に容易に適用され得る。より具体的には、本明細書に記載される方法は、プロトンを検出するために使用されるアンプリコンのクローン集団を産生するために使用され得る。
上記のSBS方法は、有利には、複数の異なる標的核酸が同時に操作されるような多重フォーマットで実施することができる。特定の実施形態では、異なる標的核酸は、共通の反応容器中で、又は特定の基質の表面上で処理され得る。これは、配列決定試薬の簡便な送達、未反応試薬の除去、及び多重様式での取り込み事象の検出を可能にする。表面結合標的核酸を使用する実施形態において、標的核酸は、アレイ形式であり得る。アレイ形式において、標的核酸は、典型的には、空間的に区別可能な様式で表面に結合され得る。標的核酸は、直接共有結合、ビーズ若しくは他の粒子への付着、又は表面に付着したポリメラーゼ又は他の分子への結合によって結合することができる。アレイは、各部位(フィーチャとも呼ばれる)に標的核酸の単一コピーを含むことができ、又は同じ配列を有する複数コピーが各部位若しくはフィーチャに存在することができる。複数のコピーは、以下にさらに詳細に記載されるように、増幅方法(例えば、架橋増幅又はエマルジョンPCR)によって産生され得る。
本明細書に記載される方法は、例えば、少なくとも約10フィーチャ/cm2、100フィーチャ/cm2、500フィーチャ/cm2、1,000フィーチャ/cm2、5,000フィーチャ/cm2、10,000フィーチャ/cm2、50,000フィーチャ/cm2、100,000フィーチャ/cm2、1,000,000フィーチャ/cm2、5,000,000フィーチャ/cm2以上を含む様々な密度のいずれかでフィーチャを有するアレイを使用することができる。
本明細書に記載される方法の利点は、複数の標的核酸の迅速且つ効率的な並行検出を提供することである。従って、本開示は、上記に例示したような当技術分野で既知の技術を用いて核酸を調製及び検出することができる統合システムを提供する。従って、本開示の統合システムは、増幅試薬及び/又は配列決定試薬を1つ以上の固定化DNA断片に送達することができる流体構成要素を含むことができ、このシステムは、ポンプ、バルブ、リザーバ、流体ラインなどの構成要素を含む。フローセルは、標的核酸の検出のための統合システムにおいて構成及び/又は使用され得る。例示的なフローセルは、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768号明細書及び米国特許出願第13/273,666号明細書に記載されている。フローセルについて例示されるように、統合システムの流体構成要素のうちの1つ以上は、増幅方法及び検出方法のために使用され得る。核酸配列決定の実施形態を例にとると、統合システムの1つ以上の流体構成要素は、本明細書に記載される増幅方法のために、及び上記に例示されるような配列決定方法における配列決定試薬の送達のために使用され得る。或いは、統合システムは、増幅方法を実施し、検出方法を実施するための別個の流体システムを含むことができる。増幅された核酸を生成し、また核酸の配列を決定することができる統合配列決定システムの例には、MiSeq(商標)プラットフォーム(Illumina、Inc.、San Diego、CA)及び米国特許出願第13/273,666号明細書に記載されるデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載されるreDNAは、種々の適用における対照として有用である。例えば、reDNAは、当技術分野で既知の任意の適切な配列決定技術を使用して配列決定され得る。reDNAの組成物は、既知の染色体コピー数、既知のG/C含有量、染色体及び/若しくはゲノムにわたる配列の既知の分布、又は他の既知の特性など、任意の数の既知の特徴を有することができ、従って、本明細書に提示される組成物は、実験条件の変化を説明するために、配列決定方法における対照として使用することができる。一例として、reDNAライブラリーが特定のG/C含有量を有することが知られている場合、ライブラリーを多重配列決定ランに含めて、任意の配列決定分析が予想されるG/C含有量からの任意の逸脱を生じるかどうかを同定することができる。
