JP6973250B2 - 透明物品の評価方法、及び透明物品の製造方法 - Google Patents
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Description
上記透明物品の評価方法において、前記光源は、レーザー光を照射する光源であることが好ましい。この場合、上記透明物品上でのビーム径は、5mm以下であることが好ましい。
上記透明物品の評価方法において、前記透明物品は、アンチグレア面を有することが好ましい。
まず、評価対象となる表示装置用の透明物品について説明する。
透明物品は、表側に位置する第1主面と、裏側に位置する第2主面とを有するシート状又は板状をなしている。透明物品は、表示装置の表示面に配されて使用される。透明物品は、表示装置の表示面の上に取り付けられる部材であってもよい。すなわち、透明物品は、表示装置に事後的に取り付けられる部材であってもよい。
表示装置の明所コントラストは、下記式(1)に示すように、外部から入射する入射光の強度と表示面に配置された透明物品の反射率分布との積と、表示装置の輝度との比として表すことができる。
表示装置の輝度は、表示装置のディスプレイ性能に基づく要素である。入射光の強度は、太陽光が入射する環境や室内灯が入射する環境等の明所の種類に基づく要素である。反射率分布は、透明物品の材質や表面形状に応じた光の散乱度合に基づく要素である。表示装置の輝度、入射光の強度、反射率分布のうち、透明物品の特性が影響する要素は、反射率分布のみであり、反射率分布を測定することにより、表示装置用の透明物品の明所コントラストに与える影響を評価することができる。
(測定ステップ)
図1に示すように、測定ステップでは、評価対象となる透明物品に対する光源からの入射角度θを規定値θAに固定した状態として、変角光度計を用いて、反射角度φを変数とする透明物品の反射率分布RθA(φ)を測定する。詳述すると、変角光度計の光源21を、透明物品10に対して入射角度θAとなる位置に固定し、光源21からの入射光(可視光)を透明物品10に入射する。そして、所定の角度範囲の反射光を受光するように、変角光度計の受光部22の位置を移動させながら、それぞれ反射角度φにおける反射率を測定する。
変角光度計の光源は、可視光を照射する光源であれば特に限定されるものではないが、レーザー光を照射する光源であることが好ましい。レーザー光を照射する光源である場合、上記透明物品上でのビーム径は5mm以下であることが好ましい。レーザー光を用いることにより、分解能の高い測定を行うことができる。また、レーザー光は、p波偏光又はs波偏光のレーザー光であることが好ましい。この場合には、続く補正ステップにおける補正を簡略化できる。
反射率を測定する角度範囲は、例えば、−90°〜90°であることが好ましい。
(補正ステップ)
下記式(2)に基づいて、測定ステップにて得られた反射率分布RθA(φ)の角度座標系をφ座標系からφ´座標系に変換した反射率分布RθA(φ´)を求める。図2に示すように、変換角度φ´は、入射光と反射角度φの反射光との間を二分する線Lが入射点Pにおける法線となるように傾いた仮想透明物品10aと、透明物品10との角度差である。
評価対象となる透明物品10が取り付けられる表示装置の使用条件等に基づいて、評価条件となる光の入射角度及び観測角度を設定する。例えば、表示装置がカーナビゲーション装置である場合、太陽光がリアウインドウからナビゲーション装置に入射する角度を入射角度θBとし、運転席に着座した使用者がナビゲーション装置を見る目線に重なる角度を観測角度φBとして評価条件を設定する。
例えば、シート状又は板状のガラスや樹脂等からなる透明基材の表面にアンチグレア面を形成する(アンチグレア面形成工程)。アンチグレア面の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、コーティング剤を塗布する処理、ブラスト処理、エッチング処理等の公知の形成方法を用いることができる。
その後、上述した本評価方法を用いて、アンチグレア面が形成された透明基材の明所コントラストに与える影響を評価する(評価工程)。そして、その評価結果に基づいて、アンチグレア面が形成された透明基材が良品の透明物品であるか否かを判別する(良否判別工程)。
(1)表示装置用の透明物品10の明所コントラストに与える影響を評価する評価方法は、透明物品10に対する光源21からの入射角度を固定した状態として、反射角度を変数とする透明物品10の反射率分布を測定する。反射率分布に対して、フレネルの式により得られる入射角度に依存する反射率変化の成分を除去する補正を行う。補正された反射率分布(補正反射率分布)から任意の入射角度及び反射角度における補正反射率を求め、補正反射率に基づいて、透明物品10の明所コントラストに与える影響を評価する。
上記構成によれば、測定により得らえた反射率分布に含まれる、入射角度に依存する反射率変化の成分と、フレネルの式により得られる入射角度に依存する反射率変化の成分とがより高い精度で一致し、本評価方法による評価の精度が向上する。
上記構成によれば、分解能の高い測定を行うことができる。これにより、測定により得らえた反射率分布に含まれる、入射角度に依存する反射率変化の成分と、フレネルの式により得られる入射角度に依存する反射率変化の成分とがより高い精度で一致し、本評価方法による評価の精度が向上する。
上記構成によれば、上記式(3)における「p・rp 2」又は「s・rs 2」を「0」とする、又は「0」と見なすことができる。これにより、補正ステップにおける補正を簡略化できる。
