以下、添付図面を参照して、実施形態に係る放送受信装置および放送受信方法を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
また、以下では、IBOC(In Band On Channel)方式で放送される同一の放送内容を含むデジタル放送とアナログ放送とを同時に受信する放送受信装置および放送受信方法について説明する。
まず、実施形態に係る放送受信方法の概要について図1を用いて説明する。図1は、放送受信方法の概要を示す図である。かかる放送受信方法は、図2にて後述する放送受信装置によって実行される。
なお、ここでは、デジタル放送を出力中に、アナログ放送へ放送が切り替わる場合を例に挙げて説明する。また、図1のAは、アナログ放送の信号(以下、「アナログ放送信号」という)の受信電界強度(以下、「Sレベル」という)を示す。なお、かかるSレベルは、アナログ放送信号の受信状態を表す指標であり、実施形態に係る放送受信方法では、Sレベル以外にもマルチパスレベルや混信レベルなどその他の指標を用いることもできる。
図1のBは、放送の切り替わりを予測するフラグを示す。なお、実施形態に係る放送受信方法では、デジタル放送の信号(以下、「デジタル放送信号」という)の受信状態に基づいてかかる放送の切り替わりを予測することができる。この点の詳細については、図3を用いて後述する。
図1のCは、出力中の音声がデジタル放送またはアナログ放送のどちらであるかを示す。また、図1のDは、アナログ放送の音響特性を示し、図1のEは、デジタル放送の音響特性を示す。そして、図1のFは、出力中の音響特性を示す。
なお、実施形態に係る放送受信方法では、音圧/帯域幅、ハイカット処理/ステレオセパレーション等を制御することでデジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御することができる。
ここで、IBOCでは、アナログ放送とデジタル放送との放送内容が同一であるが、音響特性に違いがある。具体的には、アナログ放送は受信状態によって音声にノイズが混入しやすい場合がある。このため、上述した受信状態を表す指標(Sレベル、マルチパスレベル、混信レベル等)に基づいてアナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を行うのが一般的である。
このため、アナログ放送の音響特性は、デジタル放送の音響特性に比べて、音圧などが低下する。したがって、従来の放送受信装置では、放送が切り替わる場合に、放送の切り替わりの前後で音質が変化し、ユーザへ聴覚上の違和感を与えてしまうおそれがあった。
そこで、実施形態に係る放送受信方法では、放送が切り替わる場合に、アナログ放送の音響特性に対するノイズの抑制処理を敢えて中止することで、放送の切り替わりにおける音質の変化を低減することとした。
具体的には、実施形態に係る放送受信方法では、デジタル放送からアナログ放送へ放送の切り替わりを予測した時刻t3において図1のDに示すように、アナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を中止する。これにより、アナログ放送の音響特性をデジタル放送の音響特性へ近づけることができる。
また、実施形態に係る放送受信方法では、放送が切り替わると予測した時刻t3において図1のEに示すように、デジタル放送の音響特性をアナログ放送の音響特性へ近づける処理を開始する。
そして、実際にデジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わる時刻t4において、図1のDに示すように、アナログ放送の音響特性に対するノイズの抑制処理を再開する。これにより、出力中のアナログ放送の音響に対するノイズの混入を抑制することができる。
ここで、実施形態に係る放送受信方法では、時刻t4においてデジタル放送の音響特性と、アナログ放送の音響特性が一致するように、デジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御する。
また、実施形態に係る放送受信方法では、時刻t3〜t4の期間におけるデジタル放送の音響特性と、時刻t4以降のアナログ放送の音響特性との変化率が一致するように、デジタル放送の音響特性およびアナログ放送の音響特性を制御する。
換言すると、実施形態に係る放送受信方法では、図1のEに示す時刻t3〜t4の期間におけるデジタル放送の音響特性の傾きと、図1のDに示す時刻t4〜t5の期間におけるアナログ放送の音響特性の傾きが一致するように、デジタル放送の音響特性およびアナログ放送の音響特性をそれぞれ制御する。
