JP6967206B2 - 認知機能障害疾患のバイオマーカー及び該バイオマーカーを用いる認知機能障害疾患の検出方法 - Google Patents

認知機能障害疾患のバイオマーカー及び該バイオマーカーを用いる認知機能障害疾患の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、軽度認知障害及びアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患の検出に用い得るペプチドであるバイオマーカー、並びに該バイオマーカーを用いた認知機能障害疾患の検出方法に関する。
生体の正常と正常以外の状態を呈する試料を用いてその差異を判別する手段としては、一般的には体外診断薬において用いられてきた技術が主たる従来技術である。体外診断薬のうち最も多いのが、血液中の成分をバイオマーカーとして分析することで診断検査を行うものである。本分野における従来技術では、血液中の単独の特定のタンパク質又は分子量1万以下のいわゆるペプチドの存在量、あるいは酵素タンパク質の場合は活性の測定を行って、正常(健常人)試料と疾患試料との明らかな差をもって診断の一助としてきた。すなわち、あらかじめ一定数の健常人と疾患患者由来の試料における単独もしくは複数の特定のタンパク質又はペプチドの量もしくは活性量を計測し、異常値と正常値の範囲を決め、評価する試料を同様の方法で測定し、異常値と正常値のどちらの範囲に属するかによって検査評価を行うものである。
具体的な計測方法としては、試料をそのまま、又はあらかじめ希釈しておき、単独又は複数の特定のタンパク質又はペプチドの量を、基質と反応させると発色する酵素によって標識された特異的1次抗体又は2次抗体を用いて、試料の発色量で計測する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA; Enzyme Linked Immmunosorbent Assay)や化学発光測定法(CLIA; ChemiLuminescent Immunoassay)と、1次抗体又は2次抗体に結合させたラジオアイソトープを用いて計測する放射性免疫測定法(RIA; RadioImmunoassay)、タンパク質が酵素の場合は直接基質を与えて産生物を発色等で計測する酵素活性測定法等がある。抗体を用いるこれらの方法を酵素もしくは蛍光もしくは放射性物質標識抗体法と呼ぶこととする。また酵素の基質分解産物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析する方法もある。またHPLCと質量分析装置を組み合わせたLC-MS/MS法並びにこれを用いたselected reaction monitoring(SRM)/multiple reaction monitoring(MRM)法もある。また、試料に適当な前処理を施した後、2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)を行ってタンパク質又はペプチドを分離した後、目的のタンパク質又はペプチドについて銀染色、クマシーブルー染色、あるいは対応する抗体を用いた免疫染色(ウエスタン・ブロッティング)を行って、試料中の濃度を測定する方法もある。また、生体試料をカラムクロマトグラフィーによって分画し、その画分に含まれるタンパク質とペプチドを質量分析によって分析する手法がある。またカラムクロマトグラフィーではなく、前処理としてプロテインチップを用いて質量分析する方法や、前処理として磁気ビーズを用いて質量分析する方法がある。
更に、発明者らはビーズ(磁気ビーズを含む)に対象となるタンパク質又はペプチドに対する抗体を結合させ、これにより測定したいタンパク質又はペプチドを捕捉したのち、ビーズから溶出して質量分析により測定するimmunoMS法を開発している。またインタクトなタンパク質の解析を目的としてトリプシン等で分解した後、上記の方法で質量分析まで行う方法も報告されている(特許文献1参照)。しかしいずれもインタクトなタンパク質の性質を利用して、そのまま分画し、又は特異的に吸着するタンパク質分子を選別して質量分析で解析するものである。
アルツハイマー病を主とする認知機能障害疾患は、我が国においても近年の高齢化に伴って急激に増加している。1995年に約130万人であったが、2005年には約190万人となり、2020年には約300万人に達すると予想されている。アルツハイマー病は認知機能障害疾患の60〜90%を占めると言われている。本疾患は患者の記憶を喪失させるのみでなく人格をも崩壊して患者の社会生活機能を喪失させてしまうことから、社会問題化しつつある。本邦においては1999年末に抗アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸Donepezilが認可を受け、早期に投与されれば高い確率で認知機能の低下を「遅らせる」ことができるようになった。アルツハイマー病においては、現状の治療法やこれから開発される治療薬効果をあげるためには早期に診断することが最重要の課題となっている。
米国精神医学会によるアルツハイマー病の主たる診断基準(DSM IV)を以下に示す。
A.多彩な認知欠損の発現で、以下の両方により明らかにされる。
(1)記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を想起する能力の障害)
(2)以下の認知障害の一つ又はそれ以上
a)失語(言語の障害)
b)失行(運動機能の障害がないにもかかわらず、動作を行う能力の障害)
c)失認(感覚機能の障害がないにもかかわらず、対象を認識又は同定する能力の障害)
d)実行能力(計画を立てる・組織化する・順序だてる・抽象化する)の障害
B.基準A(1)及びA(2)の認知欠損は、その各々が社会的又は職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しい低下を示す(非特許文献1)。
アルツハイマー病(Alzheimer disease)(AD)の関連疾患にはいろいろなものがある。AD等の認知症は徐々に認知機能の低下が出現するため、認知症の前駆状態と呼ぶべき状態が存在する。このような状態を軽度認知障害(mild cognitive impairment)(MCI)と呼んでいる。米国のデータでは物忘れ外来を受診したMCIのうち、1年に10〜15%、4年間でおよそ50%がADに移行するという。ADの前駆状態の大部分は健忘型MCIに含まれる。現在の定義によると、MCIは認知機能の低下に関する訴えが聞かれるが、基本的な日常生活には支障がない状態とされる。前頭側頭型認知症(FTD)は認知機能低下とともに周囲を気にせずわが道を行く行動が特徴的で、周囲に合わせようとするADと対照的である。FTDには大脳皮質に組織学的にPick球の存在を認めるPick病が含まれる。レビー小体型認知症(DLB)は、記憶障害が進行性であり幻視等の視覚認知障害があることを特徴としている。臨床症状からの診断では認知症の10〜30%がDLBであり、老年期の変性性認知症疾患ではアルツハイマー型認知症(AD)に次いで2番目に多いとされる。組織学的には大脳におけるレビー小体の存在を特徴とする。FTD及びDLBは認知症を認め痴呆型であるので痴呆型神経疾患とも呼ばれる(非特許文献1)。
本発明において、認知機能障害疾患と総称するとき、MCI、AD及び痴呆型神経疾患を含むものとする。
