JP6971173B2 - トイレットロール - Google Patents

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Description

この発明は、2プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールに関するものである。
トイレットペーパーは、主に4ロール又は12ロール等を単位として包装されたものが市販されている。これらの包装体は嵩張るため、購入時に持ち運べる量は限られており、一度に購入できる量は自ずと限度がある。また、家庭や職場、公共施設などにおいても保管スペースが限られている。
このようなことから、トイレットペーパーのシート1枚当りの坪量を14g/m以下に低減し、巻長を長くした(長尺の)トイレットロールが開発されている(特許文献1、2)。
又、本願出願人は、トイレットペーパーの1枚当りの坪量を13g/mより高くして風合い、使用感を向上させながら、巻長を長くしたトイレットロールを開発した(特許文献3、4)。
特開2006-087703号公報 特開2013-208297号公報 特開2014-188342号公報 特開2014-233363号公報
ところで、長尺のトイレットペーパーロールは、ロール径がトイレットペーパーホルダより大きくならないよう、固巻きにする必要があるが、固巻きのロールは触感に劣って安価に感じられやすいため、エンボス等の凹凸を設けてシートの触感を向上させることが必要である。特に、坪量を低くせずに極めて長く巻いた超長尺ロール(2プライで巻長75〜130m)の場合、使い始めの外巻と内巻で品質(触感)の差が大きく、品質が安定しない。
従って本発明は、坪量を下げずに1ロール当りの巻長を長くしてロールの交換頻度を下げることができ、ミシン目を有しており使用しやすく、ロール外巻と内巻の品質差が小さいと共に、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールの提供を目的とする。
本発明者らは、坪量を低くせずに極めて長く巻いた超長尺ロールにおいて、ロール外巻と内巻の品質(触感)の差を小さくする方策として、ロールの巻きの強さの度合を、最外巻の領域と最内巻の領域とで変化させることを見出した。
具体的には、圧縮されやすい内巻はエンボスが潰れないよう柔らかく巻き、圧縮されにくい外巻はエンボスが潰れにくいので、シートを張って固く巻くことで、内巻と外巻の触感の差を小さくできることを見出した。
さらに、ロールの巻きの強さの指標として、シートに原則として等間隔で入れられるミシン目のピッチ(長手方向のミシン目の間の距離)が、内巻と外巻で変化することを見出した。
上記課題を解決するため、本発明のトイレットロールは、一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有すると共に、幅方向に沿ってミシン目を有する2プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、前記トイレットペーパー1プライ当たりの坪量が11〜18g/m、巻長が75〜130m、(前記トイレットロールを巻きほぐした最外巻のトイレットペーパーの前記ミシン目の平均ピッチP1(mm))/(前記トイレットロールの最内巻の前記ミシン目の平均ピッチP2(mm))で表されるピッチ比Hが1.002〜1.017であるトイレットロール。但し、前記平均ピッチP1は、前記最外巻のトイレットペーパーの端縁から1m〜5mの第1領域のうち、長さ1000mm以上で両端が前記ミシン目となる第1連続部分を別個に2つ以上取り出したときの平均ピッチ;前記平均ピッチP2は、前記最内巻のトイレットペーパーの端縁から20m〜30mの第2領域のうち、長さ1000mm以上で両端が前記ミシン目となる第2連続部分を別個に5つ以上取り出したときの平均ピッチ
本発明のトイレットロールにおいて、ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台に設置した前記トイレットロールのロール外側の表面を上にしたシート状サンプルに対し、ブレード付きロータを回転させずに100mNと600mNの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、それぞれ押し込み圧力100mNと600mNの間での前記シート状サンプルの上下方向の変形変位量で表される剛性の値をD値とし、前記第1連続部分のシート状サンプルのD値が1.7〜3.6mm/Nであることが好ましい。
前記平均ピッチP1、P2が70〜500mmであることが好ましい。
前記ミシン目を含まない前記トイレットペーパー2プライのJIS P8113に基づく引張強さDMDTが2.3〜8.0N/25mmであることが好ましい。
前記ミシン目を含まない前記トイレットペーパー2プライのJIS P8113に基づく引張強さDCDTが0.6〜4.0N/25mmであることが好ましい。
前記トイレットペーパー2プライの前記ミシン目のJIS P8113に基づく引張強さDMDTが4.3〜18.0N/114mmであることが好ましい。
前記トイレットロールの巻密度が1.2〜2.2m/cmであることが好ましい。
前記トイレットロールのロール密度が0.19〜0.32g/cmであることが好ましい。
この発明によれば、坪量を下げずに1ロール当りの巻長を長くしてロールの交換頻度を下げることができ、ミシン目を有しており使用しやすく、ロール外巻と内巻の品質差が小さいと共に、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールを得ることができる。
本発明の実施形態に係るトイレットロールの外観を示す斜視図である。 ロール表面及び裏面に設けられたエンボスを示す断面図である。 ロール巻取り加工機の一例を示す図である。 平均ピッチP1、P2の測定方法を示す図である。 ミシン目ロールを示す図である。 ティシューソフトネス測定装置TSAの測定原理を示す図である。 TSAによる紙試料シート状サンプルの剛性Dの測定方法を示す図である。 エンボス深さの測定方法を示す図である。 エンボス深さの測定方法を示す別の図である。
