JP6958162B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
図44は、従来のステアリング装置101の斜視図であり、車体に取り付けられている状態を示す。
ステアリング装置101は、図44に示すように、ステアリングホイール102の回動を、ステアリングシャフト109を介してステアリングギヤユニット110に伝達し、ステアリングギヤユニット110がステアリングシャフト109の回動に基づいてタイロッド108を変位させ、左右の操舵輪100に舵角を付与するように構成されている。
このようなステアリング装置において、ステアリングホイールのチルト位置すなわち高さ位置と、テレスコピック位置すなわち前後方向位置とを調節することができる位置調節機構を備えると共に、二次衝突の際、ステアリングコラムが車体側固定部から離脱する離脱機構を備え、離脱したステアリングコラムが前方に移動することにより二次衝突の衝撃から運転者を保護するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2015−164852号公報
近年、ステアリングホイールの位置調節機構を備えたステアリング装置において、小型化およびステアリングコラム保持力の安定化に対する要求が高まっている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、安定したステアリングコラム保持力を有し、小型化を図ることができるステアリング装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、本発明は、アウタコラムと、一方側端部が前記アウタコラムの他方側端部と軸方向に摺動可能に嵌合されたインナコラムとからなるステアリングコラムと、後方端にステアリングホイールが固定され、前記ステアリングコラムに回動可能に支持されたステアリングシャフトと、車体に固定され、一対の板状部材によって前記アウタコラムに形成されたクランプ機構部を挟持することにより前記アウタコラムを支持するとともに、前記アウタコラムを介して前記インナコラムを支持するブラケットとを備え、前記クランプ機構部は、前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記インナコラムを幅方向に挟持する一対のクランプ部と、前記各クランプ部と一体的に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記一対のクランプ部を弾性変形させる一対の第1の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも下方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第2の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも上方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第3の作用面とを有し、前記一対のクランプ部は、前記アウタコラムの下側部分に形成された軸方向スリットと、前記軸方向スリットの後方側部分および前方側部分で前記軸方向スリットとそれぞれ周方向に交差する2つの周方向スリットとによって三方を囲まれ、前記軸方向スリットに関して幅方向に対向する一対の前記アウタコラムの部分であり、前記一対の第1の作用面は、前記各クランプ部の下端部から幅方向外方に突出して設けられた突出板部の幅方向外方側端面であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明は、アウタコラムと、一方側端部が前記アウタコラムの他方側端部と軸方向に摺動可能に嵌合されたインナコラムとからなるステアリングコラムと、
後方端にステアリングホイールが固定され、前記ステアリングコラムに回動可能に支持されたステアリングシャフトと、
車体に固定され、一対の板状部材によって前記アウタコラムに形成されたクランプ機構部を挟持することにより前記アウタコラムを支持するとともに、前記アウタコラムを介して前記インナコラムを支持するブラケットとを備え、
前記クランプ機構部は、前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記インナコラムを幅方向に挟持する一対のクランプ部と、前記各クランプ部と一体的に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記一対のクランプ部を弾性変形させる一対の第1の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも下方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第2の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも上方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第3の作用面とを有し、
前記一対の板状部材による前記クランプ機構部の挟持が開放された状態において、前記一対の第1の作用面同士の幅方向間隔は、前記一対の第2の作用面同士の幅方向間隔よりも大きく形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明は、アウタコラムと、一方側端部が前記アウタコラムの他方側端部と軸方向に摺動可能に嵌合されたインナコラムとからなるステアリングコラムと、
後方端にステアリングホイールが固定され、前記ステアリングコラムに回動可能に支持されたステアリングシャフトと、
車体に固定され、一対の板状部材によって前記アウタコラムに形成されたクランプ機構部を挟持することにより前記アウタコラムを支持するとともに、前記アウタコラムを介して前記インナコラムを支持するブラケットとを備え、
前記クランプ機構部は、前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記インナコラムを幅方向に挟持する一対のクランプ部と、前記各クランプ部と一体的に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記一対のクランプ部を弾性変形させる一対の第1の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも下方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第2の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも上方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第3の作用面とを有し、
前記一対のクランプ部は、前方側部分と後方側部分との間の部分が、前記前方側部分および前記後方側部分よりも肉厚の薄い薄肉部であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記一対のクランプ部は、前記アウタコラムの下側部分に形成された軸方向スリットと、前記軸方向スリットの後方側部分および前方側部分で前記軸方向スリットとそれぞれ周方向に交差する2つの周方向スリットとによって三方を囲まれ、前記軸方向スリットに関して幅方向に対向する一対の前記アウタコラムの部分であり、前記一対の第1の作用面は、前記各クランプ部の下端部から幅方向外方に突出して設けられた突出板部の幅方向外方側端面であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記クランプ機構部は、前記一対の突出板部よりも下方において前記一対の突出板部と上下方向に対向する補強板部と、前記補強板部の前方端および後方端と前記アウタコラムとを連結する一対の連結部とからなり、前記一対の突出板部を下方で覆うブリッジ部を有していることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記クランプ機構部は、幅方向から見て、前記ブリッジ部と前記クランプ部および前記突出板部との間に、U字状の隙間が形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記一対の第2の作用面は、前記補強板部の幅方向側の両端であり、前記補強板部は、前記クランプ機構部が前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記一対の板状部材の互いの幅方向間隔が狭まる方向への変位を規制する規制部であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記アウタコラムは、幅方向両側部分に、それぞれ前後方向に延在する突条部が設けられ、前記一対の第3の作用面は、前記各突条部の頂部であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記一対の板状部材による前記クランプ機構部の挟持が開放された状態において、前記一対の第1の作用面同士の幅方向間隔は、前記一対の第2の作用面同士の幅方向間隔よりも大きく形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記U字状の隙間は、幅方向から見た形状が、前記U字状の隙間の前後方向の中心に関し、前方側部分の形状と後方側部分の形状とが対称であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記一対のクランプ部は、前方側部分と後方側部分との間の部分が、前記前方側部分および前記後方側部分よりも肉厚の薄い薄肉部であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記アウタコラムは、前記薄肉部に対応する周方向部分が、他の部分よりも薄肉であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記一対の突出板部の下側面と前記補強板部の上側面とによって前後方向に延在する長孔が形成され、前記長孔には前記一対の板状部材に挿通されたロッドが前後方向に相対移動可能に挿通されていることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記第1の作用面の前後方向の長さは、前記第3の作用面の前後方向長さよりも短いことを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記第1の作用面の前後方向に関する中心と、前記第3の作用面の前後方向に関する中心とは、前記アウタコラムの前後方向に関して同じ位置であることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記第1の作用面の前後方向に関する中心が、前記第3の作用面の前後方向に関する中心に対して、前記アウタコラムの前後方向に関して前方側または後方側に位置していることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記一対の突出板部の下側面には、それぞれ断面形状が円弧状の幅方向溝が設けられ、前記補強板部の上側面には、前記一対の突出板部の前記各幅方向溝と上下方向に対向する断面形状が円弧状の幅方向溝が設けられ、前記一対の突出板部の前記各幅方向溝と前記補強板部の前記幅方向溝とによって前記クランプ機構部を幅方向に貫通する丸孔が形成され、前記丸孔には、前記一対の板状部材に挿通されたロッドが挿通されていることを特徴とするステアリング装置である。
また、本発明の好ましい態様は、前記丸孔は、前記一対の突出板部および前記補強板部の前後方向中央部に形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
本発明によれば、安定したステアリングコラム保持力を有し、小型化を図ることができるステアリング装置を提供することができる。
第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体を示す斜視図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の斜視図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部を別の角度から見た斜視図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部を更に別の角度から見た斜視図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の正面図であり、車体後方側から見た状態を示す。 図6のA−A線の断面図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。 図8のB−B線の断面図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の平面図である。 図10のC−C線の断面図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の底面図である。 第1実施形態に係るアウタコラムの斜視図である。 第1実施形態に係るアウタコラムを別の角度から見た斜視図である。 第1実施形態に係るアウタコラムの正面図であり、車体後方側から見た状態を示す。 第1実施形態に係るアウタコラムの側面図である。 図16のE−E線の断面図である。 第1実施形態に係るアウタコラムの平面図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の分解図である。 離脱用ブロック部材の拡大斜視図である。 図21(a)は離脱用ブロック部材の拡大平面図であり、図21(b)は図21(a)のD−D線の断面図であり、図21(c)は図21(a)の上側から離脱用ブロック部材を見た側面図であり、図21(d)は図21(a)の下側から離脱用ブロック部材を見た側面図である。 第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。 第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の斜視図である。 第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。 図24のG−G線の断面図である。 第2実施形態に係るアウタコラムの斜視図である。 第2実施形態に係るアウタコラムを別の角度から見た斜視図である。 第2実施形態に係るアウタコラムを更に別の角度から見た斜視図である。 第2実施形態に係るアウタコラムを更に別の角度から見た斜視図である。 第2実施形態に係るアウタコラムを更に別の角度から見た斜視図である。 第2実施形態に係るアウタコラムを更に別の角度から見た斜視図である。 第2実施形態に係るアウタコラムの正面図であり、車体後方側から見た状態を示す。 第2実施形態に係るアウタコラムの側面図であり、車体左方側から見た状態を示す。 第2実施形態に係るアウタコラムの側面図であり、車体右方側から見た状態を示す。 第2実施形態に係るアウタコラムの背面図であり、車体前方側から見た状態を示す。 第2実施形態に係るアウタコラムの平面図である。 第2実施形態に係るアウタコラムの底面図である。 図32のA−A線の断面図である。 図33のD−D線の断面図である。 図33のE−E線の断面図である。 図33のC−C線の断面図である。 図33のF−F線の断面図である。 鉄を材料として鋳込みによって形成されたアウタコラムの斜視図である。 従来のステアリング装置の斜視図であり、車両に取り付けられている状態を示す。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るステアリング装置を説明する。本実施形態は、本発明をコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置に適用した例である。
まず、本明細書中における電動パワーステアリング装置に係る方向について定義する。本明細書中においては、電動パワーステアリング装置に係る方向は、特に明記しない限り車体に取付けられた状態における当該車体に関する前後方向、左右方向、および上下方向と同様とする。左右方向については幅方向ともいう。必要に応じ、各図において適宜これらの方向を示す。また、本明細書中において軸方向、径方向、および周方向とは、特に明記しない限り、ステアリングシャフトまたはステアリングコラムに関する軸方向、径方向、および周方向のことをいう。軸方向と車体に関する前後方向とは略同じ方向である。また径方向上方および径方向下方は、それぞれ車体に関する上方および下方と略同じ方向であり、径方向左方および径方向右方は、それぞれ車体に関する左方および右方と略同じ方向である。
図1は本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2の操作力を軽減するために、ステアリングコラム3に取付けた電動パワーアシスト装置4の操舵補助力を出力軸5に付与し、中間シャフト6を介して、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤアッセンブリ7のラックを往復移動させ、タイロッド8を介して操舵輪を転舵する方式のパワーステアリング装置である。
