以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
本実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての第1リールR1〜第3リールR3からなるリールユニット310(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
図1に示す第1リールR1〜第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数(規定数)が、3枚(第1規定投入数、第1規定数)又は2枚(第2規定投入数、第2規定数)に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1の中段、第2リールR2の上段、第3リールR3の下段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後第1リールR1〜第3リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選役コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述するAT制御手段200(図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する区間報知部500Aが設けられている。また、本実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面上扉UDと前面下扉DDとに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1〜ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250及び設定変更スイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、ホッパーユニット320及び主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190及びアシストタイム制御手段(AT制御手段)200を含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更許可スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態である設定変更許可状態において、設定変更手段100は、電源装置に設けられている設定変更スイッチ260からの入力信号を受け付けるごとに、設定値記憶手段191に記憶されている設定値を設定1→設定2・・・設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させる。また、スロットマシン1では、設定変更許可状態におけるスタートレバーSLの操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて設定値記憶手段191に記憶されている設定値を確定させて設定変更許可状態を終了する。本実施形態のスロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技制御手段10によって遊技状態移行制御手段170が制御する遊技状態を初期化可能に構成されている。遊技状態の初期化に係る制御の詳細については、後述する。
また、スロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、AT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、通常区間に設定されている場合と、有利区間に設定されている場合と、のいずれの場合においても初期化によって通常区間に設定されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されるように構成されている。
一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、電断が発生しその後電力の供給が再開された場合、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、第1規定投入数(3枚)又は第2規定投入数(2枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口MI(図1参照)にメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、第1規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、投入受付手段105は、メダルがクレジットされた状態でシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、第1規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、第1規定投入数又は第2規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、第1リールR1〜第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0〜65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に格納される。
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、第1リールR1〜第3リールR3の回転駆動を開始し第1リールR1〜第3リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する第1リールR1〜第3リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって第1リールR1〜第3リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1〜第3リールR3について、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1〜第3リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
入賞判定手段140は、第1リールR1〜第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1〜第3リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
演出制御手段180は、演出制御データ記憶手段196に記憶されている演出データに基づいて、例えば、演出表示装置としての表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力、スタートスイッチ230からスタート信号が出力された状態で第1リールR1〜第3リールR3の回転開始を遅延させる第1リールR1〜第3リールR3を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。なお、本実施形態において、演出制御手段180は、乱数を用いる抽選処理ごとに、乱数生成手段110の乱数格納領域から乱数を取得し、演出制御データ記憶手段196に記憶されている複数の演出抽選テーブルのうち、各抽選処理に必要な演出抽選テーブルを用いて各抽選処理を実行する。
本実施形態において、演出制御手段180は、AT制御手段200による入賞補助の実行時において、入賞補助で報知される内容(例えば、当選エリア「打順ベル1」の当選時に正解打順の報知等)を演出装置300を用いた演出によって報知する入賞補助演出を実行する。
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する入賞補助を実行可能な補助遊技が実行される区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない遊技が実行される区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段197に記憶されているデータを用いて実行する。AT制御データ記憶手段197には、通常区間において有利区間を開始するか否かを決定する有利区間移行抽選で用いられる有利区間移行抽選テーブルや、有利区間内において実行されるAT状態及び非AT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が格納されている。
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、7セグメント表示器からなる主制御表示装置500に当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1〜ストップボタンB3の操作順序(正解打順)に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する入賞補助(正解打順報知)を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による入賞補助が実行される場合に、演出制御手段180によって表示装置330に正解打順に対応する指標を表示する入賞補助演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、入賞補助によってストップボタンB1〜ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始するとともに、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理としての終了処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始し、かつ入賞補助が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に区間報知部500Aを点灯させる。このため、AT制御手段200は、有利区間を開始している場合であっても、入賞補助が実行されない演出状態である場合には、区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、第1有利区間カウンタ197aに初期値として値「1500」をセットし、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)から減算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にデクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
