JP6958074B2 - 1,2−アルカンジオール組成物及び水性混合物 - Google Patents
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Description
本発明の水性混合物は、インクや水性塗料などのコーティング組成物や水性接着剤として好適に使用することができる。
この特許文献1では、これらの不純物の存在で、経時的にインクの表面張力、粘度、pHが変化することで吐出安定性が損なわれるとして、これらの不純物を実質的に含まないインク組成物を提案している。特許文献1には、このように不純物を含まないインク組成物とするために、蒸留等で精製してこれらの不純物を除去した1,2−アルカンジオールをインク組成物に用いることが記載されている。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
本発明の水性混合物は、インク組成物、特にインクジェット記録用インク組成物として有用であり、そのpH及び電気伝導度の経時安定性により、長期保存後も吐出性や印刷画質の品質等に優れたインク組成物を提供することができる。
本発明の1,2−アルカンジオール組成物は、エステル基を有する化合物を含む1,2−アルカンジオール組成物であって、該エステル基を有する化合物の含有量が、該組成物中の1,2−アルカンジオールに対する該エステル基を有する化合物のエステル基の割合で、0.2〜4.0モル%であることを特徴とする。
本発明の1,2−アルカンジオール組成物に含まれる1,2−アルカンジオールとしては特に制限はないが、本発明の効果をより有効に発揮し易いことから、従来、インク組成物の浸透剤として用いられている1,2−アルカンジオールが好ましく、具体的には1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等の炭素数2〜7の1,2−アルカンジオールが好ましい。1,2−アルカンジオールは1種のみが1,2−アルカンジオール組成物に含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。これらの1,2−アルカンジオールのうち、沸点と、親水性と疎水性のバランスの観点から、1,2−ブタンジオールが好ましい。
本発明の1,2−アルカンジオール組成物に含まれるエステル基を有する化合物としては特に制限はないが、エステル基を有する化合物に含まれるエステル基を構成するカルボン酸としては、炭素数が1〜6のカルボン酸であることが、1,2−アルカンジオール組成物、又は該1,2−アルカンジオール組成物を含有する水性混合物との相溶性の観点から好ましい。エステル基を構成するカルボン酸はモノカルボン酸でも、ジカルボン酸でも、トリカルボン酸でもよい。すなわち、エステル基がエステル基を有する化合物中に複数個あってもよい。また、エステル基を構成するカルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸のいずれであってもよい。このようなカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸といった飽和脂肪族モノカルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
これらのうち、エステル基を構成するカルボン酸がギ酸、酢酸、プロピオン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸であるエステル基を有する化合物が、水への溶解性の観点から好ましい。
pH及び電気伝導度の経時安定性の観点から、本発明の1,2−アルカンジオール組成物は、エステル基を有する化合物をそのエステル基の含有量として、1,2−アルカンジオールに対するモル比で0.2〜4.0モル%含むことが好ましく、特に0.3〜2.5モル%含むことが好ましい。
本発明の1,2−アルカンジオール組成物は、エステル基を有する化合物に含まれるエステル基量を上記の割合で含むものであり、少なくとも1,2−アルカンジオールとエステル基を有する化合物を含むものであるが、1,2−アルカンジオールとエステル基を有する化合物以外のその他の不純物成分は少ないことが好ましく、1,2−アルカンジオール組成物中の1,2−アルカンジオール及びエステル基を有する化合物以外の成分の含有量は3重量%以下、特に1重量%以下、とりわけ0.5重量%以下であることが好ましい。ここで、1,2−アルカンジオール組成物中の他の成分の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
上述の割合でエステル基を有する化合物を含む本発明の1,2−アルカンジオール組成物は、例えば、エステル基を有する化合物を含まない精製1,2−アルカンジオールに所定量のエステル基を有する化合物を添加することで製造することができる。
また、本発明の1,2−アルカンジオール組成物は、アルケンのカルボキシ化および水添やエステル交換により製造され、カルボキシ化反応に由来する副生成物としてのエステル基を有する化合物を含む1,2−アルカンジオールのエステル基量を調整することにより製造することもできる。
