JP6964127B2 - Her−2結合抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、HER2に特異的に結合するモノクローナル抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはポリペプチドに特異的HER2結合性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドに関する。本発明は、がん、自己免疫疾患、炎症性障害、および感染性疾患などの疾患の診断、予後および療法において、前記抗体およびそれらを含む組成物を使用する方法にも関する。
受容体型チロシン−タンパク質キナーゼerbB−2は、CD340(分化抗原群340)、癌原遺伝子Neu、Erbb2(げっ歯類)、またはERBB2(ヒト)としても公知であり、ヒトにおいてはERBB2遺伝子にコードされるタンパク質であり、またHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2から)またはHER2/neuとも呼ばれる。
HER2はヒト上皮増殖因子受容体(HER/EGFR/ERBB)ファミリーのメンバーである。公知の癌原遺伝子であるHER2は、ヒト第17染色体の長腕(17q12)に位置する。この癌遺伝子の増幅または過剰発現が、特定の悪性型乳がんの発症および進行において重要な役割を果たすことが示されている。近年、このタンパク質は、乳がん患者の約30%にとって重要なバイオマーカーおよび療法の標的となっている。
ErbBファミリーは、4種の細胞膜結合受容体型チロシンキナーゼからなる。そのうちの1つがerbB−2であり、その他のメンバーは、上皮増殖因子受容体、erbB−3(ニューレグリン結合性;キナーゼドメインを欠く)、およびerbB−4である。4種全てが、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および数多くのシグナル伝達分子と相互作用してリガンド依存性およびリガンド非依存性活性の両方を示すことができる細胞内ドメインを含む。HER2はその他3種の受容体のいずれかとヘテロ二量体化することができ、その他のErbB受容体の好ましい二量体化のパートナーであると考えられる。
二量体化により、受容体の細胞質ドメイン内のチロシン残基の自己リン酸化がもたらされ、様々なシグナル伝達経路が開始される。これらには、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K/Akt)経路、ホスホリパーゼCγ経路、タンパク質キナーゼC(PKC)経路、およびシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)経路が含まれる。したがって、受容体のErbBファミリーを介したシグナル伝達は、細胞増殖を促進し、アポトーシスに対抗し、それゆえに、制御されない細胞増殖の発生を防止するため厳格に調節されなければならない。
乳がんの約15〜30%には、ERBB2遺伝子の増幅または過剰発現が存在する。これは、疾患再発の増加および予後不良と強く関連する。過剰発現は、卵巣がん、胃がん、および子宮漿液性子宮内膜癌などの悪性型の子宮がんにも存在することが知られている。例えばHER−2は、胃がん患者の約7〜34%および唾液腺管癌患者の30%で過剰発現している。
この受容体のリガンド非依存性の興奮を引き起こす多様な構造上の変化を特定し、受容体過剰発現の非存在下でも同様に特定した。
HER2は様々な腫瘍に見られ、これらの腫瘍のいくつかはHER2の膜貫通ドメインを指定する配列に点突然変異を有する。膜貫通ドメインのグルタミン酸をバリンで置換すると、リガンド非存在下でこのタンパク質の構成的な二量体化が起こる場合がある。HER2突然変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)でも見出されており、治療を方向付けることができる。
HER2はモノクローナル抗体トラスツズマブ(ハーセプチンとして市販されている)の標的である。トラスツズマブは、HER2が過剰発現されているがんにのみ有効である。化学療法も受けているHER2−陽性乳がん患者全員に、1年間のトラスツズマブ療法が推奨されている。トラスツズマブがHER2に結合することの重要な下流効果は、細胞増殖を停止させるタンパク質、p27の増加である。
別のモノクローナル抗体、ペルツズマブは、HER2およびHER3受容体の二量体化を阻害するものであり、2012年6月にFDAによりトラスツズマブとの併用が承認された。
さらに、NeuVax(Galena Biopharma)は、「キラー」T細胞を標的に指向させ、HER2を発現するがん細胞を破壊するペプチドベースの免疫療法である。これは第3相臨床試験に入っている。
予後を評価し、トラスツズマブ療法への適合性を決定するため、乳がん患者においてHER2試験が実施されている。トラスツズマブは高価であり、かつ心臓毒性と関連するため、HER2−陽性の個人に限定されることが重要である。HER2−陰性の腫瘍では、トラスツズマブのリスクがベネフィットを明らかに上回る。
したがって、トラスツズマブ(および化学療法)による至適の療法の結果が満足のいくものでない場合に、または既存の抗体と組み合わせる代替として、フォローアップ療法に使用可能な、新規のより有効な抗体を開発する必要がある。
本発明の根本的な研究目的は、トラスツズマブおよびペルツズマブなどの既存の抗体および療法と比較して新規の作用機構を有する新たな分子を見出すため、HER2に対する多量の高親和性抗体を生成することであった。
本発明は、HER2に特異的に結合するモノクローナル抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはポリペプチドに特異的HER2結合性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドであって、前記抗体は、ヒトFc受容体に結合してFcR媒介性シグナル伝達経路を誘導する、抗体に関する。
一部の実施形態において、本発明による抗体は、トラスツズマブとは異なるエピトープに結合する。
本発明は、薬学的に有効な量の本発明による抗体を患者に投与するステップを含む、患者のHER−2媒介性疾患を治療する方法にも関する。
本発明はさらに、薬学的に許容される担体、および治療有効量の本発明による抗体を含む医薬組成物に関する。前記医薬組成物は、本発明に従ってHER−2媒介性疾患を治療する方法において、患者に投与されうる。
定義
本発明による用語「ウサギ」は、分類学上ウサギ目(taxonomic order)のメンバーの動物を意味し、それはファミリー(ノウサギおよびウサギ)およびナキウサギ科(Ochotonidae)(ナキウサギ)、好ましくはアナウサギ属(Oryctolagus)を含む。
用語「抗体」は、全抗体および本発明による特性を示す限り、抗体断片を含むがそれに限定されない様々な形態の抗体構造を包含する。
本発明による用語「ウサギモノクローナル抗体」は、ウサギを免疫することによって産生され、前記ウサギの抗原産生細胞から単離されるモノクローナル抗体、ならびに本発明による特徴的な特性が保持される限り、さらに修飾されるような抗体、好ましくはヒト化抗体、キメラ抗体、その断片、またはさらに遺伝子操作および組換え産生された抗体を意味する。好ましくは、抗体は、前記ウサギのB細胞またはウサギハイブリドーマ細胞由来である。
本発明による用語「抗体産生細胞」は、抗体を産生するウサギB細胞、好ましくはB細胞またはウサギハイブリドーマ細胞を意味する。
「天然の抗体」は、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)で構成される通常ヘテロ四量体の糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結され、一方でジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変化する。各重鎖および軽鎖は、規則正しく間隔を置いて配置されている鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)、続いていくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)および他方の末端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列され、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列される。特定のアミノ酸残基が、軽鎖と重鎖可変ドメインとの間にインターフェイスを形成すると考えられている。
ペプチドまたはポリペプチド配列に関して「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、必要に応じて最大のパーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後に、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない、特定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するための整列化は、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの一般公開されているコンピューターソフトウェアを使用して、当業者の範囲内にある様々な方法で達成され得る。
本明細書で用いられる用語「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合するヒト受容体を指す。FcRは、IgG抗体に結合し、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体の対立遺伝子バリアントならびに選択的スプライシング形態を含めた受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)を含み、その細胞質ドメインにおいて主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害性モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,M、Annu.Rev.Immunol.15:203〜234(1997)の総説を参照のこと)。FcRIIIA(CD16a)は、ADCCを媒介する。FcRについては、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol 9:457〜92(1991);Capelら、Immunomethods 4:25〜34(1994);およびde Haasら、J.Lab.CHn.Med.126:330〜41(1995)に概説されている。これらおよび他の全てのFcRは、本明細書において用語「FcR」に包含される。この用語は、胎児への母体IgGの移動に関与し(Guyerら、J.Immunol.117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.24:249(1994))、より遅い異化、したがってより長い半減期を媒介する新生児受容体、FcRnも含む。
