本発明は、医学の分野、具体的には、心血管疾患の治療及び予防の分野に関する。
心血管疾患は、依然として、死亡の最多原因の1つである。複数のリスク因子が同定されている。これらのリスク因子の低減は、心血管疾患による死亡率を有意に低減させてきた。高い血中コレステロールレベル、とりわけ高レベルの低密度リポタンパク質(LDL,low-density lipoproteins)は、重要なリスク因子として同定されている。過去数十年にわたって、スタチン、ナイアシン、そのエイコサペンタエン酸(eicosapentaenic acid)コンジュゲート(ARI−30337MO)等のナイアシン誘導体、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、及びコレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)等の複数の薬物治療が、これらの血中コレステロールレベルを低下させるために開発されてきた。良い治療法を取得するための直近の取り組みは、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9,proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害剤、コレステロールエステル転送タンパク質(CEPT,cholesteryl ester transfer protein)阻害剤、ベンペド酸(デュアルアデノシン三リン酸クエン酸リアーゼ阻害剤/アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼアクチベーター)、アポリポタンパク質B(Apo B,apolipoprotein B)阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR,peroxisome proliferator-activated receptor)デルタアゴニスト、アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ阻害剤及びアンジオポエチン様3(ANGPTL3,angiopoietin-like 3)阻害剤に焦点を当てている(Traci Turner and Evan A. Stein, Clinical Therapeutics (2015). DOI: 10.1016/j.clinthera.2015.09.004;Sahebkar and Watts, Clinical Therapeutics (2013) 35(8): pages 1082-1098. doi: 10.1016/j.clinthera.2013.06.019)。これらの治療選択肢のうち、スタチンが、これまでのところ主な心血管事象におけるリスクを低下させるのに最も有効であると思われる。
3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−補酵素Aレダクターゼ(時に、HMG−CoAレダクターゼ、又はHMGCR、又はHMGRと略される,3-Hydroxy-3-methyl-glutaryl-coenzyme A reductase)(Haines, B.E., Wiest O, and Stauffacher C.V. (2013) Accounts of chemical research 46:11 2416-2426)は、メバロン酸経路、コレステロール及び他のイソプレノイドを産生する代謝経路の、律速酵素(NADH依存性、EC 1.1.1.88;NADPH依存性、EC 1.1.1.34)である。3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル部分は、多くの場合、ヒドロキシメチルグルタリルと称されるか、又はHMGと略される。補酵素Aは、日常的にCoAと略される。HMG−CoAは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A、メバロン酸及びケトン体生成経路における中間体である。本明細書において、この触媒実体を、概してHMG−CoAレダクターゼと称するものとする。
ミトコンドリア複合体IIIは、「補酵素Q:シトクロムc−酸化還元酵素」として、又は「シトクロムbc1複合体」としても公知であり、時に、複合体IIIと称される(Drose S, and Brandt U., Adv. Exp. Med. Biol. (2012) 748: pages 145-169 doi: 10.1007/978-1-4614-3573-0_6)。これは、電子伝達鎖における第3の複合体(EC 1.10.2.2)であり、ATPの生化学的発生(酸化的リン酸化)において重大な役割を果たしている。複合体IIIは、ミトコンドリア(シトクロムb)及び核ゲノム(他のすべてのサブユニット)の両方によってコードされる、マルチサブユニット膜貫通タンパク質である。この文書において、この触媒実体を、概して複合体IIIと称するものとする。
多くのスタチンが公知であり、市販されている。いずれも、ジヒドロキシペンタン酸部分の1種である一般式IVのHMG様部分を共有し、これは、一般式Vの不活性ラクトン形態で存在していてよい。インビボで、これらのラクトン(V)は、時に酵素的に加水分解されて、再度それらの活性カルボン酸形態(IV)となることができる。活性カルボン酸形態(IV)は、また、ウリジン5’−ジホスホ−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT,uridine 5’-diphospho-glucuronosyltransferase)によって不活性ラクトン(V)に変換することができる(Prueksaritanont, T., Subramanian, R., Fang, X., Ma, B., et al. (2002) Drug Metab. Dispos. 30, 505-512)。
スタチンは、概して、一般式IV又はVのHMG様部分と共有結合的に連結している剛性疎水性基を共有する。これらの基は、一般式IV及びVにおいて描写されているR’位に存在する。ロバスタチン(メバコール、アルトコール又はアルトプレブとしても公知である)、プラバスタチン(プラバコール、セレクチン又はリポスタットとしても公知である)、及びシンバスタチン(ゾコー又はライペックスとしても公知である)は、メバスタチン(コンパクチンとしても公知である)の置換デカリン環構造と類似している。フルバスタチン(レスコール又はレスコールXLとしても公知である)、セリバスタチン(リポベイ又はバイコールとしても公知である)、アトルバスタチン(リピトール又はトルバストとしても公知である)、ピタバスタチン(リバロ又はピタバとしても公知である)、及びロスバスタチン(クレストールとしても公知である)は、異なる基が一般式IVのHMG様部分と連結している完全合成HMG−CoAレダクターゼ阻害剤である。これらの異なる基は、その性質において、非常に疎水性(例えば、セリバスタチン)から部分的に疎水性(例えば、ロスバスタチン)までの範囲にある。
すべてのスタチンは、基質HMG−CoAの結合に関してはHMG−CoAレダクターゼの競合阻害剤であるが、NADPHの結合に関してはそうではない(A. Endo, M. Kuroda, K. Tanzawa, FEBS Lett. 72, 323 (1976))。スタチンのIC50値は、次のとおり、5〜46nMの範囲内である:プラバスタチン(46nM)、フルバスタチン(28nM)、シンバスタチン(11nM)、セリバスタチン(10nM)、アトルバスタチン(8nM)、ピタバスタチン(7nM)、ロスバスタチン(5nM)(K. Kajinami, N. Takekoshi, Y. Saito (2003) Cardiovascular Drug Reviews Vol. 21, No. 3, pp. 199-215;ES Istvan and J Deisenhofer, Science (2001) 292(5519):1160-1164)。HMG−CoAに対するそれらのミカエリス・メンテン定数、Kmは、約4mMである(K. M. Bischoff, V. W. Rodwell, Biochem. Med. Metab. Biol. 48, 149 (1992))。
スタチンは、ヒト肝臓におけるコレステロール生合成経路の律速酵素であるHMG−CoAレダクターゼの阻害によって、全身のコレステロールレベルを低下させ、内因性の肝臓のコレステロール産生の減少につながる。心血管リスク因子を低下させる際におけるそれらの効能により、スタチンは、世界中で何億人もの患者によって使用される。それらは概して忍容性良好であるが、副作用が起こり、スタチン誘発性ミオパチーが最も一般的な副作用である。重篤な筋破壊(横紋筋融解症)又は炎症は、全使用者のうちごくわずかにおいてのみ観察されるが、それほど重篤でない種類の筋肉痛は、全患者の最大26パーセントにおいて観察されている。その結果、世界中で最大3000万人の患者が、そのような筋肉の病気を経験すると予測されている。これらの有害作用は、日常の活動においてこれらの患者を制限することから、これらの患者のクオリティオブライフを直接的に損なう。その上、これらの筋肉の病気は、治療継続率を大幅に低下させ、最終的には、心血管の問題をを引き起こすするリスクがある患者数の不必要な増大につながることが示されている。両方の帰結は、副作用及び心血管の問題の治療における支出を増大させること、並びにこれらの疾患の医療制度への負担を増大させることが予測される。
Traci Turner and Evan A. Stein, Clinical Therapeutics (2015). DOI: 10.1016/j.clinthera.2015.09.004
Sahebkar and Watts, Clinical Therapeutics (2013) 35(8): pages 1082-1098. doi: 10.1016/j.clinthera.2013.06.019
Haines, B.E., Wiest O, and Stauffacher C.V. (2013) Accounts of chemical research 46:11 2416-2426
Drose S, and Brandt U., Adv. Exp. Med. Biol. (2012) 748: pages 145-169 doi: 10.1007/978-1-4614-3573-0_6
Prueksaritanont, T., Subramanian, R., Fang, X., Ma, B., et al. (2002) Drug Metab. Dispos. 30, 505-512
A. Endo, M. Kuroda, K. Tanzawa, FEBS Lett. 72, 323 (1976)
K. Kajinami, N. Takekoshi, Y. Saito (2003) Cardiovascular Drug Reviews Vol. 21, No. 3, pp. 199-215
ES Istvan and J Deisenhofer, Science (2001) 292(5519):1160-1164
K. M. Bischoff, V. W. Rodwell, Biochem. Med. Metab. Biol. 48, 149 (1992)
したがって、副作用がスタチンよりも少ない、高い血中コレステロールレベルの治療又は予防のための化合物が、差し迫って必要である。
ある態様において、本発明は、ミトコンドリア複合体IIIを阻害せずに3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA,3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A)レダクターゼを阻害する化合物を提供する。好ましい化合物は、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択される化合物から誘導され、カルボン酸部分が、生物学的等価体として作用する置換又は無置換部分によって置きかえられている。
第2の態様において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、そのような化合物を含む医薬組成物を提供する。この組成物は、錠剤、軟若しくは硬カプセル剤、アンプル剤、注射用液剤、乳剤又は懸濁剤の形態であり得る。
第3の態様において、本発明の化合物又は組成物は、医薬としての使用のためのものである。第4の態様において、医薬の製造における本発明の化合物又は組成物の使用が提供される。この発明の医薬は、対象における、心血管疾患、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、代謝障害、炎症、腎症及び/又はアルツハイマー病の、治療、予防又は遅延のためのものであり得る。したがって、第5の態様は、本発明の化合物又は組成物を使用する、これらの状態の治療のための方法を提供する。
第6の態様において、本発明は、ミトコンドリア複合体III阻害のレベルの低減を示す、スタチンアナログを同定するための方法を提供する。
ミトコンドリア機能不全の中心的役割は、ここで上述したスタチン関連副作用の根底にあると記述された(Marcoff, L., and Thompson, P.D. (2007). J. Am. Coll. Cardiol. 49, 2231-2237;Sirvent, P., Mercier, J., and Lacampagne, A. (2008). Curr. Opin. Pharmacol. 8, 333-338)。しかしながら、分子機序は捉えどころがないままであった。インビトロ及びインシリコアプローチを組み合わせて、本発明の発明者らは、これらのスタチン誘発性ミオパチーの根底にある新規オフターゲットとして、ミトコンドリア呼吸鎖の第3の複合体を指摘することができた。このオフターゲットの妥当性は、これらの副作用に罹患している患者における呼吸鎖の複合体IIIの活性減少によって確認され、これらの作用の臨床表現型と相関することが観察された(Tom J.J. Schirris, G. Herma Renkema, Tina Ritschel et al., Cell Metabolism (2015) 22:399-407)。スタチンは、一般式Vのそれらのラクトン形態において副作用を引き起こしたが、一般式IVのそれらのカルボン酸形態においては引き起こさなかったことが分かった。これらの2つの形態は、インビボで互いに変換することができ、これは、2つの形態の一方のみの投与は、他方の形態の存在をインビボで防止も回避もしないことを意味する。
本発明者らは、驚くべきことに、ミトコンドリア複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害することにより、血中コレステロールレベルを有効に低下させる、新規クラスの化合物を見出した。本発明に従うこれらの新規化合物は、スタチン様構造であり、したがって、増大した安全性プロファイルを持つ新規治療選択肢を提供する。それらは、ラクトンを形成することができない。技術水準のスタチンと同様に、本発明に従うスタチン様構造は、心血管疾患の治療のための使用しやすい薬物療法を、一般式Vの潜在的ラクトン形態の非存在に起因する筋肉痛副作用の低減とともに提供する。これらの副作用低減のために、本発明に従うスタチン様構造は、心血管疾患の治療継続率改善を提供し、その結果、心血管問題に関連する疾病率及び死亡率を低減させることが予測される。
本発明に従う新規スタチン様構造は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤であり、ラクトン形成に関与するカルボン酸部分の生物学的に等価な置きかえによって実現されている。本発明に従うスタチン様構造は、上述したとおり、スタチン誘発性ミオパチーに関連する複合体IIIを阻害しない。
生物学的等価体は、同程度の分子間相互作用を形成することができる、構造的に異なる分子、部分又は基礎構造である(Ritschel et al, 2012)。本発明に従うスタチン様構造の事例では、薬理活性スタチン酸形態の一般式IVのジヒドロキシヘプタン酸側鎖のカルボン酸基は、生物学的等価体によって置きかえられており、一般式Vの毒性ラクトン形態の形成をインビボで防止するが、一般式IVのジヒドロヘプタン部分とHMG−CoAレダクターゼとの間の水素結合ネットワークを保存する。事実上、これは、元のスタチンの所望の効果を保存するのに対し、その副作用を低減させる。
スタチン生物学的等価体の適正な選択のために、いくつかの選択基準を定義した:
i)HMG−CoAレダクターゼの結合部位に適合する(立体的に、H結合相互作用);
ii)生物学的等価体の負の電荷;
iii)複合体IIIのQo部位に適合しない。
本発明に従う有効な生物学的等価体は、本明細書において後に提示する。ここで上記した選択基準は、これらの生物学的等価体が、一般式IVのあらゆるスタチン様化合物に適用され得ること、及び一般式IVを特色とするあらゆるスタチンが、したがって本発明に包括されることを例証するものである。シンバスタチン又はロバスタチン等の一般式Vのスタチンが同様に包括され、これはなぜなら、そのようなスタチンは、一般式IVのスタチンに転換でき、概してインビボでもそうなるためであることを理解すべきである。そのため、一般式IV及びVのスタチンは同様に包括される。ii)で記載されている負の電荷は、生理的条件下での負の電荷、又はHMG−CoAレダクターゼ若しくは複合体IIIを結合するための条件下での負の電荷に関する。
化合物
第1の態様において、本発明は、ミトコンドリア複合体IIIを阻害せずに3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼを阻害する化合物であって、一般式I:
[式中、
− Qは、−CH2−又は結合から選択され、
− R’は、
からなる群から選択され、
− Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール、ニトリル、ニトロ、チオカルボン酸、アミド、スルホン酸、スルホンアミド、ホスホネート、ボロン酸、4−連結3−ヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン、硫黄置換を有していてもよいオキソ−オキサジアゾール様部分、及び一般式II又はIII:
(式中、
− X及びX’及びX’’は、それぞれ独立に、N、CH又はC−OHであり、
− Yは、O、S、NH又はN−CH3であり、
− Z、Z’、Z’’及びZ’’’は、それぞれ独立に、O、S、NH又はCH2であり、好ましくは、Z’’及びZ’’’は、それぞれ独立に、O又はSであり、
− 好ましくは、Rは、カルボン酸ではない)
を有する部分からなる群から選択される、置換又は無置換部分である]
を有する化合物を提供する。
前記化合物は、本明細書において、本発明に従う化合物と称する。
一般式Iの部分は、好ましくは、一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig又はIhを有する。
より好ましくは、これらの構造は、一般式Ia又は一般式Ieを有する。最も好ましくは、これらの構造は、一般式Iaを有する。
記述されている通り、Qは、−CH2−又は結合から選択される。結合は、共有結合であり、これは、Qが結合である場合、Rを、一般式Iの残余と直接的に連結する。例証するために、一般式Ia及び一般式Ieは、一般式IaについてはQが−CH2−であり、一方、一般式IeについてはQが結合であるという事実により異なる。同じ差異が、一般式Ib(Qが−CH2−である)を一般式If(Qが結合である)と区別し、一般式Ic(Qが−CH2−である)を一般式Ig(Qが結合である)と区別し、一般式Id(Qが−CH2−である)を一般式Ih(Qが結合である)と区別する。