即ち、1,2−アルカンジオールの製造工程から得られた1,2−アルカンジオールに含まれるエステル基を有する化合物の含有量が少ない場合には、これに更にエステル基を有する化合物を添加する。逆に、エステル基を有する化合物の含有量が多過ぎる場合には、蒸留、加水分解やアルコリシス等のエステル交換反応により、エステル基を有する化合物の一部を除去してエステル基を有する化合物の含有量を調整することで、本発明の1,2−アルカンジオール組成物を得ることができる。
本発明の水性混合物は、上記の本発明の1,2−アルカンジオール組成物と水を含有するものであり、本発明の1,2−アルカンジオール組成物に水を添加混合して製造される。
1,2−アルカンジオール以外の他の有機溶媒としては、インク組成物等の用途に一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には、水よりも蒸気圧の小さいものであり、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピレンエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等の多価アルコールエーテル類;
アセトニルアセトン等のケトン類;
γ−ブチロラクトン、ジアセチン、リン酸トリエチル等のエステル類;
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等の低級アルコキシアルコール類;
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のアミン類;
ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;
2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、モルホリン、N−エチルモルホリン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、イミダゾール、メチルイミダゾール、ヒドロキシイミダゾール、ジメチルアミノピリジン、1,3−プロパンスルトン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピペラジン等の複素環類;
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;
スルホラン等のスルホン類:
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の水性混合物は、更に顔料を含む水性顔料分散液として、本発明の水性インクであるインク組成物、特にインクジェット記録用インク組成物に好適に用いることができる。即ち、本発明の水性混合物は、水性顔料分散液又はインク組成物の水性媒体として好適に用いられる。
本発明の水性顔料分散液は、顔料と更に顔料の分散安定性のための分散剤及び界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明の水性顔料分散液は、水性媒体としての本発明の水性混合物に更に、顔料、分散剤、界面活性剤等を添加混合することで、水の含有量が20〜80重量%、特に25〜75重量%であることが、取り扱い性、分散安定性等の観点から好ましい。
本発明の水性顔料分散液に用いられる顔料としては、各用途において一般的なものを適宜選択すればよく、特に限定されない。以下に顔料の代表的なものを例示する。
酸化チタン、酸化亜鉛、ゲーサイト、マグネタイト、酸化クロムなどを代表とする金属酸化物系顔料;
チタンイエロー、チタンバフ、アンチモンイエロー、バナジウムスズイエロー、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、マンガングリーン、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンブルー、タングステンブルー、エジプトブルー、コバルトブラックなどを代表とする複合酸化物系顔料;
リトボン、カドミウムレッドイエロー、カドミウムレッドなどを代表とする硫化物系顔料;
ミネラルバイオレット、コバルトバイオレット、リン酸コバルトリチウム、リン酸コバルトナトリウム、リン酸コバルトカリウム、リン酸コバルトアンモニウム、リン酸ニッケル、リン酸銅を代表とするリン酸塩系顔料;
黄鉛、モリブデートオレンジを代表とするクロム酸塩系顔料;
群青、プルシアンブルーを代表とする金属錯塩系顔料;
アルミニウムペースト、ブロンズ粉、亜鉛末、ステンレスフレーク、ニッケルフレークを代表とする金属粉系顔料;
カーボンブラック、オキシ塩化ビスマス、塩基性炭酸塩、二酸化チタン、被覆雲母、ITO(インジウムスズ酸化物)、ATO(アンチモンスズ酸化物)を代表とする真珠光沢顔料・真珠顔導電性顔料等の無機顔料;
キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、金属錯体系顔料、アゾメチン系顔料またはアゾ系顔料などの有機顔料:
揮発分は、8重量%以下が好ましく、特に4重量%以下が好ましい。
pHは記録液の保存安定性の観点から3以上、中でも6以上であることが好ましく、その上限は11以下、特に9以下が好ましい。
BET比表面積は、通常100m2/g以上であるが、中でも150m2/g以上であることが好ましく、その上限は700m2/g以下、特に600m2/g以下が好ましい。
ここで顔料の一次粒子径は電子顕微鏡による算術平均径(数平均)である。
上記平均分散粒径は、SEMやTEM等の電子顕微鏡を用いて測定するか、市販の動的光散乱測定装置を使用して測定することができる。