認知症の診断に広く用いられている検査は、改訂長谷川式知能評価スケール(HDS-R)とMMSE (Mini-Mental State Examination)で、被験者への問診を行い、その結果から判断するものである。HDSは1991年に改訂されてHDS-Rと称されるようになった。これは9項目の質問からなり、見当識、記銘力、計算能力、記憶・想起及び常識をテストするものである。30点満点で23点以下を認知症の疑いありとする。また、MMSEは痴呆の診断のために米国で考案されたもので、見当識、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力等をカバーする。30点満点で11の質問からなり、HDS-Rと同様に23点以下で認知症の疑いありとする。両テストの結果は割合によく一致するとされている。これらの問診法はあくまでスクリーニングの目的で用いられ、確定診断に至ることはないし、HDS-R、MMSEともに重症度分類に用いられることはない(非特許文献1)。
画像診断法としては、脳萎縮・脳溝脳室拡大等、脳の形態的異常を見るCT・MRIと脳血流量を見る脳血流シンチグラフィ(SPECT)及び酸素消費量・ブドウ糖消費量を見るポジトロン断層法(PET)がある。SPECT及びPETは核医学的方法で、形態的異常の起きる前に異常を検出することができるとされている(非特許文献1)。しかし、これらの画像診断は特殊な設備を必要とするため、すべての医療機関で実施することができないという欠点を有する。また画像を見る医師によって判断が異なることがあり、客観性に欠ける。
このようにADを含む認知症の診断は、客観性を欠く、かつ高価な装置の使用を前提とした方法に依存しているのが現状であり、疾患発見のためのスクリーニングは不可能である。ここに血液(血清、血漿を含む)のような容易に得られる患者の試料を用いて客観的診断を可能にするバイオマーカーが見出されるならば、スクリーニングを行うことによって、現在最重要の課題となっている認知機能障害疾患の早期発見が可能となる。本発明はそのような新規バイオマーカー及び該バイオマーカーを用いた認知機能障害疾患の検出方法を提供するものである。
特開2004−333274号公報 特開2006−308533号公報
中野今治、水澤英洋編集:よくわかるアルツハイマー病、2004、永井書店 N. Benkiraneら、J. Biol. Chem. Vol. 268, 26279-26285,1993
本発明は、非認知機能障害被験者(健常人を含み、何らかの疾患に罹患していてもよいが認知機能障害疾患を含む精神疾患に罹患していない認知機能障害被験者と年齢と性別をマッチさせた被験者non-demented control、以下、NDCと略称する)と認知機能障害疾患患者において存在の有無、存在量が異なるペプチドを用いて軽度認知障害及びアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出する方法を提供し、更に該ペプチドからなる軽度認知障害及びアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーの提供を目的とする。
本発明者らは、認知機能障害疾患を検出する方法について鋭意検討を行い、軽度認知障害及びアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出することができるペプチドを血清中に見出した。本発明において見出された該ペプチドは血清中のみならず、血液、血漿、脳脊髄液、尿等の他の生体試料中に検出される場合もバイオマーカーとして意義をもつものである。同時に、これらのペプチドの起源であるタンパク質(以下、インタクトタンパク質とも称する)もバイオマーカーとしての意義をもつ。
具体的には、本発明者らは、配列番号2で表されるアミノ酸配列(TATSEYQTFFNPR)からなるペプチドを認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーとして用い得ることを見出した。
本発明者らは、更に、これらのタンパク質やペプチドないしペプチド断片を2次元液体クロマトグラフィー(2D-LC) MALDI TOF-MS法(質量分析法)やimmunoMS法を用いることにより、一度に多数のタンパク質ないしペプチドないしペプチド断片を測定することに成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の態様は以下のとおりである。
[1] 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドである、認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカー。
[2] 前記認知機能障害疾患が、軽度認知障害又はアルツハイマー病である、[1]に記載の認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカー。
[3] 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
[4] 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体。
[5] 被験者から採取された生体試料中の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドを検出することを含む、認知機能障害疾患の検出方法。
[6] 前記検出は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体を用いて行う、[5]に記載の認知機能障害疾患の検出方法。
[7] 被験者から採取された生体試料中における、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドである認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの検出結果と、認知機能障害疾患に罹患していない正常者の生体試料中における前記バイオマーカーの検出結果とを比較することを含む、[5]又は[6]に記載の認知機能障害疾患の検出方法。
[8] 前記検出は、イムノ・ブロット法、ウエスタン・ブロット法、酵素もしくは蛍光もしくは放射性物質標識抗体法、質量分析法、immunoMS法、又は表面プラズモン共鳴法により行われる、[5]〜[7]のいずれかに記載の認知機能障害疾患の検出方法。
[9] 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドと特異的に結合する抗体又はアプタマーを含む、認知機能障害疾患検出用キット。
[10] 前記抗体は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体である、[9]に記載の認知機能障害疾患検出用キット。
本発明によれば、被験者由来の生体試料中の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドのバイオマーカーの存在又は量を計測することにより、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較して該バイオマーカーが出現又は増加する場合に、当該被験者は軽度認知障害ないしアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患に罹患していると診断することができる。
