JP6965946B2 - 光トランシーバおよびその設定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光トランシーバの制御技術に関するものであり、特に、プラガブル光トランシーバの制御技術に関するものである。
光信号の送受信を行う光トランシーバとして、ホストとなる光伝送装置に対して挿抜可能に構成されているプラガブル光トランシーバが広く用いられている。プラガブル光トランシーバは、装着された光伝送装置から入力される高速なアナログ信号に基づいた光変調信号を出力する。
プラガブル光トランシーバを光伝送装置に接続して光通信を行う場合に、信号品質を確保するためには、光トランシーバの各パラメータを最適化するキャリブレーションが必要になる。プラガブル光トランシーバのキャリブレーションは、例えば、光伝送装置がキャリブレーションの開始を示す制御信号をプラガブル光トランシーバに送り、プラガブル光トランシーバのレジスタに書き込むことで開始される。プラガブル光トランシーバは、各部位のキャリブレーションを制御する制御シーケンスを実行し、完了した際に完了したことを示す情報をレジスタに書き込むことで、キャリブレーションが完了したことを光伝送装置が認識できる状態にする。
プラガブル光トランシーバの動作パラメータを最適化する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。特許文献1の光送信器は、外部の光伝送装置から入力される電気信号に応じて、変調器に印加するバイアス電圧を制御している。特許文献1の光送信器は、増幅器から変調器へ出力の線形性を確保するために、振幅のモニタ結果に基づいて増幅器における増幅率の制御を行っている。また、特許文献2にも同様に、プラガブル光トランシーバの動作パラメータの設定技術が示されている。
特開2015−220627号公報 特許第6125988号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の技術は次のような点で十分ではない。近年、信号処理回路とプラガブル光トランシーバは、マルチベンダ化等で様々な組み合わせで使われることも多く、これらの信号の送受信のシーケンスは出来るだけ簡略化されていることが望ましい。しかし、特許文献1では、増幅率の設定を行うキャリブレーションの開始を外部の光伝送装置からどのように行うかについては開示されていない。そのため、特許文献1の技術では、キャリブレーションの動作を行う際に、光伝送装置とプラガブル光トランシーバの間での信号の送受信の回数が多くなる恐れがある。また、特許文献1の技術では、光伝送装置とプラガブル光トランシーバの組み合わせに応じて異なる設定手順やタイミングによって制御が必要になり、制御用のファームウェアの機能や管理が複雑化する恐れがある。また、特許文献2において同様にキャリブレーションの開始を外部の光伝送装置からどのように行うかについては開示されていない。よって、特許文献1および特許文献2の技術は、プラガブル光トランシーバにおいて、出来るだけ簡略な構成によってキャリブレーションの制御シーケンスを開始するための技術としては十分ではない。
本発明は、上記の課題を解決するため外部装置からの信号の入力を検出し、自律的に制御シーケンスの実行を開始するプラガブル光トランシーバを提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明のプラガブル光トランシーバは、電気信号入力手段と、増幅手段と、変調手段と、光信号出力手段と、制御手段を備えている。電気信号入力手段は、自装置が装着されている外部装置からコネクタを介して電気信号が入力される。増幅手段は、外部装置からコネクタを介して入力される電気信号を増幅し、光変調を行う際の駆動信号として出力する。変調手段は、光源から入力される光に駆動信号を基に変調を施して出力する。光信号出力手段は、前記変調手段が変調を施した光信号を出力する光ファイバが接続される。制御手段は、増幅手段が出力する駆動信号の振幅を監視し、駆動信号の振幅があらかじめ設定された基準値を超えたことを検出したとき、増幅手段または変調手段の少なくとも一方についてあらかじめ設定された制御シーケンスを実行する。
本発明のプラガブル光トランシーバの設定方法は、プラガブル光トランシーバが装着される外部装置からプラガブル光トランシーバに入力される電気信号を増幅器において増幅し、光変調器の駆動信号として出力する。本発明のプラガブル光トランシーバの設定方法は、光変調器において光源から入力される光に前記駆動信号を基に変調を施して出力する。本発明のプラガブル光トランシーバの設定方法は、駆動信号の振幅を監視し、駆動信号の振幅があらかじめ設定された基準値を超えたことを検出したとき、増幅器または光変調器の少なくとも一方についてあらかじめ設定された制御シーケンスを実行する。