以下に本発明の好ましい実施形態につき説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、凹凸(エンボス)を複数有すると共に、ミシン目10mを有する2プライのトイレットペーパー10xをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、坪量が11〜18g/m、巻長が75〜130m、(最外巻のミシン目の平均ピッチP1)/(最内巻のミシン目のピッチP2)で表されるピッチ比が1.002〜1.017である。
なお、トイレットペーパー10xのロール外側の表面をロール表面(又はトイレットペーパーの表面)10aとし、ロール内側の表面をロール裏面(又はトイレットペーパーの裏面)10bとする。
トイレットロール10の巻長が75m未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、保管時の省スペースが図れない。ロールの巻長が130mを超えるものは、ロール質量が高く(重く)なりすぎて、ロールがトイレットペーパーホルダーでうまく回転しなくなる。
巻長は、好ましくは83〜120m、より好ましくは90〜110mである。
トイレットペーパー10xの1プライ(シート1枚)当りの坪量が11g/m未満であると、トイレットペーパーの使用時の長さが長くなってしまい、逆にロールの交換頻度が多くなってしまうと共に使用感(嵩高さ)も低下する。トイレットペーパー10xの1プライ当りの坪量が18g/mを超えると、ロール質量が高く(重く)なりすぎて、ロールがトイレットペーパーホルダーでうまく回転しなくなる。
上記坪量は好ましくは13〜17g/m、より好ましくは14〜16g/mである。
<凹凸>
本発明のトイレットロール10(トイレットペーパー10x)は、一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有する。この凹凸は、例えばエンボス加工により施すことができる。特に、シングルエンボスが好ましい。また、エンボスパターン(エンボスの大きさ、深さ、個数、面積率)を適宜変更することができる。
シングルエンボスは、図3に示すように、トイレットペーパー10xの一方の面からのみ、エンボスロール151のエンボス凸部を押し当てて形成される。
シングルエンボスは、図3に示すように、シートを2プライに重ねたトイレットペーパー10xの一方の面からのみ、エンボスロール151のエンボス凸部を押し当てて形成される。
なお、図3はロール巻取り加工機150の一例を示す。原紙ロールは、予めプライマシンで2プライにされると共にカレンダー処理され、原反4となる。この原反4は、ロール巻取り加工機150にセットされ、エンボスユニット(エンボスロール)151によってシングルエンボス処理された後、巻取り機構153によって上記の巻直径の幅広のトイレットペーパー原ロール10Wに巻き取られる。その後、この原ロール10Wを所定幅(114mm等)に切り、トイレットロール10となる。
図2は、トイレットロール10(トイレットペーパー10x)に設けられたシングルエンボス2を示す断面図である。なお、図2の例では、トイレットペーパー10xはシートを2プライに重ねてなり、図2の上部がロール表面10a側に対応する。トイレットペーパー10xのエンボスロール151を押し当てた面(図2の表面)に凹部2R、裏面に凸部2Pが現れるエンボス(シングルエンボス)2が形成される。
なお、図2(a)はエンボス深さが深い場合、図2(b)はエンボス深さが浅い場合である。
エンボス深さは、好ましくは0.01〜0.40mm、より好ましくは0.04〜0.30mm、更に好ましくは0.07〜0.20mである。エンボス深さが0.01mm未満の場合、触感が劣る場合がある。一方、0.40mmを超える場合、巻密度が小さくなり、省スペースを図れない場合がある。
なお、後述のようにミシン目ピッチを規定して内巻と外巻で巻き強さを変えることで、超長尺トイレットロールであっても内巻と外巻のいずれでもエンボス深さが適切になり、内巻と外巻の品質の差をさらに小さくすることができる。
エンボス深さは、図8に示すようにしてマイクロスコープを用いて測定できる。マイクロスコープとしては、キーエンス社製の製品名「ワンショット3D測定マイクロスコープ VR−3100」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR−H1A」を使用することができる。また、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるエンボスパターンの大きさによって、適宜変更してもよい。
エンボス2の測定面はロール表面10aとし、トイレットロール10のトイレットペーパー10xの第1領域S1において、トイレットロール1をロール形状のまま、幅方向Wに連続するエンボス2について測定する。なお、ロール形状のままで測定すると、マイクロスコープのピントが合いにくくなる場合がある。この場合、サンプルを載せるステージ(台)を取り除いてピントを調節して測定しても良い。
まず、図8(a)に示すように、マイクロスコープにより、上記視野のX−Y平面の2次元凹凸像を得る。凹凸像ではトイレットペーパー10x表面の高さが濃淡で表されることがわかる。
次に、幅方向Wに沿って並ぶ複数のエンボス2の最も深い部分を跨ぐように作業者が幅方向Wに線分LS1(図9参照)を引くと、図8(b−1)に示すよう、凹凸を表す(測定)断面曲線(断面プロファイル)が得られる。
ここで、図8(b−1)の(測定)断面曲線は、トイレットロールの表面の凹凸を表す(測定)断面曲線であるが、ノイズ(トイレットロールの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、凹凸の高低差の算出や、下記に示す面積率の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
