JP6956060B2 - プリンタ用プラテンローラー - Google Patents
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Description
この印字用紙への印字品質には、プラテンローラーの円周長さが重要な位置を占めており、プラテンローラーが一定量以上摩耗した場合には、その外径が小さくなってその円周長さが短くなる。
その結果、長期間の使用により摩耗の程度が進行すると、印字長さが短くなり、印字精度に影響が出るという問題がある。
したがって、プラテンローラーが一定量以上摩耗した場合には、プラテンローラーを新品のものと交換する必要があり、印字精度ないし印字品質の限界点を管理することが可能な弾性体ローラーが要望されている。
もちろん、プラテンローラーに限らず、その他の弾性体ローラーにおいても同様の諸問題および要望がある。
図1は、プラテンローラー1の斜視図、図2は、プラテンローラー1の軸方向要部拡大断面図である。
プラテンローラー1は、ローラーシャフト2と、このローラーシャフト2の周囲に取り付けるとともに一体的に回転可能な弾性材3と、を有するとともに、この弾性材3にラベル(たとえば台紙なしラベル15、図3において後述)を接触させて移送するものである。
プラテンローラー1の表面には溝(内層溝6、被覆層溝8、摩耗目視用溝10、図2のもとづき後述)を形成してある。
内層側弾性材4は、これを熱可塑性弾性部材や熱硬化性弾性材料から構成することができる。
内層側弾性材4を構成する合成樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブデン、結晶性ポリブタジエン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アイオノマー、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、1,2−ポリブタジエン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂を使用することができる。
また、たとえば、熱硬化性のシリコーンゴム、一液型RTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴム、二液型RTVゴム、LTV(Low Temperature Vulcanizable)シリコーンゴム、耐油性熱硬化性ゴムなどの熱硬化性弾性材料を用いることができる。なかでもミラブル型シリコーンゴムが好適である。
A硬度が30度未満では、台紙なしラベル15などの帯状部材を移送案内するプラテンローラー1としては柔らかすぎ、すなわち、接触摩擦力が過剰となって、プラテンローラー1としての移送機能に支障が生ずる。また、サーマルプリンター14(図3において後述)における印字品質が低下する。
A硬度が80をこえると、プラテンローラー1として硬くなりすぎ、グリップ力が小さくなって移送力および移送精度が低下する。
なお、JIS K 6253規格に規定するデュロメータータイプAによるゴム硬度は、ISO−7619−1、ASTM D 2240に対応する規格である。
ここに本明細書の一部を構成するものとして、JIS K 6253規格、ISO−7619−1規格、ASTM D 2240規格のすべての記載内容を援用する(incorporation by reference)。
シリコーン樹脂としては、たとえば、シリコーンゲルと呼ばれるシリコーン樹脂や、RTV(Room Temperature Vulcanizing)液状シリコーンゴム、LTV(Low Temperature Vulcanizable)液状シリコーンゴム、紫外線硬化型の液状シリコーンゴム、熱硬化性の液状シリコーンゴムなどを用いることができる。
熱硬化性のシリコーン樹脂は、熱硬化条件の調整および加工処理が比較的容易で、C硬度の設定も容易である。
したがって、プラテンローラー1は、台紙なしラベル15や台紙付きラベルその他の帯状部材のいずれに対しても必要な剥離性およびグリップ力を有し、安定した移送案内機能を発揮可能である。
C硬度が20度をこえると、被覆層5の弾性がゴム材のそれに近づくため、その表面の粘着性が急激に上がってしまい、摩耗しやすくなる。
なお、SRIS 0101規格に規定するスプリング式アスカーC型による硬度(C硬度)は、低硬度測定のデファクトスタンダードとしてグローバルに用いられており、JIS K 7312と同等の規格である。
ここに本明細書の一部を構成するものとして、SRIS 0101規格、JIS K 7312規格のすべての記載内容を援用する(incorporation by reference)。
厚さTが10μm未満では、被覆層5に厚さのムラが生じて、安定した剥離性およびグリップ力を得ることが困難になる。
厚さTが100μmをこえると、プラテンローラー1における内層側弾性材4の被膜として脆くなり、裂けやすくなる。
プラテンローラー1は、内層側弾性材4の円周方向に沿って複数本の断面(より正確には、プラテンローラー1の中心線を含む平面で切断した断面)V字形状の内層溝6を形成し、その外周に被覆層5を形成したものである。
内層側弾性材4は、内層溝6それぞれの間を平坦な内層台状頂部7として形成している。
