以下、図面を参照して本発明に係る作業機について説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、説明の便宜上、上方または下方という語句を用いて説明するが、上方または下方はそれぞれ作業機の作業状態における向きを示す。また、同様に、前方または後方という語句を用いて説明するが、前方は作業機に対する作業機を牽引する走行機体の方向を示し、後方は走行機体に対する作業機の方向を示す。
図1〜図14を用いて、本発明の実施形態に係る作業機の全体構成および作業機の各機能部について説明する。本実施形態に係る作業機は、耕耘機や代かき機のように、例えばトラクタなどの走行機体の後部に連結され、作業爪を回転させることで土壌を耕すまたは撹拌する作業機に用いることができる。本実施形態に係る作業機は、作業機の一部を折りたたむまたは脱離することで作業機の幅を狭くした収納状態と、上記作業機の一部を展開または装着することで作業機の幅を広げた作業状態と、を切り替え可能な作業機に用いることができる。本実施形態では、作業機の一例として代かき機を用いて本発明の特徴を説明するが、本発明に係る作業機は、耕耘機であってもよく、耕耘機および代かき機以外の作業機に適用することもできる。
[作業機10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る作業状態における作業機の全体構成を示す上面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る作業状態における作業機の全体構成を示す側面図である。図1および図2に示すように実施形態1に係る作業機10は、作業部100、延長作業部200、切り替え部300、連結部400、レベラ制御部500、およびロータ部600(図2参照)を有する。
作業部100(第1作業部)は、シールドカバー110、エプロン120(第1カバー部材)およびレベラ130(第1整地部材)を有する。
シールドカバー110およびエプロン120は、接続部122を回転移動の軸(回動軸)として接続されている。エプロン120およびレベラ130は、接続部132を回動軸として接続されている。接続部122および接続部132は、蝶番状のヒンジを有している。つまり、接続部122および接続部132は、一方の部材に固定された円筒状部と、当該円筒状部を貫通して他方の部材に固定された柱状部と、を有している。エプロン120は、作業爪610を回転させるロータ部600(第1作業ロータ)の後方に設けられている(図2参照)。エプロン120は、ロータ部600の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。レベラ130はロータ部600の作業によって荒れた土壌を整地する。
延長作業部200(第2作業部)は、作業機10が収納状態と作業状態とを切り替え可能に作業部100に接続されている。ここで、収納状態とは、作業機10の幅が走行機体の進行方向に対して直交する方向に縮小された状態である。具体的には、延長作業部200が作業部100に対して回動することで折りたたまれた状態を収納状態という。作業状態とは、作業機10の幅が走行機体の進行方向に対して直交する方向に延長された状態である。具体的には、収納状態から延長作業部200が作業部100に対して回動し、展開された状態を作業状態という。
延長作業部200は、作業部100と同様に延長シールドカバー210、延長エプロン220(第2カバー部材)および延長レベラ230(第2整地部材)を有する。延長シールドカバー210は、ロータ部600のうち延長作業部200に対応して設けられた作業ロータ(第2作業ロータ)の上方に設けられている。延長エプロン220は、当該延長作業部200の作業ロータの後方に設けられており、延長シールドカバー210に接続部222を軸として回動可能に接続されている。延長レベラ230は、延長作業部200の作業ロータの後方に設けられており、延長エプロン220に接続部232を軸として回動可能に接続されている。延長エプロン220はエプロン120と連動し、ロータ部600の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。延長レベラ230はレベラ130と連動し、ロータ部600の作業によって荒れた土壌を整地する。詳細は後述するが、レベラ130および延長レベラ230は連結部400によって連結されている。
切り替え部300は、制御シリンダ310および接続部320を有し、延長作業部200を作業部100に対して回動させることで、収納状態と作業状態とを切り替える。制御シリンダ310は、一端が作業部100に固定された接続部311に回動可能に接続され、他端が延長作業部200に固定された接続部312に回動可能に接続されている。延長作業部200は、制御シリンダ310が収縮することで折りたたまれて収納状態に切り替えられ、制御シリンダ310が伸長することで展開されて作業状態に切り替えられる。