また、本発明は、精度及び特異性の両方が極めて高い診断システムを提供する。本発明によって血液のような生体試料について特定の検査方法がなかった認知機能障害疾患に対して精度の高い診断が可能になる。更に、本発明のバイオマーカーは、薬剤効果判定においても有用性が高い。
被験者の血清に検出されたMarker AのC18逆相クロマトグラフィー(2次元目)における質量ピークの保持時間(Retention Time)とm/zを示す図である。 Marker Aの場合の差異解析の結果をドットで示した図である。 Marker A (配列番号2 THRB)のROC曲線を示すグラフである。 TOF/TOF型質量分析計によるMS/MSスペクトル図である。
本発明は、被験者が認知機能障害疾患に罹患しているとき、被験者の生体試料中の配列番号2で表されるアミノ酸からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチド、又はそれらの量を検出すると同時に、それらの量の変動を測定することにより被験者が認知機能障害疾患に罹患しているかどうかを診断する方法である。
ここで、ペプチドは、一般的には分子量1万以下のアミノ酸が連結したものをいい、あるいはアミノ酸残基の数としては数個から50個以下程度のものをいう。本発明においては、ペプチドが由来するインタクトなタンパク質の部分ペプチドを認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るが、部分ペプチドという場合、インタクトなタンパク質の有するアミノ酸配列の一部の部分的アミノ酸配列を有するペプチドであって分子量1万以下のものをいう。本発明において、インタクトなタンパク質の部分ペプチドとは、インタクトなタンパク質の有するアミノ酸配列の一部の部分的アミノ酸配列を有するペプチドをいい、転写・翻訳による発現合成過程で部分ペプチドとして生成する場合と、インタクトなタンパク質として合成された後に、生体内で分解を受けて分解産物ペプチドとして生成する場合がある。この原因としては、生体が認知機能障害疾患等の正常以外の状態にあるときに、タンパク質の合成及び制御機構が脱制御されることが挙げられる。すなわち、本発明は、生体内のタンパク質の発現合成及び/又は分解を指標として被験者が正常状態であるか認知機能障害疾患に罹患しているかを判別し、また認知機能障害疾患に罹患している場合の疾患の進行度をも評価判別する方法でもある。本発明において、認知機能障害疾患の検出とは、被験者が認知機能障害疾患に罹患しているかどうかの評価判別、すなわち診断を行うことをいう。また、被験者がより重篤な認知機能障害に罹患するリスクの評価等も含み得る。
本発明の方法において、認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るインタクトなタンパク質として、具体的には、Prothrombin(配列番号1)が挙げられ、これらのインタクトなタンパク質の部分ペプチドであるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片も同じ目的に用い得る。
また、認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドである。
ここで、本発明においては、上記インタクトなタンパク質及びペプチドをマーカーとして用いるが、これらのアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加したアミノ酸配列からなるタンパク質及びペプチドも含み、これらのタンパク質又はペプチドも本発明の方法においてバイオマーカーとして用いることができる。
ここで、「1個から数個」とは「1個から3個」、「1個又は2個」又は「1個」をいう。
更に、認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るこれらのペプチドとして、配列番号1又は配列番号2で表されるアミノ酸配列から生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片も含まれる。ペプチド断片についてアミノ酸残基5個以上とした理由は、非特許文献2の以下の記載による。すなわち、ヒストンH3のC端(130〜135)のアミノ酸残基配列IRGERAについてRをKに置換したペプチド及びIRを欠失させ、代わりにCGGをGERAに結合させたペプチドCGGGERAがペプチドIRGERAを免疫原として得た抗体によって認識されたとの報告である。これは、抗原性の認識が4個以上のアミノ酸残基からなるペプチドによってなされることを示している。本発明では、ヒストンH3のC端以外にも一般性を持たせるために、残基数を1つ増やして、5個以上としたが、このような低分子のペプチドをも対象とすることは、イムノ・ブロット法、ELISA法、immunoMS法等のような免疫学的手法を用いて検出並びに分別する方法を用いるときに重要である。
なお、インタクトなタンパク質又はペプチドに糖鎖が付加されることがある。これらの糖鎖が付加したタンパク質及びペプチドも認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得る。
また、本発明において、バイオマーカーを定量してもよいし、定性により存在、非存在を決定してもよい。
本発明で血清等の生体試料中のバイオマーカーを分離する方法としては、2次元電気泳動あるいは2次元クロマトグラフィーを用い得る。この場合の2種類のクロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等の公知のクロマトグラフィーから選択すればよい。またLC-MS/MS法を用いたSRM/MRM法で定量することもできる。更に、発明者が開発したビーズ(磁気ビーズを含む)に対象となるタンパク質又はペプチドに対する抗体を結合させ、これにより測定したいタンパク質又はペプチドを捕捉したのち、ビーズから溶出して質量分析により測定するimmunoMS法を用いれば、2次元電気泳動あるいはクロマトグラフィーを用いることなく、簡便に目的のタンパク質、タンパク質断片、ペプチドの有無あるいは量を評価することができる。
本発明の方法によれば、被験者の認知機能障害が軽度の段階で評価することができ、予防医学にも有用である。更に、認知機能障害疾患に罹患した患者に心理療法や薬物療法を行った場合、障害の進行が抑制されるならば、血清等の生体試料中のタンパク質/ペプチドの量にも反映される。これを測定することにより、治療効果の評価と判定を行うこともできる。
生体試料中のタンパク質の種類及び量は種々の方法で測定することができる。対象となるタンパク質(タンパク質断片及びペプチドを含む)が特定されていて、それに対する抗体(1次抗体)が得られている場合は、以下の方法を用いることができる。
なお、抗体は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、又はこれらの部分ペプチドを含むペプチド(例えば配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド)を、抗体産生動物(例えば、ウサギ、マウス)に免疫し、精製することにより、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を作製することができる。