本発明によると、外部装置からの信号の入力を検出し、自律的に制御シーケンスの実行を開始することができる。
本発明の第1の実施形態の構成の概要を示す図である。 本発明の第2の実施形態の構成の概要を示す図である。 本発明の第2の実施形態の制御部の構成の概要を示す図である。 本発明の第2の実施形態のプラガブル光トランシーバが制御シーケンスを実行する際の動作フローを示す図である。 本発明の第の実施形態の設定システムの構成の概要を示す図である。 本発明の第の実施形態において、プラガブル光トランシーバの制御シーケンスの開始条件を設定する際の動作フローを示す図である。 本発明の第の実施形態におけるプラガブル光トランシーバの制御シーケンスの開始条件の設定の例を示す図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態のプラガブル光トランシーバの構成の概要を示したものである。本実施形態のプラガブル光トランシーバは、電気信号入力手段1と、増幅手段2と、変調手段3と、光信号出力手段4と、制御手段5を備えている。電気信号入力手段1は、自装置が装着されている外部装置からコネクタを介して電気信号が入力される。増幅手段2は、前記外部装置から前記コネクタを介して入力される電気信号を増幅し、光変調を行う際の駆動信号として出力する。変調手段3は、光源から入力される光に駆動信号を基に変調を施して出力する。光信号出力手段4は、前記変調手段が変調を施した光信号を出力する光ファイバが接続される。制御手段5は、増幅手段2が出力する駆動信号の振幅を監視し、駆動信号の振幅があらかじめ設定された基準値を超えたことを検出したとき、増幅手段2または変調手段3の少なくとも一方についてあらかじめ設定された制御シーケンスを実行する。
本実施形態のプラガブル光トランシーバは、変調手段3において光変調を施す際に用いられる駆動信号の振幅を監視し、駆動信号の振幅があらかじめ設定された基準値を超えたことを検出したとき、あらかじめ設定された制御シーケンスを実行している。そのため、プラガブル光トランシーバに電気信号を入力する光伝送装置等の外部装置が、プラガブル光トランシーバに駆動信号の振幅の基準値に対応する振幅の電気信号を入力した際に制御シーケンスの実行を開始することができる。すなわち、本実施形態のプラガブル光トランシーバは、光伝送装置が動作時の振幅に相当する振幅の信号の出力を開始したことを検知し、自装置の判断によって制御シーケンスを開始することができる。その結果、本実施形態のプラガブル光トランシーバは、外部装置からの信号の入力を検出し、自律的に制御シーケンスの実行を開始することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の光伝送システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光伝送システムは、プラガブル光トランシーバ10と、光伝送装置20を備えている。プラガブル光トランシーバ10は、光伝送装置20に装着され、光伝送装置20から入力される高速なアナログ信号に基づいた光変調信号を生成して出力する。また、プラガブル光トランシーバ10は、伝送路から入力される光信号を電気信号に変換し、光伝送装置20に出力する。
光伝送装置20に装着されるプラガブル光トランシーバ10の数は、光伝送システムが接続されている光通信ネットワークの設計に基づいて設定される。また、本実施形態の光伝送システムは、デジタルコヒーレント方式の光通信ネットワークに用いられる。
プラガブル光トランシーバ10の構成について説明する。本実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、光源11と、光変調部12と、データドライバ部13と、制御部14と、光受信部15を備えている。また、プラガブル光トランシーバ10は、電気信号入力部16と、光信号出力部17と、光信号入力部18を備えている。
光源11は、プラガブル光トランシーバ10ごとに割り当てられた波長の連続光を出力する。光源11は、半導体レーザーを用いて構成されている。光源11から出力された光は、光変調部12に入力される。
