以下、各実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明では、配光レンズ又は配光レンズユニットの中心軸が延伸する方向をZ方向と規定する。また、Z方向に対して垂直となる平面内で互いに垂直となる2方向をX方向及びY方向と規定する。
(配光レンズ)
まず、本実施形態に係る配光レンズについて説明する。図1は、本実施形態に係る配光レンズ10の形状を示す図である。図1(a)は、配光レンズ10の斜視図である。図1(b)は、図1(a)中のIB−IB断面に相当し、中心軸CAを含むYZ平面で配光レンズ10を切断した図である。図1(c)は、図1(a)中のIC−IC断面に相当し、中心軸CAを含むXZ平面で配光レンズ10を切断した図である。
配光レンズ10は、例えば、光源をLEDとする照明器具に採用され得る。配光レンズ10は、光源が光を照射する方向である光軸方向に沿って、光源に対向して配置される。そして、配光レンズ10は、光源からの光を配光し、外部に照射する。
配光レンズ10は、中心軸CAに沿って、光入射端20と、光出射端21とを有する。光入射端20及び光出射端21の形状は、それぞれ円形である。光入射端20の径DIの中心、及び、光出射端21の径DOの中心は、それぞれ、中心軸CA上にある。光出射端21の径DOは、光入射端20の径DIよりも大きい。そして、配光レンズ10は、光入射端20の側から光出射端21の側に向かって徐々に大きくなる。つまり、配光レンズ10は、中心軸CAに対して傾斜した外側面を有する。外側面は、例えば曲面であり、かつ光反射面である。なお、配光レンズ10が光源に対向して配置される際には、中心軸CAが光軸に対して平行となることが望ましい。
また、配光レンズ10は、例えば、光入射端20の側に開口がある第1凹部22と、光出射端21の側に開口がある第2凹部23とを有する。
第1凹部22は、第1内側面24と、第1底面25とを有する。第1凹部22の開口形状、及び、第1底面25の外周形状は、それぞれ円形である。第1凹部22の開口径は、光入射端20の径DIと同等である。第1底面25の外径は、第1凹部22の開口径よりも小さい。そして、第1凹部22の径は、開口側から第1底面25の側に向かって徐々に小さくなる。つまり、第1内側面24は、配光レンズ10の内部に向かうにつれて狭くなる傾斜面である。一方、第1底面25は、開口側に向かって凸となる曲面である。
第2凹部23は、第2内側面26と、第2底面27とを有する。第2凹部23の開口形状、及び、第2底面27の外周形状は、それぞれ円形である。第2凹部23の開口径は、例えば、光入射端20の径DIと同等とし得る。第2底面27の外径は、第2凹部23の開口径よりも小さい。そして、第2凹部23の径は、開口側から第2底面27の側に向かって徐々に小さくなる。つまり、第2内側面26は、配光レンズ10の内部に向かうにつれて狭くなる傾斜面である。一方、第2底面27は、開口側に向かって凸となる曲面である。なお、例えば、第1凹部22の部位のみで所望の光路を確保することができる場合には、配光レンズ10において必ずしも第2凹部23を設ける必要はない。
また、配光レンズ10は、図1(a)に示すように、中心軸CAを基準として互いに対向する第1配光部12と第2配光部14とを含む。第1配光部12と第2配光部14とを分ける境界線BLは、中心軸CAを含む一平面上に存在する。ただし、境界線BLの位置は、中心軸CAを含む一平面上に存在するものに限定されない。例えば、境界線BLの一部が、中心軸CAを含む第1平面上に存在し、一方、境界線BLの残りの一部が、中心軸CAを含み、かつ第1平面とは異なる第2平面上に存在するものであってもよい。また、配光レンズ10の外側面のうち、第1配光部12に属するものが第1外側面28である。一方、配光レンズ10の外側面のうち、第2配光部14に属するものが第2外側面29である。
図2は、配光レンズ10の光路図である。図2では、図1(c)に対応した配光レンズ10の断面が示されている。また、図2では、配光レンズ10に対向して配置される光源の一例として、LED62が描画されている。ここで、配光レンズ10の中心軸CAは、LED62の光軸に対して平行である。
第1外側面28は、中心軸CAに対して対称な曲面で構成される軸対称面、又は、このような軸対称面に近似する曲面で構成されることが望ましい。特に、第1外側面28を軸対称面とすると、第1配光部12は、軸対称形状レンズに相当する。
