JP6963224B2 - 溶融紡糸装置 - Google Patents
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Description
溶融紡糸は、押出機を用いて溶融した溶融ポリマーをギアポンプ等にて、細い複数の孔を有する口金に通して複数のフィラメントを押し出して、これを糸に紡ぎ、ロール等にて巻き取ることで、製造されている。
ここで、溶融したポリマーを口金からフィラメントとして吐出させた状態では軟らかく、冷却固化させる必要がある。
しかし、ポリマーの種類によっては溶融状態に加熱すると、臭いのする有機系のガスが発生するものがあったり、上記フィラメントの冷却過程にて均一に冷却されなかったり、空気中の酸素により酸化されてしまい、品質が低下する問題があったりした。
しかし、これでは構造が複雑になるだけでなく、酸化を抑えることができない。
また、紡糸筒内を窒素ガス等の不活性ガスにて置換することも考えられるが、その場合も装置が複雑になる。
ここで過熱蒸気とは、水の沸騰により発生した水蒸気をさらに100℃を超える温度に過熱した蒸気をいう。
このような過熱蒸気は、乾燥したドライ蒸気である。
従って、過熱蒸気の状態では無色透明であり、紡糸筒内に充填すると空気が紡糸筒外に押し出され、低酸素となり、紡糸筒内が還元雰囲気となる。
このようにすると、紡糸筒内に外気が入るのを抑えることが容易である。
また、紡糸筒の下端開口部を糸の取り出し口を確保しつつ、ウオーターシールすると、紡糸筒内に発生したガスの吸収効果も生ずる。
過熱蒸気の吐出口を紡糸筒の上下方向の途中に設けることで、紡糸筒の上部側が相対的に高温低酸素状態となり、下部側を低温低酸素状態にすることができる。
フィラメントの冷却固化を促進するために、この低温低酸素エリアを冷却器等を介した循環冷却エリアにしてもよい。
このようにすると、溶融ポリマーをフィラメントする前に過熱蒸気と接触させることができ、有機性ガスを過熱蒸気で分解し、臭いが少なくなる。
ここで、密閉ホッパーと表現したのは、外気の侵入を抑える意味であり、内部に吐出した過熱蒸気はガスとともに外部に排気し、水冷スクラバー等の浄化装置にてクリーンにした後に大気中に放出してもよい。
このようにすると、押出機にてポリマーを溶融する前に過熱蒸気にてペレット等の原材料中に含まれるガスを取り除くことができる。
押出機10は、シリンダー11内に図示を省略したスクリューを有し、このスクリューがモーター等の駆動部12により回転制御されている。
ホッパー13から投入されたペレット等のポリマー原材料は、スクリューの回転により混練されながら溶融する。
スクリューの回転により、原材料が練り込まれることで温度が上昇し溶融化するが、本実施例では複数のヒーターH1〜H4により加熱ゾーンを区分けした。
加熱制御装置14にてゾーン(H1),ゾーン(H2),ゾーン(H3),ゾーン(H4)の4つのゾーン毎に温度制御し、ポリマーに適した加熱管理ができるようになっている。
これにより、例えばゾーン(H1)〜ゾーン(H4)に向けて200〜400℃の温度勾配を設定することができる。
本実施例で特徴的なのは、ホッパー13からスクリューにて原材料が送り込まれる過程で、過熱蒸気を通過させて酸素(空気)の混入量を低下させた点にある。
図1にてHE1,HE2,HE3は、加熱蒸気生成器を示し、その構造は後述する。
密閉ホッパー20の周壁には、加熱ヒーターH5が配置されている。
比較的に高温に加熱され、過熱蒸気生成器HE2にて発生させた過熱蒸気を内部に吐出する。
過熱蒸気は、落下してくる溶融ポリマーに向けて吐出され、その後は排気管G1を経由してクリーン装置40にて洗浄され、大気中に放出される(V)。
これにより、溶融ポリマーM中に含まれていたガスが取り除かれる。
次に、ギアポンプ21にて計量されながら、複数の小さな孔からなるノズルを有する口金に送られ、紡糸筒30内にマルチフィラメントFとして押し出される。
紡糸筒30の天井は、排気口30dを除いて密閉されている。
紡糸筒の上部に配置した口金31のノズルから吐出したポリマーは、フィラメントFとなり、下部にて紡糸され、取出部33から図示を省略したロール等にて巻き取られる。
紡糸筒の下端の開口部は、取出部33の周囲を密閉した貯水部32を形成し、水Wにてウオーターシールされている。
紡糸筒30の側壁から口金31の真下に向けて過熱蒸気が吐出されるように、過熱蒸気生成器HE3を取り付けてある。