光変調部12は、光源11から入力された光に変調を施して出力する。光変調部12は、データドライバ部13から入力される信号に基づいて入力された光に変調を施す。光変調部12は、マッハツェンダ型変調器が用いられる。本実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、デジタルコヒーレント方式の光伝送システムに用いられるので、X偏波およびY偏波それぞれのI(In-Phase)相とQ(Quadrature)相において変調が施される。よって、光変調部12は、4個のマッハツェンダ型の変調器によって構成されている。また、本実施形態の光変調部12の機能は、第1の実施形態の変調手段3に相当する。
データドライバ部13は、光伝送装置20から電気信号として入力される高速のアナログ信号を増幅して、光変調部12の各変調器に駆動信号として出力する増幅器である。データドライバ部13は、X偏波およびY偏波それぞれのI相とQ相に対応するアナログ信号を増幅し、4個の変調器にそれぞれ対応する駆動信号を送る。また、データドライバ部13は、駆動信号として光変調部12に出力する信号を、モニタ信号として制御部14にも出力する。また、本実施形態のデータドライバ部13の機能は、第1の実施形態の増幅手段2に相当する。
制御部14は、プラガブル光トランシーバ10の制御、全般を行う機能を有する。制御部14は、例えば、プラガブル光トランシーバ10が光伝送装置20に接続された際にデータドライバ部13における信号の増幅率の設定や光変調部12のキャリブレーションを制御する。制御部14は、データドライバ部13や光変調部12のキャリブレーションを制御する際の制御内容および順序を制御シーケンスとしてあらかじめ記憶している。
また、制御部14は、データドライバ部13から入力されるモニタ信号を監視する。制御部14は、データドライバ部13から入力されるモニタ信号の振幅の大きさが基準を超えたときに、光伝送装置20が信号の出力動作を開始したと判断し、キャリブレーションの制御シーケンスを開始する。
制御部14は、演算装置31と、記憶装置32を備えている。図3は、本実施形態の制御部14の構成の概要を示したものである。
演算装置31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、キャリブレーションやモニタ信号の監視等の各処理を行うプログラムを実行する。演算装置31は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のCPU以外の半導体装置によって制御シーケンスの実行等の処理を行うように構成されていてもよい。
記憶装置32は、半導体記憶装置等によって構成され、演算装置31において実行されるプログラムやキャリブレーションを開始する際の振幅の基準のデータを保存している。
演算装置31において実行されるプログラムとしては、例えば、光変調部12およびデータドライバ部13のキャリブレーションを制御する際の制御プログラムが保存されている。また、制御部14には、キャリブレーションを完了したことを示す情報を信号受付完了として保存するレジスタが備えられている。光伝送装置20は制御部14のレジスタを参照することで、プラガブル光トランシーバ10がキャリブレーションを完了したと判断することができる。信号受付完了が保存されるレジスタは、記憶装置32の一部であってもよい。また、本実施形態の制御部14の機能は、第1の実施形態の制御手段5に相当する。
光受信部15は、フォトダイオードを備え、光信号入力部18を介して入力される光信号を電気信号に変換して、光伝送装置20に出力する。光受信部15は、局発光の光源を備え、受信信号のコヒーレント検波を行う。
電気信号入力部16は、光伝送装置20からプラガブル光トランシーバ10に電気信号を入力する際に用いられる信号線の接続用のコネクタである。本実施形態の電気信号入力部16の機能は、第1の実施形態の電気信号入力手段1に相当する。
光信号出力部17は、光変調部12から出力される光信号を送信するための光ファイバを接続する接続ポートである。本実施形態の光信号出力部17の機能は、第1の実施形態の光信号出力手段4に相当する。また、光信号入力部18は、光信号の受信用の光ファイバを接続する接続ポートである。
光伝送装置20は、制御部21と、送信信号処理部22と、受信信号処理部23を備えている。また、光伝送装置20は、プラガブル光トランシーバ10の接続用のコネクタ部100を備えている。光伝送装置20は、コネクタ部100を介してプラガブル光トランシーバ10への信号の出力およびプラガブル光トランシーバ10からの信号の受信を行う。コネクタ部100は、光伝送装置20に接続可能なプラガブル光トランシーバ10の数に応じて備えられている。
