JP6969056B2 - 脱塩システム及び脱塩工法 - Google Patents

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Description

本発明は、補強コンクリートの脱塩システム及び脱塩工法に関するものである。
従来、鉄筋コンクリートの表面の近傍に陽極を設置し、電解質溶液を介して、陽極とコンクリート中の鉄筋(陰極)との間に直流電圧を印加することで、鉄筋コンクリート中の塩化物イオンを陽極側に移動させて、鋼材の腐食因子である塩化物イオンを除去する脱塩システム及び脱塩工法がある(特許文献1参照)。
従来の脱塩システム及び脱塩工法は、通電に伴う陽極における塩素ガスの発生を抑制するため、電解質溶液として、水酸化リチウム等を溶解した高アルカリ性の水溶液を用いている。
特開2009−126728号公報
しかしながら,従来の脱塩システム及び脱塩工法に用いる高アルカリ性の水溶液は、人体や水生環境への悪影響があるので慎重に取り扱う必要があり、作業者の保護、漏出対策、製造及び廃棄のためのコストを要するものであった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安全かつ低コストで実現可能な脱塩システム及び脱塩工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の脱塩システムは、コンクリートの内部に埋設された金属製の補強筋を陰極とし、前記コンクリートの表面に設置された電解質溶液内の陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加する補強コンクリートの脱塩システムであって、前記陰極と前記陽極との間に、塩素抑制手段を介在させる。
(2)上記(1)の構成において、前記塩素抑制手段は、陽イオン交換樹脂である。
(3)上記(2)の構成において、前記陽イオン交換樹脂は、膜状の陽イオン交換膜である。
(4)上記(2)又は(3)の構成において、前記陽イオン交換樹脂は、陽極に、陽極を埋設するように設けられる。
(5)上記(2)から(4)のいずれかの構成において、前記陽イオン交換樹脂は、前記電解質溶液を保持可能な多孔質体に含有されている。
(6)上記(5)の構成において、前記多孔質体は、連続気泡発泡体である。
(7)上記(1)から(6)のいずれかの構成において、前記電解質溶液は、水である。
(8)本発明の脱塩工法は、コンクリートの内部に埋設された金属製の補強筋を陰極とし、前記コンクリートの表面に設置された電解質溶液内の陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加する補強コンクリートの脱塩工法であって、前記コンクリートの表面を第1保水性多孔質体で覆うステップと、前記第1保水性多孔質体の表面を、互いに離間して間隙を有した状態で、前記陽極が埋設され、陽イオン交換樹脂を含有する複数の第2保水性多孔質体で覆うステップと、前記第1保水性多孔質体、前記陽イオン交換樹脂及び前記第2保水性多孔質体を前記コンクリートに対して支持する支持具を設置するステップと、前記第1保水性多孔質体及び前記第2保水性多孔質体に前記電解質溶液を浸透させるステップと、前記陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加するステップと、を含む。
(9)本発明の脱塩工法は、コンクリートの内部に埋設された金属製の補強筋を陰極とし、前記コンクリートの表面に設置された電解質溶液内の陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加する補強コンクリートの脱塩工法であって、前記コンクリートの表面を第3保水性多孔質体で覆うステップと、前記第3保水性多孔質体の表面を、互いに離間して間隙を有した状態で、複数の陽イオン交換膜で覆うステップと、前記陽イオン交換膜を前記第3保水性多孔質体との間で挟むようにして、前記陽極が埋設された第4保水性多孔質体を設置するステップと、前記第3保水性多孔質体、前記陽イオン交換膜及び前記第4保水性多孔質体を前記コンクリートに対して支持する支持具を設置するステップと、前記第3保水性多孔質体及び前記第4保水性多孔質体に前記電解質溶液を浸透させるステップと、前記陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加するステップと、を含む。
(10)上記(8)又は(9)の構成において、前記支持具は前記コンクリートの表面に対して前記陽極の位置を保持するスペーサを備え、前記スペーサは、前記間隙に設置される。
本発明によれば、安全かつ低コストで実現可能な脱塩システム及び脱塩工法を提供できる。
第1実施形態に係る脱塩システム及び脱塩工法を説明する断面図である。 図1におけるA部詳細図であり、第1実施形態に係る脱塩システム及び脱塩工法を説明する詳細断面図である。 第2実施形態に係る脱塩システム及び脱塩工法を説明する詳細断面図である。 第3実施形態に係る脱塩システム及び脱塩工法を説明する詳細断面図である。 第4実施形態に係る脱塩システム及び脱塩工法を説明する詳細断面図である。 第5実施形態に係る脱塩システム及び脱塩工法を説明する詳細断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明を実施するための第1の形態(以下、第1実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
