JP6967984B2 - 肌評価方法 - Google Patents
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Description
このような測定装置で測定された値を用いることで、肌のハリ(弾力)などが評価される。特許文献1には、皮膚表層の粘弾性を測定し、測定した粘弾性を粘弾性基準値と比較することでスキンケアを評価する手法が提案されている。
一般的な肌の粘弾性評価は、図9に示される、Ue、Uv、Uf、Ur、Uaなどの各測定値又はそれら測定値間の比率(Ua/Uf、Ur/Uf、Ur/Ueなど)を用いて行われている。
本発明者らは、肌の粘弾性測定で得られる測定値そのもの、特にクリープ回復時の測定値には、正規化のみでは解消困難な精度上の問題があることを見出した。更に、本発明者らは、このような粘弾性パラメータと年齢との関係を確認し(上記非特許文献1参照)、肌のハリは本来、年齢と共に低下していくことが知られているにも関わらず、測定値そのものと年齢との間の相関が比較的低いことに着目し、測定値自体やその比率では、高精度に肌の粘弾性評価を行うことが難しいと考えた。
本明細書において「肌」は、「皮膚」と区別せずに用いられる。
本発明の態様は、肌評価方法に関する。肌評価方法は、被験者の肌に対する粘弾性測定の測定値を取得する測定値取得工程と、取得された測定値に基づいて、時定数が互いに異なる一以上のクリープ回復特性成分を用いて記述される、クリープ回復の時間特性を示す回復曲線の近似式を算出する算出工程と、算出された近似式を用いて、被験者の肌の粘弾性情報を生成する生成工程と、を含む。
第一実施形態に係る肌評価方法について説明する。
図1は、第一実施形態に係る肌評価方法を示すフローチャートである。
第一実施形態に係る肌評価方法は、工程(S11)、工程(S13)、及び工程(S15)を含み、工程(S15)で生成された肌の粘弾性情報に基づいて、被験者の肌を評価する。
ここで「肌に対する粘弾性測定」とは、肌(皮膚)に何らかの負荷を所定時間掛けることで肌が時間と共に変形していく過程及びその負荷を肌から開放して(肌に掛けることをやめて)肌が時間と共に元に戻ろうとする過程を測定することを意味する。本実施形態では、この粘弾性測定の具体的な測定方法は、限定されず、上述の吸引方式又は回転方式であってもよいし、他の方法であってもよい。
本明細書では、この粘弾性測定で測定される前半過程の現象を「クリープ変形」と表記し、後半過程の減少を「クリープ回復」と表記する。即ち、「クリープ変形」とは、肌(皮膚)に荷重を掛けることで肌が時間と共に変形していく現象を意味し、「クリープ回復」とは、その荷重を開放して肌が時間と共に元に戻ろうとする現象を意味するものとする。
また、当該測定値は、粘弾性測定により得られる物理量に基づく値であればよい。例えば、当該測定値は、吸引方式で測定された変形量(吸引長)であってもよいし、回転方式で測定された変形量(角度)であってもよい。
更に、当該測定値は、測定された値そのものでなくてもよい。例えば、当該測定値は、変形量に対する原形量の割合であるひずみ値であってもよいし、弾性率、クリープコンプライアンス(弾性率の逆数)などであってもよい。また、当該測定値は、何らかの基準で正規化(規格化)された測定値(相対値)であってもよい。例えば、工程(S11)では、クリープ回復開始時(最大変位時)の測定値で正規化された測定値(相対値)を取得することができる。また、被験者の肌に対して実施された複数回の測定で得られた各回の測定値を正規化(平均化)した測定値が取得されてもよい。このように正規化された測定値が取得されることで、測定条件のバラつきを低減することができる。
これに対して「クリープ変形曲線」との表記を用いる場合がある。この「クリープ変形曲線」とは、クリープ変形の時間特性を示す変形曲線であり、時間軸とクリープ変形の指標値軸とで示される曲線であって、クリープ変形の時間変化を表す曲線を意味する。後述する図2におけるクリープ変形曲線が一例である。
図2の例では、測定時0秒で肌に負荷が掛けられることでクリープ変形が始まり、測定時2秒で負荷が開放されクリープ回復が開始される。このため、測定時0秒から2秒までの変形量の時間変化がクリープ変形曲線と表記され、測定時2秒以降の変形量の時間変化がクリープ回復曲線と表記される。