また、第1外側面28は、LED62からの光が入射する方向である光軸方向、又は、光軸方向に対して内側に、光を反射する。具体的には、第1配光部12において、LED62から第1内側面24に入射した光は、屈折し、第1外側面28で反射され、最終的に第1照射面30から外部に照射される。このとき、第1外側面28における光入射端20に近い位置で反射された光が進む方向は、光軸方向か、光軸方向に近い方向となる。そして、第1外側面28における反射位置が光出射端21に近い位置になると、反射された光が進む方向は、反射位置における光軸から徐々に内側に離れていく方向、すなわち、中心軸CAに徐々に近づいていく方向となる。
一方、第2外側面29は、曲面で構成されるが、中心軸CAに対して非対称である。具体的には、第2外側面29は、境界線BL上では、第1外側面28と同一曲面であり、第1外側面28に対して滑らかに接する。しかし、第2外側面29では、境界線BLから周方向に離れていくにつれて、中心軸CAに対して更に傾斜していく。つまり、第2外側面29上の境界線BLから周方向に最も離れた位置の傾斜が最も大きくなる。したがって、第2配光部14は、異方性レンズに相当する。
また、第2外側面29は、LED62からの光が入射する方向である光軸方向、又は、光軸方向に対して外側に、光を反射する。具体的には、第2配光部14において、LED62から第1内側面24に入射した光は、屈折し、第2外側面29で反射され、最終的に第2照射面31から外部に照射される。このとき、第2外側面29における光入射端20に近い位置で反射された光が進む方向は、光軸方向か、光軸方向に近い方向となる。そして、第2外側面29における反射位置が光出射端21に近い位置になると、反射された光が進む方向は、反射位置における光軸から徐々に外側に離れていく方向となる。
ここで、第1外側面28の形状と、第2外側面29の形状とには、以下のような関係が成り立つ。まず、第1外側面28と第2外側面29とについて、互いに中心軸CAに対して垂直な同一平面と交差する位置を規定する。例えば、ここでいう同一平面が、図2に示すように、光軸方向で、光入射端20からの距離HにおけるXY平面であると想定する。次に、第1外側面28と当該XY平面とが交差する曲線上の1点を第1位置P1とする。一方、第2外側面29と当該XY平面とが交差する曲線上にあって、中心軸CAを基準として第1位置P1に対向する1点を第2位置P2とする。次に、第1外側面28上の第1位置P1に接する接線を第1接線TL1とする。同様に、第2外側面29上の第2位置P2に接する接線を第2接線TL2とする。このとき、中心軸CAに対する第1接線TL1の角度θ1と、中心軸CAに対する第2接線TL2の角度θ2とは、互いに異なる。特に本実施形態では、角度θ2は、角度θ1よりも大きい。
また、配光レンズ10の照射面は、第1照射面30と、第2照射面31と、第2底面27とを含む。このうち、第1照射面30及び第2照射面31は、同一平面上にある。第1照射面30と第2照射面31とを連続させた照射面は、中心軸CAを基準とした環状面である。環状面の外径は、光出射端21の径DOと一致する。すなわち、配光レンズ10の照射面形状は、円形である。
第1外側面28は軸対称面であるので、第1外側面28の光出射端21の側の端部は、第1照射面30の外周端とおおよそ一致する。これに対して、第2外側面29は軸対称面ではないので、第2外側面29の光出射端21の側の端部は、第2照射面31の外周端と一致しない。そのため、配光レンズ10の照射面形状が円形であるとすると、第2配光部14には、第2外側面29の光出射端21の側の端部と、第2照射面31の外周端との間に、切り欠き面32が形成される。
なお、不図示であるが、LED62から第1底面25に入射した光は、直進又は屈折して、最終的に第2底面27から外部に照射される。
また、配光レンズ10は、透光性を有する樹脂等の材料で形成される。配光レンズ10は、当初から第1配光部12と第2配光部14とが含まれる形で一体的に形成されてもよい。この場合、例えば、1つの母材を切削加工することで、配光レンズ10が形成され得る。一方、当初、第1配光部12と第2配光部14とがそれぞれ独立して製作され、最終的に第1配光部12と第2配光部14とが組み合わされることで、配光レンズ10が形成されてもよい。