いくつかの実施形態では、reDNA組成物は、ライブラリー調製方法の品質のための対照であり得る。例えば、配列決定ライブラリーの調製は、DNA末端修復、Aテーリング、アダプターの連結、及び/又は増幅工程を含む種々の工程を含み得る。これらの工程のいずれかが、ゲノム又は染色体にわたる分布、配列の型、G/C含有量、断片の長さなどの任意の特徴に対する偏りを生じる場合、偏りは、配列決定分析などの下流分析において検出され得る。
いくつかの実施形態では、reDNA組成物は、配列決定機器のための対照であり得る。同様に、reDNA組成物は、アレイ機器のための対照であり得る。例えば、配列決定機器又はアレイ機器は、洗浄のための流体移動、ヌクレオチド取り込み、増幅、走査、切断反応などの化学工程、固相増幅、加熱/冷却、励起光の生成、蛍光発光シグナルの検出、カメラ及びステージの移動、並びに固体支持体上の微視的フィーチャの走査を含む、種々の機能を実施し得る。これらの工程のいずれかが、ゲノム又は染色体にわたる分布、配列の型、G/C含有量、断片の長さなどの任意の特徴に対する偏りを生じる場合、偏りは、配列決定分析又はアレイ分析などの下流分析において検出され得る。器具は、偏り又は誤動作を引き起こしている任意のプロセス、状態、又は構成要素を調整又は補正するように較正することができる。
いくつかの実施形態では、reDNA組成物は、核酸配列決定試験のための検証対照であり得る。例えば、配列決定に基づく試験は、SNP変異体、異数性、挿入、欠失、反復拡大、再配列などのような1つ以上の遺伝子異常を検出し得る。いくつかの実施形態では、reDNA組成物は、配列決定に基づく非侵襲性出生前試験のための検証対照として使用される。いくつかの実施形態では、reDNA組成物は、配列決定に基づく腫瘍検出試験のための検証対照として使用される。このような実施形態の一例では、まれな異常について試験が開発されている場合、試験の感度及び/又は特異性を保証するために多数の検証試験を実施するのに十分な生物学的サンプルを得ることは困難であり得る。従って、例えば、まれな異常を有する個体から得られたcfDNAに由来するreDNA組成物は、検証研究の間の試験の多くの、又は無制限の反復実行を可能にするのに十分な量で作製され得るため、有用であり得る。
いくつかの実施形態では、reDNA組成物は、配列決定に基づくコンパニオン診断試験のための検証対照として使用される。コンパニオン診断試験は、個体が治療処置のための候補として個体を適格とする遺伝的特徴を有するかどうかを決定するために有用である。いくつかの実施形態では、コンパニオン診断試験は、治療処置が処置レジメンにおいて適切であるかどうかを決定するために、サンプル中の遺伝子改変体の存在又は同一性を決定する。このような実施形態では、診断試験は、試験が反復可能であり、所望の感度及び/又は特異性を有することを確実にするために、何回も検証される必要があり得る。従って、例えば、遺伝的特徴を有する個体から得られたcfDNAに由来するreDNA組成物は、検証研究中の試験の多くの、又は無制限の反復実行を可能にするのに十分な量で作製することができるため、有用であり得る。
例示的な実施形態
実施形態1.対象から得られた複数の二本鎖鋳型核酸のサンプルを提供することと;
鋳型核酸の両端に汎用アダプターを連結して、複数のアダプター−鋳型−アダプター分子を形成することであって、
複数のアダプター−鋳型−アダプター分子の各々は、汎用アダプターに隣接する鋳型核酸を含み、
汎用アダプターは、二本鎖核酸の領域を含む、形成することと;
第1の汎用プライマー及び第2の汎用プライマーで複数のアダプター−鋳型−アダプター分子を増幅して、増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子を生じさせることと;
増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子の両端から汎用アダプターを除去して、付着していない汎用アダプター及び複数の再生された鋳型核酸(reDNA)を生じさせることと:
を含む方法。
実施形態2.二本鎖鋳型核酸がDNAである、実施形態1の方法。
実施形態3.二本鎖鋳型核酸が無細胞DNA(cfDNA)である、実施形態1又は2の方法。
実施形態4.対象が妊娠しているヒトであり、二本鎖鋳型核酸が胎児及び母体核酸の混合物を含む、実施形態1〜3のいずれか1つの方法。
実施形態5.サンプルがcfDNAを含む、実施形態1〜4のいずれか1つの方法。
実施形態6.胎児が遺伝的状態を含まない、実施形態1〜5のいずれか1つの方法。
