JP6882102B2 - キッチンタオルロール - Google Patents
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Description
このようなことから、キッチンタオルシートのシート1枚当りの坪量を19〜23g/m2に低減し、巻長を11〜12mに長くしたキッチンタオルロールが開発されている(特許文献1)。
一方、限られた巻直径で長尺のキッチンタオルロールとするには固巻きにすればよいが、固く巻きすぎると、ログソーで裁断する際にコア(紙管)が潰れてしまう。また、キッチンタオルシートのシートに凹凸(エンボス)を設けない場合、シート間に空隙がないためにより固巻きになり、吸水性も劣る。もちろん、キッチンタオルロールを柔巻きにするとログソーで裁断してもコアは潰れないが、巻直径が大きくなり、ペーパーホルダーに装着しにくくなる。
又、コアの直径を大きくすると、ログ製造時にシートの巻き始め(コアに巻き付けるところ)でシートのたるみが出にくくなるので、加工速度を高めて生産性を向上させることができるが、やはりコアが潰れやすくなる。
又、コアの質量を高くする(コアの坪量を高くする)と、コアが潰れにくくなるが、コアが固くなって、コアの生産性が低下したり、コストアップに繋がる。
以上のように、コアを有する長尺のキッチンタオルロールを製造する際、コストや生産性を損なわずにコアを潰れにくくすることは困難であった。
又、コアの見かけの坪量を規定することで、コアの生産性の低下やコストアップを抑制し、コアの潰れを防止しつつキッチンタオルロールの生産性を向上させた。
ロール幅200mm当たりの前記コアの質量が4.3〜13.0gであることが好ましい。
(前記コアの固さ)/(前記ロール密度)で表される比が2.3〜40.0mm/(g
/cm3)であることが好ましい。
前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが8〜30N/25mmであることが好ましい。
前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが3〜12N/25mmであることが好ましい。
前記凹凸がエンボスであることが好ましい。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るキッチンタオルロール10は、凹凸を複数有するキッチンタオルシート10xをコア5の周りにロール状に巻き取ったキッチンタオルロールであって、巻長(巻き取り長さ)が15〜65m、巻直径DRが85〜150mmである。
なお、キッチンタオルシート10xのロール外側の表面をロール表面(又はキッチンタオルシートの表面)10aとし、ロール内側の表面をロール裏面(又はキッチンタオルシートの裏面)10bとする。
巻長は、好ましくは20〜50mm、より好ましくは30〜40mmである。
巻直径DRは、好ましくは90〜140mm、より好ましくは110〜130mmである。
コアの見かけの坪量が200g/m2未満であるとキッチンタオルロールを製造した際、コアが潰れる。一方、コアの見かけの質量が550g/m2を超えると、コアの強度が必要以上に高くなり、コアのコストアップになったり、コアの生産性が劣る。
コアの見かけの坪量は、(コアの質量)÷(コアの外表面積)で表される。コアの質量及び外表面積は、ロール幅200mm当たりに換算したコアの質量及び外表面積である。例えば、ロール幅200mm当たりのコアの質量が8.0g、コアの外径が39mmの場合、コアの見かけの坪量=8.0÷{(3.14×39mm/1000)×(200mm/1000)}=327g/m2となる。ここで、コアは通常、2枚のコア原紙を接着剤等で接着して作られており、2枚のコア原紙が一部重なって厚くなっている部分もあり、単純な1枚のシートを巻いたものとは異なることから、「見かけ」の坪量とした。
コアの見かけの坪量が、好ましくは230〜450g/m2、より好ましくは280〜360g/m2である。
上記ロール質量が110g未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなる。ロール質量が500gを超えると、ロール径が大きくなってキッチンタオルシートホルダーに収まり難くなる。
上記ロール質量は、より好ましくは150〜450g、さらに好ましくは200〜350gである。
上記コア5の質量が4.3g未満であると、コア5の坪量が小さく、キッチンタオルロール(ログ)の製造時にコアが潰れ易くなることがある。コア5の質量が13.0gを超えると、コア5の坪量が高くなるので、コアが潰れにくくなるが、コアが固くなって、コアの生産性が低下したり、コストアップに繋がることがある。
上記コア5の質量は5.5〜11.0gであることが好ましく、6.5〜9.0gであることがより好ましい。
コア5の外径が25〜48mmであることが好ましく、37〜43mmであることがより好ましい。
ロールを固く巻きすぎる(ロール密度が高過ぎる)と、固巻き(体積当たりの質量が高い)になってコアが潰れ易くなる。一方、ロールを弱く巻きすぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じるおそれがある。このようなことから、ロールの巻き強さを表すための因子として、ロール密度を規定した。