図3は、配光レンズ10の配光曲線図である。図3において、横軸は角度(deg)であり、縦軸は光度(cd/klm)である。また、図3において、実線で表される曲線は0°断面を示す。配光レンズ10の中心軸CAに沿って、かつ、光入射端20から光出射端21に向かう方向にZ方向を規定すると、0°断面は、Y方向に相当する。一方、破線で表される曲線は90°断面を示す。90°断面は、Y方向及びZ方向の規定に従えば、X方向に相当する。
図3において、光度のピーク領域に着目すると、0°断面では、光度の分布形状は、角度のプラス側とマイナス側とでおおよそ均一である。これに対して、90°断面では、光度が高い領域が、角度のプラス側からマイナス側に寄っている。すなわち、光度が高い領域に関しては、第2配光部14側から照射された光の方が、第1配光部12側から照射された光よりも、中心軸CAから離れた方向にあることがわかる。
次に、配光レンズ10による効果について説明する。
本実施形態に係る配光レンズ10は、光が入射する方向である光軸方向と平行な中心軸CAを基準として互いに対向する第1配光部12と第2配光部14とを含む。第1配光部12は、光軸方向又は光軸方向に対して内側に光を反射する第1外側面28を有する。第2配光部14は、光軸方向又は光軸方向に対して外側に光を反射する第2外側面29を有する。
又は、本実施形態に係る配光レンズ10は、光反射面である第1外側面28と、光反射面であり、光が入射する方向である光軸方向と平行な中心軸CAを基準として第1外側面28に対向する第2外側面29とを有する。ここで、互いに中心軸CAに対して垂直な同一平面と交差する位置で、第1外側面28に接する接線を第1接線TL1とし、第2外側面29に接する接線を第2接線TL2とする。このとき、中心軸CAに対する第1接線TL1の角度θ1と、中心軸CAに対する第2接線TL2の角度θ2とは、互いに異なる。
ここで、配光レンズ10に光を入射させる光源は、例えばLED62である。
本実施形態に係る配光レンズ10によれば、互いに形状の異なる光反射面である第1外側面28と第2外側面29とを有するので、一部分の照度を抑え、照射領域を限定することができる。例えば、第1外側面28で反射された光で構成される照射領域は、第2外側面29で反射された光で構成される照射領域よりも狭くなる。そこで、中心軸CAを基準として、照度を抑えたい領域側に、第1外側面28で反射された光が照射され、広範囲に光を照射したい領域側に、第2外側面29で反射された光が照射されるように、光源に対して配光レンズ10を配置すればよい。
また、配光レンズ10によれば、中心軸CAとおおよそ一致する光軸を、照度を抑えたい領域側に寄らせることができるので、特に高照度となる照射領域を、より広範囲とすることができる。
また、配光レンズ10によれば、第1配光部12と第2配光部14とは、中心軸CAを基準として互いに対向する形状を有する。したがって、配光レンズ10全体として、簡略化された形状となるので、切削加工や金型成形などの加工方法を問わず、製作の容易性の点で有利となる。
また、本実施形態に係る配光レンズ10では、第1外側面28は、軸対称面であってもよい。
本実施形態に係る配光レンズ10によれば、第1外側面28の形状は中心軸CAを基準としたものとなるので、例えば設計・製作において容易性が向上する。
また、本実施形態に係る配光レンズ10は、第1外側面28で反射された光を照射する第1照射面30と、第2外側面29で反射された光を照射する第2照射面31とを含む。このとき、第1照射面30と第2照射面31とは、同一平面上にあってもよい。
本実施形態に係る配光レンズ10によれば、第1照射面30と第2照射面31とが同一平面上にあるので、配光レンズ10全体として、より簡略化された形状となる。特に、以下で詳説するが、配光レンズ10が配光レンズユニット内に複数形成される場合には、配光レンズユニットの光出射側の表面を基準平面として、すべての配光レンズ10の第1照射面30及び第2照射面31を一律に合わせることができる。したがって、このような配光レンズユニットの製作の容易性の点でも有利となる。
(配光レンズユニット)
次に、本実施形態に係る配光レンズユニットについて説明する。図4は、本実施形態に係る配光レンズユニット40の形状を示す図である。図4(a)は、配光レンズユニット40の光出射側を見た斜視図である。図4(b)は、配光レンズユニット40の光入射側を見た斜視図である。
配光レンズユニット40は、複数の上記実施形態に係る配光レンズ10と、複数の配光レンズ10を保持する保持体42とを有する。