1.イムノ・ブロット法
最も単純な方法である。数段階に希釈した被験血清を用意し、その一定量(1マイクロリットル前後)をニトロセルローズ・メンブレン等の適当なメンブレンに滴下し、風乾する。BSA等のタンパク質又はペプチドを含むブロッキング溶液で処理した後、洗浄し、1次抗体を反応させ、洗浄後1次抗体を検出するための標識された2次抗体を反応させる。メンブレンを洗浄後、標識を可視化して濃度を測定する。
2.ウエスタン・ブロット法
等電点ないしSDS-PAGEを含む1次元ないし2次元ゲル電気泳動を行った後で、分離されたタンパク質又はペプチドを一旦、PVDFメンブレン等の適当なメンブレンに転写し、1次抗体と標識された2次抗体を用いて上述のイムノ・ブロット法と同様に操作して、目的のタンパク質の存在量を測定する。
3.ELISA法
タンパク質又はその部分ペプチドに対する抗体をあらかじめ特殊な化学修飾をしたマイクロタイタープレート等の担体に結合させ、試料を段階希釈後、抗体を結合させたマイクロタイタープレートにこれを適当量加えてインキュベーションする。その後洗浄し、捕捉されなかったタンパク質及びペプチドを除く。次に蛍光もしくは化学発光物質又は酵素を結合させた2次抗体を加えインキュベーションする。検出はそれぞれの基質を加えた後、蛍光もしくは化学発光物質又は酵素反応による可視光を計測することによって評価判定を行う。抗体の代わりにタンパク質又はペプチドに結合し得る物質を用いてもよい。例えば、アプタマー等を用いることができる。
更に以下に方法(特許文献2参照)を例示するが、それらには限定されない。
4.マイクロアレイ(マイクロチップ)を用いた方法
マイクロアレイとは、担体(基板)上に測定しようとする物質に結合し得る物質を整列(アレイ)固定化させたデバイスを総称していう。本発明の場合、タンパク質及びペプチドに対する抗体又はアプタマーを整列固定化させて用いればよい。測定は、固相化した抗体等に、生体試料を添加し、マイクロアレイ上に測定しようとするタンパク質又はペプチドを結合させ、次に蛍光もしくは化学発光物質又は酵素を結合させた2次抗体を加えインキュベーションする。検出はそれぞれの基質を加えた後、蛍光もしくは化学発光物質又は酵素反応による可視光を計測すればよい。
5.質量分析法
質量分析法においては、例えば、特定のタンパク質とペプチドに対する抗体をあらかじめ特殊な化学修飾をしたマイクロビーズもしくは基板(プロテインチップ)に結合させる。マイクロビーズは磁気ビーズであってもよい。基板の素材は問わない。使用する抗体は(1)特定のタンパク質の完全長のみを認識する抗体、(2)特定のペプチドのみを認識する抗体、(3)特定のタンパク質とペプチドの両方を認識する抗体のすべて、又は上記(1)と(2)、(1)と(3)、もしくは(2)と(3)の組み合わせでもよい。試料を原液又は緩衝液で段階希釈後、抗体を結合させたマイクロビーズ又は基板にこれを適当量加え、インキュベーションする。その後洗浄し、捕捉されなかったタンパク質及びペプチドを除く。その後、マイクロビーズ又は基板上に捕捉されたタンパク質及びペプチドをMALDI-TOF-MS、SELDI-TOF-MS等を用いた質量分析によって分析し、タンパク質、タンパク質断片及びペプチドのピークの質量数とピーク強度を計測する。適当な内部標準物質をもとの生体試料に一定量加えておき、そのピーク強度を測定して、対象となる物質のピーク強度との比を求めることにより、もとの生体試料中の濃度を知ることができる。この方法をimmunoMS法という。また試料を原液又は緩衝液で希釈又は一部のタンパク質を除去した後、HPLCで分離、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いた質量分析によって定量することができる。その際に、同位体標識した内部標準ペプチドを用いたSRM/MRM法による絶対定量によって試料中の濃度を知ることができる。
更に、上記の方法の他、2次元電気泳動を用いた方法、表面プラズモン共鳴を用いた方法等によっても、タンパク質及びペプチドを解析することが可能である。
本発明は、被験者から採取した生体試料を2次元電気泳動ないし表面プラズモン共鳴法に供し、前記バイオマーカーの有無ないし量を指標に認知機能障害疾患を検出する方法をも包含する。
上記方法において、本発明に係る配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドと、他の認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーとを、適宜1つ又は2つ以上組み合わせて測定してもよい。他の認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーは、例えば、国際公開2010/134308号パンフレット、国際公開第2012/086197号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
これらのパンフレットに記載されたバイオマーカーのうち、組み合わせに特に好ましいバイオマーカーは、以下のものである:
・Neurexin-2-beta precursor由来ペプチドNRX2B
アミノ酸配列:RSGGNATLQVDSWP (配列番号4)
・Prothrombin precursor由来ペプチドTHRB(R-)
アミノ酸配列:GLDEDSDRAIEG (配列番号5)
・Prothrombin precursor由来ペプチドTHRB(R+)
アミノ酸配列:GLDEDSDRAIEGR (配列番号6)
・Pendrin由来ペプチドS26A4
アミノ酸配列:LAGLIFGLLTVVLR (配列番号7)
・Coatomer subunit zeta-1由来ペプチドCOPZ1
アミノ酸配列:AILILDNDGDRLFAKYYDD (配列番号8)
・Retinoic acid receptor responder protein 2 precursor由来ペプチドRARR2(S-)
アミノ酸配列:PHSFYFPGQFAFSKALPR (配列番号9)
・Retinoic acid receptor responder protein 2 precursor由来ペプチドRARR2(S+)
アミノ酸配列:PHSFYFPGQFAFSKALPRS (配列番号10)
・Gelsolin precursor由来ペプチドGELS
アミノ酸配列:PVRAATASRGAS (配列番号11)
・Clusterin precursor由来ペプチドCLUS(N-term SDVP)
アミノ酸配列:SDVPSGVTEVVVKLFDS (配列番号12)
・Clusterin precursor由来ペプチドCLUS(N-term RFFT)
アミノ酸配列:RFFTREPQDTYHYLPFSLPH (配列番号13)
・Eukaryotic translation initiation factor 3 subunit J由来ペプチドEIF3J
アミノ酸配列:GVVPGGGLKATMKDDLADYGGYDGG + Oxidation (M) (配列番号14)
・Leucine-rich repeat-containing protein 27由来ペプチドLRC27