ロール密度が0.10g/cm3未満であると、巻直径DRが150mmを超えてしまい、キッチンタオルシートホルダー等に収まり難くなると共に、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して(ロールの保形性が劣り)、不良品となるおそれがある。ロール密度が0.30g/cm3を超えると、固巻きになってコアが潰れ易くなる。また、シートの吸水性が劣ったり、キッチンタオルシートに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が低下するおそれがある。
本発明のキッチンタオルロール10(キッチンタオルシート10x)は、凹凸を複数有する。この凹凸は、例えばエンボス加工により施すことができる。本発明では、シートが2plyの場合シングルエンボス又はダブルエンボスとなるが、ダブルエンボスが好ましい。もちろん、公知のダブルハイトのエンボスロールを用いたり、シングルエンボスを複数回、施すことができる。又、シートが1plyの場合、シングルエンボスとなる。
ダブルエンボス加工は、2プライのシートにそれぞれエンボス加工し、各シートのエンボスの凸面同士、または、凸面と凹面を対向させるように2プライに積層したものである。ダブルエンボスにすることで、紙厚や比容積を高くし易く、吸水性をより高くしやすい。また、ダブルエンボスにする際は、エッジエンボスや糊によって2プライにすることができるが、糊を使用するとエンボスの形状を保ちやすくできるため好ましい。また、ダブルエンボスとしては、ネステッドエンボスが好ましい。 また、エンボスパターン(エンボスの大きさ、深さ、個数、面積率)を適宜変更することができる。
なお、本発明のキッチンタオルロールを構成するシートのプライ数は限定されないが、2〜3プライが好ましく、2プライがより好ましい。
シングルエンボスは、図3に示すように、キッチンタオルシート10xの一方の面からのみ、エンボスロール151のエンボス凸部を押し当てて形成される。
図2は、キッチンタオルロール10(キッチンタオルシート10x)に設けられたシングルエンボス2を示す断面図である。なお、図2の例では、キッチンタオルシート10xは2プライからなり、図2の上部がロール表面10a側に対応する。キッチンタオルシート10xのエンボスロール151を押し当てた面(図2の表面)に凹部2R、裏面に凸部2Pが現れるエンボス(シングルエンボス)2が形成される。
なお、図2(a)はエンボス深さが深い場合、図2(b)はエンボス深さが浅い場合である。
又、図2(a)の場合、エンボス深さDを深くするには、その分だけシート1枚当りの紙厚t1を薄くして凹凸を顕著にする必要がある。
エンボス深さを確保できるよう、パルプ配合や叩解条件、クレープ率等により、エンボス処理前のシートの紙厚をコントロールすることができる。
図9(a)は、エンボス1個当たりの平均面積が1.0〜10.0mm2/個である場合を示し、個々のエンボス2の面積(大きさ)が適切であるので、ダブルエンボス(ネステッドエンボス)としたときに、各シート10a、10bに設けられたエンボス2が糊6を介して適度な隙間で重ねられ、シート間隙が大きくなって嵩高くなり、吸水性が高くなる。
一方、図9(b)に示すように、個々のエンボス2の面積(大きさ)が小さくなり過ぎると、ダブルエンボス(ネステッドエンボス)としたときに、各シート10a、10bに設けられたエンボス2がぴったり合わせられ、シート間隙が小さくなって嵩が低くなり、吸水性が低下する。
又、図9(c)に示すように、個々のエンボス2の面積(大きさ)が大きくなり過ぎても、ダブルエンボス(ネステッドエンボス)としたときに、各シート10a、10bに設けられたエンボス2がぴったり合わせられ、シート間隙が小さくなって嵩が低くなり、吸水性が低下する。
エンボス1個当たりの平均面積は、表側のシート10a平均面積と裏側のシート10bの平均面積の値が大きい方を採用する。
マイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR−3100」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR−H1A」を使用することができる。又、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更しても良い。
そこで、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから「輪郭曲線」Wを計算し、この輪郭曲線Wのうち、上に凸となる2つの変曲点P1,P2と、変曲点P1,P2で挟まれる最小値を求め、深さの最小値Minとする。さらに、変曲点P1,P2の深さの値の平均値を深さの最大値Maxとする。
ただし、図8に示すように、エンボス2が流れ方向(MD方向)につながっている場合、最長部aが巻長と同じになってしまい、高低差が得られず、凹部の深さDを測定できない。そこで、エンボス2が繋がる方向(MD方向)に直交する幅W方向に、エンボス2を跨ぐように線分A−Bを引き、凹部の深さDを測定することができる。
同様に、エンボス2が幅W方向(CD方向)につながっている場合、流れ方向(MD方向)に、エンボス2を跨ぐように線分A−Bを引き、凹部の深さDを測定する。
また、凹凸の凹部の深さDを求める際、任意の10個のエンボス(凹凸)2を選定する際には、キッチンタオルロール10の外巻の端部(キッチンタオルシートを使用し始める位置)から、キッチンタオルロール10の巻長の10%に当たる部分(例えば、巻長が30mの場合、端部から30m×10%=3mの部分)において、幅方向に沿って並ぶエンボス2の中から任意の10個を選ぶ。又、幅方向Wにエンボス2が10個未満しか存在しない場合は、そのエンボス2に隣接する外巻側又は内巻側のエンボス2の群の中から不足する個数のエンボスを選べばよい。なお、測定するエンボス2がミシン目に当たる場合は、ミシン目に隣接する外巻側のエンボス2の群を対象に測定する。