「定常ドメイン(定常部分)」は、抗体の抗原への結合には直接関与しないが、例えばエフェクター機能をも示す。ヒトIgG1に対応する重鎖定常領域はγ1鎖と呼ばれる。ヒトIgG3に対応する重鎖定常領域はγ3鎖と呼ばれる。ヒト定常γ重鎖については、Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)、およびBrueggemann,M.、ら、J.Exp.Med.166(1987)1351〜1361;Love,T.W.、ら、Methods Enzymol.178(1989)515〜527に詳細に記載されている。IgG1またはIgG3型の定常ドメインは、Asn297でグリコシル化されている。本発明による「Asn297」は、Fc領域のおよそ297位に位置するアミノ酸アスパラギンを意味する。抗体の軽度の配列変動に基づけば、Asn297は数アミノ酸(通常、アミノ酸+3個以下)上流または下流に位置していてもよい。
本明細書では用語「抗体エフェクター機能」または「エフェクター機能」とは、IgGのFcエフェクタードメイン(例えば、免疫グロブリンのFc領域)によって付与される機能を指す。そのような機能は、例えば、食細胞もしくは溶解活性を持つ免疫細胞のFc受容体へのFcエフェクタードメインの結合または補体系の成分へのFcエフェクタードメインの結合によって生じ得る。典型的なエフェクター機能は、ADCC、ADCPおよびCDCである。
「抗体断片」とは、インタクトな抗体の一部を含み、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、それだけには限らないがFv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体がある。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいてその抗原への参照抗体の結合を50%以上遮断する、逆に言えば、競合アッセイにおいて参照抗体が、その抗原への抗体の結合を50%以上遮断する抗体を指す。例示的な競合アッセイが、本明細書に提供される。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」および「ADCC」とは、FcRを発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)が、標的細胞に結合している抗体を認識し、その後標的細胞の溶解を引き起こす細胞に媒介される反応を指す。ADCCを媒介するための初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIだけを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。
造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch, and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9(1991)457−492の464ページの表3に要約されている。用語「抗体依存性細胞食作用」および「ADCP」とは、抗体被覆細胞が、免疫グロブリンFc領域に結合する食免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球および樹状細胞)によって全体または一部のいずれかが内部移行される過程を指す。
「C1q」は、免疫グロブリンのFc領域に対する結合部位を含むポリペプチドである。C1qは、2つのセリンプロテアーゼであるC1rおよびC1sと一緒に補体依存性細胞傷害(CDC)経路の第1成分である複合体C1を形成する。ヒトC1qは、例えばQuidel、San Diego、Californiaから商業的に購入することができる。
抗体の「クラス」とは、重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域の型を指す。5つの大きな抗体のクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgAにさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれa、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。
薬剤、例えば、医薬製剤の「有効量」とは、必要な投薬量および期間で、所望の治療的または予防的結果を達成するために有効な量を指す。
用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために本明細書において使用される。用語は、天然配列のFc領域およびバリアントFc領域を含む。
本明細書において特に明記しない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)に記載のEUインデックスとも呼ばれるEU付番方式にしたがう。
「バリアントFc領域」は、本明細書において定義した「アミノ酸修飾」の少なくとも1つによって「天然」または「野生型」配列のFc領域と異なるアミノ酸配列を含む。
本明細書では用語「Fcバリアント」は、Fcドメインに修飾を含むポリペプチドを指す。本発明で述べられる全ての位置について、番号付けは、EUインデックスにしたがう。EUインデックスまたはKabatもしくはEU番号付けスキームとしてのEUインデックスとは、EU抗体の番号付けを指す(Edelmanら、Proc Natl Acad Sci USA 63(1969)78〜85、参照により全体を本明細書に組み込む)。修飾は、付加、欠失または置換であり得る。置換は、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸を含み得る。バリアントは、非天然のアミノ酸を含み得る。
用語「Fc領域含有ポリペプチド」とは、Fc領域を含む抗体またはイムノアドヘシン(下の定義を参照のこと)などのポリペプチドを指す。
用語「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体について記述するために使用される。IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するFcRは、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体の対立遺伝子バリアントならびに選択的スプライシング形態を含めた受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)を含み、その細胞質ドメインにおいて主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害性モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,M.、Annu.Rev.Immunol.15(1997)203〜234の総説を参照のこと)。FcRについては、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol 9(1991)457〜492;Capelら、Immunomethods 4(1994)25〜34;およびHaasら、J.Lab.Clin.Med.126(1995)330〜41に概説されている。将来に同定されるものを含めて、他のFcRは、本明細書において用語「FcR」に包含される。用語は、胎児への母体IgGの移動に関与する新生児受容体、FcRnも含む(Guyerら、J.Immunol.117(1976)587およびKimら、J.Immunol.24(1994)249)。
本明細書では、「IgG Fcリガンド」とは、IgG抗体のFc領域に結合して、Fc/Fcリガンド複合体を形成するあらゆる生物由来の分子、好ましくはポリペプチドを意味する。Fcリガンドには、それだけには限らないが、FcγR、FcγR、FcγR、FcRn、Clq、C3、マンナン結合レクチン、マンノース受容体、ブドウ球菌プロテインA、連鎖球菌プロテインG、およびウイルスFcγRがある。Fcリガンドは、FcγRに相同なFc受容体のファミリーであるFc受容体ホモログ(FcRH)も含む。(Davisら、Immunological Reviews 190(2002)123〜136、全体を参照により組み込む)。Fcリガンドは、Fcに結合する未発見の分子を含み得る。特定のIgG Fcリガンドは、FcRnおよびFcガンマ受容体である。本明細書では、「Fcリガンド」とは、抗体のFc領域に結合して、Fc/Fcリガンド複合体を形成するあらゆる生物由来の分子、好ましくはポリペプチドを意味する。
本明細書では、「Fcガンマ受容体」、「FcγR」または「FcgammaR」とは、IgG抗体Fc領域に結合し、FcγR遺伝子によってコードされているタンパク質ファミリーの任意のメンバーを意味する。ヒトにおいてこのファミリーは、アイソフォームFcγRIA、FcγRIBおよびFcγRICを含めたFcγRI(CD64);アイソフォームFcγRIIA(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIB(FcγRIIB−1およびFcγRIIB−2を含む)、およびFcγRIIcを含めたFcγRII(CD32);ならびにアイソフォームFcγRIIIA(アロタイプVI58およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIB−NA1およびFcγRIIB−NA2を含む)を含めたFcγRIII(CD16)(Jefferisら、Immunol Lett 82(2002)57〜65、全体を参照により組み込む)、加えて未発見のあらゆるヒトFcγRもしくはFcγRアイソフォームまたはアロタイプを含むが、これに限定されない。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギおよびサルを含むがこれに限定されない任意の生物由来であり得る。マウスFcγRは、それだけには限らないが、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)およびFcγRIII−2(CD16−2)、ならびに未発見のあらゆるマウスFcγRもしくはFcγRアイソフォームまたはアロタイプを含む。
本明細書では、「FcRn」または「新生児Fc受容体」とは、IgG抗体Fc領域に結合し、FcRn遺伝子によって少なくとも一部コードされているタンパク質を意味する。FcRnは、ヒト、マウス、ラット、ウサギおよびサルを含むがこれに限定されない任意の生物由来であり得る。当技術分野で公知のように、機能的FcRnタンパク質は、しばしば重鎖および軽鎖と呼ばれる2つのポリペプチドを含む。軽鎖はベータ2−ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされる。特に明記しない限り本明細書において、FcRnまたはFcRnタンパク質とは、ベータ2−ミクログロブリンとFcRn重鎖の複合体を指す。
「イムノコンジュゲート」は、化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素、別の抗体または放射性同位元素など、1つまたは複数の細胞傷害性薬剤にコンジュゲートされた抗体を意味する。
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、好ましくはその可変領域または少なくともその抗原結合部位を含む。抗体断片の例には、ダイアボディ、Fab断片および一本鎖抗体分子がある。scFv抗体は、例えば、Huston,J.S.、Methods in Enzymol.203(1991)46〜88に記述されている。
本明細書では用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、単一のアミノ酸組成の抗体分子の調製物を指す。
