JP6969614B2 - 細胞培養装置、及びそれを使用した細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養装置、及びそれを使用した細胞培養方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6969614B2
JP6969614B2 JP2019567170A JP2019567170A JP6969614B2 JP 6969614 B2 JP6969614 B2 JP 6969614B2 JP 2019567170 A JP2019567170 A JP 2019567170A JP 2019567170 A JP2019567170 A JP 2019567170A JP 6969614 B2 JP6969614 B2 JP 6969614B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous membrane
polymer porous
cells
cell culture
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019567170A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019146733A1 (ja
Inventor
昌彦 萩原
崇司 原田
昭博 松林
新作 布施
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Publication of JPWO2019146733A1 publication Critical patent/JPWO2019146733A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6969614B2 publication Critical patent/JP6969614B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M3/00Tissue, human, animal or plant cell, or virus culture apparatus
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01FMIXING, e.g. DISSOLVING, EMULSIFYING OR DISPERSING
    • B01F33/00Other mixers; Mixing plants; Combinations of mixers
    • B01F33/45Magnetic mixers; Mixers with magnetically driven stirrers
    • B01F33/452Magnetic mixers; Mixers with magnetically driven stirrers using independent floating stirring elements
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M1/00Apparatus for enzymology or microbiology
    • C12M1/10Apparatus for enzymology or microbiology rotatably mounted
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/20Material Coatings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M25/00Means for supporting, enclosing or fixing the microorganisms, e.g. immunocoatings
    • C12M25/02Membranes; Filters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M27/00Means for mixing, agitating or circulating fluids in the vessel
    • C12M27/02Stirrer or mobile mixing elements
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/10Cells modified by introduction of foreign genetic material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01FMIXING, e.g. DISSOLVING, EMULSIFYING OR DISPERSING
    • B01F27/00Mixers with rotary stirring devices in fixed receptacles; Kneaders
    • B01F27/05Stirrers

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Clinical Laboratory Science (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、ポリマー多孔質膜を備えた細胞培養装置に関する。また、ポリマー多孔質膜を備えた細胞培養装置を使用した細胞培養方法に関する。
近年、治療やワクチンに用いられる酵素、ホルモン、抗体、サイトカイン、ウイルス(ウイルスタンパク質)等のタンパク質が培養細胞を用いて工業的に産生されている。しかし、こうしたタンパク質の生産技術は効率面に課題を抱えており、そのことが、持続的かつ広範な供給が不可欠であるバイオ医薬品のタイムリーな安定供給に影響を及ぼしている。そのため、効率的、安定かつ迅速なタンパク質の生産方法の確立に向けて、高密度に細胞を培養する技術や、高効率連続生産法などの、タンパク質の産生量を増大させるような革新的かつ簡便な技術が求められていた。
タンパク質を産生する細胞として、培養基材に接着する足場依存性の接着細胞が用いられることがある。こうした細胞は、足場依存的に増殖するため、シャーレ、プレート又はチャンバーの表面に接着させて培養する必要がある。従来、こうした接着細胞を大量に培養するためには、接着するための表面積を大きくする必要があった。ところが、培養面積を大きくするには、空間を必然的に増大させる必要があり、それが効率的生産や製造量の改善に課題を生じる要因となっていた。
培養空間を小さくしつつ、接着細胞を大量に培養する方法として、微小多孔を有する担体、特に、マイクロキャリアを用いた培養法が開発されている(例えば、特許文献1)。マイクロキャリアを用いた細胞培養系は、マイクロキャリアが互いに凝集しないようにするために十分に攪拌・拡散される必要がある。そのため、マイクロキャリアを分散させた培養液を十分に攪拌・拡散することができるだけの容積が必要となるため、培養できる細胞の密度には上限がある。また、マイクロキャリアと培養液とを分離するためには、細かな粒子を分別できるフィルタで分離させる必要があり、それがバイオ医薬品の生産性を低下させる原因ともなっていた。こうした状況から、大量の付着細胞を安定かつ簡便に培養する革新的な細胞培養の方法論が希求されていた。
<ポリイミド多孔質膜>
ポリイミド多孔質膜は、本出願前よりフィルタ、低誘電率フィルム、燃料電池用電解質膜など、特に電池関係を中心とする用途のために利用されてきた。特許文献2〜4は、特に、気体などの物質透過性に優れ、空孔率の高い、両表面の平滑性が優れ、相対的に強度が高く、高空孔率にもかかわらず、膜厚み方向への圧縮応力に対する耐力に優れるマクロボイドを多数有するポリイミド多孔質膜を記載している。これらはいずれも、アミック酸を経由して作成されたポリイミド多孔質膜である。
細胞をポリイミド多孔質膜に適用して培養することを含む、細胞の培養方法が報告されている(特許文献5)。
国際公開第2003/054174号 国際公開第2010/038873号 特開2011−219585号公報 特開2011−219586号公報 国際公開第2015/012415号
大量の動物細胞を培養するためには、培地に大量の酸素を継続的に溶存させる必要がある。培地に酸素を溶存させる方法として、培地を攪拌する方法や、バブリングする方法がある。しかしながら、動物細胞の多くは、剪断力に弱く、攪拌培養方法では細胞を死滅させてしまう問題を抱えていた。また、通常のマグネチックスターラーと攪拌子の組み合わせた攪拌培養方法では、培養容器と攪拌子の接触部分において、細胞をすり潰してしまい、細胞を大量に培養することが困難であった。また、バブリングを行う培養方法では、バブリング時に生じる泡沫によって細胞を死滅させてしまう問題があった。
本発明者らは、所定の構造を有するポリマー多孔質膜が、細胞を大量に培養可能な最適な空間を提供するのみならず、剪断力を生じる攪拌条件や、泡沫を生じる培養条件においても、細胞を大量に培養できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、限定されるわけではないが、本発明は以下の態様を含む。
[1] 培養容器と;
前記培養容器に収容され、1以上の培地流出入口を有する回転式ポリマー多孔質膜収容部と;
前記回転式ポリマー多孔質膜収容部に収容された、ポリマー多孔質膜と;
を備え、
ここで、前記ポリマー多孔質膜が、複数の孔を有する表面層A及び表面層Bと、前記表面層A及び表面層Bの間に挟まれたマクロボイド層とを有する三層構造のポリマー多孔質膜であって、ここで前記表面層Aに存在する孔の平均孔径は、前記表面層Bに存在する孔の平均孔径よりも小さく、前記マクロボイド層は、前記表面層A及びBに結合した隔壁と、当該隔壁並びに前記表面層A及びBに囲まれた複数のマクロボイドとを有し、前記表面層A及びBにおける孔が前記マクロボイドに連通するものであって、
ここで、前記ポリマー多孔質膜が、モジュール化ポリマー多孔質膜であり、
前記回転式ポリマー多孔質膜収容部が、前記培養容器とは独立して回転することを特徴とする、細胞培養装置。
[2] 前記回転式ポリマー多孔質膜収容部を回転させるための、回転駆動手段を備えた、[1]に記載の細胞培養装置。
[3] 前記回転式ポリマー多孔質膜収容部が回転動力受信手段を備えた、[2]に記載の細胞培養装置。
[4] 前記回転動力受信手段が、磁石である、[3]に記載の細胞培養装置。
[5] 前記回転駆動手段が、マグネチックスターラーである、[4]に記載の細胞培養装置。
[6] 前記モジュール化ポリマー多孔質膜が、ケーシングを備えたモジュール化ポリマー多孔質膜であって、
ここで、前記モジュール化ポリマー多孔質膜が、
(i)2以上の独立した前記ポリマー多孔質膜が、集約されて、
(ii)前記ポリマー多孔質膜が、折り畳まれて、
(iii)前記ポリマー多孔質膜が、ロール状に巻き込まれて、及び/又は、
(iv)前記ポリマー多孔質膜が、縄状に結ばれて、