連結部400は、作業部100のレベラ130および延長作業部200の延長レベラ230に取り付けられている。図1に示す作業状態において、連結部400はレベラ130および延長レベラ230を連結する。連結部400は第1係止部材410および第1受け部材420を有し、第1係止部材410が第1受け部材420に入り込むことでレベラ130および延長レベラ230が連結される。連結部400は、作業状態においてレベラ130および延長レベラ230の相対的な動作範囲を規制する。換言すると、連結部400によって、レベラ130に対する延長レベラ230の回動が規制される。なお、本実施形態では、レベラ130に第1受け部材420が配置され、延長レベラ230に第1係止部材410が配置された構成を例示したが、レベラ130に第1係止部材410が配置され、延長レベラ230に第1受け部材420が配置されてもよい。
レベラ制御部500は、シールドカバー110およびレベラ130に接続され、シールドカバー110に対するレベラ130の位置および角度を調整する。レベラ制御部500によって、レベラ130の地面に対する高さおよび角度が制御される。
延長レベラ230の外側の端部にはレベラ拡張部510が設けられている。レベラ拡張部510によって、整地可能な幅がさらに広がる。レベラ拡張部510は延長レベラ230に回動可能に接続されている。レベラ拡張部510の延長方向(長手方向)は、レベラ130および延長レベラ230の延長方向に対して走行機体側に傾斜している。
シールドカバー110の走行機体側には土寄せ板520が設けられている。土寄せ板520は、走行機体の進行方向に対して直交する方向にスライド移動可能に取り付けられている。土寄せ板520は、作業機10の使用時において、走行機体の車輪等の位置に合わせて設置され、轍による段差を緩和する。
図2に示すように、ロータ部600は、作業爪610および動力部620を有する。作業爪610は動力部620によって回転され、土壌に作用することで土壌を耕すまたは撹拌する。図2において、作業爪610が回動する範囲を回動範囲612として示した。
[作業状態前の状態における連結部400の説明]
レベラ130と延長レベラ230とを連結する連結部400の構成について図3〜図11を用いて詳しく説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す上面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す背面図である。図3および図4に示すように、連結部400は第1係止部材410、第1受け部材420、第2係止部材430、第2受け部材440、ストッパ460、および弾性部材470を有する。第1受け部材420はレベラ130に取り付けられている。第1係止部材410および第2係止部材430は延長レベラ230に取り付けられている。第2受け部材440は延長エプロン220に取り付けられている。
図3に示すように、第1係止部材410は第1柱状部412、第2柱状部414、接続部416、およびストッパ418を有する。第1柱状部412および第2柱状部414はD1方向に延びている。D1方向は、作業状態において延長レベラ230からレベラ130に向かう方向である。つまり、第1柱状部412および第2柱状部414はD1方向に長手を有する。接続部416は、D1方向に交差する方向に延びており、第1柱状部412および第2柱状部414を接続している。接続部416が第1柱状部412および第2柱状部414の各々の端部に接続されているため、第1係止部材410はU字型の形状を有する。ストッパ418は、第1柱状部412および第2柱状部414の各々に設けられている。ストッパ418は、第1柱状部412および第2柱状部414の各々の周囲に設けられており、第1柱状部412および第2柱状部414の各々に溶接などの方法によって固定されている。ストッパ418は、第1係止部材410のD1方向への移動を規制する。
第1係止部材410はネジ、またはボルトおよびナットなどの固定具によって脱着可能に延長レベラ230に取り付けられている。弾性部材470は第1柱状部412および第2柱状部414のそれぞれの周囲に取り付けられており、第1係止部材410をD1方向に押し付ける。つまり、弾性部材470は、延長レベラ230および第1係止部材410の各々に作用する。第1係止部材410は弾性部材470によってD1方向に押し付けられる。