本実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ197aの記憶値に累積的に減算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ197bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
AT制御手段200は、1500ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が第1値としての値「0」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
AT制御手段200は、所定の終了処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも終了処理を実行する。本実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
2.本実施形態における遊技機が備える構成
次に、図3〜図9を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
<内部抽選手段>
図3、図4は、本実施形態のスロットマシン1における各遊技状態で選択される内部抽選テーブルである内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルFを示す図である。内部抽選テーブルAは、遊技状態が非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態であり、かつ第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に選択される。内部抽選テーブルAでは、小役に当選する当選エリアと、ボーナスに当選する当選エリアと、リプレイに当選する当選エリアと、に乱数が対応付けられており、小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに当選するように構成されている。また、内部抽選テーブルAでは、リプレイの当選確率が、約1/3.6に設定されている。
内部抽選テーブルBは、遊技状態が非RT状態であり、かつ第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に選択される。内部抽選テーブルBでは、小役に当選する当選エリアと、ボーナスに当選する当選エリアと、リプレイに当選する当選エリアと、に乱数が対応付けられており、小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに当選するように構成されている。また、内部抽選テーブルBでは、リプレイの当選確率が、約1/3.6に設定されている。
本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)として、RBB1〜RBB4を備えている。RBB1とRBB2とは、非RT状態において第1規定投入数のメダルが投入状態に設定された遊技が実行された場合、つまり内部抽選テーブルAを用いた内部抽選が実行された場合に抽選の対象に設定されることで当選可能となるボーナスである。RBB3とRBB4とは、非RT状態において第2規定投入数のメダルが投入状態に設定された遊技が実行された場合、つまり内部抽選テーブルBを用いた内部抽選が実行された場合に抽選の対象に設定されることで当選可能となるボーナスである。
内部抽選テーブルCは、非RT状態においてRBB1又はRBB2に当選し、RBB1又はRBB2が成立状態に設定されたことによって移行される遊技状態である第1ボーナス成立状態であり、かつ第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に選択される。内部抽選テーブルCは、内部抽選テーブルAにおいて小役に対応付けられていた乱数が小役に対応付けられており、内部抽選テーブルAにおいてリプレイに対応付けられていた乱数と、ボーナスに対応付けられていた乱数と、がリプレイに対応付けられており、小役又はリプレイのいずれかに当選するように構成されている。また、内部抽選テーブルCでは、リプレイの当選確率が、約1/1.5に設定されている。
内部抽選テーブルDは、非RT状態においてRBB1又はRBB2に当選し、RBB1又はRBB2が成立状態に設定されたことによって移行される遊技状態である第1ボーナス成立状態であり、かつ第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合と、非RT状態においてRBB3又はRBB4に当選し、RBB3又はRBB4が成立状態に設定されたことによって移行される遊技状態である第2ボーナス成立状態であり、かつ第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合と、に選択される。内部抽選テーブルDは、内部抽選テーブルBにおいて小役に対応付けられていた乱数が小役に対応付けられており、内部抽選テーブルBにおいてリプレイに対応付けられていた乱数と、ボーナスに対応付けられていた乱数と、がリプレイに対応付けられていおり、小役又はリプレイのいずれかに当選するように構成されている。また、内部抽選テーブルDでは、リプレイの当選確率が、約1/1.5に設定されている。
内部抽選テーブルEは、非RT状態においてRBB3又はRBB4に当選し、RBB3又はRBB4が成立状態に設定されたことによって移行される遊技状態である第2ボーナス成立状態であり、かつ第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に選択される。内部抽選テーブルEは、内部抽選テーブルAにおいて小役に対応付けられていた乱数が小役に対応付けられており、内部抽選テーブルAにおいてリプレイに対応付けられていた乱数の一部がリプレイに対応付けられている。また、内部抽選テーブルEは、内部抽選テーブルAにおいてボーナスに対応付けられていた乱数と、リプレイに対応付けられていた乱数の一部と、が、いずれの役にも対応付けられておらず、不当選(ハズレ)となっている。また、内部抽選テーブルDでは、リプレイの当選確率が、約1/7.3に設定されている。
内部抽選テーブルFは、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定された遊技においてRBB1又はRBB2が入賞し、RBB1又はRBB2が作動した場合に移行される遊技状態である第1ボーナス作動状態と、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定された遊技においてRBB3又はRBB4が入賞し、RBB3又はRBB4が作動した場合に移行される遊技状態である第2ボーナス作動状態と、において選択される。内部抽選テーブルFは、小役の当選確率について、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEのいずれの内部抽選テーブルにおいて設定されている小役の当選確率よりも高くなるように設定されている。
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役(以下、「入賞役」と記載)として、ベルA〜ベルL、1枚役A〜1枚役M、特殊小役A〜特殊小役L及びレア役が用意されており、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選エリア(当選態様)として、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」と、当選エリア「共通ベル役」と、当選エリア「全小役」と、当選エリア「全1枚役」と、が設定されている。ここで、「打順」とは、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対して押下操作を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」は、ベルA〜ベルFのうちいずれか1つと、1枚役A〜1枚役Fのうちいずれか1つと、1枚役Mと、特殊小役A〜特殊小役Fのうちいずれか1つと、に重複当選する当選エリアであり、それぞれ重複当選する入賞役が異なる構成となっている。当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」には、遊技状態が第1ボーナス成立状態又は第2ボーナス成立状態である場合において、それぞれベルA〜ベルFを入賞可能にする打順(正解打順)が設定されている。
具体的には、ベルA、1枚役A、1枚役M、特殊小役Aが重複当選する当選エリア「打順ベル1」は、ベルAを入賞可能にする正解打順が打順1に設定され、ベルB、1枚役B、1枚役M、特殊小役Bが重複当選する当選エリア「打順ベル2」は、ベルBを入賞可能にする正解打順が打順2に設定され、ベルC、1枚役C、1枚役M、特殊小役Cが重複当選する当選エリア「打順ベル3」は、ベルCを入賞可能にする正解打順が打順3に設定され、ベルD、1枚役D、1枚役M、特殊小役Dが重複当選する当選エリア「打順ベル4」は、ベルDを入賞可能にする正解打順が打順4に設定され、ベルE、1枚役E、1枚役M、特殊小役Eが重複当選する当選エリア「打順ベル5」は、ベルEを入賞可能にする正解打順が打順5に設定され、ベルF、1枚役F、1枚役M、特殊小役Fが重複当選する当選エリア「打順ベル6」は、ベルFを入賞可能にする正解打順が打順6に設定されている。