本発明の水性顔料分散液には、顔料と共に分散剤を含むことが好ましい。この分散剤としては公知のものが使用されるが、中でも分散性の観点から少なくとも1種類以上の疎水性モノマーと、1種類以上の親水性モノマーとを構成単位とするポリマーであることが好ましい。
また、以下において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
ポリマーの構成単位である疎水性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、従来公知の疎水性モノマーが使用できるが、特に、疎水性モノマーの少なくとも1つが以下に記載するような芳香環含有モノマー及び/又は脂肪族炭化水素基を含有するモノマーであることが好ましい。
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、i−ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート、ベへニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートエステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;
酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;
マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等のジカルボン酸エステル誘導体;
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;
酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステル類:
ポリマーの構成単位である親水性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、従来公知の親水性モノマーが使用できるが、中でもアニオン性モノマー、カチオン性モノマー、ノニオン性モノマーが好ましい。その中でも分散性の観点からアニオン性モノマーが最も好ましい。
アニオン性モノマーとしては以下に例示されるものを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、従来公知のものが使用できる。
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、或いはこれらの塩等のカルボン酸系モノマー;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホン酸、或いはこれらの塩等のスルホン酸系モノマー;
ビニルホスホン酸、メタアクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート或いはこれらの塩等のリン酸系モノマー:
カチオン性モノマーとしては以下に例示されるものを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、従来公知のものが使用できる。
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのような3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー;
(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルオクチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルオクチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルドデシルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルドデシルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルヘキサデシルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルオクチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルオクチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルドデシルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルドデシルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルヘキサデシルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルオクチルアンモニムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルオクチルアンモニムブロマイド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルドデシルアンモニムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルドデシルアンモニムブロマイド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルヘキサデシルアンモニムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルヘキサデシルアンモニムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルスルフェー卜、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエチルスルフェー卜、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネートのような4級アンモニウム塩基含有重合性不飽和モノマー;