深さDが上記範囲より小さいと、凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が高くなり)、シートの吸水性を向上させることが困難な場合がある。深さDが上記範囲を超えると、凹凸が顕著になり過ぎて嵩が高くなり過ぎ(密度が低くなり過ぎ)、巻直径DRが大きくなり過ぎ、ペーパーホルダーにキッチンタオルロール10を装着し難くなる場合がある。
コアの固さが0.4mm未満であると、コアの生産性が劣ることがある。これは、コアの坪量が高い等の理由で強度が高くなり過ぎ、コア用のシートを筒状に曲げるのが難しくなるからである。コアの固さが7.0mmを超えると、キッチンタオルロールを製造した際、コアが潰れることがある。これは、コアの坪量が低い等の理由で強度が低くなり過ぎ、潰れやすくなるからである。
ロール密度が上記の範囲内であって、かつ、比が2.3mm/(g/cm3)未満であると、ロール密度に対するコアの固さの値が低く、コアの強度が必要以上に高くなり、コアのコストアップになることがある。
ロール密度が上記の範囲内であって、かつ、比が40.0mm/(g/cm3)を超えると、ロール密度に対するコアの固さの値が高く、コアが潰れやすくなることがある。
DMDTは、シート(キッチンタオルシート)10xのMD方向(幅Wに垂直な長手方向)を長さ200mmの長手方向とした短冊状で、幅Wを25mmとする試験片を切り出して測定する。引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mmとし、MD方向に引張速度300mm/minの条件で引っ張って測定する。この際、つかみ具とつかみ具の間隔100mmの部位にはミシン目を含まないようにする。また、シートにミシン目があって、つかみ具とつかみ具の間隔100mmを確保できない場合は、この間隔を{(ミシン目とミシン目の間のシート長さ)−(つかみ具でシートを保持する長さ×2)}mmとしても良い。
DCDTは、シート(キッチンタオルシート)10xのCD方向(幅Wに平行な長手方向)を長さ200mm(シート幅)の長手方向とした短冊状で、幅Wを25mmとする試験片を切り出して測定する。引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mmとし、CD方向に引張速度300mm/minの条件で引っ張って測定する。また、ロール幅(シート幅)が小さく、200mmを確保できない場合は、試験片の長さをロール幅としても良い。また、ロール幅(シート幅)が小さく、つかみ具とつかみ具の間隔100mmを確保できない場合は、この間隔を{(ロール幅)−(つかみ具でシートを保持する長さ×2)}mmとしても良い。
なお、キッチンタオルシートの抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
又、シートの紙厚が好ましくは1.0〜3.2mm/10枚、より好ましくは1.2〜2.5mm/10枚、更に好ましくは1.4〜2.0mm/10枚である。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲とすると、巻長、巻直径DRを上記範囲に調整し易くなるので好ましい。また、キッチンタオルシート使用時の吸水性が良好になる。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、エンボス条件を規定する。
比容積が4cm3/g未満であると、バルク(嵩高さ)が低下して水分の吸収性が劣ったり、シートの柔らかさが乏しくなる場合がある。一方、比容積が15cm3/gを超えると、シートのバルク(嵩高さ)は高くなるが、紙厚が高くなって巻直径が大きくなる場合がある。
シートの吸水度は、旧JIS−S3104法の吸水度に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で、製品プライ数のシートに0.1mlの水を滴下し、水滴がシートに吸収される時間(秒)を測定する。なお、吸水度が1.0秒未満の場合であっても、1.0秒とみなす。吸水度が5.0秒を超えると、吸水性が劣る場合がある。吸水度が1.0秒未満の場合であっても特に問題はない。
吸水量が130〜220Water−g/m2であることがより好ましく、150〜190Water−g/m2であることがさらに好ましい。
吸水量が3.6〜4.9Water−g/gであることがより好ましく、3.9〜4.5Water−g/gであることがさらに好ましい。
つまり、吸水量の単位として、Water−g/m2とWater−g/gの両方の好適な範囲を規定することで、コスト及び紙厚(嵩高さ)を両立しつつ吸水性を確保できる。
次に、市販のバットに、蒸留水を深さ1cm入れ、ホルダーにセットした試験片を蒸留水中に2分間浸漬する。2分浸漬後に試験片をホルダーと共に蒸留水から取り出し、図10に示すように、試験片200の1つの隅部200dに帯210を貼り付ける。帯210は、1plyの一般的なキッチンタオル紙製品を幅2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片の隅部200dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。