前記ケーシング内に収容されたものである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[7] 前記ポリマー多孔質膜が、平均孔径0.01〜100μmの複数の細孔を有する、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[8] 前記表面層Aの平均孔径が、0.01〜50μmである、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[9] 前記表面層Bの平均孔径が、20〜100μmである、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[10] 前記ポリマー多孔質膜の総膜厚が、5〜500μmである、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[11] 前記ポリマー多孔質膜が、ポリイミド多孔質膜である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[12] 前記ポリイミド多孔質膜が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミドを含む、ポリイミド多孔質膜である、[11]に記載の細胞培養装置。
[13] 前記ポリイミド多孔質膜が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリアミック酸溶液と着色前駆体とを含むポリアミック酸溶液組成物を成形した後、250℃以上で熱処理することにより得られる着色したポリイミド多孔質膜である、[11]又は[12]に記載の細胞培養装置。
[14] 前記ポリマー多孔質膜が、ポリエーテルスルホン(PES)多孔質膜である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
[15] [1]〜[14]のいずれか1項に記載の細胞培養装置を使用する、細胞の培養方法。
本発明は、剪断力を生じる攪拌条件でも培養可能であり、細胞のすり潰しを起こさず、泡沫によっても細胞が死滅しない、新たな細胞培養装置、及びそれを用いた培養方法を提供する。
図1は、一実施形態における細胞培養装置を示す断面図である。 図2は、一実施形態における細胞培養装置の一部を示す斜視図である。 図3は、一実施形態における細胞培養装置の一部を示す平面図である。 図4は、一実施形態における細胞培養装置の一部を示す断面図である。図3(A)のA−A断面を示している。 図5は、一実施形態における、細胞培養装置に適用されるモジュール化ポリイミド多孔質膜を示す平面図である。 図6は、一実施形態における、細胞培養装置に適用されるモジュール化ポリイミド多孔質膜を示す断面図である。図5のB−B断面を示している。 図7は、一実施形態における細胞培養装置の一部を示す。(A)側面図、(B)斜視図、(C)斜視図(頂部なし)。 図8は、一実施形態における細胞培養装置の一部を示す。図7(A)〜(C)それぞれを、回転軸の中心を通る面で切断した図である。 図9は、一実施形態における、細胞培養装置の使用態様を示す写真である。(A)インキュベータ内に設置した細胞培養装置、(B)モジュール化ポリマー多孔質膜を設置した回転式ポリマー多孔質膜収容部(頂部なし)、(C)モジュール化ポリマー多孔質膜を設置した回転式ポリマー多孔質膜収容部(頂部あり)を示している。 図10は、一実施形態の細胞培養装置を用いて培養した後のグルコース濃度(GLC)及び乳酸濃度(LAC)を示す。
以下、本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明の構成は、実施形態の具体的構成に限定されない。
1.ポリマー多孔質膜
本発明で使用されるポリマー多孔質膜中の表面層A(以下で、「A面」又は「メッシュ面」とも呼ぶ)に存在する孔の平均孔径は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上200μm未満、0.01〜150μm、0.01〜100μm、0.01〜50μm、0.01μm〜40μm、0.01μm〜30μm、0.01μm〜25μm、0.01μm〜20μm、又は0.01μm〜15μmであり、好ましくは、0.01μm〜25μmである。
本発明で使用されるポリマー多孔質膜中の表面層B(以下で、「B面」又は「大穴面」とも呼ぶ)に存在する孔の平均孔径は、表面層Aに存在する孔の平均孔径よりも大きい限り特に限定されないが、例えば、5μm超200μm以下、20μm〜100μm、25μm〜100μm、30μm〜100μm、35μm〜100μm、40μm〜100μm、50μm〜100μm、又は60μm〜100μmであり、好ましくは、30μm〜100μmである。
本明細書において、ポリマー多孔質膜表面の平均孔径は面積平均孔径である。面積平均孔径は、以下の(1)及び(2)に従って求めることができる。なお、ポリマー多孔質膜表面以外の部位の平均孔径も同様にして求めることができる。
(1)多孔質膜表面の走査型電子顕微鏡写真から、200点以上の開孔部について孔面積Sを測定し、該孔面積を真円と仮定して式Iからそれぞれの孔径dを求める。
Figure 0006969614
(2)上記式Iによって求められた全ての孔径を以下の式IIに適用し、孔の形状が真円であるとした際の面積平均孔径daを求める。
Figure 0006969614
表面層A及びBの厚さは、特に限定されないが、例えば0.01〜50μmであり、好ましくは0.01〜20μmである。
ポリマー多孔質膜におけるマクロボイド層中のマクロボイドの膜平面方向の平均孔径は、特に限定されないが、例えば10〜500μmであり、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは10〜80μmである。また、当該マクロボイド層中の隔壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.01〜50μmであり、好ましくは、0.01〜20μmである。一の実施形態において、当該マクロボイド層中の少なくとも1つの隔壁は、隣接するマクロボイド同士を連通する、平均孔径0.01〜100μmの、好ましくは0.01〜50μmの、1つ又は複数の孔を有する。別の実施形態において、当該マクロボイド層中の隔壁は孔を有さない。
本発明で使用されるポリマー多孔質膜表面の総膜厚は、特に限定されないが、5μm以上、10μm以上、20μm以上又は25μm以上であってもよく、500μm以下、300μm以下、100μm以下、75μm以下又は50μm以下であってもよい。好ましくは、5〜500μmであり、より好ましくは25〜75μmである。
本発明で使用されるポリマー多孔質膜の膜厚の測定は、接触式の厚み計で行うことができる。
本発明で使用されるポリマー多孔質膜の空孔率は特に限定されないが、例えば、40%以上95%未満である。
本発明において用いられるポリマー多孔質膜の空孔率は、所定の大きさに切り取った多孔質フィルムの膜厚及び質量を測定し、目付質量から下式IIIに従って求めることができる。
Figure 0006969614
(式中、Sは多孔質フィルムの面積、dは総膜厚、wは測定した質量、Dはポリマーの密度をそれぞれ意味する。ポリマーがポリイミドである場合は、密度は1.34g/cm3とする。)
本発明において用いられるポリマー多孔質膜は、好ましくは、複数の孔を有する表面層A及び表面層Bと、前記表面層A及び表面層Bの間に挟まれたマクロボイド層とを有する三層構造のポリマー多孔質膜であって、ここで前記表面層Aに存在する孔の平均孔径は0.01μm〜25μmであり、前記表面層Bに存在する孔の平均孔径は30μm〜100μmであり、前記マクロボイド層は、前記表面層A及びBに結合した隔壁と、当該隔壁並びに前記表面層A及びBに囲まれた複数のマクロボイドとを有し、前記マクロボイド層の隔壁、並びに前記表面層A及びBの厚さは0.01〜20μmであり、前記表面層A及びBにおける孔がマクロボイドに連通しており、総膜厚が5〜500μmであり、空孔率が40%以上95%未満である、ポリマー多孔質膜である。一の実施形態において、マクロボイド層中の少なくとも1つの隔壁は、隣接するマクロボイド同士を連通する、平均孔径0.01〜100μmの、好ましくは0.01〜50μmの、1つ又は複数の孔を有する。別の実施形態において、隔壁は、そのような孔を有さない。
本発明において用いられるポリマー多孔質膜は、滅菌されていることが好ましい。滅菌処理としては、特に限定されないが、乾熱滅菌、蒸気滅菌、エタノール等消毒剤による滅菌、紫外線やガンマ線等の電磁波滅菌等任意の滅菌処理などが挙げられる。
本発明で使用されるポリマー多孔質膜は、上記した構造的特徴を備える限り、特に限定されないが、好ましくはポリイミド多孔質膜、又はポリエーテルスルホン(PES)多孔質膜である。
1−1.ポリイミド多孔質膜
ポリイミドとは、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子の総称であり、通常は、芳香族化合物が直接イミド結合で連結された芳香族ポリイミドを意味する。芳香族ポリイミドは芳香族と芳香族とがイミド結合を介して共役構造を持つため、剛直で強固な分子構造を持ち、かつ、イミド結合が強い分子間力を持つために非常に高いレベルの熱的、機械的、化学的性質を有する。
本発明で使用され得るポリイミド多孔質膜は、好ましくは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミドを(主たる成分として)含むポリイミド多孔質膜であり、より好ましくはテトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミドからなるポリイミド多孔質膜である。「主たる成分として含む」とは、ポリイミド多孔質膜の構成成分として、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミド以外の成分は、本質的に含まない、あるいは含まれていてもよいが、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミドの性質に影響を与えない付加的な成分であることを意味する。
一実施形態において、本発明で使用され得るポリイミド多孔質膜は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリアミック酸溶液と着色前駆体とを含むポリアミック酸溶液組成物を成形した後、250℃以上で熱処理することにより得られる着色したポリイミド多孔質膜も含まれる。
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを重合して得られる。ポリアミック酸は、熱イミド化又は化学イミド化することにより閉環してポリイミドとすることができるポリイミド前駆体である。
ポリアミック酸は、アミック酸の一部がイミド化していても、本発明に影響を及ぼさない範囲であればそれを用いることができる。すなわち、ポリアミック酸は、部分的に熱イミド化又は化学イミド化されていてもよい。
ポリアミック酸を熱イミド化する場合は、必要に応じて、イミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子、有機微粒子等の微粒子等をポリアミック酸溶液に添加することができる。また、ポリアミック酸を化学イミド化する場合は、必要に応じて、化学イミド化剤、脱水剤、無機微粒子、有機微粒子等の微粒子等をポリアミック酸溶液に添加することができる。ポリアミック酸溶液に前記成分を配合しても、着色前駆体が析出しない条件で行うことが好ましい。
