JP6964867B2 - 2−オキサゾリジノン類の製造方法 - Google Patents

2−オキサゾリジノン類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6964867B2
JP6964867B2 JP2017137345A JP2017137345A JP6964867B2 JP 6964867 B2 JP6964867 B2 JP 6964867B2 JP 2017137345 A JP2017137345 A JP 2017137345A JP 2017137345 A JP2017137345 A JP 2017137345A JP 6964867 B2 JP6964867 B2 JP 6964867B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
oxazolidinones
reaction
atom
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017137345A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019019066A (ja
Inventor
賢一 藤田
準哲 崔
亮 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2017137345A priority Critical patent/JP6964867B2/ja
Publication of JP2019019066A publication Critical patent/JP2019019066A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6964867B2 publication Critical patent/JP6964867B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)

Description

本発明は、2−オキサゾリジノン類の製造方法に関し、より詳しくは四級アンモニウム塩を利用した2−オキサゾリジノン類の製造方法に関する。
2−オキサゾリジノン類は、医農薬中間体として有用であることが知られている。二酸化炭素は、無毒で安価なため、2−オキサゾリジノン類の合成において、その利用が求められている。例えば、二酸化炭素を炭素源とし遷移金属錯体を触媒とした、プロパルギルアミン類を原料とした2−オキサゾリジノン類の製造方法が報告されている(非特許文献1、2,3参照)。
二酸化炭素は反応性に乏しいが、近年グリーンケミストリーの観点から、有機触媒を用い二酸化炭素を活性化し、プロパルギルアミン類を原料とした2−オキサゾリジノン類の製造方法も報告されている(非特許文献4参照)。また最近、有機触媒として含窒素複素環カルベンを用い、プロパルギルアミン類を原料とした2−オキサゾリジノン類の製造方法も報告されているが、有機触媒である含窒素複素環カルベンは、プロパルギルアミン類に対し5mol%必要とされ、高い活性を有する有機触媒を用いた2−オキサゾリジノン類の製造方法が求められている(非特許文献5参照)。
「ビュレタン・オブ・ケミカル・ソサイアティー・オブ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Jpn)」、2011年、第84巻、p.698 「オルガノメタリクス(Organometallics)」、2013年、第32巻、p.5285 「テトラヘドロン(Tetrahedron)」、2016年、第72巻、p.1205 「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランスアクション(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1)」、1998年、p.1541 「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)」、2016年、第57巻、p.1282
本発明は、医農薬中間体として有用な2−オキサゾリジノン類を製造することができる新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、四級アンモニウム塩存在下で、プロパルギルアミン類と二酸化炭素から2−オキサゾリジノン類が生成することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1>下記一般式(A)で表される四級アンモニウム塩存在下、下記一般式(I)で表されるプロパルギルアミン類と二酸化炭素から下記一般式(II)で表される2−オキサゾリジノン類を生成させる環化反応工程を含む2−オキサゾリジノン類の製造方法。
Figure 0006964867
(一般式(A)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、Xは陰イオンを表す。)
Figure 0006964867
(一般式(I)及び(II)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R、及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
<2>前記一般式(A)中のXが、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、及び酢酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種である、<1>に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
<3>前記環化反応工程がアルコール中で行われる、<1>に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
<4>前記環化反応工程における反応系の二酸化炭素の初期分圧が0.01〜1.0MPaである、<1>に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
<5>前記環化反応工程における反応温度が80℃から120℃である、<1>に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
本発明によれば、医農薬中間体として有用な2−オキサゾリジノン類を製造することができる。
本発明の実施例における2−オキサゾリジノン類の収率と反応時間の関係を表したグラフである。 本発明の実施例における2−オキサゾリジノン類の収率と二酸化炭素の圧力(初期分圧)の関係を表したグラフである。 本発明の実施例における2−オキサゾリジノン類の収率と反応温度、反応時間の関係を表したグラフである。
本発明を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
<2−オキサゾリジノン類の製造方法>
本発明の2−オキサゾリジノンの製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)は、下記一般式(A)で表される四級アンモニウム塩(以下、「四級アンモニウム塩」と略す場合がある。)存在下、下記一般式(I)で表されるプロパルギルアミン類(以下、「プロパルギルアミン類」と略す場合がある。)と二酸化炭素から下記一般式(II)で表される2−オキサゾリジノン類を生成させる環化反応工程を含むことを特徴とする。