図2は本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、ステアリングシャフト9と、ステアリングシャフト9を回動可能に支持するステアリングコラム3と、車体に固定され、ステアリングコラム3を図示しない車体に保持するアッパー側ブラケットであるチルトブラケット11と、パワーアシスト装置4とを備えている。
ステアリングシャフト9は、前方側に配置されたロアーシャフト12と、後方側に配置されたアッパーシャフト13とからなる。アッパーシャフト13の前方側端部とロアーシャフト12の後方側端部とには、それぞれ図示しない雄スプラインと図示しない雌スプラインとが形成され、アッパーシャフト13とロアーシャフト12とはトルク伝達可能に、且つ軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合されている。アッパーシャフト13の後方側の端部には、図1に示すように、ステアリングホイール2が固定される。
ステアリングコラム3は、アッパーコラムであるインナコラム14と、ロアーコラムであるアウタコラム15とから構成されている。インナコラム14はスチール系合金からなり、アウタコラム15はアルミニウム系合金からなり、それぞれ筒状に形成されている。ロアーコラムであるアウタコラム15の後方側部分の内周面には、アッパーコラムであるインナコラム14の前方側部分の外周面が軸方向に摺動可能に内嵌している。アウタコラム15の内周側には、図示しない軸受を介してロアーシャフト12が回動可能に支持されている。インナコラム14の内周側には、図示しない軸受を介してアッパーシャフト13が回動可能に支持されている。
アウタコラム15の前方側端部には、アルミニウム等の金属からなるハウジング16が一体的に連結されている。なお、アウタコラム15とハウジング16とは、一体に形成されても良い。ハウジング16には出力軸5(図1参照)に操舵補助トルクを付与する為の操舵補助部であるパワーアシスト装置4が組付けられている。パワーアシスト装置4は、電動モータ17と、電動モータ17の回転を出力軸5に伝達する図示しない減速機構と、図示しないトルクセンサとを備えている。電動モータ17はハウジング16に支持されている。減速機構はハウジング16に格納されている。ステアリングホイール2からアッパーシャフト13に加えられるトルクの方向および大きさは、図示しないトルクセンサで検出される。パワーアシスト装置4は、トルクセンサで検出されたトルクの方向および大きさに応じて電動モータ17を駆動させ、電動モータ17の回転から、減速機構を介して、所定の方向に所定の大きさの操舵補助トルクを発生させ、出力軸5にこの操舵補助トルクを付与する。
アッパーシャフト13とロアーシャフト12とは、上述したように、軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合されている。したがってアッパーシャフト13とロアーシャフト12とが軸方向に相対移動することによりステアリングホイール2の前後位置の調節が可能である。またステアリングコラム3は、アウタコラム15の後方側部分の内周面にインナコラム14の前方側部分の外周面が軸方向に摺動可能に内嵌している。アウタコラム15とインナコラム14との軸方向の相対位置が変化することにより、ステアリングコラム3の全長が変化する。
アウタコラム15の前方側端部は、ロアーブラケット18により、ハウジング16を介して、車体に支持されている。ロアーブラケット18は、幅方向に沿って配置されたチルト軸19を中心として、ハウジング16を上下方向に揺動可能に支持している。これにより、ハウジング16と連結されているアウタコラム15は、ハウジング16を介してロアーブラケット18によって車体に支持され、チルト軸19を回動中心として上下方向に揺動可能となっている。すなわちステアリングコラム3は、チルト軸19を回動中心として上下方向に揺動可能となっている。
図3は電動パワーステアリング装置の要部の斜視図である。図4は電動パワーステアリング装置の要部を別の角度から見た斜視図である。図5は電動パワーステアリング装置の要部をさらに別の角度から見た斜視図である。
図6は電動パワーステアリング装置の要部の正面図であり、車体後方側から見た状態を示す。図7は図6のA−A線の断面図である。図8は電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。図9は図8のB−B線の断面図である。図10は電動パワーステアリング装置の要部の平面図である。図11は図10のC−C線の断面図である。図12は電動パワーステアリング装置の要部の底面図である。
図13はアウタコラムの斜視図である。図14はアウタコラムを別の角度から見た斜視図である。図15はアウタコラムの正面図であり、車体後方側から見た状態を示す。図16はアウタコラムの側面図である。図17は図16のE−E線の断面図である。図18はアウタコラムの平面図である。図19は電動パワーステアリング装置の要部の分解図である。なお、図3乃至図19においては、ステアリングシャフト9およびパワーアシスト装置4の図示は省略している。
チルトブラケット11は、上下方向および前後方向に延在する一対の側板20と、一対の側板20の上端部を連結する平板部21とからなるU字状部材を含む。なお、特許請求の範囲における「板状部材」は、側板20のことである。一対の側板20は、アウタコラム15に関して幅方向に対向して配置されている。平板部21は、アウタコラム15よりも上方に配置されている。各側板20の上下方向中間部には、幅方向で外方に突出し、幅方向および前後方向に延在するフランジ部22が形成されている。フランジ部22の前後方向寸法は、側板20の前後方向寸法と同等の大きさを有している。各フランジ部22の前方側縁部には、下方に向かって延在する補強リブ23が形成されている。各フランジ部22よりも下方側の側板20の部分には、上下方向に延在する長孔24が形成されている。長孔24は、ステアリングホイール2のチルト位置調節用の長孔である。
各フランジ部22には、ボルト孔25が設けられている。ボルト孔25は、フランジ部22を上下方向に貫通している。チルトブラケット11は、各フランジ部22のボルト孔25に挿通されたボルト26(図2参照)により車体に固定される。チルトブラケット11は、一対の側板20でステアリングコラム3を幅方向両側から挟持することにより、ステアリングコラム3を車体に保持する。詳細には、一対の側板20は、アウタコラム15の幅方向両側部分に設けられた後述するクランプ機構部27を挟持する。
図13、図14に示すように、アウタコラム15は、アウタコラム15の後方端を含む後方側部分である本体部28と、本体部28よりも前方側部分であって、前方端にハウジング16が一体的に連結される円筒部29とから構成されている。本体部28と円筒部29とは一体に形成されている。アウタコラム15の本体部28は、下方側部分に、チルトブラケット11の一対の側板20によってクランプされてアウタコラム15を車体側固定部材であるチルトブラケット11に保持すると共に、アウタコラム15を介してインナコラム14をクランプするためのクランプ機構部27を備えている。クランプ機構部27は、アウタコラム15の後端部から前方側に延在して形成され、チルトブラケット11の側板20の前後方向範囲よりも小さい前後方向範囲に亘って形成されている。以下に、クランプ機構部27の構成を説明する。
図13、図14に示すように、アウタコラム15の本体部28の下側部分には、軸方向に延在し、アウタコラム15の本体部28の外周面から内周面まで径方向に貫通した第1の軸方向スリット30が形成されている。第1の軸方向スリット30の後方端はアウタコラム15の本体部28の後方端すなわちアウタコラム15の後方端に開口し、前方側はアウタコラム15の本体部28の前方端近傍まで延在している。
さらに、アウタコラム15の本体部28の下側部分には、周方向に延在する周方向スリットが2つ形成されている。第1の周方向スリット31はアウタコラム15の本体部28の後方端近傍に形成されている。第1の周方向スリット31の両端は、アウタコラム15の本体部28の幅方向両側部分の、上下方向に関してアウタコラム15の中心軸線と重なる部分に位置している。第1の周方向スリット31は、第1の軸方向スリット30の後方端近傍部において第1の軸方向スリット30と周方向に交差している。
第2の周方向スリット32はアウタコラム15の本体部28の前方端近傍に形成されている。第2の周方向スリット32の両端は、アウタコラム15の本体部28の幅方向両側部分の、上下方向に関してアウタコラム15の中心軸線と重なる部分に位置している。第2の周方向スリット32は、第1の軸方向スリット30の前方端において第1の軸方向スリット30と周方向に交差している。第1の軸方向スリット30、第1の周方向スリット31、および第2の周方向スリット32はこのように形成されているので、アウタコラム15の本体部28の下側部分において、第1の軸方向スリット30と第1の周方向スリット31と第2の周方向スリット32とによって三方を囲まれたクランプ部33が幅方向に一対形成されている。すなわち一対のクランプ部33は、第1の軸方向スリットに関して幅方向に対向している。各クランプ部33はアウタコラム15の部分であるので、部分円筒面状の内周面を有している。
各クランプ部33は、第1の軸方向スリット30と第1の周方向スリット31と第2の周方向スリット32とによって、下方側と後方側と前方側との3つの側が連続的に開放しており、上方側がアウタコラム15の本体部28と一体につながっている。言い換えると、各クランプ部33は、軸方向に離間して並ぶ2つの側と上下方向の1つの側とが連続する 非固定端であり、上下方向の他の1つの側が固定端である。このような構成なので、各クランプ部33は、軸方向に延在する固定端を有する片持ち梁構造となっている。各クランプ部33は、アウタコラム15の本体部28の他の部分と比較して、幅方向に関する剛性が低く、幅方向に弾性変形可能である。具体的には、各クランプ部33が幅方向に弾性変形することにより、各クランプ部33の内径が弾性的に拡大または縮小可能となっている。
各クランプ部33の外周面の下端部には、平板状の張出板部34が幅方向外方に突出して設けられている。なお、特許請求の範囲における「突出板部」は、張出板部34のことである。各張出板部34は、アウタコラム15の幅方向側の外周面よりも外方まで延在している。各張出板部34は、クランプ部33の前後方向長さに亘って形成されている。各張出板部34の上面とクランプ部33の外周面との間に、各張出板部34の上面とクランプ部33の外周面とを連結する補強リブ35が設けられている。補強リブ35は、各張出板部34の上面の後方側端部と前方側端部とに形成されている。各張出板部34の幅方向外側の端面は、チルトブラケット11の一対の側板20の締め付け力を受ける第1の作用面36を構成している。したがって、張出板部34の第1の作用面36は一対形成されている。本実施形態においては、各張出板部34の第1の作用面36は上下方向および前後方向に延在する平坦面に形成されている。なお、第1の作用面36は、平坦面以外の形状としても良い。
アウタコラム15は、アウタコラム15の幅方向一方側部分と幅方向他方側部分とを連続してつなぐブリッジ部37を有する。本実施形態においては、ブリッジ部37は、アウタコラム15の本体部28よりも下方において一対のクランプ部33および一対の張出板部34を下方から覆う状態で設けられている。ブリッジ部37はアウタコラム15と一体的に設けられている。
ブリッジ部37は、アウタコラム15の本体部28よりも下方において幅方向および軸方向に延在する補強板部38と、補強板部38の後方端とアウタコラム15とを連結する後方側連結部39と、補強板部38の前方端とアウタコラム15とを連結する前方側連結部40とを有する。補強板部38は、アウタコラム15の本体部28の軸方向長さと同等の軸方向長さを有し、アウタコラム15の幅方向の外径よりも少し大きな幅を有している。補強板部38は、所定の隙間を介して一対の張出板部34と上下方向に対向している。後方側連結部39は、補強板部38の幅方向寸法と同じ幅寸法を有し、補強板部38の後方端から上方に延在し、アウタコラム15の第1の周方向スリット31よりも後方側でアウタコラム15の下側面に連結している。前方側連結部40は、補強板部38の幅方向寸法と同じ幅寸法を有し、補強板部38の前方端から上方に延在し、アウタコラム15の第2の周方向スリット32よりも前方側でアウタコラム15の下側面に連結している。このように、ブリッジ部37は、補強板部38と後方側連結部39と前方側連結部40とによって、箱状に形成されている。
ブリッジ部37はこのような構成なので、ブリッジ部37と各クランプ部33との間に、幅方向から見た形状がU字状の隙間41が形成されている。箱状のブリッジ部37は、U字状の隙間41を囲い、第1の軸方向スリット30の下方を覆っている。ブリッジ部37と各クランプ部33との間のU字状の隙間41は、幅方向から見て左右対称となっている。すなわち、各U字状の隙間41は、幅方向から見た形状が、隙間41の前後方向の中心を通る上下方向の仮想直線に関して、前方側部分の形状と後方側部分の形状とが対称となっている。本実施形態においては、このようなブリッジ部37を備えることにより、アウタコラム15は高い捩り剛性を有している。
ブリッジ部37の補強板部38は、幅方向側の両端が、それぞれチルトブラケット11の一対の側板20の締め付け力を受ける第2の作用面42を構成している。したがって補強板部38は一対の第2の作用面42を有している。本実施形態においては、第2の作用面42は上下方向および前後方向に延在する平坦面に形成され、補強板部38の幅方向側の両端の前後方向の全域に亘って形成されている。第2の作用面42は、クランプ部33の張出板部34の第1の作用面36(以下、当該第1の作用面36を「クランプ部33側の第1の作用面36」という。)と上下方向に離間して設けられ、クランプ部33側の第1の作用面36よりも下方側に配置されている。なお、第2の作用面42は、平坦面以外の形状としても良い。
アウタコラム15の本体部28の幅方向両側部分にはそれぞれ、上下方向に関してアウタコラム15の中心軸線と重なる部分に、前後方向すなわちアウタコラム15の軸方向に延在し幅方向外方に突出する突条部43が設けられている。各突条部43はアウタコラム15の本体部28の後方端すなわちアウタコラム15の後方端から、アウタコラム15の本体部28の前後方向範囲に対応する長さに亘って、前後方向に延在している。各突条部43の頂部すなわちアウタコラム15の幅方向外方側部分は、上下方向および前後方向に延在する平坦面に形成され、それぞれチルトブラケット11の一対の側板20の締め付け力を受ける第3の作用面44を構成している。従ってアウタコラム15の本体部28には、一対の第3の作用面44が設けられている。アウタコラム15の第3の作用面44はクランプ部33側の第1の作用面36と上下方向に離間して設けられ、クランプ部33側の第1の作用面36よりも上方側に配置されている。なお、第3の作用面44は、平坦面以外の形状としても良い。
このように、本実施形態においては、一対のクランプ部33にチルトブラケット11の一対の側板20の締め付け力を受ける一対の第1の作用面36を備えると共に、アウタコラム15の上下方向に関してクランプ部33の下側および上側にそれぞれチルトブラケット11の一対の側板20の締め付け力を受ける一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44を備えている。一対の第1の作用面36は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44とは独立して設けられている。一対の第1の作用面36は、アウタコラム15の上下方向に関して、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44の中心に位置しても良いし、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44の中心よりも上方側または下方側にオフセットされても良い。一対のクランプ部33および張出板部34と、ブリッジ部37と、クランプ部33側の一対の第1の作用面36と、ブリッジ部37の一対の第2の作用面42と、アウタコラム15の一対の第3の作用面44とで、クランプ機構部27を構成している。なお、本実施形態においては、一対の第1の作用面36の軸方向長さを、一対の第2の作用面42の軸方向長さおよび一対の第3の作用面44の軸方向長さよりも短く構成しているが、一対の第1の作用面36の軸方向長さを、一対の第2の作用面42の軸方向長さおよび一対の第3の作用面44の軸方向長さよりも長く構成しても良い。また、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44は、後方端の位置が、アウタコラム15の後方端と一致するように設けられている。すなわち、アウタコラム15は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44の後方端よりも後方には延在していない。この構成により、アウタコラム15の全長を短くすることができ、電動パワーステアリング装置1の小型化を図ることができる。