本明細書において、「着色前駆体」とは、250℃以上の熱処理により一部または全部が炭化して着色化物を生成する前駆体を意味する。
上記ポリイミド多孔質膜の製造において使用され得る着色前駆体としては、ポリアミック酸溶液又はポリイミド溶液に均一に溶解または分散し、250℃以上、好ましくは260℃以上、更に好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上の熱処理、好ましくは空気等の酸素存在下での250℃以上、好ましくは260℃以上、更に好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上の熱処理により熱分解し、炭化して着色化物を生成するものが好ましく、黒色系の着色化物を生成するものがより好ましく、炭素系着色前駆体がより好ましい。
着色前駆体は、加熱していくと一見炭素化物に見えるものになるが、組織的には炭素以外の異元素を含み、層構造、芳香族架橋構造、四面体炭素を含む無秩序構造のものを含む。
炭素系着色前駆体は特に制限されず、例えば、石油タール、石油ピッチ、石炭タール、石炭ピッチ等のタール又はピッチ、コークス、アクリロニトリルを含むモノマーから得られる重合体、フェロセン化合物(フェロセン及びフェロセン誘導体)等が挙げられる。これらの中では、アクリロニトリルを含むモノマーから得られる重合体及び/又はフェロセン化合物が好ましく、アクリロニトリルを含むモノマーから得られる重合体としてはポリアクリロニトリルが好ましい。
また、別の実施形態において、本発明で使用され得るポリイミド多孔質膜は、上記の着色前駆体を使用せずに、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリアミック酸溶液を成形した後、熱処理することにより得られる、ポリイミド多孔質膜も含まれる。
着色前駆体を使用せずに製造されるポリイミド多孔質膜は、例えば、極限粘度数が1.0〜3.0であるポリアミック酸3〜60質量%と有機極性溶媒40〜97質量%とからなるポリアミック酸溶液をフィルム状に流延し、水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリアミック酸の多孔質膜を作製し、その後当該ポリアミック酸の多孔質膜を熱処理してイミド化することにより製造されてもよい。この方法において、水を必須成分とする凝固溶媒が、水であるか、又は5質量%以上100質量%未満の水と0質量%を超え95質量%以下の有機極性溶媒との混合液であってもよい。また、上記イミド化の後、得られた多孔質ポリイミド膜の少なくとも片面にプラズマ処理を施してもよい。
上記ポリイミド多孔質膜の製造において使用され得るテトラカルボン酸二無水物は、任意のテトラカルボン酸二無水物を用いることができ、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物の具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)などのビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス〔(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物等を挙げることができる。また、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸を用いることも好ましい。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、特に、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を好適に用いることができる。
上記ポリイミド多孔質膜の製造において使用され得るジアミンは、任意のジアミンを用いることができる。ジアミンの具体例として、以下のものを挙げることができる。
1)1,4−ジアミノベンゼン(パラフェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエンなどのベンゼン核1つのべンゼンジアミン;
2)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシドなどのベンゼン核2つのジアミン;
3)1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン;
4)3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミン。
これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。用いるジアミンは、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、芳香族ジアミン化合物が好ましく、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びパラフェニレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを好適に用いることができる。特に、ベンゼンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル及びビス(アミノフェノキシ)フェニルからなる群から選ばれる少なくとも一種のジアミンが好ましい。
本発明で使用され得るポリイミド多孔質膜は、耐熱性、高温下での寸法安定性の観点から、ガラス転移温度が240℃以上であるか、又は300℃以上で明確な転移点がないテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを組み合わせて得られるポリイミドから形成されていることが好ましい。
本発明で使用され得るポリイミド多孔質膜は、耐熱性、高温下での寸法安定性の観点から、以下の芳香族ポリイミドからなるポリイミド多孔質膜であることが好ましい。
(i)ビフェニルテトラカルボン酸単位及びピロメリット酸単位からなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸単位と、芳香族ジアミン単位とからなる芳香族ポリイミド、
(ii)テトラカルボン酸単位と、ベンゼンジアミン単位、ジアミノジフェニルエーテル単位及びビス(アミノフェノキシ)フェニル単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ジアミン単位とからなる芳香族ポリイミド、
及び/又は、
(iii)ビフェニルテトラカルボン酸単位及びピロメリット酸単位からなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸単位と、ベンゼンジアミン単位、ジアミノジフェニルエーテル単位及びビス(アミノフェノキシ)フェニル単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ジアミン単位とからなる芳香族ポリイミド。
本発明において用いられるポリイミド多孔質膜は、好ましくは、複数の孔を有する表面層A及び表面層Bと、前記表面層A及び表面層Bの間に挟まれたマクロボイド層とを有する三層構造のポリイミド多孔質膜であって、ここで前記表面層Aに存在する孔の平均孔径は0.01μm〜25μmであり、前記表面層Bに存在する孔の平均孔径は30μm〜100μmであり、前記マクロボイド層は、前記表面層A及びBに結合した隔壁と、当該隔壁並びに前記表面層A及びBに囲まれた複数のマクロボイドとを有し、前記マクロボイド層の隔壁、並びに前記表面層A及びBの厚さは0.01〜20μmであり、前記表面層A及びBにおける孔がマクロボイドに連通しており、総膜厚が5〜500μmであり、空孔率が40%以上95%未満である、ポリイミド多孔質膜である。ここで、マクロボイド層中の少なくとも1つの隔壁は、隣接するマクロボイド同士を連通する、平均孔径0.01〜100μmの、好ましくは0.01〜50μmの、1つ又は複数の孔を有する。
例えば、国際公開第2010/038873号、特開2011−219585号公報、又は特開2011−219586号公報に記載されているポリイミド多孔質膜も、本発明に使用可能である。
1−2.ポリエーテルスルホン(PES)多孔質膜
本発明で使用され得るPES多孔質膜は、ポリエーテルスルホンを含み、典型的には実質的にポリエーテルスルホンからなる。ポリエーテルスルホンは当業者に公知の方法で合成されたものであってよく、例えば、二価フェノール、アルカリ金属化合物及びジハロゲノジフェニル化合物を有機極性溶媒中で重縮合反応させる方法、二価フェノールのアルカリ金属二塩を予め合成しジハロゲノジフェニル化合物と有機極性溶媒中で重縮合反応させる方法等によって製造できる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。特に、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムが好ましい。
二価フェノール化合物としては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4’−ビフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類(例えば2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、及び2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)メタン)、ジヒドロキシジフェニルスルホン類、ジヒドロキシジフェニルエーテル類、又はそれらのベンゼン環の水素の少なくとも1つが、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基、又はメトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基で置換されたものが挙げられる。二価フェノール化合物としては、上記の化合物を二種類以上混合して用いることができる。
ポリエーテルスルホンは市販品であってもよい。市販品の例としては、スミカエクセル7600P、スミカエクセル5900P(以上、住友化学(株)製)等が挙げられる。
ポリエーテルスルホンの対数粘度は、多孔質ポリエーテルスルホン膜のマクロボイドを良好に形成する観点で、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.55以上であり、多孔質ポリエーテルスルホン膜の製造容易性の観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.75以下である。
また、PES多孔質膜、又はその原料としてのポリエーテルスルホンは、耐熱性、高温下での寸法安定性の観点から、ガラス転移温度が、200℃以上であるか、又は明確なガラス転移温度が観察されないことが好ましい。