アミノ酸配列:SSPILDLSESGLCRLEEVFRIPS (配列番号15)
・Complement C3由来ペプチド CO3
アミノ酸配列:APVIHQEMIGGLRN (配列番号16)
・Transcription factor AP-2 gamma由来ペプチド AP2C
アミノ酸配列:PGRQSQEGAGLPSHHG (配列番号17)
・Synapsin-3由来ペプチド SYN3
アミノ酸配列:EMFGGLDICAVKAVHSK (配列番号18)
・Oxytocin receptor由来ペプチド OXYR
アミノ酸配列:AAPPGAEGNRT (配列番号19)
・Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチド ITH5L
アミノ酸配列:RVSLFSLAFGDDAD (配列番号20)
・E3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチド HERC2
アミノ酸配列:KLAELPAAAQPSAEDSD (配列番号21)
・Prothrombin由来ペプチド THRB
アミノ酸配列:TATSEYQTFFNPRTFGSGEAD (配列番号22)
・Transthyretin由来ペプチド TTHY
アミノ酸配列:AVRGSPAINVAVHVFRKAAD (配列番号23)
・Tumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチド TNR16
アミノ酸配列:QTASGQALKGDGGLYS (配列番号24)
・Complement C4由来ペプチド CO4-1
アミノ酸配列:NGFKSHALQLNNRQIR (配列番号25)
・Complement C4由来ペプチド CO4-2
アミノ酸配列:APLQPVTPLQLFEGRRN (配列番号26)
・Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-1
アミノ酸配列:SSSYSKQFTSSTSYNRGDSTFES (配列番号27)
・Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-2
アミノ酸配列:SSSYSKQFTSSTSYNRGDSTFESKS (配列番号28)
・Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-3
アミノ酸配列:SSSYSKQFTSSTSYNRGDSTFESKSY (配列番号29)
また、本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドと特異的に結合する抗体又はアプタマーを含む、認知機能障害疾患検出用キットを提供する。
更に、本発明に係る技術は、上述した生体試料中のバイオマーカーを検出することができる装置(例えば、検出装置、測定装置、解析装置等)をも含む。当該本技術の装置は、抗体又はアプタマー固定部(捕捉部)及び測定部を備えるのが望ましい。抗体又はアプタマー固定部は、抗体又はアプタマーを固定化したスライドガラス、96ウェルタイタープレート等の固相担体を有するものであるのが好適である。また、測定部には、分光光度計、蛍光分光計等の検出対象に対応する光検出手段を設けるのが好適である。
更に、本技術の装置は、得られたデータを解析する解析部を含んでもよく、解析部はデータ処理装置及び解析用ソフトウェアを含むのが好適である。
更に、本開示の装置に備えられるCPU等を含む制御部又はこれに接続可能なシステム(例えば、パーソナルコンピュータ、コンピュータ・ネットワークシステム等)には、上述した本技術の認知機能障害疾患の検出、診断等の方法を実行可能なプログラム又はこのプログラムを格納した記憶部若しくはシステム等が設けられている。
本発明によれば、被験者の認知機能障害を判定することができる。更に、本技術によれば、被験者の認知機能障害が軽度の段階で評価することもでき、予防医学にも有用である。更に、認知機能障害疾患に罹患した患者に心理療法や薬物療法を行った場合、障害の進行が抑制されるならば、血清等の生体試料中のタンパク質/ペプチドの量にも反映される。これを測定することにより、治療効果の評価と判定を行うこともでき、創薬ターゲット生体分子についてスクリーニングを行うこともできる。
本技術は、以下の構成を採用することもできる。
[1] 認知機能障害疾患を診断又は診断を補助し、治療する方法であって、
a.被験者から生体試料を採取すること、
b.抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドを免疫することにより製造された抗体、
抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫することにより製造された抗体、又は
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドと特異的に結合するアプタマー
を、前記生体試料に接触させて、前記生体試料中における配列番号2で表される認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在を検出すること、
c.前記生体試料中における配列番号2で表される認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在が検出されたときに、認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断すること、
d.前記認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断された被験者に抗アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を投与すること
を含む、方法。
[2] 前記認知機能障害疾患は、軽度認知障害又はアルツハイマー病である、[1]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法。
[3] 前記生体試料は、血液、血漿又は血清である、[1]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法。
[4] 認知機能障害疾患を診断又は診断を補助し、治療する方法であって、
a.被験者から生体試料を採取すること、
b.抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドを免疫することにより製造された抗体、
抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫することにより製造された抗体、又は
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドと特異的に結合するアプタマー
を、前記生体試料に接触させて、前記生体試料中における配列番号2で表される認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーを測定すること、