各クランプ部33に設けられた張出板部34の下側面にはそれぞれ、断面形状が円弧状の1つの幅方向溝45が設けられている。各幅方向溝45は、張出板部34の前後方向中央部、すなわちクランプ部33側の第1の作用面36の前後方向中央部において各張出板部34を幅方向に貫通している。また、ブリッジ部37の補強板部38の上側面には、断面形状が円弧状の幅方向溝46が設けられている。補強板部38の幅方向溝46は張出板部34の幅方向溝45と上下方向に対向して設けられ、補強板部38の前後方向中央部すなわちブリッジ部37の一対の第2の作用面42の前後方向中央部において補強板部38を幅方向に貫通している。張出板部34側の幅方向溝45の断面の曲率半径とブリッジ部37側の幅方向溝46の断面の曲率半径とは同じ大きさに形成されている。一対の張出板部34側のそれぞれの幅方向溝45と補強板部38側の幅方向溝46とで、クランプ機構部27を幅方向に貫通する丸孔47が形成されている。なお、丸孔47は、アウタコラム15に対するクランプ機構部27の締め付け保持力に応じて、前後方向にずらして形成しても良い。
丸孔47には、ロッド48が幅方向に貫通して挿通されている。ロッド48は、クランプ機構部27およびチルトブラケット11の一対の側板20にそれぞれ形成されたチルト位置調節用の長孔24を幅方向に貫通している。ロッド48の一端は、図示しない締め付け部材によってチルトブラケット11の一方の側板20に相対回動不能に係合されている。ロッド48の他端はチルトブラケット11の他方の側板20の幅方向外方に突出しており、ロッド48の他端にナット49(図2参照)を螺合すると共に、ナット49とチルトブラケット11の他方の側板20との間に、図示しないスラスト軸受と、操作レバー50と、図示しない公知のカム機構とが設けられている。
操作レバー50は、ステアリングホイール2をチルト調節位置またはテレスコピック調節位置にロックする操作、およびチルト調節位置またはテレスコピック調節位置にロックされたステアリングホイール2のロックを解除する操作をするためのものである。ステアリングホイール2の位置をロックする方向に操作レバー50を操作すると、図示しないカム機構が所定方向に駆動し、これによりチルトブラケット11の一対の側板20が互いの間隔が狭まる方向に撓む。チルトブラケット11の一対の側板20が互いの間隔が狭まる方向に撓み、チルトブラケット11の一対の側板20がアウタコラム15のクランプ機構部27を幅方向外方から挟持することにより、アウタコラム15を車体側固定部材であるチルトブラケット11に保持すると共にアウタコラム15を締め付ける。チルトブラケット11の一対の側板20は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44を挟持するよりも先に、一対の第1の作用面36に接触し、その後一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44を挟持する。チルトブラケット11の一対の側板20が互いの間隔が狭まる方向にさらに撓むと、一対の側板20は、一対の第2の作用面42または一対の第3の作用面44を支点とするモーメントを生じながら一対の第1の作用面36を押し付ける。チルトブラケット11の一対の側板20によってアウタコラム15が締め付けられることにより、アウタコラム15の一対の第1の作用面36が撓み、アウタコラム15の内径側に配置されたインナコラム14がチルトブラケット11の一対の側板20によって挟持され、ステアリングホイール2が所定位置にロックされる。
一方、所定位置にロックされたステアリングホイール2のロックを解除する方向に操作レバー50を操作すると、図示しないカム機構はチルトブラケット11の一対の側板20の間隔が広がる方向に駆動する。すなわち、チルトブラケット11の一対の側板20によるアウタコラム15の締め付けが開放される。アウタコラム15の締め付けが開放されると、一対の第1の作用面36の押し付け力が解除されて、アウタコラム15を介したインナコラム14の締め付けも開放され、ステアリングホイール2の所定位置へのロックが解除される。これにより、インナコラム14は、アウタコラム15にガイドされながら前後方向に調整可能となる。
本実施形態においては、ロッド48は、一対の張出板部34のそれぞれの幅方向溝45と補強板部38側の幅方向溝46とによって形成された丸孔47に挿通されているので、ステアリングホイール2の位置をロックする方向に操作レバー50を操作しても、ロッド48の撓みを最小限に抑制することができる。
本実施形態において、アウタコラム15に外力を加えていない状態、すなわちチルトブラケット11の一対の側板20によるアウタコラム15の締め付けが開放された状態において、アウタコラム15に設けられた一対の第3の作用面44同士の幅方向間隔と、ブリッジ部37の一対の第2の作用面42同士の幅方向間隔とは、同じ大きさに形成されている。つまり、幅方向一方側において、アウタコラム15の一方の第3の作用面44とブリッジ部37の一方の第2の作用面42とは、上下方向に延在する一つの仮想平面上に位置し、幅方向他方側において、アウタコラム15の他方の第3の作用面44とブリッジ部37の他方の第2の作用面42とは、上下方向に延在する一つの仮想平面上に位置している。
アウタコラム15に外力を加えていない状態において、クランプ部33側の一対の第1の作用面36同士の幅方向間隔は、ブリッジ部37の一対の第2の作用面42同士の幅方向間隔、すなわちアウタコラム15の一対の第3の作用面44同士の幅方向間隔よりも大きく形成されている。つまり、幅方向一方側において、クランプ部33側の一方の第1の作用面36は、ブリッジ部37の一方の第2の作用面42およびアウタコラム15の一方の第3の作用面44よりも幅方向で外方に位置し、幅方向他方側において、クランプ部33側の他方の第1の作用面36は、ブリッジ部37の他方の第2の作用面42およびアウタコラム15の他方の第3の作用面44よりも幅方向で外方に位置している。クランプ機構部27によるアウタコラム15およびインナコラム14のクランプ動作については後述する。
アウタコラム15の上側部分には、軸方向に延在し、アウタコラム15の外周面から内周面まで貫通した第2の軸方向スリット51が設けられている。第2の軸方向スリット51は、アウタコラム15の本体部28と円筒部29とに亘って形成され、両端部は閉じている。すなわち、第2の軸方向スリット51の前方端はアウタコラム15の前方端に開口せず、且つ第2の軸方向スリット51の後方端はアウタコラム15の後方端に開口していない。第2の軸方向スリット51の両端は円弧状に形成されている。したがって第2の軸方向スリット51の形状すなわち縁の形状は、軸方向に長い長円形あるいは角の丸い長方形である。
アウタコラム15の上側部分の外周面には、幅方向で第2の軸方向スリット51よりも外方側の両側部分のそれぞれに、上方に突出し、第2の軸方向スリット51に沿って軸方向に延在する軸方向壁部52が形成されている。したがって、軸方向壁部52は一対形成され、一対の軸方向壁部52は第2の軸方向スリット51に関して幅方向に対向している。一対の軸方向壁部52は、アウタコラム15の後方端から、第2の軸方向スリット51の前方端とアウタコラム15の円筒部29の前方端との間のアウタコラム15の円筒部29の部分までの軸方向範囲に亘って延在している。
さらに、アウタコラム15の上側部分の外周面には、一対の軸方向壁部52の前方端同士を幅方向に連結する前方側幅方向壁部53と、一対の軸方向壁部52の後方端同士を幅方向に連結する後方側幅方向壁部54とが形成されている。したがってアウタコラム15の上側部分の外周面には、一対の軸方向壁部52と前方側幅方向壁部53と後方側幅方向壁部54とによって、第2の軸方向スリット51を幅方向側および前後方向側で囲み、上方側から見て略長方形の補強壁部55が形成されている。アウタコラム15は、上側部分にこのような補強壁部55が形成されているので、全長を短くしても高い捩り剛性を有している。
補強壁部55に囲まれたアウタコラム15の外周面の部分は、上面が平面となるように、上方に向かって肉厚となるように形成されている。したがって、略長方形の補強壁部55と、補強壁部55に囲まれたアウタコラム15の外周面の部分とによって、断面形状がU字状の軸方向溝56が形成されている。言い換えると、略長方形の補強壁部55と、補強壁部55に囲まれたアウタコラム15の外周面の部分とによって、軸方向に延在する長方形のバスタブ状の溝部が形成されている。バスタブ状の溝部の断面形状はU字状である。第2の軸方向スリット51は、軸方向溝56の底部に形成されている。
アウタコラム15の後方側部分の内周面には、上述したように、アッパーコラムであるインナコラム14の前方側部分の外周面が軸方向に摺動可能に内嵌している。インナコラム14には、前方端近傍部の上方側部分に、軸方向に延在し、インナコラム14の外周面から内周面まで貫通した第3の軸方向スリット57が設けられている。第3の軸方向スリット57は少なくとも一部がアウタコラム15の第2の軸方向スリット51と上下方向に対向している。第3の軸方向スリット57の両端は閉じている。すなわち、第3の軸方向2スリット57の前方端はインナコラム14の前方端に開口せず、且つ第3の軸方向スリット57の後方端はアウタコラム15の後方端に開口していない。第3の軸方向スリット57の両端は円弧状に形成されている。したがって第3の軸方向スリット57の輪郭すなわち縁の形状は、軸方向に長い長円形あるいは角の丸い長方形である。第3の軸方向スリット57には、第3の軸方向スリット57の縁の形状に適合する長円形あるいは角の丸い長方形の樹脂製枠状部材であるライナースロット58が取り付けられている。
ライナースロット58は、第3の軸方向スリット57の縁の内側に沿って配置される枠状の本体部59と、本体部59の上端から外方に突出するフランジ部60とから構成される。本体部59の内周の幅寸法はアウタコラム15の第2の軸方向スリット51と同等の幅寸法を有し、本体部59の内周面は第3の軸方向スリット57を上下方向に貫通する上下方向厚さを有している。フランジ部60は第3の軸方向スリット57の縁の形状よりも大きな長円形あるいは角の丸い長方形に形成されている。ライナースロット58は、インナコラム14の上方側から第3の軸方向スリット57に取り付けられ、本体部59が第3の軸方向スリット57の縁の内側に嵌めこまれると共にフランジ部60が第3の軸方向スリット57の縁部の周囲のインナコラム14の外周面の部分に接触することにより、第3の軸方向スリット57の縁部に固定され、且つインナコラム14内部への落下が防止される。
ライナースロット58がインナコラム14の第3の軸方向スリット57に固定された状態において、ライナースロット58のフランジ部60は、その厚みの分だけインナコラム14の外周面よりも上方に突出した状態である。アウタコラム15の上方側部分の内周面には、ライナースロット58のフランジ部60と上下方向に対向する部分に、上方に凹んだ軸方向溝61が形成されている。軸方向溝61は、インナコラム14がアウタコラム15に対して軸方向に摺動する際、ライナースロット58のフランジ部60が軸方向溝61の底面に接触しない深さおよび幅を有している。
図10、図19に示すように、アウタコラム15の上側部分に形成された軸方向溝56の内部には、ブロック部材62が固定されている。ブロック部材62は、軸方向溝56の幅寸法と同じ幅方向寸法を有し、軸方向溝56の深さと略同じ上下方向寸法を有している。ブロック部材62の前後方向寸法と幅方向寸法とは、同等の大きさに形成されている。ブロック部材62は、後述するように、二次衝突時にアウタコラム15の軸方向溝56内の固定位置から離脱する離脱用部材であり、ブロック部材62が軸方向溝56内の固定位置から離脱することにより、インナコラム14がチルトブラケットによる挟持から離脱し、テレスコピック位置調節範囲を越えて軸方向へ移動可能となる。
図20は、ブロック部材の拡大斜視図である。図21(a)はブロック部材の拡大平面図であり、図21(b)は図21(a)のD−D線の断面図であり、図21(c)は図21(a)の上側からブロック部材を見た側面図であり、図21(d)は図21(a)の下側からブロック部材を見た側面図である。
図20および図21の各図に示すように、ブロック部材62は、中央部に上下方向に貫通する上下方向貫通孔63が形成されている。上下方向貫通孔63の内周側の下部には、上下方向貫通孔63の内方に突出する内向きフランジ部64が形成されている。したがって上下方向貫通孔63の径は、内向きフランジ部64に対応する部分が、内向きフランジ部64よりも上側の部分よりも小さい寸法となっている。上下方向貫通孔63の周囲のブロック部材62の部分には、上下方向の肉抜き部65が複数設けられている。本実施形態では4つの肉抜き部65が、上下方向貫通孔63の周方向に関して、等間隔に設けられている。肉抜き部65は、図21(b)に示すように、下部が塞がっており、上下方向に貫通はしていない。
図21(a)に示すように、ブロック部材62は、上下方向から見た形状が略正方形である。図21(c)および図21(d)に示すように、上下方向貫通孔63に関して対向するブロック部材62の一対の側壁66には、上下方向と直交する方向であって組み付け状態において幅方向に側壁66を貫通し、肉抜き部65に開口する幅方向貫通孔67がそれぞれ設けられている。各側壁66の幅方向貫通孔67はブロック部材62の中心に関して対角上に配置されている。言い換えると、一対の幅方向貫通孔67は、ブロック部材62の中心点に関して点対称の関係にある。
ブロック部材62は、図10、図19に示すように、アウタコラム15の軸方向溝56の後方側端部に配置されている。ブロック部材62は、幅方向貫通孔67を有する一方の側壁66がアウタコラム15の軸方向溝56の一方の軸方向壁部52と幅方向に対向し、幅方向貫通孔67を有する他方の側壁66がアウタコラム15の軸方向溝56の他方の軸方向壁部52と幅方向に対向する向きで、軸方向溝56内に配置されている。この状態において、ブロック部材62の一方の側壁66の幅方向貫通孔67は、ブロック部材62の一方の側壁66の前方側部分に位置し、一方の側壁66を幅方向に貫通している。ブロック部材62の他方の側壁66の幅方向貫通孔67は、ブロック部材62の他方の側壁66の後方側部分に位置し、他方の側壁66を幅方向に貫通している。
アウタコラム15の軸方向溝56の一方の軸方向壁部52には、ブロック部材62の一方の側壁66の幅方向貫通孔67と対応する位置に、幅方向に貫通する貫通孔68が形成されている。アウタコラム15の軸方向溝56の他方の軸方向壁部52には、ブロック部材62の他方の側壁66の幅方向貫通孔67と対応する位置に、幅方向に貫通する貫通孔68が形成されている。したがって、一方の軸方向壁部52の貫通孔68と他方の軸方向壁部52の貫通孔68とは、前後方向に関して異なる位置に設けられている。ブロック部材62の側壁66の幅方向貫通孔67と、軸方向溝56の軸方向壁部52の貫通孔68とは同じ径を有している。
一方の軸方向壁部52の貫通孔68には、幅方向外方からシェアピン69が挿通されている。シェアピン69はPOM(ポリアセタール)等の樹脂またはアルミニウムで形成されている。シェアピン69は一方の軸方向壁部52およびブロック部材62の一方の側壁66の幅方向貫通孔67を貫通して挿通されている。シェアピン69は、図19に示すように、アウタピン70とインナピン71とを備えている。アウタピン70は円筒状の本体部72と、本体部72の一端側に形成された拡径部73と、本体部72の他端側に形成されたフランジ部74と、本体部72と拡径部73とフランジ部74とを貫通する案内孔75とを有している。拡径部73は、一方の軸方向壁部52の貫通孔68およびブロック部材62の幅方向貫通孔67の内径よりも大きな外径を有している。アウタピン70は一方の軸方向壁部52の貫通孔68およびブロック部材62の一方の側壁66の幅方向貫通孔67に圧入され、一方の軸方向壁部52およびブロック部材62の一方の側壁66を貫通している。アウタピン70の拡径部73はアウタコラム15の軸方向溝56の内側、詳細にはブロック部材62の側壁66よりも幅方向内側まで達している。したがってアウタピン70は幅方向外方に抜けにくくなっている。アウタピン70のフランジ部74は、一方の軸方向壁部52の幅方向外側面に接触している。詳細には、アウタピン70のフランジ部74は、一方の軸方向壁部52の貫通孔68の幅方向外側開口の周囲に形成された座ぐり76に接触する。こうしてアウタピン70は一方の軸方向壁部52の貫通孔68およびブロック部材62の一方の側壁66の幅方向貫通孔67に固定される。
インナピン71は、アウタピン70の案内孔75に挿通される部材である。インナピン71は、円柱状の本体部77と、本体部77の一端に形成された大径部78とを有する。本体部77はアウタピン70の案内孔75に圧入され、案内孔75を貫通している。大径部78はアウタピン70のフランジ部74に接触している。こうしてインナピン71はアウタピン70の案内孔75に圧入によって固定され、シェアピン69が一方の軸方向壁部52の貫通孔68およびブロック部材62の一方の側壁66の幅方向貫通孔67に固定される。アウタコラム15の軸方向溝56の他方の軸方向壁部52の貫通孔68およびブロック部材62の他方の側壁66の幅方向貫通孔67にも同様の構成のシェアピン69が固定されている。したがってブロック部材62は、一対のシェアピン69によってアウタコラム15の軸方向溝56に固定されている。なお、本実施形態のように、ブロック部材62に対して幅方向からシェアピン69を挿入する構成とすることにより、ブロック部材62の上下方向の寸法を小さくすることができ、したがってステアリング装置の上下方向の寸法の大型化を抑制することができる。