これにより、図1のFに示すように、放送が切り替わる時刻t4前後においてデジタル放送の音響特性からアナログ放送の音響特性へ滑らかに音質を切り替えることができる。
また、実施形態に係る放送受信方法では、デジタル放送の音響特性と、アナログ放送の音響特性を連動させて制御することにより、時刻t2〜時刻t5までの長い期間をかけてデジタル放送の音響特性からアナログ放送の音響特性へ徐々に切り替えることが可能となる。すなわち、単位時間当たりの音質の変化を少なくすることができる。
したがって、実施形態に係る放送受信方法によれば、放送の切り替わりにおける音質の変化を低減することができる。
次に、図2を用いて実施形態に係る放送受信装置1の構成について説明する。図2は、放送受信装置1のブロック図である。なお、図2には、アンテナ100およびスピーカ101を併せて示す。なお、かかる放送受信装置1は、例えば、車両などの移動体に搭載される。
図2に示すように、実施形態に係る放送受信装置1は、受信部11と、アナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という)12と、アナログ復調部13と、抑制部14と、デジタル復調部15と、調整部16と、Sレベル検知部17と、予測部18と、ブレンド部19とを備える。
受信部11は、IBOC方式により所定の周波数帯域内で放送されている放送内容が同一のデジタル放送およびアナログ放送をアンテナ100によって受信する。
具体的には、受信部11は、ユーザにより図示しない操作部によって選択された放送チャンネルの周波数帯域で放送されている放送信号をアンテナ100によって受信する。
そして、受信部11は、受信した放送信号からデジタル放送で使用されているデジタル放送信号と、アナログ放送で使用されているアナログ放送信号とを取得し、デジタル放送信号およびアナログ放送信号の周波数を中間周波数へ変換してADC12へ出力する。
また、受信部11は、放送内容のコンテンツを示すコンテンツ情報を受信し、かかるコンテンツ情報をADC12およびSレベル検知部17を介して予測部18へ出力することもできる。なお、実施形態に係る放送受信装置1では、かかるコンテンツ情報に基づいてアナログ放送の音響特性を制御することができるが、この点の詳細については、図8を用いて後述する。
ADC12は、受信部11から入力されるアナログのデジタル放送信号およびアナログ放送信号をデジタルのデジタル放送信号およびアナログ放送信号へ変換する。そして、ADC12は、変換後のアナログ放送信号をアナログ復調部13およびSレベル検知部17へ出力し、変換後のデジタル放送信号をデジタル復調部15へ出力する。
アナログ復調部13は、周波数変調または振幅変調されているアナログ放送信号を復調して抑制部14へ出力する。抑制部14は、例えば、オートセパレーションコントロールや、ソフトミュート機能によりアナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を行う。
具体的には、抑制部14は、アナログ放送の受信状態が悪化すると、アナログ放送信号のゲインを減衰させることで、アナログ放送の音圧を低下させたり、ハイカット処理によりノイズが混入しやすい周波数帯域の成分をカットしたりすることができる。
また、抑制部14は、アナログ放送の受信状態が悪化すると、SUB信号帯域の周波数帯域をカットすることで、ステレオからモノラルに切り替えることもできる。すなわち、抑制部14は、アナログ放送に対するステレオセパレーションによりアナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を行うことができる。
抑制部14は、かかる抑制処理をアナログ放送信号の受信状態に基づいて行う。そして、抑制部14は、予測部18が放送の切り替わりを予測した場合に、かかる抑制処理を中止することで、アナログ放送の音響特性をデジタル放送の音響特性へ近づける。
また、抑制部14は、抑制処理を施したアナログ放送信号をブレンド部19へ出力する。なお、抑制部14による処理の詳細については、図4および図5を用いて後述する。
デジタル復調部15は、いわゆるデコーダーであり、ADC12から入力されるデジタル放送信号を復調する。デジタル復調部15は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)変調されているデジタル放送信号をOFDM復調する。
また、デジタル復調部15は、OFDM復調したデジタル放送信号に対して符号の誤り検出を行ったうえで誤り訂正を行う。そして、デジタル復調部15は、誤り訂正したデジタル放送信号を調整部16へ出力する。
また、デジタル復調部15は、OFDM復調したデジタル放送信号の受信状態を示すC/N(Carrier to Noise ratio)比を算出し、算出結果を予測部18へ出力する。