本発明で使用され得るPES多孔質膜の製造方法は特に限定されないが、例えば、
対数粘度0.5〜1.0のポリエーテルスルホンの0.3質量%〜60質量%と有機極性溶媒40質量%〜99.7質量%とを含むポリエーテルスルホン溶液を、フィルム状に流延し、ポリエーテルスルホンの貧溶媒又は非溶媒を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、空孔を有する凝固膜を作製する工程、及び
前記工程で得られた空孔を有する凝固膜を熱処理して前記空孔を粗大化させて、PES多孔質膜を得る工程
を含み、前記熱処理は、前記空孔を有する凝固膜を、前記ポリエーテルスルホンのガラス転移温度以上、若しくは240℃以上まで昇温させることを含む、方法で製造されてもよい。
本発明で使用され得るPES多孔質膜は、好ましくは、表面層A、表面層B、及び前記表面層Aと前記表面層Bとの間に挟まれたマクロボイド層、を有するPES多孔質膜であって、
前記マクロボイド層は、前記表面層A及びBに結合した隔壁と、当該隔壁並びに前記表面層A及びBに囲まれた、膜平面方向の平均孔径が10μm〜500μmである複数のマクロボイドとを有し、
前記マクロボイド層の隔壁は、厚さが0.1μm〜50μmであり、
前記表面層A及びBはそれぞれ、厚さが0.1μm〜50μmであり、
前記表面層A及びBのうち、一方が平均孔径5μm超200μm以下の複数の細孔を有し、かつ他方が平均孔径0.01μm以上200μm未満の複数の細孔を有し、
表面層A及び表面層Bの、一方の表面開口率が15%以上であり、他方の表面層の表面開口率が10%以上であり、
前記表面層A及び前記表面層Bの前記細孔が前記マクロボイドに連通しており、
前記PES多孔質膜は、総膜厚が5μm〜500μmであり、かつ空孔率が50%〜95%である、
PES多孔質膜である。
本発明の細胞培養装置に用いられる、細胞培養担体としての上述のポリマー多孔質膜は、微親水性の多孔質特性を有するため、ポリマー多孔質膜内に安定した液保持がなされ、乾燥にも強い湿潤環境が保たれる。そのため、従来の細胞培養担体を用いる細胞培養装置と比較して、極めて少量の培地でも細胞の生存及び増殖を達成することができる。また、ポリマー多孔質膜に播種された細胞は、剪断力や、泡沫によっても細胞が死滅することなく培養が可能であるため、細胞に対して効率的に酸素や栄養を供給することができ、大量の細胞を培養することができる。
本発明によれば、細胞への酸素供給を十分に行うことが可能となる。
2.細胞培養装置
本発明は、
培養容器と;
前記培養容器に収容され、1以上の培地流出入口を有する回転式ポリマー多孔質膜収容部と;
前記回転式ポリマー多孔質膜収容部に収容された、ポリマー多孔質膜と;
を備え、
ここで、前記ポリマー多孔質膜が、複数の孔を有する表面層A及び表面層Bと、前記表面層A及び表面層Bの間に挟まれたマクロボイド層とを有する三層構造のポリマー多孔質膜であって、ここで前記表面層Aに存在する孔の平均孔径は、前記表面層Bに存在する孔の平均孔径よりも小さく、前記マクロボイド層は、前記表面層A及びBに結合した隔壁と、当該隔壁並びに前記表面層A及びBに囲まれた複数のマクロボイドとを有し、前記表面層A及びBにおける孔が前記マクロボイドに連通するものであって、
ここで、前記ポリマー多孔質膜が、モジュール化ポリマー多孔質膜であり、
前記回転式ポリマー多孔質膜収容部が、前記培養容器とは独立して回転することを特徴とする、細胞培養装置に関する。
該細胞培養装置を、以下で、「本発明の細胞培養装置」とも呼ぶ。以下に本発明の細胞培養装置の実施態様について、図を示しながら説明する。
2−1.細胞培養装置
図1は、一実施態様における本発明の細胞培養装置1を示す図である。また、図2〜4は、一実施態様における、回転式ポリマー多孔質膜収容部3を示す図である。
回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、培養容器2に収容されている。一実施形態において、培養容器2の培養空間を覆うために、蓋体20をさらに備えている。培養容器2の内部に酸素を含む気体が供給されるように、蓋体20の一部にはフィルタ21を備えていることが好ましい。これにより、培養容器2の内部と外部の間でガス交換が可能となり、なおかつ培地が汚染されることを防止する。
回転式ポリマー多孔質膜収容部3には、モジュール化ポリマー多孔質膜90が収容される。回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、1以上の培地流出入口を有している。一実施態様において、回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、底部30と、底部30に略垂直に設けられた側部31と、側部31の上部に設けられた頂部32とを有し、外観において円柱形状の容器を形成している。他の実施形態において、回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、例えば、三角柱、四角柱、五角柱、多角柱であってもよい。底部30は、1以上の第1培地流出入口300を有している。側部31は、1以上の第2培地流出入口310を有している。頂部32は、1以上の第3培地流出入口320を有している。第1培地流出入口300、第2培地流出入口310又は第3培地流出入口320の形状は、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、多角形などであってもよい。第1培地流出入口300、第2培地流出入口310及び第3培地流出入口320の大きさは、モジュール化ポリマー多孔質膜90が回転式ポリマー多孔質膜収容部3から飛び出ない程度であればよく、適宜設計変更することができる。第1培地流出入口300、第2培地流出入口310又は第3培地流出入口320の数は、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、50個、100個などである。
第1培地流出入口300、第2培地流出入口310及び第3培地流出入口320を介して、回転式ポリマー多孔質膜収容部3の内部及び外部へ培地が供給/排出される。他の実施形態において、例えば、回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、球形、円錐形、角錐形、円錐台形、任意の多角形の回転体形状などであってもよい。
本実施態様において、頂部32は、側部31へ着脱可能であり、回転式ポリマー多孔質膜収容部3の内部へモジュール化ポリマー多孔質膜90を収容及び/又は取り出し可能である。
一実施態様において、回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、回転部33を有する。一実施態様において、回転部33は、回転式ポリマー多孔質膜収容部3の底部30の下面に設けられており、円筒形の回転側部330と、回転底部331と、回転底部331に固定された回転動力受信手段333とを備えている。回転動力受信手段333は、例えば、磁石や、回転軸である。一実施態様において、回転動力受信手段333は、例えば、マグネチック攪拌子を用いてもよい。一実施態様において、回転動力受信手段333が磁石である場合、回転駆動手段4は、例えば、マグネチックスターラーを用いることができ、非接触的に回転式ポリマー多孔質膜収容部3を回転させることができる。他の実施態様において、回転動力受信手段333が回転軸である場合、回転駆動手段4は、例えば、回転軸と接続された回転モータを用いることができる。回転駆動手段4の回転運動が、回転動力受信手段333に伝達され、その結果、回転式ポリマー多孔質膜収容部3が回転する。図2〜4の実施態様における回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、回転底部331の底面が、培養容器底部22と接触して回転する。本発明の細胞培養装置1であれば、回転式ポリマー多孔質膜収容部3が、培養容器2とは独立して回転することにより、細胞が適用されたモジュール化ポリマー多孔質膜90に、十分に酸素及び栄養を供給することが可能となり、大量の細胞培養が可能となる。
一実施態様において、モジュール化ポリマー多孔質膜90を収容した回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、培養容器2と組み合わせることによって、細胞培養装置1として即座に使用することができる。回転式ポリマー多孔質膜収容部3は、新鮮な培地が充填された培養容器2へ移し替えることが可能であり、培地交換を簡単に行うことも可能である。また、他の実施形態として、培養容器2と、モジュール化ポリマー多孔質膜90を収容した回転式ポリマー多孔質膜収容部3とが含まれる、細胞培養キットとして提供されてもよい。
図7及び図8は、他の実施態様における、細胞培養装置1に適用される回転式ポリマー多孔質膜収容部3aを示す図であり、図9はその使用状態を示す写真である。なお、図7及び図8で示される回転式ポリマー多孔質膜収容部3aの基本的な構成、発明の概念は回転式ポリマー多孔質膜収容部3の各部材と同一である。各部材の符号の番号に「a」が付加されていること以外、回転式ポリマー多孔質膜収容部3に設けられた各部材と同一の符号番号が付与されている回転式ポリマー多孔質膜収容部3aに設けられた各部材についての説明は、回転式ポリマー多孔質膜収容部3の対応する各部材についての上述の説明が適用される。ここでは、回転式ポリマー多孔質膜収容部3の各部材の説明が適用されない部材についてのみ説明する。
回転式ポリマー多孔質膜収容部3aには、回転式ポリマー多孔質膜収容部3aの回転を安定させるための軸部35aが設けられている。軸部35aは、蓋体20に設けられた貫通孔を貫通している(図9参照)。他の態様において、軸部35aは、蓋体20を貫通せず、蓋体20の内側に設けられた軸受で支持されるものであってもよい。
側部31aには、回転翼311aが設けられてもよい。回転式ポリマー多孔質膜収容部3aが回転する時に、回転翼311aによって液流が生じ、培地中に効率よく気相中の酸素を取り込むことができる。回転翼311aの形状及び数は、目的に応じて適宜調製することができる。
回転部33aの下部には、回転軸部材334aが設けられている。また、培養容器2の底面(図示しない)には、回転軸部材334aを受けるための軸受34aが設けられている。回転軸部材334aが軸受34aの凹部で支持されることによって、回転式ポリマー多孔質膜収容部3aの回転を安定させることができる。
図8は、図7で示される回転式ポリマー多孔質膜収容部3aの断面図である。回転部33aは、回転動力受信手段333a(例えば、棒状のマグネチック攪拌子)を備えている。回転動力受信手段333aは、それを取り囲む固定部材335aによって固定されている。
回転式ポリマー多孔質膜収容部3aの内部には、仕切部材312aが設けられていてもよい。例えば図9(B)のようにモジュール化ポリマー多孔質膜90を設置して回転式ポリマー多孔質膜収容部3aを回転した時に、仕切部材312aによって、モジュール化ポリマー多孔質膜90が液流によって偏ることを軽減させることができる。仕切部材312aは、モジュール化ポリマー多孔質膜90の偏りを軽減させることが出来、液流を生じさせる程度の形状及び数であればよく、適宜調製することができる。