c.認知機能障害疾患に罹患していない人から採取された生体試料の、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドからなる前記認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在量と比較して、前記被験者から採取された生体試料中の前記認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在量が多い場合に、認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断すること、及び
d.前記認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断された被験者に抗アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を投与すること
を含む、方法。
[5] 前記認知機能障害疾患は、軽度認知障害又はアルツハイマー病である、[4]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助し、治療する方法。
[6] 前記生体試料は、血液、血漿又は血清である、[4]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助し、治療する方法。
[7] 認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法であって、
a.被験者から生体試料を採取すること、
b.抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドを免疫することにより製造された抗体、
抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫することにより製造された抗体、又は
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドと特異的に結合するアプタマー
を、前記生体試料に接触させて、前記生体試料中における配列番号2で表される認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在を検出すること、
c.前記生体試料中における配列番号2で表される認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在が検出されたときに、認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断すること
を含む、方法。
[8] 前記認知機能障害疾患は、軽度認知障害又はアルツハイマー病である、[7]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法。
[9] 前記生体試料は、血液、血漿又は血清である、[7]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法。
[10] 認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法であって、
a.被験者から生体試料を採取すること、
b.抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドを免疫することにより製造された抗体、
抗体産生動物(例えば、マウス、ウサギ)に、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを免疫することにより製造された抗体、又は
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド若しくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドと特異的に結合するアプタマー
を、前記生体試料に接触させて、前記生体試料中における配列番号2で表される認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーを測定すること、
c.認知機能障害疾患に罹患していない人から採取された生体試料の、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド又は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの1〜3個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたペプチドからなる前記認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在量と比較して、前記被験者から採取された生体試料中の前記認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーの存在量が多い場合に、認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断すること
を含む、方法。
[11] 前記認知機能障害疾患は、軽度認知障害又はアルツハイマー病である、[10]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法。
[12] 前記生体試料は、血液、血漿又は血清である、[10]に記載の認知機能障害疾患を診断又は診断を補助する方法。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<2次元液体クロマトグラフィー−質量分析(2D-LC MALDI TOF-MS)による認知機能障害疾患診断マーカーペプチドの探索>
(1)血清試料
AD(アルツハイマー病)20例、MCI(軽度認知障害)20例、NDC(AD患者と年齢・性別をマッチさせた、認知機能が正常な被験者。non-demented concontrol)20例、及びODD(その他の認知症患者。Other demented disease)10例の血清試料を用いた。更に、ODDはレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症各10例の血清試料を用いた。
(2)方法
血清25 μlの各々に475 μlの0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を加え、100℃で15分間煮沸した。その後、分子量1万以下のペプチドを回収するためにミリポア社YM-10を用いて限外ろ過を行った。
次に以下のように、2D-LC MALDI TOF-MS法による分析を行った。すなわち、限外ろ過で回収されたサンプルを2次元HPLC(1次元目SCX陽イオン交換並びに2次元目C18逆相カラム)を用いて1サンプルあたり合計382に分画した。SCX陽イオン交換カラムでは2つの画分に分画した。すなわち、SCX 1は素通り画分、SCX 2は塩濃度100%で溶出した画分である。
SCXで分画された2つの画分はそれぞれC18逆相カラムクロマトグラフィーにより191の画分に分画した。1画分は6秒で溶出し、保持時間(Retention Time)は溶出済み画分数−1に6秒を乗じて求められた。
すべてのサンプルはオンラインで接続されたスポッティングロボット(AccuSpot, SHIMADZU)を用いてMALDI TOF/TOF型質量分析計(ultraflex TOF/TOF, BRUKER DALTONICS)用のMALDIターゲットプレート(MTP AnchorChip(TM) 600/384 plate(BRUKER DALTONICS))上のウエルにマトリックス溶液(α-シアノ-ヒドロキシケイ皮酸, α-CHCA)と混合しながらスポットし共結晶化した。