制御部21は、プラガブル光トランシーバ10への信号の出力の開始等の制御を行う機能を有する。制御部21は、例えば、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションが完了したと判断し光伝送装置20が信号の出力動作を開始する際に、送信信号処理部22にプラガブル光トランシーバ10への信号の出力を要求する。また、制御部21は、上述のように、プラガブル光トランシーバ10の制御部14のレジスタを参照することで、プラガブル光トランシーバ10がキャリブレーションを完了したと判断するようにしてもよい。また、制御部21は、プラガブル光トランシーバ10への信号の出力を開始してからあらかじめ設定された時間が経過したときに、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションが完了したと判断するようにしてもよい。制御部21がプラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションが完了したと判断する時間は、プラガブル光トランシーバ10の各部位のキャリブレーションに要する時間に基づいてあらかじめ設定されているようにしてもよい。
送信信号処理部22は、光伝送装置20に接続された他の装置や通信路から入力される信号を基に、伝送路において伝送するための符号化等の処理を施し、伝送路で伝送する際の信号データを生成する。送信信号処理部22は、生成した伝送用の信号データを基に、プラガブル光トランシーバ10の光変調部12において施される変調を制御する信号を生成し、高速のアナログ信号としてプラガブル光トランシーバ10のデータドライバ部13に出力する。
受信信号処理部23は、プラガブル光トランシーバ10から入力される電気信号を基に、復号等の受信処理を行い、受信処理を行った信号を光伝送装置20に接続された他の装置や通信路に出力する。
送信信号処理部22、制御部21および受信信号処理部23は、それぞれ、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA等の半導体装置によって構成されている。
次に本実施形態の光伝送システムの通常の動作について説明する。図4は、本実施形態のプラガブル光トランシーバ10の動作フローを示したものである。
始めにプラガブル光トランシーバ10が光伝送装置20に接続され、プラガブル光トランシーバ10が動作を開始する。光伝送装置20に接続されると、制御部14は、データドライバ部13から入力されるモニタ信号を監視する(ステップS11)。
プラガブル光トランシーバ10が光伝送装置20に接続された後、光伝送装置20が動作を開始すると、光伝送装置20は、キャリブレーションが必要なプラガブル光トランシーバ10に信号の出力を開始する。光伝送装置20の送信信号処理部22は、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションを実施する際に、送信用のアナログ信号を出力する場合と同レベルの振幅の信号をプラガブル光トランシーバ10のデータドライバ部13に出力する。このとき出力されるアナログ信号は、制御部14が振幅を検出しキャリブレーションの開始を判断できる信号であればよい。
データドライバ部13に信号が入力されると、データドライバ部13は、入力された信号を増幅し、モニタ信号として制御部14に出力する。キャリブレーションの実行前のデータドライバ部13の増幅率は、あらかじめ設定されている。
モニタ信号が入力されると、制御部14は、入力されるモニタ信号の振幅を、キャリブレーションを開始する振幅の基準値と比較する。モニタ信号の振幅が基準値よりも小さいときは(ステップS12でNo)、制御部14は、モニタ信号の監視を継続する。
モニタ信号が示す振幅が基準値以上であるとき(ステップS12でYes)、制御部14は、光伝送装置20からキャリブレーションの要求を受けたと判断する。光伝送装置20からキャリブレーションの要求を受けたと判断すると、制御部14は、キャリブレーションの制御シーケンスを開始する(ステップS13)。
キャリブレーションの制御シーケンスを完了すると、制御部14は、制御シーケンスを実行済みであることを示すデータを信号受付完了のデータとしてレジスタに書き込む。制御シーケンスが完了すると、プラガブル光トランシーバ10は、光信号の送受信の準備が完了する(ステップS14)。