ブロック部材62の中央部の上下方向貫通孔63には、上方側から金属性のストッパピン79が挿通されている。ストッパピン79は、円柱状の軸部80と、軸部80の上方側端部に形成され、軸部80の径よりも大径の頭部81とを有する。ストッパピン79の軸部80は、ブロック部材62の上下方向貫通孔63の内周側の内向きフランジ部64、アウタコラム15の第2の軸方向スリット51、およびインナコラム14の第3の軸方向スリット57すなわちライナースロット58を上下方向に貫通し、大径の頭部81の下面がブロック部材62の上下方向貫通孔63の内向きフランジ部64に接触する。このようにブロック部材62とインナコラム14とは、ストッパピン79を介して連結されている。アウタコラム15の軸方向溝56に配置されたブロック部材62と、ストッパピン79とは、アウタコラム15とインナコラム14とを係合する係合部材を構成している。ストッパピン79の軸部80は、アウタコラム15の第2の軸方向スリット51の幅寸法、およびライナースロット58の幅寸法よりも僅かに小さい径寸法を有している。したがってストッパピン79の軸部80とアウタコラム15の第2の軸方向スリット51とは、軸方向に相対移動可能であると共に、ストッパピン79の軸部80とライナースロット58すなわちインナコラム14の第3の軸方向スリット57とは、軸方向に相対移動可能である。ブロック部材62、シェアピン69、ストッパピン79、およびアウタコラム15の軸方向溝56の相互作用については後述する。なお、ブロック部材62とストッパピン79とは、一体に形成しても良い。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、車両用盗難防止装置の一つである公知のステアリングロック機構を備えている。なお、ステアリングロック機構は公知のものであるので、詳細な図示は省略する。
ステアリングロック機構は、ステアリングシャフト9のアッパーシャフト13(図2参照)に外嵌された図示しないキーロックカラーと、キーロックカラーの径方向外側のアッパーコラムすなわちインナコラム14の部分に取り付けられた図示しないステアリングロック装置とからなる。キーロックカラーの外周面には軸方向に延在する軸方向溝が複数形成されている。言い換えると、キーロックカラーの外周面には軸方向に延在する突条が複数形成され、周方向に隣り合う突条によって軸方向溝が形成されている。図2、図7に示すように、インナコラム14の後方側端部近傍に、インナコラム14を径方向に貫通するロック用貫通孔82が形成されている。イグニッションキーがオフにされると、ステアリングロック装置に設けられた図示しないロックバーがロック用貫通孔82を貫通してインナコラムの内径側に向けて変位し、キーロックカラーに形成された軸方向溝と係合する。ロックバーがキーロックカラーの軸方向溝と係合することによりステアリングシャフト9の回転を制限し、車両盗難時などに操舵できないようにするものである。
ステアリングロック機構は、ロックバーがキーロックカラーと係合している状態において、所定以上の力でステアリングホイール2を回動させる力が加わったときには、ステアリングシャフト9がキーロックカラーの内周面に対して回動するようになっている。このような構成とすることにより、ステアリングロック機構の破損を防ぎつつ、キーロックカラーの内周面とステアリングシャフト9との間にステアリングホイールを操舵できない程度の大きさのフリクションを与え、車両の盗難を防ぐように構成されている。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイール2の上下方向位置すなわち高さ位置を調節するためのチルト位置調節機構と、ステアリングホイール2の前後方向位置を調節するためのテレスコピック位置調節機構とを備えている。以下に、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置におけるステアリングホイールの位置調節方法およびステアリングコラム3のクランプ方法について説明する。
ステアリングホイール2の位置調節は、所定位置にロックされたステアリングホイール2のロックを解除する方向に操作レバー50(図2参照)を操作し、チルトブラケット11の一対の側板20によるアウタコラム15の締め付けおよびアウタコラム15を介したインナコラム14の締め付けが開放された状態において行う。ステアリングコラム3は、図2に示すように、チルト軸19を回動中心として上下方向に揺動可能にロアーブラケット18に支持されている。したがって、ステアリングホイール2を上下方向に移動させることにより、ステアリングホイール2の高さ位置を調節することができる。このとき、チルトブラケット11の一対の側板20のそれぞれの長孔24およびアウタコラム15のクランプ機構部27を幅方向に貫通して配置されたロッド48が、チルトブラケット11の一対の側板20の長孔24内を上下方向に移動する。ロッド48が長孔24内を上下方向に移動できる範囲に対応するステアリングホイール2の移動範囲が、ステアリングホイール2の高さ位置の調節可能範囲である。
チルトブラケット11の一対の側板20によるアウタコラム15の締め付けが開放された状態においては、インナコラム14はアウタコラム15に対して軸方向に摺動可能となる。この状態において、ステアリングホイール2を前後方向に移動させることによりインナコラム14を前後方向に移動させ、ステアリングホイール2のテレスコピック位置を調節する。インナコラム14をアウタコラム15に対して前後方向へ移動させるとライナースロット58も前後方向に移動し、ストッパピン79がライナースロット58を貫通する位置がライナースロット58内で前後方向に変位する。すなわちライナースロット58とストッパピン79とは、アウタコラム15に対するインナコラム14の前後方向移動の案内機構を構成している。
ストッパピン79は、ライナースロット58を介して、アウタコラム15に対してインナコラム14を前後方向に案内すると共に、インナコラム14が前後方向に移動する際、インナコラム14がアウタコラム15に対して回転してしまうことを防止している。ライナースロット58すなわちインナコラム14の第3の軸方向スリット57とストッパピン79とは、アウタコラム15に対するインナコラム14の回転を規制する回転防止機構を構成している。
インナコラム14は、アウタコラム15に対して、ストッパピン79がライナースロット58の前方端に接触する位置から、ストッパピン79がライナースロット58の後方端に接触する位置までの範囲で前後方向に移動可能である。ストッパピン79がライナースロット58の前方端に接触する位置に対応するステアリングホイール2の位置が、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲の後方端位置である。ストッパピン79がライナースロット58の後方端に接触する位置に対応するステアリングホイール2の位置が、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲の前方端位置である。このように、ライナースロット58の軸方向長さ、すなわちインナコラム14の第3の軸方向スリット57の軸方向長さが、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲である。テレスコピック位置調節範囲は、言い換えると、ステアリングホイール2の通常の使用位置の範囲であり、インナコラム14の通常の使用位置の範囲である。そしてストッパピン79は、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲の後方端においてステアリングホイール2の後方への移動を規制し、前方端においてステアリングホイール2の前方への移動を規制するストッパとして機能している。
なお、アウタコラム14は、上側部分に一対の軸方向壁部52と前方側幅方向壁部53と後方側幅方向壁部54とからなる軸方向溝56すなわち補強壁部55が形成されているので、全長を短くしても高い捩り剛性を有している。そしてストッパピン79が挿通されたブロック部材62が、アウタコラム15の軸方向56溝内すなわち補強壁部55内に固定されている。このようにアウタコラム15は捩り剛性が高く構成されている。従来、ステアリングホイールのテレスコピック位置調節範囲のストッパ部材は、捩り方向の入力に対する剛性を確保するために大型の軸部材を用いており、アウタコラムにはこの大型の軸部材が通過できる幅が広いスリットを設ける必要があった。しかし、本実施形態のアウタコラム15は高い捩り剛性を有しているので、ストッパピン79の軸部80を細いものとすることができる。すなわち、アウタコラム15に設ける第2の軸方向スリット51は、従来のアウタコラムに比較して幅が狭いものとすることができる。したがって、アウタコラム15は、第2の軸方向スリット51が形成されても、充分に高い捩り剛性を維持することができる。
ステアリングホイール2をチルト調節位置およびテレスコピック調節位置にロックする際は、ステアリングホイール2の位置をロックする方向に操作レバー50を操作する。そうすると、チルトブラケット11の一対の側板20は、図示しないカム機構を介して、互いの間隔が狭まる方向、すなわちアウタコラム15のクランプ機構部27を挟持する方向に撓む。アウタコラム15のクランプ機構部27は、クランプ部33側の一対の第1の作用面36がブリッジ部37の一対の第2の作用面42およびアウタコラム1の一対の第3の作用面44よりも幅方向で外方に位置しているので、チルトブラケット11の一対の側板20は、最初にクランプ部33側の一対の第1の作用面36に接触する。
操作レバー50の操作により、チルトブラケット11の一対の側板20が、互いの間隔が狭まる方向にさらに撓むと、一対の側板20はクランプ部33側の一対の第1の作用面36および一対の第1の作用面36が形成された一対の張出板部34を介して一対のクランプ部33を幅方向に挟持し、これによりアウタコラム15を締め付けてゆく。具体的には、チルトブラケット11の一対の側板20は、一対のクランプ部33の内径を弾性的に縮小させてゆく。一対のクランプ部33の内径が縮小すると、一対のクランプ部33は、一対のクランプ部33の内径側に配置されたインナコラム14に接触し、インナコラム14を幅方向に挟持する。つまり、チルトブラケット11の一対の側板20は、一対の第1の作用面36および一対の張出板部34を介してアウタコラム15をチルトブラケット11に保持すると共に、アウタコラム15を介して、アウタコラム15の内周側にインナコラム14を支持する。
操作レバー50の操作により、チルトブラケット11の一対の側板20が、互いの間隔が狭まる方向にさらに撓むと、チルトブラケット11の一対の側板20は、ブリッジ部37の一対の第2の作用面42およびアウタコラム15側の一対の第3の作用面44に接触する。ブリッジ部37の一対の第2の作用面42は、ブリッジ部37の一つの補強板部38の幅方向側の両端に形成されているので、チルトブラケット11の一対の側板20によって互いの幅方向間隔が狭まる方向の力が作用しても、互いの幅方方向間隔が狭まることは無い。したがって、この状態から、チルトブラケット11の一対の側板20の互いの間隔が狭まる方向に撓むようにさらに操作レバーを操作しても、チルトブラケット11の一対の側板20が、互いの幅方向間隔がさらに狭まる方向に撓むことは無い。このように、ブリッジ部37の補強板部38は、一対の側板20が互いの幅方向間隔が狭まる方向に撓むことを所定の位置で規制する規制部として機能している。
この状態において、チルトブラケット11の一対の側板20は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44に接触してアウタコラム15を幅方向に挟持し、アウタコラム15をチルトブラケット11に保持する。これと同時に、チルトブラケット11の一対の側板20は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44に接触することによるアウタコラム15の保持とは独立して、アウタコラム15を介してインナコラム14を固定するのに充分な挟持力で一対の第1の作用面36に接触している。そしてチルトブラケット11の一対の側板20はこの挟持力によって一対のクランプ部33を挟持することによりアウタコラム15をチルトブラケット11に保持すると共にアウタコラム15を締め付け、アウタコラム15を介してインナコラム14を幅方向に挟持する。こうしてインナコラム14はチルトブラケット11に保持される。
チルトブラケット11の一対の側板20がブリッジ部37の一対の第2の作用面42およびアウタコラム15の一対の第3の作用面44に接触している状態において、さらに大きな挟持力によってアウタコラム15およびインナコラム14がチルトブラケット11の一対の側板20に挟持されることは無い。必要以上に大きな挟持力によってアウタコラム15およびインナコラム14が挟持されると、アウタコラム15およびインナコラム14に捩り方向の力が加わった場合に、アウタコラム15およびインナコラム14の所定の部分に大きな応力が加わり、アウタコラム15およびインナコラム14に変形が生じてしまう虞がある。本実施形態においては、チルトブラケット11の一対の側板20の挟持力は、所定の大きさよりも大きくなることがないので、安定した挟持力でステアリングコラム3を車体に保持することができる。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、二次衝突時にインナコラム14が車体側固定部材であるチルトブラケット11から離脱する離脱機構を備えている。二次衝突の際、チルトブラケット11から離脱したインナコラム14が前方に移動することにより二次衝突の衝撃を吸収し、二次衝突の衝撃から運転者を保護するようになっている。
ステアリングシャフト9を構成するアッパーシャフト13およびロアーシャフト12はスプライン嵌合されている。ステアリングコラム3は、アッパーコラムであるインナコラム14の前方側部分がロアーコラムであるアウタコラム15の後方側部分の内周側に軸方向に摺動可能に嵌合している。二次衝突の際、アッパーシャフト13はステアリングホイール2と共に前方に移動する。アッパーシャフト13は図示しない軸受を介してインナコラム14に支持されているので、アッパーシャフト13が前方に移動すると、インナコラム14もアッパーシャフト13と共に前方に移動する。
インナコラム14は、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲において、アウタコラム15に対して前後方向に移動可能である。このため、二次衝突の際、最初にインナコラム14は、テレスコピック位置調節範囲において、ステアリングホイール2が前方端に位置するまで前方に移動する。すなわち、インナコラム14は、インナコラム14の第3の軸方向スリット57に取り付けられたライナースロット58の後方端にストッパピン79が接触するまで前方に移動する。テレスコピック位置を調節する際は、ライナースロット58の後方端にストッパピン79が接触することによりインナコラム14の前方への移動は規制されるが、二次衝突のように所定の大きさ以上の大きさの前方への荷重がインナコラム14に加わると、この前方への荷重はライナースロット58、ストッパピン79、ブロック部材62、シェアピン69の順に受け止められ、シェアピン69は、受けた前方への荷重によりせん断する。
シェアピン69がせん断すると、ブロック部材62はアウタコラム15の軸方向溝56内の固定位置を離脱し、前方へ移動可能となる。すなわち、インナコラム14は、車体側固定部材であるチルトブラケット11による挟持状態から離脱する。アウタコラム15の軸方向溝56に配置されたブロック部材62と、ストッパピン79と、ブロック部材62を軸方向溝62に固定するシェアピン69とにより、離脱機構が構成される。インナコラム14には二次衝突による前方への荷重が加わっているので、チルトブラケット11から離脱したインナコラム14は、インナコラム14の第3の軸方向スリット57に取り付けられたライナースロット58の後方端でストッパピン79を前方へ押す。ストッパピン79が前方へ押されると、ストッパピン79が挿通されたブロック部材62がアウタコラム15の軸方向溝56内を前方へ移動する。こうしてインナコラム14は、ストッパピン79を介してブロック部材62を前方へ押しつつ前方へ移動する。このときストッパピン79は、アウタコラム15の軸方向溝56に形成された第2の軸方向スリット51に案内されて前方へ移動する。ブロック部材62は、ストッパピン79が第2の軸方向スリット51の前方端に接触するまで、ストッパピン79と共に前方へ移動する。すなわち、アウタコラム15の第2の軸方向スリット51の軸方向長さが、二次衝突の際、インナコラム14がテレスコピック位置調整範囲、すなわちインナコラム14の通常の使用位置の範囲を超えて前方へ移動できる範囲である。
