以下、本発明に係る測定データ処理装置および測定システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、測定装置1およびデータサーバ2を備えると共に、パーソナルコンピュータ3や、図示しないスマートフォンおよびタブレット端末などを使用して測定装置1による測定結果をデータサーバ2からダウンロードして利用することができるように構成されている。なお、同図では、測定システム100の構成・動作についての理解を容易とするために、測定装置1、データサーバ2およびパーソナルコンピュータ3がインターネットNに直接接続されているように図示しているが、各装置の設置場所に構築されているローカルエリアネットワークを介して各装置がインターネットN(グローバルネットワーク)に接続されてもよい。
測定装置1は、「測定装置」の一例であって、測定部11、操作部12、表示部13、通信部14、処理部15および記憶部16を備え、測定対象Xについての「被測定量」の値(電圧値、電流値および抵抗値などの各種の電気的パラメータ)を測定することができるように構成されている。
測定部11は、「測定部」の一例であって、処理部15の制御に従い、測定対象Xについての「被測定量」を測定して測定値D0(「測定値」の一例)を出力する。なお、実際の測定装置1では、複数の「測定チャネル」や複数の「測定レンジ」(すなわち、複数の「測定部」)を備えて構成されているが、「測定装置」、「測定データ処理装置」および「測定システム」の構成についての理解を容易とするために、1つの「測定チャネル」および1つの「測定レンジ」(すなわち、1つの「測定部」)を備えて構成されているものとして説明する。また、「被測定量」についても、実際の測定装置1(測定部11)では、上記したように各種の電気的パラメータを測定することが可能に構成されているが、本例では、一例として測定対象Xについての「直流電圧」を「被測定量」として測定するものとして説明する。
操作部12は、測定条件(動作条件)の入力操作が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部13は、処理部15の制御に従い、測定結果の表示画面など(図示せず)を表示する。通信部14は、一例として、LANケーブルを接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部15の制御に従ってデータサーバ2等(インターネットN等を介してアクセス可能な外部装置)との間で各種のデータを送受信する。なお、通信部14に代えて(または、通信部14に加えて)、インターネットNに接続されている無線LANアクセスポイントに接続可能な無線LANアダプタやブルートゥース(Bluetooth :登録商標)通信モジュールなどを備えて構成することもできる。
処理部15は、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、「測定装置側処理部」に相当し、操作部12の操作等によって指定された測定条件に従って測定部11を制御して測定対象Xについての測定処理を実行させる。また、処理部15は、測定処理によって測定部11から出力された測定値D0に測定時刻を関連付けた測定値データD1(「測定値データ」の一例)を生成し、生成した測定値データD1を記憶部16に記憶させる(「データ生成処理」の実行)。さらに、処理部15は、後述する「測定部11の校正」が行なわれたときに、校正結果に基づいて校正値データDp(「校正値データ」の一例)を生成し、生成した校正値データDpを記憶部16に記憶させる。
また、処理部15は、一例として、予め指定された時間間隔で記憶部16から測定値データD1を読み出して通信部14からインターネットNを介してデータサーバ2(外部装置)に出力する処理(アップロードする処理)を実行する。さらに、処理部15は、一例として、上記の校正値データDpの生成および記憶部16への記憶が完了した時点以降にデータサーバ2に対して最初に測定値データD1を出力する際に、記憶部16から校正値データDpを読み出して通信部14からインターネットNを介してデータサーバ2に出力する処理(アップロードする処理)を実行する。なお、本例では、処理部15が測定値データD1をデータサーバ2に出力する処理が「第1のデータ出力処理」に相当し、処理部15が校正値データDpをデータサーバ2に出力する処理が「第2のデータ出力処理」に相当する。
記憶部16は、処理部15の動作プログラムや、処理部15によって生成される測定値データD1および校正値データDpなどを記憶する。また、記憶部16は、「記憶部」に相当し、測定部11を識別可能に測定部11に対して個別的に付与された識別符号(「測定部」毎に付与されるユニークな符号)を記録した識別符号データDiを記憶する。なお、本例では、1つの「測定部」である測定部11だけを備えた例について説明するため、以下、測定部11を識別可能な「識別情報」を記録した識別符号データDiについて、測定装置1を識別可能な「識別情報」を記録した識別符号データDiともいう。
この場合、記憶部16には、測定装置1の製造時(または、使用開始時)に行なわれた「測定部11の校正」において生成された校正値データDpが記憶されている。この校正値データDpは、測定装置1の製造時(または、使用開始時)に実施された校正時に使用された「校正用基準値」と、その校正時に測定部11によって「校正用基準値」の「被測定量」を測定したときに出力される測定値D0である「校正時実測値」とが、校正の実施時刻(「校正時刻」の一例)、および測定部11に対して付与された「識別符号」(識別符号データDiに記録されている符号)に関連付けられて記録されている(「校正用基準値」および「校正時実測値」そのものが「校正情報」として「識別符号」および「校正時刻」に関連付けられて記録された「校正値データ」の例)。
より具体的には、一例として、校正時に使用された「校正用基準値」の一例である「1.0V」および「10.0V」との2つの値と、測定部11によって「校正用基準値」としての「1.0V」の直流電圧を測定した際の測定値D0である「1.0V」との値(「校正時実測値」の一例)、および測定部11によって「校正用基準値」としての「10.0V」の直流電圧を測定した際の測定値D0である「10.0V」との値(「校正時実測値」の他の一例)とが、測定部11の「識別符号」、および同じ日付の「校正時刻」に関連付けられて記録されている(「校正時刻の相違量が予め規定された時間内で、特定される校正用基準値の大きさが互いに相違する複数の校正情報が記録された校正値データ」の一例であり、「予め規定された時間内」が「同一の日付」との条件である例)。