「ヒト化抗体」または「抗体のヒト化形態」という語は、抗体工学の結果として重鎖および軽鎖の両方がヒト化された抗体を指す。ヒト化された鎖は通常、V領域アミノ酸配列が、全体的に分析すると、起源となった種の生殖細胞系配列よりもヒト生殖細胞系配列に相同性が近くなるように変更された鎖である。ヒト化の評価は、生じたアミノ酸配列に基づき、技法それ自体には基づかない。
本明細書では用語「標的に対して特異的に結合する、または抗標的抗体」とは、ELISAによって測定されるそれぞれの抗原(標的)または抗原発現細胞への抗体の結合を指し、前記ELISAは、固体支持体にそれぞれの抗原をコーティングすること、それぞれの抗原またはタンパク質と免疫複合体を形成できる条件下で前記抗体を添加すること、本発明による抗体に結合する二次抗体およびペルオキシダーゼに媒介される発色を使用して光学密度値(OD)を測定することにより前記免疫複合体を検出することとを好ましくは含む。
本発明による用語「抗原」とは、免疫化に使用される抗原またはそのタンパク質配列の一部として前記抗原を含むタンパク質のことを指す。例えば、免疫化の場合、タンパク質の細胞外ドメインの断片(例えば最初の20アミノ酸)を使用することができ、検出/アッセイなどの場合、タンパク質または完全長タンパク質の細胞外ドメインを使用することができる。
本明細書において用語「特異的に結合する」または「特異的に認識される」は、抗体が、抗原にかなりの親和性を呈し、好ましくは、有意な交差反応性を呈しないことを意味する。
「かなりの」結合親和性は、少なくとも10−7M、特に少なくとも10−8M、さらに特に少なくとも10−9Mまたはよりさらに特に少なくとも10−10Mの親和性による結合を含む。
「有意な交差反応性を呈しない」抗体は、望ましくない他のタンパク質に目に見えて結合することがない抗体である。特異的結合は、そのような結合を決定するための当業者に認識されている任意の手段、例えば競合結合アッセイ(例えばELISA)により決定することができる。
本明細書では全てのタンパク質用語は、ヒトタンパク質を指す。別の種由来のタンパク質を意味する場合、これは明確に言及される。
本明細書では「本発明による抗体の可変領域(またはドメイン)」(軽鎖の可変領域[VL]、重鎖の可変領域[VH])は、抗体が抗原に結合するのに直接関係する軽および重鎖領域の対の各々を意味する。可変軽および重鎖領域は同じ全体構造を有し、各領域は、配列が広く保存され、3つの相補性決定領域、CDRによって接続されている4つのフレームワーク(FR)領域を含む。
「抗体の抗原結合部分」という語は、本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与する、抗体のアミノ酸残基を指す。抗体の抗原結合部分は、好ましくは「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基を含む。CDR配列は、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991)に従って規定される。この付番システムを使用して、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変領域のFRまたはCDRの短縮、またはこれらへの挿入に対応する、アミノ酸の減少または追加を含んでいてよい。例えば、重鎖可変領域は、H2の残基52の次に単一のアミノ酸インサート(Kabatによれば残基52a)、および重鎖FR残基82の次に挿入残基(Kabatによれば例えば残基82a、82b、および82cなど)を含んでいてよい。残基のKabat付番は、所与の抗体について、「標準的な」Kabat付番された配列と、抗体の配列の相同な領域において並べることにより決定可能である。
本明細書では用語「がん」は、例えば、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞細胞肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚もしくは眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん(stomach cancer)、胃部がん(gastric cancer)、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、上皮小体のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん、膀胱のがん、腎臓もしくは尿管のがん、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中皮腫、肝細胞がん、胆道がん、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経鞘腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、扁平上皮細胞癌腫、下垂体腺腫、リンパ腫、リンパ性白血病、上記がんのいずれかの難治性バージョン、または上記がんの1つまたは複数の組合せを含むものであり得る。好ましくは、このようながんは乳がん、大腸がん、肺がん、または膵臓がんである。
後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。 後段で詳述。
本発明は、様々な特性を有する多量の多様な分子の産生を可能にする、発明者らによって確立された技術を使用することに由来する。
発明者らは、40,000を超えるB細胞上清を産生してこれらを試験し、そこから、ELISAアッセイにおいてモノまたはオリゴ特異的にHER受容体に結合する7,500を超える抗体を特定した。
分子564個のRNAおよびアミノ酸配列を決定して、各抗体をクローニングし、発現させ精製して、約300の組換えキメラ抗体を生成させた。この抗体の遺伝子改変および精製により、規定量の抗体の特異的生化学試験、それゆえに適切な定量的評価が可能となり、その結果、望ましくない免疫防御反応が最小限となるためin vivoでの使用が可能となる。
組換えモノクローナル抗体を、in vitroおよびin vivoで試験し、比較した。驚くべきことに、JIMT−1細胞において、トラスツズマブ/ハーセプチンと比較してFcγRIIIa媒介性活性の少なくとも2倍の増大、すなわちより大きなNFAT経路活性化を示すいくつかの分子が見出された。さらに、抗体のいくつかは、乳がん療法における至適の抗体であるトラスツズマブ(TZ)およびペルツズマブ(PZ)とは異なるエピトープに結合することが判明した。
したがって、本発明は、HER2に特異的に結合するモノクローナル抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはポリペプチドに特異的HER2結合性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドであって、
a)CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3を含む重鎖可変領域(VH)であって、
CDR−H1領域が、配列番号13〜18の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
CDR−H2領域が、配列番号19〜24の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
CDR−H3領域が、配列番号25〜30の群から選択されるアミノ酸配列を含む、VHと、
b)CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、
CDR−L1領域が、配列番号31〜36の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
CDR−L2領域が、配列番号37〜42の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
CDR−L3領域が、配列番号43〜48の群から選択されるアミノ酸配列を含む、VLと
を含む、抗体に関する。
さらに、本発明による抗体は、
a)フレームワーク領域FR−H1、FR−H2、FR−H3、およびFR−H4を含み、
FR−H1領域が、配列番号49〜54の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
FR−H2領域が、配列番号55〜60の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
FR−H3領域が、配列番号61〜66の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
FR−H4領域が、配列番号67〜72の群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)と、
b)フレームワーク領域FR−L1、FR−L2、FR−L3、およびFR−L4を含み、
FR−L1領域が、配列番号73〜78の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
FR−L2領域が、配列番号79〜84の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
FR−L3領域が、配列番号85〜90の群から選択されるアミノ酸配列を含み、
FR−L4領域が、配列番号91〜96の群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)と
を含んでいてよい。
一実施形態において、本発明による抗体はモノクローナルIgG抗体である。
好ましくは、本発明による抗体はモノクローナルIgG1抗体である。
本発明によるモノクローナル抗体は、配列番号1〜6および配列番号100〜101の重鎖可変(VH)領域からなる群から選択されるVH領域と少なくとも90%同一であるVH領域、ならびに配列番号7〜12および配列番号102〜104の軽鎖可変(VL)領域からなる群から選択されるVL領域と少なくとも90%同一であるVL領域を含む、HER2に特異的に結合する抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはHER2結合特異性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドである。
本発明による抗体において、重鎖可変(VH)領域は、配列番号1〜6および配列番号100〜101のVH領域からなる群から選択されるVH領域と少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一であってよい。
一実施形態において、本発明による抗体は、本発明による重鎖可変領域(VH)配列の群、すなわち配列番号1〜6および配列番号100〜101から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。
好ましくは、抗体は、配列番号4の重鎖可変(VH)領域と少なくとも90%同一であるVH領域を含み、好ましくは、VH領域は配列番号4と91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、最も好ましくは、VH領域は配列番号4を含む。