そこで、上記の解析ソフトウェアを用い、図8(b−1)の(測定)断面曲線を、重み平均ラジオボタンのフィルタのサイズを±12とし、スムージングして図8(b−2)のノイズ除去後の断面曲線を得る。
そして、図8(b−2)に示すグラフにおいて、グラフの凸部と、当該凸部に隣接する凸部の縦軸のそれぞれの高さの最大値の平均値HMを算出する。又、これらの2つの凸部に挟まれる凹部における縦軸の高さの最小値HLを求める。このようにして求められた最大値の平均値HMから最小値HLを差し引いた数値をエンボス2の深さとする。図8(b−2)に示す断面曲線上において、連続する4つの凸部、及びそれに挟まれる3つの凹部について上述の測定を行うと、合計3つのエンボス2の深さの測定結果が得られる。
なお、図9に示すように、図8(b−1)に示した断面プロファイルは合計4か所の線分LS1〜LS4について測定する。具体的には、トイレットロール10の表面に沿って線分LS1から周方向に90度の位置で、上記視野について2次元凹凸像(図8(a)参照)を得た後、その像の中で同様に線分LS2を引いて図8(b−1)と同様な断面プロファイルを求める。これを、線分LS1から周方向に180度、270度の位置で同様に行い、各線分LS3,LS4についても断面プロファイルを求める。
以上により、1つの線分につき3つのエンボス深さの値が得られるから、合計12個のエンボス深さの値の平均値を採用する。
なお、プロファイル上の幅方向のピッチ(凸部と、当該凸部に隣接する凸部との距離)は、1mm以上12mm以下であることが好ましく、2mm以上10mm以下であることがより好ましい。幅方向のピッチを上記範囲にすることで、使用時における触感を良好に維持することができる。
なお、図2のシングルエンボスの代わりにダブルエンボスを施した場合、トイレットペーパー10xの表面、裏面側の各シートをそれぞれエンボス処理した後、それぞれのシートのエンボスの凸面同士を内側にしてプライアップして2プライにする。そのため、トイレットペーパー10xの紙厚t2が高くなり過ぎ、巻密度が低くなって、巻長を確保することが難しくなる場合がある。ダブルエンボスでもエンボス深さDを浅くすれば紙厚t2は低くなるが、シートの柔らかさが劣る場合がある。従って、シングルエンボスが好ましい。
又、凹凸は、エンボスに限らず、例えば、凹凸ファブリックを用いて抄紙時にウェブに凹凸を付けてもよい。
<ミシン目の平均ピッチP1、P2>
(平均ピッチP1(mm)/平均ピッチP2(mm))で表されるピッチ比Hが1.002〜1.017である。
ここで、図4に示すようにして、平均ピッチP1、P2を求める。
まず、平均ピッチP1は、トイレットロールを巻きほぐした最外巻のトイレットペーパー10x1の端縁10e1から1m〜5mの第1領域S1のうち、長さ1000mm以上で両端がミシン目10mとなる第1連続部分C1を別個に2つ以上取り出したときの平均ピッチである。
具体的には、例えば、図4では、第1連続部分C1として、6個のミシン目10mが連続する部位を、両端のミシン目10mで切り離し、第1連続部分C1のMD(長手)方向の長さL1を測定する。そして、第1連続部分C1における隣接するミシン目10mで形成されるピッチ数(図4では6個のミシン目10mで5個のピッチが形成される)で、L1を割る(L1/5)ことで、平均ピッチP1を求めることができる。
この第1連続部分C1を、第1領域S1の長手方向の別個の位置で2つ以上取り出し、それぞれのC1の平均ピッチP1を上記方法で求め、各C1の平均ピッチP1をさらに平均して最終的な平均ピッチP1の値とする。別個の第1連続部分C1の連続するミシン目の個数は同一でなくてもよい。
同様に、平均ピッチP2は、トイレットロールを巻きほぐした最内巻のトイレットペーパー10x2の端縁10e2から20m〜30mの第2領域S2のうち、長さ1000mm以上で両端がミシン目10mとなる第2連続部分C2を別個に5つ以上取り出したときの平均ピッチである。
具体的には、平均ピッチP1の場合と同様、第2連続部分C2として、7個のミシン目10mが連続する部位を切り離してその長さL2を測定する。そして、7個の隣接するミシン目10mで形成されるピッチ数(図4では6個のピッチ)で、L2を割る(L2/6)ことで、平均ピッチP2を求めることができる。
この第2連続部分C2を、第2領域S2の長手方向の別個の位置で5つ以上取り出し、それぞれのC2の平均ピッチP2を上記方法で求め、各C2の平均ピッチP2をさらに平均して最終的な平均ピッチP2の値とする。別個の第2連続部分C2の連続するミシン目の個数は同一でなくてもよい。
なお、L1、L2を測定する際は、第1領域S1や第2領域S2を含むトイレットペーパー10x2の長手方向の一端を垂直な壁面の上方に固定し、長手方向が上下に向きつつ、トイレットペーパー10x2の他端が自重で垂下するように多端を壁面に沿わせ、かつ固定しないで張力が掛からない状態とする。
又、第1連続部分C1、第2連続部分C2としてそれぞれ長さ1000mm以上の部位を対象とすれば、ピッチ比H(P1/P2)として、有効数字4桁が十分に得られる。
例えば、後述する実施例5は、第1連続部分C1の長さL1=1153mmで、ミシン目=6個であり、第2連続部分C2の長さL2=1145mmで、ミシン目=6個であった。これより、平均ピッチP1=L1/5=230.6mm、平均ピッチP2=L2/5=229.0mmとなり、有効数字4桁が得られ、ピッチ比H=230.6/229.0=1.007も有効数字4桁を確保できた。
次に、図5を参照し、ピッチ比Hを規定した理由について説明する。
図5に示すように、ミシン目ロール300は、図3のロール巻取り加工機150に設置されており、基準ミシン目ピッチPで間隔が開いた4枚の刃301が回転軸の周方向に90度の等間隔で配置されている。なお、基準ミシン目ピッチPは、隣接する刃301の先端を通り、回転軸の中心を中心とする円弧の弧の長さである。