実施形態7.胎児が遺伝的状態を含む、実施形態1〜6のいずれか1つの方法。
実施形態8.遺伝的状態が異数性である、実施形態1〜7のいずれか1つの方法。
実施形態9.異数性がトリソミーである、実施形態1〜8のいずれか1つの方法。
実施形態10.トリソミーが、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー、9トリソミー、8トリソミー、22トリソミー、XXX、XXY、又はXYYである、実施形態1〜9のいずれか1つの方法。
実施形態11.遺伝子状態がヌクレオチド配列の過小発現を含む、実施形態1〜10のいずれか1つの方法。
実施形態12.対象が新生物を有することが疑われる、実施形態1〜11のいずれか1つの方法。
実施形態13.サンプルが循環腫瘍DNA及び無細胞正常DNAを含む、実施形態1〜12のいずれか1つの方法。
実施形態14.サンプルが、血液、尿、痰、又は便を含む、実施形態1〜13のいずれか1つの方法。
実施形態15.連結の前に、複数の二本鎖鋳型核酸を処理して平滑末端になるように末端を修飾することをさらに含む、実施形態1〜14のいずれか1つの方法。
実施形態16.連結の前に、複数の二本鎖鋳型核酸を処理して、3’末端を修飾して3’突出構造として終結させることをさらに含む、実施形態1〜15のいずれか1つの方法。
実施形態17.汎用アダプターが少なくとも1つの汎用プライマー結合部位を含む一本鎖非相補的核酸鎖の領域をさらに含み、連結が、汎用アダプターの二本鎖核酸の領域を鋳型核酸の各末端に共有結合的に付着させる、実施形態1〜16のいずれか1つの方法。
実施形態18.増幅が指数関数的増幅反応を含む、実施形態1〜17のいずれか1つの方法。
実施形態19.指数関数的増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、実施形態1〜18のいずれか1つの方法。
実施形態20.増幅が、低いエラー率を有するDNAポリメラーゼを含む、実施形態1〜19のいずれか1つの方法。
実施形態21.汎用アダプターが制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、除去することが、増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子を制限エンドヌクレアーゼに曝露すること、及びアダプター−鋳型−アダプター分子を切断して、除去された汎用アダプター及び複数のreDNAを生じさせることを含む、実施形態1〜20のいずれか1つの方法。
実施形態22.制限エンドヌクレアーゼの切断部位及び認識部位が別々である、実施形態1〜21のいずれか1つの方法。
実施形態23.制限エンドヌクレアーゼがSapI、MlyI、又はBpuEIである、実施形態1〜22のいずれか1つの方法。
実施形態24.reDNAが、鋳型の各末端に汎用アダプターの一部を保持する、本実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
実施形態25.第1の汎用プライマー及び第2の汎用プライマーが捕捉剤を含む、実施形態1〜24のいずれか1つの方法。
実施形態26.捕捉剤がビオチンを含む、実施形態1〜25のいずれか1つの方法。
実施形態27.汎用アダプターが制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、除去することが、アダプター−鋳型−アダプター分子を、リガンドに結合して、結合された増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子を生じさせる化合物を含む表面と接触させることと、結合された増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子を、結合された増幅されたアダプター−鋳型−アダプター分子を切断して除去された汎用アダプター及び複数のreDNAを生じさせる制限エンドヌクレアーゼに曝露することとを含み、除去された汎用アダプターが前記表面に結合される、実施形態1〜26のいずれか1つの方法。
実施形態28.除去することが、除去された汎用アダプターをreDNAから分離することをさらに含む、実施形態1〜27のいずれか1つの方法。