なお、測定装置1の使用開始時点において記憶部16に記憶させられている校正値データDpとして、「校正時実測値」が「校正用基準値」と一致している「構成情報」が記録されている例について説明するが、この校正値データDpについては、測定装置1の許容誤差の範囲内で「校正時実測値」が「校正用基準値」とは僅かに相違していることもある。
また、この測定装置1は、図示しないメモリーカードスロットやUSB接続端子等を備え、各種のリムーバブルメモリを「外部装置」として測定値データD1や校正値データDpなどをリムーバブルメモリに出力すること(外部装置を使用せずにスタンドアローンで使用すること)ができるように構成されているが、測定システム100の構成についての理解を容易とするために、インターネットNを介してデータサーバ2(外部装置)に測定値データD1や校正値データDpを出力する使用形態を例に挙げて説明する。
一方、データサーバ2は、「測定データ処理装置(インターネットを介して外部からアクセス可能な処理端末)」の一例であって、図1に示すように、通信部21、処理部22および記憶部23を備えている。なお、実際のデータサーバ2には、操作部や表示部などの各種周辺機器が接続されているが、測定システム100(データサーバ2)についての理解を容易とするために、これらの機器についての図示および説明を省略する。
通信部21は、測定装置1における通信部14と同様にして、一例として、LANケーブルを接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部22の制御に従って測定装置1やパーソナルコンピュータ3等(インターネットN等を介してアクセス可能な外部装置)との間で各種のデータを送受信する。
処理部22は、データサーバ2を総括的に制御する。この処理部22は、「処理装置側処理部」の一例であって、後述するように測定装置1から出力される(アップロードされる)測定値データD1を、その測定値データD1に関連付けられている識別符号データDiの「識別符号」に関連付けて記憶部23に記憶させる。また、処理部22は、後述するように測定装置1から出力される(アップロードされる)校正値データDpを、その校正値データDpと共に出力される(アップロードされる)識別符号データDiの「識別符号」に関連付けて記憶部23に記憶させる。
さらに、処理部22は、後述するように、校正値データDpに記録されている「校正情報」基づいて、各「測定値」を補正するための「補正量」を特定して補正量データDcを生成し、生成した補正量データDcを、対応する「校正時刻」、および識別符号データDiの「識別符号」に関連付けて記憶部23に記憶させる。
また、処理部22は、記憶部23に記憶させた測定値データD1に記録されている「測定値」を、校正値データDpや補正量データDcに基づいて補正すると共に、補正後の「測定値」を対応する「測定時刻」および「識別符号」に関連付けて記録した測定値データD1(「補正後測定値データ」の一例)を上書き保存し、かつ補正前の「測定値」を対応する「測定時刻」および「識別符号」に関連付けて記録した測定値データD1(「補正前測定値データ」の一例を「補正後測定値データ」の測定値データD1と区別可能にそれぞれ保存する「測定値補正処理」を実行する(「補正前測定値データと補正後測定値データとを区別可能に測定値データとして保存する」との処理の一例)。以下、「補正前測定値データ」である測定値データD1と、「補正後測定値データ」である測定値データD1とを区別するために、「補正前測定値データ」の測定値データD1を「測定値データD1a」ともいう。
また、処理部22は、パーソナルコンピュータ3等の外部装置からの要求に応じて、記憶部23に記憶されている測定値データD1,D1aなどを通信部21から外部装置に送信する(外部装置に各データをダウンロードさせる)処理を実行する。記憶部23は、処理部22の動作プログラムや、上記の識別符号データDi、校正値データDp、補正量データDcおよび測定値データD1,D1aなどを記憶する。
また、パーソナルコンピュータ3は、インターネットNを介してデータサーバ2等にアクセス可能な「外部装置」としての情報処理端末の一例であって、Webブラウザを稼働可能な既存のパーソナルコンピュータで構成されている。このパーソナルコンピュータ3は、通信部31、処理部32および記憶部33を備えている。なお、実際のパーソナルコンピュータ3には、操作部や表示部などの各種周辺機器が接続されているが、測定システム100(パーソナルコンピュータ3)についての理解を容易とするために、これらの機器についての図示および説明を省略する。
通信部31は、測定装置1の通信部14やデータサーバ2の通信部21と同様にLANケーブルを接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部32の制御に従ってデータサーバ2等の外部装置との間で各種のデータを送受信する。処理部32は、記憶部33を総括的に制御する。記憶部33は、記憶部33の動作プログラムや、データサーバ2からダウンロードした測定値データD1,D1aなどを記憶する。
なお、本例では、データサーバ2に蓄積された測定値データD1,D1a等のダウンロードをパーソナルコンピュータ3からリクエストしてパーソナルコンピュータ3において使用する例について説明するが、パーソナルコンピュータ3に代えて、スマートフォンやタブレット端末などの各種の情報端末によってデータサーバ2にアクセスして測定値データD1のダウンロードのリクエスト、およびダウンロードした測定値データD1の使用を行うこともできる。
次に、測定システム100を用いた測定、および測定結果の利用の一例について、添付図面を参照して説明する。
この測定システム100の運用開始に際しては、利用者の初期情報をデータサーバ2に登録する。具体的には、一例として、ます、パーソナルコンピュータ3等を操作してインターネットNを介してデータサーバ2にアクセスし、測定システム100の利用者登録を行う。この際には、運用開始後にパーソナルコンピュータ3等を使用してデータサーバ2にアクセスする者のIDおよびパスワード等が測定システム100の「利用者情報」としてデータサーバ2に登録されると共に、その者が所有している測定装置1(使用する測定装置1)の測定部11に対して付与されている「識別符号」が「利用者情報」に関連付けられて登録される。
次いで、上記の「利用者登録」において登録した測定装置1を起動して図示しない動作条件設定画面を表示させ、インターネットNを介してデータサーバ2にアクセスさせる。この際に、データサーバ2の処理部22は、アクセスされた測定装置1に対して識別符号データDiの送信を要求し、これに応じて、測定装置1の処理部15が記憶部16から識別符号データDiを読み出して通信部14からデータサーバ2に送信させる。