当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時で、かつ遊技状態が第1ボーナス成立状態又は第2ボーナス成立状態である場合において、スロットマシン1では、正解打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ第1停止操作がベルA〜ベルFの入賞形態を示す図柄組合せ(以下、「入賞図柄組合せ」とも記載)を構成する図柄を停止可能な押下タイミングであった場合に、当選しているベルA〜ベルFのいずれかが入賞し、正解打順とは異なる打順(不正解打順)のうち第1停止操作が正解打順と共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、当選している1枚役A〜1枚役Fのいずれかが入賞し、正解打順でかつ第1停止操作の押下タイミングがベルA〜ベルFの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止できないタイミングであった場合に、当選している特殊小役A〜特殊小役Fのいずれかが入賞し、不正解打順のうち第1停止操作が正解打順とは異なる打順で、かつ押下タイミングが1枚役Mを入賞可能なタイミングである場合に、1枚役Mが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが1枚役Mを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
また、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時で、かつ遊技状態が非RT状態である場合において、スロットマシン1では、正解打順と共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ第1停止操作が特殊小役A〜特殊小役Fの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止可能な押下タイミングであった場合に、当選している特殊小役A〜特殊小役Fのいずれかが入賞し、正解打順とは異なる打順(不正解打順)のうち第1停止操作が正解打順と共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合と、正解打順と共通する打順でかつ第1停止操作の押下タイミングが特殊小役A〜特殊小役Fの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止できないタイミングであった場合と、に、当選している1枚役A〜1枚役Fのいずれかが入賞し、不正解打順のうち第1停止操作が正解打順とは異なる打順で、かつ押下タイミングが1枚役Mを入賞可能なタイミングである場合に、1枚役Mが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが1枚役Mを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
当選エリア「打順ベル7」〜当選エリア「打順ベル12」は、ベルG〜ベルLのうちいずれか1つと、1枚役G〜1枚役Lのうちいずれか1つと、1枚役Mと、特殊小役G〜特殊小役Lのうちいずれか1つと、に重複当選する当選エリアであり、それぞれ重複当選する入賞役が異なる構成となっている。当選エリア「打順ベル7」〜当選エリア「打順ベル12」には、遊技状態が第1ボーナス成立状態又は第2ボーナス成立状態である場合において、それぞれベルG〜ベルLを入賞可能にする打順(正解打順)が設定されている。
具体的には、ベルG、1枚役G、1枚役M、特殊小役Gが重複当選する当選エリア「打順ベル7」は、ベルGを入賞可能にする正解打順が打順1に設定され、ベルH、1枚役H、1枚役M、特殊小役Hが重複当選する当選エリア「打順ベル8」は、ベルHを入賞可能にする正解打順が打順2に設定され、ベルI、1枚役I、1枚役M、特殊小役Iが重複当選する当選エリア「打順ベル9」は、ベルIを入賞可能にする正解打順が打順3に設定され、ベルJ、1枚役J、1枚役M、特殊小役Jが重複当選する当選エリア「打順ベル10」は、ベルJを入賞可能にする正解打順が打順4に設定され、ベルK、1枚役K、1枚役M、特殊小役Kが重複当選する当選エリア「打順ベル11」は、ベルKを入賞可能にする正解打順が打順5に設定され、ベルL、1枚役L、1枚役M、特殊小役Lが重複当選する当選エリア「打順ベル12」は、ベルLを入賞可能にする正解打順が打順6に設定されている。
当選エリア「打順ベル7」〜当選エリア「打順ベル12」の当選時で、かつ遊技状態が第1ボーナス成立状態又は第2ボーナス成立状態である場合において、スロットマシン1では、正解打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ第1停止操作がベルG〜ベルLの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止可能な押下タイミングであった場合に、当選しているベルG〜ベルLのいずれかが入賞し、不正解打順のうち第1停止操作が正解打順と共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、当選している1枚役G〜1枚役Lのいずれかが入賞し、正解打順でかつ第1停止操作の押下タイミングがベルG〜ベルLの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止できないタイミングであった場合に、当選している特殊小役G〜特殊小役Lのいずれかが入賞し、不正解打順のうち第1停止操作が正解打順とは異なる打順で、かつ押下タイミングが1枚役Mを入賞可能なタイミングである場合に、1枚役Mが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが1枚役Mを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
また、当選エリア「打順ベル7」〜当選エリア「打順ベル12」の当選時で、かつ遊技状態が非RT状態である場合において、スロットマシン1では、正解打順と共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ第1停止操作が特殊小役G〜特殊小役Lの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止可能な押下タイミングであった場合に、当選している特殊小役G〜特殊小役Lのいずれかが入賞し、不正解打順のうち第1停止操作が正解打順と共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合と、正解打順でかつ第1停止操作の押下タイミングが特殊小役G〜特殊小役Lの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止できないタイミングであった場合と、に、当選している1枚役G〜1枚役Lのいずれかが入賞し、不正解打順のうち第1停止操作が正解打順とは異なる打順で、かつ押下タイミングが1枚役Mを入賞可能なタイミングである場合に、1枚役Mが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが1枚役Mを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
ここで、ベルA及びベルBは、入賞図柄組合せを構成する図柄のうち第1リールR1の図柄が共通した図柄(第1図柄)となっている。また、ベルG及びベルHは、入賞図柄組合せを構成する図柄のうち第1リールR1の図柄が共通した図柄(第2図柄)となっている。そして、第1図柄と第2図柄とは、第1リールR1の周面において、引き込み範囲が重複しない位置に配列されている。
このため、スロットマシン1では、例えば、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が打順1で押下操作され、かつベルAを入賞可能な押下タイミングでストップボタンB1が押下操作される場合、当選エリア「打順ベル1」と同じ正解打順に設定されている当選エリア「打順ベル7」の当選時において、ベルGが入賞することがない。
また、ベルC及びベルDは、入賞図柄組合せを構成する図柄のうち第2リールR2の図柄が共通した図柄(第3図柄)となっており、ベルI及びベルJは、入賞図柄組合せを構成する図柄のうち第2リールR2の図柄が共通した図柄(第4図柄)となっている。そして、第3図柄と第4図柄とは、第2リールR2の周面において、引き込み範囲が重複しない位置に配列されている。
また、ベルE及びベルFは、入賞図柄組合せを構成する図柄のうち第3リールR3の図柄が共通した図柄(第5図柄)となっており、ベルK及びベルLは、入賞図柄組合せを構成する図柄のうち第3リールR3の図柄が共通した図柄(第6図柄)となっている。そして、第5図柄と第6図柄とは、第3リールR3の周面において、引き込み範囲が重複しない位置に配列されている。
ベルA〜ベルLの入賞図柄組合せと第1リールR1〜第3リールR3の周面に配列された図柄との関係が上述した構成であることから、スロットマシン1では、ストップボタンB1〜ストップボタンB3をランダムに押下した際におけるベルA〜ベルLの入賞確率が抑制されている。
当選エリア「共通ベル役」は、ベルA〜ベルLに重複当選し、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順によらず入賞可能なベルA〜ベルLのいずれかが入賞する。当選エリア「全1枚役」は、1枚役A〜1枚役M、特殊小役A〜特殊小役L、レア役に重複当選し、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順によらず入賞可能な1枚役A〜1枚役Mのいずれかが入賞する。当選エリア「全小役」は、ベルA〜ベルL、1枚役A〜1枚役M、特殊小役A〜特殊小役L、レア役のすべての小役に重複当選し、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順によらず入賞可能なベルA〜ベルLのいずれかが入賞する。