2−2.細胞培養装置に用いられるポリマー多孔質膜の実施形態
本発明の実施態様で使用されるポリマー多孔質膜は、モジュール化されたポリマー多孔質膜が用いられる。本明細書において「モジュール化ポリマー多孔質膜」とは、ケーシング900に収容されたポリマー多孔質膜9をいう(例えば、図5及び図6参照)。本明細書において、「モジュール化ポリマー多孔質膜」との記載は、単に「モジュール」と記載することができ、相互に変更しても同一のことを意味する。
本発明の実施態様で使用されるモジュール化ポリマー多孔質膜90は、
(i)2以上の独立した前記ポリマー多孔質膜9が、集約されて、
(ii)前記ポリマー多孔質膜9が、折り畳まれて、
(iii)前記ポリマー多孔質膜9が、ロール状に巻き込まれて、及び/又は、
(iv)前記ポリマー多孔質膜9が、縄状に結ばれて、
該ケーシング900内に収容されたものであってもよく、該モジュール化ポリマー多孔質膜90を回転式ポリマー多孔質膜収容部3へ適用することが可能である。
本明細書において、「ケーシング内に2以上の独立した該ポリマー多孔質膜が集約されて収容されている」とは、互いに独立した2以上のポリマー多孔質膜9が、ケーシング900で囲まれた一定空間内に集約されて収容されている状態を指す。本発明において、2以上の独立した該ポリマー多孔質膜9は、該ポリマー多孔質膜9の少なくとも1カ所と該ケーシング900内の少なくとも1カ所とを任意の方法によって固定され、該ポリマー多孔質膜9がケーシング900内で動かない状態に固定されたものであってもよい。また、2以上の独立したポリマー多孔質膜9は、小片であってもよい。小片の形状は、例えば、円、楕円形、四角、三角、多角形、ひも状など、任意の形をとりうるが、好ましくは、ひも状、又は四角が好ましい。本発明において、小片の大きさは、任意の大きさをとりうるが、ひも状である場合、長さは任意の長さでよいが、幅は、80mm以下がよく、好ましくは30mm以下がよく、より好ましくは10mm以下がよい。これによって、ポリマー多孔質膜9内で生育される細胞にストレスが加えられることが防止される。本発明において、ポリマー多孔質膜9の小片が四角である場合、略正方形であることがより好ましく、その一辺の長さは、ポリマー多孔質膜がケーシング900内で動かない状態となるように、ケーシングの内壁に沿って、又は内壁の一辺の長さより短く(例えば、0.1mm〜1mm程度短い)形成されたものであればよい。また、本発明において、ポリマー多孔質膜9の小片が略正方形である場合、長さは任意の長さでよいが、例えば、80mm以下がよく、好ましくは50mm以下がよく、より好ましくは30mm以下がよく、さらにより好ましくは20mm以下がよく、10mm以下であってもよい。
本明細書において、「折り畳まれたポリマー多孔質膜」とは、該ケーシング900内にて折り畳まれていることで、ポリマー多孔質膜9の各面及び/又はケーシング900内の表面との摩擦力によってケーシング900内で動かない状態となったポリマー多孔質膜9である。本明細書において、「折り畳まれた」とは、ポリマー多孔質膜9に折り目がついた状態であってもよく、折り目がついていない状態であってもよい。
本明細書において、「ロール状に巻き込まれたポリマー多孔質膜」とは、ポリマー多孔質膜9が、ロール状に巻き込まれて、ポリマー多孔質膜9の各面及び/又はケーシング900内の表面との摩擦力によってケーシング900内で動かない状態となったポリマー多孔質膜9をいう。また、本発明おいて、縄状に編み込まれたポリマー多孔質膜9とは、例えば短冊状の複数のポリマー多孔質膜9を、任意の方法によって縄状に編み込み、ポリマー多孔質膜9同士の摩擦力によって互いに動かない状態のポリマー多孔質膜9をいう。(i)2以上の独立した前記ポリマー多孔質膜9が集約されたポリマー多孔質膜9、(ii)折り畳まれたポリマー多孔質膜9、(iii)ロール状に巻き込まれたポリマー多孔質膜9、及び(iv)縄状に結ばれたポリマー多孔質膜9、が、組み合わせられてケーシング900内に収容されていてもよい。
本明細書において、「該ポリマー多孔質膜がケーシング内で動かない状態」とは、該モジュール化ポリマー多孔質膜90を細胞培養培地中で培養する場合に、該ポリマー多孔質膜9が継続的に形態変化しない状態になるようにケーシング900内に収容されている状態をいう。換言すれば、該ポリマー多孔質膜9自体が、流体によって、継続的に波打つ動きを行わないように抑制された状態である。ポリマー多孔質膜9がケーシング900内で動かない状態を保つため、ポリマー多孔質膜9内で生育されている細胞にストレスが加えられることが防止され、細胞が死滅されることなく安定的に細胞が培養可能となる。
図5及び図6では、一実施形態におけるモジュール化ポリマー多孔質膜90の構造を示す。モジュール化ポリマー多孔質膜90は、複数のポリマー多孔質膜9の積層体が、ケーシング900に収容されている。積層されるポリマー多孔質膜9は小片であってもよく、その形状は例えば、円、楕円形、四角、三角、多角形、ひも状など、任意の形であってもよい。好ましくは、積層されるポリマー多孔質膜9の小片は略正方形である。小片の大きさは、任意の大きさをとり得る。小片が略正方形である場合、その長さは特に限定されないが、例えば、80mm以下、50mm以下、30mm以下、20mm以下又は10mm以下である。
ケーシング900に収容されるポリマー多孔質膜9が、複数のポリマー多孔質膜9の積層体である場合、好ましくは、2枚以上、3枚以上、4枚以上又は5枚以上であって、かつ100枚以下、50枚以下、40枚以下、30枚以下、20枚以下、15枚以下又は10枚以下のポリマー多孔質膜の積層体であり、より好ましくは3〜100枚の、より好ましくは5〜50枚のポリマー多孔質膜の積層体である。
ケーシング900に収容されるポリマー多孔質膜9が、複数のポリマー多孔性膜の積層体である場合、ポリマー多孔質膜9とポリマー多孔質膜9の間には中敷き901が設けられてもよい(図6参照)。中敷き901が設けられることにより、積層されたポリマー多孔質膜9の間に効率的に培地を供給させることができる。中敷き901は、積層されたポリマー多孔質膜9の間に任意の空間を形成し、効率的に培地を供給させる機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、メッシュ構造を有する平面構造体を用いることができる。中敷き901の材質は、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ステンレス鋼製のメッシュを用いることができるが、これに限定されない。メッシュ構造を有する中敷き901を有する場合、積層されたポリマー多孔質膜9の間に培地を供給できる程度の目開きを有していればよく、適宜選択することができる。
3.細胞培養装置を使用した細胞培養方法
本明細書において、「培地」とは、細胞、特に動物細胞を培養するための細胞培養培地のことを指す。培地は、細胞培養液と同義の意味として用いられる。そのため、本発明において用いられる培地とは、液体培地のことを指す。培地の種類は、通常使用される培地を使用することが可能であり、培養する細胞の種類によって適宜決定される。
<細胞をポリマー多孔質膜へ適用する工程>
本発明で使用される細胞のポリマー多孔質膜への適用の具体的な工程は特に限定されない。本明細書に記載の工程、あるいは、細胞を膜状の担体に適用するのに適した任意の手法を採用することが可能である。限定されるわけではないが、本発明の方法において、細胞のポリマー多孔質膜への適用は、例えば、以下のような態様を含む。
(A)細胞を前記ポリマー多孔質膜の表面に播種する工程を含む、態様;
(B)前記ポリマー多孔質膜の乾燥した表面に細胞懸濁液を載せ、
放置するか、あるいは前記ポリマー多孔質膜を移動して液の流出を促進するか、あるいは表面の一部を刺激して、細胞懸濁液を前記膜に吸い込ませ、そして、
細胞懸濁液中の細胞を前記膜内に留め、水分は流出させる、
工程を含む、態様;並びに、
(C)前記ポリマー多孔質膜の片面又は両面を、細胞培養液又は滅菌された液体で湿潤し、
前記湿潤したポリマー多孔質膜に細胞懸濁液を装填し、そして、
細胞懸濁液中の細胞を前記膜内に留め、水分は流出させる、
工程を含む、態様。
(A)の態様は、ポリマー多孔質膜の表面に細胞、細胞塊を直接播種することを含む。あるいは、ポリマー多孔質膜を細胞懸濁液中に入れて、膜の表面から細胞培養液を浸潤させる態様も含む。
ポリマー多孔質膜の表面に播種された細胞は、ポリマー多孔質膜に接着し、多孔の内部に入り込んでいく。好ましくは、特に外部から物理的又は化学的な力を加えなくても、細胞はポリマー多孔質膜に接着する。ポリマー多孔質膜の表面に播種された細胞は、膜の表面及び/又は内部において安定して生育・増殖することが可能である。細胞は生育・増殖する膜の位置に応じて、種々の異なる形態をとりうる。
(B)の態様において、ポリマー多孔質膜の乾燥した表面に細胞懸濁液を載せる。ポリマー多孔質膜を放置するか、あるいは前記ポリマー多孔質膜を移動して液の流出を促進するか、あるいは表面の一部を刺激して、細胞懸濁液を前記膜に吸い込ませることにより、細胞懸濁液が膜中に浸透する。理論に縛られるわけではないが、これはポリマー多孔質膜の各表面形状等に由来する性質によるものであると考えられる。本態様により、膜の細胞懸濁液が装填された箇所に細胞が吸い込まれて播種される。
あるいは、(C)の態様のように、前記ポリマー多孔質膜の片面又は両面の部分又は全体を、細胞培養液又は滅菌された液体で湿潤してから、湿潤したポリマー多孔質膜に細胞懸濁液を装填してもよい。この場合、細胞懸濁液の通過速度は大きく向上する。
例えば、膜の飛散防止を主目的として膜極一部を湿潤させる方法(以後、これを「一点ウェット法」と記載する)を用いることができる。一点ウェット法は、実質上は膜を湿潤させないドライ法((B)の態様)にほぼ近いものである。ただし、湿潤させた小部分については、細胞液の膜透過が迅速になると考えられる。また、ポリマー多孔質膜の片面又は両面の全体を十分に湿潤させたもの(以後、これを「ウェット膜」と記載する)に細胞懸濁液を装填する方法も用いることができる(以後、これを「ウェット膜法」と記載する)。この場合、ポリマー多孔質膜の全体において、細胞懸濁液の通過速度が大きく向上する。
(B)及び(C)の態様において、細胞懸濁液中の細胞を前記膜内に留め、水分は流出させる。これにより細胞懸濁液中の細胞の濃度を濃縮する、細胞以外の不要な成分を水分とともに流出させる、などの処理も可能になる。
(A)の態様を「自然播種」(B)及び(C)の態様を「吸込み播種」と呼称する場合がある。
限定されるわけではないが、好ましくは、ポリマー多孔質膜には生細胞が選択的に留まる。よって、本発明の方法の好ましい実施形態において、生細胞が前記ポリマー多孔質膜内に留まり、死細胞は優先的に水分とともに流出する。
態様(C)において用いる滅菌された液体は特に限定されないが、滅菌された緩衝液若しくは滅菌水である。緩衝液は、例えば、(+)及び(-)Dulbecco’s PBS 、(+)及び(-)Hank's Balanced Salt Solution等である。緩衝液の例を以下の表1に示す。
Figure 0006969614