また、データサーバ2では、処理部22が、送信された識別符号データDiを解析することにより、いずれの「利用者情報」に登録された測定装置1(測定部11)の識別符号データDi(識別符号)であるか否かを判別する。この際に、登録されている測定装置1の識別符号データDiであると判別したときには、その測定装置1(識別符号データDi)に関連付けられた校正値データDpが記憶部23に記憶されているか否かを判別する。
この場合、測定装置1によるデータサーバ2へのアクセスが前述した「利用者登録」後の最初のアクセスであり、測定装置1から送信された識別符号データDiに関連付けられた校正値データDpが記憶部23に記憶されていないこの時点においては、処理部22は、測定装置1に対して校正値データDpの送信を要求する。これに応じて、測定装置1では、処理部15が記憶部16から校正値データDp(製造時、または、使用開始時に行なわれた校正に際して生成された校正値データDp)を読み出して通信部14からデータサーバ2に送信させ、データサーバ2では、処理部22が、送信された校正値データDpを識別符号データDiに関連付けて記憶部23に記憶させる。
なお、上記の「利用者登録」は、パーソナルコンピュータ3以外の任意の処理端末(データサーバ2にアクセス可能な各種の情報端末)の操作によって実施することができる。また、利用者自らがデータサーバ2にアクセスして各種の情報を登録する利用形態に限定されず、一例として、測定装置1の製造者が測定装置1の利用者に対してIDやパスワードの初期値を発行し、発行した情報をデータサーバ2に予め登録しておくこともできる。同様にして、データサーバ2への校正値データDpの登録についても、測定装置1からデータサーバ2にアクセスして実施する上記の利用形態に限定されず、一例として、測定装置1の製造者が測定装置1の利用者の登録情報の1つとして識別符号データDiと共にデータサーバ2に予め登録しておくこともできる。
続いて、測定装置1の操作部12を操作して測定条件を設定する。この際には、一例として、1日に1回の測定処理を実行し、測定処理が完了する都度、測定値データD1をデータサーバ2にアップロードするように設定する。なお、測定装置1による測定条件(動作条件)については、操作部12の操作による設定に限定されず、データサーバ2などの外部装置において設定した測定条件を測定装置1にダウンロードして設定することもできる。次いで、測定部11を測定対象Xに接続すると共に、通信部14をインターネットNに接続する。以上により、測定システム100の運用開始前の準備作業が完了する。
一方、運用開始後には、測定装置1の処理部15が、設定された測定条件に従い、測定部11を制御して測定対象Xについての「被測定量(本例では、直流電圧)」を測定させる。また、処理部15は、測定部11から出力される測定値D0を「測定時刻」に関連付けて記録した測定値データD1を生成して記憶部16に記憶させる。さらに、処理部15は、記憶させた測定値データD1を測定部11の識別符号データDiと共に通信部14からインターネットNを介してデータサーバ2に出力(アップロード)させる(「予め規定された第1の条件」が「測定値データD1の生成が完了したとき」との条件の「第1のデータ出力処理」の例)。
これに応じて、データサーバ2では、処理部22が、通信部21によって受信された(測定装置1から送信された)測定値データD1を、測定値データD1と共に送信された識別符号データDiの「識別符号」に関連付けて記憶部23に記憶させる。このように、測定装置1による測定処理および測定値データD1等の送信処理と、データサーバ2による測定値データD1等の記憶処理(保存処理)とを継続して繰り返し実行することにより、データサーバ2の記憶部23には、複数の測定値データD1が、その測定値データD1の「測定値」を出力した測定部11の「識別符号」および「測定時刻」に関連付けられて記憶される。
この場合、この測定システム100では、測定装置1の設置場所(測定対象Xの近傍)とは異なる任意の場所から、上記のように測定装置1からデータサーバ2にアップロードされてデータサーバ2に保存されている測定値データD1をダウンロードして測定対象Xについての「測定値」を得ることができる。具体的には、一例として、パーソナルコンピュータ3を操作してデータサーバ2にアクセスする。この際には、処理部22によって、上記の「利用者情報」に基づく認証処理が実行され、登録されているIDおよびパスワードが入力されたときに、そのIDおよびパスワードの利用者に関連付けられた測定装置1がリスト表示される(図示せず)。
次いで、パーソナルコンピュータ3を操作して、測定値データD1のダウンロードをリクエストする対象の測定装置1を選択する。これに応じて、処理部22は、一例として、選択された測定装置1からアップロードされた各測定値データD1の測定時刻などをパーソナルコンピュータ3に送信して表示部に表示させることにより、いずれの測定時刻からいずれの測定時刻までの測定値データD1のダウンロードを希望するかを選択させる。また、処理部22は、選択された結果に応じて記憶部23から測定値データD1を読み出し、通信部21からインターネットNを介してパーソナルコンピュータ3に出力(送信)する。これにより、測定装置1の設置場所から離れていても、測定装置1による測定対象Xについての「測定値」を得て表示したり印刷したりすることが可能となる。
なお、測定値データD1のダウンロードを希望した測定装置1(測定部11)についての校正値データDpに記録された「校正情報」において「校正時実測値」が「校正用基準値」と一致している本例では実施されないが、対応する測定装置1(測定部11)についての校正値データDpが、その測定装置1の製造時(または、使用開始時)に行なわれた校正時の校正値データDpだけであり、かつ、記録されている「校正情報」において「校正時実測値」が「校正用基準値」とは相違するときに、処理部22は、「校正情報」に基づいて特定した「補正量」を使用して補正した「測定値」と、補正を行わない「測定値」のいずれが記録された測定値データD1のダウンロードを希望するかを選択させる。この際に、補正後の「測定値」が記録された測定値データD1のダウンロードを選択されたときに、処理部22は、後述する「測定値補正処理」を実行し、補正後の「測定値」が記録された測定値データD1を生成して通信部21からパーソナルコンピュータ3に出力する。
一方、この種の測定システム100において使用される測定装置1では、長期に亘って測定処理を繰り返し実行したときに、使用環境によっては、測定部11(各種のセンサ等)の経年変化に起因して測定値D0に僅かな誤差が生じることがある。したがって、測定部11(センサ)の種別や使用環境に応じて予め定めた一定期間毎に、測定部11を校正するのが好ましい。