紡糸筒30内に供給された過熱蒸気にて上部側の高温低酸素エリアA1と下部側の低温低酸素エリアA2とにゾーン分けされている。
ゾーンの温度は、ポリマーの材質に合せて適宜、選定される。
高温低酸素エリアA1中のガス等は、過熱蒸気とともに排気管G2を経由して、クリーンにした後は大気に放出される。
低温低酸素エリアA2では、内部の過熱蒸気が含まれる気体を吸引口30aから吸引し、冷却器34を経由してウオーターシールの吐出口30bから紡糸筒30内に戻す循環系34aを形成してある。
これによりフィラメントは、低温低酸素エリアA2にて充分に冷却固化される。
ウオーターシールにてガスが取り除かれ、オーバーフローした水は排出口W1から排出される。
クリーン装置40は、水冷スクラバーになっていて、洗浄後の水W2は排水される。
本出願人らは、過熱蒸気生成器をハイドロエンジンと称し、HEの略語を用いた。
HEは、略L字型のケース体51からなり、下部側の水Wを貯める貯水部51bと、この貯水部51bから上方に立設した水蒸気過熱空間部51aを有する。
貯水部51bにはヒーター52を配設し、外部ケーブルと端子52a,52bをつなぐ。
水蒸気過熱空間部51aには過熱ヒーター53を配設し、外部ケーブルと端子53a,53bをつなぐ。
貯水部51bのヒーター52にて水が加熱され、水蒸気が発生する。
発生した水蒸気は、過熱空間部51aにて過熱ヒーター53により、300〜550℃の過熱蒸気に過熱される。
過熱蒸気生成器HEへの水Wの供給は、外部に設けた貯水タンク60と配管で連通した状態で貯水部51bの給水口54に連結されている。
従って、貯水部51bの水位が下がると、貯水タンク60との水位差のみで水が補給される。
この水位は、水位計62にて確認できるようにしてある。
また、貯水タンク60は、水位が一定になるようにオーバーフロー部61を設け、水道管等と連結し、バルブ調整する。
なお、本発明に係る過熱蒸気発生器は、貯水部とその上方に設けた水蒸気過熱空間部があれば、L字構造に限定されない。
11 シリンダー
12 駆動部
13 ホッパー
14 加熱制御装置
30 紡糸筒
31 口金
Claims (1)
- 押出機と、前記押出機から押し出された溶融ポリマーを紡糸する紡糸筒を備え、
前記紡糸筒内に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気生成器を有し、
前記紡糸筒内を過熱蒸気にて還元雰囲気に制御することができ、
前記紡糸筒は上部に設けた前記溶融ポリマーから複数本のフィラメントにするための口金と、下部に設けた紡糸の取出部と、前記口金の位置より下側であって紡糸筒の側壁に前記過熱蒸気の吐出口を有し、前記紡糸筒の下端開口部と前記紡糸の取出部との間をシールしてあり、
前記押出機の溶融ポリマーの溶出部と前記口金に溶融ポリマーを計量移送するために設けたギアポンプとの間に密閉ホッパーを有し、
前記密閉ホッパー内に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気生成器を有することを特徴とする溶融紡糸装置。
Priority Applications (1)
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JP2017073330A JP6963224B2 (ja) | 2017-04-01 | 2017-04-01 | 溶融紡糸装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017073330A JP6963224B2 (ja) | 2017-04-01 | 2017-04-01 | 溶融紡糸装置 |
Publications (2)
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Family
ID=64107767
Family Applications (1)
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JP2017073330A Active JP6963224B2 (ja) | 2017-04-01 | 2017-04-01 | 溶融紡糸装置 |
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