Figure 0006964867
(一般式(A)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、Xは陰イオンを表す。)
Figure 0006964867
(一般式(I)及び(II)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R、及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
本発明者らは、医農薬中間体として有用な2−オキサゾリジノン類を製造することができる新規な製造方法を求めて検討を重ねた結果、四級アンモニウム塩存在下で、プロパルギルアミン類と二酸化炭素から2−オキサゾリジノン類が生成する環化反応工程を見出したのである。
即ち、無毒で安価、さらに地球温暖化の原因の1つとして考えられている二酸化炭素を利用して、医農薬中間体として有用な2−オキサゾリジノン類を製造することができるのである。
因みに、プロパルギルアミン類と二酸化炭素から2−オキサゾリジノン類が生成する環化反応は、四級アンモニウムイオンによる3重結合の活性化、及び陰イオンの塩基性によるものと思われる。例えば四級アンモニウム塩が関与する反応機構として、下記式で示されるように、四級アンモニウムイオンとのカチオン−π相互作用によるプロパルギルアミン類の3重結合の活性化、及び陰イオンとの水素結合によるカルバミン酸の活性化により、環化反応が進行するものが考えられる。
Figure 0006964867
(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R、及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
環化反応工程は、下記一般式(A)で表される四級アンモニウム塩存在下で行われる工程であるが、一般式(A)で表される四級アンモニウム塩の具体的種類は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
Figure 0006964867
(一般式(A)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、Xは陰イオンを表す。)
、R、R、及びRはそれぞれ独立して窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」とは、アミノ基(−NH)、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(−F)等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又はハロゲン原子を含む官能基の少なくとも1種を含んでいてもよいことを意味するほか、イミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、チオエーテル基(−S−)等の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含む連結基を炭素骨格の内部に含んでいてもよいことを意味する。また、「炭化水素基」とは、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。
、R、R、及びRそれぞれの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。
、R、R、及びRそれぞれに含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、カルボキシル基(−COOH)、イミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、チオエーテル基(−S−)等が挙げられる。
、R、R、及びRそれぞれとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリメチルフェニル基、ジ−i−プロピルフェニル基、メトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基等が挙げられるが、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が特に好ましい。
は陰イオンであり、例えばハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、有機カルボン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオン等が挙げられるが、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、酢酸イオンが特に好ましい。
環化反応工程における四級アンモニウム塩の存在量(使用量)は、プロパルギルアミン類に対して、通常0.1mol%以上、好ましくは0.5mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常500mol%以下、好ましくは50mol%以下、より好ましくは20mol%以下である。上記範囲内であると、2−オキサゾリジノン類が生成し易くなる。
環化反応工程は、下記一般式(I)で表されるプロパルギルアミン類と二酸化炭素から下記一般式(II)で表される2−オキサゾリジノン類を生成させる工程であるが、一般式(II)で表される2−オキサゾリジノン類は、即ち目的生成物であり、製造目的に応じて適宜選択することができる。なお、一般式(I)で表されるプロパルギルアミン類は、一般式(II)で表される2−オキサゾリジノン類に応じて選択される。
Figure 0006964867
(一般式(I)及び(II)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」及び「炭化水素基」は、前述のものと同義である。
が炭化水素基である場合のRの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。
が炭化水素基である場合のRに含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、カルボキシル基(−COOH)、イミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、チオエーテル基(−S−)等が挙げられる。
の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、シアノフェニル基、メトキシフェニル基、メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基が挙げられるが、フェニル基、シアノフェニル基、メトキシフェニル基、メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基が好ましく、フェニル基、シアノフェニル基、メトキシフェニル基が特に好ましい。
及びRが炭化水素基である場合のR及びRの炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは6以下である。R、及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。
及びRが炭化水素基である場合のR及びRに含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、カルボキシル基(−COOH)、イミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、チオエーテル基(−S−)等が挙げられる。
及びRとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、シアノフェニル基、メトキシフェニル基、メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基、ジフェニルメチル基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられるが、水素原子以外としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基やベンジル基等のアラルキル基が好ましく、メチル基、ベンジル基が特に好ましい。
が炭化水素基である場合のRの炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは6以下である。
が炭化水素基である場合のRに含まれる官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、カルボキシル基(−COOH)、イミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、チオエーテル基(−S−)等が挙げられる。
としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、シアノフェニル基、メトキシフェニル基、メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基が挙げられるが、メチル基、ベンジル基が特に好ましい。
環化反応工程は、四級アンモニウム塩存在下、プロパルギルアミン類と二酸化炭素から2−オキサゾリジノン類を生成させるものであれば、具体的な操作手順、反応条件等は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。なお、二酸化炭素は、室温〜反応温度・常圧で気体であるため、通常、反応容器内に気相として投入して、気液反応として行うことが挙げられる。例えば、回分式反応容器で反応を行う場合、反応容器にプロパルギルアミン類、四級アンモニウム塩、溶媒を投入し、反応容器内の温度を所定の反応温度に昇温した後、反応容器内に二酸化炭素を充填して圧力を設定し、撹拌しながら所定の反応時間反応させる方法が挙げられる。但し、環化反応工程では、二酸化炭素が反応によって消費されるため、反応の進行とともに圧力が低下することになる。従って、反応容器内に絶えず二酸化炭素を供給して圧力を保持する態様、或いは予め十分な二酸化炭素を充填する態様のどちらであってもよい。
なお、反応容器は、反応圧力を高く設定することができるため、耐圧性の金属製反応容器(オートクレーブ)を使用することが好ましい。また、気相には二酸化炭素のほかに、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス等が共存していてもよい。
反応温度は、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下である。上記範囲内であると、2−オキサゾリジノン類が生成し易くなる。
反応圧力は、前述のように二酸化炭素が反応によって消費され、反応の進行とともに圧力が低下することになるため、初期圧(反応開始時点の反応系の圧力。例えば、反応温度で二酸化炭素を充填する場合は、その充填時点の反応系の圧力)として表現すると、通常10MPa以下、好ましくは1MPa以下、特に好ましくは0.5MPa以下であり、下限は反応スケールや反応容器の体積にもよるが、通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上である。また窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを含有する場合、二酸化炭素の初期分圧も、通常10MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下であり、下限は反応スケールや反応容器の体積にもよるが、通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上である。なお、「二酸化炭素の分圧」は、反応系の全圧力に二酸化炭素のモル分率を乗じた値と考えることができる。
溶媒は、使用しても、無溶媒であってもよいが、溶媒を使用する場合、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒が好ましいが、水でもよい。アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの非プロトン性溶媒でもよい。
反応時間は、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上であり、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
反応溶液を一部取り出し、このH−NMR測定より、2−オキサゾリジノン類が生成したことが確認される。
また目的物を単離する場合、反応終了後、反応溶液を減圧留去し、カラムクロマトグラフィーにより目的物が得られ、H−NMR測定より2−オキサゾリジノン類が生成したことが確認される。
カラムクロマトグラフィーの溶離液としては、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒、ヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、またはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの混合溶媒が使用されるが、単独でもよい。溶離液はハロゲン系溶媒でもよく、制限されない。
本発明により、四級アンモニウム塩存在下で、プロパルギルアミン類と二酸化炭素から、医農薬中間体として有用な2−オキサゾリジノン類が製造される、2−オキサゾリジノン類の新規な製造方法が提供された。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1、2)
アルゴン雰囲気下、下式に記載のプロパルギルアミン類(III)(0.8mmol)、t−ブタノール(0.8mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム−THF溶液(プロパルギルアミン類に対して1mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、110℃に加熱し(ゲージ圧0.08MPa)、二酸化炭素ガスを0.5MPa充填し(ゲージ圧0.58MPa)、溶液を撹拌しながら12時間反応させた。
得られた反応液の溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)を用いて生成物2−オキサゾリジノン類(IV)を単離した。H NMRにより、生成物の構造を特定し、収率を算出した。結果を以下に示す。
Figure 0006964867
実施例1 Z=H: 収率99% H NMR(400MHz,CDCl)δ/ppm 7.39−7.31(m,3H),7.29−7.26(m,2H),4.74(td,1H,J=3.1,2.6Hz),4.47(s,2H),4.24(td,1H,J=3.2,2.2Hz),4.02(t,2H,J=2.4Hz).
