JP6971122B2 - 鉄筋定着方法及びそのための孔目荒装置 - Google Patents

鉄筋定着方法及びそのための孔目荒装置 Download PDF

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Description

本発明は、既設コンクリート躯体に、後付で鉄筋を取り付ける技術に関する。
耐震補強のために既設のコンクリート躯体に新たにコンクリート構造物を設けて一体的に接合する補強工事などが行われている。
既設コンクリートに鉄筋を後付けて、新設コンクリート構造物を既設のコンクリート躯体に取り付けるための手段としては、まず、母材としてのコンクリートの表面に振動ドリルあるいはハンマードリルなどにより孔を削孔して、この孔内をきれいに清掃し、次いで孔内に充填剤を挿入したのち、鉄筋等のアンカー部材を孔内に挿入して充填剤を硬化させる方法がある。
後付け鉄筋取り付け用孔を削孔する手段として、超硬チップを装着した振動ドリル、ハンマードリルなどが多用されてきたが、これらのドリルによる削孔作業は振動による作業者の疲労度が大きく作業効率が悪い、あるいは粉塵と大騒音を発するなどの理由から作業環境が悪く、都市部では利用しがたい。
削孔手段としてダイヤモンドコアビットを用いたコアドリルによる削孔があるが、コアドリルで削孔した孔は、内周壁面が平滑になることから、超硬チップ付の振動ドリルやハンマードリルで削孔した内周壁面が荒い孔に較べて、孔内壁面に対する接着剤の付着力が弱く、要求される最大荷重及び付着強度等の半分以下の値でしかなく、そのままでは十分な強度が得られない。一方、後付け用の鉄筋は孔に充填される充填材との付着も確保される必要があるが、異形鉄筋など凹凸が鉄筋にはあって充填剤との付着力は十分確保される。
孔の内周壁面との付着を確保するために溝状の凹みや目荒しを施す手段が執られていた。例えば、孔の壁面にリング状溝やらせん状溝を形成する方法が特許文献1(特開2000−141358号公報)、特許文献2(特開2014−156734号公報)に開示されている。
また、壁面を目荒して、目荒し状態を計測する技術が特許文献3(特開2015−4589号公報)に開示されている。
特開2000−141358号公報 特開2014−156734号公報 特開2015−004589号公報
本発明は、目荒し状態を事後確認することなく、十分な付着強度が得られる目荒し処理技術を開発することを目的とする。
本発明は、目荒し状態がばらつきなく十分な付着強度が得られる小さな凹凸の目荒し方法を開発することにより実現した。
本発明の主な構成は次のとおりである。
1.コアドリルで削孔する工程、削孔された孔壁を目荒装置で目荒しする工程、充填材を孔内に充填し、定着筋を孔に挿入し、充填材を養生する工程と、を備えた、既設コンクリート躯体に鉄筋を定着する方法であって、
目荒しする工程は、目荒装置の目荒し工具の回転速度と孔内移動速度を管理することを特徴とする鉄筋定着方法。
2.削孔後、目荒し工具をコアドリルと交換することを特徴とする1.記載の鉄筋定着方法。
3.充填材として、揺変性の高い材料を用いることを特徴とする1.または2.記載の鉄筋定着方法。
4.既設コンクリート躯体に鉄筋用に削孔された孔の内壁面を目荒しする装置であって、
目荒し工具を回転するモータと目荒し工具を移動させるモータとを備え、
目荒し工具回転用モータは、回転数が調整可能であり、
目荒し工具移動用モータは、インバータによる送り制御機能付きであることを特徴とする目荒装置。
5.目荒し工具は、押し出しバネによって棒状体の側面から目荒しチップが突出する棒状体であることを特徴とする4.記載の目荒装置。
6.鉄筋用に既設コンクリート躯体に削孔する工具がコアドリルであり、目荒し工具の外径はコアドリルの外径とほぼ同一であることを特徴とする4.又は5.記載の目荒装置。
1.目荒し状態がばらつきなく十分な付着強度が得られる小さな凹凸の目荒し方法を開発して、目荒し状態を事後確認することなく、十分な付着強度が得られる目荒し処理技術を開発することができた。