アンチグレア面は、透明物品10に入射した光を散乱させる特性を有することから、アンチグレア面を有する透明物品10は、アンチグレア面のない透明物品と比較して、表示装置の明所コントラストに与える影響が大きくなりやすく、また、アンチグレア面の形状に応じて上記影響の大きさが変化しやすい。そのため、透明物品10の明所コントラストに与える影響を定量的に評価できる本評価方法は、アンチグレア面を有する透明物品10を対象とする場合に特に適している。
(イ)前記補正は、測定された前記反射率分布の角度座標系を上記式(2)に基づいて変換し、変換した前記反射率分布を、フレネルの式から求められる入射変換角度φ´におけるエネルギー反射率で除算する補正である前記透明物品の評価方法。上記式(2)において、θAは入射光の入射角度を示し、φは反射角度を示す。
表面形状の異なる6種類の透明物品A〜Fを用意し、上記実施形態の評価方法(以下、本評価方法と記載する。)に基づいて、透明物品A〜Fの明所コントラストに与える影響を評価した。また、透明物品A〜Fを取り付けた表示装置の明所コントラストについて、人の視覚に基づく官能評価を行い、官能評価の結果と本評価方法に基づく評価結果とを比較した。参考として、透明物品A〜Fの表面を撮影した画像に基づいて明所コントラストに与える影響を評価した。
厚さ1mmのシート状のガラス基材(日本電気硝子社製:T2X−1)の表面に対して、スプレーコーティング装置を用いて、スプレーコート法によりSiO2からなるアンチグレア面を形成することにより表面形状の異なる3種類の透明物品A〜Cを作製した。コーティング剤としては、水を含む液状媒体にアンチグレア膜の前駆体(テトラエトキシシラン)を溶解することで調製したコーティング剤を用いた。透明物品A〜Cは、その製造過程におけるスプレー時間、焼成温度、及び焼成時間がそれぞれ異なっている。
エッチング法により形成されたアンチグレア面を有する、表面形状の異なる3種類のガラス物品をそれぞれ透明物品D〜Fとして用いた。
角度分解能0.5°以下で測定可能な変角光度計を用いて、以下の測定条件にて、透明物品Aの表面(アンチグレア面)に光源からの光を入射させて、透明物品Aの反射率分布R20°(φ)を測定した。透明物品Aの反射率分布R20°(φ)を表すグラフを図4に示す。
光源:波長520nm、s波偏光のレーザー光
入射角度:40°
反射角度範囲(測定範囲):−90°〜90°
次に、評価条件の観測角度20°を反射角度として、φ´座標系に変換する。入射角度60°である場合、反射角度20°は、上記式(2)から変換角度−20°となる。そして、補正反射率分布R´(φ´)から変換角度−20°である場合の補正反射率R´(−20°)を求める。得られた補正反射率R´(−20°)の対数値(常用対数値)を表1の「logR´」欄に示す。
透明物品Aの表面(アンチグレア面)に光源からの光を入射角度60°にて入射させた状態として、撮像装置SMS−1000(Display−Messtechnik&Systeme社製)を用いて、反射角度20°となる方向から透明物品Aの表面を撮影した。そして、得られた画像から透明物品Aの表面の輝度を求めた。
(官能評価)
表示装置(ファーウェイ社製スマートフォン:H1512)の表示面に、アンチグレア面が形成されている側を上側にして各透明物品を配置した。表示装置の表示面に対して入射角度60°となる方向から太陽光を入射させた状態として、10人のパネラーに観測角度20°となる方向から表示装置の映像を観察させて、白ボケを感じるか否かを評価させた。その結果を表1の「官能評価」欄に示す。なお、「官能評価」欄においては、白ボケを感じたと評価した人数が3人以下のものを「◎」、5人以下のものを「○」、6人以上のものを「△」で示している。
Claims (5)
- 表示装置用の透明物品の明所コントラストに与える影響を評価する透明物品の評価方法であって、
前記透明物品に対する光源からの入射角度を固定した状態として、反射角度を変数とする前記透明物品の反射率分布を測定し、
前記反射率分布に対して、フレネルの式により得られる入射角度に依存する反射率変化の成分を除去する補正を行い、
補正された前記反射率分布から任意の入射角度及び反射角度における補正反射率を求め、前記補正反射率に基づいて、前記透明物品の明所コントラストに与える影響を評価することを特徴とする透明物品の評価方法。 - 角度分解能0.5°以下で測定可能な変角光度計を用いて前記反射率分布を測定することを特徴とする請求項1に記載の透明物品の評価方法。
- 前記光源は、レーザー光を照射する光源であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明物品の評価方法。
- 前記透明物品は、アンチグレア面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明物品の評価方法。
- アンチグレア面を有する表示装置用の透明物品の製造方法であって、
透明基材の表面に前記アンチグレア面を形成するアンチグレア面形成工程と、
前記アンチグレア面が形成された前記透明基材の明所コントラストに与える影響を評価する評価工程と、
前記評価工程の評価結果に基づいて、前記アンチグレア面が形成された前記透明基材が良品の透明物品であるか否かを判別する良否判別工程とを有し、
前記評価工程として、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明物品の評価方法を用いることを特徴とする透明物品の製造方法。
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