実施例2 Z=Me: 収率94% H NMR(400MHz,CDCl)δ/ppm 7.35−7.26(m,5H),4.67(d,1H,J=3.3Hz),4.45(s,2H),4.22(d,1H,J=3.3Hz),1.30(s,6H).
(実施例a〜g)反応時間・触媒濃度検討
アルゴン雰囲気下、下式に記載のプロパルギルアミン類(V)(0.8mmol)、t−ブタノール(0.8mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム−THF溶液(プロパルギルアミン類に対して0.5mol%または1mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、100℃に加熱し、二酸化炭素ガスを1.0MPa充填し、溶液を撹拌しながら3、6、12、または24時間反応させた。
反応後、反応液にジクロロメタンと内部標準として3、5−ジメトキシベンジルアルコールを加え均一とした後、一部取り出し減圧下で溶媒留去し、H NMRより生成物2−オキサゾリジノン類(VI)の構造を特定し、それぞれの反応時間における収率を算出した。フッ化テトラブチルアンモニウムを0.5mol%、及び1mol%用いた場合の収率と反応時間の関係を表したグラフを図1に示す。フッ化テトラブチルアンモニウムを0.5mol%用いた場合、24時間で収率が100%となるが、1mol%用いた場合、12時間で収率が100%に到達した。
Figure 0006964867
(実施例3〜11)溶媒検討
アルゴン雰囲気下、下式に記載のプロパルギルアミン類(V)(0.8mmol)、下記表1に記載の溶媒(0.8mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム−THF溶液(プロパルギルアミン類に対して0.5mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、100℃に加熱し、二酸化炭素ガスを1.0MPa充填し、溶液を撹拌しながら12時間反応させた。
反応後、反応液にジクロロメタンと内部標準として3、5−ジメトキシベンジルアルコールを加え均一とした後、一部取り出し減圧下で溶媒留去し、H NMRより生成物2−オキサゾリジノン類(VI)の構造を特定し、収率を算出した。各溶媒での収率を表1に示す。溶媒としてアルコールを用いた場合に高い収率が得られ、特に炭素数2〜4のアルコールの場合に顕著であり、さらに、分岐を有するアルコールの場合にはより一層顕著であった。
Figure 0006964867
Figure 0006964867
(実施例12〜17)二酸化炭素圧力検討
アルゴン雰囲気下、下式に記載のプロパルギルアミン類(V)(0.8mmol)、t−ブタノール(0.8mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム−THF溶液(プロパルギルアミン類に対して1mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、100℃に加熱し、二酸化炭素ガスをそれぞれ0.2−5.0MPa充填し、溶液を撹拌しながら6時間反応させた。
反応後、反応液にジクロロメタンと内部標準として3、5−ジメトキシベンジルアルコールを加え均一とした後、一部取り出し減圧下で溶媒留去し、H NMRより生成物2−オキサゾリジノン類(VI)の構造を特定し、収率を算出した。二酸化炭素圧力(初期分圧)に対する収率を表2と図2に示す。二酸化炭素圧力が1.0MPa以下である場合に高い収率が得られた。特に、0.5MPa以下である場合に顕著であった。
Figure 0006964867
Figure 0006964867
(実施例18〜25)反応温度・反応時間検討
アルゴン雰囲気下、下式に記載のプロパルギルアミン類(V)(0.8mmol)、t−ブタノール(0.8mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム−THF溶液(プロパルギルアミン類に対して1mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、それぞれ80−110℃に加熱し、二酸化炭素ガスを0.5MPa充填し、溶液を撹拌しながら3時間または6時間反応させた。
反応後、反応液にジクロロメタンと内部標準として3、5−ジメトキシベンジルアルコールを加え均一とした後、一部取り出し減圧下で溶媒留去し、H NMRより生成物2−オキサゾリジノン類(VI)の構造を特定し、収率を算出した。各反応温度での、反応時間3時間と6時間それぞれの収率を表3と図3に示す。同じ反応時間である場合、温度が高い方が高い収率が得られ、反応温度110℃の場合、6時間の反応時間で100%に近い96%の高収率が得られた。
Figure 0006964867
Figure 0006964867
(比較例1、実施例26〜38)触媒構造検討
アルゴン雰囲気下、下式に記載のプロパルギルアミン類(V)(0.8mmol)、t−ブタノール(0.8mL)、下記表4に記載の四級アンモニウム塩(プロパルギルアミン類に対して1mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、それぞれ100℃に加熱し、二酸化炭素ガスを0.5MPa充填し、溶液を撹拌しながら3時間反応させた。
反応後、反応液にジクロロメタンと内部標準として3、5−ジメトキシベンジルアルコールを加え均一とした後、一部取り出し減圧下で溶媒留去し、H NMRより生成物2−オキサゾリジノン類(VI)の構造を特定し、収率を算出した。各触媒を用いたときの収率を表4に示す。比較例1の四級アンモニウム塩を全く用いない場合には、2−オキサゾリジノン類(VI)の収率は0.7%であったが、四級アンモニウム塩を用いた全ての場合において2−オキサゾリジノン類(VI)は2〜37%の収率で得られた。特に、前述の一般式(A)において、R、R、R、及びRの炭化水素基が炭素数1〜6のアルキル基であり、かつ、Xの陰イオンがフッ化物イオン、酢酸イオン、又は水酸化物イオンである場合に高い収率が得られた。
Figure 0006964867
Figure 0006964867
(実施例39〜45)基質展開
アルゴン雰囲気下、下記表5に記載のプロパルギルアミン類(I)(0.8mmol)、t−ブタノール(0.8mL)、フッ化テトラブチルアンモニウム−THF溶液(プロパルギルアミン類に対して1mol%)をそれぞれ反応容器(オートクレーブ)に投入し密閉した後、それぞれ110℃に加熱し、二酸化炭素ガスを0.5MPa充填し、溶液を撹拌しながら表5に示した時間反応させた。
反応後、反応液にジクロロメタンと内部標準として3、5−ジメトキシベンジルアルコール(実施例39,40,41,42,44)またはベンゾインメチルエーテル(実施例43,45)を加え均一とした後、一部取り出し減圧下で溶媒留去し、H NMRより生成物2−オキサゾリジノン類(II)の構造を特定し、収率を算出した。結果を表5に示す。表5から明らかなように、各種の構造のプロパルギルアミン類からその構造に対応した2−オキサゾリジノン類を製造することができ、ほとんどの場合、80%を超える高い収率が得られた。
実施例43のように基質の種類によって収率が低い場合もある。表4の比較例1と実施例26〜38との比較から明らかなように、触媒を用いない場合の収率は、触媒を用いる場合よりも大幅に低いから、実施例43と同じ基質を用い触媒を用いない場合の収率は0.4%よりずっと低いと考えられる。
Figure 0006964867
Figure 0006964867