ある特定の実施形態において、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して、置換(例えば保存的置換)、挿入、または欠失を含み、それによっても、抗体は本発明に従って特異的に各抗原に結合する能力を維持する。ある特定の実施形態では、前記VH配列のそれぞれにおいて、計1〜10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDRの外の領域(すなわちFR)に発生する。
好ましい実施形態において、重鎖可変領域(VH)配列は、配列番号1〜6および配列番号100〜101のVH領域からなる群から選択される。
さらにより好ましくは、重鎖可変領域(VH)配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号100または101である。最も好ましくは、VH配列は配列番号4である。
本発明による抗体において、軽鎖可変(VL)領域は、配列番号7〜12および配列番号102〜104のVL領域からなる群から選択されるVL領域と少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一であってよい。
一実施形態において、本発明による抗体は、本発明による軽鎖可変領域(VL)配列のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVLを含む。
好ましくは、抗体は、配列番号10の軽鎖可変(VL)領域と少なくとも90%同一であり、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVL領域を含み、最も好ましくは、VL領域は配列番号10を含む。
一部の実施形態において、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して、置換(例えば保存的置換)、挿入、または欠失を含み、それによっても、抗体は各抗原に特異的に結合する能力を維持する。ある特定の実施形態では、前記VL配列において、計1〜10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDRの外の領域(すなわちFR)に発生する。
好ましい実施形態において、軽鎖可変領域(VL)配列は、配列番号7〜12および配列番号102〜104のVL領域からなる群から選択される。
さらにより好ましくは、重鎖可変領域(VL)配列は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号102、配列番号103または104である。
最も好ましくは、VL配列は配列番号10である。
本発明によるVL配列が90位に突然変異を含むことがさらに好ましい。好ましくは、配列番号10、102、103および104の群の配列を含むVL配列が、90位に突然変異を含む。好ましくは、突然変異はシステインからセリンへの突然変異である。しかし、これは異なるアミノ酸置換であってもよい。VL配列は、当然のことながら、先に詳述したようにさらなる突然変異を含んでいてもよい。
本発明は、VH領域が配列番号1+nのVH領域と少なくとも90%同一であり、VL領域が配列番号7+nのVL領域と少なくとも90%同一であり、nが0〜5からなる群から選択される数である、抗体にも関する。
本発明は、配列番号1+nのVH領域からなる群から選択されるVH領域を含み、VL領域が配列番号7+nのVL領域からなる群から選択され、nが0〜5からなる群から選択される数である、抗体にも関する。
本発明は、配列番号13+nのCDR−H1領域、配列番号19+nのCDR−H2領域、および配列番号25+nのCDR−H3領域を含むVH領域の群から選択されるVH領域を含み、nが0〜5からなる群から選択される数である、抗体にも関する。
さらに、本発明による抗体は、配列番号31+nのCDR−L1領域、配列番号37+nのCDR−L2領域、および配列番号43+nのCDR−L3領域を含むVL領域の群から選択されるVL領域を含んでいてよく、nは0〜5からなる群から選択される数である。
本発明による抗体は、配列番号13+nのCDR−H1領域、配列番号19+nのCDR−H2領域、および配列番号25+nのCDR−H3領域を含むVH領域の群から選択されるVH領域も含んでいてよく、配列番号31+nのCDR−L1領域、配列番号37+nのCDR−L2領域、および配列番号43+nのCDR−L3領域を含むVL領域の群から選択されるVL領域を含み、nは0〜5からなる群から選択される数である。
本発明による「nは0〜5の群から選択される数である」は、0、1、2、3、4、および5の群から選択される数を意味する。本発明による数「n」は、同一の抗体、その重鎖および軽鎖、その可変領域およびCDR領域では同一であることが意図される。
さらに、本発明による抗体は、C074、C031、B106、B100、AK57、B115からなる群から選択される抗体の、各CDR1、CDR2およびCDR3領域、ならびに各FR1、FR2、FR3、およびFR4領域を含む、VH領域およびVL領域を含んでいてよい。
好ましくは、抗体は、B100と呼ばれる抗体(MABD B100に相当)の各CDR1、CDR2およびCDR3領域、ならびに各FR1、FR2、FR3、およびFR4領域を含む、VH領域およびVL領域を含む。
好ましくは、B100はヒト化抗体である。
好ましくは、本発明による抗体は配列番号1および7を含む。別の実施形態では、本発明による抗体は配列番号2および8を含む。本発明による抗体は、配列番号3および9または配列番号4および10、または配列番号5および11、または配列番号6および12を含んでいてもよい。
本発明によるさらなる好ましい実施形態において、抗体は配列番号1、7、および98を含む。別の実施形態では、本発明による抗体は配列番号2、8、および98を含む。本発明による抗体は、配列番号3、9、および98、または配列番号4、10、および98、または配列番号5、11、および99、または配列番号6、12、および98を含んでいてもよい。
本発明によるさらなる好ましい実施形態において、抗体は配列番号1、7、および97を含む。別の実施形態では、本発明による抗体は配列番号2、8、および97を含む。本発明による抗体は、配列番号3、9、および97、または配列番号4、10、および97、または配列番号5、11、および97、または配列番号6、12、および97を含んでいてもよい。
本発明によるさらなる好ましい実施形態において、抗体は配列番号1、7、97および98を含む。別の実施形態では、本発明による抗体は配列番号2、8、97および98を含む。本発明による抗体は、配列番号3、9、97および98、または配列番号4、10、97および98、または配列番号5、11、97および99、または配列番号6、12、97および98を含んでいてもよい。
本発明は、HER2に特異的に結合するモノクローナル抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはHER2結合特異性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドであって、
a)FR−H1、CDR−H1、FR−H2、CDR−H2、FR−H3、CDR−H3およびFR−H4を含み、
CDR−H1領域が、式:
(S/N)−(Y/S)−(N/A/G/Y)−(M/V/Y)−(G/A/S/M)5−(0/C)
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−H2領域が、式:
(I/C)−(I)−(N/S/Y)−(H/A/S/G)−(G/I/S)−(D/G/S)−(N/T/F/D/S)−(T/A/N/S)−(Y/H/T/S)−(T/Y/W)10−(F/A/Y)11−(S/A/Y)12−(W/A/S)13−(W/A/S)14−(K/A/W)15−(G/A/K)16−(0/G/K)17−(0/AG)18
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−H3領域が、式:
(G/S/A/D)−(A/Y/D/V/L/Q)−(A/T/D/V/Y/I)−(P/A/S/G/Y)−(G/N/S/D)−(D/G/S/Y)−(G/T/N/L/S)−(R/A/G)−(Y/F/L/G)−(0/N/G/Y)10−(0/I/Y/L)11−(0/F)12−(0/S)13−(0/L)14
によるアミノ酸配列を含む、
重鎖可変領域(VH)、
b)FR−L1、CDR−L1、FR−L2、CDR−L2、FR−L3、CDR−L3、およびFR−L4を含み、
CDR−L1領域が、式:
(Q)−(A)−(S)−(Q)−(S)−(I)−(G/S/Y)−(T/N/S/I)−(Y/A/L)−(L)10−(G/A/S)11
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−L2領域が、式:
(G/Y/S/K)−(A)−(S)−(N/S/T)−(L)−(E/A)−(F/S)
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−L3領域が、式:
(Q)−(C/N/S)−(S/T/N)−(A/D/N/Y)−(Y/V/A/G)−(G/S)−(G/S)−(R/N/V/Y/S)−(Y/S)−(V/S/L)10−(G/A/W)11−(G/A/T/F/E)12−(0/G)13−(0/A)14
によるアミノ酸配列を含む、
軽鎖可変領域(VL)
を含む、抗体にも関する。
本明細書では、「0」はその位置に必ずしもアミノ酸がなくてもよいことを示している。
好ましい一実施形態において、本発明の抗体は、CDR−L3の2位にセリンを含む。
最も好ましくは、本発明による抗体は、配列番号16を含むCDR−H1領域、配列番号22を含むCDR−H2領域、配列番号28を含むCDR−H3領域、ならびに配列番号34を含むCDR−L1領域、配列番号40を含むCDR−L2領域、および配列番号46を含むCDR−L3領域を含む。
本発明によるモノクローナル抗体はウサギ抗体であってよい。好ましい実施形態において、本発明の抗体はウサギ/ヒトキメラ抗体である。さらなる好ましい形態において、抗体はヒト化抗体である。
したがって、好ましい実施形態において、本発明による抗体は、
a)FR−H1、CDR−H1、FR−H2、CDR−H2、FR−H3、CDR−H3およびFR−H4を含み、
CDR−H1領域が、式:
(S/N)−(Y/S)−(N/A/G/Y)−(M/V/Y)−(G/A/S/M)5−(0/C)
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−H2領域が、式:
(I/C)−(I)−(N/S/Y)−(H/A/S/G)−(G/I/S)−(D/G/S)−(N/T/F/D/S)−(T/A/N/S)−(Y/H/T/S)−(T/Y/W)10−(F/A/Y)11−(S/A/Y)12−(W/A/S)13−(W/A/S)14−(K/A/W)15−(G/A/K)16−(0/G/K)17−(0/AG)18
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−H3領域が、式:
(G/S/A/D)−(A/Y/D/V/L/Q)−(A/T/D/V/Y/I)−(P/A/S/G/Y)−(G/N/S/D)−(D/G/S/Y)−(G/T/N/L/S)−(R/A/G)−(Y/F/L/G)−(0/N/G/Y)10−(0/I/Y/L)11−(0/F)12−(0/S)13−(0/L)14
によるアミノ酸配列を含む、
重鎖可変領域(VH)、
b)FR−L1、CDR−L1、FR−L2、CDR−L2、FR−L3、CDR−L3、およびFR−L4を含み、
CDR−L1領域が、式:
(Q)−(A)−(S)−(Q)−(S)−(I)−(G/S/Y)−(T/N/S/I)−(Y/A/L)−(L)10−(G/A/S)11
