JP6973252B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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本発明は、電力変換装置に関し、詳しくは、上アーム,下アームスイッチング素子を有する半導体装置と、電源と、制御装置と、を備える電力変換装置に関する。
従来、この種の電力変換装置としては、半導体装置(IGBTチップ)と、制御装置と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。半導体装置は、スイッチング素子(IGBT)を備えている。制御装置は、スイッチング素子を制御する。この装置では、制御装置は、スイッチング素子の駆動電圧(ゲート電圧)を低下させてスイッチング素子を一定期間通電させながら半導体装置の温度を測定させて、半導体装置の特性の変化を検出している。
特開2016−163512号公報
ところで、電力変換装置として、互いに直列に接続された上アームスイッチング素子および下アームスイッチング素子を有する半導体装置を備えるものがある。こうした装置において、一般に、上アーム,下アームスイッチング素子の両方をハーフオン状態として上アーム,下アームスイッチング素子に比較的大きな電流が流れることを抑制しながら、半導体装置の熱抵抗を測定することが行なわれている。しかしながら、上アーム,下アームスイッチング素子の駆動電圧が安定しないことがあるため、上アーム,下アームスイッチング素子に意図しない大きな電流が流れることがある。こした大きな電流は、半導体装置の保護の観点から望ましくはないため、抑制されることが望まれている。
本発明の電力変換装置は、上アーム,下アームスイッチング素子に意図しない大きな電流が流れることを抑制することを主目的とする。
本発明の電力変換装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電力変換装置は、
互いに直列に接続された上アームスイッチング素子および下アームスイッチング素子を有する半導体装置と、
前記半導体装置へ電力を供給する電源と、
前記上アーム,下アームスイッチング素子を制御する制御装置と、
を備える電力変換装置であって、
前記制御装置は、前記上アーム,下アームスイッチング素子のうちの一方のスイッチング素子がハーフオン状態となり他方のスイッチング素子がオフするように上アーム,下アームスイッチング素子を制御している状態で前記一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流が所定条件を満たしたときに、前記上アーム,下アームスイッチング素子の両方がハーフオン状態となるように前記上アーム,下アームスイッチング素子を制御して前記半導体装置の熱抵抗を測定する、
ことを要旨とする。
この本発明の電力変換装置では、上アーム,下アームスイッチング素子のうちの一方のスイッチング素子がハーフオン状態となり他方のスイッチング素子がオフするように上アーム,下アームスイッチング素子を制御している状態で一方のスイッチング素子の駆動電圧が所定条件を満たしたときに、上アーム,下アームスイッチング素子の両方がハーフオン状態となるように上アーム,下アームスイッチング素子を制御して半導体装置の熱抵抗を測定する。ここで、「所定条件」は、一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流がこの素子がハーフオン状態となる駆動電圧または駆動電圧として予め定めた所定値である条件や、所定時間内に一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流がこの素子がハーフオン状態となる駆動電圧または駆動電圧として予め定めた所定値となる条件、1回の前記熱抵抗の測定において、前記一方のスイッチング素子がハーフオン状態となるように前記一方のスイッチング素子を制御した回数が所定回数未満である条件などを挙げることができる。
こうした本発明の電力変換装置において、前記上アーム,下アームスイッチング素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、前記制御装置は、前記一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流を前記一方のスイッチング素子のゲートとエミッタとの間の電圧としてもよい。また、前記上アーム,下アームスイッチング素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、前記制御装置は、前記一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流を前記一方のスイッチング素子のゲートとソースとの間の電圧としてもよい。さらに、前記上アーム,下アームスイッチング素子は、バイポーラトランジスタまたはサイリスタであり、前記制御装置は、前記一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流を前記一方のスイッチング素子のベース電流としてもよい。