実施形態29.分離することが、除去された汎用アダプター及びreDNAを含む混合物を、リガンドに結合する化合物と接触させることを含み、化合物が表面に付着され、除去された汎用アダプターが表面に結合される、実施形態1〜28のいずれか1つの方法。
実施形態30.表面がビーズを含む、実施形態1〜29のいずれか1つの方法。
実施形態31.結合された除去された汎用アダプターを含む表面を除去して、除去された汎用アダプターをreDNAから分離することをさらに含む、実施形態1〜30のいずれか1つの方法。
実施形態32.除去することが、所定のサイズ範囲内に入るreDNAの選択を含む、実施形態1〜31のいずれか1つの方法。
実施形態33.1つの対象から得られたサンプルに由来する複数の再生鋳型核酸(reDNA)を提供することとであって、
各reDNAは鋳型である、提供することと;
鋳型核酸の両端に汎用アダプターを連結して、複数のアダプター−鋳型−アダプター分子を形成することであって、
複数のアダプター−鋳型−アダプター分子の各々は、汎用アダプターに隣接する鋳型核酸を含み、
汎用アダプターは、(i)二本鎖核酸の領域、及び(ii)少なくとも1つの汎用プライマー結合部位を含む一本鎖非相補的核酸鎖の領域を含み、
それによって、鋳型の少なくとも一部の配列を決定するための配列決定ライブラリーを生成する、形成することと
を含む方法。
実施形態34.一本鎖非相補的核酸鎖の領域が、少なくとも1つの汎用伸長プライマー結合部位をさらに含む、実施形態33の方法。
実施形態35.一本鎖非相補的核酸鎖の領域の遠位の二本鎖核酸の領域が平滑末端構造として終結する、実施形態33又は34の方法。
実施形態36.前記複数の鋳型が平滑末端構造を含む、実施形態33〜35のいずれか1つの方法。
実施形態37.一本鎖非相補的核酸鎖の領域の遠位の二本鎖核酸の領域が、3’突出構造として終結する、実施形態33〜36のいずれか1つの方法。
実施形態38.3’突出構造が、1〜4ヌクレオチドの突出構造を含む、実施形態33〜37のいずれか1つの方法。
実施形態39.3’突出構造がTヌクレオチドの突出を含む、実施形態33〜38のいずれか1つの方法。
実施形態40.鋳型が、二本鎖核酸の領域の3’突出構造に相補的な3’突出構造を含む、実施形態33〜39のいずれか1つの方法。
実施形態41.複数の増幅部位を含む表面を提供することであって、
増幅部位は、遊離3’末端を有する付着した一本鎖核酸の少なくとも2つの集団を含む、提供することと、
増幅部位を含む表面を、個々のアダプター−鋳型−アダプター分子からのアンプリコンのクローン集団を各々含む複数の増幅部位を産生するのに適した条件下で、複数のアダプター−鋳型−アダプター分子と接触させることと:
をさらに含む、実施形態33〜40のいずれか1つの方法。
実施形態42.複数のアダプター−鋳型−アダプター分子の数が増幅部位の数を超え、アダプター−鋳型−アダプター分子が増幅部位への流体アクセスを有し、増幅部位の各々がいくつかのアダプター−鋳型−アダプター分子のための容量を含む、実施形態33〜41のいずれか1つの方法。
実施形態43.接触させることが、(i)アダプター−鋳型−アダプター分子を平均輸送速度で増幅部位に輸送すること、及び(ii)増幅部位にあるアダプター−鋳型−アダプター分子を平均増幅速度で増幅することを同時に含み、平均増幅速度が平均輸送速度を超える、実施形態33〜42のいずれか1つの方法。
実施形態44.汎用アダプターが制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、実施形態1のアダプター−鋳型−アダプター分子を含む組成物。
実施形態45.制限エンドヌクレアーゼがSapI、MlyI、又はBpuEIである、実施形態44の組成物。
実施形態46.実施形態1の方法によって生成された複数のreDNAを含む組成物であって、人工生物学的流体をさらに含む、組成物。
実施形態47.人工生物学的流体が人工血漿を含む、実施形態46の組成物。
実施形態48.対象が細菌又はウイルス感染を有することが疑われる、実施形態1〜32のいずれか1つの方法。
実施形態49.サンプルがウイルスDNA又は細菌DNAを含む、実施形態1〜32又は48のいずれか1つの方法。
実施形態50.サンプルが血液、尿、痰、又は便を含む、実施形態1〜32又は48〜49のいずれか1つの方法。
実施形態51.核酸検出試験において対照を使用する方法であって:
a.実施形態1の方法を用いて、複数の再生された鋳型核酸(reDNA)を提供することと;
b.試験サンプル及び工程(a)で得られたreDNAに対して核酸検出試験を行うことと;
c.対照としてreDNAを用いた核酸検出試験の結果を分析することと
を含む、方法。
実施形態52.核酸検出試験が配列決定を含む、実施形態51の方法。
実施形態53.核酸検出試験がマイクロアレイ分析を含む、実施形態51〜52のいずれかの方法。
実施形態54.核酸検出試験が酵素プロセスを含む、実施形態51〜53のいずれかの方法。
実施形態55.実施形態1の方法を用いて得られた複数の再生鋳型核酸(reDNA)に対して核酸検出試験を行うことを含む方法。
実施形態56.reDNAが、ライブラリー調製方法の品質のための対照である、実施形態55の方法。
実施形態57.reDNAが、配列決定機器のための較正対照である、実施形態55又は56の方法。
実施形態58.reDNAが、アレイ機器のための較正対照である、実施形態55〜57のいずれかの方法。
実施形態59.reDNAが、核酸配列決定試験のための検証対照である、実施形態55〜58のいずれかの方法。
実施形態60.reDNAが、配列決定に基づく非侵襲性出生前試験のための検証対照である、実施形態55〜59のいずれかの方法。
実施形態61.reDNAが、配列決定に基づく腫瘍検出試験のための検証対照である、実施形態55〜60のいずれかの方法。
実施形態62.reDNAが、配列決定に基づくコンパニオン診断試験のための検証対照である、実施形態55〜61のいずれかの方法。
実施形態63.コンパニオン診断試験が、処置レジメンにおいて治療処置が適切であるかどうかを決定するために、サンプル中の遺伝子変異体の存在又は同一性を決定する、実施形態55〜62のいずれかの方法。
本開示は、以下の実施例によって例示される。特定の例、材料、量、及び手順は、本明細書に記載される開示の範囲及び趣旨に従って広く解釈されるべきであることを理解するべきである。
実施例1
目的
この実施例は、ヒト血漿を使用する代わりに実験で使用することができる血漿対照材料の作製を記載する。本明細書に記載されるように、このプロセスの間に単離及び精製されるcfDNA入力(reDNA)は、数十のプレートに相当する材料を送達するのに十分に濃縮され、長期間にわたって使用され得る遺伝的に類似したcfDNAの大きなストックを提供する。さらに、使用者は、この調製されたDNAサンプルを血漿希釈物中にスパイクし、ヒト血漿に定量的に類似した代替物を生成し得る。この代替の血漿希釈物は、cfDNAが必要とされる実験においてヒト血漿の品質を模倣するために使用され得、必要とされるより重要な実験のためにヒト血漿を保存する。
表1は、この実施例で使用される用語を定義する。
材料及び装置
このワークフローは、ヒト血漿から抽出されたcfDNA(無細胞DNA)と共に使用するために設計された。cfDNAは、160〜170bpの中央値サイズを有すると予想された。
使用した装置を表2に記載する。使用した参照及び標準プロトコルを表3に記載する。使用した試薬を表4に記載する。使用したプライマーを表5に記載する。
鋳型DNAの増幅
試薬の調製と取り扱い
ライブラリーは、記載されるように(米国特許第9,323,888号明細書)調製したが、VeriSeq NIPTアダプタープレートをカスタムYアダプターで置き換え、プレートをPCR混合物で溶出した。
SapIアダプターを表6に従って希釈緩衝液中で1:100に希釈し、ボルテックスミキサーを使用して10秒間混合した。カスタムアダプターミックス(30uL)を、Eppendorf Skirted Twin−Tec 96ウェルプレートに移した。
SPRIビーズを4℃貯蔵から取り出し、回転台上に置き、室温で約30分間回転させた。96ウェルフルスカートcfDNAサンプルプレートを4℃又は−20℃貯蔵から取り出し、必要ならば完全に解凍し、ボルテックスミキサーを使用して20秒間混合し、1000gで20秒間遠心分離した。
増強PCRミックス、ビオチン化プライマー、及び再懸濁緩衝液を使用して、ビーズ溶出のためにPCRミックスを調製した。
Invitrogen Qubit DNA 1000アッセイキットの試薬を解凍した。
修飾VeriSeq NIPT 48ライブラリー