その他、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類;4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;又はこれらをハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、アルキル若しくはアリールスルホン酸又は硫酸ジアルキル等の公知の四級化剤を用いて四級化したもの、重合後に加水分解することによってアミノ基を生成するN−ビニルホルムアミド及びN−ビニルアセトアミド、アリルアミン塩酸塩など:
ノニオン性モノマーとしては、以下のものが挙げられるが、以下の例示に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピルなどの第1級アミノ基を有するモノマー;
(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどの第2級アミノ基を有するモノマー;
(メタ)アクリルアミド、アルキル基の炭素数が1〜6のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル基の炭素数が1〜3のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエタノール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−(2−(ポリエチレングリコール)エチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−(2,2’−(ポリエチレングリコール)ジエチル)(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;
2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、N−ビニルオキサゾリドン、2−N−ピロリドンエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、9−ビニルカルバゾール、N−ビニルフタルイミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジン環含有モノマーなどのヘテロ環を有するモノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどの水酸基を含有するモノマー;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)(メタ)アクリレートなどの含オキシアルキレン鎖モノマー;
グルコース、マンノース、ガラクトース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン等の六炭糖類、アラビノース、キシロース、リボース等の五炭糖類、マルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラミナリビオース、キトビオース、キシロビオース、マンノビオース、ソホロース等の二糖類、その他、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マンノトリオース、マンニノトリオース等のオリゴ糖、セルロース、変性セルロース等の多糖類に由来するような構造を持ちグリコシル基を有するモノマー、例えばグルコシルエチルメタクリレート等のようなモノマー;
ポリビニルアルコール構造を側鎖に有するマクロモノマー:
分散剤としてのポリマーは少なくとも1種類以上の疎水性モノマーと、1種類以上の親水性モノマーを構成単位とするポリマーであることが好ましいが、モノマー組成は以下の通りであることが好ましい。
疎水性/親水性ポリマーのポリマー構造は、ランダムコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロック以上のマルチブロックコポリマー、グラジエントコポリマー、グラフトコポリマー、スターコポリマー等いずれでもよいが、中でもランダムコポリマー、ブロックポリマーであることが好ましく、ランダムコポリマーであることが最も好ましい。
ポリマーの酸価の上限としては、240mg−KOH/g以下が好ましく、220mg−KOH/g以下がより好ましく、200以下が更に好ましい。一方、ポリマーの酸価の下限としては、20mg−KOH/g以上が好ましく、30mg−KOH/g以上がより好ましい。