被覆層5は、被覆層溝8それぞれの間を平坦な被覆層台状頂部9として形成している。
なお、内層溝6および被覆層溝8の断面形状としては、V字形状以外にも、U字形状ないしすり鉢形状、矩形状その他の多角形状とすることができる。
内層溝6のピッチPが500μm未満では、互いに隣り合う内層溝6の間に形成する内層台状頂部7を加工することができる範囲がほとんどなくなる。
内層溝6のピッチPが1500μmをこえると、プラテンローラー1全体における内層溝6あるいは被覆層溝8の割合が低下し、台紙なしラベル15その他の帯状部材との接触面積が増加する傾向になり、プラテンローラー1としては、その剥離性が低下することを否めない。
内層溝6の幅Wが25μm未満では、台紙なしラベル15その他の帯状部材との接触面積が増加する結果、プラテンローラー1としては、その剥離性が低下する傾向にある。
内層溝6の幅Wが1300μmをこえると、プラテンローラー1が台紙なしラベル15などを粘着剤層22側から適正に押さえ支える部分の押圧力が低下し、サーマルプリンター14の印字部19(図3)におけるラベル片15Aへの印字抜けが発生するなど印字精度が低下する傾向にある。
内層溝6の深さHが25μm未満では、台紙なしラベル15その他の帯状部材との接触面積が増加する結果、プラテンローラー1としては、その剥離性が低下する傾向にある。
内層溝6の深さHが500μmをこえると、プラテンローラー1が台紙なしラベル15などを粘着剤層22側から押さえ支える部分の押圧力が低下し、サーマルプリンター14の印字部19におけるラベル片15Aへの印字抜けが発生するなど印字精度が低下する傾向にある。
内層溝6の溝角度Gが40度未満では、台紙なしラベル15その他の帯状部材との接触面積が増加する結果、プラテンローラー1としては、その剥離性が低下する傾向にある。
内層溝6の溝角度Gが160度をこえると、プラテンローラー1が台紙なしラベル15などを粘着剤層22側から押さえ支える部分の押圧力が低下し、サーマルプリンター14の印字部19におけるラベル片15Aへの印字抜けが発生するなど印字精度が低下する傾向にある。
すなわち、内層側弾性材4には、摩耗目視用溝10と並列して、その円周方向に沿って複数本の内層溝6を形成していることになる。
なお、図示の例では、内層側弾性材4の内層台状頂部7の部分に位置して摩耗目視用溝10を形成している。
すなわち、摩耗目視用溝10の単位溝として、ローラーシャフト2の軸方向において順に連なり合う第1の単位溝11、第2の単位溝12および第3の単位溝13を形成している。
本発明においては、これら単位溝の少なくともふたつについてそれぞれの深さを互いに異ならせることが必要である。
たとえば、第1の単位溝11の第1の深さH1、第2の単位溝12の第2の深さH2および第3の単位溝13の第3の深さH3について、第1の深さH1を最深とし、第2の深さH2を最浅とし、第3の深さH3を中間浅として形成している(H2<H3<H1)。
たとえば、内層側弾性材4および被覆層5の材料の色は白色ないし無色透明であって、摩耗目視用溝10の材料の色は青色に着色している。
また、第1の単位溝11の開口幅を120μmとし、第2の単位溝12の開口幅を60μmとし、第3の単位溝13の開口幅を120μmとしている。
摩耗目視用溝10の幅が25μm未満であると、摩耗目視用溝10を目視ないし確認することができなくなるという不都合がある。
摩耗目視用溝10の幅が1300μmをこえると、摩耗目視用溝10における充填材の消失までの時間が長くなり、プラテンローラー1の取替え時期が想定より遅くなるという不都合がある。
また、第1の単位溝11の深さH1を50μmとし、第2の単位溝12の深さH2を25μmとし、第3の単位溝13の深さH3を40μmとしている。
摩耗目視用溝10の深さが25μm未満であると、プラテンローラー1によるたとえば台紙なしラベル15の短期間の走行で摩耗目視用溝10における充填材が消失するという不都合がある。
摩耗目視用溝10の深さが1300μmをこえると、摩耗目視用溝10における充填材の消失までの時間が長くなり、プラテンローラー1の取替え時期が想定より遅くなるという不都合がある。
なお、ラベル基材21の裏面側に位置検出用マーク25をあらかじめ印刷してある。
また、ラベル基材21の表面側に必要に応じて、ラベル使用者のマークや名称その他のデザインなどの固定情報(図示せず)をあらかじめ印刷しておくこともできる。
この台紙なしラベル15は、切断部20において所定ピッチで切断することにより単葉のラベル片15Aとすることができる。
摩耗のさらなる進行にともない、摩耗の限界終期(図2中、三点鎖線で示す第3の摩耗レベルL3)には、第3の単位溝13部分の被覆層材料も消失し、第1の単位溝11のみとなって、摩耗目視用溝10として比較的細幅(細線)の一本の青色線を目視することになる。
さらに摩耗が進行すれば、第1の単位溝11部分の被覆層材料も消失して、青色線を目視することができなくなり、直ちにプラテンローラー1を交換する必要があると判別することができる。
なお、青色線の見え方によるどの時点でプラテンローラー1を交換すべきか、については、プラテンローラー1および印字用紙その他の諸条件にもとづきあらかじめ決定しておくことができる。