ここでの「時定数」とは、各クリープ変形特性成分の極限値の{(1−e−1)×100}パーセント(eはネイピア数(自然対数の底)であり、約63%である)に到達する時間である。
「クリープ変形特性成分の極限値」は、そのクリープ変形特性成分の指標値が時間経過に応じて収束していく先の値であり、変形量、ひずみ、弾性率、クリープコンプライアンスなどを示す値である。
ここでの「時定数」とは、クリープ回復の開始時点から各クリープ回復特性成分の極限値の{(1−e−1)×100}パーセント(eはネイピア数(自然対数の底)であり、約63%である)に到達する時間である。
「クリープ回復特性成分の極限値」は、そのクリープ回復特性成分の指標値が時間経過に応じて収束していく先の値であり、変形量、ひずみ、弾性率、クリープコンプライアンスなどを示す値である。
クリープ回復特性成分の数は、1以上に設定される。
このとき、時定数には、肌の粘弾性測定において用いられる瞬間回復値(Ur)の測定時間よりも短い時間を少なくとも含む予め決められた時間が用いられる。瞬間回復値(Ur)は、クリープ回復の開始時点から予め決められた所定時間(図9の例では0.1秒)で測定される回復量を示し、陰圧解除値とも呼ばれる。
クリープ回復特性成分の時定数は、クリープ回復の開始時点からの経過時間に相当するため、小さい時定数を持つクリープ回復特性成分ほど、クリープ回復曲線において支配的となる。このため、クリープ回復特性成分の数が1とされる場合には、瞬間回復値(Ur)の測定時間よりも短い時間を時定数として設定することが望ましく、クリープ回復特性成分の数が2以上とされる場合には、瞬間回復値(Ur)の測定時間を境界として、それよりも短い時間及び長い時間が時定数に設定されることが望ましい。これにより、クリープ回復曲線の近似精度を向上させることができる。
当該算出手法には、クリープ変形曲線の近似式の情報を用いる第一手法と、クリープ変形曲線の近似式の情報を用いない第二手法とに大別できる。第一手法は、第二実施形態として後述するため、第一実施形態では、第二手法について説明することとする。但し、第一実施形態においても第一手法を用いて近似式が算出されてもよい。
一つのクリープ回復特性成分を用いる場合には(上記式におけるN=1)、回復極限値がそのクリープ回復特性成分の極限値(上記式におけるg1)として算出されてもよい。
二以上のクリープ回復特性成分を用いる場合には(上記式におけるN>=2)、回復極限値と工程(S11)で取得された測定値とを用いて、各クリープ回復特性成分の極限値がそれぞれ算出される。例えば、各クリープ回復特性成分の極限値の和が当該推定されたクリープ回復曲線の回復極限値となるような、各クリープ回復特性成分の極限値が最小二乗法を用いて算出される。この場合の算出式は、例えば、次のように表すことができる。以下の式において測定データ(測定時間、指標値)が(ti、Yi)で示され、近似データ(測定時間、指標値)が(ti、yi)で示され、mがクリープ回復曲線の回復極限値を示す。
「肌の粘弾性情報」とは、肌の弾性若しくは粘性又はそれらの両方を示す情報である。
工程(S15)では、工程(S13)で算出された一以上のクリープ回復特性成分の少なくとも一つの極限値(回復極限値も含む)がそのまま粘弾性情報とされてもよいし、極限値の比率が粘弾性情報とされてもよい。
例えば、各クリープ回復特性成分を特定し得る時定数の値と各クリープ回復特性成分の極限値とのペアがクリープ回復特性成分の数分含まれる粘弾性情報が生成される。また、極限値がクリープ回復特性成分ごとに色分けされた積み上げ棒グラフ、帯グラフ、円グラフなどを粘弾性情報として生成することもできる。これらグラフに極限値の数値が付されない場合には、そのグラフは極限値の割合を示すものとなる。
また、各クリープ回復特性成分の極限値の比率を数値で示す粘弾性情報が生成されてもよい。例えば、各クリープ回復特性成分の極限値の総和に対する最も小さい時定数を有するクリープ回復特性成分の極限値の比率が肌の弾力(ハリ)を示す当該粘弾性情報として生成されてもよいし、当該総和に対する最も小さい時定数及び次に小さい時定数を有するクリープ回復特性成分の極限値の和の比率が肌の弾力(ハリ)を示す当該粘弾性情報として生成されてもよい。
このため、各クリープ回復特性成分の和で記述される近似式によれば、皮膚を形成する組織に対応する粘弾性応答特性、即ち肌の粘弾性情報を特定することができる。