図1は、第1実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する断面図である。
図2は、図1におけるA部詳細図であり、第1実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する詳細断面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、例えば、鉄筋コンクリート製の橋桁100のような、コンクリート10の内部に金属製の補強筋(陰極20)を埋設した補強コンクリートに適用できるものである。
詳細には、図2に示すように、第1実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、橋桁100のコンクリート10の内部に埋設された金属製の補強筋(鉄筋やPC鋼材等)を陰極20とし、コンクリート10の表面に設置された電解質溶液30内の陽極40と陰極20との間に、直流電源DCにより直流電圧を印加するものであり、陰極20と陽極40との間に、陽極40における塩素の発生を抑制するための塩素抑制手段の一形態である陽イオン交換樹脂50を介在させるものである。なお、塩素抑制手段としては、陽イオン交換樹脂50に限らず、塩化物イオンを物理的又は化学的にろ過することで陽極40における塩素の発生を抑制するものであればよい。
電解質溶液30は、多孔質体60に保持された状態となっている。これにより、多孔質体60がある程度の保形性を有するので、堅剛な支持具80を要することなく、脱塩システム200を実施できる。
電解質溶液30は、陽極40と陰極20との間に直流電圧が印加された際に、直流電流を流すためのものであり、水道水や井戸水等の水としてよい。これにより、高アルカリ性溶液を採用するのに比べて、電解質溶液30の製造コスト及び廃棄コストを抑制できる。
陽極40は、電解質溶液30の中へ正電荷を送り込み、電解質溶液30の中の陰イオンから電子を受け取る電極であり、網目状又は平板状の金属製電極である。陽極40としては、例えば、網目状のチタン製電極(チタングリッド陽極)を採用できる。陽極40は、図2に示すような矩形状の断面(厚さ0.5mm〜1.3mm程度、幅10mm〜20mm程度)を有する長尺状のものであり、橋桁100の長手方向に沿って配置される。
陽イオン交換樹脂50は、陽極40に、陽極40を埋設するように設けられる。これにより、陽イオン交換樹脂50を陽極40に支持させられるので、陽イオン交換樹脂50に保形性を与えなくても、陽極40と陰極20との間に陽イオン交換樹脂50を介在させることができる。また、陽極40の周囲が陽イオン交換樹脂50で覆われるので、陽極40を電解質溶液30の中に配置しても、塩素の発生を抑制できる。
また、陽イオン交換樹脂50は、電解質溶液30を保持可能な多孔質体60に含有されている。これにより、陽イオン交換樹脂50を多孔質体60を介して陽極40に支持させられるので、陽イオン交換樹脂50に保形性を与えなくても、陽極40と陰極20との間に陽イオン交換樹脂50を介在させることができ、多孔質体60に電解質溶液30を保持させることができる。
多孔質体60は、連続気泡発泡体であってよく、例えば、アクアフォーム(登録商標)に代表される生花用吸水性スポンジ等のフェノール硬質発泡樹脂板やセルローススポンジでよい。連続気泡発泡体を構成する気泡(セル)の大きさは、数百μmであることが、保水性、吸水性、軽量性及び強度の観点から好ましい。このように、多孔質体60を連続気泡発泡体とすることで、多孔質体60に電解質溶液30を保持させることができるとともに、断熱効果により、電解質溶液30の蒸発や温度変化による通電性の変化を抑制でき、脱塩の速度を安定させることができる。
支持具80は、図1に示すように、電解質溶液30、陽極40、陽イオン交換樹脂50及び多孔質体60を、橋桁100に支持するためのものである。
具体的には、図2に示すように、支持具80は、コンクリート10の表面に対して垂直に配置され、支持フレーム85に対して位置調整自在にするための雄ねじを外周に有する支持棒82と、支持棒82の雄ねじに対して位置調整自在に螺合される支圧版84と、支圧版84と多孔質体60との間に介在して多孔質体60を押圧する絶縁性のゴム板83と、支持棒82に対して位置調整自在に取り付けられる支持フレーム85と、を備える。そして、橋桁100に対して支持された支持フレーム85には、支圧版84からの反力が支持棒82を介して伝達される。
なお、支持具80は、陰極20と陽極40との間で短絡しないように、絶縁されていることが好ましい。
また、橋桁100の一断面につき、支持具80が複数の支持棒82を有する状態で、各支持棒82の他端に、共通する支持フレーム85が位置調整自在に取り付けられる。そして、このような複数の支持棒82と共通する支持フレーム85との組み合わせたものが、橋桁100の長手方向に所定間隔で複数配置される。