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−L2領域が、式:
(G/Y/S/K)−(A)−(S)−(N/S/T)−(L)−(E/A)−(F/S)
によるアミノ酸配列を含み、
CDR−L3領域が、式:
(Q)−(C/N/S)−(S/T/N)−(A/D/N/Y)−(Y/V/A/G)−(G/S)−(G/S)−(R/N/V/Y/S)−(Y/S)−(V/S/L)10−(G/A/W)11−(G/A/T/F/E)12−(0/G)13−(0/A)14
によるアミノ酸配列を含む、
軽鎖可変領域(VL)
を含む、FR−H1、CDR−H1、FR−H2、CDR−H2、FR−H3、CDR−H3およびFR−H4を含む重鎖可変領域(VH)を含むヒト化抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはHER2結合特異性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドである。
好ましい一実施形態において、本発明の抗体は、CDR−L3の2位にセリンを含む。
好ましくは、本発明による抗体は、配列番号16を含むCDR−H1領域、配列番号22を含むCDR−H2領域、配列番号28を含むCDR−H3領域、ならびに配列番号34を含むCDR−L1領域、配列番号40を含むCDR−L2領域、および配列番号46を含むCDR−L3領域を含むヒト化抗体である。
本発明は、HER2に特異的に結合する抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはHER2結合特異性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドであって、ヒトFc受容体に結合してFcR媒介性シグナル伝達経路を誘導する、抗体も包含する。
好ましくは、本発明による抗体は、市販の抗体と比較すると、FcR媒介性シグナル伝達経路の誘導の増大を示す。
驚くべきことに、発明者らは、トラスツズマブより、FcγRIIIa媒介性活性の少なくとも50の倍率増大(FoI:誘導倍率)(図2c)、実施例1参照)、すなわち少なくとも2倍高いNFAT経路活性化を示すいくつかの分子を特定した。トラスツズマブは最大26の誘導倍率(FoI)を示す(図2a)参照)。
より具体的には、本発明による抗体は、FcγRIIIaアッセイにおいて、Fc受容体シグナル伝達活性を少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも50倍、最も好ましくは70倍またはそれを上回って増大させることができる(実施例1、図2b)c)参照)。
本発明による抗体が、FcγRIIIaアッセイにおいて、Fc受容体シグナル伝達活性を17倍、好ましくは22倍、より好ましくは50倍、最も好ましくは70倍増大させることが好ましい。
本発明による抗体は、市販の抗体より強力でもある。
SBKR−3細胞では、本発明による抗体は、52ng/mlのEC50で、好ましくは100倍超、より好ましくは110倍超、120倍超、より好ましくは130倍超のFcRシグナル伝達刺激を示す。好ましい抗体は、FcRシグナル伝達を52ng/mlのEC50で132倍増大させることができる(図6参照)。このことは、トラスツズマブよりはるかに高いシグナル伝達効力を反映している。トラスツズマブは、81ng/mlのEC50で同等のシグナル伝達増大を示す。
がん療法に使用される従来の抗体と比較したこの活性増大は、HER2媒介性疾患の治療での使用にあたって優位であることおよび際立った潜在能力を明らかに示している。
市販の、がん療法に従来使用されてきたモノクローナル抗体よりも有効な新規のモノクローナル抗体を見出すため、発明者らは最も有望な候補抗体を選択し、競合アッセイでこれらを試験した(実施例2)。
驚くべきことに、いくつかの分子が、乳がん療法における至適の抗体であるトラスツズマブ(TZ)およびペルツズマブ(PZ)とは異なるエピトープに結合する、すなわち異なる独自の作用様式を示すことが判明した。NFAT経路刺激アッセイにおける上記分子による活性増大(実施例1、図2)と組み合わせて、示差的な結合特性により、上記分子はHER2媒介性疾患を治療するのに使用するための理想的な新規の試薬となる。
したがって、本発明による抗体は、トラスツズマブとは異なるエピトープに結合する。好ましくは、本発明による抗体は、ペルツズマブとも異なるエピトープに結合する。
このことは、本発明による抗体が、エピトープ競合アッセイ(図3)でトラスツズマブと競合しないことを意味する。
エピトープ競合アッセイでペルツズマブと競合しない、本発明による抗体も好ましい。B106およびB115と呼ばれる抗体を除き、抗体はエピトープ競合アッセイ(図3)でペルツズマブと競合しないことが好ましい。
本発明による抗体は、標的への結合に関して非常に強力であるという利点を有する。これらは、抗原であるHER2に対し強い結合能力を示すが、その他の受容体に対しては示さない。抗体の結合特性については、生化学的酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA−実施例3および4参照)で研究を行い、図4、5および7に図示する。
本発明による好ましい抗体は、実施例3)に記載される実験で、半最大有効濃度(EC50)8ng/ml未満、好ましくは6ng/ml超を示す。好ましい抗体、MABD B100は、トラスツズマブおよびペルツズマブのEC50と同等の5.2ng/mlのEC50を示す(図4参照)。
際立ったことに、本発明による抗体は、HER2がSK−BR−3細胞株で発現された実験でも、抗原への非常に強い結合を示す(実施例5参照)。好ましくは、抗体は100ng/ml未満、好ましくは80ng/ml未満のEC50を示す。本発明による好ましい抗体、MABD B100は、トラスツズマブおよびペルツズマブのEC50と同等の78ng/mlのEC50を示す。
本発明による抗体は、その結合特性も非常に特異的である。これらはHER2に対しては強い結合を示すが、相同な受容体HER1、HER3またはHER4に対しては示さない。このことは図7で図示される。際立ったことに、発明者らはこのことが、使用した濃度とは無関係であることを発見した。試験された抗体は全て、1ng/mL〜2000ng/mLの濃度範囲内でHER2への特異的な結合を示す。HER2 ELISAでのEC50の100倍を超える濃度であっても、HER1、HER3およびHER4への結合シグナルは検出されなかった。
発明者らは、本発明による抗体が、ヒトHER2に結合するだけでなくHER2オルソログにも結合可能であることも発見した。本発明による抗体が、ヒトおよびカニクイザルHER2受容体への強い結合を示すことが好ましい。これらは、ラットHER2受容体に対しては部分的な結合を示しうる。図7b)に示すように、本発明による各種抗体の、ヒトおよびカニクイザルHER2受容体への結合は同様のEC50値で同等の強度であり、試験された抗体はラットHER2に対しても部分的な反応性を示した(EC50>100ng/mL)が、マウスHER2に対しては反応性を示さなかった。
驚くべきことに、市販の抗体および先行技術の抗体とは対照的に、発明者らは、本発明の抗体が、カンプトテシンなどの細胞毒性薬物と同等の有効性でアポトーシスを誘導可能であることを発見した。これは、異なる作用様式を有するその他のHER2抗体の活性に加えての、際立った活性である。さらなる毒性のリスクはない。トラスツズマブおよびペルツズマブとは対照的に、本発明の抗体は、SK−BR−3細胞株実験において、陽性対照カンプトテシンと比較して、細胞の少なくとも60%、好ましくは65%超、70%超、75%超、80%超、最も好ましくは85%超でアポトーシスを誘導することができる。本発明の一実施形態において、トラスツズマブではわずか10%およびペルツズマブではわずか12%であったのとは対照的に、抗体は細胞の75%でアポトーシスの誘導を示す(図8)。
先に述べたように、本発明によるモノクローナル抗体はウサギ抗体であってよい。好ましくは、これはウサギ/ヒトキメラ抗体である。さらなる好ましい形態では、抗体はヒト化抗体である。
本発明による抗体のヒト化形態は、そのキメラ形態の好適な特性を維持している。例えばこれらは、強い結合能力および効力を保つ。本発明による好ましいヒト化抗体は10ng/ml未満のEC50を示す。他の実施形態において、抗体は9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満または6ng/ml未満のEC50、最も好ましくは5.3ng/mlのEC50を示す。図9は本発明の好ましい抗体のいくつかの例およびその効力を示す。
また、本発明による抗体のヒト化形態は、SK−BR−3実験で強い結合能力を示す(例えば図10、実施例4参照)。本発明による好ましいヒト化抗体は80ng/ml未満のEC50を示す。他の実施形態において、抗体は70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満または40ng/ml未満のEC50、または最も好ましくは20ng/ml未満のEC50を示す。図10は本発明の好ましい抗体のいくつかの例およびその効力を示す。
本発明によるヒト化抗体は、強いFcγ−受容体シグナル伝達を誘導することもできる。好ましくは、Fcyシグナル伝達は、抗体のキメラ形態のシグナル伝達と同等であるかより強力である。Fcyシグナル伝達の誘導が、市販の抗体より強いことも好ましい。本発明のある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、300ng/ml未満、好ましくは200ng/ml未満、100nt/ml未満、95ng/ml未満のEC50、最も好ましくは60ng/ml未満のEC50を有する。
先に注記されたように、市販の抗体および先行技術の抗体とは対照的に、本発明の抗体はアポトーシスを誘導することができる。このことは、抗体のヒト化形態にも当てはまる。本発明のヒト化抗体は、少なくとも60%、好ましくは65%超、70%超、75%超、80%超、最も好ましくは85%超のアポトーシス誘導を示す(図12、実施例7)。
際立ったことに、市販の抗体とは対照的に、発明者らは驚くべきことに、本発明の抗体が、マウスにおいて腫瘍量を著しく減少させることができることを発見した。HTM−SK−BR−3腫瘍モデルにおいて、本発明による抗体は、トラスツズマブおよびペルツズマブとは対照的に、腫瘍サイズおよびがん細胞量を劇的に減少させることができる。
本発明の好ましい抗体は、トラスツズマブと比較して、腫瘍細胞数を80%超、好ましくは85%超、最も好ましくは90%超減少させることができる(図13参照)。
発明者らは、様々な組織の組織切片および腫瘍細胞数をフローサイトメトリーで分析することでも、本発明による抗体の強い抗腫瘍および転移抑制活性を見出した。トラスツズマブおよびペルツズマブなどの市販の抗体、ならびに先行技術のその他の抗体とは対照的に、本発明の抗体は腫瘍細胞数を強力に減少させる。例えば、前記抗体による治療後、肺、肝臓および脳組織で腫瘍細胞数が減少する(図14a)およびb)参照)。
さらに、本発明の抗体は、市販の抗体および先行技術のその他の抗体とは対照的に、腫瘍細胞の転移を効率的に阻害することができる。例えば、抗体は、トラスツズマブおよびペルツズマブとは対照的に、腫瘍細胞の骨髄への広がりを阻害することができる(図15)。
特定の好適な特性により、本発明による抗体は、その標的抗原の調節不全が根本的な原因である疾患の治療に特に適している。これらの特定の特性により、これらは市販の抗体および先行技術のその他の抗体よりはるかに適している。