具体的には、一例として、「校正用基準値」の一例である「1.0V」を使用した校正、および「校正用基準値」の他の一例である「10.0V」を使用した校正を同日中に(例えば連続して)実施する。この際には、図2に示すように、一例として、「校正用基準値:1.0V」を使用した校正時に測定部11から「0.9V」との測定値D0が出力され、「校正用基準値:10.0V」を使用した校正時に測定部11から「9.0V」との測定値D0が出力されときに、処理部15は、「校正用基準値:1.0V、校正時実測値:0.9V」との値に、「校正用基準値:1.0V」を使用した校正の実行時刻(校正時刻)を関連付けて記録すると共に、「校正用基準値:10.0V、校正時実測値:9.0V」との値に、「校正用基準値:10.0V」を使用した校正の実行時刻(校正時刻)を関連付けて記録した校正値データDpを生成して記憶部16に記憶させる。
なお、同図および後に参照する各図では、測定システム100(測定装置1およびデータサーバ2)の校正についての理解を容易とするために、「校正用基準値」と「校正時実測値」との差が非常に大きい数値となっている例を図示しているが、実際の測定装置1では、「校正用基準値」と「校正時実測値」との差が十分に小さな数値となっている。また、校正値データDpの生成については、校正時に測定部11から出力された測定値D0に基づいて処理部15が自動的に生成する上記の例に限定されず、利用者が操作部12を操作して「校正用基準値」、「校正時実測値」および「校正時刻」などを入力して処理部22に生成させる構成を採用することもできる。
また、処理部15は、新たな校正値データDpの生成および記憶部16への記憶が完了した時点以降にデータサーバ2に対して最初に測定値データD1を出力するとき(「予め規定された第2の条件が満たされたとき」の一例)に、記憶部16から校正値データDpおよび識別符号データDiを読み出して通信部14からインターネットNを介してデータサーバ2に出力する(アップロードする)。これに応じて、データサーバ2では、処理部22が、通信部21によって受信された校正値データDpを識別符号データDiの「識別符号」に関連付けて記憶部23に記憶させる。
一方、データサーバ2では、関連付けられた「識別符号」が一致し、同じ「校正用基準値」が特定される「校正情報」が記録され、かつ「校正時刻」が相違する複数の校正値データDpが存在する状態において、パーソナルコンピュータ3などから「補正後測定値」が記録された測定値データD1のダウンロードがリクエストされたときに、「測定値補正処理」を実行して各「測定値」を補正する。
この際に、処理部22は、まず、各「測定値」を補正可能な「補正量」を特定する処理を実行する。具体的には、処理部22は、「校正用基準値:1.0V」および「校正用基準値:10.0V」に対応する2つの「校正情報」が記録された校正値データDpが記憶部23に記憶されているときに、「校正時実測値」の一例である「0.9V」との値(「第1の値」の一例)から、「校正時実測値」の他の一例である「9.0V」との値(「第2の値」の一例)までの間の各「測定値」を補正するための「補正量」を校正値データDp毎に線形近似によってそれぞれ特定する。
より具体的には、処理部22は、図2に示すように、「0.9V」の「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が、「校正用基準値:1.0V」と「校正時実測値:0.9V」との差である「0.1V(「校正時実測値と同値で校正時刻と同時刻に測定され得る仮想測定値を校正用基準値と同値である真値に補正可能な基準補正量」の一例)」で、かつ「9.0V」の「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が、「校正用基準値:10.0V」と「校正時実測値:9.0V」との差である「1.0V(「校正時実測値と同値で校正時刻と同時刻に測定され得る仮想測定値を校正用基準値と同値である真値に補正可能な基準補正量」の他の一例)」となるように各「測定値」毎の「補正量」を実線L1で示すように線形近似(本例では、直線近似)によって特定する。これにより、「測定値=0.9V」および「測定値=9.0V」の2値だけでなく、「0.0V<測定値<0.9V」、「0.9V<測定値<9.0V」および「測定値>9.0V」の各値をそれぞれ補正可能な「補正量」が特定される。なお、上記の「真値」は、「真の値と想定される値」、すなわち「測定誤差が生じない測定部によって測定され得る値」を意味する。
次いで、処理部22は、特定した各「補正量」、または、各「補正量」を特定可能な「係数」を記録して補正量データDcを生成し、生成した補正量データDcに、対応する測定部11の識別符号データDi、および対応する校正値データDpの「校正時刻」を関連付けて記憶部23に記憶させる。この際には、一例として、校正値データDp内に記録されている各「校正時刻」のうちの最も遅い時刻」を識別符号データDiと共に補正量データDcに関連付けて記憶部23に記憶させる。また、本例では、測定装置1から最初にアップロードされた校正値データDpについて、各「測定値」毎の「補正量」が「0V」との補正量データDcを生成して記憶部23に記憶させる。なお、これらの補正量データDcの生成および記憶の処理については、「測定値」を補正する必要が生じたこのタイミングに限定されず、測定装置1から校正値データDpがアップロードされた時点において実行してもよい。
次いで、処理部22は、測定値データD1の「測定値」を「測定時刻」に応じて「補正量」を補正する。具体的には、処理部22は、いずれかの校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻(「第1の時刻」)」に対応する値が、その校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」で、かつ他のいずれかの校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻(「第2の時刻」)」に対応する値が、その校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」となるような線形近似によって特定される各値と同値の「測定値」を補正するための「補正量」を、「第1の時刻」に測定され得る「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が、上記のいずれかの校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」で、かつ「第2の時刻」に測定され得る「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が、上記の他のいずれかの校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」となるような線形近似によって「測定時刻」毎にそれぞれ特定する。