光伝送装置20は、プラガブル光トランシーバ10のレジスタを参照することで、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションが完了したと判断するようにしてもよい。また、光伝送装置20は、信号の出力を開始してからあらかじめ設定された時間が経過すると、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションが完了したと判断するようにしてもよい。プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションが完了したと判断すると、光伝送装置20は、光信号の送信の準備の動作を開始する。
通常の光伝送装置は、デジタル信号処理回路と光トランシーバの機能に相当する光部品をすべて装置側に搭載しているため、光伝送装置を設計や製造する企業等が装置の品質を確保できる。しかし、光トランシーバが挿抜可能な構成では、デジタル信号処理回路や光トランシーバを複数の企業等が製造していることがある。そのような場合には、デジタル信号処理回路を搭載する光伝送装置と光トランシーバを結合する際に、信号品質を確保するための最適化手法が重要となる。
そのような構成では、光伝送装置は、光トランシーバに信号入力通知と信号入力受付完了の確認を実行した上で信号を光トランシーバに入力する必要があり、複雑な制御シーケンスを必要とする恐れがある。光伝送装置と光トランシーバをマルチベンダ化して複数の企業から調達した場合には、調達先ごとに信号の送受信順序やタイミングなどが異なり、光トランシーバの調達先ごとに信号入力手順を切り替えるような制御用ファームウェアを実装する必要がある。そのような構成とした場合には、ファームウェアの機能や管理も複雑となり、光伝送システムの構成も複雑になり得る。一方で、本実施形態の光伝送システムは、光伝送装置20からプラガブル光トランシーバ10に入力される信号の振幅があらかじめ設定された基準を超えたときに、プラガブル光トランシーバ10が自律的にキャリブレーションの動作を開始している。そのため、本実施形態のプラガブル光トランシーバ10を用いることで、光伝送装置20とプラガブル光トランシーバ10の間の信号の送受信の回数を抑制してプラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションを行うための制御シーケンスを実行することができる。
本実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、データドライバ部13から出力されるモニタ信号の電圧値の振幅を制御部14が監視している。制御部14は、モニタ信号の振幅が基準値よりも大きくなったことを検知すると、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションの制御シーケンスを実行する。このように、モニタ信号の振幅を基に制御シーケンスを実行することで、光伝送装置20との間で制御信号の送受信を行わなくても、プラガブル光トランシーバ10が自律的にキャリブレーションを開始することができる。そのため、光伝送装置20の信号処理回路と光トランシーバの組み合わせが多様化しても構成を複雑化することなく、プラガブル光トランシーバ10のキャリブレーションの開始を制御することが可能になる。その結果、本実施形態のプラガブル光トランシーバ10を用いることで、装置からの信号の入力を検出し、自律的に制御シーケンスの実行を開始することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図5は、本実施形態の基準設定システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の基準設定システムは、第2の実施形態のプラガブル光トランシーバ10においてキャリブレーションの開始を判断する振幅の基準を設定する際に用いられるシステムである。
図5では、プラガブル光トランシーバ10の各部位のうち、プラガブル光トランシーバ10の各部位の制御を行う電気回路50に関わる部分のみを模式的に示している。電気回路50とは、プラガブル光トランシーバ10のうちデータドライバ部13と、制御部14によって構成される部分のことをいう。
また、本実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、光変調部12から出力される駆動信号と、制御部14が監視を行っているモニタ信号の振幅のデータを外部に出力するインタフェースを備えている。また、本実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、キャリブレーションを開始する振幅の基準値を外部の装置から制御部14に入力するインタフェースを備えている。制御部14と外部の装置との入出力のインタフェースは、光伝送装置20からの制御信号の入出力用のインタフェースと共用であってもよい。