したがって、本発明による抗体は、HER2の調節不全が根本的な原因である疾患の治療に特に有用である。
したがって、本発明は、HER−2媒介性疾患の治療に使用するための、本発明による抗体も包含する。
したがって、本発明は、薬学的に有効な量の本発明による抗体を患者に投与するステップを含む、患者のHER−2媒介性疾患を治療する方法にも関する。
さらに、本発明は、薬学的に許容される担体、および本発明による治療有効量の抗体を含む医薬組成物に関する。
本明細書では、「医薬用担体」は、生理的に適合性がある溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、等のいずれか及び全てを含む。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮投与(例えば注射または注入による)に適している。
本発明の組成物は、当業者に公知の様々な方法によって投与され得る。当業者に認識されるであろうように、投与の経路および/または様式は、所望の結果によって変化することになる。特定の投与経路によって本発明の化合物を投与するために、化合物を、不活化を防止する材料でコーティングする、または化合物を、その材料と同時投与する必要がある場合がある。例えば、化合物は、適当な担体、例えば、リポソームまたは希釈剤中で対象に投与され得る。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性緩衝液がある。医薬用担体は、無菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製用の滅菌水溶液もしくは分散液および無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質に対するそのような媒質および薬剤の使用は、当業者に公知である。
本明細書では句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、腸内および局所投与以外の投与の様式を意味し、通常注射により、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、真皮内、腹膜内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、硬膜外および胸骨内注射ならびに注入を含むが、これに限定されない。
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含有することができる。微生物の存在の防止は、上記殺菌手順と様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることの両方によって確実にできる。組成物に例えば糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましい場合もある。加えて、注射可能な医薬品形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらすことができる。選択される投与経路に関係なく、適切な水和形態で使用され得る本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物は、当業技術者に公知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって有毒であることなく、特定の患者、組成物および投与の様式に関して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るために変化させることができる。選択される投薬量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与の時間、用いられる特定の化合物の排出率、処置期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、年齢、性別、体重、症状、全体的な健康および処置される患者の以前の病歴、ならびに医術において周知の因子などを含めた様々な薬物動態学的因子に依存することになる。
本発明の一態様は、本出願において定義される、がんの処置に使用するための本発明による医薬組成物である。
本発明の別の態様は、患者に本発明による医薬組成物を投与する工程を含む、患者においてHER−2媒介性疾患を処置する方法である。このようなHER−2媒介性疾患にはがんが含まれ得る。
本明細書では用語「がん」は、例えば、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞細胞肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚もしくは眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、胃部がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、上皮小体のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん、膀胱のがん、腎臓もしくは尿管のがん、腎細胞がん、腎盂の癌腫、中皮腫、肝細胞がん、胆道がん、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経鞘腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、扁平上皮細胞癌腫、下垂体腺腫、リンパ腫、リンパ性白血病、上記がんのいずれかの難治性バージョン、または上記がんの1つもしくは複数の組合せを含むものであり得る。好ましくはそのようながんは、乳がん、大腸がん、肺がんまたは膵臓がんである。最も好ましくは、がんは乳がんである。
実施例
図および表と併せて、以下の実施例を使用して本発明について例示する。
FcγRIIIaシグナル伝達アッセイ
例えばPromegaから市販されているFcγRIIIaシグナル伝達アッセイにより、FcγRIIIa受容体シグナル伝達の早期検出、それにより有効な抗体候補の選択が可能となる。
アッセイ原理:
各抗原(HER2)を提示する標的細胞(Jurkat)を、試料抗体およびJIMT−1細胞とともにインキュベートする。Jurkat細胞株は、ヒトIgG Fc断片に対し高い親和性を有するFcγRIIIa受容体V158を安定に発現し、NFAT−RE−プロモーター部位を含み、それによりルシフェラーゼ発現の誘導を可能にする。抗体が標的(HER2発現)細胞に結合すると、抗体がFcγRIIIa受容体にFc媒介性結合することにより、NFAT経路、ゆえにルシフェラーゼ発現を活性化する。ルシフェラーゼ基質(ルシフェリン)を添加すると、フォトルミネセンスを生じる経路が活性化され、これを測定し、抗体の受容体への結合すなわちその免疫学的活性と定性的かつ半定量的に相関させることができる。ルシフェラーゼのシグナル強度は、活性化された受容体の数と相関する。
アッセイ手順
1日目
− マイクロタイタープレートの各ウェルに、例えば培地25μl中のJIMT−1細胞7500または15000個を添加する。
− 細胞を37℃および5%COで20〜24時間インキュベートする。
2日目
− ルシフェラーゼアッセイ緩衝液およびルシフェラーゼ基質を室温に平衡化する。
FcγRIIIaアッセイ緩衝液の作製:
− 37℃のウォーターバスで、少量IgG含有FCS(「低IgG FCS」Hyclone der Firma Thermo Scientific SH 30898.03)を解凍する。
− 「低IgG FCS」をDMEM細胞培養培地(最終濃度:4%)に添加する
− ウォーターバスで37℃に温める。
付随物:
− ピペットロボット(CyBi−Well vario、CyBio)で、各ウェルから培地23μLを除去する。
− 試料抗体(「低IgG FCS」培地で希釈)16μLおよびエフェクター細胞懸濁液(c=500000/mL、4000細胞/ウェル)8μLを添加する。
− 6時間インキュベートし、その後ルシフェラーゼアッセイ試薬(緩衝液および基質、Promega Corp.)20μLを添加し、室温で10分間インキュベートする。
− 発光を光度測定(Tecan infinite M1000 PRO)する
− NFAT経路の非特異的な自発的活性化から生じるランダムな発光を差し引く
FoI=(RLU試料−RLUブランク):(RLUエフェクター−RLUブランク)
試料:抗体試料
ブランク:ブラインド値(緩衝液のみ)
エフェクター:抗体不含の培地/緩衝液中のエフェクター細胞
FoI:x倍活性化としてのシグナル対ブランク比(誘導倍率)
RLU:光度計の尺度(相対的な発光単位)
後のキメラ抗体生成のため、FcγRIIIa活性化のそれぞれの誘導倍率(FoI)に関して候補抗体を選択した。次いで、生じた組換え抗体をフォローアップ実験で試験した。
エピトープ競合アッセイ
アッセイ原理
− モノクローナル参照抗体に結合する抗ヒトFcで、NUNC Maxisorp 384ウェルマイクロタイタープレートをコーティングする。このプレートを「アッセイプレート」と呼ぶ。
− 標的抗原(ここでは:HER2、Hisタグで標識)および抗his抗体(PODで標識)とともに試料抗体を事前インキュベートする
− 事前インキュベーション混合物をアッセイプレートに添加する。
材料:
プレート:プレート1:384ウェルNUNC Maxisorpプレート;カタログ番号464718(アッセイプレート)
プレート2:事前インキュベート用プレート:AxygenまたはDeepwell 384プレートのいずれかからのPP−プレート
コーティングAb:ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的);Sigma;カタログ番号I2136;アッセイ濃度:0.5μg/ml
タンパク質:組換えヒトErbB2/HER2 Fcキメラ;R&D Systems;カタログ番号1129−ER;作用濃度:体積次第(アッセイ濃度0.3μg/mL)
基準Ab:ハーセプチン;Roche;濃度:希釈次第;
検出Ab:モノクローナル抗ポリヒスチジンペルオキシダーゼコンジュゲート;Sigma;カタログ番号A7058;作用濃度:体積次第(5.1.1を参照のこと/アッセイ濃度0.5μg/mL/例えば(90+5+5)μLでは=20*0.5μg/mL=6μg/mL)
PBS:Buffers in a Box、Premixed PBS Buffer、10x;Roche Applied Sciences;カタログ番号11666789001
BSA:ウシ血清由来ウシ血清アルブミンフラクションV;Roche Applied Sciences;カタログ番号10735086001
Tween20:Tween20;Sigma−Aldrich;カタログ番号P1379
TMB:TMB溶液;Merck;カタログ番号CL07
HCl:1M Titripur塩酸;Merck;カタログ番号1090571000
ELISA緩衝液:PBS、0.5%BSA、0.05%Tween
洗浄緩衝液:PBS、0.05%Tween
ブロッキング緩衝液:PBS、2%BSA、0.05%Tween
アッセイ手順
1.ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)のPBS溶液20μlでNUNC Maxisorpプレートをコーティングし、室温で1時間インキュベートする(プレート1)。
2.1プレートあたり洗浄緩衝液90μlで洗浄ステップ3回
3.ブロッキング緩衝液90μlとともにプレートを室温で1時間インキュベートする
4.1プレートあたり洗浄緩衝液90μlで洗浄ステップ3回