Rによって表される部分は、ヒドロキサム酸、テトラゾール、ニトロ、チオカルボン酸、アミド、スルホン酸、スルホンアミド、ホスホネート、ボロン酸、4−連結3−ヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン、硫黄置換を有していてもよいオキソ−オキサジアゾール様部分、及び一般式II又はIIIを有する部分からなる群から選択される、置換又は無置換部分である。4−連結3−ヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンは、スクアリン酸と類似しており、したがって、時に、スクアリン酸部分と称される。
オキソ−オキサジアゾール様部分は、オキサジアゾールに基づく。好ましくは、オキソ−オキサジアゾール様部分は、3−連結1,2,4−オキサジアゾール部分又は5−連結1,3,4−オキサジアゾール部分に基づく。オキソ−オキサジアゾール様部分は、その酸素原子の0、1又は2以上を、硫黄原子によって置換することができる。Rのための好ましいオキソ−オキサジアゾール様部分を以下に描写する。
これらの部分のそれぞれの好ましい種は、生理的条件下で正味の負の電荷を有することができる。Rによって表される好ましい部分の無置換種を、以下に描写する。Rによって表される最も好ましい部分は、ヒドロキサム酸、アミド、チオカルボン酸又はテトラゾールであり、それらのそれぞれは、無置換である。ヒドロキサム酸は、最も好ましい部分である。
一般式II又はIIIの部分は、好ましくは、最大でも20個の原子、15個の原子、12個の原子、10個の原子、又はそれ未満を有する。一般式IIIの部分は、好ましくは、一般式IIIa又は一般式IIIbを有する。
好ましくは、Rは、
[式中、X、X’及びX’’は、それぞれ独立に、N、CH又はC−OHである]からなる群から選択される。Rが環状部分を含む好ましい化合物において、Qは、結合である。上述したとおり、一般式IIIの制約を満たす部分は、一般式IIIa又は一般式IIIbになりうる。
オキソ−オキサジアゾール様部分及び一般式II又はIIIの部分は、5員ヘテロ環であり、この理由から、それらを5員ヘテロ環式部分と称することができる。テトラゾールは、一般式IIの部分[式中、X、X’、X’’及びYは、Nである]であり、テトラゾールも、したがって、この定義に包括される。5員ヘテロ環式部分は、Rに好ましい。テトラゾール及びオキソ−オキサジアゾール様部分は、好ましい5員ヘテロ環式生物学的等価体であるが、テトラゾール及び3−連結5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール様部分が最も好ましい。
この態様の好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール、ニトロ、チオカルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド、ホスホネート、ボロン酸、4−連結3−ヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン、硫黄置換を有していてもよいオキソ−オキサジアゾール様部分、及び一般式II又はIIIを有する部分からなる群から選択される部分であり、他の変数は上記で定義したとおりである。この態様のさらに好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール、硫黄置換を有していてもよいオキソ−オキサジアゾール様部分、及び一般式II又はIIIを有する部分からなる群から選択される部分であり、他の変数は上記で定義したとおりである。この態様のさらに一層好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール、及び硫黄置換を有していてもよいオキソ−オキサジアゾール様部分からなる群から選択される部分であり、他の変数は上記で定義したとおりである。この態様のより一層好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール、及びオキソ−オキサジアゾール様部分からなる群から選択される部分であり、他の変数は上記で定義したとおりである。この態様の一部の最も好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール、及び3−連結5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール様部分からなる群から選択される部分であり、他の変数は上記で定義したとおりである。
この態様の非常に好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキサム酸である。この態様のさらに一層好ましい実施形態において、化合物は、一般式Iaを有し、Rは、ヒドロキサム酸である。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の好ましい実施形態において、化合物は、一般式Iaを有し、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’によって表される部分は、R’−シンバ、R’−ロバ、R’−メバ、R’−プラバ、R’−アトルバ、R’−セリバ、R’−フルバ、R’−ピタバ及びR’−ロスバからなる群から選定される。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の好ましい実施形態において、化合物は、一般式Iaを有し、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’によって表される部分は、R’−ロバ、R’−メバ、R’−プラバ、R’−アトルバ、R’−セリバ、R’−フルバ、R’−ピタバ及びR’−ロスバからなる群から選定される。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の好ましい実施形態において、化合物は、一般式Iaを有し、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’によって表される部分は、R’−アトルバ、R’−セリバ、R’−フルバ、R’−ピタバ及びR’−ロスバからなる群から選定される。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の好ましい実施形態において、化合物は、一般式Iaを有し、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’によって表される部分は、R’−シンバ、R’−ロバ、R’−メバ及びR’−プラバからなる群から選定される。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の好ましい実施形態において、化合物は、一般式Iaを有し、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’によって表される部分は、R’−ロバ、R’−メバ及びR’−プラバからなる群から選定される。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の非常に好ましい実施形態において、化合物は、一般式Ia又はIe、好ましくはIeを有し、Rは、オキソ−オキサジアゾール様部分又は一般式II若しくはIIIのものである。この態様のさらに一層好ましい実施形態において、化合物は、一般式Ia又はIe、好ましくはIeを有し、Rは、オキソ−オキサジアゾール様部分又はテトラゾールである。この態様のさらに好ましい実施形態において、化合物は、一般式Ia又はIe、好ましくはIeを有し、Rは、3−連結5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール様部分又はテトラゾールである。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の一部の好ましい実施形態において、R’は、R’−シンバであり、Qは、−CH2−であり、Rは、ニトリル、ヒドロキサム酸、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分である。この態様の他の好ましい実施形態において、R’は、R’−シンバであり、Qは、結合であり、Rは、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分である。この態様のさらなる好ましい実施形態において、R’は、R’−シンバであり、Qが結合であるのに対し、Rは、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるか、Qが−CH2−であるのに対し、Rは、ニトリル、ヒドロキサム酸、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるかのいずれかである。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の一部の好ましい実施形態において、R’は、R’−シンバであり、Qは、−CH2−であり、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分である。この態様のさらなる好ましい実施形態において、R’は、R’−シンバであり、Qが結合であるのに対し、Rは、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるか、Qが−CH2−であるのに対し、Rは、ヒドロキサム酸、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるかのいずれかである。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
この態様の一部の好ましい実施形態において、R’は、R’−ロスバであり、Qは、−CH2−であり、Rは、アミド、ヒドロキサム酸、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分である。この態様の他の好ましい実施形態において、R’は、R’−ロスバであり、Qは、結合であり、Rは、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分である。この態様のさらなる好ましい実施形態において、R’は、R’−ロスバであり、Qが結合であるのに対し、Rは、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるか、Qが−CH2−であるのに対し、Rは、アミド、ヒドロキサム酸、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるかのいずれかである。この態様の一部の実施形態において、R’は、R’−ロスバであり、Qが結合であるのに対し、Rは、テトラゾール又はオキソ−オキサジアゾール様部分であるか、Qが−CH2−であるのに対し、Rは、アミド又はヒドロキサム酸であるかのいずれかである。そのような化合物が、医薬としての使用のためのものである場合、好ましくは、前記医薬が、複合体IIIを阻害せずにHMG−CoAレダクターゼを阻害するためのものである場合、さらに一層好ましい。
当業者であれば、上述したとおりのRによって表すことができるすべての部分は、本明細書においてそれらの中性形態で描写されるが、それにもかかわらず、荷電された部分として出現し得ることを理解する。例えば、−COOHは、カルボン酸の許容される描出であると一般に理解されているが、この部分は、条件に応じて、−COOH部分として又は−COO−部分として存在することができる。その結果、本発明に従う化合物は、描写されているとおりの化合物であってもよいし、又は本発明に従うそのような化合物の薬学的に許容される塩であってもよい。非限定的な例として、Rがスルホン酸である場合、対応するスルホン酸ナトリウムも本発明に包括される。
R’によって表される部分は、置換されていても無置換であってもよい。R’によって表される好ましい部分は、ここで以下に描写されるとおり、R’−シンバ、R’−ロバ、R’−メバ、R’−プラバ、R’−ロスバ及びR’−ピタバからなる群から選定される。R’によって表されるより好ましい部分は、さらなる置換基のない、R’−シンバ、R’−ロスバ及びR’−ピタバである。
当業者には明白であるとおり、R’によって表されるすべての部分は、公知のスタチンの基を一緒に構成する。したがって、本発明は、、[式中、R’が、R’によって表される部分が結合することを担うHMG−CoAレダクターゼの結合ポケットと良好な結合を示す他の部分を表すような一般式Iの化合物も包括するということになる。好ましくは、そのような化合物は、スタチンから誘導され、好ましくは、シンバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン及びプラバスタチンからなる群から選択される化合物から誘導され、カルボン酸部分が、本明細書において上記で定義したとおりの置換又は無置換部分Rによって置きかえられている化合物から誘導される。
この態様の好ましい実施形態において、R’によって表される部分は、R’−シンバ、R’−ロバ、R’−メバ及びR’−プラバからなる群から選定される。この態様の好ましい実施形態において、R’によって表される部分は、R’−アトルバ、R’−セリバ、R’−フルバ、R’−ピタバ及びR’−ロスバからなる群から選定される。この態様のさらに好ましい実施形態において、R’によって表される部分は、R’−ピタバ及びR’−ロスバからなる群から選定される。
一般式Iの好ましい化合物を、表1に提示する。表2は、より好ましい一般式Iの化合物を提示する。さらに一層好ましい一般式Iの化合物は、表1又は表2において収載されているものであり、前記化合物は、一般式Ia又は一般式Ieのものである。
好ましくは、Qは、結合であり、一般式Iの化合物中、Rは、テトラゾール、スクアリン酸、硫黄置換を有していてもよいオキソ−オキサジアゾール様部分等の環状部分、又は一般式II若しくは一般式IIIの 部分である。
本発明に従う化合物は、HMG−CoAレダクターゼを阻害する。この酵素は、本明細書において上記で提示した。HMG−CoAレダクターゼ活性の阻害は、最終的に、コレステロールの生合成低減につながる。より直接的に、そのような阻害は、(3R)−3,5−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸であるメバロン酸の生合成低減につながる。HMG−CoAレダクターゼの阻害は、当該技術分野において公知のアッセイを使用して、好ましくは本明細書において実施例で記述されているとおりに、評価することができる。
酵素の阻害は、前記酵素の活性の低減に関する。阻害は、好ましくは、検出される酵素の活性の残りのパーセントとして表現されるのに対し、前記阻害剤が存在しない場合の前記酵素の活性と比較して、ある量の、好ましくは公知の量の阻害剤が存在し、これは、多くの場合、媒体のみを添加した場合の対照試料の活性と同じである。用語「媒体」は、使用した溶媒等の賦形剤の和に関する。逆に、阻害を、このようにして抑制される活性の量として表現することもできる。これは、100%から、ここで上記に描写したとおりの残りの活性のパーセントを引いたものになる。阻害を表現する別の好ましい手法は、半数阻害濃度(IC50)値を経由するものである。これは、具体的な生物学的又は生化学的機能、この事例ではHMG−CoAレダクターゼ活性を阻害する際の、物質の有効性を表す。本文脈において、IC50は、HMG−CoAレダクターゼを半分だけ阻害するために、いかほどの本発明に従う化合物が必要とされるかを指示する。IC50は、薬理学的研究におけるアンタゴニスト薬物効力の尺度として一般に使用され、インビトロでの50%阻害に要される薬物の濃度を表す。
この発明の文脈において、本発明に従う化合物は、有効用量の化合物が、本発明に従う化合物のない同一条件下でアッセイした場合の酵素の活性の、残りの99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%又は0%まで、前記酵素の活性を低減させるならば、酵素を阻害すると言われる。これは、阻害の事例では検出可能な活性が存在しないことを意味し得る。
本発明に従う化合物は、複合体IIIを阻害しない。これは、適切な文脈で理解すべきである:過剰濃度で存在する場合、各化合物は、複合体IIIを少なくともいくらか阻害すると言えるが、無視できるほどの濃度で存在する場合、各化合物は、複合体IIIを阻害しないと言える。したがって、本発明に従う化合物は、複合体IIIの低阻害を実証するのみである。低阻害は、本発明の化合物のアナログによって引き起こされると予想される阻害のレベルよりも低い阻害のレベルとして理解すべきである。より特定すれば、各具体的なR’部分について、前記部分を一定に保つと、一般式Iの化合物は、等量の一般式IV又は一般式Vの、特に一般式Vの化合物よりも低い複合体IIIの阻害を示した場合に、複合体IIIを阻害しないと言われる。したがって、一般式Iの化合物は、複合体IIIを阻害しないと言われる。非限定的な例として、一般式Iの化合物[式中、R’は、R’−シンバである]は、一般式IV[式中、R’は、R’−シンバである(遊離酸)]又は一般式V[式中、R’は、R’−シンバである(ラクトン)]の化合物である、シンバスタチンの遊離酸又は対応するラクトンよりも有意に低い複合体IIIの阻害を示すことから、複合体IIIを阻害しないと言われる。したがって、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼを阻害するのに対し、ミトコンドリア複合体IIIの阻害の低減を示す好ましい化合物が提供され、前記化合物は、上記で定義したとおりの一般式Iを有する。より好ましくは、前記化合物は、上記で定義したとおりのR’部分を特色とする、上記で定義したとおりの一般式Iの化合物であり、前記化合物は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼを阻害するのに対し、同じR’部分を持つ一般式IV又は一般式Vの化合物よりも低いミトコンドリア複合体IIIの阻害を示す。この文書において、化合物が複合体IIIを阻害しないと言われる際はいつでも、前記化合物はミオパチーを誘発しない、又は前記化合物はミオパチーを誘発することが少ないと理解されたい。
本明細書において、本発明に従う化合物は、残りの複合体III活性が、本発明に従う化合物のない同一条件下でアッセイした場合の酵素の活性の、100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%であるならば、複合体IIIを阻害しないと言うことができる。また、具体的なR’部分を持つ一般式Iの本発明に従う化合物は、同一のR’部分を持ち、一般式IV又は一般式Vを有するアナログによる阻害が、一般式Iの前記本発明に従う化合物によって示される複合体IIIの阻害よりも、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは100%、又はそれ以上大きい場合に、複合体IIIを阻害しないと言うことができる。
組成物
本発明の第2の態様において、第1の態様に従う化合物を含む組成物が提供される。本発明の第1の態様に従う化合物は、前記化合物の薬学的に許容される塩であってもよい。好ましい実施形態において、本発明に従うこの組成物は、医薬組成物である。本発明に従う組成物は、好ましくは、賦形剤、より好ましくは(preferable)薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。好ましい賦形剤は、アジュバント、結合剤、乾燥剤又は希釈剤である。
本発明に従う組成物は、非経口組成物であってよい。非経口組成物のために、好ましい賦形剤は、pH調節剤、緩衝剤、塩若しくは糖等の浸透圧調節剤、及び界面活性剤、又は凝集を防ぐのに役立つ他の薬剤である。