当選エリア「レア役」は、レア役に当選し、ストップボタンB1の押下タイミングが適切な場合にレア役を入賞可能に構成されており、ストップボタンB1の押下タイミングがレア役を入賞させることができないタイミングであった場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。なお、本実施形態の内部抽選手段120は、小役を含む各当選態様の当選確率について、当選エリア「レア役」に当選する確率が、他の小役を含む当選態様のいずれかに当選する確率よりも低い確率となる、いわゆるレア役として構成されている。
次に、リプレイを含む当選エリアについて説明する。本実施形態のスロットマシン1では、リプレイのみを含む当選エリアとして、当選エリア「通常リプレイ1」と、当選エリア「通常リプレイ2」と、当選エリア「レアリプレイ」と、が設定されている。
当選エリア「通常リプレイ1」は、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、リプレイAに当選し、打順及び押下タイミングによらずリプレイAを入賞可能に構成されている。
当選エリア「通常リプレイ2」は、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、リプレイAと、リプレイBと、に重複して当選し、打順及び押下タイミングによらずリプレイAを入賞可能に構成されている。
また、当選エリア「通常リプレイ2」は、内部抽選テーブルAにおいて当選エリア「通常リプレイ2」に対応付けられていた乱数と、当選エリア「RBB1」に対応付けられていた乱数と、当選エリア「RBB2」に対応付けられていた乱数と、が、内部抽選テーブルCにおいて対応付けられており、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「通常リプレイ2」に対応付けられていた乱数と、当選エリア「RBB3」に対応付けられていた乱数と、当選エリア「RBB4」に対応付けられていた乱数と、が、内部抽選テーブルDにおいて対応付けられており、内部抽選テーブルAにおいて当選エリア「通常リプレイ2」に対応付けられていた乱数の一部が、内部抽選テーブルEにおいて対応付けられており、遊技状態が非RT状態から第1ボーナス成立状態、第2ボーナス成立状態に移行することで、当選確率が変動する当選エリアとして構成されている。
当選エリア「レアリプレイ」は、レアリプレイに当選し、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、打順及び押下タイミングによらずレアリプレイを入賞可能に構成されている。なお、本実施形態の内部抽選手段120は、リプレイを含む各当選態様の当選確率について、当選エリア「レアリプレイ」に当選する確率が、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」に当選する確率よりも低い確率となる、いわゆるレアリプレイとして構成されている。
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBB1〜RBB4があり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBB1〜RBB4を含む当選エリアに当選すると、当選したRBB1〜RBB4の抽選フラグの成立状態を、RBB1〜RBB4が入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBB1〜RBB4の抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBB1〜RBB4の抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBB1〜RBB4の抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
<図柄の配列>
図5は、本実施形態のスロットマシン1における第1リールR1〜第3リールR3の周面に配列された各図柄を示す図である。本実施形態では、図5に示すように、第1リールR1〜第3リールR3の外周面に、赤7図柄「赤7」、黒BAR図柄「黒BAR」、白BAR図柄「白BAR」、リプレイA図柄「RPA」、リプレイB図柄「RPB」、ベルA図柄「BLA」、ベルB図柄「BLB」チェリー図柄「CH」、スイカ図柄「WM」及びブランク図柄「BK」が配列されている。また、第1リールR1〜第3リールR3の周面には、それぞれ20コマの図柄が配列されている。
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させる停止制御を実行する。
<小役の配当>
本実施形態において、ベルA〜ベルLの配当は、第1規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(例えば15枚)に設定されている。また、1枚役A〜1枚役M、特殊小役A〜特殊小役L及びレア役の配当は、第2規定投入数(2枚)よりも少ない枚数の払出数(例えば1枚)に設定されている。
<ボーナスの入賞図柄組合せ>
図6は、本実施形態のスロットマシン1が有するボーナスの入賞図柄組合せを示す図である。図6に示すように、RBB1の入賞図柄組合せは「BK−赤7−黒BAR」であり、RBB2の入賞図柄組合せは「BK−赤7−赤7」である。RBB1の入賞図柄組合せを構成する図柄と、RBB2の入賞図柄組合せを構成する図柄と、は、第1リールR1の図柄と、第2リールR2の図柄と、が共通し、第3リールR3の図柄が異なる図柄(黒BAR図柄「黒BAR」と赤7図柄「赤7」)になっている。
図5に示すように、第3リールR3には、黒BAR図柄「黒BAR」が停止番号14番のコマに配列され、赤7図柄「赤7」が停止番号4番のコマに配列されている。このため、ストップボタンB3を押下操作する場合において、RBB1を入賞可能にするタイミングは、停止番号18番のスイカ図柄「WM」〜停止番号14番の黒BAR図柄「黒BAR」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングである。また、ストップボタンB3を押下操作する場合において、RBB2を入賞可能にするタイミングは、停止番号8番のスイカ図柄「WM」〜停止番号4番の赤7図柄「赤7」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングである。
つまり、スロットマシン1では、RBB1とRBB2とについて、入賞可能となるストップボタンB3の押下タイミングが異なり、かつストップボタンB3の押下タイミングが適切な際に有効ラインL1上に停止表示される図柄について、有効ラインL1上に停止表示可能となる押下タイミングが互いに重複しない位置にそれぞれ配置されていることで、RBB1とRBB2とを同時に狙うことができないように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、非RT状態において第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始され、内部抽選テーブルAを用いた内部抽選が実行され、RBB1又はRBB2に当選した場合、当選したRBB1又はRBB2のいずれか一方しか入賞を狙うことができず、RBB1又はRBB2が当選した遊技においてRBB1又はRBB2が入賞する確率を抑制し、第1ボーナス成立状態に遊技状態を移行させ、第1ボーナス成立状態での遊技を遊技者に享受させる機会を多く設けることができる。
RBB3の入賞図柄組合せは「赤7−赤7−黒BAR」であり、RBB4の入賞図柄組合せは「赤7−赤7−赤7」である。RBB3の入賞図柄組合せを構成する図柄と、RBB4の入賞図柄組合せを構成する図柄と、は、第1リールR1の図柄と、第2リールR2の図柄と、が共通し、第3リールR3の図柄が異なる図柄(黒BAR図柄「黒BAR」と赤7図柄「赤7」)になっている。
つまり、スロットマシン1では、RBB3とRBB4とについて、入賞可能となるストップボタンB3の押下タイミングが異なり、かつストップボタンB3の押下タイミングが適切な際に有効ラインL1上に停止表示される図柄について、有効ラインL1上に停止表示可能となる押下タイミングが互いに重複しない位置にそれぞれ配置されていることで、RBB3とRBB4とを同時に狙うことができないように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、非RT状態において第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始され、内部抽選テーブルBを用いた内部抽選が実行され、RBB3又はRBB4に当選した場合、当選したRBB3又はRBB4のいずれか一方しか入賞を狙うことができず、RBB3又はRBB4が当選した遊技においてRBB3又はRBB4が入賞する確率を抑制し、第2ボーナス成立状態に遊技状態を移行させ、第2ボーナス成立状態での遊技を遊技者に享受させる機会を多く設けることができる。
<遊技状態移行制御手段>
図7は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
まず、非ボーナス状態における遊技状態の遷移について説明する。図7に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態)であり、遊技制御手段10によって初期化された場合に設定される初期化時の遊技状態である。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、内部抽選手段120に内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を実行させ、第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、内部抽選手段120に内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を実行させる。