本実施形態の基準設定システムは、プラガブル光トランシーバ10の電気回路50に接続された、測定器41と、信号発生器42と、制御用コンピュータ43を備えている。
測定器41は、データドライバ部13から光変調部12に駆動信号として出力される出力信号を計測する機能を有する。測定器41は、データドライバ部13の出力信号の波形を計測し、計測した波形データを制御用コンピュータ43に送る。
信号発生器42は、試験用の信号をデータドライバ部13に出力する機能を有する。信号発生器42は、制御用コンピュータ43からの指示に基づいて試験用のアナログ信号を生成し、データドライバ部13に試験信号として出力する。
制御用コンピュータ43は、プラガブル光トランシーバ10がキャリブレーション動作を開始する際の振幅の基準を設定する際に各機器を制御する機能を有する。制御用コンピュータ43は、試験用の電気信号をプラガブル光トランシーバ10に送ることを示す制御信号を信号発生器42に送る。制御用コンピュータ43は、試験用の電気信号を送ることを示す制御信号に試験用の電気信号の振幅の情報を付加して信号発生器42に送る。
制御用コンピュータ43は、測定器41が計測した波形データから信号の振幅を算出する。信号の振幅は、例えば、あらかじめ設定された時間の平均の振幅として算出される。
また、制御用コンピュータ43は、プラガブル光トランシーバ10の制御部14から、制御部14に入力されるモニタ信号の振幅データを取得する。制御用コンピュータ43は、測定器41が計測した振幅と、制御部14から取得した振幅を基に、測定器41が計測した振幅があらかじめ設定されている値になるときのモニタ信号の振幅を算出する。制御用コンピュータ43は、測定器41が計測した振幅があらかじめ設定した値になるときのモニタ信号の振幅を、キャリブレーションを開始する基準として設定する。制御用コンピュータ43は、設定したキャリブレーションを開始する基準の振幅をプラガブル光トランシーバ10の制御部14に書き込む。
次に、プラガブル光トランシーバ10がキャリブレーション動作を開始する際のモニタ信号の振幅の基準を設定する際の動作について説明する。図6は、プラガブル光トランシーバ10がキャリブレーション動作を開始する際のモニタ信号の振幅の基準を設定する際の動作フローの概要を示した図である。
始めにプラガブル光トランシーバ10が基準設定システムに接続される。プラガブル光トランシーバ10がキャリブレーション動作を開始する際のモニタ信号の振幅の基準の設定は、例えば、工場からの出荷時や光伝送システムの設置時等に行われる。
作業者等によって振幅の基準を設定する動作を開始すると、制御用コンピュータ43は、信号発生器42に試験用の信号の出力を要求する(ステップS21)。
信号発生器42からデータドライバ部13に送られる試験用の電気信号の振幅は、複数段階で設定されている。制御用コンピュータ43は、複数段階で設定されている電気信号の振幅のうちいずれかの振幅から順に選択して、信号発生器42に試験用の電気信号の出力を要求する。制御用コンピュータ43は、例えば、複数段階で設定されている電気信号の振幅のうち、振幅が小さい側の設定値から順に選択する。
試験信号の出力の要求を受け取ると、信号発生器42は、指定された振幅の電気信号を試験信号として出力する。
信号発生器42からデータドライバ部13に試験信号が入力されると、データドライバ部13は、入力された試験信号を増幅して出力する。データドライバ部13から出力された試験信号は、測定器41に送られる。また、データドライバ部13は、出力する信号の振幅のモニタ用の信号をモニタ信号として制御部14に送る。
プラガブル光トランシーバ10の制御部14は、データドライバ部13から送られてくるモニタ信号の振幅を監視する。プラガブル光トランシーバ10の制御部14は、モニタ信号の振幅のデータを制御用コンピュータ43に送る。モニタ信号の振幅データを制御部14から受信して取得すると、制御用コンピュータ43は、取得したモニタ信号の振幅データを保存する(ステップS22)。
データドライバ部13から信号が入力されると、測定器41は、入力された信号の波形を計測し、波形データを制御用コンピュータ43に送る。制御用コンピュータ43は、測定器41からデータドライバ部13の出力波形の計測結果を受信して取得すると、波形データから振幅を算出する。制御用コンピュータ43は、波形データから振幅を算出すると、算出した振幅のデータを保存する(ステップS23)。制御用コンピュータ43は、データドライバ部13の振幅のモニタ結果と、測定器41が計測した波形データに基づく振幅のデータを互いに関連づけて保存する。