Hamilton Star Run Controlを開き、Veriseq NIPT Method(バージョン1.4以降)を、製造者の説明書を使用して実行した。液体検出チェックの後、トラック47上の担体の位置5に溶出緩衝液又はHT1を含む20mLリザーバを除去した。
ビーズ乾燥工程の後、方法がHT1又は溶出緩衝液をプレートアウトする前に、トラック19〜24上に見出される3×2マルチフレックス担体の位置5のSPRIビーズプレートを除去した。或いは、試薬を含む20mLリザーバが除去された場合、Hamiltonは、HT1又は溶出緩衝液をプレートアウトしないので、本方法を終了させることができる。
ウェル当たり50uLのPCRミックスでビーズを溶出するために、プレートをホイルシールで覆い、ボルテックスで混合し、遠心分離機上でスピンダウンし、プレート磁石上に最低2分間、溶液が透明になるまで置いた。上清(50uL)をEppendorfフルスカートTwin−tec 96ウェルプレートに移した。
PCR増幅
サンプルプレートをサーモサイクラー上に置き、EPM14プログラムを選択した。EPM 14プログラムの概要を表7に示す。EPM14の完了後、プレートをサーモサイクラーから取り出した。PCRのさらなるサイクルがない場合、次のセクション:「ストレプトアビジン結合、消化、及び精製」に進む。
定量及び希釈(2回目のPCRのみ)
PCR産物(50μL)を、1.5mL又は2mLチューブ中で950μLの再懸濁緩衝液(RB)と1:20希釈で合わせ、合計1mlとした。ボルテックスミキサーを使用して溶液を混合し、スピンダウンした。
Qubit Readerを、製造業者によって推奨されるように使用した。Qubit読み取りは、サンプル当たり10μLのサンプル入力を有する2つの別個のチューブを使用して行い、得られた読み取りを平均した。60pg/μLに希釈した後、所望の体積の1:20 EPM 14生成物を、体積の適切なチューブ(5mL、15mL、又は50mLポリプロピレンチューブ)中で、示された体積の再懸濁緩衝液と合わせた。最終希釈物を混合し、スピンダウンし、残りの1:20希釈ストックを将来の使用のために−20℃で保持した。
2回目のPCR増幅
EPM 14生成物(60pg/μLの25uL)を新規96ウェルプレートに添加した。PCRミックス(25uL)をこの溶液に総体積50uLで添加し、混合した。プレートをサーモサイクラー上に置き、表8に概説したEPM 13プログラムを選択した。
PCRを行った後、プレートをサーモサイクラーから取り出した。サンプル複製物を適切なサイズのチューブ(5mL、15mL、又は50mLポリプロピレン)にプールし、Bioanalyzer DNA 1000チップを実行してPCR増幅を検証した。5マイクロリットルのサンプルを15μLの再懸濁緩衝液で希釈して、1:4希釈液を作り出した後、バイオアナライザーにかけた。増幅されたライブラリーのピークサイズは、260〜270bp付近を中心とした。
出力及び保存
このプレートは、後日の使用のために、密封され、2℃〜8℃で保存され得るか、又は密封され、−20℃〜−15℃で保存され得るか、又は一晩以上保存され得る。
ストレプトアビジン結合、消化及び精製
試薬の準備と取り扱い
Dynabeads MyOne Streptavidin T1を、室温で最大30分間、ロチッセリー上に置いた。反応は、ディープウェルプレート又は容量の適切なポリプロピレンチューブ中で起こり得る。各消化反応について、十分な消化ミックスを作製するために表9に従う。十分なミックスを作製するのに必要な全反応を体積に乗じる。必要になるまで、SapI消化ミックスを氷上又は4℃に保つ。DNA 1000バイオアナライザー試薬を、暗所内で室温で少なくとも30分間インキュベートする。
ストレプトアビジンビーズ洗浄
消化されるべき各サンプルについて、表10のストレプトアビジンビーズの体積を反応容器に分配した。
等体積の1×ビーズ洗浄液を、ストレプトアビジンビーズと共に各チューブに添加し、混合した。1xビーズ洗浄液は、等体積の蒸留水及びMyONE T1ビーズ洗浄液であった。MyONE T1ビーズ洗浄は、事前に行うことができ、2℃〜8℃で保存することができる。MyONE T1ビーズ洗浄は、10mM Tris pH7.5、1mM EDTA、及び2M NaClを合わせることによって行うことができる。溶液が透明になるまで(最低1分間)、混合物を磁石上に置いた。上清の半分(1/2)を除去し、容器を磁石から取り出した。これをさらに2回繰り返し、合計3回洗浄した。洗浄したビーズの容器を磁石から取り出した。