二次衝突の際、インナコラム14が前方へ移動する際、インナコラム14の外周面がアウタコラム15の内周面に対して摺動する。このように本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、インナコラム14とアウタコラム15とが所定の摩擦力で摺動することにより、二次衝突の衝撃を吸収している。また、二次衝突の際、ブロック部材62が前方へ移動する時に、ブロック部材62はアウタコラム15の軸方向溝56の溝面すなわち軸方向壁部52および底面に対して摺動する構造とする場合、すなわち積極的に摩擦力を発生させる構造とする場合と、摺動せずにスムーズに移動する構造とする場合、すなわち摩擦力をなるべく発生させない構造とする場合とにすることが可能である。ブロック部材62が軸方向溝56の溝面に対して摺動する構造の場合は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、インナコラム14とアウタコラム15とが所定の摩擦力で摺動することに加え、さらにブロック部材62とアウタコラム15の軸方向溝56とが所定の摩擦力で摺動することにより、二次衝突の衝撃を吸収する。
ブロック部材62がアウタコラム15の軸方向溝56の前方端まで移動すると、ブロック部材56の前方側端面は、アウタコラム15の軸方向溝56の前方側幅方向壁部53に接触する。この状態において、インナコラム14はアウタコラム15に対してそれ以上は前方に移動できないので、インナコラム14は、ブロック部材62および前方側幅方向壁部53を介してアウタコラム15を前方に押すこととなる。アウタコラム15は前方側のロアーブラケット18および後方側のチルトブラケット11によって車体に固定されているので、インナコラム14からアウタコラム15に掛かった二次衝突の荷重は、ロアー側のチルト軸19およびアッパー側のロッド48を介してロアーブラケット18およびチルトブラケット11によって受け止められる。
このように本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、所定の大きさ以上の前方への荷重がシェアピン79に掛かると、シェアピン79がせん断することによりインナコラム14がチルトブラケット11から離脱して前方側へ移動する。したがって、二次衝突の際、インナコラム14を、テレスコピック位置調節範囲、すなわちインナコラム14の通常の使用位置の範囲を超えて前方に移動させ、アウタコラム15の内周側へ入り込ませることができる。なお、テレスコピック位置調節機構を有していないステアリング装置にあっては、インナコラム14の通常の使用位置は前後方向に関して所定の位置に固定されており、二次衝突の際、インナコラム14は通常の使用位置の範囲すなわち前後方向に関する所定の位置を超えて前方へ移動し、アウタコラム15の内周側へ入り込むこととなる。すなわちテレスコピック位置調節機構を有していないステアリング装置にあっては、二次衝突の際、インナコラム14は、単にアウタコラム15の内周側へ入り込むこととなる。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、上述したように、公知のステアリングロック機構を備えている。ステアリングロック機構がステアリングシャフト9の回動をロックしている状態、すなわち図示しないロックバーがアッパーシャフト13に外嵌された図示しないキーロックカラーの軸方向溝に係合している状態において、ステアリングシャフト9を一方の回動方向へ回動させる所定以上の大きさの力が加わったときには、この一方の回転方向の荷重は、インナコラム14に固定されたライナースロット58へ伝わる。ライナースロット58にはストッパピン79の軸部80が挿通されているので、ライナースロット58が一方の回転方向の荷重を受けると、ストッパピン79の軸部80はライナースロット58によって一方の回動方向へ押される。そうすると、ストッパピン79は、ブロック部材62の上下方向貫通孔63に配置されているストッパピン79の頭部81側が他方の回動方向へ傾く。ストッパピン79が他方の回動方向へ傾くと、ストッパピン79の頭部81はブロック部材62を他方の回動方向へ押す。ブロック部材62は、アウタコラム15の補強壁部55すなわち軸方向溝56に固定されているため、ブロック部材62に伝わった他方の回動方向への荷重は、アウタコラム15の軸方向溝56の軸方向壁部52で受け止められる。
また、シェアピン69は、ブロック部材62に対して幅方向に圧入されているので、ステアリングロック機構がステアリングシャフト9の回動をロックしている状態において、所定以上の力でステアリングシャフト9を一方の回動方向へ回動させる力が加わっても、シェアピン69に対しては、シェアピン69の軸方向に沿って荷重が掛かる。したがってブロック部材62を介してシェアピン69をせん断する方向に荷重が伝わることはなく、シェアピン69はせん断しない。すなわち、インナコラム14がチルトブラケット11から離脱することはなく、インナコラム14の誤脱落を防止できる。ステアリングロック機構がステアリングシャフト9の回動をロックしている状態において、所定以上の力でステアリングシャフト9を他方の回動方向へ回動させる力が加わったときも同様に、ブロック部材62を介してシェアピン69をせん断する方向に荷重が伝わることはなく、シェアピン69はせん断しない。
また、ステアリングホイール2がテレスコピック位置調節範囲の後方端にある状態で、ステアリングホイール2をさらに後方側に引くと、後方への荷重は、インナコラム14に固定されたライナースロット58へ伝わる。ストッパピン79はライナースロット58の前方端に位置しており、ライナースロット58が後方への荷重を受けると、ストッパピン79はライナースロット58によって後方側へ引っぱられる。そうすると、ブロック部材62はストッパピン79と共に後方側へ引っ張られるが、ブロック部材62はアウタコラム15の軸方向溝56の後方端に配置されているので、ブロック部材62の後方側の側壁がアウタコラム15の軸方向溝56の後方側幅方向壁部54に接触し、後方への荷重はアウタコラム15の軸方向溝56の後方側幅方向壁部54によって受け止められる。したがって、ステアリングホイール2がテレスコピック位置調節範囲の後方端にある状態で、ステアリングホイール2をさらに後方側に引いても、ブロック部材62を介してシェアピン69に荷重が伝わることはなく、シェアピン69はせん断しない。すなわち、インナコラム14がチルトブラケット11から離脱することはなく、インナコラム14の誤脱落を防止できる。
このように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2の後方への移動による後方への荷重、およびステアリングロック機構がステアリングシャフト9の回動をロックしている状態におけるステアリングホイール2を一方または他方へ回動させる方向の荷重は、ブロック部材62をアウタコラム15の軸方向溝56に固定しているシェアピン69には伝わらない構成になっている。言い換えると、二次衝突の際の、所定の大きさよりも大きな前方への荷重がステアリングホイール2に付加されたときのみ、当該前方への荷重がシェアピン69に伝わり、シェアピン69がせん断する。したがって、二次衝突の時以外にインナコラム14がチルトブラケット11から離脱することがない。
なお、本実施形態においては、一対のシェアピン69は、ブロック部材62の対角上、すなわちブロック部材62の中心点に関して点対称の関係となるように配置されている。一対のシェアピン69をこのように配置することにより、二次衝突の荷重がブロック部材62に入力されてもブロック部材62の姿勢は安定しており、シェアピン69がせん断した後、ブロック部材62はアウタコラム15の軸方向溝56をスムーズに前方へ移動する。さらに、ブロック部材62をアウタコラムの軸方向溝56に組み付ける際、ブロック部材62を上下方向貫通孔63を中心に回転させても幅方向貫通孔67と軸方向壁部52の貫通孔68とが常に一定の位置関係を保つことにより、ブロック部材62の組み付け方向を誤ることがない。さらにまた、ブロック部材62を上下方向に逆転させても同様に組み付けることができる構造とすることも可能である。したがって組み付け作業の効率化とともに、歩留まりの向上を図ることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、チルトブラケット11の一対の側板20は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44に接触してアウタコラム15を幅方向に挟持し、アウタコラム15をチルトブラケット11に保持する。これと同時に、チルトブラケット11の一対の側板20は、一対の第2の作用面42および一対の第3の作用面44に接触することによるアウタコラム15の保持とは独立して、アウタコラム15を介してインナコラム14を固定するのに充分な挟持力で一対の第1の作用面36に接触している。この状態において、チルトブラケット11の一対の側板20は、一定の安定した挟持力でアウタコラム15およびインナコラム14を挟持する。
また、アウタコラム15の下側部分には箱状のブリッジ部37が形成されているので、アウタコラム15の剛性を高くすることができる。したがって、アウタコラム15の全長を短くすることができ、ステアリング装置の小型化を図ることができる。さらに、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、アウタコラム15の上側部分に一対の軸方向壁部52と前方側幅方向壁部53と後方側幅方向壁部54とからなる軸方向溝56すなわち補強壁部55が形成されている。このような構成なので、アウタコラム15は全長を短くしても高い捩り剛性を維持することができる。したがってアウタコラム15の全長を短くし、ステアリング装置の小型化を図ることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置を説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
図22は第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。
第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、第1実施形態と同様に、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。図22に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、ステアリングシャフト209と、ステアリングシャフト209を回動可能に支持するステアリングコラム203と、車体に固定され、ステアリングコラム203を図示しない車体に保持するアッパー側ブラケットであるチルトブラケット211と、パワーアシスト装置4とを備えている。
ステアリングシャフト209は、前方側に配置されたロアーシャフト212と、後方側に配置されたアッパーシャフト213とからなる。アッパーシャフト213の前方側端部とロアーシャフト212の後方側端部とには、それぞれ図示しない雄スプラインと図示しない雌スプラインとが形成され、アッパーシャフト213とロアーシャフト212とはトルク伝達可能に、且つ軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合されている。アッパーシャフト213の後方側の端部には、図1に示すように、ステアリングホイール2が固定される。
本実施形態のステアリングコラム203は、第1実施形態と異なり、ロアーコラムであるインナコラム214と、アッパーコラムであるアウタコラム215とから構成されている。インナコラム214はスチール系合金からなり、アウタコラム215はアルミニウムからなり、それぞれ筒状に形成されている。ロアーコラムであるインナコラム214の後方側部分の外周面には、アッパーコラムであるアウタコラム215の前方側部分の内周面が軸方向に摺動可能に外嵌している。インナコラム214の内周側には、図示しない軸受を介してロアーシャフト212が回動可能に支持されている。アウタコラム215の内周側には、図示しない軸受を介してアッパーシャフト213が回動可能に支持されている。
インナコラム214の前方側端部には、スチール系合金等の金属からなるハウジング216が一体的に連結されている。なお、インナコラム214とハウジング216とは、一体に形成されても良い。ハウジング216には出力軸5(図1参照)に操舵補助トルクを付与する為の操舵補助部であるパワーアシスト装置4が組付けられている。パワーアシスト装置4は、第1実施形態と同様の構成である。
アッパーシャフト213とロアーシャフト212とは、上述したように、軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合されている。したがってアッパーシャフト213とロアーシャフト212とが軸方向に相対移動することによりステアリングホイール2の前後位置の調節が可能である。またステアリングコラム203は、インナコラム214の後方側部分の外周面にアウタコラム215の前方側部分の内周面が軸方向に摺動可能に外嵌している。アウタコラム215とインナコラム214との軸方向の相対位置が変化することにより、ステアリングコラム203の全長が変化する。
インナコラム214の前方側端部は、ロアーブラケット18により、ハウジング216を介して、車体に支持されている。ロアーブラケット18は、幅方向に沿って配置されたチルト軸19を中心として、ハウジング216を上下方向に揺動可能に支持している。これにより、ハウジング216と連結されているインナコラム214は、ハウジング216を介してロアーブラケット18によって車体に支持され、チルト軸19を回動中心として上下方向に揺動可能となっている。すなわちステアリングコラム203は、チルト軸19を回動中心として上下方向に揺動可能となっている。
図23は第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の斜視図である。図24は第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の側面図である。図25は図24のG−G線の断面図である。なお、図23乃至図25においては、アウタコラム215およびチルトブラケット211の構成を示し、インナコラム214、ステアリングシャフト209およびパワーアシスト装置4の図示は省略している。
図26乃至図31は第2実施形態に係るアウタコラムの斜視図であり、それぞれ異なる方向から見た状態を示している。
図32は第2実施形態に係るアウタコラムの正面図であり、車体後方側から見た状態を示す。図33は第2実施形態に係るアウタコラムの側面図であり、車体左方側から見た状態を示す。図34は第2実施形態に係るアウタコラムの側面図であり、車体右方側から見た状態を示す。図35は第2実施形態に係るアウタコラムの背面図であり、車体前方側から見た状態を示す。図36は第2実施形態に係るアウタコラムの平面図である。図37は第2実施形態に係るアウタコラムの底面図である。
図38は図32のA−A線の断面図である。図39は図33のD−D線の断面図である。図40は図33のE−E線の断面図である。図41は図33のC−C線の断面図である。図42は図33のF−F線の断面図である。
チルトブラケット211は、上下方向および前後方向に延在する離隔した一対の側板220と、一対の側板220の上端部を連結する連結部221とからなる。一対の側板220は薄板部材からなり、アウタコラム215に関して幅方向に対向して配置されている。連結部221は、アウタコラム215の上方に配置された中央部292と、中央部292の右方側端部および左方側端部からそれぞれ幅方向外方に延在する一対のフランジ部222とを有する。中央部292は、軸方向から見て上方に突出するU字形状に形成されている。一対の側板220の上端部は、中央部292の下面の幅方向両端部にそれぞれ溶接によって固定されている。一対の側板220の前方端は、中央部292の前端部よりも後方側に位置し、一対の側板220の後方端は、中央部292の後端部よりも後方に突出している。すなわち一対の側板220は、連結部221の中央部292の後端部よりも後方側まで延在している。フランジ部222は、側板220よりも幅方向外方に延在し、側板220の前方端よりも前方側まで延在している。各側板220の中央部分には、上下方向に延在する長孔224が形成されている。長孔224は、ステアリングホイール2のチルト位置調節用の孔である。
各側板220の前方側の縁部には、上下方向に延在する第1の補強リブ293が形成されている。第1の補強リブ293は、側板220の前方側の縁部を幅方向外方側に湾曲させて形成されている。第1の補強リブ293は、図24に示すように、下方端は側板220の前方側縁部の下方端まで延在し、上方端はスリット294を介してフランジ部222の下面と上下方向に対向している。このように、第1の補強リブ293は、フランジ部222とは結合していない。
各側板220の後方側縁部には、上下方向に延在する第2の補強リブ295が形成されている。第2の補強リブ295は、側板220の後方側の縁部を幅方向外方側に折り曲げて形成されている。側板220の後方側端部は、連結部221の中央部292の後端部よりも後方側に突出しているので、第2の補強リブ295は、連結部221の中央部292よりも後方に位置している。第2の補強リブ295は、図24に示すように、下方端は側板220の後方側縁部の下方端まで延在し、上方端は、前後方向に関して中央部292の後端部よりも後方側で、上下方向に関してフランジ部222よりも下方に位置している。このように、第2の補強リブ295は、フランジ部222とは結合していない。