上述したように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選テーブルAを用いた内部抽選が実行された場合に、RBB1を含む当選エリア「RBB1」と、RBB2を含む当選エリア「RBB2」と、に当選可能に構成されている。また、スロットマシン1では、内部抽選テーブルBを用いた内部抽選が実行された場合に、RBB3を含む当選エリア「RBB3」と、RBB4を含む当選エリア「RBB4」と、に当選可能に構成されている。
このため、本実施形態の遊技状態移行制御手段170は、第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、非RT状態からRBB1又はRBB2が成立状態に設定された第1ボーナス成立状態に移行可能に構成され、第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、非RT状態からRBB3又はRBB4が成立状態に設定された第2ボーナス成立状態に移行可能に構成されている。
ボーナス成立状態は、RBB1〜RBB4のいずれかが成立状態に設定されることで移行される遊技状態であり、RBB1又はRBB2が成立状態に設定されることで移行される第1ボーナス成立状態と、RBB3又はRBB4が成立状態に設定されることで移行される第2ボーナス成立状態と、から構成されている。
なお、以下の記載において、RBB1が成立状態に設定されたボーナス成立状態を「RBB1内部中」とも記載し、RBB2が成立状態に設定されたボーナス成立状態を「RBB2内部中」とも記載し、RBB3が成立状態に設定されたボーナス成立状態を「RBB3内部中」とも記載し、RBB4が成立状態に設定されたボーナス成立状態を「RBB4内部中」とも記載する。
第1ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させ、第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、内部抽選手段120に内部抽選テーブルDを用いた内部抽選を実行させる。
上述した通り、内部抽選テーブルC、内部抽選テーブルDは、内部抽選手段120による内部抽選で小役又はリプレイのいずれかに当選するように構成されている。また、リール制御手段130は、上述したように、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させるようにリール停止制御を実行するように構成されており、当選している小役の取りこぼし(非入賞)が発生する場合においても、いずれの役の入賞形態とも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示されるように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、一旦第1ボーナス成立状態に移行すれば、遊技者が容易にRBB1、RBB2の入賞を回避して遊技状態を維持することができるようになり、遊技者の操作負担を軽減しつつ長期に亘って小役又はリプレイに当選可能な第1ボーナス成立状態に滞在させることができるようになっている。
なお、RBB1とRBB2とは、上述した通り、第1規定投入数(3枚)専用のRBBとして設定されており、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合、仮にRBB1,RBB2の入賞図柄組合せがリール制御手段130によるリール停止制御によって有効ラインL1上に表示された場合にも無効となり、RBB1,RBB2が作動しないように構成されている。この、RBB1,RBB2が、本実施形態における第1ボーナスを構成する。
第2ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、内部抽選手段120に内部抽選テーブルEを用いた内部抽選を実行させ、第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合に、内部抽選手段120に内部抽選テーブルDを用いた内部抽選を実行させる。
上述したように、内部抽選テーブルDは、小役又はリプレイのいずれかに乱数が対応付けられており、内部抽選テーブルEは、小役、リプレイ又は不当選(ハズレ)のいずれかに乱数が対応付けられている。このため、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定された第2ボーナス成立状態は、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定された第2ボーナス成立状態よりも、所定遊技回数の遊技で投入したメダルの総投入数に対する払い出されたメダルの総払出数の比率の下限値(ベース)が多い値に設定された遊技状態となっている。
第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合、スロットマシン1では、内部抽選テーブルDを用いた内部抽選が実行されることで、RBB3又はRBB4と小役が重複当選する場合と、RBB3又はRBB4と小役が重複当選する場合と、のいずれにおいても、小役又はリプレイとボーナスとが重複当選することから、リール制御手段130によるリール停止制御によってRBB3,RBB4の入賞が回避され、遊技者の操作負担を軽減しつつ長期に亘って小役又はリプレイに当選可能な第2ボーナス成立状態に滞在させることができるようになっている。
一方、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合、内部抽選手段120は、不当選(ハズレ)も乱数が設定された内部抽選テーブルEを用いて内部抽選を実行することから、RBB3又はRBB4に単独で当選した状態になり得る構成となっている。ここで、RBB3とRBB4とは、上述した通り、第2規定投入数(2枚)専用のRBBとして設定されており、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が開始された場合、仮にRBB3,RBB4の入賞図柄組合せがリール制御手段130によるリール停止制御によって有効ラインL1上に表示された場合にも無効となり、RBB3,RBB4が作動しないように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、一旦第2ボーナス成立状態に移行すれば、遊技者が容易にRBB3,RBB4の入賞を回避して遊技状態を維持することができるようになり、遊技者の操作負担を軽減しつつ長期に亘って第2ボーナス成立状態に滞在させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、第1規定投入数が投入状態に設定されて開始される第2ボーナス成立状態において、ストップボタンB1〜ストップボタンB3がいずれの打順及び押下タイミングで押下操作された場合にも、RBB3,RBB4の入賞図柄組合せがリール制御手段130によるリール停止制御によって有効ラインL1上に表示されないようにリール停止制御が実行されるように構成されている。また、RBB3,RBB4が、本実施形態における第2ボーナスを構成する。
ボーナス状態は、RBB1〜RBB4のいずれかが入賞し作動することで移行される遊技状態であり、RBB1又はRBB2が入賞し作動することで移行される第1ボーナス作動状態と、RBB3又はRBB4が入賞し作動することで移行される第2ボーナス作動状態と、から構成されている。
なお、以下の記載において、RBB1が作動して設定されたボーナス状態を「RBB1作動中」とも記載し、RBB2が作動して設定されたボーナス状態を「RBB2作動中」とも記載し、RBB3が作動して設定されたボーナス状態を「RBB3作動中」とも記載し、RBB4が作動して設定されたボーナス状態を「RBB4作動中」とも記載する。
RBB1,RBB2が入賞し作動した場合に移行する第1ボーナス作動状態(第1ボーナス状態)と、RBB3,RBB4が入賞し作動した場合に移行する第2ボーナス作動状態(第2ボーナス状態)と、は、いずれも第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定された場合に遊技が開始される遊技状態である。第1ボーナス作動状態と第2ボーナス作動状態とは、第1種特別役物としてのレギュラーボーナス(以下、レギュラーボーナスを「RB」とも記載)の入賞図柄組合せの表示によらずにRBが連続で作動するように構成されている。第1ボーナス作動状態は、第1の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルの払い出しが実行された場合に終了する。また、第2ボーナス作動状態は、第2の払出数(例えば、2枚)を超えるメダルの払い出しが実行された場合に終了する。
図4に示すように、内部抽選テーブルFでは、ベルA〜ベルL、1枚役A〜1枚役M、特殊小役A〜特殊小役L及びレア役のすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A〜1枚役M、特殊小役A〜特殊小役L及びレア役のすべての1枚役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