より具体的には、図3に示すように、一例として、測定装置1から最初にアップロードされた校正値データDpの「校正時刻(校正日)」が「20X0年01月01日」で、測定装置1から2番目にアップロードされた校正値データDpの「校正時刻(校正日)」が「20X1年01月01日」であるものとする。なお、データサーバ2による「測定値補正処理」についての理解を容易とするために、校正した日付(校正日)を「校正時刻」として説明するが、実際には、校正した日付および時刻が「校正時刻」として扱われて以下の処理が実行される。また、後述の「測定値」の補正に際しても、測定した日付(測定日)を「測定時刻」として補正する例について説明するが、実際には、測定した日付および時刻が「測定時刻」として扱われて「測定値」が補正される。
同図に示す例において、処理部22は、例えば、最初の校正値データDpおよび2番目の校正値データDpを記憶部23から読み出し(「複数の校正値データを取得する」との処理の一例)、最初の校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻:第1の時刻」である「校正日:20X0年01月01日」に対応する値が、その校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」である「1.0V」で、かつ2番目の校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻:第2の時刻」である「校正日:20X1年01月01日」に対応する値が、その校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」である「0.9V」となるような線形近似(本例では、直線近似)によって特定される各値(仮に、「校正用基準値:1.0V」の校正を行ったときに実測されると予測される「校正時実測値」)と同値の「測定値」を補正するための「補正量」を、「測定日(測定時刻)」が「第1の時刻:20X0年01月01日」である「測定値」を補正するための「補正量」が、最初の校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」である「0.0V」で、かつ「測定日(測定時刻)」が「第2の時刻:20X1年01月01日」である「測定値」を補正するための「補正量」が、2番目の校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」である「0.1V」となるような線形近似(一点鎖線L2で示すような直線近似)によって各「測定日(測定時刻)」毎にそれぞれ特定する。これにより、例えば、「測定日(測定時刻):20X0年07月02日」の「0.95V」との「測定値」を補正するための「補正量」が「0.05V」であると特定される。
同様にして、処理部22は、例えば、最初の校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻:第1の時刻」である「校正日:20X0年01月01日」に対応する値が、その校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」である「10.0V」で、かつ2番目の校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻:第2の時刻」である「校正日:20X1年01月01日」に対応する値が、その校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」である「9.0V」となるような線形近似(本例では、直線近似)によって特定される各値(仮に、「校正用基準値:10.0V」の校正を行ったときに実測されると予測される「校正時実測値」)と同値の「測定値」を補正するための「補正量」を、「測定日(測定時刻)」が「第1の時刻:20X0年01月01日」である「測定値」を補正するための「補正量」が、最初の校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」である「0.0V」で、かつ「測定日(測定時刻)」が「第2の時刻:20X1年01月01日」である「測定値」を補正するための「補正量」が、2番目の校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」である「1.0V」となるような線形近似(二点鎖線L3で示すような直線近似)によって各「測定日(測定時刻)」毎にそれぞれ特定する。これにより、例えば、「測定日(測定時刻):20X0年07月02日」の「9.5V」との「測定値」を補正するための「補正量」が「0.5V」であると特定される。
なお、詳細な説明を省略するが、上記の「測定日(測定時刻):20X0年07月02日」の「0.95V」や「9.5V」以外の「測定値」についても、先に生成した補正量データDcを利用して、「測定時刻」が「20X0年01月01日」から「20X1年01月01日」までの間の「測定値」については、上記の線形近似(直線近似)によって特定される「補正量」に応じた補正が行なわれる。
この場合、「測定日(測定時刻)」が「20X1年01月01日」以降の「測定値」について、「校正日(校正時刻)」が「20X1年01月01日」以降の校正値データDpが存在しないときには、上記の線形近似(直線近似)によって特定される各「補正量」の増減の比に応じた量で増減する「補正量」が特定される。また、「測定日(測定時刻)」が「20X1年01月01日」以降の「測定値」について、「校正日(校正時刻)」が「20X1年01月01日」以降の校正値データDpが存在する場合には、「校正日(校正時刻):20X1年01月01日」の校正値データDpに記録されている「校正情報」と、「校正日(校正時刻):20X1年01月01日以降」の校正値データDpに記録されている「校正情報」とを使用して、上記のように線形近似によって各「測定日(測定時刻)」に対応する「補正量」が特定される。さらに、「20X0年01月01日」以前の校正値データDpが存在しない本例において、仮に「測定日(測定時刻)」が「20X0年01月01日」以前の「測定値」が存在するときには、上記の線形近似(直線近似)によって特定される各「補正量」の増減の比に応じた量で増減する「補正量」が特定される。
なお、上記の「補正量」の特定については、「線形近似(本例では直線近似)」によってその都度特定する構成に限定されず、「測定値」の補正に必要となる時刻および値毎に「補正量」を予め特定してデータテーブル化しておくこともできる。次いで、処理部22は、特定した「補正量」を使用して各「測定値」を補正する。また、処理部22は、補正後の「測定値」を対応する「測定時刻」および「識別符号」に関連付けて記録した測定値データD1(「補正後測定値データ」の一例)を記憶部23に上書き保存し、かつ補正前の「測定値」を対応する「測定時刻」および「識別符号」に関連付けて記録した測定値データD1a(「補正前測定値データ」の一例)を測定値データD1と共に記憶部23に保存する。