2.コアドリルで削孔し、削孔した孔を目荒装置で目荒しする際に、目荒し工具の回転速度と孔内の移動速度を制御して管理することにより、一定の凹凸の目荒し状態に仕上げることにより、孔壁面と充填材との付着強度を確保したものである。
3.目荒し工具の回転制御とインバータによる目荒し工具の送り制御を行うことにより、目荒し状態の品質を一定にする目荒装置を実現した。
4.目荒しチップをバネ圧で押し出すことにより、小さな凹凸の目荒しができる目荒し工具を開発した。
コアドリルで削孔するので静かな作業であり、バネ圧で押しつけるので均一な壁面押圧によって、既設コンクリートの硬さに応じて一定の目荒しができる。また、コンクリートの硬い骨材部分では、チップは引っ込み、目荒し工具の破損や摩耗を低減できる。
5.コアドリルと目荒し工具の外径をほぼ一致させることにより削孔装置のコアドリルを目荒し工具に差し替えることができ、改めて芯だしすることなく、目荒しする装置とすることができる。
6.本発明の目荒し方法及び目荒装置を用いることにより、既設のコンクリート躯体に設ける後付け鉄筋は、設計強度を十分にクリアする付着強度を発揮できる。設計強度は、新設コンクリート部材と定着筋が分離しない強度に設定するので、本発明による後付け鉄筋と孔壁面との付着強度は、新設の定着筋の固定強度と同程度を実現している。
ビルやトンネルなど大型のコンクリート構造物の補強に用いられるコンクリートに埋設する異形棒鋼の例は、径10mm以上で定着長は、必要付着強度で決定される。この後付け鉄筋は、既設コンクリート躯体の壁面や梁、柱、床などに多数設けられるので、目荒し処理の仕上がり状況を一つ一つ確認するために計測することは、人手がかかり、不良の場合は再度目荒し処理することになると更に手間がかかる。
本発明は、目荒し処理を標準化することができるので、品質確認のための作業が不要となり、施工手順を省略化することができる。
工程図 目荒装置の例を示す図 目荒装置の要部拡大図 目荒し工具とコアビットの例を示す図 目荒しの有無の比較図 目荒し処理の概略図 孔壁粗さの確認方法の概略を示す図 目荒しの状態計測例を示す図 目荒し粗さ測定例を示す図 目荒し状態図 目荒し送り制御と目荒し長の確認試験結果を示す図 孔壁定着強度(引き抜き強度)試験結果を示す図
本発明は、既設のコンクリート躯体と新設のコンクリート構造物を十分な強度で一体的に連結するため用いられる後付け鉄筋を設けることである。既設のコンクリート躯体と新設のコンクリート構造物が分離しないように一体化するには、新設側の連結筋の強度と同程度を確保することが重要である。
本発明は、目荒し工具の回転と進行速度を制御することにより、平滑な孔壁面に十分な付着強度が得られる小さな凹凸の目荒しを実現した鉄筋の定着方法である。
本発明は、既設のコンクリート躯体にコアドリルで削孔し、削孔した孔を目荒装置で目荒しする際に、目荒し工具の回転速度と孔内の移動速度を制御して管理することにより、一定の凹凸の目荒し状態に仕上げ、孔壁面と充填材との付着強度を確保したものである。
十分な付着強度がどの程度の目荒し程度で実現できるかは、対象の既設コンクリート躯体で事前に試行して設定することができる。
用いる目荒し工具は、孔壁に均一に押圧して回転する工具で小さな凹凸を壁面に形成することができるものを用いる。例えば、コアドリルで削孔した孔の径と同径でバネで押し出すように内蔵されたビットを側面に設けた工具である。バネ圧で押し出されたビットは反力を工具の反対面が孔の壁面で受けるので、ビットは均一に孔壁を均一に押圧することができる。
定着筋としては、異形棒鋼などあるが、通常後施工アンカー用に使用する棒状材を使用することができる。また、先端に小円径プレートが取り付けられた鉄筋を用いれば、付着強度が向上する。
孔に注入する充填材としては、揺変性の高い材料が適している。揺変性すなわちチクソトロピーに優れた材料は、力が加えられない状態では形状を保ち、力が加わった場合に形状が容易に変化する材料である。例えばチクソトロピー性に優れたモルタルは、目荒しした孔壁の凹凸あるいは異形棒鋼の凹凸への馴染みが良く、充填性が確保でき、定着不良を低減できる。