また、粘弾性情報として、被験者の肌の角層、表皮、及び真皮を少なくとも含む複数層のいずれか一つ以上の弾性率の情報を生成することもできる。吸引方式の粘弾性測定装置において開口測定部の径が異なる複数種のプローブを用いてプローブごとに測定値が取得され、それら測定値から算出されるプローブごとの極限値の差分により或る層における弾性率を算出することができる。
例えば、年代ごとの平均指標値やサンプル極限値などが提示されている状態で、工程(S15)で生成された粘弾性情報が提示されることで、その提示を受けた者は、両者を比較することで、被験者(又は自身)の肌のハリ又は潤い、肌年齢などを評価することができる。
もちろん、工程(S15)で生成される粘弾性情報が肌評価の結果を示していてもよい。例えば、上述したように、粘弾性情報に、被験者の肌のハリ又は潤いが良好か否かが示されていてもよく、被験者のハリ又は潤いに関する肌年齢が示されていてもよい。この場合には、粘弾性情報を用いた肌評価は別途実行されなくてもよい。
以下、第二実施形態における肌評価方法について説明する。第二実施形態は、特にクリープ回復曲線の近似式の算出手法として上述の第一手法を用いる点において、第一実施形態と異なる。以下は、第一実施形態と異なる内容を中心に説明し、第一実施形態と同様の内容については適宜省略する。
第二実施形態に係る肌評価方法は、工程(S21)、工程(S23)、工程(S25)、工程(S27)、及び工程(S29)を含み、工程(S29)で生成された肌の粘弾性情報に基づいて、被験者の肌を評価する。
この開始値には、工程(S21)で取得された測定値そのものが利用されてもよいし、取得されたクリープ変形時の測定値群又はそれらが最大変形量で正規化された値群に基づいて推定されるクリープ変形曲線の極限値が利用されてもよい。
また、正規化は、クリープ回復の開始値を基準値(例えば1)として0以上1以下の値を取るように実行されてもよいし、その開始値が正規化された測定値群に基づいて推定された値である場合には、その開始値そのものを基準値として正規化されてもよい。
クリープ変形特性成分の数は、2以上に設定される。このとき、時定数には、肌の粘弾性測定において用いられる瞬間伸長値(Ue)の測定時間に基づいて、この測定時間よりも短い時間及びこの測定時間よりも長い時間を少なくとも含む予め決められた複数の時間が用いられる。クリープ変形特性成分の時定数は、クリープ変形開始時点からの経過時間に相当するため、小さい時定数を持つクリープ変形特性成分ほど、クリープ変形曲線において支配的となる。このため、瞬間伸長値(Ue)の測定時間を境界として、それよりも短い時間及び長い時間が時定数に設定されることで、クリープ変形曲線の近似精度を向上させることができる。
第二実施形態で算出されるクリープ回復曲線の近似式は、次の式で表すことができる。以下の式におけるiは、個々のクリープ回復特性成分を示し、Nは、クリープ回復特性成分の数を示し、pは補正係数を示し、k1は、1個目(最小時定数)のクリープ変形特性成分の極限値を示し、miは、i個目のクリープ回復特性成分の寄与係数を示し、τiは、i個目のクリープ回復特性成分の時定数を示す。
粘弾性測定で見られる肌の変形は粘弾性変形であるため、クリープ変形曲線とクリープ回復曲線とは対称形となり、クリープ回復曲線はクリープ変形前の状態(ゼロ)に収束していくと思われるところ、変形前の状態には収束しない(図2参照)。本発明者らは、肌におけるこのような特異性に着目し、この特異性は、皮膚の構造、特に肌の角層、表皮、真皮、及び皮下組織を形成する細胞固体以外の成分に由来するものと考えた。そこで、本発明者らは、少なくとも、肌の角層、表皮、真皮、及び皮下組織を形成する細胞固体の成分は、クリープ回復時もクリープ変形時と同様の粘弾性応答を示すという仮説を立て、この仮説に基づいて実験を行うことで(実施例参照)、細胞固体の成分に対応する最小時定数を持つクリープ変形特性成分の極限値(k1)を用いてクリープ回復曲線を高精度に近似できることを見出した。
このとき、当該クリープ回復特性成分の数は、当該クリープ変形曲線の近似式に含まれるクリープ変形特性成分の数よりも少なくすることができる。クリープ回復ではクリープ変形よりも長時間の回復成分が少ないため、クリープ回復特性成分の数が少なくても十分な精度で近似式を算出することができるからである。クリープ回復特性成分の数を少なくすることで、計算量及び計算時間を削減することができる。