さらなる好ましい組成物は、エゼチミブ、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、アポリポタンパク質B(Apo B)阻害剤、アンジオポエチン様3(ANGPTL3)阻害剤、ナイアシン若しくはその誘導体、好ましくはアムロジピンベシル酸塩としてのアムロジピン、アスピリン、アスカル、クロピドグレル、ワルファリン、ベータ遮断薬、CEPT阻害剤、ベンペド酸、PPAR−デルタアゴニスト、アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ阻害剤、又はペリンドプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル若しくはラミプリル等のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE−inhibitors,angiotensin-converting-enzyme inhibitors)を追加的に含む。
好ましくは、本発明に従う組成物は、錠剤、軟若しくは硬カプセル剤、アンプル剤、注射用液剤、注射用乳剤、注射用懸濁剤、吸入用液剤、吸入用乳剤、吸入用懸濁剤、クリーム剤、又は軟膏剤の形態で提供される。本発明に従うそのような組成物は、好ましくは、医薬組成物である。
医学的使用
本発明の第3の態様において、医薬としての使用のための、上述したとおりの化合物又は上述したとおりの医薬組成物が提供される。したがって、この態様の実施形態は、医薬としての使用のための、本発明に従う化合物を提供する。この態様は、医薬としての使用のための、本発明に従う組成物、好ましくは本発明に従う医薬組成物も提供する。医薬としての使用のための化合物又は組成物は、好ましくは、状態又は疾患の、治療、予防又は遅延における使用のためのものである。
好ましくは、医薬としての使用は、対象における、心血管疾患、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、代謝障害、炎症、腎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD,chronic obstructive pulmonary disease)、認知症、静脈血栓塞栓症、血管の炎症、造影剤誘発性腎症、急性腎障害、膵炎、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、デング熱、多臓器不全症候群、白斑、がん(特に、卵巣がん、血液がん、肝臓がん、前立腺がん、大腸がん又は膵臓がん)及び/若しくはアルツハイマー病又は神経変性疾患の、治療、予防又は遅延のためのものであり、前記使用は、好ましくは、対象に、有効量の、本発明に従う化合物又は本発明に従う医薬組成物のいずれかを投与することを含む。本発明に従うそのような化合物又は組成物の投与は、本明細書において後に定義するとおり、当該技術分野において公知のあらゆる方法によって達成することができる。
本明細書において、本発明に従う化合物又は本発明に従う組成物の有効量は、障害の症状を改善させる又は障害に関連するパラメーターを変更する等の、より具体的には、HMG−CoAレダクターゼを阻害するのに対し、複合体IIIを阻害しない等の、所望の効果を主張することができる用量である。
本発明の第4の態様において、本発明に従う化合物、本発明に従う組成物又は本発明に従う医薬組成物の医薬の製造における使用が提供される。好ましくは、前記使用は、対象における、心血管疾患、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、代謝障害、炎症、腎症、COPD、認知症、静脈血栓塞栓症、血管の炎症、造影剤誘発性腎症、急性腎障害、膵炎、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、デング熱、多臓器不全症候群、白斑、がん(特に、卵巣がん、血液がん、肝臓がん、前立腺がん、大腸がん又は膵臓がん)及び/若しくはアルツハイマー病又は神経変性疾患の、治療、予防又は遅延のための医薬の製造のためのものである。好ましくは、前記使用は、対象に、有効量の、本発明に従う化合物又は医薬組成物のいずれかを投与することを含む。本発明に従うそのような化合物又は組成物の投与は、本明細書において後に定義するとおり、当該技術分野において公知のあらゆる方法によって達成することができる。
第5の態様において、対象における、心血管疾患、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、代謝障害、炎症、腎症、COPD、認知症、静脈血栓塞栓症、血管の炎症、造影剤誘発性腎症、急性腎障害、膵炎、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、デング熱、多臓器不全症候群、白斑、がん(特に、卵巣がん、血液がん、肝臓がん、前立腺がん、大腸がん又は膵臓がん)及び/若しくはアルツハイマー病又は神経変性疾患の、治療、予防又は遅延のための方法が提供され、前記方法は、対象に、有効量の、本発明に従う化合物、本発明に従う組成物又は本発明に従う医薬組成物のいずれかを投与することを含む。
本発明に従う組成物及び医薬組成物は、当該技術分野において周知のプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスを活用して、製造されてよく、これにより、リポソーム製剤、コアセルベート、水中油型エマルション、ナノ粒子/微粒子粉末、又は他のいずれかの形状若しくは形態をもたらしてよい。故に、本発明に従う使用のための組成物は、薬学的に使用できる製剤に活性化合物の加工することを容易にする賦形剤及び助剤を含む1又は2以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の様式で、製剤化される。適切な製剤は、選定される投与ルートに依存する。
注射のために、本発明に従う化合物は、水性製剤で製剤化されてよく、これは、例えば、液剤、乳剤、懸濁剤又はリポソーム製剤であり得る。水性製剤は、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液又は生理食塩水緩衝液等の薬学的に許容される及び/又は生理学的に適合する緩衝液中で製剤化される。経粘膜投与のために、障壁を透過するのに適した浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は、概して、当該技術分野において公知である。
表皮の浸透を促進する製剤は、薬理学において公知であり、乾癬及び真菌感染症等であるがこれらに限定されない多くの皮膚状態の治療において使用を見出すことができる。表皮及び皮膚の下位層の浸透を促進する製剤も公知であり、本発明の組成物を、例えば、下層の筋肉又は関節に適用するために使用することができる。一部の好ましい治療的実施形態において、関節リウマチ又は骨関節炎の軽減のために化合物を送達する本発明に従う組成物を含む製剤は、クリーム剤、軟膏剤又はゲル剤を、患部関節を覆う皮膚に適用することによって投与することができる。クリーム剤は、当該技術分野において公知であり、概して、油及び/又は脂肪の粘性水性エマルションであり、前記エマルションは、少なくとも1つの医薬剤を含む。軟膏剤は、当該技術分野において公知であり、概して、油及び/又は脂肪の粘性調製物であり、少なくとも1つの医薬剤を含む。
経口及び非経口投与を使用してよい。そうであれば、本発明に従う化合物又は組成物は、本発明に従う化合物又は組成物を、当該技術分野において周知である薬学的に許容される担体と組み合わせることによって、あるいは本発明に従う化合物又は組成物を食品添加物として使用することによって、容易に製剤化することができる。そのような戦略は、本発明に従う化合物又は組成物を、治療される対象による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液体剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として製剤化することを可能にする。経口使用のための調製物又は薬理学的調製物は、固体賦形剤の使用により作製することができ、所望ならば、錠剤又は糖衣錠剤の核を取得するために、好適な助剤を添加した後、得られた混合物を摩砕し、顆粒の混合物を加工してもよい。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを包含する糖等の充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン(PVP,polyvinylpyrrolidone)等のセルロース調製物である。所望ならば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム等のその塩等の崩壊剤を添加してよい。加えて、共製剤は、当該技術分野において公知の取り込み増強剤を用いて作製してよい。
糖衣錠剤の核は、好適なコーティングを伴って提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を使用してよく、これは、アラビアガム、タルク、PVP、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー液、並びに好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有していてもよい。ポリメタクリレートを使用して、胃を通過するようにpH応答性放出プロファイルを提供することができる。識別のため、又は活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠剤コーティングに添加してよい。
経口的に投与することができる医薬組成物は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤、並びにグリセロール又はソルビトール等のゼラチン及び可塑剤で作られた軟密封カプセル剤を包含する。押し込み型カプセル剤は、活性原料を、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤と混和して含有することができ、安定剤を含有していてもよい。軟カプセル剤において、活性化合物を、脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコール等の好適な液体に溶解又は懸濁してよい。加えて、安定剤を添加してよい。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に好適な投薬量であるべきである。
頬側投与のために、本発明に従う化合物又は組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態で投与してよい。
吸入による投与のために、本発明に従う化合物及び組成物は、加圧パック又はネブライザーからのエアゾールスプレー調製物の形態で、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガスの使用により、好都合に送達することができる。加圧エアゾール剤の事例では、投薬単位は、定量を送達するための弁を提供することによって、決定されてよい。吸入器又は注入器における使用のための、例えばゼラチンのカプセル剤及びカートリッジは、化合物の混合粉体を含有して製剤化されてよく、ラクトース又はデンプン等の好適な散剤基剤を含有していてもよい。
本発明に従う化合物又は組成物は、注射による、例えば、ボーラス注射又は持続注入による非経口投与のために製剤化されてよい。このようにして、特定の臓器、組織、腫瘍部位、炎症の部位等を標的とすることも可能である。感染症のための製剤は、保存剤を添加した、アンプル剤のような単位剤形又は又は複数回用量容器で提供されてよい。組成物は、油性又は水性媒体中の、懸濁液、溶液又はエマルション等の形態をとってよく、懸濁化、安定化及び/又は分散剤等の製剤化剤(formulatory agent)を含有してよい。追加の好ましい賦形剤は、pH調節剤、緩衝剤、塩若しくは糖等の浸透圧調節剤、及び界面活性剤、又は凝集を防ぐのに役立つ他の薬剤である。
非経口投与のための組成物又は医薬組成物は、組成物の水溶液を水溶性形態で包含する。加えて、組成物の懸濁液を、適した油性注射懸濁剤として調製してよい。好適な親油性溶媒又は媒体は、ゴマ油等の脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、又はリポソームを包含する。水性注射懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン等の、懸濁剤の粘性を増大させる物質を含有してよい。懸濁剤は、好適な安定剤、又は組成物の溶解性を増大させて、高濃度溶液の調製を可能にする薬剤を含有していてもよい。
代替として、組成物の1又は2以上の成分は、使用前に、好適な媒体、例えば、滅菌パイロジェンフリー水、又は注射用水(WFI,water for injection)を用いて構成するための、粉末形態であってよい。
組成物は、例えば、ココアバター又は他のグリセリド等の従来の坐剤基剤を含有する、坐剤又は停留浣腸剤等の直腸組成物に製剤化されてもよい。
先に記述した製剤に加えて、本発明に従う組成物は、デボー調製物として製剤化されてもよい。そのような長時間作用型製剤は、移植によって(例えば、皮下に又は筋肉内に)、又は筋肉内注射によって投与されてよい。故に、例えば、組成物は、好適なポリマー性若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中エマルションとして)を用いて、又は体内で自己分解してもしなくてもよい固体若しくは半固体インプラントの一部、又はイオン交換樹脂として製剤化されてよく、あるいは組成物の1又は2以上の成分を、やや難溶性誘導体として、例えば、やや難溶性の塩として製剤化することができる。好適なポリマー性材料の例は、当業者に公知であり、PLGA、PLA、PGA、及びポリカプロン酸等のポリラクトンを包含する。
本発明に従う組成物又は医薬組成物は、好適な固体又はゲル相担体又は賦形剤を含んでもよい。そのような担体又は賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコール等のポリマーを包含するがこれらに限定されない。
本発明における使用のための、化合物、組成物及び/又は医薬組成物は、活性原料が、それらの意図されている目的を達成するために有効な量で含有される化合物及び組成物を包含する。より具体的には、治療有効量は、疾患の症状を、予防する、軽減する若しくは寛解させるため、又は治療されている対象の生存を延長するために有効な化合物の量、より特定すれば、HMG−CoAレダクターゼを阻害するために有効な用量を意味する。治療有効量の決定は、とりわけ本明細書において提供される詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。
本発明に従う化合物又は組成物の毒性及び治療効能は、例えば、LD50(母集団の50%に対する致死用量)及びED50(母集団の50%における治療有効用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性及び治療効果間の用量比は、治療指数であり、LD50とED50との間の比として表現することができる。高い治療指数を示す化合物又は組成物が好ましい。これらの細胞培養アッセイ及び動物研究から取得されたデータは、ヒト使用のための範囲の投薬量を製剤化する際に使用することができる。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与ルートに応じて、この範囲内で変動してよい。正確な製剤、投与ルート及び投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選定することができる(例えば、Fingl, et al., 1975, in “The Pharmacological Basis of Therapeutics” Ch. 1 p. 1を参照)。
投与される化合物又は組成物の量は、当然ながら、治療されている対象、対象の体重、疾病の重症度、投与の様式及び処方医師の判断に依存することになる。
本発明に従う化合物又は組成物をさらなる治療化合物と組み合わせて含む医薬組成物は、化合物及び組成物成分の1又は2以上、並びにさらなる治療化合物が、同じ容器内、溶液、懸濁液又は粉末形態のいずれかであるように供給することができる。本発明に従う化合物又は組成物は、さらなる分子の1又は2以上から別個に提供することもでき、さらなる分子の1又は2以上と、投与前に混合することもできる。数ある中でも、投与のルート及び機序に応じて、種々のパッケージ選択肢が可能であり、当業者に公知である。例えば、本発明に従う化合物が、さらなる治療化合物の1又は2以上から別個に供給される場合、組成物は、所望ならば、2つ以上のチャンバーを有するパックで提供されてよく、その中で、障壁が破裂する、破れる、又は融解することにより、本発明に従う化合物又は組成物とさらなる治療化合物との混合を提供することができる。代替として、2つの別個に提供された要素を、別個の容器内で混合することができ、1又は2以上の他の担体、溶液等を添加してもよい。さらなる治療化合物を含有する1又は2以上の単位剤形をパックで提供することができる。パック又はディスペンサー装置には、投与の説明書が付随していてよい。適合する医薬担体中で製剤化された本発明に従う化合物を含む組成物は、指示されている状態の治療のために、調製され、適した容器に入れられ、ラベル付けされてもよい。ラベルに指示される好適な状態は、本発明に従う組成物を使用して治療又は予防又は診断され得るあらゆる疾患を包含してよい。
良好な治療結果は、投薬レジメン(regime)の、又は低用量の本発明に従う化合物若しくは組成物の付帯的投与の採用を経由して達成することができる。本発明は、その低用量の使用を経由して、副作用のさらなる予防を可能にする。先行技術において公知のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、多くの場合、有意な副作用を招く用量でのみ有効である。これに関して、本発明は、1日に複数回、1日に3回、1日に2回、毎日、毎週、週に2回、好ましくは、週に6、5、4又は3回出現する摂取機会を特色とする摂取スケジュールを伴う投薬レジメンを可能にすると同時に、どの投薬レジメンが選択されるかにかかわらず、患者が副作用を受けないようにする。これは、治療継続率及び薬物忠実度を促進する。
スクリーニング方法
本発明の第6の態様において、スクリーニング方法が提供される。本発明に従うこの方法は、ミトコンドリア複合体III阻害のレベルの低減を示すスタチンアナログを同定するための方法であり、
i)前記アナログ、又は前記アナログを含む組成物を、ミトコンドリア複合体IIIと接触させるステップと、
ii)前記アナログ又は前記組成物によるミトコンドリア複合体III活性の阻害のレベルを分析するステップと
を含む。
阻害、阻害の低減及びミトコンドリア複合体IIIについての定義は、本明細書において先に提供されている。当該技術分野において公知のとおり、アナログは、それに類似する異なる化合物に酷似している化合物である。非限定的な例として、一般式I[式中、R’は、R’−シンバであり、Rは、ヒドロキサム酸である]を持つ本発明の化合物(図1Bに描写されているとおり)は、シンバスタチンのアナログ(図1Aに描写されているとおり)であると言われ、これは、一般式IV又はVの化合物[式中、R’は、R’−シンバである]である。事実上、これらの2つの化合物間の差異は、Rの選定に限定される。概して、一般式Iの化合物は、一般式IV又は一般式Vの化合物のアナログであると言うことができる。これは、R’が一般式の中にある場合にとりわけ当てはまる。
この態様において、アナログを参照する際はいつでも、前記アナログを含む組成物も包括されることを理解されたい。
本発明の文脈において、化合物又は組成物を複合体IIIと接触させることは、アッセイの一部とみなされる場合がある。当業者であれば、そのようなアッセイをいかにして実施するかを認識していると予想される。これは、そのような化合物又は組成物を、複合体IIIが含まれる培地に添加することを含み得る。これは、複合体IIIを発現させる細胞であってもよい。これは、そのような化合物又は組成物を、そのような細胞が懸濁される又はそのような細胞をおおう、培地、緩衝液又は溶液に添加することも含み得る。複合体IIIを化合物又は組成物と接触させる他の好ましい方法は、複合体IIIを、本発明に従う化合物又は組成物を含む材料に曝露することを含む。好ましい方法は、化合物又は組成物を、複合体IIIと、複合体IIIがその生来の膜中に存在するミトコンドリア分画システム内で接触させることである。例は、この点において追加の指針を提供する。