Claims (5)

  1. 下記一般式(A)で表される四級アンモニウム塩存在下、下記一般式(I)で表されるプロパルギルアミン類と二酸化炭素から下記一般式(II)で表される2−オキサゾリジノン類を生成させる環化反応工程を含む2−オキサゾリジノン類の製造方法。
    Figure 0006964867
    (一般式(A)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
    Figure 0006964867
    (一般式(I)及び(II)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R、及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
  2. 前記 、前記R 、前記R 、及び前記R が同じ炭化水素基である、請求項1に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
  3. 前記環化反応工程がアルコール中で行われる、請求項1に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
  4. 前記環化反応工程における反応系の二酸化炭素の初期分圧が0.01〜1.0MPaである、請求項1に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
  5. 前記環化反応工程における反応温度が80℃から120℃である、請求項1に記載の2−オキサゾリジノン類の製造方法。
JP2017137345A 2017-07-13 2017-07-13 2−オキサゾリジノン類の製造方法 Active JP6964867B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017137345A JP6964867B2 (ja) 2017-07-13 2017-07-13 2−オキサゾリジノン類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017137345A JP6964867B2 (ja) 2017-07-13 2017-07-13 2−オキサゾリジノン類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019019066A JP2019019066A (ja) 2019-02-07
JP6964867B2 true JP6964867B2 (ja) 2021-11-10