上述したように、クリープ変形特性成分の数は4つに設定されることが望ましいため、近似精度でみれば、クリープ回復特性成分の数は3つに設定されることが望ましい。
例えば、クリープ変形曲線の近似式において0.05秒、0.5秒、5秒、50秒の4つの時定数が用いられる場合には、クリープ回復曲線の近似式において0.05秒、0.5秒、5秒の3つの時定数が用いられる。
上述の各実施形態及び変形例に係る肌評価方法は、図4に例示される肌評価装置により実行可能である。
図4は、肌評価装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
肌評価装置10は、いわゆるコンピュータ(情報処理装置)であり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。肌評価装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。また、肌評価装置10は、図4に図示されないハードウェア要素を含んでもよく、そのハードウェア構成は制限されない。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置、印刷装置などの少なくとも一つである。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。また、通信ユニット14には、回転方式又は吸引方式の肌の粘弾性を測定する装置(粘弾性測定装置)が接続されてもよい。
また、肌評価装置10は、粘弾性測定装置自体であってもよい。
工程(S25)で算出するためのクリープ変形特性成分の数及び個々の時定数についても同様である。
また、工程(S13)又は工程(S27)で算出されるクリープ回復曲線の近似式のために、クリープ回復曲線の極限値が肌評価装置10外から取得される場合には、肌評価装置10は、当該極限値を他のコンピュータや可搬型記録媒体から取得してもよいし、入力装置16を介した入力により取得してもよい。
また、肌評価装置10は、工程(S13)、工程(S25)、又は工程(S27)で算出された近似式を用いて、角層、表皮、及び真皮を少なくとも含む複数層の各々についてそれぞれ弾性率を算出してもよい。
粘弾性測定は、Cutometerと呼ばれる吸引式の測定器を用いて、複数回行われ、その平均値が測定値として用いられた。
これら算出された各k1の値と、図5(a)、図5(b)及び図5(c)における測定値に基づくクリープ回復曲線の極限値とを比較すると、相互に近似していることがわかる。
これにより、クリープ回復曲線の極限値をクリープ変形曲線の近似式における最小時定数を持つクリープ変形特性成分の極限値で代替できることが実証されている。
なお、補正係数pは、図5(a)において「1.0」と設定され、図5(b)において「1.0」と設定され、図5(c)において「1.0」と設定された。
ところが、図5(b)及び図5(c)に示されるように、40代及び50代の被験者では、クリープ回復時において誤差が生じている。具体的には、近似式で得られる値よりも実際の肌の回復が遅れていることがわかる。
これは、図5で用いているクリープ回復曲線の近似式が、最小時定数(0.05)のクリープ回復特性成分、即ち瞬間的な回復成分のみで近似しているところ、このような成分に対応する細胞固体の弾性系成分が経年で減少しているためと考えられる。
従って、20代のような肌の細胞固体の弾性が大きい年代の肌については、一つのクリープ変形特性成分により十分な精度で近似できることが実証された。
図6において、クリープ変形曲線の近似式は図5と同様であり、クリープ回復曲線の近似式には、0.05秒、0.5秒、5秒の時定数を持つ3つのクリープ回復特性成分を用いて記述された以下の式が用いられた。以下の式におけるk1は、クリープ変形曲線の近似式における最小時定数(0.05)を持つクリープ変形特性成分の極限値を示し、m1、m2及びm3は、各クリープ回復特性成分の寄与係数を示し、pは、補正係数を示す。
即ち、図6により、時定数の異なる複数のクリープ回復特性成分の和で記述される近似式により、クリープ回復曲線を高精度に近似できることが実証されている。
第一試験では、20歳から49歳までの女性220人を被験者母集団として、各被験者の頬の肌に対して粘弾性測定が実施された。この粘弾性測定では、各被験者の肌を吸引径2mmのプローブを用いて吸引圧300mbarで2秒吸引し、開放後2秒間測定された。