ステアリングコラム203は、チルトブラケット211により車体に支持されている。ステアリングコラム203のアウタコラム215は、チルトブラケット211に対し、前後方向に移動可能に支持されている。チルトブラケット211は、一対の側板220でステアリングコラム203を幅方向両側から挟持することにより、ステアリングコラム203を車体に保持する。詳細には、一対の側板220は、互いに対向する側の面(以後、当該面を「締付け面296」という。)で、アウタコラム215の幅方向両側部分に設けられた後述するクランプ機構部227を締付け、挟持することにより、ステアリングコラム203を車体に保持する。
チルトブラケット211は、二次衝突の際、車体から離脱できるように、所定以上の大きさの荷重が掛かるとせん断する一対のカプセル283を介して車体に固定されている。各フランジ部222には、後方側が開口した切り欠き部284が設けられている。各カプセル283は上下方向に貫通するボルト孔(図示省略)を有している。一対のカプセル283はそれぞれ対応するフランジ部222の切り欠き部284の下方に配置され、チルトブラケット211は、各カプセル283のボルト孔および各切り欠き部284に挿通された図示しないボルトによって車体に固定される。二次衝突の際、前方への所定以上の大きさの荷重によりカプセル283がせん断し、チルトブラケット211が車体から離脱することにより、アウタコラム215が前方に移動可能となる。アウタコラム215がチルトブラケット211と共に前方に移動し、アウタコラム215の内周面がインナコラム214の外周面に対して摺動することにより二次衝突の衝撃を吸収し、二次衝突の衝撃から運転者を保護するようになっている。
図26乃至図30に示すように、アウタコラム215は、クランプ機構部227が形成され、アウタコラム215の前方側の略半分の部分である本体部228と、本体部228よりも後方側部分の円筒部229とから構成されている。本体部228と円筒部229とは同じ内径寸法を有し、一体に形成されている。本体部228の中央部分は、本体部228の他の部分よりも外径寸法の小さい薄肉部285となっている。薄肉部285は本体部228の全周に亘って形成されている。薄肉部285の前後方向寸法と、薄肉部285より前方側の本体部228の部分の前後方向寸法と、薄肉部285より後方側の本体部228の部分の前後方向寸法とは、同等の大きさである。すなわち薄肉部285は、アウタコラム215の本体部228を前後方向に関して略3等分した際の中央部分の範囲に亘って形成されている。なお、説明の便宜上、薄肉部285より前方側の本体部228の部分を「前方側厚肉部286」といい、薄肉部285より後方側の本体部228の部分を「後方側厚肉部287」という。
本体部228の幅方向両側部分および下側部分には、チルトブラケット211の一対の側板220によってクランプされるクランプ機構部227が形成されている。クランプ機構部227は、チルトブラケット211の一対の側板220によってクランプされることによりアウタコラム215を車体側固定部材であるチルトブラケット211に保持し、且つアウタコラム215を介してインナコラム214をクランプするための機構である。クランプ機構部227は、アウタコラム215の前方側端部近傍から後方側に延在して形成され、チルトブラケット211の側板220の前後方向範囲よりも大きな前後方向範囲に亘って形成されている。以下に、クランプ機構部227の構成を説明する。
図27、図31に示すように、アウタコラム215の本体部228の下側部分には、軸方向に延在し、アウタコラム215の本体部228の外周面から内周面まで径方向に貫通した軸方向スリット230が形成されている。軸方向スリット230の前方端はアウタコラム215の本体部228の前方端すなわちアウタコラム215の前方端に開口し、後方側はアウタコラム215の本体部228の後方端近傍まで延在している。具体的には、軸方向スリット230は、アウタコラム215の前方端から、本体部228の前方側厚肉部286と薄肉部285とを軸方向に貫通し、後方側厚肉部287の中間部まで延在している。
さらに、図31に示すように、アウタコラム215の本体部228の下側部分には、周方向に延在する周方向スリットが2つ形成されている。第1の周方向スリット231はアウタコラム215の本体部228の後方端近傍に形成されている。具体的には、第1の周方向スリット231は、アウタコラム215の本体部228の後方側厚肉部287の中間部分に形成されている。第1の周方向スリット231の両端は、アウタコラム215の本体部228の幅方向両側部分の、上下方向に関してアウタコラム215の中心軸線と重なる部分に位置している。第1の周方向スリット231は、軸方向スリット230の後方端において軸方向スリット230と周方向に交差している。
第2の周方向スリット232は、図27、図31に示すように、アウタコラム215の本体部228の前方端近傍に形成されている。具体的には、第2の周方向スリット232は、アウタコラム215の本体部228の前方側厚肉部286の中間部分に形成されている。第2の周方向スリット232の両端は、アウタコラム215の本体部228の幅方向両側部分の、上下方向に関してアウタコラム215の中心軸線と重なる部分に位置している。第2の周方向スリット232は、軸方向スリット230の前方端近傍部において軸方向スリット230と周方向に交差している。
軸方向スリット230、第1の周方向スリット231、および第2の周方向スリット232はこのように形成されているので、アウタコラム215の本体部228の下側部分において、軸方向スリット230と第1の周方向スリット231と第2の周方向スリット232とによって三方を囲まれたクランプ部233が幅方向に一対形成されている。すなわち一対のクランプ部233は、軸方向スリット230に関して幅方向に対向している。各クランプ部233はアウタコラム215の部分であるので、部分円筒面状の内周面を有している。各クランプ部233は、薄肉部285の前後方向寸法よりも大きな前後方向寸法を有している。すなわち各クランプ部233は、前後方向に関して、本体部228の前方側厚肉部286の後方側部分と、薄肉部285と、後方側厚肉部287の前方側部分とに亘って形成されている。具体的には、各クランプ部233は、前方側端部が前方側厚肉部286の後方側の下方側部分で構成され、後方側端部が後方側厚肉部287の前方側の下方側部分で構成され、前方側端部と後方側端部の間の中間部分が薄肉部285の下方側部分で構成されている。したがって、各クランプ部233は、前方側端部および後方側端部が何れも厚肉で、前方側端部と後方側端部との間の中間部分が薄肉の構成となっている。
各クランプ部233は、軸方向スリット230と第1の周方向スリット231と第2の周方向スリット232とによって、下方側と後方側と前方側との3つの側が連続的に開放しており、上方側がアウタコラム215の本体部228と一体につながっている。言い換えると、各クランプ部233は、軸方向に離間して並ぶ2つの側と上下方向の1つの側とが連続する非固定端であり、上下方向の他の1つの側が固定端である。このような構成なので、各クランプ部233は、軸方向に延在する固定端を有する片持ち梁構造となっている。各クランプ部233は、アウタコラム215の本体部228の他の部分と比較して、幅方向に関する剛性が低く、幅方向に弾性変形可能である。具体的には、各クランプ部233が幅方向に弾性変形することにより、各クランプ部233の内径が弾性的に拡大または縮小可能となっている。
各クランプ部233の外周面の下端部には、平板状の張出板部234が幅方向外方に突出して設けられている。各張出板部234は、アウタコラム215の幅方向側の外周面よりも外方まで延在している。各張出板部234は、クランプ部233の前後方向長さに亘って形成されている。各張出板部234の上面とクランプ部233の外周面との間に、各張出板部234の上面とクランプ部233の外周面とを連結する補強リブ235が設けられている。補強リブ235は、各張出板部234の上面の後方側端部近傍部と前方側端部近傍部とに形成されている。各張出板部234の幅方向外側の端面は、チルトブラケット211の一対の側板220の締め付け力を受ける第1の作用面236を構成している。したがって、張出板部234の第1の作用面236は一対形成されている。本実施形態においては、各張出板部234の第1の作用面236は上下方向および前後方向に延在する平坦面に形成されている。なお、第1の作用面236は、平坦面以外の形状としても良い。
アウタコラム215は、アウタコラム215の幅方向一方側部分と幅方向他方側部分とを連続してつなぐブリッジ部237を有する。本実施形態においては、ブリッジ部237は、アウタコラム215の本体部228よりも下方において一対のクランプ部233および一対の張出板部234を下方から覆う状態で設けられている。ブリッジ部237はアウタコラム215と一体的に設けられている。
ブリッジ部237は、アウタコラム215の本体部228よりも下方において幅方向および軸方向に延在する補強板部238と、補強板部238の後方端とアウタコラム215とを連結する後方側連結部239と、補強板部238の前方端とアウタコラム215とを連結する前方側連結部240とを有する。補強板部238は、アウタコラム215の本体部228の軸方向長さと略同等の軸方向長さを有し、アウタコラム215の幅方向の外径よりも少し大きな幅を有している。補強板部238は、所定の隙間を介して一対の張出板部234と上下方向に対向している。後方側連結部239は、補強板部238の幅方向寸法と同じ幅寸法を有し、補強板部238の後方端から上方に延在し、アウタコラム215の第1の周方向スリット231よりも後方側でアウタコラム215の下側面に連結している。前方側連結部240は、補強板部238の幅方向寸法と同じ幅寸法を有し、補強板部238の前方端から上方に延在し、アウタコラム215の第2の周方向スリット232よりも前方側でアウタコラム215の下側面に連結している。このように、ブリッジ部237は、補強板部238と後方側連結部239と前方側連結部240とによって、箱状に形成されている。
ブリッジ部237はこのような構成なので、ブリッジ部237と各クランプ部233との間に、図33、図34に示すように、幅方向から見た形状がU字状の隙間241が形成されている。箱状のブリッジ部237は、U字状の隙間241を囲い、軸方向スリット30の下方を覆っている。幅方向から見て、第1の作用面236は、U字状の隙間241の内側に位置している。ブリッジ部237と各クランプ部233との間のU字状の隙間241は、幅方向から見て左右対称となっている。すなわち、各U字状の隙間241は、幅方向から見た形状が、隙間241の前後方向の中心を通る上下方向の仮想直線に関して、前方側部分の形状と後方側部分の形状とが対称となっている。本実施形態においては、このようなブリッジ部237を備えることにより、アウタコラム215は高い捩り剛性を有している。
ブリッジ部237の補強板部238は、幅方向側の両端が、それぞれチルトブラケット211の一対の側板220の締め付け力を受ける第2の作用面242を構成している。したがって補強板部238は一対の第2の作用面242を有している。本実施形態においては、第2の作用面242は上下方向および前後方向に延在する平坦面に形成され、補強板部238の幅方向側の両端の前後方向の全域に亘って形成されている。第2の作用面242は、クランプ部233の張出板部234の第1の作用面236(以下、当該第1の作用面236を「クランプ部233側の第1の作用面236」という。)と上下方向に離間して設けられ、クランプ部233側の第1の作用面236よりも下方側に配置されている。なお、第2の作用面242は、平坦面以外の形状としても良い。
アウタコラム215の本体部228の幅方向両側部分にはそれぞれ、上下方向に関してアウタコラム215の中心軸線と重なる部分に、前後方向すなわちアウタコラム215の軸方向に延在し幅方向外方に突出する突条部243が設けられている。各突条部243はアウタコラム215の本体部228の前方端すなわちアウタコラム215の前方端から、アウタコラム215の本体部228の前後方向範囲に対応する長さに亘って、前後方向に延在している。各突条部243の頂部すなわちアウタコラム215の幅方向外方側部分は、上下方向および前後方向に延在する平坦面に形成され、それぞれチルトブラケット211の一対の側板220の締め付け力を受ける第3の作用面244を構成している。従ってアウタコラム215の本体部228には、一対の第3の作用面244が設けられている。アウタコラム215の第3の作用面244はクランプ部233側の第1の作用面236と上下方向に離間して設けられ、クランプ部233側の第1の作用面236よりも上方側に配置されている。なお、第3の作用面244は、平坦面以外の形状としても良い。
このように、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、一対のクランプ部233にチルトブラケット211の一対の側板220の締め付け力を受ける一対の第1の作用面236を備えると共に、アウタコラム215の上下方向に関してクランプ部233の下側および上側にそれぞれチルトブラケット211の一対の側板220の締め付け力を受ける一対の第2の作用面242および一対の第3の作用面244を備えている。
一対の第1の作用面236は、一対の第2の作用面242および一対の第3の作用面244とは独立して設けられている。一対の第1の作用面236の軸方向長さは、一対の第2の作用面242の軸方向長さおよび一対の第3の作用面244の軸方向長さよりも短く構成されている。一対の第1の作用面236は、アウタコラム215の上下方向に関して、一対の第2の作用面242および一対の第3の作用面244の中心に位置しても良いし、一対の第2の作用面242および一対の第3の作用面244の中心よりも上方側または下方側にオフセットされても良い。
幅方向から見て、第1の作用面236の前後方向に関する中心と、第3の作用面244の前後方向に関する中心とは、アウタコラム215の前後方向に関して同じ位置となっている。なお、幅方向から見て、第1の作用面236の前後方向に関する中心は、第3の作用面244の前後方向に関する中心に対して、前方側または後方側にオフセットされても良い。一対のクランプ部233および張出板部234と、ブリッジ部237と、クランプ部233側の一対の第1の作用面236と、ブリッジ部237の一対の第2の作用面242と、アウタコラム215の一対の第3の作用面244とで、クランプ機構部227を構成している。
図33、図34に示すように、ブリッジ部237の補強板部238の上面には、幅方向から見て下方に凹んだ凹部289が形成されている。凹部289は補強板部238の上面を幅方向に貫通して形成され、凹部289の前後方向寸法は、張出板部234の前後方向寸法すなわちクランプ部233の前後方向寸法と同等若しくは少し小さく形成されている。前後方向に関して、凹部289の前方端は、アウタコラム215の本体部228の前方側厚肉部286の前後方向範囲の中間部に位置し、凹部289の後方端は、本体部228の後方側厚肉部287の前後方向範囲の中間部に位置している。幅方向から見て、凹部289の前後方向に関する中心と、張出板部234の前後方向に関する中心すなわち第2の作用面242の前後方向に関する中心とは、アウタコラム215の前後方向に関して同じ位置となっている。
凹部289は補強板部238の上面に形成されているので、U字状の隙間241の底側の空間に開口し、U字状の隙間241と上下方向に連続している。したがって、幅方向から見て、凹部289と、凹部289の上方に連続しているU字状の隙間241の底側の隙間の部分とによって、上下方向の幅が大きく、前後方向に延在する長孔290が形成されている。言い換えると、各クランプ部233の張出板部234と、各張出板部234と上下方向に対向するブリッジ部237の補強板部238の部分とによって、前後方向に延在する長孔290が形成されている。長孔290にはロッド48(図22参照)が幅方向に貫通して挿通されている。ロッド48は、長孔290を前後方向に相対移動可能に、長孔290に挿通されている。すなわち長孔290は、ステアリングホイール2のテレスコピック位置を調整するための前後方向に延在する孔である。ロッド48は、クランプ機構部227およびチルトブラケット211の一対の側板220にそれぞれ形成されたチルト位置調節用の長孔224を幅方向に貫通している。
ロッド48、ナット49、操作レバー50、および図示しない公知のカム機構の構成は、第1実施形態と同様である。操作レバー50を操作することにより、チルトブラケット211の一対の側板220によってアウタコラム215を幅方向両側から締め付けるとともにアウタコラム215を介してインナコラム214を締め付けてステアリングホイール2をチルト調節位置またはテレスコピック調節位置にロックし、また、当該ロック状態を解除する。本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201におけるステアリングホイール2の位置調節方法については後述する。