支持フレーム85は、図1に示すように、橋桁100の両側面に配置される竪材85vと、両竪材85v同士を結ぶ横材85hと、竪材85vの上部に設けられる長さ調整自在のブラケット85bを備え、両竪材85v同士の間隔は、竪材85vの下部と横材85hとの取り付け位置85jを変えることで、調整可能となっている。
このように、コンクリート10の表面には、電解質溶液30を保持した第1保水性多孔質体61(多孔質体60)が密着して設けられる。第1保水性多孔質体61の表面には、電解質溶液30を保持し、陽イオン交換樹脂50を含有し、陽極40が埋設された第2保水性多孔質体62(多孔質体60)が設けられる。
そして、橋桁100に対して、電解質溶液30及び陽極40を設置した状態で、陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加すると、コンクリート10の内部にある陰イオンである塩化物イオンは、図2中の矢印に示すように、陽極40側に移動する。すると、塩化物イオンは、陽イオン交換樹脂50によってそれ以上の移動を阻まれ、陽イオン交換樹脂50を通過することなく留まる。したがって、塩化物イオンは、陽極40に到達することができず、電子を陽極40に供給できないため、酸化せず、塩素にならない。
よって、電解質溶液30として高アルカリ性の水溶液を用いず、例えば、水道水や井戸水を用いたとしても、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させることにより、コンクリート10の内部から塩化物イオンを除去できるとともに、陽極40での塩素の発生を抑制できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する。
図3は、図1におけるA部詳細図に対応するものであり、第2実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する詳細図である。
図3に示すように、第2実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、第1実施形態と同様に、橋桁100のコンクリート10の内部に埋設された金属製の補強筋(鉄筋やPC鋼材等)を陰極20とし、コンクリート10の表面に設置された電解質溶液30内の陽極40と陰極20との間に、直流電源DCにより直流電圧を印加するものであり、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させるものである。
電解質溶液30は、容器81を含む支持具80に保持されている。なお、容器81を橋桁100に固定する構造(不図示)は、第1実施形態と同様でよい。すなわち、容器81を、橋桁100に支持された支持フレーム85に支持させてもよい。
第2実施形態において、陽イオン交換樹脂50は、第1実施形態とは異なり、所定の膜厚を有し、可撓性を有する膜状の陽イオン交換膜51である。
具体的には、陽イオン交換膜51は、例えば、ネオセプタ(登録商標)等の強酸性型の高破断強度及び耐アルカリ性を有するものである。
このように、陽イオン交換樹脂50を膜状の陽イオン交換膜51とすることで、取り扱いが容易となるとともに、自重を軽くでき、陽イオン交換膜51を支持する支持具80(不図示)を簡素化できる。
このように、コンクリート10の表面には、容器81に保持された電解質溶液30が直接接するようにして設けられる。そして、コンクリート10の表面から順に、陽イオン交換膜51及び陽極40が、電解質溶液30の中に浸されるようにして設けられる。
そして、橋桁100に対して、陽イオン交換膜51、電解質溶液30及び陽極40を設置した状態で、陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加すると、コンクリート10の内部にある陰イオンである塩化物イオンは、図3中の矢印に示すように、陽極40側に移動する。すると、塩化物イオンは、陽イオン交換膜51によってそれ以上の移動を阻まれ、陽イオン交換膜51を通過することなく留まる。したがって、塩化物イオンは、陽極40に到達することができず、電子を陽極40に供給できないため、酸化せず、塩素にならない。
よって、電解質溶液30として高アルカリ性の水溶液を用いず、例えば、水道水や井戸水を用いたとしても、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換膜51を介在させることにより、コンクリート10の内部から塩化物イオンを除去できるとともに、陽極40での塩素の発生を抑制できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する。
図4は、図1におけるA部詳細図に対応するものであり、第3実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する詳細図である。