同様に、アナログによる又は前記アナログを含む組成物による複合体III活性の阻害のレベルの分析は、アッセイの一部とみなされる場合がある。当業者であれば、アナログによる又は前記アナログを含む組成物による阻害をいかにして評価するかを認識していると予想される。例は、この点において追加の指針を提供する。
好ましくは、本発明に従うスクリーニング方法は、追加のステップを含む。好ましい追加のステップは、次のとおりである:
iii)任意に又は任意でなく阻害の前記レベルを基準値と比較する。
熟練した読者には明らかであるとおり、基準値は、少数の選択肢の中から選定され得る。好ましい基準値は、阻害の標準レベルを表す固定値である。これは、関係するクラスの化合物又は組成物によって示されることが公知である統計的平均阻害であり得る。例えば、文献値。固定値の良好な選定は、アナログが類似している化合物について公知の値である。当業者ならば、条件が同一である若しくは厳密に一致しているべきであることを認識している、又は、変動をいかにして調整するかを認識している。
より好ましい基準値は、対照実験から取得された基準値である。対照実験は、好ましくは、この化合物が主実験においては前記アナログであり、対照実験においては別の化合物であるという了解の下で、分析される化合物のみが異なる同一の設定において実施する。好ましくは、対照実験は、アナログが類似している化合物による複合体IIIの阻害を分析する。十分な比較のために、阻害のレベルは、好ましくは、各実験について同一単位で表現される。
好ましくは、本発明に従うスクリーニング方法は、さらなる追加のステップを含む。好ましいさらなるステップは、
iv)前記比較により阻害のレベルの減少が明らかである場合、前記アナログを、ミトコンドリア複合体III阻害のレベルの低減を示すものとして同定する任意の又は任意でないステップ
である。
任意のステップiiiにおける比較が、調査されているアナログ又は前記アナログを含む組成物は、基準値よりも低い複合体IIIの阻害を有することを明らかにする場合、アナログ、又は前記アナログを含む組成物は、ミトコンドリア複合体III阻害のレベルの低減を有すると結論付けることができる。これは、アナログが、似ている化合物よりも低い複合体IIIの阻害を有することを意味し得る。阻害が検出されない場合、これは、アナログが複合体IIIの阻害の低減を有することも意味し得る。この事例では、アナログは、複合体IIIを阻害しない。阻害の好ましいレベルは、本明細書において上記で定義されている。
好ましくは、本発明に従うスクリーニング方法は、アナログがHMG−CoAレダクターゼを阻害するか否かを決定するステップを追加的に含む。アナログは、HMG−CoAレダクターゼの公知の阻害剤であることが可能である。この事例では、この能力を維持する、又は依然として有効な若しくは許容されるレベルにこの能力を維持する、アナログを同定することにとりわけ価値がある。したがって、方法は、好ましくは次のステップを含む:、
a)前記アナログを、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼと接触させる、
b)前記アナログによるHMG−CoAレダクターゼ活性の阻害のレベルを分析するこ、
c)任意に又は任意でなくHMG−CoAレダクターゼ活性の前記レベルを基準値と比較する、
d)ステップb)が阻害のレベルを明らかにする場合、任意に前記アナログを、HMG−CoAレダクターゼ活性を阻害するものとして同定する。
特色及び定義は、本明細書において上記で提供したとおりである。アナログ又は前記アナログを含む組成物は、本明細書において先に定義したとおり、HMG−CoAレダクターゼ活性のレベルを低減させる場合、HMG−CoAレダクターゼ活性を阻害すると言うことができる。この事例では、アナログが類似している化合物との比較はそれほど重要ではなく、これはなぜなら、HMG−CoAレダクターゼ活性に関する場合、媒体との、又は阻害されないHMG−CoAレダクターゼ活性との比較が、HMG−CoAレダクターゼ活性のレベルを決定するために非常に有益なためである。そのため、基準値との比較は参照用にのみ有用であり、前記アナログがHMG−CoAレダクターゼ活性を実際に阻害することができるか否かを同定するために必須ではない。
一般的定義
この出願において、「物質」は、分子、複数の分子の複合体、オリゴマー、ポリマー、ポリペプチド、タンパク質、粒子、又はそれらの断片として解釈されるべきである。
非置換アルキル基は、一般式CnH2n+1を有し、直鎖状又は分岐状であってよい。非置換アルキル基は、環状部分を含有してもよく、故に、付随一般式CnH2n−1を有する。アルキル基は、この文書においてさらに指定される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、t−ブチル、1−ヘキシル、1−ドデシル等を包含する。
アリール基は、6〜12個の炭素原子を含み、単環式及び二環式構造を包含してよい。アリール基は、この文書においてさらに指定される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。
アリールアルキル基及びアルキルアリール基は、少なくとも7個の炭素原子を含み、単環式及び二環式構造を包含してよい。アリールアルキル基及びアルキルアリールは、この文書においてさらに指定される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。アリールアルキル基は、例えば、ベンジルである。アルキルアリール基は、例えば、4−t−ブチルフェニルである。
ヘテロアリール基は、少なくとも2個の炭素原子(すなわち、少なくともC2)及び1又は2以上のヘテロ原子N、O、P又はSを含む。ヘテロアリール基は、単環式又は二環式構造を有してよい。ヘテロアリール基は、この文書においてさらに指定される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。好適なヘテロアリール基の例は、ピリジニル、キノリニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピロリル、フラニル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、プリニル、ベンゾオキサゾリル、チエニル、ホスホリル(phospholyl)及びオキサゾリルを包含する。好ましいヘテロアリール基は、ニコチンアミドである。
ヘテロアリールアルキル基及びアルキルヘテロアリール基は、少なくとも3個の炭素原子(すなわち、少なくともC3)を含み、単環式又は二環式構造を包含してよい。ヘテロアリール基は、この文書においてさらに指定される1又は2以上の置換基によって置換されていてもよい。
アリール基が(ヘテロ)アリール基と表記される場合、表記法は、アリール基及びヘテロアリール基を包含することになっている。同様に、アルキル(ヘテロ)アリール基は、アルキルアリール基及びアルキルヘテロアリール基を包含することになっており、(ヘテロ)アリールアルキルは、アリールアルキル基及びヘテロアリールアルキル基を包含することになっている。C2−C24(ヘテロ)アリール基は、故に、C2−C24ヘテロアリール基及びC6−C24アリール基を包含するとして解釈されたい。同様に、C3−C24アルキル(ヘテロ)アリール基は、C7−C24アルキルアリール基及びC3−C24アルキルヘテロアリール基を包含することになっており、C3−C24(ヘテロ)アリールアルキルは、C7−C24アリールアルキル基及びC3−C24ヘテロアリールアルキル基を包含することになっている。
別段の定めがない限り、アルキル基、アルケニル基、アルケン、アルキン、(ヘテロ)アリール基、(ヘテロ)アリールアルキル基、アルキル(ヘテロ)アリール基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、(ヘテロ)アリーレン基、アルキル(ヘテロ)アリーレン基、(ヘテロ)アリールアルキレン基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、(ヘテロ)アリールオキシ基、アルキニルオキシ基及びシクロアルキルオキシ基は、C1−C12アルキル基、C2−C12アルケニル基、C2−C12アルキニル基、C3−C12シクロアルキル基、C5−C12シクロアルケニル基、C8−C12シクロアルキニル基、C1−C12アルコキシ基、C2−C12アルケニルオキシ基、C2−C12アルキニルオキシ基、C3−C12シクロアルキルオキシ基、ハロゲン、アミノ基、オキソ及びシリル基からなる群から独立して選択される1又は2以上の置換基で置換されていてよく、シリル基は、式(R2)3Si−[式中、R2は、C1−C12アルキル基、C2−C12アルケニル基、C2−C12アルキニル基、C3−C12シクロアルキル基、C1−C12アルコキシ基、C2−C12アルケニルオキシ基、C2−C12アルキニルオキシ基及びC3−C12シクロアルキルオキシ基からなる群から独立して選択される]によって表すことができ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基及びシクロアルキルオキシ基は、置換されていてもよく、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基及びシクロアルコキシ基は、O、N及びSからなる群から選択される1又は2以上のヘテロ原子によって割り込まれていてもよい。
構造式又は化学名が、キラル中心を有すると当業者には理解されているが、まだキラリティーが指示されていない場合、各キラル中心につき、それぞれラセミ混合物、純粋Rエナンチオマー及び純粋Sエナンチオマーのすべて3つが個々に参照される。多くの場合、部分と称される分子の断片が表されている際はいつでも、アスタリスク(*)は、表されている部分が分子の残余と連結している場合を指示する。このアスタリスクは、必ずしも原子を意味せず、結合のその部分ではないほうの側にどの原子があるかについての情報を伝えるものでもない。これはすべて当該技術分野において公知であり、通常の慣例である。
物質のパラメーターがこの発明の文脈において論じられる際はいつでも、別段の指定がない限り、パラメーターは、生理的条件下で決定され、測定され、又は具現化されることが想定される。生理的条件は、当業者に公知であり、水性溶媒系、大気圧、pH値6〜8、室温〜約37℃(約20℃〜約40℃)の範囲の温度、及び緩衝塩又は他の成分の好適な濃度を含む。電荷は多くの場合、平衡に関連することが理解される。電荷を有する又は付帯すると言われる部分は、それがそのような電荷を付帯したり有したりしない場合よりもそのような電荷を付帯する又は有する状況において多分に見られると予想される部分である。そのため、当業者には理解されるように、この開示において帯電していることが指示されている原子は、特定の条件下で帯電していないことがあり、中性部分は、特定の条件下で帯電していることがある。
この発明の文脈において、評価されるパラメーターの減少又は増大は、そのパラメーターに対応する値の少なくとも5%の変化を意味する。より好ましくは、値の減少又は増大は、少なくとも10%、さらに一層好ましくは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、又は100%の変化を意味する。この後者の事例では、パラメーターに関連する検出可能な値がもはやないということがあるかもしれない。
この文書において記述されているとおりの医薬としての物質の使用は、医薬の製造における前記物質の使用として解釈することもできる。同様に、ある物質が治療のために又は医薬として使用される際はいつでも、治療用の医薬の製造のために使用することもできる。
この文書において及びその請求項において、動詞「含む」及びその活用形は、その語に続く項目が包含されるが具体的に述べられていない項目が除外されないことを意味する、その非限定的な意味で使用される。加えて、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による要素への言及は、文脈上、唯一の要素があることを明白に要しない限り、要素の2つ以上が存在する可能性を除外しない。不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、故に、通常「少なくとも1つ」を意味する。
語「約」又は「およそ」は、数値に関連して使用される場合(例えば、約10)、好ましくは、値が、所与の値の(10の)0.1%多い又は少ない値であってよいことを意味する。
本明細書において引用されるすべての特許及び参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(A)シンバスタチン酸の構造の図である(破線の楕円:カルボン酸);(B)カルボン酸部分がヒドロキサム酸部分によって置きかえられた、シンバスタチン酸に基づくスタチン様構造の図である(構造は、一般式Iを有し、式中、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’は、R’−シンバであり、Qは、−CH2−である);(C)シンバスタチン酸X線構造の図である(タンパク質薄灰色、シンバスタチン炭素原子暗灰色及びヘテロ原子薄灰色;水素結合灰色破線)(D)シンバスタチンヒドロキサム酸生物学的等価体のドッキングポーズである(タンパク質薄灰色、ヒドロキサム酸生物学的等価体炭素原子暗灰色、ヘテロ原子薄灰色)。
(A)図1Bに示される新たに合成されたシンバスタチン誘導体の、100μMにおける複合体III阻害活性のグラフである。統計的分析:複合体III酵素活性値を、一元ANOVAを使用し、ダネットの事後補正分析、***pは0.001未満で、媒体対照レベルと比較した;(B)300nMのシンバスタチン酸及び図1Bに示される新たに合成されたシンバスタチン誘導体における、HMG−CoAレダクターゼ(HMGR)活性のグラフである。統計的分析:HMG−CoAレダクターゼ酵素活性値を、一元ANOVAを使用し、ダネットの事後補正分析、***pは0.001未満で、媒体対照レベルと比較した;(C)シンバスタチン酸(●)及び図1Bに示される新たに合成されたシンバスタチン誘導体(■)についてのHMGR用量応答曲線のグラフである。パネルCに表示されている曲線に属するシンバスタチンについて及び図1Bに示されるアナログについてのIC50値は、表3に提示されている。
ロスバスタチンのラクトン形態を使用する、生物学的等価体の合成の図である。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストはを参照することができる。
(A)ニトリル調製の図である。(B)ヘテロ環式カルボン酸模倣物の合成の図である。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストは明細書を参照することができる。
主要中間体21の合成の図である。太字の化合物ナンバリングは、実施例と一致する。
一般式(I)の生物学的等価体[式中、Qは、結合である]の合成の図である。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストは明細書を参照することができる。
シンバスタチンアナログの合成の図である。(A)アミドベースの生物学的等価体;(B)ヘテロ環式生物学的等価体。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストは明細書を参照することができる。
ラクトン形態を介するロバスタチンアナログの合成の図である。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストは明細書を参照することができる。
ラクトン形態を介するアトルバスタチンアナログの合成の図である。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストは明細書を参照することができる。
ラクトン形態を介するフルバスタチンアナログの合成の図である。太字の化合物ナンバリングは実施例と一致し、斜体のテキストは明細書を参照することができる。[実施例]
本発明は、下記の実施例によってさらに記述され、これは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
別段の定めがない限り、本発明の実践は、分子生物学、ウイルス学、微生物学又は生化学の標準的な従来の方法を用いることになる。そのような技法は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2ndedition), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Pressにおいて; Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NYにおいて;Volumes 1 and 2 of Ausubel et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols, USAにおいて;及びVolumes I and II of Brown (1998) Molecular Biology LabFax, Second Edition, Academic Press (UK);Oligonucleotide Synthesis (N. Gait editor);Nucleic Acid Hybridization (Hames and Higgins, eds.)において記述されている。
シンバスタチンヒドロキサム酸生物学的等価体の合成
この実施例において、本発明に従う化合物を生成する。これは、一般式I[式中、Qは、−CH2−であり、Rは、ヒドロキサム酸であり、R’は、R’−シンバである]を有する。そのため、これは、一般式Iaのものでもある。
テトラヒドロフラン(THF,tetrahydrofuran)(0.25mL)中のシンバスタチン(20mg、0.048mmol)の溶液を、50%ヒドロキシルアミン水溶液(15μL、0.24mmol)と混合し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。減圧下での溶媒の除去後、粗生成物を、メタノール/ジクロロメタン(10:1、体積:体積)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製した。この手順により、17mg(82%)のシンバスタチンヒドロキサム酸生物学的等価体を無色固体として得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ5.98(d,J=9.7Hz,1H)、5.77(dd,J=9.6,6.2Hz,1H)、5.49(t,J=2.8Hz,1H)、5.44(q,J=3.0Hz,1H)、4.23(tt,J=7.6,3.8Hz,1H)、3.78(br s,1H)、2.20-2.49(m,6H)、1.98(ddd,J=14.9,8.5,2.6Hz,1H)、1.82-1.86(m,1H)、1.52-1.61(m. 6H)、1.18-1.24(m,2H)、1.11(d,J=2.9Hz,6H)、1.09(J=7.4Hz,3H)、0.86(d,J=7.0Hz,3H)、0.82(t,J=7.5Hz,3H)。
ミトコンドリア画分を使用して複合体III活性を測定する