なお、デジタル復調部15は、C/N比に代えて、ビットエラーレート、変調誤差比(いわゆる、MER;Modulation Error Ratio)などを算出することにしてもよい。
調整部16は、例えば、BPF(Band Pass Filter)であり、デジタル放送信号の受信状態に基づいてデジタル放送信号の所定周波数帯域を減衰させることで、デジタル放送の音響特性を調整する。そして、調整部16は、調整したデジタル放送信号をブレンド部19へ出力する。
なお、調整部16は、BPFに限られず、抑制部14と同様に、オートセパレーションや音圧等を調整することにより、デジタル放送の音響特性を調整することにしてもよい。また、調整部16による処理の詳細については、図4および図5を用いて後述する。
Sレベル検知部17は、ADC12から入力されるアナログ放送信号の受信電界強度(以下、「Sレベル」という)を検知し、検知結果を予測部18へ出力する。なお、Sレベルは、アナログ放送信号の受信状態を示す指標の一例であり、Sレベル検知部17は、かかる指標としてSレベルに代えて、マルチパスレベルや混信レベルを検出することにしてもよい。
予測部18は、デジタル放送信号の受信状態に基づいてアナログ放送およびデジタル放送のうち一方の放送から他方の放送の切り替わりを予測する。具体的には、予測部18は、デジタル復調部15から入力されるデジタル放送信号の受信状態の履歴に基づいて現在のデジタル放送のバッファ量を推定する。
そして、予測部18は、デジタル放送を出力中に、推定したバッファ量が図3にて後述する閾値THaよりも少なくなった場合に、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わると予測することができる。
また、予測部18は、アナログ放送を出力中に、推定したバッファ量が閾値THaよりも多くなった場合に、アナログ放送からデジタル放送へ放送が切り替わると予測することができる。
ブレンド部19は、予測部18によって放送が切り替わると予測された場合に、デジタル放送信号およびアナログ放送信号を任意の混合比でブレンドする。
例えば、ブレンド部19は、デジタル放送からアナログ放送へ放送を切り替える場合、デジタル放送信号の出力レベルを徐々に低下させ、アナログ放送信号の出力レベルを徐々に上昇させることで、デジタル放送信号およびアナログ放送信号をブレンドする。
また、ブレンド部19は、ブレンドしたデジタルのデジタル放送信号およびアナログ放送信号をアナログの音声信号へ変換し、スピーカ101へ出力する。
次に、図3を用いて予測部18による予測処理の具体例について説明する。図3は、予測部18による予測処理の具体例を示す図である。予測部18は、例えば、デジタル放送信号の受信状態の履歴に基づいて現在のデジタル復調部15に蓄積されているデジタル放送の現在のバッファ量を推定することができる。
具体的には、デジタル復調部15は、デジタル放送信号の受信状態によってデコード可能なデジタル放送のバッファ量が異なる。例えば、デジタル放送信号の受信状態が良好である場合、デジタル放送のバッファ量は増加し、デジタル放送信号の受信状態が悪化している場合、デジタル放送のバッファ量は減少する。デジタル放送のバッファがなくなると、デジタル放送を出力することができないため、アナログ放送へ放送が切り替わることとなる。
そこで、予測部18は、デジタル放送信号の受信状態の履歴に基づいて現在のバッファ量を推定し、かかるバッファ量が図3に示す閾値THaを下回った場合に、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わると予測する。
同様に、予測部18は、推定したバッファ量が閾値THaを再び上回った場合に、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わると予測することができる。
そして、予測部18は、放送の切り替わりを予測した場合に、図4および図5にて後述する切替予測フラグを反転させる。これにより、抑制部14および調整部16は、放送の切り替わりに向けてアナログ放送およびデジタル放送の音響特性の制御を開始することとなる。
次に、図4および図5を用いて実施形態に係る放送受信装置1による動作について説明する。図4および図5は、放送受信装置による動作を示す図である。
図4では、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わる場合について説明し、図5では、アナログ放送からデジタル放送へ放送が切り替わる場合について説明する。