図3、図4を用いて第1ボーナス作動状態、第2ボーナス作動状態について詳細に説明する。本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルFが選択される第1ボーナス作動状態、第2ボーナス作動状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまり第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において小役に当選する確率が、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態以外のRBB1〜RBB4非作動時の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルFにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルC、内部抽選テーブルEにおいて当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」のいずれか1つに当選する確率と、当選エリア「共通ベル役」に当選する確率と、の合算よりも高く、かつ内部抽選テーブルB、内部抽選テーブルDにおいて当選エリア「全小役」に当選する確率よりも高い確率に設定されている。
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、第1ボーナス成立状態及び第2ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も上昇するように構成されている。
また、スロットマシン1は、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「共通ベル役」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」の各当選確率と当選エリア「共通ベル役」の当選確率とを合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の第1小役(ベルA〜ベルL)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1当選態様(当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」)と、複数種類の第1小役が重複して当選する第2当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、第1ボーナス成立状態及び第2ボーナス成立状態において、複数種類の第1当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において、第2当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、第1ボーナス成立状態及び第2ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、第1ボーナス成立状態及び第2ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1は、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
ここで、第1ボーナス成立状態及び第2ボーナス成立状態においては、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下操作し、かつ当選しているベルA〜ベルLを入賞可能な押下タイミングで第1停止操作が実行されないとベルA〜ベルLを入賞させることができない構成であることから、ベルA〜ベルLのいずれかが入賞する確率は、6種類の打順から正解打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下操作でき、かつ第1停止操作が適切な押下タイミングで実行された場合に限定される。一方、後述するAT制御手段200によって入賞補助が実行されるAT遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順が報知され、かつベルA〜ベルLを入賞可能にする押下タイミングが演出制御手段180による入賞補助演出によって報知されるため、ベルA〜ベルLのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で12倍まで高めることができる。
このように、本実施形態においては、正解打順で停止操作し、かつ第1停止操作の押下タイミングが適切な場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA〜ベルLの12種類を設定している。そして、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/12に圧縮している。このように構成することで、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上でAT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
<AT制御手段>
図8は、本実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアと、遊技が開始された際の遊技状態と、に基づき、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段197から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
本実施形態のAT制御手段200は、第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合で、かつ遊技状態が非RT状態及び第2ボーナス成立状態である場合において、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「共通ベル役」、当選エリア「レア役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、約1/1.5と高い確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行し、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「RBB1」、当選エリア「RBB2」に当選した場合には、有利区間抽選を実行しないように構成されている。
また、AT制御手段200は、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合で、かつ遊技状態が第1ボーナス成立状態、第1ボーナス作動状態又は第2ボーナス作動状態である場合において、内部抽選の結果がいずれの結果である場合にも有利区間抽選を実行しないように構成されている。
また、AT制御手段200は、第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合には、遊技状態がいずれの遊技状態である場合にも、内部抽選の結果を問わず有利区間抽選を実行しないように構成されている。
有利区間において、AT制御手段200は、補助遊技を実行しない非AT状態として、通常非AT状態と、CZ状態と、の複数種類の演出状態を有し、補助遊技を実行可能なAT状態を有している。また、本実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
通常非AT状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常非AT状態に移行した場合、通常非AT状態における遊技回数をカウントする通常非ATゲーム数カウンタ(不図示)に初期値として値「700」をセットする。AT制御手段200は、通常非AT状態において、遊技が実行される都度、通常非ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。そして、AT制御手段200は、通常非ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」となった場合に、CZ状態への移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常非AT状態からCZ状態に移行する。
また、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選する通常中AT抽選を実行する。通常中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、AT状態への移行条件(AT移行条件)が成立したと判定し、演出状態を通常非AT状態からAT状態に移行する。
CZ状態は、遊技者にとって有利な特典である入賞補助が実行されるAT状態に移行する確率が通常非AT状態よりも高く、通常非AT状態よりも有利な演出状態である。AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のCZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、32ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
AT制御手段200は、CZ状態が開始された遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から32ゲームの遊技が実行された後に、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から32ゲームの遊技が実行された後に、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選の結果によらず、通常非AT状態において実行される通常中AT抽選よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能な抽選を実行する。また、CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアを参照して抽選テーブルを取得することで、内部抽選で当選した当選エリアによって「AT状態への移行」に当選する確率が変化するように構成されている。AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能な抽選テーブルを取得する。