従って、例えばこの基準ミシン目ピッチPを229mmとした場合、トイレットペーパー10xの巻取り時のテンションを弱くした状態でミシン目10mを設けると、基準ミシン目ピッチPと同等のピッチ(約229mm)となる。
一方、トイレットペーパー10xの巻取り時のテンションを高くした状態でミシン目10mを設けると、基準ミシン目ピッチPより大きなピッチ(例えば231mm)となる。
つまり、平均ピッチP1、P2は、トイレットペーパー10xの外巻と内巻における巻取りの強弱を反映し、ピッチ比H(P1/P2)が1.002を超えるとP1の方がP2より長く、圧縮されやすい内巻をエンボスが潰れないよう柔らかく巻き、圧縮されにくい外巻は固く巻いてもエンボスが潰れにくいので、ロール全体を相対的に固く巻いて超長尺ロールであっても巻直径を過大にせずに、内巻と外巻の品質差を小さくすることができる。
ピッチ比Hが1.002未満であると、相対的に内巻の巻強さが強くなって内巻の品質が劣り、内巻と外巻の品質差が大きくなる。
又、内巻の巻強さを弱くして品質を確保しても、それ以上に外巻の巻強さを弱くした場合は、外巻が内巻に対して品質が良くなり過ぎ、結果として内巻と外巻の品質差が大きくなる。また、ロール全体を相対的に固く巻けないので超長尺ロールにおいて巻直径が過大になり、省スペースを図れない。
ピッチ比Hが1.017を超えると、外巻の巻強さが内巻に比べて強くなり過ぎ、外巻の品質が劣り、外巻と内巻の品質差が大きくなる。
ピッチ比Hは、好ましくは1.003〜1.013、より好ましくは1.004〜1.010である。
平均ピッチP1、P2は、好ましくは70〜500mm、より好ましくは130〜350mm、さらに好ましくは200〜250mmである。平均ピッチP1、P2を70〜500mmにすることで、ミシン目で切り離した個々のシートサイズが使いやすくなる。
ティシューソフトネス測定装置TSA(Tissue Softness Analyzer)により、試料台に設置したトイレットロールのロール外側の表面10aを上にした2プライのシート状サンプルに対し、ブレード付きロータを回転させずに100mNと600mNの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、それぞれ押し込み圧力100mNと600mNの間でのシート状サンプルの上下方向の変形変位量で表される剛性の値をD値とする。
このとき、図4の第1連続部分C1(外巻)のシート状サンプルのD値が1.7〜3.6mm/Nであることが好ましく、より好ましくは2.1〜3.3mm/N、更に好ましくは2.5〜3.0mm/Nである。
D値が高いほど、しなやかさに優れる。D値が1.7mm/N未満の場合、しなやかさが劣る場合がある。一方、D値が3.6mm/Nを超えると破れやすくなる場合がある。
ここで、図6に示すように、ティシューソフトネス測定装置TSA210は、紙試料(サンプル)206の上から、回転したブレード付きロータ204を押付けたときの各種センサで検知した振動データを、振動解析してパラメータ化(TS値)することにより、紙のソフトネス(手触り感)を定量評価するものであり、ドイツのエムテック(Emtec Electronic GmbH、日本代理店は日本ルフト株式会社)社製の商品名である。
TSAを用いた具体的な測定は、(i)円形の試料台205を外側から覆うようサンプル206(直径が約113mmの円形に加工したサンプル)を設置し、サンプル206の外周をサンプル固定リング208で保持し、(ii)ブレード付きロータ204を100mNの押し込み圧力でサンプル206の上から押し込んだ後、ロータ204を回転数2.0(/sec)で回転させ、(iii) 試料台205の振動を、試料台205内部に設置した振動センサ203で測定し、振動周波数を解析する。(iv)次に、押し込み圧力100mNと600mNで、ロータ204を回転させずにそれぞれサンプル206を変形させたときの上下方向の変形変位量(mm/N、剛性D)を計測する。
(i)〜(iv)の手順により、製品の総合的なハンドフィール値の要素(滑らかさ、しなやかさ、ボリューム感)が各々数値化できる。測定は1サンプルについて、5回行い、平均化する。
サンプルを作製する際、ミシン目を含まないようにする。ただし、ミシン目ピッチが113mmより小さい場合は、サンプルにミシン目が入っても良い。
なお、試料台205はベースプレート201上に設置され、試料台205とベースプレート201の間には、力センサ202が配置されている。そして、力センサ202の検出値により、ブレード付きロータ204の押し込み圧力を制御する。又、ブレード付きロータ204はモータ209によって回転する。
又、振動解析してパラメータ化(TS値)するソフトウェアは、emtec measurement systemを用いる。本ソフトウェアには、各種アルゴリズム(例えば、Base Tissue、Facial、TP等)が備えられ、TS7、TS750、D(剛性)をソフトウェア上で自動的に取得し、これらTS7、TS750、Dおよび、坪量、厚さ、Ply数等から各種アルゴリズムの種類によって、HF(ハンドフィール)値が計算される。本発明では、HF値ではなく、TS7、TS750、Dのみを規定しており、上記測定条件を満たせば、アルゴリズムは何を使用しても良く、TS7、TS750、Dの値はアルゴリズムの種類によって変わることはない。
図7は、TSAによる紙試料サンプルの剛性Dの測定方法を示す。