制限消化
洗浄したビーズを有する反応容器を、溶液が透明になるまで(最低1分間)磁石上に置いた。ビーズのみが容器中に残るように、全ての上清を除去した。表10に示すPCR産物の体積を乾燥ビーズに添加し、混合してビーズを再懸濁した。結合ミックスをEppendorf ThermoMixer上で1500 RPM及び20℃で20分間混合した。容器を短時間回転させた後、溶液が透明になるまで(最低1分間)、容器を磁石上に置いた。チューブが磁石上にある間に、全ての上清を除去した。表10に示す消化ミックスの体積を容器に添加し、容器をEppendorf ThermoMixer上に1500 RPM及び37℃で1時間置いた。インキュベーション後、表10の適切な体積のEDTAを反応容器に添加し、混合し、スピンダウンし、溶液が透明になるまで(最低2分間)容器を磁石上に置いた。
上清サンプル(ここでは、reDNAと呼ぶ)を、新しい容積の適切なポリプロピレン容器に注意深く移した。精製したサンプルプール(5μLのサンプルを5μLの再懸濁緩衝液で希釈して1:2にした後、泳動させた)を、Bioanalyzer DNA High−Senseチップ上で泳動させて、消化を確認した。cfDNAのピークサイズは、165〜170bp付近を中心とした。異常なバイオアナライザープロファイルを有するサンプルは、再テスト及び/又は廃棄された。QC要件を満たした同じサンプルの消化物を、容積の適切なポリプロピレンチューブにプールした。サンプルを−20℃で長期間保存した。
対照材料の作製
試薬の準備と取り扱い
解凍後、10μLのreDNAを10μLの再懸濁緩衝液と合わせることによって、1:2のサンプル希釈のreDNAサンプルのアリコートを作製した。Qubit試薬及びQubit緩衝液を使用して、1:200希釈の色素を作製した。
不活性化DNA(deDNA)の作製
脱活性化DNA(deDNA)は、任意の酵素活性(連結を含む)を妨げる5’逆方向ddt修飾を有する非ヒト170bp配列由来の増幅DNAである。
逆方向ddt PCRプライマーカクテルのためのプライマーミックスを、300uLの溶出緩衝液と、50uLの各リバースプライマー及びフォワードプライマー(合計100uLについて)とを合わせることによって作製した。鋳型DNAを50pg/uLに希釈した。鋳型は、以前に増幅されたdeDNA又は新たに配列された人工170bpのいずれかであり得る。25マイクロリットルの基質DNAを、25uLの逆方向ddt PCRプライマーカクテルと合わせ、サーモサイクラー上に置き、EPM 14を用いて実行した。完了後、全ての反応物をプールした。deDNAは、−20℃で保存することができる。
Qubit定量
1:2サンプル希釈で、reDNA及びdeDNAサンプル当たり2つの別々のチューブ、10μL(高)サンプル入力を有する1つのチューブ、及び5μL(低)入力を有する1つのチューブを使用して、Qubit読み取りを行った。
最終濃度は、高濃度チューブのQubit測定値(ng/mL)に40を掛け、低濃度チューブのQubit測定値(ng/mL)に80を掛けることによって決定した。高読み取り値と低読み取り値との差が2つの濃度読み取り値のうち低い方の30%を超えた場合、Qubit定量を再度行い、高読み取り値と低読み取り値の最終濃度を平均して最終濃度(ここでは、pg/μL)とした。Qubit定量は、reDNAストックを−20℃保存から解凍したときはいつでも行った。
人工血漿の作製
生成された各900μLの人工血漿は、50%血漿希釈剤(ImmunoChemistry Technologies、Bloomington、MNac)、2mM EDTA、3.5ng reDNA、3.5ng deDNA、及び充填されるdPBSを含んでいた。
容積の適切なポリプロピレン容器に、適切な体積の血漿希釈剤を添加し、実質的な体積が作製された場合、撹拌棒を使用して混合した。容積の適切な容器中で、必要な総dPBSを測定した。2つの容積の適切なポリプロピレン容器(少なくとも4×deDNA及びreDNA体積)において:容器を、測定されたリザーブからのdPBSで50%まで満たし、適切な体積のreDNA及びdeDNAを添加し(チューブ当たり1つ)、適切な体積のEDTAをreDNAチューブに添加し、リザーブからの残りのdPBSを、血漿希釈剤とともに混合容器に添加し、撹拌棒又は反転を使用して混合した。deDNA及びreDNAチューブを密封し、激しくボルテックス混合した。deDNAチューブ内容物を混合容器に添加し、5分間混合し、次いで、reDNAチューブ内容物を混合容器に添加し、最低30分間混合した。