図4のAには、アナログ放送信号のSレベルを示し、図4のBには、デジタル放送の受信状態を示す。また、図4のCには、予測部18が推定するデジタル放送のバッファ量を示し、図4のDには、予測部18によって予測される放送の切り替わりを示す切り替え予測フラグを示す。
また、図4のEには、デジタル放送の音響特性の推移を示し、図4のFには、アナログ放送の音響特性の推移を示す。そして、図4のGには、ブレンド部19によるブレンド処理の推移を示し、図4のHには、出力中の音響特性を示す。
図4のAに示すように、時刻t1より、アナログ放送信号のSレベルが低下した場合、図4のBに示すように、時刻t1より所定時間遅れてデジタル放送信号の受信状態が低下する。
そして、図4のCに示すように、バッファ量が閾値THaより低下すると、図4のDに示すように、予測部18は、時刻t3において切替予測フラグをデジタルからアナログへフラグを反転させる。
かかる切替予測フラグが反転すると、図4のEに示すように、調整部16は、時刻t3においてデジタル放送の音響特性をアナログ放送の音響特性へ近づける処理を開始する。
また、図4のFに示すように、時刻t3において抑制部14は、アナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を中止し、アナログ放送の音響特性をデジタル放送の音響特性へ近づける。
また、図4のGに示すように、ブレンド部19は、時刻t4からデジタル放送信号のゲインを下げ、アナログ放送信号のゲインを上げることで、デジタル放送からアナログ放送へ徐々に放送の切り替えを行う。
そして、ブレンド部19によってデジタル放送からアナログ放送へ放送の切り替えが完了する時刻t4において、図4のFに示すように、抑制部14は、アナログ放送の音響特性に対してノイズの抑制処理を再開し、アナログ放送の音響特性に対するノイズの抑制処理の強度を強くする。
これにより、時刻t4以降の出力中の音響特性に対するノイズの混入を徐々に抑えることができる。
また、抑制部14および調整部16は、時刻t4におけるデジタル放送の音響特性と、アナログ放送の音響特性とが一致するようにアナログ放送の音響特性およびデジタル放送の音響特性をそれぞれ制御する。
換言すると、放送受信装置1は、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わるタイミングにおいて、デジタル放送の音響特性からアナログ放送の音響特性へ継ぎ目なく受け渡す。
これにより、放送の切り替わりにおける音質の変化を抑えることができる。また、実施形態に係る放送受信装置1は、時刻t3〜t4におけるデジタル放送の音響特性の傾きと、時刻t4〜t5におけるアナログ放送の音響特性の傾きとが一致するようにデジタル放送の音響特性およびアナログ放送の音響特性をそれぞれ制御する。
これにより、図5のHに示すように、時刻t2〜t5の長い期間をかけてデジタル放送の音響特性からアナログ放送の音響特性へ緩やかに出力中の音響特性を制御することができる。
すなわち、実施形態に係る放送受信装置1は、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わりに先立って、デジタル放送の音響特性をアナログ放送の音響特性へ近づけておくことで、放送の切り替わりにおける音質の変化を少なくすることができる。
換言すると、放送受信装置1では、デジタル放送の音響特性とアナログ放送の音響特性を連動させて制御することで、単位時間当たりの音響特性の変化率を少なくすることができる。
したがって、放送受信装置1は、デジタル放送からアナログ放送へ放送が切り替わる場合に、音質の変化をユーザに感じさせないようにすることができる。
なお、放送の切り替わる時刻t4においてデジタル放送の音響特性とアナログ放送の音響特性は、必ずしも一致する必要はなく、所定の誤差を許容するものとする。また、デジタル放送の音響特性の変化率と、アナログ放送の音響特性の変化率についても、必ずしも一致する必要はなく、所定の誤差を許容するものとする。
次に、図5を用いてアナログ放送からデジタル放送へ放送が切り替わる場合について説明する。なお、図5のA〜Hの各項目は、図4と同様であるため、ここでの説明は省略する。
図5のAに示すように、時刻t6よりアナログ放送信号のSレベルが上昇した場合、図5のEに示すように、抑制部14は、Sレベルに追従させてアナログ放送の音響特性をデジタル放送の音響特性へ近づける。
そして、図5のDに示すように、時刻t7において切替予測フラグがアナログからデジタルに反転した場合、図5のEに示すように、調整部16は、デジタル放送の音響特性をアナログ放送の音響特性へ近づける。
ここで、予測部18は、アナログ放送信号のSレベルに基づいて現在(時刻t7)のアナログ放送の音響特性を予測し、調整部16へ出力する。これにより、調整部16は、デジタル放送の音響特性をアナログ放送の音響特性と一致させることができる。