本発明は、一定にコントロールされた目荒し処理により、標準化された目荒し処理済み後付け鉄筋挿入用孔ができる。目荒し処理後、目荒し状態の計測などの確認工程を行う必要がなく、既設コンクリート躯体に設けた後付け鉄筋でも新設コンクリート体に設けられたアンカーと同程度の付着強度が得られる。
本発明は、削孔をコアドリルで行うことにより、振動及び騒音を抑えることができ、目荒装置も低振動、低騒音であるので、都市部の工事や共用している建物などでの既設コンクリート構造物の補強工事に適している。もちろん都市部以外でも使用でき、低騒音の作業環境が実現する。
後付け鉄筋は、既設コンクリート躯体の柱、梁、床、壁など増し打ちする新設コンクリート構造物としっかり接合して、一体化する箇所に設けられる。
<工程>
本発明の鉄筋定着方法に関するフローの例を図1に示す。
ステップ1は、既設コンクリート躯体100にコアドリル25を用いて孔105を削孔する工程である。
ステップ2は、孔105に対して、目荒し工具2の先端に取り付けた目荒しビット5を侵入させて目荒しして、目荒し孔110を形成する工程である。
目荒し工具の回転速度と孔内への侵入速度は一定に管理されている。
また、ステップ1で用いたコアドリルの先端を目荒し工具に交換することによって、孔軸合わせをする必要がなく目荒し作業を行うことができる。
ステップ3は、充填材であるモルタル26を目荒し孔110へポンプなどを用いて注入し、充填する工程である。
揺変性の高いモルタルを用いると、充填の際には、目荒し孔の凹凸になじみが良く、また、後工程の定着鉄筋を挿入する際には、鉄筋の凹凸になじみが良く、モルタルは孔壁面と鉄筋表面の双方としっかり密着して、定着性能を発揮する。
ステップ4は、定着鉄筋10をモルタルが充填された目荒し孔110へ挿入し、モルタルを養生して、定着鉄筋10を既設コンクリート躯体100に固定して、後付け鉄筋とする工程である。
<目荒装置>
目荒装置の例を図2、図3に示す。図2は、目荒装置の全体図を示し、図3は、要部を示している。
目荒装置1は、ベース基台61に支柱6が立設されており、支柱にスライドブロック7を取付け、スライドブロック7の上部には高周波モータ3が取り付けられており、スライドブロックの下方には高周波モータ3の出力軸に着脱自在に取り付けられる目荒し工具2が取り付けられている。目荒し工具2の先端に目荒しビット5が取り付けられている。また、スライドブロックにはスライドブロックを送る自動送り用モータ4が取り付けられている。自動送り用モータ4を制御するモータ制御機能付きインバータ8を備えている。
また、穿孔する周囲には水処理バットが設けられ、目荒し作業時に供給する水の拡散防止とする。
目荒装置1は、指定された削孔箇所にあわせてベース基台61をあわせて、アンカーボルト62を打ち、高さ調整ねじ63で調整してセットする。コアドリルで穿孔される削孔径は、10mm〜100mmほどで、大型の孔もあるので、ベース基台61をしっかり固定して、安定した状態で、孔に正確に目荒し工具を挿入する。
図3は、目荒装置1を試験体9に適用している状態を表している。隣接する試験体に跨ってベース基台61がセットされており、目荒し工具2が試験体9に進入している。モータ制御機能付きインバータ8に制御された自動送り用モータ4がスライドブロック7を支柱6に沿って定速で降下して目荒し工具2が試験体9に進入する。また、目荒し工具2は、高周波モータ3によって、定速で回転している。
コンクリートは、既設コンクリートによって硬度は異なるが、コンクリートの品質は一定であるので、目荒し工具の回転速度と移動速度を定速に管理することにより、骨材部を除き孔壁全体に一様に一定の小さい凹凸が形成されることとなる。回転速度を一定として、移動速度を低速、中速、高速とすると、低速の方が大きな凹凸が形成されることとなる。回転数は、高速の方が孔壁に形成される凹凸は大きくなる。
孔壁(充填材−既設コンクリート間)の付着性能確保は、必要となる孔壁の凹凸が形成可能なモータ回転数と移動速度の最低値以上に設定して、施工する。その凹凸が形成可能な最低値は、試験施工して確認して得ることができる。実施工時は、最低値以上の数値を管理値として目荒しを実施すれば性能が確保されることとなる。