図4に示すように、第3実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、橋桁100のコンクリート10の内部に埋設された金属製の補強筋(鉄筋やPC鋼材等)を陰極20とし、コンクリート10の表面に設置された電解質溶液30内の陽極40と陰極20との間に、直流電源DCにより直流電圧を印加するものであり、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させるものである。
電解質溶液30は、容器81を含む支持具80に保持されている。なお、容器81を橋桁100に固定する構造(不図示)は、第1実施形態や第2実施形態と同様でよい。
また、陽イオン交換樹脂50は、第1実施形態と同様に、電解質溶液30を保持可能な多孔質体60に含有されており、陽極40に、陽極40を埋設するように設けられる。
多孔質体60は、連続気泡発泡体であってよく、例えば、アクアフォーム(登録商標)等のフェノール硬質発泡樹脂板やセルローススポンジでよい。
ここで、第3実施形態に係る脱塩システム200の陽極40、陽イオン交換樹脂50及び多孔質体60は、第1実施形態とは異なり、電解質溶液30が保持された容器81の内部において部分的に配置されて、電解質溶液30に浸されている。
コンクリート10の表面には、容器81に保持された電解質溶液30が直接接するようにして設けられる。そして、コンクリート10の表面から離間した位置に、電解質溶液30を保持し、陽イオン交換樹脂50を含有し、陽極40が埋設された第2保水性多孔質体62(多孔質体60)が、電解質溶液30の中に浸されるようにして設けられる。
そして、橋桁100に対して、陽イオン交換樹脂50、電解質溶液30及び陽極40を設置した状態で、陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加すると、コンクリート10の内部にある陰イオンである塩化物イオンは、図4中の矢印に示すように、陽極40側に移動する。すると、塩化物イオンは、陽イオン交換樹脂50によってそれ以上の移動を阻まれ、陽イオン交換樹脂50を通過することなく留まる。したがって、塩化物イオンは、陽極40に到達することができず、電子を陽極40に供給できないため、酸化せず、塩素にならない。
よって、電解質溶液30として高アルカリ性の水溶液を用いず、例えば、水道水や井戸水を用いたとしても、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させることにより、コンクリート10の内部から塩化物イオンを除去できるとともに、陽極40での塩素の発生を抑制できる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する。
図5は、図1におけるA部詳細図に対応するものであり、第4実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する詳細図である。
図5に示すように、第4実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、橋桁100のコンクリート10の内部に埋設された金属製の補強筋(鉄筋やPC鋼材等)を陰極20とし、コンクリート10の表面に設置された電解質溶液30内の陽極40と陰極20との間に、直流電源DCにより直流電圧を印加するものであり、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させるものである。
コンクリート10の表面には、電解質溶液30を保持した第1保水性多孔質体61が密着して設けられる。第1保水性多孔質体61の表面には、電解質溶液30を保持し、陽イオン交換樹脂50を含有し、陽極40が埋設された第2保水性多孔質体62が設けられる。
支持具80は、支持版87と多孔質体60との間に、コンクリート10の表面に対して陽極40の位置を保持するための、多孔質体60に比べて変形しにくいスペーサ90を備える。
スペーサ90は、隣り合う第2保水性多孔質体62の間隙に設置される。これにより、第1保水性多孔質体61及び第2保水性多孔質体62を過度に圧縮することなく、位置決め可能な程度に最適に押圧できるとともに、隣り合う陽極40の間隙を有効利用できる。
そして、ナット88を樹脂ロッド86に螺合し、支持版87の位置をコンクリート10側に移動させることにより、第1保水性多孔質体61及び第2保水性多孔質体62を押圧する。
このように、支持具80は、電解質溶液30を保持した第1保水性多孔質体61と、陽イオン交換樹脂50を含有し、電解質溶液30及び陽極40を保持した第2保水性多孔質体62とを、コンクリート10に対して支持する。
第4実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、次のようなステップを含むことにより、実施できる。
(1)まず、コンクリート10の表面を第1保水性多孔質体61で覆う(ステップA1)。
(2)次に、第1保水性多孔質体61の表面を、互いに離間して間隙を有した状態で、陽極40が埋設され、陽イオン交換樹脂50を含有する複数の第2保水性多孔質体62で密着させるようにして覆う(ステップA2)。
(3)第1保水性多孔質体61及び第2保水性多孔質体62をコンクリート10に対して支持する支持具80を設置する(ステップA3)。