さらに、吸水量(Water−g/m2)を試験片の製品プライ数の坪量で割ることにより、吸水量(Water−g/m2)/製品プライ数の坪量(g/m2)=吸水量(Water−g/g)を算出する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用した。
なお、本測定は、JIS−P8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
本発明のキッチンタオルロールは長尺かつロール密度が上記範囲に規定されるので、ログソーのカット速度が10カット/min未満になるとバイアスカット(ロールが斜めに切れる)になって品質が劣る場合がある。一方、ログソーのカット速度が100カット/minを超えると、ログソーの刃が発熱しやすく、刃が変形し、キッチンタオルロールがバイアスカットになって品質が劣る場合がある。
なお、ログソーのカット速度はカット数であるので、ログの本数が変わっても変わらない。
バイアスカットの程度は、次のように測定する。まず、ロールの周方向の所定位置で、ロールの幅を1カ所測定する。次に最初の測定位置からロールを周方向に90度回転させて、同様にロールの幅を測定する。このようにしてロールの周方向にそれぞれ90度間隔で4カ所測定し、ロール幅の最大値と最小値の差をバイアスカットの程度とする。また、10ロール測定した平均値を用いる。
なお、エンボスロールの凹凸が深ければニップ幅を狭くし、エンボスロールの凹凸が浅ければニップ幅を広くすることで、凹凸の凹部の深さDを調整できる。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。又、このNBKPとLBKPのパルプ100質量部に対して、液体飲料カートン(牛乳パック、酒パック等)由来の古紙パルプを100質量部まで含むことができる。古紙パルプは品質的バラツキが大きく、配合割合が増えると製品の品質、特に柔らかさに大きく影響するので、このNBKPとLBKPのパルプ100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、最も好ましくは0質量部配合するのが望ましい。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。
差Δは、好ましくは0.0〜2.5ポイント、より好ましくは0.0〜1.5ポイント、さらに好ましくは0.0〜1.0ポイント、最も好ましくは0.0〜0.5ポイントである。白色度は、ISO 2470に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所社製 高速分光光度計CMS−35SPXを用いて測定できる。
キッチンタオルシートとして古紙原料を使用する場合も、上記バージン系の場合と同様の処理を行う。
キッチンタオルシートの製造方法の詳細については後述する。
まず、公知の抄紙機のワイヤーパート上で上記紙料からウェブを抄紙し、プレスパートのフェルトへ移動させる。ワイヤーパートの方式としては、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式、クレセントフォーマー式などが挙げられる。
そして、ウェブに対し、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロール又はプレスロールなどで機械的に圧縮をしたり、あるいは熱風による通気乾燥などの脱水方法により脱水を続ける。また、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロールは、プレスパートからヤンキードライヤーにウェブを移動させる手段としても使用される。
クレーピング(クレープと言われる波状の皺をつけること)は、紙を縦方向(抄紙機上のシート走行方向)に機械的に圧縮することである。そして、キッチンタオルシートのウェブの製造の際、クレーピングドクターによりヤンキードライヤー上のウェブが剥がされ、リールパートで巻き取られるが、ヤンキードライヤーとリールパートの速度差(リールパートの速度≦ヤンキードライヤーの速度)によりクレーピングドクターにてクレープ(皺)が形成される。
キッチンタオルシートに必要な品質、すなわち嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などは上記速度差で左右される。上記速度差等の条件にもよるが、クレーピング後のリール上のウェブの坪量は2プライの場合で概略14〜30g/m2となり、クレーピング前のヤンキードライヤー上のウェブの坪量より重くなる。上記坪量は、好ましくは17〜27g/m2、より好ましくは20〜24g/m2ある。上記範囲を超えると、強度が高くなって紙がゴワゴワする場合があり、上記範囲未満であると、強度が弱くて破れやすくなったり、吸水性が劣る場合がある。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
品質や操業性の良し悪しはこのクレーピングの条件で大方決まり、クレーピング条件を最適とする操業条件が当業者にとって重要な事項となる。本発明においてキッチンタオルシートを製造する際のクレープ率は好ましくは10〜50%、より好ましくは15〜40%、最も好ましくは20〜35%である。
又、表1,2に示したエンボス処理後のキッチンタオルシートの紙厚は図2の紙厚t2に相当するが、測定荷重3.7kPaで測定した値であるため、紙厚t2を正確に反映したものではない。
一方、凹凸の凹部の深さ(エンボス深さ)Dはエンボスを圧縮しない生成りの状態での値を測定している。従って、凹凸の凹部の深さDは紙厚t1、t2から計算される値(この値は、エンボスを測定荷重3.7kPaで圧縮した値である)よりは大幅に大きい。
乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDT:JIS P8113に基づいて、キッチンタオルシート(製品プライの状態)につき、破断までの最大荷重を測定した。具体的な試験片及び測定方法は既に述べた通りである。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、製品のプライ数当たりとした。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、カレンダー処理前及び後のウェブ、ロールについてはいずれも、シートを10枚(2プライの場合5組)重ねて測定を行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
コアを含まないロールの質量及びコアの質量:電子天秤を用いて測定した。まず、コアを含むロール質量を測定し、その後、ロールからシートを取り去り、残ったコアの質量を測定した。コアを含むロール質量から、コアの質量を差し引き、コアを含まないロール質量とした。ロール質量は、10個のロールを測定し、測定結果を平均して1個当たりの値を求めた。
ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロール密度、エンボス深さD、コアの見かけの坪量、コアの固さ、吸水量は上述の方法で測定した。なお、ロール密度は、ロールの巻直径DRの測定に用いた10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
巻長:ミシン目とミシン目の間のシートについて、10シート分の長さを実測した。その後、ロールのシート数を実測した。その後、10シート分の長さとシート数から比例計算で求めた。例えば、10シート分の長さが1.30m、シート数が300シートの場合、1.30m×(300/10)=39mとなる。
なお、坪量、引張強さ、厚さ(紙厚)、ロールの質量及びコアの質量、比容積、巻直径DR、コア外径DI、コアの固さ、吸水量、ロール密度、巻長、エンボス深さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
さらに、シートの強度(DMDT)を8〜30N/25mmとした各実施例の場合、シートの強度(DMDT)が8N/25mm未満の実施例23に比べ、シートの破れにくさがより優れていた。但し、実施例23も実用上問題はない。
また、シートの強度(DMDT)を8〜30N/25mmとした各実施例の場合、シートの強度(DMDT)が30N/25mmを超えた実施例24に比べ、シートの吸水性がより優れていた。但し、実施例24も実用上問題はない。
巻長が65mを超え、巻直径が150mmを超えた比較例2の場合、ロール径が大きくなってキッチンタオルシートホルダーに収まり難くなった。
コアの見かけの坪量が550g/m2を超えた比較例4の場合、コアの強度が必要以上に高くなり、コアのコストアップになったり、コアの生産性が劣った。
10 キッチンタオルロール
10x キッチンタオルシート
D エンボス深さ(凹部の深さ)
Claims (7)
- 一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有するキッチンタオルシートをロール状に巻き取ったキッチンタオルロールであって、
巻長が15〜65m、巻直径が85〜150mm、コアの見かけの坪量が200〜550g/m2、
ロール密度が0.10〜0.30g/cm3 、
前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm 2 )を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm 2 のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm 2 のときの押し込み深さをTmとして、(Tm−T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.4〜7.0mmであるキッチンタオルロール。 - 前記凹凸の凹部の深さが0.03〜0.55mmである請求項1記載のキッチンタオルロール。
- ロール幅200mm当たりの前記コアの質量が4.3〜13.0gである請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール。
- (前記コアの固さ)/(前記ロール密度)で表される比が2.3〜40.0mm/(g/cm 3 )である請求項1〜3のいずれか一項に記載のキッチンタオルロール。
- 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが8〜30N/25mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のキッチンタオルロール。
- 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが3〜12N/25mmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のキッチンタオルロール。
- 前記凹凸がエンボスである請求項1〜6のいずれか一項に記載のキッチンタオルロール。
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