図4に示すように、第1受け部材420は収納部422、上方ガイド部424、下方ガイド部426、およびストッパ428(第1ストッパ)を有する。
ストッパ428は収納部422内に設けられている。ストッパ428は下方ガイド部426と連続している。換言すると、ストッパ428および第1受け部材420は一体で形成されている。なお、図4の例では、ストッパ428および下方ガイド部426が一体で形成されているが、ストッパ428は下方ガイド部426とは別途形成されていてもよい。ストッパ428は、延長作業部200が作業状態に展開されたときに、第1係止部材410のD1方向への動作を規制する。換言すると、延長作業部200が作業状態に展開されたときに、第1係止部材410は、ストッパ428に当接することで、延長レベラ230に対してD1方向の逆方向に移動する。
ストッパ428の詳細な構成について図5を用いて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の連結構造を示す拡大背面図である。図5に示すように、ストッパ428はD1方向に直交する面に対して傾斜した傾斜面4282を有している。換言すると、傾斜面4282は、D1方向に直交する面に対して下方に傾斜している。さらに第1受け部材420は、傾斜面4282の下方にストッパ429(第2ストッパ)を有している。傾斜面4282に対してD1方向に押し付けられた第1係止部材410は、下方(D3方向の逆方向)に誘導され、ストッパ429によってその動きが止められる。したがって、第1係止部材410は傾斜面4282およびストッパ429に押し付けられた状態になるため、第1受け部材420に対する第1係止部材410の位置が安定する。その結果、作業状態における作業部100と延長作業部200との間の連動性を向上させることができ、両者間のガタつきを少なくすることができるとともに機械雑音を抑制することができる。なお、本実施形態では、ストッパ428は下方部材4222および下方ガイド部426と一体で形成されているが、ストッパ428はその他の部材と別途形成され、固定具または接着によって固定されてもよい。
図4に示すように、収納部422は、第1係止部材410が挿入可能な空間を有している。具体的には、収納部422は上方部材4220および下方部材4222を有し、上方部材4220と下方部材4222との間に第1係止部材410が挿入可能な空間が設けられている。換言すると、D3方向における上方部材4220と下方部材4222との間の間隔は、D3方向の第1係止部材410の厚さよりも大きい。
上方ガイド部424は上方部材4220からD3方向に延びている。上方ガイド部424は上方部材4220と連続している。なお、図4の例では、上方ガイド部424および上方部材4220が一体で形成されている。上方ガイド部424は、第1係止部材410が第1受け部材420に挿入される方向に対して直交する方向に延びている。下方ガイド部426は下方部材4222からD3方向の逆方向に延びている。下方ガイド部426は、第1係止部材410が第1受け部材420に挿入される方向に対して傾斜を有している。当該傾斜面は第1係止部材410側を向いている。なお、図4の例では、下方ガイド部426および下方部材4222が一体で形成されている。
なお連結部400の構造は、図3および図4の構造に限定されない。上方ガイド部424が上方部材4220とは別個に形成され、両者が接着または溶着によって固定されてもよい。下方ガイド部426が下方部材4222とは別個に形成され、両者が接着または溶着によって固定されてもよい。上方ガイド部424がD1方向に直交する方向に対して傾斜を有していてもよい。下方ガイド部426がD1方向に直交する方向に延びていてもよい。
上方ガイド部424は、レベラ130に対して延長レベラ230が上方に回動した状態で延長作業部200が作業状態に展開されたときに、第1係止部材410のD1方向の動作を規制する。これによって、第1係止部材410が第1受け部材420またはレベラ130の上に乗り上げられることを抑制する。さらに、第1係止部材410が上方ガイド部424に当接した状態(第1係止部材410が上方ガイド部424に押し付けられた状態)では、第1係止部材410は弾性部材470によってD1方向に押し付けられる。つまり、この状態でレベラ130に対して延長レベラ230が回動すると、第1係止部材410が上方ガイド部424に押し付けられた状態で両者が摺動する。下方ガイド部426は、レベラ130に対して延長レベラ230が下方に回動した状態(後述する第2係止状態)で延長作業部200が作業状態に展開されたときに、第1係止部材410を収納部422へ誘導する。