(4)第1保水性多孔質体61及び第2保水性多孔質体62に電解質溶液30を浸透させる(ステップA4)。
(5)陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加する(ステップA5)。
そして、橋桁100に対して、第1保水性多孔質体61、第2保水性多孔質体62及び電解質溶液30を設置した状態で、陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加すると、コンクリート10の内部にある陰イオンである塩化物イオンは、図5中の矢印に示すように、陽極40側に移動する。すると、塩化物イオンは、第2保水性多孔質体62に含有された陽イオン交換樹脂50によってそれ以上の移動を阻まれ、第2保水性多孔質体62を通過することなく留まる。したがって、塩化物イオンは、陽極40に到達することができず、電子を陽極40に供給できないため、酸化せず、塩素にならない。
よって、電解質溶液30として高アルカリ性の水溶液を用いず、例えば、水道水や井戸水を用いたとしても、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させることにより、コンクリート10の内部から塩化物イオンを除去できるとともに、陽極40での塩素の発生を抑制できる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する。
図6は、図1におけるA部詳細図に対応するものであり、第5実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法を説明する詳細図である。
図6に示すように、第5実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態と同様に、橋桁100のコンクリート10の内部に埋設された金属製の補強筋(鉄筋やPC鋼材等)を陰極20とし、コンクリート10の表面に設置された電解質溶液30内の陽極40と陰極20との間に、直流電源DCにより直流電圧を印加するものであり、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換樹脂50を介在させるものである。
コンクリート10の表面には、電解質溶液30を保持した第3保水性多孔質体63(多孔質体60)が密着して設けられる。第3保水性多孔質体63の表面には、陽イオン交換膜51が所定間隔で複数設けられる。陽イオン交換膜51の表面には、互いに離間して間隙を有する状態で、電解質溶液30を保持し、陽極40が埋設された第4保水性多孔質体64が設けられる。
支持具80は、第4実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法における支持具80と同様の構造であり、電解質溶液30を保持した第3保水性多孔質体63と、陽イオン交換樹脂50、電解質溶液30及び陽極40を保持した第4保水性多孔質体64とを、コンクリート10に対して支持する。
また、支持具80は、コンクリート10に接着固定される接着体86aを先端に有する樹脂ロッド86と、樹脂ロッド86を貫通し、第2保水性多孔質体62を押圧する支持版87と、支持版87の位置を調整自在に樹脂ロッド86に螺合されるナット88と、を備える。
第5実施形態に係る脱塩システム200及び脱塩工法は、次のようなステップを含むことにより、実施できる。
(1)まず、コンクリート10の表面を第3保水性多孔質体63で覆う(ステップB1)。
(2)次に、第3保水性多孔質体63の表面を、互いに離間して間隙を有した状態で複数の陽イオン交換膜51で覆う(ステップB2)。
(3)陽イオン交換膜51を第3保水性多孔質体63との間で挟むようにして、陽極40が埋設された第4保水性多孔質体64を設置する(ステップB3)。
(4)第3保水性多孔質体63、陽イオン交換膜51及び第4保水性多孔質体64をコンクリート10に対して支持する支持具80を設置する(ステップB4)。
(5)第3保水性多孔質体63及び第4保水性多孔質体64に電解質溶液30を浸透させる(ステップB5)。
(6)陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加する(ステップB6)。
そして、橋桁100に対して、多孔質体60、陽イオン交換膜51、電解質溶液30及び陽極40を設置した状態で、陽極40と陰極20との間に直流電圧を印加すると、コンクリート10の内部にある陰イオンである塩化物イオンは、図6中の矢印に示すように、陽極40側に移動する。すると、塩化物イオンは、陽イオン交換膜51によってそれ以上の移動を阻まれ、陽イオン交換膜51を通過することなく留まる。したがって、塩化物イオンは、陽極40に到達することができず、電子を陽極40に供給できないため、酸化せず、塩素にならない。
よって、電解質溶液30として高アルカリ性の水溶液を用いず、例えば、水道水や井戸水を用いたとしても、陰極20と陽極40との間に陽イオン交換膜51を介在させることにより、コンクリート10の内部から塩化物イオンを除去できるとともに、陽極40での塩素の発生を抑制できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る脱塩システム200及び脱塩工法は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。