人工血漿は、正常なヒト母体血漿として使用されるまで、−80℃のフリーザーで長期間保存するためにスクリュートップチューブにアリコートすることができる。
実施例2
reDNAのキャラクタリゼーション
この試験の目的は、reDNA又はreDNA断片が由来する対応するcfDNAのいずれかに対して行われた非侵襲性出生前試験のメトリックを比較することであった。reDNAは、健康な妊娠から得られた全血に由来する血漿から抽出されたcfDNAから、実施例1に記載されるように生成した。血液は、健康な男女の胎児の混合物を含む48の妊娠から得た。適切な同意を得て患者から血液を採取した。
配列決定に基づく非侵襲性出生前試験を、元のcfDNA及びcfDNA由来のreDNAに対して行った。試験は、米国特許第10,095,831号明細書に記載されているように行われ、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。試験からの配列決定メトリック及び他のNIPT試験メトリックは、断片のサイズ及び/又はカバレッジに基づく胎児分率、t統計及び対数尤度比(LLR)を含むNIPT試験結果統計を含んだ。
以下の表に要約される主要なNIPTメトリックは、reDNAが一致した血漿サンプルと一貫して且つ比例的に等価であったことを示す。reDNAにおけるいかなる偏りも再現性があり、一貫していた。例えば、ChrXにおける短い読み取りと長い読み取りとの間の関係は、血漿サンプル及びreDNAサンプルにおいて維持された。結果は、reDNAがNIPT試験検証のための対照として有用であり得ることを示す。
本明細書に引用した全ての特許、特許出願、及び刊行物、及び電子的に利用可能な材料(例えば、GenBank及びRefSeqにおけるヌクレオチド配列提出、並びに例えば、SwissProt、PIR、PRF、PDBにおけるアミノ酸配列提出、並びにGenBank及びRefSeqにおける注釈付きコード領域からの翻訳を含む)の完全な開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。刊行物で参照される補足資料(補足表、補足図、補足材料及び方法、並びに/又は補足実験データなど)も同様に、それらの全体が参照により組み込まれる。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書の開示との間に何らかの不一致が存在する場合、本出願の開示が適用されるものとする。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためにのみ与えられたものである。不必要な限定は、それらから理解されるべきではない。本開示は、図示され、説明された正確な詳細に限定されず、当業者に明らかな変形例が特許請求の範囲によって定義される開示内に含まれる。
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などを表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。従って、特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本開示によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に均等論を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数字を考慮して、通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
本開示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数値は、本質的に、各々の試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる範囲を含む。
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