上記したティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台に設置したトイレットロールのロール外側の表面10aを上にした2プライのシート状サンプルに対し、ブレード付きロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0(/sec)で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したとき、TSA上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度(TS750)が好ましくは9〜32dBVrms、より好ましくは12〜27dBVrms、更に好ましくは14〜22dBVrmsであり、6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7)が9〜30dBVrms、より好ましくは12〜26dBVrms、更に好ましくは14〜22dBVrmsである。
TS750及びTS7を上記範囲にすることで、内巻と外巻の品質差がより確実に小さくなる。
ミシン目を含まないトイレットペーパー(2プライのシート)のJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さをDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)、乾燥時の横方向の引張強さをDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)としたとき、DMDTが好ましくは2.3〜8.0N/25mm、より好ましくは2.8〜6.8N/25mm、更に好ましくは3.8〜5.3N/25mmである。又、DCDTが好ましくは0.6〜4.0N/25mm、より好ましくは0.8〜3.0N/25mm、更に好ましくは1.0〜2.0N/25mmである。
DMDT及びDCDTが上記値未満であると、やぶれ易くて実用に適さないことがある。DMDT及びDCDTが上記値より高いと硬くなり、シートの柔らかさが損なわれることがある。
なお、トイレットペーパーの抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
トイレットペーパー(2プライのシート)のミシン目10mのJIS P8113に基づく引張強さDMDTが好ましくは4.3〜18.0N/114mm、より好ましくは5.0〜16.0N/114mm、更に好ましくは7.0〜10.0N/114mmである。
上記DMDTが4.3N/114mm未満であると、トイレットペーパー10xの巻取り時のテンションによって、ミシン目でウェブが切れてしまう場合がある。上記DMDTが18.0N/114mmを超えると、トイレットペーパーの使用時にミシン目で切れにくくなる場合がある。
ミシン目10mを含むDMDTは、図4に示すシート(トイレットペーパー)10xのMD方向を長さL1=150mmの長手方向とした短冊状で、幅Wを自身の幅方向とする引張試験片を切り出して測定する。引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mmとし、この間隔が100mmを確保できれば、試験片の長さL1=150mmより短くしても影響ない。試験片の長手方向のほぼ中央に1つのミシン目10mが入るようにする。そして、1つのミシン目10mを分断するように、ミシン目10mの前後にMD方向に引張速度300mm/minの条件で引っ張って測定する。なお、ミシン目を含まないようにすると、引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mm確保できない場合は、間隔を50mmにしてミシン目を含まないようにして測定する。
ミシン目を含まないDMDT、DCDTの測定の場合は、ミシン目10mが入らない試験片を用いること以外は同様にして行う。
なお、つかみ具の幅Yが114mmより小さい場合、シートをMD方向に沿って幅Z(幅Zは幅Y以下であればよい)になるよう折り畳み、幅Zにて引っ張り、そのときのDMDTをそのまま採用しもよい。例えば、シート幅114mmの場合にこれを半分の幅Z=57mmになるように2つ折りに折ると、幅が1/2である一方、厚み(シート枚数)が2倍になるので、結果としてDMDTは幅114mmの場合と同一になるからである。
なお、一般にはDMDTは幅25mmで測定するが、この場合、ミシン目のツナギ部や切込線の個数や長さによって測定値が変動するため、ロール幅Wに近い幅で測定するか、上述のようにロール幅Wのシートを幅25mmになるように折り畳んで測定することが好ましい。
ロール幅Wが114mmと異なる場合は、Wを114mmに換算してDMDTを求める。例えば、ロール幅Wが105mmの場合、そのDMDTに係数(114/105)を乗じた値を、Wが114mm当たりのDMDTとする。
巻直径DRは、好ましくは110〜154mm、より好ましくは120〜145mm、さらに好ましくは125〜135mmである。
巻直径DRが110mm未満であると、巻長が短くなる場合がある。巻直径DRが154mmを超えると、ロール質量が高くなり、ロールがトイレットペーパーホルダーで回転しにくくなる場合がある。
ロール幅Wは、好ましくは104〜120mm、より好ましくは107〜118mm、さらに好ましくは110〜116mmである。ロール幅が104mm未満の場合シートサイズが小さくなり、また、ロール幅が120mmを超えると、シートサイズが大きくなり、使いにくくなる場合がある。
又、シートの紙厚が好ましくは0.5〜1.0mm/10枚、より好ましくは0.6〜0.9mm/10枚、更に好ましくは0.7〜0.8mm/10枚である。
シートの紙厚を上記範囲とすると、トイレットペーパー使用時の触感が良好になる。また、巻長を上記範囲に調整し易くなるので好ましい。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、原紙ウェブのカレンダー条件(カレンダー処理後の紙厚及び比容積)及びエンボス条件を規定する。
トイレットペーパーの比容積が好ましくは3.5〜6.6cm/g、より好ましくは4.0〜5.8cm/g、さらに好ましくは4.5〜5.4cm/gである。
比容積が3.5cm/g未満であると、シートの柔らかさが乏しくなる場合がある。一方、比容積が6.6cm/gを超えると、紙厚が高くなって巻密度やロール密度が小さくなり、省スペースを図れない場合がある。