この後、処理部22は、「測定値データD1(「補正後測定値」が記録された測定値データD1)」のダウンロードをリクエストしたパーソナルコンピュータ3に通信部21からインターネットNを介して測定値データD1を送信する。これにより、データサーバ2において測定装置1の実態に即して正しく補正された「測定値」が記録された測定値データD1がパーソナルコンピュータ3にダウンロードされて、測定結果の表示や印刷が行われる。
このように、この測定装置1では、処理部15が、測定部11から出力された「測定値」に「測定時刻」を関連付けて記録した測定値データD1を生成する「データ生成処理」において、「測定値」の「測定時刻」を「測定値」に関連付けて測定値データD1を生成し、「第1の条件」が満たされたとき(本例では、測定値データD1の生成が完了したとき)に、測定値データD1を「外部装置(本例では、データサーバ2)」に出力する「第1のデータ出力処理」を実行すると共に、「第2の条件」が満たされたとき(本例では、校正値データDpの生成が完了した時点以降に最初に測定値データD1を送信するとき)に、測定部11の校正時に使用された「校正用基準値」、および測定部11の校正時に測定部11によって「校正用基準値」の「被測定量」を測定したときに出力される「測定値」である「校正時実測値」の両値を特定可能な「校正情報」に測定部11の「校正時刻」を関連付けて記録した校正値データDpを「外部装置(データサーバ2)」に出力する「第2のデータ出力処理」を実行する。
また、このデータサーバ2では、処理部22が、測定値データD1および校正値データDpを取得して測定値データD1に記録されている「測定値」を校正値データDpに記録されている「校正情報」に基づいて補正する「測定値補正処理」において、「校正情報」に基づき、「校正時実測値」と同値で測定部11の「校正時刻」と同時刻に測定され得る「測定値(仮想測定値)」を真値に補正可能な「基準補正量」を特定すると共に、「測定値」の「測定時刻」、測定部11の「校正時刻」および特定した「基準補正量」に基づき、測定値データD1に記録されている「測定値」を補正する「補正量」を特定して「測定値」を補正する。さらに、この測定システム100では、測定装置1およびデータサーバ2を備えて構成されている。
したがって、この測定装置1、データサーバ2および測定システム100によれば、同種の測定装置(センサ)において生じた経年変化の状態を平均化した統計値(代表値)で構成された経年変化補正値が測定装置からサーバに出力される従来の測定システムとは異なり、測定部11を対象として実際に行なわれた校正の結果(校正情報)を記録した校正値データDpが測定装置1から「外部装置(データサーバ2)」に出力されることで、測定値データD1と共に校正値データDpを取得した「外部装置(データサーバ2)」において、測定値データD1に記録されている「測定値」を、各測定部11毎の初期特性や経年変化の度合いの相違による影響が十分に小さくなるように補正することができる結果、パーソナルコンピュータ3等に対して、測定誤差が十分に小さい測定値データD1をデータサーバ2から提供することができる。
また、この測定装置1では、処理部15が、「データ生成処理」において、「測定値」を出力した測定部11の「識別符号」を「測定値」の「測定時刻」と共に「測定値」に関連付けて測定値データD1を生成し、「第2のデータ出力処理」において、測定部11の「識別符号」および測定部11の「校正時刻」を「校正情報」に関連付けて記録した校正値データDpを「外部装置(データサーバ2)」に出力する。さらに、このデータサーバ2では、処理部22が、「測定値補正処理」において、「測定値」を出力した測定部11の「識別符号」が「測定値」の「測定時刻」と共に「測定値」に関連付けて記録された測定値データD1と、測定値データD1の「測定値」に関連付けられた「識別符号」と一致する「識別符号」および測定部11の「校正時刻」が「校正情報」に関連付けて記録された校正値データDpとを取得して測定値データD1に記録されている「測定値」を補正する。
したがって、この測定装置1、データサーバ2および測定システム100によれば、各測定装置11毎に専用の「測定データ処理装置」を用意することなく、「識別符号」が一致するデータを使用することで、複数台の測定装置11から出力された複数の測定値データD1の「測定値」を1台のデータサーバ2によってそれぞれ補正することができる。
また、このデータサーバ2では、処理部22が、「測定値補正処理」において、関連付けられた「校正時刻」の相違量が予め規定された時間内で、特定される「校正用基準値」の大きさが互いに相違する複数の「校正情報」が記録された校正値データDpを取得すると共に、少なくとも、いずれかの「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」である「第1の値」から、他のいずれかの「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」である「第2の値」までの間の「測定値」を補正するための「補正量」を、「第1の値」と同値の「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」がいずれかの「校正情報」に基づいて特定される「基準補正量」で、かつ「第2の値」と同値の「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が他のいずれかの「校正情報」に基づいて特定される「基準補正量」となるような線形近似(本例では、直線近似)によって特定する。
したがって、このデータサーバ2、およびデータサーバ2を備えた測定システム100によれば、例えば、「所定の測定値範囲」内の「測定値」を、「校正時実測値」が「所定の測定値範囲」内の校正値データDp、または、「校正時実測値」が「所定の測定値範囲」に近い校正値データDpに基づいて特定される1種類の「補正量」で一様に補正する構成とは異なり、「第1の値」から「第2の値」までの「測定値」に関し、「第1の値」に近い「測定値」については、「校正時実測値」が「第1の値」の校正値データDpに基づいて特定される「補正量」に近い「補正量」で補正され、「第2の値」に近い「測定値」については、「校正時実測値」が「第2の値」の校正値データDpに基づいて特定される「補正量」に近い「補正量」で補正されるため、「校正時実測値」とは異なる「測定値」についても、「校正時実測値」との相違量に即した「補正量」で好適に補正することができる。