上記のように、第1受け部材420に上方ガイド部424および下方ガイド部426が備えられているため、レベラ130および延長レベラ230が適正でない位置にある状態で延長作業部200が作業状態に展開されても、両者が適正でない位置のまま連結されることを抑制することができる。さらに、このような状態において、第1係止部材410が上方ガイド部424に押し付けられた状態で両者が摺動するため、レベラ130および延長レベラ230が適正な位置関係になったときに第1係止部材410が第1受け部材420に挿入され、レベラ130に対する延長レベラ230の角度が固定される。
第1受け部材420はネジ、またはボルトおよびナットなどの固定具によって脱着可能にレベラ130に取り付けられている。上記のように、第1係止部材410が脱着可能に延長レベラ230に取り付けられ、第1受け部材420が脱着可能にレベラ130に取り付けられているため、連結部400がレベラ130および延長レベラ230に対して脱着可能に取り付けられている、ということもできる。第1受け部材420がレベラ130に対して脱着可能に取り付けられていることで、第1受け部材420が摩耗または破損したときに、第1受け部材420だけを修理または交換をすることで、容易に修理を完了させることができる。
図3に示すように、第2係止部材430は第1係止部材410に隣接した位置に設けられている。第2係止部材430は固定部432によって第1係止部材410に固定されている。つまり、第1係止部材410および第2係止部材430は連動し、延長レベラ230に対して可動である。第2係止部材430は、第1係止部材410の第1柱状部412および第2柱状部414と同様にD1方向に延びている。つまり、第2係止部材430はD1方向に長手を有する。第2係止部材430は第1係止部材410とともに、ネジ、またはボルトおよびナットなどの固定具によって脱着可能に延長レベラ230に取り付けられている。第1係止部材410および第2係止部材430が延長レベラ230に対して脱着可能に取り付けられていることで、第1係止部材410および第2係止部材430が摩耗または破損したときに、第1係止部材410および第2係止部材430だけを修理または交換をすることで、容易に修理を完了させることができる。
第2受け部材440は第2係止部材430が係止可能に設けられている。作業状態前の状態において、第2係止部材430が第2受け部材440に係止することで、延長エプロン220に対する延長レベラ230の回動が規制される。第2受け部材440は例えばネジのような固定部234、236によって脱着可能に延長エプロン220に取り付けられている。第2受け部材440が延長エプロン220に対して脱着可能に取り付けられていることで、第2受け部材440が摩耗または破損したときに、第2受け部材440だけを修理または交換をすることで、容易に修理を完了させることができる。なお、第2受け部材440の構造および第2係止部材430と第2受け部材440との係止状態における構造は後述する。
ストッパ460はレベラ130の下方および前方に固定されている。ストッパ460は、延長レベラ230がレベラ130に対して下方に回動したときに、第1係止部材410の接続部416が係止可能な位置に設けられている。ストッパ460と第1係止部材410との関係は後述する。
上記の説明では、連結部400が第2係止部材430および第2受け部材440を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、レベラ制御部500とは別に、延長エプロン220に対する延長レベラ230の角度を制御する機構が備えられていれば、第2係止部材430および第2受け部材440を省略することができる。さらにこの場合、レベラ130に第1係止部材410が配置され、延長レベラ230に第1受け部材420が配置されてもよい。
図6を用いて、第1受け部材420の構造について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る作業機の作業部を延長作業部側から見た側面図である。図6に示すように、ストッパ428は収納部422のほぼ中央に設けられている。第1受け部材420の上方ガイド部424はレベラ130に対する延長レベラ230の回動方向に沿って延びている。ストッパ460はレベラ130の下方に設けられている。ストッパ460の形状は円柱形状である。
図7A〜図7Dを用いて、第2係止部材430と第2受け部材440との係止状態における構造について説明する。図7Aは、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の延長作業部を作業部側から見た側面図である。図7Bは、図7Aの状態における第2係止部材および第2受け部材の関係を示す図である。図7Cは、図7BのA−A’線の断面図である。図7Dは、本発明の一実施形態に係る作業状態前の状態で延長作業部に強い負荷がかかったときの作業機の延長作業部を作業部側から見た側面図である。