ultraflex TOF/TOFに装着後した後、レーザーを照射しリフレクトロンモードで質量並びにその質量におけるピーク面積(以下に述べる正規化プロセスを含む)を自動測定した。ピーク面積はマトリックス溶液に予め加えられた各ウエル当り250fmoleのbradykinin 1-7で正規化し、Area値とした。すなわち、サンプルの特定の質量におけるピーク面積をbradykinin 1-7から得られるピーク面積で割った値をArea値とした。このArea値はサンプル血清25μlに対応する。
群間で血清中の存在量に差のあるペプチドの検出(差異解析)は、我々が開発した多群間統計解析ソフトウェアであるDeView(TM)(MCBI)を用いて行った。
存在量に差の認められたペプチドは、そのままultraflex TOF/TOFでMS/MSにてアミノ酸配列を決定し、その起源であるインタクトタンパク質又はペプチドを同定した。
(3)結果
以下に、個々の被験者の血清を2D-LC MALDI TOF-MSに供して得られたデータについてDeViewソフトウェアで差異解析を行った結果を示す。
図1は、1次元目のSCX陽イオン交換カラムで2つの画分に分画したもののうち、最初に分画される画分(SCX 1)を2次元目にC18逆相カラムで191の画分に分画した画分をMALDI TOF-MSで測定したスペクトルについて、横軸は単位荷電当たりの質量(m/z)を、縦軸は2次元目の逆相カラムクロマトグラフィーの分画数(Fraction)で表した図である。
図中の点はそれぞれ個々の被験者に由来するTOF-MSのピークであり、点が集合している部分は誤差範囲内で同一m/zかつ同一分画数の1個のペプチドに由来するピークと規定し、これをクラスターとして示している。図1の(A)で示された長方形内の点の集合はMarker Aのクラスターである。
なお、クラスター内の点は誤差範囲内で同一m/zかつ同一保持時間にあるとみなすことができ、同一ペプチドに由来すると規定される。
図2は、Marker Aの差異解析の結果を示す。Marker Aは図4のMS/MS解析の結果得られたアミノ酸配列に示すように、Prothrombin由来ペプチドTHRBである。図2(A)は認知機能が正常な被験者(NDC)、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー型認知症患者(AD)間の比較、(B)はNDC、AD、その他の認知症患者(ODD)間の比較である。
Marker Aは後に図4に示すように、Prothrombin由来ペプチドTHRBである。図2(A)はNDC、MCI、AD間の比較、(B)はNDC、AD、ODD間の比較である。(A)と(B)はそれぞれ別の実験の結果で、NDC及びADについては両実験で同じサンプルが用いられた(すなわち、NDC及びADについては測定結果の再現性を示していることになる)。
図2の(A)では、NDCよりMCIとAD患者においてMarker Aが統計学的に有意な増加を示していた(t-検定でp < 0.05)。
図2の(B)では、NDCよりADとODDにおいてMarker Aが有意に増加していることが分かった。
図2の結果から、Marker Aがバイオマーカーとしてどの程度に有用であるかを評価するために受信者操作特性曲線(receiver operating characteristic curve, ROC曲線)による分析を行った。
図3の(A)、(B)は、それぞれNDC対AD、NDC対MCIの比較におけるROC曲線である。
ROC曲線の下部の面積値(AUC of ROC)(以下、AUC値という)が1に近いほどバイオマーカーとしての有用性が高くなる。
感度(sensitivity)と特異度(specificity)の代表的な値は図3の(A)、(B)においてy軸上の100%の点からROC曲線に直線を引いたとき、その距離が最小となるROC曲線上の点の座標(図中のopen square)の値である。この点を与えるcutoff値が異なる群の間の分別に有用な閾値となり、そのときの感度と特異度(すなわち上述の代表的な値)がAUC値とともにバイオマーカーの有用性の指標となる。
図3の(A)では、NDC対ADにおいて代表的な値としての感度(sensitivity)が100%、特異度(specificity)が100%、AUC値が1.0であり、(B)ではNDC対MCIにおいて代表的な値としての感度(sensitivity)が90%、特異度(specificity)が100%、AUC値が0.95であった。
以上の結果から、Marker AはAD患者及びMCI患者を認知機能が正常な被験者(NDC)と区別するのに有用であることが分かった。また、NDCとその他の認知症(ODD)と区別する上でも有用性があることが明らかとなった。
特に、MCIはADの前段階であることから、ADに移行する可能性がある被験者を早期に診断、検出するマーカーとしてMarker A(THRB)はきわめて有用と考えられる。
図4は、Marker Aについて、ultraflex TOF/TOF型質量分析計でMS/MS解析した結果を示す。図4上部にTHRBのアミノ酸配列と、MS/MSスペクトルで現れるbイオンとyイオンを示した。
y-ion、b-ion、a-ionを示すシグナルが十分に現れており、アミノ酸配列が容易に決定できた。この結果についてMascotによる検索を行い、その起源であるタンパク質又はペプチド(以下、インタクトタンパク質又はペプチドという)がProthrombin precursorと同定され、検出されたペプチドがこのタンパク質に由来するアミノ酸配列TATSEYQTFFNPRであることが明らかとなった。検出されたペプチドについてはUniProtのEntry NameであるTHRBをペプチド名の略称として用いる。
以下にTHRBの2つのアミノ酸配列のセットを示しているが、1番目の配列はTHRBのインタクトタンパク質のアミノ酸配列であり、2番目の配列は検出されたペプチドの配列である。1番目の配列の下線部が検出されたペプチドの配列に対応している。配列中の(0001)から始まるアミノ酸配列はN末端側であることを表わす。
〔1〕 Prothrombin由来ペプチド THRB
配列番号2のTHRBのArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、ODD)のほうが統計学的に有意に高値を示しており(t−検定、p<0.05)(図2)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と認知機能が正常な被験者(NDC)とを区別する上で配列番号2のTHRBは有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、AD及びMCI患者と認知機能が正常な被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(図3)。
〔インタクトタンパク質/ペプチド〕
0001 ANTFLEEVRK GNLERECVEE TCSYEEAFEA LESSTATDVF WAKYTACETA
0051 RTPRDKLAAC LEGNCAEGLG TNYRGHVNIT RSGIECQLWR SRYPHKPEIN