そして、調整部16は、アナログ放送へ近づけたデジタル放送の音響特性を徐々に戻す。なお、かかる場合に、調整部16は、例えば、時刻t6〜t7の期間におけるアナログ放送の音響特性の傾きと、時刻t7以降のデジタル放送の音響特性の傾きが一致するようにデジタル放送の音響特性を調整する。
これにより、放送受信装置1は、アナログ放送からデジタル放送に放送が切り替わる場合であっても、出力中の音響特性を滑らかに切り替えることができる。すなわち、アナログ放送からデジタル放送へ放送が切り替わる場合であっても、単位時間当たりの音質の変化率を小さくすることで、放送の切り替わりにおける音質の変化をユーザに感じさせないようにすることができる。
次に、図6および図7を用いて実施形態に係る放送受信装置1が実行する処理手順について説明する。図6および図7は、放送受信装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図6は、放送受信装置1がデジタル放送を出力中の処理手順を示し、図7は、放送受信装置1がアナログ放送を出力中の処理手順を示す。
図6に示すように、まず、受信部11は、放送信号を受信し(ステップS101)、予測部18は、推定したバッファ量が閾値THaより大きいか否かを判定する(ステップS102)。
この判定において、放送受信装置1は、バッファ量が閾値THaよりも大きい場合(ステップS102,Yes)、デジタル放送の出力を継続して(ステップS106)、処理を終了する。
一方、予測部18は、バッファ量が閾値THa以下である場合(ステップS102,No)、切替予測フラグをアナログ放送へ切り替える(ステップS103)。
続いて、抑制部14は、アナログ放送の音響特性に対するノイズの抑制処理を中止し(ステップS104)、また、ブレンド部19は、デジタル放送からアナログ放送へ放送を切り替えるブレンド処理を実行し(ステップS105)、処理を終了する。
なお、放送受信装置1は、上述したようにステップS104およびステップS105の処理手順を並列に開始することもできるし、あるいは、ステップS105の処理を開始した後にステップS104の処理を開始することにしてもよい。
次に、図7を用いて放送受信装置1がアナログ放送を出力中に行う処理手順について説明する。なお、ステップS101の処理については、図6で説明したため、ステップS201から説明を行う。
アナログ放送を放送中に、予測部18は、バッファ量が閾値THaよりも小さいか否かを判定する(ステップS201)。かかる判定において、放送受信装置1は、バッファ量が閾値未満である場合(ステップS201,Yes)、アナログ放送の出力を継続して(ステップS205)、処理を終了する。
一方、予測部18は、ステップS201の判定においてバッファ量が閾値THa以上だった場合(ステップS201,No)、切替予測フラグをデジタル放送へ切り替える(ステップS202)。
そして、ブレンド部19は、アナログ放送からデジタル放送へ放送を切り替えるブレンド処理を行って(ステップS204)、処理を終了する。
なお、上記のように、放送受信装置1は、ステップS203およびステップS204の処理を並列に開始してもよいし、ステップS204の処理を開始した後にステップS203の処理を開始するようにしてもよい。
上述したように、実施形態に係る放送受信装置1は、受信部11と、抑制部14と、予測部18とを備える。受信部11は、放送内容が同一のアナログ放送の信号およびデジタル放送の信号を受信する。抑制部14は、受信部11によって受信されるアナログ放送の信号の受信状態に基づいてアナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を行う。
予測部18は、受信部11によって受信されるデジタル放送の信号の受信状態に基づいてアナログ放送およびデジタル放送の一方の放送から他方の放送へ放送の切り替わりを予測する。また、抑制部14は、予測部18によって放送が切り替わると予測された場合に、抑制処理を中止し、アナログ放送の音響特性をデジタル放送の音響特性へ近づける。したがって、実施形態に係る放送受信装置1によれば、放送の切り替わりにおける音質の変化を低減することができる。
ところで、放送受信装置1は、周囲の受信環境、放送内容を示すコンテンツ情報、搭載される車両等により、アナログ放送の音響特性に対してノイズの抑制処理を中止し、かかる音響特性をデジタル放送の音響特性へどこまで近づけるかを決定することもできる。
そこで、図8を用いてかかる点の詳細について説明する。図8は、アナログ放送の音響特性とノイズレベルの関係を示す図である。