たとえば、図4は、摩耗目視用溝の変形例を示す要部拡大断面図であって、互いに連なり合って摩耗目視用溝40を形成する第1の単位溝41、第2の単位溝42、第3の単位溝43、第4の単位溝44および第5の単位溝45のそれぞれの深さを適宜変化させている。
したがって、たとえば青色に目視される摩耗目視用溝40の幅や本数が、被覆層5の摩耗の程度に応じて変化し、プラテンローラー1の交換時期を判別可能である。
また、複数本の摩耗目視用溝10を形成した場合に、それぞれの摩耗目視用溝10への着色を異ならせたり、それぞれの深さや幅を相違させることにより、摩耗の程度や交換時期についての管理情報を多様化することもできる。
たとえば、ローラーシャフト2の軸方向に直交する面内の弾性体ローラー直径が一定である一般的な円柱形状はもちろん、ローラーシャフト2の軸方向に直交する面内の弾性体ローラー直径を、ローラーシャフト2の軸方向に沿うその中央部からその両端部に向けて均等に漸減させている、いわゆる「タイコ形状」、あるいは、ローラーシャフト2の軸方向に直交する面内の弾性体ローラー直径が、ローラーシャフト2の軸方向の一端部と他端部とで異なる、いわゆる「片寄せ形状」などにも応用可能である。
また、内層側弾性材4を単層あるいは複層に構成する場合に、内層側弾性材4の引裂強度についても、それぞれ任意に設計可能である。
2 ローラーシャフト
3 弾性材
4 内層側弾性材
5 被覆層
6 内層溝
7 内層台状頂部
8 被覆層溝
9 被覆層台状頂部
10 摩耗目視用溝
11 第1の単位溝
12 第2の単位溝
13 第3の単位溝
14 サーマルプリンター(図3)
15 台紙なしラベル
15A 台紙なしラベル15のラベル片
16 供給部
17 案内部
18 検出部
19 印字部
20 切断部
21 ラベル基材
22 粘着剤層
23 感熱発色剤層
24 剥離剤層
25 位置検出用マーク
26 ガイドローラー
27 位置検出センサー
28 サーマルヘッド
29 固定刃
30 可動刃
40 摩耗目視用溝(変形例、図4)
41 第1の単位溝
42 第2の単位溝
43 第3の単位溝
44 第4の単位溝
45 第5の単位溝
T 被覆層24の厚さ(図2)
P 内層溝6のピッチ
W 内層溝6の幅
H 内層溝6の深さ
G 内層溝6の溝角度
H1 第1の単位溝11の第1の深さ(図2)
H2 第2の単位溝12の第2の深さ
H3 第3の単位溝13の第3の深さ
L1 第1の摩耗レベル(図2、一点鎖線で示す摩耗の初期)
L2 第2の摩耗レベル(図2、二点鎖線で示す摩耗の中期)
L3 第3の摩耗レベル(図2、三点鎖線で示す摩耗の限界終期)
Claims (9)
- ローラーシャフトと、
このローラーシャフトの周囲に取り付けた弾性材と、を有する、帯状部材を移送するためのプリンタ用プラテンローラーであって、
前記弾性材の外周面に円周方向の摩耗目視用溝を形成し、
この摩耗目視用溝を、前記ローラーシャフトの軸方向において複数本の単位溝から形成し、
これら単位溝の少なくともふたつについてそれぞれの深さを互いに異ならせるとともに、
前記摩耗目視用溝には、前記弾性材の材料の色とは異なる色の材料を充填していることを特徴とするプリンタ用プラテンローラー。 - 前記単位溝のそれぞれの深さは、前記ローラーシャフトの軸方向において段階的に変化していることを特徴とする請求項1記載のプリンタ用プラテンローラー。
- 前記単位溝のそれぞれの深さは、前記ローラーシャフトの軸方向において不規則に変化していることを特徴とする請求項1記載のプリンタ用プラテンローラー。
- 前記複数本の単位溝は、順に連なり合うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプリンタ用プラテンローラー。
- 前記摩耗目視用溝の前記単位溝として、前記ローラーシャフトの軸方向において順に連なり合う第1の単位溝、第2の単位溝および第3の単位溝を形成するとともに、
この第1の単位溝の第1の深さ、第2の単位溝の第2の深さおよび第3の単位溝の第3の深さについて、第1の深さを最深とし、第2の深さを最浅とし、第3の深さを中間浅として形成していることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ用プラテンローラー。 - 前記摩耗目視用溝は、その幅を25〜1300μmとしていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプリンタ用プラテンローラー。
- 前記摩耗目視用溝は、その深さを25〜1300μmとしていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のプリンタ用プラテンローラー。
- 前記摩耗目視用溝は、前記ローラーシャフトの軸方向に沿って、互いに異なる複数箇所にこれを設けることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のプリンタ用プラテンローラー。
- 前記弾性材の外周面に被覆層を設けた請求項1ないし8のいずれかに記載のプリンタ用プラテンローラー。
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