この管理値は、モータ回転数と孔壁内の目荒し工具移動速度であり、モータの管理は非常に容易である。目荒し工具を回転させるモータの回転数は100〜5000rps程度が好適で、コンクリート強度・硬さなどにより選択される。目荒し工具を軸方向に移動させる速度は、100mm/分〜1000mm/分程度が好適で、モータ回転数やコンクリート強度・硬さなどにより選択される。
一般的にコンクリートは、圧縮強度が高くなるとヤング係数が大きくなり、硬くなることになる。コンクリート強度に対応して目荒装置の目荒し工具を回転させるモータ回転数と目荒し工具を移動させるモータの移動速度を決めておくことにより、実施工管理値を設定しておくことができる。実施工時には、コンクリート硬さに応じた管理値に制御することができることとなる。そして、孔壁での凹凸性能が確保され、必然的に要求されている孔壁(充填材−既設コンクリート間)の付着性能も確保されることになるので、目荒し処理後に仕上がり状態を計測するなどの管理は必要ない。
モータの回転は、機器固有であり一定の回転数が電気的に維持可能であり、その維持も容易である。また、孔内で目荒し器具を移動させる場合、スライドブロックを移動させるための自動送り用モータ、および、そのインバータを使用することが好適である。目荒し時に自動送り機を使用することは、目荒し処理の最初から最後まで一定速度が人力の場合よりも容易に維持でき、孔壁の凹凸の品質確保に非常に有効である。
削孔と目荒しの作業は、水を使用しない乾式で実施することも可能であるが、少なくとも目荒し作業は水を使用した湿式による作業が好適である。湿式で行うことにより目荒しと同時に孔壁の清掃も実施することになるので、付着性能の品質安定性が確保できる。
目荒し器具を孔内に進ませるのは、孔の入口側から奥側に動かす場合と、最初は回転させず奥側に器具を設置し、孔奥側から入口側に動かす場合がある。
<目荒し工具>
目荒し工具の例を図4に示す。目荒し工具の例を(a)に示し、参考にコアドリルの先端部であるコアビットの例を(b)に示し、目荒しビットの拡大図を(c)に示す。
目荒し工具2は、ロッドであるシャンクの先端に目荒しビット5が着脱可能に取り付けられている。図に示される例では、目荒しビット5の円筒の周面にダイヤモンドを取り付けた目荒しチップ51が取り付けられている。目荒しチップ51は、バネで押し出されるように出没自在に取り付けられており、孔の壁面にバネの強さによって一定の力で押しつけられて、目荒しする。この目荒しチップ51は、孔壁のコンクリートの骨材などの抵抗に応じて出没する。
コアビット55はロッドの先端に取り付けられており、先端にチップが取り付けられている。穿孔が終了してのち、ロッドの先端のコアビット55を目荒し工具に交換するか、予め目荒しビットを取り付けたロッドを高周波モータの出力軸に取り付けて使用することができる。
目荒し工具の目荒しビットがバネ式の突起部である場合、バネ強さは最適な強さが選択可能となる。バネ強さは突起部が孔壁に押し付けられる強さであり、コンクリートを削る強さとなる。この強さを強くすることで、孔壁の凹凸形状が大きくなる。より高い付着性能を確保する(凹凸を大きくする)ためには、バネ強さを強くすることも手段の1つである。バネの強さの管理は、容易であり、性能確保が経済的にできる。
孔壁に対する目荒しの有無を比較した状態を図5に示す。
コアビットで穿孔した孔壁面が示された図5(b)では、少し凹みがあるが全体として平滑である。これを、目荒しビットを用いて目荒しした図5(a)では、一部平滑な部分があるが、全体に凹みが形成されていることがわかる。
<充填材>
充填材の種類は問わないが、硬化前の特性としてチクソトロピー性(揺変性)に優れた材料の使用が好適である。
チクソトロピー性に優れた材料は、力が加えられない状態では形状を変化させず、力が加わった場合に形状が容易に変化する材料である。例えば、孔内にモルタルを充填し定着筋を挿入する施工の場合、チクソトロピー性が優れることで、形成した孔壁の凹凸、または、異形棒鋼等の凹凸部への充填性に優れ、確実な接着施工ができる。
<定着筋>