同図のAには、デジタル放送の音響特性の推移を示し、同図のBには、アナログ放送の音響特性の推移を示す。そして、同図のCには、アナログ放送の音響特性のノイズレベルを示す。
なお、以下では、アナログ放送の音響特性についてノイズの抑制処理を中止した際のアナログ放送の音響特性の値を「決定値P」と記載する。図8に示す例では、決定値Pは、例えば、3つの値(P1〜P3)を有する。
例えば、放送受信装置1は、デジタル放送およびアナログ放送の音響特性を決定値P1を通過する線分S1、決定値P2を通過する線分S2および決定値P3を通過する線分S3に沿って制御することができる。
かかる線分S1、線分S23および線分S3では、線分S1が線分S2、S3に比べて最も傾きが緩やかである。このため、線分S1に沿ってデジタル放送およびアナログ放送の音響を制御することで、デジタル放送の音響特性からアナログ放送の音響特性へ最も緩やかに音響を制御することができる。すなわち、放送の切り替わりにおける音質の変化を抑えることができる。
しかし、線分S1に沿って音響を制御した場合、同図のCに示すように、線分S1に対応するノイズレベルN1が、線分S2に対応するノイズレベルN2や線分S3に対応するノイズレベルN3に比べて最も高い値となる。
また、線分S3に沿ってデジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御する場合、線分S3の傾きが他の線分(S1、S2)に比べて急である。このため、線分S3に沿って音響特性を制御する場合、他の線分に沿って音響特性を制御する場合に比べて、放送の切り替わりにおける音響特性の変化が急になる。
しかし、線分S3に沿って音響を制御する場合のノイズレベルN3は、ノイズレベルN1やノイズレベルN2に比べて低い値となる。つまり、放送の切り替わり時における音質の変化を低減することと(以下、音質変化重視という)、ノイズレベルを抑制すること(以下、ノイズ抑制重視という)とは背反の関係にある。
このため、放送受信装置1は、コンテンツ情報に基づいてコンテンツに応じて適切に音響制御を行う。具体的には、放送受信装置1は、例えば、コンテンツ情報が音楽を示す場合、線分S1に沿ってデジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御する。すなわち、かかる場合に、放送受信装置1は、音質変化重視で音響特性を制御する。
一方、放送受信装置1は、例えば、コンテンツ情報がニュースである場合、線分S3に沿ってデジタル放送およびアナログ放送の音響を制御する。かかる場合に、放送受信装置1は、ノイズ抑制重視で音響特性を制御する。
さらに、放送受信装置1は、例えば、コンテンツ情報がバラエティである場合、線分S2に沿ってデジタル放送およびアナログ放送の音響を制御する。すなわち、かかる場合に、放送受信装置1は、音質変化重視およびノイズ抑制重視の中間となるように音響特性を制御する。
これは、出力中の放送内容が音楽である場合、ユーザはノイズを聞き取りにくいためである。また、かかる放送内容がニュースである場合、放送内容における会話の途切れるタイミングでユーザがノイズを聞き取りやすいためである。
そして、かかる放送内容がバラエティである場合、音響特性を音質変化重視およびノイズ抑制重視の中間に設定しておくことで、双方に対応することが可能となる。
つまり、実施形態に係る放送受信方法では、コンテンツ情報に基づいて決定値Pを決定することにより、コンテンツに応じて適切な音響を提供することが可能となる。なお、上記したコンテンツと、決定値Pとは、一例であり、これに限定されるものではない。例えば、放送受信装置1は、コンテンツが音楽である場合であっても、クラシックやロックなど音楽の種類に応じて異なる決定値Pを設定することもできる。また、上記の例では、決定値P3が3つである場合について示したが、決定値Pは、2つ以下または4つ以上であってもよい。
また、放送受信装置1は、コンテンツ情報に加えて、ユーザ設定により決定値Pを設定したり、受信環境によって決定値Pを設定したりすることができる。
例えば、放送受信装置1は、ユーザ操作を受け付ける受付部を備え、ユーザは、かかるユーザ操作により決定値Pを設定することができる。これにより、放送受信装置1は、ユーザ自身の嗜好にあわせた音響を提供することができる。
次に、放送受信装置1が、受信環境によって決定値Pを決定する場合について説明する。かかる場合に、放送受信装置1は、取得部を備えるとともに、デジタル放送とアナログ放送との放送の切り替わりが発生する地点を示すマップを記憶する。
かかる取得部は、環境情報として例えば、図示しないGPSから車両の現在地を示す位置情報を取得する。放送受信装置1は、かかる位置情報およびマップに基づき、現在地周辺におけるデジタル放送とアナログ放送との切り替わりが発生する頻度を予測する。