20・106細胞のC2C12ペレットを、液体窒素中でスナップ凍結し、使用するまで−80℃に保った。ミトコンドリア画分の調製のために、組織及び細胞を均質化し、10mMのTris−HCl(pH7.6)に再懸濁し、アリコートで次のとおりにスナップ凍結した:細胞を、10mMのTris−HClに再懸濁し、時間を置き、スクロースを添加した(215mM)。遠心分離(10分、600g)によって溶解物から破壊されていない細胞を取り除き、その後、ミトコンドリアを含有する上清を、14,000gで10分間にわたってペレット化し、10mMのTris−HCl(pH7.6)に再懸濁し、アリコートでスナップ凍結した。複合体III酵素活性を、550nmにおけるシトクロムc還元の決定によって、前述したとおり、2連にて分光光度的に測定した(Janssen et al., 2007; Mourmans et al., 1997; Rodenburg, 2011)。これらの測定には、下記の基質を使用した:デシルビキノール(decylubiquinol)(300μM)及びシトクロムc(50μM)。背景差分(substraction)は、図2についてはデシルビキノール自動酸化速度に、表4についてはアンチマイシンA(2.5μM)に基づくものであった。酵素活性は、曲線の線形領域を使用して決定した。これらの実験は、概して、スループットを増大させるために小反応体積で実施した。より大きい反応体積での実験は、取得される値の信頼性を改善することができ、計画される。
HMG−CoAレダクターゼ活性を測定する
ヒトHMG−CoAレダクターゼ活性及び阻害アッセイは、ヒトHMG−CoAレダクターゼの触媒ドメインを含有する、Sigma-Aldrich社製HMG−CoAレダクターゼアッセイキット(Sigma CS-1090)を使用して実施した。酵素活性は、340nmにおけるNADPHの酸化を測定して、分光光度的に決定した。反応混合物は、0.13mMのHMG−CoA、HMG−CoAレダクターゼ及び50mMのTris−HCl(pH7.5)を含有していた。37℃での15分間のインキュベーション後、0.13mMのNADPHの添加により反応を開始させ、30分間にわたってモニターした。酵素活性は、曲線の線形領域を使用して決定した。これらの実験は、概して、スループットを増大させるために小反応体積で実施した。より大きい反応体積での実験は、取得される値の信頼性を改善することができ、計画される。
シンバスタチンヒドロキサム酸生物学的等価体の特徴
図1Bに示される新たに合成されたシンバスタチン誘導体の複合体III阻害活性を、実施例2において記述されているアッセイのように、100μMで試験した。このアッセイの結果を、図2Aに示す。統計的分析:複合体III酵素活性値を、一元ANOVAを使用し、ダネットの事後補正分析、***pは0.001未満で、媒体対照レベルと比較した。シンバスタチン酸及び図1Bに示される新たに合成されたシンバスタチン誘導体のHMG−CoAレダクターゼ(HMGR)活性も、実施例3において記述されているアッセイのように、300nMで決定した。これらの結果を、図2Bに示す。統計的分析:HMG−CoAレダクターゼ酵素活性値を、一元ANOVAを使用し、ダネットの事後補正分析、***pは0.001未満で、媒体対照レベルと比較した。スタチン及びそのアナログをさらに特徴付けるために、HMGR用量応答曲線を、シンバスタチン酸(●)及び図1Bに示される新たに合成されたシンバスタチン誘導体(■)の両方について決定した。この曲線を、図2Cに示す。図2Cに表示されている曲線に属するシンバスタチンについて及び図1Bに示されるアナログについてのIC50値を、表3に示す。
ロスバスタチンアナログ
この実施例における化合物のナンバリング及びその後に続くものは、読みやすいように順次であり、この文書における他の箇所のいかなるナンバリングとも関係しない。
ロスバスタチンのアナログは、図3に描写されているとおりに調製した。ラクトン1は、ロスバスタチンカルシウム塩から、米国特許出願公開第2013/296561号明細書において記述されているとおりに取得した。この手順の間に、材料を、密接に関係している副産物に部分的に変換し、これを、シーケンスの最終沈殿中に除去する。この副産物は、C5−ヒドロキシル基のエピマー化が起源であり得る。ラクトン1を使用する開環反応を、4つの異なる窒素求核試薬、つまりヒドロキシルアミン、アンモニア、メチルアミン及びジメチルアミンを用いて実施した。対応するロスバスタチンアナログ2、3、4及び5が、良好-優れた収率及び純度で取得された。
5のジオール部分をアセトニドとして保護した後(化合物6、図4a)、塩化ホスホリル及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF,dimethylformamide)による処理によって、アミドを脱水してよい。カラムクロマトグラフィーによる精製後、対応するニトリル7が、86%の良好な収率で単離された。酸性条件下での脱保護後、ロスバスタチンアナログ8が取得された。
中間体7を、アジ化ナトリウム及び塩化アンモニウムによる処理によって、テトラゾール9にも転換し、これを、酸媒介脱保護後、アナログ10に反応させた(図4b)。ニトリル7とヒドロキシルアミンとの反応、続いて、カルボニルジイミダゾール(CDI,carbonyldiimidazole)を使用する環化反応により、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール9を提供し、これも脱保護して、基質12を得た。
一般式Ieの生物学的等価体の調製のために、主要中間体21への合成戦略を、図5で記述されているとおりに開発した。ルートは、報告されているルートに従う、エバンスのキラル補助及びベンジルオキシ酢酸のカップリングによる化合物13の合成から出発する(Org. Lett. 2010, 12, 3792-3795)。13のジアステレオ選択的アルキル化により、アリル14を提供し、これを、四酸化オスミウム及びNMOで処理して、アルコール15を得た。保護(TBSCl)及び脱保護(Pd/C、H2)シーケンス後、モノ保護ラクトン16が、3ステップにわたって38%の中程度の収率で取得された。LiOH水溶液を使用するラクトンの加水分解、続いて、HCl水溶液による酸性化によって、凍結乾燥後、対応するカルボン酸を得た。ジアゾメタンによる処理によって酸をメチルエステルに変換し、これを、酸性条件下、2−メトキシプロペンと直ちに反応させて、ジオール部分を捕捉し、ラクトン形成を回避した。シーケンスは文献(Tetrahedron Lett. 1987, 28, 1143-1146)において記述されており、メチルエステル17を40%収率で提供した。テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF,tetra-n-butylammonium fluoride)による処理によるシリル脱保護によって、アルコール18を得て、デス・マーチン酸化後、アルデヒド19が取得された。アルデヒドとホスホニウム塩20との間の最終ウィッティヒ反応(Org. Biomol. Chem., 2016, 14, 1363-1369)によって、11の連続ステップ後、所望のロスバスタチンアナログ21を提供した。
メチルエステル21から2つのロスバスタチンアナログへの転換は、図6において描写されている。ヒドロキシルアミンとの反応により、アミド22を提供し、これを、塩化オキサリル及びジメチルスルホキシド(DMSO,dimethyl sulfoxide)を使用して脱水して、ニトリル23を93%の収率で得た。基質10及び12の合成に使用したのと同じ方法論を適用することによって、このビルディングブロックをテトラゾール25及びオキソ−オキサジアゾール27に変換した(図4b)。
N−(4−(4−フルオロフェニル)−5−((E)−2−((2S,4R)−4−ヒドロキシ−6−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ビニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド1:
この反応は、暗所で実施した。ロスバスタチンカルシウム塩(1g、0.99mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、ブライン(2mL)を添加した。溶液を0〜5℃に冷やし、4N HCl(0.5mL)及びブライン(1.1mL)の混合物を使用して、pHを4.0に調整した。水(1.5mL)を添加して、形成された塩を溶解した。EtOAc(12mL)を添加し、水性相を除去し、有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。
取得されたシロップをトルエン(15mL)に溶解し、混合物を、Dean-Stark条件下、4時間にわたって還流させた。混合物を室温に冷却し、16時間にわたって撹拌した。取得された濃厚懸濁液を濾過し、ゲル様材料を小体積のトルエンで2回洗浄し、真空で乾燥させて、1を白色固体(750mg、81%)として得た。文献データ(米国特許出願公開第2013/296561号明細書、2013年)に一致する1H NMR。
(3R,5S,E)−7−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)−N,3,5−トリヒドロキシヘプタ−6−エナミド2:
この反応は、暗所で実施した。ラクトン1(43mg、0.093mmol)をTHF(0.8mL)に溶解し、ヒドロキシルアミンの50%水溶液(0.031mL、0.464mmol)を添加した。溶液を室温で2.5時間にわたって撹拌した。次に、溶液を、減圧下、暗所で濃縮し、CH2Cl2で洗浄(strip)して、2を白色泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.63-7.60(m,2H)、7.11-7.05(m,2H)、6.59(d,J=15.6Hz,1H)、5.44(dd,J=16.1,5.6Hz,1H)、4.45-4.39(m,1H)、4.23-4.14(m,1H)、3.56(s,3H)、3.51(s,3H)、3.35-3.28(m,1H)、2.37-2.23(m,2H)、1.63-1.45(m,2H)、1.25(d,J=6.7Hz,6H)。
(3R,5S,E)−7−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)−ピリミジン−5−イル)−3,5−ジヒドロキシ−N−メチルヘプタ−6−エナミド3:
この反応は、暗所で実施した。ラクトン1(45mg、0.097mmol)をTHF(0.8mL)に溶解し、メタンアミン(EtOH中33%、0.060mL、0.485mmol)を添加した。溶液を室温で2.5時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5→85:15)による精製によって、3を白色泡状物(47mg、98%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.72-7.55(m,2H)、7.11-7.06(m,2H)、6.64(dd,J=16.1,1.5Hz,1H)、5.70-5.64(m,1H)、5.43(dd,J=16.0,5.2Hz,1H)、4.67(d,J=1.9Hz,1H)、4.49-4.43(m,1H)、4.22-4.15(m,1H)、3.66-3.64(br s,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.40-3.32(m,1H)、2.84(d,J=4.9Hz,3H)、2.31-2.28(m,2H)、1.58-1.48(m,1H)、1.43-1.37(m,1H)、1.26(dd,J=6.7,0.9Hz,6H)。
(3R,5S,E)−7−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)−ピリミジン−5−イル)−3,5−ジヒドロキシ−N,N−ジメチルヘプタ−6−エナミド4:
この反応は、暗所で実施した。ラクトン1(65mg、0.14mmol)をTHF(1.5mL)に溶解し、ジメチルアミン(水中40%、0.444mL、3.51mmol)を添加した。溶液を室温で5時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=97:3→90:10)による精製によって、4を白色泡状物(45mg、65%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.69-7.64(m,2H)、7.12-7.06(m,2H)、6.66(dd,J=16.1,1.6Hz,1H)、5.45(dd,J=16.0,5.0Hz,1H)、4.95-4.92(m,1H)、4.50-4.44(m,1H)、4.27-4.19(m,1H)、4.12(s,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.44-3.32(m,1H)、2.99(s,3H)、2.97(s,3H)、2.46-2.29(m,2H)、1.61-1.51(m,1H)、1.44-1.37(m,1H)、1.26(d,J=6.7Hz,6H)。
(3R,5S,E)−7−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)−ピリミジン−5−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エナミド5:
この反応は、暗所で実施した。ラクトン1(425mg、0.92mmol)をアンモニア(MeOH中7N、6.5mL、46mmol)に溶解し、溶液を室温で16時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=92.5:7.5→85:15)による精製によって、5を白色泡状物(433mg、98%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.67-7.61(m,2H)、7.12-7.06(m,2H)、6.64(dd,J=16.1,1.6Hz,1H)、5.73(br s,1H)、5.44(dd,J=16.1,5.3Hz,1H)、5.42(br s,1H)、4.50-4.44(s,1H)、4.43-4.40(m,1H)、4.26-4.18(m,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.50(d,J=1.9Hz,1H)、3.41-3.30(m,1H)、2.39-2.34(m,2H)、1.62-1.51(m,1H)、1.46-1.40(m,1H)、1.26(dd,J=6.7,1.2Hz,6H)。
2−((4R,6S)−6−((E)−2−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチル−スルホンアミド)ピリミジン−5−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)アセトアミド6:
この反応は、暗所で実施した。ジオール5(390mg、0.81mmol)をアセトン(8mL)に溶解し、溶液を氷浴中で冷却した。次いで、2−メトキシプロパ−1−エン(0.23mL、2.43mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(7.72mg、0.041mmol)を添加した。30分間にわたって撹拌した後、氷浴を除去した。追加で1.5時間後、混合物を、飽和NaHCO3水溶液(25mL)、EtOAc(25mL)及び水(5mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:2.5→100:10)による精製によって、6を白色泡状物(405mg、96%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.67-7.61(m,2H)、7.12-7.05(m,2H)、6.52(dd,J=16.2,1.4Hz,1H)、6.10(br s,1H)、5.46(dd,J=16.2,5.4Hz,1H)、5.33(br s,1H)、4.48-4.41(m,1H)、4.33-4.24(m,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.42-3.31(m,1H)、2.44(ABdd,J=15.1,7.4Hz,1H)、2.35(ABdd,J=15.2,4.2Hz,1H)、1.56-1.52(m,1H)、1.50(s,3H)、1.43(s,3H)、1.27(dd,J=6.7,3.2Hz,6H)、1.26-1.14(m,1H)。
N−(5−((E)−2−((4S,6S)−6−(シアノメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド7:
この反応は、暗所で実施した。ジオキソラン6(405mg、0.77mmol)を乾燥EtOAc(8mL)に溶解し、溶液を氷浴で冷却した。次いで、乾燥DMF(205μL、2.64mmol)及びEt3N(347μL、2.49mmol)を添加し、続いて、三塩化ホスホリル(218μL、2.33mmol)を、10分の期間をかけてゆっくりと添加した。混合物を氷浴中で45分間かけて撹拌した後、黄色混合物を飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びEtOAC(15mL)で希釈し、室温に加温させた。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(2×15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=2.5:1→1:1)による精製によって、7を白色泡状物(338mg、86%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68-7.62(m,2H)、7.14-7.07(m,2H)、6.55(dd,J=16.2,1.5Hz,1H)、5.47(dd,J=16.2,5.3Hz,1H)、4.46-4.40(m,1H)、4.20-4.10(m,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.42-3.30(m,1H)、2.55(ABdd,J=16.7,5.8Hz,1H)、2.49(ABdd,J=16.7,6.2Hz,1H)、1.67-1.60(m,1H)、1.48(s,3H)、1.44(s,3H)、1.28(dd,J=6.7,1.9Hz,6H)、1.27-1.20(m,1H)。
N−(5−((3S,5S,E)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキサ−1−エン−1−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド8:
この反応は、暗所で実施した。ニトリル7(50mg、99μmol)をMeCN(0.5mL)及び0.2M HCl水溶液(497μL、99μmol)に溶解し、混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。次いで、混合物をEtOAc(5mL)及び飽和NaHCO3水溶液(5mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:2→1:10)による精製後、化合物8が無色油(38mg、83%)として単離された。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.64-7.57(m,2H)、7.15-7.09(m,2H)、6.63(dd,J=16.1,1.4Hz,1H)、5.48(dd,J=16.1,6.0Hz,1H)、4.53-4.45(m,1H)、4.18-4.12(m,1H)、3.66-3.62(m,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.36-3.25(m,1H)、2.60-2.47(m,2H)、2.43(d,J=3.1Hz,1H)、1.71-1.63(m,2H)、1.28(d,J=6.7Hz,6H)。
N−(5−((E)−2−((4S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド9:
この反応は、暗所で実施した。ニトリル7(125mg、0.25mmol)をDMF(1mL)に溶解し、NH4Cl(133mg、2.49mmol)及びNaN3(162mg、2.49mmol)を添加した。混合物を室温で5分間にわたって撹拌し、次いで、115℃に加温し、追加で20時間にわたって撹拌した。混合物を室温に冷却し、EtOAc(30mL)及び水(20mL)で希釈した。激しく撹拌しながら、1M HCl水溶液を使用して、混合物をpH=2.5に酸性化した。層を分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:2→100:6)による精製によって、9を無色油(HPLCに基づき、65mg、83%、純度約87%)として得た。
N−(5−((3S,5S,E)−3,5−ジヒドロキシ−6−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサ−1−エン−1−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド10:
この反応は、暗所で実施した。化合物9(65mg、0.12mmol)をMeCN(0.6mL)及び0.2M HCl水溶液(596μL、0.12mmol)に溶解し、混合物を室温で3.5時間にわたって撹拌した。混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:5→100:15)による精製によって、10を白色泡状物(40mg、66%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.61-7.54(m,2H)、7.11-7.03(m,2H)、6.60(dd,J=16.1,1.2Hz,1H)、5.47(dd,J=16.1,6.1Hz,1H)、4.55-4.48(m,1H)、4.31-4.23(m,1H)、3.57(s,3H)、3.51(s,3H)、3.34-3.18(m,2H)、3.05(ABdd,J=15.5,7.9Hz,1H)、1.69-1.44(m,2H)、1.25(dd,J=6.7,0.9Hz,6H)。
N−(5−((E)−2−((4S,6S)−2,2−ジメチル−6−((5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メチル)−1,3−ジオキサン−4−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド11:
この反応は、暗所で実施した。ニトリル7(100mg、0.12mmol)をMeOH(1mL)に溶解し、ヒドロキシルアミン水溶液(水中50%、197μL、2.98mmol)を添加した。混合物を室温で5分間にわたって撹拌し、次いで、65℃に加温した。もう4.5時間にわたって撹拌した後、混合物を室温に冷却させ、THFで希釈し、減圧下で濃縮した。残留物をTHFでもう一度洗浄(strip)した。残りの油をTHF(1mL)に溶解し、CDI(48.4mg、0.30mmol)、続いて、10分後にジアザビシクロウンデセン(2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロピリミド[1,2−α]アゼピン;DBU;37μL、0.25mmol)を添加した。混合物を室温で16時間にわたって撹拌した。次いで、追加のCDI(60mg)、続いて、DBU(30μL、10分後)を添加し、1時間撹拌した後、再度追加のCDI(40mg)及びDBU(20μL)を添加した。追加で1時間後、混合物を飽和NH4Cl水溶液(15mL)及びEtOAc(15mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機相をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:1→1:3)による精製によって、11を白色泡状物(103mg、92%)として得た。
N−(5−((3S,5S,E)−3,5−ジヒドロキシ−6−(5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ヘキサ−1−エン−1−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド12:
この反応は、暗所で実施した。化合物11(100mg、0.18mmol)をMeCN(0.9mL)及び0.2M HCl水溶液(890μL、0.18mmol)に溶解し、混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。次に、混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:2.5→100:10)による精製によって、12を白色泡状物(60mg、64%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.55-7.62(m,2H)、7.13-7.06(m,2H)、6.60(dd,J=16.1,1.0Hz,1H)、5.46(dd,J=16.1,6.1Hz,1H)、4.54-4.46(m,1H)、4.26-4.18(m,1H)、3.57(s,3H)、3.51(s,3H)、3.35-3.22(m,1H)、2.78(ABdd,J=15.2,3.3Hz,1H)、2.63(ABdd,J=15.2,7.6Hz,1H)、1.60-1.53(m,2H)、1.26(d,J=6.7Hz,6H)。
(S)−4−ベンジル−3−(2−(ベンジルオキシ)アセチル)オキサゾリジン−2−オン13:
乾燥トルエン(45mL)中の(S)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オン(4.44g、25.1mmol)の水浴冷却懸濁液に、ベンジルオキシ酢酸(5.0g、30.1mmol)及びEt3N(8.74mL、62.7mmol)を引き続き添加した。混合物が透明になり、5分間にわたって撹拌した。次いで、塩化ピバロイル(3.70mL、30.1mmol)、続いて、DMAP(1.53g、12.5mmol)を添加し、濃厚な混合物を室温で5分間にわたって撹拌し、続いて、75℃で16時間にわたって撹拌した。混合物を室温に冷却し、その後、反応混合物を、1M HCl水溶液で2回(50mL、次いで25mL)、0.5M NaOH水溶液(3×25mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=3:1→1.5:1)による精製によって、13を白色固体(5.75g、70%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.45-7.27(m,8H)、7.23-7.18(m,2H)、4.74-4.66(m,5H)、4.31-4.20(m,2H)、3.33(ABdd,J=13.4,3.3Hz,1H)、2.82(ABdd,J=13.4,9.4Hz,1H)。
(S)−4−ベンジル−3−((R)−2−(ベンジルオキシ)ペンタ−4−エノイル)オキサゾリジン−2−オン14:
THF(106mL)中の13(6.87g、21.1mmol)の溶液を−75℃に冷却し、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中2M、15.8mL、31.7mmol)を、5分の期間をかけて添加した。得られた黄色混合物を25分間にわたって撹拌し、その間に、温度は−75℃から−45℃に変化した。混合物を−70℃に再度冷却し、THF(15mL)中の3−ヨードプロパ−1−エン(5.78mL、63.3mmol)の溶液を、5分の期間をかけて滴下添加した。混合物を、1時間の期間をかけて−35℃に加温させた。−35℃にて追加で1時間にわたって撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液(250mL)の添加によって反応物をクエンチした。混合物をEtOAc(250mL)及び水(25mL)で希釈し、層を混合し、分離した。水性相をEtOAc(100mL)で抽出し、合わせた有機層を、飽和NH4Cl水溶液(250mL)、飽和NaHCO3水溶液(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=5:1→3:1)による精製によって、14を黄色油(HPLCに基づき、4.63g、60%、純度約94%)として得た。
(3R,5S)−3−(ベンジルオキシ)−5−(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン15:
THF(100mL)及び水(16mL)中の14(4.6g、12.6mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、N−メチルモルホリンN−オキシド(NMO;10.3g、88mmol)、続いて、OsO4の4%水溶液(3.1mL、0.50mmol)を添加した。混合物を室温で17時間にわたって撹拌した。溶液を飽和Na2S2O3水溶液(250mL)に注ぎ入れ、混合物を10分間にわたって撹拌した後、EtOAc(300mL)をブライン(100mL)と一緒に添加した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(75mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1.5:1→1:2)による精製によって、15を、(S)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オン(エバンスのキラル補助)が夾雑した黄色油(1.8g)として得た。理論収率は、50%(6.3mmol)であった。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.39-7.28(m,5H)、4.93(d,J=11.6Hz,1H)、4.74-4.68(m,1H)、4.68(d,J=11.6Hz,1H)、4.36-4.31(m,1H)、3.95-3.88(m,1H)、3.59(ddd,J=12.5,6.4,3.6Hz,1H)、2.46-2.39(m,1H)、2.33-2.25(m,2H)。
(3R,5S)−5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−ヒドロキシジヒドロフラン−2(3H)−オン16:
CH2Cl2(60mL)中の15(6.3mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、イミダゾール(1.6g、24mmol)及びTBS−Cl(1.4g、9.3mmol)を添加した。混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。飽和NH4Cl水溶液(150mL)の添加によって溶液をクエンチし、EtOAc(120mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機相を、飽和NH4Cl水溶液(75mL)、飽和NaHCO3水溶液(75mL)及びブライン(75mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=12:1→5:1)による精製によって、16を無色油(1.72g、81%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.40-7.29(m,5H)、4.94(d,J=11.9Hz,1H)、4.74(d,J=11.9Hz,1H)、4.65-4.60(m,1H)、4.36(dd,J=8.5,7.8Hz,1H)、3.85(ABdd,J=11.4,2.5Hz,1H)、3.60(ABdd,J=11.4,2.2Hz,1H)、2.42(ddd,J=13.1,8.5,3.0Hz,1H)、2.33-2.25(m,1H)、0.82(s,9H)、0.02(s,6H)。取得された材料を、EtOH(35mL)に溶解し、Pd/C(デグサ型、435mg、0.20mmol)を添加した。懸濁液を、3時間にわたって激しく撹拌しながら、H2ガスで飽和させた。懸濁液をCelite(登録商標)に通して濾過し、これを、EtOH(2×25mL)で洗浄(rinse)した。濾液を減圧下で濃縮し、CH2Cl2で洗浄(strip)した、16(1.20g、95%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.70-4.63(m,2H)、3.89(ABdd,J=11.4,2.4Hz,1H)、3.65(ABdd,J=11.4,2.1Hz,1H)、2.69(br s,1H)、2.58(ddd,J=12.9,9.0,1.8Hz,1H)、2.31(dt,J=12.9,9.0Hz,1H)、0.88(s,9H)、0.07(s,3H)、0.06(s,3H)。
メチル(4R,6S)−6−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボキシレート17:
ジオキサン(30mL)及び水(20mL)中の16(1.0g、4.1mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、1M LiOH水溶液(4.14mL、4.14mmol)を添加した。混合物を50分間にわたって撹拌し、その後、追加の1M LiOH水溶液(200μL)を添加した。もう50分後、再度追加の1M LiOH水溶液(250μL)を添加した。もう2.5時間後、1M HCl水溶液(4.46mL、4.46mmol)をゆっくり添加することによって反応物をクエンチし、pHが約4.5であることを確認した。混合物を凍結乾燥して、油(1.4g)を得た。この油のうち、0.9g(約3mmol)をEt2O(40mL)に懸濁し、氷浴中で冷却し、5分間にわたって撹拌した。次いで、混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、これを、Et2O(10及び5mL)で2回洗浄(rinse)した。取得された透明溶液を氷浴中で冷却し、ジアゾメタンを、Et2O中のストック溶液から、プラスチックシリンジを使用して、黄色が持続するまで添加した。混合物を追加で5分間にわたって撹拌し、4℃で10分間にわたってN2ガスに通して発泡させることによって、過剰なジアゾメタンを除去した。無色溶液をアセトン(40mL)で希釈し、2−メトキシプロパ−1−エン(1.66mL、17.2mmol)、続いて、カンファースルホン酸(CSA,camphorsulfonic acid;0.10g、0.43mmol)を、4回に分けて8分間かけて添加した。20分後、追加のCSA(25mg)及び2−メトキシプロパ−1−エン(0.5mL)を添加した。もう20分間にわたって撹拌した後、混合物を飽和NaHCO3水溶液(100mL)及び水(10mL)で希釈し、EtOAc(2×70mL)で2回抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=8:1→3:1)による精製によって、17を無色油(0.36g、約35-40%収率)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.53(dd,J=12.2,2.8Hz,1H)、4.01-3.95(m,1H)、3.78(s,3H)、3.68(ABdd,J=10.3,5.2Hz,1H)、3.50(ABdd,J=10.3,6.0Hz,1H)、1.94(dt,J=13.0,2.7Hz,1H)、1.48(s,3H)、1.48(s,3H)、0.89(s,9H)、0.06(s,3H)、0.06(s,3H)。
メチル(4R,6S)−6−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボキシレート18:
THF(6mL)中の17(398mg、1.25mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、TBAF(THF中1M、1.31mL、1.31mmol)を添加した。混合物を1時間にわたって撹拌し、その後、追加のTBAF(100μL)を添加した。もう1.5時間後、再度追加のTBAF(75μL)を添加した。もう2時間後、飽和NH4Cl水溶液(25mL)及びEtOAc(20mL)の添加によって反応物をクエンチした。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:1→1:4)による精製によって、18を無色油(0.17g、66%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.55(dd,J=12.1,3.0Hz,1H)、4.10-4.04(m,1H)、3.77(s,3H)、3.65(br s,1H)、3.54(ABdd,J=11.4,5.9Hz,1H)、2.12(br s,1H)、1.79(dt,J=13.0,2.9Hz,1H)、1.71-1.63(m,1H)、1.51(s,3H)、1.50(s,3H)。
メチル(4R,6S)−6−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボキシレート19:
CH2Cl2(5.5mL)中の18(170mg、0.832mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、デス・マーチンペルアイオディナン(periodinane)(424mg、0.99mmol)を、4回に分けて5分間かけて添加した。混合物を室温で1.5時間にわたって撹拌し、その後、追加のデス・マーチンペルアイオディナン(50mg)を添加した。もう5分間にわたって撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びNa2S2O3(4.5g)の混合物の添加によって反応物をクエンチした。2分間にわたって撹拌した後、混合物をCH2Cl2(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:1→1:3)による精製によって、19を無色油(0.11g、65%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.59(s,1H)、4.56(dd,J=12.1,2.8Hz,1H)、4.35(dd,J=12.1,3.1Hz,1H)、3.78(s,3H)、2.11(dt,J=13.2,2.9Hz,1H)、1.73-1.60(m,1H)、1.58(s,3H)、1.52(s,3H)。
メチル(4R,6S)−6−((E)−2−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチル−スルホンアミド)ピリミジン−5−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボキシレート21:
この反応は、暗所で実施した。DMSO(3mL)中の19(369mg、0.54mmol)の冷却(4℃)溶液に、DMSO(2mL)中の20(369mg、0.54mmol)(Org. Biomol. Chem., 2016, 14, 1363-1369)の溶液、続いて、K2CO3(90mg、0.65mmol)を添加した。混合物を65℃に加温し、1.5時間にわたって撹拌した。次に、混合物をトルエン(35mL)及び飽和NH4Cl水溶液(25mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機層をブライン(2×10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=3:1→1:1)による精製によって、21を無色油(0.16g、57%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.67-7.60(m,2H)、7.13-7.05(m,2H)、6.56(dd,J=16.2,1.5Hz,1H)、5.47(dd,J=16.2,5.2Hz,1H)、4.54(dd,J=12.1,2.7Hz,1H)、4.51-4.43(m,1H)、3.79(s,3H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.36(七重線,J=6.7Hz,1H)、1.81(dt,J=13.0,2.7Hz,1H)、1.53(s,3H)、1.51(s,3H)、1.52-1.41(m,1H)、1.27(dd,J=6.7,3.7Hz,6H)。