ポリマーの酸価が上記下限より少ないと水性顔料分散液の分散性が低下する傾向があり、上記上限より多いとポリマーがカーボンブラック等の顔料に吸着しにくくなり遊離したポリマーが増大するため、水性顔料分散液の粘度が高くなり、この水性顔料分散液をインク組成物に使用したとき吐出性が低下したり、インク組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
ここでいう数平均分子量及び重量平均分子量の値は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されるポリスチレン換算の値である
ポリマー中の重量平均分子量4,000以下の低分子量成分の含有量は、ポリマーのゲルパーミエーショングロマトグラフィー(GPC)で得られるクロマトグラフにおける、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)4,000以下の成分の面積から、未反応モノマー及び重合溶媒のピーク面積を除いた面積の全面積に対する比率を計算することにより求めることができる。
分散剤としてのポリマーは、ポリマー中に存在しているイオン性基の90モル%を中和した状態において、そのポリマーの2重量%の濃度の水分散液において沈殿を生じない「水分散性」のものが好ましく、中でもポリマーの25℃の水に対する溶解度が2重量%以上である「水溶性」のものが特に好ましい。通常は25℃で20重量%以下の濃度の水分散液において沈殿が生じないものが使用される。沈殿が生じるか否かはポリマー水分散液を調製した直後に目視で確認するものとする。
本発明に係るポリマーの合成法は特に限定されず、例えばラジカル重合、イオン重合、重付加、重縮合などの公知の重合方法を選択でき、またポリマーは、これらの公知の方法で合成したポリマーの誘導体や変性体であってもよい。また、水や有機溶媒中にカーボンブラック等の顔料とモノマー、重合開始剤、必要に応じて界面活性剤、反応性界面活性剤、ポリマーを同時に混合し、重合しても良い。更に、カーボンブラック等の顔料表面にモノマーを直接反応させ重合しても良い。中でも、合成手法が簡便であることから、ラジカル重合を用いて合成されるポリマーが好ましい。
本発明に係るポリマーはランダムコポリマーであることが特に好ましい。その好ましい合成法であるラジカル重合反応は、無溶媒又は溶媒の存在下に行なうことができるが、溶媒存在下で重合反応を行うことが好ましい。
ポリマーを合成する際のラジカル重合反応には公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤でも油溶性の重合開始剤でも使用できる。
ラジカル重合反応には、上記の重合開始剤に加え、得られる重合体を好ましい分子量に調節するために、連鎖移動剤、連鎖停止剤、重合促進剤等、公知のものを添加使用することができる。
ラジカル重合反応を行う際、モノマー、重合反応溶媒、ラジカル開始剤等の添加順序等は任意であるが、例えば、モノマー、重合反応溶媒、ラジカル重合開始剤を反応容器に一括で仕込んだ後に温度を上昇させて重合反応を行う方法が挙げられる。この場合、モノマーあるいはラジカル重合開始剤をそのままの状態あるいは溶液にして追加添加してもよい。また、別の方法としては、重合性モノマー、重合反応溶媒を反応容器に仕込んで温度を上昇させた後に、ラジカル重合開始剤を含有するモノマー溶液、重合反応溶媒、又はこれらの混合物を、連続的に又は分割して添加し、重合反応を行う方法等が挙げられる。
中でも操作の簡便性から、原料を一括で仕込んだ後に温度を上昇させて重合反応を行う方法が好ましい。
本発明の水性顔料分散液は、浸透促進剤として界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明の水性顔料分散液には、本発明の1,2−アルカンジオール組成物、水、顔料、分散剤及び界面活性剤の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を含んでいても良い。
なお、水性顔料分散液、特にインク組成物のpHとしては、通常、中性からアルカリ性の範囲であり、中でもpH6〜11程度に調整することが好ましい。
本発明の水性顔料分散液は、水性媒体としての本発明の水性混合物、顔料、分散剤(ポリマー)、界面活性剤を混合することで製造される。その際の各成分の混合方法や添加順序は任意であるが、例えば、これらを一度に混合し、この混合液に対して一般的な分散機を用いて分散処理を施せばよい。前述のその他の成分を添加する場合、その他の成分は、これらと同時に添加混合してもよく、予め混合、分散処理された分散液に添加してもよい。
従って、目的とする水性顔料分散液の顔料濃度が、上記の超音波ホモジナイザーによる分散処理に好適な顔料濃度と異なる場合は、水を加えて希釈したり加熱して濃縮したりして好適な濃度に合わせる。
本発明の水性顔料分散液をインク組成物として用いる記録方法としては、このインク組成物の液滴をインクジェットヘッドから吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させてインクジェット記録する方法が好ましく、本発明の水性顔料分散液をインク組成物として用いたインクジェット記録により、本発明の印刷物である高品質のインクジェット記録物を得ることができる。