0101 STTHPGADLQ ENFCRNPDSS TTGPWCYTTD PTVRRQECSI PVCGQDQVTV
0151 AMTPRSEGSS VNLSPPLEQC VPDRGQQYQG RLAVTTHGLP CLAWASAQAK
0201 ALSKHQDFNS AVQLVENFCR NPDGDEEGVW CYVAGKPGDF GYCDLNYCEE
0251 AVEEETGDGL DEDSDRAIEG RTATSEYQTF FNPRTFGSGE ADCGLRPLFE
0301 KKSLEDKTER ELLESYIDGR IVEGSDAEIG MSPWQVMLFR KSPQELLCGA
0351 SLISDRWVLT AAHCLLYPPW DKNFTENDLL VRIGKHSRTR YERNIEKISM
0401 LEKIYIHPRY NWRENLDRDI ALMKLKKPVA FSDYIHPVCL PDRETAASLL
0451 QAGYKGRVTG WGNLKETWTA NVGKGQPSVL QVVNLPIVER PVCKDSTRIR
0501 ITDNMFCAGY KPDEGKRGDA CEGDSGGPFV MKSPFNNRWY QMGIVSWGEG
0551 CDRDGKYGFY THVFRLKKWI QKVIDQFGE (配列番号1)
〔Prothrombin由来ペプチド THRB〕
TATSEYQTFF NPR (配列番号2)
以上、配列番号2のTHRBは認知機能障害疾患を検出するバイオマーカーとして有用であることが示された。液体クロマトグラフィー及び/又は他の適当な分離手段を用いて、あるいは用いないで直接、血清中の存在量を質量分析又は免疫学的あるいは酵素学的方法等の他の方法によって測定することにより、AD、MCIのような認知機能障害疾患を診断上区別することが可能である。
<THRBマーカーペプチド特異モノクローナル抗体作製>
配列番号2のProthrombin precursor由来ペプチドTHRBを認識する特異抗体を作製するために抗原ペプチドを合成した。合成ペプチドにはキャリアタンパク質と結合させるために、C末端にシステイン残基を付加した。
キャリアタンパク質と結合させたペプチド(TATSEYQTC-KLH、下記参照)とアジュバントを混合し、マウスに免疫した。約2週間後に追加免疫し、3週間後に腸骨リンパ節よりリンパ球単離し、ミエローマとの細胞融合を行い、ハイブリドーマ培養を開始した。
培養上清をエンザイムイムノアッセイ法(EIA法)で測定し、陽性を示すハイブリドーマを選択して、シングルクローン化を行った。シングルクローン化したハイブリドーマを大量培養し、特異抗体をProtein Gカラムを用いて精製を行った。
特異抗体を作製するための合成抗原ペプチドの配列を下に示す。下線部のC末端のシステイン残基(C)はキャリアタンパク質と結合させるために付加した。
〔合成抗原ペプチド〕
TATSEYQTC (配列番号3)
本発明において開示されたバイオマーカーを用いて、軽度認知障害及びアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出できるので、診断薬を含む診断分野における用途に適用できる。

Claims (10)

  1. 認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカーが、被験者から採取された生体試料中の、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、
    前記バイオマーカーは、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる抗原ペプチドから作製された抗体を前記生体試料に接触させ、当該抗体と特異的に結合することで存在が検出されるバイオマーカーである、
    認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカー。
  2. 前記バイオマーカーは、前記バイオマーカーの検出結果が、認知機能障害疾患に罹患していない正常者の生体試料中における前記バイオマーカーの検出結果と比較して、増加する場合に、認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断するのを補助するためのバイオマーカーである、請求項1に記載の認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカー。
  3. 前記認知機能障害疾患が、軽度認知障害又はアルツハイマー病である、請求項1又は2に記載の認知機能障害疾患を検出するためのバイオマーカー。
  4. 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
  5. 配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体。
  6. 被験者から採取された生体試料中における、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーとして検出すること、を含み、
    前記バイオマーカーは、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる抗原ペプチドから作製された抗体を前記生体試料に接触させ、当該抗体と特異的に結合することで存在が検出されるバイオマーカーであり、
    前記バイオマーカーは、前記バイオマーカーの検出結果が、認知機能障害疾患に罹患していない正常者の生体試料中における前記バイオマーカーの検出結果と比較して、増加する場合に、認知機能障害疾患に罹患している又はその可能性が高いと診断するのを補助するためのバイオマーカーである、
    認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーの検出方法。
  7. 前記検出は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体を用いて行う、請求項6に記載の認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーの検出方法。
  8. 前記検出は、イムノ・ブロット法、ウエスタン・ブロット法、酵素もしくは蛍光もしくは放射性物質標識抗体法、質量分析法、immunoMS法、又は表面プラズモン共鳴法により行われる、請求項6又は7に記載の認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーの検出方法。
  9. 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドと特異的に結合する配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる抗原ペプチドから作製された抗体を含む、認知機能障害疾患検出用キット。
  10. 前記抗体は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体である、請求項9に記載の認知機能障害疾患検出用キット。
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