さらに、このデータサーバ2では、処理部22が、「測定値補正処理」において、「校正情報」に基づいて特定される「校正用基準値」が一致し、かつ「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」が相違する複数の校正値データDpを取得すると共に、いずれかの校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」である「第1の時刻」に対応する値がその校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」で、かつ他のいずれかの校正値データDpに記録された「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」である「第2の時刻」に対応する値がその校正値データDpに記録された「校正情報」に基づいて特定される「校正時実測値」となるような線形近似によって特定される各値と同値の「測定値」を補正するための「補正量」を、「第1の時刻」に測定され得る「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が上記のいずれかの校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」で、かつ「第2の時刻」に測定され得る「測定値(仮想測定値)」を補正するための「補正量」が上記の他のいずれかの校正値データDpに基づいて特定される「基準補正量」となるような線形近似によって特定する。
したがって、このデータサーバ2、およびデータサーバ2を備えた測定システムによれば、例えば、「所定の期間」内に測定された「測定値」を、「校正時刻」が「所定の期間」内の校正値データDp、または、「校正時刻」が「所定の期間」に近い校正値データDpに基づいて特定される1種類の「補正量」で一様に補正する構成とは異なり、「第1の時刻」から「第2の時刻」までの間に測定された「測定値」に関し、「測定時刻」が「第1の時刻」に近い「測定値」については、「校正時刻」が「第1の時刻」の校正値データDpに基づいて特定される「補正量」に近い「補正量」で補正され、「測定時刻」が「第2の時刻」に近い「測定値」については、「校正時刻」が「第2の時刻」の校正値データDpに基づいて特定される「補正量」に近い「補正量」で補正されるため、「校正時刻」とは異なる「測定時刻」の「測定値」についても、校正時からの経過時間に応じた「補正量」で好適に補正することができる。
また、このデータサーバ2では、処理部22が、「測定値補正処理」において、補正後の「測定値」を補正前の「測定値」に対応する「測定時刻」に関連付けて記録した記録した「補正後測定値データ」としての測定値データD1と、補正前の「測定値」を対応する「測定時刻」および「識別符号」に関連付けて記録した「補正前測定値データ」としての測定値データD1aとを区別可能に「測定値データ」として保存する。したがって、このデータサーバ2、およびデータサーバ2を備えた測定システム100によれば、パーソナルコンピュータ3等からの要求に応じて「補正後測定値」が記録された測定値データD1だけなく、「補正前測定値」が記録された測定値データD1aをデータサーバ2から提供することができる。
また、この測定システム100では、データサーバ2が、インターネットNを介して外部からアクセス可能な「処理端末」で構成され、測定装置1が、インターネットNを介してデータサーバ2にアクセス可能に構成されると共に、「第1のデータ出力処理」においてインターネットNを介してデータサーバ2に測定値データD1を出力し、かつ「第2のデータ出力処理」においてインターネットNを介してデータサーバ2に校正値データDpを出力する。
したがって、この測定システム100によれば、測定装置1から遠く離れた場所にデータサーバ2を設置して測定値データD1を保存することができると共に、データサーバ2から遠く離れた場所からでも、パーソナルコンピュータ3などによってデータサーバ2から測定値データD1,D1aをダウンロードして利用することができる。このため、測定対象Xについての測定時に利用者にかかる負担を十分に軽減することができる。
なお、「測定データ処理装置」および「測定システム」の構成については、上記のデータサーバ2および測定システム100の構成例に限定されない。
例えば、「測定値データ」を生成する「測定部」と、「校正値データ」に記録されている「校正情報」に対応する「測定部」との関係が明確な場合(一例として、「測定装置(測定部)」が1つだけのとき)には、「識別符号」を使用せずに各種のデータ処理を実行する構成を採用することができる。
また、関連付けられた「校正時刻」の相違量が予め規定された時間内(例えば、同日中)で、特定される「校正用基準値」の大きさが互いに相違する2つの「校正情報」が記録された校正値データDpを取得したときに、校正値データDpに記録されている「校正時実測値」とは相違する「測定値」を補正するための「補正量」を直線近似によって特定する例について説明したが、図4に示す例のように、「校正用基準値」の大きさが互いに相違する3つ以上の「校正情報」が記録された校正値データDpを取得したときに、校正値データDpに記録されている「校正時実測値」とは相違する「測定値」を補正するための「補正量」を実線L1aで示すように曲線近似によって特定する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、上記のデータサーバ2における「測定値補正処理」時と同様にして、校正値データDpに記録されている「校正時実測値」とは異なる「測定値」を「校正時実測値」との相違量に即した「補正量」で好適に補正して提供することができる。
同様にして、「校正用基準値」が特定される「校正情報」が記録され、かつ「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」が相違する2つの校正値データDpを取得したときに、「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」とは相違する「測定時刻」の「測定値」を補正するための「補正量」を直線近似によって特定する例について説明したが、図5に示す例のように、「校正時刻」が相違する3つ以上の校正値データDpを取得したときに、各校正値データDpの「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」とは相違する「測定時刻」の「測定値」を補正するための「補正量」を一点鎖線L2aや二点鎖線L3aで示すように曲線近似によって特定する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、上記のデータサーバ2における「測定値補正処理」時と同様にして、校正値データDpに記録されている「校正時刻」とは異なる「測定時刻」の「測定値」を校正時からの経過時間に応じた「補正量」で好適に補正して提供することができる。