本発明の一実施例としての電力変換装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。 電子制御ユニット50により実行される測定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリ36の電圧をトランジスタT14のエミッタとコレクタとの間に印加してトランジスタT14の消費電力が電力P1となるようにゲート電圧を調整した場合において、温度センサT14bにより検出される電圧Vf14を説明するための説明図である。 バッテリ36の電圧をトランジスタT14のエミッタとコレクタとの間に印加してトランジスタT14の消費電力が電力P1より大きい電力P2となるようにゲート電圧を調整した場合において、温度センサT14bにより検出される電圧Vf14を説明するための説明図である。 トランジスタT11,T14へのスイッチング制御信号の電圧と、トランジスタT11での損失Pwと、電圧Vf11と、の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電力変換装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、電源としてのバッテリ36と、スイッチSWと、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50と、を備える。電力変換装置としては、インバータ34と、バッテリ36と、スイッチSWと、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50と、が相当する。
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、永久磁石が埋め込まれた回転子と、三相コイルが巻回された固定子と、を備える。このモータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
インバータ34は、モータ32の駆動に用いられる。このインバータ34は、高電圧側電力ライン42を介して昇圧コンバータ40に接続されており、3つの上アームスイッチング素子としてのトランジスタT11〜T13と、3つの下アームスイッチング素子としてのトランジスタT14〜T16と、6つのトランジスタT11〜T16のそれぞれに並列に接続された6つのダイオードD11〜D16と、を有する。トランジスタT11〜T16は、半導体チップに形成されたIGBT(Insulated Gate Transistor)であり、同一のトランジスタT11〜T16は、それぞれ、高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相,V相,W相のコイル)の各々が接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ46が取り付けられている。
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン44とスイッチSWとを介して昇圧コンバータ40に接続されている。低電圧側電力ライン44の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ48が取り付けられている。
スイッチSWは、低電圧側電力ライン44と昇圧コンバータ40のリアクトルLとの接続と、低電圧側電力ライン44と高電圧側電力ライン42との接続と、を切り替え可能なスイッチとして構成されている。スイッチSWは、電子制御ユニット50により制御されている。
昇圧コンバータ40は、高電圧側電力ライン42に接続されると共に、スイッチSWを介して低電圧側電力ライン44とに接続されており、上アームスイッチング素子としてのトランジスタT31と、下アームスイッチング素子としてのトランジスタT32と、2つのトランジスタT31,T32のそれぞれに並列に接続された2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLと、を有する。トランジスタT31,T32は、半導体チップに形成されたIGBT(Insulated Gate Transistor)である。トランジスタT31は、高電圧側電力ライン42の正極側ラインに接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧側電力ライン42および低電圧側電力ライン44の負極側ラインと、に接続されている。リアクトルLは、トランジスタT31,T32同士の接続点に接続されると共に、低電圧側電力ライン44の正極側ラインにスイッチSWを介して接続されている。昇圧コンバータ40は、電子制御ユニット50によって、スイッチSWが低電圧側電力ライン44と高電圧側電力ライン42とを接続するように切り替えられた状態で、トランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン44の電力を昇圧して高電圧側電力ライン42に供給したり、高電圧側電力ライン42の電力を降圧して低電圧側電力ライン44に供給したりする。
電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52に加えて、処理プログラムを記憶するROM54や、データを一時的に記憶するRAM56、入出力ポートを備える。