本実施形態において、アウタコラム215に外力を加えていない状態、すなわちチルトブラケット211の一対の側板220によるアウタコラム215の締め付けが開放されている状態において、アウタコラム215に設けられた一対の第3の作用面244同士の幅方向間隔と、クランプ部233側の一対の第1の作用面236同士の幅方向間隔とは、同じ大きさに形成されている。つまり、幅方向一方側において、アウタコラム215の一方の第3の作用面244とクランプ部233側の一方の第1の作用面236とは、上下方向に延在する一つの仮想平面上に位置し、幅方向他方側において、アウタコラム215の他方の第3の作用面244とクランプ部233側の他方の第1の作用面236とは、上下方向に延在する一つの仮想平面上に位置している。
アウタコラム215に外力を加えていない状態において、アウタコラム215に設けられた一対の第3の作用面244同士の幅方向間隔、すなわちクランプ部233側の一対の第1の作用面236同士の幅方向間隔は、ブリッジ部237の一対の第2の作用面242同士の幅方向間隔よりも大きく形成されている。言い換えると、ブリッジ部237の一対の第2の作用面242同士の幅方向間隔は、クランプ部233側の一対の第1の作用面236同士の幅方向間隔、すなわちアウタコラム215の一対の第3の作用面244同士の幅方向間隔よりも小さく形成されている。つまり、幅方向一方側において、ブリッジ部237の一方の第2の作用面242は、クランプ部233側の一方の第1の作用面236およびアウタコラム215の一方の第3の作用面244よりも幅方向で内方に位置し、幅方向他方側において、ブリッジ部237の他方の第2の作用面242は、クランプ部233側の他方の第1の作用面236およびアウタコラム215の他方の第3の作用面244よりも幅方向で内方に位置している。このような構成なので、チルトブラケット211の一対の側板220によるアウタコラム215の締め付けが開放されている状態において、チルトブラケット211の一対の側板220の面と、ブリッジ部237の一対の第2の作用面242とは、隙間を介して幅方向に対向している。クランプ機構部227によるアウタコラム215およびインナコラム214のクランプ動作については後述する。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、第1実施形態と同様に、車両用盗難防止装置の一つである公知のステアリングロック機構を備えている。なお、ステアリングロック機構は公知のものであるので、詳細な図示は省略する。
ステアリングロック機構は、ステアリングシャフト209のアッパーシャフト213(図22参照)に外嵌された図示しないキーロックカラーと、キーロックカラーの径方向外側のアッパーコラムすなわちアウタコラム215の円筒部229に設けられたステアリングロック機構固定部291に取り付けられた図示しないステアリングロック装置とからなる。キーロックカラーの外周面には軸方向に延在する突条が複数形成され、周方向に隣り合う突条によって軸方向溝が形成されている。図30、図34に示すように、アウタコラム215の後方側端部近傍に、アウタコラム215を径方向に貫通するロック用貫通孔282が形成されている。イグニッションキーがオフにされると、ステアリングロック装置に設けられた図示しないロックバーがロック用貫通孔282を貫通してアウタコラム215の内径側に向けて変位し、キーロックカラーに形成された軸方向溝と係合する。このように、ステアリングロック機構は、ロックバーがキーロックカラーの軸方向溝と係合することによりステアリングシャフト209の回転を制限し、車両盗難時などに操舵できないようにするものである。
ステアリングロック機構は、ロックバーがキーロックカラーと係合している状態において、所定以上の力でステアリングホイール2を回動させる力が加わったときには、ステアリングシャフト209がキーロックカラーの内周面に対して回動するようになっている。このような構成とすることにより、ステアリングロック機構の破損を防ぎつつ、キーロックカラーの内周面とステアリングシャフト209との間にステアリングホイール2を操舵できない程度の大きさのフリクションを与え、車両の盗難を防ぐように構成されている。
次に、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201におけるステアリングホイール2の位置調節方法およびステアリングコラム203のクランプ方法について説明する。
ステアリングホイール2の位置調節は、所定位置にロックされたステアリングホイール2のロックを解除する方向に操作レバー50(図22参照)を操作し、チルトブラケット211の一対の側板220によるアウタコラム215の締め付けおよびアウタコラム215を介したインナコラム214の締め付けが開放された状態において行う。ステアリングコラム203は、図22に示すように、チルト軸19を回動中心として上下方向に揺動可能にロアーブラケット18に支持されている。したがって、ステアリングホイール2を上下方向に移動させることにより、ステアリングホイール2の高さ位置を調節することができる。このとき、チルトブラケット211の一対の側板220のそれぞれの長孔224およびアウタコラム215のクランプ機構部227を幅方向に貫通して配置されたロッド48が、チルトブラケット211の一対の側板220の長孔224内を上下方向に移動する。ロッド48が長孔224内を上下方向に移動できる範囲に対応するステアリングホイール2の移動範囲が、ステアリングホイール2の高さ位置の調節可能範囲である。
チルトブラケット211の一対の側板220によるアウタコラム215の締め付けが開放された状態においては、アウタコラム215は、チルトブラケット211に対して軸方向に摺動可能になると共に、インナコラム214に対して軸方向に摺動可能となる。この状態において、ステアリングホイール2を前後方向に移動させることによりアウタコラム215を前後方向に移動させ、ステアリングホイール2のテレスコピック位置を調節する。アウタコラム215をインナコラム214に対して前後方向へ移動させると、ロッド48が長孔290を幅方向に貫通する位置が、前後方向に変位する。アウタコラム215は、インナコラム214に対して、長孔290が前後方向に延在する範囲で前後方向に移動可能である。ロッド48が長孔290の前方端すなわち凹部289の前方端に接触する位置に対応するステアリングホイール2の位置が、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲の後方端位置である。ロッド48が長孔290の後方端すなわち凹部289の後方端に接触する位置に対応するステアリングホイール2の位置が、ステアリングホイール2のテレスコピック位置調節範囲の前方端位置である。
ステアリングホイール2の位置をロックする方向に操作レバー50を操作する。そうすると、チルトブラケット211の一対の側板220は、図示しないカム機構を介して、互いの間隔が狭まる方向、すなわちアウタコラム215のクランプ機構部227を挟持する方向に撓む。チルトブラケット211の一対の側板220のそれぞれの締付け面296は、最初に一対の第3の作用面244に押し付けられ、アウタコラム215を幅方向両側から締め付ける。これによりアウタコラム215が幅方向に挟持される。第3の作用面244は、側板220の上方側部分、具体的には側板220の上端部と長孔224の上端との間の側板220の部分において、側板220の締付け面296と接触する。アウタコラム215の一対の第3の作用面244は、アウタコラム215の本体部228の幅方向両側に形成されているので、弾性変形して幅方向に移動することはない。言い換えると、ステアリングホイール2の位置調節時、一対の第3の作用面244は稼働しない。すなわち一対の第3の作用面244は非稼働部である。
チルトブラケット211の一対の側板220の互いの間隔がさらに狭まる方向に操作レバー50を操作すると、一対の側板220は、一対の第3の作用面244を支点として、一対の第3の作用面244との接触点よりも下方に対応する部分が互いの間隔が狭まる方向に撓む。すなわち各側板220は、連結部221の中央部292に溶接された上端部と長孔224の上端との間の部分で撓む。一対の側板220には、それぞれ第1の補強リブ293および第2の補強リブ295が形成されているので、各側板220は、第3の作用面244との接触点および当該接触点よりも下方に対応する部分が過剰に撓むことが防止され、各側板220の締付け面296は平面に近い状態で撓むこととなる。言い換えると、各側板220の締付け面296は、軸方向から見て上下方向に延在する直線に近い状態で撓むこととなる。そして一対の側板220のそれぞれの締付け面296は、第3の作用面244との接触点よりも下方の側板220の部分、具体的には側板220の上下方向中央部分において、クランプ部233側の一対の第1の作用面236と接触する。
一対の側板220のそれぞれの締付け面296はクランプ部233側の一対の第1の作用面236を幅方向両側から挟持し、一対の第1の作用面236が形成された一対の張出板部234を介して一対のクランプ部233を幅方向両側から締め付ける。これにより一対の側板220のそれぞれの締付け面296はアウタコラム215を締め付けてゆく。具体的には、チルトブラケット211の一対の側板220は、一対のクランプ部233の内径を弾性的に縮小させてゆく。一対のクランプ部233の内径が縮小すると、一対のクランプ部233は、一対のクランプ部233の内径側に配置されたインナコラム214に接触し、インナコラム214を幅方向に挟持する。つまり、チルトブラケット211の一対の側板220は、一対の第1の作用面236および一対の張出板部234を介してアウタコラム215をチルトブラケット211に保持すると共に、アウタコラム215を介して、アウタコラム215の内周側にインナコラム214を支持する。このように、一対のクランプ部233、一対の張出板部234、および一対の第1の作用面236は、ステアリングホイール2の調節時、稼働する。すなわち、一対のクランプ部233、一対の張出板部234、および一対の第1の作用面236は稼働部である。
チルトブラケット211の一対の側板220の互いの間隔がさらに狭まる方向に操作レバー50を操作すると、一対の側板220は、一対の第1の作用面236を支点として、一対の第1の作用面236との接触点よりも下方に対応する部分が互いの間隔が狭まる方向に撓む。すなわち各側板220は、上下方向中央部分で撓む。一対の側板220には、それぞれ第1の補強リブ293および第2の補強リブ295が形成されているので、各側板220は、第1の作用面236との接触点および当該接触点よりも下方に対応する部分が過剰に撓むことが防止され、各側板220の締付け面296は平面に近い状態で撓むこととなる。言い換えると、各側板220の締付け面296は、軸方向から見て上下方向に延在する直線に近い状態で撓むこととなる。そして、チルトブラケット211の一対の側板220のそれぞれの締付け面296は、第1の作用面236との接触点よりも下方の側板220の部分、具体的には側板220の下方端近傍部において、ブリッジ部237の一対の第2の作用面242に接触する。
ブリッジ部237の一対の第2の作用面242は、ブリッジ部237の一つの補強板部238の幅方向側の両端に形成されているので、弾性変形して幅方向に移動することがない。言い換えると、一対の第2の作用面242は、ステアリングホイール2の調節時、稼働しない。すなわち一対の第2の作用面242は非稼働部である。そのため、一対の第2の作用面242は、一対の側板220によって互いの幅方向間隔が狭まる方向の力が作用しても、互いの幅方向間隔が狭まることは無い。したがって、この状態から、チルトブラケット211の一対の側板220の互いの間隔が狭まる方向に撓むようにさらに操作レバー50を操作しても、チルトブラケット211の一対の側板220が、互いの幅方向間隔がさらに狭まる方向に撓むことは無い。このように、ブリッジ部237の補強板部238および一対の第2の作用面242は、一対の側板220が互いの幅方向間隔が狭まる方向に撓むことを所定の位置で規制する規制部として機能している。
このように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、ステアリングホイール2をチルト調節位置およびテレスコピック調節位置にロックする際、一対の側板220のそれぞれの締付け面296は、最初に上方側部分でクランプ機構部227の第3の作用面244と接触し、次に上下方向中央部分で第1の作用面236と接触し、最後に下方側部分で第2の作用面242と接触する。各側板220には上下方向に延在する第1の補強リブ293および第2の補強リブ295が形成されているので、各側板220が第3の作用面244との接触点および第1の作用面236との接触点を支点として撓む際、側板220が過剰に撓むことが防止され、側板220の締付け面296は平面に近い状態で撓むこととなる。その結果、各側板220は、軸方向から見て、上下方向に直線的に第3の作用面244、第1の作用面236、および第2の作用面242と接触する。これにより、一対の側板220は安定した挟持力でステアリングコラム203を車体に保持することができる。なお、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、ステアリングホイール2をチルト調節位置およびテレスコピック調節位置にロックする際、一対の側板220のそれぞれの締付け面296が、最初に上下方向中央部分で第1の作用面236と接触し、次に上方側部分で第3の作用面244と接触し、最後に下方側部分で第2の作用面242と接触する場合もある。この場合においても、一対の側板220のそれぞれの締付け面296が最後に接触するのは第2の作用面242であり、各側板220が第3の作用面244との接触点および第1の作用面236との接触点を支点として撓む際、側板220の締付け面296は平面に近い状態で撓むこととなる。
本実施形態においては、チルトブラケット211の一対の側板220がブリッジ部237の一対の第2の作用面242に接触している状態において、さらに大きな挟持力によってアウタコラム215およびインナコラム214がチルトブラケット211の一対の側板220に挟持されることは無い。必要以上に大きな挟持力によってアウタコラム215およびインナコラム214が挟持されると、アウタコラム215およびインナコラム214に捩り方向の力が加わった場合に、アウタコラム215およびインナコラム214の所定の部分に大きな応力が加わり、アウタコラム215およびインナコラム214に変形が生じてしまう虞がある。本実施形態においては、チルトブラケット211の一対の側板220の挟持力は、所定の大きさよりも大きくなることがないので、安定した挟持力でステアリングコラム203を車体に保持することができる。
各クランプ部233は、上述したように、チルトブラケット211の一対の側板220によって幅方向両側から締め付けられるが、一対の側板220の締め付け力は、ロッド48が挿通された位置で最も大きく加わることとなる。各クランプ部233は、各クランプ部233の下端に形成された張出板部234および第1の作用面236を介してこの締め付け力を受けることとなる。各クランプ部233は片持ち梁構造であるため、第1の作用面236の前方側端部または後方側端部に締め付け力が加わったときは弾性変形しやすいが、第1の作用面236の前方側端部と後方側端部との間の中間部に締め付け力が加わったときは、これら両端部に締め付け力が加わったときと比較して弾性変形しにくい構造である。つまり、各クランプ部233が全域に亘って同じ肉厚で形成された場合には、ロッド48が長孔290の前方端または後方端にあるとき、すなわちステアリングホイール2がテレスコピック位置調節範囲の後方端または前方端にあるときは、ステアリングホイール2の位置をロックする際の操作レバー50の操作力は小さくて済むが、ロッド48が長孔290の中間部にあるとき、すなわちステアリングホイール2がテレスコピック位置調節範囲の中間部にあるときは、操作レバー50の操作力は大きくなってしまう。
本実施形態においては、各クランプ部233は、前方側端部および後方側端部が厚肉で、これら両端部間の中間部が薄肉の構成となっている。このような構成とすることにより、各クランプ部233は、前方側端部および後方側端部は剛性が高く、両端部間の薄肉の部分は剛性が低くなっている。各クランプ部233は、中間部の剛性が低くなっているので撓みやすくなっている。さらに、クランプ機構部237が形成されたアウタコラム215の本体部228の中間部が薄肉部285となっているので、各クランプ部233の中間部はさらに撓みやすくなっている。このような構成により、本実施形態においては、ロッド48が長孔290のどの位置にあっても、すなわちステアリングホイール2がテレスコピック位置調節範囲のどの位置にあっても、ステアリングホイール2の位置をロックする際の操作レバー50の操作力を一定とすることができる。
また、本実施形態に係るステアリング装置201は、アウタコラム215に外力を加えていない状態、すなわちチルトブラケット211の一対の側板220によるアウタコラム215の締め付けが開放されている状態において、一対の第1の作用面236および一対の第3の作用面244の幅方向位置に対して、一対の第2の作用面242は幅方向内方に位置している。本実施形態に係るステアリング装置201は、一対の第1の作用面236および一対の第3の作用面244の幅方向位置に対する一対の第2の作用面242の幅方向位置を変更することにより、チルトブラケット211の剛性すなわち一対の側板220の剛性と、一対の側板220によるアウタコラム215の保持力との関係を調整することができる。