定着筋は、異形棒鋼が適しており、定着筋表面の付着が確保されるのであれば、異形棒鋼以外の材料も使用できる。材質は鋼材以外の材料でもよい。
定着筋は、先端が寸切り、あるいは、先端に小径円形プレートを設けたものが使用される。先端に円形プレートが設けられた定着筋は引き抜き抵抗が大きくなるので、小口径あるいは孔の長さを短くすることができる。
小径円形プレート(定着板)の材質は鋼材が適し、摩擦圧接や溶接等、定着筋の引張力が定着板に確実に伝達される方法で接合される。
定着筋先端の定着板径は、一般的な主筋定着に用いられている支圧抵抗を期待する「頭付定着(機械式定着)」の定着板径が定着筋径の2.5倍程度であるのに対して、1.5〜2.0倍程度が好適である。これは、本発明の抵抗機構では、定着筋の付着抵抗が卓越し、支圧抵抗を過大に確保する必要がないためである。これにより、過大な径の削孔を設ける必要も無くなる。
本発明では、定着筋の引張力を確実に伝達するものであるが、引張力と同時にせん断力を伝達する場合も当然ながら適用できる。
<目荒し試験方法>
1.削孔した孔に目荒し処理する。
図6(a)に示すように、既設コンクリート躯体に相当する試験体9に対してコアドリルで穿孔し、穿孔した孔105に目荒装置1をセットする。
図6(b)に示すように、目荒しビット5を定速で回転させながら、孔105へ一定速で移動させて、孔壁を目荒しして、目荒し孔110とする。
穿孔した孔は、41mm径・591mm長56mm径・960mm長である。
目荒しビット5は、図4に示した、バネ押し出しチップを1個設けたものである。
目荒しビット5の送り速度は、低速(遅速)200mm/min、標準(中速)350mm/min、高速(早速)500mm/minとした。
2.目荒し処理された孔壁の粗さを確認する。
図7に示すように、試験体9から目荒し孔110を含む円筒形のコア111を切り出す。
コア111を縦方向に2分割して、目荒しされた孔壁を露出させる。
半断面にされた切断コア114の中心部に表れる目荒し処理された孔壁を計測する。
3.目荒し孔壁の粗さ計測
目荒し面の粗さの計測方法は、自乗平均粗さHrmsや中心線平均粗さHaveを使用することができる。例えば、自乗平均粗さHrmsによる計測方法を図8に示す。
<目荒し粗さ試験結果>
Fc15のコンクリートに削孔した径55mmの孔に目荒し処理した孔壁の粗さを計測した例を自乗平均で図9に示す。回転速度を一定とし移動速度を変化させた目荒し処理と目荒し無しの孔壁を測定した結果であり、目荒し処理しない孔壁に対して、1・8〜2倍強の粗さが得られていることが示されている。移動速度が遅い方が、粗さが大きくなっている。
41mm径の目荒し処理孔壁面の写真を図10に示す。
目荒し状態は、一様に荒らされており、移動速度が遅い方が、深くなっている様子がわかる。これによって、目荒し工具の移動速度が遅い方が充填材と孔壁面との付着力も大きくなることが裏付けられる。
<目荒し工具送り制御試験>
目荒し工具の送り速度を、インバータ制御によって調整できることを確認する試験を行った。
目荒し長さと目荒し時間の関係を、計算値と実測値にて表記した。
インバータ周波数の設定は、30Hz、50Hz、70Hzとした。
例えば、目荒し時間(sec)は次のようになる。使用するスライドブロック・自動送り機のインバータの周波数によって、次のように目荒しの送り速度が計算上求まる。

式1 目荒し時間(sec)=削孔長さ(mm)/送り速度(mm/sec)
式2 =削孔長さ(mm)/(1400/60/240×60×インバータ周波数(Hz)/50)
式3 =(削孔長さ(mm)/(7×インバータ周波数(Hz)))×60

試験結果を図11に示す。
実線が計算値であり、○が実測値である。両者の関係は良く整合している。目荒し時間に比例して目荒し長が増加しており、また、インバータ周波数を高くすることにより、目荒し長が大きくなっていることが示されている。
これによって、インバータ周波数制御によって、目荒し工具の送り速度を調整、管理することができることが示される。