電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θmや、モータ32の各相の相電流を検出する電流センサ32u,32vからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。また、バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流Ibも挙げることができる。さらに、リアクトルLに直列に取り付けられた電流センサ40aからの電流ILや、コンデンサ46の端子間に取り付けられた電圧センサ46aからのコンデンサ46(高電圧側電力ライン42)の電圧VH、コンデンサ48の端子間に取り付けられた電圧センサ48aからのコンデンサ48(低電圧側電力ライン44)の電圧VLも挙げることができる。加えて、トランジスタT11〜T16,T31,T32のゲートとエミッタとの間の電圧(以下、「ゲート電圧」という)を検出する電圧センサT11a〜T16a,T31a,T32aからの検出電圧Vg11〜16,31,32、トランジスタT11〜T16,T31,T32が形成された半導体チップの温度をチップの温度に反比例する電圧として検出する温度センサT11b〜T16b,T31b,T32bからの電圧Vf11〜Vf16,Vf31,Vf32も挙げることができる。加えて、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。また、アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからの回転位置θmに基づいてモータ32の回転数Nmを演算したり、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算したりしている。ここで、蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36の蓄電量(放電可能な電力量)の割合である。
電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタT11〜T16へのスイッチング制御信号や、昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号を挙げることができる。
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、以下の走行制御を行なう。走行制御では、スイッチSWを低電圧側電力ライン44とリアクトルLとが接続されるように切り替えた状態で、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*をモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。また、走行制御では、モータ32をトルク指令Tm*で駆動できるように高電圧側電力ライン42の目標電圧VH*を設定し、高電圧側電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
次に、実施例の電気自動車20の動作、特に、トランジスタT11〜T16,T31,T32の熱抵抗を測定する際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット50により実行される測定ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンは、電気自動車20の点検時などに実行される。熱抵抗の測定は、トランジスタT11〜T16,T31,T32に対して、高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になる2個ずつ(上アーム,下アームスイッチング素子)のペア(例えば、トランジスタT11とトランジスタT14のペア、トランジスタT12とトランジスタT15のペアなど)毎に行なわれる。図2に例示する測定ルーチンでは、トランジスタT11とトランジスタT14のペアの熱抵抗を測定しているが、同一の処理を、高電圧側電力ライン42の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になる2個ずつのペア毎のトランジスタに対して適用することで、トランジスタT11〜T16,T31,T32の熱抵抗を測定することができる。
本ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50の図示しないCPUは、スイッチSWを低電圧側電力ライン44と昇圧コンバータ40のリアクトルLとが接続されるように切り替える処理を実行する(ステップS100)。
続いて、電子制御ユニット50は、トランジスタT14へ電圧Vref1のスイッチング制御信号を出力し、トランジスタT14のゲート電圧が電圧Vref1となるようにトランジスタT14を制御する(ステップS110)。トランジスタT14へのスイッチング制御信号は、実施例では、電子制御ユニット50の製造誤差などによって、電圧Vref1より大きくなったり、瞬間的に大きく変動することがある。したがって、トランジスタT14のゲート電圧が電圧Vref1となるようにトランジスタT14を制御しても、実際のゲート電圧は電圧Vref1より大きかったり小さかったりする。なお、ステップS110から後述するステップS130の処理を実行しているときには、トランジスタT11へは、トランジスタT11をオフする際の電圧として予め定めた電圧(以下、「オフ電圧」という)のスイッチング制御信号を出力している。