ロール幅Wが114mm当たりのコア(巻芯紙管)を含まないロール質量が、好ましくは210〜490g、より好ましくは270〜450g、さらに好ましくは310〜410gである。
ここで、ロール幅Wが114mmと異なる場合は、Wを114mmに換算してロール質量を求める。例えば、ロール幅Wが105mmの場合、そのロール質量に係数(114/105)を乗じた質量を、Wが114mm当たりのロール質量とする。
上記ロール質量が210g未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、保管時の省スペースが図れない場合がある。ロール質量が490gを超えるものは、ロール質量が高くなり、ロールがトイレットペーパーホルダーで回転しにくくなる場合がある。
ロールの巻密度が好ましくは1.2〜2.2m/cm、より好ましくは1.4〜2.0m/cm、更に好ましくは1.5〜1.8m/cmである。
巻密度は、ロールの巻き強さを表すための因子である。
巻密度は、(巻長×プライ数)÷(ロールの断面積)で表される。ロールの断面積は、{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}−(コア外径部分の断面積)で表される。コア外径DI(図1参照)は、ロールの中心孔の直径である。なお、ロールの内側にコア(巻芯紙管)が装着されている場合は、コア外径がDIに相当する。
巻密度が1.2m/cm未満であると、外巻を柔らかく巻くことになり、内巻と外巻の品質差が大きくなる場合がある(外巻が内巻に対して品質が良くなり過ぎる)。また、巻長当たりの巻直径が大きくなってしまい、省スペースを図れない場合がある。
巻密度が2.2m/cmを超えると、内巻がより圧縮されることで、トイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、内巻と外巻の品質差が大きくなる場合がある(内巻の品質が外巻に対して劣る)。また、坪量が低くなる場合があるため、ロールの交換頻度が劣る場合がある。
ロール密度は、(ロール質量(コアを除く))÷(ロールの体積)で表される。ロール体積は[{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}−(コア外径部分の断面積)]×ロール幅(114mmあたりに換算する)で表される。
ここで、トイレットペーパーを固く巻くと、ロール密度が高くなり、柔かく巻くとロール密度は低くなる。また、巻密度は巻長と巻径に依存するが、ロール密度は質量(坪量)の影響も含む。そのため、ロール密度は、坪量が変わったときでも、内巻と外巻の品質差の指標となる。
ロール密度は好ましくは0.19〜0.32g/cmであり、より好ましくは0.23〜0.29g/cmであり、更に好ましくは0.25〜0.27g/cmである。ロール密度が0.19g/cm未満の場合、外巻を柔らかく巻くことになり、内巻と外巻の品質差が大きくなる場合がある(外巻が内巻に対して品質が良くなり過ぎる)。また、巻長当たりの省スペースを図れない場合がある。
一方、ロール密度が0.32g/cm超えると、内巻がより圧縮されることで、トイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、内巻と外巻の品質差が大きくなる場合がある(内巻の品質が外巻に対して劣る)。
巻密度、又はロール密度を上記範囲にすることで、内巻と外巻の品質差を確実に小さくすることができる。
コア(巻芯)の外径が好ましくは35〜45mmであり、より好ましくは37〜42mmである。なお、コアの無いトイレットロールの場合は、トイレットロールの内径をコアの外径とみなす。
図3はロール巻取り加工機150の一例を示す。原紙ロールは、カレンダー処理され、原反4(シートの紙厚t1)となる。この原反4は、ロール巻取り加工機150にセットされ、エンボスユニット(エンボスロール)151によってシングルエンボス処理された後、巻取り機構153によって上記の巻直径の幅広のトイレットペーパー原ロール10Wに巻き取られる。その後、この原ロール10Wを所定幅(114mm等)に切り、トイレットロール10となる。
ロール巻取り加工機150は、大別するとサーフェイス方式とセンター方式の2種類がある。サーフェイス方式は巻取るロールを外側から別の複数の駆動ロールで支持しながら巻取る方法であり、巻取られたトイレットロール10は、巻き径のコントロールがし易く、生産速度がより高速となる。センター方式は巻取りロールの中心に通したシャフトの駆動により巻取る方法で、巻取られたトイレットロール10は、比較的柔らかな製品となり、デリケートなエンボスを施した製品に適している。本発明においては、いずれの方法でも巻き取ることができるが、好ましくはサーフェイス方式である。
なお、ロール巻取り加工機150にワインダー100を組み込んだり、ロール巻取り加工機150にカレンダー101、102の両方(2スタック)または片方(1スタック)を組み込み、ロール巻取り加工機にてカレンダー処理、エンボス処理をこの順で行ってもよい。
ロール巻取り加工機にて同時に、印刷、エンボス付与、ミシン目加工、テールシール、所定幅(114mm等)のカットを行うことができ、トイレットロール10を製造することができる。さらに、その後、フイルム包装加工してトイレットロールの包装体を製造することができる。
トイレットペーパーは木材パルプ100質量%から成っていてもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを含んでも良い。目標とする品質を得るためには、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。また、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。