さらに、本発明の方法において、細胞のポリマー多孔質膜への適用は、浮遊状態にある接着性細胞をポリマー多孔質膜と懸濁的に共存させることにより細胞を膜に付着させる態様(絡め取り)も含む。例えば、本発明の方法において、細胞をポリマー多孔質膜に適用するために、細胞培養容器中に、細胞培養培地、細胞及び1又はそれ以上の前記ポリマー多孔質膜を入れてもよい。細胞培養培地が液体の場合、ポリマー多孔質膜は細胞培養培地中に浮遊した状態で存在する。ポリマー多孔質膜の性質から、細胞はポリマー多孔質膜に接着しうる。よって、生来、浮遊培養に適さない接着性の細胞であっても、ポリマー多孔質膜を用いることにより、ポリマー多孔質膜に吸着させた状態で浮遊させながら培養することが可能となる。好ましくは、細胞は、ポリマー多孔質膜に接着する。「自発的に接着する」とは、特に外部から物理的又は化学的な力を加えなくても、細胞がポリマー多孔質膜の表面又は内部に留まることを意味する。
上述した細胞のポリマー多孔質膜への適用は、2種類又はそれより多くの方法を組み合わせて用いてもよい。例えば、態様(A)〜(C)のうち、2つ以上の方法を組み合わせてポリマー多孔質膜に細胞を適用してもよい。細胞を担持させたポリマー多孔質膜を、上述の細胞培養装置における、ポリマー多孔質膜載置部へ適用して、培養することが可能である。
その他、モジュール化ポリマー多孔質膜が収容されたポリマー多孔質膜収容部に、懸濁された細胞が含まれる培地を滴下して播種してもよい。
あるいは、培養容器2を、細胞が含まれた細胞懸濁液で充填することにより(例えば、細胞懸濁液面Lまで細胞懸濁液を充填する)、モジュール化ポリマー多孔質膜に、均質に細胞を播種することができる。これにより、ポリマー多孔質膜に播種された細胞が、部分的にコンフルエントになることを防ぎ、効率よく増殖可能となる。
本明細書において、「懸濁された細胞」とは、例えば、トリプシン等のタンパク質分解酵素によって、接着細胞を強制的に浮遊させて培地中に懸濁して得られた細胞や、公知の馴化工程によって、培地中に浮遊培養可能となった接着細胞などを含んでいる。
本発明に利用し得る細胞の種類は、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母菌及び細菌からなる群から選択される。動物細胞は、脊椎動物門に属する動物由来の細胞と無脊椎動物(脊椎動物門に属する動物以外の動物)由来の細胞とに大別される。本明細書における、動物細胞の由来は特に限定されない。好ましくは、脊椎動物門に属する動物由来の細胞を意味する。脊椎動物門は、無顎上綱と顎口上綱を含み、顎口上綱は、哺乳綱、鳥綱、両生綱、爬虫綱などを含む。好ましくは、一般に、哺乳動物と言われる哺乳綱に属する動物由来の細胞である。哺乳動物は、特に限定されないが、好ましくは、マウス、ラット、ヒト、サル、ブタ、イヌ、ヒツジ、ヤギなどを含む。
本発明に利用しうる動物細胞の種類は、限定されるわけではないが、好ましくは、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、及び生殖細胞からなる群から選択される。
本明細書において「多能性幹細胞」とは、あらゆる組織の細胞へと分化する能力(分化多能性)を有する幹細胞の総称することを意図する。限定されるわけではないが、多能性幹細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖幹細胞(EG細胞)、生殖幹細胞(GS細胞)等を含む。好ましくは、ES細胞又はiPS細胞である。iPS細胞は倫理的な問題もない等の理由により特に好ましい。多能性幹細胞としては公知の任意のものを使用可能であるが、例えば、国際公開第2009/123349号(PCT/JP2009/057041)に記載の多能性幹細胞を使用可能である。
「組織幹細胞」とは、分化可能な細胞系列が特定の組織に限定されているが、多様な細胞種へ分化可能な能力(分化多能性)を有する幹細胞を意味する。例えば骨髄中の造血幹細胞は血球のもととなり、神経幹細胞は神経細胞へと分化する。このほかにも肝臓をつくる肝幹細胞、皮膚組織になる皮膚幹細胞などさまざまな種類がある。好ましくは、組織幹細胞は、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択される。
「体細胞」とは、多細胞生物を構成する細胞のうち生殖細胞以外の細胞のことを言う。有性生殖においては次世代へは受け継がれない。好ましくは、体細胞は、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、線維芽細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される。
「生殖細胞」は、生殖において遺伝情報を次世代へ伝える役割を持つ細胞を意味する。例えば、有性生殖のための配偶子、即ち卵子、卵細胞、精子、精細胞、無性生殖のための胞子などを含む。
細胞は、肉腫細胞、株化細胞及び形質転換細胞からなる群から選択してもよい。「肉腫」とは、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血液等の非上皮性細胞由来の結合組織細胞に発生する癌で、軟部肉腫、悪性骨腫瘍などを含む。肉腫細胞は、肉腫に由来する細胞である。「株化細胞」とは、長期間にわたって体外で維持され、一定の安定した性質をもつに至り、半永久的な継代培養が可能になった培養細胞を意味する。PC12細胞(ラット副腎髄質由来)、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣由来)、HEK293細胞(ヒト胎児腎臓由来)、HL−60細胞(ヒト白血球細胞由来)、HeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来)、Vero細胞(アフリカミドリザル腎臓上皮細胞由来)、MDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)、HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)、BHK細胞(新生児ハムスター腎臓細胞)、NIH3T3細胞(マウス胎児線維芽細胞由来)などヒトを含む様々な生物種の様々な組織に由来する細胞株が存在する。「形質転換細胞」は、細胞外部から核酸(DNA等)を導入し、遺伝的性質を変化させた細胞を意味する。
本明細書において、「接着細胞」とは、一般に、増殖のために適切な表面に自身を接着させる必要がある細胞であって、付着細胞又は足場依存性細胞ともいわれる。本発明のいくつかの実施形態では、使用する細胞は接着細胞である。本発明に用いられる細胞は、接着細胞であって、より好ましくは、培地中に懸濁した状態でも培養可能な細胞である。懸濁培養可能な接着細胞とは、公知の方法によって、接着細胞を懸濁培養に適した状態へ馴化させることによって得ることが可能であり、例えば、CHO細胞、HEK293細胞、Vero細胞、NIH3T3細胞などや、これらの細胞から派生して得られた細胞株が挙げられる。
本発明の細胞の培養方法では、ポリマー多孔質膜に細胞を適用し、培養することにより、ポリマー多孔質膜の有する内部の多面的な連結多孔部分や表面に、大量の細胞が生育するため、大量の細胞を簡便に培養することが可能となる。また、本発明に用いられる、ポリマー多孔質膜に播種された細胞は、従来は死滅するような攪拌条件でも生育可能な環境を提供し、細胞を大量に培養することが可能となる。
本明細書において、細胞を含まないポリマー多孔質膜がその内部間隙の体積も含めて空間中に占める体積を「見かけ上ポリマー多孔質膜体積」と呼称する。そして、ポリマー多孔質膜に細胞を適用し、ポリマー多孔質膜の表面及び内部に細胞が担持された状態において、ポリマー多孔質膜、細胞、及びポリマー多孔質膜内部に浸潤した培地が全体として空間中に占める体積を「細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積」と呼称する。膜厚25μmのポリマー多孔質膜の場合、細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積は、見かけ上ポリマー多孔質膜体積より、最大で50%程度大きな値となる。本発明の方法では、1つの細胞培養容器中に複数のポリマー多孔質膜を収容して培養することができるが、その場合、細胞を担持した複数のポリマー多孔質膜のそれぞれについての細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積の総和を、単に「細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積の総和」と記載することがある。
本発明の方法を用いることにより、細胞培養容器中に含まれる細胞培養培地の総体積が、細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積の総和の10000倍又はそれより少ない条件でも、細胞を長期にわたって良好に培養することが可能となる。また、細胞培養容器中に含まれる細胞培養培地の総体積が、細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積の総和の1000倍又はそれより少ない条件でも、細胞を長期にわたって良好に培養することができる。さらに、細胞培養容器中に含まれる細胞培養培地の総体積が、細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積の総和の100倍又はそれより少ない条件でも、細胞を長期にわたって良好に培養することができる。そして、細胞培養容器中に含まれる細胞培養培地の総体積が、細胞生存域を含むポリマー多孔質膜体積の総和の10倍又はそれより少ない条件でも、細胞を長期にわたって良好に培養することができる。
つまり、本発明によれば、細胞培養する空間(容器)を従来の二次元培養を行う細胞培養装置に比べて極限まで小型化可能となる。また、培養する細胞の数を増やしたい場合は、積層するポリマー多孔質膜の枚数を増やす等の簡便な操作により、柔軟に細胞培養する体積を増やすことが可能となる。本発明に用いられるポリマー多孔質膜を備えた細胞培養装置であれば、細胞を培養する空間(容器)と細胞培養培地を貯蔵する空間(容器)とを分離することが可能となり、培養する細胞数に応じて、必要となる量の細胞培養培地を準備することが可能となる。細胞培養培地を貯蔵する空間(容器)は、目的に応じて大型化又は小型化してもよく、あるいは取り替え可能な容器であってもよく、特に限定されない。
本明細書において、細胞の大量培養とは、例えば、ポリマー多孔質膜を用いた培養後に細胞培養容器中に含まれる細胞の数が、細胞がすべて細胞培養容器中に含まれる細胞培養培地に均一に分散しているものとして、培地1ミリリットルあたり1.0×105個以上、1.0×106個以上、2.0×106個以上、5.0×106個以上、1.0×107個以上、2.0×107個以上、5.0×107個以上、1.0×108個以上、2.0×108個以上、5.0×108個以上、1.0×109個以上、2.0×109個以上、または5.0×109個以上となるまで培養することをいう。