このように、CZ状態は、開始時における遊技において、内部抽選の結果によらず「AT状態への移行」に当選可能なCZ中AT抽選が実行されるとともに、CZ中AT抽選について、内部抽選で当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能に構成されており、当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に限り「AT状態への移行」に決定される可能性を有する通常非AT状態よりも、遊技者にとって有利な演出状態として構成されている。
AT状態は、入賞補助が実行される補助遊技を実行可能な状態である。AT状態において、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選において、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順によって入賞役が変化する当選エリアに当選したことに基づき入賞補助を実行可能に構成されている。ここで、入賞補助によって入賞する確率が上がる役(特定役)は、第1ボーナス成立状態及び第2ボーナス成立状態における当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」の当選時のベルA〜ベルLである。AT制御手段200は、入賞補助として、正解打順を報知する表示を主制御表示装置500に表示させる。
また、AT制御手段200が入賞補助を実行する場合、演出制御手段180は、入賞補助によって入賞する確率が上げられた役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する。本実施形態の演出制御手段180は、入賞補助演出として、入賞補助されている特定役を入賞可能にする第1停止操作の押下タイミングを報知する演出(特定役の入賞図柄組合せを構成する図柄を有効ラインL1上に停止可能にする押下タイミングが重複し、かつ遊技者の視認性が高い図柄を表示装置330に表示する演出等)を実行する。
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のATゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(例えば、50ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
また、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、ATゲーム数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行するように構成されている。
AT制御手段200は、AT状態における毎回の遊技の実行の都度実行するデクリメント更新によってATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合と、AT状態において第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「1500」に達した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」を超えた場合と、に、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したと判定し、AT状態を終了する。
AT制御手段200は、ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になったことに基づきAT状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。また、AT制御手段200は、AT状態において第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「1500」に達したことに基づきAT状態を終了した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」を超えたことに基づきAT状態を終了した場合と、において、有利区間の終了条件のうち特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
3.本実施形態の遊技機の遊技性と設定変更時における遊技状態の初期化の詳細
上述した通り、本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態が非RT状態である場合、第1規定投入数(3枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行され、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選した場合に、打順及びストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングを問わずベルA〜ベルLが入賞せず、第1規定投入数よりも少ない1枚の配当に設定された特殊小役A〜特殊小役L、1枚役A〜1枚役Lのいずれかしか入賞しないように構成されていることから、非RT状態において第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合には、AT状態への移行の有無によって遊技性が変化しない構成となっている。
また、スロットマシン1では、第2規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行された場合、AT制御手段200によって有利区間抽選が実行されないとともに、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順によって入賞確率が変化する役に当選する当選エリアが設けられていない内部抽選が実行されることから、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合には、AT状態への移行の有無によって遊技性が変化しない構成となっている。
また、スロットマシン1では、第1ボーナス成立状態、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態において、第1規定投入数(2枚)のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行された場合、AT制御手段200によって有利区間抽選が実行されないことから、第1ボーナス成立状態、第1ボーナス作動状態及び第2ボーナス作動状態について、有利区間中の演出状態であるAT状態への移行が極めて困難になっている。
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態が第2ボーナス成立状態で、かつ第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合に、通常区間から有利区間への移行や、有利区間中の演出状態であるAT状態を用いた遊技性を実現可能に構成されており、第2ボーナス成立状態において第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合に、AT状態を用いた多様な遊技性を実現し遊技者の遊技に対する興趣が向上するように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、一度遊技状態が第2ボーナス成立状態に移行した場合において、極力第2ボーナス成立状態が維持されることが好ましい。上述した通り、スロットマシン1では、RBB3又はRBB4が成立状態に設定されている第2ボーナス成立状態において、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合、RBB3又はRBB4の入賞図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示されたとしても、RBB3,RBB4が作動しないことから、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定される遊技が実行される場合には、遊技状態が第2ボーナス成立状態に維持される。
また、スロットマシン1では、第2ボーナス成立状態において、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合、内部抽選で小役又はリプレイに確実に当選することで、ボーナスと小役又はリプレイが重複当選した状態となるように構成されている。上述した通り、リール制御手段130は、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞可能にするリール停止制御を実行するとともに、小役の取りこぼし(非入賞)時において、RBB3又はRBB4の入賞図柄組合せが表示されないリール停止制御を実行する。このため、スロットマシン1では、第2ボーナス成立状態において、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合、RBB3,RBB4が入賞しないことから、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定される遊技が実行される場合にも、遊技状態が第2ボーナス成立状態に維持される。
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1では、一度遊技状態が第2ボーナス成立状態に移行した場合、以降の遊技において、遊技者の操作によって遊技状態が移行することがなく、遊技者の操作負担を軽減しつつ長期に亘って最も遊技性が高い第2ボーナス成立状態に滞在させることができる。