複数の配光レンズ10は、同一の形状及び同一の大きさである。また、複数の配光レンズ10では、それぞれの中心軸CAが互いに平行である。これらの配光レンズ10は、同数の光源のそれぞれの位置に合わせて保持体42に保持される。ここでは、一例として、1つの保持体42に対して、縦方向すなわちX方向に沿って5個、及び、横方向すなわちY方向に沿って3個の計15個の配光レンズ10が、X方向に半個分ずれながら交互に並列されている。なお、複数の配光レンズ10の配置数や配列形状は、特に限定するものではない。
また、それぞれの配光レンズ10について、第1配光部12と第2配光部14とがそれぞれ向く方向が一致している。ここでは、一例として、1つの方向であるX方向を基準として、X方向のプラス側に第1配光部12が配置され、一方、X方向のマイナス側に第2配光部14が配置される。
保持体42は、上記のように複数の配光レンズ10を保持する板体である。保持体42の材質は、配光レンズ10と同じ材質とし得る。この場合、配光レンズユニット40は、例えば、金型を用いて、複数の配光レンズ10と保持体42とが一体的に成形されることで製作されてもよい。なお、当初、配光レンズ10と保持体42とが別体としてそれぞれ形成され、その後、配光レンズ10と保持体42とを組み合わせることで、配光レンズユニット40が製作されてもよい。このことから、本実施形態では、保持体42の材質が配光レンズ10の材質と異なることを妨げない。
また、配光レンズユニット40において、それぞれの配光レンズ10が有する第1照射面30及び第2照射面31は、図4(a)に示すように、保持体42の光出射側の表面42a上で一致する。したがって、上記の各条件に従えば、配光レンズユニット40が有する複数の配光レンズ10のそれぞれの配光特性は、すべて同一である。
また、保持体42は、配光レンズユニット40を利用する装置側に、配光レンズユニット40を取り付けるための取付部42bを有してもよい。取付部42bは、例えば、締結部材としてボルトを利用することを想定し、ボルトが係合する切り欠きや貫通孔である。なお、例えば、配光レンズユニット40を取り付ける際の取り付け方向の基準とするために、取付部42bの設置場所ごとに設置数を変化させてもよい。図4に示す例では、X方向プラス側にある取付部42bの設置数を2つとし、X方向マイナス側にある取付部42bの設置数を1つとしている。
したがって、本実施形態に係る配光レンズユニット40によれば、複数の光源を有する照明装置に対して、上記説明した複数の配光レンズ10を個々に取り付ける必要がない。すなわち、配光レンズユニット40の取り付けにより、複数の配光レンズ10を1度に取り付けることができる。
(照明器具)
次に、本実施形態に係る照明器具について説明する。本実施形態に係る照明器具は、上記の各実施形態に係る配光レンズ10又は配光レンズユニット40を用いる。以下、本実施形態に係る照明器具として、配光レンズユニット40を用いて、陸上競技や各種球技などが開催されるスタジアムのグラウンドを照明する照明器具を例示する。
図5は、本実施形態に係る照明器具50の構成を示す概略斜視図である。なお、図5では、内部構成を示すために、一部が断面図化されている。
照明器具50は、光源ユニット60と、配光レンズユニット40と、筐体70と、2つの前面パネル56と、支持部58とを備える。
光源ユニット60は、光源としての複数のLED62と、複数のLED62を実装するLED基板64とを含む。なお、光源ユニット60は、その他、LED基板64から生じる熱を放出させる放熱板66や、不図示の電源等を含み得る。ここでは、一例として、光源ユニット60は、断面図化のために不図示である部分も含めて、X方向に沿って5個、Y方向に沿って12個の計60個のLED62を有する。なお、複数のLED62の光軸方向は、それぞれ、おおよそ一致する。そして、照明器具50は、一例として、このような光源ユニット60をX方向に2個並設させている。
配光レンズユニット40は、複数のLED62のそれぞれに対して光軸方向で配光レンズ10が対向するように、LED基板64に対向配置される。そして、照明器具50は、一例として、このような配光レンズユニット40を1つの光源ユニット60に対してY方向に4個並設させている。すなわち、照明器具50が備える配光レンズユニット40の総計は、8個である。なお、光源ユニット60に対する配光レンズユニット40の取り付け方向については、後述する。