5.一次抗体(0.2μg/ml)のELISA緩衝液溶液20μlとともにプレートをRTで1hインキュベートする。同時に、異なるプレート(プレート2)で、事前インキュベーション混合物を作製する:試料抗体のELISA緩衝液溶液(作用濃度:>2μg/ml;対照抗体でも同一濃度)、ELISA緩衝液のみ(ブランク)それぞれ90μlを、HIS−タグ含有タンパク質(例えばHER2−HIS−タグ)5μlと混合する。抗HIS POD−抗体5mlを添加し、混合物を室温で1hインキュベートする。
6.一次抗体含有プレートを洗浄緩衝液90μlで3回洗浄する。
7.事前インキュベーション混合物20μlをプレート2からプレート1のウェルに添加し、室温で1hインキュベートする
8.洗浄緩衝液で6回洗浄する
9.ウェルそれぞれにTMB25μlを添加する。
10.十分に発色させた後、HCl25μlで反応を停止させる。
11.450nm/620nmでの吸収を測定する。
HER2生化学的ELISA(プロトコール1)
材料:
プレート:384ウェルNUNC Maxisorpプレート;NUNC;カタログ番号464718
コーティングタンパク質:ヒトHer1(組換えヒトEGFR/ErbB1 Fcキメラ;R&D Systems;カタログ番号344−ER)
ヒトHer2(組換えヒトErbB2/HER2 Fcキメラ;R&D Systems;カタログ番号1129−ER)
ヒトHer3(組換えヒトErbB3/Her3 Fcキメラ;R&D Systems;カタログ番号348−RB)
ヒトHer4(組換えヒトErbB4/HER4 Fcキメラ;R&D Systems;カタログ番号1131−ER)
cyno Her2(カニクイザルHER2/ErbB2タンパク質;Sino Biological;カタログ番号90295−C08H)
ラットHer2(ラットHER2/ErbB2タンパク質;Sino Biological;カタログ番号80079−RCCH)
マウスHer2(マウスHer2/ErbB2タンパク質;Acro Biosystems;カタログ番号ER2−M5220)
一次Ab:トラスツズマブ
ペルツズマブ
MABD B100
MAB−16−0160
MAB−16−0161
MAB−16−0163
MAB−16−0165
検出Ab:抗ヒトFab2 POD−抗体;AbD Serotec;STAR126P
PBS:Buffers in a Box、Premixed PBS Buffer、10x;Roche Applied Sciences;カタログ番号11666789001
BSA:ウシ血清由来ウシ血清アルブミンフラクションV;Roche Applied Sciences;カタログ番号10735086001
Tween20:Tween20;Sigma−Aldrich;カタログ番号P1379
TMB:TMB溶液;Invitrogen;カタログ番号SB02
HCl:1M Titripur塩酸;Merck;カタログ番号1090571000
ELISA緩衝液:PBS、0.5%BSA、0.05%Tween
洗浄緩衝液:PBS、0.1%Tween
ブロッキング緩衝液:PBS、2%BSA、0.05%Tween
試料:ELISA緩衝液での希釈はプロジェクト次第である(高濃度IgGでは1:2希釈が推奨される)
手順:
1.望ましいコーティングタンパク質をPBSで0.5μg/mLに希釈し、12.5μLを384ウェルNUNC Maxisorpプレートに添加する。
2.室温で1hインキュベートする。
3.洗浄緩衝液で3回洗浄する。
4.各ウェルにブロッキング緩衝液90μLを添加し、室温で1hインキュベートする。
5.洗浄緩衝液で3回洗浄する。
6.ELISA緩衝液で希釈された望ましい一次抗体12.5μLを望ましい濃度になるまで添加する。
7.室温で1hインキュベートする。
8.洗浄緩衝液で3回洗浄する。
9.ELISA緩衝液で1:5000に希釈された検出抗体12.5μLを添加し、室温で1hインキュベートする。
10.洗浄緩衝液で6回洗浄する。
11.TMB15μLを添加する。
12.十分な発色時間の後にHCl15μLを添加する。
13.450nm/620nmでの吸光度を読み取る。
14.Excel Fit(Fit Model:205、4つのパラメータ全てについてPre−Fitであり、いずれのパラメータにも制約はない。EC50=パラメータC)でデータを分析する
SK−BR−3への細胞結合(プロトコール2)
材料:
細胞培養プレート:黒色、384ウェル、透明平底Corning細胞培養プレート;Corning;カタログ番号3764
細胞:SK−BR−3;ATCC;カタログ番号HTB−30
一次Ab:トラスツズマブ
ペルツズマブ
MABD B100
MAB−16−0160
MAB−16−0161
MAB−16−0163
MAB−16−0165
検出Ab:AF488−conj.AffiniPure α−HuIgG(H&L)Fragm.Speci.;Dianova;カタログ番号109−546−003
蛍光色素:Hoechst;Invitrogen;カタログ番号H3570
FCS:既定HyCloneウシ胎児血清;Thermo Scientific;カタログ番号SH30070.03
細胞培地:安定グルタミン、2.2g/l NaHCO3含有McCoy’s;PAN Biotech;カタログ番号P04−06500+10%FCS
PBS:Buffers in a Box、Premixed PBS Buffer、10x;Roche Applied Sciences;カタログ番号11666789001
Tween20:Tween20;Sigma−Aldrich;カタログ番号P1379
細胞洗浄緩衝液:PBS、0.05%Tween
手順:
1.細胞培養プレートに、望ましい濃度になるまで細胞培地で希釈された一次抗体20μLを添加する。
2.同一のウェルに、細胞培地20μL中の細胞(1,000細胞/ウェル)を播種する。
3.37℃および5%CO2で4hまたは一晩インキュベートする。
4.細胞洗浄緩衝液75μlで3回洗浄する。
5.濃度250ng/mLになるまで細胞培地で検出抗体を希釈し、20μlを試験ウェルに添加する。
6.37℃および5%CO2で4hインキュベートする。
7.濃度22.5μg/mLになるまで細胞培地で蛍光色素を希釈し、5μlを試験ウェルに添加する。
8.室温で10分〜1hインキュベートする。
9.CellInsight(商標)High Content Screening Platform(1ウェルあたりの最少対象物:細胞250個)で、抗体の細胞への結合について分析する
10.Excel Fit(Fit Model:205、4つのパラメータ全てについてPre−Fitであり、いずれのパラメータにも制約はない。EC50:パラメータC)でデータを分析する
Fcy−受容体シグナル伝達(プロトコール3)
材料:
プレート:蓋付き白色平底384ウェルアッセイプレート;Corning;カタログ番号3570
標的細胞:SKBR−3;ATCC;カタログ番号HTB−30
エフェクター細胞:ADCCバイオアッセイエフェクター細胞;Promega;カタログ番号G7011
基準mAb:トラスツズマブ
ペルツズマブ
MABD B100
MAB−16−0160
MAB−16−0161
MAB−16−0163
MAB−16−0165
ADCCアッセイ緩衝液:RPMI1640培地および低IgG血清;Promega;カタログ番号G7010
FCS:既定HyCloneウシ胎児血清;Thermo Scientific;カタログ番号SH30070.03
標的細胞培地:安定グルタミン、2.2g/l NaHCO3含有McCoy’s;PAN Biotech;カタログ番号P04−06500+10%FCS
ルシフェラーゼアッセイ試薬:BioGlo(商標)ルシフェラーゼアッセイ緩衝液およびBioGlo(商標)ルシフェラーゼアッセイ基質;Promega;カタログ番号G7010
手順:
1日目:
1.標的細胞を播種する:標的細胞培地25μL中2500細胞/ウェル
2.37℃、5%CO2で20〜24hインキュベートする。
2日目:
3.製造業者の説明書に従ってルシフェラーゼアッセイ試薬を調製する。
4.製造業者の説明書に従ってADCCアッセイ緩衝液を調製する。
5.アッセイプレートの全てのウェルから培地23μLを除去する。1ウェルあたり8μLの事前に温めたADCCアッセイ緩衝液をプレートに穏やかに添加する。
6.望ましい濃度になるまでADCCアッセイ緩衝液で望ましい一次抗体を希釈し、ウェルに抗体希釈液8μLを添加する。ブランクとしてADCCアッセイ緩衝液を添加する。プレートをベンチで保存する。
7.ウォーターバス37℃でエフェクター細胞を解凍する(13x10細胞/バイアル;反転しない)。
8.ピペッティングにより細胞を穏やかに混合する。細胞懸濁液630μLを事前に温めたADCCアッセイ緩衝液24.57mLに添加する。
9.1ウェルあたり8μLのエフェクター細胞懸濁液をプレートに添加する(4000細胞/ウェル)。
10.プレートを覆い、37℃、5%CO2で6hインキュベートする。
11.インキュベーターからプレートを取り出し、室温に平衡化する(15分)。
12.試験中のウェル全てにルシフェラーゼアッセイ試薬20μLを添加する。
13.室温で5〜30分間インキュベートする。
14.プレートリーダーを使用して発光を測定し、BioGlo(商標)アッセイの製造業者の説明書に従って結果を算出する。
15.Excel Fit(Fit Model:205、4つのパラメータ全てについてPre−Fitであり、いずれのパラメータにも制約はない。EC50:パラメータC)でデータを分析する
アポトーシスアッセイ(プロトコール5)
材料:
細胞培養プレート:6ウェル細胞培養プレート、Nunclon表面;Nunc;カタログ番号:140685
アッセイプレート:96−DWP DNA LoBindプレート;Eppendorf;カタログ番号:0030602.307
細胞:SKBR−3;ATCC;カタログ番号HTB−30
FCS ウシ胎児血清南アフリカ低IgG(PAN;カタログ番号1552−P120909)
細胞およびアッセイ培地:DMEM;PAN;Cat.−No.:P04−04510+5%FCS
一次Ab:ペルツズマブ
トラスツズマブ
MABD B100
MAB−16−0160
MAB−16−0161
MAB−16−0163
MAB−16−0165
試薬:(A)アネキシンV FITC−コンジュゲート;Immunotools;カタログ番号:31490013X2
(C)カンプトテシン;Sigma−Aldrich;カタログ番号:C9911
(D)DRAQ7(商標);Abcam;カタログ番号:ab109202
結合緩衝液:0.1M HEPES;Gibco;カタログ番号:15630−106+1.4M NaCl;Sigma;カタログ番号:S7653−1kg+25mM CaCl2;Fluka;カタログ番号:21114−1L
プロトコール:
1.細胞培養プレート1ウェルあたり2mLの細胞培地中に細胞を播種する(8x10細胞/ウェル)。72h;37℃;5%CO2でインキュベートする。
2.培地を除去する。
3.プレートに、アッセイ培地(対照ウェル)またはアッセイ培地で望ましい濃度になるまで希釈された一次抗体2mLを添加する。
4.48h;37℃;5%CO2でインキュベートする。
5.陽性対照として、1つまたは複数のウェルにカンプトテシン(2mM)5μlを添加する。
6.24h;37℃;5%CO2でインキュベートする。
7.各ウェルの上清を別々の15mlチューブに移行する
8.PBS1.5mlで各ウェルを洗浄し、同一の各15mlチューブに上清を移行する。
9.各ウェルにトリプシン0.5mlを添加し、37℃でインキュベートし、次いで細胞培地1.5mlで停止させ、液体を全て各15mlチューブに移行する。