操作レバー50を所定の大きさの操作力で操作した場合、一対の側板220の剛性が低いと、一対の側板220は撓みやすく、一対の側板220によるアウタコラム215の保持力は高くなる。一方、同じ大きさの操作力で操作レバー50を操作した場合、一対の側板220の剛性が高いと、一対の側板220は撓みにくく、一対の側板220によるアウタコラム215の保持力は低くなる。以下、一対の側板220、一対の第1の作用面236、一対の第2の作用面242、および一対の第3の作用面244について幅方向一方側の構成について説明するが、幅方向他方側の構成も同様である。
側板220の剛性が低い場合は、第1の作用面236の幅方向位置と第2の作用面242の幅方向位置との幅方向に関する間隔を小さくすれば良い。すなわち、第1の作用面236に対して第2の作用面242は、幅方向位置に関して近い位置にある。このようにすれば、ステアリングホイール2の位置をロックする際、側板220は撓み始めてすぐに第2の作用面242に接触することとなる。そうすると、側板220のアウタコラム215に対する保持力が大きくなり過ぎることがなく、安定した保持力を維持することができる。一方、側板220の剛性が高い場合は、第1の作用面236の幅方向位置と第2の作用面242の幅方向位置との幅方向に関する間隔を大きくすれば良い。すなわち、第1の作用面236に対して第2の作用面242は、幅方向位置に関して、上記側板220の剛性が低い場合よりも大きく離れた位置とする。このようにすれば、ステアリングホイール2の位置をロックする際、側板220は第2の作用面242に接触するまでに大きく撓むこととなる。その結果、側板220のアウタコラム215に対する保持力が大きくなり、アウタコラム215を保持するのに充分な大きさ且つ安定した保持力でアウタコラム215を保持することができる。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、上述したように、公知のステアリングロック機構を備えている。ステアリングロック機構がステアリングシャフト9の回動をロックしている状態、すなわち図示しないロックバーがアッパーシャフト213に外嵌された図示しないキーロックカラーの軸方向溝に係合している状態において、ステアリングシャフト209を一方または他方の回動方向へ回動させる所定以上の大きさの力が加わったときには、この一方または他方の回転方向の荷重は、ロックバーおよびステアリングロック機構を介してアッパーコラムであるアウタコラム215に、アウタコラム215を回転させる荷重として伝わる。ここでアウタコラム215は、一対の側板220が第3の作用面244を挟持することによりチルトブラケット211に保持されている。したがって、キーロック状態におけるアウタコラム215を回動させる方向の荷重は、第3の作用面244を支点として撓んだ側板220が第2の作用面242に接触していることにより、側板220およびチルトブラケット211によって受け止められる。
なお、本実施形態においては、ステアリングホイール2の位置をロックする際、一対の側板220は一対の第2の作用面242に接触する構成としたが、ステアリングホイール2の位置をロックする際に、一対の側板220と一対の第2の作用面242とは隙間を介して対向するようにし、キーロック状態でステアリングシャフト209を回動させる所定以上の大きさの力が加わったときに、一対の何れか一方の側板220が何れか一方の第2の作用面242と接触するようにしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置201は、チルトブラケット211の一対の側板220は、一対の第3の作用面244に接触してアウタコラム215を幅方向に挟持し、アウタコラム215をチルトブラケット211に保持する。これと同時に、一対の側板220は、一対の第3の作用面244に接触することによるアウタコラム215の保持とは独立して、アウタコラム215を介してインナコラム214を固定するのに充分な挟持力で一対の第1の作用面236に接触している。この状態において、チルトブラケット211の一対の側板220は、一定の安定した挟持力でアウタコラム215およびインナコラム214を挟持する。
また、アウタコラム215の下側部分には箱状のブリッジ部237が形成されているので、アウタコラム215の剛性を高くすることができる。したがって、アウタコラム215の全長を短くしても高い捩り剛性を維持することができ、ステアリング装置の小型化を図ることができる。
なお、第2実施形態に係るステアリング装置201は、アウタコラム215をアルミニウムで形成したが、鉄を材料として鋳込みによって形成しても良い。図43はこのようにして形成されたアウタコラム315の外観を示す斜視図である。図43に示すアウタコラム315においてもクランプ機構部227が形成され、クランプ機構部227には第1の作用面236、第2の作用面242、および第3の作用面244が形成されている。このようなアウタコラム315においても、上記第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
1、201 電動パワーステアリング装置
2 ステアリングホイール
3、203 ステアリングコラム
4 電動パワーアシスト装置
5 出力軸
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤアッセンブリ
8 タイロッド
9、209 ステアリングシャフト
11、211 チルトブラケット
12、212 ロアーシャフト
13、213 アッパーシャフト
14、214 インナコラム
15、215、315 アウタコラム
16、216 ハウジング
17 電動モータ
18 ロアーブラケット
19 チルト軸
20、220側板
21 平板部
22、222 フランジ部
23 補強リブ
24、224 長孔
25 ボルト孔
26 ボルト
27、227 クランプ機構部
28、228 本体部
29、229 円筒部2
30 第1の軸方向スリット
31、231 第1の周方向スリット
32、232 第2の周方向スリット
33、233 クランプ部
34、234 張出板部
35、235 補強リブ
36、236 第1の作用面
37、237 ブリッジ部
38、238 補強板部
39、239 後方側連結部
40、240 前方側連結部
41、241 U字状の隙間
42、242 第2の作用面
43、243 突条部
44、244 第3の作用面
45 幅方向溝
46 幅方向溝
47 丸孔
48 ロッド
49 ナット
50 操作レバー
51 第2の軸方向スリット
52 軸方向壁部
53 前方側幅方向壁部
54 後方側幅方向壁部
55 補強壁部
56 軸方向溝
57 第3の軸方向スリット
58 ライナースロット
59 本体部
60 フランジ部
61 軸方向溝
62 ブロック部材
63 上下方向貫通孔
64 内向きフランジ部
65 肉抜き部
66 側壁
67 幅方向貫通孔
68 貫通孔
69 シェアピン
70 アウタピン
71 インナピン
72 本体部
73 拡径部
74 フランジ部
75 案内孔
76 座ぐり
77 本体部
78 大径部
79 ストッパピン
80 軸部
81 頭部
82、282 ロック用貫通孔
221 連結部
230 軸方向スリット
283 カプセル
284 切り欠き部
285 薄肉部
286 前方側厚肉部
287 後方側厚肉部
289 凹部
290 長孔
291 ステアリングロック機構固定部
292 中央部
293 第1の補強リブ
294 スリット
295 第2の補強リブ
296 締付け面

Claims (16)

  1. アウタコラムと、一方側端部が前記アウタコラムの他方側端部と軸方向に摺動可能に嵌合されたインナコラムとからなるステアリングコラムと、
    後方端にステアリングホイールが固定され、前記ステアリングコラムに回動可能に支持されたステアリングシャフトと、
    車体に固定され、一対の板状部材によって前記アウタコラムに形成されたクランプ機構部を挟持することにより前記アウタコラムを支持するとともに、前記アウタコラムを介して前記インナコラムを支持するブラケットとを備え、
    前記クランプ機構部は、前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記インナコラムを幅方向に挟持する一対のクランプ部と、前記各クランプ部と一体的に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記一対のクランプ部を弾性変形させる一対の第1の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも下方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第2の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも上方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第3の作用面とを有し
    前記一対のクランプ部は、前記アウタコラムの下側部分に形成された軸方向スリットと、前記軸方向スリットの後方側部分および前方側部分で前記軸方向スリットとそれぞれ周方向に交差する2つの周方向スリットとによって三方を囲まれ、前記軸方向スリットに関して幅方向に対向する一対の前記アウタコラムの部分であり、
    前記一対の第1の作用面は、前記各クランプ部の下端部から幅方向外方に突出して設けられた突出板部の幅方向外方側端面であることを特徴とするステアリング装置。
  2. アウタコラムと、一方側端部が前記アウタコラムの他方側端部と軸方向に摺動可能に嵌合されたインナコラムとからなるステアリングコラムと、
    後方端にステアリングホイールが固定され、前記ステアリングコラムに回動可能に支持されたステアリングシャフトと、
    車体に固定され、一対の板状部材によって前記アウタコラムに形成されたクランプ機構部を挟持することにより前記アウタコラムを支持するとともに、前記アウタコラムを介して前記インナコラムを支持するブラケットとを備え、
    前記クランプ機構部は、前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記インナコラムを幅方向に挟持する一対のクランプ部と、前記各クランプ部と一体的に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記一対のクランプ部を弾性変形させる一対の第1の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも下方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第2の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも上方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第3の作用面とを有し
    前記一対の板状部材による前記クランプ機構部の挟持が開放された状態において、前記一対の第1の作用面同士の幅方向間隔は、前記一対の第2の作用面同士の幅方向間隔よりも大きく形成されていることを特徴とするステアリング装置。
  3. アウタコラムと、一方側端部が前記アウタコラムの他方側端部と軸方向に摺動可能に嵌合されたインナコラムとからなるステアリングコラムと、
    後方端にステアリングホイールが固定され、前記ステアリングコラムに回動可能に支持されたステアリングシャフトと、
    車体に固定され、一対の板状部材によって前記アウタコラムに形成されたクランプ機構部を挟持することにより前記アウタコラムを支持するとともに、前記アウタコラムを介して前記インナコラムを支持するブラケットとを備え、
    前記クランプ機構部は、前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記インナコラムを幅方向に挟持する一対のクランプ部と、前記各クランプ部と一体的に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記一対のクランプ部を弾性変形させる一対の第1の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも下方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第2の作用面と、前記一対の第1の作用面よりも上方に設けられ、前記一対の板状部材とそれぞれ接触して前記アウタコラムを挟持する一対の第3の作用面とを有し
    前記一対のクランプ部は、前方側部分と後方側部分との間の部分が、前記前方側部分および前記後方側部分よりも肉厚の薄い薄肉部であることを特徴とするステアリング装置。
  4. 前記アウタコラムは、前記薄肉部に対応する周方向部分が、他の部分よりも薄肉であることを特徴とする請求項に記載のステアリング装置。
  5. 前記一対のクランプ部は、前記アウタコラムの下側部分に形成された軸方向スリットと、前記軸方向スリットの後方側部分および前方側部分で前記軸方向スリットとそれぞれ周方向に交差する2つの周方向スリットとによって三方を囲まれ、前記軸方向スリットに関して幅方向に対向する一対の前記アウタコラムの部分であり、
    前記一対の第1の作用面は、前記各クランプ部の下端部から幅方向外方に突出して設けられた突出板部の幅方向外方側端面であることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のステアリング装置。
  6. 前記クランプ機構部は、前記一対の突出板部よりも下方において前記一対の突出板部と上下方向に対向する補強板部と、前記補強板部の前方端および後方端と前記アウタコラムとを連結する一対の連結部とからなり、前記一対の突出板部を下方で覆うブリッジ部を有していることを特徴とする請求項1または5に記載のステアリング装置。
  7. 前記クランプ機構部は、幅方向から見て、前記ブリッジ部と前記クランプ部および前記突出板部との間に、U字状の隙間が形成されていることを特徴とする請求項に記載のステアリング装置。
  8. 前記U字状の隙間は、幅方向から見た形状が、前記U字状の隙間の前後方向の中心に関し、前方側部分の形状と後方側部分の形状とが対称であることを特徴とする請求項に記載のステアリング装置。
  9. 前記一対の第2の作用面は、前記補強板部の幅方向側の両端であり、
    前記補強板部は、前記クランプ機構部が前記一対の板状部材によって挟持された状態において、前記一対の板状部材の互いの幅方向間隔が狭まる方向への変位を規制する規制部であることを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載のステアリング装置。
  10. 前記アウタコラムは、幅方向両側部分に、それぞれ前後方向に延在する突条部が設けられ、前記一対の第3の作用面は、前記各突条部の頂部であることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のステアリング装置。
  11. 前記第1の作用面の前後方向の長さは、前記第3の作用面の前後方向長さよりも短いことを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載のステアリング装置。
  12. 前記第1の作用面の前後方向に関する中心と、前記第3の作用面の前後方向に関する中心とは、前記アウタコラムの前後方向に関して同じ位置であることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載のステアリング装置。
  13. 前記第1の作用面の前後方向に関する中心が、前記第3の作用面の前後方向に関する中心に対して、前記アウタコラムの前後方向に関して前方側または後方側に位置していることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載のステアリング装置。
  14. 前記一対の突出板部の下側面には、それぞれ断面形状が円弧状の幅方向溝が設けられ、前記補強板部の上側面には、前記一対の突出板部の前記各幅方向溝と上下方向に対向する断面形状が円弧状の幅方向溝が設けられ、前記一対の突出板部の前記各幅方向溝と前記補強板部の前記幅方向溝とによって前記クランプ機構部を幅方向に貫通する丸孔が形成され、前記丸孔には、前記一対の板状部材に挿通されたロッドが挿通されていることを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載のステアリング装置。
  15. 前記丸孔は、前記一対の突出板部および前記補強板部の前後方向中央部に形成されていることを特徴とする請求項14に記載のステアリング装置。
  16. 前記一対の突出板部の下側面と前記補強板部の上側面とによって前後方向に延在する長孔が形成され、前記長孔には前記一対の板状部材に挿通されたロッドが前後方向に相対移動可能に挿通されていることを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載のステアリング装置。
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