筐体70は、光源ユニット60及び配光レンズユニット40を収容する。筐体70は、例えば、骨格部材72と、側面カバー74とを含む。骨格部材72は、光源ユニット60及び配光レンズユニット40を固定する。特に、配光レンズユニット40は、取付部42bにおけるボルト76による締結により、骨格部材72に取り付けられる。側面カバー74は、骨格部材72に固定され、光が照射される側の面以外の各面を覆う。ただし、放熱効率を上げるために、側面カバー74には、複数のスリットを設けてもよい。骨格部材72又は側面カバー74を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えばステンレス材が採用され得る。
前面パネル56は、照明器具50の光が照射される側の面、すなわち、配光レンズユニット40の光出射面に対向配置される透光性の板体である。前面パネル56は、例えば、光源ユニット60ごとに骨格部材72に固定される。前面パネル56の材質は、特に限定されるものではなく、例えば樹脂材である。なお、図5には、前面パネル56を通じて視認可能なものとして、二点鎖線で複数の楕円が描かれている。これらの楕円は、前面パネル56の内側に存在する配光レンズユニット40のそれぞれに含まれている個々の配光レンズ10の位置を表している。
支持部58は、例えば、筐体70を複数の方向に回転可能に支持する。また、支持部58は、不図示であるが、スタジアムの一部に固定される。なお、照明器具50は、このような支持部58を用いることなく、スタジアムの構造体に直接固定されてもよい。
次に、照明器具50の作用及び効果について説明する。
図6は、照明器具50の照明領域を説明する図である。図6(a)は、スタジアム100に設置された照明器具50がグラウンド102に向けて投光している状態を示す概略図である。図6(a)では、グラウンド102の左右両側に階段状の客席が設けられているスタジアム100を例示している。特に、グラウンド102を基準として、向かって右側にある客席が第1客席部104である。一方、グラウンド102を基準として、向かって左側にある客席が第2客席部105である。すなわち、第1客席部104と第2客席部105とは、グラウンド102を境に対面している。
スタジアム100には、複数の照明器具50が複数されている。ここでは一例として、以下、図6(a)に示すように、第1客席部104の最上段部に設置され、グラウンド102に向けて斜め上方から投光する1つの照明器具50に着目する。なお、図6(a)では、照明器具50の光軸AXは、グラウンド面102aの第3位置P3に突き当たる。光軸AXのグラウンド面102aに対する傾斜角は、鋭角となる第3角度θ3である。第3位置P3は、第1客席部104と第2客席部105とが互いに向かい合う方向において、グラウンド面102aの中央位置に相当する第4位置P4よりも、第2客席部105側に寄っている。
また、図6(a)に示すように設置される照明器具50では、すべての配光レンズユニット40は、予め、配光レンズ10の第2配光部14が下側すなわちグラウンド102側となるように取り付けられる。この場合、すべての配光レンズユニット40では、配光レンズ10の第1配光部12が、上側すなわちスタジアム100の天井側又は空側となる。
まず、照明器具50の照射領域について、下方端部の光路LLは、グラウンド面102aの第5位置P5に入射する。第5位置P5は、可能な限り第1客席部104に近接した位置である。第3位置P3と第5位置P5とのなす角は、照明器具50の位置を基準として第4角度θ4である。
上記のとおり、配光レンズユニット40は、配光レンズ10の第2配光部14が下側になっている。そのため、グラウンド面102a上の照射領域のうち、第3位置P3と第5位置P5との間に形成される照射領域は、少なくとも第2配光部14の第2外側面29で反射された光で照射される。第2外側面29は、上記説明したように、光軸方向、又は、光軸方向に対して外側に光を反射する。したがって、第3位置P3と第5位置P5との間の照射領域は、第1配光部12の第1外側面28で反射された光で照射される照射領域よりも広くなる。
一方、照明器具50の照射領域について、上方端部の光路LU1は、グラウンド面102aの第6位置P6に入射する。第3位置P3と第6位置P6とのなす角は、照明器具50の位置を基準として第5角度θ5である。グラウンド面102a上の照射領域のうち、第3位置P3と第6位置P6との間に形成される照射領域は、少なくとも第1配光部12の第1外側面28で反射された光で照射される。そして、第3位置P3と第6位置P6との間の照射領域は、第2配光部14の第2外側面29で反射された光で照射される照射領域よりも狭くなる。