10.各15mlチューブにPBS5mlを添加する。
11.15mlチューブを300g、3分間、4℃で遠心処理し、上清を捨てる。
12.事前に冷却した結合緩衝液(4℃)140μLを添加し、再懸濁して70μLをアッセイプレートに移行する。
13.事前に冷却したアネキシン(4℃)5μLを添加し、混合して氷上/暗所で20分間インキュベートする。
14.結合緩衝液で1:100に希釈されたDRAQ7(商標)2μLを添加する。
15.事前に冷却した結合緩衝液(4℃)120μLを添加し、混合して氷上/暗所で7分間インキュベートする。フローサイトメトリー分析を実施する。
[図面の簡単な説明]
[図1]配列(1文字コードでのアミノ酸)
可変領域(VR)の全配列:
重鎖:VH全配列:配列番号1〜6および配列番号100〜101
軽鎖:VL全配列:配列番号7〜12および配列番号102〜104
VL配列は90位にシステインからセリンへの突然変異を含んでいてよい。
相補性決定領域(CDR):
重鎖:CDR−H1:配列番号13〜18
CDR−H2:配列番号19〜24
CDR−H3:配列番号25〜30
軽鎖:CDR−L1:配列番号31〜36
CDR−L2:配列番号37〜42
CDR−L3:配列番号43〜48
フレームワーク領域(FR):
重鎖:FR−H1:配列番号49〜54
FR−H2:配列番号55〜60
FR−H3:配列番号61〜66
FR−H4:配列番号67〜72
軽鎖:FR−L1:配列番号73〜78
FR−L2:配列番号79〜84
FR−L3:配列番号85〜90
FR−L4:配列番号91〜96
定常領域(CR):
軽鎖:CR−L:配列番号97
重鎖:CR−H:配列番号98〜99
[図2]FcγRIIIaシグナル伝達アッセイによる抗体選択
アッセイ手順の詳細については実施例1で開示されている。FcγRIIIaシグナル伝達の誘導倍率(FoI)に関して候補抗体を選択した。
a)抗体濃度に応じた、トラスツズマブによるFcγRIIIaシグナル伝達のFoI。最大FoIは約26である。
b)選択された候補抗体によるFcγRIIIaシグナル伝達のFoI。最大FoIは75超である。
c)組換えキメラ抗体を産生するため、それぞれのFoIに従って候補抗体を選択した。フォローアップ実験における、キメラ抗体のFcγRIIIaシグナル伝達結果が示される。
[図3]エピトープ競合アッセイ
選択された本発明による抗体はいずれも、そのエピトープについてトラスツズマブと競合しないが、ハーセプチン(陽性対照)ではPODシグナルが80%超低下する(+++)。陽性対照として、事前インキュベーション混合物中にペルツズマブが存在すると、濃度依存的にPODシグナルが80%超低下する(+++)。B106はペルツズマブとのエピトープ競合を示し、B115はペルツズマブエピトープについて部分的な競合を示す。エピトープ競合は、選択されたその他の本発明による候補抗体ではいずれとも観察されない。
[図4]HER2生化学的ELISA
示される結果は、実施例3に記載される実験で得られた。
本発明による好ましい抗体、MABD B100は、トラスツズマブおよびペルツズマブのEC50と同等の5.2ng/mlのEC50を示す。
[図5]SK−BR−3細胞株への結合
示される結果は、実施例4に記載される実験のものである。
本発明による好ましい抗体、MABD B100は、トラスツズマブおよびペルツズマブのEC50と同等の78ng/mlのEC50を示す。
[図6]Fcγ−受容体シグナル伝達
示される結果は、実施例5に記載される実験で得られた。
本発明による好ましい抗体、MABD B100は、52ng/mlのEC50で132倍のFcRシグナル伝達刺激を示す。トラスツズマブは、81ng/mlのEC50で同等のシグナル伝達強度を示す。このことは、市販の抗体を上回る効力の改善を強調している。
[図7]ELISA実験における受容体結合
生化学的ELISA実験で、様々な受容体への抗体結合について試験した。実験は、実施例3で詳述されるプロトコール(プロトコール1)に従って実施した。
a)ホモログHER受容体への結合
試験された抗体は全て、1ng/mL〜2000ng/mLの濃度範囲内でHER2への特異的な結合を示す。HER2 ELISAでのEC50の100倍を超える濃度であっても、HER1、HER3およびHER4への結合シグナルは検出されなかった。
b)HER2オルソログへの結合
本発明による抗体の、ヒトおよびカニクイザルHER2受容体への結合は、同様のEC50値で同等であった。抗体はラットHER2に対しても部分的な反応性を示した(EC50>100ng/mL)が、マウスHER2に対しては反応性を示さなかった。
[図8]SK−BR−3細胞株におけるアポトーシス誘導
図8は、実施例7のプロトコールに従って実施された実験の結果を示す。in−vitroでのインキュベーション後のアネキシン染色としてアポトーシス誘導を測定した。陽性対照としてカンプトテシンを使用した(100%に設定)。トラスツズマブ(10%)およびペルツズマブ(12%)とは対照的に、MABD B100は唯一強いアポトーシス誘導を示す(75%)。
[図9]ヒト化バリアントのHER2生化学的ELISA
実施例3に従って実施された実験の結果が示される。
4種の好ましいヒト化モノクローナル抗体候補は、キメラ形態の好適なin vitro特性を維持している。
[図10]ヒト化MabバリアントのSK−BR−3細胞株への結合
実施例4に記載されるプロトコールに従って実験を実施した。
4種のヒト化リードは、キメラ形態のin vitro特性を維持している。
[図11]ヒト化MabバリアントのFcγ−受容体シグナル伝達
実施例5に記載されるプロトコールに従って実験を実施した。4種のヒト化リードは、キメラ形態のin vitro特性を維持している。
[図12]ヒト化Mabバリアントのアポトーシス誘導
実施例7に記載されるプロトコールに従って実験を実施した。陽性対照としてカンプトテシン(2列目)を使用した(100%に設定)。本発明による好ましいヒト化抗体は、際立って強いアポトーシス誘導を示す(68%〜83%)。
[図13−15]in vivoでの実験
十分に確立されたヒト移植マウスモデル(HTM)(Wegeら2011/2014/2016)で、in vivo実験を実施した。具体的には、SK−BR−3腫瘍細胞株を有するHTMモデルを使用した。このモデルはトラスツズマブ治療に対し抵抗性であり、強い広がりおよび転移を示す。実験は、9週間の免疫系、腫瘍および転移の確立、ならびに12週間の、抗体またはプラセボによる5mg/kg/週、i.p.での治療を含んでいた。
[図13]MABD B100のin vivoプロファイル:治療後の腫瘍量
機能するヒト免疫系を有する動物を、治療終了時に分析した。
本発明による好ましい抗体、MABD B100による治療で、対照、トラスツズマブおよびペルツズマブ抗体による治療と比較して腫瘍量の強い減少が生じた。
MABD B100治療による寛解(4/5)または95%超の減少(1/5):対照に対してのp=0.037
トラスツズマブおよびペルツズマブ治療での効果はなし:有意でない
[図14]MABD B100のin vivoプロファイル:抗腫瘍および転移抑制活性
HTM−SK−BR−3モデルにおいて実験を実施し、結果を定性的に評価した
(Y/N):IHC(a)およびフローサイトメトリー(b)による転移
a)組織切片におけるHER2+腫瘍細胞
b)フローサイトメトリーで分析されたHER2+腫瘍細胞
2列目:対照:治療終了時の、機能するヒト免疫系を有する動物
3列目:トラスツズマブによる治療
4列目:MABD B100による治療
5列目:ペルツズマブによる治療
6+7列目:Wegeら2016より含まれる過去データ
[図15]MABD B100のin vivoプロファイル:腫瘍細胞の骨髄への広がり
HTM−SK−BR−3モデルにおいて実験を実施し、結果を定性的に評価した(Y/N)。骨髄から細胞を単離し、培養した。拡張させた後、FACSにより治療に対する抵抗性について細胞を試験した。
対照:治療終了時の、機能するヒト免疫系を有する動物。
MABD B100は、腫瘍細胞の骨髄への広がりに対する効率的な阻害を示す。

Claims (12)

  1. HER2に特異的に結合するモノクローナル抗体、またはその断片もしくは誘導体、またはHER2結合特異性を付与するのに十分な前記抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドであって、前記抗体、抗体の前記断片もしくは抗体の前記誘導体が、
    a)配列番号の重鎖可変(VH)領域と少なくとも90%同一であり、且つ配列番号16のCDR−H1領域、配列番号22のCDR−H2領域及び配列番号28のCDR−H3領域を含む、VH領域、および
    b)配列番号10の軽鎖可変(VL)領域と少なくとも90%同一であり、且つ配列番号34のCDR−L1領域、配列番号40のCDR−L2領域及び配列番号46のCDR−L3領域を含む、VL領域
    を含む、抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  2. 抗体または断片もしくは誘導体が、ヒトFc受容体にも結合してFcR媒介性シグナル伝達経路を誘導する、請求項1に記載の抗、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  3. 抗体または断片もしくは誘導体が、FcγRIIIaアッセイにおいて、Fc受容体シグナル伝達活性を少なくとも10倍増大させる、請求項1または2に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  4. 抗体または断片もしくは誘導体が、トラスツズマブとは異なるエピトープに結合する、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  5. 抗体または断片もしくは誘導体が、エピトープ競合アッセイにおいてトラスツズマブと競合しない、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  6. 抗体または断片もしくは誘導体が、エピトープ競合アッセイにおいてペルツズマブと競合しない、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  7. 抗体または断片もしくは誘導体が、アポトーシスを誘導することができる、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  8. 抗体がヒト化抗体である、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  9. 抗体または断片もしくは誘導体が、腫瘍量、腫瘍の広がりおよび転移を減少させることができる、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  10. HER−2媒介性疾患の治療に使用するための、請求項1からのいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチド
  11. 薬学的に許容される担体、および治療有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、断片もしくは誘導体、またはポリペプチドを含む医薬組成物。
  12. HER−2媒介性疾患の治療に使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
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