Family

ID=65355254

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017137345A Active JP6964867B2 (ja) 2017-07-13 2017-07-13 2−オキサゾリジノン類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6964867B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4307106B2 (ja) * 2003-02-28 2009-08-05 独立行政法人科学技術振興機構 5−アルキリデン−2−オキサゾリジノン類の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019019066A (ja) 2019-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5583024B2 (ja) ジ置換されたイミダゾリウム塩の製造方法
JPS62223175A (ja) アクリル又はメタクリル酸エステルの製法
EP2292579B1 (en) Process for production of halogenated alpha-fluoroethers
JP6355530B2 (ja) 2−オキサゾロン類及び2−オキサゾロン類の製造方法
WO2013018573A1 (ja) α-フルオロアルデヒド類の製造方法
WO2009122834A1 (ja) 4-パーフルオロイソプロピルアニリン類の製造方法
JP6964867B2 (ja) 2−オキサゾリジノン類の製造方法
US9994720B2 (en) Methods for producing 1,5,7-triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene by reaction of a disubstituted carbodiimide and dipropylene triamine
EP2243769B1 (en) Process for production of optically active fluoroamine
JP2004300131A (ja) エステル類の水素化によりアルコール類を製造する方法
WO2016152831A1 (ja) ピラゾール誘導体の製造方法
JP6723817B2 (ja) (トリフルオロメチル)マロン酸エステルの製造方法
EP1896397B1 (en) Process for producing ethers
JPS5941984B2 (ja) クロロチオ−ル蟻酸エステルの製造方法
JP7158717B2 (ja) 求電子的アジド化剤又はジアゾ化剤
JP2012051825A (ja) α−フルオロメチルカルボニル化合物の製造方法
CN107459530A (zh) 一种新型硅基取代的1,3‑异喹啉二酮衍生物及其制备方法
JP2009149591A (ja) フルオロアルキルアルコールの製造方法
JP4023255B2 (ja) ジカルボン酸の製造方法とそれに用いる触媒の製造方法
WO2023054429A1 (ja) アルキルフランカルボン酸エステルの製造方法
JP6798674B2 (ja) グリシジルエステルの製造方法
JP5678655B2 (ja) α−シリルジフルオロメチルカルボニル化合物の製造方法
Loghmani-Khouzani et al. A convenient synthesis of some α-oxoketene-N, S-and N, N-acetals
JP2022011265A (ja) ジフルオロメチレン化合物及びその製造方法
CN111217742A (zh) 一种一锅法不对称构筑c-s和c-o键双官能化的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200522

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210414

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210527

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211006

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6964867

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150