なお、培養中または培養後の細胞数を計測する方法としては、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、ポリマー多孔質膜を用いた培養後に細胞培養容器中に含まれる細胞の数を、細胞がすべて細胞培養容器中に含まれる細胞培養培地に均一に分散しているものとして計測する方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、CCK8(次文参照)を用いた細胞数計測法を好適に用いることができる。具体的には、Cell Countinig Kit8;同仁化学研究所製溶液試薬(以下、「CCK8」と記載する。)を用いて、ポリマー多孔質膜を用いない通常の培養における細胞数を計測し、吸光度と実際の細胞数との相関係数を求める。その後、細胞を適用し、培養したポリマー多孔質膜を、CCK8を含む培地に移し、1〜3時間インキュベータ内で保存し、上清を抜き出して460nmの波長にて吸光度を測定して、先に求めた相関係数から細胞数を計算する。
また、別の観点からは、細胞の大量培養とは、例えば、ポリマー多孔質膜を用いた培養後にポリマー多孔質膜1平方センチメートルあたりに含まれる細胞数が1.0×105個以上、2.0×105個以上、1.0×106個以上、2.0×106個以上、5.0×106個以上、1.0×107個以上、2.0×107個以上、5.0×107個以上、1.0×108個以上、2.0×108個以上、または5.0×108個以上となるまで培養することをいう。ポリマー多孔質膜1平方センチメートルあたりに含まれる細胞数は、上述のCCK8等の公知の方法を用いて適宜計測することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明する。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
以下の実施例で使用されたポリイミド多孔質膜は、テトラカルボン酸成分である3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とジアミン成分である4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とから得られるポリアミック酸溶液と、着色前駆体であるポリアクリルアミドとを含むポリアミック酸溶液組成物を成形した後、250℃以上で熱処理することにより、調製された。得られたポリイミド多孔質膜は、複数の孔を有する表面層A及び表面層Bと、当該表面層A及び表面層Bの間に挟まれたマクロボイド層とを有する三層構造のポリイミド多孔質膜であり、表面層Aに存在する孔の平均孔径は19μmであり、表面層Bに存在する孔の平均孔径は42μmであり、膜厚が25μmであり、空孔率が74%であった。
(実施例1)
抗ヒトIL−8抗体産生CHO−DP12細胞(ATCC CRL−12445)を馴化・浮遊化した細胞を、培地(BalanCD(商標)CHO Growth A)を用いて浮遊培養し、1mlあたりの生細胞数が3.51×10cells/ml、(総細胞数3.83×10cells/ml、生細胞率92%)になるまで培養を継続した。図5及び6に示す構造を有するモジュールを100個用意し、希釈したミルトン(登録商標)(杏林製薬、日本)、超純水、70%エタノール含有水にて洗浄した後、滅菌的に乾燥し、準備を完了した。経時変化を表2に示す。尚、モジュールで使用したポリイミド多孔質膜のサイズは、1.0×1.0cmであり、ポリイミド多孔質膜総枚数は1800枚、総面積は1800cmとなる。3Dプリンターにて準備した回転式ポリマー多孔質膜収容部(図2〜4)を用意し、合計100個のモジュールを滅菌的に上部空洞に設置し、透明容器内部に据えた。マグネチックスターラーをバイオリアクター下部に設置してからCOインキュベータ内に移送し、培養準備を完了した。尚、透明容器は、上部の開放部分を不織布で覆い、雑菌混入を避けながら空気を取り入れる事の出来る形態とした。
上記にて準備した回転培養装置に、コージンバイオ株式会社製CHO細胞単層培養培地KBM270 200.0mLを添加し、56rpmの回転速度で10分間培地をモジュールに浸漬させた。そこへ、CHO DP−12浮遊細胞培養液(総細胞数3.83×10cells/ml、生細胞数3.51×10cells/ml、死細胞数3.23×10cells/ml、生細胞率92%)30.8mLと浮遊細胞用培地BalanCD(商標)CHO Growth A)69.2mLの混合液を添加し、COインキュベータ内で5分間緩やかに攪拌・混合した後、2.5時間静置して細胞吸着を実行した。2.5時間後に回収された培地には細胞は殆ど観察されず、細胞吸着率100%であった。この時点での予想平均細胞密度は、6.00×10cells/cmであった。
細胞吸着に用いた培地を排出し、コージンバイオ株式会社製CHO細胞単層培養培地KBM270 200mlを回転バイオリアクター容器に注加し、56rpmの回転速度でバイオリアクターを回転させて培養を継続した。3日後、回転速度を192rpmに上昇させ、培養を進めた。培地交換は毎日行い、培地中の一日当たりのグルコール消費量、乳酸産生量、乳酸脱水素酵素量および抗体の産生量をロシュ・ダイアグノスティックス社製Cedex Bioを用いて4日間測定した。経時的にグルコース消費及び乳酸の産生が向上し、安定的な細胞培養が進展している事が観察された。結果を表2に示す。
Figure 0006969614
(実施例2)
抗ヒトIL−8抗体産生CHO−DP12細胞(ATCC CRL−12445)を馴化・浮遊化した細胞を、培地(BalanCD(商標)CHO Growth A)中で浮遊培養し、1mlあたりの生細胞数が2.29×106cells/ml、(総細胞数2.62×106cells/ml、生細胞率88%)になるまで培養を継続した。
図5及び図6に示す構造を有するモジュール100個を滅菌用バッグ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に入れ、最小25kGy・最大50kGyのガンマ線照射滅菌を行い、モジュール準備を完了した。尚、モジュールで使用したポリイミド多孔質膜のサイズは、1.0cm×1.0cmであり、ポリイミド多孔質膜の総枚数は1,800枚、総面積は1,800cmとなる。
また、モジュールを収納し回転する回転式ポリマー多孔質膜収容部(図7〜9)を3Dプリンターにて作製した後、モジュールと同様の方法で滅菌した。
容器内部液へのエアレーションを可能とするために、上記回転式ポリマー多孔質膜収容部を設置する透明容器の下部にはガラス製スパージャーを設置した。また、軸受(図7〜8参照)を、接着剤を用いて透明容器中央部に据え、固定されるまで十分に放置した。この状態で、モジュールと同様、ガンマ線法により滅菌した。
合計100個のモジュールを滅菌的に回転培養装置のモジュール収納部内に設置し(図9(B)参照)、それを透明容器内部の中央軸受部上に据えた。COインキュベータ内にマグネチックスターラーを設置し、その上に回転培養装置を据えた。
上記にて準備したバイオリアクター内に、CHO細胞単層培養用培地KBM CHO HBM1(コージンバイオ株式会社製)を450ml添加して、60rpmの回転速度で約30分間、モジュールを培地に浸漬させた。CHO細胞単層培養用培地KBM CHO HBM1(コージンバイオ株式会社製)を50ml廃棄し、CHO DP−12を含む懸濁液(総細胞数2.62×106cells/ml、生細胞数2.29×106cells/ml、死細胞数3.23×105cells/ml、生細胞率88%)50mLを添加して約1.5時間静置し、その後、バイオリアクターを60rpmの回転速度で回転させた状態で約18.5時間培養し、合計約20時間、細胞をモジュールへ吸着させた(シート1枚当たりの想定平均生細胞吸着数6.36×104cells)。回収した培地から計算した生細胞吸着率は94%であった。
その後、培地を除去し、CHO細胞単層培養用培地KBM CHO HBM1(コージンバイオ株式会社製)を450ml添加して、泡が容器から溢れ出ない程度の流量にて酸素濃度40%のエアレーションを行いながら培養した。培養開始から4日、10日後に培地交換を行った。毎日少量のサンプリングを行い、培地中の一日当たりのグルコース消費量、乳酸産生量、乳酸脱水素酵素量および抗体の産生量をCedex Bio(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて測定した。経時的にグルコースが消費され、抗体及び乳酸が持続的に産生されていることを確認した。
尚、初回培地交換までの培養開始後4日間におけるグルコース消費濃度及び乳酸産生濃度を表3に示す。
Figure 0006969614
(実施例3)
ヒト皮膚線維芽細胞(Lonza CAT#CC−2511)を、アズワン社製150cmシャーレ14枚を用いて、コージンバイオ株式会社製培地(KBM Fibro Assist)中で約6,500cells/cmになるまで培養した。
図5及び図6に示す構造を有するモジュール30個を滅菌用バッグ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に入れ、ガンマ線照射滅菌を行った。尚、モジュールで使用したポリイミド多孔質膜のサイズは、1.0cm×1.0cmであり、ポリイミド多孔質膜の総枚数は540枚、総面積は540cm2となる。3Dプリンターにて準備した実施例2と類似した形状の回転型リアクター、及び、リアクターを据えるための軸受を付与した透明容器を準備した。実施例2とは異なり、本実施例では、ガラス製スパージャーは設置せず、回転のみで酸素供給を行うシステムを採用した。これら回転培養容器及び透明容器を、モジュールと同様、ガンマ線法で滅菌した後、合計30個のモジュールを回転型リアクターのモジュール収納部に滅菌的に設置し、それを透明容器内部に据えた。
COインキュベータ内にマグネチックスターラーを設置し、その上に回転培養装置を据えた。
上記にて準備したバイオリアクター内に、コージンバイオ株式会社製培地(KBM Fibro Assist)を270ml添加して、約60rpmの回転速度で約30分間モジュールを培地に浸漬させた。
ヒト皮膚線維芽細胞を含む懸濁液(総細胞数1.23×106cells/ml、生細胞数1.00×106cells/ml、死細胞数2.30×105cells/ml、生細胞率81%)30mLを添加して約1時間静置し、その後、バイオリアクターを約60rpmの回転速度で回転させた状態で約23時間培養し、合計約24時間、細胞をモジュールへ吸着させた(シート1枚当たりの想定平均生細胞吸着数5.56×104cells)。吸着開始約5時間後の培地から計算した生細胞吸着率は、95%であった。
その後、培地を除去し、コージンバイオ株式会社製培地(KBM Fibro Assist)を300ml添加して培養した。培養開始から基本的に3日あるいは4日の間隔で培地交換を行い、培地中のグルコース消費量、乳酸産生量、乳酸脱水素酵素量をCedex Bio(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて測定した。経時的にグルコースが消費され、乳酸が持続的に産生されることを確認した。
培養開始後のグルコース濃度及び乳酸濃度を図10に示す。
1 細胞培養装置
2 培養容器
20 蓋体
21 フィルタ
22 培養容器底部
3、3a 回転式ポリマー多孔質膜収容部
30、30a 底部
300、300a 第1培地流出入口
31、31a 側部
310、310a 第2培地流出入口
311a 回転翼