(4R,6S)−6−((E)−2−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−カルボキサミド22:
化合物21(164mg、0.314mmol)をアンモニア(MeOH中7N、3.37ml、23.6mmol)に溶解し、溶液を暗所で2.5時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:2→1:4)による精製後、化合物22が無色油(143mg、90%)として単離された。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.69-7.61(m,2H)、7.12-7.06(m,2H)、6.54(dd,J=16.3,1.4Hz,1H)、6.50(br s,1H)、5.73(br s,1H)、5.50(dd,J=16.3,5.4Hz,1H)、4.52-4.45(m,1H)、4.37(dd,J=12.1,2.8Hz,1H)、3.57(s,3H)、3.51(s,3H)、3.36(hept,J=6.7Hz,1H)、2.02(dt,J=13.1,2.6Hz,1H)、1.50(s,3H)、1.48(s,3H)、1.39-1.29(m,1H)、1.27(dd,J=6.7,3.6Hz,6H)。
N−(5−((E)−2−((4S,6R)−6−シアノ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド23:
この反応は、暗所で実施した。アミド22(116mg、0.23mmol)を乾燥CH2Cl2(5mL)に溶解し、乾燥DMSO(146μL、2.06mmol)の添加後、溶液を−70℃に冷却した。次いで、塩化オキザリル(80μL、0.92mmol)をゆっくりと添加し、−70℃で20分後、Et3N(383μL、2.75mmol)を添加し、混合物を、40分の期間をかけて−30℃に加温させた。−30℃にて追加で50分間にわたって撹拌した後、反応物を飽和NH4Cl水溶液(25mL)及びEtOAc(20mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=3:1→1:1)による精製によって、23を無色油(104mg、93%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66-7.61(m,2H)、7.14-7.08(m,2H)、6.59(dd,J=16.2,1.5Hz,1H)、5.45(dd,J=16.2,5.2Hz,1H)、4.80-4.77(m,1H)、4.44-4.39(m,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.33(hept,J=6.8Hz,1H)、1.82-1.71(m,2H)、1.49(s,3H)、1.48(s,3H)、1.28(dd,J=6.7,2.2Hz,6H)。
N−(5−((E)−2−((4S,6R)−2,2−ジメチル−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,3−ジオキサン−4−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド24:
この反応は、暗所で実施した。ニトリル23(35mg、72μmol)をDMF(0.3mL)に溶解し、塩化アンモニウム(77mg、1.43mmol)及びアジ化ナトリウム(93mg、1.43mmol)を添加した。混合物を室温で5分間にわたって撹拌し、次いで、115℃に加温し、もう1.5時間にわたって撹拌した。反応混合物を室温に冷却させ、EtOAc(10mL)及び水(7mL)で希釈した。1M HCl水溶液を使用して、混合物をpH=4.0に酸性化した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×6mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:4→100:12)による精製によって、24を無色油(30mg、80%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66-7.61(m,2H)、7.11-7.04(m,2H)、6.59(dd,J=16.3,1.4Hz,1H)、5.54-5.44(m,2H)、4.66-4.59(m,1H)、3.57(s,3H)、3.51(s,3H)、3.40-3.29(m,1H)、2.20-2.13(m,1H)、1.61(s,3H)、1.60-1.54(m,1H)、1.53(s,3H)、1.27(dd,J=6.7,4.1Hz,6H)。
N−(5−((3S,5R,E)−3,5−ジヒドロキシ−5−(1H−テトラゾール−5−イル)ペンタ−1−エン−1−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド25:
この反応は、暗所で実施した。テトラゾール24(44mg、83μmol)をMeCN(0.5mL)及び0.2M HCl水溶液(0.47mL、95μmol)に溶解し、混合物を室温で3.5時間にわたって撹拌した。追加の0.2M HCl水溶液(50μL)を添加し、混合物を追加で1時間にわたって撹拌した。次いで、混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機層をブライン(2×5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:20→100:50)による精製によって、25を白色固体(33mg、81%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3/CD3OD)δ7.68-7.61(m,2H)、7.12-7.05(m,2H)、6.62(dd,J=16.1,1.4Hz,1H)、5.53(dd,J=16.1,5.6Hz,1H)、5.22(dd,J=8.1,5.3Hz,1H)、4.48-4.41(m,1H)、3.57(s,3H)、3.53(s,3H)、3.41-3.34(m,1H, CD3ODの残存シク゛ナルで一部不明確)、2.05-1.88(m,2H)、1.26(dd,J=6.7,2.0Hz,6H)。
N−(5−((E)−2−((4S,6R)−2,2−ジメチル−6−(5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,3−ジオキサン−4−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド26:
この反応は、暗所で実施した。ニトリル23(50mg、0.10mmol)をMeOH(0.6mL)に溶解し、ヒドロキシルアミン(水中50%溶液、0.10mL、1.5mmol)を添加した。混合物を室温で5分間にわたって撹拌し、次いで、65℃に加温し、追加で1.5時間にわたって撹拌した。次に、混合物を室温に冷却させ、THFで希釈し、減圧下で濃縮した。残留物をTHFでもう一度洗浄(strip)した。残りの材料をTHF(0.8mL)に溶解し、CDI(45mg、0.28mmol)、続いて、2分後にDBU(33μL、0.22mmol)を添加した。混合物を室温で1時間にわたって撹拌し、その後、同量のCDI及びDBUを再度添加した。もう30分間にわたって撹拌した後、再度同量のCDI及びDBUをもう一度添加した。もう1時間にわたって撹拌した後、混合物を飽和NH4Cl水溶液(15mL)及びEtOAc(15mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層をNH4Cl(10mL)で及びブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:2.5→100:8)による精製によって、26を無色油(44mg、81%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66-7.61(m,2H)、7.13-7.06(m,2H)、6.59(dd,J=16.2,1.4Hz,1H)、5.48(dd,J=16.2,5.3Hz,1H)、5.02(dd,J=11.9,2.8Hz,1H)、4.57-4.50(m,1H)、3.57(s,3H)、3.52(s,3H)、3.41-3.28(m,1H)、1.88(dt,J=13.0,2.7Hz,1H)、1.64-1.54(m,1H)、1.55(s,3H)、1.49(s,3H)、1.28(dd,J=6.7,3.4Hz,6H)。
N−(5−((3S,5R,E)−3,5−ジヒドロキシ−5−(5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ペンタ−1−エン−1−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタン−スルホンアミド27:
この反応は、暗所で実施した。化合物26(42mg、76μmol)をMeCN(0.5mL)及び0.2M HCl水溶液(0.43mL、86μmol)に溶解し、混合物を室温で5.5時間にわたって撹拌した。次に、混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機層をブライン(2×5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2で2回洗浄(strip)して、27を白色泡状物(38mg、99%)として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD)δ7.73-7.67(m,2H)、7.20-7.14(m,2H)、6.67(dd,J=16.1,1.3Hz,1H)、5.56(dd,J=16.1,6.1Hz,1H)、4.52(dd,J=7.6,6.3Hz,1H)、4.36-4.29(m,1H)、3.54(s,3H)、3.52(s,3H)、3.51-3.43(m,1H)、1.97-1.78(m,2H)、1.29(d,J=6.7Hz,6H)。
さらなるシンバスタチン生物学的等価体
6つのシンバスタチンアナログの合成は、実施例5並びに図3及び4において対応するロスバスタチンアナログについて記述されているのと同一の様式で実施した。市販のシンバスタチンを、アンモニア、ヒドロキシルアミン及びメチルアミンと反応させて、それぞれ基質30、31及び32を、良好から中程度の収率で得た(図7a)。
アミド30のジオール部分を保護した後、脱水を実施して、ニトリル34を調製した(図7b)。アセトニド基の酸媒介除去により、基質35を提供した。ヒドロキシルアミン、続いて、CDIによるニトリルの処理により、オキソ−オキサジアゾール36を提供し、塩化アンモニウムの存在下でのニトリルとアジ化ナトリウムとの反応により、テトラゾールモチーフ(化合物38)を与えた。両方のヘテロ環式化合物を脱保護して、シンバスタチンアナログ37及び39を得た。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5R)−7−アミノ−3,5−ジヒドロキシ−7−オキソヘプチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート30:
シンバスタチン(25mg、60μmol)をアンモニア(MeOH中7N、427μL、2.99mmol)に溶解し、溶液を室温で16時間にわたって撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5→90:10)による精製によって、30を無色油(22mg、83%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.29(br s,1H)、5.98(d,J=9.7Hz,1H)、5.78(dd,J=9.6,6.2Hz,1H)、5.55(br s,1H)、5.51-5.48(m,1H)、5.45-5.42(m,1H)、4.69(br s,1H)、4.18-4.27(m,1H)、3.84-3.76(m,1H)、3.62(br s,1H)、2.51-2.30(m,4H)、2.27-2.19(m,1H)、1.98(ddd,J=15.0,8.3,2.5Hz,1H)、1.89(dd,J=15.1,3.5Hz,1H)、1.65-1.47(m,7H)、1.28-1.17(m,2H)、1.13(s,3H)、1.12(s,3H)、1.10(d,J=7.4Hz,3H)、0.87(d,J=7.0Hz,3H)、0.83(t,J=7.5Hz,3H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート31:
実施例1と同様。THF(0.5mL)中のシンバスタチン(50mg、0.12mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン(水中50%、20μL、0.60mmol)を添加した。得られた混合物を72時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc(15mL)に溶かし、飽和NH4Cl水溶液(2×10mL)で洗浄した。減圧下で濃縮後、材料をCH2Cl2(10mL)に溶かし、脱脂綿で濾過し、減圧下で濃縮し、真空で乾燥させて、化合物31(53mg、49%)を無色油として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ10.00(br s,1H)、5.97(d,J=9.7Hz,1H)、5.77(dd,J=9.6,6.1Hz,1H)、5.46-5.52(m,1H)、5.43-5.36(m,1H)、4.26(br s,1H)、3.76(br s,1H)、2.50-2.20(m,5H)、2.02-1.86(m,2H)、1.70-1.37(m,7H)、1.33-1.05(m,2H)、1.12(s,3H)、1.11(s,3H)、1.08(d,J=7.4Hz,3H)、0.87(d,J=6.9Hz,3H)、0.81(d,J=7.5Hz,3H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−(メチルアミノ)−7−オキソヘプチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート32:
THF(0.5mL)中のシンバスタチン(25mg、60μmol)の溶液に、メタンアミン(EtOH中33%、37μL、0.30mmol)を添加し、溶液を室温で16時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5→90:10)による精製によって、32を無色油(23mg、86%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.13(br s,1H)、5.98(d,J=9.7Hz,1H)、5.78(dd,J=9.6,6.1Hz,1H)、5.49(br s,1H)、5.43(q,J=3.0Hz,1H)、4.75(br s,1H)、4.26-4.15(m,1H)、3.79(br s,1H)、3.62(br s,1H)、2.82(d,J=4.9Hz,2H)、2.50-2.19(m,5H)、1.98(ABddd,J=15.1,8.2,2.6Hz,2H)、1.93-1.86(m,1H)、1.64-1.48(m,7H)、1.25-1.15(m,2H)、1.12(s,3H)、1.12(s,3H)、1.10(d,J=7.4Hz,3H)、0.87(d,J=7.0Hz,3H)、0.83(t,J=7.5Hz,3H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−(2−((4R,6R)−6−(2−アミノ−2−オキソエチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)エチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート33:
アセトン(10mL)中の30(520mg、1.19mmol)の溶液を、4℃に冷却した。次いで、2−メトキシプロパ−1−エン(343μL、3.58mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(11.3mg、60μmol)を添加した。混合物を4℃で30分間にわたって撹拌し、次いで、室温に加温させ、もう1時間にわたって撹拌した。飽和NaHCO3水溶液(20mL)の添加によって反応物をクエンチし、混合物をEtOAc(20mL)で希釈した。層を混合し、分離し、その後、水性相をEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5)による精製によって、33を白色泡状物(352mg、79%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.31(br s,1H)、5.98(d,J=9.6Hz,1H)、5.77(dd,J=9.6,6.1Hz,1H)、5.50(br s,1H)、5.37(s,1H)、5.34-5.31(m,1H)、4.25-4.17(m,1H)、3.80-3.72(m,1H)、2.48-2.32(m,4H)、2.27-2.20(m,1H)、2.02-1.88(m,2H)、1.70-1.32(m,7H)、1.45(s,3H)、1.39(s,3H)、1.29-1.15(m,2H)、1.12(s,3H)、1.11(s,3H)、1.07(d,J=7.4Hz,3H)、0.87(d,J=7.0Hz,3H)、0.83(t,J=7.5Hz,3H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−(2−((4R,6S)−6−(シアノメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)エチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート34:
乾燥EtOAc(9mL)中の33(450mg、0.94mmol)の冷却(4℃)溶液に、DMF(248μL、3.20mmol)、続いてEt3N(419μL、3.01mmol)を添加した。次に、塩化ホスホリル(263μL、2.82mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を4℃で30分間にわたって撹拌した。黄色混合物を飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びEtOAC(15mL)で希釈し、室温に加温した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(2×15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=3:1)による精製によって、34を黄色油(387mg、90%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.98(d,J=9.6Hz,1H)、5.78(dd,J=9.7,6.1Hz,1H)、5.50(br s,1H)、5.36-5.31(m,1H)、4.13-4.05(m,1H)、3.78-3.69(m,1H)、2.55-2.32(m,4H)、2.27-2.20(m,1H)、2.02-1.89(m,2H)、1.72-1.47(m,7H)、1.43(s,3H)、1.38(s,3H)、1.30-1.14(m,2H)、1.13(s,3H)、1.12(s,3H)、1.08(d,J=7.4Hz,3H)、0.87(d,J=7.0Hz,3H)、0.84(t,J=7.5Hz,3H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5S)−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシヘキシル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート35:
MeCN(0.5mL)中の34(52mg、0.11mmol)の溶液に、0.2M HCl水溶液(553μL、0.11mmol)を添加した。混合物を室温で4時間にわたって撹拌した。次いで、混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NaHCO3水溶液(5mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2(2×2mL)で洗浄(strip)した、化合物35を淡黄色油(45mg、99%)として得た。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5)−3,5−ジヒドロキシ−6−(5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ヘキシル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート37:
MeOH(1mL)中の34(97mg、0.21mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン(水中50%、204μL、3.09mmol)を添加した。得られた混合物を65℃に加温し、5時間にわたって撹拌した。それを室温に冷却させた後、混合物を減圧下で濃縮した。残留物を2mLのTHFで2回洗浄(strip)した。残留物をTHF(1mL)に溶解し、CDI(50mg、0.31mmol)を添加した。得られた混合物を10分間にわたって撹拌した後、DBU(39μL、0.26mmol)を添加した。混合物を16時間にわたって撹拌し、追加のCDI(100mg)及びDBU(40μL)を添加した。2時間後、混合物を飽和NH4Cl水溶液(15mL)及びEtOAc(15mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機相をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=2:1→1:3)による精製によって、36を黄色油(98mg)として得た。
化合物36(98mg、0.19mmol)をMeCN(950μL)及び0.2M HCl水溶液(948μL、0.19mmol)に溶解し、混合物を室温で3.5時間にわたって撹拌した。次いで、混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、有機層をブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:2.5→100:10)による精製によって、37を白色泡状物(80mg、88%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.99(d,J=9.7Hz,1H)、5.76(dd,J=9.6,6.2Hz,1H)、5.55-5.49(m,2H)、4.23-4.15(m,1H)、3.86-3.78(m,1H)、3.38(br s,1H)、2.78(dd,J=15.2,3.4Hz,1H)、2.62(dd,J=15.2,7.4Hz,1H)、2.53-2.43(m,1H)、2.20-2.35(m,2H)、2.02(ddd,J=15.0,8.7,2.5Hz,1H)、1.88-1.77(m,2H)、1.63-1.46(m,6H)、1.37-1.17(m,2H)、1.15-1.09(m,9H)、0.86(d,J=7.0Hz,3H)、0.83(t,J=7.5Hz,3H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−6−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキシル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル2,2−ジメチルブタノエート39:
DMF(0.6mL)中の34(73mg、0.15mmol)の溶液に、NH4Cl(83mg、1.55mmol)及びアジ化ナトリウム(101mg、1.55mmol)を添加した。得られた混合物を115℃に加温し、22時間にわたって撹拌した。混合物をEtOAc(15mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(10mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:2.5→100:10)による精製によって、38(32mg)を生じさせた。
化合物38(32mg、64μmol)をMeCN(320μL)及び0.2M HCl水溶液(320μL、64μmol)に溶解し、混合物を室温で3.5時間にわたって撹拌した。次いで、混合物をEtOAc(10mL)及び飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。層を混合し、分離し、水性相をEtOAc(5mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=100:5→100:10)による精製によって、39を無色油(18mg、56%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.99(d,J=9.7Hz,1H)、5.76(dd,J=9.6,6.0Hz,1H)、5.55-5.49(m,2H)、4.27-4.19(m,1H)、3.87-3.79(m,1H)、3.23(dd,J=15.4,3.8Hz,1H)、3.07(dd,J=15.5,7.6Hz,1H)、2.53-2.43(m,1H)、2.37-2.20(m,2H)、2.02(ddd,J=15.0,8.7,2.5Hz,1H)、1.87-1.73(m,2H)、1.69-1.45(m,6H)、1.36-1.01(m,11H)、0.91-0.78(m,6H)。
ロバスタチンアナログ
ロバスタチンのアミド及びヒドロキサム酸アナログは、シンバスタチン誘導体に適用したのと全く同じ戦略を使用して調製した(図8)。市販のロバスタチンをアンモニアと反応させて、対応するアミド40を取得し、一方、ヒドロキシルアミンとの反応により、ヒドロキサム酸41を、いずれも高収率で提供した。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5R)−7−アミノ−3,5−ジヒドロキシ−7−オキソヘプチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル(S)−2−メチルブタノエート40:
ロバスタチン(50mg、124μmol)をアンモニア(MeOH中7N、883μL、6.18mmol)に溶解し、溶液を室温で24時間にわたって撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5→90:10)による精製によって、40を無色油(41mg、79%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.24(br s,1H)、5.99(d,J=9.7Hz,1H)、5.79(dd,J=9.6,6.1Hz,1H)、5.56(br s,1H)、5.53-5.50(m,1H)、5.45-5.41(m,1H)、4.63(br s,1H)、4.27-4.18(m,1H)、3.86-3.76(m,1H)、3.49(br s,1H)、2.51-2.20(m,6H)、1.98-1.89(m,2H)、1.72-1.51(m,6H)、1.50-1.36(m,1H)、1.28-1.15(m,2H)、1.11(d,J=6.9Hz,3H)、1.09(d,J=7.4Hz,3H)、0.91-0.86(m,6H)。
(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−((3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル)−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル(S)−2−メチルブタノエート41:
THF(0.5mL)中のロバスタチン(50mg、0.12mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン(水中50%、20μL、0.62mmol)を添加した。得られた混合物を72時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮し、CHCl3で洗浄(strip)し、真空で乾燥させて、化合物41(53mg、98%)を白色泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.98(d,J=9.7Hz,1H)、5.78(dd,J=9.4,6.1Hz,1H)、5.54-5.48(m,1H)、5.46-5.39(m,1H)、4.29-4.20(m,1H)、3.83-3.72(m,1H)、2.53-2.19(m,6H)、1.99-1.89(m,2H)、1.72-1.37(m,7H)、1.33-1.12(m,2H)、1.10(d,J=6.9Hz,3H)、1.08(d,J=7.4Hz,3H)、0.93-0.82(m,6H)。
アトルバスタチンアナログ
市販のアトルバスタチンのカルシウム塩を、ロスバスタチンについて記述したとおりの手法で、ラクトン形態に変換した(図3を参照)。手元にあるラクトン42を使って、前述と同一の戦略を適用して、アミド43及びヒドロキサム酸44を取得した(図9)。
5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−((2R,4S)−4−ヒドロキシ−6−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)エチル)−2−イソプロピル−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド42:
アトルバスタチンカルシウム塩(500mg、0.413mmol)を水(8mL)及びEtOAc(4mL)に懸濁し、氷浴(4℃)中で冷却した。次に、0.2M HCl水溶液(4.55mL、0.910mmol)を、激しく撹拌しながら滴下添加し、これは、透明溶液をもたらした。混合物を室温に加温させ、層を分離し、水性相をEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。得られた泡状物(469mg)をトルエン(20mL)に溶解し、混合物を、Dean-Stark条件下、2.5時間にわたって還流状態まで加熱した。混合物を室温に冷却させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:3→1:5)による精製によって、42を白色泡状物(394mg、88%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.24-7.10(m,9H)、7.09-6.96(m,5H)、6.92-6.82(br s,1H)、4.57-4.47(m,1H)、4.34-4.27(m,1H)、4.27-4.16(m,1H)、4.09-3.97(m,1H)、3.62-3.47(m,1H)、2.66(ABdd,J=17.7,4.8Hz,1H)、2.55(ABddd,J=17.7,3.4,1.5Hz,1H)、2.11(d,J=2.9Hz,1H)、1.95-1.82(m,1H)、1.81-1.67(m,2H)、1.63-1.57(m,1H)、1.56-1.45(m,6H)。
1−((3R,5R)−7−アミノ−3,5−ジヒドロキシ−7−オキソヘプチル)−5−(4−フルオロフェニル)−2−イソプロピル−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド43:
化合物42(100mg、185μmol)をアンモニア(MeOH中7N、1.32mL、6.18mmol)に溶解し、溶液を室温で24時間にわたって撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5→90:10)による精製によって、43を白色泡状物(73mg、71%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.24-6.95(m,14H)、6.88(br s,1H)、5.73(br s,1H)、5.44(br s,1H)、4.42(br s,1H)、4.20-4.05(m,2H)、4.01-3.90(m,1H)、3.79-3.71(m,1H)、3.63-3.48(m,2H)、2.34-2.23(m,2H)、1.74-1.41(m,9H)、1.28-1.14(m,1H)。
1−((3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル)−5−(4−フルオロフェニル)−2−イソプロピル−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド44:
THF(0.5mL)中の42(51mg、94μmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン(水中50%、16μL、0.47mmol)を添加した。得られた混合物を48時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮し、CH2Cl2(2×10mL)で洗浄(strip)し、真空で乾燥させて、44(53mg、99%)を白色泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.22-6.79(m,14H)、4.22-3.82(m,3H)、3.70-3.40(m,2H)、2.28-2.02(m,2H)、1.70-1.08(m,10H)。
フルバスタチンアナログ
ラセミフルバスタチンのナトリウム塩を、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,dicyclohexylcarbodiimide)によるカルボン酸の活性化によって、そのラクトン形態に転換した(図10)。手元にあるラクトン45を使って、再度、前述と同じ戦略を適用して、アミド46及びヒドロキサム酸47を取得した。
(4R,6S)−6−((E)−2−(3−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル)ビニル)−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン45:
この反応は、暗所で実施した。フルバスタチンナトリウム塩(250mg、0.58mmol)を水(6mL)及びEtOAc(6mL)に懸濁し、氷浴中で冷却した。0.2M HCl水溶液(3.00mL、0.60mmol)を、激しく撹拌しながら滴下添加した。次に、混合物を室温に加温させた。層を分離し、水性相をEtOAc(3×6mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(6mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2(6mL)に溶解し、氷浴中で冷却した。DCC(125mg、0.61mmol)、Et3N(88μL、0.63mmol)及びDMAP(3.5mg、29μmol)を添加した。混合物を室温に加温させ、16時間にわたって撹拌した。形成された沈殿物を濾過によって除去した。濾液をEtOAc(20mL)で希釈し、10%クエン酸水溶液(2×15mL)、飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc=1:1→1:5)による精製によって、45を白色泡状物(149mg、65%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.57-7.49(m,2H)、7.42-7.35(m,2H)、7.24-7.17(m,1H)、7.15-7.04(m,3H)、6.76(dd,J=16.0,1.4Hz,1H)、5.68(dd,J=16.0,6.0Hz,1H)、5.29-5.21(m,1H)、4.83(hept,J=7.2Hz,1H)、4.39-4.32(m,1H)、2.75(ABdd,J=17.8,4.8Hz,1H)、2.64(ABddd,J=17.8,3.7,1.5Hz,1H)、2.02(d,J=3.1Hz,1H)、1.97-1.89(m,1H)、1.75-1.63(m,7H)。
(3R,5S,E)−7−(3−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エナミド46:
この反応は、暗所で実施した。ラクトン45(91mg、0.23mmol)をアンモニア(MeOH中7N、1.65mL、11.5mmol)に溶解し、溶液を室温で24時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=95:5→85:15)による精製によって、46を白色泡状物(73mg、77%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.56-7.48(m,2H)、7.43-7.35(m,2H)、7.22-7.15(m,1H)、7.13-7.04(m,3H)、6.69(dd,J=16.0,1.4Hz,1H)、5.79(br s,1H)、5.69(dd,J=16.0,5.5Hz,1H)、5.48(br s,1H)、4.91-4.78(m,1H)、4.55-4.46(m,1H)、4.43(br s,1H)、4.27-4.18(m,1H)、3.46(br s,1H)、2.44-2.30(m,2H)、1.73-1.57(m,7H)、1.48(m,1H)。
(3R,5S,E)−7−(3−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル)−N,3,5−トリヒドロキシヘプタ−6−エナミド47:
THF(0.5mL)中の45(50mg、0.12mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン(水中50%、21μL、0.63mmol)を添加した。得られた混合物を24時間にわたって撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮し、CH2Cl2(2×5mL)で洗浄(strip)し、真空で乾燥させて、47(50mg、92%)を白色泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.54-7.46(m,2H)、7.41-7.32(m,2H)、7.19-7.13(m,1H)、7.09-7.01(m,3H)、6.62(d,J=15.8Hz,1H)、5.65(dd,J=16.0,5.7Hz,1H)、4.84-4.72(m,1H)、4.40(br s,1H)、4.20(br s,1H)、2.38-2.26(m,2H)、1.80-1.05(m,8H)。
新たなスタチン生物学的等価体の特徴
上述した種々の新たに合成されたスタチン誘導体の複合体III阻害活性を、実施例2において記述されているアッセイのように、100μMで試験した。このアッセイの結果を、表4に示す。統計的分析:複合体III酵素活性値を、一元ANOVAを使用し、ダネットの事後補正分析で、媒体対照レベルと比較した。平均±SEM;n=3つの独立した実験。
上述した種々の新たに合成されたスタチン誘導体のHMG−CoAレダクターゼ(HMGR)活性も、実施例3において記述されているアッセイのように、300nMで決定した。これらの結果を、表4に示す。統計的分析:HMG−CoAレダクターゼ酵素活性値を、一元ANOVAを使用し、ダネットの事後補正分析で、媒体対照レベルと比較した。平均±SEM;n=3つの独立した実験。
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