本発明の脱塩システム200及び脱塩工法によれば、陰極20と陽極40との間に、塩素抑制手段50を介在させるので、電解質溶液30として高アルカリ性の水溶液を用いず、例えば、水道水や井戸水を用いたとしても、コンクリート10の内部から塩化物イオンを除去できるとともに、陽極40での塩素の発生を抑制できる。
10 コンクリート
20 陰極
30 電解質溶液
40 陽極
50 陽イオン交換樹脂(塩素抑制手段)
51 陽イオン交換膜
60 多孔質体
61 第1保水性多孔質体
62 第2保水性多孔質体
63 第3保水性多孔質体
64 第4保水性多孔質体
80 支持具
81 容器
82 支持棒
83 ゴム板
84 支圧版
85 支持フレーム
85b ブラケット
85h 横材
85j 取り付け位置
85v 竪材
85v 両竪材
86 樹脂ロッド
86a 接着体
87 支持版
88 ナット
90 スペーサ
100 橋桁
200 脱塩システム
DC 直流電源

Claims (8)

  1. コンクリートの内部に埋設された金属製の補強筋を陰極とし、前記コンクリートの表面に設置された電解質溶液内の陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加する補強コンクリートの脱塩システムであって、
    前記電解質溶液は水であり、
    前記陰極と前記陽極との間に陽イオン交換樹脂を介在させる
    ことを特徴とする補強コンクリートの脱塩システム。
  2. 前記陽イオン交換樹脂は、膜状の陽イオン交換膜である
    ことを特徴とする請求項に記載の補強コンクリートの脱塩システム。
  3. 前記陽イオン交換樹脂は、陽極に、陽極を埋設するように設けられる
    ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の補強コンクリートの脱塩システム。
  4. 前記陽イオン交換樹脂は、前記電解質溶液を保持可能な多孔質体に含有されている
    ことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の補強コンクリートの脱塩システム。
  5. 前記多孔質体は、連続気泡発泡体である
    ことを特徴とする請求項に記載の補強コンクリートの脱塩システム。
  6. コンクリートの内部に埋設された金属製の補強筋を陰極とし、前記コンクリートの表面に設置された電解質溶液内の陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加する補強コンクリートの脱塩工法であって、
    前記コンクリートの表面を第1保水性多孔質体で覆うステップと、
    前記第1保水性多孔質体の表面を、互いに離間して間隙を有した状態で、前記陽極が埋設され、陽イオン交換樹脂を含有する複数の第2保水性多孔質体で覆うステップと、
    前記第1保水性多孔質体、前記陽イオン交換樹脂及び前記第2保水性多孔質体を前記コンクリートに対して支持する支持具を設置するステップと、
    前記第1保水性多孔質体及び前記第2保水性多孔質体に前記電解質溶液である水を浸透させるステップと、
    前記陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加するステップと、
    を含むことを特徴とする補強コンクリートの脱塩工法。
  7. コンクリートの内部に埋設された金属製の補強筋を陰極とし、前記コンクリートの表面に設置された電解質溶液内の陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加する補強コンクリートの脱塩工法であって、
    前記コンクリートの表面を第3保水性多孔質体で覆うステップと、
    前記第3保水性多孔質体の表面を、互いに離間して間隙を有した状態で、複数の陽イオン交換膜で覆うステップと、
    前記陽イオン交換膜を前記第3保水性多孔質体との間で挟むようにして、前記陽極が埋設された第4保水性多孔質体を設置するステップと、
    前記第3保水性多孔質体、前記陽イオン交換膜及び前記第4保水性多孔質体を前記コンクリートに対して支持する支持具を設置するステップと、
    前記第3保水性多孔質体及び前記第4保水性多孔質体に前記電解質溶液である水を浸透させるステップと、
    前記陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加するステップと、
    を含むことを特徴とする補強コンクリートの脱塩工法。
  8. 前記支持具は前記コンクリートの表面に対して前記陽極の位置を保持するスペーサを備え、
    前記スペーサは、前記間隙に設置される
    ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の補強コンクリートの脱塩工法。
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