そして、放送受信装置1は、予測した頻度が上限値よりも多い場合、上記の線分S1を通過するように、デジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御する。
また、放送受信装置1は、かかる頻度が上限値未満、下限値以上である場合、上記の線分2を通過するように、デジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御する。
そして、放送受信装置1は、かかる頻度が下限値未満である場合、上記の線分3を通過するように、デジタル放送およびアナログ放送の音響特性を制御する。
つまり、放送受信装置1は、放送の切り替わりが頻繁に発生する場合、音質変化重視で音響を制御し、放送の切り替わりの発生頻度が少ない場合、ノイズ低減重視により音響を制御する。
これは、放送の切り替わりが頻繁に発生する場合、頻繁に音質が変化することで、ユーザが、かかる音質の変化を聞き取りやすくないためである。すなわち、かかる場合に、放送受信装置1は、音質変化重視により音響を制御することで、放送の切り替わりにおける音質の変化による違和感をユーザへ与えないようにする。
一方、放送受信装置1は、放送の切り替わりが少ない場合、ノイズ低減重視で音響特性を制御する。これは、放送の切り替わりが少ない場合、放送の切り替わりが頻繁に発生する場合に比べてユーザが音質の変化を感じ難いためである。
つまり、放送受信装置1は、受信環境に基づいて決定値Pを設定することで、受信環境に応じて最適な音響を提供することが可能となる。
また、放送受信装置1は、搭載される車両に応じて決定値Pを設定することもできる。具体的には、放送受信装置1は、例えば、かかる車両が軽自動車である場合、決定値Pを決定値P1に設定し、車両がミニバンである場合、決定値Pを決定値P2に設定する。また、放送受信装置1は、車両が高級セダンである場合、決定値Pを決定値P3に設定する。
すなわち、放送受信装置1は、搭載される車両のグレードが高いほど、ノイズ低減重視で音響を制御する。これは、一般にグレードが高いほど、車内の静寂性が高く、ユーザがノイズを聞き取りやすいためである。
つまり、放送受信装置1は、車両のオーディオ環境に応じて決定値Pを設定することで、車両に応じて最適な音響を提供することができる。なお、上記したグレードに基づく決定値Pは一例であり、車種等や、オーディオ環境によって任意に決定値を設定することもできる。
また、放送受信装置1は、車速に応じて決定値Pを設定することもできる。例えば、車速が速いほど、音質変化重視で音響を制御し、車速が遅いほど、ノイズ低減重視で音響を制御することもできる。
これは、車速が速いほど、ロードノイズ等による騒音が大きくなり、ユーザは、スピーカ101から出力される音響のノイズを気になりにくいためである。つまり、放送受信装置1は、車速に応じて決定値Pを設定することで、車速に応じて最適な音響を提供することができる。
なお、かかる場合に、放送受信装置1は、車両の駆動源がモータである場合と、エンジンである場合とで異なる決定値Pを設定することもできる。例えば、車両の駆動源がモータである場合、モータから発せられる騒音は小さく、駆動源がエンジンである場合、エンジンから発せられる騒音は大きくなるためである。
また、放送受信装置1は、車両の駆動源がモータである場合、ノイズ低減重視で音響を制御し、駆動源がエンジンである場合、音質変化重視で音響を制御することもできる。
また、放送受信装置1は、車両がハイブリッド車である場合、モータ駆動時と、エンジン駆動時でノイズ低減重視および音質変化重視を切り替えることもできる。なお、放送受信装置1は、エンジン駆動時においてエンジンの回転数に応じて決定値Pを設定することにしてもよい。
つまり、放送受信装置1は、周囲で騒音が発生しやすい環境である場合に、音質変化重視で音響を制御し、周囲で騒音が発生し難い環境である場合、ノイズ低減重視で音響を制御する。これにより、放送受信装置1は、周囲の環境に応じて最適な音響をユーザに提供することができる。
なお、図8では、放送受信装置1が、線分S1〜線分S3に沿ってリニアに音響を制御する場合について説明したが、放送受信装置1は、時刻によって異なる変化率となるように、音響を制御することにしてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な様態は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲および、その均等物によって定義される統括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変化が可能である。