第二試験では、31歳から34歳までの女性51人と51歳から54歳までの女性54人とを被験者母集団として、各被験者の頬の肌に対して粘弾性測定が実施された。この粘弾性測定では、各被験者の肌を吸引径2mmのプローブを用いて吸引圧300mbarで3秒吸引し、開放後3秒間測定された。
第一試験及び第二試験の結果、図7及び図8に示されるとおり、クリープ変形特性成分の極限値k1と既存の粘弾性パラメータR2(Ua/Uf)及びR6(Uv/Ue)とが高い相関を示し、最小時定数(0.05)のクリープ回復特性成分の寄与係数m1と既存の粘弾性パラメータR5(Ur/Ue)及びR7(Ur/Uf)とが高い相関を示した。
これにより、最小時定数のクリープ回復特性成分の寄与係数m1及び最小時定数のクリープ変形特性成分の極限値k1は、肌の粘弾性を示す新たな指標として用いることができることが実証された。
ここで、最小時定数のクリープ変形特性成分の極限値k1は、クリープ回復曲線の極限値に近似することが実証されているため、クリープ回復時の測定値から算出される極限値で代用可能である。また、寄与係数m1よりも精度は劣るものの、m1とk1と補正係数pとを掛け合わしてなる、最小時定数のクリープ回復特性成分の極限値も寄与係数m1の代わりに使用可能である。
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 出力装置
16 入力装置
18 肌評価プログラム
Claims (8)
- 被験者の肌に対する粘弾性測定の測定値を取得する測定値取得工程と、
前記取得された測定値に基づいて、時定数が互いに異なる一以上のクリープ回復特性成分を用いて記述される、クリープ回復の時間特性を示す回復曲線の近似式を算出する算出工程と、
前記算出された近似式を用いて、前記被験者の肌の粘弾性情報を生成する生成工程と、
を含む肌評価方法。 - 前記一以上のクリープ回復特性成分の前記時定数の各々は、クリープ回復の開始時点から各クリープ回復特性成分の極限値の{(1−e−1)×100}パーセント(eはネイピア数)に到達する時間であって、予め決められた時間にそれぞれ設定され、
前記算出工程では、前記測定値から得られるクリープ回復の開始値から前記一以上のクリープ回復特性成分を減じてなる前記回復曲線の近似式を算出し、
前記生成工程では、前記一以上のクリープ回復特性成分の少なくとも一つの前記極限値を用いて、前記粘弾性情報を生成する、
請求項1に記載の肌評価方法。 - 前記回復曲線の回復極限値を取得する回復情報取得工程、
を更に含み、
前記近似式は、複数の前記クリープ回復特性成分を用いて算出され、
前記各クリープ回復特性成分の前記極限値は、前記回復曲線の前記回復極限値と前記各クリープ回復特性成分の寄与係数との積で示され、
前記生成工程では、前記各クリープ回復特性成分の寄与係数の少なくとも一つ若しくは前記回復曲線の回復極限値、又はそれらの両方を用いて、前記粘弾性情報を生成する、
請求項2に記載の肌評価方法。 - 前記取得される回復極限値は、前記粘弾性測定におけるクリープ変形の測定値に基づいて算出された、時定数が互いに異なる複数のクリープ変形特性成分の和で記述される、クリープ変形の時間特性を示す変形曲線の近似式における最小時定数を持つクリープ変形特性成分の極限値であり、
前記各クリープ変形特性成分の前記時定数は、前記各クリープ変形特性成分の極限値の{(1−e−1)×100}パーセント(eはネイピア数)に到達する時間であって、予め決められた時間にそれぞれ設定される、
請求項3に記載の肌評価方法。 - 前記回復曲線の前記近似式に含まれる前記クリープ回復特性成分の数は、前記変形曲線の前記近似式に含まれる前記クリープ変形特性成分の数よりも少ない、
請求項4に記載の肌評価方法。 - 前記クリープ回復特性成分の前記時定数の値は、前記クリープ変形特性成分の前記時定数の値と共通である、
請求項5に記載の肌評価方法。 - 前記一以上のクリープ回復特性成分の前記時定数には、前記粘弾性測定において用いられる瞬間回復値(Ur)の測定時間よりも短い時間を少なくとも含む予め決められた時間が用いられる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の肌評価方法。 - 請求項1から7のいずれか一つに記載の肌評価方法を実行する肌評価装置。
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