図6(b)は、光軸AXが突き当たる第3位置P3を基準とした、照明器具50の照度分布図である。図6(b)では、密に表記されたハッチング領域に向かって徐々に照度が高くなることが示されている。図6(b)によれば、照度が高い領域は、第3位置P3を中心として同心円状ではなく、第3位置P3から第1客席部104側に長くなる。そのため、グラウンド面102aの中央位置から第2客席部105側に光軸AXを寄せたとしても、照度が高い領域は、グラウンド面102aの中央位置側にも及ぶ。
ここで、本実施形態に係る配光レンズユニット40を用いない照明器具がスタジアム100に採用された場合を考える。この場合の配光レンズは、例えば、全体として完全な軸対称形状レンズとし得る。このとき、照明器具がグラウンド面102aの広範囲を照射することができるように、光軸AXが突き当たる位置を、グラウンド面102aの中心位置である第4位置P4とする。また、この場合の下方端部の光路LLが入射する位置を、本実施形態と同様に、第5位置P5とする。
一方、配光レンズの形状は完全な軸対称であるので、照明器具50と同一の位置を基準とすれば、この場合の上方端部の光路LU2が向かう位置と第4位置P4とのなす角は、下方端部の光路LLが向かう第5位置P5と第4位置P4とのなす角と同一となる。そのため、光路LU2が向かう位置は、図6(a)に参考として示すように、グラウンド面102aではなく、第2客席部105上の第7位置P7となる。その結果、第2客席部105における第6位置P6と第7位置P7との間の領域105aには、照明器具から照射された光が到達し、領域105aにおいてグレアが大きくなる場合もあり得る。
これに対して、本実施形態に係る照明器具50によれば、照度分布を光軸AXに対して異形とすることができるので、第2客席部105等の客席への光の到達を抑えることができる。結果として、照明器具50によれば、客席に到達する光の照度を抑え、例えば、客席で生じ得るグレアを小さくすることができる。
また、配光レンズユニット40を用いない照明器具を採用したときに、高照度となる照射領域を広げようとした場合、グラウンド面102aに対する光軸AXの設定位置をグラウンド面102aの中央位置からずらすことも考えられる。しかし、この場合には、客席に到達する光の照射領域が増加するため、望ましくない。これに対して、本実施形態に係る照明器具50によれば、グラウンド面102aに対する光軸AXの設定位置を必ずしもグラウンド面102aの中央位置としなくても、グラウンド面102aの中央位置だけでなく更に広範囲の領域も高照度化することができる。
また、配光レンズユニット40を用いない照明器具を採用したときに、客席に向かう光をフードやルーバーなどの別部品を用いて遮蔽することも考えられる。この場合、別途、フード等の設置コストが発生する。また、フード等で照射光の一部が遮蔽されるということは、照射光全体が有効活用されていないことを意味する。これに対して、本実施形態に係る照明器具50によれば、フード等を用いることがない。結果として、照明器具50の製造コストを抑えることができる。また、照射光を有効活用することができるので、省エネ対策に有効となる。
なお、上記説明では、照明器具50が配光レンズユニット40を用いるものとした。しかし、例えば、要求される明るさ等によっては、照明器具50が小型でもよい場合もあり得る。このような場合、照明器具50は、光源であるLED62の設置数に合わせて、配光レンズユニット40に代えて、単に、単数又は複数の配光レンズ10を用いるものとしてもよい。
また、上記説明した配光レンズ10、配光レンズユニット40及び照明器具50では、配光レンズ10が2つの配光部、すなわち、第1配光部12と第2配光部14とを含むものとした。しかし、本開示に係る配光レンズは、配光部の個数を2個に限定するものではない。例えば、配光レンズに、それぞれ外側面の形状が異なる3つ以上の配光部を含ませることで、さらに複雑に照射領域を変化させることも可能である。
以上、好ましい実施形態について説明したが、本実施形態は、これ限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。