例えば、本試験に用いた機器を使用した場合、荒しビットの送り速度は、インバータ周波数30Hzとすると、目荒し時間は、下記で求まる1分間に200mm送るなどと設定することができる。

目荒し時間(sec) =(削孔長さ(mm)/200(mm))×60
<付着性能試験>
(試験仕様)
本発明であるコアドリルによる穿孔、目荒装置によって目荒し処理した孔に充填剤を注入し、鉄筋を挿入して養生して作成した試験体を用いて、引き抜き試験を行い、孔壁の付着強度試験を行った。比較例として従来のドリル(改良型削岩機)を用いた。コンクリート強度は、試験結果に示すとおりである。
(1)目荒し処理:インバータ制御による自動送り高低の2種類
低:送り速度約200mm/min
高:送り速度約500mm/min
(2)試験体:
・鉄筋:径:D32、定着板有り、無しの2種類
・定着長:7d
・孔径:鉄筋D32−孔径56mm
・試験体数:5
(3)比較試験体(従来のドリル(改良型削岩機)削孔)
孔径:55mm
(試験結果)
図12に鉄筋径D32の引き抜き試験の結果と設計強度の関係を示す。比較として、従来のドリル(改良型削岩機)を示す。図12は実験付着強度(eτbsueτbhu)と躯体コンクリート強度(σB)の関係を示している。縦軸を孔壁表面の平均付着強度(eτbhu=Pu/(π・H・la), H:削孔径)としており、挿入型・定着板有の実験結果を示している。
孔壁表面の付着強度eτbhuが、定着筋表面(先付)の付着強度とほぼ同等である。
孔壁表面の付着強度eτbhuは、先付けの設計値の概ね2.0倍(2.0・K・fb)を超える傾向である。
したがって,特殊コアドリル+目荒装置による削孔と目荒しは、従来のドリル(改良型削岩機)による削孔と同様な性能を有しており、先付けの設計強度に対して十分な安全性を発揮している。
また別途試験した、後付け鉄筋の定着強度は、先付け鉄筋の定着強度と同程度あることが確認されている。
したがって、既設のコンクリート躯体に新設のコンクリート構造物を分離しないように接合する付着強度が求められるのであるから、設計強度を満足することは、十分に先付けに埋設された鉄筋の付着強度を十分に満足することとなる。
1 目荒装置
2 目荒し工具
25 コアドリル
26 充填材
3 高周波モータ
4 自動送り用モータ
5 目荒しビット
51 目荒しチップ
55 コアビット
6 支柱
61 ベース基台
62 アンカーボルト
63 高さ調整ねじ
7 スライドブロック
71 ハンドル
8 自動送り用モータ制御機能付きインバータ
9 試験体
10 定着鉄筋
100 既設コンクリート躯体
105 孔
110 目荒し孔
111 コア
113 切断
114 切断コア
115 目荒し処理された孔壁
116 水処理バット

Claims (6)

  1. コアドリルで削孔する工程、削孔された孔壁を目荒装置で目荒しする工程、充填材を孔内に充填し、定着筋を孔に挿入し、充填材を養生する工程と、を備えた、既設コンクリート躯体に鉄筋を定着する方法であって、
    目荒しする工程は、目荒装置の目荒し工具の回転速度と孔内移動速度を管理することを特徴とする鉄筋定着方法。
  2. 削孔後、目荒し工具をコアドリルと交換することを特徴とする請求項1記載の鉄筋定着方法。
  3. 充填材として、揺変性の高い材料を用いることを特徴とする請求項1または2記載の鉄筋定着方法。
  4. 既設コンクリート躯体に鉄筋用に削孔された孔の内壁面を目荒しする装置であって、
    目荒し工具を回転するモータと目荒し工具を移動させるモータとを備え、
    目荒し工具回転用モータは、回転数が調整可能であり、
    目荒し工具移動用モータは、インバータによる送り制御機能付きであることを特徴とする目荒装置。
  5. 目荒し工具は、押し出しバネによって棒状体の側面から目荒しチップが突出する棒状体であることを特徴とする請求項4記載の目荒装置。
  6. 鉄筋用に既設コンクリート躯体に削孔する工具がコアドリルであり、目荒し工具の外径はコアドリルの外径とほぼ同一であることを特徴とする請求項4又は5記載の目荒装置。
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