振幅のデータを保存すると、制御用コンピュータ43は、試験信号の振幅ごとのデータを全て取得したかを確認する。データの取得が完了していないとき(ステップS24でNo)、制御用コンピュータ43は、次の設定値の振幅で試験信号の出力を要求する信号を信号発生器42に送り、ステップS21からの動作を繰り返す。
データの取得が完了しているとき(ステップS24でYes)、制御用コンピュータ43は、駆動信号に相当するデータドライバ部13から測定器41に出力された信号があらかじめ設定された基準の振幅になる場合のモニタ信号の振幅を算出する。
図7は、モニタ信号の振幅と測定器41で計測された信号の振幅の関係を示したグラフである。図7の縦軸は、モニタ信号の振幅を示し、横軸は、測定器41で計測された信号、すなわち、光変調部12へ出力される出力信号の振幅を示している。図7の例では、モニタ信号の振幅の値としてデータドライバ固有の設定に基づく値が用いられているが、モニタ信号の振幅の値は、電圧等の値に変換されたものであってもよい。図7の例では、モニタ信号の振幅と測定器41で計測された信号の振幅の関係を1次関数の式で近似している。制御用コンピュータ43は、モニタ信号の振幅と測定器41で計測された信号の振幅の関係を示す1次関数の式を生成する。1次関数の式を生成すると、制御用コンピュータ43は、キャリブレーションを開始する出力信号の振幅としてあらかじめ設定された出力信号の振幅に対応するモニタ信号の振幅を1次関数の式を基に算出する。

制御用コンピュータ43は、算出したモニタ信号の振幅を、キャリブレーションの開始を判断する際のモニタ信号の振幅の基準値、すなわち閾値とする(ステップS25)。キャリブレーションの開始を判断する際の基準値を算出すると、制御用コンピュータ43は、キャリブレーションを開始する際のモニタ信号の振幅の基準値を制御部14の記憶装置32に書き込む(ステップS26)。モニタ信号の振幅の基準値が書き込まれると、制御部14は、書き込まれたモニタ信号の振幅の基準値を超えたときに制御シーケンスを開始する設定となる。図7の例では、光伝送装置に取り付けられた場合に、モニタ信号の振幅の基準値として直線で示した値をモニタ信号の振幅が超えたとき、制御部14は、出力信号の振幅が制御シーケンスを開始する振幅を超えたと判断する。
本実施形態の基準設定システムは、プラガブル光トランシーバ10に試験信号を入力し、光変調部12に入力される駆動信号の振幅と、制御部14に入力されるモニタ信号との関係を基に、キャリブレーションの開始を判断する際の振幅の基準値の設定を行っている。測定器41で計測した信号の振幅と、制御部14に入力されるモニタ信号との関係を基に基準値を設定することで、制御部14において実際の駆動信号の振幅に相当する信号を検知したときにキャリブレーションの開始を判断することができる。その結果、本実施形態の基準設定システムを用いて振幅の基準値を設定したプラガブル光トランシーバ10を用いることで、外部装置である光伝送装置20からの信号の入力を検出し、自律的に制御シーケンスの実行を開始することができる。
第2の実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、デジタルコヒーレント方式以外の光通信ネットワークに用いられてもよい。デジタルコヒーレント方式以外に用いられる場合には、通信方式に基づいて光トランシーバに備えられている変調器の数に応じたアナログ信号が光伝送装置から光トランシーバに入力され、アナログ信号の増幅および変調による光変調信号の生成が行われる。また、第2の実施形態のプラガブル光トランシーバ10は、光信号の送信と受信を行う構成を備えているが、送信のみを行う構成であってもよい。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2018年1月30日に出願された日本出願特願2018−13157を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 電気信号入力手段
2 増幅手段
3 変調手段
4 光信号出力手段
5 制御手段
10 プラガブル光トランシーバ
11 光源
12 光変調部
13 データドライバ部
14 制御部
15 光受信部
16 電気信号入力部
17 光信号出力部
18 光信号入力部