そして、電圧センサT14aから検出電圧Vd14を入力し(ステップS120)、検出電圧Vd14が電圧Vref1であるか否かを判定する(ステップS130)。電圧Vref1は、バッテリ36の電圧をトランジスタT14のエミッタとコレクタとの間に印加したときに、トランジスタT14での消費電力(損失)が所定電力Pwとなるゲート電圧として予め実験や解析などで定めた電圧である。所定電力Pwは、以下の電力として予め実験や解析などで定めた電力である。
図3は、バッテリ36の電圧をトランジスタT14のエミッタとコレクタとの間に印加してトランジスタT14の消費電力が電力P1となるようにゲート電圧を調整した場合において、温度センサT14bにより検出される電圧Vf14を説明するための説明図である。図4は、バッテリ36の電圧をトランジスタT14のエミッタとコレクタとの間に印加してトランジスタT14の消費電力が電力P1より大きい電力P2となるようにゲート電圧を調整した場合において、温度センサT14bにより検出される電圧Vf14を説明するための説明図である。図3,図4において、二つの棒グラフは、トランジスタT14の使用を開始した直後の初期状態での電圧Vf14と、トランジスタT14をある程度の長い期間使用した後の状態(使用後)での電圧Vf14と、を示している。図3,図4において、電圧Vf14の測定誤差をエラーバーとして示している。
図3,図4に示すように、使用後での電圧Vf14は、初期状態での電圧Vf14に比して小さくなっている。これは、使用後は、初期状態よりトランジスタT14の劣化が進んでいるため、熱抵抗(単位時間当たりのトランジスタT14の単位消費電力当たりのトランジスタT14の温度上昇量)がより高くなり、トランジスタT14での消費電力が同一であるときには、使用後でのトランジスタT14の温度上昇量は初期状態に比して大きくなる、即ち、使用後でのトランジスタT14の電圧Vf14は初期状態に比して低くなるからである。したがって、電圧Vf14を調べることで、トランジスタT14の劣化が進んでいるか否かを判定することができると考えられる。しかしながら、電圧Vf14の測定誤差を考慮すると、トランジスタT14の消費電力が電力P1となるようにゲート電圧を調整した場合には、図3に示すように、初期状態と使用後とでエラーバーが重なるため、電圧Vf14を調べることでトランジスタT14の劣化が進んでいるか否かを判定することができない。トランジスタT14の劣化が進んでいるか否かを判定するためには、図4に示すように、トランジスタT14の消費電力を、初期状態と使用後とでエラーバーが重ならない程度に高くする必要がある。ところで、トランジスタT14の消費電力を高くすると、トランジスタT14が高温となってしまうことから、消費電力には上限を設ける必要がある。これらを考慮して、所定電力Pwは、初期状態と使用後とで電圧Vfのエラーバーが重ならない程度、即ち、電圧Vf14を調べることでトランジスタT14の劣化が進んでいるか否かを判定することができる程度に高く、且つ、トランジスタT14が高温とはならない程度の電力として設定されており、実施例では500W,625W,750Wなどと設定されている。
所定電力Pwを設定すると、バッテリ36の電圧と所定電力PwとからトランジスタT14に流れる電流Irefを導出し、トランジスタT14のゲート電圧とコレクタとエミッタとの間の電流(以下、「コレクタ電流」という)との関係から、コレクタ電流が電流Irefとなるゲート電圧を電圧Vref1に設定する。実施例では、電圧Vref1は、トランジスタT14がハーフオン状態となっている。「ハーフオン状態」とは、トランジスタのゲート電圧が、閾値電圧を超えており、且つ、トランジスタに十分なコレクタ電流が流れるオン状態であるときのゲート電圧(以下、「オン電圧」という)より低い電圧(例えば、オン電圧が15Vのときには6Vなど)である状態、即ち、オン状態とオフ状態との中間の状態である。したがって、ステップS130は、トランジスタT14が確実にハーフオンの状態となっているか否かを判定する処理となっている。
ステップS130で検出電圧Vd14が電圧Vref1でないときには、トランジスタT14へのスイッチング制御信号が電圧Vref1に向かって変化していたり何らかの要因で変動していて、トランジスタT14がハーフオンの状態となっていないと判定して、ステップS110の処理へ戻る。そして、ステップS130で検出電圧Vd14が電圧Vref1となるまで、ステップS110〜S130の処理を繰り返す。
ステップS130で検出電圧Vd11が電圧Vref1であるときには、トランジスタT11がハーフオンの状態となっていると判定して、続いて、トランジスタT14への電圧Vref1のスイッチング制御信号の出力を継続してトランジスタT14をハーフオン状態に維持しながら、ステップS110〜S130と同様の処理としてステップS140〜S160の処理を、トランジスタT14とペアとなっているトランジスタT11へ適用する。
まずは、トランジスタT11へ電圧Vref2のスイッチング制御信号を出力する(ステップS110)。ここで、電圧Vref2は、トランジスタT11がハーフオン状態となるゲート電圧であり、実施例では、電圧Vref1と同一の電圧としている。