また、スロットマシン1では、第1ボーナス成立状態においては、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合と、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行される場合と、のいずれである場合にも、内部抽選で小役又はリプレイに確実に当選することで、ボーナスと小役又はリプレイが重複当選した状態となるように構成されている。
このため、スロットマシン1では、遊技状態が第1ボーナス成立状態に移行した場合、RBB1,RBB2が入賞しないことから、一度遊技状態が第1ボーナス成立状態に移行してしまうと、最も遊技性が高い第2ボーナス成立状態を含む他の遊技状態への移行が極めて困難な構成となっている。
図9は、各遊技状態において設定変更手段100によって設定変更制御が実行され、設定値記憶手段191に記憶された設定値が変更された場合における遊技制御手段10が実行する遊技状態の初期化の有無について説明する図である。
図9に示すように、遊技制御手段10は、設定値が変更される前(設定変更前)の遊技状態として、非RT状態と、第1ボーナス成立状態(RBB1内部中、RBB2内部中)と、第1ボーナス作動状態(RBB1作動中、RBB2作動中)及び第2ボーナス作動状態(RBB3作動中、RBB4作動中)と、のいずれかが設定されている場合、設定変更に基づき遊技状態の初期化を行い、設定値が変更された後(設定変更後)の遊技状態として非RT状態に設定する。
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態が第1ボーナス成立状態に移行し、遊技が進行する限りにおいて他の遊技状態への移行が極めて困難になり第2ボーナス成立状態へ移行できなくなった場合でも、設定変更が行われることで遊技状態が非RT状態に移行され、非RT状態において第2規定投入数のメダルを投入状態に設定した遊技が実行されることで第2ボーナス成立状態に移行可能となるため、遊技性が低い第1ボーナス成立状態が長期に亘って継続してしまうことを防止し、遊技機の商品性が低下してしまうことを防止できる。
一方、遊技制御手段10は、設定変更前の遊技状態が第2ボーナス成立状態(RBB3内部中、RBB4内部中)である場合、設定変更が実行された場合にも初期化を実行せず、設定変更後の遊技状態として第2ボーナス成立状態に維持する。
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態が第2ボーナス成立状態に設定されている状態で設定値が変更された場合においても、遊技状態を第2ボーナス成立状態に維持することで、設定値を変更した以降の遊技において、第2ボーナス成立状態とは異なる遊技状態に移行してしまうことを防止し、遊技性が高い第2ボーナス成立状態を維持できるため、設定変更による初期化によって遊技機の商品性が低下してしまうことを防止できる。
4.本実施形態のまとめ
以上のように、本実施形態の遊技機(1)は、
複数のリール(R1,R2,R3)と、
設定値を変更可能な設定変更手段(100)と、
規定数の遊技価値を投入状態に設定する投入受付手段(105)と、
複数種類の役の内部抽選を行う内部抽選手段(120)と、
複数の遊技状態の間での移行に係る制御を行う遊技状態移行制御手段(170)と、を備え、
前記規定数には、第1規定数と、前記第1規定数とは異なる第2規定数と、が含まれ、
前記複数種類の役には、
前記第1規定数において当選可能な第1ボーナスと、
前記第2規定数において当選可能な第2ボーナスと、が含まれ、
前記内部抽選における役の当選確率は、前記設定値に応じて設定され、
前記複数の遊技状態には、
初期化により設定される初期状態と、
前記初期状態において前記第1ボーナスが当選することで移行する第1ボーナス成立状態と、
前記初期状態において前記第2ボーナスが当選することで移行する第2ボーナス成立状態と、
前記第1ボーナスが入賞し、前記第1ボーナスが作動することで移行する第1ボーナス状態と、
前記第2ボーナスが入賞し、前記第2ボーナスが作動することで移行する第2ボーナス状態と、が含まれ、
前記第1ボーナスは、前記第2規定数の遊技価値が投入状態に設定された遊技では作動せず、
前記第2ボーナスは、前記第1規定数の遊技価値が投入状態に設定された遊技では作動せず、
前記設定値が変更された場合に、遊技状態を初期化可能であり、
遊技状態が前記第1ボーナス成立状態である状態で前記設定値が変更された場合には、遊技状態を初期化し、
遊技状態が前記第2ボーナス成立状態である状態で前記設定値が変更された場合には、遊技状態を初期化しない。
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、一度遊技状態が第2ボーナス成立状態に移行した場合、以降の遊技において、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行されても、遊技者の操作によって第2ボーナス成立状態から遊技状態が移行することがなく、遊技者の操作負担を軽減しつつ長期に亘って第2ボーナス成立状態に滞在させることができるとともに、設定値が変更された場合においても第2ボーナス成立状態に維持することで、設定値を変更した以降の遊技において、第2ボーナス成立状態とは異なる遊技状態に移行してしまうことを防止し、遊技性が高い第2ボーナス成立状態を維持できるため、設定変更による初期化によって遊技機の商品性が低下してしまうことを防止できる。
また、本実施形態の遊技機は、
前記複数のリールの回転態様及び停止態様を制御するリール制御手段(130)を備え、
前記内部抽選手段は、前記第1ボーナス成立状態において前記第1規定数の遊技価値が投入状態に設定されて遊技が開始された場合、前記小役又は前記リプレイに当選する前記内部抽選を実行し、
前記リール制御手段は、前記小役又は前記リプレイと前記ボーナスとが重複して当選している場合、前記ボーナスに優先して前記小役又は前記リプレイの入賞形態を示す図柄組合せを有効ライン上に停止表示させる。
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態が第1ボーナス成立状態に移行した場合、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行された場合には、RBB1,RBB2が作動せず、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定されて遊技が実行された場合には、RBB1,RBB2と重複して当選している小役又はリプレイの入賞図柄組合せがRBB1,RBB2に優先して有効ラインL1上に停止表示されることでRBB1,RBB2の入賞が回避されるため、一度遊技状態が第1ボーナス成立状態に移行してしまうと、第2ボーナス成立状態を含む他の遊技状態への移行が極めて困難であるところ、設定値が変更されたことに基づき遊技状態を初期化して非RT状態に設定することで、非RT状態において第2規定投入数のメダルを投入状態に設定した遊技が実行されることで第2ボーナス成立状態に移行可能となるため、遊技性が低い第1ボーナス成立状態が長期に亘って継続してしまうことを防止し、遊技機の商品性が低下してしまうことを防止できる。
5.変形例
なお、本実施形態において、スロットマシン1は、第1ボーナスとしてRBB1とRBB2とを有し、第2ボーナスとしてRBB3とRBB4とを有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、第1ボーナスとして少なくとも1つのRBBを有し、第2ボーナスとして少なくとも1つのRBBを有していればよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定された第1ボーナス成立状態と、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定された第2ボーナス成立状態と、のいずれにおいても、内部抽選手段120による内部抽選で小役又はリプレイに当選するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定された第1ボーナス成立状態について、第1規定投入数のメダルが投入状態に設定された非RT状態と同一の小役の当選確率を有していてもよく、リプレイの当選確率について約1/7.3以上を有するように構成されていれば、いずれの当選確率で構成されていてもよい。また、スロットマシン1は、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定された第2ボーナス成立状態について、第2規定投入数のメダルが投入状態に設定された非RT状態と同一の小役の当選確率を有していてもよく、リプレイの当選確率について約1/7.3以上を有するように構成されていれば、いずれの当選確率で構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、第2ボーナス作動状態について、第1ボーナス作動状態と同一の内部抽選テーブルFを使用した内部抽選を実行するように構成されているが、これに限らず、第1ボーナス作動状態において用いられる内部抽選テーブルとは異なる内部抽選テーブルであり、所定遊技回数の遊技で投入した遊技価値の総投入数に対する払い出された遊技価値の総払出数の比率の下限値が値「1.0」を超えるような内部抽選テーブルを使用した内部抽選を実行するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、遊技制御手段10は、遊技状態が第2ボーナス成立状態であり、かつ設定変更が実行された場合に、遊技状態を初期化しないことで第2ボーナス成立状態を維持するように構成されているが、これに限定されない。遊技制御手段10は、例えば、遊技状態が第2ボーナス成立状態であり、かつ設定変更が実行された場合に、初期化に係る制御処理(初期化処理)を開始し、初期化処理において、遊技状態を第2ボーナス成立状態に維持するための処理(遊技状態の初期化に係る処理をスキップする等)を実行するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。