また、ミルクカートン等の液体飲料由来の古紙パルプの含有率が好ましくは0〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜45質量%であり、クラフトパルプの含有率としては、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは55〜80質量%である。
ミルクカートン等の液体飲料由来の古紙パルプは、針葉樹パルプが主体であり、トイレットペーパーの強度を確保しやすいメリットがある一方、品質的バラツキが大きく、含有割合が高すぎると製品の品質に影響するので、上記の範囲の含有率にすることが好ましい。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。
また、このNBKP、LBKP、ミルクカートン等の液体飲料由来の古紙のパルプ100質量部に対して、新聞や雑誌古紙等由来の脱墨パルプを25質量部以下、配合することができる。なお、脱墨パルプを25質量部配合したときの、トイレットペーパー(シート)中の脱墨パルプの含有率は、25質量部/(100質量部+25質量部)×100=20質量%となる。脱墨パルプの含有率は0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。脱墨パルプも古紙であるため、品質にばらつきが大きくなる。また、脱墨パルプは通常、蛍光染料を含んでおり、その含有率が20質量%を超えると蛍光染料を多く含むことになり、好ましくない。
なお、脱墨パルプが蛍光染料を含むと、トイレットペーパー(シート)のUV-in条件下での白色度の値と、UV-cut条件下での白色度の値の差Δが大きくなる。ここで、UV-inとは、CIE(国際照明委員会)が規定するC光源(紫外光を含む)をシート表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度である。UV-cutとは、波長420nm以下の紫外光をカットするフィルタを介して、C光源をシート表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度である。差Δ=(白色度UV-in)−(白色度UV-cut)である。
差Δは、好ましくは0.0〜2.5ポイント、より好ましくは0.0〜1.5ポイント、さらに好ましくは0.0〜1.0ポイント、最も好ましくは0.0〜0.5ポイントである。白色度は、ISO 2470に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所社製 高速分光光度計CMS−35SPXを用いて測定できる。
なお、トイレットペーパーに適正な強度を確保するために、通常の手段で原料配合し、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解としては、市販のバージンパルプに対して、JIS-P8121で測定されるカナダ標準ろ水度で0〜200ml、より好ましくは0〜150ml、更に好ましくは10〜100ml濾水度を低減させる。
トイレットペーパーは、紙料にバージン系原料を使用する場合は一定範囲の繊維長及び繊維粗度を有する針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプを特定の範囲で配合して抄紙することができる。紙料への添加剤としては最終製品の要求品質に応じ、デボンダー柔軟剤を含めた柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、乾燥紙力増強剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、吸収性向上剤などを用いることができる。又、湿潤紙力増強剤は使用しないことが好ましい。
トイレットペーパーとして古紙原料を使用する場合も、上記バージン系の場合と同様の処理を行う。
トイレットペーパーは、例えば、(1)抄紙及びクレーピング、(2)カレンダー処理、(3)エンボス処理及びロール巻取り加工、の順で製造することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
パルプ組成の含有率が(質量%)NBKP5%、LBKP60%、ミルクカートン由来の古紙パルプ35%となるようにし、脱墨パルプは含有させず、図3に示す装置により、表1〜表4に示すトイレットペーパー及びトイレットロールを製造した。
以下の評価を行った。
ミシン目及びそれ以外の部位のDMDTとDCDT:JIS P8113に基づいて、トイレットペーパー2プライにつき、破断までの最大荷重を測定した。具体的な試験片及び測定方法は既に述べた通りである。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚当たりとした。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、シートを10枚(2プライを5組分)重ねて測定を行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
比容積:シート1枚当たりの厚さを1枚当たりの坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
ロールの質量及びコアの質量:電子天秤を用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻密度は上述の方法で測定した。なお、ロールの巻密度は、ロールの巻直径DRの測定に用いた10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
平均ピッチP1,P2は上述のように測定した。
官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。
なお、坪量、引張強さ、厚さ(紙厚)、ロールの質量及びコアの質量、比容積、巻直径DR、コア外径DI、巻密度、平均ピッチP1,P2の測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