2Lの撹拌翼と留去缶を備えたセパラブルフラスコを用いて、エステル基量が11.0モル%の三菱ケミカル社製粗1,2−ブタンジオールを500g、東京化成社製のメタノールを250g、東京化成工業社製ナトリウムメトキシド5モル/Lメタノール溶液を2g加え、60℃で3時間加熱した。得られた反応液に和光純薬社製85重量%リン酸を1.1g加えた後、729gを原料として、棚段20段のオルダーショウを用いて精密蒸留を実施した。還流比は0.1とし、常圧で275gのメタノール含有留分を取り除いた後、80torrの減圧条件で451gの1,2−ブタンジオール含有液を留出させて回収した。ここで回収された1,2−ブタンジオール含有液には、1−アセトキシ2−ヒドロキシブタン(21HAB)が1.85重量%、1−ヒドロキシ2−アセトキシブタン(12HAB)が0.76重量%、エチル−γ−ブチロラクトン(エチルGBL)が0.013重量%含まれ、エステル基量は2.0モル%であった。また、この1,2−ブタンジオール含有液(1,2−ブタンジオール組成物)にジアセトキシブタン(DAB)は含まれていなかった。
2Lの撹拌翼と留去缶を備えたセパラブルフラスコを用いて、エステル基量が11.0モル%の三菱ケミカル社製粗1,2−ブタンジオールを500g、東京化成社製のメタノールを250g、東京化成工業社製ナトリウムメトキシド5モル/Lメタノール溶液を2g加え、60℃で3時間加熱した。その後、メタノール含有液を250g留去し、再度メタノールを250g加えて3時間加熱した。得られた反応液に和光純薬社製85重量%リン酸を1.1g加えた後、729gを原料として、棚段20段のオルダーショウを用いて精密蒸留を実施した。還流比は0.1とし、常圧で324gのメタノール含有留分を取り除いた後、80torrの減圧条件で371gの1,2−ブタンジオール含有液を留出させて回収した。ここで回収された1,2−ブタンジオール含有液には、1−アセトキシ2−ヒドロキシブタン(21HAB)が0.16重量%、1−ヒドロキシ2−アセトキシブタン(12HAB)が0.43重量%、エチル−γ−ブチロラクトン(エチルGBL)が0.013重量%含まれ、エステル基量は0.4モル%であった。また、この1,2−ブタンジオール含有液(1,2−ブタンジオール組成物)にジアセトキシブタン(DAB)は含まれていなかった。
調製例1で得られた1,2−ブタンジオール組成物を水と混合して水性混合物とした。水性混合物中の1,2−ブタンジオール濃度は9.7重量%であった。
この水性混合物を80℃の環境下に24時間保持し、その前後でのpH及び電気伝導度を測定し、測定値及び変化率を表1に示した。なお、pHは株式会社堀場製作所製pH計(LAQUA:F−72)で測定し、電気伝導度は株式会社堀場製作所製電気伝導度計(LAQUA:DS−71)で測定した。
調製例2で得られた1,2−ブタンジオール組成物を水と混合して水性混合物とした。この水性混合物中の1,2−ブタンジオール濃度は9.9重量%であった。
この水性混合物について、実施例1と同様に保持前後のpH及び電気伝導度を測定すると共に、これらの変化率を求め、結果を表1に示した。
ジアセトキシブタン(DAB)を6.01重量%含み、1−アセトキシ2−ヒドロキシブタン(21HAB)を4.02重量%、1−ヒドロキシ2−アセトキシブタン(12HAB)を2.10重量%、エチル−γ−ブチロラクトン(エチルGBL)を0.017重量%含み、エステル基量が11.0モル%の1,2−アルカンジオール組成物を水と混合して水性混合物とした。この水性混合物中の1,2−ブタンジオール濃度は8.7重量%であった。
この水性混合物について、実施例1と同様に保持前後のpH及び電気伝導度を測定すると共に、これらの変化率を求め、結果を表1に示した。
1−アセトキシ2−ヒドロキシブタン(21HAB)を0.09重量%、1−ヒドロキシ2−アセトキシブタン(12HAB)を0.15重量%、エチル−γ−ブチロラクトン(エチルGBL)を0.018重量%含み、ジアセトキシブタン(DAB)を含まず、エステル基量が0.1モル%の1,2−ブタンジオール組成物を水と混合して水性混合物とした。この水性混合物中の1,2−ブタンジオール濃度は10.0重量%であった。
この水性混合物について、実施例1と同様に保持前後のpH及び電気伝導度を測定すると共に、これらの変化率を求め、結果を表1に示した。
これに対して、エステル基量が本発明の範囲外の1,2−アルカンジオール組成物を用いた比較例1,2の水性混合物は、pH及び電気伝導度の経時変化が大きく、保存安定性に劣る。
Claims (6)
- エステル基を有する化合物を含有する1,2−アルカンジオール組成物であって、
該エステル基を有する化合物の含有量が、該組成物中の1,2−アルカンジオールに対する該エステル基を有する化合物のエステル基の割合で、0.2〜4.0モル%であり、
前記エステル基を有する化合物が、γ−ブチロラクトン及び/又はエチル−γ−ブチロラクトンを含む1,2−アルカンジオール組成物。 - 前記1,2−アルカンジオールが1,2−ブタンジオールである請求項1に記載の1,2−アルカンジオール組成物。
- 請求項1又は2に記載の1,2−アルカンジオール組成物及び水を含有する水性混合物。
- 前記水性混合物中の1,2−アルカンジオール濃度が1〜20重量%である請求項3に記載の水性混合物。
- 請求項3又は4に記載の水性混合物を含む水性インク。
- 請求項5に記載の水性インクを基材上に印刷した印刷物。
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