図7Aに示すように、延長レベラ230は延長エプロン220に対して固定部234を中心として回動する。第2受け部材440は固定部234を中心に回動可能に固定部234に取り付けられている。第2受け部材440は固定部236によって延長エプロン220に固定されている。第2係止部材430が第2受け部材440に係止し、第2受け部材440が延長エプロン220に固定されることで、延長エプロン220に対する延長レベラ230の角度が決まる。この係止状態を第1係止状態という。
図7Bに示すように、第2受け部材440には開口部442、444、446が設けられている。第2受け部材440は補助係止部材448を有している。開口部442は略円形である。固定部234が開口部442を貫通して第2受け部材440を固定することで、第2受け部材440は延長エプロン220に回動可能に取り付けられている。開口部444は第2受け部材440の外周が切り欠きされた形状の開口部である。作業状態前の状態において、第2係止部材430が開口部444の側壁に係止する。
開口部446は、開口部442内に中心を有する円弧形状である。固定部236が開口部446を貫通して第2受け部材440を固定することで、第2受け部材440の延長エプロン220に対する回動が規制される。つまり、第2係止部材430が第2受け部材440に係止することで延長エプロン220に対する延長レベラ230の回動が規制される。図7Cに示すように、図7Aおよび図7Bに示す状態において、第2係止部材430は開口部444を貫通する。
図7A〜図7Cに示す状態で延長レベラ230に強い外力がかかる場合、延長エプロン220に対する第2受け部材440の角度は開口部446の範囲内で可変である。具体的には、図7Dに示すように、延長レベラ230に対して矢印の方向に外力がかかると、開口部446の端部450が固定部236に係止する位置まで第2受け部材440が延長エプロン220に対して回動する。したがって、延長エプロン220に対する延長レベラ230の角度が固定された状態であっても、延長レベラ230に強い外力がかかったときに、上記の部材が破損することを抑制することができる。
次に、図8および図9を用いて、延長作業部200が作業状態に展開された状態の構成を説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る作業状態における作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す上面図である。図9は、本発明の一実施形態に係る作業状態における作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す背面図である。
[第1係止状態の説明]
図8および図9に示すように、延長作業部200が作業状態に展開されると、第1係止部材410の接続部416が第1受け部材420の収納部422に挿入される。この状態において、第1係止部材410の接続部416が第1受け部材420に係止されることで、レベラ130に対する延長レベラ230の回動が規制される。収納部422に挿入された接続部416はストッパ428に接触する。接続部416がストッパ428に接触した状態で、さらに延長レベラ230がレベラ130に近づくと、第1係止部材410は延長レベラ230に対してD1方向の逆方向に押し込められる。第1係止部材410の移動に伴い、第2係止部材430もD1方向の逆方向に移動する。換言すると、延長作業部200が作業状態に展開される際に、延長レベラ230に対して第1係止部材410および第2係止部材430がスライド移動する。この状態において、弾性部材470はストッパ418によって圧縮されるため、接続部416はストッパ428に強く押し付けられる。
上記のように、第1係止部材410の接続部416が第1受け部材420の収納部422に挿入され、第1係止部材410と第1受け部材420とが連結されることで、連結構造の機械的な強度を向上させることができる。
図10Aおよび図10Bは、本発明の一実施形態に係る作業状態直前の作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す拡大背面図である。延長作業部200が展開されると、図10Aに示すように、まず第1係止部材410がストッパ428に接触する。延長作業部200が作業状態に展開される際に、第1係止部材410が上方部材4220と下方部材4222との間に挿入されるように第1係止部材410および第1受け部材420が配置される。具体的には、図10Aのように、第1係止部材410が上方部材4220および下方部材4222のいずれにも接触しないように両者の間に挿入される。