そして、電圧センサT11aから検出電圧Vd11を入力し(ステップS150)、検出電圧Vd11が電圧Vref2であるか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160は、ステップS130と同様に、トランジスタT11がハーフオン状態であるか否かを判定する処理となっている。
続いて、ステップS160で検出電圧Vd11が電圧Vref2でないときには、トランジスタT11へのスイッチング制御信号が電圧Vref2に向かって変化していたり何らかの要因で変動していて、トランジスタT11がハーフオンの状態となっていないと判定して、ステップS140の処理へ戻る。そして、ステップS160で検出電圧Vd11が電圧Vref2となるまで、ステップS140〜S160の処理を繰り返す。
ステップS160で検出電圧Vd11が電圧Vref2であるときには、トランジスタT11がハーフオンの状態となっていると判定して、電圧Vf11,Vf14の測定、即ち、トランジスタT11,T14のそれぞれの熱抵抗の測定を実行して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。トランジスタT11,T14の熱抵抗の測定は、トランジスタT11,T14を所定時間(例えば、0.9sec,1.0sec,1.1secなど)ハーフオンした状態として、この期間における電圧Vf11,Vf14の変化量を測定し、測定した電圧Vf11,Vf14の変化量とトランジスタT11,T14の消費電力(所定電圧Pw)とから導出することで行なわれる。
図5は、トランジスタT11,T14へのスイッチング制御信号の電圧と、トランジスタT11での損失Pwと、電圧Vf11と、の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、トランジスタT14へのスイッチング制御信号の電圧を電圧Vref1として(時間t1)、トランジスタT14がハーフオン状態となっていると判定したときにトランジスタT11へのスイッチング制御信号の電圧を電圧Vref2とする(時間t2)。トランジスタT11へのスイッチング制御信号の電圧を電圧Vref2とすると、トランジスタT11,T14に電流が流れトランジスタT11,T14の温度が上昇する(時間t2〜t3)。そして、トランジスタT14がハーフオン状態となっていると判定したときに(トランジスタT11,T14が共にハーフオン状態となっていると判定したときに)、熱抵抗を測定する。このとき、トランジスタT11,T14のスイッチング制御信号のうち一方のスイッチング制御信号が大きく変動して、トランジスタT11,T14のうち変動したスイッチング制御信号に制御されているほうのトランジスタのコレクタ電流が急激に増加しても、他方のハーフオン状態のトランジスタにより電流が抑制される。これにより、トランジスタT11,T14のペアに意図しない大きな電流が流れることを抑制することができ、トランジスタT11,T14の保護を図ることができる。
以上説明した実施例の電力変換装置を搭載した電気自動車20によれば、トランジスタT14がハーフオン状態となりトランジスタT11がオフするようにトランジスタT11,T14へスイッチング制御を出力した状態でトランジスタT14の検出電圧Vd14が電圧Vref1となったときに、トランジスタT11,トランジスタT14がハーフオン状態となるようにトランジスタT11,T14へスイッチング制御を出力しながらトランジスタT11,T14の熱抵抗を測定することにより、トランジスタT11,T14のペアに意図しない大きな電流が流れることを抑制することができる。
実施例の電力変換装置を搭載した電気自動車20では、トランジスタT14に対してステップS110〜ステップS130を実行した後に、トランジスタT11に対してステップS140〜S160を実行している。しかしながら、トランジスタT11に対してステップS140〜S160を実行した後に、トランジスタT14に対してステップS110〜ステップS130を実行してもよい。
実施例の電力変換装置を搭載した電気自動車20では、トランジスタT14に対してステップS110〜ステップS130を実行した後に、トランジスタT11に対してステップS140〜S160を実行し、その後、ステップS170を実行して電圧Vfを測定している。しかしながら、トランジスタT14に対してステップS110〜ステップS130を実行することによりトランジスタT14が確実にハーフオン状態となっており、トランジスタT11をオンとしてもトランジスタT14によりトランジスタT11,T14に流れる電流が抑制される。したがって、トランジスタT11に対してステップS150,S160を実行せずに、ステップ170を実行して、電圧Vf11,Vf14を測定してもよい。