312a 仕切部材
32、32a 頂部
320、320a 第3培地流出入口
33、33a 回転部
330、330a 回転側部
331、331a 回転底部
332、332a 第4培地流出入口
333、333a 回転動力受信手段
334a 回転軸部材
335a 固定部材
34a 軸受
35a 軸部
4 回転駆動手段
9 ポリマー多孔質膜
90 モジュール化ポリマー多孔質膜
900 ケーシング
L 細胞懸濁液面

Claims (12)

  1. 培養容器と;
    前記培養容器に収容され、1以上の培地流出入口を有する回転式ポリマー多孔質膜収容部と;
    前記回転式ポリマー多孔質膜収容部に収容された、ポリマー多孔質膜と;
    を備え、
    ここで前記ポリマー多孔質膜がポリイミド多孔質膜であり、
    ここで、前記ポリマー多孔質膜が、複数の孔を有する表面層A及び表面層Bと、前記表面層A及び表面層Bの間に挟まれたマクロボイド層とを有する三層構造のポリマー多孔質膜であって、ここで前記表面層Aに存在する孔の平均孔径は、前記表面層Bに存在する孔の平均孔径よりも小さく、前記マクロボイド層は、前記表面層A及びBに結合した隔壁と、当該隔壁並びに前記表面層A及びBに囲まれた複数のマクロボイドとを有し、前記表面層A及びBにおける孔が前記マクロボイドに連通するものであって、
    ここで、前記ポリマー多孔質膜が、モジュール化ポリマー多孔質膜であり、
    前記モジュール化ポリマー多孔質膜が、ケーシングを備えたモジュール化ポリマー多孔質膜であって、
    前記モジュール化ポリマー多孔質膜が、
    (i)2以上の独立した前記ポリマー多孔質膜が、集約されて、
    (ii)前記ポリマー多孔質膜が、折り畳まれて、
    (iii)前記ポリマー多孔質膜が、ロール状に巻き込まれて、及び/又は、
    (iv)前記ポリマー多孔質膜が、縄状に結ばれて、
    前記ケーシング内に流体によって継続的に波打つ動きを行わない状態で収容されたものであり、前記モジュール化ポリマー多孔質膜が前記回転式ポリマー多孔質膜収容部内に固定されていないものであり、
    前記回転式ポリマー多孔質膜収容部が、前記培養容器とは独立して回転することを特徴とする、細胞培養装置。
  2. 前記回転式ポリマー多孔質膜収容部を回転させるための、回転駆動手段を備えた、請求項1に記載の細胞培養装置。
  3. 前記回転式ポリマー多孔質膜収容部が回転動力受信手段を備えた、請求項2に記載の細胞培養装置。
  4. 前記回転動力受信手段が、磁石である、請求項3に記載の細胞培養装置。
  5. 前記回転駆動手段が、マグネチックスターラーである、請求項4に記載の細胞培養装置。
  6. 前記ポリマー多孔質膜が、平均孔径0.01〜100μmの複数の細孔を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  7. 前記表面層Aの平均孔径が、0.01〜50μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  8. 前記表面層Bの平均孔径が、20〜100μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  9. 前記ポリマー多孔質膜の総膜厚が、5〜500μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  10. 前記ポリイミド多孔質膜が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリイミドを含む、ポリイミド多孔質膜である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  11. 前記ポリイミド多孔質膜が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られるポリアミック酸溶液と着色前駆体とを含むポリアミック酸溶液組成物を成形した後、250℃以上で熱処理することにより得られる着色したポリイミド多孔質膜である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の細胞培養装置を使用する、細胞の培養方法。
JP2019567170A 2018-01-24 2019-01-24 細胞培養装置、及びそれを使用した細胞培養方法 Active JP6969614B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018010108 2018-01-24
JP2018010108 2018-01-24
PCT/JP2019/002377 WO2019146733A1 (ja) 2018-01-24 2019-01-24 細胞培養装置、及びそれを使用した細胞培養方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019146733A1 JPWO2019146733A1 (ja) 2020-12-03
JP6969614B2 true JP6969614B2 (ja) 2021-11-24

Family

ID=67394985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019567170A Active JP6969614B2 (ja) 2018-01-24 2019-01-24 細胞培養装置、及びそれを使用した細胞培養方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20210047595A1 (ja)
JP (1) JP6969614B2 (ja)
CN (1) CN111630150A (ja)
WO (1) WO2019146733A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7326785B2 (ja) * 2019-03-14 2023-08-16 Ube株式会社 多孔質ポリイミド膜及びその製造方法
TW202122569A (zh) * 2019-08-09 2021-06-16 日商宇部興產股份有限公司 應用小片多孔膜的細胞培養法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1222248B1 (en) * 1999-09-24 2006-07-26 Cytomatrix, LLC Cell culture spinner flasks
JP2004236553A (ja) * 2003-02-05 2004-08-26 Hitachi Ltd マイクロキャリア並びにこれを使用した細胞培養装置及び細胞培養方法
CA2543770C (en) * 2003-11-10 2013-04-30 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Compartmentalized device for cell culture, cell processing, and sample dialysis
US8741631B2 (en) * 2009-06-03 2014-06-03 Aarhus Universitet Submerged perfusion bioreactor
EP2585189A2 (en) * 2010-06-23 2013-05-01 Stobbe Tech A/s Biopharmaceutical process apparatuses assembled into a column
JP2014217790A (ja) * 2011-09-02 2014-11-20 日東電工株式会社 海水淡水化方法
JPWO2014087991A1 (ja) * 2012-12-07 2017-01-05 東レ株式会社 有機性汚水の処理方法および処理装置
JP6225993B2 (ja) * 2013-07-26 2017-11-08 宇部興産株式会社 細胞の培養方法、細胞培養装置及びキット
KR102059248B1 (ko) * 2015-01-26 2019-12-24 우베 고산 가부시키가이샤 세포의 배양 방법 및 키트
EP3406710A1 (en) * 2015-01-26 2018-11-28 UBE Industries, Ltd. Method, device and kit for mass cultivation of cells using polyimide porous membrane
US20180250640A1 (en) * 2015-09-04 2018-09-06 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Porous film and method for producing same
JP6907477B2 (ja) * 2016-07-25 2021-07-21 宇部興産株式会社 細胞培養方法及び細胞培養装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN111630150A (zh) 2020-09-04
WO2019146733A1 (ja) 2019-08-01
US20210047595A1 (en) 2021-02-18
JPWO2019146733A1 (ja) 2020-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6897680B2 (ja) サイフォン式培養法
JP6773117B2 (ja) 細胞の培養方法、懸濁された細胞の除去方法及び懸濁された細胞を死滅させる方法
JP6841282B2 (ja) 細胞培養モジュール
JP6777149B2 (ja) 細胞培養装置、及び、それを使用した細胞培養方法
JP6969614B2 (ja) 細胞培養装置、及びそれを使用した細胞培養方法
JP2021027821A (ja) 細胞培養装置及びそれを使用した細胞培養方法
JP6787402B2 (ja) 多重流路培養法
JP6907477B2 (ja) 細胞培養方法及び細胞培養装置
KR101961580B1 (ko) 물질의 생산 방법
JP6870680B2 (ja) 細胞培養装置、及び、それを使用した細胞培養方法
JP6881454B2 (ja) 脱分化しやすい細胞の脱分化を抑制する方法、当該細胞の調製方法、及び物質の産生方法
WO2021029409A1 (ja) 小片多孔膜を適用した細胞培養法
JP6884350B2 (ja) 神経幹細胞の分化を抑制する方法、神経幹細胞を調製する方法、及び神経幹細胞を分化誘導する方法
WO2021029408A1 (ja) エクソソームの産生方法
JP2019126299A (ja) 細胞培養装置、及び、それを使用した細胞培養方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211011

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6969614

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350