なお、坪量、引張強さ、厚さ(紙厚)、比容積の測定は、外巻の第1領域S1と内巻の第2領域S2の両方から切り出したサンプルでそれぞれ行い、値を平均した。
得られた結果を表1〜表4に示す。
Figure 0006971173
Figure 0006971173
Figure 0006971173
Figure 0006971173
表1〜表4から明らかなように、トイレットロールの坪量、巻長、ピッチ比Hが所定の範囲である各実施例の場合、坪量を下げずに1ロール当りの巻長を長くし、ロール全体の品質差を小さくすることができた。
なお、ミシン目を含まないトイレットペーパー2プライのDMDTが2.3N/25mm未満、ミシン目のDMDTが4.3N/114mm未満の実施例14の場合、他の実施例に比べて破れ難さが劣り、ミシン目の不用意な切れが少し生じたが実用上問題はない。
ミシン目を含まないトイレットペーパー2プライのDMDTが8.0N/25mmを超えた実施例19,20の場合、他の実施例に比べ、柔らかさ、しなやかさが劣ったが実用上問題はない。又、実施例22の場合、ミシン目のDMDTが18.0N/114mmを超え、ミシン目で若干切り難かった。
平均ピッチP1、P2が70mm未満の実施例21の場合、他の実施例に比べ、ミシン目の不用意な切れが少し生じたが実用上問題はない。
平均ピッチP1、P2が500mmを超えた実施例26の場合、他の実施例に比べ、シートサイズが大きく、トイレットペーパーを切り取る際に不便であったが実用上問題はない。
一方、巻長が75m未満の比較例1の場合、ロールの交換頻度が多くなった。
巻長が130mを超えた比較例2の場合、ロール質量が大きくなってトイレットペーパーホルダー内で回転し難くなった。
ピッチ比Hが1.002未満の比較例3の場合、外巻と内巻の品質差が大きくなった(外巻が良くなりすぎた)。
ピッチ比Hが1.017を超えた比較例4の場合、外巻と内巻の品質差が大きくなった(外巻の品質が劣った)。
トイレットペーパー1プライ当たりの坪量が11g/m未満の比較例5の場合、ロールの交換頻度が多くなった。
トイレットペーパー1プライ当たりの坪量が18g/mを超えた比較例6の場合、ロール質量が大きくなってトイレットペーパーホルダー内で回転し難くなった。
2 エンボス(凹凸)
10 トイレットロール
10m ミシン目
10x トイレットペーパー
10x1 最外巻のトイレットペーパー
10e1 最外巻のトイレットペーパーの端縁
10x2 最内巻のトイレットペーパー
10e2 最内巻のトイレットペーパーの端縁
S1 第1領域
S2 第2領域
C1 第1連続部分
C2 第2連続部分

Claims (8)

  1. 一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有すると共に、幅方向に沿ってミシン目を有する2プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
    前記トイレットペーパー1プライ当たりの坪量が11〜18g/m、巻長が75〜130m、(前記トイレットロールを巻きほぐした最外巻のトイレットペーパーの前記ミシン目の平均ピッチP1(mm))/(前記トイレットロールの最内巻の前記ミシン目の平均ピッチP2(mm))で表されるピッチ比Hが1.002〜1.017であるトイレットロール。
    但し、前記平均ピッチP1は、前記最外巻のトイレットペーパーの端縁から1m〜5mの第1領域のうち、長さ1000mm以上で両端が前記ミシン目となる第1連続部分を別個に2つ以上取り出したときの平均ピッチ;前記平均ピッチP2は、前記最内巻のトイレットペーパーの端縁から20m〜30mの第2領域のうち、長さ1000mm以上で両端が前記ミシン目となる第2連続部分を別個に5つ以上取り出したときの平均ピッチ
  2. ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台に設置した前記トイレットロールのロール外側の表面を上にしたシート状サンプルに対し、ブレード付きロータを回転させずに100mNと600mNの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、
    それぞれ押し込み圧力100mNと600mNの間での前記シート状サンプルの上下方向の変形変位量で表される剛性の値をD値とし、
    前記第1連続部分のシート状サンプルのD値が1.7〜3.6mm/Nである請求項1記載のトイレットロール。
  3. 前記平均ピッチP1、P2が70〜500mmである請求項1又は2に記載のトイレットロール。
  4. 前記ミシン目を含まない前記トイレットペーパー2プライのJIS P8113に基づく引張強さDMDTが2.3〜8.0N/25mmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  5. 前記ミシン目を含まない前記トイレットペーパー2プライのJIS P8113に基づく引張強さDCDTが0.6〜4.0N/25mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  6. 前記トイレットペーパー2プライの前記ミシン目のJIS P8113に基づく引張強さDMDTが4.3〜18.0N/114mmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  7. 前記トイレットロールの巻密度が1.2〜2.2m/cmである請求項1〜6のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  8. 前記トイレットロールのロール密度が0.19〜0.32g/cmである請求項1〜7のいずれか一項に記載のトイレットロール。
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