上記のように、ストッパ428が傾斜面4282を有することで、弾性部材470によって第1係止部材410がストッパ428に押し付けられた力は、ストッパ428によって第1係止部材410を下方に誘導する力に変換される。これによって、第1係止部材410が下方に押し付けられる。図10Bに示すように、下方に移動した第1係止部材410がストッパ429によって止められることで、第1係止部材410と第1受け部材420との位置関係が安定する。この状態において、図8および図9に示すように、弾性部材470は強く圧縮されているため、第1係止部材410はD1方向に強く押し付けられる。その結果、作業状態における作業部100と延長作業部200との間の連動性を向上させることができ、両者間のガタつきを少なくすることができるとともに機械雑音を抑制することができる。
なお、図10Aおよび図10Bでは、ストッパ428によって第1係止部材410が下方に押し付けられた構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、ストッパ428の傾斜面が上方に傾斜し、第1係止部材410がストッパ428によって上方に押し付けられる構造であってもよい。また、ストッパ428の傾斜面は、上下方向だけでなく、左右方向(図8におけるD2方向、または作業状態における水平方向)に傾斜していてもよい。
図11Aは、本発明の一実施形態に係る作業状態における作業機の延長作業部を作業部側から見た側面図である。図11Bは、図11Aの状態における第2係止部材および第2受け部材の関係を示す図である。図11Cは、図11BのA−A’線の断面図である。上記のように、延長作業部200が作業状態に展開されると、第2係止部材430が延長レベラ230に対してD1方向の逆方向に移動する。したがって、図11Cに示すように、第2係止部材430は開口部444から脱離する。つまり、第2係止部材430の第2受け部材440への係止が解除される。その結果、延長エプロン220に対して延長レベラ230が回動可能な状態になる。換言すると、延長作業部200が作業状態になる際に、第1係止部材410が第1受け部材420に係止することでレベラ130に対する延長レベラ230の回動が規制され、第2係止部材430が第2受け部材440から外れることで延長エプロン220に対する延長レベラ230の回動規制が解除される。図7Aと図11Aとを比較すると、延長エプロン220および第2受け部材440の位置は同じであり、延長エプロン220に対する延長レベラ230の角度だけが異なっている。
[第2係止状態の説明]
図12〜図13Cを用いて第2係止状態について説明する。第2係止状態は、第2係止部材430が第1係止状態とは異なる位置で第2受け部材440に係止した状態である。
図12は、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す上面図である。図12は、図3に類似しているが、第2係止部材430が第2受け部材440を貫通していない点において、図3と相違する。図12に示す状態は、例えば図3に示す状態において、第1係止部材410が外力によってD1方向の逆方向に移動し、第2係止部材430が第2受け部材440から脱離しかけた状態に相当する。
図13Aは、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の延長作業部を作業部側から見た側面図である。図13Bは、図13Aの状態における第2係止部材および第2受け部材の関係を示す図である。図13Cは、図13BのA−A’線の断面図である。図13Aの延長レベラ230は、図7Aの延長レベラ230に比べて僅かに下方に回動した位置で静止している。図13Aの延長エプロン220および第2受け部材440の位置は、図7Aのそれらの位置と同じである。図13Bおよび図13Cに示すように、第2係止部材430は開口部444から脱離し、補助係止部材448の上面4482に係止している。換言すると、第2係止部材430は、延長エプロン220に対する延長レベラ230の角度が異なる2つの状態で、第2受け部材440に係止する。なお、第2係止部材430は、延長エプロン220に対する延長レベラ230の角度が異なる3つ以上の状態で第2受け部材440に係止してもよい。
上記の構成を換言すると、第2係止部材430は、延長レベラ230に対する第2係止部材430の可動方向において、異なる2つ以上の位置で第2受け部材440に係止する。この構成を有することで、第1係止状態(第2係止部材430が開口部444を貫通した状態)から第2係止部材430が脱離した場合であっても、延長レベラ230が延長エプロン220に対して自由に回動できる状態になってしまうことを抑制することができる。