実施例の電力変換装置を搭載した電気自動車20では、ステップS130,S160で検出電圧Vd14が電圧Vref1でないときや検出電圧Vd11が電圧Vref2でないときには、検出電圧Vd14が電圧Vref1となるまでステップS110〜S130を繰り返したり、検出電圧Vd11が電圧Vref2となるまでステップS140〜S160を繰り返している。しかしながら、ステップS130で検出電圧Vd14が電圧Vref1でないときには、検出電圧Vd14が電圧Vref1でない状態が第1時間経過したり、ステップS110〜S130を繰り返したときにステップS110を実行した回数が第1回数を超えたときに、本ルーチンを終了してもよい。また、ステップS160で検出電圧Vd11が電圧Vref2でないときには、検出電圧Vd11が電圧Vref2でない状態が第2時間経過したり、ステップS140〜S160を繰り返したときにステップS140を実行した回数が第2回数を超えたときに、本ルーチンを終了してもよい。
実施例の電力変換装置を搭載した電気自動車20では、トランジスタT11〜T16,T31,T32をIGBTとしているが、トランジスタT11〜T16,T31,T32をスイッチング素子とすればよいから、IGBTに限定したものではなく、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)としてもよい。この場合、電圧センサT11a〜T16a,T32a,T32bをトランジスタT11〜T16,T31,T32のゲートとソースとの間の電圧を検出する電圧センサとし、ステップS110,S140の処理では、ゲートとソースとの間の電圧をゲート電圧とすればよい。また、トランジスタT11〜T16,T31,T32をバイポーラトランジスタまたはサイリスタとしてもよい。この場合、電圧センサT11a〜T16a,T32a,T32bに代えてトランジスタT11〜T16,T31,T32のベース電流を検出する電流センサをそれぞれのトランジスタに配置し、ステップS110,S140の処理では、トランジスタT11,T14にベース電流を印加し、ステップS120,S150では電流センサで検出したトランジスタT11,T14のベース電流を入力し、ステップS130,S160では、電流センサで検出したトランジスタT11,T14のベース電流とトランジスタT11,T14がハーフオン状態のときのベース電流とを比較すればよい。
実施例の電力変換装置を搭載した電気自動車20では、電源としてバッテリ36を搭載しているが、バッテリ36に替えてキャパシタを搭載してもよい。
実施例では、本発明の電力変換装置を、昇圧コンバータ40と、スイッチSWと、コンデンサ46と、を備えている電気自動車20に適用する場合について例示している。しかしながら、昇圧コンバータ40と、スイッチSWと、コンデンサ46と、を備えておらず、バッテリ36からの電力を昇圧せずにインバータ34へ供給するタイプの電気自動車に適用しても構わない。
実施例では、本発明の電力変換装置を電気自動車20に適用する場合について例示している。しかしながら、こうして電気自動車20に適用するものに限定されず、他の電力の供給を受けて作動する装置に適用しても構わない。
実施例では、電力変換装置は、インバータ34と、バッテリ36と、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50と、が相当している。しかしながら、電力変換装置は、こうした構成に限定されてものではなく、互いに直列に接続された上アームスイッチング素子および下アームスイッチング素子を有する半導体装置と、半導体装置へ電力を供給する電源と、上アーム,下アームスイッチング素子を制御する制御装置と、を備えていればよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、トランジスタT11とトランジスタT14とが「半導体装置」に相当し、バッテリ36が「電源」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電力変換装置に製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、32u,32v 電流センサ、34 インバータ、36 バッテリ、36a 電圧センサ、36b 電流センサ、40 昇圧コンバータ、40a 電流センサ、42 高電圧側電力ライン、44 低電圧側電力ライン、46,48 コンデンサ、46a,48a,T11a〜T16a,T31a,T32a 電圧センサ、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、D11〜D16,D31,D32 ダイオード、L リアクトル、T11〜T16,T31,T32 トランジスタ、T11b〜T16b,T31b,T32b 温度センサ、SW スイッチ。

Claims (1)

  1. 互いに直列に接続された上アームスイッチング素子および下アームスイッチング素子を有する半導体装置と、
    前記半導体装置へ電力を供給する電源と、
    前記上アーム,下アームスイッチング素子を制御する制御装置と、
    を備える電力変換装置であって、
    前記制御装置は、前記上アーム,下アームスイッチング素子のうちの一方のスイッチング素子がハーフオン状態となり他方のスイッチング素子がオフするように上アーム,下アームスイッチング素子を制御している状態で前記一方のスイッチング素子の駆動電圧または駆動電流が所定条件を満たしたときに、前記上アーム,下アームスイッチング素子の両方がハーフオン状態となるように前記上アーム,下アームスイッチング素子を制御して前記半導体装置の熱抵抗を測定する、
    電力変換装置。
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