20 光伝送装置
21 制御部
22 送信信号処理部
23 受信信号処理部
31 演算装置
32 記憶装置
41 測定器
42 信号発生器
43 制御用コンピュータ
50 電気回路
100 コネクタ部

Claims (10)

  1. 自装置が装着されている外部装置からコネクタを介して電気信号が入力される電気信号入力手段と、
    前記外部装置から前記コネクタを介して入力される前記電気信号を増幅し、光変調を行う際の駆動信号として出力する増幅手段と、
    光源から入力される光に前記駆動信号を基に変調を施して出力する変調手段と、
    前記変調手段が変調を施した光信号を出力する光ファイバが接続される光信号出力手段と、
    前記増幅手段が出力する前記駆動信号の振幅を監視し、前記駆動信号の振幅があらかじめ設定された基準値を超えたことを検出したとき、前記増幅手段または前記変調手段の少なくとも一方についてあらかじめ設定された制御シーケンスを実行する制御手段と
    を備えることを特徴とするプラガブル光トランシーバ。
  2. 前記増幅手段は、前記変調手段と、前記制御手段に前記駆動信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のプラガブル光トランシーバ。
  3. 前記基準値のデータを保持する記憶手段をさらに備え、
    前記記憶手段は、前記電気信号の送信元の装置から入力された前記基準値のデータを記憶することを特徴とする請求項1または2に記載のプラガブル光トランシーバ。
  4. 請求項1から3いずれかに記載のプラガブル光トランシーバと、
    前記駆動信号の振幅を計測する計測手段と、
    前記プラガブル光トランシーバの前記制御手段から前記駆動信号の振幅のデータを取得する取得手段と、
    前記計測手段が計測した前記駆動信号の振幅と、前記制御手段から取得した前記振幅のデータを基に、前記制御手段が前記制御シーケンスを実行する際の前記基準値を設定する設定制御手段と
    を備えることを特徴とするプラガブル光トランシーバの設定システム。
  5. 前記制御手段は、前記プラガブル光トランシーバに試験信号を出力し、
    前記プラガブル光トランシーバの前記増幅手段は、前記試験信号を増幅して前記駆動信号として出力することを特徴とする請求項4に記載のプラガブル光トランシーバの設定システム。
  6. 請求項1から3いずれかに記載のプラガブル光トランシーバと、
    伝送路を介して伝送されるデータに基づいた電気信号を前記プラガブル光トランシーバに出力する光伝送装置と
    を備え、
    前記プラガブル光トランシーバの前記増幅手段は、前記外部装置である前記光伝送装置から入力される前記電気信号を増幅し、前記駆動信号として出力することを特徴とする光伝送システム。
  7. プラガブル光トランシーバが装着される外部装置から前記プラガブル光トランシーバに入力される電気信号を増幅器において増幅し、光変調器の駆動信号として出力し、
    前記光変調器において光源から入力される光に前記駆動信号を基に変調を施して出力し、
    前記駆動信号の振幅を監視し、
    前記駆動信号の振幅があらかじめ設定された基準値を超えたことを検出したとき、前記増幅器または前記光変調器の少なくとも一方についてあらかじめ設定された制御シーケンスを実行することを特徴とするプラガブル光トランシーバの設定方法。
  8. 前記プラガブル光トランシーバにおいて外部から入力された前記基準値のデータを記憶し、
    前記駆動信号の振幅が記憶した前記基準値を超えたことを検出したとき、前記増幅器または前記光変調器の少なくとも一方について前記制御シーケンスを実行することを特徴とする請求項7に記載のプラガブル光トランシーバの設定方法。
  9. 前記駆動信号の振幅を計測し、
    前記プラガブル光トランシーバから前記駆動信号の振幅のデータを取得し、
    計測した前記駆動信号の振幅と、前記プラガブル光トランシーバから取得した前記振幅のデータを基に、前記制御シーケンスを実行する際の前記基準値を設定することを特徴とする請求項7または8に記載のプラガブル光トランシーバの設定方法。
  10. 前記プラガブル光トランシーバに試験信号を出力し、
    前記プラガブル光トランシーバの前記増幅器において、前記試験信号を増幅して前記駆動信号の振幅を基に前記基準値を設定することを特徴とする請求項9に記載のプラガブル光トランシーバの設定方法。
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