この状態において、第2係止部材430は弾性部材470によってD1方向への作用を受ける。第2係止部材430が第2受け部材440の第1面4402側に押し付けられた状態で延長レベラ230が回動すると、第2係止部材430は第2受け部材440と摺動する。したがって、図13A〜図13Cに示す状態で、延長レベラ230が上方に回動し第2係止部材430の位置が開口部444の位置に揃うと、第2係止部材430は開口部444を貫通し、図7A〜図7Cに示す状態になる。
[ストッパ460の説明]
図14を用いて、レベラ130に設けられたストッパ460について説明する。図14は、本発明の一実施形態に係る作業状態前の作業機の作業部および延長作業部の連結構造を示す背面図である。図14に示す状態は、レベラ130に対して延長レベラ230が下方に回動した状態である。
例えば、第1係止部材410が第1受け部材420と正常に連結されない状態、つまり、接続部416が収納部422に挿入されていない状態で、第1係止部材410がD1方向の逆方向に押し込まれると、第2係止部材430が第2受け部材440から脱離する。その結果、延長レベラ230が延長エプロン220に対して回動可能になる。第1係止部材410が第1受け部材420に連結されていない状態で、延長レベラ230が延長エプロン220に対して回動可能になると、延長レベラ230はその自重によって下方に回動してしまう。しかし、第1係止部材410がストッパ460に係止することで、延長レベラ230の下方への回動は規制される。
図14では、第1係止部材410の接続部416がストッパ460に対してストッパ460の上方から係止することで、延長レベラ230がレベラ130に対して図14の状態よりも下方に回動することが規制される。第1係止部材410はレベラ130の側壁134に押し付けられている。側壁134は下方ガイド部426よりも延長レベラ230側に位置している。これらの構成によって、図14に示す状態で延長レベラ230が上方に回動されると、正常な位置で第1係止部材410が第1受け部材420に連結され、図9に示す状態になる。なお、接続部416がストッパ460に係止する構成にすることで、ストッパ460に係止する第1係止部材410の領域を広くすることができるため、第1係止部材410のストッパ460への係止ミスを抑制することができる。
以上のように、本発明の実施形態1に係る作業機10によると、D1方向に押し付けられた第1係止部材410が、ストッパ428によって下方に誘導され、ストッパ429によって静止される。第1係止部材410は傾斜面4282およびストッパ429に押し付けられた状態になるため、第1受け部材420に対する第1係止部材410の位置が安定する。その結果、作業状態における作業部100と延長作業部200との間の連動性を向上させることができ、両者間のガタつきを少なくすることができるとともに機械雑音を抑制することができる。
傾斜面4282が下方に傾斜しているため、弾性部材470によって第1係止部材410がストッパ428に押し付けられた力は、ストッパ428によって第1係止部材410を下方に誘導する力に変換される。第1係止部材410は、この下方に変換された力に加えて第1係止部材410の自重によってストッパ429に押し付けられるため、第1受け部材420に対する第1係止部材410の位置がより安定する。
接続部416が傾斜面4282と接触することで第1係止部材410が下方に誘導させる構成によって、第1係止部材410およびストッパ428の相対位置のずれに対するマージンを大きくすることができる。ストッパ428が第1受け部材420と一体で形成されていることで、ストッパ428の機械的強度を向上させることができる。第1係止部材410が延長レベラ230に配置され、第1受け部材420がレベラ130に配置されることで、延長レベラ230に第1係止部材410と連動する第2係止部材430を配置し、延長エプロン220に第2受け部材440を配置することができる。これらの構成によって、作業状態前の状態において、延長エプロン220に対する延長レベラ230の回動を規制することができ、延長作業部200の延長レベラ230の回動を規制する機構を省略することができる。
第1係止部材410および第1受け部材420、ならびに第2係止部材430および第2受け部材440がそれぞれ脱着可能に取り付けられていることで、これらの部材が摩耗または破損したときに、上記の部材だけを修理または交換をすることで、容易に修理を完了させることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。