また、直線近似や曲線近似のような線形近似によって「補正量」を特定する構成に代えて、校正値データDpに記録されている「校正時実測値」とは相違する「測定値」を補正するための「補正量」を図4に実線L1bで示すように段階的に異ならせる構成や、各校正値データDpの「校正情報」に関連付けられた「校正時刻」とは相違する「測定時刻」の「測定値」を補正するための「補正量」を図5に一点鎖線L2bや二点鎖線L3bで示すように段階的に異ならせる構成を採用することもできる。これらの構成を採用した場合においても、同種の測定装置(センサ)において生じた経年変化の状態を平均化した統計値(代表値)で構成された経年変化補正値が測定装置からサーバに出力される従来の測定システムと比較して、各測定部11毎の初期特性や経年変化の度合いの相違による影響が十分に小さくなるように補正することができる。
さらに、例えば、測定される得る「測定値」がある程度狭い測定値範囲内の値となるような用途においては、そのような測定値範囲に近い「校正用基準値」の「校正情報」に基づいて1種類の「補正量」を特定し、特定した「補正量」で各「測定値」を補正することもできる。同様にして、例えば、補正すべき「測定値」の「測定時刻」が直前の「校正時刻」と大きく相違していないときには、その「構成時刻」の「校正情報」に基づいて1種類の「補正量」を特定して「測定値」を補正することもできる。これらの場合においても、測定部11の初期特性や経年変化の度合いの相違による影響が十分に小さくなるように補正することができる。
また、「測定値データD1の生成が完了したとき」との条件を満たしたときに測定装置1からデータサーバ2に測定値データD1を出力する構成を例に挙げて説明したが、「第1のデータ出力処理」を開始するための「第1の条件」は、上記の例示のような条件に限定されない。例えば、「予め規定された数の測定値データD1の生成・記憶が完了したとき」、「予め規定された時間が経過したとき」、「予め規定された時刻が到来したとき」、「操作部12の操作によって測定値データD1の送信を指示されたとき」および「データサーバ2等から測定値データD1の出力を要求されたとき」などの条件を「第1の条件」として「第1のデータ出力処理」を開始する構成を採用することができる。これらの構成を採用した場合においても、上記の測定システム100(測定装置1およびデータサーバ2)と同様の効果を奏することができる。
さらに、「新たな校正値データDpの生成および記憶部16への記憶が完了した時点以降にデータサーバ2に対して最初に測定値データD1を出力するとき」との条件が満たされたときに測定装置1からデータサーバ2に校正値データDpを出力する構成を例に挙げて説明したが、「第2のデータ出力処理」を開始するための「第2の条件」は、上記の例示のような条件に限定されない。例えば、「新たな校正値データDpの生成が完了したとき」、「予め規定された時間が経過したとき」、「予め規定された時刻が到来したとき」、「操作部12の操作によって校正値データDpの送信を指示されたとき」および「データサーバ2等から校正値データDpの出力を要求されたとき」などの条件を「第2の条件」として「第2のデータ出力処理」を開始する構成を採用することができる。これらの構成を採用した場合においても、上記の測定システム100(測定装置1およびデータサーバ2)と同様の効果を奏することができる。
また、「補正後測定値」が記録された測定値データD1を「いずれか一方」として上書き保存すると共に、「補正前測定値」が記録された測定値データD1aを「他方」として測定値データD1と共に保存する構成に代えて、「補正前測定値」が記録された測定値データD1を「いずれか一方」として上書き保存する(「測定値補正処理」前の測定値データD1をそのまま維持する)と共に、「補正後測定値」が記録された測定値データD1(以下、「補正前測定値」が記録された測定値データD1と区別するために「測定値データD1b」ともいう)を「他方」として、測定値データD1と共に測定値データD1bを保存する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、上記の測定システム100(測定装置1およびデータサーバ2)と同様の効果を奏することができる。
また、インターネットNを介して測定装置1からデータサーバ2に識別符号データDi、測定値データD1および校正値データDpを出力してデータサーバ2においてこれらのデータを保存する構成に代えて(または、そのような構成に加えて)、USBメモリや、メモリーカード等の「リムーバブルメディア」を「外部装置」として識別符号データDi、測定値データD1および校正値データDpを測定装置1から出力する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、「リムーバブルメディア」に出力された識別符号データDi、測定値データD1および校正値データDpを「測定データ処理装置」に取り込んでデータ処理することにより、上記の例におけるデータサーバ2において実行された「測定値補正処理」と同様に各「測定値」を好適に補正することができる。
さらに、上記の例におけるパーソナルコンピュータ3を「測定データ処理装置」として機能させて、測定装置1から出力された測定値データD1の「測定値」をパーソナルコンピュータ3において補正する構成を採用することもできる。具体的には、一例として、測定装置1からデータサーバ2にインターネットNを介して識別符号データDi、測定値データD1および校正値データDpをアップロードしておき、パーソナルコンピュータ3を操作してデータサーバ2にアクセスして識別符号データDi、測定値データD1および校正値データDpをダウンロードすると共に、データサーバ2の処理部22が実行した「測定値補正処理」と同様の手順でパーソナルコンピュータ3の処理部32が測定値データD1の「測定値」を補正する構成を採用することができる。このような構成を採用した場合においても、各測定部11毎の初期特性や経年変化の度合いの相違による影響が十分に小さくなるように「測定値」を補正することができる。
また、「校正用基準値」および「校正時実測値」を「校正情報」として記録した校正値データDpを「校正値データ」として使用する例について説明したが、「校正用基準値」および「校正用基準値と校正時実測値との差分値」を「校正情報」として記録した「校正値データ」や、「校正時実測値」および「校正用基準値と校正時実測値との差分値」を「校正情報」として記録した「校正値データ」を使用する構成を採用することもできる。加えて、「被測定量(電気的パラメータ)」の値(測定値)として、電圧値、電流値および抵抗値などを測定する構成を例に挙げて説明したが、これらの例示に代えて(または、これらの例示に加えて)、電力値、位相、温度、湿度、歪み、輝度(光度)、照度、雨量および流量等の各種の「被測定量(パラメータ)」の値を測定する構成を採用することもできる。